TOP > 国内特許検索 > 蓄放電可能な物質並びにこれを用いた二次電池及び微生物二次電池 > 明細書

明細書 :蓄放電可能な物質並びにこれを用いた二次電池及び微生物二次電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-064566 (P2014-064566A)
公開日 平成26年4月17日(2014.4.17)
発明の名称または考案の名称 蓄放電可能な物質並びにこれを用いた二次電池及び微生物二次電池
国際特許分類 C12N   1/00        (2006.01)
H01M   4/36        (2006.01)
H01M   4/58        (2010.01)
H01M   8/16        (2006.01)
FI C12N 1/00 ZNAP
H01M 4/36 Z
H01M 4/58
H01M 8/16
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 65
出願番号 特願2013-183961 (P2013-183961)
出願日 平成25年9月5日(2013.9.5)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り ホームページのアドレス http://plaza.umin.ac.jp/~sizuwaka/2013SympoPosterAbstracts130305Rev1.pdf 掲載日 平成25年3月13日 学会名、開催場所 第14回静岡ライフサイエンスシンポジウム、静岡大学 大学会館3階 大ホール 開催日 平成25年3月16日 〔刊行物等〕 発行日 平成25年5月30日 刊行物 環境バイオテクノロジー学会 2013年度大会 講演要旨集31頁 開催日 平成25年5月31日 学会名、開催場所 環境バイオテクノロジー学会、北九州国際会議場 〔刊行物等〕 発行日 平成25年9月1日 刊行物 4▲th▼ International conference of Microbial fuel cell(Proceedings & Abstracts book)272-273頁 開催日 平成25年9月3日 学会名、開催場所 4▲th▼ International conference of Microbial fuel cell、Cairns,Queensland,Australia
優先権出願番号 2012197971
優先日 平成24年9月7日(2012.9.7)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】二又 裕之
【氏名】鈴木 渓
出願人 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100108257、【弁理士】、【氏名又は名称】近藤 伊知良
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
【識別番号】100176773、【弁理士】、【氏名又は名称】坂西 俊明
審査請求 未請求
テーマコード 4B065
5H050
Fターム 4B065AA01X
4B065AC20
4B065BB02
4B065BB08
4B065BB15
4B065CA01
4B065CA10
4B065CA20
4B065CA60
5H050AA01
5H050BA20
5H050CA12
5H050CB01
5H050CB08
5H050GA00
5H050GA12
要約 【課題】微生物燃料電池のみならず二次電池ないし微生物二次電池にも応用できる新規な素材、特に蓄放電可能な新規な素材を提供する。
【解決手段】Desulfovibrio属、Desulfotomaculum属、Ochrobactrum属、Actinobacteria門、Bacterium属、Sporotalea属、Geosinus属、Firmicutes属、Selenomonas属、Veillonellaceae科、Clostridium属、Psychrosinus属、Anaerovibrio属、Sporomusa属、Propionispora属、及びPelosinus属から選択される少なくとも1つの微生物を、少なくともFe3+を含む電解質と有機物とを含む培地にて培養することによって得られる沈殿物を含む、蓄放電可能な物質。
【選択図】図18
特許請求の範囲 【請求項1】
デスルホビブリオ(Desulfovibrio)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、オクロバクテリウム(Ochrobactrum)属、アクチノバクテリア(Actinobacteria)門、バクテリウム(Bacterium)属、スポロタレア(Sporotalea)属、ジェオシヌス(Geosinus)属、ファーミキューテス(Firmicutes)属、セレノモナス(Selenomonas)属、ベイヨネラ(Veillonellaceae)科、クロストリジウム(Clostridium)属、サイクロシヌス(Psychrosinus)属、アナエロビブリオ(Anaerovibrio)属、(スポロミュサ)Sporomusa属、プロピオニスポラ(Propionispora)属、サクシニスピラ(Succinispira)属、バチルス(Bacillus)属、オセアノバチルス(Oceanobacillus)属、ブラキスピラ(Brachyspira)属、アナエロスポラ(Anaerospora)属、アセトネマ(Acetonema)属、カルノコッカス(Carnococcus)属、トリココッカス(Trichococcus)属及びペロシヌス(Pelosinus)属から選択される少なくとも1つの微生物を、少なくともFe3+を含む電解質と有機物とを含む培地にて培養することによって得られる沈殿物を含む、蓄放電可能な物質。
【請求項2】
前記微生物が、デスルホビブリオ・ブルガリス(Desulfovibrio vulgaris)、デスルホビブリオ・オリゼ(Desulfovibrio oryzae)、デスルホトマクルム・ガットイデウム(Desulfotomaculum guttoideum)、バチルス・アイドリエンシス(Bacillus idriensis)、オクロバクテリウム・アンスロピ(Ochrobactrum anthropi)、クロストリジウム・セレレクレッセンス(Clostridium celerecrescens)、スポロタレア・プロピオーニカ(Sporotalea propionica)、スポロタレア・コロニカ(Sporotalea colonica)、サイクロシヌス・フェルメンタンス(Psychrosinus fermentans)、ペロシヌス・フェルメンタンス(Pelosinus fermentans、セレノモナス・ルミナンティウム(Selenomonas ruminantium)、セレノモナス・ラクティシフェクス(Selenomonas lacticifex)、クロストリジウム・ケルシコラム(Clostridium quercicolum)、アナエロビブリオ・ブルキナベンシス(Anaerovibrio burkinabensis)、アナエロビブリオ・グリセリニ(Anaerovibrio glycerini)、スポロミュサ・リザエ(Sporomusa rhizae)、プロピオニスポラ・ヒッペイ(Propionispora hippei)、アナエロミュサ・アシダミノフィラ(Anaeromusa acidaminophila)、サクシニスピラ・モビリス(Succinispira mobilis)、デスルホビブリオ・ターミティディス(Desulfovibrio termitidis)、デスルホビブリオ・オキサミクス(Desulfovibrio oxamicus)、デスルホビブリオ・インテスティナリス(Desulfovibrio intestinalis)、デスルホビブリオ・デスルフリカンス(Desulfovibrio desulfuricans)、デスルホビブリオ・フェアフィルデンシス(Desulfovibrio fairfieldensis)、プロピオニスポラ・ビブリオイデス(Propionispora vibrioides)、スポロミュサ・アシドボランス(Sporomusa acidovorans)、アナエロスポラ・ホンコンゲンシス(Anaerospora hongkongensis)、アセトネマ・ロングム(Acetonema longum)、カルノコッカス・アラントイクス(Carnococcus allantoicus)、トリココッカス・コリンシイ(Trichococcus collinisii)、並びに、バクテリウム(Bacterium)CBIC45I1株及びその近縁の微生物から選択される少なくとも1つの微生物を含む、請求項1に記載の蓄放電可能な物質。
【請求項3】
前記電解質が、さらにCa2+、K、Ti3+、Na、Cu2+、Mg2+、PO3-、Se4+、Ni2+、Co2+、Mn2+、Zn2+、Mo6+、W6+及びFe2+から選択される少なくとも1つの電解質を含む、請求項1又は2に記載の蓄放電可能な物質。
【請求項4】
前記有機物が、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蟻酸、又はピルビン酸である有機酸及びこれらの塩、並びにグルコースから選択される少なくとも1つを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄放電可能な物質。
【請求項5】
前記沈殿物が少なくとも鉄元素を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄放電可能な物質。
【請求項6】
前記沈殿物が、さらにカルシウム、カリウム、炭素、チタン、ナトリウム、銅、マグネシウム、ケイ素、リン、フッ素、セレン、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン及び酸素から選択される少なくとも1つの元素を含む、請求項5に記載の蓄放電可能な物質。
【請求項7】
前記沈殿物が微生物を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の蓄放電可能な物質。
【請求項8】
蓄放電物質として請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄放電可能な物質を含む、二次電池。
【請求項9】
電気化学セルの負極槽中に、電気産生微生物と有機物と請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄放電可能な物質とを含む、微生物二次電池。
【請求項10】
前記負極槽において、前記蓄放電可能な物質の少なくとも一部が負極に接触している、請求項9に記載の微生物二次電池。
【請求項11】
前記電気産生微生物は、ゲオバクター(Geobacter)属、シューワネラ(Shewanella)属、クロストリジウム(Clostridium)属、デスルホビブリオ(Desulfovibrio)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、オクロバクテリウム(Ochrobactrum)属、アクチノバクテリア(Actinobacteria)門、バクテリウム(Bacterium)属、スポロタレア(Sporotalea)属、ジェオシヌス(Geosinus)属、ファーミキューテス(Firmicutes)属、セレノモナス(Selenomonas)属、ベイロネラセアエ(Veillonellaceae)科、サイクロシヌス(Psychrosinus)属、アナエロビブリオ(Anaerovibrio)属、スポロミュサ(Sporomusa)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属、サクシニスピラ(Succinispira)属、バチルス(Bacillus)属、オセアノバチルス(Oceanobacillus)属、ブラキスピラ(Brachyspira)属、アナエロスポラ(Anaerospora)属、アセトネマ(Acetonema)属、カルノコッカス(Carnococcus)属、トリココッカス(Trichococcus)属及びペロシヌス(Pelosinus)属から選択される少なくとも1つである、請求項9又は10に記載の微生物二次電池。
【請求項12】
デスルホビブリオ(Desulfovibrio)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、オクロバクテリウム(Ochrobactrum)属、アクチノバクテリア(Actinobacteria)門、バクテリウム(Bacterium)属、スポロタレア(Sporotalea)属、ジェオシヌス(Geosinus)属、ファーミキューテス(Firmicutes)属、セレノモナス(Selenomonas)属、ベイロネラセアエ(Veillonellaceae)科、クロストリジウム(Clostridium)属、サイクロシヌス(Psychrosinus)属、アナエロビブリオ(Anaerovibrio)属、スポロミュサ(Sporomusa)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属、サクシニスピラ(Succinispira)属、バチルス(Bacillus)属、オセアノバチルス(Oceanobacillus)属、ブラキスピラ(Brachyspira)属、アナエロスポラ(Anaerospora)属、アセトネマ(Acetonema)属、カルノコッカス(Carnococcus)属、トリココッカス(Trichococcus)属及びペロシヌス(Pelosinus)属から選択される少なくとも1つの微生物を、少なくともFe3+を含む電解質と有機物とを含む培地にて培養するステップと、
培地中に生成した沈殿物を分離するステップと
を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄放電可能な物質を製造する方法。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか一項に記載の蓄放電可能な物質の製造、又は請求項12に記載の方法における、デスルホビブリオ(Desulfovibrio)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、オクロバクテリウム(Ochrobactrum)属、アクチノバクテリア(Actinobacteria)門、バクテリウム(Bacterium)属、スポロタレア(Sporotalea)属、ジェオシヌス(Geosinus)属、ファーミキューテス(Firmicutes)属、セレノモナス(Selenomonas)属、ベイロネラセアエ(Veillonellaceae)科、クロストリジウム(Clostridium)属、サイクロシヌス(Psychrosinus)属、アナエロビブリオ(Anaerovibrio)属、スポロミュサ(Sporomusa)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属、サクシニスピラ(Succinispira)属、バチルス(Bacillus)属、オセアノバチルス(Oceanobacillus)属、ブラキスピラ(Brachyspira)属、アナエロスポラ(Anaerospora)属、アセトネマ(Acetonema)属、カルノコッカス(Carnococcus)属、トリココッカス(Trichococcus)属及びペロシヌス(Pelosinus)属から選択される微生物の使用方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄放電可能な物質並びにこれを用いた二次電池及び微生物二次電池に関し、特に、バイオミネラリゼーションによって得られた沈殿物を含む蓄放電可能な物質、並びに該物質を用いた二次電池及び微生物二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
循環型低炭素化社会の構築において、廃棄物の有効利用及びクリーンエネルギーの創出は解決すべき大きな課題である。微生物による生物化学的変換機能を利用した微生物燃料電池は、有機性廃棄物から直接電気エネルギーを取り出せる装置として世界的に着目され、研究が推進されている。一方で、電流密度が極めて低く実用化には未だ至っていない。
【0003】
この問題点を克服するためには、より良い電気生産微生物の探索や解析と同時に新しい素材の開発等が求められている。すなわち、燃料電池内の内部抵抗を低減し、かつスムーズに有機物から微生物そして電極へと電子が流れることが肝要である。
【0004】
この課題を克服する一つの手段として、微生物と親和性の高い電極(バイオエレクトロード)を開発する必要がある。さらには、微生物による微弱な電気を蓄電できる素材やシステムが開発されれば、エネルギー問題の解決に大きく貢献し得る。
【0005】
バイオエレクトロードに関しては、負極を修飾させ、電流密度の増加に成功した研究(非特許文献1及び2)、あるいはFeS系の化合物を添加することにより、有機物から微生物そして電極へとスムーズに電子が流れることにより電流密度の増加に成功した研究(特許文献1)が報告されている。
【0006】
しかし、これらの研究では、電気が不要な時に貯める(蓄電)ことかつ必要な時に放電させることはできない。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】国際公開2009/119846号公報
【0008】

【非特許文献1】Yong Zhao et al., Three-dimensional conductive nanowire networks formaximizing anode performance in microbial fuel cells. Chem. Eur. J. 16:4982-4985, 2010
【非特許文献2】Urania Michaelidou et al., Microbial communities and electrochemicalperformance of titanium-based anodic electrodes in a microbial fuel cell. Appl.Environ. Microbiol. 77:1069-1075, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、微生物燃料電池のみならず二次電池ないし微生物二次電池にも応用できる新規な素材、特に蓄放電可能な新規な素材の開発を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、微生物燃料電池に関する研究を行っている過程で、意外なことに特定の構造を有する微生物群集を培養して得られた黒色沈殿物が蓄放電能を有することを見出し、本発明の完成に至った。
【0011】
本発明は、デスルホビブリオ(Desulfovibrio)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、オクロバクテリウム(Ochrobactrum)属、アクチノバクテリア(Actinobacteria)門、バクテリウム(Bacterium)属、スポロタレア(Sporotalea)属、ジェオシヌス(Geosinus)属、ファーミキューテス(Firmicutes)属、セレノモナス(Selenomonas)属、ベイロネラセアエ(Veillonellaceae科、クロストリジウム(Clostridium)属、サイクロシヌス(Psychrosinus)属、アナエロビブリオ(Anaerovibrio)属、スポロミュサ(Sporomusa)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属、サクシニスピラ(Succinispira)属、バチルス(Bacillus)属、オセアノバチルス(Oceanobacillus)属、ブラキスピラ(Brachyspira)属、アナエロスポラ(Anaerospora)属、アセトネマ(Acetonema)属、カルノコッカス(Carnococcus)属、トリココッカス(Trichococcus)属及びペロシヌス(Pelosinus)属から選択される少なくとも1つの微生物を、少なくともFe3+を含む電解質と有機物とを含む培地にて培養することによって得られる沈殿物を含む、蓄放電可能な物質を提供する。
【0012】
上記微生物がデスルホビブリオ(Desulfovibrio)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、バチルス(Bacillus)属、オクロバクテリウム(Ochrobactrum)属、クロストリジウム(Clostridium)属、バクテリウム(Bacterium)属及びトリココッカス(Trichococcus)属から選択される少なくとも1つの微生物を含むことが好ましい。
【0013】
上記微生物が、デスルホビブリオ・ブルガリス(Desulfovibrio vulgaris)、デスルホビブリオ・オリゼ(Desulfovibrio oryzae)、デスルホトマクルム・ガットイデウム(Desulfotomaculum guttoideum)、バチルス・アイドリエンシス(Bacillus idriensis)、オクロバクテリウム・アンスロピ(Ochrobactrum anthropi)、クロストリジウム・セレレクレッセンス(Clostridium celerecrescens)、スポロタレア・プロピオーニカ(Sporotalea propionica)、スポロタレア・コロニカ(Sporotalea colonica)、サイクロシヌス・フェルメンタンス(Psychrosinus fermentans)、ペロシヌス・フェルメンタンス(Pelosinus fermentans、セレノモナス・ルミナンティウム(Selenomonas ruminantium)、セレノモナス・ラクティシフェクス(Selenomonas lacticifex)、クロストリジウム・ケルシコラム(Clostridium quercicolum)、アナエロビブリオ・ブルキナベンシス(Anaerovibrio burkinabensis)、アナエロビブリオ・グリセリニ(Anaerovibrio glycerini)、スポロミュサ・リザエ(Sporomusa rhizae)、プロピオニスポラ・ヒッペイ(Propionispora hippei)、アナエロミュサ・アシダミノフィラ(Anaeromusa acidaminophila)、サクシニスピラ・モビリス(Succinispira mobilis)、デスルホビブリオ・ターミティディス(Desulfovibrio termitidis)、デスルホビブリオ・オキサミクス(Desulfovibrio oxamicus)、デスルホビブリオ・インテスティナリス(Desulfovibrio intestinalis)、デスルホビブリオ・デスルフリカンス(Desulfovibrio desulfuricans)、デスルホビブリオ・フェアフィルデンシス(Desulfovibrio fairfieldensis)、プロピオニスポラ・ビブリオイデス(Propionispora vibrioides)、スポロミュサ・アシドボランス(Sporomusa acidovorans)、アナエロスポラ・ホンコンゲンシス(Anaerospora hongkongensis)、アセトネマ・ロングム(Acetonema longum)、カルノコッカス・アラントイクス(Carnococcus allantoicus)、トリココッカス・コリンシイ(Trichococcus collinisii)、並びに、バクテリウム(Bacterium)CBIC45I1株及びその近縁の微生物から選択される少なくとも1つの微生物を含むことが好ましく、デスルホビブリオ・ブルガリス(Desulfovibrio vulgaris)、デスルホビブリオ・オリゼ(Desulfovibrio oryzae)、デスルホトマクルム・ガットイデウム(Desulfotomaculum guttoideum)、バチルス・アイドリエンシス(Bacillus idriensis)、オクロバクテリウム・アンスロピ(Ochrobactrum anthropi)、クロストリジウム・セレレクレッセンス(Clostridium celerecrescens)、トリココッカス・コリンシイ(Trichococcus collinisii)、並びに、バクテリウム(Bacterium)CBIC45I1株及びその近縁の微生物から選択される少なくとも一つの微生物を含むことがより好ましい。上記電解質が、さらにCa2+、K、Ti3+、Na、Cu2+、Mg2+、PO3-、Se4+、Ni2+、Co2+、Mn2+、Zn2+、Mo6+、W6+及びFe2+から選択される少なくとも1つの電解質を含むことが好ましい。上記有機物が、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蟻酸、又はピルビン酸である有機酸及びこれらの塩、並びにグルコースから選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。上記沈殿物が、少なくとも鉄元素を含むことが好ましい。上記沈殿物が、さらにカルシウム、カリウム、炭素、チタン、ナトリウム、銅、マグネシウム、ケイ素、リン、フッ素、セレン、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン及び酸素から選択される少なくとも1つの元素を含むことが好ましい。さらに、上記沈殿物が微生物を含むことが好ましい。
【0014】
本発明はまた、蓄放電物質として上記の蓄放電可能な物質を含む二次電池を提供する。
【0015】
本発明はまた、電気化学セルの負極槽中に、電気産生微生物と有機物と上記の蓄放電可能な物質とを含む微生物二次電池を提供する。上記負極槽において、前記蓄放電可能な物質の少なくとも一部が負極に接触していることが好ましい。上記電気産生微生物は、ゲオバクター(Geobacter)属、シューワネラ(Shewanella)属、クロストリジウム(Clostridium)属、デスルホビブリオ(Desulfovibrio)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、オクロバクテリウム(Ochrobactrum)属、アクチノバクテリア(Actinobacteria)門、バクテリウム(Bacterium)属、スポロタレア(Sporotalea)属、ジェオシヌス(Geosinus)属、ファーミキューテス(Firmicutes)属、セレノモナス(Selenomonas)属、ベイロネラセアエ(Veillonellaceae)科、サイクロシヌス(Psychrosinus)属、アナエロビブリオ(Anaerovibrio)属、スポロミュサ(Sporomusa)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属、サクシニスピラ(Succinispira)属、バチルス(Bacillus)属、オセアノバチルス(Oceanobacillus)属、ブラキスピラ(Brachyspira)属、アナエロスポラ(Anaerospora)属、アセトネマ(Acetonema)属、カルノコッカス(Carnococcus)属、トリココッカス(Trichococcus)属及びペロシヌス(Pelosinus)属から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0016】
本発明はまた、デスルホビブリオ(Desulfovibrio)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、オクロバクテリウム(Ochrobactrum)属、アクチノバクテリア(Actinobacteria)門、バクテリウム(Bacterium)属、スポロタレア(Sporotalea)属、ジェオシヌス(Geosinus)属、ファーミキューテス(Firmicutes)属、セレノモナス(Selenomonas)属、ベイロネラセアエ(Veillonellaceae)科、クロストリジウム(Clostridium)属、サイクロシヌス(Psychrosinus)属、アナエロビブリオ(Anaerovibrio)属、スポロミュサ(Sporomusa)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属、サクシニスピラ(Succinispira)属、バチルス(Bacillus)属、オセアノバチルス(Oceanobacillus)属、ブラキスピラ(Brachyspira)属、アナエロスポラ(Anaerospora)属、アセトネマ(Acetonema)属、カルノコッカス(Carnococcus)属、トリココッカス(Trichococcus)属及びペロシヌス(Pelosinus)属から選択される少なくとも1つの微生物を、少なくともFe3+を含む電解質と有機物とを含む培地にて培養するステップと、培地中に生成した沈殿物を分離するステップとを含む、上記の蓄放電可能な物質を製造する方法を提供する。
【0017】
本発明はさらに、上記の蓄放電可能な物質の製造、又は上記の蓄放電可能な物質を製造する方法における、デスルホビブリオ(Desulfovibrio)属、デスルホトマクルム(Desulfotomaculum)属、オクロバクテリウム(Ochrobactrum)属、アクチノバクテリア(Actinobacteria)門、バクテリウム(Bacterium)属、スポロタレア(Sporotalea)属、ジェオシヌス(Geosinus)属、ファーミキューテス(Firmicutes)属、セレノモナス(Selenomonas)属、ベイロネラセアエ(Veillonellaceae)科、クロストリジウム(Clostridium)属、サイクロシヌス(Psychrosinus)属、アナエロビブリオ(Anaerovibrio)属、スポロミュサ(Sporomusa)属、プロピオニスポラ(Propionispora)属、サクシニスピラ(Succinispira)属、バチルス(Bacillus)属、オセアノバチルス(Oceanobacillus)属、ブラキスピラ(Brachyspira)属、アナエロスポラ(Anaerospora)属、アセトネマ(Acetonema)属、カルノコッカス(Carnococcus)属、トリココッカス(Trichococcus)属及びペロシヌス(Pelosinus)属から選択される微生物の使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の蓄放電可能な物質は、電気を貯めて放出する(蓄電・放電)ことができる。また、この性質に基づき、繰り返し蓄電・放電できるため、蓄放電物質として二次電池に応用することが可能である。
【0019】
本発明の蓄放電可能な物質はまた、微生物との相性がよいため、微生物燃料電池に添加することもできる。この場合、微生物燃料電池において電流の発生しない誘導期において電流を補うだけでなく、さらに発電期においても蓄放電能に基づき、電流密度を増加させることができる。したがって、本発明の蓄放電可能な物質を用いた、実用化できる微生物燃料電池の実現が期待される。
【0020】
本発明の蓄放電可能な物質はさらに、微生物二次電池への応用も期待される。これまでの微生物燃料電池は、発電と放電とは同時に行われるが、本発明の蓄放電可能な物質を用いれば、発電と放電とを別々に行うことができ、すなわち、微生物二次電池を実現することができる。この場合、まず本発明の蓄放電可能な物質の存在下、微生物を培養し発電した電気を蓄放電可能な物質に蓄積させ、次に必要なときに正極と負極とを連結し放電させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】微生物培養物のPCR-DGGEによる構造解析の結果を示す図である。
【図2】黒色沈殿物Aタイプ サンプル1の元素マップを示す図である。
【図3】黒色沈殿物Aタイプ サンプル1の電子顕微鏡像(A)、スペクトル(B)、及び元素定量結果(C)を示す図である。
【図4】黒色沈殿物Aタイプ サンプル2の元素マップを示す図である。
【図5】黒色沈殿物Aタイプ サンプル2の一部拡大1の電子顕微鏡像(A)、スペクトル(B)、及び元素定量結果(C)を示す図である。
【図6】黒色沈殿物Aタイプ サンプル2の一部拡大2の電子顕微鏡像(A)、スペクトル(B)、及び元素定量結果(C)を示す図である。
【図7】黒色沈殿物Aタイプ サンプル2の一部拡大1及び一部拡大2の電子顕微鏡像(A)、及び図5と図6とで示したスペクトルの差異(B)を示す図である。
【図8】黒色沈殿物Cタイプ サンプル1の元素マップを示す図である。
【図9】黒色沈殿物Cタイプ サンプル1の電子顕微鏡像(A)、スペクトル(B)、及び元素定量結果(C)を示す図である。
【図10】黒色沈殿物Cタイプ サンプル2の元素マップを示す図である。
【図11】黒色沈殿物Cタイプ サンプル2-1の電子顕微鏡像(A)、スペクトル(B)、及び元素定量結果(C)を示す図である。
【図12】黒色沈殿物Cタイプ サンプル2-2の電子顕微鏡像(A)、スペクトル(B)、及び元素定量結果(C)を示す図である。
【図13】黒色沈殿物Cタイプ サンプル2-1及びサンプル2-2の電子顕微鏡像(A)、及び図11と図12とで示したスペクトルの差異(B)を示す図である。
【図14】黒色沈殿物Dタイプ サンプル1の元素マップを示す図である。
【図15】黒色沈殿物Dタイプ サンプル1の電子顕微鏡像(A)、スペクトル(B)、及び元素定量結果(C)を示す図である。
【図16】コントロールの元素マップを示す図である。
【図17】コントロールの電子顕微鏡像(A)、スペクトル(B)、及び元素定量結果(C)を示す図である。
【図18】黒色沈殿物A~Dタイプの電流密度の測定結果を示す図である。AとBは縦軸のスケールが異なるものを示す。
【図19】実施例5の黒色沈殿物Aタイプの電子顕微鏡像を示す図である。A~Cは倍率が異なるものを示す。
【図20】未滅菌と滅菌処理した実施例5の黒色沈殿物の電流密度の測定結果を示す図である。
【図21】1L培養瓶で黒色沈殿物質が生成した様子を示す図である。左の瓶は撹拌直後、右の瓶は30分静置後の様子を示す。
【図22】黒色沈殿物質の共焦点レーザー顕微鏡像を示す図である。(A)はAタイプ、(B)はDタイプの黒色沈殿物質の共焦点レーザー顕微鏡像を示す。
【図23】微生物含有黒色物質、オートクレーブ処理した黒色物質及び培地のみのサイクリックボルタモグラムを示す図である。
【図24】微生物含有黒色物質の放電時の電流密度を異なる外部抵抗条件下で経時的に測定した結果を示す図である。
【図25】微生物含有黒色物質の放電及び蓄電時の電流密度を経時的に測定した結果を示す図である。
【図26】(A)はオートクレーブ処理した黒色物質の放電及び蓄電時の電流密度を経時的に測定した結果を示す図である。(B)は(A)の一部を拡大して示した図である。
【図27】黒色沈殿物質生成培養物中の微生物の群集構造解析結果を示す図である。
【図28】各分離菌株で生成した沈殿物質の放電時の電力密度を経時的に測定した結果を示す図である。
【図29】(A)は培養液のpHと沈殿物質生成の関係を示す図である。(B)は培養液のpH変化を経日的に測定した結果を示す図である。(C)は培養液の硫酸イオン濃度変化を経日的に測定した結果を示す図である。
【図30】培養液のpHが6.3及び7.0の場合に生成した沈殿物質の放電時の電力密度を経時的に測定した結果を示す図である。
【図31】微生物燃料電池に黒色物質を添加した系及び添加しなかった系の電力密度を経日的に測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明で使用する微生物は、例えば、川底泥、湖底泥、海底泥、沼底泥、土壌等の環境由来の試料や活性汚泥等を以下のように処理することで取得することができる。まず、環境由来の試料又は活性汚泥等を微生物燃料電池の負極槽に添加し電流生産が確認された後に、負極溶液あるいは負電極を適当に希釈し、ロールチューブ法あるいは6well plate法を用いて複数の微生物コロニーを得る。この際、培養条件としては、例えば、嫌気条件下、25℃で200日程度培養することができる。そして、得られた複数の微生物コロニーを、Fe3+を含む電解質と有機物とを含む培地にて培養し、培養物中、沈殿物質を生成する微生物コロニーを分離する。分離した微生物コロニーに含まれる微生物を、本発明の微生物として使用できる。なお、培地中のFe3+の濃度が0.1mMとなるように調製してもよい。また、微生物コロニーが沈殿物質を生成するか否かは、例えば、培養してから14日以上経過後、沈殿物質が生成するか観察することで判断してもよい。

【0023】
本発明の蓄放電可能な物質は、Desulfovibrio属、Desulfotomaculum属、Ochrobactrum属、Actinobacteria門、Bacterium属、Sporotalea属、Geosinus属、Firmicutes属、Selenomonas属、Veillonellaceae科、Clostridium属、Psychrosinus属、Anaerovibrio属、Sporomusa属、Propionispora属、Succinispira属、Bacillus属、Oceanobacillus属、Brachyspira属、Anaerospora属、Acetonema属、Carnococcus属、Trichococcus属及びPelosinus属から選択される少なくとも1つの微生物を、少なくともFe3+を含む電解質と有機物とを含む培地にて培養することによって得られる沈殿物を含むものである。

【0024】
用いられる微生物は、Desulfovibrio属、Desulfotomaculum属、Ochrobactrum属、Actinobacteria門、Bacterium属、Sporotalea属、Geosinus属、Firmicutes属、Selenomonas属、Veillonellaceae科、Clostridium属、Psychrosinus属、Anaerovibrio属、Sporomusa属、Propionispora属、Succinispira属、Bacillus属、Oceanobacillus属、Brachyspira属、Anaerospora属、Acetonema属、Carnococcus属、Trichococcus属及びPelosinus属から選択される少なくとも1つの微生物である。例えば、Desulfovibrio vulgaris、Desulfovibrio oryzae、Desulfotomaculum guttoideum、Bacillus idriensis、Ochrobactrum anthropi、Clostridum celerecrescens、Sporotalea propionica、Sporotalea colonica、Psychrosinus fermentans、Pelosinus fermentans、Selenomonas ruminantium、Selenomonas lacticifex、Clostridium quercicolum、Anaerovibrio burkinabensis、Anaerovibrio glycerini、Sporomusa rhizae、Propionispora hippei、Anaeromusa acidaminophila、Succinispira mobilis、Desulfovibrio vulgaris、Desulfovibrio termitidis、Desulfovibrio oxamicus、Desulfovibrio oryzae、Desulfovibrio intestinalis、Desulfovibrio desulfuricans、Desulfovibrio fairfieldensis、Propionispora vibrioides、Sporomusa acidovorans、Anaerospora hongkongensis、Acetonema longum、Carnococcus allantoicusTrichococcus collinisii、並びに、Bacterium CBIC45I1株及びその近縁の微生物等が挙げられる。これらの微生物を使用した場合、本発明の蓄放電可能な物質(所望の沈殿物)を得ることができる。微生物が上記から選択される1種であってもよく、複数種の微生物群集であってもよい。また、他の微生物を含んでもよい。複数種の微生物群集であることが好ましい。

【0025】
培地に含まれる電解質としては、少なくともFe3+を含むものである。Fe3+は、沈殿物の形成及び蓄放電能に重要であると考えられる。また、必須ではないがCa2+、K、Ti3+、Na、Cu2+、Mg2+、PO3-、Se4+、Ni2+、Co2+、Mn2+、Zn2+、Mo6+、W6+及びFe2+から選択される少なくとも1つの電解質を含んでもよい。さらに、上記微生物の培養に使用し得る電解質、すなわち、上記微生物の成長を促進する又は生存を妨げない電解質を含んでもよい。PO3-は場合によってHPO2-やHPOの形態で存在し得る。

【0026】
有機物としては、微生物に電子を提供でき得るものであれば、特に限定されない。例えば、微生物燃料電池の有機物源として通常利用される活性汚泥、糞尿、植物等の有機性廃棄物が挙げられる。また、電気生産効率を高めるため、低分子有機物、例えば、乳酸、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蟻酸、又はピルビン酸である有機酸及びこれらの塩、並びにグルコースから選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。さらに、グルコース以外に、例えば、フルクトース、スクロース、マルトース等の低分子糖類も好ましく用いられる。

【0027】
得られる沈殿物は、少なくとも鉄元素を含む。数種類の沈殿物を分析した結果、鉄元素が蓄放電能に寄与していると考えられる。沈殿物はまた必須ではないが、さらにカルシウム、カリウム、炭素、チタン、ナトリウム、銅、マグネシウム、ケイ素、リン、フッ素、セレン、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン及び酸素から選択される少なくとも1つの元素を含んでもよい。これらの元素も蓄放電能に関与している可能性がある。また、沈殿物は培養された微生物も含まれ得る。含まれる微生物が生菌または死骸のいずれでもあり得、また、沈殿物の表面に付着しているか沈殿物の内部に包含されるかのいずれの形態でも存在し得る。

【0028】
微生物の種類又は微生物群集の構造によって、得られる沈殿物に含まれる元素や組成、さらにその蓄放電能が異なり得る。有機物を電子供与体とし金属を電子受容体とする微生物の嫌気的呼吸の下で、複数の微生物の近接に伴い金属イオン同士も近接し、生物化学的反応に基づき無機化合物が形成される。この無機化合物を核とし、周囲の他の無機化合物や微生物を巻き込んで沈殿が形成されると推測される。この状態の沈殿物において、電子移動が沈殿物の中(閉鎖状態)で生じており、よって沈殿物に電気が貯められ、これが蓄電のメカニズムと推測される。この沈殿物が電子を流しやすい場(電極)に接触すると、蓄えられていた電子が放出(放電)されると考えられる。一旦貯められた電気は、中に閉じ込められた微生物の存在にかかわらず、放電できると考えられる。また、放電した後沈殿物には、電子を貯められる容量(キャパシティー)があるため、再蓄電(再充電)においても微生物の存在に依存しないと予測される。ただし、微生物が生存している場合、例えば有機性廃棄物を処理しながら蓄電することが可能と考えられる。

【0029】
上記培養は、一般的な嫌気性微生物の培養方法にしたがって行えばよく、特に限定されない。例えば、N:CO(80:20)の混合ガスで十分に脱気し、かつヘッドスペースを同じ混合ガスで置換した嫌気性の培地を用い、約25℃にて静置条件で培養する。培地の組成は上記電解質以外に、一般的な嫌気培養に使われる培地成分を含んでもよい。充分に電気が貯められた沈殿物を得るために、1~90日間又はこれ以上の日数、好ましくは3~60日間行われることが好ましい。

【0030】
上記蓄放電可能な物質は、上記沈殿物以外に、他の蓄放電性物質や賦形剤、フィラー、バインダーなど他の物質を含んでもよい。沈殿物は、そのまま無定形状態で含まれてもよく、粉末や粒状体、成形体に加工してもよい。蓄電可能な物質は、蓄放電物質として二次電池に応用することができる。また、微生物燃料電池の発電効率(電流密度)を高めるために、負極槽への添加剤又は負極の一部として使用することができる。さらに、微生物二次電池への応用も期待される。

【0031】
本発明の二次電池は、本発明の蓄放電可能な物質を蓄放電物質として含むものである。二次電池の構造は一般的に知られているものでよく、例えば箱形、円筒状やボタン型等を基調とするもので、導電性の正極と負極とを備えるものであればよい。正極としては、カーボングラファイトや導電性物質等又はそれらに白金を担持したもの等からなるものが挙げられ、負極としてはカーボングラファイトや他の導電性物質等からなるものが挙げられる。また、電池パックは、形成し易いステンレスあるいはラミネート等に密封されてもよい。蓄放電可能な物質は、粉末、粒状体、又は成形体の状態で二次電池に充填されてもよく、二次電池における使用形態は、湿式又は乾式であり得る。使用量は二次電池の構造に準じ、負極槽への充填が望ましい。二次電池は、蓄放電可能な物質の蓄放電性に基づき、繰り返し充電・放電することができる。

【0032】
本発明の微生物二次電池は、電気化学セルの負極槽中に、電気産生微生物と有機物と本発明の蓄放電可能な物質とを含むものである。微生物二次電池の構造は、一般的な微生物燃料電池に準じる。例えば、箱形や円筒状を基調とし、導電性の正極と負極とを備え、負極槽中に電気産生微生物と有機物と蓄放電可能な物質が添加されている、電気化学セルが挙げられる。正極及び負極は上記二次電池に準じる。また、微生物を培養するための液体培地が必要である。蓄放電可能な物質は、使用形態が湿式であり、使用量は構造に準じる。湿式かつ蓄電を行うためには、電気化学セルにガス排出口を設けることが好ましい。メンテナンスのために、電子供与体や新鮮な培地を供給できるようにすることが好ましく、そのための供給口及び排液口を有することが好ましい。微生物二次電池は、蓄放電可能な物質の蓄放電性に基づき、発電と放電とを別々に行うことができ、かつ、繰り返し蓄電・放電することができる。

【0033】
蓄放電可能な物質は、粉末、粒状体、又は成形体の状態で負極槽に充填されてもよい。負極槽において、蓄放電可能な物質から放出する電子が負極にスムーズに流れるように、蓄放電可能な物質の少なくとも一部を負極に接触させることが好ましい。蓄放電可能な物質は、自重で培地の中で沈殿となるため、負極と接触させるためには、負極を負極槽の底部に設けることが好ましい。また、蓄放電可能な物質と負極との接触状態をより堅固にするために、蓄放電可能な物質の少なくとも一部を負極に接着させるか、負極と一体成型にする等の方法によって負極に固定してもよい。

【0034】
上記微生物二次電池において使用し得る電気産生微生物は、特に限定されないが、Geobacter属、Shewanella属、Clostridium属、Desulfovibrio属、Desulfotomaculum属、Ochrobactrum属、Actinobacteria門、Bacterium属、Sporotalea属、Geosinus属、Firmicutes属、Selenomonas属、Veillonellaceae科、Clostridium属、Psychrosinus属、Anaerovibrio属、Sporomusa属、Propionispora属、Succinispira属、Bacillus属、Oceanobacillus属、Brachyspira属、Anaerospora属、Acetonema属、Carnococcus属、Trichococcus属及びPelosinus属から選択される少なくとも1つであることが好ましい。例えば、Geobacter sulfurreducens, Geobacter lovley、Shewanella oneidensis, Shewanella loichica、Clostridium butyricum、Desulfovibrio vulgaris、Desulfovibrio oryzae、Desulfotomaculum guttoideum、Bacillus idriensis、Ochrobactrum anthropi、Clostridium celerecrescens、Sporotalea propionica、Sporotalea colonica、Psychrosinus fermentans、Pelosinus fermentans、Selenomonas ruminantium、Selenomonas lacticifex、Clostridium quercicolum、Anaerovibrio burkinabensis、Anaerovibrio glycerini、Sporomusa rhizae、Propionispora hippei、Anaeromusa acidaminophila、Succinispira mobilis、Desulfovibrio vulgaris、Desulfovibrio termitidis、Desulfovibrio oxamicus、Desulfovibrio oryzae、Desulfovibrio intestinalis、Desulfovibrio desulfuricans、Desulfovibrio fairfieldensis、Propionispora vibrioides、Sporomusa acidovorans、Anaerospora hongkongensis、Acetonema longum、Carnococcus allantoicus、Trichococcus collinisii、並びに、Bacterium CBIC45I1株及びその近縁の微生物等が挙げられる。上記電気産生微生物は、上述した沈殿物質を生成する微生物と同じであってもよい。

【0035】
微生物二次電池の他に、微生物燃料電池の発電効率を高めるために、蓄放電可能な物質を負極槽に添加する使用形態も考えられる。この場合、発電と放電とを同時に行ってもよく。蓄放電可能な物質の蓄放電能に基づき、産生した電子の流れをスムーズにでき、これによって電流密度を増加させることができる。

【0036】
本発明の蓄放電可能な物質を製造する方法は、Desulfovibrio属、Desulfotomaculum属、Ochrobactrum属、Actinobacteria門、Bacterium属、Sporotalea属、Geosinus属、Firmicutes属、Selenomonas属、Veillonellaceae科、Clostridium属、Psychrosinus属、Anaerovibrio属、Sporomusa属、Propionispora属、Succinispira属、Bacillus属、Oceanobacillus属、Brachyspira属、Anaerospora属、Acetonema属、Carnococcus属、Trichococcus属及びPelosinus属から選択される少なくとも1つの微生物を、少なくともFe3+を含む電解質と有機物とを含む培地にて培養するステップと、培地中に生成した沈殿物を分離するステップとを含む。微生物、電解質を含む培地及び培養方法は上述のとおりである。

【0037】
沈殿物を分離する方法は、特に限定されない。例えば、遠心分離機によって分離する。また、分離した沈殿物をアルコール脱水や、減圧乾燥等によって乾燥させてもよい。沈殿物の保存条件は特に限定しないが、含まれる微生物の生存が望ましい場合、微生物の生存できる環境、例えば4℃~25℃の温度で保存することが好ましい。

【0038】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
(実施例1 蓄放電可能な物質(黒色沈殿物)の作製)
空気正極型微生物燃料電池を用い、面積4cmの0.5mg白金担持カーボンペーパーを正極とし、面積40cmのカーボングラファイトを負極とし、正極と負極との間の外部抵抗として10Ωを設置した。微生物の接種源として、日本国静岡県浜松市に位置する佐鳴湖底泥0.4gを微生物燃料電池の負極槽に添加し電流生産が確認された後に、負極溶液あるいは負電極を適当に希釈した。加圧培養試験管(三紳工業社製)にて下記の培地を用いて25℃培養し、培養197日目にロールチューブ法を用いて複数の微生物コロニーを得た。
【実施例】
【0040】
<培地>
KHPO 0.5g
MgSO・7HO 0.20g
CaCl・2HO 0.15g
NHCl 0.5g
NaHCO 2.5g
クエン酸鉄(III) 0.5mmol
SL8ストック液(×1000) 1.0mL
Se/Wストック液(×1000) 1.0mL
ビタミンミックスストック液(×100) 10.0mL
乳酸ナトリウム 20mmol
Fe(III)EDTA 0.1mmol
1%クエン酸チタン溶液 10.0mL
Gellan Gum 17g
精製水 適量 /1L、pH 7.5
<SL8ストック液(×1000)>
EDTA 2Na 5.2g
FeCl・6HO 1.49g
BO 0.061g
CoCl 0.19g
ZnCl 0.068g
MnCl・4HO 0.098g
NaMoO・2HO 0.036g
NiCl・6HO 0.03g
CuCl・2HO 0.017g /1L
<Se/Wストック液(×1000)>
NaSeO 6mg
NaWO 2HO 8 mg /1L
<ビタミンミックスストック液(×100)>
p-アミノ安息香酸塩 20mg
ビオチン 5mg
ニコチン酸 50mg
パントテン酸 25mg
ピリドキシン 75mg
チアミン 50mg
コバラミン 50mg /1L
【実施例】
【0041】
得られた複数のコロニーをそれぞれ、Fe(III)の濃度が0.1mMとなるようにクエン酸鉄(III)を添加した下記の培地に接種し、培養を行った。培養14日目より、黒色沈殿物が生成する培養物と生成しない培養物が観察された。この黒色沈殿物を培養物から分離し、後に蓄放電能を有することが確認された。
【実施例】
【0042】
KHPO 0.5g
MgSO・7HO 0.20g
CaCl・2HO 0.15g
NHCl 0.5g
NaHCO 2.5g
1%クエン酸チタン溶液 10.0mL
クエン酸鉄(III) 0.5mmol
SL8ストック液(×1000) 1.0mL
Se/Wストック液(×1000) 1.0mL
ビタミンミックスストック液(×100) 10.0mL
乳酸ナトリウム 20mmol
精製水 適量 /1L、pH 7.5
【実施例】
【0043】
(実施例2 異なる微生物培養物由来の黒色沈殿物)
実施例1で得られた9つの微生物コロニーを直接接種して得られた直接培養物、及び直接培養物の1つを接種源として植継いで得られた4つの継代培養物について、フェノール/クロロフォルム抽出法によって微生物のゲノムDNAを抽出した。その後、PCR-DGGE法(G.Muyzerら、Uitterlinden Appl.Environ.Microbiol.,1993,Vol59,p695-700)により16S rRNA遺伝子を標的とした微生物群集構造解析を行った。PCRは、Taq polymeraseとしてAmpliTaq Gold(アプライドバイオシステムズ社製)を用い、プライマーは、上記論文に準じ、変性温度94℃、アニーリング温度は55℃、伸長反応72℃で各反応時間は1分とし、36サイクルの増幅を実施した。電気泳動ゲルの濃度勾配は35%~55%であり、10%アクリルアミドゲルを用いた。泳動条件は60℃、80Vで12時間行った。
【実施例】
【0044】
PCR-DGGEの結果は図1に示す。レーン1~9は直接培養物であり、レーン1~4は黒色沈殿物が生成した培養物、レーン5~9は黒色沈殿物が生成しなかった培養物である。レーン10~13は、レーン2の直接培養物の継代培養物であり、いずれも黒色沈殿物が生成した。
【実施例】
【0045】
図1から、沈殿物非生成培養物であるレーン5~9における特異的なバンド、例えばPelotomaculum sp.に近縁の微生物を示すバンドは、沈殿物生成培養物であるレーン1~4及び10~13では検出されなかった。一方、沈殿物生成培養物における特異的なバンド、例えばバンド(1)及び(2)は、沈殿物非生成培養物において観察されなかった。このことから、沈殿生成培養物と沈殿非生成培養物とは、微生物群集構造が異なること、また、沈殿生成培養物において優占菌であるバンド(1)及び(2)を特徴とする微生物は黒色沈殿物の生成に関与していることが示唆された。なお、いずれの培養物においても、高電気生産微生物として知られているShewanella属やGeobacter属の細菌が確認されなかった。本実施例の培養物において、Shewanella属及びGeobacter属は少なくとも優占菌ではないことが示唆された。
【実施例】
【0046】
また、レーン10~13の培養物は、同一の親培養物(レーン2)に由来するにも関わらず、互いに異なる微生物群集構造を示した。さらに、レーン10~13の黒色沈殿物も異なる形状を呈していた。このことから、黒色沈殿物の生成に複数の微生物種が関与していることが示唆された。また、培養物中の優占菌の種類や量によって得られる黒色沈殿物の組成が異なることも予想される。
【実施例】
【0047】
さらに、バンド(1)及び(2)を特徴とする微生物を特定するため、以下の実験を行った。バンド(1)及び(2)をそれぞれゲルから切り出し、ゲルからDNAをTE緩衝溶液で抽出し、エタノールにより精製後、DNA水溶液を調製した。このDNAを鋳型として、Taq polymeraseとしてAmpliTaq Gold(アプライドバイオシステムズ社製)を用いて、PCR(変性94℃、アニーリング55℃、伸長72℃、各反応時間1分、サイクル数25回)を実施した。得られたPCR産物をクローニングし、Dye-terminator法により解析した。1つのサンプルに対して5個以上解析し、全てが同一であることを確認した。得られたバンド(1)及び(2)の塩基配列は以下に示す。
【実施例】
【0048】
バンド(1)の塩基配列(配列番号1)
GGGAGGCAGCAGTGGGGAATCTTCCGCAATGGACGAAAGTCTGACGGAGCAACGCCGCGTGAGTGAAGAAGGTTTTCGGATCGTAAAACTCTGTTTTCAGGGACGAATGTGCTGTTTGTAAATAATGAACAGCAATGACGGTACCTGACAAGAAAGCCACGGCTAACTACGTG
【実施例】
【0049】
バンド(2)の塩基配列(配列番号2)
GGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGCGCAATGGGCTAAAGCCTGACGCAGCGACGCCGCGTGAGGGATGAAGGTCCTCGGATCGTAAACCTCTGTCAGGAGGGAAGAACCGCCACGGTGCTAATCAGCCGTGGTCTGACGGTACCTCCAAAGGAAGCACCGGCTAACTCCGTG
【実施例】
【0050】
得られた塩基配列に基づき、Blast(http://blast.ddbj.nig.ac.jp/blast/blastn?lang=ja)を用いて近縁微生物を100個検索した。検索結果を以下にて示す。
【実施例】
【0051】
バンド(1)の塩基配列に基づく検索結果
Score E
Sequences producing significant alignments: (bits) Value
FN689723|FN689723.1 Sporotalea propionica partial 16S rRNA gene,... 287 1e-74
FN689722|FN689722.1 Sporotalea propionica partial 16S rRNA gene,... 287 1e-74
EF469692|EF469692.1 Geosinus sp. 803 16S small subunit ribosomal... 287 1e-74
EF469683|EF469683.1 Geosinus sp. 790 16S small subunit ribosomal... 287 1e-74
AM258974|AM258974.1 Sporotalea propionica partial 16S rRNAgene,... 287 1e-74
AB425279|AB425279.1 Sporotalea colonica gene for 16S rRNA,parti... 287 1e-74
DQ833371|DQ833371.1 Firmicutes bacterium BD7-2 16S ribosomalRNA... 280 2e-72
AM258975|AM258975.1 Sporotalea propionica partial 16S rRNAgene,... 280 2e-72
EU215386|EU215386.1 Pelosinus sp. UFO1 16S ribosomal RNApseudog... 272 6e-70
EF469680|EF469680.1 Geosinus sp. 785 16S small subunitribosomal... 272 6e-70
DQ833370|DQ833370.1 Firmicutes bacterium BD7-3 16S ribosomalRNA... 272 6e-70
DQ295866|DQ295866.1 Pelosinus sp. UFO1 16S ribosomal RNA gene,p... 272 6e-70
HM768898|HM768898.1 Pelosinus sp. BXM 16S ribosomal RNA gene,pa... 264 1e-67
DQ767882|DQ767882.1 Veillonellaceae bacterium FCF9B 16Sribosoma... 256 4e-65
DQ767881|DQ767881.1 Psychrosinus fermentans strain FCF9 16Sribo... 256 4e-65
DQ145536|DQ145536.1 Pelosinus fermentans strain R7 16Sribosomal... 256 4e-65
DQ833372|DQ833372.1 Firmicutes bacterium BD7-1 16S ribosomalRNA... 236 3e-59
EU728739|EU728739.1 Selenomonas sp. DJF_CR90 16S ribosomal RNAg... 224 1e-55
HM000123|HM000123.1 Selenomonas ruminantium strain CLRI1 16Srib... 216 3e-53
HE582766|HE582766.1 Selenomonas lacticifex partial 16S rRNAgene... 216 3e-53
HE582765|HE582765.1 Selenomonas lacticifex partial 16S rRNAgene... 216 3e-53
EF112197|EF112197.1 Selenomonas ruminantium strain 65 16Sriboso... 216 3e-53
DQ186901|DQ186901.1 Selenomonas ruminantium strain 19 16Sriboso... 216 3e-53
AY685142|AY685142.1 Selenomonas ruminantium isolate M40 16Sribo... 216 3e-53
AJ010962|AJ010962.1 Clostridium quercicolum 16S rRNA gene,strai... 216 3e-53
AJ010961|AJ010961.1 Anaerovibrio burkinabensis DSM 6283(T), 16S... 216 3e-53
AF373024|AF373024.1 Selenomonas lacticifex strain DSM20757 16Sr... 216 3e-53
AY661932|AY661932.1 Bacterium M-1 small subunit ribosomal RNAge... 214 1e-52
M59110|M59110.1 Clostridium quercicolum 16S ribosomalRNA. 210 2e-51
HE582767|HE582767.1 Selenomonas lacticifex partial 16S rRNAgene... 208 7e-51
AM158322|AM158322.1 Sporomusa rhizae partial 16S rRNA gene,type... 208 7e-51
AJ508927|AJ508927.1 Propionispora hippei partial 16S rRNA gene,... 208 7e-51
AF071415|AF071415.1 Anaeromusa acidaminophila 16S ribosomal RNA... 208 7e-51
AY661933|AY661933.1 Bacterium M-4 small subunit ribosomal RNAge... 202 5e-49
HM755724|HM755724.2 Clostridium sp. SW001 16S ribosomal RNA gene... 200 2e-48
DQ205191|DQ205191.1 Low G+C Gram-positive bacterium TR1 cloneMB... 200 2e-48
AY442820|AY442820.1 Bacterium YE56 16S ribosomal RNA gene,parti... 200 2e-48
AJ508928|AJ508928.1 Propionispora hippei partial 16S rRNA gene,... 200 2e-48
AJ010960|AJ010960.1 Anaerovibrio glycerini DSM 5192(T), 16SrRNA... 200 2e-48
Y17763|Y17763.1 Sporomusa sp. DR1/8 16S ribosomal DNA,partial. 194 1e-46
AJ006980|AJ006980.1 Succinispira mobilis 16S rRNAgene. 192 4e-46
AF150722|AF150722.1 Elbe River snow isolate SeqSRB5 16Sribosoma... 192 4e-46
FJ897478|FJ897478.1 Bacillus sp. NII-78 16S ribosomal RNA gene,... 190 2e-45
JQ388735|JQ388735.1 Bacillus sp. J2044/1-A 16S ribosomal RNAgen... 188 7e-45
JQ259336|JQ259336.1 Bacillaceae bacterium 'ARUP UnID 140'strain... 188 7e-45
JF893466|JF893466.1 Bacillus sp. NIOC16 16S ribosomal RNA gene,... 188 7e-45
JF893460|JF893460.1 Bacillus sp. NIOC10 16S ribosomal RNA gene,... 188 7e-45
HE577175|HE577175.1 Jeotgalibacillus sp. WS 4628 partial 16SrRN... 188 7e-45
GU339270|GU339270.1 Glacial ice bacterium EH41 16S ribosomalRNA... 188 7e-45
GU339248|GU339248.1 Glacial ice bacterium EH18 16S ribosomalRNA... 188 7e-45
GQ162111|GQ162111.1 Oceanobacillus sp. Sj-1 16S ribosomal RNAge... 188 7e-45
FN435845|FN435845.1 Bacillus sp. VM2T partial 16S rRNA gene,str... 188 7e-45
FM992841|FM992841.1 Firmicutes bacterium M71_S54 partial 16SrRN... 188 7e-45
FM992816|FM992816.1 Firmicutes bacterium M71_D119 partial 16SrR... 188 7e-45
FM875882|FM875882.1 Bacillaceae bacterium B2-147 partial 16SrRN... 188 7e-45
FJ809934|FJ809934.1 Bacillus sp. AER315-13 16S ribosomal RNAgen... 188 7e-45
EU817570|EU817570.1 Oceanobacillus sp. CHL-21 16S ribosomal RNA... 188 7e-45
EU571191|EU571191.1 Bacillus sp. 25-3 16S ribosomal RNA gene,pa... 188 7e-45
EU571188|EU571188.1 Bacillus sp. 23-9 16S ribosomal RNA gene, pa... 188 7e-45
EU221363|EU221363.1 Bacillus badius strain B2S2 16S ribosomal RN... 188 7e-45
EF503543|EF503543.1 Bacillus sp. HPC957 16S ribosomal RNA gene,... 188 7e-45
EF392690|EF392690.1 Bacillus sp. SL1213 16S ribosomal RNA gene,... 188 7e-45
EF379274|EF379274.1 Bacillus sp. SL213 16S ribosomal RNA gene,p... 188 7e-45
DQ350833|DQ350833.1 Empedobacter brevis strain N1 16S ribosomal... 188 7e-45
DQ280367|DQ280367.1 Bacillus kribbensis strain BT080 16Sribosom... 188 7e-45
AY756053|AY756053.1 Unidentified bacterium VCT113 16S ribosomal... 188 7e-45
AY756051|AY756051.1 Unidentified bacterium VCT106 16S ribosomal... 188 7e-45
AY211152|AY211152.1 Bacillus sp. 'Mali 58' 16S ribosomal RNAgen... 188 7e-45
AY211142|AY211142.1 Bacillus sp. 'Mali 48' 16S ribosomal RNAgen... 188 7e-45
AY211106|AY211106.1 Bacillus sp. 'Mali 12' 16S ribosomal RNAgen... 188 7e-45
AM950309|AM950309.1 Bacillus sp. DS10 HS-2008 partial 16S rRNAg... 188 7e-45
AF479347|AF479347.1 Glacial ice bacterium G200-N5 16S ribosomal... 188 7e-45
AF354665|AF354665.1 Bacillus sp. UM14 16S ribosomal RNA gene,pa... 188 7e-45
AF227844|AF227844.2 Bacillus sp. 76992 16S ribosomal RNA gene,p... 188 7e-45
AB682203|AB682203.1 Bacillus sp. NBRC 104470 gene for 16S rRNA,... 188 7e-45
AB425362|AB425362.1 Bacillus sp. S207 gene for 16S rRNA,partial... 188 7e-45
AB210962|AB210962.1 Low G+C Gram-positive bacterium SSCT76 gene... 188 7e-45
AJ279802|AJ279802.1 Propionispora vibrioides 16S rRNA gene, isol... 186 3e-44
AJ279798|AJ279798.1 Sporomusa acidovorans 16S rRNA gene, strain... 186 3e-44
Y17760|Y17760.1 Sporomusa sp. DR6 16S ribosomal DNA,partial. 184 1e-43
EF060193|EF060193.1 Sporomusa sp. An4 16S ribosomal RNA gene,pa... 184 1e-43
AY372052|AY372052.1 Anaerospora hongkongensis 16S ribosomal RNA... 184 1e-43
AJ279800|AJ279800.1 Sporomusa ovata 16S rRNA gene, strain DSM26... 184 1e-43
AJ010964|AJ010964.1 Acetonema longum DSM 6540(T), 16S rRNAgene. 184 1e-43
X87150|X87150.1 L.pasteurii 16S rRNAgene. 182 4e-43
M98448|M98448.1 Carnococcus allantoicus small ribosomal subunit... 182 4e-43
JQ771693|JQ771693.1 Trichococcus collinsii isolate DGGE band M1... 182 4e-43
JQ659562|JQ659562.1 Bacillus sp. R1-310 16S ribosomal RNA gene,... 182 4e-43
JQ322864|JQ322864.1 Trichococcus sp. UA-G042 16S ribosomal RNAg... 182 4e-43
JN873156|JN873156.1 Trichococcus sp. KOPRI80187 16S ribosomalRN... 182 4e-43
JN873155|JN873155.1 Trichococcus sp. KOPRI80159 16S ribosomalRN... 182 4e-43
JN873154|JN873154.1 Trichococcus sp. KOPRI80185 16S ribosomalRN... 182 4e-43
JN873153|JN873153.1 Trichococcus sp. KOPRI80183 16S ribosomalRN... 182 4e-43
JN873152|JN873152.1 Trichococcus sp. KOPRI80179 16S ribosomalRN... 182 4e-43
JN873151|JN873151.1 Trichococcus sp. KOPRI80176 16S ribosomalRN... 182 4e-43
JN873150|JN873150.1 Trichococcus sp. KOPRI80175 16S ribosomalRN... 182 4e-43
JN873149|JN873149.1 Trichococcus sp. KOPRI80173 16S ribosomal RN... 182 4e-43
JN873148|JN873148.1 Trichococcus sp. KOPRI80165 16S ribosomalRN... 182 4e-43
JF505984|JF505984.1 Trichococcus flocculiformis strain KNUC9050... 182 4e-43
JF505981|JF505981.1 Trichococcus flocculiformis strain KNUC9047... 182 4e-43
【実施例】
【0052】
バンド(2)塩基配列に基づく検索結果
Score E
Sequences producing significant alignments: (bits) Value
X86689|X86689.1 Desulfovibrio 16S rRNA gene. 333 2e-88
EU937733|EU937733.1 Desulfovibrio sp. M1 16S ribosomal RNAgene,... 333 2e-88
DQ826728|DQ826728.1 Desulfovibrio vulgaris subsp. vulgaris 16Sr... 333 2e-88
DQ517283|DQ517283.1 Desulfovibrio vulgaris strain Lac3 16Sribos... 333 2e-88
CP002297|CP002297.1 Desulfovibrio vulgaris RCH1, completegenome. 333 2e-88
CP000527|CP000527.1 Desulfovibrio vulgaris DP4, completegenome. 333 2e-88
AY548773|AY548773.1 Desulfovibrio sp. PL35L1 16S ribosomal RNAg... 333 2e-88
AY362360|AY362360.1 Desulfovibrio vulgaris strain I5 16S ribosom... 333 2e-88
AF418179|AF418179.1 Desulfovibrio vulgaris DSM 644 16Sribosomal... 333 2e-88
AE017285|AE017285.1 Desulfovibrio vulgaris subsp. vulgaris str.... 333 2e-88
AB294142|AB294142.1 Desulfovibrio vulgaris gene for 16S rRNA, pa... 333 2e-88
AB252583|AB252583.1 Desulfovibrio vulgaris gene for 16S rRNA,pa... 333 2e-88
AB237496|AB237496.1 Desulfovibrio vulgaris gene for 16S rRNA,pa... 325 5e-86
AY548758|AY548758.1 Desulfovibrio sp. SA1 16S ribosomal RNAgene... 319 3e-84
AF131234|AF131234.1 Desulfovibrio sp. 'Bendigo A' 16S ribosomal... 309 3e-81
EU937737|EU937737.1 Desulfovibrio sp. MD-4 16S ribosomal RNAgen... 303 2e-79
HM754210|HM754210.1 Desulfovibrio sp. GY2 clone 4 16S ribosomal... 293 2e-76
HM754209|HM754209.1 Desulfovibrio sp. GY2 clone 3 16S ribosomal... 293 2e-76
HM754208|HM754208.1 Desulfovibrio sp. GY2 clone 2 16S ribosomal... 293 2e-76
HM754207|HM754207.1 Desulfovibrio sp. GY2 clone 1 16S ribosomal... 293 2e-76
Z24450|Z24450.1 D.longreachii ribosomal RNA. 293 2e-76
Y12255|Y12255.1 Desulfovibrio termitidis 16S rRNA gene, strainK... 293 2e-76
X93147|X93147.1 Desulfovibrio sp. 16S ribosomal RNA (strainKH2). 293 2e-76
X87409|X87409.1 D.termitidis DNA for 16S ribosomalRNA. 293 2e-76
JN314423|JN314423.1 Desulfovibrio sp. BDNE1 16S ribosomal RNAge... 293 2e-76
DQ122124|DQ122124.1 Desulfovibrio vulgaris subsp. oxamicusstrai... 293 2e-76
CP001197|CP001197.1 Desulfovibrio vulgaris str. 'Miyazaki F',co... 293 2e-76
AY928661|AY928661.1 Desulfovibrio sp. A1 16S ribosomal RNAgene,... 293 2e-76
AY770382|AY770382.1 Desulfovibrio sp. A2 16S ribosomal RNAgene,... 293 2e-76
AY570691|AY570691.1 Desulfovibrio sp. Bsl2 16S ribosomal RNAgen... 293 2e-76
AY059411|AY059411.1 Desulfovibrio sp. R2 16S ribosomal RNAgene,... 293 2e-76
AJ295679|AJ295679.1 Desulfovibrio sp. JG5 partial 16S rRNAgene. 293 2e-76
AJ295678|AJ295678.1 Desulfovibrio sp. JG1 partial 16S rRNAgene. 293 2e-76
AJ295677|AJ295677.1 Desulfovibrio oxamicus partial 16S rRNAgene... 293 2e-76
AJ295670|AJ295670.1 Desulfovibrio sp. IrT-JG1-58 partial 16SrRN... 293 2e-76
AJ295669|AJ295669.1 Desulfovibrio sp. IrT-JG1-71 partial 16S rRN... 293 2e-76
AF273083|AF273083.1 Desulfovibrio oryzae 16S ribosomal RNAgene,... 293 2e-76
M34399|M34399.1 D.vulgaris 16S ribosomal rRNA. 291 6e-76
GQ324626|GQ324626.1 Desulfovibrio vulgaris strain TERIMIC151216... 291 6e-76
M98496|M98496.1 Desulfovibrio sp. PT-2 16S ribosomal RNA gene,c... 287 1e-74
AY664595|AY664595.1 Desulfovibrio termitidis isolate PETROMICB0... 285 4e-74
HQ022824|HQ022824.1 Desulfovibrio sp. J01 16S ribosomal RNAgene... 278 1e-71
AY928662|AY928662.1 Desulfovibrio sp. A4 16S ribosomal RNAgene,... 272 6e-70
AB298729|AB298729.1 Desulfovibrionaceae bacterium WN022 genefor... 264 1e-67
AY928231|AY928231.1 Bacterium S9552 16S ribosomal RNA gene,part... 262 6e-67
AY554146|AY554146.1 Desulfovibrio sp. LNB2 16S ribosomal RNAgen... 262 6e-67
AF056091|AF056091.1 Desulfovibrio sp. UNSW3caefatS 16Sribosomal... 254 1e-64
EU882409|EU882409.1 Desulfovibrio vulgaris 16S ribosomal RNAgen... 250 2e-63
Y12254|Y12254.1 Desulfovibrio intestinalis 16S rRNA gene, strain... 238 8e-60
Y12253|Y12253.1 Desulfovibrio intestinalis 16S rRNA gene,strain... 238 8e-60
JQ608096|JQ608096.1 Bacterium NLAE-zl-c390 16S ribosomal RNAgen... 238 8e-60
JQ607874|JQ607874.1 Bacterium NLAE-zl-C135 16S ribosomal RNAgen... 238 8e-60
JQ607812|JQ607812.1 Bacterium NLAE-zl-C69 16S ribosomal RNAgene... 238 8e-60
JQ607796|JQ607796.1 Bacterium NLAE-zl-C55 16S ribosomal RNAgene... 238 8e-60
JQ607393|JQ607393.1 Bacterium NLAE-zl-P74 16S ribosomal RNAgene... 238 8e-60
JQ607389|JQ607389.1 Bacterium NLAE-zl-P73 16S ribosomal RNAgene... 238 8e-60
JQ607383|JQ607383.1 Bacterium NLAE-zl-P72 16S ribosomal RNAgene... 238 8e-60
JQ606989|JQ606989.1 Bacterium NLAE-zl-P434 16S ribosomal RNAgen... 238 8e-60
FR733678|FR733678.1 Desulfovibrio simplex partial 16S rRNAgene,... 238 8e-60
FJ815444|FJ815444.1 Desulfovibrio sp. G11 16S ribosomal RNAgene... 238 8e-60
CP001358|CP001358.1 Desulfovibrio desulfuricans subsp. desulfuri... 238 8e-60
AY548772|AY548772.1 Desulfovibrio sp. RPf35E1 16S ribosomal RNA... 238 8e-60
AJ295680|AJ295680.1 Desulfovibrio intestinalis partial 16S rRNA... 238 8e-60
AF192154|AF192154.1 Desulfovibrio desulfuricans subsp.desulfuri... 238 8e-60
AB603520|AB603520.1 Desulfovibrio simplex gene for 16S rRNA,par... 238 8e-60
JQ607803|JQ607803.1 Bacterium NLAE-zl-C56 16S ribosomal RNAgene... 234 1e-58
JQ608116|JQ608116.1 Bacterium NLAE-zl-C412 16S ribosomal RNAgen... 232 5e-58
EU882412|EU882412.1 Desulfovibrio termitidis 16S ribosomal RNA g... 232 5e-58
JQ608159|JQ608159.1 Bacterium NLAE-zl-C456 16S ribosomal RNAgen... 230 2e-57
JQ608141|JQ608141.1 Bacterium NLAE-zl-C437 16S ribosomal RNAgen... 230 2e-57
JQ608105|JQ608105.1 Bacterium NLAE-zl-C400 16S ribosomal RNAgen... 230 2e-57
EU980605|EU980605.1 Desulfovibrio desulfuricans strain Ser-116S... 230 2e-57
DQ526427|DQ526427.1 Desulfovibrio desulfuricans strain EFX-DES1... 230 2e-57
AJ630285|AJ630285.1 Desulfovibrio intestinalis partial 16S rRNA... 230 2e-57
AF150723|AF150723.1 Elbe River snow isolate SRB4neu 16Sribosoma... 230 2e-57
JQ608146|JQ608146.1 Bacterium NLAE-zl-C443 16S ribosomal RNAgen... 228 8e-57
M80617|M80617.1 Desulfovibrio sp. 16S ribosomal RNAfragment. 224 1e-55
JQ608252|JQ608252.1 Bacterium NLAE-zl-C552 16S ribosomal RNAgen... 224 1e-55
FJ655841|FJ655841.1 Desulfovibrio desulfuricans isolate S15 16S... 224 1e-55
AJ415573|AJ415573.1 Desulfovibrio desulfuricans partial 16SrRNA... 224 1e-55
JX232355|JX232355.1 Brachyspira sp. NSH-25 16S ribosomal RNAgen... 222 5e-55
X93148|X93148.1 Desulfovibrio sp. 16S ribosomal RNA (strainKRS2). 222 5e-55
X93146|X93146.1 Desulfovibrio sp. 16S ribosomal RNA (strainKRS1). 222 5e-55
U42221|U42221.1 Desulfovibrio fairfieldensis 16S ribosomal RNAg... 222 5e-55
M34113|M34113.1 D.desulfuricans 16S ribosomal RNAgene. 222 5e-55
JQ608320|JQ608320.1 Bacterium NLAE-zl-C467 16S ribosomal RNAgen... 222 5e-55
GU585444|GU585444.1 Bacterium E51 16S ribosomal RNA gene, partia... 222 5e-55
FJ873799|FJ873799.1 Desulfovibrio desulfuricans strain SRB-2216... 222 5e-55
EU980606|EU980606.1 Desulfovibrio desulfuricans strain Ser-2 16S... 222 5e-55
DQ517287|DQ517287.1 Desulfovibrio desulfuricans strain 734 16Sr... 222 5e-55
DQ450463|DQ450463.1 Desulfovibrio desulfuricans isolate SRB1616... 222 5e-55
DQ417602|DQ417602.1 Desulfovibrio desulfuricans strain DM18 16S... 222 5e-55
DQ092636|DQ092636.1 Desulfovibrio desulfuricans strain F28-116S... 222 5e-55
AY554145|AY554145.1 Desulfovibrio sp. LNB1 16S ribosomal RNAgen... 222 5e-55
AY532164|AY532164.1 Desulfovibrio sp. ZIRB-2 small subunitribos... 222 5e-55
AF354664|AF354664.1 Desulfovibrio desulfuricans 16S ribosomalRN... 222 5e-55
AF192153|AF192153.1 Desulfovibrio desulfuricans subsp.desulfuri... 222 5e-55
JQ607872|JQ607872.1 Bacterium NLAE-zl-C133 16S ribosomal RNAgen... 218 8e-54
U60095|U60095.1 Desulfovibrio sp. IC1 16S ribosomal RNA gene,pa... 216 3e-53
JQ608158|JQ608158.1 Bacterium NLAE-zl-C455 16S ribosomal RNAgen... 214 1e-52
【実施例】
【0053】
上記結果から、沈殿物を産生する微生物は、Desulfovibrio属、Bacterium属、Sporotalea属、Geosinus属、Firmicutes属、Selenomonas属、Veillonellaceae科、Clostridium属、Psychrosinus属、Anaerovibrio属、Sporomusa属、Propionispora属、Succinispira属、Bacillus属、Oceanobacillus属、Brachyspira属、Anaerospora属、Acetonema属、Carnococcus属、Trichococcus属及びPelosinus属から選択される少なくとも1つの微生物と推測され、さらに、Desulfovibrio vulgaris、Sporotalea propionica、Sporotalea colonica、Psychrosinus fermentans、Pelosinus fermentans、Selenomonas ruminantium、Selenomonas lacticifex、Clostridium quercicolum、Anaerovibrio burkinabensis、Anaerovibrio glycerini、Sporomusa rhizae、Propionispora hippei、Anaeromusa acidaminophila、Succinispira mobilis、Desulfovibrio vulgaris、Desulfovibrio termitidis、Desulfovibrio oxamicus、Desulfovibrio oryzae、Desulfovibrio intestinalis、Desulfovibrio desulfuricans、Desulfovibrio fairfieldensis、Propionispora vibrioides、Sporomusa acidovorans、Anaerospora hongkongensis、Acetonema longum、Carnococcus allantoicus及びTrichococcus collinisiiから選択される少なくとも1つの微生物を含むと推測される。
【実施例】
【0054】
(実施例3 黒色沈殿物の元素分析)
実施例2で得られた4つの継代培養物(レーン10~13)によって生成された黒色沈殿物(以下、それぞれ黒色沈殿物タイプA、タイプB、タイプC及びタイプDという)について元素分析を行った。また、コントロールとして、実施例1において微生物を含む湖底泥を添加しないで得られた沈殿物を用いた。
【実施例】
【0055】
まず、1mL培養物について15,000gで4分の遠心分離を行い、培養上清を静かに抜き取ることにより黒色沈殿物を回収した。回収された沈殿物をエタノールによる脱水処理を行った。具体的には、沈殿物を10%、25%、30%、50%、75%、95%及び100%のエタノール水溶液に、順番にそれぞれ15分間浸漬を2回ずつ行った。
【実施例】
【0056】
脱水処理した沈殿物をエネルギー分散型X線分析装置(Miniscope TM3000、日立製作所社製)を用いて、形状観察及び元素分析を行った。スペクトルの収集時間は50.0秒であり、加速電圧が15.0kVであった。
【実施例】
【0057】
分析結果は図2~17に示す。電子顕微鏡写真から、黒色沈殿物は平たい多角形を呈していることが分かった。一方、微生物未接種下で生じた沈殿物(コントロール)は、粒子状を呈していることが分かった。また元素分析の結果から、黒色沈殿物には、炭素、酸素、フッ素、ナトリウム、マグネシウム、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、カルシウム、チタン、鉄及びセレン等多数の元素が含まれており、培地中の成分が反映されたと考えられる。一方、コントロールの沈殿物にも多数の元素が含まれており、蓄放電能を有する黒色沈殿物とは大きな差異は認められなかった。この結果から、蓄放電能を有する黒色沈殿物は、所定の微生物が存在する場合にのみ得られるものであると示唆された。しかし、そのメカニズムはまだ解明されていない。
【実施例】
【0058】
(実施例4 黒色沈殿物の蓄放電能)
幅0.5cm、縦横2cm×2cmの負極槽内に、0.5×0.5×2.0cmのカーボングラファイトを負極として設置した。その中に、培養32日目で回収した黒色沈殿物懸濁液タイプA~D(約0.15mg;濃度:50mg/L)を添加した後、負極と正極を外部抵抗510Ωで連結し、データロガ(midi LOGGER、GL200A、グラフテック株式会社製)で電圧を5分間隔で測定した。対照として、微生物未接種のコントロールを用いた。また、活性汚泥及び終濃度20mMの乳酸水溶液を添加した系も設定した。測定した電圧を用い、オームの法則(V=RI)に従って電流値を求めた。
【実施例】
【0059】
結果は図18に示す。図18から、微生物として活性汚泥及び有機物として乳酸を添加した系では、通常の微生物燃料電池の場合と同様に、誘導期を経てから電流の産生が確認された。これに対して、微生物及び有機物が添加されていない黒色沈殿物の系においては、負極と正極が連結された直後(0時間)に電流の発生が認められた。このことから、黒色沈殿物には電気が蓄積されていること、そして、蓄積された電気を放出できること、すなわち、黒色沈殿物が蓄電放電能を有することが示唆された。また、図18から黒色沈殿物のタイプによって蓄放電能に差があり、タイプAが最も高い蓄放電能を有することが分かった。微生物群集構造が異なると、黒色沈殿物の形状は異なり、また、蓄放電能にも差があることから、微生物種の組み合せ及びそれぞれの存在量が黒色沈殿物の組成及び放蓄電能力に影響すると推測される。これに対して、コントロールの沈殿物において蓄電・放電能が認められなかった。これは恐らく、コントロールの沈殿物には、微生物が介在していないためと推測される。このことからも、黒色沈殿物による蓄放電能は微生物と無機物との相互作用によるものであると推測される。
【実施例】
【0060】
(実施例5 黒色沈殿物における微生物の有無及び微生物による蓄放電能への影響)
黒色沈殿物における微生物の有無及び微生物による蓄放電能への影響を調べるため、培養89日目で回収した黒色沈殿物懸濁液タイプAについて分析した。まず、微生物の有無を確認するため、電子顕微鏡により観察した。結果は図19に示す。また、121℃にて、1.1気圧下で15分間オートクレーブにて滅菌処理した沈殿物タイプAと沈殿物タイプAの放電能(電流密度)も測定した。結果は図20に示す。
【実施例】
【0061】
図19からは、黒色沈殿物の表面に微生物が付着していることが分かった。図20からは、滅菌処理と未滅菌とでは、沈殿物の放電能力に大きな差異は認められなかった。実施例4(図18)の結果と比べて、放電時間が短かったが、これは恐らく実施例5の沈殿物は培養日数が長いため、沈殿物に蓄積された電子は微生物に消費されてしまったと推測される。
【実施例】
【0062】
上記の結果から、所定の微生物は沈殿物の蓄電に関与しており、放電そのものには関与していないと推測される。沈殿物表面に付着している又は沈殿物の中に取り込まれている微生物によって発生した電子は、沈殿物に蓄電されると考えられる。沈殿物を2次電池に応用する場合、微生物は必ずしも必要ではないが、含んだほうがよりよいと考えられる。微生物が存在しない場合は、純粋に物理化学的再充電となり、エネルギーが必要となるが、微生物が存在していれば、有機廃棄物の処理とエネルギーの蓄積とを同時に行えるからである。
【実施例】
【0063】
(実施例6 黒色物質の酸化還元電位特性の解析)
(1)黒色物質の回収
黒色物質を以下のようにして回収した。なお、以下の操作は遠心分離を除いて全て嫌気チャンバー内で行った。
培養してから24日経過した黒色物質生成培養物の上清を滅菌したピペットである程度除去した後、黒色物質が均一になるように撹拌し、20mLずつ6本の遠沈管に分注した。遠沈管を2000×gで5分間遠心分離した。上清を除去し、新鮮な培地(作製法は後述)を遠沈管1本につき20mL加え懸濁した。その後、6本のサンプルのうち、2本ずつを1本にまとめ、計3本とした。そして、さらに遠沈管を2000×gで5分間遠心分離した。上清を除去し、新鮮な培地を遠沈管1本につき20mL加え、懸濁し、さらに遠沈管を2000×gで5分間遠心分離する作業を2回行った。
上清を除去し、新鮮な培地を遠沈管1本につき10mL加え懸濁した後、1本にまとめた。
【実施例】
【0064】
上記の黒色物質の懸濁に用いた新鮮な培地は以下のようにして作製した。
表1に示した溶液1を40mLのバイアル瓶に添加し、ブチルゴム栓及びアルミキャップで密閉した。これを超音波(超音波洗浄機、ソノクリーナーD50、株式会社カイジョー製)存在下で気泡が出なくなるまで減圧脱気し、N/COガスで5分間バブリングした。この操作を2回行った。
オートクレーブした後、表1に示す溶液2をフィルター(Millex-LG LHシリンジフィルター0.2μm、ミリポア社製)でろ過しながら添加した。
【実施例】
【0065】
【表1】
JP2014064566A_000003t.gif
【実施例】
【0066】
【表2】
JP2014064566A_000004t.gif
【実施例】
【0067】
【表3】
JP2014064566A_000005t.gif
【実施例】
【0068】
【表4】
JP2014064566A_000006t.gif
【実施例】
【0069】
(2)乾燥重量の測定
一本の遠沈管に回収した黒色物質を均一に撹拌した後、滅菌したシリンジを用いて1mL回収し、以下の方法により、乾燥重量を測定した。
あらかじめ空の1.5mL容エッペンドルフチューブの重さを、精密天秤を用いて測定した。重量を測定した空の1.5mL容エッペンドルフチューブに黒色物質を含む培地を1mL投入し、20000×g、4℃で5分間遠心分離した。上清を除去し、100%エタノールを1.0mL投入し、懸濁し、20000×g、4℃で5分間遠心分離した。上清を除去し、dHOを1.0mL投入し、懸濁し、20000×g、4℃で5分間遠心分離した。上清を完全に除去し、70℃で12時間乾燥させた。乾燥後、直ちにデシケーターに移動させ、精密天秤を用いて重量を測定した。乾燥重量が37.6mg/mLであることを確認した。
【実施例】
【0070】
(3)サイクリックボルタンメトリー(CV)曲線解析
上記黒色物質を含む培養物を、参照電極に黒色物質が接触しないようにするため、乾燥重量が6mg/mLになるよう調整してから、7.6mLを微生物燃料電池(Microbial Fuel Cells;以下、MFCということがある)の負極槽に投入した。MFCの構成を表5に示す。MFC本体(負極槽体積7.6mL)、正電極のカーボンペーパー(22mm×22mm、実反応面積:0.79cm)、負電極のITOガラス電極(実反応面積:3.8cm)及びプロトン交換膜のNafion 117(24mm×24mm、実反応面積:0.79cm、デュポン社製)を嫌気チャンバー内に移した。黒色物質を含む培地をMFCの負極槽内に充填し、正電極、負電極及びプロトン交換膜を設置し、MFCを嫌気チャンバーから取り出した。1000Ωの外部抵抗で正極と負極を連結した。
【実施例】
【0071】
【表5】
JP2014064566A_000007t.gif
【実施例】
【0072】
上記MFCを用いて、オートマチックポラリゼーションシステム(HSV-110、北斗電工株式会社製)を使用してCV曲線解析を実施した。CV曲線の測定条件を表6に示す。
【実施例】
【0073】
【表6】
JP2014064566A_000008t.gif
【実施例】
【0074】
同様の実験を、黒色物質を含有した培養物をオートクレーブして滅菌処理した系に対しても行った。また、培地のみの系についても同様の条件でCV曲線を測定した。
【実施例】
【0075】
図23は、微生物含有黒色物質、オートクレーブ処理黒色物質及び培地のみのサイクリックボルタモグラムを示したものである。図23の縦軸は電流密度(mA/g)を、横軸は標準水素電極(SHE)に対する電位を表す。なお、図23は、Ag/AgCl電極を参照電極として測定した電位を、標準水素電極に対する電位に補正して示したものである。培地のみのサイクリックボルタモグラムでは酸化還元ピークが観察されなかった。他方、微生物含有黒色物質及びオートクレーブ処理黒色物質のサイクリックボルタモグラムでは、いずれも酸化還元ピークが観察された。このことから、微生物含有黒色物質及びオートクレーブ処理黒色物質は、いずれも電子を授受する能力を有し、電子運搬体として使用できることが分かった。
【実施例】
【0076】
(実施例7 黒色物質の放電能力測定実験)
(1)乾燥重量測定
黒色物質を含む培養物を均一に撹拌し、滅菌したシリンジを用いて黒色物質を1mL回収し、乾燥重量を測定した。乾燥重量の測定方法は実施例6で記載したのと同様の方法で行った。測定の結果、乾燥重量は0.5579mg/mLであった。
【実施例】
【0077】
(2)MFCの構築及び放電能力測定
上記培養物を外部抵抗の異なるMFCに投入し、その電流値をモニタリングした。表7にMFCの構成を示す。
【実施例】
【0078】
【表7】
JP2014064566A_000009t.gif
【実施例】
【0079】
(2-1)負電極の前処理
ドラフト内でカーボングラファイトシートを適当な大きさで切断し、95%エタノール溶液に30分浸した後に蒸留水で十分に濯いだ。その後、0.1M HClに撹拌しながら一晩浸漬した。さらに、蒸留水で十分に洗浄した後、70℃で2日間乾燥後、カーボングラファイトを25mm×10mm×5mmに切断した。その後、嫌気的処理のために表1の溶液2を除いた培地に負電極を浸し、超音波存在下で1時間の脱気と10分間のN/COガスによるバブリングを2回繰り返し、オートクレーブ処理をした。
【実施例】
【0080】
(2-2)プロトン交換膜の前処理
Nafion 117を3%H溶液中で1時間煮沸した後にイオン交換水でよく濯いだ。次に、1M HSO溶液中で1時間煮沸し、イオン交換水でよく濯いだ。その後、イオン交換水中で保存した。
【実施例】
【0081】
(2-3)MFCの構築及び放電能力測定
負極槽(25mm×25mm×10mm)、正電極(22mm×22mm、実反応面積:10mm×10mm)、前処理を行った負電極(25mm×10mm×5mm)及びプロトン交換膜(24mm×24mm、実反応面積:10mm×10mm)を嫌気チャンバー内に移した。黒色物質を含む培地をMFCの負極槽内に充填し、直径5mm(内径4mm)×10mmシリコンキャップ(アズワン株式会社製)で塞ぎ、RTVゴム(信越化学工業株式会社製)で完全に密封した。プロトン交換膜及び正電極を設置し、MFCを嫌気チャンバーから取り出した。7種の外部抵抗で正極と負極を連結し、電圧測定器(midi LOGGER GL820、グラフテック株式会社製)に接続し、10秒おきに電圧を測定した。オームの式V=RI及び乾燥重量から、電力密度を算出した。
【実施例】
【0082】
図24は、微生物含有黒色物質の放電実験を外部抵抗の値を変化させて行った結果を示す。図中の縦軸は電力密度(W/kg)を、横軸は時間(分)を表す。いずれの場合も、負極と正極が連結された直後に電流の発生が認められた。このことから、微生物含有黒色物質には電気が蓄積されていることに加え、放電能力があることが確認された。
【実施例】
【0083】
(実施例8 微生物含有黒色物質の畜放電能力測定実験)
実施例7に記載したMFCの負極槽内に黒色物質を含む培養物を投入し、黒色物質の畜放電能力を確認した。表8に示す測定条件で黒色物質の畜放電を行った。畜放電にはポテンショスタット/ガルバノスタット(HA-151B、北斗電工株式会社製)を使用した。
【実施例】
【0084】
【表8】
JP2014064566A_000010t.gif
【実施例】
【0085】
図25は、表8に示す測定条件下、微生物含有黒色物質の放電及び蓄電時の電流密度変化を経時的に測定した結果を示した図である。図中、Dは放電期間を、Cは蓄電期間をそれぞれ示す。D0は微生物含有黒色物質それ自体の放電を示す。C1では-0.2Vで10分間、C2では-0.2Vで20分間、C3では-0.4Vで10分間、C4では-0.4Vで20分間、C5では-0.4Vで30分間及びC6では酢酸4.5mM存在下で3時間培養、の条件でそれぞれ蓄電を行った。D1~D6はC1~C6の蓄電後の放電をそれぞれ示す。図中の縦軸は電流密度(mA/m)を、横軸は時間(時)を表す。
【実施例】
【0086】
上記畜放電実験から、微生物含有黒色物質は、放電後に蓄電することで再度放電を行えることが確認された。また、C6とD6から、黒色物質を含有する培養物を、酢酸4.5mM存在下で3時間培養することで、黒色物質に電子が蓄えられ、再度放電することが確認された。上記結果から、微生物含有黒色物質は畜放電能力を有し、二次電池に応用可能であることが示唆された。また、微生物含有黒色物質は微生物によって発生した電子を蓄電することができるため、微生物の有機廃棄物の処理によって生じたエネルギーの蓄積を媒介する物質として使用可能であることが示唆された。
【実施例】
【0087】
(実施例9 微生物非含有黒色物質の畜放電能力測定実験)
実施例8と同様の実験を、黒色物質を含む培養物をオートクレーブして滅菌処理した系に対しても行った。その測定条件を表9に示す。
【実施例】
【0088】
【表9】
JP2014064566A_000011t.gif
【実施例】
【0089】
図26は表9に示す測定条件下、オートクレーブで滅菌処理した黒色物質の放電及び蓄電時の電流密度変化を経時的に測定した結果を示した図である。図中、Dは放電期間を、Cは蓄電期間をそれぞれ示す。D0はオートクレーブ処理した黒色物質それ自体の放電を示す。C1では-0.2Vで20分間及びC2では-0.4Vで30分間、の条件でそれぞれ蓄電を行った。D1及びD2は、それぞれ蓄電後の放電を示す。縦軸は電流密度(mA/m)を、横軸は時間(時)を表わす。
【実施例】
【0090】
上記畜放電実験から、オートクレーブで滅菌処理した黒色物質が、畜放電能力を有することが確認された。また、黒色物質は微生物が存在していなくても電気的な蓄電が可能であり、黒色物質自体が畜放電能力を有することが確認された。
【実施例】
【0091】
(実施例10 微生物群集構造解析)
(1)DNA抽出
黒色物質を含む培養液を回収し、DNA抽出を行った。その手順を以下に示す。
黒色沈殿物質を生成した培養液から黒色沈殿物質懸濁液を1.0mL採取し、1.5mL容エッペンドルフチューブに分注した。これを、2000×g、4℃で10分間遠心分離し、上清のみを新しい1.5mL容エッペンドルフチューブに取り分けた。これにTE bufferを280μL添加し完全に懸濁した。この懸濁液に20%SDSを30μL添加し再懸濁した。-80℃での冷却を15分、65℃で5分間の保温を3回繰り返した。20mg/mL プロテイナーゼKを10μL添加した後、37℃で一晩保温した。5MのNaCl溶液を50μL添加し混合した。この混合液に10%CTAB/0.7M NaCl溶液を40μL添加した後、65℃で10分間保温し、氷上に移動させた。以後の操作は氷上で行った。この溶液に冷えたTE飽和フェノールを350μL添加し、十分に懸濁した後、20000×g、4℃で8分間遠心分離し、上清のみを新しい1.5mL容エッペンドルフチューブに確保した。そのエッペンドルフチューブに冷えたクロロホルムを350μL添加し、十分に懸濁した後、20000×g、4℃で5分間遠心分離し、上清のみ新しいエッペンドルフチューブに確保した。3Mの酢酸ナトリウム(CHCOONa)溶液(pH5.2)を上清の1/10量添加し懸濁した。-20℃で冷却された100%2-プロパノールを静かに溶液と等量添加し、ゆっくりと界面を揺らしながら懸濁し、-80℃で30分間静置した。その後、20000×g、4℃で30分間遠心分離し、上清を取り除いた。-20℃で冷却された70%エタノールを400μL添加し、20000×g、4℃で20分間遠心分離し、上清を完全に除去した。-20℃で冷却された100%エタノールを180μL添加し、20000×g、4℃で20分間遠心分離し、上清を完全に除去した。真空デシケーターで沈殿物中のエタノールを完全に除去した。蒸留水(dHO)を50μL添加し、これをDNA溶液とした。
【実施例】
【0092】
(2)ライゲーション
精製されたDNAを鋳型とし、ポリメラーゼとしてKOD FX(東洋紡社製)を用いてPCRを行った。プライマーには9rev(5’-AAGGAGGTGATCCAGCC-3’:配列番号3)及びproR(5’-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3’:配列番号4)を用いて表10に示す反応組成及び表11の条件下、PCR反応によりDNAを増幅した。
【実施例】
【0093】
【表10】
JP2014064566A_000012t.gif
【実施例】
【0094】
【表11】
JP2014064566A_000013t.gif
【実施例】
【0095】
増幅した16S rRNA遺伝子を含んだPCR産物9μLと10×A-attachment Mix(Target CloneTM-Plus-、東洋紡社製)1μLを混合し60℃、30分間反応させ3末端にアデニン付加させた。アデニン付加させたPCR産物をpTA2ベクターにライゲーションさせるために、表12の組成に調節し、室温で30分間反応させた。
【実施例】
【0096】
【表12】
JP2014064566A_000014t.gif
【実施例】
【0097】
16S rRNA遺伝子を挿入したpTA2ベクター10μLとコンピテントセル(Competent high DH5α、東洋紡社製)100μLを混合し、氷上で30分間反応させた後、42℃で30秒ヒートショックし形質転換させ、氷上で2分間冷却した。これにSOC培地を900μL加え、37℃で1時間振盪培養した。培養したサンプルを、20mg/mL 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド(X-gal、和光純薬工業株式会社)100μL及び0.2g/mL イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG、和光純薬工業株式会社)50μLを表面に塗布した25μg/mL アンピシリン(和光純薬工業株式会社)入りLB寒天培地に、100μLずつ接種し37℃で16時間静置培養した。LB培地の組成を表13に示す。
【実施例】
【0098】
【表13】
JP2014064566A_000015t.gif
【実施例】
【0099】
LB寒天培地上に形成した白色コロニーを、滅菌したつまようじでアンピシリン入りTB培地(表14)へ接種した。接種されたTB培地を37℃、16時間振盪培養した。培地が懸濁したのを確認し、プライマーセット(pTA2-f:TCGAGGTCGACGGTATC(配列番号5)及びpTA2-r:CGCTCTAGAACTAGTGGATC(配列番号6)を用いて表10及び表11の条件でDirect PCR反応を行った。PCR産物を1.5%アガロースゲルで100V、30分間の条件で分子量100bp Laddar(株式会社カーク製)と共に電気泳動した。UVトランスイルミネーターで目的遺伝子が存在しているか確認し、確認したサンプルを1.5mL容エッペンドルフチューブに移し、20000×g、4℃で10分間遠心分離し、菌体ペレットを取得した。
【実施例】
【0100】
【表14】
JP2014064566A_000016t.gif
【実施例】
【0101】
(3)プラスミドDNA溶液の抽出
上記菌体ペレットから目的のプラスミドDNAをWizard Plus Minipreps DNA Purification System(プロメガ社製)を用いて抽出した。表15に示す各溶液を調製した。菌体ペレットの入った1.5mL容のエッペンドルフチューブに表15のCell Resuspension Solutionを200μL加え、完全に懸濁した。これにRNaseを1μL加え混合した。さらに、表15のCell Lysis Solutionを200μL混合した後、表15のNeutralization Solutionを200μL混合した。上記混合液を、10000×g、20℃で5分間遠心分離した。遠心分離後、中間層のみを新しいエッペンドルフチューブに移しDNA Purification Resinを800μL加え、3分間静置した。Minicolumn(プロメガ社製)を取り付けた5mLシリンジ(テルモ株式会社製)で押し出し、カラムにDNAを吸着した粒子をトラップさせた。カラムを洗浄するために表15のColumn Wash Solutionを2mLシリンジで押し出した。Minicolumnを1.5mL容のエッペンドルフチューブに移し、10000×g、20℃で2分間遠心分離した。Minicolumnを新しい1.5mL容のエッペンドルフチューブに移し70℃の蒸留水を50μL加え、10000×g、20℃で30秒間遠心分離し、目的遺伝子を挿入したプラスミドDNA溶液を取得した。
【実施例】
【0102】
【表15】
JP2014064566A_000017t.gif
【実施例】
【0103】
(4)制限酵素処理
プラスミドDNAに目的のDNA配列が挿入されていることを以下の方法で確認した。
pTA2 Vector内のDNA挿入箇所の両端に存在する配列(f:5’GAATTC及びr:3’CTTAAG)を特異的に認識し切断する酵素EcoRI(タカラバイオ株式会社)で処理し、電気泳動することで目的の遺伝子が挿入されていることを確認した。表16の溶液を用意し、恒温槽で37℃、1時間反応させ、得られた反応液を電気泳動した。
【実施例】
【0104】
【表16】
JP2014064566A_000018t.gif
【実施例】
【0105】
制限酵素処理によって目的遺伝子の挿入が確認されたプラスミドDNA溶液の吸光度を、吸光光度計(UV-1800、島津製作所製)を用いて200nm~300nmの範囲で測定し、得られた260nmにおける吸光度から以下の式によってDNA濃度を算出した。

DNA(ng/μL)=OD260nm×50(ng/μL)
得られた結果から、塩基配列解読のためにサンプルを表17のように調製した。なお、塩基配列解読のために、300~600ngのプラスミドDNAが必要であるため、上記式から求めた濃度の結果を基に、300~600ngに収まるよう、プラスミドDNA溶液量(Xμl)を決定した。
【実施例】
【0106】
【表17】
JP2014064566A_000019t.gif
【実施例】
【0107】
96wellプレート(グライナーバイオワン社製)に1サンプル毎に分注し、80×140mmアルミシール(グライナーバイオワン社製)で蓋をした状態で株式会社グライナージャパンに解析を依頼した。解読されたデータはソフトウェアBioeditを用いて塩基配列データを目視で確認し、信頼可能な塩基配列(配列番号7~56)を用いてBlast解析を行った。
【実施例】
【0108】
図27は黒色物質を生成した培養物中の微生物を群集構造解析した結果を示す。円グラフ内の数字(%)は全体に対する割合を示し、微生物名横の数字(%)は相同性を示す。上記で解読された配列と相同性のある配列をBlast解析した結果、配列番号7~25はOchrobactrum anthropiの16S rRNAと、配列番号26~40はBacterium16S rRNAと、配列番号41~49はDesulfotomaculum guttoideumの16S rRNAと、配列番号50~55はDesulfovibrio sp.の16S rRNAとそれぞれ99%の相同性を有することが確認された。また、解読された配列である配列番号56はActinobaculumの16S rRNAと96%の相同性を有することが確認された。このことから、少なくとも上記の微生物の1つが黒色物質の生成に関与していることが推測される。ただ、これ以外の微生物が黒色物質生成及びその促進に関与している可能性もある。
【実施例】
【0109】
(実施例11 畜放電能を有する物質の生成に関与する微生物の分離)
微生物の分離を6-well plate法(Kohei Nakamura et al. 2011. Microbes Environ. 26(4) p 301-306. “Asix-well plate method: less laborious and effective method for cultivation ofobligate anaerobic microorganisms”.)に準じて行った。
【実施例】
【0110】
(1)6-well plate法
試験管に表18の後入れ試薬を除く嫌気性培地を9mlずつ分注したものを7本用意し、超音波存在下で10分間脱気し、8分間N/COバブリングをする操作を2回繰り返した。これをオートクレーブ処理後、クリーンベンチ内で表18の後入れ試薬を添加した。黒色物質を生成した培養物1mLを9mLの培地に接種することで10倍希釈した。その希釈溶液を十分に撹拌した後、同様に1mLを9mLの培地に接種し、100倍希釈とした。同様にして10倍希釈溶液まで作製した。これらを嫌気チャンバー内に移し、6-well plate(ZELLKULTUR TEST PLATE、TPP社製)に10~10倍希釈溶液をそれぞれ1wellに0.1mLずつ入れた。
表18の培地にゲランガムを0.45%(0.27g-ゲランガム/60mL-培地)になるように入れ、超音波存在下で10分脱気し、8分 N/COバブリングを2回繰り返した。これをオートクレーブした直後に嫌気チャンバー内に入れ、上記6-well plateの1wellに10mLずつ添加した。
ゲルが固まるのを待ち、6-well plate及びアネロパウチ・ケンキ(三菱ガス化学工業株式会社製)2つとを、パウチ袋(W150×L330mm、三菱ガス化学株式会社製)に入れ、密閉した。これを暗所25℃の条件下静置し、培養した。
【実施例】
【0111】
【表18】
JP2014064566A_000020t.gif
【実施例】
【0112】
(2)微生物の同定
培養された微生物からフェノール/クロロホルム抽出法によってDNAを抽出し、プライマーとしてproR及び9rev(表19)を用いて16S rRNA遺伝子を標的としたPCRを行った(表20)。PCR産物100μL及びブロモフェノールブルー(BPB)10μLを電気泳動し、得られたDNA断片を以下のように、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System(プロメガ社製)のプロトコールにのっとり、精製した。
【実施例】
【0113】
【表19】
JP2014064566A_000021t.gif
【実施例】
【0114】
【表20】
JP2014064566A_000022t.gif
【実施例】
【0115】
上記電気泳動後、カッターナイフを用いて目的のバンドを切り出した。表21のMembrane Binding Solutionをゲルスライス10mgに対して、10mL添加し、転倒混和により混合し、これを60℃で10分間反応させた。上記混合液をSV Minicolumnに分注した後、Collection tubeにこのSV Minicolumnを挿入し、調製したゲル溶解液を添加後、室温で1分間反応させた。SV Minicolumn assemblyを16000×g、1分間で遠心分離後、SV Minicolumnを取り外し、Collection tube内の液体を除去し、再度Collection tubeにSV Minicolumnを挿入した。表21のMembrane Wash Solution 500μLをSV Minicolumnに添加し、SV Minicolumn assemblyを16000×g、5分間遠心分離後、Collection tubeの中の液体を除去した。表21のMembrane Wash Solutionを500μL添加し、16000×g、5分間遠心分離した。SV Minicolumnを新しい1.5mLエッペンドルフチューブに移し、Nuclease-Free Water 50μLを添加した。1分間室温で反応させ、16000×g、1分間で遠心分離した。SV Minicolumnを破棄し、チューブ内のDNAを保存した。
【実施例】
【0116】
【表21】
JP2014064566A_000023t.gif
【実施例】
【0117】
上記で取得したDNAをさらにカラムを使った以下の方法により精製した。
Microspin S-400 HR columns(アマルシャムファルマシアバイオテク社製)を逆さまにし、中のレジンを完全に懸濁した。蓋を少し緩め、カラム下部を折り取り、エッペンドルフチューブにのせて、3000rpmで1分間遠心分離した。新しいエッペンドルフチューブにカラムを載せ、蓋を外した。レジンの中央にPCR産物として保存した上記DNAをゆっくり滴下し、2~3分間静置した。3000rpmで90秒間遠心し、エッペンドルフチューブの底に濾液があることを確認し、カラムを破棄した。
【実施例】
【0118】
精製されたDNA溶液の吸光度を、吸光光度計(UV-1800、島津製作所製)を用いて200~300nmの範囲で測定し、次式によりDNA濃度を算出した。

DNA(ng/μL)=OD260nm×50(ng/μL)
16S rRNA遺伝子の全長を読むため、それぞれの単離菌株につき、27F、518R、800R及び1492R(表19)のプライマーを用いて解析した。株式会社グライナージャパンに解析を委託し、解読されたデータからBlast解析を行った。
【実施例】
【0119】
表22に各分離菌株についてBlast解析を行った結果を示す。分離菌株HM111(配列番号61)はDesulfovibrio sp.と99%の相同性を有することが確認された。HM211(配列番号62)はBacillus idriensisと99%の相同性を有することが確認された。また、分離菌株HM213(配列番号63~68)は、Ochrobactrum cytisi及びClostridium celerecrescensと、97%以上の相同性を有することが確認され、HM213には上記微生物が混合して存在することが示唆された。分離菌株HM411(配列番号69~73)は、Propionicimonas paludicola及びOchrobactrum cytisiと、97%以上の相同性を有することが確認され、HM411には上記微生物が混合して存在することが示唆された。分離菌株HM511(配列番号74~79)は、Rhodopseudomonas palustris、Clostridium sp.及びOchrobactrum cytisiと、97%以上の相同性を有することが確認され、HM511には上記微生物が混合して存在することが示唆された。分離菌株HMW(配列番号80~85)は、Propionicmonas paludicola、Ochrobactrum cytisi、Desulfotomaculum guttoideum及びClostridium celerecrescensと、97%以上の相同性を有することが確認され、HMWには上記微生物が混合して存在することが示唆された。また、生成した沈殿物の形状及び色は分離菌株ごとに異なっていた。
【実施例】
【0120】
【表22】
JP2014064566A_000024t.gif
【実施例】
【0121】
(実施例12 各分離菌株で生成した沈殿物質の放電実験)
実施例11の各分離菌株によって生成された沈殿物質の放電能力を確認するために、空気正極型MFCを構築した。負極槽容量6.25mL、正電極として22mm×22mm 0.5mg/cm 白金担持カーボンペーパー(TGP-H-060、東レ株式会社製)、プロトン交換膜として24mm×24mm Nafion 117(デュポン社製)、負電極として25mm×10mm×5mm カーボングラファイト(綜合カーボン株式会社製)に接続し、外部抵抗510Ωを介して正電極と接続した。白金線と正極カーボンペーパーの接続には電子顕微鏡用銀ペースト(シルベスト P-255 日新EM株式会社製)を使用した。
【実施例】
【0122】
(1)負電極の前処理
ドラフト内でカーボングラファイトシートを適当な大きさで切断し、95%エタノール溶液に30分浸した後に蒸留水で十分に濯いだ。その後、0.1M HClに撹拌しながら一晩浸漬した。さらに、蒸留水で十分に洗浄した後、70℃で2日間乾燥後、カーボングラファイトを25mm×10mm×5mmに切断した。その後、嫌気的処理のために表18の後入れ試薬を除いた培地に負電極を浸し、超音波存在下で1時間の脱気と10分間のN/COガスによるバブリングを2回繰り返し、オートクレーブ処理をした。
【実施例】
【0123】
(2)Nafion 117の前処理
Nafion117を3%H溶液中で1時間煮沸した後にイオン交換水でよく濯いだ。次に、1M HSO溶液中で1時間煮沸し、イオン交換水でよく濯いだ。その後、イオン交換水中で保存した。
【実施例】
【0124】
(3)MFCの組立
MFC本体(外枠:40mm×40mm×20mm、負極槽:25mm×25mm×10mm)、正電極(22mm×22mm、実反応面積:10mm×10mm)、前処理を行った負電極(25mm×10mm×5mm)及びプロトン交換膜(24mm×24mm、実反応面積:10mm×10mm)を嫌気チャンバー内で組み立てた。黒色物質を含む培養物をMFC内に充填し、直径5mm(内径4mm)×10mmシリコンキャップ(アズワン社製)で塞ぎ、RTVゴム(信越化学工業株式会社)で完全に密封した。10Ωの外部抵抗で正極と負極を連結し、電圧測定器(midi LOGGER GL820、グラフテック株式会社製)に接続し、10秒おきに電圧を測定した。
【実施例】
【0125】
(4)黒色物質の重量測定
空のエッペンドルフチューブを、80℃で一晩加熱乾燥し、電子天秤(XA204 DeltaRange、メトラートレド社製)を用いて重量を測定した。そのエッペンドルフチューブに黒色物質を含む培養物を採取し、20000×g、4℃で5分間遠心分離し、上清を除去した。その後、黒色物質の塩を洗浄するために、蒸留水を添加し懸濁し、再度同様の条件で遠心分離を行い、上清を除去した。これを3回繰り返した。上清を除去した沈殿物を80℃で一晩加熱乾燥し、電子天秤を用いて重量を測定した。
【実施例】
【0126】
(5)データの算出
測定した電圧をオームの法則(V=RI)に従って電流値へ変換し、MFC負電極表面積(0.00085m)及び乾燥重量に対する電力密度を算出した。
【実施例】
【0127】
図28は各分離菌株で生成した沈殿物質の放電時の電力密度変化を経時的に測定したものである。表22のHM111、HM213、HM511及びHMWの分離菌株で生成した沈殿物質はいずれも放電能力を有することが確認された。
【実施例】
【0128】
(実施例13 沈殿物質生成に及ぼすpHの影響)
pHを割り振った培地を作製するために、クエン酸-クエン酸ナトリウムをバッファーとして用いた培地を作製した。表1のNaHCOをクエン酸 10mM(1.9212g/L)に変更した培地(溶液1)を作製した。同様に表1のNaHCOをクエン酸ナトリウム二水和物 10mM(2.941g/L)に変更した培地(溶液2)を作製した。溶液1と溶液2を混合し、pHをそれぞれ3.5、4.5、5.5及び6.3に調整した。また、コントロールとして表1の培地を作製した。溶液1を超音波存在下で10分脱気し、8分間のN/COバブリングを2回繰り返し、オートクレーブ処理後、表1の溶液2を添加した。作製された培地にサンプル(1L培養系2代目、Day 25)を80mLの培地に対して1mL接種した。
【実施例】
【0129】
図29(A)は、培養液のpHと沈殿物質生成との関係を示す。培養液のpHは左からそれぞれ3.5、4.5、5.5、6.3及び7.0に調整して、培養液のpHが沈殿物質の生成に与える影響を調べた。培養液のpHが7.0(コントロール)の場合には、1日目から黒色物質が生成した。これに対して、培養液のpHが6.3の場合には、4日目に培養液が白く濁り、5日目に白色物質が生成した。他方、培養液のpHが3.5、4.5及び5.5の場合には、沈殿物質が生成しなかった。
【実施例】
【0130】
図29(B)は、培養液のpH変化を経日的に測定した結果を示す図である。図29(C)は培養液中の硫酸イオン濃度変化を経日的に測定した結果を示す図である。なお、硫酸イオン濃度はイオンクロマトグラフ法で測定して求めた。培養液のpHが5.5以下の場合は、日が経っても硫酸イオン濃度に変化は見られなかった。他方、培養液のpHが6.3及び7.0の場合は、硫酸イオン濃度が、日が経つにつれて減少することが分かった。
【実施例】
【0131】
(実施例14 異なるpH下で生成した沈殿物質の放電実験)
培養液のpHが6.3及び7.0とした場合に生成した沈殿物質の放電実験を実施例12と同様の方法で行った。
【実施例】
【0132】
図30は、異なるpH下で生成した沈殿物質の放電時の電力密度を経時的に測定した結果を示す図である。図中の縦軸は電力密度(W/kg)を、横軸は時間(分)を表す。培養液のpHを7.0とした場合に生成した沈殿物質のみならず、培養液のpHを6.3とした場合に生成した沈殿物質も放電能力を有することが確認された。
【実施例】
【0133】
(実施例15 黒色物質が微生物燃料電池の発電効率に及ぼす影響)
燃料電池負極槽(36mL)に0.5cm角のカーボングラファイトを165個封入した。プロトン交換膜としてNafion 117、正極には白金担持(0.5mg-Pt/cm)カーボンペーパーを用い、負極と正極を外部抵抗10Ωで連結した。電子供与体として乳酸を20mMとなるように添加した。接種源として一方のMFCに水田土壌0.4gを添加し、他方には黒色物質培養物(タイプA培養物)を2.0mL添加した。電圧を5分間隔でモニタリングした。
【実施例】
【0134】
図31は、黒色物質培養物を添加した系と添加しなかった系の電力密度変化を経日的に測定した結果を示す。図31中、黒色物質培養物を添加しなかった系の電力密度を10倍にして表示した。黒色物質培養物を添加した系では、添加しなかった系に比べて微生物燃料電池の発電効率が約80~100倍向上することが分かった。黒色物質の存在により発電効率が向上する理由として、黒色物質が微生物から電極への電子の授受を媒介することで、微生物から電極への電子の流れを容易にし、電子移動の効率を上昇させていることが考えられる。
図面
【図23】
0
【図24】
1
【図25】
2
【図26】
3
【図27】
4
【図28】
5
【図30】
6
【図1】
7
【図2】
8
【図3】
9
【図4】
10
【図5】
11
【図6】
12
【図7】
13
【図8】
14
【図9】
15
【図10】
16
【図11】
17
【図12】
18
【図13】
19
【図14】
20
【図15】
21
【図16】
22
【図17】
23
【図18】
24
【図19】
25
【図20】
26
【図21】
27
【図22】
28
【図29】
29
【図31】
30