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明細書 :動物の識別用プライマーセット、およびプライマーキット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4714947号 (P4714947)
公開番号 特開2009-065939 (P2009-065939A)
登録日 平成23年4月8日(2011.4.8)
発行日 平成23年7月6日(2011.7.6)
公開日 平成21年4月2日(2009.4.2)
発明の名称または考案の名称 動物の識別用プライマーセット、およびプライマーキット
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12Q 1/68 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 18
出願番号 特願2007-240023 (P2007-240023)
出願日 平成19年9月14日(2007.9.14)
審査請求日 平成20年3月17日(2008.3.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000116622
【氏名又は名称】愛知県
発明者または考案者 【氏名】安田 庄子
【氏名】北本 則行
個別代理人の代理人 【識別番号】100078721、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 喜樹
審査官 【審査官】石丸 聡
参考文献・文献 特開2000-210085(JP,A)
Meat Sci., vol. 68, pages 431-438 (2004)
日本畜産学会報,第65巻,第571-579頁(1994年)
農業技術,第55巻,第498-501頁(2000年)
日本食品科学工学会誌,第46巻,第187-194頁(1999年)
調査した分野 C12N 15/09
C12Q 1/68
CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
特許請求の範囲 【請求項1】
ミトコンドリアDNAのシトクロムb遺伝子配列に由来した動物に特異的な遺伝子配列を検出するためのプライマーセットであって、
ウシに特異的な下記の配列番号1と2のプライマー対、ブタに特異的な下記の配列番号3と4のプライマー対、及びトリに特異的な下記の配列番号5と6のプライマー対、ドブネズミに特異的な下記の配列番号19と20のプライマー対、クマネズミに特異的な下記の配列番号21と22のプライマー対、及びハツカネズミに特異的な下記の配列番号23と24のプライマー対から成る動物種の識別用プライマーセット。
配列番号1
CCATACATCGGCACAAATT
配列番号2
AATAGTAGGTGGACTATGGCAATT
配列番号3
CTCCATCCTAATCCTAATTTTAATG
配列番号4
CGATGATGCTAGTGATTGGTATC
配列番号5
CCAAAAATAAACTAATGGCACC
配列番号6
CGGTGAGGATTTGGGTC
配列番号19
AGCCTTCCTACCATTCCTG
配列番号20
TTTCATTTTAACATTTTGTCTTCAAC
配列番号21
GCTCTCTTCTAGGAGTATGCCTTATAG
配列番号22
GAGTAACTGATGAGAATGCTGTTAAA
配列番号23
TCAAAGATATCCTAGGTATCCTAATCA
配列番号24
GGTGTTTAGTGGATTAGCTGGTA
【請求項2】
ウマに特異的な下記の配列番号7と8のプライマー対、ヒツジに特異的な下記の配列番号9と10のプライマー対、及びヤギに特異的な下記の配列番号11と12のプライマー対とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の動物種の識別用プライマーセット。
配列番号7
GAGGAGCAACAGTCATCATG
配列番号8
CGTGAAGAAATAGTAAATGTACGACTATC
配列番号9
GGAGTAATCCTCCTATTTGCG
配列番号10
GCGATGATGAATGGGAAA
配列番号11
ATGACCAACATCCGAAAG
配列番号12
GTATTGCTAGGAATAGGCCTGTC
【請求項3】
ウサギに特異的な下記の配列番号13と14のプライマー対、イヌに特異的な下記の配列番号15と16のプライマー対、ネコに特異的な下記の配列番号17と18のプライマー対、及びネコに特異的な下記の配列番号17と25のプライマー対とをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の動物種の識別用プライマーセット。
配列番号13
CATTTATCATTGCAACTTTAGTCTTAA
配列番号14
AATAAGGAGGAGAAGAATGGC
配列番号15
GGCTGAATTATCCGCTATATG
配列番号16
AATTCCAATGTTTCATGTTTCTATGAATAC
配列番号17
ACCTCCAAACAACGAGGA
配列番号18
AGACTCTTCATTTGAGTAGACG
配列番号25
AGACTCTTCATTTGAGTAGGCG
【請求項4】
ミトコンドリアDNAのシトクロムb遺伝子配列に由来した動物に特異的な遺伝子配列を検出するためのプライマーキットであって、
ウシに特異的な下記の配列番号1と2のプライマー対、ブタに特異的な下記の配列番号3と4のプライマー対、トリに特異的な下記の配列番号5と6のプライマー対の内の少なくとも1つ以上の第一プライマー対と、
ウマに特異的な下記の配列番号7と8のプライマー対、ヒツジに特異的な下記の配列番号9と10のプライマー対、及びヤギに特異的な下記の配列番号11と12のプライマー対の内の少なくとも1つ以上の第二プライマー対と、
ウサギに特異的な下記の配列番号13と14のプライマー対、イヌに特異的な下記の配列番号15と16のプライマー対、ネコに特異的な下記の配列番号17と18のプライマー対、及びネコに特異的な下記の配列番号17と25のプライマー対の内の少なくとも1つ以上の第三プライマー対と、
ドブネズミに特異的な下記の配列番号19と20のプライマー対、クマネズミに特異的な下記の配列番号21と22のプライマー対、及びハツカネズミに特異的な下記の配列番号23と24のプライマー対の内の少なくとも1つ以上の第四プライマー対とからなるプライマー対群の中から選択された少なくとも2つ以上のプライマー対によって構成されており、
必須のプライマー対として、ドブネズミに特異的な下記の配列番号19と20のプライマー対、クマネズミに特異的な下記の配列番号21と22のプライマー対、及びハツカネズミに特異的な下記の配列番号23と24のプライマー対を有していることを特徴とする動物種の識別用プライマーキット。
配列番号1
CCATACATCGGCACAAATT
配列番号2
AATAGTAGGTGGACTATGGCAATT
配列番号3
CTCCATCCTAATCCTAATTTTAATG
配列番号4
CGATGATGCTAGTGATTGGTATC
配列番号5
CCAAAAATAAACTAATGGCACC
配列番号6
CGGTGAGGATTTGGGTC
配列番号7
GAGGAGCAACAGTCATCATG
配列番号8
CGTGAAGAAATAGTAAATGTACGACTATC
配列番号9
GGAGTAATCCTCCTATTTGCG
配列番号10
GCGATGATGAATGGGAAA
配列番号11
ATGACCAACATCCGAAAG
配列番号12
GTATTGCTAGGAATAGGCCTGTC
配列番号13
CATTTATCATTGCAACTTTAGTCTTAA
配列番号14
AATAAGGAGGAGAAGAATGGC
配列番号15
GGCTGAATTATCCGCTATATG
配列番号16
AATTCCAATGTTTCATGTTTCTATGAATAC
配列番号17
ACCTCCAAACAACGAGGA
配列番号18
AGACTCTTCATTTGAGTAGACG
配列番号19
AGCCTTCCTACCATTCCTG
配列番号20
TTTCATTTTAACATTTTGTCTTCAAC
配列番号21
GCTCTCTTCTAGGAGTATGCCTTATAG
配列番号22
GAGTAACTGATGAGAATGCTGTTAAA
配列番号23
TCAAAGATATCCTAGGTATCCTAATCA
配列番号24
GGTGTTTAGTGGATTAGCTGGTA
配列番号25
AGACTCTTCATTTGAGTAGGCG
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、食品中に混在する動物由来の物質を試料とし、迅速かつ簡便に、由来となる動物種を検出する為のプライマーセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品の安全性に対する要求の高まりから、食品混入異物における動物種の検出の需要が急増している。
近年、遺伝子工学の一つの手法であるPCR(Polymerase Chain Reaction)法が、食品や食品混入異物の由来となる動物種の検出の為に用いられている。PCR法は、プライマーという2つの短いDNAの断片を用いて、試料中に含まれる動物種由来のDNAを鋳型とし、その特定の一部分を何十万倍にもコピーして増やす方法である。そのため、微量な試料に含まれるDNAであっても高感度に検出が可能であり、また短時間で増幅させる技術であるために、簡便性、迅速性や正確性の点から食品中や飼料中の動物種の検出に応用できると期待されている(特許文献1)。
【0003】

【特許文献1】特開2003-230383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のPCR法を用いた検出方法は、食品混入異物における動物種の検出を行う場合、今まで報告されている既存のプライマー対がそれぞれのPCR反応の反応条件が異なっている為、同時にPCR反応を行うことが出来ず、サンプル数に依存してPCR反応を行う回数も増加するという問題点がある。
また、PCR反応の回数を減らすために、単純に異なる動物種に対するプライマーを混合してPCR反応を行おうとしても、相互に結合してしまう可能性が高い。
【0005】
そこで、本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討し、同じ条件でPCR反応が可能で、さらに他のプライマー対が同時に存在する状況においても、PCR反応を良好に行うことが出来るプライマー対から成る、動物種を識別可能なプライマーセットを開発するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、核遺伝子と比較してコピー数の多いミトコンドリアゲノムに注目した。その中でも、DNA配列情報が最も多いシトクロムb遺伝子を選択し、食品に混入した異物の同定の必要性が高い12種類の哺乳動物のアライメントを基にプライマーを設計し、本発明を完成させた。
【0007】
請求項1に記載された発明は、ミトコンドリアDNAのシトクロムb遺伝子配列に由来した動物に特異的な遺伝子配列を検出するためのプライマーセットであって、
ウシに特異的な下記の配列番号1と2のプライマー対、ブタに特異的な下記の配列番号3と4のプライマー対、及びトリに特異的な下記の配列番号5と6のプライマー対、ドブネズミに特異的な下記の配列番号19と20のプライマー対、クマネズミに特異的な下記の配列番号21と22のプライマー対、及びハツカネズミに特異的な下記の配列番号23と24のプライマー対から成る動物種の識別用プライマーセットである。
配列番号1
CCATACATCGGCACAAATT
配列番号2
AATAGTAGGTGGACTATGGCAATT
配列番号3
CTCCATCCTAATCCTAATTTTAATG
配列番号4
CGATGATGCTAGTGATTGGTATC
配列番号5
CCAAAAATAAACTAATGGCACC
配列番号6
CGGTGAGGATTTGGGTC
配列番号19
AGCCTTCCTACCATTCCTG
配列番号20
TTTCATTTTAACATTTTGTCTTCAAC
配列番号21
GCTCTCTTCTAGGAGTATGCCTTATAG
配列番号22
GAGTAACTGATGAGAATGCTGTTAAA
配列番号23
TCAAAGATATCCTAGGTATCCTAATCA
配列番号24
GGTGTTTAGTGGATTAGCTGGTA
請求項1の動物種において、ウシとは「Bos taurus」種を示し、ブタとは「Sus scrofa」種を示し、トリとは「Gallus gallus」種を示し、ドブネズミとは「Rattus norvegicus」種を示し、クマネズミとは「Rattus rattus」種を示し、ハツカネズミとは「Mus musuculus」種を示している。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、ウマに特異的な下記の配列番号7と8のプライマー対、ヒツジに特異的な下記の配列番号9と10のプライマー対、及びヤギに特異的な下記の配列番号11と12のプライマー対とをさらに含むことを特徴とするものである。
配列番号7
GAGGAGCAACAGTCATCATG
配列番号8
CGTGAAGAAATAGTAAATGTACGACTATC
配列番号9
GGAGTAATCCTCCTATTTGCG
配列番号10
GCGATGATGAATGGGAAA
配列番号11
ATGACCAACATCCGAAAG
配列番号12
GTATTGCTAGGAATAGGCCTGTC
請求項2の動物種において、ウマとは「Equus caballus」種を示し、ヒツジとは「Ovis aries」種を示し、ヤギとは「Capra hircus」種を示している。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、ウサギに特異的な下記の配列番号13と14のプライマー対、イヌに特異的な下記の配列番号15と16のプライマー対、ネコに特異的な下記の配列番号17と18のプライマー対、及びネコに特異的な下記の配列番号17と25のプライマー対とをさらに含むことを特徴とするものである。
配列番号13
CATTTATCATTGCAACTTTAGTCTTAA
配列番号14
AATAAGGAGGAGAAGAATGGC
配列番号15
GGCTGAATTATCCGCTATATG
配列番号16
AATTCCAATGTTTCATGTTTCTATGAATAC
配列番号17
ACCTCCAAACAACGAGGA
配列番号18
AGACTCTTCATTTGAGTAGACG
配列番号25
AGACTCTTCATTTGAGTAGGCG
請求項3の動物種において、ウサギとは「Oryctolagus cuniculus」種を示し、イヌとは「Canis familiaris」種を示し、ネコとは「Felis catus」種を示している。
【0011】
請求項4に記載された発明は、ミトコンドリアDNAのシトクロムb遺伝子配列に由来した動物に特異的な遺伝子配列を検出するためのプライマーキットであって、ウシに特異的な下記の配列番号1と2のプライマー対、ブタに特異的な下記の配列番号3と4のプライマー対、トリに特異的な下記の配列番号5と6のプライマー対の内の少なくとも1つ以上の第一プライマー対と、ウマに特異的な下記の配列番号7と8のプライマー対、ヒツジに特異的な下記の配列番号9と10のプライマー対、及びヤギに特異的な下記の配列番号11と12のプライマー対の内の少なくとも1つ以上の第二プライマー対と、ウサギに特異的な下記の配列番号13と14のプライマー対、イヌに特異的な下記の配列番号15と16のプライマー対、ネコに特異的な下記の配列番号17と18のプライマー対、及びネコに特異的な下記の配列番号17と25のプライマー対の内の少なくとも1つ以上の第三プライマー対と、ドブネズミに特異的な下記の配列番号19と20のプライマー対、クマネズミに特異的な下記の配列番号21と22のプライマー対、及びハツカネズミに特異的な下記の配列番号23と24のプライマー対の内の少なくとも1つ以上の第四プライマー対とからなるプライマー対群の中から選択された少なくとも2つ以上のプライマー対によって構成されており、必須のプライマー対として、ドブネズミに特異的な下記の配列番号19と20のプライマー対、クマネズミに特異的な下記の配列番号21と22のプライマー対、及びハツカネズミに特異的な下記の配列番号23と24のプライマー対を有していることを特徴とする動物種の識別用プライマーキットである。
配列番号1
CCATACATCGGCACAAATT
配列番号2
AATAGTAGGTGGACTATGGCAATT
配列番号3
CTCCATCCTAATCCTAATTTTAATG
配列番号4
CGATGATGCTAGTGATTGGTATC
配列番号5
CCAAAAATAAACTAATGGCACC
配列番号6
CGGTGAGGATTTGGGTC
配列番号7
GAGGAGCAACAGTCATCATG
配列番号8
CGTGAAGAAATAGTAAATGTACGACTATC
配列番号9
GGAGTAATCCTCCTATTTGCG
配列番号10
GCGATGATGAATGGGAAA
配列番号11
ATGACCAACATCCGAAAG
配列番号12
GTATTGCTAGGAATAGGCCTGTC
配列番号13
CATTTATCATTGCAACTTTAGTCTTAA
配列番号14
AATAAGGAGGAGAAGAATGGC
配列番号15
GGCTGAATTATCCGCTATATG
配列番号16
AATTCCAATGTTTCATGTTTCTATGAATAC
配列番号17
ACCTCCAAACAACGAGGA
配列番号18
AGACTCTTCATTTGAGTAGACG
配列番号19
AGCCTTCCTACCATTCCTG
配列番号20
TTTCATTTTAACATTTTGTCTTCAAC
配列番号21
GCTCTCTTCTAGGAGTATGCCTTATAG
配列番号22
GAGTAACTGATGAGAATGCTGTTAAA
配列番号23
TCAAAGATATCCTAGGTATCCTAATCA
配列番号24
GGTGTTTAGTGGATTAGCTGGTA
配列番号25
AGACTCTTCATTTGAGTAGGCG
【発明の効果】
【0012】
請求項1~3のプライマーセットは、それぞれ、1つのプライマーセットに、相互に結合を生じない6種類、9種類、12種類等の動物に対応するプライマーが含まれており、3本以下のチューブでPCR反応を同時に行うことが可能なため、検出に必要なPCR反応の回数を減少させることが可能となる。
また、1つのプライマーセットで合成されるPCR産物は、各動物に対して異なる大きさに合成される為、試料中のDNAがどの動物由来のものかを容易に推測できる。
さらに、請求項4のプライマーキットは、全てのプライマーが同じ反応条件でPCR反応を行うことが出来るため、一度に同じPCRのマシーンで反応させることが出来、さらに必要なPCR反応の回数を減らすことが出来る。
これらの特徴的効果により、食品や飲料等に混入した異物の正体を容易かつ迅速に判別出来るようになり、混入の原因や混入回避の手段の検討および開発を容易に行うことが可能になる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のプライマーセット、およびプライマーキットと、それを用いた使用方法とは、下記の様な条件で実施されるのが好ましいが、決してこれに限定されるものではない。
【0014】
(プライマー)
本発明のプライマーは、DNA自動合成機を用いて支持体上でヌクレオチドを伸長し、次いで、脱保護および支持体からの切断を行った後に、通常用いられる方法(例えば、カラムクロマトグラフィー)によって精製して、目的のプライマーを得ることが出来る。
【0015】
本発明中に示されたプライマー対は、それぞれの種の標的DNAの上流でセンス鎖(配列番号奇数)を、下流でアンチセンス鎖(配列番号偶数)を選んで構成されている。但し、ネコに対するプライマー対に関しては、ネコの種内の多型のため、配列番号17はセンス鎖として、配列番号18はアンチセンス鎖として、また配列番号25はアンチセンス鎖として使用している。
それぞれの配列は、左端が5’側に相当し、右端が3’側に相当する。記号5’と3’はDNAを構成する糖の炭素の位置を示す。また記号C、A、T、Gは公知の塩基の種類を示す。
またさらに、本発明中に示された増幅サイズは、それぞれの種特異的プライマー対によって増幅されるPCR産物の長さのことであり、その単位bpは塩基対(base pair)のことである。
【0016】
(プライマーの使用量)
本発明のプライマーセットを用いたPCR反応に用いるプライマーの使用量は、特に制限されないが、一般的に、最終濃度0.2~0.5μMで使用するのが好ましく、さらに0.25~0.4μMで使用するのがより好ましい。
【0017】
(DNA抽出方法)
本発明のプライマーセットを用いたPCR反応に用いる食品混入異物からのDNAの抽出は、公知の方法を採用することができる。例えば、このような方法としては、Marmur法、酵素法、塩化ベンジル法、CTAB法等が挙げられる。Prepman Ultra Reagent(アプライドバイオシステムズ社製)のような、短時間で簡便にDNAを粗抽出する市販キットを使用することも可能である。
また、加熱等の処理がされ、微量のDNAしか含まれない動物毛などの被験異物からの効率的なDNAの抽出には、プロテナーゼK等によるタンパク質分解酵素の使用が望ましく、例えばQIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)のような、ごく微量のDNAを抽出・精製する市販キットを使用することも可能である。
【0018】
(測定される試料)
本発明のプライマーセットを用いたPCR反応で測定される試料としては、生肉、肉加工食品、肉加工品含有食品、血液、体毛、体液、乳、肉骨粉、骨粉、ならびにこれらを含有する試料、肥料、および飼料添加物などが挙げられる。
【0019】
(PCR)
本発明のプライマーセットを用いたPCR反応において、PCR装置としてはブロックタイプ又はキャピラリータイプの装置を使用できる。PCR反応の条件は特に限定されず、検体毎に最適条件を定めればよいが、例えば本出願に係るプライマーセットを用いる場合、以下の条件が好ましい。
・二本鎖DNAの一本鎖への熱変性:90℃から98℃程度、好ましくは92℃から96℃程度で、1秒から1分程度、好ましくは3秒から30秒程度加熱する。
・アニーリング:50℃から75℃程度、好ましくは50℃から70℃程度、さらに好ましくは、55℃から65℃程度で、1秒から1分30秒程度、好ましくは5秒から30秒程度加熱する。
・DNA伸長反応:50℃から75℃程度、好ましくは70℃から74℃程度で、3秒から2分程度、好ましくは5秒から1分程度加熱する。
・反応液中のMgイオン濃度:通常1.0から3.5mM程度、好ましくは2.0から3.0mM程度である。
以上の反応を25から40サイクル程度行うことにより、目的のシトクロムbの特定遺伝子領域を検出可能な程度にまで増幅することができる。
【0020】
(DNA検出工程)
本発明のプライマーセットを用いたPCR反応終了後の反応物の検出については、この増幅産物をアガロースゲル電気泳動により分離し、エチジウムブロマイド又はサイバーグリーン等で核酸染色を行うことによって可視化することができる。
(仮に、PCR産物の量をサイバーグリーン等の蛍光検出を利用してモニタリング可能なPCR装置を用いる場合には、PCR反応後に融解曲線分析を用いて、PCR産物の融解温度によって目的増幅産物を検出することができる。)
【0021】
本発明のPCR反応終了後に、アガロース電気泳動による目的バンドが検出された場合、又は融解曲線分析においてPCR増幅産物であるDNAの融解温度のピークが検出された場合、そのプライマー対が標的とする動物種のシトクロムb遺伝子が被験食品中に存在していたことが分かり、つまりは何の動物種由来の原料が存在していたかが明らかになる。
【0022】
なお、本発明においては、プライマー配列が特定されて示されているが、本発明はその例に限定されることを意図していない。そのプライマー配列を含み、ハイブリダイズの条件を変えることによって、目的のDNAとハイブリダイズし得る(すなわち、特定の動物種を特異的に検出し得る)配列もまた、本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【実施例】
【0023】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない
【0024】
〈実施例1〉
実施例1は、ウシ、ブタ、及びトリの種類を判別するためのプライマーセット(以下プライマーセットAという)を作製し、その特異性を調べた。
【0025】
プライマーの作製
配列番号1~6の塩基配列を基に、フリーのヌクレオチドをFmoc固相法によって結合し、次いでOPCカラムにより精製することによって、6種類のプライマーを作製した。合成されたプライマーは、使用直前まで-80℃にて保管し、融解後直ちに使用するようにし、凍結融解は3回以上繰り返さないようにした。
【0026】
プライマーセットの作製
上記6種類のプライマーを、使用前に蒸留水にて溶解し、被験DNA液を含む反応液に対し、それぞれの最終濃度が0.25μMになるように混合したプライマーセットを得た。
【0027】
[1種類のDNAのみが存在する場合におけるプライマーセットAの使用方法]
ウシ、ブタ、トリ、ウマ、ヒツジの各DNAをそれぞれ市販の肉から、又、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの各DNAをそれぞれ切断した尾の断片から、動物組織からのトータルDNAを精製するキットであるDNeasy Blood&Tissue kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコの各DNAは、それぞれの体毛から、微量サンプルからのゲノムおよびミトコンドリアDNAを精製するキットであるQIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。コントロールとして用いたモルモットDNAとヒトのDNAは、それぞれ体毛及び頭毛から、QIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。
【0028】
上記精製した動物14種類のDNAの濃度を測定し、滅菌水を加え、被験DNA液(1ng/μl)に希釈する。それぞれの被験DNA液1μlに滅菌水及びPCR酵素バッファー混合液およびプライマーを、QIAGEN Fast Cycling PCR Kit(QIAGEN社製)のプロトコルに従って添加し、総液量を20μlに調整してPCR反応を行った。
プライマーの使用については、上記したように、14種類の動物の被験DNA液をそれぞれ含む反応液に対し、プライマーセットAを添加した。つまり、1種類の動物DNAに対し、1種類のプライマーセットが共存するPCR反応液に調整されている。
【0029】
PCR反応の条件としては、反応液が入った状態のチューブを95℃で5分保持した後、熱変性反応を96℃で5秒、アニーリング反応を60℃で5秒、DNA伸長反応を68℃で9秒行い、以上の反応を45サイクル繰り返し、最後に72℃で1分DNA伸長反応を行った。
【0030】
PCR反応終了後、得られたPCR産物を4.0%アガロースゲル(インビトロジェン社製)を用いMupid-2(アドバンス社製)により、100V 45分間電気泳動し、エチジウムブロマイド(1.0μg/ml)で5分間染色後、UVランプ下でバンドを撮影した(図1(a))。
【0031】
図1(a)からは、プライマーセットAに含まれるウシ、ブタ、及びトリに対するプライマーは、同じセットに含まれる他の動物種に対応するプライマーの存在下でも、標的とする動物種のみのシトクロムbを特異的に増幅させることが分かった。また、1つのプライマーセット内に含まれる3種類の動物由来のPCR産物は、アガロース電気泳動での分離によって全て異なった場所に位置し、どの動物種由来のDNAが増幅されたのかを容易に確認できることも明らかになった。
【0032】
[複数の動物由来のDNAが混在する場合におけるプライマーセットAの使用方法]
ウシ、ブタ、トリの各DNAは、それぞれの市販の肉を細分化した後、8:1:1又は1:8:1、もしくは1:1:8の重量比で混合し、該混合肉から市販の動物組織からのトータルDNAを精製するためのキットであるDNeasy Blood&Tissue kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。
【0033】
上記精製したウシ、ブタ及びトリの混合DNAの濃度を測定し、滅菌水を加え、被験DNA液(1ng/μl)に希釈する。それぞれの被験DNA液1μlに滅菌水及びPCR酵素バッファー混合液およびプライマーを、QIAGEN Fast Cycling PCR Kit(QIAGEN社製)のプロトコルに従って加え、総液量を20μlに調整してPCR反応を行った。
プライマーについては、上記したように、被験DNA液を含む反応液に対し、プライマーセットAに含まれる6種類のプライマーが、最終濃度がそれぞれ0.25μMになるように反応液に添加した。つまり、3種類の動物DNAに対し、1種類のプライマーセットが共存するPCR反応液に調整されている。
【0034】
PCR反応の条件としては、反応液が入った状態のチューブを95℃で5分保持した後、熱変性反応を96℃で5秒、アニーリング反応を60℃で5秒、DNA伸長反応を68℃で9秒行い、以上の反応を45サイクル繰り返し、最後に72℃で1分DNA伸長反応を行った。
【0035】
PCR反応終了後、得られたPCR産物を4.0%アガロースゲル(インビトロジェン社製)を用いMupid-2(アドバンス社製)により、100V 45分間電気泳動し、エチジウムブロマイド(1.0μg/ml)で5分間染色後、UVランプ下でバンドを撮影した(図2)。
【0036】
図2に示す様に、プライマーセットAを用い、3種類のDNAを混合した鋳型を基にPCR反応を行った場合においても、それぞれ3種の動物に対応するPCR反応を良好に実施可能であることが、電気泳動により出現した3本のバンドから確認できた。
また、標的とする動物種のDNA量が、添加された全体のDNAにおいて極めて少ない割合の場合でも、PCR反応は正常に行われ、添加された鋳型DNAの割合におおよそ相関するように、対応するバンドの濃さが変化していることが明らかになった。
つまり、プライマーセットAは、動物種由来の異物の中に複数の動物種由来のDNAが含まれていたとしても、検出可能なプライマーセットとして有用であることが確認された。
【0037】
〈実施例2〉
実施例2は、ウマ、ヒツジ、及びヤギの種類を判別するためのプライマーセット(以下プライマーセットBという)を作製し、その特異性を調べた。
【0038】
プライマーの作製
配列番号7~12の塩基配列を基に、フリーのヌクレオチドをFmoc固相法によって結合し、次いでOPCカラムにより精製することによって、6種類のプライマーを作製した。合成されたプライマーは、使用直前まで-80℃にて保管し、融解後直ちに使用するようにし、凍結融解は3回以上繰り返さないようにした。
【0039】
プライマーセットの作製
上記6種類のプライマーを、使用前に蒸留水にて溶解し、被験DNA液を含む反応液に対し、それぞれの最終濃度が0.25μMになるように混合したプライマーセットを得た。
【0040】
[1種類のDNAのみが存在する場合におけるプライマーセットBの使用方法]
ウシ、ブタ、トリ、ウマ、ヒツジの各DNAをそれぞれ市販の肉から、又、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの各DNAをそれぞれ切断した尾の断片から、動物組織からのトータルDNAを精製するキットであるDNeasy Blood&Tissue kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコの各DNAは、それぞれの体毛から、微量サンプルからのゲノムおよびミトコンドリアDNAを精製するキットであるQIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。コントロールとして用いたモルモットDNAとヒトのDNAは、それぞれ体毛及び頭毛から、QIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。
【0041】
上記精製した動物14種類のDNAの濃度を測定し、滅菌水を加え、被験DNA液(1ng/μl)に希釈する。それぞれの被験DNA液1μlに滅菌水及びPCR酵素バッファー混合液およびプライマーを、QIAGEN Fast Cycling PCR Kit(QIAGEN社製)のプロトコルに従って加え、総液量を20μlに調整してPCR反応を行った。
プライマーの使用については、上記したように、14種類の動物の被験DNA液をそれぞれ含む反応液に対し、プライマーセットBを添加した。つまり、1種類の動物DNAに対し、1種類のプライマーセットが共存するPCR反応液に調整されている。
【0042】
PCR反応の条件としては、反応液が入った状態のチューブを95℃で5分保持した後、熱変性反応を96℃で5秒、アニーリング反応を60℃で5秒、DNA伸長反応を68℃で9秒行い、以上の反応を45サイクル繰り返し、最後に72℃で1分DNA伸長反応を行った。
【0043】
PCR反応終了後、得られたPCR産物を4.0%アガロースゲル(インビトロジェン社製)を用いMupid-2(アドバンス社製)により、100V 45分間電気泳動し、エチジウムブロマイド(1.0μg/ml)で5分間染色後、UVランプ下でバンドを撮影した(図1(b))。
【0044】
図1(b)からは、プライマーセットBに含まれるウマ、ヒツジ、及びヤギに対するプライマーは、同じセットに含まれる他の動物種に対応するプライマーの存在下でも、標的とする動物種のみのシトクロムbを特異的に増幅させることが分かった。また、1つのプライマーセット内に含まれる3種類の動物由来のPCR産物は、アガロース電気泳動での分離によって全て異なった場所に位置し、どの動物種由来のDNAが増幅されたのかを容易に確認できることも明らかになった。
【0045】
〈実施例3〉
実施例3は、ウサギ、イヌ、及びネコの種類を判別するためのプライマーセット(以下プライマーセットCという)を作製し、その特異性を調べた。
【0046】
プライマーの作製
配列番号13~18、及び25の塩基配列を基に、フリーのヌクレオチドをFmoc固相法によって結合し、次いでOPCカラムにより精製することによって、7種類のプライマーを作製した。合成されたプライマーは、使用直前まで-80℃にて保管し、融解後直ちに使用するようにし、凍結融解は3回以上繰り返さないようにした。
【0047】
プライマーセットの作製
上記7種類のプライマーを、使用前に蒸留水にて溶解し、被験DNA液を含む反応液に対し、それぞれの最終濃度が0.25μM(配列番号18と25のみ、最終濃度が0.125μM)になるように混合したプライマーセットを得た。
【0048】
[1種類のDNAのみが存在する場合におけるプライマーセットCの使用方法]
ウシ、ブタ、トリ、ウマ、ヒツジの各DNAをそれぞれ市販の肉から、又、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの各DNAをそれぞれ切断した尾の断片から、動物組織からのトータルDNAを精製するキットであるDNeasy Blood&Tissue kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコの各DNAは、それぞれの体毛から、微量サンプルからのゲノムおよびミトコンドリアDNAを精製するキットであるQIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。コントロールとして用いたモルモットDNAとヒトのDNAは、それぞれ体毛及び頭毛から、QIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。
【0049】
上記精製した動物14種類のDNAの濃度を測定し、滅菌水を加え、被験DNA液(1ng/μl)に希釈する。それぞれの被験DNA液1μlに滅菌水及びPCR酵素バッファー混合液およびプライマーを、QIAGEN Fast Cycling PCR Kit(QIAGEN社製)のプロトコルに従って加え、総液量を20μlに調整してPCR反応を行った。
プライマーの使用については、上記したように、14種類の動物の被験DNA液をそれぞれ含む反応液に対し、プライマーセットCを添加した。つまり、1種類の動物DNAに対し、1種類のプライマーセットが共存するPCR反応液に調整されている。
【0050】
PCR反応の条件としては、反応液が入った状態のチューブを95℃で5分保持した後、熱変性反応を96℃で5秒、アニーリング反応を60℃で5秒、DNA伸長反応を68℃で9秒行い、以上の反応を45サイクル繰り返し、最後に72℃で1分DNA伸長反応を行った。
【0051】
PCR反応終了後、得られたPCR産物を4.0%アガロースゲル(インビトロジェン社製)を用いMupid-2(アドバンス社製)により、100V 45分間電気泳動し、エチジウムブロマイド(1.0μg/ml)で5分間染色後、UVランプ下でバンドを撮影した(図1(c))。
【0052】
図1(c)からは、プライマーセットCに含まれるウサギ、イヌ、及びネコに対するプライマーは、同じセットに含まれる他の動物種に対応するプライマーの存在下でも、標的とする動物種のみのシトクロムbを特異的に増幅させることが分かった。また、1つのプライマーセット内に含まれる3種類の動物由来のPCR産物は、アガロース電気泳動での分離によって全て異なった場所に位置し、どの動物種由来のDNAが増幅されたのかを容易に確認できることも明らかになった。
【0053】
〈実施例4〉
実施例4は、ドブネズミ、クマネズミ、及びハツカネズミの種類を判別するためのプライマーセット(以下プライマーセットDという)を作製し、その特異性を調べた。
【0054】
プライマーの作製
配列番号19~24の塩基配列を基に、フリーのヌクレオチドをFmoc固相法によって結合し、次いでOPCカラムにより精製することによって、ドブネズミ、クマネズミ、及びハツカネズミに種特異的に増幅可能なプライマーを作製した。合成されたプライマーは、使用直前まで-80℃にて保管し、融解後直ちに使用するようにし、凍結融解は3回以上繰り返さないようにした。
【0055】
プライマーセットの作製
上記6種類のプライマーを、使用前に蒸留水にて溶解し、被験DNA液を含む反応液に対し、それぞれの最終濃度が0.25μMになるように混合したプライマーセットを得た。
【0056】
[1種類のDNAのみが存在する場合におけるプライマーセットDの使用方法]
ウシ、ブタ、トリ、ウマ、ヒツジの各DNAをそれぞれ市販の肉から、又、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの各DNAをそれぞれ切断した尾の断片から、動物組織からのトータルDNAを精製するキットであるDNeasy Blood&Tissue kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコの各DNAは、それぞれの体毛から、微量サンプルからのゲノムおよびミトコンドリアDNAを精製するキットであるQIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。コントロールとして用いたモルモットDNAとヒトのDNAは、それぞれ体毛及び頭毛から、QIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。
【0057】
上記精製した動物14種類のDNAの濃度を測定し、滅菌水を加え、被験DNA液(1ng/μl)に希釈する。それぞれの被験DNA液1μlに滅菌水及びPCR酵素バッファー混合液およびプライマーを、QIAGEN Fast Cycling PCR Kit(QIAGEN社製)のプロトコルに従って加え、総液量を20μlに調整してPCR反応を行った。
プライマーについては、上記したように、14種類の動物の被験DNA液をそれぞれ含む反応液に対し、プライマーセットDを添加した。つまり、1種類の動物DNAに対し、1種類のプライマーセットが共存するPCR反応液に調整されている。
【0058】
PCR反応の条件としては、反応液が入った状態のチューブを95℃で5分保持した後、熱変性反応を96℃で5秒、アニーリング反応を60℃で5秒、DNA伸長反応を68℃で9秒行い、以上の反応を45サイクル繰り返し、最後に72℃で1分DNA伸長反応を行った。
【0059】
PCR反応終了後、得られたPCR産物を4.0%アガロースゲル(インビトロジェン社製)を用いMupid-2(アドバンス社製)により、100V 45分間電気泳動し、エチジウムブロマイド(1.0μg/ml)で5分間染色、続いて10分間脱染を行った後、UVランプ下でバンドを撮影した(図1(d))。
【0060】
図1(d)からは、プライマーセットDに含まれるドブネズミ、クマネズミ、及びハツカネズミに対するプライマーは、同じセットに含まれる他の動物種に対応するプライマーの存在下でも、標的とする動物種のみのシトクロムbを特異的に増幅させることが分かった。また、1つのプライマーセット内に含まれる3種類の動物由来のPCR産物は、アガロース電気泳動での分離によって全て異なった場所に位置し、どの動物種由来のDNAが増幅されたのかを容易に確認できることも明らかになった。
【0061】
〈実施例5〉
実施例5は、プライマーセットA、B、C及びDからなるプライマーキットEを用いた同一条件でのPCR反応における特異性を調べた。
【0062】
プライマーの作製
配列番号1~25の配列番号の塩基配列を基に、フリーのヌクレオチドをFmoc固相法によって結合し、次いでOPCカラムにより精製することによって、25種類のプライマーを作製した。合成されたプライマーは、使用直前まで-80℃にて保管し、融解後直ちに使用するようにし、凍結融解は3回以上繰り返さないようにした。
【0063】
プライマーセットの作製
上記プライマーセットA、B、C及びDは、それぞれに含まれる6種類(プライマーセットCのみ7種類)のプライマーを使用前に蒸留水にて溶解し、被験DNA液を含む反応液に対し、それぞれの最終濃度が0.25μM(配列番号18と25のみ、最終濃度が0.125μM)になるように混合した各プライマーセットを作製した。
【0064】
[プライマーセットA~DからなるプライマーキットEの使用方法]
ウシ、ブタ、トリ、ウマ、ヒツジの各DNAをそれぞれ市販の肉から、又、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの各DNAをそれぞれ切断した尾の断片から、動物組織からのトータルDNAを精製するキットであるDNeasy Blood&Tissue kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコの各DNAは、それぞれの体毛から、微量サンプルからのゲノムおよびミトコンドリアDNAを精製するキットであるQIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。コントロールとして用いたモルモットDNAとヒトのDNAは、それぞれ体毛及び頭毛から、QIAamp DNA Micro kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。
【0065】
上記精製した動物14種類のDNAの濃度を測定し、滅菌水を加え、被験DNA液(1ng/μl)に希釈する。それぞれの被験DNA液1μlに滅菌水及びPCR酵素バッファー混合液およびプライマーを、QIAGEN Fast Cycling PCR Kit(QIAGEN社製)のプロトコルに従って加え、総液量を20μlに調整してPCR反応を行った。
プライマーの使用については、14種類の動物の被験DNA液をそれぞれ含む反応液に対し、プライマーセットA、B、C及びDをそれぞれ添加した。つまり、1種類の動物DNAに対し、1種類のプライマーセットが存在するPCR反応液に調整されている。
【0066】
PCR反応の条件としては、反応液が入った状態のチューブを95℃で5分保持した後、熱変性反応を96℃で5秒、アニーリング反応を60℃で5秒、DNA伸長反応を68℃で9秒行い、以上の反応を45サイクル繰り返し、最後に72℃で1分DNA伸長反応を行った。
【0067】
PCR反応終了後、得られたPCR産物を4.0%アガロースゲル(インビトロジェン社製)を用いMupid-2(アドバンス社製)により、100V 45分間電気泳動し、エチジウムブロマイド(1.0μg/ml)で5分間染色後、UVランプ下でバンドを撮影した。
【0068】
その結果、プライマーキットE中の、プライマーセットA、B、C及びDに含まれるプライマー対は、同じPCR反応条件において、プライマーキットEが対象とする12種類の各動物種に対して、標的とする動物種のシトクロムbを特異的に増幅させることが分かった。よって一台のPCRマシーンで、複数の動物種の検出を一度に実施可能であることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】動物特異的配列を有するプライマーセットを用いて、各動物由来のDNAを鋳型とするPCR反応を行った後の結果を示す電気泳動写真である。
【図2】ウシ、ブタ及びトリのDNAが同一チューブに混在する場合における、プライマーセットAによるDNA検出の結果を示す電気泳動写真である。
図面
【図1】
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【図2】
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