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明細書 :縫合装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5294181号 (P5294181)
登録日 平成25年6月21日(2013.6.21)
発行日 平成25年9月18日(2013.9.18)
発明の名称または考案の名称 縫合装置
国際特許分類 A61B  17/04        (2006.01)
FI A61B 17/04
請求項の数または発明の数 21
全頁数 50
出願番号 特願2012-554665 (P2012-554665)
出願日 平成24年1月23日(2012.1.23)
国際出願番号 PCT/JP2012/000371
国際公開番号 WO2012/101999
国際公開日 平成24年8月2日(2012.8.2)
優先権出願番号 2011013025
優先日 平成23年1月25日(2011.1.25)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年3月15日(2013.3.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
発明者または考案者 【氏名】森 宏仁
【氏名】杉谷 竜朗
【氏名】百瀬 良仁
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100089222、【弁理士】、【氏名又は名称】山内 康伸
【識別番号】100134979、【弁理士】、【氏名又は名称】中井 博
審査官 【審査官】森林 宏和
参考文献・文献 特開2010-136733(JP,A)
米国特許第5766183(US,A)
特開2003-501132(JP,A)
特開平10-500318(JP,A)
調査した分野 A61B 13/00 - 18/28
特許請求の範囲 【請求項1】
内視鏡に取り付けられた状態で体内に挿入されて使用される縫合装置であって、
前側アームと、
該前側アームに対し接近離間可能に設けられた後側アームと、
前記前側アームと前記後側アームとを接近離間させるアーム移動手段と、
前記前側アームと前記後側アームを、両者が接近離間する方向と平行な揺動軸周りに相対的に揺動させる揺動手段と、を備えており、
前記後側アームは、
先端を前記前側アームに向けた状態かつその中心軸が該後側アームと前記前側アームとが接近離間する方向と平行になるように該後側アームに取り付けられた、一本の針状部材を備えており、
前記前側アームは、
基端部が連結された一対の分岐部を備えており、
該一対の分岐部には、該前側アームと前記後側アームとが接近したときに、前記針状部材の先端部を収容し得る収容空間がそれぞれ設けられており、
各収容空間内には、前記針状部材と係合可能な一対の係合部材がそれぞれ収容されており、
各収容空間内に収容されている一対の係合部材が縫合糸によって互いに連結されている
ことを特徴とする縫合装置。
【請求項3】
互いに係合離脱可能に設けられた前側連結部材と後側連結部材とからなる連結機構を備えており、
前記後側連結部材は前記後側アームに設けられており、
前記前側連結部材は前記前側アームに設けられており、
前記連結機構は、
前記前側連結部材および前記後側連結部材が、前記前側アームと前記後側アームの相対的な揺動を所定の姿勢で固定しかつ該姿勢に固定した状態で前記前側アームと前記後側アームが接近離間する方向に沿って相対的に移動可能となるように係合するように、形成されており、前記所定の姿勢は、各収容空間の中心軸と前記針状部材の中心軸とが一致する姿勢である
ことを特徴とする請求項1記載の縫合装置。
【請求項4】
前記前側連結部材には、
前記後側連結部材が係合され、該後側連結部材の前記揺動軸の軸方向に沿った移動を案内する案内溝が形成されている
ことを特徴とする請求項3記載の縫合装置。
【請求項5】
前記前側アームには一対の収容空間が設けられており、
前記前側連結部材に形成されている案内溝は、
前記揺動軸の軸方向と平行であって互いに交差する一対の交差面を備えており、
前記後側連結部材は、
前記揺動軸の軸方向と平行な基準側面と、
前記揺動軸の軸方向と平行かつ前記基準側面と互いに交差する一対の位置決め側面と、を備えており、
該後側連結部材は、
前記基準側面が一方の交差面に面接触するように前記案内溝に係合すると一方の位置決め側面が他方の交差面と接触し、前記基準側面が他方の交差面に面接触するように前記案内溝に係合すると他方の位置決め側面が一方の交差面と接触するように設けられており、
前記一対の収容空間は、
前記後側連結部材をその基準側面が一方の交差面に面接触するように前記案内溝に係合すると一方の収容空間の中心軸と前記針状部材の中心軸が一致し、前記後側連結部材をその基準側面が他方の交差面に面接触するように前記案内溝に係合すると他方の収容空間の中心軸と前記針状部材の中心軸が一致するように形成されている
ことを特徴とする請求項4記載の縫合装置。
【請求項6】
内視鏡に取り付けられた状態で体内に挿入されて使用される縫合装置であって、
前側アームと、
該前側アームに対し接近離間可能に設けられた後側アームと、
前記前側アームと前記後側アームとを接近離間させるアーム移動手段と、を備えており、
前記後側アームは、
基端部が連結された一対の分岐部を備えており、
該一対の分岐部には、先端を前記前側アームに向けた状態かつその中心軸が該後側アームと前記前側アームとが接近離間する方向と平行になるように設けられた一対の針状部材を備えており、
前記前側アームは、
基端部が連結された一対の分岐部を備えており、
該一対の分岐部には、該前側アームと前記後側アームとが接近したときに、前記一対の針状部材の先端部をそれぞれ収容し得る一対の収容空間がそれぞれ設けられており、
該一対の収容空間は、
一の収容空間の中心軸が一の針状部材の中心軸と同軸となるように配置されると、他の収容空間の中心軸がそれぞれ他の針状部材の中心軸と同軸となるように配設されており、
各収容空間内には、各針状部材と係合可能な一対の係合部材がそれぞれ収容されており、
各収容空間内に収容されている一対の係合部材が縫合糸によって互いに連結されている
ことを特徴とする縫合装置。
【請求項8】
互いに係合離脱可能に設けられた前側連結部材と後側連結部材とからなる連結機構を備えており、
前記後側連結部材は前記後側アームに設けられており、
前記前側連結部材は前記前側アームに設けられており、
前記連結機構は、
前記前側連結部材および前記後側連結部材が、前記前側アームと前記後側アームとが接近離間する方向に沿って相対的に移動可能となるように係合し、係合した状態では前記複数の針状部材の中心軸と前記複数の収容空間の中心軸とがそれぞれ同軸上に位置しかつ前記後側アームの揺動が固定されるように形成されている
ことを特徴とする請求項6記載の縫合装置。
【請求項9】
前記前側連結部材には、
前記後側連結部材が係合され、係合された該後側連結部材の前記揺動軸の軸方向に沿った移動を案内する案内溝が形成されている
ことを特徴とする請求項8記載の縫合装置。
【請求項10】
内視鏡に取り付けられた状態で体内に挿入されて使用される縫合装置であって、
前側アームと、
該前側アームに対し接近離間可能に設けられた後側アームと、
前記前側アームと前記後側アームとを接近離間させるアーム移動手段と、を備えており、
前記後側アームは、
先端を前記前側アームに向けた状態かつその中心軸が前記前側アームと前記後側アームとが接近離間する方向と平行となるように設けられ該後側アームに取り付けられた一本の針状部材を備えており、
前記前側アームには、
該前側アームと前記後側アームとが接近したときに、前記針状部材の先端部を収容し得る収容空間が設けられており、
前記前側アームには、
縫合糸によって連結された前記針状部材と係合可能な一対の係合部材を有する縫合器具が収容されており、
一の係合部材が前記針状部材と係合するときには前記収容空間外に他の係合部材を収容しておき、一の係合部材が前記針状部材と係合した後、前記収容空間に対して他の係合部材を供給し得る供給機構が設けられている
ことを特徴とする縫合装置。
【請求項11】
前記係合部材は、
前記針状部材の先端部を挿通し得る貫通孔を備えており、
前記供給機構は、
前記前側アーム内に形成された、前記収容空間と連通された前記縫合器具を収容する縫合器具保持空間を備えており、
前記収容空間は、
前記縫合器具保持空間から供給される前記縫合器具の係合部材を、該係合部材の貫通孔の軸方向が前記針状部材の移動方向に対して平行となるように収容するように形成されている
ことを特徴とする請求項10記載の縫合装置。
【請求項12】
前記係合部材は、
前記針状部材の先端部を挿通し得る貫通孔を備えており、
前記針状部材の先端部には、
該先端部が前記係合部材の貫通孔に挿通されると、該先端部から該係合部材が抜けることを防止する脱落防止部が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の縫合装置。
【請求項13】
前記脱落防止部は、
前記針状部材の側面に形成された膨径部である
ことを特徴とする請求項12記載の縫合装置。
【請求項14】
前記係合部材は、
前記貫通孔が形成された係合部と、
前記縫合糸と連結する連結片と、を備えており、
該連結片は、
その軸方向が前記貫通孔の中心軸と平行となるように設けられている
ことを特徴とする請求項12または13記載の縫合装置。
【請求項15】
前記前側アームの側面には、前記収容空間の軸方向に沿って連結片収容溝が形成されている
ことを特徴とする請求項14記載の縫合装置。
【請求項16】
前記係合部材における貫通孔の内面には、前記膨径部と係合する係合片が設けられている
ことを特徴とする請求項12、13、14または15記載の縫合装置。
【請求項17】
前記後側アームは、
前記前側アーム側の面に、軸方向が前記前側アームと前記後側アームとが接近離間する方向と平行となるように設けられた、中空な中空針を備えており、
該中空針内に、前記針状部材が配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の縫合装置。
【請求項18】
前記前側アームおよび前記後側アームの両方が内視鏡の先端面より前方に位置し、かつ、前記後側アームが前記前側アームに対して前記内視鏡の先端面側に位置するように、前記内視鏡に取り付けて使用するものである
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の縫合装置。
【請求項19】
中空な管状部材と、該管状部材に挿通され該管状部材の一端から突出したループ状部を有する線状部材とを備えた結紮部材を備えており、
該結紮部材は、
前記管状部材が前記線状部材に沿って移動可能に設けられており、
前記ループ状部に前記前側アームおよび/または前記後側アームが挿通されている
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の縫合装置。
【請求項20】
前記後側アームには、
前記前側アームと前記後側アームとが接近離間する方向に沿って、該後側アームを貫通する貫通孔が形成されており、
前記針状部材は、
前記貫通孔をその軸方向からみたときに、該貫通孔内に位置するように前記後側アームに取り付けられており、
前記針状部材の先端部に前記縫合器具における一対の係合部材が係合した状態において、前記針状部材の先端部よりも前方で前記縫合糸を結紮する結紮部材を備えており、
該結紮部材は、
前記縫合糸が通される糸収容溝を有し、該糸収容溝の幅が狭くなると、該糸収容溝内に配置された前記縫合糸を保持し得る挟持部材を備えており、
該挟持部材は、
前記後側アームの貫通孔を前記前側アームと前記後側アームとを接近離間させる方向に沿って通過でき、前記後側アームの貫通孔を通過する際に、前記糸収容溝の間に前記針状部材を通過させ得る形状に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の縫合装置。
【請求項21】
前記結紮部材は、
前記後側アームの貫通孔を、前記前側アームと前記後側アームとを接近離間させる方向に沿って通過させ得る形状に形成された管状部材を備えており、
該管状部材は、
その断面が、前記後側アームの貫通孔を通過する際に、前記針状部材を内部に収容し得る形状に形成されており、
該管状部材内には、
前記糸収容溝の軸方向が該管状部材の軸方向と一致するように配置された前記挟持部材と、
該挟持部材と該管状部材の内面との間に配置されたリング状の締付部材と、が収容されており、
前記挟持部材は、
その基端から先端に向かって外径が小さくなるように形成されており、
前記締付部材は、
その内径が、前記挟持部材の先端外径以上かつ前記挟持部材の基端外径以下となるように形成されている
ことを特徴とする請求項20記載の縫合装置。
【請求項22】
前記管状部材は、
その先端部に、前記締付部材を保持する保持機構を有しており、
該保持機構は、
前記挟持部材が前記管状部材の先端に向けて相対的に移動したときに、前記挟持部材と前記締付部材との間に発生する応力が所定の大きさとなるまでは、前記締付部材が前記管状部材の先端に向かって移動しないように保持し、
前記挟持部材と前記締付部材との間に発生する応力が所定の大きさ以上となると、前記締付部材が前記管状部材の先端から排出されるようになっている
ことを特徴とする請求項21記載の縫合装置。
【請求項23】
前記挟持部材は、
前記糸収容溝の内面に設けられた、前記縫合糸を挟んで保持する把持部と、
前記糸収容溝の内面に設けられた、前記把持部よりも基端側に位置する切断刃と、を備えており、
該切断刃は、
前記把持部によって前記縫合糸が把持された状態からさらに前記糸収容溝の幅が狭くなると、前記縫合糸を切断し得るように設けられている
ことを特徴とする請求項20、21または22記載の縫合装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、縫合装置に関する。さらに詳しくは、口・肛門・膣などの消化管腔内に挿入された軟性内視鏡によって、消化管に貫通孔を形成する手術や腹腔内の手術を行う経管腔的内視鏡手術に使用する縫合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
経管腔的内視鏡手術(以下、NOTESという)とは、口・肛門・膣などの消化管腔内に挿入された軟性内視鏡によって、消化管腔や腹腔内の病巣を取り除く等の処置を行う手術である。
【0003】
例えば、胃壁を貫通するような孔が形成される胃壁を切除する手術、具体的には、胃壁に形成された粘膜下層よりも深い腫瘍、つまり、固有筋層に到達しているような腫瘍を軟性内視鏡によって切除する手術はNOTESに該当する。
また、図32に示すように、口から軟性内視鏡Sを挿入し、この軟性内視鏡Sの先端によって胃壁に孔hを形成し、この孔hから軟性内視鏡Sの先端を腹腔内に侵入させ、膵臓や肝臓等に形成された腫瘍等を軟性内視鏡Sによって取り除く手術もNOTESに該当する。
【0004】
かかるNOTESによって胃壁や膵臓などの腫瘍を切除した場合には、切除後、その部位または胃壁の孔hを縫合する必要があるが、従来は、軟性内視鏡Sによって腫瘍などを切除することまではできても、切除した部位を消化管腔内から縫合することができなかった。
このため、現状では、腫瘍などの切除までは軟性内視鏡Sによって行い、縫合をラパロスコープなどで行う手術が行われているのであるが、この場合、体表面から腹腔内にラパロスコープを挿入するための孔を腹壁に形成しなければならないので、体表面に傷跡が形成されるという問題がある。
【0005】
軟性内視鏡Sによって消化管腔内から切除だけでなく縫合まで行うことができれば、体表面に傷を形成することなく手術を行うことができるので、現在、消化管腔内から切除した部位を縫合する技術の開発がすすめられている(例えば、特許文献1)。
【0006】
しかるに、外科手術による切開部の縫合では、生体組織同士が癒着しやすいように、両口縁部の端面同士を突き合わせた状態で縫合するのであるが、特許文献1の技術では、口縁部の外面同士が対面する状態で縫合を行っている。つまり、胃壁切開部の両口縁部の外面同士を面接触させた状態で縫合している。このため、特許文献1の技術による縫合では、接触している部分における生体組織同士の癒着が進行しにくく、傷口がきれいに塞がらないという問題が生じる。
【0007】
しかも、切開部の口縁部において、縫合部分より先端側の部分が胃内部に山盛り状に突出するので、縫合部分が胃内に入れた食物に対して各種の障害となる可能性もある。
【0008】
さらに、各口縁部において、縫合部分より先端側の部分には血液が供給されない状態となるため、生体組織が壊死する可能性もある。
【0009】
以上のごとく、現在開発されている腹腔内から切除した部位を縫合する技術では、外科手術と同程度に傷口を縫合することは困難であり、外科手術と同程度に傷口を縫合することができる技術の開発が求められている。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開2004-601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑み、消化管腔内に挿入した内視鏡によって外科手術と同程度に傷口を縫合することができる内視鏡用縫合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(縫合)
第1発明の縫合装置は、内視鏡に取り付けられた状態で体内に挿入されて使用される縫合装置であって、前側アームと、該前側アームに対し接近離間可能に設けられた後側アームと、前記前側アームと前記後側アームとを接近離間させるアーム移動手段と、前記前側アームと前記後側アームを、両者が接近離間する方向と平行な揺動軸周りに相対的に揺動させる揺動手段と、を備えており、前記後側アームは、先端を前記前側アームに向けた状態かつその中心軸が該後側アームと前記前側アームとが接近離間する方向と平行になるように該後側アームに取り付けられた、一本の針状部材を備えており、前記前側アームは、基端部が連結された一対の分岐部を備えており、該一対の分岐部には、該前側アームと前記後側アームとが接近したときに、前記針状部材の先端部を収容し得る収容空間がそれぞれ設けられており、各収容空間内には、前記針状部材と係合可能な一対の係合部材がそれぞれ収容されており、各収容空間内に収容されている一対の係合部材が縫合糸によって互いに連結されていることを特徴とする縫合装置。
第3発明の縫合装置は、第1発明において、互いに係合離脱可能に設けられた前側連結部材と後側連結部材とからなる連結機構を備えており、前記後側連結部材は前記後側アームに設けられており、前記前側連結部材は前記前側アームに設けられており、前記連結機構は、前記前側連結部材および前記後側連結部材が、前記前側アームと前記後側アームの相対的な揺動を所定の姿勢で固定しかつ該姿勢に固定した状態で前記前側アームと前記後側アームが接近離間する方向に沿って相対的に移動可能となるように係合するように、形成されており、前記所定の姿勢は、各収容空間の中心軸と前記針状部材の中心軸とが一致する姿勢であることを特徴とする。
第4発明の縫合装置は、第3発明において、前記前側連結部材には、前記後側連結部材が係合され、該後側連結部材の前記揺動軸の軸方向に沿った移動を案内する案内溝が形成されていることを特徴とする。
第5発明の縫合装置は、第4発明において、前記前側アームには一対の収容空間が設けられており、前記前側連結部材に形成されている案内溝は、前記揺動軸の軸方向と平行であって互いに交差する一対の交差面を備えており、前記後側連結部材は、前記揺動軸の軸方向と平行な基準側面と、前記揺動軸の軸方向と平行かつ前記基準側面と互いに交差する一対の位置決め側面と、を備えており、該後側連結部材は、前記基準側面が一方の交差面に面接触するように前記案内溝に係合すると一方の位置決め側面が他方の交差面と接触し、前記基準側面が他方の交差面に面接触するように前記案内溝に係合すると他方の位置決め側面が一方の交差面と接触するように設けられており、前記一対の収容空間は、前記後側連結部材をその基準側面が一方の交差面に面接触するように前記案内溝に係合すると一方の収容空間の中心軸と前記針状部材の中心軸が一致し、前記後側連結部材をその基準側面が他方の交差面に面接触するように前記案内溝に係合すると他方の収容空間の中心軸と前記針状部材の中心軸が一致するように形成されていることを特徴とする。
第6発明の縫合装置は、内視鏡に取り付けられた状態で体内に挿入されて使用される縫合装置であって、前側アームと、該前側アームに対し接近離間可能に設けられた後側アームと、前記前側アームと前記後側アームとを接近離間させるアーム移動手段と、を備えており、前記後側アームは、基端部が連結された一対の分岐部を備えており、該一対の分岐部には、先端を前記前側アームに向けた状態かつその中心軸が該後側アームと前記前側アームとが接近離間する方向と平行になるように設けられた一対の針状部材を備えており、前記前側アームは、基端部が連結された一対の分岐部を備えており、該一対の分岐部には、該前側アームと前記後側アームとが接近したときに、前記一対の針状部材の先端部をそれぞれ収容し得る一対の収容空間がそれぞれ設けられており、該一対の収容空間は、一の収容空間の中心軸が一の針状部材の中心軸と同軸となるように配置されると、他の収容空間の中心軸がそれぞれ他の針状部材の中心軸と同軸となるように配設されており、各収容空間内には、各針状部材と係合可能な一対の係合部材がそれぞれ収容されており、各収容空間内に収容されている一対の係合部材が縫合糸によって互いに連結されていることを特徴とする。
第8発明の縫合装置は、第6発明において、互いに係合離脱可能に設けられた前側連結部材と後側連結部材とからなる連結機構を備えており、前記後側連結部材は前記後側アームに設けられており、前記前側連結部材は前記前側アームに設けられており、前記連結機構は、前記前側連結部材および前記後側連結部材が、前記前側アームと前記後側アームとが接近離間する方向に沿って相対的に移動可能となるように係合し、係合した状態では前記複数の針状部材の中心軸と前記複数の収容空間の中心軸とがそれぞれ同軸上に位置しかつ前記後側アームの揺動が固定されるように形成されていることを特徴とする。
第9発明の縫合装置は、第8発明において、前記前側連結部材には、前記後側連結部材が係合され、係合された該後側連結部材の前記揺動軸の軸方向に沿った移動を案内する案内溝が形成されていることを特徴とする。
第10発明の縫合装置は、内視鏡に取り付けられた状態で体内に挿入されて使用される縫合装置であって、前側アームと、該前側アームに対し接近離間可能に設けられた後側アームと、前記前側アームと前記後側アームとを接近離間させるアーム移動手段と、を備えており、前記後側アームは、先端を前記前側アームに向けた状態かつその中心軸が前記前側アームと前記後側アームとが接近離間する方向と平行となるように設けられ該後側アームに取り付けられた一本の針状部材を備えており、前記前側アームには、該前側アームと前記後側アームとが接近したときに、前記針状部材の先端部を収容し得る収容空間が設けられており、前記前側アームには、縫合糸によって連結された前記針状部材と係合可能な一対の係合部材を有する縫合器具が収容されており、一の係合部材が前記針状部材と係合するときには前記収容空間外に他の係合部材を収容しておき、一の係合部材が前記針状部材と係合した後、前記収容空間に対して他の係合部材を供給し得る供給機構が設けられていることを特徴とする。
第11発明の縫合装置は、第10発明において、前記係合部材は、前記針状部材の先端部を挿通し得る貫通孔を備えており、前記供給機構は、前記前側アーム内に形成された、前記収容空間と連通された前記縫合器具を収容する縫合器具保持空間を備えており、前記収容空間は、前記縫合器具保持空間から供給される前記縫合器具の係合部材を、該係合部材の貫通孔の軸方向が前記針状部材の移動方向に対して平行となるように収容するように形成されていることを特徴とする。
第12発明の縫合装置は、第1乃至第11発明のいずれかにおいて、前記係合部材は、前記針状部材の先端部を挿通し得る貫通孔を備えており、前記針状部材の先端部には、該先端部が前記係合部材の貫通孔に挿通されると、該先端部から該係合部材が抜けることを防止する脱落防止部が形成されていることを特徴とする。
第13発明の縫合装置は、第12発明において、前記脱落防止部は、前記針状部材の側面に形成された膨径部であることを特徴とする。
第14発明の縫合装置は、第12または第13発明において、前記係合部材は、前記貫通孔が形成された係合部と、前記縫合糸と連結する連結片と、を備えており、該連結片は、その軸方向が前記貫通孔の中心軸と平行となるように設けられていることを特徴とする。
第15発明の縫合装置は、第14発明において、前記前側アームの側面には、前記収容空間の軸方向に沿って連結片収容溝が形成されていることを特徴とする。
第16発明の縫合装置は、第12、第13、第14または第15発明において、前記係合部材における貫通孔の内面には、前記膨径部と係合する係合片が設けられていることを特徴とする。
第17発明の縫合装置は、第1乃至第16発明のいずれかにおいて、前記後側アームは、前記前側アーム側の面に、軸方向が前記前側アームと前記後側アームとが接近離間する方向と平行となるように設けられた、中空な中空針を備えており、該中空針内に、前記針状部材が配置されていることを特徴とする。
第18発明の縫合装置は、第1乃至第17発明のいずれかにおいて、前記前側アームおよび前記後側アームの両方が内視鏡の先端面より前方に位置し、かつ、前記後側アームが前記前側アームに対して前記内視鏡の先端面側に位置するように、前記内視鏡に取り付けて使用するものであることを特徴とする。
(結紮)
第19発明の縫合装置は、第1乃至第18発明のいずれかにおいて、中空な管状部材と、該管状部材に挿通され該管状部材の一端から突出したループ状部を有する線状部材とを備えた結紮部材を備えており、該結紮部材は、前記管状部材が前記線状部材に沿って移動可能に設けられており、前記ループ状部に前記前側アームおよび/または前記後側アームが挿通されていることを特徴とする。
第20発明の縫合装置は、第1乃至第18発明のいずれかにおいて、前記後側アームには、前記前側アームと前記後側アームとが接近離間する方向に沿って、該後側アームを貫通する貫通孔が形成されており、前記針状部材は、前記貫通孔をその軸方向からみたときに、該貫通孔内に位置するように前記後側アームに取り付けられており、前記針状部材の先端部に前記縫合器具における一対の係合部材が係合した状態において、前記針状部材の先端部よりも前方で前記縫合糸を結紮する結紮部材を備えており、該結紮部材は、前記縫合糸が通される糸収容溝を有し、該糸収容溝の幅が狭くなると、該糸収容溝内に配置された前記縫合糸を保持し得る挟持部材を備えており、該挟持部材は、前記後側アームの貫通孔を前記前側アームと前記後側アームとを接近離間させる方向に沿って通過でき、前記後側アームの貫通孔を通過する際に、前記糸収容溝の間に前記針状部材を通過させ得る形状に形成されていることを特徴とする。
第21発明の縫合装置は、第20発明において、前記結紮部材は、前記後側アームの貫通孔を、前記前側アームと前記後側アームとを接近離間させる方向に沿って通過させ得る形状に形成された管状部材を備えており、該管状部材は、その断面が、前記後側アームの貫通孔を通過する際に、前記針状部材を内部に収容し得る形状に形成されており、該管状部材内には、前記糸収容溝の軸方向が該管状部材の軸方向と一致するように配置された前記挟持部材と、該挟持部材と該管状部材の内面との間に配置されたリング状の締付部材と、が収容されており、前記挟持部材は、その基端から先端に向かって外径が小さくなるように形成されており、前記締付部材は、その内径が、前記挟持部材の先端外径以上かつ前記挟持部材の基端外径以下となるように形成されていることを特徴とする。
第22発明の縫合装置は、第21発明において、前記管状部材は、その先端部に、前記締付部材を保持する保持機構を有しており、該保持機構は、前記挟持部材が前記管状部材の先端に向けて相対的に移動したときに、前記挟持部材と前記締付部材との間に発生する応力が所定の大きさとなるまでは、前記締付部材が前記管状部材の先端に向かって移動しないように保持し、前記挟持部材と前記締付部材との間に発生する応力が所定の大きさ以上となると、前記締付部材が前記管状部材の先端から排出されるようになっていることを特徴とする。
第23発明の縫合装置は、第20、第21または第22発明において、前記挟持部材は、前記糸収容溝の内面に設けられた、前記縫合糸を挟んで保持する把持部と、前記糸収容溝の内面に設けられた、前記把持部よりも基端側に位置する切断刃と、を備えており、該切断刃は、前記把持部によって前記縫合糸が把持された状態からさらに前記糸収容溝の幅が狭くなると、前記縫合糸を切断し得るように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(縫合)
第1発明によれば、針状部材と一の収容空間とが対向するように前側アームと後側アームを配置し、アーム移動手段によって前側アームと後側アームとを接近させれば、針状部材の先端部を一の収容空間内に挿入させることができる。すると、係合部材が一の収容空間内に配置されているので、この係合部材(一の係合部材)と針状部材の先端部とを係合させることができる。また、一の係合部材が針状部材の先端部に係合された状態で前側アームと後側アームとを離間させた後、後側アームを揺動させて、針状部材と他の収容空間とが対向するように前側アームと後側アームを配置する。その状態でアーム移動手段によって前側アームと後側アームとを接近させれば、針状部材の先端部を他の収容空間内に挿入させることができるから、他の収容空間内の係合部材(他の係合部材)と針状部材の先端部とを係合させることができる。すると、複数の係合部材がいずれも針状部材に係合した状態となるから、係合部材同士を連結する縫合糸を輪状にすることができる。このため、縫合装置を内視鏡に取り付けた状態で体内に挿入し、胃壁などの切開部において、一方の口縁部を前側アームと後側アームとによって挟むように配置して、前側アームと後側アームとを一端接近させてから離間させれば、一方の口縁部に縫合糸を貫通させることができる。そして、他方の口縁部を前側アームと後側アームとによって挟むように配置して、前側アームと後側アームとを一端接近させてから離間させれば、他方の口縁部に縫合糸を貫通させることができる。すると、切開部の一対の口縁部を挿通し両端部(係合部材と連結されている部分)がいずれも後側アーム側に位置した縫合糸の輪を形成することができる。したがって、輪状になった縫合糸の両端部を結紮すれば、通常の外科手術における縫合と同様に、一対の口縁部の端面(切開面)同士を突き合わせた状態で切開部を縫合することができる。しかも、一対の分岐部にそれぞれ収容空間が設けられているので、一方の分岐部の収容空間の中心軸と針状部材の中心軸を一致させて前側アームと後側アームとを一端接近させてから離間し、他方の分岐部の収容空間の中心軸と針状部材の中心軸を一致させて前側アームと後側アームとを一端接近させてから離間すれば、切開部の一対の口縁部を挿通し両端部がいずれも後側アーム側に位置した縫合糸の輪を形成することができる。
第3発明によれば、連結機構の前側連結部材と後側連結部材とを係合させれば、前側アームと後側アームの相対的な揺動を固定でき、しかも、針状部材の中心軸と収容空間の中心軸を簡単に一致させることができる。したがって、アーム移動手段によって前側アームと後側アームとを接近させたときに、針状部材の先端部を収容空間内に挿入させる作業を簡単にすることができる。
第4発明によれば、後側連結部材を案内溝に係合するだけであるから、連結機構の構造を簡単な構造とすることができる。
第5発明によれば、後側連結部材と案内溝が2面で面接触するので、後側連結部材の姿勢を確実に所定の姿勢とすることができ、その姿勢のままで移動させることができる。したがって、針状部材の先端部を収容空間内に確実かつ簡単に挿入することができる。
第6発明によれば、一の針状部材と一の収容空間とが対向するように前側アームと後側アームを配置し、アーム移動手段によって前側アームと後側アームとを接近させれば、各針状部材の先端部を各収容空間内に挿入させることができる。すると、各収容空間内に配置されている係合部材を、各針状部材の先端部にそれぞれ係合させることができる。この状態から前側アームと後側アームとが離間させれば、針状部材間が縫合糸によってつながれた状態とすることができる。このため、縫合装置を内視鏡に取り付けた状態で体内に挿入し、胃壁などの切開部において、一の針状部材と一の収容空間との間に一方の口縁部が配置されかつ他の針状部材と他の収容空間との間に他方の口縁部が配置されるようにして、前側アームと後側アームとを一端接近させてから離間させる。すると、切開部の一対の口縁部を挿通し両端部(係合部材と連結されている部分)がいずれも後側アーム側に位置した縫合糸のループを形成することができる。この状態で、縫合糸の両端部を結紮すれば、通常の外科手術における縫合と同様に、一対の口縁部の端面(切開面)同士を突き合わせた状態で切開部を縫合することができる。そして、前側アームと後側アームを一回接近離間させるだけで、切開部の一対の口縁部を挿通する縫合糸のループを形成することができるので、縫合作業の時間を短くすることができる。しかも、一対の分岐部にそれぞれ収容空間が設けられているので、収容空間の中心軸と針状部材の中心軸を一致させて前側アームと後側アームとを一回接近させれば、切開部の一対の口縁部を挿通し両端部がいずれも後側アーム側に位置した縫合糸の輪を形成することができる。
第8発明によれば、後側アームを揺動させるだけで針状部材の中心軸と収容空間の中心軸を一致させることができるので、アーム移動手段によって前側アームと後側アームとを接近させたときに、針状部材の先端部を収容空間内に挿入させる作業を簡単にすることができる。
第9発明によれば、後側連結部材を案内溝に係合するだけであるから、連結機構の構造を簡単な構造とすることができる。
第10発明によれば、針状部材と収容空間とが対向するように前側アームと後側アームを配置し、アーム移動手段によって前側アームと後側アームとを接近させれば、針状部材の先端部を収容空間内に挿入させることができる。すると、縫合器具の一の係合部材が収容空間内に配置されているので、一の係合部材と針状部材の先端部とを係合させることができる。また、縫合器具の一の係合部材が針状部材の先端部に係合された状態で前側アームと後側アームとが離間すると、供給機構によって、縫合器具における他の係合部材が収容空間内に供給される。その状態において、アーム移動手段によって前側アームと後側アームとを接近させれば、縫合器具の他の係合部材と針状部材の先端部とを係合させることができる。すると、一対の係合部材がいずれも針状部材に係合した状態となるから、一対の係合部材を連結する縫合糸を輪状にすることができる。このため、縫合装置を内視鏡に取り付けた状態で体内に挿入し、胃壁などの切開部において、一方の口縁部を前側アームと後側アームとによって挟むように配置して、前側アームと後側アームとを一端接近させてから離間させれば、一方の口縁部に縫合糸を貫通させることができる。そして、他方の口縁部を前側アームと後側アームとによって挟むように配置して、前側アームと後側アームとを一端接近させてから離間させれば、他方の口縁部に縫合糸を貫通させることができる。すると、縫合器具によって、切開部の一対の口縁部を挿通し両端部(一対の係合部材と連結されている端部)がいずれも後側アーム側に位置した縫合糸の輪を形成することができる。したがって、縫合糸の両端部を結紮すれば、通常の外科手術における縫合と同様に、一対の口縁部の端面(切開面)同士を突き合わせた状態で切開部を縫合することができる。
第11発明によれば、一の係合部材が収容空間から離脱すると、縫合器具保持空間から縫合器具における他の係合部材が収容空間内に供給される。収容空間内に係合部材が供給されると、収容空間内では、縫合器具における係合部材の貫通孔の軸方向が針状部材の移動方向に対して略平行となる。このため、前側アームと後側アームとを接近させたときに、針状部材の先端部を確実に係合部材の貫通孔に挿通させることができる。
第12発明によれば、脱落防止部によって針状部材から係合部材が脱落することを防いでいる。このため、係合部材が係合した針状部材を胃壁などに突き刺したり、係合部材が係合した状態で胃壁などに突き刺されている針状部材を胃壁などから抜いたりしても、針状部材から係合部材が脱落することを防止することができる。したがって、切開部の一対の口縁部を挿通しかつ両端部がいずれも後側アーム側に位置する縫合糸の輪を確実に形成することができる。
第13発明によれば、針状部材に膨径部を設けただけであるので針状部材を簡単な構造にできる。
第14発明によれば、連結片が貫通孔の中心軸と平行となるように設けられているので、係合部材が針状部材の先端部に連結したときに、連結片を針状部材の側面に沿った状態とすることができる。すると、針状部材が胃壁などを通過する際における連結片の抵抗を小さくすることができる。
第15発明によれば、係合部材をその連結片が連結片収容溝に配置されるように収容空間内に配置すれば、係合部材を安定した状態で収容空間内に保持させることができる。
第16発明によれば、係合片が設けただけであるので係合部材を簡単な構造にできる。しかも、針状部材が係合部材の貫通孔を挿通する際の抵抗を小さくできるので、両者をより確実に係合させることができる。
第17発明によれば、中空針内に針状部材が配設されているので、針状部材を中空針によって保護することができ、針状部材が損傷する可能性を低くすることができる。
第18発明によれば、内視鏡に取り付けて使用すれば、胃などの消化管に形成された切開部を、胃などの消化管腔内部から縫合することができる。すると、体表面に傷を形成することなく、消化管や各種臓器から腫瘍などを除去する手術や、消化管などを切開する手術を行うことが可能となる。
(結紮)
第19発明によれば、複数の係合部材が針状部材に係合した状態で、ループ状部内に縫合糸を配置し、線状部材を引っ張ったりまたは管状部材をループ状部に向かって移動させたりすれば、ループ状部が小さくなり、線状部材のループ状部によって縫合糸を束ねた状態とすることができる。その状態からさらに線状部材を引っ張るまたは管状部材をループ状部に向かって移動させれば、線状部材とともに管状部材内に縫合糸の両端部を噛み込ませることができる。すると、縫合糸の両端部が管状部材によって互いに密着した状態で固定されるので、縫合糸を結紮した状態とすることができる。
第20発明によれば、貫通孔を通して挟持部材を針状部材の前方に配置すれば、挟持部材の糸収容溝内に縫合糸の両端部を配置することができる。この状態で挟持部材の糸収容溝の幅を狭めれば、挟持部材によって縫合糸の両端部を挟んで保持することができるので、縫合糸の両端部を連結(結紮)した場合と同様の状態にすることができる。そして、挟持部材と係合部材との間で縫合糸を切断すれば、切開部の一対の口縁部を縫い合わせた状態とすることができる。
第21発明によれば、管状部材内に挟持部材を収容した状態で、管状部材を後側アームの貫通孔に通せば、挟持部材を針状部材の前方に配置することができる。挟持部材はその基端から先端に向かって外径が小さくなるように形成されており、しかも、締付部材の内径が、挟持部材の先端外径以上かつ挟持部材の基端外径以下となるように形成されている。このため、挟持部材を締付部材内に押し込めば、締付部材に押し込まれるにしたがって、挟持部材は糸収容溝の幅が狭くなるように変形し、糸収容溝の内面によって縫合糸が挟まれた状態となる。つまり、挟持部材によって縫合糸の両端部を挟んで保持することができる。そして、管状部材内を後側アームの貫通孔に通し、挟持部材を締付部材内に押し込むだけで、縫合糸の両端を連結(結紮)した場合と同様の状態にすることができるから、結紮を迅速かつ簡単に行うことができる。
第22発明によれば、挟持部材と締付部材との間に所定の応力が発生するまで、保持機構によって締付部材が管状部材の先端に向かって移動しないように保持される。すると、挟持部材を、その糸収容溝の幅が縫合糸を挟むことができる幅となるまで、確実に変形させることができる。したがって、縫合糸の両端部を、挟持部材によって確実に挟んで保持することができる。
第23発明によれば、挟持部材を締付部材内に押し込むだけで、挟持部材の把持部による縫合糸の把持と、縫合糸の切断とを行うことができるので、切開部の縫合をより迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の縫合装置10を備えた内視鏡1の概略説明図である。
【図2】(A)は縫合装置10の概略側面図であり、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【図3】前側アーム11の要部概略拡大図である。
【図4】本実施形態の縫合装置10による縫合作業の概略説明図である。
【図5】本実施形態の縫合装置10による縫合作業の概略説明図である。
【図6】他の実施形態の縫合装置10を備えた内視鏡1の概略説明図である。
【図7】(A)は縫合装置10の概略側面図であり、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【図8】(A)は後側アーム12の概略単体平面図であり、(B)は前側アーム11の概略単体平面図である。
【図9】(A)は他の実施形態の縫合装置10を備えた内視鏡1の概略説明図であり、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【図10】縫合器具20の単体概略説明図である。
【図11】連結片21bを備えた係合部材21の概略説明図であり、(A)は概略斜視図であり、(B)は概略平面図であり、(C)は連結片収容溝16gを備えた前側アーム11の収容空間16に配置された状態の概略説明図である。
【図12】他の実施形態の縫合装置10を備えた内視鏡1の概略説明図である。
【図13】(A)は縫合装置10の概略側面図であり、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【図14】前側アーム11の単体説明図であって、(A)は平面図であり、(B)は(A)のa線に沿った断面図であり、(C)は(B)のB-B線矢視図である。
【図15】本実施形態の縫合装置10によって切開部SHを縫合した状態の概略説明図である。
【図16】本実施形態の縫合装置10による縫合作業の概略説明図である。
【図17】本実施形態の縫合装置10による縫合作業の概略説明図である。
【図18】前側アーム11と後側アーム12とを接近させた状態の概略説明図である。
【図19】液体排出孔を設けた前側アーム11の概略説明図である。
【図20】他の実施形態の縫合装置10Bを備えた内視鏡1の概略説明図である。
【図21】(A)は縫合装置10Bの概略側面図であり、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【図22】本実施形態の縫合装置10Bによって切開部SHを縫合した状態の概略説明図である。
【図23】本実施形態の縫合装置10Bによる縫合作業の概略説明図である。
【図24】本実施形態の縫合装置10Bによる縫合作業の概略説明図である。
【図25】(A)は結紮部材50の概略単体説明図であり、(B)は内視鏡1のシャフト2に結紮部材50を取り付けた状態の概略説明図である。
【図26】結紮部材50による結紮作業の概略説明図である。
【図27】結紮部材30を備えた縫合装置10Cの概略説明図であって、(A)は概略側面図であり、(B)は(A)のB-B線矢視断面図である。
【図28】結紮部材30の概略説明図である。
【図29】挟持部材32の単体概略説明図である。
【図30】結紮部材30による結紮作業の概略説明図である。
【図31】図30(A)~(C)におけるXV-XV断面矢視図である。
【図32】NOTESによる手術の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の縫合装置は、腹腔内の臓器や消化管に形成された切開部などを縫合するために使用される装置であって、軟性内視鏡を使用した経管腔的内視鏡手術(以下、NOTESという)において、軟性内視鏡に取り付けて、消化管腔内から切開部などの縫合を行えるような構造としたことに特徴を有している。

【0016】
なお、本発明の縫合装置は、軟性内視鏡だけでなく、ラパロスコープの先端に取り付けて使用することもできる。しかし、本発明の縫合装置を軟性内視鏡に取り付けて使用した場合には、NOTESにおいて、消化管腔内に配置された軟性内視鏡だけで腫瘍などの切除から、腫瘍などの切除のために形成された切開部などの縫合まで行うことができるようになるので、体表面に傷を形成することなく手術を行うことができるという利点が得られる。

【0017】
以下では、本実施形態の縫合装置10を軟性内視鏡に取り付けて使用する場合を代表として説明する。
なお、装置各部の構造を分かりやすくするために、各図面における各部の相対的なサイズなどは必ずしも実際の装置におけるサイズとは対応させていない。

【0018】
(内視鏡1の説明)
図1において、符号1は、本実施形態の縫合装置10が取り付けられる内視鏡を示している。この内視鏡1は、一般的な内視鏡手術に使用される軟性内視鏡である。

【0019】
なお、内視鏡1は、生体の消化管に挿入して使用されるものであれば、そのシャフト2の径や長さ、材質などはとくに限定されない。
例えば、シャフト2の径は、一般的な内視鏡では10mm程度であるが、5~15mm程度のものでもよい。また、シャフト2の長さは、一般的な内視鏡では1200mm程度であるが、1200~3000mm程度のものでもよい。
とくに、腹腔内の臓器の手術を行う場合には、内視鏡1は、狭帯域光観察(NBI)機能やウォータージェットなどの機能を備えているものが好ましい。

【0020】
(本実施形態の縫合装置10の説明)
図1に示すように、本実施形態の縫合装置10は、前後一対のアーム11,12と、この前後一対のアーム11,12を作動させるアーム移動手段13とを備えている。
図1に示すように、本実施形態の縫合装置10は、アーム移動手段13を内視鏡1のシャフト2に固定することによって、内視鏡1に固定して使用されるものである。

【0021】
本実施形態の縫合装置10は、前後一対のアーム11,12の両方が内視鏡1のシャフト2の先端面1sより前方に位置し、かつ、後側アーム12が前側アーム11に対して内視鏡1の先端面1s側に位置するように、内視鏡1のシャフト2に取り付けて使用される。
しかも、本実施形態の縫合装置10は、後述するアーム移動手段13の各チューブ13a~13cの軸方向と、シャフト2の軸方向とが略平行となるように取り付けられる。

【0022】
このため、内視鏡1のカメラによって前後一対のアーム11,12のアームの動きを確認しながら、前後一対のアーム11,12を使用して、胃などの消化管に形成された切開部を縫合することができるのである。
また、各チューブ13a~13cの軸方向とシャフト2の軸方向とが略平行となるように取り付けられていれば、アーム移動手段13による前後一対のアーム11,12の作動がスムースに行えるし、また、操作者による前後一対のアーム11,12の操作を容易にすることができる。そして、シャフト2を屈曲したときなどにアーム移動手段13をシャフト2の屈曲に確実に追従させることができるので、アーム移動手段13がシャフト2の屈曲などの邪魔になることを防ぐことができる。

【0023】
なお、アーム移動手段13は、必ずしも内視鏡1のシャフト2に沿って設ける必要はなく、アーム移動手段13の先端部だけがシャフト2の先端部に固定されていてもよい。この場合でも、シャフト2の先端部において、アーム移動手段13の軸方向とシャフト2の先端部の軸方向とが略平行となっていれば、操作者による前後一対のアーム11,12の操作を容易にすることができる。

【0024】
つぎに、本実施形態の縫合装置10の各部を説明する。

【0025】
まず、アーム移動手段13を説明する。
図1および図2に示すように、アーム移動手段13は、軸方向に沿って延びた長尺な部材であり、内視鏡1のシャフト2に取り付けられるものである。このアーム移動手段13の長さは、内視鏡1のシャフト2の長さと同程度の長さであればよく、とくに限定されない。

【0026】
このアーム移動手段13は、シャフト2に固定されている。例えば、アーム移動手段13は、上述したように、アーム移動手段13をシャフト2に沿うように固定したり、アーム移動手段13の先端部だけをシャフト2の先端部に固定したりした状態で、シャフト2に固定されている。
なお、アーム移動手段13をシャフト2に固定する方法はとくに限定されず、シャフト2の屈曲などの変形を妨げないように固定できる方法であればよい。例えば、ポリエチレン、強化ビニル、強化プラスチック、アルミなどを素材とするベルト状部材や、ポリエチレン、強化ビニル、金属などを素材とする輪状留め具などによって固定することができるが、とくに限定されない。

【0027】
そして、このアーム移動手段13は、シャフト2に固定された状態において、シャフト2の屈曲に追従して屈曲できる程度の柔軟性を有するように形成されている。つまり、アーム移動手段13は、内視鏡1のシャフト2に取り付けても、内視鏡1の操作の妨げにならないような強度に形成されているのである。

【0028】
具体的には、アーム移動手段13は、シャフト2の屈曲に追従して屈曲できる程度の柔軟性を有する3本のチューブ(または2本のチューブとワイヤ)から構成されている。つまり、アーム移動手段13は、ケースチューブ13aと、後側アーム移動チューブ13bと、前側アーム移動チューブ13c(または前側アーム移動ワイヤ)とによって形成されている。

【0029】
ケースチューブ13aは、シャフト2に固定される中空なチューブ状の部材であり、ベルト状部材などによってシャフト2に固定されている。このケースチューブ13aの素材はとくに限定されないが、例えば、ポリエチレンや強化ビニルなどの素材で形成されていることが好ましい。

【0030】
後側アーム移動チューブ13bは、ケースチューブ13a内に挿通された中空なチューブ状の部材であり、ケースチューブ13a内において、その軸方向に沿って移動可能かつ軸周りに回転できるように配設されている。この後側アーム移動チューブ13bの先端には、後側アーム12が連結されている。この後側アーム移動チューブ13bの素材はとくに限定されない。例えば、ポリエチレンや強化ビニル、金属性のワイヤーなどの素材で形成されていることが好ましい。とくに、後側アーム移動チューブ13bを回転させて後側アーム12を揺動させるため、後側アーム移動チューブ13bは、手元側で後側アーム移動チューブ13bを回転させたときに、その回転量と同じだけ後側アーム12を揺動させることができるようなものが好ましい。例えば、軸方向が互いに平行かつ同軸円状に並ぶように配設された複数本の金属性のワイヤーによってチューブ状部材を形成して後側アーム移動チューブ13bとすれば、上記のごとき機能を満たすものとすることができる。

【0031】
前側アーム移動チューブ13cは、後側アーム移動チューブ13b内に挿通されたチューブであり、後側アーム移動チューブ13b内において、その軸方向に沿って移動可能かつ軸周りに回転できるように配設されている。この前側アーム移動チューブ13cの先端には、前側アーム11が連結されている。この前側アーム移動チューブ13cの素材はとくに限定されないが、先端部10mm程度は剛性が高く、先端部よりも手元側は軟らかいが進退方向には収縮・拡張しないようになっているものが好ましい。例えば、先端10mm程度に、金属などによって形成された剛性の高い棒状部を有し、その部分以外はワイヤーなどによって形成されたものを、前側アーム移動チューブ13cとして使用することができる。とくに、前側アーム移動チューブ13cを回転させて後側アーム12を揺動させるため、前側アーム移動チューブ13cは、手元側で後側アーム移動チューブ13bを回転させたときに、その回転量と同じだけ後側アーム12を揺動させることができるようなものが好ましい。

【0032】
そして、前側アーム移動チューブ13cの基端および後側アーム移動チューブ13bの基端は、内視鏡1のシャフト2を操作する操作部近傍まで延びている。このため、各チューブの基端を操作することによって、各チューブの先端の動き(軸方向に沿った進退、軸周りの回転)を操作できるようになっている。

【0033】
アーム移動手段13が上記のごとき構成を有しているから、前側アーム移動チューブ13cと後側アーム移動チューブ13bを同時に、または、いずれか一方を、軸方向に沿って移動させれば、前後一対のアーム11,12を互いに接近離間させることができる。
しかも、前側アーム移動チューブ13cをその軸周りに回転させれば、前側アーム11を前側アーム移動チューブ13cの軸周りに回転させることができるし、後側アーム移動チューブ13bをその軸周りに回転させれば、後側アーム12を後側アーム移動チューブ13bの軸周りに回転させることができるのである。

【0034】
なお、前側アーム移動チューブ13cは、後側アーム移動チューブ13bに対して軸方向に沿って相対的に移動できるようになっていればよく、後側アーム移動チューブ13bに対してその軸周りに回転させることができなくてもよい。この場合には、後述する後側アーム12の針状部材14の中心軸と前側アーム11の収容空間16の中心軸を常時一致させておくことができるという利点が得られる。
また、後側アーム移動チューブ13bも、ケースチューブ13aに対して軸方向に沿って相対的に移動できるようになっていればよく、ケースチューブ13aに対してその軸周りに回転させることができなくてもよい。

【0035】
さらに、後側アーム移動チューブ13bおよび前側アーム移動チューブ13cは、いずれも独立して軸方向に移動できるようになっていることが好ましいが、前後一対のアーム11,12を互いに接近離間させることができるのであれば、いずれか一方のみが軸方向に移動できるような構成としてもよい。

【0036】
さらに、アーム移動手段13の外径(つまり、ケースチューブ13aの外径)は、本実施形態の縫合装置10を取り付けた内視鏡1を消化管内(またはオーバーチューブ内)に挿入することができる程度であればよく、とくに限定されない。例えば、アーム移動手段13の外径は、アーム移動手段13とシャフト2の外径を合わせた径が、11~13mm程度が好ましく、11~12mm程度がより好ましい。

【0037】
(前後一対のアーム11,12の説明)
つぎに、前後一対のアーム11,12を説明する。

【0038】
(後側アーム12について)
まず、後側アーム12について説明する。
図1および図2に示すように、後側アーム12は、略短冊状に形成された部材であり、前面12aと背面12bが互いに平行な平坦面に形成されたものである。
この後側アーム12の基端部には、後側アーム移動チューブ13bの先端が連結されている。この後側アーム移動チューブ13bは、後側アーム12との連結部分において、その中心軸が後側アーム12の前面12aおよび背面12bと直交するように後側アーム12と連結されている。以下、後側アーム移動チューブ13bと後側アーム12の連結部分における後側アーム移動チューブ13bの中心軸を、単に後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸という。

【0039】
なお、後側アーム12の基端部には、その前面12aと背面12bの間を貫通する貫通孔12hが形成されており、後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸が貫通孔12hの中心軸とほぼ同軸となるように配設されているが、その理由は後述する。

【0040】
一方、後側アーム12の先端部には、針状部材14が設けられている。この針状部材14は、軸部14bと、この軸部14bの先端に設けられた先端に外径が大きい部分(やじり状部14a)とを有している。やじり状部14aは、その基端の外径が軸部14bの先端の外径よりも大きく、軸部14bとの連結部分に段差ができるように形成されている。このやじり状部14aは、後述するように、針状部材14を係合部材21から引き抜く際に抵抗となる。この針状部材14のやじり状部14aが、特許請求の範囲における膨径部に相当する。

【0041】
また、針状部材14は、その先端が前側アーム11に向いた状態かつ、その軸方向が前面12aと直交するように後側アーム12に取り付けられている。言い換えれば、針状部材14は、その中心軸が後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸と平行となるように後側アーム12に取り付けられている。

【0042】
以上のごとき構造となっているので、後側アーム移動チューブ13bをその中心軸周りに回転させれば、後側アーム12を後側アーム移動チューブ13bの中心軸周りに揺動させることができる。そして、針状部材14の中心軸が後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸と平行になっている。したがって、針状部材14の中心軸が後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸と平行な状態を維持したまま、針状部材14を後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸周りに旋回させることができる。
上記後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸が、特許請求の範囲にいう揺動軸に相当する。

【0043】
なお、後側アーム12は、後側アーム移動チューブ13bをその中心軸周りに回転させたときに、針状部材14の中心軸が後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸と平行な状態を維持したまま旋回させることができるようになっていればよい。つまり、必ずしも後側アーム12の表面(前面12aまたは背面12b)は必ずしも平坦面でなくてもよいし、後側アーム12の背面12bと後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸は必ずしも直交していなくてもよい。
そして、針状部材14を後側アーム12に設ける位置はとくに限定されない。針状部材14は後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸から離間した位置に設けられていればよく、必ずしも後側アーム12の先端に針状部材14を設けなくてもよい。

【0044】
さらに、針状部材14は、縫合する対象に突き刺してその対象を貫通させることができ、しかも、対象を貫通した状態から逆方向に移動させて対象から引き抜くことができる程度の長さおよび強度を有するものであればよく、その素材や長さ、軸径はとくに限定されない。例えば、本実施形態の縫合装置10によって胃壁を縫合する場合であれば、その長さは後側アーム12の前面からその先端までの長さが胃壁を貫通できる長さであればよく、その素材は金属製が強度の点で好ましい。例えば、針状部材14を後側アーム12に取り付けた状態において、後側アーム12の前面からその先端までの長さが、7~20mm程度が好ましく、7~10mm程度がより好ましい。また、針状部材14の軸径は、その軸部14bの基端部の軸径は0.5~1mm程度が好ましく、軸部14bの先端部の軸径は0.5~1mm程度が好まし、やじり状部14aの最大径は軸部14bの先端部の軸径±0.1~1mm程度が好ましい。

【0045】
(前側アーム11について)
つぎに、前側アーム11について説明する。
図1および図2に示すように、前側アーム11は、一対の短冊状の部分(以下、分岐部11sという)を有する部材であり、一対の分岐部11sの基端同士が連結されて略V字状に形成されたものである。この前側アーム11は、背面11b(つまり後側アーム12側の面)が互いに平坦面に形成されている。
なお、前側アーム11は、略V字状に限らず、一対の分岐部11sが設けられていれば、略円弧状や矩形状(コの字状等)に形成されていてもよい。

【0046】
この前側アーム11において、一対の分岐部11sが連結された箇所には、前側アーム移動チューブ13cの先端が連結されている。この前側アーム移動チューブ13cは、前側アーム11との連結部分において、その中心軸が前側アーム11の背面11bと直交するように前側アーム11と連結されている。以下、前側アーム移動チューブ13cと前側アーム11の連結部分における前側アーム移動チューブ13cの中心軸を、単に前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸という。

【0047】
図1および図3に示すように、前側アーム11に設けられている一対の分岐部11sの先端部には、一対の収容空間16,16が形成されている。各収容空間16は、一対の分岐部11sの前面11aと背面11bとの間を貫通する貫通孔であって、その中心軸が前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸と平行となるように形成されている。なお、各収容空間16は、その背面11b側(大径部16a)の内径が前面11a側(小径部16b)の内径より大きい段付き孔であり、小径部16bの内径がやじり状部14aの外径よりも大きくなるように形成されているが、かかる形状に形成されている理由は後述する。

【0048】
そして、各収容空間16は、その中心軸から前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸まので距離が針状部材14の中心軸から後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸まので距離と同じ長さとなるように形成されている。

【0049】
そして、上述したように、後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸が貫通孔12hの中心軸とほぼ同軸となるように配設されているので、前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸を後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸と同軸とすることができる。言い換えれば、前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸を揺動軸と同軸とすることができる。

【0050】
このため、後側アーム移動チューブ13bをその中心軸周りに回転させたときに、針状部材14をその中心軸が各収容空間16の中心軸と同軸となるように配置することができる。したがって、両者の中心軸が同軸となるように配置した状態で、前側アーム11と後側アーム12とを接近させれば、針状部材14のやじり状部14aを収容空間16内に挿入することができる。

【0051】
なお、前側アーム11は、各収容空間16の中心軸が前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸と平行となるように設けられていればよい。つまり、前側アーム11の背面11bは、必ずしも必ずしも平坦面に形成されていなくてもよいし、後側アーム12の背面12bと前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸は必ずしも直交していなくてもよい。
そして、各収容空間16は、その中心軸から前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸まので距離が針状部材14の中心軸から後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸まので距離と同じ長さとなるように配設されていればよく、必ずしも前側アーム11の先端に設けなくてもよい。

【0052】
(縫合器具20について)
また、図3に示すように、本実施形態の縫合装置10は、縫合器具20を備えている。この縫合器具20は、円環状に形成された一対の係合部材21,21と、一対の係合部材21,21を連結する縫合糸22と、から構成されている。

【0053】
この縫合器具20の一対の係合部材21,21は、前側アーム11の一対の収容空間16,16内にそれぞれ配置されるものである。

【0054】
この係合部材21は、収容空間16内に配置されたときに、その表裏を貫通する貫通孔21hが収容空間16の小径部16bを貫通する孔の上方に配置される大きさに形成されている。具体的には、係合部材21は、その外径が収容空間16の大径部16aの内径よりも小さくかつ小径部16bの内径よりも大きく形成されている。しかも、収容空間16内に配置されると、係合部材21の外縁と大径部16aの内面との間の距離が貫通孔21hの半径よりも短くなるように形成されている。つまり、係合部材21が収容空間16内に配置されると、係合部材21の外縁と大径部16aの内面との間にわずかな隙間しか形成されないような大きさに、係合部材21は形成されている。

【0055】
そして、各係合部材21の貫通孔21hは、針状部材14のやじり状部14aを挿通させることはできるが、やじり状部14aが完全に貫通孔21hを挿通すると針状部材14から係合部材21が抜け落ちない構造に形成されている。具体的には、各係合部材21は、その内径が針状部材14のやじり状部14aの外径よりも小さいが針状部材14の軸部14bの先端(つまりやじり状部14aとの連結部分)の軸径よりも大きくなるように形成されている。

【0056】
(本実施形態の縫合装置10の作動の概略)
以上のごとき構成であるので、本実施形態の縫合装置10では、アーム移動手段13を操作して前側アーム11を揺動させれば、針状部材14と一方の収容空間16とが対向し、針状部材14と一方の収容空間16とが互いに同軸となるように配置することができる。この状態でアーム移動手段13によって前側アーム11と後側アーム12とを接近させれば、針状部材14のやじり状部14aを一方の収容空間16内に挿入することができる。

【0057】
すると、一方の収容空間16内には、縫合器具20の一方の係合部材21が配置されているので、この一方の係合部材21に針状部材14のやじり状部14aを挿通させることができる。そして、針状部材14のやじり状部14a全体が一方の収容空間16の小径部16bに挿入されるまで前側アーム11と後側アーム12を接近させれば、針状部材14を、その軸部14bまで一方の係合部材21に貫通させることができる。

【0058】
この状態で、アーム移動手段13を操作して、前側アーム11と後側アーム12とを離間させれば、係合部材21を針状部材14とともに収容空間16から離脱させることができる。

【0059】
ついで、アーム移動手段13を操作して前側アーム11を揺動させ、針状部材14と他方の収容空間16とが互いに同軸となるように配置する。
他方の収容空間16内には、縫合器具20の他方の係合部材21が配置されている。したがって、この状態から、針状部材14のやじり状部14a全体が他方の収容空間16の小径部16bに挿入されるまで前側アーム11と後側アーム12を接近させれば、針状部材14を、その軸部14bまで他方の係合部材21に貫通させることができる。

【0060】
そして、アーム移動手段13を操作して、前側アーム11と後側アーム12とを離間させれば、一対の係合部材21,21がいずれも針状部材14に係合した状態となるから、一対の係合部材21,21を連結する縫合糸22を輪状にすることができる(図5(8)参照)。

【0061】
したがって、本実施形態の縫合装置10によれば、前側アーム11と後側アーム12の間に物体を配置した状態で、前側アーム11と後側アーム12を2回接近離間させ、かつ、1回目と2回目で針状部材14が物体を挿通する位置を変化させれば、縫合糸22を、その両端が物体の同じ側に位置するように物体を貫通させることができるのである。言い換えれば、縫合糸22の両端間の部分が物体に引っ掛かった状態となるように、縫合糸22を物体に貫通させることができるのである(図5(8)参照)。

【0062】
(本実施形態の縫合装置10による生体の縫合について)
上記のごとき構成を有するので、本実施形態の縫合装置10を内視鏡1のシャフト2に取り付けておけば、胃壁などの切開部を、胃の内部から縫合することができる。
以下、本実施形態の縫合装置10を使用した切開部の縫合作業を、図4および図5に基づいて説明する。
なお、以下では、胃壁に形成された切開部SHを縫合する場合を説明する。

【0063】
まず、胃内に、本実施形態の縫合装置10を取り付けた内視鏡1のシャフト2を挿入して、縫合すべき切開部SH近傍に、シャフト2の先端面を配置する。その状態から、アーム移動手段13の前側アーム移動チューブ13cを操作して、前側アーム11のみを切開部SHに挿入する。

【0064】
その後、アーム移動手段13の後側アーム移動チューブ13bおよび前側アーム移動チューブ13cを操作して、前側アーム11の一方の分岐部11sと後側アーム12の背面12bによって切開部SHの一方の口縁部Saが挟まれた状態となるように、前側アーム11と後側アーム12を配置する(図4(1))。
なお、前側アーム11と後側アーム12は、針状部材14と、一方の分岐部11sに形成されている収容空間16(一方の収容空間16)とが互いに同軸となるように配置するのは、言うまでもない。

【0065】
図4(1)の状態から、アーム移動手段13の後側アーム移動チューブ13bを操作して、後側アーム12を前側アーム11に接近させる。すると、針状部材14を一方の口縁部Saに挿通させることができ、針状部材14のやじり状部14aを一方の収容空間16内に挿入させることができる。そして、針状部材14のやじり状部14aを縫合器具20の一方の係合部材21に貫通させることができるから、針状部材14に一方の係合部材21を係合させることができる(図4(2))。

【0066】
なお、図4では、後側アーム12と前側アーム11とを接近させる際に、後側アーム12を前側アーム11に接近させる場合を説明したが、前側アーム11を後側アーム12に接近させてもよいし、両者をともに移動させて両者を接近させてもよい。この点は、以下の説明において、後側アーム12を前側アーム11に離間させる場合でも同様である。したがって、以下では、前側アーム11に対して後側アーム12を移動させる場合だけを説明して、その他の場合(後側アーム12に対して前側アーム11を移動させる場合および両者をともに移動させる場合)については説明を割愛する。

【0067】
針状部材14のやじり状部14aに一方の係合部材21係合させると、アーム移動手段13の後側アーム移動チューブ13bを操作して、後側アーム12を前側アーム11から離間させる。このとき、針状部材14は、針状部材14を一方の口縁部Saに挿通させる際に形成された孔(以下、第1穿孔という)を通って胃内に戻る。すると、針状部材14に係合されている一方の係合部材21も、針状部材14とともに胃内に移動する。

【0068】
一方、縫合器具20の他方の係合部材21は、一方の係合部材21が移動しても他方の分岐部11sに形成されている収容空間16内に残留するので、両係合部材21を連結する縫合糸22は第1穿孔を貫通するように配置される。つまり、縫合糸22は、一方の係合部材21に固定されている一端は胃内に位置し、他方の係合部材21に固定されている一端は胃外に位置するように配置される(図4(3))。

【0069】
図4(3)の状態から、前側アーム11の他方の分岐部11sと後側アーム12の背面12bによって切開部SHの他方の口縁部Sbが挟まれた状態となるように、前側アーム11と後側アーム12を配置する(図4(4))。具体的には、前側アーム11を移動させて、他方の分岐部11sが他方の口縁部Sbの外面に位置するように配置する。その後、前側アーム11を揺動させて、針状部材14と他方の分岐部11sに形成されている収容空間16(他方の収容空間16)とが互いに同軸となるように配置する。

【0070】
図4(4)の状態から、アーム移動手段13の後側アーム移動チューブ13bを操作して、後側アーム12を前側アーム11に接近させる。すると、針状部材14を他方の口縁部Sbに挿通させることができ、針状部材14のやじり状部14aを他方の収容空間16内に挿入させることができる。そして、針状部材14のやじり状部14aを縫合器具20の他方の係合部材21に貫通させることができるから、針状部材14に他方の係合部材21も係合させることができる(図5(5))。

【0071】
針状部材14に他方のやじり状部14aを係合させると、アーム移動手段13の後側アーム移動チューブ13bを操作して、後側アーム12を前側アーム11から離間させれば、針状部材14は、針状部材14を他方の口縁部Sbに挿通させる際に形成された孔(以下、第2穿孔という)を通って胃内に戻る。すると、針状部材14に係合されている他方の係合部材21も、針状部材14とともに胃内に移動し、縫合糸22が第2穿孔を貫通する(図5(6))。

【0072】
すると、縫合糸22の両端が固定されている一対の係合部材21がいずれも一本の針状部材14に係合した状態となっているので、縫合糸22によって、針状部材14(つまり胃内)から第1穿孔を貫通して胃外にでて、胃外面から第2穿孔を貫通して針状部材14(つまり胃内)に戻る輪が形成される(図5(7)参照)。

【0073】
上記のごとき縫合糸22の輪が形成されると、まず、アーム移動手段13を操作して、切開部SHを通して胃内に前側アーム11を移動させる。そして、前側アーム11が胃内に入ると、針状部材14が切開部SHから離間するようにシャフト2自体、または、後側アーム12を移動させる。すると、縫合糸22の両端が切開部SHから離間するように移動するので、縫合糸22において第1穿孔を貫通している部分と第2穿孔を貫通している部分との間に位置する部分であって胃外に位置する部分の長さが短くなるように、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbが移動される。つまり、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbは、その端面同士が接近するように移動されるから、切開部SHは、口縁部Sa,Sbの端面同士が接触するように縫合されるのである(図5(8))。

【0074】
そして、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbの端面同士が接触すると、その状態で縫合糸22を結紮する。具体的には、縫合糸22において、針状部材14(つまり一方の係合部材21)から第1穿孔に延びている部分と、針状部材14(つまり他方の係合部材21)から第2穿孔に延びている部分を結紮する。この結紮は、市販されているクリップなどを利用することができる。例えば、クリップなどを内視鏡1の鉗子口から供給して縫合糸22に取り付ければ、結紮することができる。

【0075】
最後に、縫合糸22において、結紮した部分よりも針状部材14側に位置する部分を切れば、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbの端面同士を接触させた状態で、切開部SHを固定することができるのである。

【0076】
上記例では、縫合装置10の後側アーム12に設けられる針状部材14が1本の場合を説明したが、針状部材14は複数本設けてもよい。
例えば、前側アーム11の軸方向に沿って、複数本の針状部材14を間隔を開けた状態で並ぶように設けておく。そして、各分岐部11sには、複数本の針状部材14と対応する位置に複数の収容空間16を形成しておく。つまり、一の針状部材14の中心軸と一方の分岐部11sに設けられている一の収容空間16の中心軸を同軸上に配置すると、全ての針状部材14と一方の分岐部11sに設けられている全ての収容空間16が同軸上に位置するように、各分岐部11sに複数の収容空間16を形成しておく。かかる縫合装置10を用いて上述した手順で縫合を行えば、一度に複数箇所で切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbを挿通する縫合糸22の輪を形成することができるので、切開部SHの縫合を短時間で行うことができる。

【0077】
また、上記例では、分岐部11sが2本の場合を説明したが、前側アーム11に設ける分岐部11sは3本以上でもよい。

【0078】
(連結機構)
上述したような構造を有する縫合装置10において、前側アーム11の背面11bおよび後側アーム12の前面12aがいずれも平坦面であって、前側アーム11の背面11bと前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸が直交し、かつ、後側アーム12の前面12bと後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸が直交しているとする。すると、前側アーム11の背面11bと後側アーム12の前面12aと平行にしたまま、前側アーム11と後側アーム12とを接近離間させることができれば、針状部材14の中心軸と収容空間16の中心軸を同軸に配置すれば、針状部材14を収容空間16に容易に挿入することができる。なぜなら、後側アーム移動チューブ13bの先端から前側アーム移動チューブ13cを突出させる長さに制限はないが、生体(胃壁など)の縫合の際には、せいぜい10~20mm程度しか突出させればよく、この程度の突出量では、前側アーム移動チューブ13cにおいて突出した部分はほとんど屈曲しないからである。しかも、前側アーム移動チューブ13cは後側アーム移動チューブ13bに挿通されており両者は同軸になっている。このため、前側アーム11の背面11bは、前側アーム11と後側アーム12とを接近離間させても、後側アーム12の前面12aと平行に維持されるからである。とくに、前側アーム移動チューブ13cの先端に上述したような剛性の高い棒状部を設けておき、その長さが前側アーム移動チューブ13cを突出させる突出量よりも短ければ、確実に前側アーム11の背面11bと後側アーム12の前面12aとを平行に維持できる。

【0079】
しかし、以下のような連結機構を設けておけば、針状部材14を収容空間16により確実に挿入することができるので、好ましい。

【0080】
図6~図8に示すように、連結機構40は、後側アーム12に設けられた後側連結部材42と、前側アーム11に設けられた前側連結部材41とを備えている。
後側連結部材42は、後側アーム12の基端に設けられている。この後側連結部材42は、断面正方形に形成された軸状部であり、その側面が揺動軸(言い換えれば後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸)と平行な平坦面に形成されている。
具体的には、後側連結部材42は、揺動軸の軸方向と平行な基準側面42aと、この基準側面42aと互いに交差する一対の位置決め側面42b,42cと、を有している。基準側面42aは、針状部材14が設けられている側と反対側に位置する面である。一対の位置決め側面42b,42cは、揺動軸の軸方向と平行な平坦面である。そして、後側連結部材42は断面正方形に形成されているので、基準側面42aと一対の位置決め側面42b,42cは互いに直交している。

【0081】
図6~図8に示すように、前側連結部材41は、前側アーム11の基端に設けられた軸状部である。この前側連結部材41は、その軸方向に沿って形成された案内溝41hを備えている。この案内溝41hは、後側連結部材42と係合でき、しかも、係合した後側連結部材42をその軸方向に沿って移動させることができる形状に形成されている。
具体的には、案内溝41hは、互いに交差する一対の案内面41a,41bを有している。この一対の案内面41a,41bは、揺動軸(言い換えれば前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸)の軸方向と平行な平坦面に形成されている。そして、一対の案内面41a,41bは、その交差角度が、後側連結部材42の基準側面42aと一対の位置決め側面42bとがなす角度と同じになるように形成されている。つまり、一対の案内面41a,41bは互いに直交するように設けられている。

【0082】
そして、案内溝41hは、後側連結部材42の基準側面42aが案内面41aまたは案内面41bに面接触するように後側連結部材42を係合させると、一対の位置決め側面42b,42cのいずれかが一方が案内面41aまたは案内面41bと面接触して、針状部材14の中心軸がいずれかの収容空間16の中心軸と同軸となるように形成されている。図7であれば、後側連結部材42の基準側面42aを案内面41bに面接触させると、位置決め側面42bは案内面41aに面接触する。すると、後側連結部材42は針状部材14の中心軸は一方の収容空間16(図7(B)であれば左側の収容空間16)の中心軸と同軸となるように位置決めされる。逆に後側連結部材42の基準側面42aを案内面41aに面接触させると、位置決め側面42aが案内面41bに面接触する。すると、針状部材14の中心軸は他方の収容空間16(図7(B)であれば右側の収容空間16)の中心軸と同軸となるように位置決めされる。

【0083】
以上のごとき構成であるので、連結機構40の後側連結部材42を前側連結部材41における後側アーム12側の端部から係合させれば、案内溝41hに沿って後側連結部材42を前側アーム11に移動させることができる。すると、後側連結部材42と案内溝41hを2面で面接触させることができるので、後側アーム12と前側アーム11との相対的な回転を固定した状態、つまり、後側アーム12と前側アーム11とを位置決めした状態で接近離間させることができる。したがって、針状部材14の中心軸を収容空間16の中心軸と同軸に保ったまま接近させることができるから、針状部材14のやじり状部14aを収容空間16内に確実かつ簡単に挿入することができる。

【0084】
また、図7および図8に示すように、案内溝41hの一対の案内面41a,41bにそれぞれ案内面41a,41bに沿って伸びたレール上の突起41pを形成しておき、後側連結部材42に突起41pと係合し得る溝42gを形成しておいてもよい。この場合には、後側連結部材42と前側連結部材41をより確実に位置決めすることができる。言い換えれば、後側アーム12と前側アーム11を確実に位置決めすることができるという利点が得られる。

【0085】
なお、図7では、基準側面42aの法線方向が針状部材14の中心軸と揺動軸を結ぶ線と平行になるように配設されている構造を示しているが、上述したような機能を満たすのであれば、基準側面42aの法線方向は針状部材14の中心軸と揺動軸を結ぶ線に対してある程度角度を持っていてもよい。

【0086】
また、連結機構の構造は、上述したよう構造に限定されない。針状部材14の中心軸と収容空間16の中心軸とが同軸上に位置した状態で前側アーム11に対する後側アーム12の揺動は固定するが両者が接近離間する方向への移動は許容するような構造であればよい。

【0087】
(他の実施形態の縫合装置の説明)
また、上記例では、前側アーム11のみに分岐部11sが設けられている場合を説明したが、後側アーム12にも一対の分岐部12s,12sを設けてもよい。この場合には、一の針状部材14の中心軸と一の収容空間16の中心軸が同軸上に位置すると他の針状部材14の中心軸と他の収容空間16の中心軸も同軸上に位置するように、針状部材14を各分岐部12sにそれぞれ設ける。そして、一対の係合部材21,21を一対の収容空間16,16にそれぞれ配置しておけば、前側アーム11と後側アーム12を一回だけ接近離間させることによって、一対の係合部材21,21を一対の分岐部12s,12sに設けられている針状部材14にそれぞれ係合させることができる。すると、一の分岐部12sに設けられている針状部材14と、他の分岐部12sに設けられている針状部材14とを繋ぐように縫合糸22のループを形成することができる。
例えば、かかる縫合装置10Aによって切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbを縫合する場合には、一対の口縁部Sa,Sbがそれぞれ前側アーム11の一対の分岐部11s,11sと前側アーム12の一対の分岐部12s,12sの間に位置するように配置する。そして、前側アーム11と後側アーム12を一回だけ接近離間させれば、縫合糸22の両端部がそれぞれ一対の口縁部Sa,Sbを貫通し、しかも、縫合糸22の両端が胃壁に対して同じ側に位置した状態にすることができる。
したがって、縫合装置10Aを使用すれば、縫合作業の工数を少なくすることができるから、縫合時間を迅速に行うことができる。

【0088】
また、縫合装置10Aにも上述した連結機構40を設けてもよい。つまり、前側アーム11および後側アーム12にそれぞれ前側連結部材41および後側連結部材42を設けてもよい。この場合、前側連結部材41と後側連結部材42が係合すると、一対の分岐部12s,12sの針状部材14の中心軸と一対の分岐部11s,11sに設けられている一対の収容空間16の中心軸が同軸上に配置するように、前側連結部材41および後側連結部材42を形成しておく。すると、一対の針状部材14,14を確実に一対の収容空間16,16に挿入させて、一対の針状部材14,14に一対の係合部材21,21を係合させることができる。

【0089】
さらに、縫合装置10Aの後側アーム12の各分岐部12sに複数本の針状部材14を設け、各分岐部12sに設けられている針状部材14と同数の収容空間16を、前側アーム11の各分岐部11sに設けてもよい。この場合には、前側アーム11と後側アーム12を一回だけ接近離間させても、複数本の縫合糸22を一対の口縁部Sa,Sbに挿通することができるので、縫合作業の工数をより少なくすることができ、縫合時間をより短くすることができる。

【0090】
(係合部材21について)
また、縫合器具保20の一対の係合部材21,21は、上述したように、貫通孔21hに針状部材14のやじり状部14aを挿通させることができるが、やじり状部14a全体が貫通孔21hを挿通すると針状部材14から係合部材21が抜け落ちない構造に形成されていればよい。
例えば、係合部材21として、以下のような構造を採用することができる。

【0091】
図10(a)、(b)に示すように、係合部材21として、ある程度硬度が高く弾性力を有する弾性素材(ばね鋼など)によって形成された、一部に断続した部分21gを有する環状の部材を採用することができる。かかる部材の場合、係合部材21は、その貫通孔21hの内径が、針状部材14が挿入される側(図10の上側、以下挿入側という)から針状部材14が突出する側(図10の下側、以下、突出側という)に向かって小さくなるように形成する。しかも、係合部材21は、その貫通孔21hにおける突出側の内径が針状部材14のやじり状部14aの外径よりも小さいが軸部14bの先端部分の外径よりも大きくなるように形成する。すると、係合部材21の貫通孔21hに針状部材14を挿入すると、係合部材21の断続した部分21gが広がり、針状部材14のやじり状部14aを挿通させることができる。そして、針状部材14のやじり状部14aが係合部材21の貫通孔21hを完全に挿通すると、係合部材21は弾性力によって元の状態に復元する(つまり、係合部材21は、断続した部分21gが閉じた状態に戻る)。一方、針状部材14を係合部材21から引き抜こうとしても、突出側における貫通孔21hの内径が針状部材14のやじり状部14aの基端部の径よりも小さいので、針状部材14のやじり状部14aの基端部が係合部材21の突出側の面に引っ掛かかり、係合部材21は針状部材14から抜けることがない。

【0092】
また、係合部材21は、係合部材21の貫通孔21hの内径を針状部材14のやじり状部14aよりも大きくした上で、貫通孔21hの内面に、係合部材21の貫通孔21hから針状部材14が抜けないように、針状部材14を挟んで保持する保持部21fを設けてもよい。例えば、図10(d)に示すように、貫通孔21hにおける突出側の内面に、挿入側には曲がりにくいが、逆側には容易に曲がる弾性素材からなる一対の把持片21s,21sを設けておき、その先端間の距離が、針状部材14のやじり状部14aの外径よりも狭いが軸部14bの先端部分の外径よりも広くなるように形成する。かかる構造とすれば、針状部材14のやじり状部14aが完全に挿通されると、一対の把持片21s,21sは弾性力によって元の状態に復元する(つまり、一対の把持片21s,21sの先端によって軸部14bが挟まれた状態になる)。一対の把持片21s,21sが移動の抵抗となるから、針状部材14を係合部材21から引き抜こうとしても、係合部材21は針状部材14から抜けることがない。

【0093】
さらに、係合部材21として、図11に示すような形状としてもよい。
図11に示すように、係合部材21は円環状に形成された板状の部材であって、その内端に3枚の係合片21f,21fを有するものである。この係合部材21は、内径は針状部材14のやじり状部14aよりも大きいが、3枚の係合片21f,21fの内端で形成される円の直径がやじり状部14aよりも小さくなるように形成されている。かかる形状とすれば、やじり状部14aが貫通孔21hを挿通するとやじり状部14aと軸部14bの段差に3枚の係合片21f,21fが引っ掛かるので、係合部材21から針状部材14が抜けにくくすることができる。しかも、針状部材14が係合部材21の貫通孔21hを挿通する際の抵抗を小さくできるので、後側アーム12と前側アーム11とを接近させたときに、両者をより確実に係合させることができる。

【0094】
また、係合部材21に縫合糸22を固定する方法はとくに限定されない。例えば、図10に示すように、縫合糸22を係合部材21に結んで固定してもよいし、図11に示すように、係合部材21に連結片21bを設けこの連結片21bと縫合糸22とが連結する構造としてもよい。
図11に示すように、連結片21bを備えた係合部材21は、貫通孔21hが形成された係合部21aと、この係合部21aと一体に形成された連結片21bとを備えている。この連結片21bは、係合部21aとの連結部分で折り曲げられて、その軸方向が貫通孔21hの中心軸と平行となるように設けられている。この連結片21bには、その軸方向に沿って複数の把持片21kが設けられている。

【0095】
このため、縫合糸22の端部を連結片21bの軸方向に沿うように配置して、複数の把持片21kと連結片21bとの間に縫合糸22を挟むようにすれば、縫合糸22を係合部材21に固定することができる。
そして、連結片21bの軸方向が貫通孔21hの中心軸と平行となるように設けられているので、係合部材21の貫通孔21hに針状部材14のやじり状部14aが挿通されると、連結片21bをやじり状部14aの側面に沿った状態または針状部材14の中心軸と連結片21bの軸方向とが平行な状態とすることができる。すると、連結片21bを設けても、針状部材14が胃壁などを通過する際に、連結片21bに起因する抵抗を小さくすることができる。とくに、連結片21bと係合部21aとが一体に形成されている場合には、両者の連結部分が曲面になるように折り曲げれば、胃壁などを通過する際の抵抗をより小さくすることができる。

【0096】
なお、連結片21bに縫合糸22の端部を固定する方法は上記の方法に限定されない。例えば、把持片21kを有しない板状または棒状の部材として、縫合糸22の端部の縒りを解き、縒りを解いた糸によって連結片21bを包んで接着剤などによって固めて縫合糸22と連結片21bとを固定してもよい。

【0097】
また、係合部材21として上述したような連結片21bを有するものを使用する場合には、前側アーム11の収容空間16に係合部材21と保持させたときに、連結片21bを保持できる機構を前側アーム11に設けておくことが好ましい。
例えば、前側アーム11の側面に、収容空間16の軸方向に沿って連結片収容溝16gを設ける。そして、前側アーム11の背面16bに、連結片収容溝16gと収容空間16とを連通する連通溝16mを設ける。具体的には、収容空間16の大径部16aと連結片収容溝16gとが連通するように連通溝16mを設ける。そして、連通溝16mの幅を、縫合糸22の端部を取り付けた状態における連結片21bの幅よりもわずかに広くしておく。
すると、係合部材21を収容空間16内に配置するときに、係合部21aを収容空間16の大径部16aに配置し連通溝16mに連結片21bを配置する。すると、連結片21bはその軸方向が連結片収容溝16gの軸方向と平行となった状態で保持されるので、係合部21aの貫通孔21hの中心軸と収容空間16の中心軸を一致させた状態で確実に保持できる。しかも、連結片21bが連結片収容溝16gに収容されているので、係合部21aは収容空間16内で傾くことも防止することができる。したがって、係合部材21を安定した状態で収容空間16内に保持させることができる。

【0098】
なお、上記例では、係合部材21(連結片21bを設ける場合では係合部21a)の形状および貫通孔21hの形状が円形の場合を説明したが、係合部材21および貫通孔21hの形状はかかる形状に限定されない。例えば、図8(c)に示すように、係合部材21の形状は、四角形状としてもよいし、三角形状や五角形状などでもよく、その形状はとくに限定されない。貫通孔21hの形状も、四角形状としてもよいし、三角形状や五角形状などでもよく、その形状はとくに限定されない。係合部材21の外径を四角形状などとする場合には、係合部材21によって胃壁などを傷つけないように、角を面取りするなどしておくことが好ましい。

【0099】
また、係合部材21は、コイルバネのように線状の部材を螺旋状に巻いたものを使用してもよい。この場合も外径が収容空間16の小径部16bよりも大きく、その内径が軸部14bの先端外径よりも大きいがやじり状部14aよりも小さくなるように形成しておけばよい。とくに、係合部材21の一端から他端に向かってその内径が小さくなるように形成しておけば、やじり状部14aを係合部材21に挿通させやすいが係合部材21からやじり状部14aが抜けにくくすることができる。係合部材21の一端から他端に向かってその内径が小さくなるように形成する方法としては、係合部材21を略円錐状にする方法をあげることができる。
(他の実施形態の縫合装置の説明)

【0100】
つぎに、他の実施形態の縫合装置10Cを説明する。
他の実施形態の縫合装置10Cは、前後一対のアーム11,12の構造以外は上述した縫合装置10と実質的に同じ構造を有する。したがって、実質的に同等の構造を有するアーム移動手段13や縫合器具20などに関する説明は、適宜割愛する。

【0101】
(前後一対のアーム11,12の説明)
つぎに、他の実施形態の縫合装置10の前後一対のアーム11,12を説明する。

【0102】
まず、前後一対のアーム11,12に共通する形状などについて説明する。
図12および図13に示すように、前後一対のアーム11,12は、その基端が、それぞれアーム移動手段13の前側アーム移動チューブ13cおよび後側アーム移動チューブ13bに取り付けられている。
各アーム11,12は、各アーム11,12との連結部分における各移動チューブ13a,13bの軸方向(以下、単に各移動チューブ13a,13b先端の軸方向という)から見て(図13(B)参照、以下、平面視という)、略円弧状に形成された板状の部材である。そして、両アーム11,12は、平面視形状が略相似形に形成されている。各アーム11,12の大きさはとくに限定されないが、内視鏡1の先端部前面に設けられているCCDカメラの視野の邪魔にならず、また、照明の障害とならない程度の大きさが好ましい。例えば、後側アーム12は、その中心軸aの曲率半径が内視鏡のシャフト2の直径と同程度に形成されていることが好ましい。

【0103】
なお、各アーム11,12の形状は必ずしも円弧状である必要はなく、棒状でもよいし、平面視で長方形状でもよい。各アーム11,12が棒状や長方形状である場合には、各アーム11,12の軸方向の長さは内視鏡1のシャフト2の外径程度であることが好ましい。

【0104】
また、各アーム11,12の素材はとくに限定されないが、縫合時に変形しない程度の強度であることが好ましくい。例えば、金属や強化プラスチックなどが好ましい。

【0105】
つぎに、前後一対のアーム11,12について、それぞれ詳細に説明する。

【0106】
まず、後側アーム12を説明する。
図12および図13に示すように、後側アーム12は、上述したような形状に形成されたものであり、その基端が後側アーム移動チューブ13bの先端に取り付けられている。この後側アーム12において、前側アーム11側の面(以下前面12aという)は、後側アーム移動チューブ13bの先端の軸方向と直交する平坦面に形成されている。

【0107】
図13に示すように、に示すように、この後側アーム12の前面12aにおける先端部には、上述したような針状部材14が設けられている。この針状部材14は、その軸方向が前面12aと直交するように(言い換えれば、その軸方向が後側アーム移動チューブ13bの先端の軸方向と平行となるように)、その基端が前面12aに固定されている。

【0108】
また、後側アーム12は、板状でなくてもよいし、その表面(前面12aまたは背面)は後側アーム移動チューブ13bの先端の軸方向と直交していなくてもよい。また、後側アーム12の表面は、必ずしも平坦面でなくてもよい。

【0109】
さらに、後側アーム12に針状部材14を設ける位置はとくに限定されず、必ずしも後側アーム12の先端でなくてもよい。

【0110】
つぎに、前側アーム11を説明する。
図13に示すように、前側アーム11は、前側アーム移動チューブ13cの先端にその基端が取り付けられている。この前側アーム11は、ある程度の厚さを有する板状の部材によって形成されている。具体的には、前側アーム11は、その内部に後述する縫合器具20を収容し得る空間を形成できる程度の大きさ、つまり、縫合器具20を収容し得る空間を形成できる程度の厚さおよび幅を有するように形成されている。

【0111】
そして、前側アーム11において、前記後側アーム12側の面(図13(A)では上側の面、以下背面11bという)は、前側アーム移動チューブ13cの先端の軸方向と直交する平坦面に形成されている。つまり、前側アーム11の背面11bは、後側アーム12の前面12aと平行となるように設けられている。

【0112】
また、前側アーム11の背面11bは、後側アーム12の前面12aと同様に、必ずしも平坦面でなくてもよい。そして、前側アーム11の背面11bと後側アーム12の前面12aは、必ずしも平行でなくてもよい。しかし、後側アーム12の前面12aおよび後側アーム12の前面12aがいずれも平坦であって互いに平行となるように形成されていれば、縫合を安全かつ確実に行うことができる点で好ましい。

【0113】
(収容空間16の説明)
図13および図14に示すように、前側アーム11には、収容空間16が形成されている。この収容空間16は、背面11bから凹んだ穴であり、前側アーム11を貫通しないように設けられている。この収容空間16は、その中心軸が後側アーム移動チューブ13bの先端の軸方向と平行となるように形成されている。
そして、収容空間16は、後側アーム12に設けられている針状部材14と対応する位置に形成されている。具体的には、収容空間16は、その中心軸から前側アーム移動チューブ13cの先端の中心軸までの距離が、後側アーム移動チューブ13bの先端の中心軸から針状部材14の中心軸までの距離と同じ長さとなるように形成されているのである。つまり、前側アーム11および後側アーム12をその基端を支点として揺動させると、針状部材14の中心軸と収容空間16の中心軸とが同軸となる位置が存在するように、収容空間16は形成されているのである。

【0114】
なお、前側アーム移動チューブ13cと後側アーム移動チューブ13bとの軸周りの相対的な回転が固定されている場合には、収容空間16は、その中心軸が針状部材14の中心軸と同軸になるように形成されていることが好ましい。

【0115】
この収容空間16は、その内径が針状部材14の外径よりも大きくなるように形成されている。しかも、収容空間16は段付穴であり、上方には内径の大きい部分(係合部材収容部16a)を有し、下方に内径の小さい部分(針状部材先端収容部16b)を有しするように形成されている。
なお、係合部材収容部16aと針状部材先端収容部16bとの連結面16cは、収容空間16の中心軸と直交するように形成されているが、その理由は後述する。

【0116】
そして、前側アーム11には、収容空間16と連通された縫合器具保持空間17が形成されている。この縫合器具保持空間17は、その底面17aが収容空間16の連結面16cと同一平面となるように形成されているが、その理由は後述する。

【0117】
(縫合器具20について)
また、図13に示すように、縫合器具保持空間17内には、縫合器具20が収容されている。この縫合器具20は、円環状に形成された一対の係合部材21,21と、この一対の係合部材21,21を連結する縫合糸22とから構成されている。

【0118】
係合部材21は、収容空間16内に収容されたときに、針状部材先端収容部16b内に落下しない程度の大きさに形成されている。具体的には、係合部材21は、その外径が係合部材収容部16aの内径よりも小さくかつ収容空間16の針状部材先端収容部16bの内径よりも大きくなるように形成されている。

【0119】
(本実施形態の縫合装置10の作動の概略)
以上のごとき構成であるので、本実施形態の縫合装置10では、アーム移動手段13を操作して、前側アーム11と後側アーム12を針状部材14と収容空間16とが対向するように配置し(針状部材14と収容空間16とが互いに同軸となるように配置し)、アーム移動手段13によって前側アーム11と後側アーム12とを接近させれば、針状部材14のやじり状部14aを収容空間16内に挿入することができる。

【0120】
一方、縫合器具20の一方の係合部材21を収容空間16内に配置すれば、一方の係合部材21は連結面16c上に配置され、係合部材21の貫通孔21hが針状部材先端収容部16bの上方に配置される。

【0121】
すると、縫合器具20の一方の係合部材21を収容空間16内に配置した状態で針状部材14のやじり状部14aを収容空間16内に挿入させれば、針状部材14のやじり状部14aを係合部材21の貫通孔21hに挿入することができる。そして、針状部材14のやじり状部14a全体が針状部材先端収容部16bに挿入されるまで、前側アーム11と後側アーム12を接近させれば、針状部材14を、その軸部14bまで係合部材21の貫通孔21hに挿通させることができる。
この状態で、アーム移動手段13を操作して、前側アーム11と後側アーム12とを離間させれば、係合部材21を針状部材14とともに収容空間16から離脱させることができる。

【0122】
また、一方の係合部材21が収容空間16から離脱すると、この一方の係合部材21と縫合糸22によって連結されている他方の係合部材21は、縫合糸22に引っ張られて、縫合器具保持空間17から収容空間16内に移動する。

【0123】
他方の係合部材21が収容空間16内に移動すると、他方の係合部材21は連結面16c上に配置され、係合部材21の貫通孔21hが針状部材先端収容部16bの上方に配置される。
この状態でアーム移動手段13を操作して、前側アーム11と後側アーム12とを接近させれば、針状部材14のやじり状部14aを他方の係合部材21の貫通孔21hに挿入することができる。
すると、一対の係合部材21,21がいずれも針状部材14に係合した状態となるから、一対の係合部材21,21を連結する縫合糸22を輪状にすることができる(図15参照)。

【0124】
したがって、本実施形態の縫合装置10によれば、前側アーム11と後側アーム12の間に物体を配置した状態で、前側アーム11と後側アーム12とを2回接近離間させ、かつ、1回目と2回目で針状部材14が物体を挿通する位置を変化させれば、縫合糸22を、その両端が物体の同じ側に位置するように物体を貫通させることができるのである。言い換えれば、縫合糸22の両端間の部分が物体に引っ掛かった状態となるように、縫合糸22を物体に貫通させることができるのである(図15参照)。

【0125】
(本実施形態の縫合装置10による生体の縫合について)
上記のごとき構成を有するので、本実施形態の縫合装置10を内視鏡1のシャフト2に取り付けておけば、胃壁などの切開部を、胃の内部から縫合することができる。
以下、本実施形態の縫合装置10を使用した切開部の縫合作業を、図16および図17に基づいて説明する。
なお、以下では、胃壁に形成された切開部SHを縫合する場合を説明する。

【0126】
まず、胃内に、本実施形態の縫合装置10を取り付けた内視鏡1のシャフト2を挿入して、縫合すべき切開部SH近傍に、シャフト2の先端面を配置する。その状態から、アーム移動手段13の前側アーム移動チューブ13cを操作して、前側アーム11のみを切開部SHに挿入する。
その後、アーム移動手段13の後側アーム移動チューブ13bおよび前側アーム移動チューブ13cを操作して、前側アーム11の前面11aと後側アーム12の背面12bによって切開部SHの一方の口縁部Saが挟まれた状態となるように、前側アーム11と後側アーム12を配置する(図16(1))。
なお、前側アーム11と後側アーム12は、針状部材14と収容空間16とが互いに同軸となるように配置するのは、言うまでもない。

【0127】
図16(1)の状態から、アーム移動手段13の後側アーム移動チューブ13bを操作して、後側アーム12を前側アーム11に接近させる。すると、針状部材14を一方の口縁部Saに挿通させることができ、針状部材14のやじり状部14aを縫合器具20の一方の係合部材21の貫通孔21hに貫通させることができるから、針状部材14に一方のやじり状部14aを係合させることができる(図16(2))。

【0128】
なお、図16では、後側アーム12と前側アーム11とを接近させる際に、後側アーム12を前側アーム11に接近させる場合を説明したが、前側アーム11を後側アーム12に接近させてもよいし、両者をともに移動させて両者を接近させてもよい。この点は、以下の説明において、後側アーム12を前側アーム11に離間させる場合でも同様である。したがって、以下では、前側アーム11に対して後側アーム12を移動させる場合だけを説明して、その他の場合(後側アーム12に対して前側アーム11を移動させる場合および両者をともに移動させる場合)については説明を割愛する。

【0129】
針状部材14に一方のやじり状部14aを係合させると、アーム移動手段13の後側アーム移動チューブ13bを操作して、後側アーム12を前側アーム11から離間させる。このとき、針状部材14は、針状部材14を一方の口縁部Saに挿通させる際に形成された孔(以下、第1穿孔という)を通って胃内に戻る。すると、針状部材14に係合されている一方の係合部材21も、針状部材14とともに胃内に移動する。
一方、縫合器具20の他方の係合部材21は、一方の係合部材21が移動しても前側アーム11の縫合器具保持空間17内に残留するので、両係合部材21を連結する縫合糸22は第1穿孔を貫通するように配置される。つまり、一方の係合部材21に固定されている一端は胃内に位置し、他方の係合部材21に固定されている一端は胃外に位置するように配置される(図16(3))。

【0130】
図16(3)の状態から、後側アーム12および前側アーム11の向きおよび位置を変えて、前側アーム11の前面11aと後側アーム12の背面12bによって切開部SHの他方の口縁部Sbが挟まれた状態となるように配置する(図16(4))。
なお、後側アーム12および前側アーム11の向きを変える際に、縫合糸22がある程度引っ張られるので、他方の係合部材21は縫合器具保持空間17内から収容空間16内に移動する。上述したように、縫合器具保持空間17の底面17aと収容空間16の連結面16cとが同一平面となるように形成されているので、他方の係合部材21は、スムースに収容空間16内に移動する。そして、収容空間16内に移動した係合部材21は、後側アーム12と前側アーム11とが接近したときに、針状部材14と係合できる位置(つまり、針状部材14のやじり状部14aを貫通孔21hに貫通させることができる位置)に配置される。
なお、この場合も、前側アーム11と後側アーム12は、針状部材14と収容空間16とが互いに同軸となるように配置するのは、言うまでもない。

【0131】
図16(4)の状態から、アーム移動手段13の後側アーム移動チューブ13bを操作して、後側アーム12を前側アーム11に接近させれば、針状部材14を他方の口縁部Sbに挿通させることができ、針状部材14に他方の係合部材21を係合させることができる(図17(5))。

【0132】
針状部材14に他方のやじり状部14aを係合させると、アーム移動手段13の後側アーム移動チューブ13bを操作して、後側アーム12を前側アーム11から離間させれば、針状部材14は、針状部材14を他方の口縁部Sbに挿通させる際に形成された孔(以下、第2穿孔という)を通って胃内に戻る。すると、針状部材14に係合されている他方の係合部材21も、針状部材14とともに胃内に移動し、縫合糸22が第2穿孔を貫通する(図17(6))。

【0133】
すると、縫合糸22の両端が固定されている一対の係合部材21がいずれも一本の針状部材14に係合した状態となっているので、縫合糸22によって、針状部材14(つまり胃内)から第1穿孔を貫通して胃外にでて、胃外面から第2穿孔を貫通して針状部材14(つまり胃内)に戻る輪が形成される(図17(7)、図15参照)。

【0134】
上記のごとき縫合糸22の輪が形成されると、まず、アーム移動手段13を操作して、前側アーム11を切開部SHを通して胃内に移動させる。そして、前側アーム11が胃内に入ると、針状部材14が切開部SHから離間するようにシャフト2自体、または、後側アーム12を移動させる。すると、縫合糸22の両端が切開部SHから離間するように移動するので、縫合糸22において第1穿孔を貫通している部分と第2穿孔を貫通している部分との間に位置する部分の長さが短くなるように、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbが移動される。つまり、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbは、その端面同士が接近するように移動されるから、切開部SHは、口縁部Sa,Sbの端面同士が接触するように縫合されるのである(図17(8))。

【0135】
そして、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbの端面同士が接触すると、その状態で縫合糸22を結紮する。具体的には、縫合糸22において、針状部材14(つまり一方の係合部材21)から第1穿孔に延びている部分と、針状部材14(つまり他方の係合部材21)から第2穿孔に延びている部分を結紮する。この結紮は、市販されているクリップなどを利用することができる。例えば、クリップなどを内視鏡1の鉗子口から供給して縫合糸22に取り付ければ、結紮することができる。

【0136】
最後に、縫合糸22において、結紮した部分よりも針状部材14側に位置する部分を切れば、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbの端面同士を接触させた状態で、切開部SHを固定することができるのである。

【0137】
なお、図18に示すように、本実施形態の縫合装置10を取り付けたシャフト2を胃内に挿入する際には、前側アーム11と後側アーム12とを接近させて、針状部材14が収容空間16内に挿入された状態としておくことが好ましい。すると、縫合装置10を取り付けたシャフト2をオーバーチューブなどに通しやすくなるし、針状部材14によって胃などを傷つけることを防ぐことができる。
とくに、前側アーム11の背面11bと後側アーム12の前面12aとが接触できる程度に、針状部材14の長さや収容空間16の深さを調整しておけば、縫合装置10を取り付けたシャフト2をオーバーチューブなどに通す際における縫合装置10の抵抗をより小さくすることができる。さらに、後側アーム12を、その背面がシャフト2の先端面1sと接触する程度まで接近させておけば、縫合装置10の抵抗をさらに小さくすることができる。
また、収容空間16の開口部内面に、針状部材14を収容空間16内に挿入した状態において、開口部の内端と針状部材14の外周面との間を塞ぐような複数のシート状の部材からなるフィン11fを設けておいてもよい。すると、縫合装置10を所定の位置に配置するまでの間に、開口部の内端と針状部材14の外周面との間から収容空間16内に生体の組織などが入ることを防ぐことができる。

【0138】
(前側アーム11の構造)
上記実施形態では、縫合器具20の他方の係合部材21が、前後一対のアーム11,12の動きによって、縫合器具保持空間17内から収容空間16内に移動する場合を説明した。つまり、後側アーム12、針状部材14、前側アーム11の縫合器具保持空間17が、特許請求の範囲にいう供給機構となる場合を説明した。
前側アーム11が、縫合器具保持空間17内から収容空間16内に係合部材21を押し出す機構を設けておいてもよい。

【0139】
例えば、縫合器具保持空間17内に、縫合器具保持空間17の軸方向に沿って移動する移動部材を設けておき、この移動部材を収容空間16に向かって付勢する付勢部材(例えばバネなど)を設けておく。かかる構成とすれば、一方の係合部材21が収容空間16内に位置しているときには、一方の係合部材21が抵抗となって他方の係合部材21は縫合器具保持空間17内に保持される。そして、針状部材14とともに一方の係合部材21が収容空間16から離脱すると、他方の係合部材21は移動可能となるので、移動部材に押されて他方の係合部材21を収容空間16内に移動させることができる。

【0140】
しかも、上記のごとき供給機構を設けた場合には、収容空間16の一方の係合部材21は、付勢部材の付勢力によって、他方の係合部材21と収容空間16内面との間に挟まれた状態で保持される。したがって、内視鏡1を胃内に挿入する際などに、収容空間16から一方の係合部材21が脱落することを防ぐことができるという効果が得られる。
また、他方の係合部材21が収容空間16内に移動したときに、他方の係合部材21は、付勢部材の付勢力によって、移動部材と収容空間16内面との間に挟まれた状態で保持される。したがって、前側アーム11の向きを変えるとき(図16(4)参照)や、縫合糸22によって他方の係合部材21が引っ張られたときでも、収容空間16から他方の係合部材21が収容空間16から脱落することを防ぐことができるという効果が得られる。

【0141】
また、上述したような供給機構を設けた場合において、縫合器具保持空間17に複数の縫合器具20を収容できるようにしておけば、複数回の縫合を連続して行うことができる。例えば、2つの縫合器具20によって、2個所の縫合を行ったあとに(図15参照)、2個所同時に結紮することも可能となるから、縫合作業の時間を短縮することができる。

【0142】
(落下防止膜)
また、収容空間16の開口部には、針状部材14などの先端によって貫通することができる膜、例えば、樹脂製の膜などを設けておいてもよい。すると、前側アーム11を切開部SHに配置し、縫合を開始するまで、縫合器具20が収容空間16から脱落することを防ぐことができる。例えば、内視鏡1のシャフト2の先端面1sを上に向けた場合でも、縫合器具20が落下することを防ぐことができる。
収容空間16の開口部に設ける膜の素材はとくに限定さえないが、樹脂製の膜などであれば、針状部材14を収容空間16に挿入させるだけで、針状部材14の先端を膜に貫通させることができる。すると、縫合を行う前に膜を取り外すなどの作業を行わなくても、縫合器具20を用いた縫合を実施することができる。また、膜がある程度の強度を有していれば、針状部材14の先端が貫通した後でも、針状部材14によって貫通孔が形成された状態の膜として、収容空間16の開口部のある程度の面積を塞いだ状態とすることができる。すると、貫通孔が形成された状態の膜を、縫合器具20の係合部材21が収容空間16から落下することを防ぐ落下防止材として機能させることができる。

【0143】
(液体排出孔)
さらに、上記例では、収容空間16は、前側アーム11を貫通しないように設けられているが、その場合、胃内の血液などの液体が収容空間16内に溜まってしまう可能性がある。そこで、収容空間16に入った液体などを外部に排出する排出孔を設けてもよい。
例えば、図19(a)に示すように、収容空間16の針状部材先端収容部16bの内底面と前側アーム11の前面との間を貫通する、針状部材先端収容部16bよりも細径の貫通孔16fを設ける。すると、針状部材14の先端が前側アーム11の前面よりも突出することを防ぎつつ、収容空間16に入った液体を貫通孔16fを通して外部に排出することができる。
また、収容空間16の針状部材先端収容部16b自体を前側アーム11の前面まで貫通する貫通孔として、針状部材先端収容部16b内に、針状部材14の先端が前側アーム11の前面よりも突出することを防ぐ部材を設けてもよい。例えば、図19(b)のように、針状部材先端収容部16b内に格子状のプレート16pを設けておけば、針状部材14の先端が前側アーム11の前面よりも突出することを防ぎつつ、収容空間16に入った液体を外部に排出することができる。なお、針状部材先端収容部16b内に網など設けても同様の効果を得ることができる。
さらに、図19(c)に示すように、収容空間16の連結面16cと前側アーム11の前面との間を貫通する貫通孔16fを設けてもよい。この場合には、針状部材先端収容部16b内に入った液体は完全には外部に排出することはできないものの、ある程度の液体は貫通孔16fを通して外部に排出することができる。

【0144】
(他の実施形態の縫合装置10)
上記実施形態の縫合装置10では、針状部材14が露出している場合を説明したが、前側アーム11に、針状部材14を囲むように針状部材14を保護する保護部材を設けてもよい。すると、胃壁などの対象に針状部材14を突き刺した際に、針状部材14に加わる力を小さくできるので、針状部材14の損傷を抑えることができる。
なお、保護部材を設けた縫合装置10Bは、保護部材を設けることによって必要となった構成以外は、実質的に上記実施形態の縫合装置10と同様の構成を有しており、縫合作業の際にも同様に操作され同様に作動する。よって、以下では、上記実施形態の縫合装置10と異なる点のみを説明する。

【0145】
保護部材の構造はとくに限定されないが、例えば、図20~図22に示すような構造とすることができる。
図20~図22に示すように、縫合装置10Bでは、後側アーム12の前面12aに、中空な中空針14pが設けられている。この中空針14pは、その軸方向が前面12aと直交するように(その軸方向が後側アーム移動チューブ13bの先端の軸方向と平行となるように)、その基端が前面12aに固定されている。そして、この中空針14pの内部には、中空針14pの中心軸と同軸になるように、前記針状部材14が取り付けられている。
かかる構成とすると、胃壁などの縫合対象に針状部材14を突き刺した際に、針状部材14に対してその半径方向から力が加わらないので、針状部材14が曲がったり折れたりすることを防ぐことができる。

【0146】
そして、以上のごとき構成を有する縫合装置10Bでも、中空針14pを設けた点以外は図12~図19の縫合装置10と実質的に同様の構成を有するので、縫合装置10と同様に操作すれば、切開部SHを縫合することができる。つまり、図23および図24に示すように縫合装置10Bを操作すれば、縫合装置10Bにおける縫合器具20の縫合糸22によって切開部SHを縫合することができるのである。

【0147】
なお、中空な中空針14pを設けた場合には、図21に示すように、前側アーム11の収容空間16に、中空針14pを収容するための環状溝16gを形成することが好ましい。具体的には、環状溝16gは、その直径が中空針14pと同径となるように針状部材先端収容部16bの周囲に形成する。そして、環状溝16gの深さを、針状部材14のやじり状部14a全体を針状部材先端収容部16bに挿入したときに、中空針14pの先端が環状溝16gの内底と接しない程度の深さに形成する。すると、前側アーム11と後側アーム12とを接近させたときに、中空針14pが、針状部材14のやじり状部14aを係合部材21の貫通孔21hに挿通させる邪魔とならない。

【0148】
(結紮)
上述したように、実施形態の縫合装置10,10Bを用いれば、胃内からでも切開部SHを縫合することが可能であり、縫合糸22の結紮も、内視鏡1の鉗子口を通して行うことができる。

【0149】
しかし、縫合装置10が、図25に示すような結紮部材50を有している場合には、縫合糸22の結紮をより簡単に行うことができる。

【0150】
図25に示すように、結紮部材50は、中空な管状部材51と、この管状部材に挿通された線状部材52と、管状部材51または線状部材51を移動させる移動部53を備えている。

【0151】
この線状部材52は、その一端52aと他端52bがいずれも管状部材51に挿通されて管状部材51の他端側に配置されている。そして、線状部材512の一端52aと他端52bの間の部分が管状部材51の一端側に突出しており、管状部材51の一端側で輪状のループ部52rを形成している。

【0152】
管状部材51は、線状部材52が2本挿通されても、線状部材52に沿ってスムースに移動できる程度の内径に形成されている。例えば、線状部材52の素線径が0.3~1.0mm程度であれば、管状部材51は、その内径は約15~25mm程度となるように形成されている。

【0153】
そして、線状部材52の基端には、管状部材51と線状部材52とを相対的に移動させる移動部53が連結されている。この移動部53は、チューブ状部材53aの内部にワイヤー53bが収容されたものであり、ワイヤー53bがチューブ状部材53aの軸方向に沿って移動可能に設けられている。そして、ワイヤー53bの先端には、線状部材52の基端を連結離脱可能に保持する連結機構53cが設けられている。

【0154】
以上のごとき構造であるので、移動部53の連結機構53cによって線状部材52の基端を保持しておき、ワイヤー53bを管状部材51から離間する方向に引っ張れば、管状部材51から突出していたループ部52rが管状部材51に引き込まれる。なぜなら、管状部材51はチューブ状部材53aによって移動ができないため、線状部材52だけが移動するからである。すると、ループ部52rを小さくすることができる。
逆に、チューブ状部材53aを線状部材52のループ部52rに向かって押した場合には、管状部材51だけが移動する。管状部材51から突出していたループ部52rを管状部材51内に収容することができるから、ループ部52rを小さくすることができる。

【0155】
そして、この結紮部材50は、その線状部材52のループ部52rが縫合装置10を囲むように配設されている。言い換えれば、縫合装置10の前側アーム11と後側アーム12両方または挿通された状態となるように設けられている。

【0156】
以上のごとき構造であるから、図26のようにすれば、縫合糸22を結紮することができる。

【0157】
まず、結紮部材50を備えた縫合装置10を内視鏡1のシャフト2に取り付ける。このとき、縫合装置10の後側アーム12が設けられている部分までがループ部52r内に挿通しした状態となるように、結紮部材50を配置しておく。

【0158】
その状態で、縫合装置10によって上述したような方法で切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbを縫合する。つまり、縫合器具20の縫合糸22の両端が、切開部SHに対して同じ側に位置するように配置される。
この状態で縫合器具20によって縫合糸22の両端を引っ張れば、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbの端面同士が接触した状態とすることができる。

【0159】
上記状態となると、結紮部材50の線状部材52のループ部52rを移動させて、縫合糸22の両端(つまり針状部材14の先端)と一対の口縁部Sa,Sbの間に位置するように配置する。

【0160】
ループ部52rを結紮に適した位置に配置すると、ワイヤー53bを管状部材51から離間する方向に引っ張る。すると、ループ部52rが小さくなり、ループ部52rによって縫合糸22の両端部が束ねられた状態となる。

【0161】
そして、ループ部52rによって縫合糸22の両端部が束ねられた状態からさらにワイヤー53bを引っ張ると、ループ部52rとともに縫合糸22も管状部材51内に引き込まれる。すると、管状部材51の内径は線状部材52が2本挿通できる程度であるから、管状部材51内に線状部材52と縫合糸22と密着しかつ圧縮された状態で収容される。つまり、線状部材52と縫合糸22が管状部材51内に締まりばめされた状態で収容されることになるので、縫合糸22および線状部材52は、管状部材51から抜け落ちないように固定される。つまり、縫合糸22の両端部が結紮されるのである。

【0162】
以上のように、結紮部材50を使用すれば、縫合糸22の両端部を囲むように線状部材52のループ部52rを配置し、線状部材52を引っ張るだけで、ループ部52rによって縫合糸22を束ねて結紮することができるので、迅速かつ簡単に縫合糸22の結紮を行うことができる。

【0163】
(他の結紮部材30)
また、以下のごとき結紮部材30によって縫合糸22の結紮を行なっても良い。

【0164】
図27に示すように、結紮部材30は、中空な管である管状部材31と、この管状部材31内に配置された挟持部材32および締付部材33と、を備えており、挟持部材32によって縫合糸22の結紮することができるものである。

【0165】
(後側アーム12の構造の説明)
図27に示すような結紮部材30を使用する場合には、縫合装置10,10Bの後側アーム12が、結紮部材30を針状部材14の先端に配置できるような構造を有している必要があるの、まず、後側アーム12の構造を説明する。

【0166】
図27に示すように、後側アーム12には、前側アーム11と後側アーム12とが接近離間する方向に沿って、その表裏(図27では上下)を貫通する貫通孔12hが形成されている。
この貫通孔12hは、その内径が針状部材14の外径よりも大きくなるように形成されている。そして、貫通孔12h内には、貫通孔12hの内面から貫通孔12hの半径方向に延びた針支持突起12pが設けられており、この針支持突起12pにおける前側アーム11の面に針状部材14の基端が取り付けられている。もちろん、針状部材14は、その軸方向が前側アーム11と後側アーム12とが接近離間する方向と平行となるように配設される。

【0167】
そして、後側アーム12の背面12bには、導入管12tの先端が取り付けられている。この導入管12tは、その長さが内視鏡1のシャフト2の長さと同程度の長さを有する、軸方向に沿って延びた長尺な部材である。この導入管12tは、シャフト2の屈曲に追従して屈曲できる程度の柔軟性を有するチューブ(例えばポリエチレン、強化ビニル、強化プラスチック製のチューブなど)で形成されており、シャフト2に沿うように配設された状態でシャフト2に固定されている。

【0168】
また、導入管12tは、その内径が貫通孔12hの内径と同一または貫通孔12hの内径よりも若干大きいものであり、貫通孔12hの軸方向からみたときにその内部に貫通孔12hが位置するように(図27(B)参照)、その先端が後側アーム12の背面12bに取り付けられている。

【0169】
このため、導入管12tの他端から、導入管12tの内部に物体(例えば、結紮部材30)を挿通すれば、導入管12tの一端および貫通孔12hを通して、物体を後側アーム12の前面12aよりも前方に供給することができる。言い換えれば、物体を針状部材14の前方まで移動させることができるのである。

【0170】
なお、導入管12tをシャフト2に固定する方法はとくに限定されず、シャフト2の屈曲などの変形を妨げないように固定できる方法であればよい。例えば、ポリエチレン、強化ビニル、強化プラスチック、アルミなどを素材とするベルト状部材や、ポリエチレン、強化ビニル、金属などを素材とする輪状留め具などによって固定することができるが、とくに限定されない。

【0171】
(結紮部材30の説明)
つぎに、結紮部材30を詳細に説明する。
上述したように、結紮部材30は、中空な管である管状部材31と、この管状部材31内に配置された挟持部材32および締付部材33と、を備えている(図28)。

【0172】
(管状部材31の説明)
まず、管状部材31は、その長さが内視鏡1のシャフト2の長さと同程度の長さを有する、軸方向に沿って延びた長尺な部材である。この管状部材31は、その外径が後側アーム12の貫通孔12hの内径よりも小さくなるように形成されている。
また、管状部材31は、その側面にスリット31sが形成されている。このスリット31sは、管状部材31の軸方向に沿って形成されている。このスリット31sは、その幅が前述した針支持突起12pの幅よりも広くなるように形成されている。
そして、管状部材31は、柔軟性を有するチューブ(例えば、ポリエチレン、強化ビニル、強化プラスチック製のチューブ)によって形成されている。

【0173】
なお、管状部材31の先端開口内面には、内方突出した突起部31pが設けられている。この突起部31pは、後述する締付部材33が載せられるものである。この突起部31pは、後述する締付部材33が管状部材31の先端から出ないように保持することができるものであるが、管状部材31の軸方向に沿ってある程度以上の力が加わると、変形などして締付部材33を管状部材31の先端から排出できる強度構造に形成されているが、その理由は後述する。

【0174】
(締付部材33の説明)
図27~図29に示すように、管状部材31の内部には、締付部材33が収容されている。この締付部材33は、管状部材31の先端内面に設けられている突起部31pに載せられた状態となるように配設されている。
締付部材33は、その外径が管状部材31の内径とほぼ一致するように形成された、切欠き33hを有する環状(リング状)の部材である。つまり、締付部材33は、略C字状に形成された部材である。この締付部材33の切欠き33hは、その幅が前述した針支持突起12pの幅よりも広くなるように形成されている。

【0175】
(挟持部材32の説明)
図27および図28に示すように、管状部材31の内部には、挟持部材32が収容されている。この挟持部材32は、その先端部が締付部材33に挿入された状態で配設されている。
図28および図29に示すように、挟持部材32は、基端部(図28および図29では上部)から先端部(図28および図29では下部)に向かって外径が小さくなるように形成された部材である。具体的には、挟持部材32は、その基端の外径が締付部材33の内径以上かつ管状部材31の内径以下に形成されている。しかも、挟持部材32は、その先端の外径が締付部材33の内径以下に形成されている。

【0176】
この挟持部材32は、その上端から下端まで連続する糸収容溝32hを有しており、その外面における糸収容溝32hを挟む位置に半径方向に沿って内方に力が加わると、糸収容溝32hの内面同士が接近するように形成されている。例えば、金やスズ(Sn)、インジウム(In)またはこれらを含む合金のように変形しやすく、一度変形すれば、力を加えなければ、その形状を維持しておくことができる素材によって、図28および図29に示すような形状を有する挟持部材32を形成すれば、上記のごとき力が加われば、挟持部材32が変形して、糸収容溝32hの内面を接触させることができる。なお、挟持部材32の素材はとくに限定されず、上記のごとき機能を有する材料であればよい。

【0177】
そして、挟持部材32の糸収容溝32hは、基端部から先端部に向かってその溝幅が小さくなるように形成されている。しかも、糸収容溝32hにおける互いに対向する内面の上端には、切断刃32cが設けられている。つまり、糸収容溝32hの内面同士が接近するように挟持部材32が変形すると、糸収容溝32hの先端同士が接触したあとで糸収容溝32hの基端同士(切断刃32c同士)が接触するように形成されているが、その理由は後述する。

【0178】
以上のごとき形状であるから、管状部材31は、導入管12t内に挿入することができ、導入管12tが曲がっていてもその曲がりに倣って変化しながら、導入管12tの軸方向に沿って移動させることができる。すると、管状部材31の内部に挟持部材32および締付部材33を収容しておけば、管状部材31とともに挟持部材32および締付部材33を導入管12tの軸方向に沿って移動させることができる。

【0179】
しかも、後側アーム12の貫通孔12hの周方向において、管状部材31のスリット31sの位置と後側アーム12の貫通孔12hに形成されている針支持突起12pの位置とを合わせれば(図27(B)参照)、針状部材14を内部に収容した状態で、貫通孔12hに管状部材31を通すことができる。つまり、針支持突起12pをスリット31sに入れた状態で、管状部材31を貫通孔12hに通せば、管状部材31の先端を、後側アーム12の前面12aや針状部材14よりも前方まで移動させることができる。

【0180】
同様に、管状部材31内において、挟持部材32の糸収容溝32hおよび締付部材33の切欠き33hの位置と後側アーム12の貫通孔12hに形成されている針支持突起12pの位置とを合わせれば(図27(B)参照)、針状部材14が糸収容溝32h内を通過するように、貫通孔12hに挟持部材32および締付部材33を通すことができる。つまり、針支持突起12pをスリット31sに入れた状態で、管状部材31を貫通孔12hに通せば、挟持部材32および締付部材33も、後側アーム12の前面12aや針状部材14よりも前方まで移動させることができる。

【0181】
(結紮作業)
以上のごとき結紮部材30を使用した結紮作業について、図30および図31に基づいて説明する。
まず、切開部SHの一対の口縁部Sa,Sbの端面同士が接触した状態となると、導入管12tの他端から、結紮部材30の管状部材31を挿入する。このとき、管状部材31のスリット31sの位置と、挟持部材32の糸収容溝32hの開口の位置、締付部材33の切欠き33hの位置を合わせておく。そして、管状部材31の先端が後側アーム12の位置まで届くと、管状部材31を軸周りに回転させて、後側アーム12の貫通孔12hの周方向において、スリット31sの位置と針支持突起12pの位置とを合わせる。すると、管状部材31の先端部、挟持部材32および締付部材33を、後側アーム12の貫通孔12hに通過させることができ、管状部材31の先端部、挟持部材32および締付部材33を針状部材14よりも前方に配置することができる。
このとき、針状部材14は挟持部材32の糸収容溝32h内を通過するので、針状部材14よりも前方に位置する縫合糸22は、糸収容溝32h内に配置されることになる(図30(A)参照)。

【0182】
後側アーム12の貫通孔12hを通過した管状部材31の先端部などをさらに前進させて、管状部材31の先端部、つまり、挟持部材32の先端部を、縫合糸22に結紮を形成する位置(以下、結紮位置という)に配置する。なお、結紮位置とは、縫合糸22の長さ、つまり、挟持部材32の先端部よりも切開部SH側に位置する縫合糸22の長さが、切開部SHの口縁部Sa,Sbの端面同士が接触した状態を維持できる程度の長さとすることができる位置である。

【0183】
挟持部材32の先端部が結紮位置に配置されると、管状部材31内に管状の支持部材35を挿入する。この支持部材35は、その断面が管状部材31の断面と略相似形に形成された管状の部材であり、後側アーム12の貫通孔12hを通過させることができる。
そして、支持部材35を、その先端端面が挟持部材32の基端端面と面接触するように配置する。その後、支持部材35を、管状部材31に対して相対的な移動は可能であるが、結紮位置に対して相対的に移動できないように固定する。
なお、このように固定する方法はとくに限定されないが、例えば、支持部材35の基端を内視鏡1のシャフト2に固定するなどの方法を採用することができる。また、結紮位置に対して若干の移動が許容されるのであれば、手術をおこなう医師が支持部材35を保持しておいてもよい。
また、支持部材35は、管状部材31内に最初から配置しておいてもよい。

【0184】
支持部材35の移動が固定されると、管状部材31が基端に向かって移動される(図30(B))。つまり、管状部材31は後側アーム12に向かって移動される。このとき、締付部材33は管状部材31の突起部31pに載せられた状態となっているので、締付部材33は管状部材31とともに後側アーム12に向かって移動される。
すると、締付部材33に挿入されている挟持部材32には、締付部材33から後側アーム12に向う方向に沿って力が加わる。しかし、支持部材35が結紮位置に対して相対的に移動できないように固定されているので、挟持部材32は、支持部材35と同様に結紮位置に対して相対的に移動できない。このため、挟持部材32と締付部材33との間には、管状部材31の移動方向の応力だけでなく、管状部材31の半径方向の応力(言い換えれば、糸収容溝32hを挟む位置に半径方向に沿って内方に向かう力)が発生する。管状部材31の半径方向に沿った応力が加わると、挟持部材32は、糸収容溝32hの内面同士が接近するように変形する。すると、挟持部材32の外径が小さくなり、挟持部材32の先端部が締付部材33内に挿入された状態となる(図30(B))。

【0185】
そして、挟持部材32の外径がある程度小さくなると、糸収容溝32hの先端の内面同士が接触するので、縫合糸22はこの先端内面間に挟まれてその移動が固定される。つまり、挟持部材32の先端によって、縫合糸22は、結紮された場合と同程度にその移動が固定される(図30(B)、図31(B))。この挟持部材32の先端が、特許請求の範囲にいう把持部に相当する。

【0186】
さらに、管状部材31を基端に向かって移動すると、挟持部材32はさらに変形してその外径が小さくなり、糸収容溝32hの基端の内面同士が接触する。つまり、糸収容溝32hの基端に設けられている切断刃32c同士が接触する(図30(C)、図31(C))。すると、切断刃32cによって縫合糸22が切断される。つまり、縫合糸22において、切開部SHの口縁部Sa,Sbを縫合している部分が、針状部材14に係合している係合部材21から切り離されるのである。

【0187】
しかし、縫合糸22は、挟持部材32の先端によって切断刃32cによって切断された部分よりも切開部SHの口縁部Sa,Sb側に位置する部分が保持されているので、縫合糸22が切開部SHを縫合した状態は維持される。

【0188】
さらに、糸収容溝32hの基端の内面同士が接触してからも管状部材31を基端に向かって移動すると、挟持部材32はその外径が小さくなるように変形できないので、挟持部材32と締付部材33との間に発生する管状部材31の移動方向の応力が急激に大きくなる。すると、管状部材31の突起部31pは締付部材33を保持しておくことができなくなるため、突起部31pまたは管状部材31自体が変形して、締付部材33は管状部材31の先端から離脱する(図30(D))。このため、切開部SHを縫合した縫合糸22が挟持部材32によって結紮された状態で、縫合装置10から切り離される。つまり、切開部SHを縫合糸22によって縫合することができるのである。

【0189】
以上のごとく、結紮部材30を使用すれば、管状部材31の先端部内に挟持部材32、締付部材33を収容して、管状部材31を引き抜くだけで縫合糸22の結紮を行うことができる。すると、NOTESにおいて、消化管腔内に配置された軟性内視鏡だけで腫瘍などの切除から縫合まで行うことができるようになるので、体表面に傷を形成することなく手術を行うことが可能となる。

【0190】
なお、挟持部材32の形状は図29に示すような形状に限られない。例えば、一対の分離した部材を金属プレートなどで連結して、一対の部材間に糸収容溝を有する部材を形成してもよい。この場合でも、上記のごとき力が加われば、金属プレートなどが変形して、一対の部材における糸収容溝の内面同士を接触させることができる。

【0191】
また、突起部31pの構造もとくに限定されず、締付部材33が管状部材31の先端から出ないように保持することができ、しかも、管状部材31の軸方向に沿ってある程度以上の力が加わると変形などして締付部材33を管状部材31の先端から排出できる強度構造であればよい。

【0192】
また、上記例では、管状部材31、挟持部材32および締付部材33、また、後側アーム12の貫通孔12hの断面が、略円形である場合を説明したが、これらの形状は必ずしも略円形である必要はない。挟持部材32および締付部材33は、挟持部材32を締付部材33に押し込んだときに、上記のごとく機能して、挟持部材32の糸収容溝32h間に縫合糸22を挟んで保持できるような構造であればよく、略矩形状などであってもよい。

【0193】
さらに、挟持部材32は必ずしも切断刃32cを有していなくてもよい。その場合には、挟持部材32によって結紮された後、鋏鉗子などによって縫合糸22を切断すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本発明の領域確保用器具は、口・肛門・膣などの消化管腔内に挿入された内視鏡によって、消化管に貫通孔を形成する手術や腹腔内の手術を行う経管腔的内視鏡手術に適している。
【符号の説明】
【0195】
1 内視鏡
2 シャフト
10 縫合装置
11 前側アーム
11s 分岐部
12 後側アーム
12s 分岐部
13 アーム移動手段
14 針状部材
16 収容空間
20 縫合器具
21 係合部材
22 縫合糸
30 結紮部材
31 管状部材
32 挟持部材
32h 糸収容溝
32c 切断刃
33 締付部材
40 連結機構
41 前側連結部材
41h 案内溝
41a 案内面
42a 基準側面
42b 位置決め側面
50 結紮部材
51 管状部材
52 線状部材
52r ループ部
ST 胃壁
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
28
【図30】
29
【図31】
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【図32】
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