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明細書 :光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-084289 (P2016-084289A)
公開日 平成28年5月19日(2016.5.19)
発明の名称または考案の名称 光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物及びその製造方法
国際特許分類 C07C  67/307       (2006.01)
C07C  69/65        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 67/307
C07C 69/65 CSP
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2014-216164 (P2014-216164)
出願日 平成26年10月23日(2014.10.23)
発明者または考案者 【氏名】柴田 哲男
【氏名】西峯 貴之
【氏名】平等 尋巳
【氏名】福士 和伸
【氏名】徳永 恵津子
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4H039
Fターム 4H006AA01
4H006AA02
4H006AB81
4H006AB84
4H006AC30
4H006AC81
4H006BA09
4H006BA30
4H006BA33
4H006BA51
4H006BA71
4H006BM10
4H006BM71
4H006KA31
4H039CA10
4H039CD20
要約 【課題】不斉有機触媒を用いた直接的エナンチオ選択的トリフルオロメチル基導入法を鍵反応とした光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物の合成法開発。
【解決手段】発明者らは鍵反応としてモレキュラーシーブス存在下,トリフルオロメチルトリメチルシランとシンコナアルカロイド触媒を用い,プロパルギルフルオリドに対する直接的エナンチオ選択的トリフルオロメチル基導入法の開発に成功し,目的物である光学活性なプロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物を得ることに成功した。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表されるプロパルギルフルオリドと,トリフルオロメチルトリメチルシランを溶媒中,モレキュラーシーブス及び触媒量のシンコナアルカロイド触媒存在下で反応させることにより,下記一般式(2)で表される光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物を高エナンチオ選択的に製造する方法。
【化1】
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(式中,R,R及びRは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基,アリールオキシ基,アルコキシ基,アミノ基,アルキルチオ基,カルボキシ基,カルバモイル基,ヒドロキシル基,シアノ基,又はニトロ基を示す。式中,Rは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,又はアリール基を示す。なおRおよびRが一体となって,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。)

【化2】
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(式中,R,R,R及びRは上記一般式(1)に記載のR,R,R及びRと同じものを示す。)

【請求項2】
下記一般式(2)で示される,光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物。
【化3】
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(式中,R,R,R及びRは上記一般式(1)に記載のR,R,R及びRと同じものを示す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】

本発明は,光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学活性含フッ素有機化合物はフッ素が持つ特異的な性質により,創薬,機能性材料などの高機能性分子開発における魅力的な合成素子として注目を集めている。特に光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物は抗HIV薬で知られるEfavirenzをはじめ,創薬化学で注目を集める合成素子である。その立体選択的合成例はいくつか報告されているが,特に触媒的エナンチオ選択的な手法の開発は現在も発展途上である。光学活性なプロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物の合成アプローチには直接法と間接法の大きく2つの手法が考えられる。まず一つ目はプロキラルなトリフルオロメチル基含有ビルディングブロックに対する不斉プロパルギル化反応に代表される間接法である。本手法を用いたα-トリフルオロメチルケトン類(非特許文献1),α-トリフルオロメチルイミン類(非特許文献2),及びβ-トリフルオロメチル-α,β-エノン類(非特許文献3)に対するエナンチオ選択的プロパルギル化反応が開発されているが,予めフッ素官能基を有した原料の多段階合成が必要となる問題点がある。二つ目はアルキニルケトン類に対する直接的な不斉トリフルオロメチル化反応である。本アプローチは合成の最終段階でフッ素官能基を導入できる点で間接法よりも優れていると考えられる。しかしながらその実施例は以前発明者らが見出した例に限られる。具体的には,筆者らは各種アルキニルケトン類に対し,シンコナアルカロイド由来の相間移動触媒存在下,トリフルオロメチルトリメチルシラン(Ruppert-Prakash試薬)を作用させることで高立体選択的にプロパルギル位トリフルオロメチルアルコールが得られることを見出した(非特許文献4,5,6)。以上のように,光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物の合成法がいくつか開発されているが,そのほとんどがケトン類やイミン類に対する付加反応で合成されることから,不斉炭素に酸素や窒素などのヘテロ原子を持たない合成例は間接的な手法を用いた1例のみであり(非特許文献3),未だ直接的なトリフルオロメチル基導入法は開発されていない。今回我々が開発に成功した本製造法はこの問題点を解決する直接的エナンチオ選択的なプロパルギル位不斉トリフルオロメチル基導入法である。この製造方法により合成された光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物は医薬・農薬合成における,魅力的な新規合成素子として期待できる。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Chinkov, N.; Warm, A.; Carreira, E.M. Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 2957.
【非特許文献2】Jiang, B.; Si, Y.-G. Angew. Chem., Int. Ed., 2004, 43, 216.
【非特許文献3】Sanz-Marco, A.; Garcia-Ortiz, A.; Blay, G.; Pedro, J.R. Chem. Commun., 2014, 50, 2275.
【非特許文献4】Kawai, H.; Tachi, K. Tokunaga, E.; Shiro, M.; Shibata, N. Org. Lett. 2010, 12, 5104.
【非特許文献5】Kawai, H.; Kitayama, T.; Tokunaga, E.; Shibata, N. Eur. J. Org. Chem. 2011, 5959.
【非特許文献6】Okusu, S.; Kawai, H.; Yasuda, Y.; Sugita, Y.; Kitayama, T.; Tokunaga, E.; Shibata, N. Asian J. Org. Chem. 2014, 3, 449.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記点に鑑みて,不斉有機触媒を用いた直接的エナンチオ選択的トリフルオロメチル基導入法を鍵反応とした光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物の合成法開発を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,以前発明者らが開発し非特許文献7に開示した森田-ベイリス-ヒルマンアリルフルオリドに対する不斉トリフルオロメチル化反応を参考に,鍵反応としてモレキュラーシーブス存在下,トリフルオロメチルトリメチルシランとシンコナアルカロイド触媒を用い,下記一般式(1)で示される森田-ベイリス-ヒルマン付加体より誘導したプロパルギルフルオリドに対する直接的エナンチオ選択的トリフルオロメチル基導入法の開発に成功し,目的物である下記一般式(2)で示す光学活性なプロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物が合成できることを見出した。
【0006】
(非特許文献7)Nishimine, T.; Fukushi, K.; Shibata, N.; Taira, H.; Tokunaga, E.; Yamano, A.; Shiro, M.; Shibata, N. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 517.
【0007】
すなわち,請求項1に記載の発明は,下記一般式(1)で示されるプロパルギルフルオリドと,トリフルオロメチルトリメチルシランを溶媒中,モレキュラーシーブス及び触媒量のシンコナアルカロイド触媒存在下で反応させることにより,高エナンチオ選択的に下記一般式(2)で示される光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物を製造する方法にある。
【0008】
【化1】
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【0009】
(式中,R,R及びRは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基,アリールオキシ基,アルコキシ基,アミノ基,アルキルチオ基,カルボキシ基,カルバモイル基,ヒドロキシル基,シアノ基,又はニトロ基を示す。式中,Rは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,又はアリール基を示す。なおRおよびRが一体となって,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。)
【0010】
【化2】
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【0011】
(式中,R,R,R及びRは上記一般式(1)に記載のR,R,R及びRと同じものを示す。)
【0012】
請求項2に記載の発明は,前記請求項1記載の方法により製造される,前記一般式(2)で示される光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において,R,R,R及びRが示すアルキル基としては,例えば,炭素数1乃至20程度のアルキル基を用いることができる。具体的には,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,プロピル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,トリデシル基,テトラデシル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基,イコシル基,又はこれらの環状アルキル基,分鎖アルキル基などを用いることができる。アルキル基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよい。
,R,R及びRが示すアルケニル基又はアルキニル基に含まれる不飽和結合の数は特に限定されないが,好ましくは1乃至2個程度である。該アルケニル基又はアルキニル基は,直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。
,R,R及びRが示すアラルキル基は,例としてベンジル基,ペンタフルオロベンジル基,o-メチルベンジル基,m-メチルベンジル基,p-メチルベンジル基,p-ニトロベンジル基,ナフチルメチル基,フルフリル基,α-フェネチル基等が挙げられる。
,R,R及びRが示すアリール基としては,ヘテロアリール基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2~30のアリール基,具体的にはフェニル基,ナフチル基,アンスラニル基,ピレニル基,ビフェニル基,インデニル基,テトラヒドロナフチル基,ピリジル基,ピリミジニル基,ピラジニル基,ピリダニジル基,ピペラジニル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,キニリル基,ピロリル基,インドリル基,フリル基,トリアゾール基などが挙げることができる。
,R及びRが示すアリールオキシ基としては,ヘテロアリールオキシ基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2~30のアリール基,具体的にはフェニルオキシ基,ナフチルオキシ基,アンスラニルオキシ基,ピレニルオキシ基,ビフェニルオキシ基,インデニルオキシ基,テトラヒドロナフチルオキシ基,ピリジルオキシ基,ピリミジニルオキシ基,ピラジニルオキシ基,ピリダニジルオキシ基,ピペラジニルオキシ基,ピラゾリルオキシ基,イミダゾリルオキシ基,キニリルオキシ基,ピロリルオキシ基,インドリルオキシ基,フリルオキシ基などが挙げることができる。
,R及びRが示すアルコキシ基としては,例えば,炭素数1~6程度のアルコキシ基を用いることができる。より具体的には,メトキシ基,エトキシ基,n-プロポキシ基,イソプロポキシ基,n-ブトキシ基,sec-ブトキシ基,tert-ブトキシ基,シクロプロピルメチルオキシ基,n-ペントキシ基,n-ヘキソキシ基,トリエチレングリコシル基などを挙げることができる。
,R及びRが示すアミノ基が置換基を有する場合,置換基として,例えば,上記に説明した炭素数1~10程度のアルキル基又はハロゲン化アルキル基等を有していてもよい。より具体的には,炭素数1~6程度のアルキル基で置換されたモノアルキルアミノ基,又は炭素数1~6程度の2個のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基(2個のアルキル基は同一でも異なっていてもよい)などを挙げることができる。
,R及びRが示すアルキルチオ基としては,上記に説明した炭素数1~10程度のアルキルチオ基を用いることができる。例えば,メチルチオ基,エチルチオ基などを挙げることができる。
,R及びRが示すカルボキシ基としては,例えば,アルキル基,アルコキシ基,アルケニル基,アルキニル基,又はアリール基を有するカルボキシ基を用いることができる。具体的には,アセトキシ基,プロピオノキシ基,ブタノキシ基,ペンタノキシ基,ヘキサノキシ基,メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基などが挙げられる。
,R及びRが示すカルバモイル基が置換基を有する場合,置換基として,例えば,上記に説明した炭素数1~6程度のアルキル基又はハロゲン化アルキル基等を有していてもよい。カルバモイル基が2個の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
及びRで形成されうる前記環状構造の例としては,4員環から20員環でなる単環,双環,又はそれ以上の多環の構造を示すことができる。これらの環状構造はヘテロ原子を有してもよい。
アルキル基又はアルキル部分を含む置換基(例えば,アルコキシ基,アルキルチオ基など)のアルキル部分,アリール基又はアリール部分を含む置換基(例えば,アリールオキシ基など)のアリール部分は,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,及びヨウ素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のハロゲン原子有していてもよく,2個以上のハロゲン原子が置換している場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
シンコナアルカロイド触媒は特に限定されないが,下記の一般式(3),(4),(5)及び(6)で表される。

【0014】
【化3】
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【0015】
(式中,R5は,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基,アルコキシ基またはアミノ基を示す。R6は置換もしくは未置換のアルコキシ基またはアミノ基,ウレア基,チオウレア基を示す。式中,R7は,エチル基もしくはビニル基を示す。)
本明細書において,R5のアルキル基としては,例えば,炭素数1乃至20程度のアルキル基を用いることができる。具体的には,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,トリデシル基,テトラデシル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,ヘプタデシル基,オクタデシル基,ノナデシル基,イコシル基,又はこれらの環状アルキル基,分鎖アルキル基などを用いることができる。
5のアルケニル基又はアルキニル基に含まれる不飽和結合の数は特に限定されないが,好ましくは1乃至2個程度である。該アルケニル基又はアルキニル基は,直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。
5が示すアリール基としては,ヘテロアリール基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2~30のアリール基,具体的にはフェニル基,ナフチル基,アンスラニル基,ピレニル基,ビフェニル基,インデニル基,テトラヒドロナフチル基,ピリジル基,ピリミジニル基,ピラジニル基,ピリダニジル基,ピペラジニル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,キニリル基,ピロリル基,インドリル基,フリル基などが挙げることができる。
アルキル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アルケニル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アルキニル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アラルキル基は,例としてベンジル基,ペンタフルオロベンジル基,o-メチルベンジル基,m-メチルベンジル基,p-メチルベンジル基,p-ニトロベンジル基,ナフチルメチル基,フルフリル基,α-フェネチル基等が挙げられる。
アリール基はアルキル基,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
5およびR6が示すアミノ基は,N上に水素,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基の置換基が1つか2つ置換しているものが挙げられる。置換基はそれぞれ独立しており,同一である必要はない。アミノ基は,置換基を組み合わせて形成されうる環状構造を形成することができる。特に3員環から20員環でなる単環,双環,またはそれ以上の多環の構造を示すことができる。また,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。
5およびR6が示すアルコキシ基は炭素数が1~20のアルコキシ基が好ましく,炭素数が1~10のアルコキシ基がさらに好ましい。アルコキシ基の場合も上記のアルキル基の場合と同様の置換基により置換されていてもよい。
6が示すウレア基は置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基を有する。
6が示すチオウレア基は置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基を有する。
市販されているシンコナアルカロイド触媒としては,キニン,キニジン,シンコニン,シンコニジン以外に(DHQD)2PYR,(DHQD)2PHAL,(DHQD)2AQN,(DHQ)2PYR,(DHQ)2PHAL,(DHQ)2AQNなども用いることができる。以上のシンコナアルカロイド触媒が挙げられるが,光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物の合成には(DHQD)2PHALが最も好ましい。
溶媒の種類は特に限定されないが,ジエチルエーテル,ジイソプロピルエーテル,n-ブチルメチルエーテル,tert-ブチルメチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘプタン,ヘキサン,シクロペンタン,シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム,四塩化炭素,塩化メチレン,ジクロロエタン,トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン,クメン,シメン,メシチレン,ジイソプロピルベンゼン,ピリジン,ピリミジン,ピラジン,ピリダジン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルスルホキシド,ジメチルホルムアミド等の溶媒;メタノール,エタノール,プロパノール,i-プロピルアルコール,アミノエタノール,N,N-ジメチルアミノエタノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン,1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン等のフルオロカーボン系溶媒;超臨界二酸化炭素,イオン性液体が挙げられる。これらは単独で使用し得るのみならず,2種類以上を混合して用いることも可能である。光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物の合成には塩化メチレンが最も好ましい。
モレキュラーシーブスの種類は特に限定されないが,例えばモレキュラーシーブス3Å,モレキュラーシーブス4Å,モレキュラーシーブス5Å又はモレキュラーシーブス13Xが挙げられる。光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物の合成にはモレキュラーシーブス4Åが最も好ましい。
本発明の光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物の絶対配置は(S)又は(R)配置のいずれであってもよく,光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体はいずれも本発明の範囲に包含される。光学的に純粋な形態の異性体は本発明の好ましい態様である。また,立体異性体の任意の混合物,ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。
前記一般式(2)の製造は加圧下に行うこともできるが,通常は常圧で行う。反応温度は-80℃から溶媒の沸点までの間で行うことができるが,好ましくは-80℃乃至0℃付近である。反応時間は特に限定されるものではないが,通常6時間~2日で反応は完結する。
反応後,前記一般式(2)で示される光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物は一般的な手法によって反応液から単離および精製することができ,例えば反応液を濃縮した後,シリカゲル,アルミナ等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフ法での精製,塩析,再結晶,昇華等が挙げられる。
本発明の光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物の製造方法は特に限定されないが,前記式(1)で示される,非特許文献7及び非特許文献8を参考に合成されるプロパルギルフルオリドに対して,公知又は市販のトリフルオロメチルトリメチルシランを,公知又は市販のシンコナアルカロイド触媒,及び市販のモレキュラーシーブス存在下,溶媒中において反応させることによって前記式(2)の光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物を製造することができる。

【0016】
(非特許文献8)Krishna, P.R.; Sekhar, E.R.; Kannan, V. Tetrahedron Lett. 2003, 44, 4973.
以下,実施形態により本発明をさらに具体的に説明するが,本発明の範囲は下記の実施形態に限定されることはない。

【0017】
(第1実施形態) 前記一般式(2)の一般的な製造方法:
トリフルオロメチルトリメチルシラン(0.12 mmol),モレキュラーシーブス4Å(10 mg),下記の構造式4aで示す市販のシンコナアルカロイド触媒である(DHQD)2PHAL(0.01 mmol)を塩化メチレン0.25 mLに溶かし,-80℃においてプロパルギルフルオリド1(0.1 mmol)を加えた。24時間撹拌した後,ジエチルエーテルを溶出液としてショートカラムを行い,反応を停止した。集めた有機相を減圧下で留去し,得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することで光学活性プロパルギル位トリフルオロメチル基含有化合物(2a),(2b),(2c)を得た。

【0018】
【化4】
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【0019】
【化5】
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【0020】
Compound 2a: メチル3-トリフルオロメチル-2-メチレン-5-フェニルペント-4-イノレート
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 3.85 (s, 3H), 4.85 (q,J = 7.5 Hz, 1H), 6.43 (s, 1H), 6.69 (s, 1H), 7.33-7.35 (m, 3H), 7.46-7.48 (m, 2H); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -71.0 (d,J = 7.1 Hz, 3F); The ee of the product was determined by HPLC using an IC column (n-hexane/CHCl3= 98/2, flow rate 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmin = 9.3 min, τmaj = 10.9 min); 96%収率, 97% ee.

【0021】
【化6】
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【0022】
Compound 2b: メチル5-(4-ブロモフェニル)-3-トリフルオロメチル-2-メチレンペント-4-イノレート
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 3.85 (s, 3H), 4.84 (q,J = 7.2 Hz, 1H), 6.39 (s, 1H), 6.70 (s, 1H), 7.32 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.6 Hz, 2H); 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -70.9 (d,J = 6.8 Hz, 3F); The ee of the product was determined by HPLC using an IC column (n-hexane/CHCl3 = 95/5, flow rate 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmin= 8.5 min, τmaj = 10.9 min); 69%収率, 98% ee.

【0023】
【化7】
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【0024】
Compound 2c: tert-ブチル3-トリフルオロメチル-2-メチレン-5-フェニルペント-4-イノレート
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 1.53 (s, 9H), 4.81 (q,J = 7.5 Hz, 1H), 6.31 (s, 1H), 6.58 (s, 1H), 7.30-7.34 (m, 3H), 7.45-7.48 (m, 2H); The ee of the product was determined by HPLC using an IC column (n-hexane/CHCl3 = 98/2, flow rate 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmin= 9.4 min, τmaj = 12.8 min); 64%収率, 95% ee.