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明細書 :可視光感応型光触媒及び可視光感応型光触媒中間体の調製方法、可視光感応型光触媒の使用方法並びに可視光感応型光触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-195797 (P2014-195797A)
公開日 平成26年10月16日(2014.10.16)
発明の名称または考案の名称 可視光感応型光触媒及び可視光感応型光触媒中間体の調製方法、可視光感応型光触媒の使用方法並びに可視光感応型光触媒
国際特許分類 B01J  35/02        (2006.01)
B01J  37/08        (2006.01)
B01J  38/00        (2006.01)
FI B01J 35/02 J
B01J 37/08
B01J 38/00 A
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 23
出願番号 特願2014-039365 (P2014-039365)
出願日 平成26年2月28日(2014.2.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 公益社団法人日本化学会「第64回コロイドおよび界面化学討論会講演会要旨集」平成25年8月31日発行 公益社団法人日本化学会主催「第64回コロイドおよび界面化学討論会」平成25年9月20日開催
優先権出願番号 2013045977
優先日 平成25年3月7日(2013.3.7)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】田嶋 和夫
【氏名】今井 洋子
出願人 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
【識別番号】100120891、【弁理士】、【氏名又は名称】林 一好
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
Fターム 4G169AA02
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169AA10
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA14B
4G169BA21C
4G169BA27C
4G169BA48A
4G169BB05C
4G169BC33A
4G169BC33B
4G169BC50C
4G169BE06C
4G169BE32C
4G169DA05
4G169EB19
4G169EC28
4G169EE01
4G169FA01
4G169FB04
4G169FB27
4G169FB29
4G169FB30
4G169FB57
4G169FC02
4G169FC05
4G169FC07
4G169FC08
4G169FC10
4G169HA02
4G169HB01
4G169HB02
4G169HC02
4G169HD03
4G169HD10
4G169HF03
4G169HF04
要約 【課題】溶媒の量を任意に設定することを可能とし、金コロイドと酸化チタン微粒子の複合微粒子を高収量で調製可能とした可視光感応型光触媒及び可視光感応型光触媒中間体の調製方法、可視光感応型光触媒の使用方法並びに可視光感応型光触媒を提供すること。
【解決手段】可視光感応型光触媒又は可視光感応型光触媒中間体の調製方法は、有機チタン錯体を含む油液を分散媒とし、金コロイドを含む水分散液を分散質とする分散系を形成する工程を有し、可視光感応型光触媒又は可視光感応型光触媒中間体は、有機チタン錯体が加水分解し、金コロイドを包摂して包摂体を形成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
有機チタン錯体を含む油液を分散媒とし、金コロイドを含む水分散液を分散質とする分散系を形成する工程を含み、
前記有機チタン錯体が加水分解し、金コロイドを包摂して包摂体を形成する可視光感応型光触媒又は可視光感応型光触媒中間体の調製方法。
【請求項2】
前記有機チタン錯体及び前記金コロイドは、Au:Tiのモル比が1:150~1:1000になる量で用いられる請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記分散系から、前記包摂体を分離する工程をさらに含む請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記包摂体を、アナタース相転移温度又は350℃未満の温度で焼成する工程をさらに含む請求項3記載の方法。
【請求項5】
固定化剤が結合した基板に、前記固定化剤を介して前記包摂体を結合させる工程をさらに含む請求項1から4いずれか記載の方法。
【請求項6】
前記固定化剤は多価金属アルコキシド又はアルコキシシランを含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記基板に固定された前記包摂体を乾燥する工程をさらに含む請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
乾燥後の前記包摂体を、アナタース相転移温度又は350℃未満の温度より低い温度で焼成する工程をさらに含む請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記可視光感応型光触媒の表面に存在する異物質を除去し、触媒活性を再生する工程をさらに含む請求項1から8いずれか記載の方法。
【請求項10】
前記除去は、アナタース相転移温度又は350℃未満の温度で加熱する工程を含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
金粒子の少なくとも一部が3価の酸化チタンで包摂された包摂体を含む可視光感応型光触媒に、400~650nmの範囲の波長の合計照度が0.040mW/cm以上である光を照射する工程を有する、可視光感応型光触媒の使用方法。
【請求項12】
400~650nmの範囲の波長の合計照度が0.040mW/cm以上である光を照射することによって用いられ、金粒子の少なくとも一部が3価の酸化チタンで包摂された包摂体を含む、可視光感応型光触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光感応型光触媒及び可視光感応型光触媒中間体の調製方法、可視光感応型光触媒の使用方法並びに可視光感応型光触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体光触媒による酸化還元反応を利用して様々な商品開発が行われている。例えば、塗布された光触媒により自浄作用を有するトンネル照明、添加された光触媒により抗菌作用を有するタイル、繊維に光触媒を混ぜて編みこんだ衣類など、日常生活で実用的な商品が多く開発されている。
【0003】
これらの商品に使用されている光触媒のほとんどが酸化チタンである。酸化チタンが広く使用されている理由は、酸化チタンは、光照射によって非常に高い触媒活性を示すと同時に、水や有機溶媒に溶解しないこと、安定で毒性もまったく無いこと、比較的安価であり資源が豊富に存在することなどが挙げられる。
【0004】
酸化チタンの結晶型には、ブルカイト型、アナタース型、ルチル型などが知られている。また、酸化チタンが光触媒機能を発揮させるためには、アナタース型で380nm以下、ルチル型で400nm以下の紫外光を必要とする。しかし、太陽光を構成する主たる波長は400nm~800nmの可視光であり、酸化チタンが光触媒機能を発揮させるために380nm以下の紫外線量は全光線のわずか3%ほどである。すなわち、太陽光の紫外線量は、酸化チタンの光触媒機能を発揮させる光としては非常に少量である。また、蛍光灯の光も400nm~650nmの可視光の波長が主である。
【0005】
このような背景のもと、少量しか存在しない紫外線ではなく、多量に獲得可能である可視光に応答して活性化する、可視光感応型触媒の開発が急務である。
【0006】
酸化チタンの可視光感応化方法として、金コロイドと酸化チタン微粒子の複合微粒子を形成させ、金コロイドのプラズモン発光を利用する方法が見出されている。そして、金コロイドと酸化チタンの複合微粒子の調製方法として、逆ミセル法で調製する方法が開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2005-342601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、逆ミセル法で金コロイドと酸化チタンの複合微粒子を調製する場合、一部の逆ミセル中にしか金コロイドが存在しないので、収率が悪く、また、溶媒を大量に必要とするという問題があった。すなわち、逆ミセル法で金コロイドと酸化チタンの複合微粒子を調製する方法は、可視光感応型光触媒の調製方法として実用的ではなかった。
【0009】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、多量の溶媒を必須とせず、また、金コロイドと酸化チタン微粒子の複合微粒子を高収量で調製可能な可視光感応型光触媒及び可視光感応型光触媒中間体の調製方法、可視光感応型光触媒の使用方法並びに可視光感応型光触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、有機チタン錯体を含む油液を分散媒とし、金コロイドを含む水分散液を分散質とする分散系を形成することにより、溶媒の量を任意に設定可能となり、高い収率で可視光感応型光触媒を調製可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0011】
(1)有機チタン錯体を含む油液を分散媒とし、金コロイドを含む水分散液を分散質とする分散系を形成する工程を含み、
前記有機チタン錯体が加水分解し、金コロイドを包摂して包摂体を形成する可視光感応型光触媒又は可視光感応型光触媒中間体の調製方法。
【0012】
(2)前記有機チタン錯体及び前記金コロイドは、Au:Tiのモル比が1:150~1:1000になる量で用いられる(1)記載の方法。
【0013】
(3)前記分散系から、前記包摂体を分離する工程をさらに含む(1)又は(2)記載の方法。
【0014】
(4)前記包摂体を、アナタース相転移温度又は350℃未満の温度で焼成する工程をさらに含む(3)記載の方法。
【0015】
(5)固定化剤が結合した基板に、前記固定化剤を介して前記包摂体を結合させる工程をさらに含む(1)から(4)いずれか記載の方法。
【0016】
(6)前記固定化剤は多価金属アルコキシド又はアルコキシシランを含む(5)記載の方法。
【0017】
(7)前記基板に固定された前記包摂体を乾燥する工程をさらに含む(5)又は(6)記載の方法。
【0018】
(8)乾燥後の前記包摂体を、アナタース相転移温度又は350℃未満の温度より低い温度で加熱する工程をさらに含む(7)記載の方法。
【0019】
(9)前記可視光感応型光触媒の表面に存在する異物質を除去し、触媒活性を再生する工程をさらに含む(1)から(8)いずれか記載の方法。
【0020】
(10)前記除去は、アナタース相転移温度又は350℃未満の温度で加熱する工程を含む(9)記載の方法。
【0021】
(11)金粒子の少なくとも一部が3価の酸化チタンで包摂された包摂体を含む可視光感応型光触媒に、400~650nmの範囲の波長の合計照度が0.040mW/cm以上である光を照射する工程を有する、可視光感応型光触媒の使用方法。
【0022】
(12)400~650nmの範囲の波長の合計照度が0.040mW/cm以上である光を照射することによって用いられ、金粒子の少なくとも一部が3価の酸化チタンで包摂された包摂体を含む、可視光感応型光触媒。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、有機チタン錯体を含む油液を分散媒とし、金コロイドを含む水分散液を分散質とする分散系を形成することにより、溶媒の量を任意に設定することが可能となり、高収率で可視光感応型光触媒を調製できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例に係る調製方法で得られた粉末型可視光感応型光触媒が、可視光に応答して活性を有すること示す図である。
【図2】本発明の一実施例で得られた粉末型可視光感応型光触媒が、再焼成を行うことで活性が再生することを示す図である。
【図3】本発明の一実施例でW/O型エマルションを形成して調製した粉末型可視光感応型光触媒が、可視光に応答して活性を有すること示す図である。
【図4】本発明の一実施例で乳化剤を使用しないW/O型エマルションで調製した粉末型可視光感応型光触媒が、可視光に応答して活性を有すること示す図である。
【図5】本発明の一実施例で調製した基板固定型可視光感応型光触媒が、メチルオレンジの分解活性を有することを示す図である。
【図6】本発明の一実施例で調製した基板固定型可視光感応型光触媒が、トリプトファンの分解活性を有することを示す図である。
【図7】本発明の一実施例で調製した基板固定型可視光感応型光触媒が、トリプトファンの分解活性を有することを示す図である。
【図8】本発明の一実施例で調製した基板固定型可視光感応型光触媒が、再焼成を行うことで活性が再生することを示す図である。
【図9】本発明の一実施例で調製した基板固定型可視光感応型光触媒が、再焼成を行うことで活性が再生することを示す図である。
【図10】本発明の一実施例で調製した可視光感応型光触媒が、酸化チタンがアナタース型となる条件で加熱後、活性を失うことを示した図である。
【図11】本発明の一実施例で調製した基板固定型可視光感応型光触媒が、水銀蛍光灯又は白色LED蛍光灯の照射によってメチルオレンジを分解することを示す図である。
【図12】(A)は水銀蛍光灯及び白色LED蛍光灯の波長分布を示す図である。(B)は金コロイドの吸収波長を示す図である。
【図13】本発明の一実施例で調製した基板固定型可視光感応型光触媒が、白色LED蛍光灯の525nmの波長の照射によってメチルオレンジを分解することを示す図である。
【図14】本発明の一実施例で調製した基板固定型可視光感応型光触媒に、白色LED蛍光灯の525、750又は405nmの波長を照射することによって、メチルオレンジの465nm付近の吸収ピークが減少することを示す図である。
【図15】本発明の一実施例で調製した基板固定型可視光感応型光触媒に、白色LED蛍光灯の525、750又は405nmの波長を照射することによって、メチルオレンジの280nm付近の吸収ピークが減少することを示す図である。
【図16】図11に示すグラフに関する白色LED蛍光灯の光の照度を、図11に示すグラフに関する水銀蛍光灯の照度と同じ値となるように補正し、該補正に対応させて図11に示すグラフのメチルオレンジの残存率を補正した場合における、水銀蛍光灯又は白色LED蛍光灯の光の照射時間とメチルオレンジの残存率との関係を示すグラフである。
【図17】本発明の一実施例で調製した基板固定型可視光感応型光触媒に、水銀蛍光灯によって、異なる照度の光を照射したときの、照射時間とメチルオレンジの残存率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに特に限定されるものではない。

【0026】
本発明の調製方法は、有機チタン錯体を含む油液を分散媒とし、金コロイドを含む水分散液を分散質とする分散系を形成する工程を有することを特徴とする。これにより、溶媒の量を任意に設定することを可能とし、高収率で可視光感応型光触媒中間体又は可視光感応型光触媒を調製することができる。

【0027】
可視光感応型光触媒とは、可視光領域の波長に応答して活性を示す触媒をいう。また、可視光感応型光触媒中間体とは、可視光感応型光触媒の前駆体であり、中間体に含まれる水酸化チタンを脱水縮合させることにより、可視光感応型光触媒になるものである。水酸化チタンが脱水縮合しさえすれば、特にその方法は限定されないが、例えば、焼成などの加工を行うことで脱水縮合させてもよい。

【0028】
有機チタン錯体は水分散液界面で加水分解して水酸化チタンとなり、金コロイドを包摂して包摂体を形成する。また、水分散液にはあらかじめ金コロイドが含まれている。さらに、本発明の分散系を形成することにより、金コロイドを分散液中に保持することが可能であるから、有機チタン錯体が加水分解して水酸化チタンになる場には、高確率で金コロイドが存在することになる。従って、水酸化チタンが金コロイドを包摂した包摂体の収率が高くなり、可視光感応型触媒の調製に使用する金コロイドの量を減らすことができる。一方、逆ミセルを形成する場合は、逆ミセル中で有機チタン錯体が加水分解するが、逆ミセル中の一部にしか金コロイドは存在しないので、金コロイドを包摂する水酸化チタンも僅かな量となる。すなわち、本発明は、従来の逆ミセル法による可視光感応型光触媒の調製方法より、高収率で可視光感応型光触媒を調製可能である。

【0029】
また、逆ミセル法による可視光感応型触媒の調製方法では収率が低いため、多量の可視光感応型触媒を調製するためには、その分多量の溶媒を使用する必要がある。これに対し、本発明の分散系を形成すれば、多量の溶媒を必須とせず、溶媒の量を任意に設定することが可能となる。

【0030】
分散質中において、金コロイド粒子と水酸化チタンを均一にして分散させるように、攪拌してもよい。また、包摂体が存在する水分散液中は、Tiと相互作用をしない共雑イオン種及び有機物の有無を問わない。

【0031】
有機チタン錯体と金コロイドの割合は特に限定されないが、金コロイドの量を減らすことができるという点において、Au:Tiのモル比が、好ましくは1:1~1:1500であり、より好ましくは1:500~1:1200であり、最も好ましくは1:700~1:1000である。また、別の観点で、触媒活性が高いという点において、有機チタン錯体及び金コロイドは、Au:Tiのモル比が、好ましくは1:150~1:1000であり、より好ましくは1:200~1:800であり、最も好ましくはAu:Tiのモル比が1:250~1:500である。

【0032】
有機チタン錯体は、加水分解して水酸化チタンになるものであれば特に限定されないが、例えば、チタンアルコキシドであってもよい。チタンアルコキシドは、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン(TEOT)、テトラプロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン(TBOT)、テトライソブトキシチタン、ジイソプロポキシジブトキシチタン、ジtert-ブトキシジイソプロポキシチタン、テトラtert-ブトキシチタン、テトライソオクトキシチタン、及びテトラステアロキシチタンなどがあげられる。これらは、単独で又は2種類以上混合して用いることができる。

【0033】
加水分解された有機チタン錯体は、水酸化チタンとなる。水酸化チタンを互いに縮合反応させると、3価チタニアとなる。本発明において、包摂体で紫系色の3価チタニアが、可視光感応型光触媒となる。以下、3価チタニアが可視光感応型光触媒として機能するメカニズムを説明する。

【0034】
包摂体中の酸化チタンは3価チタニアとして存在する。3価チタニアは、酸素存在下で可視光照射により酸化され、4価のチタニア(アナタース型)に遷移する。その際に、酸素ラジカルが発生し、ベンゼン環や不飽和二重結合の化合物を分解する。しかし、3価チタニアのままでは酸素ラジカルは発生せず、エネルギー的に安定な4価のアナタース型チタニアに遷移すると、3価チタニアには戻らない。すなわち、上記遷移による分解能では、繰り返しの利用又は長期間の利用は不可能である。

【0035】
包摂体に可視光を照射すると、包摂体中の金コロイド粒子がプラズモン発光をする。その際に、3価チタニアに電子移動が生じ、活性酸素が発生する。すなわち、包摂体中に金コロイドを含むことにより、可視光を照射させると、3価チタニアの状態のまま、繰り返し活性酸素を発生させることが可能となる。言い換えると、3価チタニアに電子移動が生じても4価チタニアに変化するのを金コロイドが抑制していると思われる。金コロイドが存在しない物は3価チタニアが4価チタニアに変化したままになり活性を失うものと考えられる。発生した活性酸素はベンゼン環や不飽和二重結合の分解能を有する。

【0036】
本発明によれば、被分解物の光吸収部位が可視光領域と紫外光部位のいずれにあるかに関わらず、分解能を有する。例えば、MO(メチルオレンジ、化1)、トリプトファン(化2)、染料のクエルセチン(Quercetin、化3)農薬のフェニトロチオン(化4)、可食性黄色料のサンセット・イエロ(Sunset Yellow、化5)、除草剤の2、4—D(化6)などのベンゼン環や不飽和結合を分解することができる。また、被分解物の状態は、気相、液相及び固相において分解することができる。

【0037】
【化1】
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【0038】
【化2】
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【0039】
【化3】
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【0040】
【化4】
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【0041】
【化5】
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【0042】
【化6】
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【0043】
本発明における可視光感応型光触媒に照射する波長は、可視光であって、その波長が光触媒活性を与えるものであれば特に限定されないが、特に触媒活性が高いという点において、400~700nmの波長が好ましく、400~650nmの波長がより好ましく、400~600nmの波長がさらに好ましい。

【0044】
本発明の可視光感応型光触媒は、光源種が太陽光をはじめとする可視光を含む光であれば、ベンゼン環や不飽和結合を含む分子に対して活性能を有する。例えば、蛍光灯の可視光領域には、紫外光領域の約90倍の照度があるので、本発明は、蛍光灯を使用する室内環境においても可視光感応型光触媒活性を有するという点において有用である。

【0045】
分散系は、有機チタン錯体を含む油液を分散媒とし、金コロイドを含む水分散液を分散質とすれば特に限定されないが、より収率が高いという点において、W/O型マイクロエマルション、W/O型エマルションを形成する分散系であるのが好ましい。特に、収率が高く、高い触媒活性を与えるという点において、W/O型エマルションを形成する分散系であるのが好ましい。

【0046】
W/O型エマルションとは、水が油に分散している分散系をいう。W/O型マイクロエマルションとは、水が油に分散している分散系であって、特にエマルションの水滴サイズが100nm以下程度のものをいう。

【0047】
金コロイドを含む水分散液は、従来の公知の方法であればいずれの方法で調製したものを使用してもよい。例えば、塩化金酸水溶液を攪拌煮沸した後、クエン酸ナトリウムなどの還元剤を添加して加熱還元することにより調製したものを使用できる。あるいは、還元剤により金イオンを還元してもよい。ただし、Tiと相互作用する物質があると、可視光感応型光触媒中間体の調製に影響を及ぼすので、そのような物質は含まない方がよい。

【0048】
分散系がW/O型マイクロエマルションを形成する場合、まず、乳化剤を含む水と油を混合する。その後、ホモジナイザーなどで高速攪拌乳化を行うことにより、W/O型マイクロエマルションが形成する。その際、直接W/O型のエマルションが作りにくい場合は、水相においてO/W型マイクロエマルションを、油相においてW/O型マイクロエマルションをそれぞれ形成した油水分離状態を作った後、W/O型マイクロエマルション相を取り出してもよい。その後、W/O型マイクロエマルション相に金コロイドを含む水分散液が保持させる。そして、有機チタン錯体を含む油液を混合することにより、W/O型マイクロエマルション界面で有機チタン錯体が加水分解し、マイクロエマルション内にて金コロイドを包摂して包摂体を形成する。

【0049】
W/O型マイクロエマルションにおいては、略すべてのエマルション内に金コロイドが含まれるので、使用する金コロイドの量を減らすことができ、高収率で包摂体を調製可能である。また、W/O型マイクロエマルションの粒子径は数十nmである。

【0050】
分散系がW/O型エマルションを形成する場合、乳化剤と金コロイドを含む水分散液を、油に添加する。その後、有機チタン錯体を含む油液を混合させると、W/O型エマルション界面で有機チタン錯体が加水分解し、エマルション内にて金コロイドを包摂して包摂体を形成する。

【0051】
W/O型エマルションにおいては、略すべてのエマルション内に金コロイドが含まれる。また、W/O型エマルションの粒子径は500~3000nmであり、乳化できる水の量がW/O型マイクロエマルションを形成する場合に比較して多い。従って、W/O型マイクロエマルションを形成する場合より、さらに高い収量で得ることができる。

【0052】
分散系がW/O型マイクロエマルション又はW/O型エマルションを形成する場合の乳化は、従来の界面活性剤乳化や三相乳化により行う。

【0053】
三相乳化とは、両親媒性物質により形成される閉鎖小胞体や、単粒子化されたバイオポリマーを主成分とする乳化分散剤などを用いた乳化法をいう。

【0054】
両親媒性物質により形成される閉鎖小胞体は、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体、ジアルキルアンモニウム誘導体、トリアルキルアンモニウム誘導体、テトラアルキルアンモニウム誘導体、ジアルケニルアンモニウム誘導体、トリアルケニルアンモニウム誘導体、又はテトラアルケニルアンモニウム誘導体のハロゲン塩の誘導体などがあげられる。
い。

【0055】
バイオポリマーは、例えば、微生物産生による多糖類、リン脂質、ポリエステル類、生物由来の澱粉などの多糖類、キトサンよりなる群から選ばれた1又は2以上のものがある。微生物が産生する多糖類として、具体的には、リボース、キシロース、ラムノース、フコース、グルコース、マンノース、グルクロン酸、グルコン酸などの単糖類の中からいくつかの糖を構成要素として微生物が産生するものがあげられる。

【0056】
三相乳化に閉鎖小胞体を使用する場合は、エマルション形成時に、閉鎖小胞体の平均粒子径を8nm~500nmとすることが好ましい。粒子径を8nmより小さくすると、ファンデルワールス力に起因する吸引作用が小さくなり、閉鎖小胞体が油滴の表面に付着しにくくなるからであり、また、粒子径を500nmよりも大きくすると、安定したエマルションを維持できなくなるためである(例えば、特開2006-241424号参照)。

【0057】
W/O型エマルションを形成する場合、乳化安定化のために粒子や界面活性剤を使用しなくてもよい。ただし、Tiのアルコキシドが完全に加水分解するまで攪拌を続ける必要がある。

【0058】
分散媒となる油液は、特に限定されず、例えば、シクロヘキサン、流動パラフィン、軽油などがあげられるが、加熱などの後処理で残留しにくいものを使用するのが好ましい。

【0059】
本発明において、包摂体を分離するには、乾燥工程を含んでもよい。分離する方法は特に限定されず、例えば、遠心分離機で反応物を沈殿させ、沈殿物を取り出してもよい。また、この際に、アセトン、アルコール、水などにより洗浄を行ってもよい。

【0060】
乾燥する方法は特に限定されず、例えば、加熱により乾燥させてもよい。その場合は、包摂体が乾燥されるような温度、時間を適宜選択してもよい。具体的には、60~80℃の温度で乾燥させてもよい。

【0061】
本発明は、乾燥後の包摂体をさらに焼成する工程を含んでもよい。この際、3価チタニアがアナタース相転移する温度より低い温度で加熱するのが好ましい。具体的には、好ましくは350度未満であり、より好ましくは300℃未満であり、さらに好ましくは250℃未満である。また、溶媒などを十分に除去するために、200℃以上で焼成するのが好ましい。触媒に最も高い活性を与えるという点においても、200℃以上で焼成するのが好ましい。焼成時間は、包摂体の量や焼成温度に合わせて適宜選択すればよいが、長すぎるとアナタース相に転移してしまうので、3価チタニアがアナタース相に転移しない時間が好ましい。

【0062】
上記焼成により、水酸化チタンを脱水縮合させる。水酸化チタンが脱水縮合すると、3価チタニアとなり、3価チタニアと金コロイドとの複合微粒子(Au/TiO)が形成される。

【0063】
本発明は、固定化剤が結合した基板に、固定化剤を介して包摂体を結合させる工程を含んでもよい。固定化剤は、包摂体を、固定化剤を介して基板に結合させるものであれば、いずれでもよい。例えば、多価金属アルコキシド、アルコキシシランなどがあげられる。

【0064】
多価金属アルコキシドとは、具体的には、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、マグネシウムアルコキシド、カルシウムアルコキシド、バリウムアルコキシド、ランタンアルコキシド、スカンジウムアルコキシド、イッテルビウムアルコキシド、クロミウムアルコキシドなどを指す。結合性が高く、反応条件の選択性が高いという点において、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタンなどのチタンアルコキシドが好ましい。

【0065】
アルコキシシランとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリエトキシシランなどのシリカアルコキシドなどがあげられる。

【0066】
基板は、固定化剤が結合したものならばいずれでもよいが、強度が高いという点において、ガラスや金属などの無機材料を使用するのが好ましい。ガラスなどの場合は光が透過することから、包摂体が固定された面の反対側からの光も利用できて効率的である。

【0067】
包摂体を基板に結合させた後に、包摂体を乾燥する工程を含んでもよい。乾燥する方法は特に限定されず、例えば、加熱により乾燥してもよく、その場合は、包摂体が乾燥されるような温度、時間を適宜選択してもよい。具体的には、60~80℃の温度で乾燥させてもよい。また、乾燥後に、アセトン、アルコール、水などにより洗浄を行ってもよい。

【0068】
基板固定後、乾燥後の包摂体をさらに焼成する工程を含んでもよい。この際、3価チタニアがアナタース相転移する温度より低い温度で焼成するのが好ましい。具体的には、好ましくは350度未満であり、より好ましくは300℃未満であり、さらに好ましくは250℃未満である。また、溶媒などを十分に除去するために、200℃以上で焼成するのが好ましい。触媒に最も高い活性を与えるという点においても、200℃以上で焼成するのが好ましい。焼成時間は、包摂体の量や焼成温度に合わせて適宜選択すればよいが、長すぎるとアナタース相に転移してしまうので、3価チタニアがアナタース相に転移しない時間が好ましい。

【0069】
例えば、基板としてガラスなどの無機物、固定化剤としてチタンアルコキシドやシリカアルコキシドを使用した場合は、上記乾燥後の包摂体を焼成する工程により、包摂体と基板を結合させてもよい。この場合、以下のような方法で結合させることができる。

【0070】
シクロヘキサンなどの油に溶かしたチタンアルコキシドを、ガラスに塗布することにより、ガラスのシラノール基とチタンアルコキシドが反応し、水酸化チタンの膜が形成する。分散液のまま、または包摂体を分散系から取り出し、ガラス上の水酸化チタンの上からさらに塗布する。包摂体中の水酸化チタンを焼成し、縮合反応させる。この縮合反応により、初めに塗布した固定化剤を介して、包摂体がガラスに結合する。

【0071】
上記方法で包摂体を基板に結合させた場合、ガラスと光触媒との密着性は、セロハンテープによる剥離チェックでも剥がれない程度に強いという点で好ましい。また、むらなく均一に塗布することができるという点においても好ましい。

【0072】
基板に結合させる光触媒の量は限定されないが、少量で無駄なく十分な活性を確保できるという点において、10~200μg/cmの量で結合させるのが好ましい。より好ましくは、25~150μg/cmの量であり、さらに好ましくは50~100μg/cmの量である。

【0073】
分離された包摂体をそのまま加熱したものは、粉末型光触媒として使用できる。また、基板に結合された包摂体を焼成したものは、基板固定型光触媒として使用できる。どちらの触媒を使用するかは、用途に応じて適宜選択されてもよい。基板固定光触媒は、触媒が固定されているので、実際に光触媒が用いられる様々な用途に応じて使用でき、選択性が広いという点で好ましい。また、調製した光触媒は、金コロイドによる着色(赤色)とは別に、3価チタニアによる着色(紫系)をしている。

【0074】
触媒として長期間使用すると、分解生成物が触媒表面に吸着することがある。そして、触媒表面に吸着した物質は、触媒活性を低下させる。本発明は、触媒活性を再生するため、触媒表面に存在する異物質を除去して活性を再生する工程を含んでもよい。

【0075】
触媒表面に存在する異物質を除去することが可能であれば、いずれの方法でもよい。例えば、水やアセトンで洗浄することで除去してもよい。異物質を分解し、触媒活性が高く再生するという点において、加熱による除去が好ましい。

【0076】
加熱により異物質を除去して触媒活性を再生させる場合、3価チタニアがアナタース相転移する温度より低い温度で加熱するのが好ましい。具体的には、好ましくは350度未満であり、より好ましくは300℃未満であり、さらに好ましくは250℃未満である。また、溶媒などを十分に除去するために、200℃以上で加熱するのが好ましい。触媒に最も高い活性を与えるという点においても、200℃以上で加熱するのが好ましい。加熱する時間は、汚染具合に合わせて適宜選択すればよいが、長すぎるとアナタース相に転移してしまうので、3価チタニアがアナタース相に転移しない時間が好ましい。

【0077】
異物質とは、光触媒の活性を阻害するものをいう。例えば、触媒により被分解物が分解された際に生じた生成物などをいう。

【0078】
<光触媒活性測定>
可視光感応型光触媒の活性は、被分解物の吸収強度の変化を、紫外可視光光度計(V-570、Jasco)によりUV-vis測定をすることで行う。可視光照射条件は、波長470nm以上の可視光で、照度は30.0mW/cmとし、光源は180Wのメタルハライドランプ(Luminer Ace 180 Me、HAYASHI)又は18Wの蛍光灯2本、照度は1.7mW/cmとしたものを用いて分解活性を測定する。また、光源に含まれる紫外線を除去する色ガラスフィルター(V-Y47、東京芝浦株式会社)を使用する。

【0079】
触媒は粉末型光触媒又は基板固定型光触媒を用いる。被分解物質は、MO、トリプトファン、クエルセチン、フェニトロチオン、サンセット・イエロ又は2、4—Dを用いる。活性測定は被分解物の水溶液を用いて行う。また、被分解物をMOとした場合、MOは黄色に着色しており、分解後は透明な水溶液となるので、目視により分解を確認することが可能である。

【0080】
<TEM写真観察>
調製したAu/TiOの形状は、透過型電子顕微鏡(JEM-2000FX/EXIIJEOL)を用いて観察する。TEM観察の試料は、市販されている支持膜つきグリッド(Cuメッシュ:JEOL)に複合微粒子を分散状態で滴下によりマウントをし、水及びアセトンなどの有機溶媒で洗浄する操作を行う。

【0081】
<Au/TiO複合微粒子の構造解析>
調製したAu/TiOの結晶状態は、XRD(Rad-rA、Rigaku)を用いて測定し、粉末状にした複合微粒子をX線測定用のガラスセルに積層させて測定する。測定条件は発散・散乱スリット1/2deg、受光スリット:0.15mm、スキャンスピード:5°/min、スキャンステップ:0.02°/min、走査軸:2θ/θ、走査範囲:20~100℃、電圧・電流:40kv・100mAで行う。

【0082】
<Au/TiO複合微粒子の熱分析>
調製したAu/TiOの熱物性は、示差熱重量計(TG-DTA6300、SEIKO)により測定する。測定試料は調製した微粒子を取り出し、乾燥させ粉末状にしたものを用いる。測定条件は所定のアルミナパン(SEIKO)を使用し、空気中で、室温から1000℃まで昇温して行う。

【0083】
<可視光感応型触媒の使用方法>
本発明は、後述する、金粒子の少なくとも一部が3価の酸化チタンで包摂された包摂体を含む可視光感応型光触媒の使用方法を包含する。使用方法は、特に限定されないが、本発明の可視光感応型光触媒は、400~650nmの範囲の波長の合計照度が高い方が、高い光触媒能を発揮する。この観点で、本発明の可視光感応型光触媒は、400~650nmの範囲の波長の合計照度が0.040mW/cm以上である光を照射する工程を有するのが好ましい。照射する光の400~650nmの範囲の波長の合計照度は、より好ましくは、0.045mW/cm以上であり、さらに好ましくは0.18mW/cm以上であり、より一層好ましくは0.45mW/cm以上であり、さらに一層好ましくは0.9mW/cm以上である。ただ、照度と触媒による分解時間は相関関係にあるので、必要とする環境に応じて適宜定めればよい。照射する光は、400~650nmの範囲外の波長を有していてもよく、有さなくともよい。当然ながら太陽光を含む自然光でもよい。また、本発明の可視光感応型光触媒は、400~650nmの範囲の波長の光を照射する方法は、特に限定されず、例えば、400~650nm以外の波長をフィルターによりカットすることにより行ってもよく、400~650nmの範囲の波長のみを有する光を照射することにより行ってもよい。また、本明細書において、「400~650nmの範囲の波長の合計照度」とは、400~650nmの範囲の波長の照度を積分した値をいう。なお、光の400~650nmの範囲の波長の合計照度は、OPTOMETER P9710 センサーSN23257(400-800nm用)(Gigahertz-Optik社製)により測定する。

【0084】
<可視光感応型触媒>
本発明は、金粒子の少なくとも一部が3価の酸化チタンで包摂された包摂体を含む可視光感応型光触媒を包含する。本発明の上記調製方法によって、金コロイドを水酸化チタンで包摂した包摂体が形成され、水酸化チタンは互いに縮合反応すると3価の酸化チタンとなる。この金コロイドの金粒子が3価の酸化チタンで包摂された包摂体が、可視光感応型光触媒である。この包摂体は、金粒子の一部が3価の酸化チタンで包摂されてもよく、金粒子が3価の酸化チタンで完全に覆われて包摂されてもよい。本発明の可視光感応型光触媒の用途は、特に限定されないが、上述のとおり、本発明の可視光感応型光触媒は、照射する光の400~650nmの範囲の波長の合計照度が低すぎると十分な光触媒活性を示さないので、400~650nmの範囲の波長の合計照度が0.040mW/cm以上である光を照射することによって用いられるのが好ましい。
【実施例】
【0085】
<金コロイド分散液の調製>
塩化金(III)酸・四水和物を純水に溶解させ、48.56mmol/dmに調製した。この溶液から、1.0cmとり、純水を加え全量を200cmの0.01質量%の塩化金(III)酸水溶液を調製した。この溶液を攪拌しながら煮沸し、煮沸後、NaBH、0.0135gを加え3時間攪拌して、深赤色の金コロイド分散液を得た。
【実施例】
【0086】
<W/O型マイクロエマルションを形成して調製した可視光感応型光触媒中間体>
乳化剤を純水に対して5質量%となるように添加して分散液を調製した。次に、分散液と油剤が逆マイクロエマルションを形成する割合となるように添加し、ホモジナイザーで高速攪拌後、恒温槽で1時間静置した。静置後、逆マイクロエマルション内に、あらかじめ調製した金コロイド分散液を添加し、逆マイクロエマルション内に保持させた。乳化剤にはHCO-10(ポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体)を、油剤にはシクロヘキサンを用いた。
【実施例】
【0087】
W/O型マイクロエマルション内に保持させておいた金コロイドに対して所定のモル比となるように、シクロヘキサンに溶かしたTEOTを外相に添加した。添加後、TEOTを加水分解させることにより、Au/Ti(OH)を調製した。TEOTの加水分解反応時間は2時間とし、温度は20±2℃とした。
【実施例】
【0088】
<W/O型エマルションを形成して調製した可視光感応型光触媒中間体>
あらかじめ調製した金コロイド分散液にHCO-10が5質量%となるように添加し、攪拌して、5質量%HCO-10・金コロイド分散液を調製した。この分散液をシクロヘキサンに添加し、W/O型エマルションを形成した。
【実施例】
【0089】
W/O型エマルション内に保持させておいた金コロイドに対して所定のモル比となるように、シクロヘキサンに溶かしたTEOTを外相に添加した。添加後、TEOTを加水分解させることによりAu/Ti(OH)を調製した。TEOTの加水分解反応時間は2時間とし、温度は20±2℃とした。このとき、Auに対するTiのモル比が1:1、1:10、1:50、1:100、1:500、1:1000となるように変化させて調製した。
【実施例】
【0090】
<乳化剤を使用しないW/O型エマルションで調製した可視光感応型光触媒中間体>
シクロヘキサンに溶かしたTEOTに所定量のモル比になるように金コロイド液を滴下して、Au/Ti(OH)を調製した。金コロイド液は攪拌しながら徐々に滴下した。この際、金コロイドと水酸化チタンの包摂体はゾル-ゲル状混合物となり油相中に分散したが、攪拌を止めると沈降した。
【実施例】
【0091】
<逆ミセルを形成して調製した可視光感応型光触媒中間体>(比較例1)
DE-5(非イオン性界面活性剤 ドデシルペンタオキシエチレンモノエーテル)をシクロヘキサンに溶解させ、cmc(臨界ミセル濃度)以上の0.1mol/dmとなるように調製した。次に、この溶液にあらかじめ調製した金コロイド分散液を可溶化させた。しかし、逆ミセルのサイズより金コロイド(10nm~20nm)が大きいためW/O型マイクロエマルションとなり逆ミセルによる調製が不可能であった。また、可溶化時間は2時間、温度は20℃±2℃とした。
【実施例】
【0092】
前記比較例のW/O型マイクロエマルションに保持させておいた金コロイドに対して所定のモル比となるように、シクロヘキサンに溶かしたTEOTを外相に添加し、W/O型マイクロエマルションでTEOTを加水分解させることによりAu/Ti(OH)を調製した。TEOTの加水分解反応時間は2時間とし、温度は20±2℃とした。
【実施例】
【0093】
<粉末型光触媒の調製>
各方法で調製したAu/Ti(OH)に、アセトンを添加し、油相と水相を共溶し、均一液相とした。その後、Au/Ti(OH)は沈殿した。この際、金コロイドは液相に分散しないで、水酸化チタンのゲル中に内包された状態で存在した。この洗浄操作を2度繰り返し、無機物や可溶性有機物をできるだけ洗浄除去した。
【実施例】
【0094】
次に、水を加え、攪拌し、遠心分離機で反応物を沈殿させた。この水洗浄の操作を2度行い、ゲルを精製洗浄した。沈殿物を取り出し、80℃でAu/Ti(OH)ゲルを乾燥させた。
【実施例】
【0095】
さらに、大気下で200~300℃で2~3時間焼成処理し、沈殿物中に、残存する溶媒などを除去すると同時に、水酸化チタンを脱水縮合し、酸化チタンとさせてAu/TiOとした。このようにして調製したAu/TiO触媒は、金コロイドによる着色とは別に、3価チタニアによる着色(紫系)をしていた。
【実施例】
【0096】
W/O型マイクロエマルションを形成して調製した場合(実施例1)、エマルション100mlにつき数十~100mgのAu/TiOを調製できた。また、W/O型マイクロエマルションの水の粒子径は数十nmであった。W/O型エマルションを形成して調製した場合(実施例2)、エマルション100mlにつき数gのAu/TiOを調製できた。また、W/O型エマルションの水の粒径は500~3000nmであった。逆ミセルを形成して調製した場合(比較例1)、逆ミセル100mlにつき、数mgのAu/TiOを調製できた。また、逆ミセルの水の粒径は数2~3nmであった。これらの結果を表1に示す。
【実施例】
【0097】
【表1】
JP2014195797A_000009t.gif
【実施例】
【0098】
<TEM写真観察>
調製したAu/TiOの形状を、透過型電子顕微鏡(JEM-2000FX/EXIIJEOL)を用いて観察した。TEM観察の試料は、市販されている支持膜つきグリッド(Cuメッシュ:JEOL)に複合微粒子を分散状態で滴下によりマウントをし、水及びアセトンなどの有機溶媒で洗浄する操作を行った。その結果、金コロイドがTiOに包含されていることが確認された。また、一部に極微的な規則的構造も観察された。
【実施例】
【0099】
<Au/TiO複合微粒子の構造解析>
調製したAu/TiOの結晶状態を、XRD(Rad-rA、Rigaku)を用いて測定し、粉末状にした複合微粒子をX線測定用のガラスセルに積層させて測定した。測定条件は発散・散乱スリット1/2deg、受光スリット:0.15mm、スキャンスピード:5°/min、スキャンステップ:0.02°/min、走査軸:2θ/θ、走査範囲:20~100℃、電圧・電流:40kv・100mAで行った。その結果、W/O型エマルションを形成して調製したAu/TiOは回折ピークが観測されたが、結晶型の同定にはいたらなかった。しかし、試料は紫色に着色していた。また、焼成温度が400℃以上であると、酸化チタンはアナタース型の回折ピークになり白色を示した。
【実施例】
【0100】
<Au/TiO複合微粒子の熱分析>
調製したAu/TiOの熱物性は、示差熱重量計(TG-DTA6300、SEIKO)により測定した。測定試料は調製した微粒子を取り出し、乾燥させ粉末状にしたものを用いた。測定条件は所定のアルミナパン(SEIKO)を使用し、空気中で、室温から1000℃まで昇温して行った。その結果、金コロイド含有水酸化チタンは、265.6℃に発熱のピークを示して、同時に質量が減少し、脱水縮合が起こったことが分かった。また、金コロイドを含まないTiOをW/O型エマルションで調製し、その熱分析を行った結果、360℃で発熱ピークを示し、アナタース転移した。
【実施例】
【0101】
<基板固定型光触媒の調製>
清浄な顕微鏡用のプレパラートガラスを基板として使用した。TEOT、TBOT又はTEOSを固定化剤としてガラス面に薄く塗布し、シラノール基と反応して水酸化チタンの膜を作った。その表面に、アップリケーターを用い、W/O型エマルションを形成して調製したAu/Ti(OH)を塗布し、風乾した。基板に固定化した際の光触媒の塗布量は50~100μg/cmとした。
【実施例】
【0102】
アセトン、水で洗浄後、200℃、3時間焼成し、光触媒Au/TiO触媒とした。ガラス基板と光触媒との密着性はセロハンテープによる剥離チェックでもはがれなかった。また、塗布の均一性はSEM観察によって均一であった。さらに、固定化剤としてTEOT(テトラエトキシチタネート)、TBOT(テトラブトキシチタネート)及びTEOS(テトラエトキシシラン)はすべて使用可能であった。
【実施例】
【0103】
<粉末型触媒の活性>
可視光照射による粉末型触媒の活性確認実験を行った。触媒活性は、被分解物の吸収強度の変化を、紫外可視光光度計(V-570、Jasco)によりUV-vis測定をすることで行った。可視光照射条件は、波長470nm以上の可視光で、照度は30.0mW/cmとし、光源は180Wのメタルハライドランプ(Luminer Ace 180 Me、HAYASHI)を用いて分解活性を測定した。また、光源に含まれる紫外線を除去する色ガラスフィルター(V-Y47、東京芝浦株式会社)を使用した。
【実施例】
【0104】
W/O型マイクロエマルションを形成して調製した粉末型触媒の活性の可視光照射実験を行った。被分解物としてはMOを使用した。結果を図1に表す。200℃で焼成した場合に、最も触媒活性が高いことが確認された。これは、逆ミセルを形成して調製した場合と同様の活性であった。逆ミセル法で調製した場合以外でも、3価のチタニアが調製可能であることがわかった。なお、触媒の組成はモル比でAu:Ti=1:300で、3時間焼成した。
【実施例】
【0105】
三相乳化法で安定化したW/O型エマルションを形成して調製した粉末型触媒の活性の可視光照射実験を行った。被分解物は規定濃度のMOを用いた。結果を図2に示す。同一触媒を繰返し使用して、3回実験した。1回目の分解後、触媒はそのままで、2、3回目の分解実験を行った。2、3回目の分解速度は幾分低下した。これは、分解生成物が触媒表面に吸着汚染したためだと考えられる。3回目の活性測定後、再度200℃、3時間加熱した場合、ほぼ1回目を再現するような分解速度を得ることができた。
【実施例】
【0106】
<蛍光灯照射による分解実験>
市販の18Wの蛍光灯2本、照度は1.7mW/cmを用いて分解活性を測定した。
【実施例】
【0107】
三相乳化法で安定化したW/O型エマルションを形成して調製した粉末型触媒と、乳化安定化剤を使用しないで調製した粉末型触媒の活性の比較を行った。結果を図3及び4に示す。このことより、W/O型エマルションを形成して調製した粉末型触媒の方が活性は高いが、乳化安定化剤を使用しないで調製した粉末型触媒も十分な活性を有することが確認された。
【実施例】
【0108】
<基板固定型光触媒の活性>
三相乳化法で安定化したW/O型エマルションを形成して調製した基板固定型光触媒を用いて、光分解実験を行った。可視光条件は三相乳化法で安定化したW/O型エマルションを形成して調製した粉末型触媒の場合と同様とした。
【実施例】
【0109】
MO水溶液とトリプトファン水溶液の分解実験を行った。結果を図5及び図6に示す。この際、MO水溶液は、分解前は黄色だったのに対し、分解後は透明な水溶液となった。
【実施例】
【0110】
分解前のスペクトルにおいて、MO分子は可視部に吸収があり、トリプトファン分子は紫外部にのみ吸収部位がある。しかし、どちらの場合でも、分解後のスペクトルはそれぞれの吸収部位のピークが消滅をしていた。
【実施例】
【0111】
図7はアミノ酸のトリプトファンにおける二つの吸収ピークから観察した分解を示す。トリプトファンのように被分解物の光吸収部位が紫外光部位のみであっても、可視光による光分解できることが確認された。言い換えると、分子構造にベンゼン環部位や不飽和部位があれば光触媒は分解活性を示すことを示唆しているといえる。トリプトファン以外の化合物では、染料のクエルセチン農薬のフェニトロチオン、可食性黄色料のサンセット・イエロ、除草剤の2、4—Dなどについても、分解されることが確認された。この結果により、MO以外でも、ベンゼン環や二重結合などの不飽和部位をその化合物の一部に存在をしていれば、本発明における光触媒で分子分解が可能であることが確認された。
【実施例】
【0112】
MO水溶液の光分解前と光分解後における溶液の外見は、分解前はλmax=450nmに光の吸収最大を持つので黄色に着色をしていた。分解後はすべて吸収ピークが消滅し、透明な水溶液になった。つまり、固定化した薄膜状態でも触媒活性には影響が無く、分解が可能であることが確認された。
【実施例】
【0113】
図8は光分解における時間変化を示す。同一触媒の繰返し使用では、1回目、2回目の繰返しによる触媒活性は図1の場合と同様に活性低下が見られるが、2回目の後で焼成をすると再現性を示すことが確認された。
【実施例】
【0114】
触媒の焼成による触媒活性への影響を明らかにするために、まず1回目に分解をさせ、加熱後2回目の分解を行った。2回目の終了後さらに2回目の加熱を行い、3回目の分解を行った。その結果を図9に示す。加熱による劣化は認められなかった。むしろ、加熱による触媒活性能の再現性が保たれることが明らかになった。
【実施例】
【0115】
Au/TiOの加熱温度を400℃、3時間で焼成し,Au/TiOをアナタース型にし、触媒活性を調べた。結果を図10に示す。結果として、可視光ではアナタース型はMOの分解をすることができないことが確認された。これは、アナタース型Au/TiOは可視光領域では触媒活性はもたないためである。
【実施例】
【0116】
以上の結果を踏まえると、繰り返し実験及び加熱による触媒再活性化などの現象は粉末型触媒と同様であることが確認された。すなわち、基板固定型光触媒の活性は、粉末型光職場の活性と同様に、光触媒能を有することがわかった。
【実施例】
【0117】
光触媒能を光源として、180Wのメタルハライドランプの代わりに、18Wの蛍光灯2本を用いて、調製したAu/TiOが可視光感応型光触媒能を有するか確認した。その際の照度(μW/cm)を表2に示す。
【実施例】
【0118】
【表2】
JP2014195797A_000010t.gif
【実施例】
【0119】
太陽光においては可視光領域には、紫外光領域の10倍以上の照度があるので、蛍光灯を使用した場合にも、可視光は豊富に存在することが確認された。また、色ガラスフィルターを使用し、紫外光を遮断した場合に、光触媒能が確認された。このことより、光源種は太陽光をはじめとする可視光を含む光であれば、Au/TiOはベンゼン環や不飽和結合を含む分子に対して活性能を示すことが確認された。
【実施例】
【0120】
<水銀蛍光灯、白色LED蛍光灯の照射による光触媒能の評価>
水銀蛍光灯、白色LED蛍光灯の光照射によって、Au/TiOが光触媒能を示すか否かについて評価を行った。評価には、MO水溶液(0.015mmol/L)150g、水銀蛍光灯(1.77mW/cm)又は白色LED蛍光灯(1.54mW/cm)を用い、三相乳化法で安定化したW/O型エマルションを形成して調製した上述の基板固定型光触媒の光触媒能の評価を行った。水銀蛍光灯又は白色LED蛍光灯を用いた場合の、光分解活性を、図11に示す。図11中、「LED lamp」は、白色LED蛍光灯による照射を示し、「Fluorescent lamp」は、水銀蛍光灯による照射を示し、「In dark」は、照射を行っていないことを示す。触媒活性は、被分解物の吸収強度の変化を、紫外可視光光度計(V-570、Jasco)によりUV-vis測定をすることで行った。
【実施例】
【0121】
図11に示すとおり、水銀蛍光灯及び白色LED蛍光灯の光の照射によって、Au/TiOは光触媒活性を示すことが確認された。また、水銀蛍光灯及び白色LED蛍光灯の波長分布と、金コロイドの吸収波長を図12に示す。図12の(A)に示すとおり、基板固定型光触媒は、可視光領域に波長域を有する水銀蛍光灯又は白色LED蛍光灯の光に対して光触媒能を示すことが確認された。また、水銀蛍光灯の方が、光触媒活性が高かったのは、水銀蛍光灯の方が、照度が高かったことに起因することが示唆された。
【実施例】
【0122】
<異なる波長の照射による光触媒能の評価>
白色LED光照射による異なる波長の照射によって、Au/TiOがいかなる光触媒能を示すか否かについて評価を行った。評価には、MO水溶液(0.01mmol/L)150gを用い、照度は15.3mW/cmとし、405nm、525nm又は750nmの波長について、照射を行った。触媒としては、上述の三相乳化法で安定化したW/O型エマルションを形成して調製した基板固定型光触媒を使用し、触媒量は11.35mg/76cmとした。触媒活性は、被分解物の吸収強度の変化を、紫外可視光光度計(V-570、Jasco)によりUV-vis測定をすることで行った。
【実施例】
【0123】
図13は、基板固定型光触媒に対して、白色LED蛍光灯の525nmの波長の光を照射した場合のMO水溶液の吸収波長の経時変化を示す。図13に示すとおり、525nmの波長を照射した場合、Au/TiOがMOを分解することが確認された。
【実施例】
【0124】
図14、15は、405nm、525nm又は750nmの波長の光を照射した場合のMO水溶液の吸収波長の経時変化率を示す。図14、15中、「TiO(405nm)」は、触媒として酸化チタンを用い、405nmの波長を照射したことを示す。「Au/TiO(405nm)」は、アナタース転移した4価の酸化チタンを用い、405nmの波長を照射したことを示す。「405nm」、「525nm」、「750nm」は、Au/TiOにそれぞれの波長を照射したことを示す。また、図14は、MOの465nm付近(ジアゾ結合)の吸収ピークの経時変化率を示し、図15は、MOの280nm(ベンゼン環)付近の吸収ピークの経時変化率を示す。
【実施例】
【0125】
図14、15に示すとおり、4価の酸化チタンを用いた「Au/TiO」は、405の波長の照射に対して、光触媒能をほとんど示さないことが確認された。一方、Au/TiOは、405nm、525nm又は750nmの波長の可視光に対して光触媒能を示すことが確認された。特に、Au/TiOは、照射する波長が750nm、525nm、405nmと短くなるにつれ、MOの分解速度が速くなることが確認された。このことは、Au/TiOは、可視光に対して触媒能を有し、さらに、触媒活性が波長の長さに依存することを示す。
【実施例】
【0126】
また、照射する波長が750nm、525nm、405nmと短くなるにつれ、本発明の可視光感応型光触媒の活性が高くなることから、405nmに近い付近の波長域の割合が、全体の波長に対して大きい方が、本発明の可視光感応型光触媒に対して特に高い活性を示すことが示唆された。
【実施例】
【0127】
<同一の照度における水銀蛍光灯及び白色LED蛍光灯の光の光触媒活性の評価>
上述の「水銀蛍光灯、白色LED蛍光灯の照射による光触媒能の評価」において、水銀蛍光灯の光の照度を1.77mW/cmとし、白色LED蛍光灯の光の照度を1.54mW/cmとして評価を行ったが、この白色LED蛍光灯の光の照度を、水銀蛍光灯の光の照度と同じ値である「1.77mW/cm」に補正し、それに対応させてメチルオレンジの各々の残存率を補正した。その結果を図16に示す。図16中、「LED lamp」は、白色LED蛍光灯による照射を示し、「Fluorescent lamp」は、水銀蛍光灯による照射を示す。
【実施例】
【0128】
図16に示すとおり、照度が同じである水銀蛍光灯及び白色LED蛍光灯のそれぞれの光に対する本発明の光触媒能は、略同一となる。
【実施例】
【0129】
上記のとおり、水銀蛍光灯及び白色LED蛍光灯の光の照度が同じであれば、水銀蛍光灯及び白色LED蛍光灯の光に対する、本発明の光触媒能は略同一であることが示された。しかし、750nmの波長の光に対して、本発明は、光触媒能は小さいが、525nm、405nmと短くなるにつれ、本発明の可視光感応型光触媒の活性が高くなることから、本発明の可視光感応型光触媒が光触媒能を発揮するには、405nm近傍の照度が所定値以上必要であることが推定される。そこで、水銀蛍光灯の光において、400~650nmの範囲の波長の積分強度の、380~810nmの範囲の波長の積分強度に対する割合を、図12の水銀蛍光灯のそれぞれの範囲の波長の光強度の面積比から測定したところ、95%であった。また、白色LED蛍光灯の光において、400~650nmの範囲の波長の積分強度の、380~810nmの範囲の波長の積分強度に対する割合を、図12の白色LED蛍光灯のそれぞれの範囲の波長の光強度の面積比から測定したところ、90.5%であった。この結果より、本発明の基板固定型光触媒が光触媒能を発揮するには、400~650nmの範囲の波長の合計照度が一定以上必要であることが示唆された。
【実施例】
【0130】
<照度の違いによる光触媒活性の評価>
光触媒に照射する光の照度の差異によって、Au/TiOが光触媒能にどのような影響を及ぼすかについて評価を行った。評価には、MO(メチルオレンジ)水溶液(0.015mmol/L、室温)150gを被分解溶液として用いた。触媒としては、上述の三相乳化法で安定化したW/O型エマルションを形成して調製した基板固定型光触媒を使用し、触媒量は11.35mg/76cmとした。光源には、水銀蛍光灯を用いた。評価は、0.0104mW/cm、0.0507mW/cm、0.2503mW/cm、0.661mW/cm、1.54mW/cm、8.011mW/cm、15.3mW/cmの7つの照度について行った。触媒活性は、被分解物の吸収強度の変化を、紫外可視光光度計(V-570、Jasco)によりUV-vis測定をすることで行った。
【実施例】
【0131】
測定誤差を勘案し、有効な光分解が可能である照度の基準を、連続100時間照射で光触媒の分解が5%超である照度とした。図17に示すとおり、0.0104mW/cmではメチルオレンジを分解したと判定することができなかったが、0.0507mW/cm以上の照度では分解が生じることが確認された。また、照度が大きくなるにつれ、メチルオレンジを分解速度が速くなることが確認された。
【実施例】
【0132】
この結果と、上述の水銀蛍光灯及び白色LED蛍光灯の光の、400~650nmの範囲の波長の積分強度の380~810nmの範囲の波長の積分強度に対する割合から、本発明の基板固定型光触媒が光触媒能を発揮するには、照射する光の400~650nmの範囲の波長の合計照度が、0.040mW/cm以上である必要があることが示された。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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