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明細書 :パルス圧縮方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第2909535号 (P2909535)
登録日 平成11年4月9日(1999.4.9)
発行日 平成11年6月23日(1999.6.23)
発明の名称または考案の名称 パルス圧縮方法及び装置
国際特許分類 G01S 13/28      
FI G01S 13/28 B
請求項の数または発明の数 2
全頁数 10
出願番号 特願平10-050033 (P1998-050033)
出願日 平成10年2月17日(1998.2.17)
審査請求日 平成10年2月17日(1998.2.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛庁技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】神力 正宣
【氏名】佐藤 玲司
個別代理人の代理人 、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】山下 雅人
参考文献・文献 特開 平6-102347(JP,A)
佐藤玲司、神力正宣,“新しい多相パルス圧縮符号系列とその特性”,電子情報通信学会論文誌 B-2,社団法人電子情報通信学会,平成9年9月,VOL.J80-B-2,NO.8,pp.722-729
Branislav M.Popovic,”Efficient Matched Filter for the Generalized Chirp-Like Polyphase Sequences”,IEEE Trans Aerosp Electron Syst(米国),IEEE,1994,Vol.30,No.3,pp.769-777
Frank E.Kretschmer,Jr.Karl Gerlach,”Low Sidelobe Radar Waveforms Derived From Orthogonal Matrices”,IEEE Trans Aerosp Electron Syst(米国),IEEE,1991,Vol.27,No.1,pp.92-102
M.P.Sulzer,R.F.Woodman,”Quasi-complementary codes:A new technique for MST radar sounding”,Radio Sci(米国),the American Geophysical Union,1984,Vol.19,No.1,pp.337-344
調査した分野 G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
要約 【課題】 レーダ、ソーナー等の送受信において、送信パルスのスペクトル帯域幅に依存せず、パルス圧縮後のパルスを細くして、距離分解能を改善する。
【解決手段】 入力信号とサイドローブ抑圧用に予め用意された相関信号との相互相関関数を演算する相互相関演算部11と、該相互相関演算部11の出力についての自己相関関数を演算する自己相関演算部12とを備えている。前記入力信号と相関信号との相互相関をとるとき、相互相関出力のスペクトル分布は、入力信号のスペクトル分布と相関信号のスペクトル分布との積で表せるから、相関信号は、入力信号のスペクトル分布より広いものを選択するとき、相互相関出力のスペクトルは、入力信号のスペクトルより拡大する。このような相互相関出力について自己相関関数を求めたとき、入力信号のパルス幅より、より狭いパルス幅に圧縮される。
特許請求の範囲 【請求項1】
入力信号とサイドローブ抑圧用に予め用意され当該入力信号よりもスペクトル分布の広い相関信号との相互相関関数を求め、さらに、この相互相関関数出力について自己相関関数を求めてパルス圧縮することを特徴とするパルス圧縮方法。

【請求項2】
入力信号とサイドローブ抑圧用に予め用意され当該入力信号よりもスペクトル分布の広い相関信号との相互相関関数を演算する相互相関演算部と、該相互相関演算部の出力についての自己相関関数を演算する自己相関演算部とを備えることを特徴とするパルス圧縮装置。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】

【発明の属する技術分野】本発明は、レーダーやソーナー等において、通常の帯域幅(B)で得られる距離分解能(約1/B)よりも、より良い距離分解能を得たいときに必要なパルス圧縮方法及び装置に関するものである。

【0002】

【従来の技術】パルス圧縮する場合、送信パルスのパルス内を位相変調するか、又は周波数変調して送信し、反射波等を受信した後、受信機又は受信後の信号処理で、送信変調波との自己相関をとることによって、送信パルス幅より細いパルス幅に圧縮し、この結果、レーダーやソーナー等の距離分解能を高めている。

【0003】
従来のパルス圧縮の変調信号及び圧縮処理の具体例として、例えば、 R.L.Frank, "Polyphase Code with Good Nonperiodec Correlation Properties",IEEE Trans. on Information Theory.1963,Jan. に開示されたものがある。この場合、図7に示すように、パルス信号1の中のサブパルス2の位相を変化させて符号化する。このとき、サブパルス2の位相関係は、圧縮後の波形がパルス形状になるよう最適な位相関係を選択する。この文献の中で、3相(0,2π/3,-2π/3)の位相変調を用いたパルス圧縮の1例を以下に示す。

【0004】
この場合、変調位相は
【表1】
JP0002909535B1_000002t.gifの通りであり、パルス圧縮処理は、原理的に上記変調信号の自己相関関数を計算し圧縮している。自己相関関数は次式で示される関数である。
【数1】
JP0002909535B1_000003t.gifここで、式(1)の自己相関関数Ψ(K)の絶対値が圧縮後の波形を示すものである。この計算の具体例として、上記表1に示す信号について行ったものが図8である。また、このときの自己相関関数の絶対値を表したものが図9である。この図中、中心のピークが圧縮後パルス5の大きさを示しており、その両側に現れている小さなピークがサイドローブ6である。この場合、圧縮後パルス5の大きさは9であり、サイドローブ6の大きさは1である。このときサイドローブ比は、中心のピーク値に対するサイドローブ値の比で定義され、この場合、1/9となる。また圧縮比は圧縮前の図7のパルス幅3と図9の圧縮後パルス幅7の比で定義され、この場合9となる。

【0005】
このようにパルス圧縮はサイドローブが生ずるが、サイドローブが大きくなると、小さな目標の反射波なのか、大きな目標のサイドローブなのか識別できなくなるため、サイドローブはできるだけ小さくなるよう変調信号を選択する。

【0006】
上記の如くパルス圧縮する場合、送信パルスを変調して送信し、受信時に、送信の変調信号の自己相関をとりパルス圧縮する。従って、このとき、図7に示した送信パルス幅3を一つのサブパルス幅τに圧縮させると、送信パルスの周波数スペクトル分布は、近似的に図10のようになり、送信パルスのエネルギーは、±1/τのスペクトル幅に集中する。即ち、パルス圧縮においては、送信パルスの持つ帯域幅で、圧縮後のパルス幅がほぼ決まるのが通常である。

【0007】

【発明が解決しようとする課題】従って、パルス圧縮においては、送信パルスのスペクトル帯域幅に依存しないで、圧縮後のパルス幅を細くして、距離分解能を改善できないかと言う課題があった。

【0008】
本発明は、上記の点に鑑み、送信パルスの反射波を受信して得られた入力信号の持つ通常の帯域幅で得られる距離分解能よりも、より良い距離分解能を得ることを可能にしたパルス圧縮方法及び装置を提供することを目的とする。

【0009】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。

【0010】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のパルス圧縮方法は、入力信号とサイドローブ抑圧用に予め用意され当該入力信号よりもスペクトル分布の広い相関信号との相互相関関数を求め、さらに、この相互相関関数出力について自己相関関数を求めてパルス圧縮することを特徴としている。

【0011】
また、本発明のパルス圧縮装置は、入力信号とサイドローブ抑圧用に予め用意され当該入力信号よりもスペクトル分布の広い相関信号との相互相関関数を演算する相互相関演算部と、該相互相関演算部の出力についての自己相関関数を演算する自己相関演算部とを備える構成としている。

【0012】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係るパルス圧縮方法及び装置の実施の形態を図面に従って説明する。

【0013】
図1は本発明の実施の形態を示すブロック図であり、11は相互相関演算部、12は自己相関演算部である。ここで、相互相関演算部11は、送信パルスの反射波を受信して得た入力信号とサイドローブ抑圧用に予め用意された相関信号(相関関数)との相互相関関数
【数2】
JP0002909535B1_000004t.gifをとるものであり、式(2)の演算を行うことにより、入力信号のスペクトル帯域幅を拡大している。自己相関演算部12は、相互相関演算部11の出力である前記相互相関関数の自己相関関数
【数3】
JP0002909535B1_000005t.gifをとるものであり、式(3)の演算を行うことにより、パルス圧縮する。ここで、用意する相関信号を選択し、圧縮後のパルス幅を、入力信号の帯域幅分の1より狭くし、かつ、パルス圧縮後のサイドローブができるだけ小さくなるようにパルス圧縮を実行する。

【0014】
上記のような、入力信号と相関信号との相互相関をとるとき、相互相関出力(相互相関演算部11の出力)のスペクトル分布は
【数4】
JP0002909535B1_000006t.gifの式(4)に示すように、入力信号のスペクトル分布と相関信号のスペクトル分布との積で表せる。従って、相関信号は、入力信号のスペクトル分布より広いものを選択するとき、相互相関出力のスペクトルは、入力信号のスペクトルより拡大する。このような相互相関出力について自己相関関数を求めたとき、入力信号のパルス幅より、より狭いパルス幅に圧縮される。このとき、相関信号の選択は、圧縮後のサイドローブができるだけ小さいものを選択する必要がある。

【0015】
このような手段により、本発明のパルス圧縮は、入力信号の持つ通常の周波数帯域幅で得られる距離分解能よりも、より良い距離分解能を得ることが可能になる。

【0016】

【実施例】本発明のパルス圧縮は、入力信号の変調形式に適合した相関信号(相関関数)を選択するため、入力信号により相関信号の種類は多数存在する。そのうち、入力信号がパルスで、パルス内が無変調のものと、簡単な位相変調しているものに対して、圧縮後のサイドローブを小さく、かつ、圧縮後のパルス幅が狭くなるように選択した相関信号と、この結果得られるパルス圧縮波形についての例を記述する。

【0017】
以下の表2は、入力信号のパルスが無変調の場合で、後の相関演算のために、パルス内を7つのサブパルスとしたものである。
【表2】
JP0002909535B1_000007t.gifまた、以下の表3は前記表2の信号に対して選択した相関信号の1列である。
【表3】
JP0002909535B1_000008t.gifこのとき、表2及び表3について、式(2)の相互相関関数の演算、さらに式(3)の自己相関関数の演算をし、この結果得られた自己相関関数χ(L)の絶対値を示したのが図2である。入力パルスのパルス内が無変調であるにもかかわらず、図2から明らかなように、圧縮後のパルス幅は、入力パルス幅のほぼ1/7まで圧縮されている。

【0018】
以下の表4は、入力信号がパルス内で、180度位相が1度だけ回転した場合で、後の相関演算のために、パルス内を7つのサブパルスとしたものである。
【表4】
JP0002909535B1_000009t.gifまた、以下の表5は前記表4の信号に対して選択した相関信号の1列である。
【表5】
JP0002909535B1_000010t.gifこのとき、表4及び表5について、式(2)の相互相関関数の演算、さらに式(3)の自己相関関数の演算をし、この結果得られた自己相関関数χ(L)の絶対値を示したのが図3である。図3から明らかなように、圧縮後のパルス幅は、入力パルス幅のほぼ1/7まで圧縮されている。

【0019】
図4乃至図6は、サブパルス幅を1μSとしたとき、各信号のスペクトル分布を示す。図4は表4で示す入力信号のスペクトル分布を示し、図5は表5で示す相関信号のスペクトル分布である。また、図6は、自己相関関数χ(L)のスペクトル分布を示す。図4乃至図6から明らかなように、圧縮後の周波数スペクトル帯域幅(例えばピークから規定の数dB低下するまでの範囲)は、入力の持つ帯域幅の数倍になっていることが判る。

【0020】
以上本発明の実施の形態及び実施例について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。

【0021】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るパルス圧縮方法及び装置によれば、入力信号の持つ通常の帯域幅で得られる距離分解能よりも、より良い距離分解能を得ることが可能である。
図面
【図1】
0
【図10】
1
【図2】
2
【図4】
3
【図7】
4
【図3】
5
【図5】
6
【図9】
7
【図6】
8
【図8】
9