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明細書 :手関節の可動域訓練装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-146891 (P2015-146891A)
公開日 平成27年8月20日(2015.8.20)
発明の名称または考案の名称 手関節の可動域訓練装置
国際特許分類 A61F   5/042       (2006.01)
FI A61F 5/04 311Z
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2014-021131 (P2014-021131)
出願日 平成26年2月6日(2014.2.6)
発明者または考案者 【氏名】立矢 宏
【氏名】真田 茂
【氏名】西村 誠次
【氏名】多田 薫
【氏名】川嶋 広貴
【氏名】堀江 翔
【氏名】田中 啓道
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査請求 未請求
テーマコード 4C098
Fターム 4C098AA03
4C098BB10
4C098BC08
4C098BC17
4C098BC20
4C098BC34
4C098BC41
4C098BC42
4C098BC44
4C098BC45
4C098BD04
4C098BD15
要約 【課題】安定した牽引力を加えながら手の掌背屈運動が可能な手関節の可動域訓練装置の提供を目的とする。
【解決手段】前腕を固定するための前腕固定部と、手を掌背屈させるための回動部とを備え、前記回動部は手先を固定するための手先固定部と、当該手先固定部を指先方向に牽引するための牽引部とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
前腕を固定するための前腕固定部と、手を掌背屈させるための回動部とを備え、
前記回動部は手先を固定するための手先固定部と、当該手先固定部を指先方向に牽引するための牽引部とを有することを特徴とする手関節の可動域訓練装置。
【請求項2】
前記牽引部は牽引力の大きさが調整可能になっていることを特徴とする請求項1記載の手関節の可動域訓練装置。
【請求項3】
前記回動部は手のR-L関節に対応させるための主回動軸と、牽引部及び手先固定部を回動部に対して回動自在にした補助回動軸を有することを特徴とする請求項1又は2記載の手関節の可動域訓練装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、手関節の可動域を拡大させるための訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、転んで手をついたときに手首の付け根のところの骨折である橈骨遠位端骨折の場合に、ギプスや手術での治療後に手関節の可動域が減少することがある。
また、疾患により手関節の可動域が減少する場合もある。
このような場合に従来は、作業療法士が片手で前腕を押さえ、他方の手で手先を引っ張るようにして掌屈と背屈を繰り返すリハビリテーションを行っていた。
しかし、このような作業療法士による掌背屈運動は熟練が必要であり、掌背屈運動時の手を引っ張る力を一定に維持するのが難しいものであった。
【0003】
特許文献1には、骨折患部を牽引する骨折治療装置を開示する。
特許文献2には、整形外科手術の際に手首等の患者の肢の一部を支持及び牽引するための装置を開示する。
特許文献3は、手指屈伸具を開示する。
しかし、これらのいずれも手関節の可動域の拡大を目的としたものではなく、またそのようなリハビリテーションに使用できるものでもない。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2012-40228号公報
【特許文献2】特表平8-504609号公報
【特許文献3】実公昭48-18071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安定した牽引力を加えながら手の掌背屈運動が可能な手関節の可動域訓練装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る手関節の可動域訓練装置は、前腕を固定するための前腕固定部と、手を掌背屈させるための回動部とを備え、前記回動部は手先を固定するための手先固定部と、当該手先固定部を指先方向に牽引するための牽引部とを有することを特徴とする。
ここで、牽引部は牽引力の大きさが調整可能になっているのが好ましい。
【0007】
右手を例に手関節の構造を図7に示す。
本発明において、手関節の可動域を拡大するための訓練は、主に図7にて橈骨手根関節(R-L関節)と手根中央関節(C-L関節)の可動域を拡大するための訓練をいう。
また、手を掌背屈させるとは、図1(b)に示すように手首を掌側に曲げる掌屈と、図1(c)に示すように手首を甲側に曲げる背屈を繰り返すことをいう。
【0008】
本発明に係る可動域訓練装置は、回動部は手のR-L関節に対応させるための主回動軸と、牽引部及び手先固定部を回動部に対して回動自在にした補助回動軸を有するようにしてもよい。
手先固定部は、図7に示す中手骨を主に固定することになり、掌屈及び背屈の回動中心は、図5,6に示すようにR-L関節の位置近傍となる。
この場合に図5(a)に示すように、R-L関節とC-L関節は中手骨に向けて直線上になく、少しずれがあり、中手骨は本来C-L関節の角度に応じた方向を向いている。
そこで、手を掌背屈させるための回動部はR-L関節の回転に対応させた主回動軸の他に、中手骨がC-L関節の角度に応じて牽引方向に向くように手先固定部が設置されている牽引部に補助回動軸を設けてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る手関節の可動域訓練装置は、手先に牽引を加えながら手を掌屈及び背屈させるので、関節面への負荷を軽減させるとともに関節周囲の組織を伸張させるので、可動域の拡大訓練に効果的である。
また、詳細は後述するが、手関節に牽引を加えながら可動域訓練を行うと手根中央関節(C-L関節)に対し、橈骨手根関節(R-L関節)の運動角度が大きくなる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る手関節の可動域訓練装置を用いた掌背屈運動の動きを(a)~(c)に示す。
【図2】訓練装置の斜視図を示し、(a)は手に装着する前、(b)は装置後を示す。
【図3】(a)は訓練装置の平面図、(b)は側面図を示す。
【図4】回動部の電動化例を示し、(a)は駆動円板型の回動部の例、(b)は駆動ギヤによる回動部の例を示す。
【図5】(a)はR-L関節とC-L関節の位置関係を示し、(b)は訓練装置に装着した状態を示す。
【図6】(a)は手先固定部に回動軸(補助回動軸)が無い場合、(b)は補助回動軸Oがある場合を示す。
【図7】手関節の構造を模式的に示す。
【図8】R-L関節角度とC-L関節角度の測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る手関節の可動域訓練装置10(以下、訓練装置)の構造例を図面に基づいて説明するが、前腕の固定部と牽引を加えながら手を掌背屈させる回動部を有するものであればよく、本実施例に限定されない。

【0012】
図1~3に示すように訓練装置10は、前腕を固定するための前腕固定部11に対して、手に装着した際に手首の回転中心(R-L関節近傍)に対応して回動軸15を有する回動部12を有する。
回動部12は、手先(中手骨)2を固定把持するための手先固定部14とこの手先固定部を指先方向に牽引するための牽引部13を有する。
これにより、図1(a)のような手を真っ直ぐに伸長させた状態から(b)に示すように掌屈状態、及び(c)に示す背屈状態を牽引部13の牽引力にて手先を引っ張りながら繰り返すことができる。

【0013】
次に各部の説明をする。
前腕固定部11は、図2(a)に示すように前腕を載置する載置部11bと、これに対してL字状に立設した支持部11aを有し、支持部11aに前腕1を固定すべく一対の固定板11c,11dを配置し、ベルト11eにて締め付けるように固定する。
本実施例では、前腕が前方にずれないように押え部11gを設けた例になっている。
支持部11aの前端部上部及び下部に平面視で略L字形状のアーム11fをそれぞれ取り付け、このアーム11fの先端部に設けた回動軸15を介して回動自在に回動部12を連結してある。
回動部12は、上下のスライドレール14dに沿ってスライド自在の手先固定部14を取り付けてある。
手先固定部14は、中手骨を中心に手先を固定把持できれば、その構造に制限はない。
本実施例では、一対の固定片14a,14bをボルト14cにて締め付ける例となっている。
なお、ベルト等で固定する方法もある。
牽引部13は、牽引力の調整が可能であればその構造に制限がない。
本実施例は、長さ調整シャフト16bに沿ってスプリング13aを配置し、牽引力調整具16にてスプリング13aの圧縮反発力を調整し、その調整値は計測部材16aがスライド開口部16cに沿って移動することで分かる。

【0014】
次に回動部12を電動化した例を図4に示す。
(a)は前腕固定部11Aの下部の前方に駆動モーター112Aを取り付けてある。
この駆動モーター112Aにて図5(a)に示すように、円板状の回動部12Aを掌屈方向及び背屈方向に回転制御した例になっている。
また、円板の上には駆動部113Aにてスライド制御された電動スライダー13Aを設け、この電動スライダー13Aに手先固定部14Aを設けた例になっている。
図4(b)は、図1~3に示した訓練装置の回動軸15を採用しつつ、電動化したものであり、支持部11aに前腕を固定するための前腕固定具11B,11Bを形成し、L字形のアーム11fの先に回動部12Bを連結し、この下側の回動軸cにカサ歯車a,bを介して駆動モーター112Bにギヤ連結した例になっている。
回動部12Bには、電動スライダー13Bにて牽引力及び位置等が制御された手先固定部14Bを有する。

【0015】
図5,6は、図4(a)に示した訓練装置をさらに改良したものである。
図5(a)に示すように手首のR-L関節とC-L関節とは、中手骨方向に直線上に位置しているのではなく、R-L関節の方がC-L関節よりも少し内側に位置している。
従って、図6(a)に示すように回動部12AがR-L関節近傍のOを中心に回転し、手首を背屈させると手先固定部14Aが牽引力fにより矢印の方向に引っ張られる。
この場合にC-L関節には、fの方向に対して少しねじれが生じる恐れがある。
そこで、図6(b)に示すように手先固定部が設置されている牽引部に補助回動軸Oを形成した。
このようにすると、C-L関節の角度に応じてC-L関節が指先方向に真っ直ぐに引っ張られるように牽引部及び手先固定部が回動するので、手首に引っ張り力以外の不要な拘束力が生じるのを抑えることができる。

【0016】
次に図1~3に示した訓練装置と同じ動きをする装置を用いて、牽引力の有無による手首の屈曲角度に対するR-L関節,C-L関節の運動割合(寄与率)をX線撮影装置で調査した。
牽引力は25Nである。
その結果を図8のグラフに示す。
図8のグラフから、掌屈,背屈のいずれの場合も牽引によって、R-L関節の寄与率が増加していることが明らかになった。
よって、本発明に係る訓練装置は、手首の可動域の拡大に有効であり、中でも特にR-L関節のリハビリテーションに有効である。
【符号の説明】
【0017】
1 前腕
2 手
10 手関節の可動域訓練装置
11 前腕固定部
12 回動部
13 牽引部
14 手先固定部
15 回動軸
16 牽引力調整具
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7