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明細書 :ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、n-型半導体、n-型半導体の製造方法、および電子装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5515069号 (P5515069)
登録日 平成26年4月11日(2014.4.11)
発行日 平成26年6月11日(2014.6.11)
発明の名称または考案の名称 ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、n-型半導体、n-型半導体の製造方法、および電子装置
国際特許分類 C07F   7/10        (2006.01)
H01L  51/05        (2006.01)
H01L  51/30        (2006.01)
H01L  29/786       (2006.01)
H01L  51/42        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
H01L  21/368       (2006.01)
FI C07F 7/10 CSPW
H01L 29/28 100A
H01L 29/28 250H
H01L 29/78 618B
H01L 31/04 D
H05B 33/22 B
H05B 33/14 B
H01L 21/368 L
請求項の数または発明の数 17
全頁数 86
出願番号 特願2013-508915 (P2013-508915)
出願日 平成24年4月4日(2012.4.4)
国際出願番号 PCT/JP2012/059270
国際公開番号 WO2012/137853
国際公開日 平成24年10月11日(2012.10.11)
優先権出願番号 2011083220
優先日 平成23年4月4日(2011.4.4)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年9月30日(2013.9.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
発明者または考案者 【氏名】舟橋 正浩
【氏名】竹内 望美
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100115255、【弁理士】、【氏名又は名称】辻丸 光一郎
【識別番号】100129137、【弁理士】、【氏名又は名称】中山 ゆみ
【識別番号】100154081、【弁理士】、【氏名又は名称】伊佐治 創
審査官 【審査官】上村 直子
参考文献・文献 特表2010-531056(JP,A)
特開2010-196019(JP,A)
特表2010-500430(JP,A)
特表2009-532436(JP,A)
特開平08-051102(JP,A)
ROLAND,T. et al.,Ultrafast broadband laser spectroscopy reveals energy and charge transfer in novel donor-acceptor tr,Journal of Physics: Conference Series,2011年,Vol.276,p.012006/1-012006/6,Published online 2011.3.9
CAZACU,M. et al.,New imides based on perylene and siloxane derivatives,Dyes and Pigments,2011年,Vol.90, No.2,p.106-113,Available online 2011.1.1
YAO,D. et al.,Pigment-Mediated Nanoweb Morphology of Poly(dimethylsiloxane)-Substituted Perylene Bisimides,Macromolecules,2006年,Vol.39, No.23,p.7786-7788
調査した分野 C07F 7/10
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記化学式(I)で表される化合物のうち、下記化学式(A)で表される化合物以外の化合物であることを特徴とするペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化I】
JP0005515069B2_000054t.gif
【化A】
JP0005515069B2_000055t.gif
前記化学式(I)中、
~Rは、それぞれ、水素原子または下記化学式(II)もしくは(II-2)で表される置換基であり、同一でも異なっていても良く、~Rの少なくとも一つは下記化学式(II)もしくは(II-2)で表される置換基であり
【化II】
JP0005515069B2_000056t.gif
【化II-2】
JP0005515069B2_000057t.gif
前記化学式(II)および(II-2)中、
11およびR 12は、それぞれ、水素原子、低級アルキル基、またはフッ素原子であり、R 11とR 12とは同一でも異なっていても良く、各R 11は同一でも異なっていても良く、各R 12は同一でも異なっていても良く、
mは、0または正の整数であり、前記化学式(I)中に複数存在する場合は同一でも異なっていても良く、
nは、0または正の整数であり、前記化学式(I)中に複数存在する場合は同一でも異なっていても良く、
sは、0または1であり、
tは、1または2であり、
★は、前記化学式(I)中の炭素原子への結合手を表し、
~R10は、それぞれ、低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはハロゲンであり、同一でも異なっていても良くo、p、qおよびrは、置換数であり、それぞれ、0から2までの整数であり、同一でも異なっていても良く、oが2の場合、2個のRは同一でも異なっていても良く、pが2の場合、2個のRは同一でも異なっていても良く、qが2の場合、2個のRは同一でも異なっていても良く、rが2の場合、2個のR10は同一でも異なっていても良く、
およびL は、それぞれ、単結合または連結基であり、同一でも異なっていても良く、
前記連結基が、それぞれ、アルキレン基、環状構造を含む飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、セレノ基(-Se-)、アミド結合(-NH-CO- または -CO-NH-)、エステル結合(-CO-O- または -O-CO-)、イミノ基(-NH-)、もしくはチオエステル結合(-CO-S- または -S-CO-)であり、前記アルキレン基、前記環状構造を含む飽和炭化水素基、および前記不飽和炭化水素基は、さらに置換基を有していても有していなくても良く、前記アルキレン基、前記環状構造を含む飽和炭化水素基、および前記不飽和炭化水素基中にメチレン基が存在する場合、前記メチレン基は、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、セレノ基(-Se-)、アミド結合(-NH-CO- または -CO-NH-)、エステル結合(-CO-O- または -O-CO-)、イミノ基(-NH-)、もしくはチオエステル結合(-CO-S- または -S-CO-)で置換されていても良いか、または、
前記連結基が、下記式(III)で表される基であり、
【化III】
JP0005515069B2_000058t.gif
前記式(III)中、Arは、アリーレン基であり、前記化学式(I)中に複数存在する場合は同一でも異なっていても良く、
11およびL 12は、それぞれ、単結合、アルキレン基、環状構造を含む飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、セレノ基(-Se-)、アミド結合(-NH-CO- または -CO-NH-)、エステル結合(-CO-O- または -O-CO-)、イミノ基(-NH-)、もしくはチオエステル結合(-CO-S- または -S-CO-)であり、前記アルキレン基、前記環状構造を含む飽和炭化水素基、および前記不飽和炭化水素基は、さらに置換基を有していても有していなくても良く、前記アルキレン基、前記環状構造を含む飽和炭化水素基、および前記不飽和炭化水素基中にメチレン基が存在する場合、前記メチレン基は、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、セレノ基(-Se-)、アミド結合(-NH-CO- または -CO-NH-)、エステル結合(-CO-O- または -O-CO-)、イミノ基(-NH-)、もしくはチオエステル結合(-CO-S- または -S-CO-)で置換されていても良く、L 11とL 12とは同一でも異なっていても良く、L 11は、前記化学式(I)中に複数存在する場合は同一でも異なっていても良く、L 12は、前記化学式(I)中に複数存在する場合は同一でも異なっていても良く、
★Cは、前記化学式(I)中の炭素原子への結合手を表し、
★Nは、前記化学式(I)中の窒素原子への結合手を表し、
前記化学式(A)中、
は、下記化学式(A1)で表される基であり、
【化A1】
JP0005515069B2_000059t.gif
前記化学式(A1)中、mは、0から10までの整数である。
【請求項2】
前記化学式(II)中、
mが、0から20までの整数であり、
nが、0から30までの整数である、
請求項記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【請求項3】
前記式(III)中、
Arが、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、2,2’-ビフェニレン基、2,3’-ビフェニレン基、2,4’-ビフェニレン基、3,3’-ビフェニレン基、3,4’-ビフェニレン基、4,4’-ビフェニレン基、または2,5-チエニレン基である請求項1または2記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【請求項4】
前記化学式(III)中、
およびLにおいて、前記連結基が、それぞれ、単結合、アルキレン基、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、またはセレノ基(-Se-)である請求項1から3のいずれか一項に記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【請求項5】
下記化学式(1)または(2)で表される請求項1または2記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化1】
JP0005515069B2_000060t.gif
【化2】
JP0005515069B2_000061t.gif
前記化学式(1)および(2)中、mおよびnは、前記化学式(II)と同じである。
【請求項6】
下記化学式(1-1)、(2-1)、(2-44)または(2-46)で表される請求項記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化1-1】
JP0005515069B2_000062t.gif
【化2-1】
JP0005515069B2_000063t.gif
【化2-44】
JP0005515069B2_000064t.gif
【化2-46】
JP0005515069B2_000065t.gif

【請求項7】
下記化学式(3)で表される請求項または記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化3】
JP0005515069B2_000066t.gif
前記化学式(3)中、mおよびnは、前記化学式(II)と同じである。
【請求項8】
下記化学式(4)で表される請求項または記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化4】
JP0005515069B2_000067t.gif
前記化学式(4)中、mおよびnは、前記化学式(II-2)と同じである。
【請求項9】
下記化学式(4-1)で表される請求項記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化4-1】
JP0005515069B2_000068t.gif

【請求項10】
下記化学式(5)で表される請求項または記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化5】
JP0005515069B2_000069t.gif
前記化学式(5)中、mおよびnは、前記化学式(II)と同じである。
【請求項11】
下記化学式(5-1)で表される請求項10記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【化5-1】
JP0005515069B2_000070t.gif

【請求項12】
液晶性化合物である請求項1から11のいずれか一項に記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を含むことを特徴とするn-型半導体。
【請求項14】
レーザー色素、または光伝導体である請求項13記載のn-型半導体。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を溶媒に溶解させて溶液を調製する溶液調製工程と、
前記溶液を基材に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
前記塗布膜を乾燥させる乾燥工程とを含むことを特徴とする請求項13または14記載のn-型半導体の製造方法。
【請求項16】
請求項13または14記載のn-型半導体を含むことを特徴とする電子装置。
【請求項17】
電池、太陽電池、レーザー、有機EL装置、電界発光素子、トランジスター、または、メモリー素子である請求項16記載の電子装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、n-型半導体、n-型半導体の製造方法、および電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体は、電子写真感光体のみならず、電界発光素子(非特許文献1)、薄膜トランジスター(非特許文献2)、太陽電池(非特許文献3)などの電子デバイスへ応用されている。さらには、その柔軟性を生かした電子ペーパーへの応用が検討されている(非特許文献4)。
【0003】
実用的なデバイス作製を考えた場合、安価な溶液プロセスで薄膜作製ができることが望ましい。しかし、現在、電界発光素子や電界効果型トランジスターに用いられている有機半導体は、多くの場合、真空プロセスで製膜する必要がある。
【0004】
有機薄膜太陽電池においても、長らく真空蒸着膜が使用されてきた。これを解決するために、1993年のN. S. Sariciftciによるバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池の開発以来、溶液プロセスによって薄膜作製ができる共役高分子や置換基を導入したフラーレン誘導体が用いられている(非特許文献5)。しかし、高分子や共役高分子の凝集構造はアモルファス構造であるため、キャリア移動度が低い。
【0005】
一方、近年、溶液プロセスによって薄膜作製が可能で、しかも、電子移動度(キャリア移動度)が高い新しい有機半導体材料として液晶性半導体が注目されている(非特許文献6)。芳香環をコア部に有する液晶材料の高次の液晶相においては、分子性結晶に類似した分子の凝集構造が形成されるため、分子性結晶と同様の高速の電子伝導を実現することができる。その一方で、液晶材料は一般に長鎖のアルキル基を持つため、有機溶媒に対する溶解性(溶解度)が高く、溶液プロセスによる製膜が可能である。それに加えて、液晶相においては、分子運動の自由度に基づく柔軟性や流動性を示すため、多結晶薄膜で問題になる結晶粒界の形成が抑制され、高いキャリア移動度を示す高品位の半導体薄膜を容易に作製できるという特徴を持つ。本発明者はこれまで、液晶性半導体を用いることにより、電界効果型トランジスターを溶液プロセスによって作製することに成功した(非特許文献7~8、および特許文献1~3)。本発明者はさらに、液晶性半導体を用いて溶液プロセスにより高分子基板上に電界効果型トランジスターを作製し、3%の歪がかかっても特性が全く変化しないことを明らかにした(非特許文献9、特許文献3)。
【0006】
その他、p-型(「p型」と表記することもある)の導電性を示す液晶性半導体としては、トリフェニレン誘導体(非特許文献10)、フタロシアニン誘導体(非特許文献11)、ヘキサベンゾコロネン誘導体(非特許文献12)、オリゴチオフェン誘導体(非特許文献13)等、多数が知られている。
【0007】
一方、n-型(「n型」と表記することもある)液晶性半導体としては、例えば、アルキル基を導入した液晶性フラーレンが報告されており、電子輸送が確認されている(非特許文献14)。
【0008】
また、ペリレンテトラカルボン酸誘導体は、古くよりn-型半導体として知られている。すなわち、まず、ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの真空蒸着膜が、太陽電池(非特許文献15)や電界効果型トランジスター(非特許文献16)として検討されている。また、複数のアルキル鎖を導入したペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体が液晶相を示すことが明らかにされている(非特許文献17)。さらに、没食子酸エーテル部位を有するペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体が空間電荷制限電流測定によって、高い電子移動度を示すことが報告されている(非特許文献18)。また、他のペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体が室温付近で液晶相を示し、室温での電子移動度がTime-of-Flight(TOF)法により測定されている(非特許文献19)。他にも、室温で液晶相を示すn-型ペリレンテトラカルボン酸誘導体が合成されている(非特許文献20)。さらに、ペリレンテトラカルボン酸誘導体の有機溶媒への溶解性を向上させるために、芳香環部への置換基の導入が検討されている(非特許文献21)。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2008-013539号公報
【特許文献2】特開2009-137848号公報
【特許文献3】特開2009-231407号公報
【0010】

【非特許文献1】時任静士、未来材料、2009年6月号 p. 2.
【非特許文献2】M. Kitamura, Y. Arakawa, J. Phys.: Condens. Matter, 20, 184011 (2008)
【非特許文献3】C. J. Brabec, N. S. Sariciftci, J. C. Hummelen, Adv. Funct. Mater., 11, 15 (2001).
【非特許文献4】A. Dodabalapur, Materials Today, 9, 24 (2006).
【非特許文献5】N. S. Sariciftci, L. Smilowitz, A. J. Heeger, F. Wudl, Science, 258, 1474 (1992).
【非特許文献6】舟橋正浩、液晶、2006年10月号p.359-368
【非特許文献7】M. Funahashi, F. Zhang, N. Tamaoki, Adv. Mater. 19, 353 (2007).
【非特許文献8】M. Funahashi, Polymer Journal, 41, 459 (2009).
【非特許文献9】M. Funahashi, F. Zhang, N. Tamaoki, Org. Electr., 11, 363 (2010).
【非特許文献10】D. Adam, F. Closs, T. Frey, D. Funhoff, D. Haarer, H. Ringsdorf, P. Schuhmacher, K. Siemensmeyer, Phys. Rew. Lett, 70, 457 (1993).
【非特許文献11】P. G. Schouten, J. M. Warman, M. P. de Haas, C. F. van Nostrum, G. H. Gelinck, R. J. M. Nolte, M. J. Copyn, J. W. Zwikker, M. K. Engel, M. Hanack, Y. H. Chang, W. T. Fords, J. Am. Chem. Soc., 116, 6880 (1994).
【非特許文献12】W. Pisula, A. Menon, M. Stepputat, I. Lieberwirth, U. Kolb, A. Tracz, H. Sirringhaus, T. Pakula, and K. Muellen, Adv. Mater., 17, 684 (2005).
【非特許文献13】M. Funahashi andJ. Hanna, Adv. Mater., 17, 594-598 (2005).
【非特許文献14】T. Nakanishi, Y. Shen, J. Wang, S. Yagai, M. Funahashi, T. Kato, P. Fernandes, H. Moehwald, and D. G. Kurth, J. Am. Chem. Soc., 130, 9236 (2008).
【非特許文献15】C. W. Tang, Appl. Phys. Lett., 48, 183 (1986).
【非特許文献16】P. R. Malenfant, C. D. Dimitrakopoulos, J. D. Gelorme, L. L. Kosbar, T. O. Graham, Appl. Phys. Lett., 80, 2517 (2002).
【非特許文献17】Z. Chen, U. Baumeister, C. Tschierske, F. Wuerthner, Chem. Eur. J., 13, 450 (2007).
【非特許文献18】Z. An, J. Yu, S. C. Jones, S. Barlow, S. Yoo, B. Domercq, P. Prins, L. D. A. Siebbeles, B. Kippelen, S. R. Marder, Adv. Mater., 17, 2580 (2005).
【非特許文献19】V. Duzhko, E. Aqad, M. R. Imam, M. Peterca, V. Percec, K. D. Singer, Appl. Phys. Lett., 92, 113312 (2008).
【非特許文献20】A. Wicklein, M-A. Muth, M. Thelakkat, J. Mater. Chem., 20, 8646 (2010).
【非特許文献21】F. Wuerthner, Chem. Commun., 1564 (2004).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
無機半導体デバイスと同様、有機半導体デバイスにおいても、多くの場合は、p-型半導体とn-型半導体とを組み合わせて用いることが必要である。しかし、これまでに研究されてきた有機半導体の多くは、p-型半導体である(例えば、非特許文献6~13および特許文献1~3)。n-型有機半導体の研究は、p-型有機半導体に比べてほとんど進んでいない。このため、n-型有機半導体では、p-型有機半導体と異なり、高い溶解性とバルク状態での高い電子移動度(キャリア移動度)とを両立し得るものは知られていない。例えば、非特許文献14における液晶性フラーレンでは、Time-of-Flight法によって評価した電子移動度は、10-3cm2/Vsと低い。非特許文献15~16に記載のペリレンテトラカルボン酸誘導体は、有機溶媒に対する溶解性が極めて低く、溶液プロセスによる製膜は不可能である。非特許文献17等に記載されている、複数のアルキル鎖を導入したペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体において、キャリア移動度や光導電性などの電子物性が明確に評価された化合物は限られている。非特許文献18記載のペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体の電子輸送性は、サンプルの調整法に依存し、再現性に劣る。非特許文献19記載のペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体の室温での電子移動度値は、10-5cm2/Vsのオーダーと低く、通常のアモルファス半導体と同程度である。非特許文献20においては、同文献記載のn-型ペリレンテトラカルボン酸誘導体の電子物性は、検討されていない。さらに、非特許文献17~20においては、これらの文献に記載の液晶性ペリレンテトラカルボン酸誘導体について、スピンコートなどの溶液プロセスによる製膜は検討されていない。また、非特許文献21では、前述のとおり、ペリレンテトラカルボン酸誘導体の有機溶媒への溶解性を向上させるために、芳香環部への置換基の導入が検討されている。しかし、この方法は、分子間のπ軌道の重なりを減少させるので、高キャリア移動度の有機半導体の分子設計としては不適である。
【0012】
そこで、本発明は、高いキャリア移動度を有するn-型半導体を形成可能であり、かつ、溶解性に優れたペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体の提供を目的とする。さらに、本発明は、前記ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体を用いたn-型半導体、n-型半導体の製造方法、および電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するために、本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体は、下記化学式(I)で表されることを特徴とするペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩である。
【化I】
JP0005515069B2_000002t.gif
前記化学式(I)中、
~Rは、それぞれ、水素原子、オルガノオリゴシロキサンから誘導される一価の置換基、または任意の置換基であり、同一でも異なっていても良く、R~Rの少なくとも一つはオルガノオリゴシロキサンから誘導される一価の置換基であり、前記オルガノオリゴシロキサンは、さらに置換基を有していても有していなくても良く、
~R10は、それぞれ、低級アルキル基、低級アルコキシ基、またはハロゲンであり、同一でも異なっていても良く、
およびLは、それぞれ、単結合または連結基であり、同一でも異なっていても良く、
o、p、qおよびrは、置換数であり、それぞれ、0から2までの整数であり、同一でも異なっていても良く、oが2の場合、2個のRは同一でも異なっていても良く、pが2の場合、2個のRは同一でも異なっていても良く、qが2の場合、2個のRは同一でも異なっていても良く、rが2の場合、2個のR10は同一でも異なっていても良い。
【0014】
本発明のn-型半導体は、前記本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明のn-型半導体の製造方法は、前記本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を溶媒に溶解させて溶液を調製する溶液調製工程と、前記溶液を基材に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を乾燥させる乾燥工程とを含むことを特徴とする、前記本発明のn-型半導体の製造方法である。
【0016】
また、本発明の電子装置は、前記本発明のn-型半導体を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高いキャリア移動度を有するn-型半導体を形成可能であり、かつ、溶解性に優れたペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体を提供することができる。さらに、本発明によれば、前記ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体を用いたn-型半導体、n-型半導体の製造方法、および電子装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1a-b】(a) 実施例3で作製した液晶試料を220℃から急冷した場合の30℃(Sm相)での偏光顕微鏡写真である。(b) (a)で作製した試料の室温でのX線回折パターンを示すグラフである。
【図1c-d】(c) 実施例3で合成した液晶試料を220℃から徐冷した場合の30℃(結晶相)での偏光顕微鏡写真である。(d) (c)で作製した試料の室温でのX線回折パターンを示すグラフである。
【図2】(a) 実施例4で作製した液晶試料の30℃(Col相)での偏光顕微鏡写真である。(b) 実施例4で作製した液晶試料の30℃でのX線回折パターンを示すグラフである。
【図3】(a) 実施例5で作製した液晶化合物(1-1)の結晶性薄膜の30℃での偏光顕微鏡写真である。(b) 実施例5で作製した結晶性薄膜の30℃でのX線回折パターンを示すグラフである。
【図4】(a) 実施例6で作製した液晶化合物(2-1)の液晶性薄膜の30℃での偏光顕微鏡写真である。(b) 実施例5で作製した液晶性薄膜の30℃でのX線回折パターンを示すグラフである。
【図5】実施例1および2で製造した液晶化合物(1-1)、および(2-1)の紫外‐可視吸収スペクトル図である。
【図6】(a) 実施例1で製造した液晶化合物(1-1)のジクロロメタン溶液中でのサイクリックボルタモグラムである。(b) 実施例1で製造した液晶化合物(2-1)のジクロロメタン溶液中でのサイクリックボルタモグラムである。
【図7】実施例2で製造した液晶化合物(2-1)の30℃カラムナー相での電子の過渡光電流を示すグラフである。試料の厚さは9μm、励起光波長は356nmである。
【図8】実施例1および2で製造した液晶化合物(1-1)、(2-1)のクロロホルム溶液中、および、薄膜状態での蛍光スペクトル図である。
【図9】実施例8で作製した、化合物(2-44)の液晶試料の偏光顕微鏡写真である。図9(a)は、136℃で撮影した偏光顕微鏡写真である。図9(b)は、30℃で撮影した偏光顕微鏡写真である。また、図9(c)は、偏光子を一方のみにして136.1℃で撮影した偏光顕微鏡写真である。
【図10】実施例7で製造した化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))の室温(30℃)でのX線回折(XRD)パターンを示すグラフである。
【図11A】化合物(2-44)の、TOF法による過渡光電流測定結果を示すグラフである。
【図11B】化合物(2-44)の、TOF法による過渡光電流測定結果を示すグラフである。
【図12A】図11Aおよび11Bと同様の過渡光電流測定を、測定温度を25℃から130℃まで変化させて行った結果を示すグラフである。
【図12B】図12Aにおける電場の強さ4.0×104V/cmでの測定結果を、温度と電子移動度との関数として示すグラフである。
【図13】実施例9で製造した化合物(2-46)((2)、m=0、n=3)のIRスペクトル図である。
【図14】実施例10で作製した、化合物(2-46)の液晶試料の偏光顕微鏡写真である。図14(a)および(b)は、いずれも、室温で撮影した偏光顕微鏡写真である。
【図15】化合物(2-46)の室温でのX線回折(XRD)パターンを示すグラフである。
【図16】化合物(2-46)の室温での紫外可視吸収スペクトル図である。
【図17】化合物(2-46)の室温での蛍光スペクトル図である。
【図18】化合物(2-46)の、TOF法による過渡光電流測定結果を示すグラフである。
【図19】実施例11で製造した化合物(4-1)((4)、m=0、n=1)のIRスペクトル図である。
【図20】実施例12で作製した、化合物(4-1)の液晶試料の偏光顕微鏡写真である。図20(a)および(b)は、いずれも、室温で撮影した偏光顕微鏡写真である。
【図21】化合物(4-1)の室温でのX線回折(XRD)パターンを示すグラフである。
【図22】化合物(4-1)の室温での紫外可視吸収スペクトル図である。
【図23】化合物(4-1)の室温での蛍光スペクトル図である。
【図24】実施例13で製造した化合物(5-1)((5)、m=1、n=1)のIRスペクトル図である。
【図25】実施例14で作製した、化合物(5-1)の液晶試料の偏光顕微鏡写真である。
【図26】化合物(5-1)の室温でのX線回折(XRD)パターンを示すグラフである。
【図27】化合物(5-1)の室温での紫外可視吸収スペクトル図である。
【図28】化合物(5-1)の室温での蛍光スペクトル図である。
【図29】化合物(5-1)の室温での紫外可視吸収スペクトルを、化合物(2-46)((2)、m=0、n=3)および化合物(4-1)((4)((4)、m=0、n=1)の紫外可視吸収スペクトルと対比させて示す図である。
【図30】化合物(5-1)の室温での紫外可視吸収スペクトルを、化合物(2-46)((2)、m=0、n=3)および化合物(4-1)((4)((4)、m=0、n=1)の蛍光スペクトルと対比させて示す図である。
【図31】化合物(5-1)の、TOF法による過渡光電流測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について例を挙げて説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。また、本発明において、数値限定により発明を定義する場合は、厳密にその数値でも良いし、約その数値でも良い。例えば、炭素原子数が「0から20まで」という場合、厳密に0から20まででも良いし、約0から20でも良い。また、例えば、温度が「20~40℃」という場合、厳密に20~40℃でも良いし、約20~40℃でも良い。

【0020】
[ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体]
本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体(以下、単に「本発明の化合物」という場合がある)は、前記化学式(I)で表されるとおり、オルガノオリゴシロキサンから誘導される一価の置換基(以下、単に「オルガノオリゴシロキサン基」という場合がある)を含む。本発明の化合物は、前記化学式(I)で表されることにより、高いキャリア移動度を有するn-型半導体を形成可能であり、かつ、溶解性に優れる。

【0021】
オルガノオリゴシロキサン部位をアルキル側鎖末端に導入した液晶材料は、これまでにも合成されている。具体的には、液体的なオルガノオリゴシロキサン部位がアルキル鎖や芳香環コア部位からナノ相分離することにより、層状構造の形成、すなわち、スメクティック相の出現を促進することが知られている(J. Newton, H. Coles, P. Hodge, J. Hannington, J. Mater. Chem., 4, 869 (1994).)。トリフェニレン誘導体でも同様の検討が行われており、ナノ相分離によってカラムナー相の出現が促進されることが報告されている(A. Zelcer, B. Donnio, C. Bourgogne, F. D. Cukiernik, D. Guillon, Chem. Mater., 19, 1992 (2007).)。

【0022】
しかし、有機半導体分子にオルガノオリゴシロキサン基を導入した例はなく、溶解性や製膜性の向上は検討されていなかった。また、オリゴオルガノシロキサン基を導入した液晶材料の半導体としての電子物性は全く検討されていなかった。

【0023】
本発明者は、n-型有機半導体において、高い溶解性と高いキャリア移動度との両立という課題を見出し、これを解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体にオルガノオリゴシロキサン基を導入した本発明の化合物を見出し、本発明を完成するに至った。本発明の化合物は、電子親和力が高いことにより、n-型半導体の用途に適する。また、本発明の化合物は、キャリア移動度(電子移動度)が高いことにより、良好な電子輸送性を示し得る。

【0024】
有機半導体の導電性を司るπ電子共役系は、一般に、電子過剰であることによりp-型の導電性を示しやすい。したがって、n-型の導電性を示しやすい電子不足のπ電子共役系は、設計および合成が困難である。これにより、n-型有機半導体の骨格は、p-型有機半導体に比べてバリエーションが少なく、ペリレンテトラカルボン酸誘導体、フラーレン等のごく限られた構造しか知られていない。このため、前述のとおり、高い溶解性と高いキャリア移動度とを両立し得るn-型有機半導体は、これまで知られていなかった。

【0025】
前述のとおり、ペリレンテトラカルボン酸誘導体等に関する先行技術文献(例えば、非特許文献14~21)によれば、高い溶解性と高いキャリア移動度とを両立し得ないか、または、これらの両立自体の検討がされていない。これに対し、本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体においては、高い溶解性と高いキャリア移動度とを両立し得る。この理由は必ずしも明らかではないが、例えば、以下のように説明することができる。

【0026】
すなわち、まず、π電子共役系の骨格が同じである場合、溶解性の向上とキャリア移動度の向上とは、トレードオフの傾向にある。すなわち、溶解性を上げるためには、π電子共役系同士の相互作用を弱めることが有効である。しかし、π電子共役系同士の相互作用を弱めると、π軌道の重なりが小さくなるため、キャリア移動度の低下につながる。例えば、前述のとおり、非特許文献21では、ペリレンテトラカルボン酸誘導体の有機溶媒への溶解性向上のために、芳香環に置換基が導入されているが、分子間のπ軌道の重なりが減少することにより、キャリア移動度が低下する。これに対し、本発明においては、オルガノオリゴシロキサン基を導入したことにより、ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体の分子の凝集状態を適切に制御でき、π軌道どうしの重なり(スタッキング)を損なうことなく溶解性を向上できたと考えられる。ただし、この説明は例示であって、本発明を限定しない。

【0027】
なお、ペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体の電子親和力が高い理由も、必ずしも明らかではないが、例えば、イミド基(カルボニル基)がペリレン環から電子を吸引し、ペリレン環が電子不足となって電子親和力が高まるためと考えられる。ただし、この説明も、可能なメカニズムの一例を示すものであり、本発明を限定しない。

【0028】
本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体において、前記化学式(I)中のR~Rは、前述のとおり、少なくとも一つが、オルガノオリゴシロキサンから誘導される一価の置換基である。前記オルガノオリゴシロキサンから誘導される一価の置換基は、特に限定されないが、それぞれ、下記化学式(II)または(II-2)で表される置換基であることが好ましい。
【化II】
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【化II-2】
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前記化学式(II)および(II-2)中、
11およびR12は、それぞれ、水素原子、低級アルキル基、またはフッ素原子であり、R11とR12とは同一でも異なっていても良く、各R11は同一でも異なっていても良く、各R12は同一でも異なっていても良く、
mは、0または正の整数であり、前記化学式(I)中に複数存在する場合は同一でも異なっていても良く、
nは、0または正の整数であり、前記化学式(I)中に複数存在する場合は同一でも異なっていても良く、
sは、0または1であり、
tは、1または2であり、
★は、前記化学式(I)中の炭素原子への結合手を表す。

【0029】
本発明の化合物における液晶性の示しやすさの観点から、前記化学式(II)中のmは、適切な数値であることが好ましい。前記化学式(II)中のmの具体的な数値は、前記化学式(I)中におけるオルガノオリゴシロキサン基の数等にもよるが、0から20までの整数であることが好ましく、0から6までの整数であることがより好ましい。mは、例えば、0でも良いが、1以上の整数でも良い。特に、m=0の場合、例えば、後述の実施例に示す化合物(2-44)および(2-46)のように、きわめて高いキャリア移動度を示す場合があり、好ましい。また、nは、0から30までの整数であることが好ましく、0から18までの整数であることがより好ましい。さらに、R11およびR12において、前記低級アルキル基は、炭素数1から5の直鎖または分枝アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。

【0030】
前記化学式(I)中におけるR~Rの少なくとも一つはオルガノオリゴシロキサン基であるが、その他は、オルガノオリゴシロキサン基でも良いし、水素原子または任意の置換基でも良い、前記任意の置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルカノイル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ペルフルオロアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルカノイル基、アシルオキシ基、および、アルカノイルオキシ基等が挙げられる。

【0031】
前記化学式(I)中、
およびLにおいて、前記連結基が、それぞれ、アルキレン基、環状構造を含む飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、セレノ基(-Se-)、アミド結合(-NH-CO- または -CO-NH-)、エステル結合(-CO-O- または -O-CO-)、イミノ基(-NH-)、もしくはチオエステル結合(-CO-S- または -S-CO-)であり、前記アルキレン基、前記環状構造を含む飽和炭化水素基、および前記不飽和炭化水素基は、さらに置換基を有していても有していなくても良く、前記アルキレン基、前記環状構造を含む飽和炭化水素基、および前記不飽和炭化水素基中にメチレン基が存在する場合、前記メチレン基は、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、セレノ基(-Se-)、アミド結合(-NH-CO- または -CO-NH-)、エステル結合(-CO-O- または -O-CO-)、イミノ基(-NH-)、もしくはチオエステル結合(-CO-S- または -S-CO-)で置換されていても良い。前記アルキレン基は、例えば、炭素数1~8の直鎖または分枝アルキレン基であっても良い。前記環状構造を含む飽和炭化水素基は、例えば、炭素数3~10の単環または縮合環のシクロアルキレン基でも良いし、その片側または両側にアルキレン基(例えば、炭素数1~8の直鎖または分枝アルキレン基)が結合した基でも良い。前記炭素数3~10の単環または縮合環のシクロアルキレン基は、特に限定されないが、例えば、シクロヘキサン、デカリン等から誘導されるシクロアルキレン基が挙げられる。また、前記不飽和炭化水素基は、例えば、前記アルキレン基、または前記環状構造を含む飽和炭化水素基中の1または複数の単結合が、それぞれ二重結合または三重結合で置換された基であっても良い。また、前記不飽和炭化水素基が環状構造を含む場合は、前記環状構造は、芳香環でも非芳香環でも良い。また、前記アルキレン基、前記環状構造を含む飽和炭化水素基、および前記不飽和炭化水素基が、さらに置換基を有する場合、前記置換基は、1でも複数でも良い。前記置換基は、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルカノイル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ペルフルオロアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルカノイル基、アシルオキシ基、および、アルカノイルオキシ基等が挙げられる。
または、LおよびLにおいて、前記連結基が、下記式(III)で表される基であっても良い。
【化III】
JP0005515069B2_000005t.gif

【0032】
前記式(III)中、Arは、アリーレン基であり、前記化学式(I)中に複数存在する場合は同一でも異なっていても良く、
11およびL12は、それぞれ、単結合、アルキレン基、環状構造を含む飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、セレノ基(-Se-)、アミド結合(-NH-CO- または -CO-NH-)、エステル結合(-CO-O- または -O-CO-)、イミノ基(-NH-)、もしくはチオエステル結合(-CO-S- または -S-CO-)であり、前記アルキレン基、前記環状構造を含む飽和炭化水素基、および前記不飽和炭化水素基は、さらに置換基を有していても有していなくても良く、前記アルキレン基、前記環状構造を含む飽和炭化水素基、および前記不飽和炭化水素基中にメチレン基が存在する場合、前記メチレン基は、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、セレノ基(-Se-)、アミド結合(-NH-CO- または -CO-NH-)、エステル結合(-CO-O- または -O-CO-)、イミノ基(-NH-)、もしくはチオエステル結合(-CO-S- または -S-CO-)で置換されていても良い。
11およびL12において、前記環状構造を含む飽和炭化水素基は、例えば、炭素数3~10の単環または縮合環のシクロアルキレン基でも良いし、その片側または両側にアルキレン基(例えば、炭素数1~8の直鎖または分枝アルキレン基)が結合した基でも良い。前記炭素数3~10の単環または縮合環のシクロアルキレン基は、特に限定されないが、例えば、シクロヘキサン、デカリン等から誘導されるシクロアルキレン基が挙げられる。また、前記不飽和炭化水素基は、例えば、前記アルキレン基、または前記環状構造を含む飽和炭化水素基中の1または複数の単結合が、それぞれ二重結合または三重結合で置換された基であっても良い。また、前記不飽和炭化水素基が環状構造を含む場合は、前記環状構造は、芳香環でも非芳香環でも良い。また、前記アルキレン基、前記環状構造を含む飽和炭化水素基、および前記不飽和炭化水素基が、さらに置換基を有する場合、前記置換基は、1でも複数でも良い。前記置換基は、特に限定されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルカノイル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ペルフルオロアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルカノイル基、アシルオキシ基、および、アルカノイルオキシ基等が挙げられる。
また、L11とL12とは同一でも異なっていても良く、L11は、前記化学式(I)中に複数存在する場合は同一でも異なっていても良く、L12は、前記化学式(I)中に複数存在する場合は同一でも異なっていても良く、
★Cは、前記化学式(I)中の炭素原子への結合手を表し、
★Nは、前記化学式(I)中の窒素原子への結合手を表す。

【0033】
前記式(III)中、Ar(アリーレン基)は、特に限定されず、例えば、炭素芳香環でも良いし、複素芳香環(ヘテロ芳香環)でも良い。Arは、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、2,2’-ビフェニレン基、2,3’-ビフェニレン基、2,4’-ビフェニレン基、3,3’-ビフェニレン基、3,4’-ビフェニレン基、4,4’-ビフェニレン基、または2,5-チエニレン基であることが好ましい。また、前記化学式(III)中、LおよびLにおいて、前記連結基が、それぞれ、単結合、アルキレン基、オキシ基(-O-)、チオ基(-S-)、またはセレノ基(-Se-)であることが好ましい。

【0034】
前記化学式(I)中のR~R10は、本発明の化合物における液晶性の示しやすさの観点から、あまり嵩高くない置換基であるか、または、存在しない(置換数が0である)ことが好ましい。例えば、R~R10において、前記ハロゲンは、ヨウ素(I)よりも臭素(Br)が好ましく、臭素(Br)よりも塩素(Cl)が好ましく、塩素(Cl)よりもフッ素(F)が好ましい。また、R~R10において、前記低級アルキル基および前記アルコキシ基の炭素数は、好ましくは1~5、より好ましくは1~3、特に好ましくは1~2である。なお、前記低級アルキル基および前記アルコキシ基は、直鎖状でも分枝状でも良い。

【0035】
本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体は、下記化学式(1)または(2)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩であることがより好ましい。
【化1】
JP0005515069B2_000006t.gif
【化2】
JP0005515069B2_000007t.gif
前記化学式(1)および(2)中、mおよびnは、前記化学式(II)と同じである。

【0036】
前記化学式(1)のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体において、液晶性の示しやすさの観点から、mは、0から5までの整数であることが、さらに好ましい。例えば、前記化学式(1)の化合物において、各mの一部または全部が(特に全部が)0の場合は、結晶にはなるが液晶相を示さない場合がある。前記化学式(1)の化合物において、各mの一部または全部が(特に全部が)6以上の場合は、例えば、加熱溶融後に冷却しても、等方性液体の状態を保持し、液晶相を示さない場合がある。また、化学式(1)の分子は、ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの窒素原子と直鎖オルガノオリゴシロキサン基とが、直鎖アルキレン基を介して連結された構造であると言える。前記直鎖アルキレン基としては、プロピレン基(n=1)、ブチレン基(n=2)、ペンチレン基(n=3)、ヘキシレン基(n=4)などが挙げられるが、特に好ましくは、プロピレン基である。末端のオルガノオリゴシロキサン基としては、1,1,1,3,3,-ペンタメチルジシロキサン(m=0)、1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(m=1)、1,1,1,3,3,5,5,7,7-ノナメチルテトラシロキサン(m=2)、1,1,1,3,3,5,5,7,7,9,9-ウンデカメチルペンタシロキサン(m=3)などが挙げられるが、1,1,1,3,3,-ペンタメチルジシロキサンまたは1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンが特に好ましい。

【0037】
前記化学式(2)のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体において、液晶性の示しやすさの観点から、mは、0から3までの整数であることが、さらに好ましい。例えば、前記化学式(2)の化合物において、各mの一部または全部が(特に全部が)0の場合は、結晶にはなるが液晶相を示さない場合がある。しかし、後述の実施例の化合物(2-44)または(2-46)のように、問題なく液晶相を示す場合もある。また、m=0の場合、例えば、前記化合物(2-44)および(2-46)のように、きわめて高いキャリア移動度を示す場合があり、好ましい。前記化学式(2)の化合物において、各mの一部または全部が(特に全部が)4以上の場合は、例えば、加熱溶融後に冷却しても、等方性液体の状態を保持し、液晶相を示さない場合がある。また、化学式(2)の分子は、ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの窒素原子にメチン基が結合し、そのメチン基と直鎖オルガノオリゴシロキサン基とが、直鎖アルキレン基を介して連結された構造であると言える。前記直鎖アルキレン基としては、プロピレン基(n=0)、ブチレン基(n=1)、ペンチレン基(n=2)、ヘキシレン基(n=3)などが挙げられるが、特に好ましくは、プロピレン基である。末端のオルガノオリゴシロキサン基としては、1,1,1,3,3,-ペンタメチルジシロキサン(m=0)、1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(m=1)、1,1,1,3,3,5,5,7,7-ノナメチルテトラシロキサン(m=2)、1,1,1,3,3,5,5,7,7,9,9-ウンデカメチルペンタシロキサン(m=3)などが挙げられるが、1,1,1,3,3,-ペンタメチルジシロキサンまたは1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンが特に好ましい。

【0038】
前記化学式(1)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体は、例えば、下記化学式(1-1)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体であっても良い。また、前記化学式(2)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体は、例えば、下記化学式(2-1)、(2-44)または(2-46)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体であっても良い。なお、下記化学式(1-1)は、前記化学式(1)において、mおよびnが、全て1である場合を表す。下記化学式(2-1)は、前記化学式(2)において、mおよびnが、全て1である場合を表す。下記化学式(2-44)は、前記化学式(2)において、mが全て0であり、nが全て1である場合を表す。下記化学式(2-46)は、前記化学式(2)において、mが全て0であり、nが全て3である場合を表す。
【化1-1】
JP0005515069B2_000008t.gif
【化2-1】
JP0005515069B2_000009t.gif
【化2-44】
JP0005515069B2_000010t.gif
【化2-46】
JP0005515069B2_000011t.gif

【0039】
または、本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体は、下記化学式(3)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩であることがより好ましい。
【化3】
JP0005515069B2_000012t.gif
前記化学式(3)中、mおよびnは、前記化学式(II)と同じである。

【0040】
または、本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体は、下記化学式(4)もしくは(5)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩であることがより好ましい。
【化4】
JP0005515069B2_000013t.gif
【化5】
JP0005515069B2_000014t.gif
前記化学式(4)および(5)中、mおよびnは、前記化学式(II)と同じである。

【0041】
前記化学式(4)のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体において、液晶性の示しやすさの観点から、mは、0から3までの整数であることが、さらに好ましい。また、化学式(4)の分子は、ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの窒素原子と直鎖オルガノオリゴシロキサン基とが、直鎖アルキレン基を介して連結された構造であると言える。前記直鎖アルキレン基としては、プロピレン基(n=1)、ブチレン基(n=2)、ペンチレン基(n=3)、ヘキシレン基(n=4)などが挙げられるが、特に好ましくは、プロピレン基である。末端のオルガノオリゴシロキサン基としては、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(m=0)、1,1,1,3,3,5,7,7,9,9,9-ウンデカメチルペンタシロキサン(m=1)、1,1,1,3,3,5,5,7,9,9,11,11,13,13,13-ペンタデカメチルヘプタシロキサン(m=2)、1,1,1,3,3,5,5,7,7,9,11,11,13,13,15,15,17,17,17-ノナデカメチルノナシロキサン(m=3)などが挙げられるが、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(m=0)または1,1,1,3,3,5,7,7,9,9,9-ウンデカメチルペンタシロキサン(m=1)が特に好ましい。

【0042】
前記化学式(5)のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体において、液晶性の示しやすさの観点から、mは、0から6までの整数であることが、さらに好ましい。また、化学式(5)の分子は、ペリレンテトラカルボン酸ビスイミドの窒素原子にメチン基が結合し、そのメチン基と直鎖オルガノオリゴシロキサン基とが、直鎖アルキレン基を介して連結された構造であると言える。前記直鎖アルキレン基としては、プロピレン基(n=0)、ブチレン基(n=1)、ペンチレン基(n=2)、ヘキシレン基(n=3)などが挙げられるが、特に好ましくは、プロピレン基である。末端のオルガノオリゴシロキサン基としては、1,1,1,3,3,-ペンタメチルジシロキサン(m=0)、1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(m=1)、1,1,1,3,3,5,5,7,7-ノナメチルテトラシロキサン(m=2)、1,1,1,3,3,5,5,7,7,9,9-ウンデカメチルペンタシロキサン(m=3)などが挙げられるが、1,1,1,3,3,-ペンタメチルジシロキサンまたは1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンが特に好ましい。

【0043】
前記化学式(4)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体は、例えば、下記化学式(4-1)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体であっても良い。また、前記化学式(5)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体は、例えば、下記化学式(5-1)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体であっても良い。なお、下記化学式(4-1)は、前記化学式(1)において、mが全て0であり、nが全て1である場合を表す。下記化学式(5-1)は、前記化学式(5)において、mおよびnが、全て1である場合を表す。

【0044】
【化4-1】
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【化5-1】
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【0045】
なお、前記化学式(I)で表される構造に互変異性体または立体異性体(例:幾何異性体、配座異性体および光学異性体)等の異性体が存在する場合は、本発明の化合物の構造は、それらの異性体であっても良い。また、本発明の化合物は、前記化学式(I)で表されるペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体またはその異性体の塩であっても良い。前記塩は、酸付加塩でも塩基付加塩でもよい。さらに、前記酸付加塩を形成する酸は無機酸でも有機酸でも良く、前記塩基付加塩を形成する塩基は無機塩基でも有機塩基でもよい。前記無機酸としては、特に限定されないが、例えば、硫酸、リン酸、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜フッ素酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、亜フッ素酸、亜塩素酸、亜臭素酸、亜ヨウ素酸、フッ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過フッ素酸、過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸等が挙げられる。前記有機酸も特に限定されないが、例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモベンゼンスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸、ヒドロキシカルボン酸、プロピオン酸、マロン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。前記無機塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩等があげられ、より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。前記有機塩基も特に限定されないが、例えば、アルコールアミン、トリアルキルアミン、テトラアルキルアンモニウム、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等が挙げられる。前記アルコールアミンとしては、例えば、エタノールアミン等が挙げられる。前記トリアルキルアミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等が挙げられる。前記テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム等が挙げられる。これらの塩の製造方法も特に限定されず、例えば、前記ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体に、前記のような酸や塩基を公知の方法により適宜付加させる等の方法で製造することができる。

【0046】
また、本発明において、アルキル基、アルケニル基等の鎖状の基は、特に断らない限り、直鎖状でも分枝状でも良い。本発明において、アルキル基は、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。アルキル基から誘導される基(例えば、アルキレン基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルカノイル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ペルフルオロアルキル基、アルコキシアルキル基等)においても同様である。本発明において、アシル基としては、特に限定されないが、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、シクロヘキサノイル基、ベンゾイル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ、アシル基を構造中に含む基(アシルオキシ基、アルカノイルオキシ基等)においても同様である。また、本発明において、アシル基の炭素数にはカルボニル炭素を含み、例えば、炭素数1のアルカノイル基(アシル基)とはホルミル基を指すものとする。さらに、本発明において、「ハロゲン」とは、任意のハロゲン元素を指すが、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。

【0047】
なお、前記化学式(1)または(2)で表される本発明の化合物において、前記化学式(1-1)および(2-1)以外の具体例としては、例えば、下記表1(表1-1~1-3)および表2(表2-1~2-3)に記載の化合物が挙げられる。

【0048】
【表1-1】
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【0049】
【表1-2】
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【0050】
【表1-3】
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【0051】
【表2-1】
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【0052】
【表2-2】
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【表2-3】
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【0053】
前記化学式(3)で表される本発明の化合物の具体例としては、例えば、下記表3(表3-1~3-3)に記載の化合物が挙げられる。

【0054】
【表3-1】
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【0055】
【表3-2】
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【0056】
【表3-3】
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【0057】
前記化学式(4)で表される本発明の化合物の具体例としては、例えば、下記表4(表4-1~4-2)に記載の化合物が挙げられる。
【表4-1】
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【表4-2】
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【0058】
前記化学式(5)で表される本発明の化合物の具体例としては、例えば、下記表5(表5-1~5-2)に記載の化合物が挙げられる。
【表5-1】
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【表5-2】
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【0059】
さらに、前記化学式(1)、(2)、(3)、(4)および(5)以外で表される本発明の化合物の具体例としては、例えば、下記表6に記載の化合物が挙げられる。
【表6】
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【0060】
本発明の化合物は、n-型半導体としての使い勝手の観点から、液晶性化合物であることが好ましい。なお、本発明において、「液晶性化合物」は、液晶相を示し得る(液晶相の形態をとり得る)性質を有する化合物を言う。以下において、液晶性化合物である本発明の化合物を「本発明の液晶性化合物」ということがある。本発明の液晶性化合物において、液晶相を示し得る温度は、特に限定されないが、n-型半導体としての使い勝手の観点から、室温または室温付近で液晶相をとり得ることがより好ましい。本発明において、「室温」は、特に限定されないが、例えば-10℃~60℃、好ましくは0~50℃、より好ましくは10~45℃、さらに好ましくは15~40℃、特に好ましくは20~40℃である。

【0061】
複数のアルキル鎖を導入した、液晶相を示すペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体が公知である。しかし、それらの多くにおいて、液晶相を示す温度は高温であり、室温では結晶化する。また、キャリア移動度や光導電性などの電子物性が明確に評価された化合物は限られている(非特許文献17)。本発明の液晶性化合物は、例えば、公知のペリレンテトラカルボン酸誘導体またはペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体よりも、液晶相を示す温度領域が低温であることが好ましい。これにより、本発明の液晶性化合物は、例えば、室温で液晶相を示すことができる。このような効果は、例えば、本発明の液晶性化合物が、オルガノオリゴシロキサン基を含む側鎖を有し、かつ、その側鎖の長さ(例えば、前記化学式(II)中のmおよびn)が適切に設定されていることで得られる。n-型有機半導体に限らず、公知の電子輸送材料全般において、室温で液晶相を示し得る材料は少なく、きわめて限定されている。本発明の液晶性化合物は、室温で液晶相を示し得ることにより、例えば、室温または室温付近の温度で、きわめて良好な電子輸送性を示す。このことは、電子輸送材料としての使い勝手がきわめて良いことを意味し、公知技術からは予測困難な有利な効果である。また、例えば、前記オルガノオリゴシロキサン基を含む側鎖の長さを変化させることで、液晶相を示す温度を、室温に限らず適宜な温度に変化させることも可能である。ただし、これらの説明は例示であり、本発明の化合物を限定しない。

【0062】
本発明の化合物の製造方法は特に限定されず、任意である。前記化学式(1)または(2)で表される化合物は、例えば、対応するペリレンテトラカルボン酸ビス(ω-アルケニルイミド)またはペリレンテトラカルボン酸ビス(ω,ω-アルカジエニルイミド)と、対応するオリゴシロキサンとを、Karstedt触媒存在下、トルエン中で還流することにより、容易に合成(製造)できる。なお、Karstedt触媒とは、例えば、ビニルシロキサンに白金を配位させた触媒を言う。Karstedt触媒は、例えば、H2PtCl6とビニルシロキサンから調製することができる。前記化学式(1)で表される化合物は、より具体的には、例えば、下記スキーム1により合成可能であり、前記化学式(2)で表される化合物は、例えば、下記スキーム2により合成可能である。下記スキーム1においては、例えば、ペリレンテトラカルボン酸ビス(アリルイミド)(化合物(6)、m=1、n=1)と1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンとを、好ましくはKarstedt触媒存在下、トルエン中で加熱する。その後、溶媒を留去し、得られた粗生成物を、シリカゲル(展開溶媒はジクロロメタン)のカラムクロマトグラフィーとメタノールによる再沈殿により精製する。これにより、目的とするペリレンテトラカルボン酸ビス(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルプロピルイミド)(化合物(1)、m=1、n=1)が得られる。下記スキーム2においては、例えば、ペリレンテトラカルボン酸ビス(1,8-ノナジエン-5-イルイミド)(化合物(10)、m=1、n=1)と1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンとを、Karstedt触媒存在下、トルエン中で加熱する。その後、スキーム1の場合と同様に精製すると、ペリレンテトラカルボン酸ビス{ジ-(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルブチル)-メチルイミド}(化合物(2)、m=1、n=1)が得られる。なお、原料であるペリレンテトラカルボン酸ビス(アリルイミド)(化合物(6)、m=1、n=1)は、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)とアリルアミンとを、酢酸亜鉛存在下、キノリン中で加熱することにより得られる(下記スキーム1)。原料であるペリレンテトラカルボン酸ビス(1,8-ノナジエン-5-イルイミド)(化合物(10)、m=1、n=1)は、アリルアミンに代えて1,8-ノナジエン-5-イルアミン(化合物(9)、m=1、n=1)を用いる以外は化合物(6)と同様にして得ることができる(下記スキーム2)。なお、下記スキーム2中の「DEAD」は、ジエチルアゾジカルボキシラートを表す。以下において同じである。以上においては、主にm=1、n=1の場合について説明したが、mおよびnが他の数値の場合も、この方法に準じて合成することができる。反応温度、反応時間等の各反応条件は、特に限定されない。前記各反応条件は、例えば、後述の実施例または公知の類似の反応等を参考にして適宜設定または変更することができる。反応溶媒等も、前記の説明に限定されず、適宜変更して良い。

【0063】
【化S1】
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【0064】
【化S2】
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【0065】
前述のとおり、n-型有機半導体の骨格は、合成が困難である。例えば、フラーレン誘導体の場合、目的とする位置のみに選択的に側鎖を導入することが難しく、かつ、製造工程が多くなる場合が多い。これに対し、本発明の化合物は、前記スキーム1によればわずか2ステップ、前記スキーム2によればわずか4ステップで合成できる。さらに、前記スキーム1および2の各ステップは、高価な試薬、危険な試薬、過激な反応条件等を用いずに行うことができる。例えば、スキーム1および2の原料であるペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)は、フラーレンと比較してきわめて安価である。また、スキーム1および2の反応は、例えば、後述の実施例に示すように、収率も高い。このため、前記スキーム1または2によれば、簡易で低コストな合成が可能である。本発明の化合物において、前記化学式(1)または(2)で表される化合物は、n-型有機半導体により適した物性、および合成(製造)のしやすさ等の観点から、特に優れている。これらの中でも、前記化学式(2)で表される化合物は、例えば、n-型有機半導体としての適性(例えば、導電性、液晶性等)の観点から特に優れており、前記化学式(1)で表される化合物は、簡易かつ低コストに合成出来る点で、特に優れている。

【0066】
前記化学式(1)または(2)で表される本発明の化合物の合成(製造)方法は、前記スキーム1および2に限定されず、任意である。前記化学式(3)で表される本発明の化合物は、例えば、前記スキーム1および2の方法を組み合わせて合成しても良いし、他の任意の方法で合成しても良い。

【0067】
前記化学式(4)で表される本発明の化合物の合成(製造)方法も特に限定されないが、例えば、下記スキーム3の方法により合成できる。下記スキーム3において、化合物(10)の合成方法は、図示していないが、例えば、前記スキーム2と同じ合成方法でも良い。また、Karstedt触媒存在下における化合物(10)とシロキサンとのカップリング反応は、下記スキーム3に示すとおり、シロキサンを化合物(4)に対応したシロキサンに変える以外は、前記スキーム2と同じように行っても良い。すなわち、本発明の化合物(4)は、化合物(2)と同様に、簡易かつ低コストに合成出来る。
【化S3】
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【0068】
前記化学式(5)で表される本発明の化合物の合成(製造)方法も特に限定されないが、例えば、下記スキーム4の方法により合成できる。下記スキーム4に示すとおり、化合物(5)の合成は、中間原料として、前記化合物(9)に代えて下記化合物(12)を用いる以外は、前記スキーム2と同様にして行うことができる。化合物(12)の合成方法も特に限定されないが、例えば、下記スキーム4に示すように、化合物(8)を前記スキーム2と同様に合成し、化合物(8)とp-ニトロフェノールとを、トリフェニルホスフィンおよびDEADの存在下でカップリング反応させて化合物(11)とし、さらに、化合物(11)のニトロ基を鉄粉で還元して化合物(12)としても良い。すなわち、本発明の化合物(5)は、高価な試薬、危険な試薬、過激な反応条件等を用いることなく、化合物(2)の合成スキームである前記スキーム2とさほど変わらないステップ数で、簡易かつ低コストに合成出来る。
【化S4】
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【0069】
なお、前記化学式(4)または(5)で表される本発明の化合物の合成(製造)方法は、前記スキーム3または4に限定されず、任意である。

【0070】
また、前記化学式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)以外で表される本発明の化合物の合成方法も、前記のとおり、特に限定されない。例えば、前記化学式(I)中の連結基LおよびLの構造が化合物(5)と異なる化合物については、前記スキーム4中のp-ニトロフェノールまたは化合物(11)を、連結基LおよびLの構造に対応した化合物に変えて前記スキーム4と同様に合成しても良いし、他の方法により合成しても良い。

【0071】
[n-型半導体およびその製造方法]
つぎに、本発明のn-型半導体およびその製造方法について説明する。

【0072】
本発明のn-型半導体は、前述のとおり、前記本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を含むことを特徴とする。前述のとおり、本発明の化合物は、電子移動度(キャリア移動度)が高いため、n-型半導体の用途に好適である。これ以外は、本発明のn-型半導体は、特に限定されず、本発明の化合物以外の他の成分を、適宜含んでいても良いし、含んでいなくても良い。前記他の成分としては、特に限定されないが、例えば、ジアルキルペリレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸エステル等が挙げられる。

【0073】
本発明のn-型半導体の製造方法は、特に限定されないが、前記本発明の製造方法、すなわち、いわゆる塗布法により製造することが好ましい。塗布法は、真空プロセスと比較すると、単結晶化や薄膜化等のための超高真空装置などの大型設備を必要とせず低コストであり、かつ、製造される薄膜(n-型半導体)の大面積化が可能であるという利点がある。

【0074】
本発明の製造方法は、前述のとおり、前記本発明のペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体、その互変異性体もしくは立体異性体、またはそれらの塩を溶媒に溶解させて溶液を調製する溶液調製工程と、前記溶液を基材に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、前記塗布膜を乾燥させる乾燥工程とを含むことを特徴とする、前記本発明のn-型半導体の製造方法である。これ以外には、本発明の製造方法における条件は特に限定されず、例えば、公知の半導体の、塗布法による製造条件等を参考に、適宜選択すればよい。

【0075】
前記溶液調製工程において、溶媒は、特に限定されず、本発明の化合物を溶解可能な溶媒を適宜選択すればよい。前記溶媒としては、水、有機溶媒、および水と有機溶媒との混合溶媒等が挙げられる。前記有機溶媒としては、例えば、芳香族溶媒(例えばトルエン、クロロベンゼン等)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ハロゲン化溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等)、エステル(例えば、酢酸エチル等)、ケトン(例えば、アセトン等)、炭化水素(例えば、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン等)等が挙げられ、1種類のみ用いても2種類以上併用しても良い。前記塗布工程において、塗布法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、キャスト法、ブレードコーティング法、引き上げ法、ゾーンキャスト法等が挙げられる。前記塗布工程における条件は特に限定されず、例えば、後述の実施例または公知の半導体の塗布法による製造条件等を参考に、適宜選択可能である。前記乾燥工程における温度および乾燥時間等も、特に限定されず、例えば、後述の実施例または公知の半導体の塗布法による製造条件等を参考に、適宜選択すれば良い。

【0076】
本発明のn-型半導体の用途は、特に限定されないが、レーザー色素、および光伝導体等が挙げられる。例えば、本発明の化合物が可視光領域に吸収帯を有することにより、本発明のn-型半導体は、色素として好適である。また、例えば、本発明の化合物が光導電性に優れることにより、本発明のn-型半導体は、光伝導体として好適である。前記光伝導体は、例えば、太陽電池に用いることができる。なお、本発明の化合物またはn-型半導体の光学スペクトル、電気的性質等の物性は、例えば、後述の実施例に示すとおりであるが、それのみには限定されない。

【0077】
[電子装置]
前述のとおり、本発明の電子装置は、前記本発明のn-型半導体を含むことを特徴とする。これ以外は、本発明の電子装置は、特に限定されない。本発明において、「電子装置」は、広く、電気により動作または作動する仕掛け全般を言う。具体的には、本発明の電子装置には、例えば、電子素子およびそれを含む電子機器等が含まれる。本発明の電子装置としては、例えば、電池、太陽電池、レーザー、有機EL装置、電界発光素子、トランジスター、およびメモリー素子等が挙げられる。本発明の電子装置は、例えば、有機薄膜太陽電池、有機電界発光素子、有機薄膜トランジスター(TFT)等であっても良い。本発明の電子装置における本発明のn-型半導体の使用形態は、特に限定されず、例えば、従来のn-型半導体の使用形態と同様でも良い。また、例えば、本発明のn-型半導体は、その特性に応じて適宜な電子装置に用いることができる。具体的には、例えば、本発明のn-型半導体は、光導電性に優れることにより、太陽電池に適する。また、例えば、本発明のn-型半導体は、可視光領域に吸収帯を有することにより、可視光レーザーの用途に適する。n-型有機半導体の研究は、p-型有機半導体と比較してほとんど進んでいなかったが、本発明によれば、高いキャリア移動度等の良好な特性を有するn-型有機半導体を提供できる。このため、本発明のn-型半導体(n-型有機半導体)を、例えば、p-型有機半導体等のp-型半導体と組み合わせて用いることにより、優れた性能を有する電子装置を提供できる。
【実施例】
【0078】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【実施例】
【0079】
[測定条件等]
全ての化学物質は試薬級であり、東京化成工業株式会社、または和光純薬株式会社から購入した。合成に用いた試薬および溶媒は、市販品を精製することなく使用した。また、反応溶媒に乾燥溶媒と記載したものについては、市販の脱水溶媒を用いた。反応の進行は薄層クロマトグラフィー(TLC)によって確認した。TLCには0.25mm E Merck silica gel plates (silica Gel F254)を使用し、スポット検出には化合物に応じて、UV lamp(254nm,365nm)、ヨウ素を併用した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製には、Kanto Chemical silica gel 60 (Silica Gel 60,spherical,40-50μm)を用いた。1H-NMR測定には、ヴァリアン社の機器 核磁気共鳴分光測定装置(商品名Varian UNITY LNOVA400NB、1H-NMR測定時 400MHz、13C-NMR測定時 100MHz)を用いた。赤外吸収スペクトル(IR)測定には、Perkin Elmer製 spectrum 100 (FT-IR Spectrometer)を用いた。質量分析には、日本ブルカ—ダルトン社の機器(商品名 AUFOFLEX-K)を用いた。液晶相または薄膜の顕微鏡(偏光顕微鏡、POM)観察には、オリンパス社の機器(商品名 Olympus BX53)を用いた。XRD(X線回折)測定には、Rigaku製 R-AXIS RAPIDIIを用いた。スピンコート法には、三笠工業社の機器(商品名 1H-DX2)を用いた。紫外-可視吸収スペクトル(UV-Vis.スペクトル)測定には、島津製作所の機器(商品名 UV-3150)を用いた。サイクリックボルタンメトリー法による測定には、ビーエーエス社の機器(商品名 ポテンシオスタット600B)を用いた。Time-of-Flight法による電荷輸送特性(キャリア移動特性)の測定には、テクトロニクス社のオシロスコープ(商品名 TDS 3044B)、コンティニュアム社のNd:YAGレーザー(商品名 ミニライトI)、アドバンテスト社のエレクトロメーター(商品名 R8252)、および、自作のホットステージを組み合わせて用いた。蛍光スペクトル測定において、化合物(1-1)および(2-2)の測定には、島津製作所の機器(商品名 RF5300-PC)を用いた。また、化合物(2-44)、(2-46)、(4-1)および(5-1)の蛍光スペクトル測定には、分光蛍光光度計(日立 F-2500)を用い、励起波長470nmで測定した。
【実施例】
【0080】
以下の実施例では、前記スキーム1または2にしたがって、ペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体(1-1)(化学式(1)においてm=1、n=1)、(2-1)(化学式(2)においてm=1、n=1)、(2-44)(化学式(2)においてm=0、n=1)および(2-46)(化学式(2)においてm=0、n=3)を合成した。また、前記スキーム3にしたがって、ペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体(4-1)(化学式(4)においてm=0、n=1)を合成し、前記スキーム4にしたがって、ペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体(5-1)(化学式(5)においてm=1、n=1)を合成した。さらに、これらを用いて液晶セルおよびn-型半導体を作製(製造)するとともに、紫外-可視吸収スペクトル、還元電位、電荷輸送特性および蛍光スペクトルを測定した。
【実施例】
【0081】
参考例1
[ペリレンテトラカルボン酸ビス(アリルイミド)(化合物(6)、m=1、n=1)の合成]
ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)4.12g(10mmol)と無水酢酸亜鉛2.01g(11mmol)をキノリン50mlに懸濁させ、アリルアミン1.18g(21mmol)を加えて120℃で5時間加熱した。この反応溶液を冷却後、希塩酸を加え、赤褐色沈殿をろ過した。得られた沈殿を、希塩酸、水、およびメタノールを前記順序で用いて洗浄し、乾燥した。このようにして、目的物である化合物(6)の赤色粉末4.82g(10.3mol)が得られた。収率は98%であった。化合物(6)は、ほとんどの有機溶媒に溶解しないため、精製せず次の反応に使用した。以下に、化合物(6)のIRスペクトル値を示す。
【実施例】
【0082】
化合物(6):
IR(ATR) : ν=1691, 1653, 1589, 1333, 1242, 1172, 987, 898, 851, 809, 748cm-1;
【実施例】
【0083】
参考例2
[1,8-ノナジエン-5-イルアミン(化合物(9)、m=1、n=1)の合成]
トリフェニルホスフィン9.21g(35mmol)、1,8-ノナジエン-5-オール(8)4.50g(32mmol)、フタルイミド6.03g(41mmol)をテトラヒドロフラン150mlに溶解させた。この溶液を30分攪拌した後、室温で、ジエチルアゾジカルボキシラート(2.2mol/lトルエン溶液)15ml(33mmol)を滴下し、12時間室温で攪拌した。その後、ヘキサンを加え、沈殿をろ過した後、濾液を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去した後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル5:1)により精製した。得られた生成物をメタノール50mlに溶かし、ヒドラジン水和物3mlを加え、1時間還流させた。反応溶液を冷却後、白色沈殿をろ過し、沈殿をメタノールで洗浄した。ろ液を濃縮してヘキサンを加え、生成した白色沈殿を再度ろ過し、沈殿をヘキサンで洗浄した。このろ液から溶媒を留去することにより、淡黄色の液体である目的物の化合物(9)2.58g(18mmol)が得られた。収率は、57%であった。なお、合成原料の1,8-ノナジエン-5-オール(8)については、例えば、後述の参考例8(実施例13の原料合成)と同様にして合成することもできる。以下に、化合物(9)の機器分析値を示す。
【実施例】
【0084】
化合物(9):
1H NMR(400MHz, CDCl3): δ=5.80(ddt, 1H, J=16.8, 10.4, 6.4Hz), 5.01(tdd, 2H, J=16.8, 3.6, 1.6Hz), 4.93(ddt, 2H, J=10.4, 3.6, 1.2Hz) , 2.72(tt, 1H, J=7.6, 4.8Hz), 2.21-2.01(m, 4H), 1.55-1.45(m, 2H), 1.55-1.45(m, 2H), 1.41-1.20(4H, m); 13C NMR(100MHz CDCl3): δ=30.7, 37.4, 50.7, 114.7, 138.8; IR(ATR) : ν=3323, 3077, 2915, 2846, 1640, 1481, 1449, 1304, 1046, 993, 906, 638, 556cm-1; Exact Mass: 139.14 for C9H17N: m/z: [M+]139.3
【実施例】
【0085】
参考例3
[ペリレンテトラカルボン酸ビス(1,8-ノナジエン-5-イルイミド)(化合物(10)、m=1、n=1)の合成]
ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)2.05g(5.2mmol)と無水酢酸亜鉛1.09g(5.9mmol)をキノリン30mlに懸濁させ、1,8-ノナジエン-5-イルアミン(9)1.52g(10.8mmol)を加えて120℃で5時間加熱した。反応溶液を冷却後、20%塩酸を加え、得られた赤褐色沈殿をろ過し、希塩酸で洗浄した。得られた沈殿をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:ジクロロメタン)。得られた粗生成物をジクロロメタンに溶かし、酢酸エチルにより再沈殿させた。このようにして、目的物である化合物(10)の赤色粉末2.060g(3.2mmol)が得られた。収率は、62%であった。以下に、化合物(10)の機器分析値を示す。
【実施例】
【0086】
化合物(10):
1H NMR(400MHz, CDCl3): δ=8.66(d, 4H, br), 8.62(dd, 4H, J=8.0 Hz), 5.79(ddt, 4H, J=16.8, 10.4, 6.4Hz), 5.23(tt, 2H, J=6.8, 5.2Hz), 4.96(dd, 4H, J=16.8, 3.6Hz) , 4.88(dd, 4H, J=10.0, 3.6Hz), 2.36-2.44(m, 4H), 2.01-2.14(m, 8H), 1.91-2.01(m, 4H); 13C NMR(100MHz CDCl3): δ=31.3, 31.6, 53.8, 115.1, 123.3, 126.7, 129.8, 134.8, 138.1, 197.9; IR(ATR) : ν=3077, 2972, 1692, 1650, 1593, 1405, 13851247, 1173, 908, 809, 746, 619, 430, 395cm-1; Exact Mass: 634.28 for C42H38N2O4: m/z: [M+] 634.4
【実施例】
【0087】
実施例1
[ペリレンテトラカルボン酸ビス(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルプロピルイミド)(化合物(1-1)((1)、m=1、n=1))の合成]
ペリレンテトラカルボン酸ビス(アリルイミド)(化合物(6)、m=1、n=1)1.03g(2.19mmol)と1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン1.53g(6.87mmol)をトルエン100mlに溶かし、Karstedt触媒(2mol/lキシレン溶液)20μlを加えて5時間還流させた。反応溶液を冷却後、ろ過し、ろ液からトルエンを留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:ジクロロメタン→ジクロロメタン‐酢酸エチル(50:1))。得られた粗生成物をジクロロメタンに溶かし、メタノールにより再沈殿させた。このようにして、目的物である化合物(1-1)の赤色粉末1.51g(1.65mmol)が得られた。収率は、75.3%であった。以下に、化合物(1-1)の機器分析値を示す。
【実施例】
【0088】
化合物(1-1):
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ=8.47 (d, 4H, J=8.0Hz), 8.29(d, 4H, J=8.0Hz), 4.17(t, 4H, J=7.6Hz), 1.74-1.84(m, 4H), 0.71(t, 4H, J=4.1Hz) , 0.10(s, 12H), 0.05(s, 18H), 0.01(s, 12H); 13C NMR(100MHz CDCl3): δ=0.93, 2.07, 2.59, 16.4, 22.8, 44.2, 123.5, 123.9, 126.7, 129.8, 131.7, 134.8, 163.7; IR (ATR) : ν=2958, 1694, 1651, 1593, 1337, 1251, 1044, 836, 791, 743, 395 cm-1; Exact Mass: 914.31 for C44H62N2O8Si6: m/z: [M+]914.3
【実施例】
【0089】
実施例2
[ペリレンテトラカルボン酸ビス{ジ-(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルブチル)-メチルイミド}(化合物(2-1)((2)、m=1、n=1))の合成]
ペリレンテトラカルボン酸ビス(1,8-ノナジエン-5-イルイミド)(化合物(10)、m=1、n=1)0.87g(1.35mmol)と1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン1.62g(7.3mmol)をトルエン100mlに溶かし、Karstedt触媒(2mol/lキシレン溶液)10mlを加えて3時間還流させた。反応溶液を冷却後、トルエンを留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:ヘキサン-酢酸エチル30:1→20:1)。溶媒を留去することにより、赤紫色のゼリー状の生成物である化合物(2-1)が1.44g(0.94mmol)得られた。収率は、69.5%であった。以下に、化合物(2-1)の機器分析値を示す。
【実施例】
【0090】
化合物(2-1):
1H NMR(400MHz, CDCl3): δ=8.68(d, br, 4H, J=8.0Hz), 8.62(d, 4H, J=8.0Hz), 5.16(tt, 2H, J=9.2, 6.0Hz), 2.18-2.29(m, 4H) ,1.80-1.91(m, 4H), 1.19-1.42(m, 16H), 0.47(dd, 8H, J=8.8, 7.2Hz), 0.03ppm (s, 36H), -0.01ppm (s, 24H), -0.04ppm (s, 24H); 13C NMR(100MHz CDCl3): δ=0.3, 1.4, 2.0, 18.5, 23.4, 31.0, 32.3, 55.0, 123.2, 124.2, 129.8, 131.4, 134.7, 164.0; IR(ATR) : ν=2958, 1697, 1651, 1594, 1338, 1254, 1038, 837, 791, 748cm-1; Exact Mass: 1522.65 for C70H126N2O12Si12: m/z: 1522.5.
【実施例】
【0091】
実施例3
[ペリレンテトラカルボン酸ビス(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルプロピルイミド)(化合物(1-1)((1)、m=1、n=1))による液晶セルの製造]
以下のとおり、実施例1で得た液晶化合物ペリレンテトラカルボン酸ビス{ジ-(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルブチル)-メチルイミド}(化合物(1)、m=1、n=1(化合物(1-1)))を用いて液晶セルを作製(製造)し、液晶相を同定した。すなわち、まず、実施例1で得た液晶化合物(1-1)を225℃に加熱して融解させ、厚さ9μmの二枚のITO電極ガラス基板により形成された液晶セルに、毛管現象を利用して浸透させた。偏光顕微鏡によりこの液晶セルの光学組織を観察した。図1(a)の顕微鏡写真に示す通り、221℃から30℃に急冷した場合には、スメクティック相特有の組織が現れた。また、図1(b)のグラフに、図1(a)の試料の、室温(30℃)でのX線回折パターンを示す。同図において、横軸は、散乱角2θを表し、単位は、度数法による「°(degree)」である。縦軸は、X線強度(×10cps)を表す。図示のとおり、X線回折では、層状構造を反映した回折ピークが2θ=3.14°(30℃)に現れた。なお、図1(b)中の挿入図は、図1(b)の一部の拡大図である。また、図1(c)に示す通り、前記試料を220℃から徐冷した場合には、結晶相が出現した。さらに、図1(d)のグラフに、図1(c)の試料の、室温(30℃)でのX線回折パターンを示す。同図において、横軸は、散乱角2θを表し、単位は、度数法による「°(degree)」である。縦軸は、X線強度(×10cps)を表す。図示のとおり、X線回折においては、結晶相特有の高次の回折ピークが出現した。また、加熱したトルエンやシクロヘキサンに本材料(化合物(1-1))を溶解した後、冷却して得られる析出物は、液晶相を示した。なお、後述する、スピンコートによって得られる薄膜も液晶相を示した。示差型走査熱分析(DSC)では、液晶状態の試料を-50℃に冷却しても結晶化を示すピークは現れなかった。また、200℃以上に加熱すると、液晶相から結晶相に転移した。
【実施例】
【0092】
実施例4
[ペリレンテトラカルボン酸ビス{ジ-(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルブチル)-メチルイミド}(化合物(2-1)((2)、m=1、n=1))による液晶セルの製造]
実施例2で得た液晶化合物ペリレンテトラカルボン酸ビス{ジ-(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルブチル)-メチルイミド}(化合物(2)、m=1、n=1(化合物(2-1)))を用いて液晶セルを作製(製造)し、液晶相を同定した。すなわち、まず、実施例2で得た液晶化合物(2-1)を80℃に融解し、厚さ9μmの二枚のITO電極ガラス基板により形成された液晶セルに、毛管現象を利用して浸透させた。偏光顕微鏡によりこの液晶セルの光学組織を観察した。図2(a)の偏光顕微鏡写真に示す通り、61℃以下では、カラムナー相特有のモザイク組織が現れなかった。示差型走査熱分析(DSC)では、本液晶化合物を-50℃に冷却しても結晶化を示すピークは現れなかった。また、図2(b)のグラフに、図2(a)の試料の、室温(30℃)でのX線回折パターンを示す。同図において、横軸は、散乱角2θを表し、単位は、度数法による「°(degree)」である。縦軸は、X線強度(×10cps)を表す。図示のとおり、X線回折では、二次元カラム秩序を反映した回折ピークが2θ=3.74°、7.32°(30℃)に現れなかった。高角度領域ではブロードなハローが現れたのみであったことから、カラム内の分子秩序はないと考えられる。
【実施例】
【0093】
実施例5
[ペリレンテトラカルボン酸ビス(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルプロピルイミド)(化合物(1-1)((1)、m=1、n=1))のスピンコート法による薄膜(n-型有機半導体)製造]
実施例1において合成した液晶化合物(1-1)((1)、m=1、n=1)は、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン等に可溶である。そこで、液晶化合物(1-1)は、前記溶媒の溶液を用いてスピンコート法による製膜が可能である。本実施例では、以下のようにした。
【実施例】
【0094】
すなわち、まず、液晶化合物(1-1)((1)、m=1、n=1):50mgを0.5mlのテトラヒドロフランに溶解し、ガラス基板上にスピンコート(1000rpmで40sec、および2000rpmで30sec)すると、厚さ1μmの薄膜が得られた。この薄膜は、1μm程度の大きさのドメインから形成されていた。この薄膜を220℃で熱処理し、30℃まで徐冷すると、図3(a)の顕微鏡写真に示すとおり、数μm程度の大きさのグレインにより形成された多結晶性薄膜に転移した。また、図3(b)のグラフに、図3(a)の試料の、室温(30℃)でのX線回折パターンを示す。同図において、横軸は、散乱角2θを表し、単位は、度数法による「°(degree)」である。縦軸は、X線強度(×10cps)を表す。図示のとおり、X線回折では、層状構造に由来する強い一次の回折ピークが2θ=3.02°に現れ、以下、7次までの高次回折ピークが現れた。なお、このように結晶相であっても、n-型有機半導体として用い得る。また、実施例3および図1に示したとおり、化合物(1-1)は、加熱後の冷却条件等によっては、液晶相を示し得る。
【実施例】
【0095】
実施例6
[ペリレンテトラカルボン酸ビス{ジ-(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルブチル)-メチルイミド}(化合物(2-1)(化合物(2)、m=1、n=1))のスピンコート法による薄膜(n-型有機半導体)製造]
実施例2において合成した液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1)は、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン等に加えて、酢酸エチル、アセトン、シクロヘキサン等に可溶である。そこで、液晶化合物(2-1)は、前記溶媒の溶液を用いてスピンコート法による製膜が可能である。本実施例では、以下のようにした。
【実施例】
【0096】
すなわち、まず、液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1):50mgを0.5mlのシクロヘキサンに溶解し、ガラス基板上にスピンコート(500rpmで10sec、1000rpmで30sec、および2000rpmで30sec)すると、厚さ1μmの薄膜が得られた。この薄膜は、1μm以下の大きさの微小なドメインから形成されていた。この薄膜を60℃に昇温していったん等方相とし、55℃カラムナー相に冷却し、1時間放置すると、図4(a)の顕微鏡写真に示す通り、数百μm程度のサイズのドメインが形成された。また、図4(b)のグラフに、図4(a)の試料の、室温(30℃)でのX線回折パターンを示す。同図において、横軸は、散乱角2θを表し、単位は、度数法による「°(degree)」である。縦軸は、X線強度(×10cps)を表す。図示のとおり、X線回折では、カラム配向秩序に対応するピークが、2θ=3.74および7.32°に現れた。
【実施例】
【0097】
[ペリレンテトラカルボン酸ビス(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルプロピルイミド)(化合物(1-1)((1)、m=1、n=1))、および、ペリレンテトラカルボン酸ビス{ジ-(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルブチル)-メチルイミド}(化合物(2-1)((2)、m=1、n=1))の紫外-可視吸収スペクトルの測定]
実施例1および2で得た液晶化合物(1-1)((1)、m=1、n=1)、および、(2-1)((2)、m=1、n=1)の紫外-可視吸収スペクトルを測定した。図5のグラフに、そのスペクトル図を示す。同図において、横軸は、波長(nm)を表し、縦軸は、吸光度を表す。同図中、実線(Perylene 1(10μM/CHCl3))は、化合物(1-1)の10μMクロロホルム溶液のスペクトルを表す。点線(Perylene 2(10μM/CHCl3))は、化合物(2-1)の10μMクロロホルム溶液のスペクトルを表す。破線(Perylene 2(film))は、化合物(2-1)を、実施例6と同様に薄膜状に形成した場合のスペクトルを表す。図示のとおり、液晶化合物(1-1)((1)、m=1、n=1)の吸収極大は、クロロホルム溶液中では525nmにあった。液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1)の吸収極大は、クロロホルム溶液中では525nm、薄膜状態では535nmにあった。このように、可視光領域(可視域)に吸収極大を有することにより、例えば、p-型有機半導体と組み合わせて、可視域全体に分光感度を有する太陽電池や光電変換素子を作製できる。p-型有機半導体としては、特に限定されないが、例えば、フタロシアニン誘導体が挙げられる。
【実施例】
【0098】
[ペリレンテトラカルボン酸ビス(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルプロピルイミド)(化合物(1-1)((1)、m=1、n=1))、および、ペリレンテトラカルボン酸ビス{ジ-(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルブチル)-メチルイミド}(化合物(2-1)((2)、m=1、n=1))の還元電位の測定]
実施例1および2で得た液晶化合物(1-1)((1)、m=1、n=1)、および(2-1)((2)、m=1、n=1)の酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリー法で測定した。すなわち、液晶化合物(1-1)または(2-1)をテトラブチルアンモニウムパークロラートジクロロメタン溶液(0.1mol/l)に溶解し、0.1mmol/lの溶液を調製し、Ag+/Ag電極を参照電極、白金線を対向電極、グラッシーカーボン電極を作用電極として三角波を印加した。図6(a)のグラフに、化合物(1-1)のサイクリックボルタモグラムを示し、図6(b)のグラフに、化合物(2-1)のサイクリックボルタモグラムを示す。前記両図において、横軸は、酸化還元電位(V)を表し、縦軸は、電流値(μA)を表す。図示のとおり、両液晶化合物ともに、可逆な還元波を示し、液晶化合物(1-1)の還元電位は0.83V(vs Ag+/Ag)、液晶化合物(2-1)の還元電位は0.86V(vs Ag+/Ag)であった。
【実施例】
【0099】
[ペリレンテトラカルボン酸ビス{ジ-(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルブチル)-メチルイミド}(化合物(2-1)((2)、m=1、n=1))の電荷輸送特性]
実施例2で得た液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1)の電荷輸送特性(キャリア移動特性)をTime-of-Flight(TOF)法により測定した。本法においては、光伝導性を示すサンドイッチ型の試料(実施例4で製造した液晶セル)に直流電圧を印加し、パルスレーザーを照射することにより、試料の片側に光キャリアを発生させ、そのキャリアが試料中を走行する際に外部回路に誘起される変位電流(過渡光電流)の時間変化を測定した。光キャリアの走行により一定の電流が生じ、キャリアが対向電極に到達すると電流は0に減衰した。過渡光電流の減衰が始まる時間がキャリアは試料を走行するのに要した時間(トランジットタイム)に対応する。試料の厚さをd(cm)、印加電圧をV(volt)、トランジットタイムをtTとすると、移動度μ(cm2/Vs)は、下記数式で表される。照射側電極を正にバイアスした場合には正キャリアの、負にバイアスした場合には負キャリアの移動度が求められる。
【数1】
JP0005515069B2_000035t.gif
【実施例】
【0100】
前記Time-of-Flight法による測定は、以下のようにして行った。すなわち、実施例4において作製した液晶セルに室温で電圧を印加しながら、パルスレーザー(Nd:YAGレーザー、THG:波長356nm、パルス幅1ns)を照射し、その際に誘起される変位電流をデジタルオシロスコープによって測定した。図7に、照射側電極を負にバイアスした場合の液晶相での典型的な過渡光電流測定の測定結果を示す。同図において、横軸は、時間(μs)を表し、縦軸は、光電流(μA)を表す。本試料は良好な光伝導性を示すため、十分な強さの電流信号を得ることができた。図示のとおり、電圧を変化させると、それに対応して、減衰の始まる時間(トランジットタイムタイム)が変化しており、得られた過渡光電流がキャリアの走行に対応していることがわかる。より具体的には、図示のとおり、キャリアの走行時間に対応するキンク点が現れることから、電子(負キャリア)が輸送されていることが示された。この測定結果によれば、負キャリアの移動度は、30℃において、最大で1×10-3cm2/Vsに達した。この値は、一般にバルクヘテロ接合型の有機薄膜太陽電池に用いられる共役高分子-フラーレン誘導体コンポジットよりも約一桁高い値である。
【実施例】
【0101】
[ペリレンテトラカルボン酸ビス(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルプロピルイミド)(化合物(1-1)((1)、m=1、n=1))、および、ペリレンテトラカルボン酸ビス{ジ-(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニルブチル)-メチルイミド}(化合物(2-1)((2)、m=1、n=1))の蛍光スペクトルの測定]
実施例1および2で得た液晶化合物(1-1)((1)、m=1、n=1)および(2-1)((2)、m=1、n=1)の蛍光スペクトルを測定した。図8のグラフに、そのスペクトル図を示す。同図において、横軸は、波長(nm)を表し、縦軸は、蛍光強度(相対値)を表す。同図中、実線(Perylene 1)は、化合物(1-1)の10μMクロロホルム溶液のスペクトルを表す。点線(Perylene 2)は、化合物(2-1)の10μMクロロホルム溶液のスペクトルを表す。破線(Perylene 2 film)は、化合物(2-1)を、実施例6と同様に薄膜状に形成した場合のスペクトルを表す。図示のとおり、液晶化合物(1-1)((1)、m=1、n=1)および液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1)のクロロホルム溶液中の蛍光ピーク波長は、538nmと574nmに確認された。液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1)のフィルム状態での蛍光ピーク波長は623nmに確認された(図8)。本実施例の液晶化合物(1-1)および(2-1)は、このように、可視光領域に吸収帯を有するため、例えば、有機溶媒に溶解することにより、レーザー色素として使用することも可能である。
【実施例】
【0102】
以上のとおり測定した本実施例の液晶化合物(1-1)および(2-1)の相転移温度、吸収極大波長および還元電位を、下記表7にまとめて示す。
【実施例】
【0103】
【表7】
JP0005515069B2_000036t.gif
【実施例】
【0104】
実施例7
[N-N’-ビス(1,9-ジ(1,1,1,3,3,ペンタメチルシロキサニル)ノナン-5-イル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))の合成]
下記スキーム2-2に従って、化合物(2-44)((2)、m=0、n=1)を合成した。なお、化合物10は、参考例2および3(実施例2の原料合成)と同様にして合成した。
【実施例】
【0105】
【化S2-2】
JP0005515069B2_000037t.gif
【実施例】
【0106】
ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビス(1,8-ノナジエン-5-イルイミド)(化合物(10)、m=1、n=1)と1,1,1,3,3-ペンタメチルジシロキサン1.19g(8.1mmol)とを、トルエン30mlに溶かし、Karsted触媒(2.1At%、キシレン溶液)を10μl加え、2時間還流させた。それを室温に冷却したのち、溶媒を減圧留去した。得られた赤色残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=10:1)。その粗生成物をジクロロメタンに溶かし、メタノールより再沈殿した。得られた沈殿をろ別して、目的とする化合物(2-44)の赤色粉末を、1.29g(1.05mol)得た。収率は、74%であった。以下に、化合物(2-44)の機器分析値を示す。
【実施例】
【0107】
化合物(2-44):
1H NMR(400MHz, CDCl3): δ=8.68(d, br, 4H, J=8.0Hz), 8.62(d, 4H, J=8.0Hz), 5.16(tt, 2H, J=9.2, 6.0Hz), 2.18-2.29(m, 4H) , 1.80-1.91(m, 4H), 1.19-1.42(m, 16H), 0.47(dd, 8H, J=8.8, 7.2Hz), -0.01ppm(s, 36H), -0.04ppm(s, 24H); IR(ATR):ν=2958, 1697, 1651, 1594, 1338, 1254, 1044, 837, cm-1;
Exact Mass: 1226.58; Molecular Weight: 1228.17
m/z[M+]: 1226.87(82%), 1227.89(100%), 1228.88(83%), 1229.88(43%), 1230.87 (37%)
【実施例】
【0108】
実施例8
[N-N’-ビス(1,9-ジ(1,1,1,3,3,ペンタメチルシロキサニル)ノナン-5-イル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))による液晶セルの製造]
化合物(2-1)に代えて化合物(2-44)を用いること以外は実施例4と同様にして液晶セルを作製し、偏光顕微鏡観察により液晶相を同定した。図9に、その偏光顕微鏡観察結果を示す。図9(a)は、136℃で撮影した偏光顕微鏡写真である。図9(b)は、30℃で撮影した偏光顕微鏡写真である。また、図9(c)は、偏光子を一方のみにして136.1℃で撮影した偏光顕微鏡写真である。図示のとおり、30℃および136℃(136.1℃)のいずれの温度においても、等方相より、6回対称性を有する樹状組織が出現していることから、6回対称性を有する液晶相であることが確認された。
【実施例】
【0109】
[N-N’-ビス(1,9-ジ(1,1,1,3,3,ペンタメチルシロキサニル)ノナン-5-イル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))のX線回折]
図10のグラフに、化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))の室温(30℃)でのX線回折(XRD)パターンを示す。グラフにおいて、横軸は、2θ(°)であり、縦軸は、ピーク強度(相対値)である。また、図10右側の図は、前記グラフおよび図9の偏光顕微鏡写真から同定される液晶相の構造を模式的に示す図である。すなわち、図10のX線回折パターンおよび図9の偏光顕微鏡写真から、化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))の室温(30℃)での液晶相は、ヘキサゴナルオーダードカラムナー相と同定された。カラム内には長距離の分子配向秩序があり、分子間距離は3.46Å(0.346nm)であった。
【実施例】
【0110】
[N-N’-ビス(1,9-ジ(1,1,1,3,3,ペンタメチルシロキサニル)ノナン-5-イル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))の電荷輸送特性]
実施例8で製造した液晶セルを用い、液晶化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))の電荷輸送特性(キャリア移動特性)をTime-of-Flight法による過渡光電流測定により測定した。前記Time-of-Flight法による過渡光電流測定は、液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1)の電荷輸送特性(キャリア移動特性)測定と同様にして行った。液晶化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))の試料の厚さは、25μmであった。また、測定温度は40℃とし、印加電圧は、10Vから100Vまで10V刻みで変化させて測定した。図11Aおよび11Bのグラフに、その結果を示す。これらの図において、横軸は、時間(μs)を表し、縦軸は、光電流(μA)を表す。図示のとおり、同じ飛行時間においては、印加電圧を高くするほど強い光電流が流れた。また、液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1)と同様、電圧を変化させると、それに対応して、減衰の始まる時間(トランジットタイムタイム)が変化しており、得られた過渡光電流がキャリアの走行に対応していることがわかる。すなわち、図示のとおり、キャリアの走行時間に対応するキンク点が現れることから、電子(負キャリア)が輸送されていることが示された。
【実施例】
【0111】
さらに、測定温度を25℃から130℃まで変化させて図11Aおよび11Bと同様の測定をした。図12Aのグラフに、その結果を示す。同図において、横軸は電場の強さ(104V/cm)であり、縦軸は、キャリア移動度(cm2/Vs)である。前記のとおり、この測定では、電子(負キャリア)が輸送されていることが確認されたので、縦軸(キャリア移動度)は、電子移動度に等しい。図示のとおり、電場の強さが一定の場合の電子移動度は、測定温度40℃で最大値を示した。一方、測定温度一定で電場の強さを変化させた場合は、電子移動度は、さほど大きく変化しなかった。
【実施例】
【0112】
また、図12Bのグラフに、図12Aにおける電場の強さ4.0×104V/cmでの測定結果を、温度と電子移動度との関数として示す。同図において、横軸は、温度(℃)であり、縦軸は、電子移動度(cm2/Vs)である。図12Aおよび12Bより、液晶化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))の電子移動度は、40℃において、最大で1.2×10-1cm2/Vsであった。前述のとおり、液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1)は、最大で1×10-3cm2/Vsという電子移動度を示し、この値は、一般にバルクヘテロ接合型の有機薄膜太陽電池に用いられる共役高分子-フラーレン誘導体コンポジットよりも約一桁高い値であった。しかし、液晶化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))は、そのさらに100倍以上という、きわめて大きい電子移動度を示した。このようにきわめて大きい電子移動度を示すことは、例えば、有機薄膜太陽電池、発光トランジスタ、CMOS等の高機能電子デバイス等の用途にきわめて有利である。また、図12Aおよび12Bに示したように、室温またはそれに近い温度で最大の電子移動度を示すことも、実用上有利である。さらに、液晶化合物(2-44)((2)、m=0、n=1))は、図12Aおよび12Bに示したように、温度を130℃まで上げても、電子移動度が、40℃のときの約半分にしか低下せず、きわめて大きい電子移動度を維持していた。これにより、高温条件下でもデバイスを安定に動作させ得るため、実用上、いっそう有利である。
【実施例】
【0113】
[N-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(2-46)((2)、m=0、n=3))]
下記スキーム2-3にしたがって、化合物(2-46)((2)、m=0、n=3)を合成した(実施例9)。
【化S2-3】
JP0005515069B2_000038t.gif
【実施例】
【0114】
参考例4
[1-ブロモ-5-ヘキセン(7)の合成]
【化S2-3-1】
JP0005515069B2_000039t.gif
撹拌子を入れた500ml三ツ口フラスコにDMF(400ml)を加え、アイスバス中で撹拌した。つぎに、その中にPBr3(19.3ml, 20mmol)を滴下した。乳白色の沈殿が生じたら、さらに、手動で撹拌を1時間行った。その後、1-ヘキセン-6-オール(14)(20g, 20mmol)を加えて5時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーでブロミドの生成を確認し、水酸化ナトリウム水溶液で反応停止した。ヘキサンで有機層を抽出し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、さらに溶媒を減圧留去した後、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、1-ブロモ-5-ヘキセン(7)(8.48g, 5mmol, 収率26%) を得た。以下に、1-ブロモ-5-ヘキセン(7)の1HNMR値を示す。
【実施例】
【0115】
1-ブロモ-5-ヘキセン(7)の1HNMR値:
1HNMR(400MHz,CDCl3)
δ=5.78(ddt, 1H J1=8.8Hz, J2=18.8Hz, J3=25.6Hz), 4.97(m, 2H), 3.38(t, 2H, J=6.8Hz), 2.08(m, 2H) , 1.86(m, 2H), 1.52(m, 2H)
【実施例】
【0116】
参考例5
[1,12-トリデカジエン-7-オール(8)の合成]
【化S2-3-2】
JP0005515069B2_000040t.gif
500mlの三ツ口フラスコに撹拌子とMg(1.2g)を入れて還流管を付け、十分乾燥させた。つぎに、前記フラスコ内を窒素雰囲気にし、THF(20ml)とI2を加えた。得られた褐色サスペンションに1-ブロモ-5-ヘキセン(7)(8g, 5mmol)とTHF(10ml)を加えると、反応が開始し、I2の色が消失するとともに発熱した。発熱したら、すぐに、前記フラスコをアイスバスに浸けた。そして、グリニャール試薬が生成した後、HCOOMe(1.5ml, 5mmol)をゆっくり滴下し30分撹拌した。薄層クロマトグラフィーでアルコールの生成を確認したのち、希塩酸を加えて反応を停止させ、AcOEtで有機層を抽出し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧留去後、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、目的の1,12-トリデカジエン-7-オール(8)(2.55g, 1.3mmol, 収率26%) を得た。以下に、1,12-トリデカジエン-7-オール(8)の1HNMR値を示す。
【実施例】
【0117】
1,12-トリデカジエン-7-オール(8)の1HNMR値:
δ=5.78(ddt, 1H, J1=6.8Hz, J2=16.8Hz, J3=21.6Hz), 4.95(m, 2H), 2.04(m, 2H), 1.4(m, 7H)
【実施例】
【0118】
参考例6
[7-アミノ-1,12-トリデカジエン(9)の合成]
【化S2-3-3】
JP0005515069B2_000041t.gif
【実施例】
【0119】
撹拌子を入れ還流管を付けた300ml三ツ口フラスコを十分に乾燥させた。つぎに、前記フラスコ内を窒素雰囲気にし、1,12-トリデカジエン-7-オール(8)(2.0g, 1.2mmol)、 PPh3(3.7g, 1.4mmol)、フタルイミド(3.2g, 2.2mmol)、およびTHF(70ml)を入れて撹拌した。さらに、DEAD(10ml)を入れ、ウォーターバスで冷やしながら撹拌した。薄層クロマトグラフィーでアミンの生成を確認した後、AcOEtで有機層を抽出し、溶媒を減圧留去し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して化合物(15)を得た。
【実施例】
【0120】
つぎに、撹拌子を入れ還流管を付けた300ml三ツ口フラスコを十分に乾燥させた。そして、前記フラスコ内を窒素雰囲気にしたところに精製した化合物(15)、メタノール(MeOH)(25ml)、およびヒドラジン一水和物(H2NNH2・H2O)(1.5ml)を入れ、6時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーでアミンの生成を確認し、MeOHで吸引濾過し、溶媒を減圧留去後、AcOEtで有機層を抽出して7-アミノ-1,12-トリデカジエン(9)(0.9g, 4.62×10-4mol, 収率38.5%)を得た。
【実施例】
【0121】
参考例7
[N-N’-ジ(1,12-トリデカジエン-7-イル)ペリレン-3,4,9,10,テトラカルボン酸ビスイミド(10)(n=3)の合成]
【化2-3-4】
JP0005515069B2_000042t.gif
【実施例】
【0122】
撹拌子を入れて還流官を付けた200ml三ツ口フラスコを十分に乾燥させた。つぎに、前記フラスコ内を窒素雰囲気にし、7-アミノ-1,12-トリデカジエン(9)(0.9g, 0.5mmol)、酢酸亜鉛(0.45g, 0.5mmol)、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸(1.37g, 0.5mmol)、および、キノリン(10ml)を加えた。この混合物を、オイルバス(230℃)で加熱しながら半日撹拌した。
薄層クロマトグラフィーで生成物の確認後、希塩酸を加えて反応停止し、CH2Cl2で吸引濾過した。ろ液をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2)により精製し、生成物をCH2Cl2に溶かし、メタノールで再沈殿させて、目的化合物であるN-N’-ジ(1,12-トリデカジエン-7-イル)ペリレン-3,4,9,10,テトラカルボン酸ビスイミド(10)(n=3)(0.45g, 6.63×10-4mol, 収率12%)を得た。以下に、化合物(10)の1H NMR値を示す。
【実施例】
【0123】
化合物(10)の1H NMR値:
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=8.6(d, br, 4H), 8.5(d, 4H, J=7.6Hz), 5.7(ddt, 4H, J1=6.8Hz, J2=16.8Hz, J3=23.6Hz), 5.15(m, 2H), 4.85(m, 8H), 2.3(m, 4H), 1.8-1.9(m, 4H), 13(m,), 0.8(t, 2H, J=6.8Hz), -0.07(s, 2H)
【実施例】
【0124】
実施例9
[N-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(2-46)((2)、m=0、n=3))の合成]
【化S2-3-5】
JP0005515069B2_000043t.gif
【実施例】
【0125】
撹拌子を入れて還流管を付けた200ml三ツ口フラスコを十分に乾燥させた。つぎに、前記フラスコ内を窒素雰囲気にし、N-N’-ジ(1,12-トリデカジエン-7-イル)ペリレン-3,4,9,10,テトラカルボン酸ビスイミド(10)(n=3)(0.3g, 4.35×10-4mol)、および、1,1,1,3,3,-ペンタメチルシロキサン(0.32g, 21.75×10-4mol)を入れ、さらにトルエン(50ml)を加えて溶かした。これを、オイルバス(180℃)中で撹拌した。そして、均一になったところでKarstedt触媒(10μl)を加え、さらに半日撹拌した。薄層クロマトグラフィーで目的の化合物の生成を確認後、溶媒を減圧留去し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)、(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)により精製し、CH2Cl2で再沈殿させて、目的のN-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(2-46)((2)、m=0、n=3))を得た。以下に、化合物(2-46)の機器分析値を示す。
【実施例】
【0126】
化合物(2-46)の機器分析値:
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=8.64(d, br, 4H), 8.62(d, 4H, 7.6Hz), 5.18(m, 2H), 2.3-2.2(m, 4H), 1.9-1.8(m, 4H), 1.4-1.8(m, 7H), 1.2-1.4(m, 22H), 0.8(t, 3H, 6.0Hz), 0.4(m, 8H), -0.01(s, 30H), -0.02(s, 30H) , IR (ATR): ν=2922, 1649, 1337, 1249, 1044, 835cm-1
Exact Mass: 1338.70; Molecular Weight: 1340.38
m/z[M+]: 1337.97(100%), 1338.98(69%), 1339.93(57%), 1340.94(56%), 1341.93(57%)
【実施例】
【0127】
化合物(2-46)のIRスペクトル図については、図13のグラフに示す。同図において、横軸は、波数(cm-1)を表し、縦軸は、透過率(%)を表す。
【実施例】
【0128】
実施例10
[N-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(2-46)((2)、m=0、n=3))による液晶セルの製造]
化合物(2-1)に代えて化合物(2-46)を用いること以外は実施例4と同様にして液晶セルを作製し、偏光顕微鏡観察により液晶相を同定した。図14(a)および(b)に、その偏光顕微鏡観察結果を示す。前記両図は、いずれも、室温で撮影した偏光顕微鏡写真である。図示のとおり、化合物(2-46)は、室温で液晶相をとっていることが確認された。また、温度可変条件で同様に偏光顕微鏡観察をしたところ、昇温過程において97℃で等方相に転移し、冷却過程において75℃で液晶相に相転移することが確認された。
【実施例】
【0129】
[N-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(2-46)((2)、m=0、n=3))のX線回折等]
図15のグラフに、化合物(2-46)((2)、m=0、n=3)の、室温でのX線回折(XRD)パターンを示す。同図において、横軸は、2θ(°)であり、縦軸は、ピーク強度(相対値)である。また、同図のパターンから算出した格子定数(lattice constant)を、下記表8に示す。
【表8】
JP0005515069B2_000044t.gif
【実施例】
【0130】
図15に示すXRD回折パターンより観測された回折ピークの格子定数(前記表8)から、化合物(2-46)((2)、m=0、n=3))の液晶相はヘキサゴナルカラムナー相であると推測される。また、図15に示すXRDパターンより、カラム間隔d=2.2nmとなり、このカラム間隔は分子長より短いことが確認された。このことは、オリゴシロキサン鎖の相互作用がカラムナー相の形成に重要であることを示している。また、同図のXRDパターンによれば、カラム内の分子配向秩序は存在しなかった。
【実施例】
【0131】
また、図16に、化合物(2-46)の室温での紫外可視吸収スペクトルを示す。同図において、横軸は、波長(nm)を表し、縦軸は、吸光度(相対値)を表す。また、図17に、化合物(2-46)の室温での蛍光スペクトルを示す。同図において、横軸は、波長(nm)を表し、縦軸は、蛍光強度(相対値)を表す。図16および17に示すとおり、吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルには、ペリレン骨格由来の特徴的なピークが現れ、前記1HNMR、MSおよびIRとともに、化合物(2-46)の構造を支持していた。
【実施例】
【0132】
[N-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(2-46)((2)、m=0、n=3))の電荷輸送特性]
実施例10で製造した液晶セルを用い、液晶化合物(2-46)((2)、m=0、n=3)の電荷輸送特性(キャリア移動特性)をTime-of-Flight法による過渡光電流測定により測定した。前記Time-of-Flight法による過渡光電流測定は、液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1)の電荷輸送特性(キャリア移動特性)測定と同様にして行った。液晶化合物(2-46)((2)、m=0、n=3)の試料の厚さは、9μmであった。また、測定温度は室温(25℃)とし、印加電圧は、10Vから100Vまで10V刻みで変化させて測定した。図18のグラフに、その測定結果を示す。同図において、横軸は、時間(μs)を表し、縦軸は、光電流(μA)を表す。図示のとおり、同じ飛行時間においては、印加電圧を高くするほど強い光電流が流れた。また、図中の矢印は、過渡電流を表す。図18のTOF法測定により算出された液晶化合物(2-46)((2)、m=0、n=3)の電子移動度は、最大で1×10-2cm/Vsであった。この液晶化合物(2-46)の電子移動度の数値は、液晶化合物(2-1)の電子移動度のさらに約10倍であり、かつ、一般的なアモルファスおよび有機半導体よりも高い数値である。前述のとおり、実施例10の液晶セルにおける液晶化合物(2-46)には、カラム内での分子配向秩序が存在しなかったにも拘らず、このようにきわめて高い電子移動度を示した。液晶化合物(2-46)の配向制御またはさらなる精製により、いっそうの電子移動度の向上が期待できる。
【実施例】
【0133】
実施例11
[N-N’-ビス(1,9-ジ(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3イル)ノナン-5イル)ペリレン-3,4,3,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(4-1)((4)、m=0、n=1))の合成]
下記スキーム3-2に従って、化合物(4-1)((4)、m=0、n=1)を合成した。なお、化合物10は、参考例2および3(実施例2の原料合成)と同様にして合成した。
【化S3-2】
JP0005515069B2_000045t.gif
【実施例】
【0134】
撹拌子を入れて還流管を付けた200ml三ツ口フラスコを十分に乾燥させた。つぎに、前記フラスコ内を窒素雰囲気にし、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビス(1,8-ノナジエン-5-イルイミド)(化合物(10)、m=1、n=1)(0.5g, 7.89×10-4mol)、および、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルシロキサン(0.9g, 39.45×10-4mol)を加え、さらに、それらにトルエン(50ml)を加えて溶かした。その混合物を、オイルバス(180℃)中で撹拌し、均一になったところでKarstedt触媒(10μl)を加え、さらに半日撹拌した。薄層クロマトグラフィーで反応の進行を確認後、溶媒を減圧留去し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)、(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)により精製した。さらに、CH2Cl2で再沈殿し、目的化合物であるN-N’-ビス(1,9-ジ(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3イル)ノナン-5イル)ペリレン-3,4,3,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(4-1)((4)、m=0、n=1))(0.34g, 2.23×10-4mol, 収率28%)を得た。以下に、化合物(4-1)の機器分析値を示す。
【実施例】
【0135】
化合物(4-1)の機器分析値:
1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ=8.7(d, br, 4H), 8.6(d, 4H, J=8Hz), 5.18(m, 2H), 2.18-2.224(m, 4H), 1.8-1-7(m, 4H), 1.2-1.4(m, 18H), 0.4(t, 8H, 8.8Hz), 0.1(s, 83H), IR(ATR): ν=2972, 1708, 1656, 1338, 1256, 1050, 834cm-1
Exact Mass: 1522.65; Molecular Weight: 1524.78
m/z[M+]: 1521.88(100%), 1522.86(78%), 1523.90(65%), 1524.87(50%), 1526.44(25%)
【実施例】
【0136】
化合物(4-1)の室温でのIRスペクトル図については、図19に示す。同図において、横軸は、波数(cm-1)を表し、縦軸は、透過率(%)を表す。
【実施例】
【0137】
実施例12
[N-N’-ビス(1,9-ジ(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3イル)ノナン-5イル)ペリレン-3,4,3,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(4-1)((4)、m=0、n=1))による液晶セルの製造]
化合物(2-1)に代えて化合物(4-1)を用いること以外は実施例4と同様にして液晶セルを作製し、偏光顕微鏡観察により液晶相を同定した。図20(a)および(b)に、その偏光顕微鏡観察結果を示す。前記両図は、いずれも、室温で撮影した偏光顕微鏡写真である。図示のとおり、化合物(4-1)は、偏光顕微鏡により観察されたドメインから、室温で液晶相をとっていることが確認された。また、温度可変条件で同様に偏光顕微鏡観察をしたところ、昇温過程において132℃で等方相に転移し、冷却過程において130℃で液晶相に相転移することが確認された。さらに、室温まで冷却しても、液晶相は保持された。
【実施例】
【0138】
[N-N’-ビス(1,9-ジ(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3イル)ノナン-5イル)ペリレン-3,4,3,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(4-1)((4)、m=0、n=1))のX線回折等]
図21のグラフに、(化合物(4-1)((4)、m=0、n=1)の、室温でのX線回折(XRD)パターンを示す。同図において、横軸は、2θ(°)であり、縦軸は、ピーク強度(相対値)である。また、同図のパターンから算出した格子定数(lattice constant)を、下記表9に示す。
【表9】
JP0005515069B2_000046t.gif
【実施例】
【0139】
図21に示すXRD回折パターンより観測された回折ピークの格子定数(前記表9)から、化合物(4-1)((4)、m=0、n=1))の液晶相はヘキサゴナルカラムナー相であると推測される。また、図21に示すXRDパターンより、カラム間隔d=3.7nmとなり、このカラム間隔は分子長より短いことが確認された。このことは、オリゴシロキサン鎖の相互作用がカラムナー相の形成に重要であることを示している。また、図21に示すとおり、カラム内の配向秩序に対する回折ピークが25.7°に現れた。このことから、カラム内のスタッキング距離は3.47Åであり、高速の電子輸送が可能な構造が形成されていることが確認された。
【実施例】
【0140】
また、図22に、化合物(4-1)の室温での紫外可視吸収スペクトルを示す。同図において、横軸は、波長(nm)を表し、縦軸は、吸光度(相対値)を表す。また、図23に、化合物(4-1)の室温での蛍光スペクトルを示す。同図において、横軸は、波長(nm)を表し、縦軸は、蛍光強度(相対値)を表す。図22および23に示すとおり、吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルには、ペリレン骨格由来の特徴的なピークが現れ、前記1HNMR、MSおよびIRとともに、化合物(4-1)の構造を支持していた。
【実施例】
【0141】
[N-N’-ビス(1,9-ジ(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3イル)ノナン-5イル)ペリレン-3,4,3,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(4-1)((4)、m=0、n=1))の電荷輸送特性]
実施例12で製造した液晶セルを用い、液晶化合物(4-1)((4)、m=0、n=1)の電荷輸送特性(キャリア移動特性)をTime-of-Flight法による過渡光電流測定により測定した。前記Time-of-Flight法による過渡光電流測定は、液晶化合物(2-1)((2)、m=1、n=1)の電荷輸送特性(キャリア移動特性)測定と同様にして行った。液晶化合物(4-1)((4)、m=0、n=1)の試料の厚さは、9μmであった。また、測定温度は室温(25℃)とし、印加電圧は、10Vから100Vまで10V刻みで変化させて測定した。液晶化合物(4-1)の配向制御または精製により、さらに大きい電子移動度を得ることが可能である。
【実施例】
【0142】
[N-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(5-1)((5)、m=1、n=1))]
下記スキーム4-2にしたがって、化合物(5-1)((5)、m=1、n=1))を合成した(実施例13)。
【化S4-2】
JP0005515069B2_000047t.gif
【実施例】
【0143】
参考例8
[1,8-ノナジエン-5-オール(8)の合成]
【化S4-2-1】
JP0005515069B2_000048t.gif
撹拌子とMg(8g,16.3mmol)を入れて還流管を付けた300ml三ツ口フラスコを十分乾燥させた。つぎに、前記フラスコ内を窒素雰囲気にし、ジエチルエーテル(24.5ml)とI2を加えた。得られた褐色サスペンションに1-ブロモ-3-部点(7)(22ml, 16.3mmol)のジエチルエーテル(24.5ml)溶液をゆっくり加えると、反応が開始し、I2の色が消失した。グリニャール試薬が生成した後、HCOOMe (9.78ml, 16.3mmol)をゆっくり滴下して、30分間撹拌した。その後、薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)でアルコールの生成を確認したのち、希塩酸を加え反応を停止させ、冷却後に分液し、酢酸エチルで有機層を抽出した。この有機層をNa2SO4で脱水し、ろ過した。溶媒を減圧留去、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製し、目的化合物の1,8-ノナジエン-5-オール(8)(11.613g, 8.3mmol, 収率51%)を得た。
【実施例】
【0144】
参考例9
[1-ニトロ-4-(1,8-ノナジエン-5-イルオキシ)ベンゼン(11)の合成]
【化S4-2-2】
JP0005515069B2_000049t.gif
撹拌子を入れて還流管を付けた300ml三ツ口フラスコを十分に乾燥させた。つぎに、前記フラスコ内を窒素雰囲気にし、1,8-ノナジエン-5-オール(8)(3.72g,2.66mmol)、PPh3(6.98g,2.66mmol)、および、4-ニトロフェノール(4.43g,3.19mmol)を加えた。さらに、乾燥したTHF(50ml)を加え、室温で撹拌し、DEAD(12.2ml,3.19mmol)を滴下し、5時間撹拌した。薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)でエーテルの生成を確認したのち、溶媒を減圧留去し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)により精製し、目的化合物である1-ニトロ-4-(1,8-ノナジエン-5-イルオキシ)ベンゼン(11)(4.731g, 1.7mmol, 収率65%)を得た。以下に、1-ニトロ-4-(1,8-ノナジエン-5-イルオキシ)ベンゼン(11)の1HNMR値を示す。
【実施例】
【0145】
1-ニトロ-4-(1,8-ノナジエン-5-イルオキシ)ベンゼン(11)の1HNMR値:
1H NMR(400MHz,CDCl3) δ=8.13(dd, 2H, J1=1.6Hz, J2=9.6Hz), 6.89(dd, 1H, J1=1.6Hz, J2=9.2Hz), 5.75(m, 4H), 4.98(m, 1H), 4.95(m, 1H), 4.93(m, 1H), 4.4(m, 2H), 2.1(m, 4H), 1.75(m, 3H)
【実施例】
【0146】
参考例10
[1-アミノ-4(1,8-ノナジエン-5-イルオキシ)ベンゼン(12)]の合成
【化S4-2-3】
JP0005515069B2_000050t.gif
撹拌子を入れて還流管を付けた300ml三ツ口フラスコを十分乾燥させた。つぎに、前記フラスコ内を窒素雰囲気にし、1-ニトロ-4-(1,8-ノナジエン-5-イルオキシ)ベンゼン(11)(4.01g, 1.4mmol)、鉄粉(3.13g, 5.6mmol)、および、エタノール(50%, 10ml)を加えてオイルバスで加熱しながら撹拌を開始した。さらに、HCl(0.52ml)およびエタノール(50%, 2.5ml)をゆっくり入れ、2時間撹拌した。その後、水酸化ナトリウム水溶液を加え反応を停止させ、酢酸エチルで有機層を抽出した。この有機層をNa2SO4にて乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧留去し、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル= 10:1)により精製し、目的化合物である1-アミノ-4(1,8-ノナジエン-5-イルオキシ)ベンゼン(12)(2.39g, 9.64×10-3 mol, 収率69%)を得た。
【実施例】
【0147】
参考例11
[N,N’-ビス(4-(1,8-ノナジエン-5-イルオキシ)フェニル)-ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(13)(n=1)の合成]
【化S4-2-4】
JP0005515069B2_000051t.gif
撹拌子を入れて還流官を付けた200ml三ツ口フラスコを十分に乾燥させた。つぎに、前記フラスコ内を窒素雰囲気にし、1-アミノ-4(1,8-ノナジエン-5-イルオキシ)ベンゼン(12)(2.08g, 8.39×10-3mol)、酢酸亜鉛(0.63g, 3.4×10-3mol)、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(1.33g, 3.4×10-3mol)、および、キノリン(30ml)を加えた。この混合物を、オイルバス(230℃)で加熱しながら半日撹拌した。薄層クロマトグラフィーで生成物の確認後、希塩酸を加え反応を停止させた。希塩酸を加えたものをCH2Cl2で吸引濾過し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(CH2Cl2)により精製し、メタノールで再沈殿した。このようにして、目的化合物であるN,N’-ビス(4-(1,8-ノナジエン-5-イルオキシ)フェニル)-ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(13)(n=1)(0.288g, 3.52×10-4mol, 収率4.2%)を得た。以下に、化合物(13)の1HNMR値を示す。
【実施例】
【0148】
化合物(13)の1HNMR値:
1HNMR(400MHz,CDCl3)
δ=8.6(dd, 4H, J1=11.6Hz, J2=57.6Hz), 7.1(dd, 4H, J1=7.2Hz, J2=86.8Hz), 5.82(m, 4H), 5.0(ddt, 8H, J1=4.4Hz, J2=12.4Hz, J3=19.2Hz), 4.3(m, 4H), 2.2(m, 10H), 1.8(m, 12H)
【実施例】
【0149】
実施例13
[N-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(5-1)((5)、m=1、n=1))の合成]
【化S4-2-5】
JP0005515069B2_000052t.gif
撹拌子を入れて還流管を付けた200ml三ツ口フラスコを十分に乾燥させた。つぎに、前記フラスコ内を窒素雰囲気にし、化合物(13)(0.3g, 3.52×10-4mol)、および、1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(0.39g, 17.6×10-4mol)を加えた。さらに、それらにトルエン(50ml)を加えて溶かし、オイルバス(180℃)で加熱し撹拌した。均一になったところでKarstedt触媒(35μl)を加え、さらに半日撹拌した。薄層クロマトグラフィーで目的の生成物を確認後、溶媒を減圧留去し、フラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)、(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製した後、生成物をCH2Cl2に溶かしてメタノールによって再沈殿した。このようにして、目的化合物であるN-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(5-1)((5)、m=1、n=1))(9.8g, 5.76×10-4mol, 収率16.4%)を得た。以下に、化合物(5-1)の機器分析値を示す。
【実施例】
【0150】
化合物(5-1)の機器分析値:
1HNMR(400MHz,CDCl3)
δ=8.52(dd, 4H, J1=7.6Hz, J2=49.6Hz), 7.2(dd, 4H, J1=2.8Hz, J2=84.8Hz), 1.5(m, 15H), 0.5(m, 44H), 0.1(m, 67H), IR(ATR): ν=2964, 1707, 1667, 1506, 1255, 1034, 792cm-1
Exact Mass: 1706.71; Molecular Weight: 1708.97
m/z [M+]: 1706.97 (66%), 1707.93 (50%), 1708.99 (100%), 1709.97 (76%), 1710.91 (65%)
【実施例】
【0151】
化合物(5-1)のIRスペクトル図については、図24のグラフに示す。同図において、横軸は、波数(cm-1)を表し、縦軸は、透過率(%)を表す。
【実施例】
【0152】
実施例14
[N-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(5-1)((5)、m=1、n=1))による液晶セルの製造]
化合物(2-1)に代えて化合物(5-1)を用いること以外は実施例4と同様にして液晶セルを作製し、偏光顕微鏡観察により液晶相を同定した。図25に、その偏光顕微鏡観察結果を示す。同図は、室温で撮影した偏光顕微鏡写真である。図示のとおり、化合物(5-1)は、室温で液晶相をとっていることが確認された。また、温度可変条件で同様に偏光顕微鏡観察をしたところ、昇温過程において241℃で等方相に転移し、冷却過程において246℃で液晶相に相転移することが確認された。また、図25の写真において、線上の欠陥が入ったドメインが見られることから、化合物(5-1)は、室温でカラムナー相を示しているものと考えられる。
【実施例】
【0153】
[N-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(5-1)((5)、m=1、n=1))のX線回折等]
図26のグラフに、化合物(5-1)((5)、m=1、n=1)の、室温でのX線回折(XRD)パターンを示す。同図において、横軸は、2θ(°)であり、縦軸は、ピーク強度(相対値)である。また、同図のパターンから算出した格子定数(lattice constant)を、下記表10に示す。
【表10】
JP0005515069B2_000053t.gif
【実施例】
【0154】
図26に示すXRD回折パターンで(100)(110)に帰属される回折ピークが一つ観測され、格子定数の比が1:√3(3の平方根)になっていることから、化合物(5-1)の液晶相は、ディスオーダーしたヘキサゴナルディスオーダードカラムナー相であると推測された。カラム内での分子配向秩序は存在しなかった。また、図26に示すXRD回折パターンより、カラム間隔は3.1nmであり分子長に比べ短いことが確認された。このことは、オリゴシロキサン鎖のコンフォメーションが乱れており、かつ相互にかみ合った構造をしていることを示していると考えられる。
【実施例】
【0155】
また、図27に、化合物(5-1)の室温での紫外可視吸収スペクトルを示す。同図において、横軸は、波長(nm)を表し、縦軸は、吸光度(相対値)を表す。また、図28に、化合物(5-1)の室温での蛍光スペクトルを示す。同図において、横軸は、波長(nm)を表し、縦軸は、蛍光強度(相対値)を表す。図27および28に示すとおり、吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルには、ペリレン骨格由来の特徴的なピークが現れ、前記1HNMR、MSおよびIRとともに、化合物(5-1)の構造を支持していた。
【実施例】
【0156】
さらに、図29に、化合物(5-1)の室温での紫外可視吸収スペクトルを、化合物(2-46)((2)、m=0、n=3)および化合物(4-1)((4)((4)、m=0、n=1)の紫外可視吸収スペクトルと対比させて示す。同図において、横軸は、波長(nm)を表し、縦軸は、吸光度(相対値)を表す。同図中の「di」(黒色の曲線)は、化合物(2-46)の吸収スペクトルを表し、「phenyl」(濃灰色の曲線)は、化合物(5-1)の吸収スペクトルを表し、「tri」(淡灰色の曲線)は、化合物(4-1)の吸収スペクトルを表す。また、図30に、化合物(5-1)の室温での蛍光スペクトルを、化合物(2-46)((2)、m=0、n=3)および化合物(4-1)((4)((4)、m=0、n=1)の蛍光スペクトルと対比させて示す。同図において、横軸は、波長(nm)を表し、縦軸は、蛍光強度(相対値)を表す。同図中の「di」(黒色の曲線)は、化合物(2-46)の蛍光スペクトルを表し、「phenyl」(濃灰色の曲線)は、化合物(5-1)の蛍光スペクトルを表し、「tri」(淡灰色の曲線)は、化合物(4-1)の蛍光スペクトルを表す。図29および31に示すとおり、化合物(2-46)と化合物(4-1)とでは、吸収波長および蛍光波長にあまり差がなかった。これに対し、化合物(5-1)は、化合物(2-46)および化合物(4-1)に対し、吸収スペクトルが約10nm、蛍光スペクトルが約15nmレッドシフト(長波長側へ移動)していた。これは、化合物(5-1)中の連結基であるフェニル基により、化合物(2-46)および化合物(4-1)よりも共役長が長くなったためと推測される。
【実施例】
【0157】
[N-N’-ビス(4-(1,9,-ジ(1,1,1,3,3,5,5-ヘプタメチルトリシロキサニル)ノナン-5-イルオキシ)フェニル)ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ビスイミド(化合物(5-1)((5)、m=1、n=1))の電荷輸送特性]
実施例13で製造した液晶セルを用い、液晶化合物(5-1)((5)、m=1、n=1)の電荷輸送特性(キャリア移動特性)をTime-of-Flight法による過渡光電流測定により測定した。前記Time-of-Flight法による過渡光電流測定は、液晶化合物(5-1)((5)、m=1、n=1)の電荷輸送特性(キャリア移動特性)測定と同様にして行った。液晶化合物(5-1)((5)、m=1、n=1)の試料の厚さは、9μmであった。また、測定温度は室温(25℃)とし、印加電圧は、10Vから100Vまで10V刻みで変化させて測定した。図31のグラフに、その測定結果を示す。同図において、横軸は、時間(μs)を表し、縦軸は、光電流(μA)を表す。図示のとおり、同じ飛行時間においては、印加電圧を高くするほど強い光電流が流れた。また、図中の矢印は、過渡電流を表す。図31のTOF法測定により算出された液晶化合物(5-1)((5)、m=1、n=1)の電子移動度は、最大で1×10-4cm/Vsであった。この液晶化合物(5-1)の電子移動度の数値は、液晶化合物(2-44)および(2-46)の電子移動度の数値よりも低かった。この原因は明らかではないが、例えば、液晶化合物(5-1)中の不純物の影響によるものと推測される。液晶化合物(5-1)の配向制御またはさらなる精製により、いっそうの電子移動度の向上が期待できる。
【実施例】
【0158】
以上のとおり、本実施例によれば、可視域に強い光吸収帯を持ち、大きな電子親和力を有し、すぐれた電子輸送能を有する、新規なn-型液晶性半導体を製造することができた。本実施例の化合物(ペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体)またはそれを用いた本実施例のn-型半導体は、下記(A)~(E)のような優れた特性を示す。
【実施例】
【0159】
(A)高い電子親和力
サイクリックボルタンメトリーによる溶液中での測定によれば、本実施例の化合物は、-0.83~-0.86Vという大きな還元電位を示した。このような大きな還元電位は、電子輸送に有利な大きな電子親和力を有することを示している。本実施例の化合物は、このような性質を有することで、優れたn-型有機半導体として機能し得る。例えば、大きな電子親和力(還元電位)を有することにより、電極からの電子注入が容易である。また、p-型半導体と積層したり、バルクヘテロ接合を形成した際に、p-型半導体から本液晶分子への電荷移動が容易に進行し得る。この性質は、例えば、有機薄膜太陽電池の光キャリア生成効率を向上する上で有利である。
【実施例】
【0160】
(B)室温または室温付近で液晶相を示し得る
本実施例の化合物は、室温または室温付近(例えば、約0~50℃)で、液晶相を示し得る。液晶相を示すことにより、例えば、分子間のπ電子共役系の重なりが大きくなり、かつ、電気伝導を阻害する構造欠陥の形成を抑制することができる。室温または室温付近でこのような性質を示すことにより、以下に示すように、室温または室温付近においても高い電子移動度を示す。この性質は、n-型半導体としての用途に有利である。
【実施例】
【0161】
(C)高い電子移動度
本実施例の化合物(2-1)を単独で(他の物質と混合せずに)、Time-of-Flight法による過渡光電流測定で電子移動度を測定した。その結果、前記電子移動度は、室温付近の液晶相において、最高で10-3cm2/Vsに達した。この電子移動度の値は、現在、バルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池に用いられる共役高分子-フラーレン誘導体(n-型有機半導体)コンポジットの電子移動度(最高で、約10-4cm2/Vs)よりも一桁高い値である。このように高い電子移動度を有することは、n-型有機半導体としての用途に有利である。具体的には、例えば、高効率のバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池を実現するためにきわめて有利である。
【実施例】
【0162】
(D)高い溶解性
本実施例の化合物(1-1)および(2-1)は、各種有機溶媒に対する溶解性(溶解度)が高いため、スピンコート法等の塗布法により、液晶性の薄膜を作成することが可能である。
【実施例】
【0163】
(E)可視光領域における大きい吸光係数
本実施例の化合物(1-1)および(2-1)は、紫外-可視吸収スペクトルにおける吸収帯を緑色域に有し、より具体的には、525nm付近に吸収極大を有する。このために、溶液中または薄膜状態において、強い黄色~赤色の蛍光を示し得る。このように、可視光領域(可視域)に吸収帯を有することで、例えば、レーザー色素等の色素として有用である。また、例えば、p-型半導体であるオリゴチオフェン誘導体やフタロシアニン誘導体とともに用いることにより、可視域全体に分光感度を有する太陽電池を作製することが可能である。
【実施例】
【0164】
本発明の化合物において、本実施例の化合物(1-1)および(2-1)以外の化合物も、前記(A)~(E)と同様の、またはこれに準じた優れた特性を有し得る。ただし、これは例示であって、本発明の化合物を何ら限定しない。例えば、本発明の化合物は、前記(A)~(E)の特性または効果を全て有する化合物には限定されない。また、例えば、還元電位、液晶相を示す温度、電子移動度、吸収極大波長等の数値は、本発明の化合物の分子設計(例えば、前記化学式(I)および(II)中における、置換基の種類、側鎖の長さ等)により、適宜変更することが可能である。
【実施例】
【0165】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【実施例】
【0166】
この出願は、2011年4月4日に出願された日本出願特願2011-083220を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0167】
以上、説明したとおり、本発明によれば、高いキャリア移動度を有するn-型半導体を形成可能であり、かつ、溶解性に優れたペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体を提供することができる。さらに、本発明によれば、前記ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体を用いたn-型半導体、n-型半導体の製造方法、および電子装置を提供することができる。本発明の化合物(ペリレンテトラカルボン酸ビスイミド誘導体)は、例えば、有機溶媒に対して高い溶解性を示すことにより、スピンコート法等の塗布法で、容易に、高品質の薄膜を作製できる。また、本発明の化合物は、例えば、室温で液晶相を示し、高い電子移動度を示すことにより、n-型半導体としての用途に好適である。また、本発明の化合物は、高い還元電位を有することにより、金属電極からの電子注入が容易であり、p-型有機半導体分子との間で、光励起により容易に電荷移動を起こし得る。したがって、本発明の化合物を含むn-型半導体は、p-型有機半導体薄膜と積層するか、あるいは、コンポジットを作製することにより、有機薄膜太陽電池に応用し得る。また、本発明のn-型半導体は、例えば、p-型半導体層と積層することにより、電界発光素子にも応用可能である。さらに、本発明の化合物は、例えば、溶液中や薄膜状態で強い黄色~赤色等の可視域の蛍光を示すことにより、レーザー色素等としても利用し得る。ただし、これらの特性および用途の説明は例示であり、本発明は、これらに限定されない。本発明のn-型半導体は、どのような用途に用いても良く、また、本発明の化合物は、n-型半導体に限定されず、どのような用途に用いても良い。
図面
【図5】
0
【図6】
1
【図8】
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【図10】
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【図12B】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図1a-b】
17
【図1c-d】
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【図2】
19
【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図11A】
24
【図11B】
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【図12A】
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【図14】
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【図18】
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【図20】
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【図25】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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