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明細書 :サイドダムプレートならびにそれを用いた双ロール式連続鋳造装置および金属板の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5881210号 (P5881210)
公開番号 特開2013-208630 (P2013-208630A)
登録日 平成28年2月12日(2016.2.12)
発行日 平成28年3月9日(2016.3.9)
公開日 平成25年10月10日(2013.10.10)
発明の名称または考案の名称 サイドダムプレートならびにそれを用いた双ロール式連続鋳造装置および金属板の製造方法
国際特許分類 B22D  11/06        (2006.01)
FI B22D 11/06 330B
請求項の数または発明の数 7
全頁数 15
出願番号 特願2012-079210 (P2012-079210)
出願日 平成24年3月30日(2012.3.30)
審査請求日 平成26年12月5日(2014.12.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503420833
【氏名又は名称】学校法人常翔学園
発明者または考案者 【氏名】羽賀 俊雄
個別代理人の代理人 【識別番号】110001195、【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
審査官 【審査官】酒井 英夫
参考文献・文献 実開昭60-024451(JP,U)
特開平01-245946(JP,A)
特開平01-004458(JP,A)
特開昭61-235045(JP,A)
調査した分野 B22D 11/06
特許請求の範囲 【請求項1】
溶融または半凝固の材料から金属板を製造する双ロール式連続鋳造装置に用いるサイドダムプレートであって、
前記サイドダムプレートには、溶融または半凝固の材料に接する面に、下部に向けて延在する、外部と連通した開口が設けられており、
前記開口の幅は、溶融または半凝固の材料に接する面から遠ざかるにつれて大きくなっている、又は、前記開口は、溶融または半凝固の材料に接する面と対向する面とを結ぶ方向に貫通している、サイドダムプレート。
【請求項2】
前記開口の幅は、溶融または半凝固の材料に接する面において0.5mm以上3.0mm以下である、請求項1に記載のサイドダムプレート。
【請求項3】
前記開口の中又は下端に、金属板の端部に生じた横バリを削ぎとるバリカッタが付設されている、請求項1又は2に記載のサイドダムプレート。
【請求項4】
冷却能を有し、一端から他端まで延在する一対のロールと、
前記ロールの表面に設けられた堰と、
前記ロールの一端側および他端側に設けられた請求項1からのいずれか1項に記載のサイドダムプレートとを備え、前記サイドダムプレートと、前記堰と、前記一対のロールとの間に溶融または半凝固の材料が保持されて前記一対のロールが互いに反対方向に回転することで前記一対のロール間から金属板が排出される、双ロール式連続鋳造装置。
【請求項5】
前記一対のロールの径は等しく、前記サイドダムプレートの開口の高さが前記ロールの直径の1/60以上1/10以下である、請求項に記載の双ロール式連続鋳造装置。
【請求項6】
前記一対のロールの径は異なり、前記サイドダムプレートの開口の高さが小径の前記ロールの直径の1/60以上1/10以下である、請求項に記載の双ロール式連続鋳造装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかに記載の双ロール式連続鋳造装置を用いた、金属板の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、サイドダムプレートならびにそれを用いた双ロール式連続鋳造装置および金属板の製造方法に関し、より特定的には、金属板を製造する装置で用いられるサイドダムプレートならびにそれを用いた双ロール式連続鋳造装置および金属板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属板の製造方法または装置は、たとえば特開平4-322848号公報(特許文献1)、特開平1-186248号公報(特許文献2)、特開平6-15414号公報(特許文献3)、特開平1-133650号公報(特許文献4)に開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平4-322848号公報
【特許文献2】特開平1-186248号公報
【特許文献3】特開平6-15414号公報
【特許文献4】特開平1-133650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の双ロール式連続鋳造装置では、ロール間で溶湯が保持され、溶湯がロールに接触することで半凝固状態となる。半凝固の材料はロール間の隙間でロールから圧力を受け、下方、上方、および側方に絞り出される。側方に絞り出される半凝固の材料は、ロールとロールの軸方向両端面にあるサイドダムプレートとの間に入り込み、そこで凝固するため、できた金属板の両側面に板厚方向に伸びたバリ、いわゆる縦バリを発生させることがある。縦バリは、後工程の圧延時に不具合の原因となるため、その対策が求められていた。
【0005】
そこで特許文献1では、縦バリを横バリに変換するために、サイド堰(サイドダムプレートに相当する、以下同じ)を分割可動式とし、湯溜り部へ所定量溶湯を注入する鋳造準備期にはサイド堰の上部堰、中間堰および下部堰を冷却ドラム(ロールに相当する、以下同じ)両端面に押圧した状態に維持し、鋳造開始期にはサイド堰の中間堰と下部堰を退避して上部堰を冷却ドラム両端面に押圧しつゝ鋳造し、次いで定常期にはサイド堰の下部堰を退避して上部堰と中間堰を冷却ドラム両端面に押圧しつゝ鋳造することを特徴とする双ドラム式薄板連続鋳造方法が開示されている。
【0006】
同じく、特許文献2では、縦バリを横バリに変換するために、サイド堰を分割可動式とし、常に冷却ドラムの側面に押し当てられる上部堰と、鋳造開始時には冷却ドラムの周面に押し当てられ定常状態においては冷却ドラムの周面から後退する下部堰からなることを特徴とするツインドラム式連続鋳造機用のサイド堰が開示されている。
【0007】
同様に、特許文献3では、縦バリを横バリに変換するために、サイドダム(サイドダムプレートに相当する、以下同じ)の下方で鋳片の側縁が冷却ロールの端面よりも外方へ食み出した部分の形状および寸法のうち少なくとも一方を鋳造中に連続して検知し、得られた検知データに基づき食み出しの開始位置に応じてサイドダム下端の高さを調節するように構成することが開示されている。
【0008】
一方、特許文献4では、縦バリを除去するために、鋳造された金属薄帯を次工程に搬送する途中で、金属薄帯の搬送方向に斜行し、且つ金属薄帯の平面に対して傾斜した軸をもつ回転バリ取り具を金属薄帯の両側部に設けたことを特徴とする金属薄帯連続鋳造機用のバリ取り装置が開示されている。
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1から3の方法では、鋳造条件に応じてサイドダムプレートを移動させる必要があり、動力やセンサを必要とする。また上述の特許文献4の方法では、製造ライン上にバリ取り装置を別途設ける必要がある。これら理由のために装置が複雑となり、装置の低コスト化を図ることが困難であるという問題があった。
【0010】
そこで、この発明は上述のような問題点を解決するためになされたものであり、双ロール式連続鋳造装置における金属板に生じる縦バリの発生を簡易に防ぎ横バリに変換する、又は、更に横バリを除去することのできるサイドダムプレート、同サイドダムプレートを用いた双ロール式連続鋳造装置及び金属板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に従ったサイドダムプレートは、溶融または半凝固の材料から金属板を製造する双ロール式連続鋳造装置に用いるサイドダムプレートであって、サイドダムプレートには、溶融または半凝固の材料に接する面に、下部に向けて延在する、外部と連通した開口が設けられており、開口の幅は、溶融または半凝固の材料に接する面から遠ざかるにつれて大きくなっている、又は、前記開口は、溶融または半凝固の材料に接する面と対向する面とを結ぶ方向に貫通している。
【0013】
好ましくは、開口の幅は、溶融または半凝固の材料に接する面において0.5mm以上3.0mm以下である。
【0015】
好ましくは、開口の中又は下端に、金属板の端部に生じた横バリを削ぎとるバリカッタが付設されている。
【0016】
この発明に従った双ロール式連続鋳造装置は、冷却能を有し、一端から他端まで延在する一対のロールと、ロールの表面に設けられた堰と、ロールの一端側および他端側に設けられた請求項1から5のいずれか1項に記載のサイドダムプレートとを備え、サイドダムプレートと、堰と、一対のロールとの間に溶融または半凝固の材料が保持されて一対のロールが互いに反対方向に回転することで一対のロール間から金属板が排出される。
【0017】
好ましくは、一対のロールの径は等しく、サイドダムプレートの開口の高さがロールの直径の1/60以上1/10以下である。
【0018】
好ましくは、一対のロールの径は異なり、サイドダムプレートの開口の高さが小径のロールの直径の1/60以上1/10以下である。
【0019】
この発明に従った金属板の製造方法は、上記のいずれかの双ロール式連続鋳造装置を用いる。
【発明の効果】
【0020】
この発明に従えば、サイドダムプレートに開口を設けるという簡単な構成で縦バリの発生を抑制できるので、装置の低コスト化を図り、かつ、バリを簡単に除去できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1に従ったサイドダムプレートの正面図である。
【図2】図1中の矢印IIで示す方向から見たサイドダムプレートの側面図である。
【図3】図1中の矢印IIIで示す方向から見たサイドダムプレートの底面図である。
【図4】この発明の実施の形態1に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造装置を示す図である。
【図5】図4中の矢印V-V線に沿った断面図である。
【図6】サイドダムプレートの寸法を説明するための図である。
【図7】この発明の実施の形態2に従ったサイドダムプレートの側面図である。
【図8】この発明の実施の形態2に従ったサイドダムプレートの正面図である。
【図9】図7および8で示すサイドダムプレートを用いた、連続鋳造用における横バリ除去を示す図である。
【図10】比較例に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造法を示す正面図である。
【図11】比較例に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造法を示す正面図である。
【図12】この発明の実施の形態3に従ったサイドダムプレートの正面図である。
【図13】図12中の矢印XIIIで示す方向から見たサイドダムプレートの底面図である。
【図14】この発明の実施の形態3に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造装置を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態4に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造装置を示す図である。
【図16】図15中のサイドダムプレートを拡大して示す図である。
【図17】この発明の実施の形態5に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では同一または相当する部分については同一の参照符号を付し、その説明については繰返さない。また、各実施の形態を組み合わせることも可能である。

【0023】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に従ったサイドダムプレートの正面図である。なお、サイドダムプレートの正面とは、サイドダムプレートを双ロール式連続鋳造装置に取り付けた場合に、溶湯に接する面とは対向する面をいう(以下同じ)。図2は、図1中の矢印IIで示す方向から見たサイドダムプレートの側面図である。図3は、図1中の矢印IIIで示す方向から見たサイドダムプレートの底面図である。

【0024】
実施の形態1に従ったサイドダムプレート10は、厚みを有する板形状である。サイドダムプレート10の下部において、開口11が溶融または半凝固の材料に接する面(背面)に、縦方向(上下方向)に延在するように設けられている。開口11により、内部空間12の下端が外部に連通している。なお、サイドダムプレート10の上下とは、サイドダムプレート10を双ロール式連続鋳造装置に取り付けた場合に、金属板が排出される方向を下と称している。内部空間12の幅は、開口11近辺で最も狭く、開口11から遠ざかるにつれて内部空間12の幅が広くなっている。このような内部空間12の断面が台形の構成を採用することで、開口11が目詰まりしにくくなる。なお、図3を参照して、内部空間12の広がり角度(θ)は、開口11において30°以上180°未満であることが好ましく、サイドダムプレート10の目詰まりしにくさ、製造のしやすさ、および強度を考慮すると、30°以上150°以下がより好ましく、60°以上120°以下がさらに好ましい。

【0025】
なお、この実施の形態では内部空間12の幅が変化する例を示しているが、これに限られず、サイドダムプレート10の開口11周辺の厚みが薄い場合には、内部空間12の幅が一定(つまり広がり角度が0°)であってもよい。また、内部空間12の断面が直線で構成された台形の例を示しているが、これに限られず、台形の上底と下底以外の辺が曲面状に膨らんだ台形であってもよい。その場合でも、広がりが角度(θ)は、開口11において計測する。

【0026】
さらに、図1を参照して、この実施の形態では開口11の幅が縦方向に一定の例を示しているが、これに限られず、開口11の幅が変化する構成を採用してもよい。

【0027】
サイドダムプレート10は、一枚の金属厚板から開口11および内部空間12を切削等により加工して製作することができる。

【0028】
図4は、この発明の実施の形態1に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造装置を示す図である。図5は、図4中の矢印V-V線に沿った断面図である。図4および図5を参照して、連続鋳造装置1は、直径が等しい一対のロール20,30と、そのロール20,30との間に配置されたサイドダムプレート10とを有する。サイドダムプレート10に隣接するように堰110が設けられており、一対の堰110と一対のサイドダムプレート10との間で囲まれた領域に溶湯100が保持されている。溶湯100がロール20,30と接触することで凝固し、キス点25を経由して金属板150が排出される。溶湯100の金属材料には、金属単体からなる材料、異なる種類の金属からなる合金材料、SiやSiCp(Silicon carbide particle)など金属以外の材料を含む合金材料など、双ロール式連続鋳造装置で鋳造できるとされる材料であれば何でもよい。また、溶解状態の材料に限られず、半凝固状態の材料であってもよい。金属板150は、金属箔、薄板、厚板など、厚みが100μm程度から20mm程度までの金属板であり、連続鋳造装置1で製造できる厚みの金属板をいう。キス点25は、ロール20,30のロール面同士が最接近する点であり、ロール20と回転軸(図示せず)とロール30の回転軸(図示せず)との間の中間点である。

【0029】
サイドダムプレート10は、溶湯100から金属板150を製造する双ロール式の連続鋳造装置1に用いるサイドダムプレート10であって、サイドダムプレート10の表裏は、開口11が設けられている側を溶湯100に接するように配置する。

【0030】
ロール20で冷やされてできた半凝固層と、ロール30で冷やされてできた半凝固層は、ロール20,30が互いに逆方向に回転することにより合わさり、ロール20とロール30とを押し付ける力(ロール荷重)と溶湯100から受ける静水圧により加圧され、キス点25から金属板150となって押し出される。従来の双ロール式連続鋳造装置では、半凝固状態の材料がロール間の隙間で圧力を受けて、ロール間隙の下方、上方、および側方に絞り出され、側方に絞り出される半凝固の材料は、ロールとサイドダムプレートとの間に入り込み、そこで凝固するため、できた金属板の両側面に板厚方向に伸びたバリ、いわゆる縦バリが発生する。そこで、この圧を開口11側へ逃がすために、開口11は、そのキス点25の上方で半凝固層同士が合わせられる点に設けられるのが好ましい。

【0031】
開口11があることで、開口11の幅に応じた、金属板150の両側面に板方向に延在して金属板150よりも厚みの薄いいわゆる横バリが生じる。この様に、意図的に横バリを発生させることにより、縦バリの発生を抑制することができる。また、この横バリは、まだ完全に凝固していないため後述のバリカッタ40で容易に除去可能である。

【0032】
さらに、図4で示す双ロール式の連続鋳造装置1を用いてアルミニウム合金製の金属板150を製造する場合には、ロール荷重を大きくする必要があるため縦バリが出やすい。よって、上記のサイドダムプレート10は縦バリ対策に効果的である。

【0033】
また、上記のサイドダムプレート10では連続鋳造装置1にサイドダムプレート10が固定されているため、サイドダムプレート10を移動させるための動力を必要とせず、さらに可動部分がなく構造が簡単であるため、双ロール式の連続鋳造装置1に用いた場合に、従来の技術と比較して低コストで縦バリの発生を抑制することが可能となる。

【0034】
開口11は下部が外部と連通している。開口11の幅は、溶湯100と接する面において、0.5mm以上3.0mm以下が好ましく、より好ましくは、1.0mm以上3.0mm以下、さらに好ましくは、1.5mm以上3.0mm未満である。開口11の幅は溶湯100から遠ざかるにつれて大きくなる。

【0035】
双ロール式の連続鋳造装置1は、冷却能を有し、一端28,38から他端29,39まで延在する一対のロール20,30と、ロール20,30のロール表面に設けられた一対の堰110,110と、ロール20,30の一端28,38側および他端29,39側に設けられた一対のサイドダムプレート10,10、とを備え、堰110,110と、サイドダムプレート10,10と、一対のロール20,30との間に溶湯100が保持されて一対のロール20,30が互いに反対方向に回転することで一対のロール20,30間から金属板150が排出される。

【0036】
この実施の形態では、開口11の延在する方向は、金属板150が排出される方向であるが、開口11の延在する方向が金属板150の排出される方向と交差していてもよい。この場合、開口11が斜めに配置されるため、バリを切断することができるため、バリを除去するためのカッタを設ける必要がない。

【0037】
開口11の幅方向の中心位置に関しては、半凝固層同士が重なり合う点に開口11の中心を合わせることが好ましい。開口11の下端は、ロール20,30同士が最も接近するキス点25からいくら下流に延びていても構わないが、実用上は、10mm以内の下流に設けることが好ましい。開口11の高さは、ロール20の直径の1/60以上が好ましく、高さの上限については特に制限はないが、実用上、ロール20の直径の1/10以下とすることが好ましく、より好ましくはロール20の直径の1/30以上1/10以下である。

【0038】
図6は、サイドダムプレートの寸法を説明するための図である。図6を参照して、ロール軸中心(ロール20,30の中心間を結ぶ線)からの開口11の高さをHとし、開口11の幅をWとし、これらをさまざまに設定することができる。高さHはロール軸中心から測定される。開口11の下端がロール軸中心よりも下側に位置している場合、または、開口11の下端がロール軸中心よりも上側に位置している場合であっても、高さHはロール軸中心から測定する。

【0039】
実施の形態1に従った連続鋳造装置1では、開口11からは溶湯100は漏れない。これは、開口11の幅を、溶湯100と接する面において、0.5mm以上3.0mm以下が好ましく、より好ましくは、1.0mm以上3.0mm以下、さらに好ましくは、1.5mm以上3.0mm未満となるように狭くしているため、表面張力の作用によって、漏れが防止されているからである。

【0040】
溶湯100に用いる材料、注湯温度、ロール周速などの鋳造条件によって、ロール20,30での半凝固層の厚みが変わる。そのため、溶湯100の材質が異なればロール20の表面の半凝固層とロール30の表面の半凝固層とが接触する位置、すなわち、バリの起点となる位置が変わる。

【0041】
開口11が縦方向に延在しているため、バリの起点となる位置が変わったとしても、その異なるバリの起点の各々に開口11が位置する。これにより、どのような鋳造条件においても、縦長の開口11により縦バリの発生を抑制することができる。したがって、サイドダムプレート10の位置を固定することができ、特許文献1、2、および3の技術のようにサイドダムプレート10を移動させる装置、昇降させる装置を設ける必要がない。

【0042】
外部と連通した一定の幅の開口が延在した形状の開口11であるため、半凝固物は開口11を通じてサイドダムプレート10内の開口11をサイドダムの厚み方向に自由空間(大気側)へ移動可能であり、バリが縦バリでなく横バリとなる。断面形状がサイドダムプレート10における溶湯100に接する面で狭く、反対側に近づくにつれて広くなっているため、半凝固物のサイドダムプレート10の内部空間12での厚み方向の移動が容易で、開口11に半凝固物が詰まりにくくなる。

【0043】
サイドダムプレート10は、構造が簡単であり、製造しやすい。従来の双ロール連続鋳造装置のサイドダムプレートを上記のサイドダムプレートに置き換えるだけでよく、新たな装置を追加する必要がない。

【0044】
(実施の形態2)
図7は、この発明の実施の形態2に従ったサイドダムプレートの側面図である。図8は、この発明の実施の形態2に従ったサイドダムプレートの正面図である。図7および図8を参照して、この発明の実施の形態2に従ったサイドダムプレート10の下部にはバリカッタ40が付設されている。バリカッタ40は、開口11において生じたバリを除去するための部材である。

【0045】
図9は、図7および8で示すサイドダムプレートを用いた、連続鋳造用におけるバリ取りを示す図である。図9を参照して、図4で示す連続鋳造法において金属板150を形成する工程において、金属板150の両側面に横バリ151が生じる。金属板150および横バリ151は矢印152で示す方向に流れるため、金属板150と横バリ151との間にバリカッタ40を配置することで、金属板150から凝固前の横バリ151を低加重で剥ぎ取ることが可能となる。剥ぎ取られた横バリ151は、金属板150に再び接触することなく除去され、別途回収することができる。

【0046】
この例では楔形状のバリカッタ40を用いているが、これに限られず、先端が円形状のバリカッタ40を用いてもよい。バリ剥ぎ取り手段としてのバリカッタ40は、カッタ(刃)、または金属製のワイヤで構成されることが可能である。

【0047】
なお、図8を参照して、この例ではサイドダムプレート10の開口11の下端にバリカッタ40が付設されているが、これに限られず、バリカッタ40が縦方向に延在する開口11の中にあってもよい。

【0048】
バリカッタ40を設けることで、バリカッタ40により凝固前の横バリを低荷重で剥ぎ取り、バリを簡単に除去することができる。

【0049】
(比較例)
図10および図11は、比較例に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造法を示す正面図である。図10および図11を参照して、比較例に従った連続鋳造法における金属板150の製造工程においては、開口が設けられていない従来から用いられているサイドダムプレート10を用いている。比較例に従った連続鋳造法において、金属板150に縦バリが発生することを抑制するために、サイドダムプレート10を矢印101で示す方向に動かして、サイドダムプレート10の下端の位置を調整しながら連続鋳造を行う。この場合には、サイドダムプレート10と堰110との間から溶湯100がもれることを防止しつつサイドダムプレート10の下端の位置を調整する必要があるため、装置のコストが高くなるという問題がある。

【0050】
(実施の形態3)
図12は、この発明の実施の形態3に従ったサイドダムプレートの正面図である。図13は、図12中の矢印XIIIで示す方向から見たサイドダムプレートの底面図である。

【0051】
この発明の実施の形態3に従ったサイドダムプレート10はサイドダムプレート本体10Aの下部にスリット部材15,15が設けられている。これらのスリット部材15,15が互いに離れて設けられていることにより、サイドダムプレート10の下部に向けて延在する溶湯に接する面から対向する面まで貫通したスリット状の開口11が構成されている。これは、開口11の幅をさまざまに設定して実験を行うために、開口11の幅を容易に調節することができるようにスリット部材15,15をサイドダムプレート本体10Aとは別体で設け、スリット部材15,15を、サイドダムプレート本体10Aに仮固定する構成を採用したものである。

【0052】
図13を参照して、この発明の実施の形態3に従ったサイドダムプレートでは、溶湯と接する面(背面)で開口11の幅が狭く、対向する面(正面)で開口11の幅が広く構成されている。このような内部空間12の断面が台形の構成を採用することで、開口11が目詰まりしにくくなる。なお、図13を参照して、内部空間12の広がり角度(θ)は、開口11において30°以上180°未満であることが好ましく、サイドダムプレート10の目詰まりしにくさ、製造のしやすさ、および強度を考慮すると、30°以上150°以下がより好ましく、60°以上120°以下がさらに好ましい。

【0053】
なお、これに限られず、サイドダムプレート10の開口11周辺の厚みが薄い場合には、開口11の幅がサイドダムプレート10の背面から正面まで一定の幅で貫通する構成を採用してもよい。

【0054】
また、内部空間12の断面が直線で構成された台形の例を示しているが、これに限られず、台形の上底と下底以外の辺が曲面状に膨らんだ台形であってもよい。その場合でも、広がりが角度(θ)は、開口11において計測する。

【0055】
さらに、図12を参照して、この実施の形態では開口11の幅が縦方向に一定の例を示しているが、これに限られず、開口11の幅が変化する構成を採用してもよい。

【0056】
図14は、この発明の実施の形態3に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造装置を示す図である。

【0057】
図12を参照して、ロール軸中心(ロール20,30の中心間を結ぶ線)からの開口11の高さをHとし、開口11の幅をWとし、これらをさまざまに設定した場合における効果を表1で示す。

【0058】
【表1】
JP0005881210B2_000002t.gif

【0059】
表1におけるA6022、ADC12、A5182は、それぞれ、JIS規格により定められたAl合金材を示す。Al-30%SiCpとは30質量%のSiCp(Silicon Carbide particle)を含むアルミニウム合金を示す。Al-25%Siは、25質量%のSiを含むアルミニウム合金を示す。鋳造条件は以下の通りとした。

【0060】
注湯温度:A6022、ADC12、A5182の場合は、液相線温度-5℃から+150℃、Al-30%SiCpの場合は、液相線温度-5℃から+150℃、Al-25%Siの場合は、液相線温度-20℃から+100℃
ロール径(直径):300mm
ロール周速:10~200m/min
ロール荷重:10~200kg/mm
表1から、開口11の幅Wは、0.5mm以上3.0mm以下とすることが好ましく、1.0mm以上3.0mm以下とすることがより好ましく、1.5mm以上3.0mm未満とすることがさらに好ましいことがわかる。幅Wが0.5mm未満であると縦バリを抑制する効果が得られない。幅Wが3.0mmを超えると溶湯100がもれる恐れがある。

【0061】
さらに、開口11の高さHをさまざまにして、開口の効果を調べた。その結果を表2で示す。

【0062】
【表2】
JP0005881210B2_000003t.gif

【0063】
表2におけるADC12、A5182は、それぞれ、JIS規格により定められたAl合金材を示す。鋳造条件は表1の場合と同じである。

【0064】
表2から、開口11の高さHは、ロール20の直径の1/60以上(つまり5mm以上)が好ましく、より好ましくはロール20の直径の1/30以上(つまり10mm以上)であるとことがわかる。高さHが5mm未満であると縦バリを抑制する効果が得られないことがある。

【0065】
なお、サイドダムプレート10は、一枚の金属厚板から開口11および内部空間12を切削等により加工して製作することもできるが、本発明の実施の形態3のようにサイドダムプレート10をサイドダムプレート本体10Aとスリット部材15とを別体で用意し、開口11の幅等を適切な値にして、溶接等により接合すれば低コストで製作できる。

【0066】
さらに、サイドダムプレート10のサイドダムプレート本体10Aとスリット部材15とが互いに接しておらず、その間に溶湯100が漏れない程度の隙間があっても、スリット部材15がサイドダムプレート本体10Aに対し動かないように固定された構成を採用してもよい。

【0067】
(実施の形態4)
図15は、この発明の実施の形態4に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造装置を示す図である。図16は、図15中のサイドダムプレートを拡大して示す図である。図15および図16を参照して、この発明の実施の形態4に従った連続鋳造装置1では、実施の形態3と同様のサイドダムプレート10を用いて、開口11下部にバリカッタ41が設けられている。バリカッタ41は、実施の形態2で示すバリカッタ40と同じ形状を有している。なお、開口11の高さHを15mmとし、幅Wを2mmとした場合において、ADC12およびA5182の金属板150を製造したとき、バリカッタ41で横バリを除去できた。

【0068】
(実施の形態5)
図17は、この発明の実施の形態5に従ったサイドダムプレートを用いた連続鋳造装置を示す図である。図17を参照して、この発明の実施の形態5に従った連続鋳造装置では、大径のロール20と小径のロール30が一対の双ロールを構成する。また、金属板150が引き出される方向が鉛直方法ではなく、鉛直方向から傾斜した方向に引き出される。一方を小径のロールにすることによって、連続鋳造装置1を小型に保ちつつ、厚い金属板150を製造することができる。

【0069】
この発明の実施の形態5に従った連続鋳造装置1では、実施の形態1または3のサイドダムプレート10と同様のサイドダムプレート10を用いる。サイドダムプレート10の開口11の延在する方向は、金属板150が排出される方向である。なお、サイドダムプレート10の上下とは、サイドダムプレート10を連続鋳造装置1に取り付けた場合に、金属板150が排出される方向を下と称している。同様に、開口11の高さは、金属板150が排出される方向における長さ、開口11の幅は、金属板150が排出される方向と直交する方向における幅を意味している。

【0070】
開口11の幅方向の中心位置に関しては、半凝固層同士が重なり合う点に開口11の中心を合わせることが好ましい。開口11の下端は、ロール20,30同士が最も接近するキス点25からいくら下流に延びていても構わないが、実用上は、10mm以内の下流に設けることが好ましい。開口11の高さは、小径のロール30の直径の1/60以上が好ましく、高さの上限については特に制限はないが、実用上、ロール20の直径の1/10以下とすることが好ましく、より好ましくはロール20の直径の1/30以上1/10以下である。また、開口11の幅は、溶湯100と接する面において、0.5mm以上3.0mm未満とすることが好ましく、1.0mm以上3.0mm未満とすることがより好ましく、1.5mm以上3.0mm未満とすることがさらに好ましい。なお、溶湯100と接する面で開口11の幅が狭く、対向側で開口11の幅が広い構成を採用してもよい。

【0071】
さらに、図16で示すサイドダムプレート10に実施の形態2または4のバリカッタ40,41を組み合わせることも可能である。

【0072】
サイドダムプレート10の開口11の延在する方向は、金属板150が排出される方向としているが、開口11の延在する方向が金属板150の排出される方向と交差していてもよい。この場合、開口11が斜めに配置されるため、横バリを切断することができるため、横バリを除去するためのバリカッタを設ける必要がない。

【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 連続鋳造装置、10 サイドダムプレート、10A サイドダムプレート本体、11 開口、15 スリット部材、20,30 ロール、28,38 一方端、29,39 他方端、40,41 バリカッタ、100 溶湯、110 堰、150 金属板、151 横バリ。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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