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明細書 :振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-161544 (P2015-161544A)
公開日 平成27年9月7日(2015.9.7)
発明の名称または考案の名称 振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法及び装置
国際特許分類 G01B  11/24        (2006.01)
G06T   1/00        (2006.01)
FI G01B 11/24 D
G06T 1/00 305B
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 26
出願番号 特願2014-035873 (P2014-035873)
出願日 平成26年2月26日(2014.2.26)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 1.平成25年8月28日発行,2013年度精密工学会秋季大会学術講演会講演論文集,第387~388頁(表題:振動環境下で取り込まれた多数枚のスペックル干渉像からの位相抽出),発行者:公益社団法人精密工学会 2.平成25年8月28日発行,2013年度精密工学会秋季大会 プログラム&アブストラクト集,第69頁(表題:振動環境下で取り込まれた多数枚のスペックル干渉像からの位相抽出),発行者:公益社団法人精密工学会 3.平成25年9月12日に開催された、2013年度精密工学会秋季大会学術講演会にて発表 4.平成26年2月14日発行,平成25年度卒業論文概要ABSTRACT,No.220(表題:3CCDカラーカメラを用いる振動下での干渉応用3次元形状計測),発行者:金沢大学理工学域機械工学類 機械システムコース・知能機械コース 5.平成26年2月18日に開催された、平成25年度 金沢大学理工学域機械工学類機械システムコース・知能機械コース 卒業論文発表会にて発表
発明者または考案者 【氏名】安達 正明
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100098545、【弁理士】、【氏名又は名称】阿部 伸一
【識別番号】100087745、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 善廣
【識別番号】100106611、【弁理士】、【氏名又は名称】辻田 幸史
審査請求 未請求
テーマコード 2F065
5B057
Fターム 2F065AA53
2F065BB05
2F065CC28
2F065DD14
2F065FF04
2F065FF56
2F065FF61
2F065GG04
2F065GG25
2F065HH13
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL04
2F065LL12
2F065QQ18
2F065QQ25
2F065QQ27
2F065QQ29
2F065QQ31
2F065QQ42
2F065SS13
5B057AA03
5B057BA02
5B057BA15
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC09
要約 【課題】振動環境下での波長走査を用いた形状計測を行うこと。
【解決手段】本発明は、複数枚の画像について、画素別に、最大光強度と最小光強度との差が最も大きな画素を第1測定画素とし、第1測定画素が、最大光強度と最小光強度との和の1/2である画像を特定し、光強度が最も大きな画素を第2測定画素とし、第1測定画素と第2測定画素を1組の測定点として、抽出した複数の画像の位相変化量を算出し、位相変化に対する光強度変化の最小二乗近似を用いて1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相を算出する。特定波長として、第1特定波長と第2特定波長を用い、第1特定波長について算出したスペックル干渉像の位相と、第2特定波長について算出したスペックル干渉像の位相との位相変化量を算出し、第1特定波長と第2特定波長との波長変化量と位相変化量とから測定対象物20の粗面の高さを算出する。
【選択図】 図2
特許請求の範囲 【請求項1】
不規則な垂直振動環境下で、垂直方向から複数波長による光を照射して、測定対象物の不連続な粗面の高さを計測する振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法であって、
特定波長で複数枚のスペックル干渉像を撮影する撮影ステップと、
前記スペックル干渉像を撮影した複数枚の画像を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで記憶された複数枚の前記画像について、前記画像を構成する画素の中から、測定点抽出に用いる複数の前記画素を抽出する画素抽出ステップと、
前記画素抽出ステップで抽出した前記画素別に、最大光強度と最小光強度との差が大きな前記画素の中からいずれかを第1測定画素として抽出する第1測定画素抽出ステップと、
前記第1測定画素が、前記最大光強度と前記最小光強度との和の1/2である前記画像を特定する画像特定ステップと、
前記画像特定ステップで特定した前記画像について、前記最大光強度と前記最小光強度との前記差が大きな前記画素の中で前記光強度が最大光強度となっている前記画素を第2測定画素として抽出する第2測定画素抽出ステップと、
前記第1測定画素と前記第2測定画素を1組の測定点として、2回規格化法を用いて、抽出した複数の前記画像の位相変化量を算出する位相変化量算出ステップと、
前記位相変化量算出ステップで算出した前記位相変化量から、位相変化に対する光強度変化の最小二乗近似を用いて1枚の前記画像における全ての前記画素についての前記スペックル干渉像の位相を算出するスペックル干渉像位相算出ステップと
を備え、
前記特定波長として、第1特定波長と第2特定波長を用い、
前記第1特定波長について算出した前記スペックル干渉像の前記位相と、前記第2特定波長について算出した前記スペックル干渉像の前記位相との位相変化量を算出する波長間位相差算出ステップと、
前記第1特定波長と前記第2特定波長との波長変化量と、前記波長間位相差算出ステップで算出した前記位相変化量とから前記測定対象物の前記粗面の前記高さを算出する形状計算ステップと
を有することを特徴とする振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法。
【請求項2】
前記画素抽出ステップから前記位相変化量算出ステップを複数回繰り返して複数組の前記測定点による複数の前記位相変化量を算出し、
前記スペックル干渉像位相算出ステップでは、複数組の前記測定点による複数の前記位相変化量を平均化した平均位相変化量を用いることを特徴とする請求項1に記載の振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法。
【請求項3】
前記スペックル干渉像位相算出ステップで算出した、1枚の前記画像における全ての前記画素についての前記スペックル干渉像の位相について、前記高さの基準点となる基準画素を設定し、前記基準画素での波長変更に伴う位相変化量をゼロとする補正処理を行う補正処理ステップを有し、
前記波長間位相差算出ステップでは、前記補正処理ステップで補正処理を行った前記スペックル干渉像の前記位相を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法。
【請求項4】
不規則な垂直振動環境下で、垂直方向から複数波長による光を照射して、測定対象物の不連続な粗面の高さを計測する振動環境下での波長走査を用いた形状計測装置であって、
特定波長で複数枚のスペックル干渉像を撮影するスペックル干渉画像撮影手段と、
前記スペックル干渉像を撮影した複数枚の画像を記憶する記憶手段と、
複数枚の前記画像からπ/2の位相差を有する第1測定画素と第2測定画素とを抽出することで、1枚の前記画像における全ての前記画素についての前記スペックル干渉像の位相を算出して前記測定対象物の前記粗面の前記高さを計測する処理手段と
を備え、
前記スペックル干渉画像撮影手段では、前記特定波長として、第1特定波長と第2特定波長を用い、
前記処理手段は、
前記記憶手段で記憶された複数枚の前記画像について、前記画像を構成する画素の中から、測定点抽出に用いる複数の前記画素を抽出する画素抽出部と、
前記画素抽出部で抽出した前記画素別に、最大光強度と最小光強度との差が大きな前記画素の中からいずれかを第1測定画素として抽出する第1測定画素抽出部と、
前記第1測定画素が、前記最大光強度と前記最小光強度との和の1/2である前記画像を特定する画像特定部と、
前記画像特定部で特定した前記画像について、前記最大光強度と前記最小光強度との前記差が大きな前記画素の中で前記光強度が最大光強度となっている前記画素を第2測定画素として抽出する第2測定画素抽出部と、
前記第1測定画素と前記第2測定画素を1組の測定点として、2回規格化法を用いて、抽出した複数の前記画像の位相変化量を算出する位相変化量算出部と、
前記位相変化量算出部で算出した前記位相変化量から、位相変化に対する光強度変化の最小二乗近似を用いて1枚の前記画像における全ての前記画素についての前記スペックル干渉像の位相を算出するスペックル干渉像位相算出部と、
前記スペックル干渉像位相算出部で算出した、1枚の前記画像における全ての前記画素についての前記スペックル干渉像の位相について、前記高さの基準点となる基準画素を設定し、前記基準画素での波長変更に伴う位相変化量をゼロとする補正処理を行う補正処理部と、
前記第1特定波長について前記補正処理部で補正処理を行った前記スペックル干渉像の前記位相と、前記第2特定波長について前記補正処理部で補正処理を行った前記スペックル干渉像の前記位相との位相変化量を算出する波長間位相差算出部と、
前記第1特定波長と前記第2特定波長との波長変化量と、前記波長間位相差算出部で算出した前記位相変化量とから前記測定対象物の前記粗面の前記高さを算出する形状計算部と
を有することを特徴とする振動環境下での波長走査を用いた形状計測装置。
【請求項5】
前記画素抽出部における複数の前記画素の抽出から、前記位相変化量算出部における複数の前記画像の位相変化量の算出までを、複数回繰り返して複数組の前記測定点による複数の前記位相変化量を算出し、
前記スペックル干渉像位相算出部では、複数組の前記測定点による複数の前記位相変化量を平均化した平均位相変化量を用いることを特徴とする請求項4に記載の振動環境下での波長走査を用いた形状計測装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子基板上に搭載された部品を測定対象物とした振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子基板上に搭載された部品の水平位置をカメラで自動検査する技術は広く実用化されている。近年は、水平位置だけでなく部品の高さ位置の自動検査技術も求められている。高さの計測には光切断法やモアレ法など実用性に優れる方法がある。しかし、基盤の法線方向に対して斜めから光を照射、又は撮影する方法は、影を伴いやすいため、垂直方向から光を照射し計測する方法が理想的である。
波長変更を用いた反射面までの距離計測では、線形的波長走査時の干渉光強度変化に関し、画素毎にその周波数スペクトルを抽出する方法や、その正のスペクトル成分の逆フーリエ変換後の複素偏角をアンラップする方法などが知られている。しかし、垂直振動環境下で距離計測を試みる場合は、計測中の振動が光強度変動に大きく影響してしまうため、それらの方法は使えない。
ところで、垂直方向から光を照射し撮影する高さを計測する手法として、特許文献1で提案された方法がある。
特許文献1は、測定対象物の所定の移動距離である位相シフト量よりも細かくかつ高速に高さ測定することにより、振動がある環境において位相シフト量を補正しながら形状測定している。
特許文献1での位相シフト法による形状測定方法では、位相シフト量が一定である必要がある。そのため、位相シフト法による干渉画像を取得する光学系を共用したレーザー干渉光学系を別に設け、このレーザー干渉光学系により測定対象物の高さ位置を測定しながら、所定の高さ位置毎に位相シフト法による光学系の干渉画像を取り込み、その干渉像から測定対象の高さ位置を正確に求めている。
そして、特許文献1でのレーザー干渉式測定方法は、干渉像の異なる2つの位置A、Bの光強度を利用し、予め振幅の最大値と最小値を求めておくことにより、短時間における2つの位置の光強度の変化から光路差変化量を計算する。光路差変化量を累積した光路差は、係数を掛けて高さ位置情報に変換できる。高さ位置情報を元に所定の位相シフト量に達した高さ位置で、位相シフト法による干渉像を取得することにより、正確な位相シフト量で形状測定が可能となる。ここで、光路差変化量の計算には、2回規格化法を用いている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2010-14444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、生産現場で用いる場合には、振動環境下でも使えなければならない。
特許文献1での位相シフト法の形状測定方法では、位相シフト量を補正することで振動環境下でも使えるが、測定対象物が移動している間、その高さを測定する必要があるため、測定対象物が移動終了後に計算を始める形状測定方法には使えない。
【0005】
そこで本発明は、振動環境下で取り込まれた多数枚のスペックル干渉像からその最初の1枚の画像についての位相を抽出し、異なる特定波長でも位相を抽出し、それら抽出位相の差の空間分布から形状を計算することで、環境下で必然的に生じる振動を利用した形状計測方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法は、不規則な垂直振動環境下で、垂直方向から複数波長による光を照射して、測定対象物の不連続な粗面の高さを計測する振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法であって、特定波長で複数枚のスペックル干渉像を撮影する撮影ステップと、前記スペックル干渉像を撮影した複数枚の画像を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップで記憶された複数枚の前記画像について、前記画像を構成する画素の中から、測定点抽出に用いる複数の前記画素を抽出する画素抽出ステップと、前記画素抽出ステップで抽出した前記画素別に、最大光強度と最小光強度との差が大きな前記画素の中からいずれかを第1測定画素として抽出する第1測定画素抽出ステップと、前記第1測定画素が、前記最大光強度と前記最小光強度との和の1/2である前記画像を特定する画像特定ステップと、前記画像特定ステップで特定した前記画像について、前記最大光強度と前記最小光強度との前記差が大きな前記画素の中で前記光強度が最大光強度となっている前記画素を第2測定画素として抽出する第2測定画素抽出ステップと、前記第1測定画素と前記第2測定画素を1組の測定点として、2回規格化法を用いて、抽出した複数の前記画像の位相変化量を算出する位相変化量算出ステップと、前記位相変化量算出ステップで算出した前記位相変化量から、位相変化に対する光強度変化の最小二乗近似を用いて1枚の前記画像における全ての前記画素についての前記スペックル干渉像の位相を算出するスペックル干渉像位相算出ステップとを備え、前記特定波長として、第1特定波長と第2特定波長を用い、前記第1特定波長について算出した前記スペックル干渉像の前記位相と、前記第2特定波長について算出した前記スペックル干渉像の前記位相との位相変化量を算出する波長間位相差算出ステップと、前記第1特定波長と前記第2特定波長との波長変化量と、前記波長間位相差算出ステップで算出した前記位相変化量とから前記測定対象物の前記粗面の前記高さを算出する形状計算ステップとを有することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法において、前記画素抽出ステップから前記位相変化量算出ステップを複数回繰り返して複数組の前記測定点による複数の前記位相変化量を算出し、前記スペックル干渉像位相算出ステップでは、複数組の前記測定点による複数の前記位相変化量を平均化した平均位相変化量を用いることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法において、前記スペックル干渉像位相算出ステップで算出した、1枚の前記画像における全ての前記画素についての前記スペックル干渉像の位相について、高さの基準点となる基準画素を設定し、前記基準画素での波長変更に伴う位相変化量をゼロとする補正処理を行う補正処理ステップを有し、前記波長間位相差算出ステップでは、前記補正処理ステップで補正処理を行った前記スペックル干渉像の前記位相を用いることを特徴とする。
請求項4記載の本発明の振動環境下での波長走査を用いた形状計測装置は、不規則な垂直振動環境下で、垂直方向から複数波長による光を照射して、測定対象物の不連続な粗面の高さを計測する振動環境下での波長走査を用いた形状計測装置であって、特定波長で複数枚のスペックル干渉像を撮影するスペックル干渉画像撮影手段と、前記スペックル干渉像を撮影した複数枚の画像を記憶する記憶手段と、複数枚の前記画像からπ/2の位相差を有する第1測定画素と第2測定画素とを抽出することで、1枚の前記画像における全ての前記画素についての前記スペックル干渉像の位相を算出して前記測定対象物の前記粗面の前記高さを計測する処理手段とを備え、前記スペックル干渉画像撮影手段では、前記特定波長として、第1特定波長と第2特定波長を用い、前記処理手段は、前記記憶手段で記憶された複数枚の前記画像について、前記画像を構成する画素の中から、測定点抽出に用いる複数の前記画素を抽出する画素抽出部と、前記画素抽出部で抽出した前記画素別に、最大光強度と最小光強度との差が大きな前記画素の中からいずれかを第1測定画素として抽出する第1測定画素抽出部と、前記第1測定画素が、前記最大光強度と前記最小光強度との和の1/2である前記画像を特定する画像特定部と、前記画像特定部で特定した前記画像について、前記最大光強度と前記最小光強度との前記差が大きな前記画素の中で前記光強度が最大光強度となっている前記画素を第2測定画素として抽出する第2測定画素抽出部と、前記第1測定画素と前記第2測定画素を1組の測定点として、2回規格化法を用いて、抽出した複数の前記画像の位相変化量を算出する位相変化量算出部と、前記位相変化量算出部で算出した前記位相変化量から、位相変化に対する光強度変化の最小二乗近似を用いて1枚の前記画像における全ての前記画素についての前記スペックル干渉像の位相を算出するスペックル干渉像位相算出部と、前記スペックル干渉像位相算出部で算出した、1枚の前記画像における全ての前記画素についての前記スペックル干渉像の位相について、前記高さの基準点となる基準画素を設定し、前記基準画素での波長変更に伴う位相変化量をゼロとする補正処理を行う補正処理部と、前記第1特定波長について前記補正処理部で補正処理を行った前記スペックル干渉像の前記位相と、前記第2特定波長について前記補正処理部で補正処理を行った前記スペックル干渉像の前記位相との位相変化量を算出する波長間位相差算出部と、前記第1特定波長と前記第2特定波長との波長変化量と、前記波長間位相差算出部で算出した前記位相変化量とから前記測定対象物の前記粗面の前記高さを算出する形状計算部とを有することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の振動環境下での波長走査を用いた形状計測装置において、前記画素抽出部における複数の前記画素の抽出から、前記位相変化量算出部における複数の前記画像の位相変化量の算出までを、複数回繰り返して複数組の前記測定点による複数の前記位相変化量を算出し、前記スペックル干渉像位相算出部では、複数組の前記測定点による複数の前記位相変化量を平均化した平均位相変化量を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、振動環境下で取り込まれた多数枚のスペックル干渉像からその最初の1枚の画像についての位相を抽出し、異なる特定波長でも位相を抽出し、それら抽出位相の差の空間分布から形状を計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例による形状計測装置に適したスペックル干渉撮影装置の構成図
【図2】同形状計測装置を機能実現手段で現したブロック図
【図3】本発明の形状計測方法を示すフローチャート
【図4】同形状計測方法を示すフローチャート
【図5】電子部品の一部を写した写真
【図6】6枚の画像を抽出した場合の画素抽出ステップを説明するイメージ図
【図7】抽出した複数の画像の位相変化量を示す図
【図8】(a)一つの特定波長において、ステップ21の補正処理ステップで補正処理を行った1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相例を示す写真、(b)、(c)、(d)2つの波長における位相差マップ(測定対象はy方向に一様に距離が変化する場合)を示す写真
【図9】光路差と位相の関係を示す図
【図10】図5で示す電子基板について、反射塗料を吹き付けない状態での形状測定結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
不規則な垂直振動環境下で、垂直方向から複数波長による光を照射して、測定対象物の不連続な粗面の高さを計測する振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法であって、
本発明の第1の実施の形態による振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法は、特定波長で複数枚のスペックル干渉像を撮影する撮影ステップと、スペックル干渉像を撮影した複数枚の画像を記憶する記憶ステップと、記憶ステップで記憶された複数枚の画像について、画像を構成する画素の中から、測定点抽出に用いる複数の画素を抽出する画素抽出ステップと、画素抽出ステップで抽出した画素別に、最大光強度と最小光強度との差が大きな画素の中からいずれかを第1測定画素として抽出する第1測定画素抽出ステップと、第1測定画素が、最大光強度と最小光強度との和の1/2である画像を特定する画像特定ステップと、画像特定ステップで特定した画像について、最大光強度と最小光強度との差が大きな画素の中で光強度が最大光強度となっている前記画素を第2測定画素として抽出する第2測定画素抽出ステップと、第1測定画素と第2測定画素を1組の測定点として、2回規格化法を用いて、抽出した複数の画像の位相変化量を算出する位相変化量算出ステップと、位相変化量算出ステップで算出した位相変化量から、位相変化に対する光強度変化の最小二乗近似を用いて1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相を算出するスペックル干渉像位相算出ステップとを備え、特定波長として、第1特定波長と第2特定波長を用い、第1特定波長について算出したスペックル干渉像の位相と、第2特定波長について算出したスペックル干渉像の位相との位相変化量を算出する波長間位相差算出ステップと、第1特定波長と第2特定波長との波長変化量と、波長間位相差算出ステップで算出した位相変化量とから測定対象物の粗面の高さを算出する形状計算ステップとを有するものである。本実施の形態によれば、振動環境下で取り込まれた多数枚のスペックル干渉像からその最初の1枚の画像についての位相を抽出し、異なる特定波長でも位相を抽出し、それら抽出位相の差の空間分布から形状を計算することができる。

【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態における振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法において、画素抽出ステップから位相変化量算出ステップを複数回繰り返して複数組の測定点による複数の位相変化量を算出し、スペックル干渉像位相算出ステップでは、複数組の測定点による複数の位相変化量を平均化した平均位相変化量を用いるものである。本実施の形態によれば、複数組の測定点による複数の位相変化量を平均化することで精度の高い変化を得ることができる。

【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態における振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法において、スペックル干渉像位相算出ステップで算出した、1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相について、高さの基準点となる基準画素を設定し、基準画素での波長変更に伴う位相変化量をゼロとする補正処理を行う補正処理ステップを有し、波長間位相差算出ステップでは、補正処理ステップで補正処理を行ったスペックル干渉像の位相を用いるものである。本実施の形態によれば、撮影開始タイミングでの振動環境下による高さの影響を除去することができる。

【0012】
本発明の第4実施の形態による振動環境下での波長走査を用いた形状計測装置は、特定波長で複数枚のスペックル干渉像を撮影するスペックル干渉画像撮影手段と、スペックル干渉像を撮影した複数枚の画像を記憶する記憶手段と、複数枚の画像からπ/2の位相差を有する第1測定画素と第2測定画素とを抽出することで、1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相を算出して測定対象物の粗面の高さを計測する処理手段とを備え、スペックル干渉画像撮影手段では、特定波長として、第1特定波長と第2特定波長を用い、処理手段は、記憶手段で記憶された複数枚の画像について、画像を構成する画素の中から、測定点抽出に用いる複数の画素を抽出する画素抽出部と、画素抽出部で抽出した画素別に、最大光強度と最小光強度との差が大きな画素の中からいずれかを第1測定画素として抽出する第1測定画素抽出部と、第1測定画素が、最大光強度と最小光強度との和の1/2である画像を特定する画像特定部と、画像特定部で特定した画像について、最大光強度と最小光強度との差が大きな画素の中で光強度が最大光強度となっている画素を第2測定画素として抽出する第2測定画素抽出部と、第1測定画素と第2測定画素を1組の測定点として、2回規格化法を用いて、抽出した複数の画像の位相変化量を算出する位相変化量算出部と、位相変化量算出部で算出した位相変化量から、位相変化に対する光強度変化の最小二乗近似を用いて1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相を算出するスペックル干渉像位相算出部と、スペックル干渉像位相算出部で算出した、1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相について、高さの基準点となる基準画素を設定し、基準画素での波長変更に伴う位相変化量をゼロとする補正処理を行う補正処理部と、第1特定波長について補正処理部で補正処理を行ったスペックル干渉像の位相と、第2特定波長について補正処理部で補正処理を行ったスペックル干渉像の位相との位相変化量を算出する波長間位相差算出部と、第1特定波長と第2特定波長との波長変化量と、波長間位相差算出部で算出した位相変化量とから測定対象物の粗面の高さを算出する形状計算部とを有するものである。本実施の形態によれば、振動環境下で取り込まれた多数枚のスペックル干渉像からその最初の1枚の画像についての位相を抽出し、異なる特定波長でも位相を抽出し、それら抽出位相の差の空間分布から形状を計算することができる。

【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態における振動環境下での波長走査を用いた形状計測装置において、画素抽出部における複数の画素の抽出から、位相変化量算出部における複数の画像の位相変化量の算出までを、複数回繰り返して複数組の測定点による複数の位相変化量を算出し、スペックル干渉像位相算出部では、複数組の測定点による複数の位相変化量を平均化した平均位相変化量を用いるものである。本実施の形態によれば、複数組の測定点による複数の位相変化量を平均化することで精度の高い変化を得ることができる。
【実施例】
【0014】
図1から図10を用いて本発明の一実施例による振動環境下での波長走査を用いた形状計測装置及び形状計測方法を説明する。
図1は同形状計測装置に適したスペックル干渉撮影装置の構成図、図2は同形状計測装置を機能実現手段で現したブロック図である。
本実施例による形状計測装置に適したスペックル干渉画像撮影装置(スペックル干渉画像撮影手段)10は、従来から用いられているスペックル干渉計と基本構成は同じである。
スペックル干渉画像撮影装置10は、波長可変レーザー11から特定波長による光を照射し、照射された光は、レンズ12で拡大された後に半透明鏡13で2つの光路に分かれる。
半透明鏡13で反射された一方の光は、測定対象物20の表面に至り、測定対象物20の表面で反射した光は、半透明鏡13を通過して対物レンズ14、半透明鏡15を通過してCCDカメラ16に入る。
半透明鏡13を通過した他方の光は、参照光路となり、参照面(反射鏡)17、18で反射され、半透明鏡15で反射してCCDカメラ16に入る。
測定対象物20で反射された光と、参照面17、18で反射された光とは、CCDカメラ16の撮像素子上で重ねられて結像されることで、スペックル干渉像が撮影される。
【実施例】
【0015】
スペックル干渉画像撮影装置10は、生産現場における不規則な垂直振動環境下に設置されて用いられる。ここで、不規則な垂直振動環境下とは、本実施例のスペックル干渉画像撮影装置10でのスペックル干渉像の撮影のために、ピエゾ素子などを用いて発生させるものではなく、生産現場における作業者や機器の存在によって発生する振動である。ただし,振動下で取り込む複数枚の干渉像が干渉による最大光強度と最小光強度を含まないほどに振動が小さい場合は,ピエゾ素子で振動を故意に大きくさせる場合もある.
半透明鏡13で反射された一方の光は、測定対象物20の表面に対して垂直方向から照射される。また、測定対象物20の計測対象となる表面は、半透明鏡13で反射された一方の光の鉛直方向に位置させる。
本実施例に適した測定対象物20は、例えば電子基板上に搭載された部品のように、不連続な粗面を有するものである。
波長可変レーザー11は、あらかじめ設定した複数の特定波長を出力できる。波長可変レーザー11は、それぞれ出力される波長の異なる複数のレーザーからなり、それぞれのレーザー光を切り替えることができるものでもよい。
【実施例】
【0016】
図2に示すように、本実施例による形状計測装置は、スペックル干渉画像撮影手段10と、記憶手段30と、処理手段40と、出力手段50とを備えている。
スペックル干渉画像撮影手段10では、特定波長で複数枚のスペックル干渉像を撮影する。特定波長として、少なくとも第1特定波長と第2特定波長を用いる。好ましくは、特定波長として4つ以上の波長を用いる。
それぞれの特定波長毎に、15枚以上40枚以下のスペックル干渉像を撮影する。実験結果から、15枚より少ない場合には十分な精度を得られず、40枚で十分な精度を得ることができた。
【実施例】
【0017】
記憶手段30には、スペックル干渉画像撮影手段10で撮影したスペックル干渉像の画像を記憶する画像記憶部31と、波長別に抽出した複数の画像の位相変化量を記憶する位相変化量記憶部32と、波長別に1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相を記憶するスペックル干渉像位相記憶部33を有する。
【実施例】
【0018】
処理手段40は、複数枚の画像からπ/2の位相差を有する第1測定画素と第2測定画素とを抽出することで、1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相を算出して測定対象物20の粗面の高さを計測する。
処理手段40は、波長抽出部41a、画像抽出部41b、及び画素抽出部41cを有している。
波長抽出部41aでは、画像抽出部41bで抽出する波長情報を抽出する。波長抽出部41aは、例えば画像記憶部31に記憶されている画像とともに記憶されている波長情報を抽出する。
画像抽出部41bでは、画像記憶部31に記憶されている画像の中から、特定波長についての複数枚の画像を抽出する。画像抽出部41bで抽出するすべての画像は、波長抽出部41aで抽出する波長で撮影されたものである。
従って、波長抽出部41aで第1特定波長を抽出した時には、画像抽出部41bでは、第1特定波長で撮影した全ての画像を抽出し、波長抽出部41aで第2特定波長を抽出した時には、画像抽出部41bでは、第2特定波長で撮影した全ての画像を抽出する。
画素抽出部41cでは、画像抽出部41bで抽出した複数枚の画像について、画像を構成する画素の中から、測定点抽出に用いる複数の画素を抽出する。
【実施例】
【0019】
また、処理手段40は、光強度抽出部42、光強度演算部43、画像特定部44、第1測定画素抽出部45a、第2測定画素抽出部45b、位相変化量算出部45c、平均化処理部45dを有している。
光強度抽出部42では、画素抽出部41cで抽出した画素別に、最大光強度と最小光強度とを抽出する。
光強度演算部43では、光強度抽出部42で抽出した画素別についての、最大光強度と最小光強度との差を演算する。
第1測定画素抽出部45aでは、光強度演算部43で演算した最大光強度と最小光強度との差が大きな画素の中からいずれかを第1測定画素として抽出する。
画像特定部44では、第1測定画素が、最大光強度と最小光強度との和の1/2である画像を特定する。
第2測定画素抽出部45bでは、画像特定部44で特定した画像について、最大光強度と最小光強度との差が大きな画素の中で光強度が最大光強度となっている画素を第2測定画素として抽出する。
位相変化量算出部45cでは、第1測定画素と第2測定画素を1組の測定点として、2回規格化法を用いて、抽出した複数の画像の位相変化量を算出する。
位相変化量算出部45cで算出された位相変化量は位相変化量記憶部32に記憶される。
位相変化量算出部45cにおける複数の画像の位相変化量の算出は、異なる測定点で複数回繰り返され、このようにして算出された複数組の測定点による複数の位相変化量は、位相変化量記憶部32に記憶される。
平均化処理部45dでは、位相変化量記憶部32に記憶された、複数組の測定点による複数の位相変化量を用い、複数組の測定点による複数の位相変化量を平均化して平均位相変化量を算出する。
【実施例】
【0020】
また、処理手段40は、スペックル干渉像位相算出部46a、補正処理部46b、波長間位相差算出部47、形状計算部48を有している。
スペックル干渉像位相算出部46aでは、平均化処理部45dで算出した平均位相変化量から、位相変化に対する光強度変化の最小二乗近似を用いて1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相を算出する。
補正処理部46bでは、スペックル干渉像位相算出部46aで算出した、1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相について、高さの基準点となる基準画素を設定し、基準画素での波長変更に伴う位相変化量をゼロとする補正処理を行う。
補正処理部46bで補正処理が行われたスペックル干渉像の位相は、スペックル干渉像位相記憶部33に記憶される。
波長間位相差算出部47では、第1特定波長について補正処理部46bで補正処理が行われてスペックル干渉像位相記憶部33に記憶されたスペックル干渉像の位相と、第2特定波長について補正処理部46bで補正処理が行われてスペックル干渉像位相記憶部33に記憶されたスペックル干渉像の位相との位相変化量を算出する。
形状計算部48では、波長抽出部41aからの第1特定波長と第2特定波長との波長変化量と、波長間位相差算出部47で算出した位相変化量とから測定対象物20の粗面の高さを算出する。
形状計算部48で算出された測定対象物20の粗面の高さは、目標値との差異を示す数値として、又はビジュアルなイメージとして出力手段50から出力される。
【実施例】
【0021】
本実施例による振動環境下での波長走査を用いた形状計測方法では、測定対象物20は粗面であるためスペックル位相を抽出する必要がある。
その手順の概要は下記の通りである。
1)安定した波長の下で振動によって干渉位相がランダムに変化している中でスペックル干渉像を多数枚取り込む。
2)取り込んだ干渉像から干渉光強度変化のモジュレーションが大きくて位相が約π/2異なる画素A、Bの2画素を探す。
3)それら2点で最小光強度と最大光強度の探索を行い、位相変化に伴う光強度変化の規格化を行い、規格化した変化の和と差を求め、更に2回目の規格化を行って、取り込んだ多数枚の画像に対して位相変化量(ランダムなシフト量)を抽出する。
4)最後に抽出した位相変化量を利用して、位相に対する光強度の正弦波的変化への最小二乗近似を使って、最初に取り込んだ1枚の干渉位相を全画素で抽出する。この位相の抽出を波長を変えて複数回行い、波長を変える時の位相変化傾斜から光路差を計算する。
【実施例】
【0022】
以下にこの処理を詳細に説明する。
図3及び図4は同形状計測方法を示すフローチャート、図5は同形状計測方法での測定対象物である電子部品の一部を写した写真である。
まず、測定対象物20を特定する(ステップ1)。
電子部品のような測定対象物20は、プリント基板上に半導体チップなどの部品が装着されており、プリント基板と半導体チップとの間は、不連続な粗面となっている。
ステップ1において測定対象物20が特定されると、計測対象長を決定する(ステップ2)。例えば、プリント基板上に半導体チップが正確に搭載されているかを計測する場合には、プリント基板の上面から半導体チップの上面までを計測対象長として決定する。
ステップ2において計測対象長が決定されると、この計測対象長を基準にして、照射する複数の波長を決定する(ステップ3)。
例えば、特定波長として4つの波長を用いる場合には、第1特定波長と第2特定波長とを、測定対象物20の計測対象長に対して2πの位相差とし、第1特定波長と第3特定波長とを、測定対象物20の計測対象長に対して2π×n(ただしnは2以上で好ましくはn=4)の位相差とし、第1特定波長と第4特定波長とを、測定対象物20の計測対象長に対して2π×n×m(ただしmは2以上で好ましくはm=4)の位相差とする。
ステップ3において照射する複数の波長が決定されると、最初に照射する波長を選択する(ステップ4)。
そして最初に選択された波長でレーザー照射が行われる(ステップ5)。
ステップ5におけてレーザーを照射している間、複数枚のスペックル干渉像を撮影する(ステップ6)。
ステップ6における撮影ステップの後に、スペックル干渉像を撮影した複数枚の画像を記憶する(ステップ7)。
【実施例】
【0023】
ステップ7における記憶ステップの後に、ステップ3で決定したすべての波長での照射が終了したか否かが判断される(ステップ8)。
未照射の波長がある場合には、ステップ4において未照射の新たな波長が選択され、選択された波長のレーザーで照射して(ステップ5)、撮影ステップ(ステップ6)、記憶ステップ(ステップ7)が行われる。
ステップ3で決定された全ての波長での照射が終了したと、ステップ8で判断された場合には、撮影は終了する(ステップ9)。
【実施例】
【0024】
ステップ7において、特定波長についてスペックル干渉像を撮影した全ての画像が記憶されると、画像抽出ステップを行うことができる(ステップ10)。ステップ10における画像抽出ステップは、ステップ9の撮影終了後に行ってもよい。
ステップ10における画像抽出ステップでは、特定波長についてスペックル干渉像を撮影した複数の画像が抽出される。ここでの画像抽出ステップでは、基本的には照射波長が同じ全ての画像を抽出するが、必ずしも全ての画像でなくてもよい。
ステップ10で抽出した複数枚の画像について、画像を構成する画素の中から、測定点抽出に用いる複数の画素を抽出する(ステップ11)。
ステップ11における画素抽出ステップのイメージを、図6を用いて説明する。
図6では、例えば、6枚の画像Pa、Pb、Pc、Pd、Pe、Pfを抽出した場合を示し、それぞれの画像Pa、Pb、Pc、Pd、Pe、Pfは9×9画素から構成されている。
ステップ11における画素抽出ステップでは、画像抽出部41bで抽出した6枚の画像について、測定点抽出に用いる画素Pa11、Pa21、Pa31、Pa41、Pa51、Pa61、Pa71、Pa81、Pa91を抽出する。
画素抽出ステップ(ステップ11)で抽出した画素別に、抽出した複数画像を対象に、最大光強度と最小光強度とを抽出する(ステップ12)。
ステップ13における第1測定画素抽出ステップでは、ステップ12における画素抽出ステップで抽出した画素別に、最大光強度と最小光強度との差が大きな画素の中からいずれかを第1測定画素として抽出する。
すなわち、画素P11~画素P91の最大光強度と最小光強度との差が比較され、最大光強度と最小光強度との差が大きな画素を第1測定画素とする。
ステップ14における画像特定ステップでは、第1測定画素が、最大光強度と最小光強度との和の1/2である画像を特定する。
更に、ステップ15における第2測定画素抽出ステップでは、画像特定ステップで特定した画像について、最大光強度と最小光強度との差が大きな画素の中で光強度が最大光強度となっている画素を第2測定画素として抽出する。
【実施例】
【0025】
ステップ13における抽出ステップから、ステップ15における第2測定画素抽出ステップを、図6を用いて説明する。
まず、画素P11について最小光強度と最大光強度を抽出する。すなわち、画像Paの画素Pa11、画像Pbの画素Pb11、画像Pcの画素Pc11、画像Pdの画素Pd11、画像Peの画素Pe11、画像Pfの画素Pf11の中から、最小光強度と最大光強度を抽出する。
また、画素P21について最小光強度と最大光強度を抽出する。すなわち、画像Paの画素Pa21、画像Pbの画素Pb21、画像Pcの画素Pc21、画像Pdの画素Pd21、画像Peの画素Pe21、画像Pfの画素Pf21の中から、最小光強度と最大光強度を抽出する。
そして同様に、画素P31、画素P41、画素P51、画素P61、画素P71、画素P81、画素P91についても、最小光強度と最大光強度を抽出する。
【実施例】
【0026】
ステップ13において、画素P11~画素P91の中で、画素P91が最大光強度と最小光強度との差が最も大きい場合には、画素P91が第1測定画素として抽出される。
画素P91については、最大光強度と最小光強度との差が算出できているので、最大光強度と最小光強度との和の1/2の光強度が算出できる。
画素Pc91が、最大光強度と最小光強度との和の1/2の光強度であるとすると、ステップ14では画像Pcが特定される。
そして、ステップ15では、特定した画像Pcについて、最大光強度と最小光強度との差が大きな画素の中で光強度が最大光強度となっている画素を抽出する。画素Pc11~画素Pc81の中で、画素P51が最大光強度と最小光強度との差が大きく、画素Pc51の光強度が最大光強度となっている場合には、画素P51が第2測定画素として抽出される。
ここで、第1測定画素として抽出された画素P91と、第2測定画素として抽出された画素P51とは、ともに最大光強度と最小光強度との差が大きく、かつほぼπ/2位相がずれた関係にある。
ステップ13で第1測定画素が抽出され、ステップ15で第2測定画素が抽出されると、第1測定画素と第2測定画素を1組の測定点として、2回規格化法を用いて、抽出した複数の画像の位相変化量を算出する(ステップ16)。
【実施例】
【0027】
第1測定画素と第2測定画素は、振幅が1、平均値がゼロとなるように規格化される。2回規格化法は下記の数式で表現される。
時間tにおける第1測定画素と第2測定画素の光強度I(t)、I(t)は式(1)で表せる。ここで、IA-MaxはIの最大光強度、IB-MaxはIの最大光強度、IA-MinはIの最小光強度、IB-MinはIの最小光強度である。
式(1):
(t)=Acos[Φ(t)+φ]+A
(t)=Bcos[Φ(t)+φ]+B
A-MAX=A+A
A-MIN=-A+A
B-MAX=B+B
B-MIN=-B+B
【実施例】
【0028】
式(1)の規格化を行うと、時間tにおける第1測定画素と第2測定画素の規格化した光強度INA(t)、INB(t)は式(2)で表せる。
式(2):
NA(t)=[2I(t)-(IA—MAX+IA—MIN)]/(IA—MAX-IA—MIN)=cos[Φ(t)+φ
NB(t)=[2I(t)-(IB—MAX+IB—MIN)]/(IB—MAX-IB—MIN)=cos[Φ(t)+φ
【実施例】
【0029】
第1測定画素の規格化した光強度INA(t)と、第2測定画素の規格化した光強度INB(t)との和をIADD(t)とし、第1測定画素の規格化した光強度INA(t)と、第2測定画素の規格化した光強度INB(t)との差をISUB(t)とすると、IADD(t)とISUB(t)は式(3)となる。
式(3):
ADD(t)=cos[Φ(t)+φ]+cos[Φ(t)+φ]=2cos[(2Φ(t)+φ+φ)/2]cos[(φ-φ)/2]
SUB(t)=cos[Φ(t)+φ]-cos[Φ(t)+φ]=-2sin[(2Φ(t)+φ+φ)/2]sin[(φ-φ)/2]
【実施例】
【0030】
ADD(t)とISUB(t)を規格化し,これをI N SUB, I N ADDとすると式(4)となる。
式(4):
[2Φ(t)+φ+φ]/2=-tan-1(IN SUB/IN ADD
【実施例】
【0031】
ステップ16の位相変化量算出ステップにおいて、抽出した複数の画像の位相変化量を算出すると、第1測定画素と第2測定画素を1組の測定点とした位相変化量が位相変化量記憶部32に記憶される(ステップ17)。
図7は、抽出した複数の画像の位相変化量を示している。抽出した40枚の画像を、抽出順に横軸に並べている。図7に示すように、振動環境下では位相変化には規則性はなく、ランダムである。
【実施例】
【0032】
ステップ17で位相変化量が記憶されると、必要組の測定点での算出が終了したか否かが判断される(ステップ18)。
ステップ18において、必要組の測定点での算出が終了していないと判断された場合には、ステップ11に戻って、画素抽出ステップから位相変化量算出ステップを複数回繰り返して複数組の測定点による複数の位相変化量を算出する。
ステップ18において、必要組の測定点での算出が終了したと判断された場合には、複数組の測定点による複数の位相変化量を平均化する平均化処理が行われる(ステップ19)。
【実施例】
【0033】
ステップ19で平均化した平均位相変化量を用いて、スペックル干渉像位相算出が行われる(ステップ20)。
ステップ20のスペックル干渉像位相算出ステップでは、平均位相変化量から、位相変化に対する光強度変化の最小二乗近似を用いて1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相を算出する。
最小二乗近似を用いたスペックル位相の計算式は式(5)から式(8)を用いて式(9)で表される。
1枚の画像におけるスペックル干渉像Ii(x,y)は式(5)で表される。
【実施例】
【0034】
【数1】
JP2015161544A_000003t.gif
式(5)は、式(5’)と表すことができる。
【実施例】
【0035】
【数2】
JP2015161544A_000004t.gif
式(5’)において、α(x,y)、α(x,y)、α(x,y)は式(6)で表される。
【実施例】
【0036】
【数3】
JP2015161544A_000005t.gif
式(6)におけるA(δi)とB(x,y,δi)の成分行列は式(7)と式(8)で表される。
【実施例】
【0037】
【数4】
JP2015161544A_000006t.gif
【実施例】
【0038】
【数5】
JP2015161544A_000007t.gif
【実施例】
【0039】
【数6】
JP2015161544A_000008t.gif
【実施例】
【0040】
式(9)の計算式を用い、ステップ20のスペックル干渉像位相算出ステップで算出した、1枚の画像おける全ての画素についてのスペックル干渉像の位相について、高さの基準点となる基準画素を設定し、基準画素での波長変更に伴う位相変化量をゼロとする補正処理を行う(ステップ21)。
ステップ21の補正処理ステップで補正処理を行った1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相をスペックル干渉像位相記憶部33に記憶する(ステップ22)。
ステップ22で特定の波長によるスペックル干渉像が記憶されると、すべての波長での位相変化量が算出されたか否かが判断される(ステップ23)。
ステップ23において、すべての波長での位相変化量の算出が終了していないと判断された場合には、ステップ10に戻って、画像抽出ステップから補正処理ステップを繰り返す。
ステップ23において、すべての波長での位相変化量の算出が終了したと判断された場合には、波長間において位相差を算出する(ステップ24)。
ステップ24の波長間位相差算出ステップでは、複数波長の中から選択した2つの波長について、第1特定波長について算出したスペックル干渉像の位相と、第2特定波長について算出したスペックル干渉像の位相との位相変化量を算出する。
ステップ24の波長間位相差算出ステップの後に、測定対象物20の形状を計算する(ステップ25)。
ステップ25の形状計算ステップでは、第1特定波長と第2特定波長との波長変化量と、波長間位相差算出ステップで算出した位相変化量とから測定対象物20の粗面の高さを算出する。
【実施例】
【0041】
図8(a)は、一つの特定波長において、ステップ21の補正処理ステップで補正処理を行った1枚の画像における全ての画素についてのスペックル干渉像の位相例を示す写真である。
図8(b)は、2つの波長変化量が小さい場合の位相差マップを示す写真であり、波長変化が少ないため基準点からの位相は、全視野で±πの範囲内での変化となっている。
図8(c)及び(d)も、図8(b)と同様に位相差マップを示す写真であるが、図8(b)よりも図8(c)の方が2つの波長変化量が大きく、また図8(c)よりも図8(d)の方が2つの波長変化量が大きくなっており、2πを大きく越えて変化している。図8(d)では位相の光路差への感度が高い。そこで、波長差の大きい縞が多く現れるマップの縞次数を抽出し、次数と位相から高精度測定を行うことができる。
【実施例】
【0042】
図9は光路差と位相の関係を示す図であり、異なる光路差における波長変更時の位相変化量を示している。
λ=0.1では波長変化が小さいためOPD全域で位相は-π~πしか変わらない。λ=0.1での位相が2πであることを用い、λ=0.2の位相マップを-4π~4πで求め、更にλ=0.3の位相を-13π~13πで求める。信号は常に雑音を含むため、λ=0.3の位相を使うことで高精度なOPD計測が可能となる。
【実施例】
【0043】
図10は図5で示す電子基板について、反射塗料を吹き付けない状態での形状測定結果を示す図であり、ステップ25の形状計算ステップで算出した測定対象物20の粗面の高さを出力手段50で表示させたものである。
図10に示すように、CPUプレートの段差を確認することができる。また、CPUプレートの周辺に存在する高さの違う複数素子の高さ違いも計測できている。なお、画素は100×250である。
図5で示す電子基板において、測定視野は2.5cm×1.0cmであり、左下のCPUプレートは基板から2.7mm程度浮き上がっている。
【実施例】
【0044】
実験では、図1に示すスペックル干渉撮影装置の構成に加えて、振動下での疑似計測状況を作り出すために、参照光路にPZT駆動ミラーを入れて、PCからの一様乱数出力でその光路長を最大2μm変動できるようにした。
波長可変レーザー11はTOPTICAのDL_DFBレーザーであり、LD素子の温度による波長制御で778nmから780nmまでモードホップフリーで波長可変でき、最大出力は約70mWである。対物レンズ14は広い視野も確保できるよう1眼レフカメラ用のAFズームニッコール35-105である。測定対象として光路差が場所によってほぼ一様に変化するプラスチックコートされたアルミプレートを対物レンズ14前方に23cmほど離して置いた。カメラはピクセルサイズが6.45×6.45μmで12bitA/D分解能を有し赤外域に高感度なManta G-145 NIRである。
レーザー素子の温度を4度~35度まで6段階ステップで変えた。各ステップでは温度変更後10秒置いた安定した波長で、ピエゾ素子をランダムに動かしながらスペックル干渉像を40枚撮影した。6種の各温度でこのように画像を撮影した後に、2回規格化法で位相シフト量を算出し、各温度域で最初に取り込んだ画像の位相を抽出した。このシフト量変化は画面中に2点の組を100組設け、得られた100個のシフト量での変化を平均化した。このようなシフト変化と最小二乗法から各波長での一枚目のスペックル干渉像の位相を抽出し、波長変化に伴う位相の変化を求めた。
【実施例】
【0045】
以上のように、波長変更に伴う干渉位相の変化が光路差に比例する関係を用い、カメラ視野の被測定面上に高さの基準点を設け、波長を変える時の視野中の各測定点と基準点での位相変化量の違いを用いることで、異なる特定波長での抽出位相の差の空間分布から形状を計算することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によれば、生産現場などの振動環境下において、垂直方向から光を照射する方法による高さの自動検査を行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
10 スペックル干渉画像撮影装置(スペックル干渉画像撮影手段)
20 測定対象物
30 記憶手段
31 画像記憶部
32 位相変化量記憶部
33 スペックル干渉像位相記憶部
40 処理手段
41a 波長抽出部
41b 画像抽出部
41c 画素抽出部
42 光強度抽出部
43 光強度演算部
44 画像特定部
45a 第1測定画素抽出部
45b 第2測定画素抽出部
45c 位相変化量算出部
45d 平均化処理部
46a スペックル干渉像位相算出部
46b 補正処理部
47 波長間位相差算出部
48 形状計算部
50 出力手段
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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