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明細書 :術野拡大器具及びその設置方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-007289 (P2016-007289A)
公開日 平成28年1月18日(2016.1.18)
発明の名称または考案の名称 術野拡大器具及びその設置方法
国際特許分類 A61B  17/02        (2006.01)
FI A61B 17/02
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2014-128686 (P2014-128686)
出願日 平成26年6月23日(2014.6.23)
発明者または考案者 【氏名】伊藤 智義
【氏名】中山 弘敬
【氏名】角江 崇
【氏名】下馬場 朋禄
【氏名】五十嵐 辰男
【氏名】石井 琢郎
【氏名】藤田 伸輔
【氏名】土井 俊祐
出願人 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100121658、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 昌義
審査請求 未請求
テーマコード 4C160
Fターム 4C160AA14
4C160AA20
要約 【課題】簡便な手法で安全に術野を確保することのできる術野拡大器具及びその設置方法を提供する。
【解決手段】術野拡大器具1は、一対の頂平面部材11と、この一対の頂平面部材に付された帯部材12と、を有する立体構造物であって、この帯部材の各々には、隣接する他の帯部材に差し入れられる差入部が付され、この頂平面部材及びこの帯部材を経由する一対の頂平面部材の表面距離の中間Mにおいて折り曲げ可能であり、この表面距離の中間近傍において引締められることにより術野を拡大する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
一対の頂平面部材と、
前記一対の頂平面部材に付された帯部材と、を有する立体構造物であって、
前記帯部材の各々には、隣接する他の帯部材に差し入れられる差入部が付され、
前記頂平面部材及び前記帯部材を経由する一対の頂平面部材の表面距離の中間において折り曲げ可能であり、
前記表面距離の中間近傍において引締められることにより術野を拡大する術野拡大器具。
【請求項2】
柱形状又は樽型である請求項1記載の術野拡大器具。
【請求項3】
前記一対の頂平面部材はくり抜かれて中空となっている請求項1記載の術野拡大器具。
【請求項4】
前記表面距離の中間近傍において、紐状部材によって引締められる請求項1記載の術野拡大器具。
【請求項5】
平板上に折りたたまれ、更に、筒状に丸められた請求項1記載の術野拡大器具。
【請求項6】
一対の頂平面部材と、前記一対の頂平面部材に付された帯部材と、を有する立体構造物であって、前記帯部材の各々には、隣接する他の帯部材に差し入れられる差入部が付され、前記頂平面部材及び前記帯部材を経由する一対の頂平面部材の表面距離の中間において折り曲げ可能であり、前記表面距離の中間近傍において引締められることにより術野を拡大する術野拡大器具を、筒状に丸めて収納した筒部材に収納し、
前記筒部材から前記術野拡大器具を押し出して取り出し、
前記術野拡大器具を立体形状に膨らませることで術野を拡大させる術野拡大器具の設置方法。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、術野拡大器具及びその設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、腹腔鏡手術等の内視鏡下手術手術が急速に広まってきている。内視鏡を用いる手術は切開部が小さく、患者へ負担が大幅に軽いといった利点がある。
【0003】
一方で、安全な手術のためには術野(手術視野・スペース)を十分に確保することが難しいという課題が現在に至るまで十分に克服できていない。術野を確保するためには周辺の臓器を押さえつけるなどの初期作業が必要であり、これが大変な労力となっている。
【0004】
術野を確保するための公知の技術として、例えばリトラクタ、ガーゼ、バルーン、ガスがある。
【0005】
リトラクタは、ワイヤータイプの手術器具であり、手術者はこれを操作して術野周辺の臓器を押さえつける。
【0006】
またガーゼは、術野確保以外に用いることができるものであるが、上記リトラクタと同様な働きとしても使われる。
【0007】
またバルーンは、ポリマーで構成されており、空気を抜いた状態で体内に挿入した後空気を送り込んで膨らませ、術野を確保することができる。
【0008】
またガスは、体内にガスを直接注入することで体を膨らませ、術野を確保するために用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
術野の確保は最も基本的な作業であり、手術の速度を決定付ける大きな要因の一つである。しかしながら、実際には、十分な術野を確保できずに手間取り、また、周囲の臓器に無理な力を加えることで臓器に侵襲を加えてしまう虞は残る。近年盛んになってきている内視鏡手術でこのようなことが起こってしまうと重大な事態に至ることがある。従って、簡便な手法で安全に術野を確保することがきわめて重要である。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、簡便な手法で安全に術野を確保することのできる術野拡大器具及びその設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る術野拡大器具は、一対の頂平面部材と、一対の頂平面部材に付された帯部材と、を有する立体構造物であって、帯部材の各々には、隣接する他の帯部材に差し入れられる差入部が付され、頂平面部材及び帯部材を経由する一対の頂平面部材の表面距離の中間において折り曲げ可能であり、表面距離の中間近傍において引締められることにより術野を拡大するものである。
【0012】
また、本発明の他の一観点に係る術野拡大器具の設置方法は、一対の頂平面部材と、前記一対の頂平面部材に付された帯部材と、を有する立体構造物であって、帯部材の各々には、隣接する他の帯部材に差し入れられる差入部が付され、頂平面部材及び帯部材を経由する一対の頂平面部材の表面距離の中間において折り曲げ可能であり、表面距離の中間近傍において引締められることにより術野を拡大する術野拡大器具を、筒状に丸めて収納した筒部材に収納し、筒部材から前記術野拡大器具を押し出して取り出し、術野拡大器具を立体形状に膨らませることで術野を拡大させる。
【発明の効果】
【0013】
以上、本発明により、簡便な手法で安全に術野を確保することのできる術野拡大器具及びその設置方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る術野拡大器具の概略を示す図である。
【図2】実施形態に係る術野拡大器具の概略を示す図である。
【図3】実施形態に係る術野拡大器具の概略を示す図である。
【図4】実施形態に係る術野拡大器具の設置方法の概略を示す図である。
【図5】実施形態に係る術野拡大器具の紐状部材を設けた場合の概略を示す図である。
【図6】ガイド部材の概略を示す図である。
【図7】実施形態に係る術野拡大器具を用いて形成される術野のイメージ図である。
【図8】実施形態に係る術野拡大器具を用いて形成される術野のイメージ図である。
【図9】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図10】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図11】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図12】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図13】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図14】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図15】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図16】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図17】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図18】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図19】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。
【図20】実施形態に係る術野拡大器具を設計する工程のイメージを示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態の具体的な例示にのみ限定されるわけではない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る術野拡大器具(以下「本器具」という。)の一例の概略を示す図であり、図2は、本器具の一例の平面状態の概略を示す図であり、図3は、本器具を筒状に丸めた場合の概略を示す図である。
【0017】
これらの図で示すように、本器具1は、一対の頂平面部材11と、一対の頂平面部材11に付された帯部材12と、を有する立体構造物であって、帯部材12の各々には、隣接する他の帯部材12に差し入れられる差入部13が付され、頂平面部材11及び帯部材12を経由する一対の頂平面部材11の表面距離の中間Mにおいて折り曲げ可能であり、表面距離の中間M近傍において引締められることにより術野を拡大することができる。
【0018】
本器具1は、上記構成によって平板状に折りたたむことができる。平面状に折りたたむことで薄くすることが可能であり、薄い状態で術部近傍に配置することができる一方、これを立体に膨らませることで術野を広く確保することができるようになる。
【0019】
更に、本器具1は、上記構成によって、筒状に丸めることができ、これを筒状の器具に挿入することで、筒部材から術野拡大器具を押し出して取り出し平面形状として臓器間に挿入し(図4(a))、術野拡大器具を立体形状に膨らませることで立体構造物を膨らませること(図4(b))、より具体的には術野を拡大させることが可能となる。このイメージを図4に示しておく。
【0020】
本器具1の構造は上記したとおりであるが、本器具1は、一対の頂平面部材11を引っ張ることにより広げる又は折りたたむことができる。具体的には、頂平面部材11につまみ部材を設け、これらを引っ張ることで平面状態から立体的な形状にすることが可能であり、一方、一対の頂平面部材11に向かう力を加えることで折りたたむことが可能である。すなわち、手術の際、この頂平面部材11を引っ張ることで、立体的形状とすることができる。
【0021】
上記のとおり本器具は引っ張ることで立体的形状とすることができ、安定的に術野を確保することができる。ただし、本器具1について、引っ張る力による立体的形状の形成の場合、常にこの一対の頂平面部材11の間に引っ張る力を加えなければならないといった新たな課題が発生することになるため、本器具は、表面距離の中間M近傍において、紐状部材2によって引締められる構造となっていることが有用な工夫の一つである。この場合の概略図を図5に示しておく。
【0022】
このように、紐状部材により締め付けることで、一対の頂平面部材11が離れていく方向の力を発生させることができ、一対の頂平面部材11を常時引っ張り続ける必要がなくなる。特に、紐状部材2とすることで、手術等の際は、この紐状部材2を引っ張り、引締めることで立体的形状とすることができる。
【0023】
本器具1は、上記の紐状部材を採用する場合、限定されるわけではないが、上記のように紐状部材2を安定的にガイドするために、紐状部材を通すガイド部材14を設けていることも好ましい。このようにすることで、平面状態、更には丸めた状態においても安定的に紐状部材2を中間M近傍に確保しておくことができるようになる。この場合のイメージ図を図5、6に示しておく。
【0024】
また、本器具1において、一対の頂平面部材11は、立体構造物を広げた際、術部近傍の臓器に当たる部分であり、上記のとおり、この一対の頂平面部材11の距離を離すように広げると立体構造物が膨らみ、近づけてくっつけると立体構造物を折りたたむことができる。
【0025】
また、本器具において、一対の頂平面部材11の形状は、同じであることが設置のしやすさや設計を容易にする観点から好ましいが、異なっていても良い。例えば立体構造物が引張方向上下において対称な場合は同じであることが好ましく、例えば立体構造物が引張方向において非対称な場合には異ならせておくことができる。なお、頂平面部材11の大きさは適宜調整可能であるが、臓器を安定的に支えることができる観点から所定の大きさ以上であることが好ましく、例えば、複数の本器具を用いて術野を確保する場合、頂平面部材のくり抜かれた部分が例えば3cm以上の径を有するものであることが好ましく、一つの本器具内で術野を確保したい場合、5cm以上、より好ましくは8cm以上であることが好ましい。なお、この大きさの上限としては、限定されるわけではないが、15cm以下であることが好ましい。
【0026】
また、本器具1の立体的形状は、臓器を支える平坦な面を有するものである限りにおいて限定されるわけではないが、柱形状、樽型(中間部において膨らんだ柱形状の一形態)、であることが好ましく、また、場合によっては中間部がくびれた鼓型であってもよい。また、その断面は限定されず、円、三角形、四角形等の多角形状であることが好ましい。多角形状の場合、角数が多ければそれだけ角がまるくなり、臓器を侵襲してしまう虞がすくなくなるため、多角形状の場合は、六角形以上であることが好ましい。
【0027】
また本器具1において、一対の頂平面部材はくり抜かれて中空となっていることも好ましい一形態である。これは本器具1の大きさにもよるが、くり抜かれた部分の径が5cm以上、好ましくは8cm以上あればこのくり抜かれた部分を術野として確保できるようになるといった利点がある(図7参照)。なおこれ以下の場合は、本器具1を複数設けて臓器を支え、この複数の本器具1間を術野として確保することができる(図8参照)。
【0028】
また、本実施形態において頂平面部材11の材質としては、特に限定されるわけではないが、軽量で折りたたみやすくする一方、体内において悪い影響を及ぼさない材質であることが好ましい。具体的には紙、ポリマー、ある程度の硬さを有するゴム等のシートで構成されていることが好ましい。なお紙の場合、表面をポリマー加工しておくことがより好ましい。
【0029】
また本器具1の頂平面部材11には、複数の帯部材12が付されている。本実施形態において帯部材12とは本器具11の側面を形成する部材であり、形状は文字通り略帯状となっている。また本実施形態に係る帯部材12の両端は、上記のとおり一対の頂平面部材11にそれぞれ接続されており、一対の頂平面部材11の距離に応じて折りたたまれ、又は広げられる。なおここで「略帯状」とは、一方向に所定の幅をもって延びた状態であることを意味するが、必ずしも端も直線である必要はなく、例えば波上の曲線であってもよく、また、幅も常に同じである必要はない。むしろ、頂平面部に近い側は細く、折りたたみ部分近傍では太くなっていることが立体構造物側面に不必要な隙間が発生してしまうことを防止する観点から好ましい。
【0030】
また本器具1の帯部材12には、複数の折目121が形成されており、この折目に従って帯部材12は折り曲げられ、または伸ばされる。折目の数は、一つであれば特に限定されるものではないが、複数あればより細かい形状を実現できる。
【0031】
また、本器具1の帯部材12には、隣接する他の帯部材の立体構造物内側に差し入れられる差入部13が付されており、隣接する他の帯部材との位置関係を保持することができる。なおこの差入部13の構造は、限定されるわけではないが、例えば折目によって区分けされる部分毎に、差入部13が設けられる箇所と設けられていない箇所がそれぞれ交互に形成されていることも好ましい。
【0032】
また、本器具は、頂平面部材11上及び帯部材13上を経由する一対の頂平面部材2の表面距離の中間点Mに折目が付されており、この折目において折り曲げられている。このようにすることで、本器具1を折りたたんだ際、中間点Mとそれぞれの引っ張り中心までの距離を同じくすることができ、帯部材及び頂平面部材のたわみを防止することができる。すなわち中間点は、本器具1が折り畳まれて平面となる際、この折目と二つの引張中心それぞれとの間の距離が等しくなる点である。
【0033】
上記の構成により、本実施形態における立体構造物は、折りたたむ又は広げることができ、更には筒状に丸めることも可能であり、簡便な手法で安全に術野を確保することのできる術野拡大器具及びその設置方法を提供することができる。
【0034】
なお、本器具における術野拡大器具の形状設計は、限定されるわけではないが、本出願人が既に行った特開2013-230820号公報に開示された方法を採用することができるが、以下具体的に説明しておく。
【0035】
本方法は、(A)立体モデル(本器具の形状モデル)を貫通する基軸を設定し、(B)立体モデルと基軸とが交差する近傍の軸点2点を定め、(C)軸点2点の間にn個の中間点を定め、(D)軸点2点のいずれかを通る一対の頂平面を定め、(E)n個の中間点のいずれかを通り、基軸に垂直なn個の第一平面を定め、(F)各々が基軸を含み互いに平行でないm個の第二平面を定め、(G)頂平面、第二平面及び立体モデルの交差点又はその近傍点である頂平面点を複数定め、(H)第一平面、第二平面及び立体モデルの交差点又はその近傍点である面上点を複数定め、(I)一の頂平面状のそれぞれの頂平面点を、他方の頂平面状のそれぞれの頂平面点と面上点を経由して結び、(J)n個の第一平面のいずれかを境界として構造モデルを2つに分割し、2つの構造モデルを各々平面に展開し、構造モデルを定める。
【0036】
本方法は、様々な方法によって行うことができるが、好ましい方法としては、いわゆるコンピュータを用い、コンピュータの記録媒体に本方法を実行するためのプログラムを格納し、プログラムを実行することで行うことである。すなわち、コンピュータに、(A)立体モデルを貫通する基軸を設定し、(B)立体モデルと基軸とが交差する近傍の軸点2点を定め、(C)軸点2点の間にn個の中間点を定め、(D)軸点2点のいずれかを通る一対の頂平面を定め、(E)n個の中間点のいずれかを通り、基軸に垂直なn個の第一平面を定め、(F)各々が基軸を含み互いに平行でないm個の第二平面を定め、(G)頂平面、第二平面及び立体モデルの交差点又はその近傍点である頂平面点を複数定め、(H)第一平面、第二平面及び立体モデルの交差点又はその近傍点である面上点を複数定め、(I)一の頂平面状のそれぞれの頂平面点を、他方の頂平面状のそれぞれの頂平面点と面上点を経由して結び構造モデルを定め、(J)n個の第一平面のいずれかを境界として構造モデルを2つに分割し、2つの構造モデルを各々平面に展開する、折りたたみ可能な立体構造物の製造をするためのプログラムとすることもできる。
【0037】
まず本方法では、(A)立体モデルA1を貫通する基軸A2を設定するステップを有する。ここで「立体モデル」とは、本器具の基礎となる実際の立体形状のモデルをいう。この立体形状は曲面を有するものであっても、単に平面の組み合わせによって形成されているものでもよく、形状に限定はない。本ステップはコンピュータプログラムによって実現される場合、立体モデルの詳細な三次元座標データとすることが好ましい。
【0038】
また本ステップでは、まず、この立体モデルA1を貫通する基軸A2を一本設定する。基軸A2の選び方は、立体モデルを貫くことができ、立体構造物を製造することができる限りにおいて特に限定されるわけではないが、もっとも対称性が高くなる軸を設定することが好ましい。この場合のイメージ図を例えば図9に示しておく。なお本図は、立体構造物の縦断面のイメージ図である。
【0039】
また本方法では、(B)立体モデルA1と基軸A2とが交差する近傍の軸点2点を定めるステップを有する。上記基軸A2を定めることで立体モデルA1と基軸A2とが交差する交差点B1を2つ求めることができる。これに基づき、この交差点B1近傍の点をそれぞれ軸点B2とする。
【0040】
軸点B2は、交差点B1そのものであっても良いが、本実施形態に係る立体構造物は頂平面を有するものであり、この頂平面と立体モデルとの交差に基づき様々な点を求めるため、限定されるわけではないが、交差点B1よりも立体モデルA1の内側、より具体的には一対の交差点B1よりもそれぞれ内側に配置されることが、立体構造物を立体モデルの形状に近づける観点から好ましい。この場合のイメージ図を図10に示しておく。なお本図は、立体構造物の縦断面のイメージ図である。
【0041】
また本方法では、(C)軸点2点の間にn個の中間点C1~Cnを定めるステップを有する。このn個の距離は等しい間隔で配置しても良いが、異ならせても良い。等しくしておくと製造上必要とされる計算が容易になるといった利点があり、異ならせることで、立体モデルA1の形状が複雑である場合に、より立体モデルA1の形状に近づけることができるようになるといった利点がある。ここでnは、1以上であれば特に限定されない。ただし、折り曲げやすくする観点から、二以上であることが好ましく、奇数であることは中間点がより明確となるため好ましい。この場合のイメージ図(nが5個の場合の例)を図11に示しておく。なお本図は、立体構造物の縦断面のイメージ図である。
【0042】
また本方法では、(D)軸点2点のいずれかを通る一対の頂平面D1、D2を定めるステップを有する。頂平面は、上下の軸点2点のおのおのに対して定められるため、平行な頂平面が2つ形成されることとなる。なおこの頂平面が、立体構造物における頂平面と同じ面となる。この場合の平面配置のイメージ図を図12、13に示しておく。なお図12は、斜視のイメージ図であり、図13は、縦断面図のイメージ図である。
【0043】
また本方法では、(E)n個の中間点のいずれかを通り、基軸A2に垂直なn個の第一平面E1~Enを定めるステップを有する。上記(D)、(E)の結果、基軸A2に垂直であり、かつ、互いに平行に配置された面がn+2個形成されることとなる。この場合のイメージ図を図14、15に示しておく。なお本図は、斜視のイメージ図である。なお図14は、斜視のイメージ図であり、図15は、縦断面図のイメージ図である。
【0044】
また本方法では、(F)各々が基軸A2を含み、互いに平行でないm個の第二平面を定めるステップを有する。この場合のイメージ図を図16、図17に示しておく。これらの図はmが6個の例を示し、図16は、斜視のイメージ図であり、図17は、第二平面F1~Fmを基軸A2の軸方向から見た場合の図のイメージ図である。これらの図で示すように、複数の第二平面は基軸A2を中心に放射線状に配置される。なおこのm個の第二平面のうち、近い平面同士が形成する角度は均一であってもよく、不均一であっても良い。均一とすれば立体構造物の製造を容易に行うことができるとともに立体構造物に加わる力を基軸周囲方向に均一にすることができるといった効果があり、不均一とすれば複雑な立体モデル形状であったとしてもこの形状にうまく合わせることができ再現性が高くなるといった利点がある。
【0045】
また本方法では、(G)頂平面、第二平面及び立体モデルの交差点又はその近傍点である頂平面点G1、G2を複数定めるステップを有する。このステップにより、頂平面部材の形状を定めることができ、この頂平面部材の形状はそれぞれ2m個の頂点を有する多角形となる。なお、この場合において、頂平面点G1、G2は立体モデルの交差点そのものであることが好ましいが、後述の中間点を定める際の調整のため、又は、立体モデルが複数の三次元座標データの集合であって頂平面と第二平面の交差によって形成される直線上にこの三次元座標データが存在しない場合等においては、この近傍の位置点を頂面点G1、G2としてもよい。この場合の頂平面点G1のイメージ図を図18、19に示しておく。なお図18は、縦断面図のイメージ図を、図19は上記の結果得られる頂平面部材のイメージを示す。なお頂平面部材は、同一面上にある複数の頂平面点G1(図18の例ではG1a~G1l)を線によって結んだ形状となる。
【0046】
また本方法では、上記(G)と同様にして、(H)第一平面、第二平面及び立体モデルの交差点又はその近傍点である面上点H1~Hnを複数定めるステップを有する。このステップにより、立体構造物の側面上の点、より具体的には折目の位置を定めることができる。なお、この場合において、面上点H1は立体モデルの交差点そのものであることが好ましいが、中間点を定める際の調整のため、又は、立体モデルが複数の三次元座標データの集合であって第一平面と第二平面の交差によって形成される直線上にこの三次元座標データが存在しない場合等においては、この近傍の位置点を頂面点H1としてもよい。この場合のイメージ図を図20に示しておく。
【0047】
また本方法では、(I)一の頂平面状のそれぞれの頂平面点を、他方の頂平面状のそれぞれの頂平面点と面上点を経由して結ぶ。これにより、各帯部材の境界線を明確にし、帯部材を形成することができる。なおこの場合において、各点は直線で結ぶことが簡便であり好ましいが、曲線で結んでもよい。曲線とすると、隣接する帯部材同士の重複する面積を増やすことができ、立体的形状の折りたたみ、組み立てをより安定的に行うことができるようになるといった利点がある。
【0048】
また本方法では、更に(J)n個の第一平面のいずれかを境界として構造モデルを2つに分割し、2つの構造モデルを各々平面に展開するステップを有していることが好ましい。このようにすることで、構造モデルを紙等の平面に展開することが可能となり、この平面に展開された構造モデルを切り取り、組み立てることで各々半分の立体構造物とすることができ、この半分の立体構造物を組み合わせることで折りたたみ可能な立体構造物となる。なおこの場合において、二つに分割する境界は、2つの頂平面点及び前記面上点を経由する二つの軸点の間の距離の中間点となっていることが好ましい。このようにすることで立体構造物を折り畳んだ場合に撓み等が生じてしまうことを防止することができる。またこのステップにおいて、展開され形成された各帯部材の折目によって区分される領域に差入部を形成する処理を加えることも好ましい。
【0049】
また、本方法において、(H)第一平面、第二平面及び立体モデルの交差点又はその近傍点である面上点を複数定めるステップと、(I)一の頂平面状のそれぞれの頂平面点を、他方の頂平面状のそれぞれの頂平面点と面上点を経由して結ぶステップの後に、更に、(K)頂平面点G1又は面上点H1のいずれかを移動させるステップと、更に、一の頂平面状のそれぞれの頂平面点を、他方の頂平面状のそれぞれの頂平面点と面上点を経由して結ぶステップを有していることも好ましい。このようにすることで、上記(H)、(I)のステップによって各点を求めても上記(J)において中間点をうまく定めることができない場合に、改めて面上点を定めることができ、より安定した立体構造物の製造をすることができる。
【0050】
また上記の工程においては、引張中心すなわち二つの軸点B2間の、頂平面点及び複数の面上点を経由した距離の半分の位置を中間点として定めるステップを設けておくことが好ましく、更に、これを定める際、上記頂平面点又は面上点を移動させるステップを一緒に行わせてもよい。このようにすることで、中間点を確実に定めることができるようになる。
【0051】
また、本実施形態では、上記(A)~(J)について順を追って説明したが、従属関係にあるステップ以外は、同時に行ってもよく、ステップの順番を前後変えてもよい。
【0052】
以上、本方法により、立体から平面への折りたたみが容易であって、球体や卵型、回転楕円体等といった密封された立体を作り出すことのできる折りたたみ可能な術野拡大器具を提供することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、術野拡大器具として産業上の利用可能性がある。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
13
【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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