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明細書 :コロイド結晶の製造方法及びコロイド結晶

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5942125号 (P5942125)
登録日 平成28年6月3日(2016.6.3)
発行日 平成28年6月29日(2016.6.29)
発明の名称または考案の名称 コロイド結晶の製造方法及びコロイド結晶
国際特許分類 B01J  13/00        (2006.01)
C01B  33/146       (2006.01)
C01G  23/047       (2006.01)
C08J   3/00        (2006.01)
FI B01J 13/00 Z
C01B 33/146
C01G 23/047
C08J 3/00 CER
請求項の数または発明の数 6
全頁数 20
出願番号 特願2013-503526 (P2013-503526)
出願日 平成24年3月3日(2012.3.3)
国際出願番号 PCT/JP2012/055485
国際公開番号 WO2012/121180
国際公開日 平成24年9月13日(2012.9.13)
優先権出願番号 2011050064
優先日 平成23年3月8日(2011.3.8)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年1月15日(2015.1.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】506218664
【氏名又は名称】公立大学法人名古屋市立大学
【識別番号】391003598
【氏名又は名称】富士化学株式会社
発明者または考案者 【氏名】山中 淳平
【氏名】豊玉 彰子
【氏名】山本 政彰
【氏名】恩田 佐智子
【氏名】奥薗 透
【氏名】内田 文生
個別代理人の代理人 【識別番号】100118706、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 陽
審査官 【審査官】松本 直子
参考文献・文献 特開平11-319539(JP,A)
特開2008-093654(JP,A)
特開平10-043502(JP,A)
国際公開第2007/038219(WO,A1)
RAMOS, L., et al.,Surfactant-Mediated Two-Dimensional Crystallization of Colloidal Crystals,SCIENCE,1999年12月17日,Vol.286,p.2325-2328
調査した分野 B01J 13/00
C01B 33/146
C01G 23/047
C08J 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
イオン性界面活性剤が臨界ミセル濃度未満の濃度で含まれている液体中にコロイド粒子が分散されており、温度変化によって荷電コロイド結晶を析出させることが可能な荷電コロイド分散液を用意する調製工程と、
該荷電コロイド分散液の温度を荷電コロイド結晶が析出しない温度領域から、該荷電コロイド結晶が析出する温度領域へ変化させることによって該荷電コロイド結晶を析出させる結晶化工程と、
を含むことを特徴とする荷電コロイド結晶の製造方法。
【請求項2】
前記イオン性界面活性剤はアニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の荷電コロイド結晶の製造方法。
【請求項3】
前記液体は水、アルコール、及び水とアルコールとの混合物のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の荷電コロイド結晶の製造方法。
【請求項4】
前記コロイド粒子は有機高分子からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の荷電コロイド結晶の製造方法。
【請求項5】
前記結晶化工程は、
容器に収容した前記荷電コロイド分散液の全体を荷電コロイド結晶が析出しない温度に設定する温度設定工程と、
該荷電コロイド結晶が析出しない温度に設定された荷電コロイド分散液に対し、局所的に該荷電コロイド結晶が析出する温度に設定する結晶開始工程と、
該荷電コロイド結晶が析出する温度に設定された範囲を徐々に拡大させて、荷電コロイド結晶を成長させる結晶成長工程と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の荷電コロイド結晶の製造方法。
【請求項6】
荷電コロイド結晶を成長させた後、ゲル化により荷電コロイド分散液を固化することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の荷電コロイド結晶の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、温度変化により結晶化するコロイド分散液を利用したコロイド結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コロイドとは、数nmから数μm程度の大きさを有するコロイド粒子が媒質中に分散している状態をいう。適切な条件を選ぶとコロイド粒子は規則正しく配列し、“コロイド結晶“と呼ばれる構造を形成する。このコロイド結晶には2つのタイプが存在する。
第一は、粒子間に特別な相互作用が無いコロイド系(剛体球系)において、粒子体積分率が約0.5(濃度=50体積%)以上の条件で形成される結晶である。これは、巨視的な球を限られた空間に詰め込んでいくと、規則配列する現象に似ている。
第二は、荷電したコロイド粒子の分散系(荷電コロイド系)において、粒子間に働く静電相互作用により形成される結晶構造である。例えば、表面に解離基を持つ高分子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートなど)製の粒子やシリカ粒子(SiO2)を、水などの極性媒体に分散したコロイド系で結晶が形成される。静電相互作用は長距離におよぶため、粒子濃度の低い(粒子間の距離が長い)、粒子体積分率が約0.001程度でも結晶が生成し得る。
【0003】
本発明者らは、荷電コロイド系由来のコロイド結晶の生成を制御する手法を開発している(特許文献1)。すなわち、シリカコロイド分散系にピリジンを共存させ、ピリジンの解離度の温度依存性を利用して温度変化によりpHを変化させることによりシリカ粒子の表面電荷数を変化させ、コロイド結晶を形成させるという方法である。この方法によれば、各種の荷電コロイド系から、特殊な装置や複雑な工程を必要とせずにコロイド結晶を製造することができる。
【0004】
さらに本発明者らはこの方法を発展させ、巨大なコロイド単結晶の製造にも成功している(特許文献2)。すなわち、シリカコロイド分散系にピリジンを共存させたコロイド分散液をコロイド結晶が析出していない状態で容器に入れ、容器の一端側を温めて局所的に該コロイド結晶が析出する温度に設定し、コロイド結晶が析出する温度に設定された範囲を徐々に拡大させてコロイド結晶を成長させるという方法である。こうして得られたコロイド結晶は極めて大きな単結晶となり、しかも格子欠陥や不均一性も少ないものとなった。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平11-319539号公報
【特許文献2】特開2008-93654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記シリカコロイド分散系にピリジンを共存させて温度変化によりコロイド結晶を製造する方法では、コロイドの表面電荷の制御を塩基の解離度の温度依存性に基づいて行っているため、制御可能な範囲が限定的であるという問題があった。このため、コロイド粒子の種類によってはコロイド結晶作製のための適切な条件設定が見出せない場合も多かった。また、再現性良くコロイド結晶を作製するためには、使用する水や塩基の純度等、製造条件の設定を厳密に行わなければならないという問題もあった。
【0007】
本発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、コロイド結晶の製造における制御が容易で、コロイド粒子の種類に応じた幅広い対応が可能なコロイド結晶の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来の課題がコロイド結晶の成長を塩基の解離度の温度依存性によらず、別の特性の温度依存性を利用した結晶化制御により解決できないかと考えた。そして、鋭意研究を行った結果、イオン性界面活性剤を添加したコロイド粒子系において、冷却によりコロイド結晶が形成され、また逆に加熱によりコロイド結晶が融解することを見出した。さらに、イオン性界面活性剤の種類や濃度に応じてコロイド結晶の析出/融解の相転移温度が変化することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のコロイド結晶の製造方法は、イオン性界面活性剤が含まれている液体中にコロイド粒子が分散されており、温度変化によってコロイド結晶を析出させることが可能なコロイド分散液を用意する調製工程と、
該コロイド分散液の温度をコロイド結晶が析出しない温度領域から、該コロイド結晶が析出する温度領域へ変化させることによって該コロイド結晶を析出させる結晶化工程と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明のコロイド結晶の製造方法の原理は、次のように考えられる。
荷電コロイド系におけるコロイド結晶構造は、コロイド粒子間に働く静電相互作用により形成される。この静電相互作用の力は、コロイド粒子の表面電荷数及びコロイド粒子を分散している液体中のイオン強度、粒子濃度、及び誘電率によって変化する。一般に、表面電荷数、粒子濃度が高いほど、また、イオン強度、誘電率については低いほど、静電相互作用は強く、結晶化しやすい。荷電コロイド系にイオン性界面活性剤を添加した場合、イオン性界面活性剤の一部がコロイド粒子表面に吸着し、コロイド粒子の表面電荷数を高める。このときの吸着量は、イオン性界面活性剤の濃度と、界面活性剤と粒子表面の親和性に応じた吸着平衡による所定量となる。一方、吸着しないイオン性界面活性剤はコロイド粒子を分散している液体中に溶存するため、液体のイオン強度が高くなる。
【0011】
一般に、温度が高いほど、表面への分子の吸着量は少ないことが次のように熱力学から明らかになっている(「吸着」慶伊富長、共立全書157、共立出版、1965、第一章参照)。分子の吸着前後の系のギブズ自由エネルギー変化をΔG、エンタルピー変化をΔH、エントロピー変化をΔSとし、また系の温度Tを一定とすると、ΔG=ΔH-TΔS、すなわちΔH=ΔG+TΔSの関係が成り立つ。界面への分子の吸着は自発的に起きる変化であるが、このとき、ΔG<0である。また、分子が表面に吸着すると、運動の自由度が減少するためエントロピーは減少(ΔS<0)する。従って、吸着前後でΔH<0であるが、これはエネルギーが熱の形で放出されることを意味する。従って、吸着現象は発熱を伴うことが分かる。次に、吸着に対する温度変化の影響を考える。温度が低くなると、ル・シャトリエの平衡移動の原理により、発熱量が増す(温度を高くする)方向へ吸着平衡がずれる。すなわち、吸着量が増加する。また、逆に温度が高くなると、吸着量は減少する。
以上の理論はコロイド粒子にイオン性界面活性剤を添加した系についてもあてはまり、低温ほど吸着量は多くなる。吸着量が大きいほど、コロイド粒子の表面電荷数は大きい。同時に、媒体に溶在する活性剤濃度が小さくなるため、イオン強度は低い。これらはいずれも、粒子間の静電相互作用を増加させるため、適切な条件では結晶化する。すなわち、冷却によりコロイド結晶が生成する。このことは、イオン性界面活性剤の種類や添加量を調整することによって、コロイド結晶の析出/融解の相転移温度を容易に制御することができることを意味し、本発明がコロイド粒子の電荷数に応じて幅広く対応できるコロイド結晶の製造方法となることを意味している。
【0012】
したがって、本発明のコロイド結晶の製造方法によれば、コロイド結晶の製造における制御が容易で、コロイド粒子の種類に応じた幅広い対応が可能である。
【0013】
本発明のコロイド結晶の製造方法では、コロイド粒子の表面電荷数及び媒体中のイオン強度を温度変化を通して変化させることによって結晶を析出させる。このため、イオン性界面活性剤は、粒子に吸着してコロイド粒子の電荷を変化させ、また一部が液体中に溶存してイオンとなり得るものであれば特に限定はなく、種々の疎水性部・親水性部からなる、アニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤や両性界面活性剤を用いることができる。これらの中でも、特にアニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が好ましい。これらはコロイド粒子の電荷を変化させる効果が大きいからである。また、吸着前にコロイド粒子が持っていた電荷と、同符号の電荷を持つ界面活性剤が好ましい。逆負号の電荷を持つ界面活性剤は、添加濃度条件によっては、粒子の総電荷数を極めて小さくし、コロイド粒子間の反発力が小さくなって、凝集するおそれがあるからである。
【0014】
また、コロイド結晶の製造方法では、コロイド粒子の種類について特に限定はなく、シリカ、アルミナ等の無機粒子や、アクリルやポリエチレン等の有機高分子粒子等を用いることができる。本発明者らは、シリカコロイド粒子やチタニア粒子や有機高分子粒子を用いて、確実にコロイド結晶を製造できることを確認している。なお、シリカ粒子やチタニア粒子の表面は親水性であるため、炭化水素鎖を持つイオン性界面活性剤を吸着させるときには、あらかじめ非イオン性の界面活性剤などを用いて、シリカ粒子表面を疎水性にしておく。また、有機高分子からなる粒子をコロイド粒子として用いる場合に、有機高分子にピリジン基やカルボン酸基等の解離基を導入した有機高分子を用いてもよい。こうであれば、解離基の量や種類によってコロイド粒子の表面電荷数及びその正負について制御することができる。本発明者らは、スチレンと2-ビニルピリジン塩との共重合体がプラスの表面電荷を有することを利用し、さらにカチオン性界面活性剤を添加することによってその表面電荷数を制御し、コロイド結晶を製造できることを確認している。
【0015】
また、添加するイオン性界面活性剤の濃度は臨界ミセル濃度未満であることが好ましい。臨界ミセル濃度以上の濃度では、コロイド粒子以外にミセルが分散されることとなり、コロイド結晶が乱れるおそれがあるとともに、系が複雑になって制御が困難となるからである。なお、添加した界面活性剤の一部が粒子に吸着されるため、試料中の界面活性剤濃度が臨界ミセル濃度以上でも、溶存する界面活性剤濃度は臨界ミセル濃度に達していない場合があることに注意する必要がある。すなわち、本発明のコロイド結晶の製造方法における界面活性剤濃度のより好ましい範囲は、吸着されずに溶存する界面活性剤濃度が臨界ミセル濃度以下である条件である。
【0016】
また、コロイドを分散させるための液体についても特に限定はなく、水や有機溶媒を用いることができる。これらの中でも、誘電率の大きな水やアルコール、及び水とアルコールとの混合物は、コロイド粒子表面に存在する解離基(高分子粒子の場合は、スルホン基、硫酸基、カルボキシル基など、またシリカ粒子などの金属酸化物粒子の場合は水酸基など)の解離度が大きいため、粒子表面電荷数が十分大きくなり、またイオン性界面活性剤の解離が促進されコロイド粒子の表面電荷の制御に貢献できるため特に好ましい。これらの中でもエチレングリコール、グリセリンなどの高粘性液体をコロイド分散媒として用いた場合は、粘度が高いため対流が起こりにくくなり、コロイド結晶を大きくすることができる。
【0017】
本発明のコロイド結晶の製造方法において、結晶化工程では、容器に収容した前記コロイド分散液の全体をコロイド結晶が析出しない温度に設定する温度設定工程と、該コロイド結晶が析出しない温度に設定されたコロイド分散液に対し、局所的に該コロイド結晶が析出する温度に設定する結晶開始工程と、該コロイド結晶が析出する温度に設定された範囲を徐々に拡大させて、コロイド結晶を成長させる結晶成長工程と、を含むことも好ましい。この手法は、金属や半導体の単結晶を得るためのブリッジマン法と類似したものである。発明者らの試験結果によれば、こうして得られたコロイド結晶は、格子欠陥や不均一性も少ないものとなった。また、このため、大きな単結晶となり得ると考えられる。
【0018】
コロイド結晶が析出する温度に設定された範囲を徐々に拡大する方法としては、コロイド分散液を入れた容器の一端側をコロイド結晶の析出温度に設定した後、熱伝導によって徐々にその温度の範囲を拡大していく方法や、コロイド分散液を入れた容器の一端側をコロイド結晶の析出温度に設定した後、コロイド結晶の析出温度に設定された電気炉の中に徐々に入れていく方法、等が挙げられる。後者の方法では、結晶成長の速度を制御できる他、より大面積にわたる温度制御が可能となるというメリットがある。
その他、様々な熱伝導率を持つ素材をセル周囲に配置することにより、一定方向に熱伝導率の傾斜を形成させ、周囲から冷却することにより、コロイド結晶が析出する温度に設定された範囲を徐々に拡大することもできる。また、赤外線炉や赤外線照射ランプを移動させたり、ホットプレートの温度を制御すること等によって、コロイド結晶が析出する温度に設定された範囲を徐々に拡大してもよい。
【0019】
さらに、本発明のコロイド結晶の製造方法では、コロイド結晶を成長させた後、ゲル化によりコロイド結晶を固化することもできる。このように、ゲル化によりコロイド結晶を固化すれば、温度をコロイド結晶が析出しない温度に戻したとしても、コロイド結晶の構造を保持することができる。また、コロイド結晶の機械的強度を飛躍的に高めることができる。さらに、ゲル化したコロイド結晶は、ゲルマトリクス固有の特性を併せ持つ材料となる。例えばゲル化したコロイド結晶を機械的に圧縮させて、変形させた場合、結晶格子面間隔も変化するため、回折波長を制御することができる材料となる。ゲル化したコロイド結晶は、液体の種類、温度やpHなどの物理的・化学的環境に応答して膨潤したり収縮したりする。また、特定の分子と特異的に結合する官能基を導入すると、その分子種の濃度に依存して体積が変化する。こうした性質を利用し、回折波長のシフトを測定することにより、温度、pH、様々な分子種等のセンシングが可能となる。
【0020】
ゲル化の方法としては、コロイド分散液に光硬化性樹脂を分散させておき、コロイド結晶を析出させた後に、光を照射してゲル化する方法などが挙げられる。この場合において、光硬化性ゲル化剤は、イオンの発生の少ない材料を選択することが好ましい。イオンの発生する光硬化性ゲル化剤を用いた場合、イオン強度の増加により粒子間の反発力が減少し、コロイド結晶構造が保持できずに融解する可能性があるからである。このような、イオン発生の少ない光硬化性ゲル化剤としては、ゲルモノマー、架橋剤及び光重合開始剤を含む溶液等が挙げられる。ゲルモノマーとしては、アクリルアミド及びその誘導体などのビニル系モノマー、架橋剤としては、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、また光重合開始剤としては、2、2‘-アゾビス[2-メチル-N-[2-ヒドロキシエチル]-プロピオンアミド]等が挙げられる。この他、アジド系感光基をポリビニルアルコールにペンダントした水溶性の感光性樹脂等も用いることができる。
【0021】
また、本発明のコロイド結晶の製造方法における結晶化工程では、温度調節手段によりコロイド結晶の一部をコロイド結晶が融解する温度に設定して融解領域を形成させ、該融解領域を移動させるゾーンメルト法によって融解した領域を再結晶させ、結晶成長させることもできる。
すなわち、結晶化工程を次の工程によって行うコロイド結晶の製造方法である。
(1)容器に収容したコロイド分散液の全体をコロイド多結晶が析出する温度に設定する温度設定工程。
(2)該コロイド多結晶が析出する温度に設定されたコロイド分散液に対し、局所的に該コロイド結晶が析出しない温度に設定された融解領域を形成させる結晶融解工程。
(3)該融解領域を徐々に移動させて、コロイド結晶を成長させる再結晶成長工程。
【0022】
この方法によれば、巨大なコロイド単結晶を容易に製造することができる。しかも、コロイド多結晶分散液中に不純物コロイド粒子が存在している場合、コロイド単結晶中に不純物コロイド粒子が入ることが阻止されるという効果も有する。
【0023】
ここで、融解領域の移動は温度調節手段と容器との相対移動を可能とする移動手段によって行なうことができる。融解領域の移動をこのようにして行なえば、融解領域の相対移動速度を遅くして融解状態から結晶状態への再結晶化をゆっくりさせて単結晶の大型化を図ったり、融解領域の相対移動速度を速くして単結晶を速く作製したりできる。このため、目的に応じてコロイド結晶の品質と製造の効率化とのバランスを図ることが可能となる。
なお、融解領域の移動は、容器を移動させることによって行なってもよいし、温度調節手段を移動させることによって行なってもよいし、容器及び温度調節手段の双方を移動させることによって行なってもよい。
【0024】
また、収容工程において、コロイド多結晶分散液は略平行に対面する2つの壁の間に充填されていることが好ましい。こうであれば、容器内での自由な対流が起こり難くなるため、コロイド結晶の成長が乱され難くなるため、さらに大型で、格子欠陥や不均一性の少ない単結晶を製造することができる。この場合において、コロイド分散系の温度を変化させる方向としては、壁に平行の方向あるいは壁に垂直な方向のどちらでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明において、コロイド粒子を分散する液体としては水が挙げられるが、水以外の液体も使用可能である。例えば、ホルムアミド類(例えば、ジメチルホルムアミド)やアルコール類(例えば、エチレングリコール類)を使用することができる。これらはコロイド粒子及び添加するイオン性界面活性剤の組合せによってはそのまま使用することもできるが、一般的には水との混合物として使用するのが好ましい。

【0026】
また、コロイド結晶は微量の塩(イオン性不純物)の存在によってその生成が阻害されるため、コロイド分散系の調製にあたっては充分な脱塩を行うことが好ましい。例えば、水を用いる場合には、まず精製水に対して、用いた水の電気伝導度が使用前の値と同程度になるまで透析を行い、次に充分に洗浄したイオン交換樹脂(陽イオン及び陰イオン交換樹脂の混床)を試料に共存して少なくとも1週間保つことにより、脱塩精製を行う。

【0027】
コロイド分散液に用いられるコロイド粒子としては特に限定はなく、さまざまな無機粒子や有機粒子を用いることができるが、できるだけ粒子径がそろっていることが望ましい。コロイド分散液は、市販のコロイド用粒子を水などの適当な分散媒に分散させたり、ゾル-ゲル法などにより合成した無機粒子を用いたり、スチレン等のモノマーを乳化重合等により重合させて大きさの比較的そろった粒子をコロイド粒子として用いればよい。

【0028】
さらに、コロイド粒子の粒径及びその分布にも注意を払う必要がある。コロイド粒子の粒子径は600nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは300nm以下である。粒子径が600nmを超えるような大きな粒子径のコロイド粒子の場合には、重力の影響で沈降しやすくなるからである。また、コロイド粒子の粒子径の標準偏差は、15%以内が好ましく、更に好ましくは10%以下である。標準偏差が大きくなると結晶が析出し難くなったり、たとえ結晶が析出したとしても、格子欠陥や不均一性が増し、高品質のコロイド結晶が得られ難くなる。

【0029】
コロイド粒子の濃度としては、コロイド粒子の種類や界面活性剤の種類等に応じて適宜決定すればよいが、一般的には、φ(コロイド粒子の体積分率)として0.01~0.05程度とし、イオン性界面活性剤濃度は2~10μmol/L程度となるようにコロイド分散系を調製する。このためには、コロイド粒子の比重をピクメーター法などにより求め、この値を用いて精製したコロイド分散系のコロイド粒子のφ値を絶乾法により決定することができる。そして、このコロイド分散系に精製した水などの液体媒質を加えて希釈することにより、所定のφ値を有する分散系を調製することができる。φ値は、コロイド結晶が望まれる特性に応じた結晶面間隔を有するように算出する。また、必要に応じ、NaClなどの低分子塩水溶液を添加して塩濃度を調整してもよい。

【0030】
以上のコロイド分散液の調製にあたっては、イオン性不純物による汚染を可能な限り避ける必要がある。この点、塩基性不純物が水中に溶出するようなソーダ石灰ガラス等は、粒子の電荷数を増加させるため、ガラス容器を用いる場合には、石英ガラスのような塩基性不純物が水中に溶出しないガラスの容器が好ましい。また空気中の二酸化炭素は水に溶解して炭酸を生じるため、窒素等の雰囲気下で調製を行うことが望ましい。さらに、容器、器具類は精製水(電気伝導度 0.6μS/cm以下)で充分洗浄したのち使用する。

【0031】
本発明のコロイド結晶の製造方法では、単に外部から系を加熱または冷却するという簡単な手段により、熱可逆的にコロイドの結晶化を生じさせることができる。この凝固点温度は、イオン性界面活性剤の種類や濃度を変化させることにより制御できる。また、副次的にイオン性物質を入れ、その濃度を変化させることで、凝固点温度を調節することもできる。

【0032】
また、本発明においては系を密閉系に保つことが好ましい。こうであれば、イオン性不純物による汚染を防ぐことができ、再現性良くコロイド結晶を製造することができる。

【0033】
また、本発明のコロイド結晶の製造方法では、結晶化工程において、コロイド分散液の温度をコロイド結晶が析出しない温度領域から、該コロイド結晶が析出する温度領域へ変化させることによって該コロイド結晶を析出させる。この結晶化工程における温度の制御については、以下に述べるように、イオン性界面活性剤のクラフト点を考慮すべきである。ここで、クラフト点とは、イオン性界面活性剤の溶解度が急激に増大する温度のことをいう。クラフト点は、固体状態における界面活性剤分子間の結合が強いほど、高い傾向にある。このため炭化水素鎖の長さが増すとクラフト点は高い。また対イオンの種類によってもクラフト点は異なる。アルキル硫酸ナトリウムを例に挙げれば、以下のとおりである。
ドデシル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数12) : 9℃
テトラデシル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数14):30℃
ヘキサデシル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数16):45℃
オクタデシル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数18):56℃

【0034】
クラフト点以下においては、界面活性剤の溶解度は著しく小さく、添加しても固体のままで溶け残るため、洗浄、乳化、起泡などの効果はごく小さい。しかし、クラフト点以下であっても界面活性剤の溶解度は温度によって変化するため、界面活性剤のコロイド粒子への吸着量やコロイド分散液のイオン強度等も温度によって制御でき、ひいては、コロイド結晶の析出/融解の制御を行うことができる。ただし、結晶化工程においてコロイド結晶が析出する温度領域はクラフト点以上とすることが好ましい。なぜならば、クラフト点以上の温度領域であれば、界面活性剤の溶解量も多くできるため、界面活性剤のコロイド粒子への吸着量や誘電率等も大きく変化させることができ、ひいては、コロイド結晶の析出/融解の制御も容易となるからである。

【0035】
本発明のコロイド結晶の製造方法は、コロイド粒子の種類、該コロイド粒子を分散させる液体の種類、その液体に添加するイオン性界面活性剤の種類及び添加量を適宜選択することにより、これに外部から温度変化を与えてコロイド結晶を生成させることができる。この性質を利用して、コロイド結晶の製造以外にも応用することが可能である。

【0036】
例えば、温度変化により物性が変わることを利用した新規な感熱性材料(感熱性塗料、温度センサーなど)の開発が可能となる。また、昇温によりコロイド系が結晶化するような系を用いれば、系の粘性は温度とともに増加することが期待される。一方、通常の単純液体においては、一般に粘性は温度増加にともない単調に減少する。このような特異な粘性-温度特性を利用して、例えば従来の応力伝達系に用いられる液体(クラッチ用のオイルなど)の温度特性の改善などへの応用も期待される。
【実施例】
【0037】
以下、本発明をさらに具体化した実施例について詳細に述べる。
【実施例】
【0038】
(実施例1~5及び比較例1)
<コロイド粒子の調製>
コロイド分散液に用いるコロイド粒子として、以下のようにして調製したポリスチレン粒子を用いた。
すなわち、精製された蒸留水にスチレンモノマー(22g)とスチレンスルホン酸ナトリウム(0.1g)と、ジビニルベンゼン(1.11g)とを入れ、撹拌しながら開始剤として過硫酸カリウム(0.1g)を加え、ソープフリー乳化重合を行った。反応終了後、反応液を透析チューブに入れて透析を行い、さらにはイオン交換樹脂塔に通すことによって精製してポリスチレン粒子の水懸濁液を得た。この懸濁液のポリスチレン粒子の直径を、動的光散乱法により求めたところ、粒子直径は132nmであった。
【実施例】
【0039】
<コロイド分散液の作製>
上記のようにして得たポリスチレン粒子の懸濁液に各種のアニオン性界面活性剤と希釈水とを加え、粒子濃度が1体積%であって、アニオン性界面活性剤の濃度が所定の濃度のコロイド分散液を得た。使用したアニオン性界面活性剤は、実施例1ではヘキシル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数6)、実施例2ではドデシル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数12、臨界ミセル濃度CMC=8.2mM (25℃))、実施例3ではテトラデシル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数14、CMC=2.2mM(40℃))、実施例4ではヘキサデシル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数16、CMC=0.58mM(40℃))、実施例5ではオクタデシル硫酸ナトリウム(アルキル基の炭素数18、CMC=0.23mM(40℃))を用いた。
また、比較例1ではアニオン性界面活性剤の代りにNaClを添加したコロイド分散液とした。
【実施例】
【0040】
<結晶化相図の作製>
上記のようにして得た実施例1~5及び比較例1のコロイド分散液1mlを角柱容器状のポリメチルメタクリレート製の透明セル(内寸10mm×10mm×45mm)に入れ、プラスチックキャップで密栓した。そして、コロイド分散液を入れた透明セルを所定温度(5~55℃の範囲で10℃ごと)に設定した恒温水槽にいれ、目視及び反射スペクトル測定を行い、コロイド結晶の生成の有無を確認した。
【実施例】
【0041】
こうして様々な組成のコロイド分散液についてさまざまな温度におけるコロイド結晶の生成の有無を調べ、その結果を基に、界面活性剤濃度と凝固点温度との関係を示す結晶化相図を作成した。結果を図1及び図2に示す。長方形のシンボルが凝固点温度であり、これより高温ではコロイド粒子がほぼランダムに分布した状態(「液体」状態))、より低温が結晶状態に相当する。これらの図から、アニオン性界面活性剤を添加した実施例1~5では、添加量の増加にしたがって、コロイド結晶の凝固点が低下することが分かった。また、アニオン性界面活性剤の違いによる比較では、縦軸が凝固点温度、横軸がアニオン性界面活性剤の濃度のプロットにおいて、アニオン界面活性剤のアルキル基の炭素数によって傾きが大きく変化した。このことは、界面活性剤の炭素数及び濃度を制御することで、コロイド結晶の凝固点温度を制御できることを意味している。また、アニオン性界面活性剤のアルキル基の炭素数が大きくなるほど、その傾きが小さくなることから、アルキル基の炭素数の大きなアニオン性界面活性剤を用いれば、アニオン性界面活性剤の濃度変化に対する凝固点温度の変化は小さくなるため、アニオン性界面活性剤の濃度変化による凝固点の制御をより精密にできることが分かった。このため、コロイド結晶の製造方法において、コロイド分散液に添加するアニオン性界面活性剤のアルキル基の炭素数は10以上が好ましく、さらに好ましいのは12以上であり、最も好ましいのは14以上であることが分かった。
【実施例】
【0042】
なお、実施例5で用いたオクタデシル硫酸ナトリウムのクラフト点は56℃であり、結晶化相図の作製時において適用した温度(50、25、5℃)は、クラフト点よりも低い温度である。しかし、別途行った表面張力測定の結果からは、オクタデシル硫酸ナトリウムを用いたとき、温度50、25、5℃のいずれでも、添加したオクタデシル硫酸ナトリウムのほとんどはコロイド粒子に吸着され、ごく少量が水中に溶存することが明らとなっている。このときのオクタデシル硫酸ナトリウムの溶存濃度は、各々の飽和溶解度以下であることも表面張力測定から示されており、固体は析出していない。すなわちコロイド粒子が存在しない、純粋な界面活性剤水溶液に対してはクラフト点以下の温度でも、粒子があれば、溶存濃度がごく僅かとなるため、良好な結果が得られる。
【実施例】
【0043】
一方、NaClを添加した比較例1では、凝固点温度(縦軸)と、アニオン性界面活性剤濃度(横軸)のプロットは、傾きがきわめて大きくなり、ほとんど垂直となった。なお、完全に垂直にならないのは、水の誘導率の温度変化によるためと考えられる。すなわち、NaClの濃度変化に対する凝固点の変化が大きいため、温度変化によってコロイド結晶を析出させるには、NaClの添加量を厳密に制御する必要があり、極めて困難となることが分かった。
【実施例】
【0044】
<コロイド分散液の相変化の写真撮影>
コロイド分散液を25℃→35℃→50℃→5℃と変化させた場合の相変化について写真撮影を行った。コロイド分散液としては、上記実施例で調製したポリスチレン粒子の水懸濁液を2.5体積%含み、さらにドデシル硫酸ナトリウムを所定の濃度となるように添加したコロイド分散液を用いた。また、比較のために、上記実施例と同様の方法で調製したポリスチレン粒子(直径91.8nm、界面活性剤未添加時の電荷数=870)を2.5体積%含み、さらにドデシル硫酸ナトリウムを所定の濃度となるように添加したものも用いた。
【実施例】
【0045】
結果を図3に示す。ドデシル硫酸ナトリウムを添加したコロイド分散液では、図3に示すように、ドデシル硫酸ナトリウムの濃度が60μM以上の場合において50℃ではコロイド結晶が融解し、5℃に戻すと再びコロイド結晶が析出した。一方、ドデシル硫酸ナトリウムの濃度が40μM以下の濃度の場合には、コロイド結晶は50℃においても融解しなかった。
【実施例】
【0046】
なお、上記の写真観察を行った試料について、前述した実施例及比較例の結晶化相図作成方法と同様の方法により、結晶化相図を作製した(図4参照)。図4の横軸はドデシル硫酸ナトリウム濃度であり、矩形のシンボルが凝固点である。
【実施例】
【0047】
<界面活性剤の吸着量の評価>
ポリスチレン粒子分散液に界面活性剤を加えると、その一部はポリスチレン粒子表面に吸着し、残りは媒体中に溶存する「吸着平衡」状態となる。なお、上記実施例1~5及び比較例1は臨界ミセル濃度以下の濃度条件で実施しているためミセルは形成されない。
これまでに、ポリスチレン粒子へのアニオン性界面活性剤の吸着に関して、吸着量の決定や、その鎖長や温度依存性が報告されており(下記文献1)~3))、一般に、温度が増加すると物質の吸着量は減少するが、ポリスチレン粒子への界面活性剤の吸着についても、同様の挙動が確認されている。
1)Paxton, T.R., J.Colloid Interf Sci., 1969, 31, 19.
2)Maron, S.H., Elder, M.E., Urevitch. I.N. J.Colloid Sci., 1954, 9, 89.
3)Piirma, I., Chen, S.R. J.Colloid Interf Sci., 1980, 74, 90.
【実施例】
【0048】
上記実施例1~5及び比較例1で用いたポリスチレン粒子は、共重合したスチレンスルホン酸に由来するマイナス電荷を持っているが、アニオン性界面活性剤が吸着することで、電荷数Zが増加する。また、媒体中に界面活性剤が溶存すると、媒体の塩濃度Csが増加する。ここで温度Tが低下して界面活性剤の吸着量が増加(溶存濃度が減少)すると、Zは増加し、Csが減少する。これら2つの変化はいずれも、粒子間の静電相互作用を増加させるため、結晶化に有利である。これにより、界面活性剤添加コロイド系で、冷却による結晶化が生じたと考えられる。
【実施例】
【0049】
上記のモデルに基づいて、図1及び図2に示した各凝固点における吸着量を次のように評価した。コロイド系に添加した界面活性剤の全濃度をCtotとし、そのうち吸着種の濃度をS、溶存種の濃度をCとすると、
Ctot=S+C・・・・・(1)
となる。
【実施例】
【0050】
また、界面活性剤の添加によるZ及びCsの増加分を、それぞれΔZ、ΔCsとする。ここで、ΔZとS(単位:mol/L)の間には次の比例関係がある。
ΔZ=[(4πap3NA)/ (3000φ)] S=K S
ここでapは粒子半径、NAはアボガドロ数、φは体積分率で表した粒子濃度、Kは比例定数である。吸着前のポリスチレン粒子の電荷数をZ0とすると、吸着後の電荷数は、Z=Z0+ΔZになる。ただし、結晶化をはじめ、コロイド粒子間の相互作用を決定するのはZでなく「有効電荷数」Zeff である。すなわち、コロイド粒子の対イオンは粒子表面の強い電場に引き寄せられて「凝縮」され、実効の電場を減少させるため、一般にZeffはZより小さい。また、α=Zeff/ZはZの増加とともに減少することも知られている。ΔZ<eff=α(Z0+ΔZ) =α(Z0+ K S)
または
S=(Zeff/α-Z0)/ K ・・・・・(2)
なお、界面活性剤が未添加のとき、電気伝導度測定により求めたZeff、Z0、及びαはそれぞれ、1055、11228及び0.094であった。
一方、ΔCs = Cであり、また実験条件である初期塩濃度Cs0=0の場合には、
Cs=Cs0+ΔCs=C・・・・・(3)
(1)、(2)、(3)式より、あるCtotにおけるSとCの関係が求まる。図5に、種々のCtotに対するZeffとCsの関係を実線で示す。
【実施例】
【0051】
いっぽう、荷電粒子系の結晶化相図はRobbinsらにより計算機シミュレーション法を用いて研究されており(下記文献4))、様々なZeffの値に対して、凝固点におけるCs値を計算できる。図6には、NaCl添加系の結晶化相図の実験値(シンボル)、及びシミュレーション結果に基づく計算値(破線)を示す。両者の一致は良好である。また、図5中に、種々の温度TにおけるZeffとCsの関係を点線で示した。
4) Robbins, M.O., Kremer, K., and Grest, G.S., J. Chem. Phys. 1988, 88, 3286.
【実施例】
【0052】
図5を用いることで、ある凝固点におけるZeffとCsの値を決定できる。例えば、炭素数14の界面活性剤の凝固点T*は、Ctot=15μMのときT*=20℃である(図2)。図5において、これらのCtot及びT*の組をともに満たすZeffとCs(Ctot=15μMの実線及びT*=20℃の破線の交点)が、凝固点における値である。また、これらの値から、凝固点でのS及びCが決定できる。
【実施例】
【0053】
図7にはテトラデシル硫酸ナトリウムを添加したコロイド分散液の凝固点におけるS/ Ctot及びC/ Ctotを、Ctotに対してプロットした結果を示す。T*の値はCtotにより変化する(T*=10~50℃、Ctotが低いほど高温)。吸着現象では一般的に、S/CtotはCtot の増加とともに減少するが、図5の結果では逆に増加している。これは、図7の各データで温度が異なるためと考えられ、温度増加とともに吸着量が減少することを示唆している。
【実施例】
【0054】
また、表1は、T*=20℃におけるさまざまな界面活性剤のS/ Ctot及びC/ Ctotをまとめたものである。アルキル鎖の炭素数nが最も大きい炭素数=18の界面活性剤の場合、添加量のおよそ90%が吸着していることが計算された。
【実施例】
【0055】
【表1】
JP0005942125B2_000002t.gif
【実施例】
【0056】
(実施例6)
実施例6では、コロイド分散液に用いられている液体として水:エチレングリコール=10:90(容量比)を用いて、コロイド結晶の析出・融解の繰り返し実験を行った。以下詳細に説明する。
【実施例】
【0057】
コロイド粒子として、実施例1~5で用いたものと同様の方法で合成したポリスチレン粒子の水懸濁液を用いた。そして、ポリスチレンの粒子濃度を2.6体積%とし、ドデシル硫酸ナトリウムを45μΜとなるように添加し、所定の濃度となるように添加したコロイド分散液を用いた。これを角柱容器状のポリメチルメタクリレート性の透明セル(内寸10mm×10mm×45mm)に入れ、プラスチックキャップで密栓した。そして、コロイド分散液を入れた透明セルを所定温度(5~55℃の範囲で10℃ごと)に設定した恒温水槽にいれ、目視及び反射スペクトル測定を行い、恒温水槽中で昇温冷却を繰り返し、コロイド結晶の析出(すなわち、コロイドの凝固が開始されること)及び融解の繰り返し(25.7℃で析出→45℃で融解→25.7℃で析出→48℃で融解→4℃で析出→36℃で融解)を確認した。
【実施例】
【0058】
(実施例7)
実施例7では、実施例1~5と同様、ソープフリー乳化重合で合成したポリスチレン粒子(NSS10、粒径=122±11nm、有効表面電荷数=700)を用い、粒子濃度=1体積%とし、アニオン性界面活性剤としてヘキシル硫酸ナトリウム塩(炭素数=6)を添加してコロイド分散液とした。そして、実施例1~5と同様の手法で種々の温度での結晶生成の有無を観察し、結晶化相図を作成した。
【実施例】
【0059】
(実施例8)
実施例8ではアニオン性界面活性剤としてオクタデシル硫酸ナトリウム塩を用いた。その他については実施例7と同様であり、説明を省略する。
【実施例】
【0060】
(比較例2)
比較例2では界面活性剤の代わりにNaClを添加した。その他については実施例7及び実施例8と同様であり、説明を省略する
【実施例】
【0061】
実施例7及び比較例2についての結晶化相図を図8に示す。また、実施例8及び比較例2についての結晶化相図を図9に示す。これらの図から、アニオン性界面活性剤としてアルキル硫酸ナトリウムを用いた実施例7及び実施例8では、アニオン性界面活性剤の代わりにNaClを添加した比較例2と比べて、いずれもグラフの傾きが小さく、濃度を変えることによって凝固点を制御することが容易であることが分かった。また、アルキル硫酸ナトリウムにおけるアルキル基の長い実施例8(アルキル基の炭素数が18)を用いた場合の方が、アルキル基の短い実施例7(アルキル基の炭素数が6)を用いた場合よりも、グラフの傾きが小さくなることから、アルキル基を長くすると、濃度の調整による凝固点の制御が容易になることが分かった。
【実施例】
【0062】
(実施例9)
実施例9では、正電荷を持つカチオン性粒子をコロイド粒子とし、イオン性界面活性剤としてカチオン性界面活性剤を添加したコロイド分散液について検討した。
すなわち、スチレンと2-ビニルピリジン塩をモノマーとして、ソープフリー乳化重合法により球状のポリ(スチレン-2-ビニルピリジン共重合体)粒子を合成し、透析とイオン交換法により十分精製した分散液(粒子濃度=1.3体積%)に、カチオン性界面活性剤としてCetylpyridinium Chloride (CPC)を所定濃度添加したものをコロイド分散液とした。CPCの臨界ミセル濃度CMCは室温で900μMであり、実験はいずれもCMC以下で行った。なお、動的光散乱法により求めたコロイド粒子の粒子直径は193nmであった。
【実施例】
【0063】
(比較例3)
比較例3では界面活性剤の代わりにNaClを添加した。その他については実施例9と同様であり、説明を省略する
【実施例】
【0064】
実施例9及び比較例3についての結晶化相図を図10に示す。この図から、カチオン性界面活性剤としてCPCを用いた実施例9では、カチオン性界面活性剤の代わりにNaClを添加した比較例3と比べてグラフの傾きが小さく、濃度を変えることによって凝固点を容易に制御できることが分かった。
【実施例】
【0065】
<コロイド結晶の一方向成長実験>
コロイド結晶が析出可能な温度領域を一方向に広げることにより、コロイド結晶の一方向への成長実験を行った。
【実施例】
【0066】
・温度制御装置
実験に使用した温度制御装置を図11に示す。この装置は、放熱板1上にペルチェ素子9~15を並べて固定してある。各ペルチェ素子9~15には図示しない熱電対が内蔵されており、各ペルチェ素子9~15及び各熱電対は図示しない制御部に接続され、任意の温度に制御可能とされている。
【実施例】
【0067】
・コロイド分散液の調製
実施例6で用いたものと同じポリスチレン粒子の懸濁液を用意し、これにドデシル硫酸ナトリウムと希釈水とを加え、粒子濃度が1体積%であって、ドデシル硫酸ナトリウムの濃度が9.8μMの濃度のコロイド分散液を得た。
【実施例】
【0068】
・コロイド分散液の温度制御
図12に示すように、幅が10mm、長さ50mm、光路長1mmの薄板形状の石英セル2を用意し、コロイド分散液を入れ、ペルチェ素子9~15の上に載置した。そして、制御部によってペルチェ素子9~15の石英セル2と接する面の温度を、コロイド分散液が融解状態となる32.5℃に設定し後、ペルチェ素子9を32.5℃から10℃に変更した。10℃はコロイド分散液がコロイド結晶の状態となる温度である。そして、3分経過後に隣接するペルチェ素子10を32.5℃から10℃に変更した。さらに、3分ごとに、ペルチェ素子15の方向に向かって次々と10℃の設定していき、最終的にペルチェ素子9~15の石英セル2と接する面の温度を全て10℃に設定した。こうして、石英セル2内における10℃の温度領域を広げていき、コロイド結晶の状態を観察した。
【実施例】
【0069】
(結 果)
その結果、図13に示すように、コロイド結晶の領域が徐々に拡大していき、コロイド結晶が成長していくことが観察された。
このようにして作成した一方向成長結晶の反射スペクトルの一例を図14に示す。測定には、オーシャンオプティクス社製HR型ファイバー分光光度計を用い、直径およそ1mmのスポットに対して、結晶の異なる2カ所において反射率測定を行った。鋭い反射ピーク(半値幅7 nm以下)を示すコロイド結晶が得られている。結晶サイズは、最大で厚さ1 mm×縦3 mm×横3mmに達した。
このように、コロイド分散液をコロイド結晶の溶融状態となる温度に設定した後、徐々にコロイド結晶が析出する温度領域を広げることにより、mmサイズですぐれた光学特性を持つコロイド結晶とすることができることが分かった。このように本手法は、コロイド結晶の光学素子としての利用を考えた場合、きわめて有利な製造方法であるといえる。
【実施例】
【0070】
<コロイド結晶のゲル化>
上記コロイド結晶の成長実験で作成したコロイド結晶を、公知の方法(特願2004-375594:ゲル固定化コロイド結晶 発明者:山中淳平、村井雅子、山田浩司、尾崎宙志、内田文生、澤田勉、豊玉彰子、伊藤研策、瀧口義浩、平博仁 出願人:宇宙航空研究開発機構、富士化学(株))により固定化することができる。以下に、その具体例を示す。
【実施例】
【0071】
以下の組成のポリスチレンコロイド分散液を用意する。
ゲルモノマー:N, N’-ジメチロールアクリルアミド(N-MAM)
0.67mol/L
架橋剤:メチレンビスアクリルアミド(BIS) 10mmol/L
光重合開始剤:2,2’-アゾビス[2-メチル-N-[2-ヒドロキシエチル]-プロピオンアミド 4mg/mL
ポリスチレンコロイド分散液のコロイド粒子の体積分率(φ)=0.01
ドデシル硫酸ナトリウム:10μmol/L
【実施例】
【0072】
そして、上記の組成のポリスチレンコロイド分散液をセル光路長1mmの石英セルに入れ、コロイド結晶の成長実験で使用した温度制御装置にセットする。そして、コロイド結晶が析出しない温度にセットした後、一方向に向かってコロイド結晶の析出可能な温度領域を広げていく。こうして得られたコロイド結晶に紫外線を照射することによりゲルモノマーを重合させ、ゲル化したコロイド結晶を得る。
【実施例】
【0073】
(実施例10)
実施例10では粒径100 nmのシリカ粒子を用いてコロイド結晶に関する以下の試験を行った。
シリカコロイド粒子(粒子直径100 nm)の水分散液を透析およびイオン交換法で十分脱塩精製し、不純物イオン濃度を1μM以下として用いた。電気伝導度法により求めた粒子の表面電荷密度は0.1μC/cm2(電荷数は約180個/粒子)であった。粒子濃度を5体積%(体積分率=0.05)となるように精製水で調整した。こうして得られたシリカコロイド分散液に、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン(平均重合度=15)ノニルフェニルエーテル(以下E15PhC9と略する)水溶液を、E15PhC9濃度が0.5mMになるように添加した。E15PhC9はエチレングリコール部分とシリカ表面の未解離シラノール基の間の水素結合により、シリカ粒子に吸着することが報告されている。また、後述するシリカへの吸着量の評価試験の結果から、このシリカコロイド分散液中に添加された0.5mMのE15PhC9のうち、その90%以上が粒子表面に吸着していると考えられる。
【実施例】
【0074】
さらに、このE15PhC9添加シリカコロイド分散液に、陰イオン性界面活性剤であるオクタデシル硫酸ナトリウム(SOS)を所定量加え、温度を変化させ、コロイド結晶の生成の有無を調べた。結晶・非結晶の判別は、ブラッグ回折ピークの有無を分光光度法により観察して行った。その結果、所定のSOS濃度及び温度の条件下において、イリデセンスを発するコロイド結晶が生成した。また、コロイド結晶は加熱することで融解し、これを冷却すると再び結晶化した。すなわち、結晶化は可逆的であった。なお、SOS未添加またはSOS濃度が低いときは非結晶状態であるが、これはシリカの電荷数が低いためであると考えられる。
【実施例】
【0075】
図15に、SOS濃度と温度を変数として描いた結晶化相図を示す。この図から分かるように、SOS濃度の増加とともに電荷数が増し、結晶化温度が高くなった(これに対して、ポリスチレンの場合には、このような挙動は見られない。これは、SOSを添加しなくても、もともと電荷数が十分大きかったためであると考えられる。)。さらにSOS濃度が増加すると、再び非結晶となった。これは、非吸着のSOS濃度が増加してイオン強度が大きくなるためと考えられる(これはポリスチレンの場合と同様である)。
【実施例】
【0076】
以上のように、シリカコロイド粒子に対しては、非イオン性界面活性剤を加えて粒子表面に疎水部を作り、さらにイオン性界面活性剤を吸着させることで、粒子の表面電荷が増加し、結晶化することが明らかになった。また、界面活性剤(非イオン性、イオン性とも)の吸着量の温度依存性を利用することで、温度変化によりシリカコロイド分散液をコロイド結晶化したり、非結晶化したりするという、可逆的な制御が可能であることが分かった。
【実施例】
【0077】
なお、上記シリカコロイド分散液の可逆的な挙動は、界面活性剤を添加する順序には依存せず、同様の挙動を示した。すなわち、シリカコロイドにはじめにSOSを添加し、次にE15PhC9を添加しても同様にコロイド結晶が生成した。
【実施例】
【0078】
(E15PhC9のシリカへの吸着量の評価試験)
E15PhC9のフェニル基に基づく275 nm付近の紫外吸収帯を用い、当該波長での吸光度を測定することにより、検量線を作成した。
次に、シリカ粒子(粒径300nm、粒子濃度1体積%および5体積%)の分散液に種々の濃度のE15PhC9を添加し、振とう機により1時間振とうの後、4000rpmで10分間、遠心分離を行い、上澄み液と沈降したシリカ粒子層とに分離した。上澄み中のE15PhC9濃度を分光法により定量し、吸着量を求めた。
その結果、シリカ粒子濃度5体積%では、添加したE15PhC9濃度が1mMのときに約90%のE15PhC9がシリカ粒子に吸着し、E15PhC9濃度が0.5mMのときは約80%のE15PhC9がシリカ粒子に吸着することが分かった。
実施例10では粒径100nmのシリカコロイド粒子を用いたが、粒子濃度が同じであれば粒子の総表面積は粒径に比例する。この関係をもとに計算すると、上記実施例10の結晶化実験の条件では、E15PhC9の吸着量は90%以上と見積もられる。
【実施例】
【0079】
なお、同じくポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル構造をもち、ポリオキシエチレン鎖の平均重合度が20及び10の界面活性剤についても吸着挙動を調査した。その結果、平均重合度20の場合も、モル吸着曲線は、15の場合とほぼ同じであった。一方、平均重合度10では15より著しく吸着が抑制された。
【実施例】
【0080】
(実施例11)
実施例11では、粒径230nmのシリカ粒子を用いてコロイド結晶に関する以下の試験を行った。
シリカコロイド粒子(粒子直径230 nm)の水分散液を、透析およびイオン交換法で十分脱塩精製し、不純物イオン濃度を1μM以下として用いた。電気伝導度法により求めた粒子の表面電荷密度は0.1μC/cm2(電荷数は約700個/粒子)であった。粒子濃度を5体積%(体積分率=0.05)および10体積%(体積分率=0.10)となるように精製水を加えた。いずれの試料も温度5℃~50℃でコロイド結晶状態となった。
【実施例】
【0081】
上記のようにして調製した5体積%のシリカコロイド分散液にE15PhC9を添加し、濃度を0.232 mMとした。次に、SOSを添加し、濃度を24 μMとした。同コロイド分散液は、20℃でコロイド結晶状態となったが、60℃では融解し、これをさらに室温に冷却すると再びコロイド結晶化した。すなわち、コロイド結晶化は可逆的であった。また、同様に10体積%のシリカコロイド分散液に、E15PhC9を濃度が2.16 mMになるように添加し、SOS水溶液を180および190 μMになるように添加した。これらのコロイド試料は、20℃で結晶状態であったが、60℃で融解し、これをさらに室温に冷却すると再びコロイド結晶化した。すなわち、コロイド結晶化は可逆的に行うことができた。
【実施例】
【0082】
(実施例12)
シリカコロイド粒子(粒子直径300 nm)の水分散液を、透析およびイオン交換法で十分脱塩精製し、不純物イオン濃度を1μM以下として用いた。電気伝導度法により求めた粒子の表面電荷密度は0.1μC/cm2(電荷数は約1500個/粒子)であった。粒子濃度を5体積%(体積分率=0.05)とし、無添加塩系で用いた。室温(約20℃)では反射スペクトルに明瞭なピークが観察され、試料が結晶化していることが分かった。このシリカコロイドに、E15PhC9を添加し、濃度を0.17 mMとした。次に、SOSを添加し、濃度を12 mMとした。これらの界面活性剤を添加したコロイドも室温で結晶化しており、また5℃に冷却しても結晶は消失しなかった。一方、このコロイドを60℃に加熱すると、結晶のピークは消失し、非結晶となった。これをさらに5℃に冷却すると、再び結晶化した。5℃および60℃に繰り返し保つと、結晶の生成と融解が繰り返して生じた。すなわち、結晶化は可逆的であった。
【実施例】
【0083】
(実施例13)
実施例13では、チタニア粒子を用いてコロイド結晶に関する以下の試験を行った。
すなわち、チタニア粒子(富士化学製、動的光散乱法で決定した粒径
= 250 nm)を用い、チタニア粒子濃度=15体積%の水分散液にE15PhC9を濃度が0.60 mMになるように添加した。さらにSOSを60 μmとなるように添加し、チタニアコロイド分散液を得た。
【実施例】
【0084】
上記E15PhC9及びSOSを添加したチタニアコロイド分散液、及びSOSを添加する前のE15PhC9のみを添加したチタニアコロイド分散液について、室温にて反射スペクトルを測定した。その結果、図16に示すように、室温(25℃)において、どちらの分散液からもコロイド結晶の存在を示す明瞭な反射ピークが認められた。さらに、E15PhC9及びSOSを添加したチタニアコロイド分散液について、60℃で10分間保持したところ、ピーク強度は著しく減少し、非結晶状態に移行したことが分かった。さらに、5℃で10分間保持すると、再び同じ波長でピーク強度が増大し、再びコロイド結晶が生成することが分かった。さらに、同様の温度操作を繰り返しても、同様のスペクトル変化が示され、コロイド結晶化と非結晶化とを可逆的に行うことできることが分かった。
【実施例】
【0085】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】実施例1~5及び比較例1のコロイド分散液の各温度下における観察から求めた結晶化相図である。
【図2】実施例1~3及び比較例1のコロイド分散液の各温度下における観察から求めた結晶化相図である。
【図3】イオン性界面活性剤を添加したコロイド分散液の各組成、各温度における図面代用写真である。
【図4】ポリスチレン粒子濃度を2.5体積%としたコロイド分散液の各温度下における観察から求めた結晶化相図である。
【図5】種々のCtotに対するZeffとCsの関係を示すグラフである。
【図6】NaClを添加したコロイド分散液の結晶化相図の実験値(シンボル)、及びシミュレーション結果に基づく計算値(破線)を示すグラフである。
【図7】テトラデシル硫酸ナトリウムを添加したコロイド分散液の凝固点におけるS/ Ctot及びC/ Ctot tをCtotに対してプロットしたグラフである。
【図8】実施例7及び比較例2のコロイド分散液の各温度下における観察から求めた結晶化相図である。
【図9】実施例8及び比較例2のコロイド分散液の各温度下における観察から求めた結晶化相図である。
【図10】実施例9及び比較例3のコロイド分散液の各温度下における観察から求めた結晶化相図である。
【図11】コロイド結晶の一方向成長実験に用いた温度制御装置の斜視図である。
【図12】コロイド結晶の一方向成長実験に用いた温度制御装置に石英セルをセットした状態を示す斜視図である。
【図13】コロイド結晶の一方向成長実験の結果を示す図面代用写真である。
【図14】コロイド結晶の一方向成長実験で得られたコロイド結晶の反射スペクトルである。
【図15】シリカコロイド(粒径100 nm、5体積%)に0.5 mM E15PhC9および種々の濃度のSOSを添加した系の結晶化相図である(図中○印は試料全体がコロイド結晶状態であることを示し、△印は試料の一部が結晶であることを示し、×印は試料全体が非結晶状態であることを示す。また、図中の直線は結晶/液体相境界を示す)。
【図16】チタニアコロイド分散液の反射スペクトルである。

【産業上の利用可能性】
【0087】
コロイド結晶は、通常の結晶と同様に、電磁波をBragg回折する。その回折波長は、実験条件(粒子濃度と粒径)を選ぶことで可視光領域に設定できる。このため、フォトニック材料をはじめとする光学素子などへの応用展開が可能となる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図16】
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