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明細書 :ホログラフィックメモリ再生装置およびホログラフィックメモリの再生方法、復調装置および復調方法、ならびに観測装置および観測方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5862896号 (P5862896)
登録日 平成28年1月8日(2016.1.8)
発行日 平成28年2月16日(2016.2.16)
発明の名称または考案の名称 ホログラフィックメモリ再生装置およびホログラフィックメモリの再生方法、復調装置および復調方法、ならびに観測装置および観測方法
国際特許分類 G11B   7/135       (2012.01)
G11B   7/0065      (2006.01)
FI G11B 7/135 Z
G11B 7/0065
請求項の数または発明の数 15
全頁数 79
出願番号 特願2012-539600 (P2012-539600)
出願日 平成23年10月19日(2011.10.19)
国際出願番号 PCT/JP2011/005841
国際公開番号 WO2012/053198
国際公開日 平成24年4月26日(2012.4.26)
優先権出願番号 2010234640
優先日 平成22年10月19日(2010.10.19)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年8月28日(2014.8.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
発明者または考案者 【氏名】岡本 淳
【氏名】九里 佳祐
【氏名】高林 正典
個別代理人の代理人 【識別番号】100105050、【弁理士】、【氏名又は名称】鷲田 公一
審査官 【審査官】柴垣 俊男
参考文献・文献 特開2008-203503(JP,A)
特開2010-019984(JP,A)
特開2008-065961(JP,A)
特開2011-076695(JP,A)
調査した分野 G11B7/00-7/013
G11B7/12-7/22
特許請求の範囲 【請求項1】
空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を含む信号光と参照光とから生成される第1のホログラムが記録されたホログラフィックメモリの再生装置であって、
第1の参照光を前記ホログラフィックメモリに照射して、前記第1のホログラムの回折光を生成するホログラム回折光生成部と、
前記第1のホログラムの回折光と干渉しうる第2の参照光の位相を変化させるとともに、前記第1のホログラムの回折光と前記位相を変化させた第2の参照光とから複数の第2のホログラムを同時に生成するホログラム生成部と、
前記複数の第2のホログラムのそれぞれの強度分布を検出する検出部と、
前記複数の強度分布に基づいて前記空間位相変調信号または前記空間直交振幅変調信号を復調する処理部と、
を有する、ホログラフィックメモリ再生装置。
【請求項2】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を前記第1の参照光と前記第2の参照光に分離するレーザ光分離部と、
をさらに有する、請求項1に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
【請求項3】
前記ホログラム生成部は、前記第2の参照光の位相を変化させる可変位相シフタと、前記第1のホログラムの回折光がその第1の面に入射し、前記可変位相シフタにより位相を変えられた第2の参照光がその第2の面に入射するビームスプリッタとを有する、請求項1に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
【請求項4】
前記レーザ光源は、直線偏光のレーザ光を出射し、
前記ホログラム生成部は、
前記第1のホログラムの回折光の偏光角を45度回転する半波長板と、
第2の参照光の偏光状態を円偏光に変換するλ/4波長板と、
前記半波長板により偏光角を変えられた前記第1のホログラムの回折光がその第1の面に入射し、前記λ/4波長板により偏光状態を変えられた前記第2の参照光がその第2の面に入射するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記ビームスプリッタを透過した前記第2の参照光の一部の光が入射し、入射した光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する第1の偏光ビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタを透過した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記ビームスプリッタで反射した前記第2の参照光の一部の光が入射し、入射した光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する第2の偏光ビームスプリッタと、
を有する、
請求項2に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
【請求項5】
前記レーザ光源は、直線偏光のレーザ光を出射し、
前記ホログラム生成部は、
前記第1のホログラムの回折光の偏光角を45度回転する半波長板と、
第2の参照光の偏光状態を円偏光に変換するλ/4波長板と、
前記半波長板により偏光角を変えられた前記第1のホログラムの回折光がその第1の面に入射し、前記λ/4波長板により偏光状態を変えられた前記第2の参照光がその第2の面に入射するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記ビームスプリッタを透過した前記第2の参照光の一部の光がその第1の面に入射し、前記ビームスプリッタを透過した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記ビームスプリッタで反射した前記第2の参照光の一部の光がその第2の面に入射し、入射した光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する偏光ビームスプリッタと、
を有する、
請求項2に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
【請求項6】
前記レーザ光源は、直線偏光のレーザ光を出射し、
前記ホログラム生成部は、
前記第1のホログラムの回折光の偏光角を45度回転する半波長板と、
第2の参照光の偏光状態を円偏光に変換するλ/4波長板と、
前記半波長板により偏光角を変えられた前記第1のホログラムの回折光がその第1の面に入射し、前記λ/4波長板により偏光状態を変えられた前記第2の参照光がその第2の面に入射する第1のビームスプリッタと、
前記第1のビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第1のビームスプリッタを透過した前記第2の参照光の一部の光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する第1の偏光ビームスプリッタと、
前記第1のビームスプリッタを透過した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第1のビームスプリッタで反射した前記第2の参照光の一部の光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する第2の偏光ビームスプリッタと、
前記第1の偏光ビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第2の参照光の一部の光、ならびに前記第1の偏光ビームスプリッタを透過した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第2の参照光の一部の光がその第1の面に入射し、前記第2の偏光ビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第2の参照光の一部の光、ならびに前記第2の偏光ビームスプリッタを透過した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第2の参照光の一部の光がその第2の面に入射する第2のビームスプリッタと、
を有する、
請求項2に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
【請求項7】
前記レーザ光源は、直線偏光のレーザ光を出射し、
前記ホログラム生成部は、
前記第1のホログラムの回折光の偏光角を45度回転する半波長板と、
第2の参照光の偏光状態を円偏光に変換するλ/4波長板と、
前記半波長板により偏光角を変えられた前記第1のホログラムの回折光がその第1の面に入射し、前記λ/4波長板により偏光状態を変えられた前記第2の参照光がその第2の面に入射するビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光および前記ビームスプリッタを透過した前記第2の参照光が入射し、入射した光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する偏光ビームスプリッタと、
を有する、
請求項2に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
【請求項8】
レーザ光を空間直交振幅変調して空間直交振幅変調信号を含む信号光を生成する空間直交振幅変調信号光生成部と、
前記信号光と参照光とから生成される第1のホログラムをホログラフィックメモリに記録する記録部と、
をさらに有する、請求項1に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
【請求項9】
前記空間直交振幅変調信号光生成部は、前記レーザ光が入射されるビームスプリッタと、前記ビームスプリッタで反射した前記レーザ光の振幅を変調する反射型の第1の空間光変調器と、前記ビームスプリッタを透過した前記レーザ光の振幅を変調する反射型の第2の空間光変調器とを有し、
前記ビームスプリッタと前記第1の空間光変調器との間の光路長LI、および前記ビームスプリッタと前記第2の空間光変調器との間の光路長LQは、以下の式(1)を満たす、
請求項8に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
【数1】
JP0005862896B2_000059t.gif
(ここで、λは前記レーザ光の波長である。)
【請求項10】
空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を含む信号光と参照光とから生成される第1のホログラムが記録されたホログラフィックメモリの再生方法であって、
第1の参照光を前記ホログラフィックメモリに照射して、前記第1のホログラムの回折光を生成するステップと、
前記第1のホログラムの回折光と干渉しうる第2の参照光の位相を変化させるとともに、前記第1のホログラムの回折光と前記位相を変化させた第2の参照光とから複数の第2のホログラムを同時に生成するステップと、
前記複数の第2のホログラムのそれぞれの強度分布を検出するステップと、
前記複数の強度分布に基づいて前記空間位相変調信号または前記空間直交振幅変調信号を復調するステップと、
を有するホログラフィックメモリの再生方法。
【請求項11】
レーザ光源から出射されたレーザ光を前記第1の参照光と前記第2の参照光に分離するステップをさらに有する、請求項10に記載のホログラフィックメモリの再生方法。
【請求項12】
空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を含む信号光を受信する入力部と、
前記信号光と干渉しうるレーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光の位相を変化させるとともに、前記信号光と前記位相を変化させたレーザ光とから複数のホログラムを同時に生成するホログラム生成部と、
前記複数のホログラムのそれぞれの強度分布を検出する検出部と、
前記複数の強度分布に基づいて前記空間位相変調信号または前記空間直交振幅変調信号を復調する処理部と、
を有する、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号の復調装置。
【請求項13】
空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を含む信号光を受信するステップと、
前記信号光と干渉しうるレーザ光を出射するステップと、
前記レーザ光の位相を変化させるとともに、前記信号光と前記位相を変化させたレーザ光とから複数のホログラムを同時に生成するステップと、
前記複数のホログラムのそれぞれの強度分布の強度分布を検出するステップと、
前記複数の強度分布に基づいて前記空間位相変調信号または前記空間直交振幅変調信号を復調するステップと、
を有する、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号の復調方法。
【請求項14】
観測対象からの透過光または反射光を入力する入力部と、
前記透過光または前記反射光と干渉しうるレーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光の位相を変化させるとともに、前記透過光または前記反射光と前記位相を変化させたレーザ光とから複数のホログラムを同時に生成するホログラム生成部と、
前記複数のホログラムのそれぞれの強度分布を検出する検出部と、
前記複数の強度分布に基づいて前記透過光または前記反射光における光強度分布および光位相分布を算出する処理部と、
を有する、光強度分布および光位相分布の観測装置。
【請求項15】
観測対象からの透過光または反射光を入力するステップと、
前記透過光または前記反射光と干渉しうるレーザ光を出射するステップと、
前記レーザ光の位相を変化させるとともに、前記透過光または前記反射光と前記位相を変化させたレーザ光とから複数のホログラムを同時に生成するステップと、
前記複数のホログラムのそれぞれの強度分布を検出するステップと、
前記複数の強度分布に基づいて前記透過光または前記反射光における光強度分布および光位相分布を算出するステップと、
を有する、光強度分布および光位相分布の観測方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィックメモリの再生装置および再生方法に関する。また、本発明は、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号の復調装置および復調方法に関する。また、本発明は、光強度分布および光位相分布の観測装置および観測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、光メモリは、CDやDVD、ブルーレイディスクなどの2次元記録方式の光ディスクを中心に発展してきた。しかし、2次元記録方式の光メモリはすでに回折限界に到達しており、これ以上の大容量化は困難である。そこで、近年、3次元記録方式の光メモリの開発が活発に行われている。3次元記録方式を採用すれば2次元記録方式よりも記録容量を100~1000倍以上に大きくできる可能性がある。理論上は100TB級の光ディスクメモリも実現可能である。
【0003】
光メモリの大容量化に向けた技術としては、1)近接場光記録方式、2)2光子吸収メモリ、3)ホログラフィックメモリの3つが挙げられる。1)近接場光記録方式は、光の波長サイズ以下の光である「近接場光」を用いる記録方式である。近接場光記録方式は、基本的に2次元記録方式の技術であるが、近接場光を用いることで回折限界を超える高密度記録を実現できる可能性がある。また、2)2光子吸収メモリは、非線形効果の強度依存性を利用することで記録媒体に対して3次元的にアクセスを行うことができる3次元記録方式の光メモリである。これらの技術に対し、3)ホログラフィックメモリは、信号光と参照光との干渉により生成されるホログラムを多重記録することによって、記録媒体を多層化することなく3次元的に記録を行うことができる光メモリである。
【0004】
上記1)~3)の光メモリは、現時点においていずれも約500GB~1TB程度の記録容量を達成している。したがって、記録容量の観点からは、上記1)~3)の光メモリの間に優劣の大きな差はない。しかしながら、データ転送速度の観点からは、上記1)~3)の光メモリの中でも空間的に2次元の超並列型入出力機能を有するホログラフィックメモリに大きな優位性がある。最近では、マイクロ秒を超える高速応答の空間光変調器(Spatial Light Modulator;以下「SLM」と略記することもある)なども開発されている。このような高速応答のSLMをホログラフィックメモリに適用することで、100Gbpsを超える転送速度を実現できる可能性がある。
【0005】
ホログラフィックメモリは、高密度記録と高データ転送レートの両方を実現することができることから、次世代の光メモリとして実用化が期待されている。現在開発されているホログラフィックメモリの記録容量は、600GB~1TB/ディスク程度である(例えば、非特許文献1参照)。HDD(3.5インチ、記憶容量2TB)の1枚のプラッタの片面の記録容量は333GBであることから、ホログラフィックメモリは、実用化されている磁気記録媒体と比較すると記録容量の観点からは2~3倍程度の優位性がある。また、ホログラフィックメモリは、理論的にはさらに10~100倍まで記録容量を拡大できると考えられている。このような状況下において、ホログラフィックメモリの記録容量を増大させることを目的として、これまでの強度変調方式だけでなく、位相変調方式のホログラフィックメモリも検討されている。しかしながら、位相変調方式のホログラフィックメモリには、光検出器では位相変調信号を直接検出することができないため、何らかの方法で位相変調信号を強度信号に変換してから検出しなければならないという問題があった。
【0006】
強度変調方式は最も一般的な変調方法であって、これまでに多くの事例が報告されている(例えば、非特許文献1~3参照)。ホログラフィを用いて情報の記録が可能であると初めて示唆された文献(非特許文献2)から、製品化を視野に入れた最近の文献(非特許文献1,3)に至るまで、ホログラフィを利用した記録方式の多くは、2値(0および1)の強度変調を用いたものである。しかしながら、強度変調は簡易な光学系でシステムを構築できるという利点がある一方で、レーザ光の照射領域の中央部と周辺部との露光強度差が大きくなり、記録媒体のダイナミックレンジを大幅に消費してしまうため、記録効率が悪いという問題を有している。この問題は、一般的なフーリエ変換ホログラムにおいて、フーリエ変換像の中央付近の強度がすべてのピクセルの振幅の和に比例するため、レーザ光の照射領域の中央付近と周辺部での露光強度差が大きくなってしまうことが原因で起こる(例えば、非特許文献4参照)。
【0007】
この強度変調方式の問題を緩和するための手法としては、2値情報をブロックと呼ばれる複数のピクセルに分散してコード化し、ブロック内の一部のピクセルのみを光らせることでデータを表現する変調コードを用いる方法がある。このように変調コードを用いることで、ピクセル間クロストークによるエラーを減らすことができる。また、変調コードを用いることで、レーザ光の照射領域の中央付近と周辺部での露光強度差を小さくして多重記録数を増大させることで、効率的な記録も可能となる(例えば、非特許文献5,6参照)。しかしながら、変調コードを使うと、「(1ブロックあたりの記録ビット数)/(1ブロックあたりのピクセル数)」で定義されるコードレートが1を下回ってしまう。このことは、変調コードを用いた場合のブロックあたりの記録容量が、変調コードを用いない場合の記録容量を原理的に下回ることを意味している。
【0008】
ホログラフィックメモリの記録容量を拡大するためには、1つのピクセルあたりに複数の情報を記録する、すなわちコードレートが1を超える手法が必要となる。1を超えるコードレートを実現するためには、0,1の2値を超える多値信号を用いることが必要となる。多値信号は光強度を数段階に分けることによって実現でき、それによってコードレートを飛躍的に向上させることができる。しかしながら、現状の直接検波方式においては、検出系の精度や雑音のため、多値数の増大により再生光の信号対雑音比が大きく劣化してしまう(例えば、非特許文献7参照)。
【0009】
強度変調方式において、レーザ光の照射領域の中央部と周辺部との露光強度差が大きくなり、記録媒体のダイナミックレンジを大幅に消費してしまうという問題は、位相変調方式によっても解決することができる。位相変調方式は、光波の位相を用いて変調を行う方式であり、近年注目を集めている。たとえば、位相変調方式では、あるピクセルの光波の位相を0としたとき、別のピクセルの光波の位相をπとして情報を表現する。空間光変調器(SLM)で生成される2次元のページデータに含まれるピクセルのうち、0とπのピクセルが同数である場合、レーザ光の照射領域の中央付近と周辺部での露光強度差が生じず、記録媒体のダイナミックレンジの無駄な消費を抑えることができる。この点は、多重記録数の増大に大きく寄与する。しかしながら、CCDなどの光電変換デバイスは光の強度にのみ感度を有するため、位相情報を直接検出することはできない。したがって、位相情報を検出するためには、光検出を行う前に位相を強度に変換しなければならない。位相変調方式では、この点が大きな問題点となる。
【0010】
位相変調型ホログラフィックメモリを実現するための位相検出手法はこれまでにいくつか提案されている(例えば、非特許文献4,8,9参照)。
【0011】
非特許文献4では、ホログラフィックメモリに用いる位相検出手法として、エッジ検出(Edge-Detection)法が提案されている。エッジ検出法は、位相変調型ホログラフィックメモリの特長をうまく利用した手法である。位相変調型ホログラフィックメモリでは、フーリエ変換像の中央の強度(直流成分)が欠落するため、再生はその他の交流成分でのみ行われる。これは、再生像(実空間分布)における0とπのピクセルの境界部分の強度が強調されることを意味する。言い換えれば、ある既知のピクセルを基準として、強度が強調されている境界を辿っていけば全てのピクセルの位相を決定できるということである。この手法は、強度変調型ホログラフィックメモリと何ら変わらない光学系で位相変調型ホログラフィックメモリを実現可能であるという利点がある一方で、多値位相変調信号の検出には不向きであるという問題を有している。
【0012】
非特許文献8では、複屈折媒質を用いた位相検出法が提案されている。この手法は、再生光をπ/4波長板を用いて円偏光にし、その後複屈折媒質を通過させる。それによってわずかにずれた再生光同士が干渉し、強度パターンが得られる。予め設計した複屈折媒質によってずらすピクセル数を決定できるため、得られた強度パターンから位相情報を捨てて決定することができる。この手法は、文献内の実験により高い位置ずれ耐性を有するということが分かっており、ずれに敏感な位相検出にとって非常に魅力的な手法である。しかしながら、この手法も、多値信号の検出は難しく、さらに複屈折媒質の高精度な設計が求められるという問題を有している。
【0013】
非特許文献9では、一光束記録方式として注目されるコリニア光学系に特化した位相変調型ホログラフィックメモリとして、光フェーズロック方式コリニアホログラムが提案されている。この方式は、コリニアホログラムの再生時に、記録されたホログラムに対して通常のコリニア参照光の他に、位相が既知のフェーズロック光を同時に照射することで、記録した位相情報を強度情報として読み取る方式である。この方式では、フェーズロック光が記録ホログラムを透過するため、その位相分布が位相回折格子を有するホログラム内の伝搬による影響を受ける。このことは、検出面において位相誤差が生ずる原因となりうる。この手法も、高精度に位相情報を記録再生することは難しく、位相多値数も2~4値に留まっている。
【先行技術文献】
【0014】

【非特許文献1】Ken-ichi Shimada, Toshiki Ishii, Tatsuro Ide, Steve Hughes, Alan Hoskins, Kevin Curtis, "High density recording using Monocular architecture for 500GB consumer system", Optical Data Storage (ODS) Topical Meeting, TuC2 (2009).
【非特許文献2】P. J. Van Heerden, "Theory of optical information storage in solids", Appl. Opt., Vol.2, No.4, pp.393-400 (1963).
【非特許文献3】Kenji Tanaka, Masaaki Hara, Kazutatsu Tokuyama, Kazuyuki Hirooka, Koji lshioka, Atsushi Fukumoto and Kenjiro Watanabe, "Improved performance in coaxial holographic data recording, "Opt. Exp., Vol.15, No.24, pp.16196-16209 (2007).
【非特許文献4】Joby Joseph and David A. Waldman, "Homogenized Fourier transform holographic data storage using phase spatial light modulators and methods for recovery of data from the phase image", Appl. Opt., Vol.45, pp.6374-6380 (2006).
【非特許文献5】Geoffrey W. Burr, Jonathan Ashley, Hans Coufal, Robert K. Grygier, John A. Hoffnagle, C. Michael Jefferson and Brian Marcus, "Modulation coding for pixel-matched holographic data storage" Opt. Lett., Vol.22, pp.639-641 (1997).および
【非特許文献6】Jinyoung Kim and Jaejin Lee, "Two-Dimensiona1 5:8 Modulation Code for Ho1ographic Data Storage", Jpn. J. of Appl. Phys., Vol.48, 03A031-1-03A031-4 (2009).
【非特許文献7】Geoffrey W. Burr, Gabriele Barking, Hans Coufal, John A. Hoffnagle, C. Michael Jeffcrson and Mark A. Neifeld, "Gray-scale data pages for digital ho1ographic data storagc, "Opt. Lett., Vol.23, No.15, pp.1218-1220 (1998).
【非特許文献8】Pal Koppa, "Phase-to-amplitude data page conversion for holographic storage and optical encryption,"Appl. Opt., Vol.46, pp.3561-3571 (2007).
【非特許文献9】井上光輝,“光フェーズロック方式コリニアホログラフィー(次世代コリニアホログラムメモリの実現を目指して)”,OPTRONICS,No.12,pp.76-80 (2008).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
以上のように、従来の強度変調型ホログラフィックメモリには、レーザ光の照射領域の中央部と周辺部との露光強度差が大きくなり、記録媒体のダイナミックレンジを大幅に消費してしまうため、多重記録の効率が悪いという問題がある。変調コードを用いる方式では、上記問題を回避することができるが、ブロックあたりのコードレートが低くなるため、記録容量が小さくなってしまうという問題がある。コードレートを高めるためには多値強度信号を用いる必要があるが、検出系の精度や雑音により、大きな多値数を有する強度変調型ホログラフィックメモリは実現していない。
【0016】
位相変調型ホログラフィックメモリは、これらの問題を解決することができる。しかしながら、位相変調型ホログラフィックメモリには、位相情報を検出するために、光検出を行う前に位相を強度に変換しなければならないという問題がある。また、変換後の強度信号を検出する際には、強度変調型ホログラフィックメモリと同様に検出系の精度や雑音の問題が存在する。結果として、大きな多値数を有する位相変調型ホログラフィックメモリは実現していない。
【0017】
本発明の目的は、雑音の影響を受けることなく、多値の位相情報を精密に再生することができるホログラフィックメモリの再生装置および再生方法を提供することである。
【0018】
また、本発明の別の目的は、雑音の影響を受けることなく、多値の位相情報を精密に復調することができる空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号の復調装置および復調方法を提供することである。
【0019】
また、本発明の別の目的は、観測対象からの透過光または反射光における光強度分布および光位相分布をリアルタイムに観測することができる、光強度分布および光位相分布の観測装置および観測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者は、ホログラフィックメモリに記録されたホログラム(第1のホログラム)の回折光と、参照光とから第2のホログラムを生成することで、ホログラフィックメモリに記録された位相変調信号を高精度に復調できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
【0021】
すなわち、本発明は、以下のホログラフィックメモリ再生装置に関する。
[1]空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を含む信号光と参照光とから生成される第1のホログラムが記録されたホログラフィックメモリの再生装置であって:第1の参照光を前記ホログラフィックメモリに照射して、前記第1のホログラムの回折光を生成するホログラム回折光生成部と;前記第1のホログラムの回折光と干渉しうる第2の参照光の位相を変化させるとともに、前記第1のホログラムの回折光と前記位相を変化させた第2の参照光とから第2のホログラムを生成するホログラム生成部と;前記第2のホログラムの強度分布を検出する検出部と;前記強度分布に基づいて前記空間位相変調信号または前記空間直交振幅変調信号を復調する処理部と;を有するホログラフィックメモリ再生装置。
[2]レーザ光を出射するレーザ光源と;前記レーザ光源から出射されたレーザ光を前記第1の参照光と前記第2の参照光に分離するレーザ光分離部と;をさらに有する、[1]に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
[3]前記ホログラム生成部は、前記第2の参照光の位相を変化させる可変位相シフタと、前記第1のホログラムの回折光がその第1の面に入射し、前記可変位相シフタにより位相を変えられた第2の参照光がその第2の面に入射するビームスプリッタとを有する、[1]または[2]に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
[4]前記レーザ光源は、直線偏光のレーザ光を出射し;前記ホログラム生成部は、前記第1のホログラムの回折光の偏光角を45度回転する半波長板と、第2の参照光の偏光状態を円偏光に変換するλ/4波長板と、前記半波長板により偏光角を変えられた前記第1のホログラムの回折光がその第1の面に入射し、前記λ/4波長板により偏光状態を変えられた前記第2の参照光がその第2の面に入射するビームスプリッタと、前記ビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記ビームスプリッタを透過した前記第2の参照光の一部の光が入射し、入射した光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する第1の偏光ビームスプリッタと、前記ビームスプリッタを透過した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記ビームスプリッタで反射した前記第2の参照光の一部の光が入射し、入射した光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する第2の偏光ビームスプリッタと、を有する;[2]に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
[5]前記レーザ光源は、直線偏光のレーザ光を出射し;前記ホログラム生成部は、前記第1のホログラムの回折光の偏光角を45度回転する半波長板と、第2の参照光の偏光状態を円偏光に変換するλ/4波長板と、前記半波長板により偏光角を変えられた前記第1のホログラムの回折光がその第1の面に入射し、前記λ/4波長板により偏光状態を変えられた前記第2の参照光がその第2の面に入射するビームスプリッタと、前記ビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記ビームスプリッタを透過した前記第2の参照光の一部の光がその第1の面に入射し、前記ビームスプリッタを透過した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記ビームスプリッタで反射した前記第2の参照光の一部の光がその第2の面に入射し、入射した光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する偏光ビームスプリッタと、を有する;[2]に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
[6]前記レーザ光源は、直線偏光のレーザ光を出射し;前記ホログラム生成部は、前記第1のホログラムの回折光の偏光角を45度回転する半波長板と、第2の参照光の偏光状態を円偏光に変換するλ/4波長板と、前記半波長板により偏光角を変えられた前記第1のホログラムの回折光がその第1の面に入射し、前記λ/4波長板により偏光状態を変えられた前記第2の参照光がその第2の面に入射する第1のビームスプリッタと、前記第1のビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第1のビームスプリッタを透過した前記第2の参照光の一部の光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する第1の偏光ビームスプリッタと、前記第1のビームスプリッタを透過した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第1のビームスプリッタで反射した前記第2の参照光の一部の光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する第2の偏光ビームスプリッタと、前記第1の偏光ビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第2の参照光の一部の光、ならびに前記第1の偏光ビームスプリッタを透過した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第2の参照光の一部の光がその第1の面に入射し、前記第2の偏光ビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第2の参照光の一部の光、ならびに前記第2の偏光ビームスプリッタを透過した前記第1のホログラムの回折光の一部の光および前記第2の参照光の一部の光がその第2の面に入射する第2のビームスプリッタと、を有する;[2]に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
[7]前記レーザ光源は、直線偏光のレーザ光を出射し;前記ホログラム生成部は、前記第1のホログラムの回折光の偏光角を45度回転する半波長板と、第2の参照光の偏光状態を円偏光に変換するλ/4波長板と、前記半波長板により偏光角を変えられた前記第1のホログラムの回折光がその第1の面に入射し、前記λ/4波長板により偏光状態を変えられた前記第2の参照光がその第2の面に入射するビームスプリッタと、前記ビームスプリッタで反射した前記第1のホログラムの回折光および前記ビームスプリッタを透過した前記第2の参照光が入射し、入射した光の水平偏光成分および垂直偏光成分の一方を透過させ、他方を反射する偏光ビームスプリッタと、を有する;[2]に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
[8]レーザ光を空間直交振幅変調して空間直交振幅変調信号を含む信号光を生成する空間直交振幅変調信号光生成部と;前記信号光と参照光とから生成される第1のホログラムをホログラフィックメモリに記録する記録部と;をさらに有する、[1]~[7]のいずれか一項に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
[9]前記空間直交振幅変調信号光生成部は、前記レーザ光が入射されるビームスプリッタと、前記ビームスプリッタで反射した前記レーザ光の振幅を変調する反射型の第1の空間光変調器と、前記ビームスプリッタを透過した前記レーザ光の振幅を変調する反射型の第2の空間光変調器とを有し;前記ビームスプリッタと前記第1の空間光変調器との間の光路長L、および前記ビームスプリッタと前記第2の空間光変調器との間の光路長Lは、以下の式(1)を満たす;[8]に記載のホログラフィックメモリ再生装置。
【数1】
JP0005862896B2_000002t.gif
(ここで、λは前記レーザ光の波長である。)
【0022】
また、本発明は、以下のホログラフィックメモリの再生方法に関する。
[10]空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を含む信号光と参照光とから生成される第1のホログラムが記録されたホログラフィックメモリの再生方法であって:第1の参照光を前記ホログラフィックメモリに照射して、前記第1のホログラムの回折光を生成するステップと;前記第1のホログラムの回折光と干渉しうる第2の参照光の位相を変化させるとともに、前記第1のホログラムの回折光と前記位相を変化させた第2の参照光とから第2のホログラムを生成するステップと;前記第2のホログラムの強度分布を検出するステップと;前記強度分布に基づいて前記空間位相変調信号または前記空間直交振幅変調信号を復調するステップと;を有するホログラフィックメモリの再生方法。
[11]レーザ光源から出射されたレーザ光を前記第1の参照光と前記第2の参照光に分離するステップをさらに有する、[10]に記載のホログラフィックメモリの再生方法。
【0023】
また、本発明は、以下の復調装置に関する。
[12]空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を含む信号光を受信する入力部と;前記信号光と干渉しうるレーザ光を出射するレーザ光源と;前記レーザ光の位相を変化させるとともに、前記信号光と前記位相を変化させたレーザ光とからホログラムを生成するホログラム生成部と;前記ホログラムの強度分布を検出する検出部と;前記強度分布に基づいて前記空間位相変調信号または前記空間直交振幅変調信号を復調する処理部と;を有する、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号の復調装置。
【0024】
また、本発明は、以下の復調方法に関する。
[13]空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を含む信号光を受信するステップと;前記信号光と干渉しうるレーザ光を出射するステップと;前記レーザ光の位相を変化させるとともに、前記信号光と前記位相を変化させたレーザ光とからホログラムを生成するステップと;前記のホログラムの強度分布を検出するステップと、前記強度分布に基づいて前記空間位相変調信号または前記空間直交振幅変調信号を復調するステップと;を有する、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号の復調方法。
【0025】
また、本発明は、以下の観測装置に関する。
[14]観測対象からの透過光または反射光を入力する入力部と;前記透過光または前記反射光と干渉しうるレーザ光を出射するレーザ光源と;前記レーザ光の位相を変化させるとともに、前記透過光または前記反射光と前記位相を変化させたレーザ光とからホログラムを生成するホログラム生成部と;前記ホログラムの強度分布を検出する検出部と;前記強度分布に基づいて前記透過光または前記反射光における光強度分布および光位相分布を算出する処理部と;を有する、光強度分布および光位相分布の観測装置。
【0026】
また、本発明は、以下の観測方法に関する。
[15]観測対象からの透過光または反射光を入力するステップと;前記透過光または前記反射光と干渉しうるレーザ光を出射するステップと;前記レーザ光の位相を変化させるとともに、前記透過光または前記反射光と前記位相を変化させたレーザ光とからホログラムを生成するステップと;前記のホログラムの強度分布を検出するステップと;前記強度分布に基づいて前記透過光または前記反射光における光強度分布および光位相分布を算出するステップと;を有する、光強度分布および光位相分布の観測方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明のホログラフィックメモリ再生装置および再生方法によれば、雑音の影響を受けることなく、多値の位相情報を精密に再生することができる。したがって、本発明のホログラフィックメモリ再生装置および再生方法によれば、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を記録されたホログラフィックメモリを高精度に再生することができる。
【0028】
また、本発明の復調装置および復調方法によれば、雑音の影響を受けることなく、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を高精度に復調することができる。
【0029】
また、本発明の観測装置および観測方法によれば、観測対象からの透過光または反射光における光強度分布および光位相分布をリアルタイムに観測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置の構成を示す模式図である。
【図2】空間直交振幅変調信号光生成部の構成の一例を示す模式図である。
【図3】空間直交振幅変調信号光生成部の構成の別の例を示す模式図である。
【図4】実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置を用いてホログラフィックメモリにデータページを記録する様子を示す模式図である。
【図5】実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置を用いてホログラフィックメモリからデータページを読み出す様子を示す模式図である。
【図6】実施の形態2のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の構成を示す模式図である。
【図7】図6の第3のビームスプリッタの周辺部分の拡大模式図である。
【図8】実施の形態3のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の構成を示す模式図である。
【図9】実施の形態4のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の構成を示す模式図である。
【図10】実施の形態4のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の別の構成を示す模式図である。
【図11】実施の形態5のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の構成を示す模式図である。
【図12】実施の形態5のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の別の構成を示す模式図である。
【図13】実施の形態5のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部のさらに別の構成を示す模式図である。
【図14】実施の形態6のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の構成を示す模式図である。
【図15】実施の形態6のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の別の構成を示す模式図である。
【図16】コリニア・ホログラフィ法で記録および再生をする様子を示す模式図。
【図17】図17Aは、コリニア・ホログラフィ法で記録する際の空間光変調器のパターンを示す図であり、図17Bは、コリニア・ホログラフィ法で再生する際の空間光変調器のパターンを示す図である。
【図18】実施例1,2においてシミュレーションに用いた本発明のホログラフィックメモリ記録再生装置の構成を示す模式図である。
【図19】実施例1で使用した8値空間位相変調信号(8-SPM)のダイアグラムである。
【図20】図20Aは、オリジナルのデータページを示す図であり、図20Bは、復調後のデータページを示す図である。
【図21】データページ#1の第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図22】データページ#2の第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図23】データページ#3の第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図24】復調後のデータページ#1が有する位相情報を示すヒストグラムである。
【図25】実施例2で使用した8値空間直交振幅変調信号(8-SQAM)のダイアグラムである。
【図26】図26Aは、オリジナルのデータページの振幅情報を示す図であり、図26Bは、オリジナルのデータページの位相情報を示す図である。
【図27】第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図28】図27に示される信号強度分布からCCDピクセル点単位で復元したデータを示す図である。
【図29】図28に示されるデータを各データピクセル内で平均化処理して得られたデータを示す図である。
【図30】図29に示されるデータを閾値処理して得られたデータを示す図である。
【図31】実施例3において使用した本発明のホログラフィックメモリ記録再生装置の構成を示す模式図である。
【図32】実施例3,4で使用した6値空間直交振幅変調信号(8-SQAM)のダイアグラムである。
【図33】図33Aは、オリジナルのデータページの論理値を示す図であり、図33Bは、オリジナルのデータページの物理値を示す図である。
【図34】コリニアリングパターンを示す図である。
【図35】第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図36】図35に示される信号強度分布から復調したデータページを示す図である。
【図37】実施例4において使用した本発明の復調装置の構成を示す模式図である。
【図38】オリジナルのデータページの論理値を示す図である。
【図39】第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図40】図40Aは、図39に示される信号強度分布からCCDピクセル点単位で復元したデータを示す図であり、図40Bは、図39Aに示されるデータを平均化処理および閾値処理して得られたデータを示す図である。
【図41】実施例5において使用した本発明の観測装置の構成を示す模式図である。
【図42】第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図43】図43に示される信号強度分布からCCDピクセル点単位で復元したデータを示す図である。
【図44】第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図45】図45に示される信号強度分布からCCDピクセル点単位で復元したデータを示す図である。
【図46】実施例6において使用した本発明の観測装置の構成を示す模式図である。
【図47】第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図48】図48に示される信号強度分布からCCDピクセル点単位で復元したデータを示す図である。
【図49】第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図50】図50に示される信号強度分布からCCDピクセル点単位で復元したデータを示す図である。
【図51】第2のホログラムの信号強度分布を示す図である。
【図52】図52に示される4枚の信号強度分布からCCDピクセル点単位で復元したデータを示す図である。
【図53】図53に示される2枚の信号強度分布からCCDピクセル点単位で復元したデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明のホログラフィックメモリ再生装置は、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を含む信号光と参照光とから生成される第1のホログラムが記録されたホログラフィックメモリの再生装置である。ここで、「空間位相変調信号」とは、空間位相変調(SPM)により変調された信号をいう。また、「空間直交振幅変調信号」とは、空間直交振幅変調(SQAM)により変調された信号をいう。

【0032】
「位相変調(Phase Modulation;以下「PM」と略記する)」は、無線通信や光通信などの通信技術の分野で使用される、位相変調、位相シフト変調(Phase Shift Modulation;PSM)または位相シフトキーイング(Phase Shift Keying;PSK)による変調方式である。PMは、搬送波の位相を変化させることで情報を伝達する。本発明のホログラフィックメモリでは、通信技術の分野で使用されるPMと同様に、位相を変化させた信号光を記録する。しかしながら、ホログラフィックメモリでは、時間軸方向に信号を変調する通信とは異なり、2次元の空間軸方向(x,y)に信号を変調し、データページとしてこれを記録および再生する。そこで、本願明細書では、本発明で使用する位相変調による変調方式を、通信技術の分野で使用される「位相変調(PM)」と区別するために「空間位相変調(Spatial Phase Modulation;SPM)」と呼ぶ。SPMは、光メモリ分野において用いられる位相変調および多値位相変調の概念を含む。

【0033】
「直交振幅変調(Quadrature Amplitude Modulation;以下「QAM」と略記する)」は、無線通信や光通信などの通信技術の分野で使用される、振幅変調(Amplitude Modulation;AM)と位相変調(Phase Modulation;PM)を組み合わせた変調方式である。QAMは、振幅および位相の両方の要素を変化させることで複数の情報を一度に伝達することができる。本発明のホログラフィックメモリでは、通信技術の分野で使用されるQAMと同様に、振幅および位相の両方の要素を変化させた信号を記録する。しかしながら、ホログラフィックメモリでは、時間軸方向に信号を変調する通信とは異なり、2次元の空間軸方向(x,y)に信号を変調し、データページとしてこれを記録および再生する。そこで、本願明細書では、本発明で使用する振幅変調と位相変調とを組み合わせた変調方式を、通信技術の分野で使用される「直交振幅変調(QAM)」と区別するために「空間直交振幅変調(Spatial Quadrature Amplitude Modulation;SQAM)」と呼ぶ。

【0034】
本発明のホログラフィックメモリ再生装置は、レーザ光源、ホログラム回折光生成部、ホログラム生成部と、検出部および処理部を有する。

【0035】
レーザ光源は、ホログラフィックメモリからデータページを再生する際に用いられる参照光(第1の参照光および第2の参照光)の光源である。

【0036】
第1の参照光は、第1のホログラムが記録されたホログラフィックメモリに照射される参照光である。第1の参照光は、第1のホログラムに対してブラッグの条件を満たすレーザ光であればよい。たとえば、第1のホログラムを記録する際に用いた参照光と同一波長の光を同一角度から照射すればブラッグの条件は満たされる。ただし、ブラッグの条件を満たせば、第1の参照光の波長および照射角度はこれに限定されるものではない。後述するように、ホログラム回折光生成部において第1の参照光をホログラフィックメモリに照射することで、第1のホログラムの回折光が生成される。

【0037】
第2の参照光は、この第1のホログラムの回折光と干渉しうるレーザ光である。すなわち、第2の参照光は、第1の参照光と同一の波長のレーザ光である。後述するように、ホログラム生成部において第1のホログラムの回折光と第2の参照光とを混合することで、第2のホログラムが生成される。通常、第2の参照光は、ホログラフィックメモリに照射されない。すなわち、第2の参照光は、ホログラフィックメモリを透過することなく、第1のホログラムの回折光と混合される。

【0038】
第1の参照光のレーザ光源と第2の参照光のレーザ光源とは、同一の光源であってもよいし、異なる光源であってもよい。第1の参照光および第2の参照光のレーザ光源が同一の場合は、レーザ光分離部を設けて、レーザ光源から出射されたレーザ光を第1の参照光と第2の参照光とに分離すればよい(実施の形態1参照)。

【0039】
ホログラム回折光生成部は、第1の参照光をホログラフィックメモリに照射して第1のホログラムの回折光を生成する。

【0040】
ホログラム生成部は、第2の参照光の位相を変化させる。たとえば、ホログラム生成部は、第2の参照光の位相を0,π/2,π,3π/4に変化させる。また、ホログラム生成部は、ホログラム回折光生成部で生成された第1のホログラムの回折光と、位相を変化させた第2の参照光のぞれぞれとから、第2のホログラムを生成する。たとえば、第2の参照光の位相を4回変化させた場合は、4枚の第2のホログラムを生成する。

【0041】
第2の参照光の位相を変化させる数(第2のホログラムを生成する数)は、位相変調の多値数と同数であってもよいが、同数である必要はない。後述する実施の形態1に示すように、位相変調の多値数に関係なく、第2の参照光の位相を少なくとも3回変化させることで、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を復調することができる。第2のホログラムを生成する数を増やすことで、測定誤差を減らすことができる。

【0042】
第2の参照光のビーム径は、第1のホログラムの回折光のビーム径以上であれば特に限定されない。第2の参照光のビーム径が第1のホログラムの回折光のビーム径未満の場合、第1のホログラムの回折光の周辺部に含まれる信号を復調することができない。また、復調の精度を高める観点からは、第2の参照光は平面波であることが好ましい。

【0043】
ホログラム生成部が第2の参照光の位相を変化させる手段は、特に限定されない。たとえば、可変位相シフタを使用して、第2の参照光の位相を変化させてもよい(実施の形態1参照)。また、ホログラム生成部の光学系を構成するビームスプリッタ間の間隔を調整して、第2の参照光の位相を変化させてもよい(実施の形態2参照)。また、半波長板、λ/4波長板および偏光ビームスプリッタを組み合わせて使用して、第2の参照光の位相を変化させてもよい(実施の形態3~5参照)。

【0044】
検出部は、ホログラム生成部で生成されたすべての第2のホログラムの強度分布を検出する。検出部は、例えばCCDやCMOSなどの光画像検出器(撮像素子)である。検出部が一度に検出しうるピクセル数は、第1のホログラムに記録されているデータページ(2次元データ)のピクセル数以上であることが必要である。

【0045】
処理部は、検出部で検出された第2のホログラムの強度分布に基づいて、位相変調信号または空間直交振幅変調信号を復調する。たとえば、処理部は、検出部に接続されたコンピュータである。

【0046】
前述の通り、現存する光画像検出器(撮像素子)は、強度を検出することはできるが、位相を検出することはできない。そこで、本発明のホログラフィックメモリ再生装置では、第2の参照光の位相を変えることで得られる複数の第2のホログラムの強度のパターン(組み合わせ)から、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号に含まれる位相情報を読み出す。

【0047】
たとえば、データページ内のある特定のピクセルについて、位相φの情報を記録した第1のホログラムの回折光と第2の参照光とから第2のホログラムを生成する場合に、第2の参照光の位相を0,π/2,π,3π/2として、第2のホログラムを4枚生成したとする。得られた第2のホログラムの強度は、例えば1枚目=大、2枚目=中、3枚目=小、4枚目=中となる。同様に、データページ内のある特定のピクセルについて、位相φ’(位相φとは異なる)の情報を記録した別の第1のホログラムの回折光と第2の参照光とから第2のホログラムを生成する場合に、第2の参照光の位相を0,π/2,π,3π/2として、第2のホログラムを4枚生成したとする。得られた第2のホログラムの強度は、例えば1枚目=中、2枚目=小、3枚目=中、4枚目=大となる。このようなパターンの違いから、第1のホログラムの回折光に含まれる位相情報を読み出すことができる。第2のホログラムの強度分布から空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を復調する手法については、後述する各実施の形態において詳細に説明する。

【0048】
上記の例では、4値の位相しか区別することができないが、第2の参照光の位相をより細かく変えたり、検出部において強度の検出段階をより細かくしたりすることで、より多くの位相値を区別することができる。

【0049】
後述する実施の形態1に示されるように、本発明のホログラフィックメモリ再生装置は、空間位相変調信号光生成部または空間直交振幅変調信号光生成部と、記録部とをさらに有するホログラフィックメモリ記録再生装置であってもよい。

【0050】
空間位相変調信号光生成部は、レーザ光を空間位相変調して位相変調信号を含む信号光を生成する。同様に、空間直交振幅変調信号光生成部は、レーザ光を空間直交振幅変調して空間直交振幅変調信号を含む信号光を生成する。たとえば、空間直交振幅変調信号光生成部は、振幅変調を行う空間光変調器および位相変調を行う空間光変調器を用いて空間直交振幅変調する。

【0051】
また、空間直交振幅変調信号光生成部は、振幅変調を行う空間光変調器のみを用いても空間直交振幅変調をすることができる。この場合、空間直交振幅変調信号光生成部は、レーザ光が入射されるビームスプリッタと、ビームスプリッタで反射したレーザ光の振幅を変調する反射型の第1の空間光変調器と、ビームスプリッタを透過したレーザ光の振幅を変調する反射型の第2の空間光変調器とを有し、ビームスプリッタと第1の空間光変調器との間の光路長L、およびビームスプリッタと第2の空間光変調器との間の光路長Lが所定の条件を満たすように調整される(実施の形態1参照)。

【0052】
記録部は、空間位相変調信号光生成部または空間直交振幅変調信号光生成部により生成された信号光と、参照光とから生成される第1のホログラムをホログラフィックメモリに記録する。

【0053】
次に、本発明のホログラフィックメモリ再生装置が、ホログラフィックメモリを再生する手順について説明する。

【0054】
まず、レーザ光源が、レーザ光を出射する。第1の参照光と第2の参照光の光源が異なる場合、第1のレーザ光源が第1の参照光を出射し、第2のレーザ光源が第2の参照光を出射する。一方、第1の参照光と第2の参照光の光源が同一の場合、レーザ光源から出射されたレーザ光は、レーザ光分離部において第1の参照光と第2の参照光に分離される。第1の参照光は、ホログラム回折光生成部において、ホログラフィックメモリに照射される。これにより、ホログラフィックメモリから、第1のホログラムの回折光が生成する。ここまでの工程は、レーザ光分離部において第2の参照光を分離する点を除いては、従来のホログラフィックメモリの再生方法と同じである。

【0055】
第1のホログラムの回折光は、ホログラム生成部において第2の参照光と混合される。このとき、ホログラム生成部は、位相変調の多値数に応じて第2の参照光の位相を変化させる。これにより、位相変調の多値数に応じた数の第2のホログラムが生成される。検出部は、第2のホログラムの強度分布を検出し、処理部へ送信する。

【0056】
処理部は、検出部から送られてきた第2のホログラムの強度分布に基づいて前記位相変調信号または前記空間直交振幅変調信号を復調する。

【0057】
以上のように、本発明のホログラフィックメモリ再生装置は、ホログラム生成部において、ホログラフィックメモリに記録されたホログラム(第1のホログラム)の回折光と、第2の参照光とから第2のホログラムを生成して、この第2のホログラムの強度分布を用いて位相変調信号を復調する。

【0058】
本発明のホログラフィックメモリ再生装置は、2値または多値の振幅変調信号、2値または多値の位相変調信号、振幅変調と位相変調とを組み合わせた空間直交振幅変調信号を復調することができる。

【0059】
なお、上記の説明では、ホログラム生成部において生成された第2のホログラムの強度分布を検出部においてすぐに検出する態様について説明した。しかしながら、本発明のホログラフィックメモリの再生装置および再生方法は、必ずしも第2のホログラムの強度分布をすぐに検出する必要はなく、第2のホログラムとして光学的なホログラムを一旦形成してもよい。この場合、光学的なホログラムである第2のホログラムを再生し、得られた回折光と第2の参照光とから生成されるホログラム(第2のホログラムと同じもの)の強度分布を検出部が検出する。このように第2のホログラムとして光学的なホログラムを形成する場合、第1のホログラムには、大容量化に適切なホログラム記録方式を選択し、第2のホログラムには、大容量化には適さなくても、高精度な検出が可能なホログラム記録方式を選択すればよい。

【0060】
また、上記ホログラム生成部、検出部および処理部を用いれば、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を復調することができる。すなわち、ホログラム生成部、検出部および処理部を有する装置は、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号の復調装置として利用可能である(実施例4参照)。

【0061】
たとえば、本発明の復調装置は、空間位相変調信号または空間直交振幅変調信号を含む信号光を受信する入力部と、前記信号光と干渉しうるレーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光の位相を変化させるとともに、前記信号光と前記位相を変化させたレーザ光とからホログラムを生成するホログラム生成部と、前記ホログラムの強度分布を検出する検出部と、前記強度分布に基づいて前記空間位相変調信号または前記空間直交振幅変調信号を復調する処理部とを有する。

【0062】
本発明の復調装置は、上記本発明のホログラフィックメモリ再生装置と同様の手順により、空間位相変調信号および空間直交振幅変調信号を復調することができる。

【0063】
また、上記ホログラム生成部、検出部および処理部を用いれば、観測対象からの透過光または反射光における強度および位相の2次元分布を観測することができる。すなわち、ホログラム生成部、検出部および処理部を有する装置は、観測対象からの透過光または反射光における光強度分布および光位相分布の観測装置として利用可能である(実施例5,6参照)。観測対象の種類は、特に限定されず、例えば生体サンプルである。

【0064】
たとえば、本発明の観測装置は、観測対象からの透過光または反射光を入力する入力部と、前記透過光または前記反射光と干渉しうるレーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光の位相を変化させるとともに、前記透過光または前記反射光と前記位相を変化させたレーザ光とからホログラムを生成するホログラム生成部と、前記ホログラムの強度分布を検出する検出部と、前記強度分布に基づいて前記透過光または前記反射光における光強度分布および光位相分布を算出する処理部とを有する。

【0065】
本発明の観測装置は、第1のホログラムの回折光の代わりに観測対象からの透過光または反射光を入力する。すなわち、本発明の観測装置は、ホログラフィックメモリの代わりに観測対象に光(第一の参照光に相当)を照射し、観測対象からの透過光または反射光を前述の「空間直交振幅変調信号」として処理することにより、透過光または前記反射光における光強度分布および光位相分布を算出する。

【0066】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されない。

【0067】
(実施の形態1)
実施の形態1では、振幅変調と位相変調とを併用して生成された信号光(空間直交振幅変調信号光)を用いてホログラフィックメモリにデータページ(2次元データ)を記録し、かつこのホログラフィックメモリから記録されたデータページを再生することができるホログラフィックメモリ記録再生装置について説明する。

【0068】
図1は、実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置の構成を示す模式図である。図1に示されるように、実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置100は、レーザ光源105、第1のビームスプリッタ110、空間直交振幅変調信号光生成部115、第1のレンズ120、第1のミラー125、第2のビームスプリッタ130、光シャッタ135、第2のレンズ140、可変位相シフタ145、第2のミラー150、第3のビームスプリッタ155、CCD160および処理部(図示せず)を有する。

【0069】
このホログラフィックメモリ記録再生装置100は、第1のレンズ120と第2のレンズ140との間に配置されたホログラフィックメモリ(記録媒体)165にデータページ(第1のホログラム)を記録し、このホログラフィックメモリ165からデータページを再生する。ホログラフィックメモリ165は、ホログラフィックメモリ記録再生装置100から取り外すことが可能であり、CDやDVDなどのようにリムーバブルメモリとして使用されうる。

【0070】
レーザ光源105は、ホログラフィックメモリにデータページ(第1のホログラム)を記録する際に用いられる信号光および参照光(第1の参照光)と、ホログラフィックメモリからデータページを再生する際に用いられる参照光(第1の参照光および第2の参照光)の光源である。

【0071】
第1のビームスプリッタ110は、レーザ光源105から出射されたレーザ光を信号光と参照光(第1の参照光および第2の参照光)とに分離する。

【0072】
空間直交振幅変調信号光生成部115は、ホログラフィックメモリにデータページを記録する際に、第1のビームスプリッタ110により分離された信号光の振幅(強度)および位相を変化させて、空間直交振幅変調信号を生成する。すなわち、空間直交振幅変調信号光生成部115は、空間直交振幅変調(SQAM)により信号光にデータページ(2次元データ)を担持させる。

【0073】
空間直交振幅変調(SQAM)では、変調する信号の同相成分をIとし、直交成分をQとするとき、これらの信号を以下のように表わすことができる。
【数2】
JP0005862896B2_000003t.gif

【0074】
ここで、光波の周波数をω、時間t、波数k、空間変数rとすると、三角関数の加法定理より
【数3】
JP0005862896B2_000004t.gif
と表わされる。すなわち、信号の同相成分Iと直交成分Qを変調することは、光波の振幅Aと位相φを変調することと等価である。

【0075】
たとえば、空間直交振幅変調信号光生成部115は、図2に示されるように振幅変調を行う空間光変調器(SLM1)と位相変調を行う空間光変調器(SLM2)とから構成される。空間光変調器は、2次元の光信号(画像など)の振幅A(x,y)および位相exp{iφ(x,y)}の空間分布を電気的に制御することができる。空間光変調器の例には、LCD(透過型液晶)、LCOS(透過型液晶)、DMD(デジタルミラーデバイス)などが含まれる。なお、振幅変調または位相変調のみを行う場合には、1台の空間光変調器(SLM)を用いればよい。

【0076】
また、空間直交振幅変調信号光生成部115は、図3に示されるようにマイケルソンの干渉計を利用して、I信号とQ信号を独立(並列)に強度変調してから混合する構成であってもよい。I信号およびQ信号は、式(1)で表わされる強度信号である。図3に示される2つの空間光変調器(SLM1およびSLM2)は、いずれも振幅変調を行う反射型の空間光変調器である。I信号は、第1の空間光変調器(SLM1)によって振幅変調される。Q信号は、第2の空間光変調器(SLM2)によって振幅変調される。図3に示される態様では、SLM1とビームスプリッタ(BS)との間の光路長LおよびSLM2とBSとの間の光路長Lを「L-L=λ/4」となるように設定する(λ:光波の波長)。このようにすることで、直交振幅変調信号光の生成位置SにおけるI信号とQ信号の位相差がπ/2となる。したがって、以下に示されるように、図2に示される態様と等価な信号を得ることができる。
【数4】
JP0005862896B2_000005t.gif

【0077】
第1のレンズ120は、空間直交振幅変調信号光生成部115により変調された信号光(空間直交振幅変調信号光)をフーリエ変換するとともに、ホログラフィックメモリ165の所望の位置に集光照射するためのレンズである。

【0078】
第1のミラー125は、第1のビームスプリッタ110により分離された参照光(第1の参照光および第2の参照光)を第2のビームスプリッタ130に入射させるためのミラーである。

【0079】
第2のビームスプリッタ130は、第1のビームスプリッタ110により分離された参照光を第1の参照光と第2の参照光とに分離する。すなわち、第2のビームスプリッタ130は、「レーザ光分離部」として機能する。

【0080】
光シャッタ135は、第2のビームスプリッタ130により分離された第2の参照光を遮断する。

【0081】
第2のレンズ140は、第1のレンズ120と等価なレンズであり、ホログラフィックメモリ165に記録されたホログラム(第1のホログラム)の回折光を逆フーリエ変換する。

【0082】
可変位相シフタ145は、第2のビームスプリッタ110により分離された第2の参照光の位相を変化させる。可変位相シフタ145の例には、液晶素子やピエゾ素子などが含まれる。

【0083】
第2のミラー150は、可変位相シフタ145により位相を変化させられた第2の参照光を第3のビームスプリッタ155に入射させるためのミラーである。

【0084】
第3のビームスプリッタ155は、第2のレンズ140により逆フーリエ変換された第1のホログラムの回折光と、可変位相シフタ145により位相を変化させられた第2の参照光とから第2のホログラムを生成する。可変位相シフタ145、第2のミラー150および第3のビームスプリッタ155は、「ホログラム生成部」として機能する。

【0085】
CCD160は、第2のホログラムの強度分布を検出する。検出された強度分布は、光電変換されて処理部に送られる。CCD160は、「検出部」として機能する。

【0086】
処理部(図示せず)は、光電変換された第2のホログラムの強度分布の情報を処理して、空間直交振幅変調信号を復調する。

【0087】
次に、本実施の形態のホログラフィックメモリ記録再生装置100を用いてホログラフィックメモリ165にデータページ(2次元データ)を記録する手順について説明する。

【0088】
図4は、ホログラフィックメモリ記録再生装置100を用いてホログラフィックメモリ165にデータページ(第1のホログラム)を記録する様子を示す模式図である。

【0089】
図4に示されるように、ホログラフィックメモリ165にデータページを記録する際には、光シャッタ135により第2の参照光230を遮断する。この状態で、空間直交振幅変調信号光生成部115によって生成された信号光210(空間直交振幅変調信号光)と、第2のビームスプリッタ110により分離された第1の参照光220とをホログラフィックメモリ165の所定の位置に集光照射して、ホログラム(第1のホログラム)を記録する。このとき、ホログラフィックメモリ165の同一の位置に複数のホログラムまたはデータページを多重記録することももちろん可能である。多重記録の方法には、第1の参照光220の入射角度を変化させて多重記録する角度多重記録や、第1の参照光220の位相を変化させて多重記録する位相コード多重記録などが含まれる。

【0090】
次に、本実施の形態のホログラフィックメモリ記録再生装置100を用いてホログラフィックメモリ165に記録された第1のホログラムからデータページを復元する手順について説明する。

【0091】
図5は、ホログラフィックメモリ記録再生装置100を用いてホログラフィックメモリ165からデータページを読み出す様子を示す模式図である。

【0092】
図5に示されるように、ホログラフィックメモリ165からデータページを読み出す際には、空間直交振幅変調信号光生成部115の空間光変調器(SLM)により信号光210を遮断する。空間光変調器の代わりに、光シャッタを信号光210の光路上に設置して信号光210を遮断してもよい。一方、第2の参照光230の光路上の光シャッタ135は、開放する。この状態で、第1の参照光220をホログラフィックメモリ165の所定の位置に集光照射して、第1のホログラムの回折光240を発生させる。そして、この第1のホログラムの回折光240と第2の参照光230とを干渉させることによって、第2のホログラム250を生成する。そして、CCD160は、この第2のホログラム250の強度分布I(x,y)を光電変換し、2次元情報を復元する。このとき、第2の参照光230の位相を可変位相シフタ145によって変化させて、複数の第2のホログラムを生成し、光電変換によって得られる複数の2次元信号データを電気的に処理することによって、ホログラフィックメモリに記録された空間直交振幅変調信号を高精度に復調することができる。

【0093】
ここで、CCD160で検出された強度分布から、第1のホログラムに記録された空間直交振幅変調信号A(x,y)exp{iφ(x,y)}を復調する2つの方法(第1の方法および第2の方法)について説明する。ここでは、記録されたN値位相情報がφ(n=1,2,…,N)のいずれかであると仮定する。

【0094】
1)第1の方法
第1の方法では、第2の参照光230の位相をφ,φ,…φと変化させて、特性の異なる第2のホログラムをN回生成する。このとき、第2のホログラムの再生光の強度が最も高いときの第2の参照光の位相が第1のホログラムに記録された位相情報であるとする。振幅情報については、図5に示される光シャッタ135を閉じ、第2のホログラムを生成せず、第1のホログラムの回折光240のみをCCD160で観測することによって、光電変換によって位相成分が自動的に除去されるため振幅情報A(x,y)を復調できる。

【0095】
この方法は、デジタル信号処理の負担は小さいものの、変調信号における多値数Nと復調に必要な第2のホログラムの生成回数が等しいため、多値数Nが大きくなると位相情報の復調に必要なホログラム生成回数も増加してしまう。

【0096】
2)第2の方法
空間直交振幅変調信号光A(x,y)exp{iφ(x,y)}を第1のホログラムに記録する際の第1の参照光220の複素振幅をRとすると、第1のホログラム面上に生ずる強度分布は、
【数5】
JP0005862896B2_000006t.gif
となる。式(3)の強度分布を第1のホログラムに光学的に記録すると、その振幅透過率分布は
【数6】
JP0005862896B2_000007t.gif
という形で記録される。ここで、Tおよびtは、第1のホログラムを構成する感光材料の種類や記録方式によって決まる定数である。

【0097】
空間直交振幅変調信号の復調過程において、まず、第1のホログラムを第1の参照光220によって再生した時に得られる光波は、式(3)、(4)より
【数7】
JP0005862896B2_000008t.gif
となる。式(5)において、第1のホログラムの再生時に生ずる回折光の信号成分は、右辺第4項に含まれる。それ以外の成分の光は、伝搬方向が異なるため空間フィルタなどで容易に除去することが可能である。したがって、第1のホログラムを再生して得られる第2のホログラムの記録光Sは、
【数8】
JP0005862896B2_000009t.gif
に比例する。ここで、ηは第1のホログラムの回折効率であり、η=t|R|である。また、Aは、空間フィルタで除去できなかった不要な回折光成分および第2のホログラムの記録光に混入する雑音成分である。

【0098】
式(6)の第2のホログラムの記録光240(第1のホログラムの回折光の信号成分)と第2の参照光230(複素振幅R’)によって、最初に第1のホログラムに記録された空間直交振幅変調信号がCCD上に生成される第2のホログラムに転写される。その際、第2の参照光230は、可変位相シフタ145によって以下の位相シフトを加えられるものとする。
【数9】
JP0005862896B2_000010t.gif
ここで、Rは複素振幅R’の振幅であり、imΔΨは位相である。また、mは、整数(m=1,2,…,M)である。Mは、第2の参照光230の位相をシフトする回数であり、第2のホログラムの生成数に相当する。

【0099】
すなわち、mを1からMまで、つまり第2の参照光230の位相を変化させてM個の異なる第2のホログラムを生成し、同時にその再生を行う。このとき、CCD160の面上に生ずるm個目の第2のホログラムの強度分布は、
【数10】
JP0005862896B2_000011t.gif
となる。雑音成分であるAに比例する項は、第2の参照光230と干渉性を有しないためホログラム分布に寄与しない。ただし、(Aの成分は雑音となり、I=(Aとすると、式(8)は
【数11】
JP0005862896B2_000012t.gif
と書ける。ここで、I=η+Rとおくと
【数12】
JP0005862896B2_000013t.gif
となる。CCD160の光電変換効率が光強度に対してほぼ一定であり、その変換効率をqとすると、m個目のホログラム強度分布に対してCCD160から出力される電気信号強度V(x,y)=qI
【数13】
JP0005862896B2_000014t.gif
となる。上式におけるVは、光電変換において生ずる雑音成分である。ここで、3つのパラメータa,b,cを
【数14】
JP0005862896B2_000015t.gif
とおくと、
【数15】
JP0005862896B2_000016t.gif
と表わされる。

【0100】
第2のホログラムの強度分布を検出する際に、Vの実際の測定値がV’になったとすると、測定者が知り得る情報は、V’とmΔΨである。そこで、
【数16】
JP0005862896B2_000017t.gif
となるように(ここでmin.は最小値を表わす)、未知のパラメータa,b,cをコンピュータなどを用いて決定すればよい。このように算出されたパラメータa,b,cを用いると、式(11)より、
【数17】
JP0005862896B2_000018t.gif
が得られ、空間直交振幅信号光の位相情報を復調することができる。また、同じく式(11)より、
【数18】
JP0005862896B2_000019t.gif
が得られ、空間直交振幅信号光の振幅情報を復調することができ、
【数19】
JP0005862896B2_000020t.gif
となる。すべて(M個)の第2のホログラムにおいて参照光の強さRが一定であれば
【数20】
JP0005862896B2_000021t.gif
となる。

【0101】
以上のプロセスにおいて特徴的なことは、位相および振幅の多値数Nに関わらず、未知のパラメータの数はa,b,cの3つであることから、第2のホログラムを最低3回生成することで(M=3)、直交振幅変調信号光を復調することができる。これは、大きな多値数Nを用いたホログラフィックメモリを再生する場合に、第2のホログラムの生成回数がM=Nとなる第1の方法と比べて優位性がある。また、第2のホログラムの生成において第2の参照光230の強さを一定に保つことで、パラメータbとcによる信号の復調が可能であり、検出において生ずる雑音成分の影響(パラメータaに含まれる雑音成分IおよびV)を受けない利点がある。

【0102】
次に、パラメータa,b,cの算出手順を述べる。まず、式(13)においてα=mΔΨとおき、パラメータa,b,cの各々で偏微分して0とおくと、
【数21】
JP0005862896B2_000022t.gif
が得られる。ここで、第2の参照光230に与える位相シフトのステップをΔΨ=2π/Mと設定すると、
【数22】
JP0005862896B2_000023t.gif
となるので、計算が大幅に容易となり、各パラメータは
【数23】
JP0005862896B2_000024t.gif
と求まる。この結果を式(14)および式(17)に代入すると
【数24】
JP0005862896B2_000025t.gif
となり、空間直交振幅変調信号の位相情報が求まる。振幅情報については
【数25】
JP0005862896B2_000026t.gif
より求められる。

【0103】
以上のように、実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置は、位相変調と振幅変調とを併用して生成された信号光(空間直交振幅変調信号光)を用いてホログラフィックメモリにデータページ(2次元データ)を記録し、かつこのホログラフィックメモリからデータページを高精度に再生することができる。

【0104】
(実施の形態2)
実施の形態1では、M個の第2のホログラムを生成する際に可変位相シフタを用いて第2の参照光の位相を変化させた。実施の形態2では、特別な干渉計を利用することで、可変位相シフタを用いずにM個の第2のホログラムを同時に生成するホログラフィックメモリ記録再生装置について説明する。

【0105】
実施の形態2のホログラフィックメモリ記録再生装置は、ホログラム生成部および検出部以外の各構成要素については実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置と同じである。そこで、ホログラム生成部および検出部についてのみ説明する。ここでは、一例として
【数26】
JP0005862896B2_000027t.gif
としたときの、実施の形態2のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の構成を図6に示す。

【0106】
図6に示されるように、ホログラム生成部および検出部は、第1のビームスプリッタ305、第2のビームスプリッタ310、第3のビームスプリッタ315、第4のビームスプリッタ320、位相シフタ325、第1のCCD330、第2のCCD335、第3のCCD340、第4のCCD345を有する。第1のビームスプリッタ305、第2のビームスプリッタ310、第3のビームスプリッタ315、第4のビームスプリッタ320および位相シフタ325は、「ホログラム生成部」として機能する。また、第1のCCD330、第2のCCD335、第3のCCD340および第4のCCD345は、「検出部」として機能する。図6において、第1の参照光220および第2の参照光230は、同一のレーザ光源から生じた互いに干渉性のあるレーザ光である。

【0107】
第1のビームスプリッタ305、第2のビームスプリッタ310、第3のビームスプリッタ315および第4のビームスプリッタ320は、それぞれ入射した光束を2つの光束に分割する。第1のビームスプリッタ305、第2のビームスプリッタ310、第3のビームスプリッタ315および第4のビームスプリッタ320は、図6に示される位置関係で配置される。

【0108】
図6に示されるように、第1のビームスプリッタ305には、第1のホログラムの回折光240が入射する。入射した第1のホログラムの回折光の一部は透過して第3のビームスプリッタ315に向かい、残部は反射して第4のビームスプリッタ320に向かう。同様に、第2のビームスプリッタ310には、第2の参照光230が入射する。入射した第2の参照光230の一部は反射して第3のビームスプリッタ315に向かい、残部は透過して第4のビームスプリッタ320に向かう。

【0109】
第3のビームスプリッタ315の第1の面には、第1のビームスプリッタ305を透過した第1のホログラムの回折光240が入射する。入射した第1のホログラムの回折光240の一部は反射して第1のCCD330に向かい、残部は透過して第2のCCD335に向かう。一方、第3のビームスプリッタ315の第2の面には、第2のビームスプリッタ310で反射した第2の参照光230が入射する。入射した第2の参照光230の一部は透過して第1のCCD330に向かい、残部は反射して第2のCCD335に向かう。

【0110】
第4のビームスプリッタ320の第1の面には、第1のビームスプリッタ305で反射した第1のホログラムの回折光240が入射する。入射した第1のホログラムの回折光240の一部は反射して第3のCCD340に向かい、残部は透過して第4のCCD345に向かう。一方、第4のビームスプリッタ320の第2の面には、第2のビームスプリッタ310を透過した第2の参照光230が入射する。入射した第2の参照光230の一部は透過して第3のCCD340に向かい、残部は反射して第4のCCD345に向かう。

【0111】
位相シフタ325は、図6に示されるように、第2のビームスプリッタ310と第4のビームスプリッタ320との間に配置される。位相シフタ325は、第2のビームスプリッタ310により分離された第2の参照光の位相を変化させる。

【0112】
第1のCCD330、第2のCCD335、第3のCCD340および第4のCCD345は、図6に示される位置関係で配置される。第1のCCD330は、第3のビームスプリッタ315で反射した第1のホログラムの回折光240と第3のビームスプリッタ315を透過した第2の参照光230とにより生成された第2のホログラムの強度分布を検出する。第2のCCD335は、第3のビームスプリッタ315を透過した第1のホログラムの回折光240と第3のビームスプリッタ315で反射した第2の参照光230とにより生成された第2のホログラムの強度分布を検出する。第3のCCD340は、第4のビームスプリッタ320で反射した第1のホログラムの回折光240と第4のビームスプリッタ320を透過した第2の参照光230とにより生成された第2のホログラムの強度分布を検出する。第4のCCD345は、第4のビームスプリッタ320を透過した第1のホログラムの回折光240と第4のビームスプリッタ320で反射した第2の参照光230とにより生成された第2のホログラムの強度分布を検出する。

【0113】
図6に示される光学系は、第1のビームスプリッタ305と第3のビームスプリッタ315との間の光路長Lと、第2のビームスプリッタ310と第3のビームスプリッタ315との間の光路長Lと、第1のビームスプリッタ305と第4のビームスプリッタ320との間の光路長Lと、第2のビームスプリッタ310と第4のビームスプリッタ320との間の光路長Lとが、以下の式(24)を満たすように調整される。
【数27】
JP0005862896B2_000028t.gif

【0114】
光学系の調整は、基準となる信号光をホログラム回折光240の代わりに与え、そのときの第1のCCD330上での光強度が最大となるように、各ビームスプリッタ305~320の位置を調整すればよい。このようにすることで、第2の参照光230の位相がα=0であるときの第2のホログラムが第1のCCD330上に生成される。また、ストークス(Stokes)の関係式およびエネルギー保存則により、特定の信号位置(x,y)において第1のCCD上での光強度が最大となるとき、同じ信号位置(x,y)において第2のCCD335上での光強度は最小となる。したがって、第2の参照光230の位相がα=πであるときの第2のホログラムが第2のCCD335上に生成される。

【0115】
図6に示される構成で第2のホログラムを同時に生成できる理由について、図7を用いて説明する。図7は、図6の第3のビームスプリッタ315の周辺部分の拡大模式図である。

【0116】
図7に示されるように、第1のホログラムの回折光Aexp(iφ)は、図面の左側から第3のビームスプリッタ315に入射している。この方向(図面の左側から右側に向かう方向)からの光に対する第3のビームスプリッタ315の振幅透過率をt(第2のCCD335へ向かう成分)とし、振幅反射率をr(第1のCCD330へ向かう成分)とする。また、Rで表わされる第2の参照光230は、図面の下側から第3のビームスプリッタ315に入射している。この方向(図面の下側から上側に向かう方向)からの光に対する第3のビームスプリッタ315の振幅透過率をt’(第1のCCD330へ向かう成分)、振幅反射率をr’(第2のCCD335へ向かう成分)とする。この場合、一般的にストークスの関係式
【数28】
JP0005862896B2_000029t.gif
および、エネルギー保存則
【数29】
JP0005862896B2_000030t.gif
が成立する(記号*は複素共役を表わす)。

【0117】
ここで、第1のCCD330上に生ずるホログラム振幅は、式(26)を用いると、式(8)とほぼ同様の手順で
【数30】
JP0005862896B2_000031t.gif
と書ける。ここで、γは、反射率と透過率の積rtの位相角であり
【数31】
JP0005862896B2_000032t.gif
である。同様に、第2のCCD335上に生ずるホログラム振幅は、
【数32】
JP0005862896B2_000033t.gif
と書ける。ここで、式(25)を用いると、
【数33】
JP0005862896B2_000034t.gif
であるから、式(28)は
【数34】
JP0005862896B2_000035t.gif
と書ける。

【0118】
式(27)において、基準となる信号光をホログラム回折光の代わりに与え、そのときの第1のCCD330上での光強度が最大となるように光学系を調整すれば(φ+γ=0においてICCD1が最大)、これは式(9)において、光強度の変化を表わすcos()関数の中が0となる場合に相当するから、m=0、すなわち第2の参照光230の位相がα=0であるときの第2のホログラムが得られる光学条件と等しい。また、式(27)と式(29)を比較すると、干渉縞の符号が反転、すなわち、右辺第3項における干渉縞の位相がπシフトしていることがわかる(光強度の変化を表わすcos()関数の中に-πが含まれる)。したがって、式(29)は、式(9)において、m=2、すなわち第2の参照光230の位相がα=πに相当する第2のホログラムが得られる光学条件と等しい。ここで、式(27)と式(29)において右辺の第1項および第2項の値は異なるが、これらは、
【数35】
JP0005862896B2_000036t.gif
となる標準的な光強度分岐比1:1のビームスプリッタ(ハーフミラー)を用いることで等しい値にすることができる。

【0119】
以上より、第1のCCD330上に第2の参照光230の位相がα=0であるときの第2のホログラムが生成され、第2のCCD335上に第2の参照光230の位相がα=πであるときの第2のホログラムが生成されることがわかる。

【0120】
次に、基準となる信号光との位相差がπ/2となる信号光をホログラム回折光の代わりに与え、その時の第3のCCD340上での光強度が最大となるように位相シフタ325を調整する。なお、この調整は、実施の形態1のホログラフィックメモリ再生装置の可変位相シフタにおける動作とは異なり、最初に一度だけ行えばよい。

【0121】
ここで、第4のビームスプリッタ320は、第3のビームスプリッタ315と振幅透過率と振幅反射率が同じであるとすると、第3のCCD340および第4のCCD345上に生ずるホログラム振幅は
【数36】
JP0005862896B2_000037t.gif
【数37】
JP0005862896B2_000038t.gif
と書ける。式(30)は、式(9)においてm=1、すなわち第2の参照光230の位相がα=π/2であるときの第2のホログラムが得られる光学条件と等しい。また、式(31)は、式(8)においてm=3、すなわち第2の参照光230の位相がα=3π/2であるときの第2のホログラムが得られる光学条件と等しい。

【0122】
以上のように光学系を調整した後、第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)と第2の参照光230とをこの光学系に導入すると、第2の参照光230の位相を変化させることなく、第2の参照光230の位相をα=0,π/2,π,3π/2に変化させた場合に等しい第2のホログラムが第1のCCD330、第2のCCD335、第3のCCD340および第4のCCD345上で同時に生成される。このようにして同時に得られる4枚の第2のホログラムから、電子的な処理によって信号を復調する手順は、実施の形態1で説明した第2の方法と同様である(式(18)~式(22)参照)。

【0123】
以上のように、実施の形態2のホログラフィックメモリ記録再生装置は、特別な干渉計を利用することで、可変位相シフタを用いずにM個の第2のホログラムを同時に生成して、空間直交振幅変調信号光を復調することができる。

【0124】
(実施の形態3)
実施の形態2では、各ビームスプリッタ間の光路長を調整する必要があった。実施の形態3では、各ビームスプリッタ間の光路長を調整せずにM個の第2のホログラムを同時に生成するホログラフィックメモリ記録再生装置について説明する。

【0125】
実施の形態3のホログラフィックメモリ記録再生装置は、ホログラム生成部および検出部以外の各構成要素については実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置と同じである。そこで、ホログラム生成部および検出部についてのみ説明する。

【0126】
図8は、実施の形態3のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の構成を示す模式図である。

【0127】
図8に示されるように、ホログラム生成部および検出部は、半波長板405、可変位相シフタ410、λ/4波長板415、ビームスプリッタ420、第1の偏光ビームスプリッタ425、第2の偏光ビームスプリッタ430、第1のCCD435、第2のCCD440、第3のCCD445、第4のCCD450を有する。半波長板405、可変位相シフタ410、λ/4波長板415、ビームスプリッタ420、第1の偏光ビームスプリッタ425および第2の偏光ビームスプリッタ430は、「ホログラム生成部」として機能する。また、第1のCCD435、第2のCCD440、第3のCCD445および第4のCCD450は、「検出部」として機能する。図8において、第1の参照光220および第2の参照光230は、同一のレーザ光源から生じた直線偏光(水平偏光;図面の面内方向)のレーザ光である。

【0128】
半波長板405は、第1のホログラムの回折光240の光路上に配置され、第1のホログラムの回折光240の偏光角を45度回転する。

【0129】
可変位相シフタ410は、第2の参照光230の光路上に配置される。なお、可変位相シフタ410は、式(23)で示されるM=4、すなわち第2のホログラムの数が4またはそれ以下の場合には不要である。

【0130】
λ/4波長板415は、第2の参照光230の光路上に配置され、第2の参照光230の偏光状態を円偏光に変換する。ここで、円偏光とは、水平偏光成分と垂直偏光成分の位相差がπ/2である偏光状態を意味する。

【0131】
ビームスプリッタ420は、偏光依存性を有さないビームスプリッタである。ビームスプリッタ420の第1の面には、半波長板405により偏光角を変えられた第1のホログラムの回折光240が入射する。入射した第1のホログラムの回折光240の一部は反射して第1の偏光ビームスプリッタ425に向かい、残部は透過して第2の偏光ビームスプリッタ430に向かう。また、ビームスプリッタ420の第2の面には、λ/4波長板415により偏光状態を変えられた第2の参照光230が入射する。入射した第2の参照光230の一部は透過して第1の偏光ビームスプリッタ425に向かい、残部は反射して第2の偏光ビームスプリッタ430に向かう。

【0132】
第1の偏光ビームスプリッタ425および第2の偏光ビームスプリッタ430は、偏光依存性を有するビームスプリッタである。すなわち、第1の偏光ビームスプリッタ425および第2の偏光ビームスプリッタ430は、水平偏光の光を透過させ、垂直偏光の光を反射させる。第1の偏光ビームスプリッタ425および第2の偏光ビームスプリッタ430は、図8に示される位置関係で配置される。

【0133】
図8に示されるように、第1の偏光ビームスプリッタ425には、ビームスプリッタ420で反射した第1のホログラムの回折光240およびビームスプリッタ420を透過した第2の参照光230が入射する。第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分は、第1の偏光ビームスプリッタ425を透過して第1のCCD435に向かう。一方、第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分は、第1の偏光ビームスプリッタ425で反射して第3のCCD445に向かう。

【0134】
同様に、第2の偏光ビームスプリッタ430には、ビームスプリッタ420を透過した第1のホログラムの回折光240およびビームスプリッタ420で反射した第2の参照光230が入射する。第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ430を透過して第2のCCD440に向かう。一方、第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ430で反射して第4のCCD450に向かう。

【0135】
第1のCCD435、第2のCCD440、第3のCCD445および第4のCCD450は、それぞれ異なる第2のホログラムの強度分布を検出する。第1のCCD435、第2のCCD440、第3のCCD445および第4のCCD450は、図8に示される位置関係で配置される。第1のCCD435は、第1の偏光ビームスプリッタ425を透過した第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分と第2の参照光230の水平偏光成分とにより生成された第2のホログラムの強度分布を検出する。第2のCCD440は、第2の偏光ビームスプリッタ430を透過した第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分と第2の参照光230の水平偏光成分とにより生成された第2のホログラムの強度分布を検出する。第3のCCD445は、第1の偏光ビームスプリッタ425で反射した第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分と第2の参照光230の垂直偏光成分とにより生成された第2のホログラムの強度分布を検出する。第4のCCD450は、第2の偏光ビームスプリッタ430で反射した第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分と第2の参照光230の垂直偏光成分とにより生成された第2のホログラムの強度分布を検出する。

【0136】
図8に示される構成で第2のホログラムを同時に生成できる理由について、図8を用いて説明する。

【0137】
図8に示されるように、半波長板405は、第1の参照光220によって生成される第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)の偏光角を45度回転させる。したがって、半波長板405を透過した第1のホログラムの回折光240は、図のAの位置において互いに同位相の水平偏光成分(図面の面内方向、図中矢印で示す)と垂直偏光成分(図面の垂直方向、図中二重丸で示す)を半分ずつ有することになる。

【0138】
一方、λ/4波長板415は、第2の参照光230の偏光状態を円偏光に変換する。したがって、λ/4波長板415を透過した第2の参照光230は、図のBの位置においては円偏光となっている(図中丸で示す)。前述の通り、円偏光とは、水平偏光成分と垂直偏光成分の位相差がπ/2である偏光状態を意味する。

【0139】
このようにして得られた、45度直線偏光の第1のホログラムの回折光240と円偏光の第2の参照光230は、ビームスプリッタ420に入射する。このビームスプリッタ420によって、第2の参照光230の位相がα=0であるときの第2のホログラムと第2の参照光230の位相がα=πであるときの第2のホログラムを同時に生成可能であることは、実施の形態2で説明した通りである。したがって、図のC方向に進む光波と図のD方向に進む光波とでは、位相がπずれた第2のホログラムが生成される。

【0140】
まず、第1のホログラムの回折光240および第2の参照光230がビームスプリッタ420に入射した後、ビームスプリッタ420から第1の偏光ビームスプリッタ425の方向(図中Cの方向)に進行する2つの光について説明する。

【0141】
図8に示されるように、第1のホログラムの回折光Aexp(iφ)は、図面の左側からビームスプリッタ420に入射している。この方向(図面の左側から右側に向かう方向)からの光に対するビームスプリッタ420の振幅透過率をt(第2のCCD440および第4のCCD450へ向かう成分)とし、振幅反射率をr(第1のCCD435および第3のCCD445へ向かう成分)とする。また、第2の参照光Rは、図面の下側からビームスプリッタ405に入射している。この方向(図面の下側から上側に向かう方向)からの光に対するビームスプリッタ420の振幅透過率をt’(第1のCCD435および第3のCCD445へ向かう成分)、振幅反射率をr’(第2のCCD440および第4のCCD450へ向かう成分)とする。

【0142】
まず、第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および円偏光の第2の参照光230の水平偏光成分は、第1の偏光ビームスプリッタ425を直進(透過)する。式(27)と同様の考察により、式(25)および式(26)を用いると
【数38】
JP0005862896B2_000039t.gif
となり、第1のCCD435上に、第2の参照光230の位相がα=0であるときの第2のホログラムが生成される。

【0143】
同時に、第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および円偏光の第2の参照光230の垂直偏光成分は、第1の偏光ビームスプリッタ425を反射し、第3のCCD445側に進行する。このとき、円偏光の第2の参照光230は、水平偏光成分と垂直偏光成分の位相差がπ/2であるため、第3のCCD445上に生ずるホログラムは、
【数39】
JP0005862896B2_000040t.gif
となり、第2の参照光230の位相がα=π/2であるときの第2のホログラムが生成される。

【0144】
次に、第1のホログラムの回折光240および第2の参照光230がビームスプリッタ420に入射した後、ビームスプリッタ420から第2の偏光ビームスプリッタ430の方向(図中Dの方向)に進行する2つの光について説明する。

【0145】
まず、第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および円偏光の第2の参照光230の水平偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ430を直進(透過)する。式(29)と同様の考察により、
【数40】
JP0005862896B2_000041t.gif
となり、第2のCCD440上に、第2の参照光230の位相がα=πであるときの第2のホログラムが生成される。

【0146】
同時に、第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および円偏光の第2の参照光230の垂直偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ430を反射し、第4のCCD450側に進行する。このとき、円偏光の第2の参照光230は、水平偏光成分と垂直偏光成分の位相差がπ/2であるため、第4のCCD450上に生ずるホログラムは、
【数41】
JP0005862896B2_000042t.gif
となり、第2の参照光230の位相がα=3π/2であるときの第2のホログラムが生成される。

【0147】
このような動作原理により、第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)と第2の参照光230を導入すると、光路長を調整することなく、第2の参照光230の位相をα=0,π/2,π,3π/2に変化させた場合に等しい第2のホログラムが第1のCCD435、第2のCCD440、第3のCCD445および第4のCCD450上に同時に生成される。このようにして同時に得られる4枚の第2のホログラムから、電子的な処理によって信号を復調する手順は、実施の形態1で説明した第2の方法と同様である(式(18)~式(22)参照)。

【0148】
また、信号の復調精度を高めるためにM=4より大きな数の第2のホログラムを生成する場合には、可変位相シフタ410を利用すればよい。まず、可変位相シフタ410の位相差を0にして、第2の参照光230の位相をα=0,π/2,π,3π/2に変化させた場合と等価な4枚の第2のホログラムを生成する。その後、可変位相シフタ410によってπ/4の位相差を第2の参照光230に与えることによって、第2の参照光230の位相をα=π/4,3π/4,5π/4,7π/4に変化させた場合と等価な4枚の第2のホログラムを生成する。このようにして生成された合計8枚の第2のホログラムから式(18)~式(22)を用いて空間直交振幅変調信号を精密に復調することが可能になる。

【0149】
(実施の形態4)
実施の形態3の光学系では、第2のホログラムを一度に4枚検出するためには、4台のCCDが必要であった。実施の形態4では、2台のCCDで第2のホログラムを一度に4枚検出するホログラフィックメモリ記録再生装置について説明する。

【0150】
実施の形態4のホログラフィックメモリ記録再生装置は、ホログラム生成部および検出部以外の各構成要素については実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置と同じである。そこで、ホログラム生成部および検出部についてのみ説明する。

【0151】
図9は、実施の形態4のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の構成を示す模式図である。

【0152】
図9に示されるように、ホログラム生成部および検出部は、半波長板505、可変位相シフタ510、λ/4波長板515、ビームスプリッタ520、第1のミラー525、第2のミラー530、偏光ビームスプリッタ535、第1のCCD540、第2のCCD545を有する。半波長板505、可変位相シフタ510、λ/4波長板515、ビームスプリッタ520、第1のミラー525、第2のミラー530および偏光ビームスプリッタ535は、「ホログラム生成部」として機能する。また、第1のCCD540および第2のCCD545は、「検出部」として機能する。図9において、第1の参照光220および第2の参照光230は、同一のレーザ光源から生じた直線偏光(水平偏光;図面の面内方向)のレーザ光である。

【0153】
半波長板505、可変位相シフタ510およびλ/4波長板515は、実施の形態3のものと同じものである。

【0154】
ビームスプリッタ520は、偏光依存性を有さないビームスプリッタである。ビームスプリッタ520の第1の面には、半波長板505により偏光角を変えられた第1のホログラムの回折光240が入射する。入射した第1のホログラムの回折光240の一部は反射して第1のミラー525に向かい、残部は透過して第2のミラー530に向かう。また、ビームスプリッタ520の第2の面には、λ/4波長板515により偏光状態を変えられた第2の参照光230が入射する。入射した第2の参照光230の一部は透過して第1のミラー525に向かい、残部は反射して第2のミラー530に向かう。

【0155】
第1のミラー525は、ビームスプリッタ520で反射した第1のホログラムの回折光240およびビームスプリッタ520を透過した第2の参照光230を偏光ビームスプリッタ535の第1の面に入射させるためのミラーである。

【0156】
第2のミラー530は、ビームスプリッタ520を透過した第1のホログラムの回折光240およびビームスプリッタ520で反射した第2の参照光230を偏光ビームスプリッタ535の第2の面に入射させるためのミラーである。

【0157】
偏光ビームスプリッタ535は、偏光依存性を有するビームスプリッタである。すなわち、偏光ビームスプリッタ535は、水平偏光の光を透過させ、垂直偏光の光を反射させる。偏光ビームスプリッタ535は、図9に示される位置関係で配置される。

【0158】
図9に示されるように、偏光ビームスプリッタ535の第1の面には、ビームスプリッタ520で反射した第1のホログラムの回折光240およびビームスプリッタ520を透過した第2の参照光230が入射する。第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分は、偏光ビームスプリッタ535で反射して第1のCCD540に向かう。一方、第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分は、偏光ビームスプリッタ535を透過して第2のCCD545に向かう。

【0159】
偏光ビームスプリッタ535の第2の面には、ビームスプリッタ520を透過した第1のホログラムの回折光240およびビームスプリッタ520で反射した第2の参照光230が入射する。第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分は、偏光ビームスプリッタ535を透過して第1のCCD540に向かう。一方、第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分は、偏光ビームスプリッタ535で反射して第2のCCD545に向かう。

【0160】
偏光ビームスプリッタ535の第1の面には、第1のミラー525側からの光が入射し、第2の面には、第2のミラー530側からの光が入射する。すなわち、偏光ビームスプリッタ535の表面および裏面に同時に光が入射する。このとき、第1のミラー525側からの光の光軸と、第2のミラー530側からの光の光軸がずれるように、第1のミラー525および第2のミラー530は配置されている(図9参照)。

【0161】
第1のCCD540および第2のCCD545は、図9に示される位置関係で配置される。第1のCCD540および第2のCCD545は、それぞれ、第2のホログラムが2枚ずつ生成される。すなわち、第1のCCD540は、偏光ビームスプリッタ535の第1の面で反射した光(第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分)により生成された第2のホログラムの強度分布と、偏光ビームスプリッタ535の第2の面を透過した光(第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分)により生成された第2のホログラムの強度分布とを検出する。一方、第2のCCD545は、偏光ビームスプリッタ535の第1の面を透過した光(第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分)により生成された第2のホログラムの強度分布と、偏光ビームスプリッタ535の第2の面で反射した光(第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分)により生成された第2のホログラムの強度分布とを検出する。

【0162】
図9に示される構成で第2のホログラムを同時に生成できる理由について、図9を用いて説明する。

【0163】
図9に示されるように、半波長板505は、第1の参照光220によって生成される第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)の偏光角を45度回転する。したがって、半波長板505を透過した第1のホログラムの回折光240は、図のAの位置において互いに同位相の水平偏光成分(図面の面内方向、図中矢印で示す)と垂直偏光成分(図面の垂直方向、図中二重丸で示す)を半分ずつ有することになる。

【0164】
一方、λ/4波長板515は、第2の参照光230の偏光状態を円偏光に変換する。したがって、λ/4波長板515を透過した第2の参照光230は、図のBの位置においては円偏光となっている(図中丸で示す)。

【0165】
このようにして得られた、45度直線偏光の第1のホログラムの回折光240と円偏光の第2の参照光230は、ビームスプリッタ520に入射する。このビームスプリッタ520によって、第2の参照光230の位相がα=0であるときの第2のホログラムと第2の参照光230の位相がα=πであるときの第2のホログラムを同時に生成可能であることは、実施の形態2で説明した通りである。したがって、図のC方向に進む光波と図のD方向に進む光波とでは、位相がπずれた第2のホログラムが生成される。

【0166】
第1のホログラムの回折光240および第2の参照光230がビームスプリッタ520に入射した後、ビームスプリッタ520から第1のミラー525の方向(図中Cの方向)に進行する2つの光は、図面の左側から偏光ビームスプリッタ535に入射する。一方、ビームスプリッタ520から第2のミラー530の方向(図中Dの方向)に進行する2つの光は、図面の下側から偏光ビームスプリッタ535に入射する。すなわち、図のC方向に進む光と図のD方向に進む光は、異なる方向から同一の偏光ビームスプリッタ535に入射する。

【0167】
このとき、第1のミラー525側から入射する光が偏光ビームスプリッタ535に入射する位置と、第2のミラー530側から入手する光が偏光ビームスプリッタ535に入射する位置とをわずかにずらす。このようにすることによって、第1のCCD540の左半面において、第2の参照光の位相がα=π/2であるときの第2のホログラムが生成されると同時に、第1のCCD540の右半面において第2の参照光の位相がα=πであるときの第2のホログラムが生成される。また、第2のCCD545の下半面において、第2の参照光の位相がα=0であるときの第2のホログラムが生成されると同時に、第2のCCD545の上半面において、第2の参照光の位相がα=3π/2であるときの第2のホログラムが生成される。

【0168】
本実施の形態のホログラフィックメモリ記録再生装置では、1つのCCDの撮像領域を二つに分けて用いる。現在では、数千万画素を有する撮像素子を容易に入手できるため、この点は技術上の制約にはならない。むしろ、CCDなどの撮像素子の数が少なくて済むため、安価なシステムを構築できる利点が大きい。

【0169】
図10は、ホログラム生成部および検出部の別の構成を示す模式図である。図10に示される構成は、半波長板505の前に一組の偏光ビームスプリッタ(第2の偏光ビームスプリッタ550および第3の偏光ビームスプリッタ555)が配置されている点、およびλ/4波長板515の前に第2のビームスプリッタ560および第3のミラー565が配置されている点で、図9に示される構成と異なる。このようにすることで、第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)の垂直偏光成分(α成分)に対する第2のホログラムと、水平偏光成分(β成分)に対する第2のホログラムの両方を同時に生成することが可能となる。

【0170】
図10に示されるように、第1の参照光220によって生成される第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)を、一組の偏光ビームスプリッタ(第2の偏光ビームスプリッタ550および第3の偏光ビームスプリッタ555)で2つに分ける。また、第2の参照光230を、第2のビームスプリッタ560および第3のミラー565で2つに分ける。これにより、第1のCCD540および第2のCCD545の検出面のそれぞれ異なる領域に、第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)の垂直偏光成分(α成分)に対する4枚の第2のホログラムと、水平偏光成分(β成分)に対する4枚の第2のホログラムとを含む、8枚の第2のホログラムを同時に生成することができる。

【0171】
ホログラフィックメモリ165に記録されているホログラムが、垂直偏光成分および水平偏光成分の両方が生成される偏光型ホログラムである場合、特に、垂直偏光成分および水平偏光成分のそれぞれに別々の値(振幅および位相)を記録する偏光型ホログラムである場合に、図10に示されるホログラム生成部および検出部は、第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および水平偏光成分について同時に復調することができる。また、図10に示されるホログラム生成部および検出部を観測装置として用いる場合、この観測装置は、結晶などの複屈折性を有するサンプルから発生する垂直偏光成分および水平偏光成分を同時に観測することができる。

【0172】
(実施の形態5)
実施の形態4の光学系では、第2のホログラムを一度に4枚検出するためには、2台のCCDが必要であった。実施の形態5では、1台のCCDで第2のホログラムを一度に4枚検出するホログラフィックメモリ記録再生装置について説明する。

【0173】
実施の形態5のホログラフィックメモリ記録再生装置は、ホログラム生成部および検出部以外の各構成要素については実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置と同じである。そこで、ホログラム生成部および検出部についてのみ説明する。

【0174】
図11は、実施の形態5のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の構成を示す模式図である。

【0175】
図11に示されるように、ホログラム生成部および検出部は、半波長板605、可変位相シフタ610、λ/4波長板615、第1のビームスプリッタ620、第1のミラー625、第2のミラー630、第1の偏光ビームスプリッタ635、第2の偏光ビームスプリッタ640、第3の偏光ビームスプリッタ645、第4の偏光ビームスプリッタ650、第2のビームスプリッタ655、CCD660を有する。半波長板605、可変位相シフタ610、λ/4波長板615、第1のビームスプリッタ620、第1のミラー625、第2のミラー630、第1の偏光ビームスプリッタ635、第2の偏光ビームスプリッタ640、第3の偏光ビームスプリッタ645、第4の偏光ビームスプリッタ650および第2のビームスプリッタ655は、「ホログラム生成部」として機能する。また、CCD660は、「検出部」として機能する。図11において、第1の参照光220および第2の参照光230は、同一のレーザ光源から生じた直線偏光(水平偏光;図面の面内方向)のレーザ光である。

【0176】
半波長板605、可変位相シフタ610、λ/4波長板615、第1のビームスプリッタ620、第1のミラー625および第2のミラー630は、実施の形態4のものと同じものである。

【0177】
第1の偏光ビームスプリッタ635、第2の偏光ビームスプリッタ640、第3の偏光ビームスプリッタ645および第4の偏光ビームスプリッタ650は、偏光依存性を有するビームスプリッタである。すなわち、第1の偏光ビームスプリッタ635、第2の偏光ビームスプリッタ640、第3の偏光ビームスプリッタ645および第4の偏光ビームスプリッタ650は、水平偏光の光を透過させ、垂直偏光の光を反射させる。図11に示されるように、第1の偏光ビームスプリッタ635および第2の偏光ビームスプリッタ640は、組み合わせて配置される。同様に、第3の偏光ビームスプリッタ645および第4の偏光ビームスプリッタ650も、組み合わせて配置される。

【0178】
図11に示されるように、第1の偏光ビームスプリッタ635には、第1のビームスプリッタ620で反射した第1のホログラムの回折光240および第1のビームスプリッタ620を透過した第2の参照光230が入射する。第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分は、第1の偏光ビームスプリッタ635で反射して第2の偏光ビームスプリッタ640に向かう。一方、第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分は、第1の偏光ビームスプリッタ635を透過して第2のビームスプリッタ655に向かう。

【0179】
第2の偏光ビームスプリッタ640には、第1の偏光ビームスプリッタ635で反射した第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分が入射する。入射した第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ640で反射して第2のビームスプリッタ655に向かう。

【0180】
第3の偏光ビームスプリッタ645には、第1のビームスプリッタ620を透過した第1のホログラムの回折光240および第1のビームスプリッタ620で反射した第2の参照光230が入射する。第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分は、第3の偏光ビームスプリッタ645で反射して第4の偏光ビームスプリッタ650に向かう。一方、第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分は、第3の偏光ビームスプリッタ645を透過して第2のビームスプリッタ655に向かう。

【0181】
第4の偏光ビームスプリッタ650には、第3の偏光ビームスプリッタ645で反射した第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分が入射する。入射した第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分は、第4の偏光ビームスプリッタ640で反射して第2のビームスプリッタ655に向かう。

【0182】
なお、第1の偏光ビームスプリッタ635および第2の偏光ビームスプリッタ640の組み合わせの代わりに、台形型偏光プリズムを使用してもよい。同様に、第3の偏光ビームスプリッタ645および第4の偏光ビームスプリッタ650の組み合わせの代わりに、台形型偏光プリズムを使用してもよい。

【0183】
第2のビームスプリッタ655は、偏光依存性を有さないビームスプリッタである。第2のビームスプリッタ655の第1の面には、第1の偏光ビームスプリッタ635を透過した第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分と、第2の偏光ビームスプリッタ640で反射した第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分とが入射する。これらの水平偏光成分および垂直偏光成分の光軸が互いにずれるように、第1の偏光ビームスプリッタ635および第2の偏光ビームスプリッタ640は配置されている(図11参照)。これらの水平偏光成分および垂直偏光成分は、第2のビームスプリッタ655を透過してCCD660に向かう。

【0184】
第2のビームスプリッタ655の第2の面には、第3の偏光ビームスプリッタ645を透過した第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分と、第4の偏光ビームスプリッタ650で反射した第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分とが入射する。これらの水平偏光成分および垂直偏光成分の光軸が互いにずれるように、第3の偏光ビームスプリッタ645および第4の偏光ビームスプリッタ650は配置されている(図11参照)。これらの水平偏光成分および垂直偏光成分は、第2のビームスプリッタ655で反射してCCD660に向かう。

【0185】
第2のビームスプリッタ655の第1の面には、第1の偏光ビームスプリッタ635および第2の偏光ビームスプリッタ640側からの光が入射し、第2の面には、第3の偏光ビームスプリッタ645および第4の偏光ビームスプリッタ650側からの光が入射する。すなわち、第2のビームスプリッタ655の表面および裏面に同時に光が入射する。このとき、第1の偏光ビームスプリッタ635由来の光の光軸と、第2の偏光ビームスプリッタ640由来の光の光軸と、第3の偏光ビームスプリッタ645由来の光の光軸と、第4の偏光ビームスプリッタ650由来の光の光軸とが互いにずれるように、第1の偏光ビームスプリッタ635、第2の偏光ビームスプリッタ640、第3の偏光ビームスプリッタ645および第4の偏光ビームスプリッタ650は配置されている(図11参照)。

【0186】
CCD660は、4枚の第2のホログラムの強度分布を検出する。すなわち、CCD660は、第1の偏光ビームスプリッタ635を透過した光(第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分)により生成された第2のホログラムの強度分布と、第2の偏光ビームスプリッタ640で反射した光(第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分)により生成された第2のホログラムの強度分布と、第3の偏光ビームスプリッタ645を透過した光(第1のホログラムの回折光240の水平偏光成分および第2の参照光230の水平偏光成分)により生成された第2のホログラムの強度分布と、第4の偏光ビームスプリッタ650で反射した光(第1のホログラムの回折光240の垂直偏光成分および第2の参照光230の垂直偏光成分)により生成された第2のホログラムの強度分布とを検出する。

【0187】
図11に示される構成のホログラム生成部および検出部は、図9に示される構成のホログラム生成部および検出部と同じ理由で、4枚の第2のホログラムを同時に生成することができる。なお、図11に示される例では、2つの偏光ビームスプリッタを紙面に対して水平方向に配置しているが、2つの偏光ビームスプリッタを紙面に対して垂直方向に配置してもよい。このようにすることで、1つのCCDの検出面上に、4枚の第2のホログラムを2段×2列に配置することができる。

【0188】
図12は、ホログラム生成部および検出部の別の構成を示す模式図である。図12に示される構成は、半波長板605の前に一組のビームスプリッタ(第3のビームスプリッタ665および第4のビームスプリッタ670)が配置されている点で、図11に示される構成と異なる。

【0189】
図12に示されるように、第1の参照光220によって生成される第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)を、一組のビームスプリッタ(第3のビームスプリッタ665および第4のビームスプリッタ670)で2つに分ける。これにより、1つのCCDの検出面のそれぞれ異なる領域に、8枚の第2のホログラムを同時に生成することができる。

【0190】
8枚の第2のホログラムの強度分布をそれぞれV、V、…、Vとし、第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)の位相をφ(x,y)とし、一組のビームスプリッタ(第3のビームスプリッタ665および第4のビームスプリッタ670)による位相差をΨ(x,y)とすると、
【数42】
JP0005862896B2_000043t.gif
より、
【数43】
JP0005862896B2_000044t.gif
が得られる。このΨの値を用いることで、α=0、α=Ψ、α=π/2、α=π/2+Ψ、α=π、α=π+Ψ、α=3/2π、α=3/2π+Ψの8つの異なる干渉強度を観測することができる。

【0191】
このとき、第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)の位相φ(x,y)は、
【数44】
JP0005862896B2_000045t.gif
により算出される。

【0192】
このように、第1のホログラムの回折光240(空間直交振幅変調信号光)を2つに分岐させることで、一度に検出できる第2のホログラムの数を増大させることができる。第1のホログラムの回折光240の分岐数をさらに増大させれば、一度に検出できる第2のホログラムの数もさらに増大させることができる。たとえば、第1のホログラムの回折光240を3つに分岐させれば、12枚の第2のホログラムの強度分布を一度に測定することができる。

【0193】
また、図13に示されるように、位相シフタ675によって、前述の位相差Ψを予め特定の値に設定することも可能である。たとえば、Ψ=π/4とすると、α=0、α=π/4、α=π/2、α=3π/4、α=π、α=5π/4、α=3/2π、α=7π/4の8つの異なる干渉強度を観測することができる。

【0194】
(実施の形態6)
上記各実施の形態の光学系では、4つの撮像領域(α=0、α=π/4、α=π/2、α=3π/4)を設ける必要があった。実施の形態6では、2つの撮像領域(α=0、α=π/2)のみで空間直交振幅変調信号を復調することができるホログラフィックメモリ記録再生装置について説明する。

【0195】
実施の形態6のホログラフィックメモリ記録再生装置は、ホログラム生成部および検出部以外の各構成要素については実施の形態1のホログラフィックメモリ記録再生装置と同じである。そこで、ホログラム生成部および検出部についてのみ説明する。

【0196】
図14は、実施の形態6のホログラフィックメモリ記録再生装置のホログラム生成部および検出部の構成を示す模式図である。

【0197】
図14に示されるように、ホログラム生成部および検出部は、半波長板705、λ/4波長板710、ビームスプリッタ715、偏光ビームスプリッタ720、第1のCCD725および第2のCCD730を有する。半波長板705、λ/4波長板710、ビームスプリッタ715および偏光ビームスプリッタ725は、「ホログラム生成部」として機能する。また、第1のCCD725および第2のCCD730は、「検出部」として機能する。図14において、第1の参照光220および第2の参照光230は、同一のレーザ光源から生じた直線偏光(水平偏光;図面の面内方向)のレーザ光である。また、第2の参照光230の強度Rは、既知の値であるとする。

【0198】
図14に示される光学系は、図8に示される実施の形態3の光学系から光線Dに関連する構成部材(第2の偏光ビームスプリッタ430、第2のCCD440および第4のCCD450)を除去したものと同様の構成である。実施の形態3において説明したように、第1のCCD725上には、第2の参照光230の位相がα=0であるときの第2のホログラムが生成され、第2のCCD730上には、第2の参照光230の位相がα=π/2であるときの第2のホログラムが生成される。なお、図14に示される光学系において、ビームスプリッタ715を除去し、半波長板705により偏光角を変えられた第1のホログラムの回折光240を偏光ビームスプリッタ720に直接入射させてもよい。この場合、偏光ビームスプリッタ720の第1の面には、半波長板705により偏光角を変えられた第1のホログラムの回折光240が入射し、偏光ビームスプリッタ720の第2の面には、λ/4波長板710により偏光状態を変えられた第2の参照光230が入射する。

【0199】
ここで、前述の式(9)
【数45】
JP0005862896B2_000046t.gif
において、雑音成分IおよびAが十分に小さいと仮定すると、
【数46】
JP0005862896B2_000047t.gif
となる。計算を簡単にするためη=q=1とおき、第1のCCD725および第2のCCD730で計測される光強度分布の測定値が、それぞれV(x,y)およびVπ/2(x,y)であったとする。このとき、
【数47】
JP0005862896B2_000048t.gif
【数48】
JP0005862896B2_000049t.gif
と書ける。ここで、
【数49】
JP0005862896B2_000050t.gif
とおくと、式(41)および式(42)より、
【数50】
JP0005862896B2_000051t.gif
【数51】
JP0005862896B2_000052t.gif
となる。三角関数の公式
【数52】
JP0005862896B2_000053t.gif
を用いると、
【数53】
JP0005862896B2_000054t.gif
を得られる。式(47)をIについて解き、式(43)~式(45)を満たす解を求めると、(x,y)の各点において
【数54】
JP0005862896B2_000055t.gif
が成立する。この結果を式(44)および式(45)に代入することによって、光複素振幅A(x,y)exp{φ(x,y)}を以下の式(49)から求めることができる。
【数55】
JP0005862896B2_000056t.gif

【0200】
以上のように、検出系の雑音が小さい場合には、図14に示される簡易な光学系によって、光複素振幅A(x,y)exp{φ(x,y)}を1回の測定により計測することができる。

【0201】
図15は、ホログラム生成部および検出部の別の構成を示す模式図である。図15に示される構成は、1つのCCD835上に2つの撮像領域を形成している点で、図14に示される構成と異なる。

【0202】
図15に示されるように、ホログラム生成部および検出部は、半波長板805、λ/4波長板810、偏光ビームスプリッタ815、第1のミラー820、第2のミラー825、ビームスプリッタ830およびCCD835を有する。図15に示される簡易な光学系によっても、光複素振幅A(x,y)exp{φ(x,y)}を1回の測定により計測することができる。

【0203】
(実施の形態3~6の効果)
信号光の空間的な位相の計測(光複素振幅の計測、空間直交振幅変調信号の計測を含む)には、信号光と別の光とを干渉させることによって位相を強度に変換する必要がある。観測対象の位相を精密に測定するためには、位相の異なる干渉光を用いる位相シフト干渉計測法が知られている。

【0204】
位相シフト干渉計測法は、シーケンシャル方式と並列位相シフト方式とに大別される。シーケンシャル方式では、可変位相シフタによって干渉光の位相を変化させて複数回の計測を行う(Ichirou Yamaguchi and Tong Zhang, "Phase-shifting digital holography", Opt. Lett., Vol.22, pp.1268-1270 (1997).)。一方、並列位相シフト方式では、空間位相アレイを通した信号光を用いて1度の計測を行う(Yasuhiro Awatsuji, Atsushi Fujii, Toshihiro Kubota, and Osamu Matoba, "Parallel three-step phase-shifting digital holography," Appl. Opt. Vol.45, pp.2995-3002 (2006).)。

【0205】
シーケンシャル方式では、複数回の計測を行うため、別々の時刻の信号に位相差を与えて位相を計測する。このため、シーケンシャル方式には、観測対象の時間的な変動(例えば、観測対象である微生物の運動など)に対して大きな計測誤差が生じてしまうという問題がある。一方、並列位相シフト方式では、一組の空間位相アレイを通過する3~4つの信号は、観測対象の異なる位置から生じた信号である。並列位相シフト方式では、この空間位相アレイを通過した一組の信号に基づいて元信号を計算する。このため、並列位相シフト方式には、観測対象の位相値の空間的な変動が大きい場合(例えば、観測対象の形状が複雑な場合)、大きな計測誤差が生じてしまうという問題がある。

【0206】
これに対し、実施の形態3~6の方式には、以下の利点がある。まず、シーケンシャル方式で必要な複数回の計測を1度に行うことができるため、時間的な誤差がなく、システムの安定性および高速性が保たれる。また、並列位相シフト方式で必要な位相アレイを用いることなく、同一位置の元信号を複数のCCDで観測するため、空間的な誤差も生じない。たとえば、図8における4つのCCDの同一位置のピクセルで受信される信号は、同一時刻かつ同一位置から生じた信号をハーフミラー(またはビームスプリッタ)および偏光ビームスプリッタで位相差を与えながら生成している(図6および図9~図15でも同様)。すなわち、実施の形態3~6の計測方式は、シーケンシャル方式および並列位相シフト方式のいずれの欠点も有しておらず、かつシーケンシャル方式および並列位相シフト方式の両方の利点を有している。

【0207】
また、シーケンシャル方式では、可変位相シフタとしてピエゾ素子を用いるため、精度や安定性を確保するためには複雑な装置(光学系)が必要である。これに対し、実施の形態3~6の計測方式では、可変位相シフタによる精密な位相調整が不要である。また、実施の形態3~6の計測方式では、並列位相シフト方式で必要とされる高精度な新規のデバイス(例えば、微小空間位相アレイなど)の開発も不要である。すなわち、実施の形態3~6の計測方式は、従来からある安価な偏光素子およびCCDカメラがあれば実現できるという、産業化、低価格化および普及に向けての大きな利点を有している。

【0208】
なお、図6および図8~図15に示されるホログラム生成部および検出部は、観測対象からの透過光または反射光における強度および位相の2次元分布を観測する観測装置としても使用されうる(実施例5,6参照)。この場合は、ホログラフィックメモリ165の代わりに観測対象(例えば、生体サンプル)を設置する。また、第1のホログラムの回折光240の代わりに観測対象からの透過光または反射光(空間直交振幅変調信号光)を用いて第2のホログラムを生成する。

【0209】
なお、上記各実施の形態では、2光束干渉方式により記録を行う例について説明したが、ホログラムの記録方式はこれに限定されない。たとえば、コリニア方式により記録を行うようにしてもよい(実施例参照)。

【0210】
ホログラムの記録方式としては、信号光と参照光とで異なる角度の光を用いる2光束干渉方式が広く知られている。しかしながら、この方式は、光ディスク技術との整合性に問題がある。この問題を解消した方式としては、図16に示すように、信号光と参照光とを同一光軸に配置して、空間光変調器(SLM)の中心部をホログラム信号光の生成に用い、外周部を参照光パターンの生成に用いるコリニア・ホログラフィ法がある(Hideyoshi Horimai, Xiaodi Tan and Jun Li, "Collinear Holography", Appl. Opt., Vol.44, pp.2575-2579 (2005))。なお、図16には、反射型ホログラムの光学配置を示しているが、実施例に示すように、透過型ホログラムの光学配置であってもよい。

【0211】
図17に、コリニア・ホログラフィ法で記録および再生をする際の空間光変調器(SLM)のパターンの一例を示す。記録時には、図17Aに示されるように、中心部と外周部に分離したページデータを用い、中心部を信号光の形成、外周部を参照光の形成に用いている。中心部から出射する光(信号光)および外周部から出射する光(参照光)を1つの対物レンズで記録媒体(例えば、光ディスク)に集光照射して、両者の干渉パターンを記録する。再生時には、図17Bに示されるように、外周部から出射する光(参照光)のみを記録媒体に集光照射して、記録媒体から記録データを回折光として取り出す。コリニア・ホログラフィ法では、光スポットの位置を空間的にわずかにずらすことで、多重記録を行うことができる(シフト多重)。

【0212】
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【実施例】
【0213】
[実施例1]
実施例1では、本発明のホログラフィックメモリ記録再生装置を用いて、8値空間位相変調信号(8-SPM)の記録および再生のシミュレーションを行った結果を示す。
【実施例】
【0214】
図18は、シミュレーションに用いた本発明のホログラフィックメモリ記録再生装置の構成を示す模式図である。このホログラフィックメモリ記録再生装置は、コリニア・ホログラフィ法により第1のホログラムの記録および再生を行う。
【実施例】
【0215】
図18に示されるように、ホログラフィックメモリ記録再生装置900は、レーザ光源(波長λ=532.0nm)、第1のミラー(M1)、ビームエキスパンダ(BE)、第1のビームスプリッタ(BS1)、第2のビームスプリッタ(BS2)、第1の空間光変調器(SLM1)、第1のレンズ(L1)、第1のアイリス(Iris1)、第2のレンズ(L2)、第2の空間光変調器(SLM2)、第3の空間光変調器(SLM3)、第3のレンズ(L3)、第4のレンズ(L4)、可変位相シフタ(ピエゾ素子)、第3のビームスプリッタ(BS3)、第5のレンズ(L5)、第2のアイリス(Iris2)、第6のレンズ(L6)、第2のミラー(M2)、第3のミラー(M3)およびCCDカメラを有する。このホログラフィックメモリ記録再生装置900は、第3のレンズ(L3)と第4のレンズ(L4)との間に記録媒体(Photopolymer)を設置して、記録および再生を行う。
【実施例】
【0216】
図18に示されるように、レーザ光源から出射された光は、第1のビームスプリッタ(BS1)によって2つに分岐する。図面の下方向に向かう光は、第1のホログラムを生成する信号光および第1の参照光となる。一方、図面の右方向に向かう光は、第2のホログラムを生成する第2の参照光となる。
【実施例】
【0217】
第1のビームスプリッタ(BS1)から図面の下方向に向かう光は、空間直交振幅変調信号生成部910に入射する。空間直交振幅変調信号生成部910では、光ビームの中心部(図17Aにおけるデータページ領域)が、位相変調型の第1の空間光変調器(SLM1)により空間的な位相変調が加えられ、強度変調型の第2の空間光変調器(SLM2)により空間的な振幅変調が加えられる。また、コリニア・ホログラフィ法では、図17Bに示されるように、光ビームの外周部をコリニアリングパターンと呼ばれる参照光として用いる。そこで、空間直交振幅変調信号生成部910では、強度変調型の第3の空間光変調器(SLM3)が、光ビームの外周部に第1の参照光に相当するコリニアリングパターンを生成する。
【実施例】
【0218】
なお、第2の空間光変調器(SLM2)は、中心部のみを使用し、第3の空間光変調器(SLM3)は外周部のみを使用することから、これらを合わせて1つの空間光変調器に置き換えてもよい。また、第1の空間光変調器(SLM1)、第2の空間光変調器(SLM2)および第3の空間光変調器(SLM3)の順番は、任意に変えてもよい。また、図18では、第1の空間光変調器(SLM1)として反射型空間光変調器を使用し、第2の空間光変調器(SLM2)および第3の空間光変調器(SLM3)として透過型空間光変調器を使用しているが、第1の空間光変調器(SLM1)、第2の空間光変調器(SLM2)および第3の空間光変調器(SLM3)のいずれの空間光変調器についても、反射型および透過型の空間光変調器を使用してもよい。
【実施例】
【0219】
このようにして生成された空間直交振幅変調信号および第1の参照光は、1つのビームとなり、記録媒体(フォトポリマー)に第1のホログラムを記録する。記録媒体に複数の第1のホログラムを記録するためには、記録媒体を移動させればよい(例えば、ディスク状の記録媒体を回転させる)。
【実施例】
【0220】
記録されたデータを再生する際には、第2の空間光変調器(SLM2)により光ビームの中心部(データページ領域)を遮断し、第3の空間光変調器(SLM3)により光ビームの外周部に第1の参照光に相当するコリニアリングパターンを生成する。このようにして生成された第1の参照光を記録媒体内の第1のホログラムに照射すると、第1のホログラムの回折光が生じる。図18に示されるように、記録媒体から生じた第1のホログラムの回折光は、ホログラム生成部920に入射する。
【実施例】
【0221】
一方、第1のビームスプリッタ(BS1)から図面の右方向に向かう光は、第2のホログラムを生成するための第2の参照光となる。この光は、可変位相シフタ(例えば、反射型ピエゾ素子)によって必要な位相差が加えられた後、ホログラム生成部720に入射する。ホログラム生成部920では、第3のビームスプリッタ(BS3)において第1のホログラムの回折光と第2の参照光とが混合されることにより、CCDカメラの検出面上に第2のホログラムが生成される。
【実施例】
【0222】
ここで、8値空間位相変調信号(8-SPM)のダイアグラムを図19に示す。図の横軸は「実軸」または「I軸」と呼ばれ、縦軸は「虚軸」または「Q軸」と呼ばれる。これらは、式(1)の変数IおよびQに対応する。ダイアグラム上にプロットされている点は、「信号点」と呼ばれる。複数の信号点によって、1セットの変調符号が表される。また、このダイアグラムが表す複素平面は、両軸の「0」点を中心として信号の振幅および位相を示している。「0」点からの距離が振幅を表し、「0」点に対する角度が位相を表している。したがって、中心から等距離に位置するが、中心に対して異なる角度に位置する複数のシンボルは、信号波形の振幅は等しいが、位相は互いに異なっている。
【実施例】
【0223】
本実施例では、図18に示されるホログラフィックメモリ記録再生装置を用いて、8値空間位相変調信号(8-SPM;図19参照)を記録および再生した場合のシミュレーションを行った。数値解析ツールは、FFT-BPM(フーリエ変換ビーム伝搬法)を用いた(Junya Tanaka, Atsushi Okamoto and Motoki Kitano, "Development of Image-Based Stimulation for Holographic Data Storage System by Fast Fourier Transform Beam-Propagation Method", Japanese Journal of Applied Physics, Vol.48, No.3 (Issue 2), pp.03A028(1-5) (2009).)。数値解析に用いたパラメータを表1に示す。
【表1】
JP0005862896B2_000057t.gif
【実施例】
【0224】
記録に用いた3枚のデータページ(#1,#2,#3)を図20Aに示す。図20Aにおいて、各データページの大きさは32×32ピクセルである。また、各ピクセルは8つの異なる位相情報で変調されているが、可視化のためグレースケールで描かれている。
【実施例】
【0225】
今回のシミュレーションでは、記録媒体としてフォトポリマーを仮定し、これらの3枚のデータページ(#1,#2,#3)をシフトピッチ1.76μmで多重記録した。記録された第1のホログラムに、第1の参照光を照射して、第1のホログラムの回折光を発生させた。この第1のホログラムの回折光と第2の参照光とを混合することで、α=0,π/2,π,3π/2の4枚の第2のホログラムを生成した。
【実施例】
【0226】
各データページ(#1,#2,#3)について、4枚の第2のホログラムを光電変換して得られた信号強度分布を図21~23に示す。図21は、データページ#1の第2のホログラムの信号強度分布であり、図22は、データページ#2の第2のホログラムの信号強度分布であり、図23は、データページ#3の第2のホログラムの信号強度分布である。
【実施例】
【0227】
また、第2のホログラムの信号強度分布から式(21)を用いて復調されたデータページを図20Bに示す。図20A(オリジナルデータ)と図20B(再生データ)を比較しても、結果の一致度が分かりにくいので、データページ#1について、再生されたデータがどの位相情報を有するかについて、ヒストグラムにしたものを図24に示す。図24より、8値の空間位相変調信号が明瞭に分離されていることが分かる。図24のデータにおいて、光検出器の検出精度を12ビットとしたときのシンボルエラーレートは1.3×10-2であり、現状のホログラフィックメモリにおけるエラー訂正能力を考慮すると、実用上十分な性能といえる。
【実施例】
【0228】
[実施例2]
実施例2では、本発明のホログラフィックメモリ記録再生装置を用いて、8値空間直交振幅変調信号(8-SQAM)の記録および再生のシミュレーションを行った結果を示す。
【実施例】
【0229】
信号点を円上に並べるだけでは8つ程度の位相状態より多くを配列しようとすると互いの信号波形が類似してしまい、位相変調だけで余り多くの信号状態を詰め込むのは好ましくない。そこで、位相変調に振幅変調も加えることでより多くの信号状態を持たせた変調方式が空間直交振幅変調(SQAM)である。
【実施例】
【0230】
本実施例で用いた8値空間直交振幅変調信号(8-SQAM)のダイアグラムを図25に示す。各信号点は、振幅2値および位相4値のいずれかの値を取ることができ、1つの信号点で合計8つの値を表現することができる。
【実施例】
【0231】
本実施例では、実施例1と同様に、図18に示されるホログラフィックメモリ記録再生装置を用いて、8値空間直交振幅変調信号(8-SQAM)を記録および再生した場合のシミュレーションを行った。数値解析ツールとしては、実施例1と同一のFFT-BPM(フーリエ変換ビーム伝搬法)を用いた。数値解析に用いたパラメータを表2に示す。
【表2】
JP0005862896B2_000058t.gif
【実施例】
【0232】
記録に用いたデータページ(空間直交振幅変調信号)を図26に示す。図26に示されるように、データページの大きさは8×8ピクセルである。データページの各ピクセルは、図26Aに示される振幅情報A(x,y)および図26Bに示される位相情報φ(x,y)の両方の値を有している。すなわち、図26Aに示される振幅情報A(x,y)および図26Bに示される位相情報φ(x,y)を合わせて1つのデータページが表現される)。図26Aにおける明部と暗部の振幅比は2:1であるが、強度比では4:1となる。実際の記録光強度は、明部が1.37mWであり、暗部が0.34mWである。図26Bに示される位相情報は、可視化のためグレースケールで描かれている。4値の位相は、白色=π、薄灰色=π/2、濃灰色=0、黒色=-π/2(3π/2)である。
【実施例】
【0233】
今回のシミュレーションでは、記録媒体として標準的なフォトポリマーを仮定し、表2に示す条件で記録した。このようにして得られた第1のホログラムに、第1の参照光を照射して、第1のホログラムの回折光を発生させた。この第1のホログラムの回折光と第2の参照光とを混合することで、α=0,π/2,π,3π/2の4枚の第2のホログラムを生成した。
【実施例】
【0234】
図27は、4枚の第2のホログラムを光電変換して得られた信号強度分布である。CCDによる検出では、データページ内の1つのピクセル(データピクセル)に対して、8×8のCCDピクセルで検出した。したがって、必要なCCDピクセル数は、64×64ピクセルとなる。ただし、これは必須の条件ではなく、データページの1つのピクセルに対して、1つのCCDピクセルで検出を行うことも可能である。
【実施例】
【0235】
また、第2のホログラムの信号強度分布から式(21)および式(22)を用いて、各CCDピクセル点でのデータを復元したものを図28に示す。さらに、図28に示されるデータについて、各データピクセル内で平均化処理を行った結果を図29に示す。ここまでの処理で得られた結果は、アナログデータである。そこで、最後に、図29に示されるデータについて、閾値処理を行って、振幅2値、位相4値のデジタルデータに復調したものを図30に示す。
【実施例】
【0236】
図26に示されるオリジナルデータと図30に示される復調したデータを比較すると、位相面上に1カ所のデータエラーが発生しているが(図中「*」で示す)、その他は振幅および位相共に完全に復調されており、良好な結果が得られた。
【実施例】
【0237】
[実施例3]
実施例3では、本発明のホログラフィックメモリ記録再生装置(実施の形態1参照)を用いて、6値空間直交振幅変調信号(6-SQAM)の記録および再生を実際に行った結果を示す。
【実施例】
【0238】
本実施例では、図31に示されるホログラフィックメモリ記録再生装置を用いて、図32に示される強度2値および位相3値の6値空間直交振幅変調信号(6-SQAM)を記録および再生した。
【実施例】
【0239】
図31は、実験に用いた本発明のホログラフィックメモリ記録再生装置の構成を示す模式図である。このホログラフィックメモリ記録再生装置は、コリニア・ホログラフィ法により第1のホログラムの記録および再生を行う。
【実施例】
【0240】
図31に示されるように、ホログラフィックメモリ記録再生装置1000は、レーザ光源、ビームエキスパンダ(BE)、第1のアイリス(Iris1)、第1の半波長板(HWP1)、偏光ビームスプリッタ(PBS)、第1のビームスプリッタ(BS1)、第1の空間光変調器(SLM1)、第1のレンズ(L1)、第2のアイリス(Iris2)、第2の半波長板(HWP2)、第2のレンズ(L2)、偏光子(Pol.)、第2の空間光変調器(SLM2)、検光子(Ana.)、第3のレンズ(L3)、第3のアイリス(Iris3)、第4のレンズ(L4)、第5のレンズ(L5)、第6のレンズ(L6)、第3の半波長板(HWP3)、第1のNDフィルタ(NDF1)、第2のビームスプリッタ(BS2)、可変位相シフタ(ピエゾ素子)、第3のビームスプリッタ(BS3)、第4のアイリス(Iris4)、第7のレンズ(L7)、第2のNDフィルタ(NDF2)およびCCDカメラを有する。このホログラフィックメモリ記録再生装置1000は、第5のレンズ(L5)と第6のレンズ(L6)との間に記録媒体(Photopolymer)を設置して、記録および再生を行う。
【実施例】
【0241】
図31に示されるように、レーザ光源から出射された光(波長532nm)は、偏光ビームスプリッタ(PBS)によって2つに分岐する。図面の上方向(第1のビームスプリッタBS1側)に向かう光は、第1のホログラムを生成する信号光および第1の参照光となる。一方、図面の左方向(第2のビームスプリッタBS2側)に向かう光は、第2のホログラムを生成する第2の参照光となる。記録媒体にはフォトポリマーを使用し、レーザ光の照射時間は1分間とした。
【実施例】
【0242】
偏光ビームスプリッタ(PBS)から図面の上方向(第1のビームスプリッタBS1側)に向かう光は、空間直交振幅変調信号生成部1010に入射する。空間直交振幅変調信号生成部1010では、光ビームの中心部が、位相変調型の第1の空間光変調器(SLM1)により空間的な位相変調が加えられ、強度変調型の第2の空間光変調器(SLM2)により空間的な振幅変調が加えられる。
【実施例】
【0243】
記録に用いたデータページ(空間直交振幅変調信号)の論理値を図33Aに示し、物理値を図33Bに示す。図33に示されるように、データページの大きさは3×5ピクセルである。データページの各ピクセルは、図33の左側に示される振幅情報A(x,y)および図33の右側に示される位相情報φ(x,y)の両方の値を有している。すなわち、図33の左側に示される振幅情報A(x,y)および図33の右側に示される位相情報φ(x,y)を合わせて1つのデータページが表現される。図33において明部と暗部の強度比は3:1程度とした。図33に示される位相情報は、可視化のためグレースケールで描かれている。3値の位相は、白色=π、灰色=π/2、黒色=0である。本実施例において、図32に示されるダイアグラムの下半面を用いなかったのは、実験で使用した第1の空間光変調器(SLM1)の位相可変範囲が0~πに制限されていたためである。
【実施例】
【0244】
図33Bにおいて、位相パターンの信号ピクセルは、強度パターンの信号ピクセルよりも小さく設定されている。位相パターンの信号ピクセルの周辺部は、0とπの細かなランダムパターンとした。この理由は2つある。1つ目の理由は、強度と位相のピクセルマッチングを行う際にマッチングのずれに対するマージンを確保するためである。2つ目の理由は、信号ピクセルの周辺にランダム位相パターンを入れることによって、空間周波数分布を広げて、再生光の品質を向上させるためである。
【実施例】
【0245】
また、コリニア・ホログラフィ法では、図34に示されるように、光ビームの外周部をコリニアリングパターンと呼ばれる参照光として用いる。そこで、空間直交振幅変調信号生成部1010では、強度変調型の第2の空間光変調器(SLM2)が、光ビームの外周部に第1の参照光に相当するコリニアリングパターンを生成する。
【実施例】
【0246】
このようにして生成された空間直交振幅変調信号および第1の参照光は、1つのビームとなり、フォトポリマー(記録媒体)に第1のホログラムを記録する。
【実施例】
【0247】
記録されたデータを再生する際には、第2の空間光変調器(SLM2)により光ビームの中心部(データページ領域)を遮断し、かつ光ビームの外周部に第1の参照光に相当するコリニアリングパターンを生成する。このようにして生成された第1の参照光を記録媒体内の第1のホログラムに照射すると、第1のホログラムの回折光が生じる。図31に示されるように、記録媒体から生じた第1のホログラムの回折光は、ホログラム生成部1020に入射する。
【実施例】
【0248】
一方、偏光ビームスプリッタ(PBS)から図面の左方向(第2のビームスプリッタBS2側)に向かう光は、第2のホログラムを生成するための第2の参照光となる。この光は、可変位相シフタ(反射型ピエゾ素子)によって位相を0,π/2,π,3π/2と変化させられた後、ホログラム生成部820に入射する。ホログラム生成部820では、第3のビームスプリッタ(BS3)において第1のホログラムの回折光と第2の参照光とが混合されることにより、CCDの検出面上に第2のホログラムが生成される。
【実施例】
【0249】
図35は、4枚の第2のホログラムを光電変換して得られた信号強度分布である。また、第2のホログラムの信号強度分布から式(21)および式(22)を用いて、各CCDピクセル点でのデータを復元、平均化処理および閾値処理を行って、振幅2値、位相3値のデジタルデータに復調したものを図36に示す。
【実施例】
【0250】
図33Aに示されるオリジナルデータと図36に示される復調したデータを比較すると、振幅面上に2カ所のデータエラーが発生しているが(図中「*」で示す)、その他は振幅および位相共に完全に復調されており、良好な結果が得られた。
【実施例】
【0251】
[実施例4]
実施例4では、本発明の復調装置(実施の形態4参照)を用いて、6値空間直交振幅変調信号(6-SQAM)の復調を実際に行った結果を示す。
【実施例】
【0252】
本実施例では、図37に示される復調装置を用いて、図32に示される強度2値および位相3値の6値空間直交振幅変調信号(6-SQAM)を復調した。前述の通り、図32に示されるダイアグラムの下半面を用いなかったのは、実験で使用した第2の空間光変調器(SLM2)の位相可変範囲が0~πに制限されていたためである。
【実施例】
【0253】
図37は、実験に用いた本発明の復調装置の構成を示す模式図である。この復調装置1100では、空間直交振幅変調信号光生成部1110で6値空間直交振幅変調信号(6-SQAM)を生成し、ホログラム生成部1120で6値空間直交振幅変調信号(6-SQAM)を復調した。図37に示されるホログラム生成部1120の構成は、図9に示されるホログラム生成部および検出部の構成と同じである。
【実施例】
【0254】
図37に示されるように、復調装置1100は、レーザ光源、ビームエキスパンダ(BE)、第1の半波長板(HWP1)、第1の偏光ビームスプリッタ(PBS1)、偏光子(Pol.)、第1の空間光変調器(SLM1)、検光子(Ana.)、第1のレンズ(L1)、第1のミラー(M1)、第1のアイリス(Iris1)、第2のレンズ(L2)、第1のビームスプリッタ(BS1)、第2の空間光変調器(SLM2)、第3のレンズ(L3)、第2のアイリス(Iris2)、第4のレンズ(L4)、絞り(Aperture)、第2の半波長板(HWP2)、λ/4波長板(QWP)、第2のビームスプリッタ(BS2)、第2のミラー(M2)、第3のミラー(M3)、第2の偏光ビームスプリッタ(PBS2)、第5のレンズ(L5)、第6のレンズ(L6)、第7のレンズ(L7)、第8のレンズ(L8)、第1のCCDカメラ(CCD1)および第2のCCDカメラ(CCD2)を有する。
【実施例】
【0255】
図37に示されるように、レーザ光源から出射された光(波長532nm)は、第1の偏光ビームスプリッタ(PBS1)によって2つに分岐する。図面の左方向(第1の空間光変調器SLM1側)に向かう光は、信号光となる。一方、図面の下方向(第2のビームスプリッタBS2側)に向かう光は、ホログラム(第2のホログラム)を生成するための参照光(第2の参照光)となる。
【実施例】
【0256】
第1の偏光ビームスプリッタ(PBS1)から図面の左方向(第1の空間光変調器SLM1側)に向かう光は、空間直交振幅変調信号生成部1110に入射する。空間直交振幅変調信号生成部1110では、光ビームの中心部が、強度変調型の第1の空間光変調器(SLM1)により空間的な振幅変調が加えられ、位相変調型の第2の空間光変調器(SLM2)により空間的な位相変調が加えられる。
【実施例】
【0257】
変調に用いたデータページ(空間直交振幅変調信号)の論理値を図38に示す。図38に示されるように、データページの大きさは6×6ピクセルである。データページの各ピクセルは、図38の左側に示される振幅情報A(x,y)および図38の右側に示される位相情報φ(x,y)の両方の値を有している。すなわち、図38の左側に示される振幅情報A(x,y)および図38の右側に示される位相情報φ(x,y)を合わせて1つのデータページが表現される。図38において明部と暗部の強度比は3:1程度とした。図38に示される位相情報は、可視化のためグレースケールで描かれている。3値の位相は、白色=π、灰色=π/2、黒色=0である。
【実施例】
【0258】
変調されたデータを復調する際には、ホログラム生成部1120において信号光と参照光とを干渉させる。空間直交振幅変調信号光生成部1110で生成された信号光は、第2の半波長板(HWP2)を透過して45°の直線偏光に調整される。一方、第1の偏光ビームスプリッタ(PBS1)から図面の下方向(第2のビームスプリッタBS2側)に向かう参照光は、λ/4波長板(QWP)を透過して円偏光に変換される。これらの信号光および参照光を第2のビームスプリッタ(BS2)に入射させることで、互いに位相がπずれた干渉縞が生成される。さらに、第2のビームスプリッタ(BS2)からの出射光を第2の偏光ビームスプリッタ(PBS2)に入射させることで、位相がπ/2ずれた干渉縞が生成される。
【実施例】
【0259】
以上のプロセスにより、第1のCCDカメラ(CCD1)の検出面のそれぞれ異なる領域に、α=π/2およびα=πの2枚の第2のホログラムが同時に生成される。また、第2のCCDカメラ(CCD2)の検出面のそれぞれ異なる領域に、α=3π/2およびα=0の2枚の第2のホログラムが同時に生成される。これらの4枚の第2のホログラムを光電変換して得られた信号強度分布から、6値空間直交振幅変調信号(6-SQAM)を復調した。
【実施例】
【0260】
図39は、4枚の第2のホログラムを光電変換して得られた信号強度分布である。また、第2のホログラムの信号強度分布から式(21)および式(22)を用いて、各CCDピクセル点でのデータを復元したものを図40Aに示し、さらに平均化処理および閾値処理を行って、振幅2値、位相3値のデジタルデータに復調したものを図40Bに示す。
【実施例】
【0261】
図38に示されるオリジナルデータと図40Bに示される復調したデータを比較すると、振幅および位相共に完全に復調されており、良好な結果が得られた。
【実施例】
【0262】
なお、図37に示される構成において、第3のレンズ(L3)、第4のレンズ(L4)、第5のレンズ(L5)、第6のレンズ(L6)、第7のレンズ(L7)および第8のレンズ(L8)は、無くてもよい。これらのレンズが無い場合、空間直交振幅変調信号に含まれる強度情報および位相情報がフレネル回折の影響を受ける。この場合、第2のホログラムの信号強度分布を用いて信号を復調した後、フレネル回折の影響を数値計算によって差し引くことによって、空間直交振幅変調信号に含まれる元の強度情報および位相情報を求めることができる。
【実施例】
【0263】
[実施例5]
実施例5では、本発明の観測装置(実施の形態4参照)を用いて、生体観測を行った結果を示す。本実施例では、図41に示される観測装置を用いて、ミジンコ(Daphnia pulex)およびセイヨウミツバチ(Apis mellifera)の後肢を観測した。
【実施例】
【0264】
図41は、実験に用いた本発明の観測装置の構成を示す模式図である。図41に示されるホログラム生成部1210の構成は、図9に示されるホログラム生成部および検出部の構成と同じである。
【実施例】
【0265】
図41に示されるように、観測装置1200は、レーザ光源、第1のレンズ(L1)、第2のレンズ(L2)、第1の半波長板(HWP1)、第1の偏光ビームスプリッタ(PBS1)、第1のミラー(M1)、第2のミラー(M2)、第3のレンズ(L3)、第4のレンズ(L4)、第2の半波長板(HWP2)、λ/4波長板(QWP)、ビームスプリッタ(BS)、第3のミラー(M3)、第4のミラー(M4)、第2の偏光ビームスプリッタ(PBS2)、第5のレンズ(L5)、第6のレンズ(L6)、第7のレンズ(L7)、第8のレンズ(L8)、第1のCCDカメラ(CCD1)および第2のCCDカメラ(CCD2)を有する。この観測装置1200は、第1のミラー(M1)と第2のミラー(M2)との間に生体サンプル(Object)を設置して、観測を行う。
【実施例】
【0266】
図41に示されるように、レーザ光源から出射された光(波長532nm)は、第1の偏光ビームスプリッタ(PBS1)によって2つに分岐する。図面の左方向(第1のミラーM1側)に向かう光は、信号光(観測対象からの透過光または反射光)となる。一方、図面の下方向(λ/4波長板QWP側)に向かう光は、ホログラム(第2のホログラム)を生成するための参照光(第2の参照光)となる。
【実施例】
【0267】
第1の偏光ビームスプリッタ(PBS1)から図面の左方向(第1のミラーM1側)に向かう光は、生体サンプル(Object)に入射する。生体サンプル(Object)内を光が透過することで、または生体サンプル(Object)において光が反射することで、生体サンプル(Object)の振幅特性および位相特性に対応する空間直交振幅変調信号が生成される。以後のプロセスは、実施の形態4および実施例4で説明したプロセスと同一である。最終的に、空間直交振幅変調信号に含まれる強度分布および位相分布が復調される。これらは、それぞれ、生体サンプル(Object)の透過光強度分布および透過光位相分布(または反射光強度分布および反射光位相分布)に相当する。
【実施例】
【0268】
図42および図43は、ミジンコの観測結果を示す。図42は、4枚の第2のホログラムを光電変換して得られた信号強度分布である。また、図43は、図42に示される第2のホログラムの信号強度分布から式(21)および式(22)を用いて、各CCDピクセル点での透過光強度および透過光位相を計算した結果である。
【実施例】
【0269】
図44および図45は、セイヨウミツバチの後肢の観測結果を示す。図44は、4枚の第2のホログラムを光電変換して得られた信号強度分布である。また、図45は、図44に示される第2のホログラムの信号強度分布から式(21)および式(22)を用いて、各CCDピクセル点での透過光強度および透過光位相を計算した結果である。
【実施例】
【0270】
図43および図45の結果から、本発明の観測装置により、生体サンプルの透過光強度分布および透過光位相分布(または反射光強度分布および反射光位相分布)を観測できることがわかる。
【実施例】
【0271】
なお、図41に示される構成において、第3のレンズ(L3)、第4のレンズ(L4)、第5のレンズ(L5)、第6のレンズ(L6)、第7のレンズ(L7)および第8のレンズ(L8)は、無くてもよい。これらのレンズが無い場合、生体サンプル由来の空間直交振幅変調信号に含まれる強度情報および位相情報がフレネル回折の影響を受ける。この場合、第2のホログラムの信号強度分布を用いて信号を復調した後、フレネル回折の影響を数値計算によって差し引くことによって、生体サンプル由来の空間直交振幅変調信号に含まれる元の強度情報および位相情報を求めることができる。
【実施例】
【0272】
[実施例6]
実施例6では、本発明の観測装置(実施の形態4参照)を用いて、偏光観測を行った結果を示す。本実施例では、図46に示される観測装置を用いて、晶質石灰岩の薄片を観測した。
【実施例】
【0273】
図46は、実験に用いた本発明の観測装置の構成を示す模式図である。図46に示されるホログラム生成部1310の構成は、図9に示されるホログラム生成部および検出部の構成と同じである。
【実施例】
【0274】
図46に示されるように、観測装置1300は、レーザ光源、第1のレンズ(L1)、第2のレンズ(L2)、第1の半波長板(HWP1)、第1の偏光ビームスプリッタ(PBS1)、第2の半波長板(HWP2)、第1のミラー(M1)、偏光子(Pol.)、第2のミラー(M2)、第3のレンズ(L3)、第4のレンズ(L4)、第3の半波長板(HWP3)、λ/4波長板(QWP)、ビームスプリッタ(BS)、第3のミラー(M3)、第4のミラー(M4)、第2の偏光ビームスプリッタ(PBS2)、第5のレンズ(L5)、第6のレンズ(L6)、第7のレンズ(L7)、第8のレンズ(L8)、第1のCCDカメラ(CCD1)および第2のCCDカメラ(CCD2)を有する。この観測装置1300は、第1のミラー(M1)と偏光子(Pol.)との間にサンプル(Object)を設置して、観測を行う。
【実施例】
【0275】
図46に示されるように、レーザ光源から出射された光(波長532nm)は、第1の偏光ビームスプリッタ(PBS1)によって2つに分岐する。図面の左方向(第2の半波長板HWP2側)に向かう光は、信号光(観測光)となる。一方、図面の下方向(λ/4波長板QWP側)に向かう光は、ホログラム(第2のホログラム)を生成するための参照光(第2の参照光)となる。
【実施例】
【0276】
第1の偏光ビームスプリッタ(PBS1)から図面の左方向(第2の半波長板HWP2側)に向かう光は、水平偏光(図面の面内方向に平行な偏光)である。第2の半波長板(HWP2)は、この水平偏光の光の偏光角を45度回転する。45度直線偏光の光は、サンプル(Object)に入射する。サンプル(Object)内を光が透過することで、またはサンプル(Object)において光が反射することで、サンプル(Object)の偏光特性に依存した振幅変調および位相変調を受けた光が、空間直交振幅変調信号(光複素振幅)として生成される。空間直交振幅変調信号は、偏光子(Pol.)に入射する。このときの偏光子(Pol.)の角度によって、空間直交振幅変調信号のどちらの偏光成分(水平偏光(P偏光)または垂直偏光(S偏光))について観測するかを選択することができる。偏光子(Pol.)の角度を調整することで、任意の偏光成分を観測することができる。
【実施例】
【0277】
以後のプロセスは、実施の形態4で説明したプロセスと同一である。最終的に、選択した偏光成分についての、空間直交振幅変調信号に含まれる強度分布および位相分布が復調される。これらは、それぞれ、選択した偏光成分についての、サンプル(Object)の透過光強度分布および透過光位相分布(または反射光強度分布および反射光位相分布)に相当する。
【実施例】
【0278】
図47および図48は、水平偏光(P偏光)成分の観測結果を示す。図47は、4枚の第2のホログラムを光電変換して得られた信号強度分布である。また、図48は、図47に示される第2のホログラムの信号強度分布から式(21)および式(22)を用いて、各CCDピクセル点での透過光強度および透過光位相を計算した結果である。
【実施例】
【0279】
図49および図50は、垂直偏光(S偏光)成分の観測結果を示す。図49は、4枚の第2のホログラムを光電変換して得られた信号強度分布である。また、図50は、図49に示される第2のホログラムの信号強度分布から式(21)および式(22)を用いて、各CCDピクセル点での透過光強度および透過光位相を計算した結果である。
【実施例】
【0280】
図48および図50の結果から、偏光子の角度を変えることで、光透過特性が変化することがわかる。このように、本発明の観測装置により、結晶の複屈折性を確認することができる。
【実施例】
【0281】
なお、図46に示される構成において、第3のレンズ(L3)、第4のレンズ(L4)、第5のレンズ(L5)、第6のレンズ(L6)、第7のレンズ(L7)および第8のレンズ(L8)は、無くてもよい。これらのレンズが無い場合、晶質石灰岩由来の空間直交振幅変調信号に含まれる強度情報および位相情報がフレネル回折の影響を受ける。この場合、第2のホログラムの信号強度分布を用いて信号を復調した後、フレネル回折の影響を数値計算によって差し引くことによって、晶質石灰岩由来の空間直交振幅変調信号に含まれる元の強度情報および位相情報を求めることができる。
【実施例】
【0282】
[実施例7]
実施例7では、本発明の観測装置(実施の形態4,6参照)を用いて、偏光観測を行った結果を示す。本実施例では、図41に示される観測装置を用いて、ナメクジウオ(Branchiostoma belcheri)の切片を観測した。
【実施例】
【0283】
図51および図52は、4枚の第2のホログラム(α=0、α=π/4、α=π/2、α=3π/4)を生成する実施の形態4の手順による観測結果を示す。図51は、4枚の第2のホログラムを光電変換して得られた信号強度分布である。また、図52は、図51に示される第2のホログラムの信号強度分布から式(21)および式(22)を用いて、各CCDピクセル点での透過光強度および透過光位相を計算した結果である。
【実施例】
【0284】
図53は、2枚の第2のホログラム(α=0、α=π/2)を生成する実施の形態6の手順による観測結果を示す。図53は、2枚の第2のホログラムの信号強度分布から各CCDピクセル点での透過光強度および透過光位相を計算した結果である。
【実施例】
【0285】
図52および図53の結果から、簡易な装置を用いて光複素振幅を計測できることがわかる。
【実施例】
【0286】
本出願は、2010年10月19日出願の特願2010-234640に基づく優先権を主張する。当該出願明細書および図面に記載された内容は、すべて本願明細書に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0287】
本発明のホログラフィックメモリは、コンシューマ向けのAV用途のみならず、放送や医療分野におけるアーカイバル用途(データの長期保存が可能)や、データセンターなどの光ディスクシステム(消費電力がHDDの1/6程度)などの様々な用途において有用である。
【符号の説明】
【0288】
100 ホログラフィックメモリ記録再生装置
105 レーザ光源
110 第1のビームスプリッタ
115 空間直交振幅変調信号光生成部
120 第1のレンズ
125 第1のミラー
130 第2のビームスプリッタ
135 光シャッタ
140 第2のレンズ
145 可変位相シフタ
150 第2のミラー
155 第3のビームスプリッタ
160 CCD
165 ホログラフィックメモリ
210 空間直交振幅変調信号光
220 第1の参照光
230 第2の参照光
240 第1のホログラムの回折光
250 第2のホログラム
305 第1のビームスプリッタ
310 第2のビームスプリッタ
315 第3のビームスプリッタ
320 第4のビームスプリッタ
325 位相シフタ
330 第1のCCD
335 第2のCCD
340 第3のCCD
345 第4のCCD
405 半波長板
410 可変位相シフタ
415 λ/4波長板
420 ビームスプリッタ
425 第1の偏光ビームスプリッタ
430 第2の偏光ビームスプリッタ
435 第1のCCD
440 第2のCCD
445 第3のCCD
450 第4のCCD
505 半波長板
510 可変位相シフタ
515 λ/4波長板
520 ビームスプリッタ
525 第1のミラー
530 第2のミラー
535 偏光ビームスプリッタ
540 第1のCCD
545 第2のCCD
550 第2の偏光ビームスプリッタ
555 第3の偏光ビームスプリッタ
560 第2のビームスプリッタ
565 第3のミラー
605 半波長板
610 可変位相シフタ
615 λ/4波長板
620 第1のビームスプリッタ
625 第1のミラー
630 第2のミラー
635 第1の偏光ビームスプリッタ
640 第2の偏光ビームスプリッタ
645 第3の偏光ビームスプリッタ
650 第4の偏光ビームスプリッタ
655 第2のビームスプリッタ
660 CCD
665 第3のビームスプリッタ
670 第4のビームスプリッタ
675 位相シフタ
705 半波長板
710 λ/4波長板
715 ビームスプリッタ
720 偏光ビームスプリッタ
725 第1のCCD
730 第2のCCD
805 半波長板
810 λ/4波長板
815 偏光ビームスプリッタ
820 第1のミラー
825 第2のミラー
830 ビームスプリッタ
835 CCD
900,1000 ホログラフィックメモリ記録再生装置
910,1010,1110 空間直交振幅変調信号光生成部
920,1020,1120,1210,1310 ホログラム生成部
1100 復調装置
1200,1300 観測装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図25】
19
【図31】
20
【図32】
21
【図37】
22
【図41】
23
【図46】
24
【図20】
25
【図21】
26
【図22】
27
【図23】
28
【図24】
29
【図26】
30
【図27】
31
【図28】
32
【図29】
33
【図30】
34
【図33】
35
【図34】
36
【図35】
37
【図36】
38
【図38】
39
【図39】
40
【図40】
41
【図42】
42
【図43】
43
【図44】
44
【図45】
45
【図47】
46
【図48】
47
【図49】
48
【図50】
49
【図51】
50
【図52】
51
【図53】
52