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明細書 :野菜又は果物の栽培方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-161256 (P2014-161256A)
公開日 平成26年9月8日(2014.9.8)
発明の名称または考案の名称 野菜又は果物の栽培方法
国際特許分類 A01G   1/00        (2006.01)
FI A01G 1/00 301Z
A01G 1/00 301H
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2013-033659 (P2013-033659)
出願日 平成25年2月22日(2013.2.22)
発明者または考案者 【氏名】浅尾 俊樹
出願人 【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100081673、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 誠
【識別番号】100141483、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 生吾
審査請求 未請求
テーマコード 2B022
Fターム 2B022AA01
2B022AB15
2B022EA10
要約 【課題】収穫される果実に含まれるカリウムの量を減少させる野菜又は果物の栽培方法において、品質を低下させることなく、果実のカリウム含有量を安定的に低下させることが可能な野菜又は果物の栽培方法を提供することを課題とする。
【解決手段】栄養成長期後の生殖成長期に収穫用の果実を実らす野菜又は果物の栽培の際、カリウムを含有した養分を与える野菜又は果物の栽培方法において、カリウム量が含有していない養分のみを与える期間であるカリウム欠如期間を生殖成長期中に設けたことを特徴としている。
【選択図】図7
特許請求の範囲 【請求項1】
栄養成長期後の生殖成長期に収穫用の果実を実らす野菜又は果物の栽培の際、カリウムを含有した養分を与える野菜又は果物の栽培方法において、カリウムが含有されていない養分のみを与える期間であるカリウム欠如期間を生殖成長期中に設けた野菜又は果物の栽培方法。
【請求項2】
上記カリウム欠如期間を、生殖成長期中における開花後から収穫までの期間とした請求項1に記載の野菜又は果物の栽培方法。
【請求項3】
カリウム欠如期間以外の予め定めた所定期間に上記野菜又は果物が吸収するカリウム量を、カリウム吸収量として予め求め、上記所定期間中に該野菜又は果実に与える養分に含ませるカリウム量を、上記カリウム吸収量の50~125%とする請求項1又は2の何れかに記載の野菜又は果物の栽培方法。
【請求項4】
上記所定期間中に該野菜又は果実に与える養分に含ませるカリウム量を、上記カリウム吸収量の50~75%とする請求項3に記載の野菜又は果物の栽培方法。
【請求項5】
上記野菜又は果物は、メロンまたは苺である請求項1乃至4の何れかに記載の野菜又は果物の栽培方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫される果実に含まれるカリウムの量を減少させる野菜又は果物の栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腎臓の機能が低下している場合、体内のカリウムを十分に排出できず、体内に蓄積したカリウムによって不整脈や心不全を引き起こす可能性があることが知られている。このため、腎臓病患者や人工透析を受けている患者は1日当たりのカリウム摂取量が制限されており、このようにしてカリウム摂取量を制限されている患者(以下、カリウム摂取制限患者)の数は食生活の変化等に伴って近年増加傾向にある。
【0003】
ところで、栄養成長期後の生殖成長期に収穫用の果実を実らす野菜又は果物である苺やメロン等には、通常一定量のカリウムが含有されているため、上記カリウム摂取制限患者は、このような野菜又は果物を食すこと自体が禁止される例も少なくない他、カリウム摂取制限患者がこの種の野菜又は果物を食す場合、茹でる等してカリウムを除去するのが一般的であり、このような処理をすると、野菜又は果物の風味や新鮮さが大きく損なわれることになる。
【0004】
一方、カリウムは、野菜又は果物において必須元素の一つであるとともに、成長にも欠かせない元素の一つであるため、この生育過程において用いる養分から、単に、カリウムを除去するのみでは、カリウムが欠乏し、品質の高い野菜又は果物を生産することができない。
【0005】
以上のような事項から、カリウムの含有量が少なく高品質な野菜又は果物の提供を可能とし、カリウム摂取制限患者の食生活を豊かなものとすることが切望されている。
【0006】
そして、このような野菜又は果物の栽培方法の1つとして、開花前に与える養分のカリウム含有率(具体的には、培養液のカリウム濃度)に対して、開花後に与える養分のカリウム含有率(具体的には、培養液のカリウム濃度)を低下させ、品質の低下を抑えつつ、収穫される果実のカリウム含有量を減少させる野菜又は果物の栽培方法が公知になっている(特に特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2011-135797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記文献の野菜又は果物の栽培方法では、雨天や晴天等の日々の環境変化によって、野菜又は果物がカリウムを吸収する量が増減するため、開花後における養分中のカリウム含有率を、開花前における養分中のカリウム含有率より低く設定しても、収穫される果実に含まれるカリウム量が期待したほどは低くならない場合がある。
【0009】
本発明は、収穫される果実に含まれるカリウムの量を減少させる野菜又は果物の栽培方法において、品質を低下させることなく、果実のカリウム含有量を安定的に低下させることが可能な野菜又は果物の栽培方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、第1に、栄養成長期後の生殖成長期に収穫用の果実を実らす野菜又は果物の栽培の際、カリウムを含有した養分を与える野菜又は果物の栽培方法において、カリウム量が含有されていない養分のみを与える期間であるカリウム欠如期間を生殖成長期中に設けたことを特徴としている。
【0011】
第2に、上記カリウム欠如期間を、生殖成長期中における開花後から収穫までの期間としたことを特徴としている。
【0012】
第3に、栄養成長期中の所定期間に上記野菜又は果物が吸収するカリウム量を、カリウム吸収量として予め求め、上記所定期間中に該野菜又は果実に与える養分に含ませるカリウム量を、上記カリウム吸収量の50~125%とすることを特徴としている。
【0013】
第4に、上記所定期間中に該野菜又は果実に与える養分に含ませるカリウム量を、上記カリウム吸収量の50~75%とすることを特徴としている。
【0014】
第5に、上記野菜又は果物は、メロンまたは苺であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、天候等の環境変化による影響を抑え且つ品質低下を防止しつつ、果実のカリウム含有量を安定的に低下させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)は水耕によりメロンを栽培している状態を示す写真であり、(B)はパーライト耕によりメロンを栽培している状態を示す写真である。
【図2】1000Lの標準培養液中に含まれる各成分の質量の一覧表である。
【図3】所定期間毎に測定したカリウム吸収量のグラフである。
【図4】茎、葉及び根のそれぞれについて各処理区のカリウム含有量を示したグラフである。
【図5】開花後にカリウム濃度を低下させて生育させたメロンの状態を示す写真である。
【図6】各処理区で収穫された果実のカリウム含有量を示したグラフである。
【図7】1~6つ目の処理区で収穫された各メロンの果実の品質及びカリウム含有量を示す一覧表である。
【図8】1~6つ目の処理区で収穫されたメロンの果実を、この順序で左側から右側に向かって並べた写真であって、(A)は各メロンの外観の写真であり、(B)は各メロンの断面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願本発者は、栄養成長期後の生殖成長期に収穫用の果実を実らす野菜又は果物を栽培する方向に関し、栄養成長期にカリウムが葉、茎及び根に蓄えられる点と、葉、茎及び根に蓄えたカリウムが果実に移動する点とに着目し、これらを利用することによって、天候等の環境変化による影響を抑え且つ品質低下を防止しつつ、果実のカリウム含有量を安定的に低下させることが可能であることを見出し、これを利用するものである。

【0018】
本実施形態で対象としている植物は、生育過程中において、葉や茎などの栄養器官を分化・形成する栄養成長期と、生殖器官を分化・形成する生殖成長期とを有し、該生殖成長期が、さらに、蕾をつける出蕾期と、出蕾期の後に花を咲かせる開花の前後を含む開花期と、開花期の後に果実を実らす着果期と、着果期の後に果実が収穫可能な程度に肥大した状態又は熟れた状態となる収穫期とに分類される野菜や果物である。ちなみに、野菜や果物のなかには、発芽後に栄養成長期に移行するものと、親株から分離された子株を苗として定植させた後に栄養成長期に移行するものとがある。

【0019】
さらに、上記のような野菜又は果物としては具体的にメロン及び苺が想定され、各種要部が含まれた培養液を用いる養液栽培によって、野菜又は果実の生育を行う。養液栽培でも特に、水耕又はパーライト耕を用いることが望ましい。

【0020】
図1(A)は水耕によりメロンを栽培している状態を示す写真であり、(B)はパーライト耕によりメロンを栽培している状態を示す写真である。ここで、水耕とは、野菜又は果物の根の部分を培養液に浸して栽培を行う栽培方法である。一方、パーライト耕とは、野菜又は果物の根が埋められたパーライトに培養液を含浸させるか、或いは、このパーライトを培養液に浸して栽培を行う栽培方法である。ちなみに、この培養液は、標準培養液を適宜調整したものを用いる。

【0021】
図2は、1000Lの標準培養液中に含まれる各成分の質量の一覧表である。同図に示す通り、1000Lの標準培養液中には、950gの硝酸カルシウムと、810gの硝酸カリウムと、500gの硫酸マグネシウムと、155gの第一リン酸アンモニウムと、3gのホウ酸と、0.22gの硫酸亜鉛と、2gの硫酸マンガンと、0.05gの硫酸銅と、0.02gのモリブデン酸ナトリウムと、25gのキレート鉄とが含まれている。

【0022】
この標準培養液において、カリウムの濃度(含有率)や量(含有量)を変更するには、硝酸カリウムの含有率や含有量を変更すればよい。例えば、培養液のカリウム濃度を標準培養液のカリウム濃度の1/4にしたい場合には、1000Lの培養液中に含まれるカリウムの含有量を、標準培養液の1/4にすればよく、また、含有量についても同様であり、例えば、培養液のカリウム含有量を標準培養液のカリウム含有量の1/2にした場合には、1000Lの培養液中に含まれるカリウムの含有量を、標準培養液の1/2にすればよい。

【0023】
本実施形態では、カリウムが含有されていない培養液(養分)を与える期間であるカリウム欠如期間を生殖成長期中に設け、その他の生育期間は、カリウムが含有した培養液を用いて生育を行う。このカリウム欠如期間は、具体的には、生殖成長期でも特に、開花後から収穫期になるため、生殖成長期から開花前までの期間は、カリウムが含まれた培養液を用いて生育を行うカリウム生育期間になる。

【0024】
このカリウム生育期間での培養液中のカリウム量は、野菜又は果物がその期間に吸収するカリウム量を基準に定める量的管理法か、或いは、培養液中のカリウム濃度を一定または略一定に保持する濃度管理法の何れかを用いて定める。

【0025】
量的管理法について、詳しく説明すると、カリウム生育期間を分割(本例では等分に分割)し、分割された所定期間毎に、該所定期間で野菜又は果物が吸収したカリウム量を、カリウム吸収量として測定し、上記所定期間中にこの野菜又は果実に与える養分に含ませるカリウム量を、該所定期間中に該野菜又は果実が吸収したカリウム吸収量に対する割合(施与割合)で決定する。施与割合は、50%(測定されたカリウム吸収量の半分)~125%(測定されたカリウム吸収量の1.25倍)の範囲で予め定める。なお、施与割合は、好ましくは50~75%であり、さらに好ましくは50%である。

【0026】
図3は、所定期間毎に測定したカリウム吸収量のグラフである。同図に示す量的管理法の具体例では、上記所定期間を1週間とし、メロンの一株当りのカリウム吸収量を1週間毎に合計4週の測定した。この際に用いた培養液は上記した標準培養液であり、この培養液中にメロンの根の部分を浸して栽培する水耕栽培時におけるカリウム吸収量を測定する。ちなみに、この所定期間毎に古くなった培養液を、新しい標準培養液に交換する。

【0027】
測定結果は同図に示す通りであり、第1週の一株当りのカリウム吸収量は1.12gであり、第2週の一株当りのカリウム吸収量は2.32gであり、第3週の一株当りのカリウム吸収量は3.51gであり、第4週の一株当りのカリウム吸収量は3.49gである。

【0028】
このため、このメロンに与えるカリウムの量は、第1周目では、上記カリウム吸収量1.12gの50~125%であり、第2周目では、上記カリウム吸収量2.32gの50~125%であり、第3周目では、上記カリウム吸収量3.51gの50~125%であり、第4周目では、上記カリウム吸収量3.49gの50~125%である。

【0029】
以上のように構成される野菜又は果物の栽培方法によれば、開花前は、適切に管理によって茎、葉及び根に適切な量のカリウムを蓄えさせる一方で、開花後は、この茎、葉及び根に蓄えたカリウムによって、果実を成長させる。これによって、高品質且つ低カリウムな果実が収穫可能になり、開花後は、カリウムは外部から吸収されないため、果実内に意図しないカリウムが蓄積することも効率的に防止できる。

【0030】
また、上述した量的管理法によれば、カリウム吸収量から、野菜又は果物に与えるべきカリウムの量をより正確な取得可能になるため、低カリウムの高品質な果実を収穫することがさらに容易になる。

【0031】
[検証試験]
野菜又は果物の茎、葉及び根の含まれたカリウムが果実に移動しているか否か確認する検証試験を行った。

【0032】
具体的には、野菜又は果実としてメロンを用い、処理区を5つに分け、各処理区では、開花前は、標準培養液を用いて、上述の水耕栽培を行う。一方、開花後は、1つ目の処理区は標準培養液をそのまま用いて水耕栽培を行う「1/1処理区」とし、2つ目の処理区は標準培養液の1/2のカリウム濃度となる培養液(1/2培養液)を用いて水耕栽培を行う「1/2処理区」とし、3つ目の処理区は標準培養液の1/4のカリウム濃度となる培養液(1/4培養液)を用いて水耕栽培を行う「1/4処理区」とし、4つ目の処理区は標準培養液の1/8のカリウム濃度となる培養液(1/8培養液)を用いて水耕栽培を行う「1/8処理区」とし、5つ目の処理区は標準培養液の1/16のカリウム濃度となる培養液(1/16培養液)を用いて水耕栽培を行う「1/16処理区」とし、各処理区において、果実の収穫後の茎、葉及び根に含まれているカリウムの含有量を測定し、また、上記のようにして開花後カリウム濃度を低下させて生育させたメロンの写真を撮影した。

【0033】
なお、各処理区では、培養液中のカリウム濃度を前述した所定値で保持するように濃度を管理する。例えば、1/2培養液では、培養液のカリウム濃度が標準培養液のカリウム濃度の1/2となるように濃度管理され、1/4培養液では、培養液のカリウム濃度が標準培養液のカリウム濃度の1/4となるように濃度管理され、1/8培養液では、培養液のカリウム濃度が標準培養液のカリウム濃度の1/8となるように濃度管理され、1/16培養液では、培養液のカリウム濃度が標準培養液のカリウム濃度の1/16となるように濃度が管理される。

【0034】
図4は、茎、葉及び根のそれぞれについて各処理区のカリウム含有量を示したグラフである。同図に示す通り、開花後に用いる培養液のカリウム濃度が低下する程、収穫後に茎、葉及び根に含まれるカリウムの含有量も低下する結果になった。

【0035】
図5は、開花後にカリウム濃度を低下させて生育させたメロンの状態を示す写真である。同図に示す通り、カリウムの欠乏により葉が緑色から変色しているが、果実は大きく肥大して高品質なものになっており、果実の品質に殆ど影響を与えなかったことが確認された。

【0036】
図4及び図5に示す結果によれば、何れの処理区も、開花前は、標準培養液により水耕栽培を行っているため、開花時点では、十分な量のカリウムが茎、葉及び根に含有しているものと思われるが、収穫時には茎、葉及び根に含まれるカリウムの含有量が大幅に低下している。一方、収穫時に果実は大きく実っている。以上の事実は、茎、葉及び根に蓄えられたカリウムが、果実に移動し、該果実の成長に使用された結果と考えられる。

【0037】
[比較試験1]
本発明を適用した栽培方法によって栽培された野菜又は果実と、従来の野菜又は果物の栽培方法によって栽培された野菜又は果実とを比較する比較実験を行った。

【0038】
具体的には、野菜又は果実としてメロンを用い、処理区を4つに分け、各処理区では、開花前は、標準培養液を用いて、上述の水耕栽培を行う。一方、開花後は、1つ目の処理区は標準培養液をそのまま用いて水耕栽培を行う「1/1処理区」とし、2つ目の処理区は標準培養液の1/8のカリウム濃度となる培養液(1/8培養液)を用いて水耕栽培を行う「1/8処理区」とし、3つ目の処理区は標準培養液の1/16のカリウム濃度となる培養液(1/16培養液)を用いて水耕栽培を行う「1/16処理区」とし、4つ目の処理区はカリウム含有量が0となった培養液(0培養液)を用いて水耕栽培を行う「0処理区」とした。すなわち、この0処理区での栽培方法が、本発明を適用したものとなる。

【0039】
図6は、各処理区で収穫された果実のカリウム含有量を示したグラフである。同図に示す通り、開花後において、カリウム濃度が低い培養液を用いた処理区ほど、収穫されたメロンに含まれるカリウム量が少ないという結果になった。

【0040】
[比較試験2]
本発明を適用した栽培方法によって栽培された野菜又は果実と、従来の野菜又は果物の栽培方法によって栽培された野菜又は果実とを比較する比較実験を行った。

【0041】
野菜又は果実としてメロンを用い、処理区を6つに分ける。

【0042】
1つ目の処理区(以下、「水耕濃度管理処理区」)では、図1(A)に示す水耕によって栽培を行い、栄養成長期から生殖成長期に至る全期間で、1週間毎に標準培養液を全て交換し、標準培養液を与え続ける濃度管理法を行う。

【0043】
2つ目の処理区(以下、「パーライト耕濃度管理処理区」)では、図1(B)に示すパーライト耕によって栽培を行い、栄養成長期から生殖成長期に至る全期間で、1週間毎に標準培養液を全て交換し、標準培養液を与え続ける濃度管理法を行う。

【0044】
3つ目の処理区(以下、「パーライト耕量的管理処理区50%」)では、図1(B)に示すパーライト耕によって栽培を行い、開花前には、栄養成長期中の第3週目及び第4週目において、図3の測定結果に基づく量的管理法を行い、施与割合を50%に設定した培養液を1週間毎に与える。ちなみに、第1週及び第2週は、標準培養液を1週間毎に与える。一方、開花後は、標準培養液からカリウム(具体的には、硝酸カリウム)を完全に省いた培養液を、一週間毎に与える。

【0045】
4つ目の処理区(以下、「パーライト耕量的管理処理区75%」)では、図1(B)に示すパーライト耕によって栽培を行い、開花前には、栄養成長期中の第3週目及び第4週目において、図3の測定結果に基づく量的管理法を行い、施与割合を75%に設定した培養液を1週間毎に与える。ちなみに、第1週及び第2週は、標準培養液を1週間毎に与える。一方、開花後は、標準培養液からカリウム(具体的には、硝酸カリウム)を完全に省いた培養液を、一週間毎に与える。

【0046】
5つ目の処理区(以下、「パーライト耕量的管理処理区100%」)では、図1(B)に示すパーライト耕によって栽培を行い、開花前には、栄養成長期中の第3週目及び第4週目において、図3の測定結果に基づく量的管理法を行い、施与割合を100%に設定した培養液を1週間毎に与える。ちなみに、第1週及び第2週は、標準培養液を1週間毎に与える。一方、開花後は、標準培養液からカリウム(具体的には、硝酸カリウム)を完全に省いた培養液を、一週間毎に与える。

【0047】
6つ目の処理区(以下、「パーライト耕量的管理処理区125%」)では、図1(B)に示すパーライト耕によって栽培を行い、開花前には、栄養成長期中の第3週目及び第4週目において、図3の測定結果に基づく量的管理法を行い、施与割合を125%に設定した培養液を1週間毎に与える。ちなみに、第1週及び第2週は、標準培養液を1週間毎に与える。一方、開花後は、標準培養液からカリウム(具体的には、硝酸カリウム)を完全に省いた培養液を、一週間毎に与える。

【0048】
図7は、1~6つ目の処理区で収穫された各メロンの果実の品質及びカリウム含有量を示す一覧表であり、図8は、1~6つ目の処理区で収穫されたメロンの果実を、この順序で左側から右側に向かって並べた写真であって、(A)は各メロンの外観の写真であり、(B)は各メロンの断面の写真である。

【0049】
図7,8に示される通り、水耕濃度管理処理区で収穫されたメロンが最もサイズが大きいものの、パーライト耕濃度管理処理区で収穫されたメロン、パーライト耕量的管理処理区50%で収穫されたメロン、パーライト耕量的管理処理区75%で収穫されたメロン、パーライト耕量的管理処理区100%で収穫されたメロン及びパーライト耕量的管理処理区125%で収穫されたメロンも、糖度や酸度に関しては殆ど差がなく、外観や断面にも優位な差は認められない。

【0050】
また、本発明を適用したパーライト耕量的管理処理区50%で収穫されたメロン、パーライト耕量的管理処理区75%で収穫されたメロン、パーライト耕量的管理処理区100%で収穫されたメロン及びパーライト耕量的管理処理区125%で収穫されたメロンは、水耕濃度管理処理区で収穫されたメロン及びパーライト耕濃度管理処理区で収穫されたメロンと比べて、カリウムの含有量が大幅に少なく、本発明の優位性を明確に示す結果になっている。

【0051】
なお、図7,8のようにパーライト耕で良好な結果が得られる理由として考えられるのは、水耕栽培では、根の部分に培養液が常に接しているが、パーライト耕による養液栽培では、根の部分に培養液(液相)の他に、固相(主に培地としてパーライト)及び気相(主に空気)が接することになり、カリウムの吸収が抑制されるものと考えられる。

【0052】
また、比較例としては、野菜又は果物として、メロンのみの実験を行ったが、メロンと同様に苺等も培養液中のカリウムをコントロールすることにより、苺の果実のカリウム含有量を低下させることが可能であるため(上記特許文献1参照)、この苺についても、メロンと略同一の結果となることが当然に予想され、本発明を適用可能である。
図面
【図2】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図6】
3
【図7】
4
【図1】
5
【図5】
6
【図8】
7