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明細書 :人の動作支援装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-036862 (P2016-036862A)
公開日 平成28年3月22日(2016.3.22)
発明の名称または考案の名称 人の動作支援装置
国際特許分類 B25J  11/00        (2006.01)
FI B25J 11/00 Z
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2014-160424 (P2014-160424)
出願日 平成26年8月6日(2014.8.6)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 1.「平成25年度卒業論文概要ABSTRACT,NO.305:受動関節を有するロボットアームによるスキルアシストの研究」,金沢大学理工学域機械工学類 機械システムコース・知能機械コース,発行日:平成26年2月14日 2.「平成25年度 金沢大学理工学域機械工学類 機械システムコース・知能機械コース 卒業論文発表会」,表題:卒業論文「受動関節を有するロボットアームによるスキルアシストの実現」及びスライド発表,開催場所:金沢大学 自然科学本館 303講義室(石川県金沢市角間町ヌ7番地),開催日:平成26年2月18日 3.「平成25年度 修士論文概要 ABSTRACT NO.403:受動関節を用いたスキルアシストアームの開発」,金沢大学大学院自然科学研究科機械科学専攻 機能機械コース,発行日:平成26年2月10日 4.「金沢大学院自然科学研究科機械科学専攻 機能機械コース 修士論文発表会」,表題:主論文 受動関節を用いたスキルアシストアームの開発及びスライド発表,開催場所:金沢大学 自然科学本館203講義室(石川県金沢市角間町ヌ7番地),開催日:平成26年2月13日 5.「第14回 日本機素潤滑設計部門講演会講演論文集 NO.2114:受動関節を有するロボットアームを用いたスキルアシスト」,発行者:一般社団法人日本機械学会,発行日:平成26年4月20日 6.「第14回機素潤滑設計部門講演会」,表題:受動関節を有するロボットアームを用いたスキルアシスト,開催場所:信州松代ロイヤルホテル(長野県長野市松代町西寺尾1372-1),開催日:平成26年4月22日 7.「第52回 機械工業見本市 金沢」,表題:MEX金沢2014 受動関節を利用したスキルアシストロボットアーム,開催場所:石川県産業展示館(3・4号館),開催日:平成26年5月14日 8.「ROBOMECH 2014 in TOYAMA ロボティクス・メカトロニクス 講演会2014 講演論文集 2A1-R06 受動関節を有するロボットアームによるスキルアシスト」,発行者:一般社団法人 日本機械学会,発行日:平成26年5月24日 9.「ロボティクス・メカトロニクス講演会2014 in Toyama」,表題:2A1-R06 受動関節を有するロボットアームによるスキルアシスト,開催場所:富山市総合体育館(富山県富山市湊入船町1
発明者または考案者 【氏名】立矢 宏
【氏名】小塚 裕明
【氏名】滝澤 健太
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査請求 未請求
テーマコード 3C707
Fターム 3C707AS38
3C707BS22
3C707CU04
3C707JT09
3C707MT01
3C707MT04
3C707XK07
3C707XK08
3C707XK45
3C707XK49
3C707XK84
要約 【課題】簡易な計測系と制御系で正確な人とロボットアームとの協調動作が可能な人の動作支援装置の提供を目的とする。
【解決手段】自由端側に出力点を有する受動リンクの他端側にある受動関節と、2自由度以上で制御された駆動関節とをリンク連結したことを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
自由端側に出力点を有し、他端に受動関節を有する受動リンクと、2つ以上の駆動関節を有し、
前記受動関節は前記2つ以上の駆動関節により位置制御されていることを特徴とする人の動作支援装置。
【請求項2】
自由端側に出力点を有し、他端に受動関節を有する受動リンクと、第1の駆動関節により駆動される第1の駆動リンクと、第2の駆動関節により駆動される第2の駆動リンクとの少なくとも2つ以上の駆動リンクを有し、前記受動関節と前記第1、第2の駆動リンクを接続するリンクアームを有することを特徴とする請求項1記載の人の動作支援装置。
【請求項3】
自由端側に出力点を有し、他端に受動関節を有する受動リンクと、第1の駆動関節により駆動される第1の駆動リンクと、第2の駆動関節により駆動される第2の駆動リンクとの少なくとも2つ以上の駆動リンクを有し、前記受動関節は第1の駆動リンクと接続され、前記第1の駆動関節は第2の駆動リンクと接続されていることを特徴とする請求項1記載の人の動作支援装置。
【請求項4】
前記出力点の操作量が前記第1、第2の駆動リンクによって操作される駆動関節のアシスト量より大であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の人の動作支援装置。
【請求項5】
前記駆動関節は、前記受動リンクのリンク角(α)を制御するものであることを特徴とする請求項4記載の人の動作支援装置。
【請求項6】
受動リンクのリンク角(α)は、アシスト量の方が人の操作量よりも大きくなる特異姿勢を回避するように制御されていることを特徴とする請求項5記載の人の動作支援装置。
【請求項7】
人が出力点を理想軌跡と異なる方向に操作しようとすると、その動きを規制する規制手段を有することを特徴とする請求項6記載の人の動作支援装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、人とロボットアームとの協調動作装置に関し、特に人の動きをアシストする人の動作支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の人とロボットアームとの協調動作技術は、手の動きをモーションキャプチャ等の高度の計測システムを用いて手の動きを解析し、それに基づいてロボットアームの動き及び力を精密に制御するものであり、高価な計測装置及び精度の高いパラメータ制御装置が必要であった。
例えば、特許文献1には、作業者が部品の一方を持ち、ロボットアームがこの部品の他方を保持し、人の手の動きをモーションキャプチャで検出し、手の動きが正しいと判断した場合にロボットアームが所定の動作を行う作業補助システムを開示する。
しかし、同技術は、作業者の動きそのものを正確な方向にアシストできるものではない。
特許文献2には、障害のある人間の手と動的力センサーを組み込んだマニピュレーターのクランプとを振持器に連結することで、障害のある人間が振るえながら文字を書いても振るえる動作をマニピュレーターが吸収・補正する手作業アシスタントマニピュレーター制御システムを開示する。
しかし、同公報に開示する技術は、手の振るえをどのように読み取り、どのように制御するか不明である。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2011-156641号公報
【特許文献2】特開平11-277473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡易な計測系と制御系で正確な人とロボットアームとの協調動作が可能な人の動作支援装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る人の動作支援装置は、自由端側に出力点を有し、他端に受動関節を有する受動リンクと、2つ以上の駆動関節を有し、前記受動関節は前記2つ以上の駆動関節により位置制御されていることを特徴とする。
具体的には、自由端側に出力点を有し、他端に受動関節を有する受動リンクと、第1の駆動関節により駆動される第1の駆動リンクと、第2の駆動関節により駆動される第2の駆動リンクとの少なくとも2つ以上の駆動リンクを有し、前記受動関節と前記第1、第2の駆動リンクを接続するリンクアームを有する態様が例として挙げられる。
また、自由端側に出力点を有し、他端に受動関節を有する受動リンクと、第1の駆動関節により駆動される第1の駆動リンクと、第2の駆動関節により駆動される第2の駆動リンクとの少なくとも2つ以上の駆動リンクを有し、前記受動関節は第1の駆動リンクと接続され、前記第1の駆動関節は第2の駆動リンクと接続されている態様が例として挙げられる。
本発明は受動リンクの自由端側の出力点を人が操作し、受動関節の回転変位によって目標とする理想軌跡方向に移動操作するのをロボットアーム等の駆動関節側のリンクにて正確な方向又は位置に移動補正(アシスト)する点に特徴がある。
この場合に人の操作量が駆動関節側のアシスト量より小さくなり過ぎると、人による出力点の速度、力加減の調整が困難になる。
【0006】
人の出力点の操作量が駆動関節側のアシスト量より大きく制御するのに、例えば、前記駆動関節は、リンク連結された受動関節の関節点と受動リンクのリンク角(α)を制御するものであってもよい。
この場合に、受動リンクのリンク角(α)は、アシスト量の方が人の操作量よりも大きくなる特異姿勢を回避するように制御されている。
ここで特異姿勢とは、受動リンク(出力リンク)の出力点と受動関節点とを結ぶ腕(アーム)方向に出力点の移動方向が一致又はそれに近い場合をいい、このような状態では人の操作量よりもアシスト量が大きくなり、人による目標方向に対する速度、力加減の調整が困難になる。
【0007】
また、出力点を移動させる目標方向が途中で屈曲する場合に、前記出力点を理想軌跡における屈曲点の前後にて、リンク角(α)を徐々に変化させるのが好ましい。
例えば、人が出力点を操作する理想軌跡の角度が途中で大きく変わる場合に、屈曲後に特異姿勢となるのをさけるのが好ましいからである。
この場合に、人が出力点を理想軌跡と異なる方向に操作しようとすると、その動きを規制する規制手段を有するのが好ましい。
ここで規制手段とは受動関節点に回転ブレーキがかかる等、人にその移動方向は目標とする移動方向とは異なることを伝達できるものであれば制限がない。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る人の動作支援装置によれば、人が出力点を操作する際に目標とする移動方向の状態に合せて人の柔軟な判断により移動速度やその力加減を調整しつつ、駆動関節側の例えばロボットアーム等にて本来の移動目標(理想軌跡)に一致させるようにアシストできる。
これにより出力部の速度、力などの加減は人が行い、精度の高い正確な位置決めはロボット等の制御により行うことができ、人に対する動作教示や、また、他の加工、溶接、組立などの作業において高価な計測装置や制御装置等を用いることなく、高度なロボット等との協調作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る装置のリンク構造例を示す。
【図2】(a)~(c)はリンク機構の動きを示す。
【図3】(a)~(e)は受動関節点(F)と受動リンクのリンク角(α)の補正例を示す。
【図4】(a)~(c)はリンク角(α)の徐変制御を示す。
【図5】(a)~(d)受動リンクに移動方向の規制手段を設けた例を示す。
【図6】本発明に係る装置を用いて正方形を書いた例を示す。
【図7】(a)~(c)は波状面に文字を書いた例を示す。
【図8】(a)、(b)は受動関節と駆動関節を切り替える例を示す。
【図9】(a)、(b)は受動リンクが特異姿勢となる例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る人の動作支援装置のリンク機構の構造例を以下、図に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。

【0011】
図1に3自由度平面8節平行クランク機構の例を示す。
第1駆動関節(O)11と第2駆動関節(A)12及び従動関節(B),(C)とをリンク連結してある。
第1駆動関節(O)の第1駆動リンク11aは従動関節(C),(D),(E)とをリンク連結し、従動関節(D)はリンクアーム15の途中に設けてあり、リンクアーム15の先端部に受動関節(F)21を介して受動リンク21aを連結してある。
第1駆動リンク11a及び第2駆動リンク12aの回転角度は、駆動関節に設けたモーター及びエンコーダにより制御されている。
リンク11bは補助リンクであり、リンク13,14は従動リンクである。
また、受動リンク21aの自由端側が出力点(P)になっていて、そのリンク姿勢であるリンク角(α)を計測するためのエンコーダが受動関節点(F)21に設けられている。

【0012】
このようなリンク機構による出力点(P)の動きの説明を図2に基づいてする。
人が手で持って受動リンク21aの出力点(P)を目標方向に移動させると、図2(b)に示すようにFの方向に回転しようとする。
これに対して第1及び第2駆動関節11,12の回転により、図2(c)にFで示す方向に受動関節点(F)の位置がアシストされる。
これにより人が出力点を移動させる操作方向を常に正確な目標位置にアシストする。
その補正機構を図3(a)~(d)に示す。
図3(a)に示すように人(ヒト)が出力点P(X,Y)を目標軌跡方向に操作すると、リンク角(α)が図3(b)のように変化する。
このときの目標軌跡からのずれを受動関節点(F)の位置を制御している駆動関節が動き、図3(c)に示すPの方向に補正する。
それと同時に図3(d)のように、リンク角(α)を理想リンク角(αid)に維持するようにベクトルPの方向に補正し、最終的には、図3(e)のように前記出力点の位置を補正するベクトルPとPの合成ベクトルPの方向に、受動関節点(F)を位置制御する。
ここで理想リンク角は受動リンクのPF線と直交する方向に目標軌跡があることをいう。
この方向は最も人の操作性がよい。

【0013】
このようにリンク角(α)と受動関節点(F)の位置を制御すると次のような利点がある。
図8(a)に示すように、受動リンク21aを駆動リンク11aに連結したとする。
この状態で出力点Pを、この出力点Pと駆動関節Oを結ぶ線分POと直交する方向に近い方向に移動させようとすると、人の操作量Fよりもアシスト量Fの方が大きくなり、人が出力点Pを制御するのが困難になる。
従って、この場合には図8(b)のように受動関節と駆動関節を切り替える必要が出てくる。
これに対して図1のリンク機構を用いると、受動リンク21aの理想リンク姿勢を維持するように駆動関節側が補正するので、広い範囲にて図8のように受動関節と駆動関節とを切り替える必要がなく、切り替え時に生じる出力点の理想軌跡からのズレを防止する。

【0014】
図1に示したリンク機構を用いると、人の動作を正確にアシストできる。
この場合でも例えば図9に示すように、理想軌跡1から理想軌跡2に直角に切り替わる場合に、理想軌跡1の屈曲点(コーナー部)まで理想リンク角(αid,1)を維持しようとすると、理想軌跡2にて移動方向と受動リンク21aのリンク方向FPとが一致し、人の操作量よりアシスト量の方が非常に大きくなる特異姿勢の状態が生じる恐れがある。
そこで、このような状態を回避する方策として図4に示すようなリンク角(α)の制御方法が好ましい。

【0015】
理想軌跡1のとき、当初のリンク角(α),軌跡長さlとし、屈曲点から出力点の距離をdlとする。
理想軌跡2に切り替わる際に特異姿勢になるのを避けるために、理想リンク角(αid,2)と(α)との間にリンク角(α)がくるようにリンク角(α)を徐々に変化させる。
図4に示す例は、第1駆動関節111の第1駆動リンク111aと第2駆動関節112の第2駆動リンク112aとで受動リンク21aの受動関節点(F)の位置及び受動リンク21aのリンク角(α)を制御した例である。
本実施例ではαの値が(α)と(αid,2)との中間になるように(α)を制御した例になっているが、(α)は±30°,好ましくは±20°の範囲であれば実用上、問題はない。

【0016】
また、人の操作方向を屈曲点にて教示する例を図5に示す。
人が操作力Fにて理想軌跡1に沿って出力点を移動させ、屈曲点で理想軌跡2とは仮に逆方向に操作しようとすると、受動関節に回転拘束するブレーキがかかるようになっている。

【0017】
本発明に係る装置を用いて、図や文字を描いた例を説明する。
図6は目標軌跡(理想軌跡)として正方形を設定し、本発明に係る装置のアシストにて正方形を描いたものである。
目標軌跡からほとんどズレがないように人が図形を描けたことが分かる。
図7は(a)に示すような波状面に(b)に示すような文字「ろ」を描いたものである。
この場合、出力点は上下方向に自由に動くペンを装備している。
人がこのペンを波上面に沿って上下させながら文字を描いた。
その結果、図7(b)に示すように正確な図形を描いた。
即ち、本発明に係る動作支援装置が人の操作を正確にアシストしていることが分かる。
【符号の説明】
【0018】
11 第1駆動関節
11a 第1駆動リンク
12 第2駆動関節
12a 第2駆動リンク
21 受動関節
21a 受動リンク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8