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明細書 :嵩高い水酸基含有化合物由来のエステルの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5968301号 (P5968301)
登録日 平成28年7月15日(2016.7.15)
発行日 平成28年8月10日(2016.8.10)
発明の名称または考案の名称 嵩高い水酸基含有化合物由来のエステルの製造方法
国際特許分類 C07C  67/14        (2006.01)
C07C  67/08        (2006.01)
C07C  69/157       (2006.01)
C07C  69/24        (2006.01)
C07C  69/618       (2006.01)
C07C  69/78        (2006.01)
FI C07C 67/14
C07C 67/08
C07C 69/157
C07C 69/24
C07C 69/618
C07C 69/78
請求項の数または発明の数 9
全頁数 20
出願番号 特願2013-503615 (P2013-503615)
出願日 平成24年3月8日(2012.3.8)
国際出願番号 PCT/JP2012/056015
国際公開番号 WO2012/121350
国際公開日 平成24年9月13日(2012.9.13)
優先権出願番号 2011052693
優先日 平成23年3月10日(2011.3.10)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年1月26日(2015.1.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
発明者または考案者 【氏名】三好 徳和
【氏名】菊池 淳
【氏名】田嶋 孝裕
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】瀬下 浩一
参考文献・文献 特開2002-173466(JP,A)
特開2003-192626(JP,A)
特開2005-247745(JP,A)
有機合成化学協会誌,2009年,Vol.67, No.12,1274-1281
調査した分野 C07C 67/14
C07C 67/08
C07C 69/157
C07C 69/24
C07C 69/618
C07C 69/78
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)
【化1】
JP0005968301B2_000019t.gif
[式中、R、R及びRは、下記(i)~(iii)のいずれかを示す。
(i)R、R及びRは、同一又は異なって、C1-20の飽和又は不飽和炭化水素基を示す。ただし、R~Rのうち、少なくとも一つは、炭素数4以上の炭化水素基である。
(ii)R及びRは互いに結合して、これらが隣接する炭素原子と共に、C3-20の飽和又は不飽和炭化水素環を形成する。RはC1-20の飽和又は不飽和炭化水素基を示す。
(iii)R、R及びRはこれらが隣接する炭素原子と一緒になって、3-20のビシクロアルカン環又はC3-20ビシクロアルケン環を形成する。]
、若しくは一般式(8)
【化2】
JP0005968301B2_000020t.gif
[式中、R及びRは同一又は異なってC3-9の分枝鎖状炭化水素基を示す。RはC1-9アルキル基を示す。]
で表される嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノールに、金属ストロンチウム及び一般式(2)
(2)
[式中、RはC1-9の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を示す。Xはハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルキルを反応させ、次いで生成する一般式(3)
【化3】
JP0005968301B2_000021t.gif
[式中、R、R、R及びXは前記に同じ。]
、若しくは一般式(9)
【化4】
JP0005968301B2_000022t.gif
[式中、R、R、R及びXは前記に同じ。]
で表される化合物に一般式(4)
COX (4)
[式中、RはC1-20の飽和又は不飽和炭化水素基を示す。Xはハロゲン原子を示す。]
で表される酸ハライド及び/又は一般式(5)
(RCO)O (5)
[式中、Rは前記に同じ。]
で表される酸無水物を反応させることにより、一般式(6)
【化5】
JP0005968301B2_000023t.gif
[式中、R、R、R及びRは前記に同じ。]
、若しくは一般式(10)
【化6】
JP0005968301B2_000024t.gif
[式中、R、R、R及びRは前記に同じ。]
で表される嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノール由来のエステルを製造する方法。
【請求項2】
前記一般式(1)におけるR、R及びRが前記(i)を示す、請求項1に記載のエステルを製造する方法。
【請求項3】
前記(i)におけるR、R及びRで示されるC1-20の飽和又は不飽和炭化水素基が、置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基、C1-20の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又はC3-20の飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素基である、請求項2に記載のエステルを製造する方法。
【請求項4】
前記一般式(1)におけるR及びRがそれぞれC3-9の分枝鎖状アルキル基である、請求項2又は3に記載のエステルを製造する方法。
【請求項5】
前記一般式(1)におけるRが置換基を有することのあるアリール基又は置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基である、請求項2~4のいずれかに記載のエステルを製造する方法。
【請求項6】
前記一般式(1)若しくは前記一般式(8)で表される嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノール前記一般式(8)で表される嵩高いフェノールである、請求項1に記載のエステルを製造する方法。
【請求項7】
前記一般式(4)および(5)におけるRが置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基、C1-20の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又はC3-20の飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素基である、請求項1~のいずれかに記載のエステルを製造する方法。
【請求項8】
前記RがC1-9アルキル基、アリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリール基又は置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基である、請求項に記載のエステルを製造する方法。
【請求項9】
前記金属ストロンチウムの使用量が、前記一般式(1)若しくは前記一般式(8)で表される嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノールに対して、1~2当量である、請求項1~のいずれかに記載のエステルを製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、嵩高い水酸基含有化合物由来のエステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
嵩高い水酸基含有化合物、例えば、嵩高い第三級アルコール由来のエステルは、電子材料等の機能性材料の合成に有用な化合物である。より具体的には、アダマンチル類のエステルは、種々の電子基板のレジスト剤として有用である(特許文献1)。
【0003】
このような嵩高い第三級アルコール由来のエステルの合成は極めて難しく、そのため大量合成に適した製造方法は未だに見出されていない。
【0004】
今日まで知られている第三級アルコール由来のエステルの合成方法としては、例えば、向山等による、縮合剤としてジ-2-ピリジルチオノカルバネートを用いる方法(非特許文献1)、リン化合物と酸化剤とを組み合わせた方法(非特許文献2)、石原等によるランタニウムイソプロポキシドを触媒とする方法(非特許文献3)等が知られている。しかしながら、これらの方法で用いられる原料アルコールは、いずれも比較的立体障害の少ないアルコールであり、汎用性に乏しく、工業的な製造方法であるとは言えない。
【0005】
また、下記反応式-1に示す方法により、嵩高い第三級アルコール由来のエステルを製造する方法が検討されている。
【0006】
【化1】
JP0005968301B2_000002t.gif

【0007】
しかしながら、上記反応式-1に示す方法では、目的とする嵩高い第三級アルコール由来のエステルが低収率で得られるに過ぎない。
【0008】
本発明者らは、嵩高い第三級アルコール由来のエステルを収率よく製造できる方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、下記反応式-2に示す方法により、嵩高い第三級アルコール由来のエステルを収率よく製造できることを見出した(非特許文献4)。
【0009】
【化2】
JP0005968301B2_000003t.gif

【0010】
反応式-2に示す方法は、出発原料として用いられるエステル(A)をジアルキル化し、次いで生成するストロンチウムアルコキシド(C)に対して2当量以上の塩化ベンゾイル(E)を数回に分けて反応させる方法である。この方法に従えば、嵩高い第三級アルコール由来のエステル(F)を82%程度の収率で製造することができる。
【0011】
しかしながら、反応式-2に示す方法には、種々の欠点があり、嵩高い第三級アルコール由来のエステルの工業的に有利な製造方法であるとは言い難い。即ち、反応式-2に示す方法には、下記に示す種々の欠点がある。
【0012】
(1)ストロンチウムアルコキシド(C)の他に、反応によりストロンチウムアルコキシド(D)が(C)と同当量副生するため、ストロンチウムアルコキシド(C)に対して塩化ベンゾイル(E)が2当量以上必要となり、それ故、反応材料の調達コスト及び未反応物の後処理の観点から、工業的に不利である。
【0013】
(2)反応式-2に示す方法により生成する嵩高い第三級アルコール由来のエステル(F)と副生するエステル(G)とが、ほぼ同量含まれること、及び(F)と(G)とが同じエステルであるため物理的性質が非常に似ており、そのために再結晶やクロマトグラフ等の手法では、両者を単離するのが極めて困難であり、それ故、第三級アルコール由来のエステル(F)を高純度で製造できない。
【0014】
(3)反応式-2に示す方法は、エステル(A)のジアルキル化を利用して嵩高い第三級アルコール由来のエステルを製造する方法であるため、生成物(F)のアルコール部位に制限があり、汎用性に乏しい。
【0015】
また、第三級アルコール由来のエステルの製造方法として、特許文献2に示す方法が提案されている。この方法は、一般式(H)
【0016】
【化3】
JP0005968301B2_000004t.gif

【0017】
[式中、Zは非芳香族性若しくは芳香族性の単環又は多環を示す。R及びRは同一又は異なって、炭化水素基を示す。R及びRは互いに結合して隣接する炭素原子と共に脂環式環を形成してもよい。]
で表される第三級アルコールを出発原料として用い、グリニャール試薬又は有機リチウム試薬を用いて一般式(I)
【0018】
【化4】
JP0005968301B2_000005t.gif

【0019】
[式中、Rは炭化水素基又は複素環式基を示す。Z、R及びRは上記に同じ。]
を製造する方法である。
【0020】
しかしながら、上記の方法では、嵩高い第三級アルコール由来のエステルを製造することができないことが、本発明者等の研究により明らかになった。特許文献2によれば、その実施例1~実施例6において、1-(1’-アダマンチル)-1-メチルエタノール由来のエステルが収率65.2~90.5%程度で製造されている。ところが、実施例1~6で製造されているエステルは上記一般式(I)においてR及びRが共にメチル基であり、それ故、これらの実施例で作られるエステルは嵩高い第三級アルコール由来のエステルではない。本発明者等は、これらR及びRが共にイソブチル基である嵩高い第三級アルコールを出発原料として用い、上記グリニャール試薬及び有機リチウム試薬を用いて嵩高い第三級アルコール由来のエステルの製造を試みたが、嵩高い第三級アルコール由来のエステルは低収率でしか製造できなかった(後記比較例1及び2参照)。また、この手法ではグリニャール試薬及び有機リチウム試薬は酸無水物又は酸ハライドと反応する等の副反応による副生成物が生成することも分かった。即ち、特許文献2の方法は嵩高い第三級アルコール由来のエステルを収率よくかつ選択的に製造できない欠点を有している。また、特許文献2の方法は、グリニャール試薬又は有機リチウム試薬を溶液の形態で使用しており、そのために一定の濃度以上に濃縮できないといった工業的に不利な点をも有している。
【先行技術文献】
【0021】

【特許文献1】特開2002-105022号公報
【特許文献2】特開2002-173466号公報
【0022】

【非特許文献1】Chemistry Letters, Vol.27, p.3, 1998年
【非特許文献2】Chemistry Letters, Vol.32, p.300, 2003年
【非特許文献3】Organic Letters, Vol.13, p.426, 2011年
【非特許文献4】有機合成化学協会誌、 Vol.67, p.1274, 2009年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の課題は、上記(1)~(3)の欠点のない、嵩高い第三級アルコール由来のエステルの工業的に有利な製造方法を提供することである。
【0024】
本発明の他の課題は、嵩高い第三級アルコール由来のエステルを高収率で製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者は、上記課題を解決した嵩高い第三級アルコール由来のエステルの工業的に有利な製造方法を開発すべく鋭意研究を続けた結果、出発原料として嵩高い第三級アルコールを使用し、該第三級アルコールに金属ストロンチウム及びハロゲン化アルキルを反応させ、次いで得られる反応物に酸ハライド及び/又は酸無水物を反応させることにより、所望の嵩高い第三級アルコール由来のエステルを工業的に有利に製造できることを見出した。また、本発明者等は、嵩高い第三級アルコールの代わりに、嵩高いフェノールを出発原料として用い、上記と同様の反応を行うことにより、嵩高いフェノール由来のエステルを工業的に製造できることを見出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
【0026】
本発明は、下記項1~項14に係る嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノール由来のエステルの製造方法が提供される。
【0027】
項1.一般式(1)
【0028】
【化5】
JP0005968301B2_000006t.gif

【0029】
[式中、R、R及びRは、下記(i)~(iv)のいずれかを示す。
(i)R、R及びRは、同一又は異なって、C1-20の飽和又は不飽和炭化水素基を示す。ただし、R~Rのうち、少なくとも一つは、炭素数4以上の炭化水素基である。
(ii)R及びRは互いに結合して、これらが隣接する炭素原子と共に、C3-20の飽和又は不飽和炭化水素環を形成する。RはC1-20の飽和又は不飽和炭化水素基を示す。
(iii)R、R及びRはこれらが隣接する炭素原子と一緒になって、C3-20の飽和又は不飽和炭化水素環を形成する。
(iv)R、R及びRはこれらが隣接する炭素原子と一緒になってフェニル基を形成し、該フェニル基の2つのオルト位にはそれぞれC3-9の分枝鎖状炭化水素基を有している。]
で表される嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノールに、金属ストロンチウム及び一般式(2)
(2)
[式中、RはC1-9の直鎖又は分枝鎖状アルキル基を示す。Xはハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化アルキルを反応させ、次いで生成する一般式(3)
【0030】
【化6】
JP0005968301B2_000007t.gif

【0031】
[式中、R、R、R及びXは前記に同じ。]
で表される化合物に一般式(4)
COX (4)
[式中、RはC1-20の飽和又は不飽和炭化水素基を示す。Xはハロゲン原子を示す。]
で表される酸ハライド及び/又は一般式(5)
(RCO)O (5)
[式中、Rは前記に同じ。]
で表される酸無水物を反応させることにより、一般式(6)
【0032】
【化7】
JP0005968301B2_000008t.gif

【0033】
[式中、R、R、R及びRは前記に同じ。]
で表される嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノール由来のエステルを製造する方法。
【0034】
項2.前記一般式(1)におけるR、R及びRが前記(i)を示す、前記項1に記載のエステルを製造する方法。
【0035】
項3.前記(i)におけるR、R及びRで示されるC1-20の飽和又は不飽和炭化水素基が、置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基、C1-20の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又はC3-20の飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素基である、前記項2に記載のエステルを製造する方法。
【0036】
項4.前記一般式(1)におけるR及びRがそれぞれC3-9の分枝鎖状アルキル基である、前記項2又は3に記載のエステルを製造する方法。
【0037】
項5.前記一般式(1)におけるRが置換基を有することのあるアリール基又は置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基である、前記項2~4のいずれかに記載のエステルを製造する方法。
【0038】
項6.前記一般式(1)におけるR、R及びRが前記(ii)を示す、前記項1に記載のエステルを製造する方法。
【0039】
項7.前記(ii)におけるR及びRが互いに結合して、これらが隣接する炭素原子と共に形成される炭化水素環がC5-10シクロアルカン環、C5-10シクロアルケン環又はアダマンタン環である、前記項6に記載のエステルを製造する方法。
【0040】
項8.前記一般式(1)におけるR、R及びRが前記(iii)を示す、前記項1に記載のエステルを製造する方法。
【0041】
項9.前記(iii)におけるR、R及びRが隣接する炭素原子と一緒になって形成される環がビシクロ[2,2,1]ヘプタン環、ビシクロ[2,2,2]オクタン環又はアダマンタン環である前記項8に記載のエステルを製造する方法。
【0042】
項10.前記一般式(1)におけるR、R及びRが前記(iv)を示す、前記項1に記載のエステルを製造する方法。
【0043】
項11.前記(iv)におけるR、R及びRで形成されるフェニル基が一般式(7)
【0044】
【化8】
JP0005968301B2_000009t.gif

【0045】
[式中、R及びRは同一又は異なってC3-9の分枝鎖状炭化水素基を示す。RはC1-9アルキル基を示す。]
で表される嵩高いフェニル基である、前記項10に記載のエステルを製造する方法。
【0046】
項12.前記一般式(4)および(5)におけるRが置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基、C1-20の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又はC3-20の飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素基である、前記項1~11のいずれかに記載のエステルを製造する方法。
【0047】
項13.前記RがC1-9アルキル基、アリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリール基又は置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基である、前記項12に記載のエステルを製造する方法。
【0048】
項14.前記金属ストロンチウムの使用量が、前記一般式(1)で表される嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノールに対して、1~2当量である、前記項1~13のいずれかに記載のエステルを製造する方法。
【0049】
、R及びRで示されるC1-20の飽和又は不飽和炭化水素基としては、例えば、置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基、C1-20の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基、C3-20の飽和又は不飽和脂環式炭化水素基等が挙げられる。
【0050】
、R及びRで示される置換基を有することのあるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基の他、該アリール基上の任意の位置にC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルカノイル基等の置換基が1~3個置換したもの等を挙げることができる。
【0051】
、R及びRで示される置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基としては、2-フェニルエチル基等のアリールC1-9アルキル基の他、該アリール基上の任意の位置にC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルカノイル基等の置換基が1~3個置換したもの等を挙げることができる。
【0052】
、R及びRで示される置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基としては、例えば、2-フェニルエテニル基、2-ナフチルエテニル基等のアリールC2-9アルケニル基の他、該アリール基上の任意の位置にC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルカノイル基等の置換基が1~3個置換したもの等を挙げることができる。前記アリールC2-9アルケニル基におけるアルケニル基は、例えば、二重結合を1~3個有するものである。
【0053】
、R及びRで示される置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基としては、例えば、2-フェニルエチニル基、2-ナフチルエチニル基等のアリールC2-9アルキニル基の他、該アリール基上の任意の位置にC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルカノイル基等の置換基が1~3個置換したもの等を挙げることができる。前記アリールC2-9アルキニル基におけるアルキニル基は、例えば、三重結合を1~3個有するものである。
【0054】
、R及びRで示されるC1-20の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、C1-20のアルキル基、C2-20のアルケニル基、C2-20のアルキニル基等が挙げられる。より具体的には、C1-20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ノニル基等の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。C2-20のアルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ノネニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ノニニル基等が挙げられる。
【0055】
、R及びRで示されるC3-20の飽和又は不飽和脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ビシクロ[2,2,1]ヘプチル基、ビシクロ[2,2,2]オクチル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0056】
上記(i)におけるRとしては、置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基、C1-20の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又はC3-20の飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素基であることが好ましく、置換基を有することのあるアリール基又は置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基であることがさらに好ましい。
【0057】
上記(i)におけるRとしては、置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基、C1-20の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又はC3-20の飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素基であることが好ましく、C1-9のアルキル基であることがより好ましく、C3-9の分枝鎖状アルキル基であることが特に好ましい。C3-9の分枝鎖状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
【0058】
上記(i)におけるRとしては、置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基、C1-20の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又はC3-20の飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素基であることが好ましく、C1-9のアルキル基であることがより好ましく、C3-9の分枝鎖状アルキル基であることが特に好ましい。C3-9の分枝鎖状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
【0059】
上記(ii)におけるR及びRが互いに結合して、これらが隣接する炭素原子と共に形成されるC3-20の飽和又は不飽和環としては、例えば、C3-20のシクロアルカン環、C3-20のシクロアルケン環等が挙げられ、好ましくはC5-10のシクロアルカン環、C5-10のシクロアルケン環等が挙げられる。ここで、シクロアルカン環、シクロアルケン環とは、架橋部を有することで2以上の環を形成していてもよい。具体的には、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン環、ビシクロ[2,2,2]オクタン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ビシクロ[2,2,1]ヘプテン環、ビシクロ[2,2,2]オクテン環等が挙げられる。
【0060】
上記(iii)におけるR、R及びRは、これらが隣接する炭素原子と一緒になって形成されるC3-20の飽和又は不飽和環としては、例えば、C3-20のビシクロアルカン環、C3-20ビシクロアルケン環等が挙げられる。ここで、ビシクロアルカン環、ビシクロアルケン環とは、さらに架橋部を有することでさらなる環を形成していてもよい。この場合、第三級アルコールの水酸基は橋頭部の炭素原子に結合している。具体的には、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン環、ビシクロ[2,2,2]オクタン環、アダマンタン環、ビシクロ[2,2,1]ヘプテン環、ビシクロ[2,2,2]オクテン環等が挙げられる。
【0061】
で示されるC1-20の飽和又は不飽和炭化水素基としては、例えば、置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基、C1-20の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又はC3-20の飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素基が挙げられる。
【0062】
で示される置換基を有することのあるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基の他、該アリール基上の任意の位置にC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルカノイル基等の置換基が1~3個置換したもの等を挙げることができる。
【0063】
で示される置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基としては、例えば、2-フェニルエチル基等のアリールC1-9アルキル基の他、該アリール基上の任意の位置にC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルカノイル基等の置換基が1~3個置換したもの等を挙げることができる。
【0064】
で示される置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基としては、例えば、2-フェニルエテニル基、2-ナフチルエテニル基等のアリールC2-9アルケニル基の他、該アリール基上の任意の位置にC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルカノイル基等の置換基が1~3個置換したもの等を挙げることができる。前記アリールC2-9アルケニル基におけるアルケニル基は、例えば、二重結合を1~3個有するものである。
【0065】
で示される置換基を有することのある置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基としては、例えば、2-フェニルエチニル基、2-ナフチルエチニル基等のアリールC2-9アルキニル基の他、該アリール基上の任意の位置にC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルカノイル基等の置換基が1~3個置換したもの等を挙げることができる。前記アリールC2-9アルキニル基におけるアルキニル基は、例えば、三重結合を1~3個有するものである。
【0066】
で示されるC1-20の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、C1-20のアルキル基、C2-20のアルケニル基、C2-20のアルキニル基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ノニル基等の直鎖又は分枝鎖状アルキル基が挙げられる。アルケニル基としては、二重結合を1~10個有するものが挙げられ、より具体的には、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ノネニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、三重結合を1~10個有するものが挙げられ、より具体的には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ノニニル基等が挙げられる。
【0067】
で示されるC3-20の飽和又は不飽和脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ビシクロ[2,2,1]ヘプチル基、ビシクロ[2,2,2]オクチル基、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。
【0068】
としては、置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基、置換基を有することのあるアリールC2-9アルキニル基、C1-20の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、又はC3-20の飽和若しくは不飽和脂環式炭化水素基であることが好ましく、C1-9アルキル基、アリールC1-9アルキル基、置換基を有することのあるアリール基又は置換基を有することのあるアリールC2-9アルケニル基であることがより好ましい。
【0069】
上記(iv)におけるR、R及びRはこれらが隣接する炭素原子と一緒になってフェニル基を形成し、該フェニル基の2つのオルト位にはそれぞれC3-9の分枝鎖状炭化水素基を有している場合の上記一般式(1)で表される嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノールとは、一般式(8)
【0070】
【化9】
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【0071】
で表される嵩高いフェノールを含む。
【0072】
及びRにおけるC3-9の分枝鎖状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基等が挙げられる。
【0073】
におけるC1-9アルキル基としては、C1-6のアルキル基であることが好ましい。
【0074】
及びXで示されるハロゲン原子としては、例えば、弗素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等が挙げられる。
【0075】
としては、炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0076】
一般式(1)で表される嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノールに、金属ストロンチウム及び一般式(2)で表されるハロゲン化アルキルを作用させる反応(この反応を、以下「A反応」という)は、適当な溶媒中で行われる。
【0077】
ここで溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない溶媒を広く使用でき、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらの中では、テトラヒドロフランが好ましい。
【0078】
金属ストロンチウムの使用量は、一般式(1)の嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノールに対して、通常1~2当量、好ましくは1.2~1.7当量であり、一般式(2)のハロゲン化アルキルの使用量は、一般式(1)の嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノールに対して、通常1~2当量、好ましくは1.2~1.7当量である。
【0079】
A反応は、通常0~35℃程度、好ましくは室温付近にて行われ、一般に20分~1時間程度で反応は終了する。
【0080】
A反応により生成する一般式(3)の化合物に一般式(4)の酸ハライド及び/又は一般式(5)の酸無水物を作用させる反応(この反応を、以下「B反応」という)は、適当な溶媒中で行われる。B反応で使用される溶媒は、A反応で使用される溶媒と同じでよい。従って、反応の効率性の観点から、A反応終了後に、反応液に一般式(4)の酸ハライド及び/又は一般式(5)の酸無水物を加え、引続きB反応を続けるのが好ましい。
【0081】
一般式(4)の酸ハライド及び一般式(5)の酸無水物は、どちらか一方を使用してもよいし、両方を併用してもよい。
【0082】
一般式(4)の酸ハライド又は一般式(5)の酸無水物の使用量は、一般式(3)の化合物に対して、通常1~2当量、好ましくは1.2~1.7当量である。
【0083】
B反応は、通常0~35℃程度、好ましくは室温付近にて行われ、一般に40分~2時間程度で反応は終了する。斯くして所望する一般式(6)で表される嵩高い第三級アルコール若しくは嵩高いフェノール由来のエステルが高収率で製造される。
【0084】
上記で得られる反応混合物から、一般式(6)のエステルを単離及び精製するに当たっては、公知の単離手段及び精製手段を採用できる。例えば、反応混合物から未反応の一般式(4)の酸ハライド及び/又は一般式(5)の酸無水物を除去するために、反応混合物をアンモニア水で洗浄した後、ジエチルエーテルで抽出し、次いでジエチルエーテル抽出物を乾燥し、濃縮した後、アルミカラムを用いて精製することにより、一般式(6)のエステルを高純度で得ることができる。
【発明の効果】
【0085】
本発明の方法によれば、所望する一般式(6)で表される嵩高い水酸基含有化合物由来のエステルを高収率且つ高純度で製造できる。
【0086】
本発明の方法は、上記(1)~(3)に示すような問題点がなく、一般式(6)で表される嵩高い水酸基含有化合物由来のエステルの工業的製造方法としてきわめて有利である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下に実施例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。

【0088】
実施例1
十分乾燥した2径の反応容器に、金属ストロンチウム132mg(1.51mmol)、一般式(1)で表される嵩高い水酸基含有化合物として1-フェニル-1-(2-メチルエチル)-3-メチル-1-プロパノール224mg(1.02mmol)、及び溶媒としてテトラヒドロフラン5mlを入れた。室温にて攪拌下、一般式(2)で表されるハロゲン化アルキルとして沃化メチル214mg(1.51mmol)を加え、30分攪拌し、一般式(3)で表されるストロンチウムアルコキシドを生成させた。その後一般式(4)で表される酸塩化物として塩化ベンゾイル210mg(1.49mmol)を加え、60分反応させた。反応を、14規定の濃アンモニア水2mlを加えて、反応を停止させた。ジエチルエーテル150mlを3回に分け、水層より有機物を抽出した。有機層を集め、5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥を行った。溶媒を減圧下除き、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製して、一般式(6)で表される嵩高いエステルである目的化合物(1-ベンジルオキシ-1-フェニル-1-(2-メチルエチル)-3-メチルプロパン)276mgを収率84%で得た。

【0089】
実施例2~16
適当な出発原料を用い、実施例1と同様にして、下記表1~表6に示す嵩高い水酸基含有化合物由来のエステルを製造した。酸無水物を用いる場合は、実施例1の塩化ベンゾイルに代えて酸無水物を用いた。なお、各表中、Phはフェニル基、t-Buはtert-ブチル基を意味する。

【0090】
【表1】
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【0091】
【表2】
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【0092】
【表3】
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【0093】
【表4】
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【0094】
【表5】
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【0095】
【表6】
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【0096】
実施例17
用いる嵩高い水酸基含有化合物を嵩高いフェノールである2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールに代えた以外は実施例1と同様にして、嵩高い水酸基含有化合物由来のエステルを製造した。

【0097】
【化10】
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【0098】
実施例18
十分乾燥した2径の反応容器に、金属ストロンチウム137mg(1.56mmol)、一般式(1)で表される嵩高い水酸基含有化合物として1-(2-フェニルエチル)-1-(2-メチルプロピル)-3-メチル-1-ブタノール236mg(0.95mmol)、及び溶媒としてテトラヒドロフラン5mlを入れた。室温にて攪拌下、一般式(2)で表されるハロゲン化アルキルとして沃化メチル269mg(1.89mmol)を加え、30分攪拌し、一般式(3)で表されるストロンチウムアルコキシドを生成させた。その後一般式(5)で表される酸無水物として無水酢酸166mg(1.46mmol)を加え、60分反応させた。反応を、14規定の濃アンモニア水2mlを加えて、反応を停止させた。ジエチルエーテル150mlを3回に分け、水層より有機物を抽出した。有機層を集め、5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥を行った。溶媒を減圧下除き、残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒;n-ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製して、一般式(6)で表される嵩高いエステルである目的化合物180mgを収率65%で得た。また、一般式(1)で表される嵩高い第三級アルコールである原料84mg(収率35%)を回収した。

【0099】
比較例1
十分乾燥した2径の反応容器に、一般式(1)で表される嵩高い水酸基含有化合物として1-(2-フェニルエチル)-1-(2-メチルプロピル)-3-メチル-1-ブタノール231mg(0.93mmol)、及び溶媒としてテトラヒドロフラン5mlを入れた。これに1.66mol/Lのn-ブチルリチウム/ヘキサン溶液0.72ml(n-ブチルリチウム換算で1.20mmol)を滴下し、これを30分攪拌した。その後一般式(5)で表される酸無水物として無水酢酸162mg(1.59mmol)を加え、60分反応させた。

【0100】
上記実施例と同様に嵩高い第三級アルコール由来のエステルの収率及び原料である嵩高い第三級アルコールの回収率を求めた。

【0101】
比較例2
上記比較例1におけるn-ブチルリチウムに代えて、n-ブチルマグネシウムクロライドを用いた以外は、比較例1と同様にして嵩高い第三級アルコール由来のエステルの収率及び原料である嵩高い第三級アルコールの回収率を求めた。

【0102】
実施例18、比較例1及び2の結果を表7に示す。

【0103】
【表7】
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【0104】
上記表7から明らかなように、特許文献2に記載される手法では嵩高い第三級アルコール由来のエステルを収率よく製造し得ない。なお、比較例1及び比較例2では金属試薬の使用量が実施例18の金属試薬の使用量より少ないが、これは金属試薬の使用量を実施例18の使用量と同じにすれば、好ましくない副反応が一段と起こり、目的化合物の収率がさらに低下するためである。

【0105】
さらに、精製工程前の残渣におけるH1-NMRのデータを観測したところ、比較例1においてn-ブチルリチウムを用いた場合、比較例2においてn-ブチルマグネシウムクロライドを用いた場合、双方とも、多くの不純物が含まれており、いくつかの副反応が進行していることが明らかになった。これは、余剰のn-ブチルリチウム及びn-ブチルマグネシウムクロライドと無水酸との副反応によるものであると考えられる。比較例1及び2における、目的物の収率と原料の回収率から求めた副反応による原料の消費割合はn-ブチルリチウムでは22%であり、n-ブチルマグネシウムクロライドでは27%であった。

【0106】
一方、実施例18において、金属ストロンチウムを用いた場合では、精製工程前の残渣におけるH1-NMRのデータを観測したところ、不純物を含んでおらず、目的物と原料のみのスペクトルが観測された。実施例18における、目的物の収率と原料の回収率の総和は100%であり、金属ストロンチウムを用いた本発明の方法では選択的に嵩高い水酸基含有化合物由来のエステルを製造できることが明白である。