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明細書 :吸水性および吸液性高分子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5937066号 (P5937066)
登録日 平成28年5月20日(2016.5.20)
発行日 平成28年6月22日(2016.6.22)
発明の名称または考案の名称 吸水性および吸液性高分子
国際特許分類 C08B  15/10        (2006.01)
C08B  11/12        (2006.01)
FI C08B 15/10
C08B 11/12
請求項の数または発明の数 8
全頁数 16
出願番号 特願2013-511883 (P2013-511883)
出願日 平成24年2月28日(2012.2.28)
国際出願番号 PCT/JP2012/001342
国際公開番号 WO2012/147255
国際公開日 平成24年11月1日(2012.11.1)
優先権出願番号 2011099948
2011234458
優先日 平成23年4月27日(2011.4.27)
平成23年10月25日(2011.10.25)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成27年2月26日(2015.2.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者または考案者 【氏名】甲野 裕之
個別代理人の代理人 【識別番号】100087398、【弁理士】、【氏名又は名称】水野 勝文
【識別番号】100067541、【弁理士】、【氏名又は名称】岸田 正行
【識別番号】100103506、【弁理士】、【氏名又は名称】高野 弘晋
【識別番号】100128473、【弁理士】、【氏名又は名称】須澤 洋
【識別番号】100128783、【弁理士】、【氏名又は名称】井出 真
【識別番号】100160886、【弁理士】、【氏名又は名称】久松 洋輔
審査官 【審査官】伊藤 幸司
参考文献・文献 特開2004-137382(JP,A)
特開平09-085080(JP,A)
特開2011-140534(JP,A)
特開平06-172401(JP,A)
特開平08-243388(JP,A)
特開昭58-001701(JP,A)
特開昭49-128987(JP,A)
特開昭50-085689(JP,A)
特開昭54-163981(JP,A)
特開昭56-028755(JP,A)
特開昭60-094401(JP,A)
特開昭61-089364(JP,A)
特開平08-041103(JP,A)
紙パ技協誌,2002年 8月,第56巻,第8号,第1191~1196頁
調査した分野 C08B
CAPLUS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
置換度0.65~1.4、且つ重量平均分子量84,600~125,000であるカルボキシメチルセルロース塩をエポキシ化合物で架橋させることを含み、
前記エポキシ化合物がエピクロロヒドリンであり、
エピクロロヒドリンの物質量がカルボキシメチルセルロース塩のグルコース残基換算物質量に対して5~8倍である、金属カチオンを含む溶液およびタンパク質含有液を吸収可能である吸水性および吸液性高分子の製造方法。
【請求項2】
エピクロロヒドリンの物質量がカルボキシメチルセルロース塩のグルコース残基換算物質量に対して5~6倍である、請求項1に記載の吸水性および吸液性高分子の製造方法。
【請求項3】
置換度0.65~1.4、且つ重量平均分子量84,600~125,000であるカルボキシメチルセルロース塩をエポキシ化合物で架橋させることを含み、
前記エポキシ化合物がエチレングリコールジグリシジルエーテルであり、
エチレングリコールジグリシジルエーテルの物質量がカルボキシメチルセルロース塩のグルコース残基換算物質量に対して3~8倍である、金属カチオンを含む溶液およびタンパク質含有液を吸収可能である吸水性および吸液性高分子の製造方法。
【請求項4】
エチレングリコールジグリシジルエーテルの物質量がカルボキシメチルセルロース塩のグルコース残基換算物質量に対して3~6倍である、請求項3に記載の吸水性および吸液性高分子の製造方法。
【請求項5】
前記カルボキシメチルセルロース塩の置換度が0.72~0.99であり、且つ重量平均分子量が84,600~112,000である請求項1から4のいずれか1つに記載の吸水性および吸液性高分子の製造方法。
【請求項6】
前記カルボキシメチルセルロース塩の置換度が0.72~0.82であり、且つ重量平均分子量が84,600~112,000である請求項1から4のいずれか1つに記載の吸水性および吸液性高分子の製造方法。
【請求項7】
前記カルボキシメチルセルロース塩の重量平均分子量が84,600~111,000である請求項に記載の吸水性および吸液性高分子の製造方法。
【請求項8】
前記カルボキシメチルセルロース塩がカルボキシメチルセルロースナトリウムである請求項1から7のいずれか1つに記載の吸水性または吸液性高分子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は生分解性を有する吸水性および吸液性高分子に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸水性高分子は自重の数百倍程度の水を吸水し、例えば75%/日程度の割合で吸収した水分を保持する高分子であり、紙おむつ、生理用品をはじめ、農業・工業製品など多岐に活用されている。
高吸水性高分子は主に石油を原料としたポリアクリル酸架橋体が使用されており、紙おむつや生理用品などの衛生資材、湿布などの医療分野、土壌保水剤、シーリング剤などの園芸、農業、土木分野、鮮度保持剤、保冷剤などの食品分野をはじめ、様々な用途に活用されている。しかし、使用後の廃棄・焼却に関わる環境問題への意識の向上、原油価格の高騰に伴い、他の合成高分子同様、再生資源を活用した生分解性吸水性高分子の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特表2007-515562号公報
【特許文献2】特開2006-188697号公報
【特許文献3】特開2008-69315号公報
【特許文献4】特開昭61-244369号公報
【0004】

【非特許文献1】Yoshimura et al, J. Appl. Polym. Sci. 99, 3251-3256 (2006).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸水性高分子が備える吸水性の発揮が期待される場面において、吸水対象は、純水でなく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、またはマグネシウムイオンなどの金属カチオンやタンパク質を多量に含んでいる場合が多い。そのため、純水だけでなく各種金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対してもより高い吸収性を示すことが実際には必要となる。しかしながら、これまでに提案されている吸水性高分子の当該金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対する吸収性は十分ではなかった。例えば、ポリアクリル酸架橋体は純水中では最大1000倍程度の優れた吸水能力を示すが、金属カチオンが含まれる溶液に用いた場合には瞬時に凝集し、その吸水性能が急激に低下してしまう。また、ポリアクリル酸架橋体をタンパク質含有液に用いた場合にも、タンパク質を構成する親水性アミノ酸との静電的相互作用、もしくは疎水性アミノ酸との疎水性相互作用によって瞬時に凝集し、その吸水性能が急激に低下してしまう。
【0006】
本発明はこのような事情に基づきなされたものであり、各種金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対して従来よりも高い吸収性を示す生分解性の吸水性および吸液性高分子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意研究の結果、所定の範囲の置換度と重量平均分子量を有するカルボキシメチルセルロース塩についてエポキシ化合物を作用させて架橋構造を形成することにより、各種金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対する高分子の吸収性を大きく高めることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
本発明の一態様は、金属カチオンを含む溶液およびタンパク質含有液を吸収可能であり、置換度0.65~1.4、且つ重量平均分子量84,600~125,000であるカルボキシメチルセルロース塩をエポキシ化合物で架橋させることによって得られる吸水性および吸液性高分子である。エポキシ化合物は、エピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテルまたはこれらの混合物とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生分解性を有するとともに、各種金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対して優れた吸収性を示す吸水性および吸液性高分子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の吸水性および吸液性高分子の製造フローの一例を示す図である。
【図2】実施例の吸水性および吸液性高分子の写真である。
【図3】物質量比が異なる実施例の吸水性および吸液性高分子を純水の吸収に供したときの、吸水時間と吸水量との関係を示すグラフである(架橋剤はエピクロロヒドリン)。
【図4】物質量比が異なる実施例の吸水性および吸液性高分子の、純水の吸収に供したときの、吸水時間と吸水量との関係を示すグラフである(架橋剤はエチレングリコールジグリシジルエーテル)。
【図5】実施例の吸水性および吸液性高分子の吸水量を示すグラフである。
【図6】実施例の吸水性および吸液性高分子の、10mM塩化ナトリウム水溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図7】実施例の吸水性および吸液性高分子の、0.3、0.9および3.8%塩化ナトリウム水溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図8】置換度(カルボキシメチル化度)が異なる実施例の吸水性および吸液性高分子の、試験開始4日後の10mM塩化ナトリウム水溶液に対する吸液量を示すグラフである。
【図9】重合度が異なる実施例の吸水性および吸液性高分子の、試験開始4日後の10mM塩化ナトリウム水溶液に対する吸液量を示すグラフである。
【図10】実施例の吸水性および吸液性高分子の、各種10mMアルカリ金属カチオン(Na+、K+、Cs+)水溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図11】実施例の吸水性および吸液性高分子の、各種10mMアルカリ土類金属カチオン(Mg2+,Ca2+)水溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図12】実施例の吸水性および吸液性高分子の、各種10mMアルカリ土類金属カチオン(Sr2+,Ba2+)水溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図13】実施例の吸水性および吸液性高分子の、各種10mM二価金属カチオン(Mn2+、Fe2+、Co2+)水溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図14】実施例の吸水性および吸液性高分子の、各種10mM二価金属カチオン(Ni2+、Zn2+、Cd2+)水溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図15】実施例の吸水性および吸液性高分子の、酸性度が異なる水溶液の吸収に供したときの、吸水時間と吸水量との関係を示すグラフである(架橋剤はエピクロロヒドリン)。
【図16】実施例の吸水性および吸液性高分子の、酸性度が異なる水溶液の吸収に供したときの、吸水時間と吸水量との関係を示すグラフである(架橋剤はエチレングリコールジグリシジルエーテル)。
【図17】実施例の吸水性および吸液性高分子の、試験開始3日後の酸性度が異なる水溶液に対する吸水量を示すグラフである。
【図18】実施例の吸水性および吸液性高分子の、土壌保水効果を示すグラフである。
【図19】実施例の吸水性および吸液性高分子の、BSA溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図20】実施例の吸水性および吸液性高分子の、BSA溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図21】比較例の吸水性高分子の、BSA溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図22】実施例の吸水性および吸液性高分子の、牛乳の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【図23】実施例の吸水性および吸液性高分子の、粉乳溶液の吸収に供したときの、吸液時間と吸液量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の1つについて詳細に説明する。
本実施形態の吸水性および吸液性高分子(以下、本実施形態の吸水性および吸液性高分子および実施例の吸水性および吸液性高分子を、単に高分子とも称す)は、各種の金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対して、従来の吸水性高分子と比較して高い吸液性を示す。ここで、本明細書において、吸液性とは、金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対して吸収性を示すことをいう。
また、金属カチオンが含まれる溶液とは、水などに対して1または複数の各種金属カチオン成分が溶存している溶液をいい、具体的には、生理食塩水や海水、土壌中の水分、工業排水、肥料が溶存した水等を挙げることができるほか、例えば尿や血液等の体液なども含む概念である。
また、タンパク質含有液とは、水などに対して1または複数の各種タンパク質が溶解または分散している液をいい、具体的には、尿、血液などの体液や牛乳、人乳などの分泌液を挙げることができる。
本実施形態の高分子は、カルボキシメチルセルロース塩(CMC)にエポキシ化合物を作用させて架橋させることにより得ることができる。

【0012】
カルボキシメチルセルロース塩は、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。このうち、ナトリウム塩(カルボキシメチルセルロースナトリウム)の水溶性が高く、その結果、本実施形態の高分子が有する金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対する吸液性がさらに高くなるため好ましい。

【0013】
ここで、本実施形態においては、カルボキシメチルセルロース塩の置換度が0.65~1.4であり、且つ重量平均分子量が84,600~125,000(平均重合度換算で324~584)である。
また、置換度が0.72~0.99であり、且つ重量平均分子量が84,600~112,000(平均重合度換算で355~505)であることが好ましく、置換度が0.72~0.82であり、且つ重量平均分子量が84,600~112,000(平均重合度換算で355~505)であることがより好ましい。さらにまた、置換度が0.72~0.82であり、且つ重量平均分子量が84,600~111,000(平均重合度換算で355~505)であることがより一層好ましく、置換度が0.72~0.82であり、重量平均分子量が100,000~110,000(平均重合度換算で450~495)であることがさらにより一層好ましい。
重量平均分子量が84,600未満である場合、高分子の粒子サイズが小さくなり、範囲内にある場合と比較して金属カチオンを含む溶液やタンパク質含有液を保持するための有効内部体積が小さくなる。重量平均分子量が125,000より大きい場合、カルボキシメチルセルロース塩の粘性が急激に高くなるため、合成時に架橋剤との均一な混合が困難となる。
また、置換度が0.65未満である場合、カルボキシメチルセルロース塩の構造に含まれるカルボン酸塩の割合が少なくなり、吸液後にカルボン酸イオンの静電的反発が抑制される結果、金属カチオンを含む溶液に対する吸液量が低下する。置換度が1.4より大きい場合、吸液後に負電荷を持ったカルボン酸イオンの割合が増加し、正電荷を持った金属カチオンと静電的に結合するため、金属カチオンを含む溶液に対する吸液量が低下する。

【0014】
一方、置換度が0.65~1.4であり、且つ重量平均分子量が84,600~125,000であるカルボキシメチルセルロース塩を用いることで、金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対する吸液性を高めることができる。特に、置換度が0.72~0.99であり、且つ重量平均分子量が84600~112,000であるカルボキシメチルセルロース塩を用いることで、合成により得られる高分子は粒子サイズとカルボン酸塩のバランスが良くなる結果、従来の吸水性高分子と比較して、各種金属カチオンが含まれる溶液に対して極めて高い吸液性(ポリアクリル酸架橋共重合体に吸収させた場合と比較すると1.3~2.2倍)を備えるようになる。
また、カルボキシメチルセルロース塩の置換度が0.72~0.82であり、且つ重量平均分子量が84600~112,000(好ましくは84,600~111,000、より好ましくは100,000~110,000)とすることにより、本実施形態の高分子が備える吸水性、および吸液性をさらに高めることができる。
なお、本明細書において、置換度とは、カルボキシメチルセルロースにおいて、セルロースのヒドロキシ基がカルボキシメチル基に置換されている割合をいう。

【0015】
また、上述の説明から理解できるとおり、カルボキシメチルセルロース塩の重量平均分子量はカルボキシメチルセルロース塩の平均重合度によって表すこともできる。重量平均分子量の平均重合度への換算は以下の式(1)に基づき行うことができる。

【0016】

DP = Mw/(162+80DS)・・・(1)
式(1)中、DPは平均重合度を表し、Mwは平均分子量を表し、DSは置換度を表す。


【0017】
本実施形態に係るエポキシ化合物については特に限定されず当業者が適宜設定することができ、例えばエチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、2-エチルへキシルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エピクロロヒドリン(ECH)等のモノエポキシ化合物、エチレングリコールジグリシジルエーテル
(EGDE)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンノブリシジルエーテル等のジエポキシ化合物、グリセリントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のトリエポキシ化合物、グリセロ-ルポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のポリエポキシ化合物から選ばれる1種又は2種以上使用し得る。このうち、穏やかな反応条件で本実施形態の高分子の合成を進行できることから、エピクロロヒドリン、エチレングリコールジグリシジルエーテルまたはこれらの混合物が好ましい。

【0018】
図1はカルボキシメチルセルロースナトリウムを原料とした本実施形態の高分子の合成フローの一例を示す図である。まず、カルボキシメチルセルロースナトリウムを水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液に溶解させる。常温下で完全に溶解させた後、架橋剤としてエピクロロヒドリンまたはエチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物を滴下する。その後、加熱(例えば60℃の湯浴中)しながら6時間~24時間の反応を行うことで架橋剤であるエポキシ化合物とセルロース水酸基との間で分子間架橋が形成される。

【0019】
次いで、得られたゲル状物質を十分に水洗し、アセトン中で脱水後、風乾によって本実施形態の高分子を得る。
カルボキシメチルセルロース塩とエポキシ化合物との割合は当業者が適宜設定することができ特に限定されない。ここで、例えばエピクロロヒドリンを用いる場合、カルボキシメチルセルロース塩のグルコース残基換算物質量に対して5~8倍のエピクロロヒドリンを添加することが好ましく、より好ましくは5~6倍である。カルボキシメチルセルロース塩のグルコース残基換算物質量に対して5~8倍のエピクロロヒドリンを添加することで、範囲外の場合よりも、本実施形態の高分子の金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対する吸液性をより高めることができる。
また、エチレングリコールジグリシジルエーテルを架橋剤に用いる場合にあっては、カルボキシメチルセルロース塩のグルコース残基換算物質量に対して3~8倍、より好ましくは3~6倍のエチレングリコールジグリシジルエーテルを添加することが好ましい。カルボキシメチルセルロース塩のグルコース残基換算物質量に対して3~8倍のエチレングリコールジグリシジルエーテルを添加することで、範囲外の場合よりも、本実施形態の高分子の金属カチオンが含まれる溶液やタンパク質含有液に対する吸液性をより高めることができる。

【0020】
本実施形態の高分子は、ポリアクリル酸架橋共重合体などの従来の吸水性高分子よりも、金属カチオンを含む水やタンパク質含有液に対して極めて高い吸液性を示す。したがって、本実施形態の高分子は、金属カチオンを含む溶液を吸収させるために使用することができる。また、本実施形態の高分子は、タンパク質含有液を吸収させるために使用することもできる。なお、金属カチオンを含む溶液とタンパク質含有液の両方の定義に当てはまる液を吸収させるためにも使用可能であることは、本明細書から当業者は当然に理解できる。
具体的には、例えば10 mM塩化ナトリウム水溶液に対して、既存のポリアクリル酸架橋共重合体が自重の155倍程度しか吸収できない。これに対し、本実施形態の高分子は、カルボキシメチルセルロース塩とエポキシ化合物の比率にも応じて、例えば自重のおよそ345倍(ポリアクリル酸架橋共重合体と比較すると2.2倍)もの吸液量を示す。
また、通常のポリアクリル酸架橋共重合体では、タンパク質含有液を吸液させた場合吸液開始から数時間後には当該共重合体は凝集し、吸液量が大きく低下する。一方、本実施形態の高分子は、吸液開始後から安定した吸液を示し、凝集することはない。
また、本実施形態の高分子は、既存のポリアクリル酸架橋共重合体と異なり、再生可能なバイオマスであるセルロースを骨格材料としており、生分解性を備える。
すなわち、本実施形態の高分子によれば、生分解性を有するとともに、従来の吸水性高分子と比較して極めて優れた吸液性を有する、吸水性および吸液性高分子を提供することができる。
本実施形態の高分子は、衛生用品などの生活用品、農業園芸、ファイントイレタリー分野、流通資材、土木建築、医療、機能性材料など様々な用途に活用することができ、具体的には紙おむつ、生理用品、ペット用トイレ、医療廃棄物固化剤、保冷剤、土壌改良材、土壌保水材、種苗ポット、苗床、水耕栽培支持体、パック用マスク、冷却ゲル、携帯トイレ、DDSキャリア、止血用スポンジ、人口関節、ゲル電解質燃料電池、ゲルセンサーなどに用いることが可能である。
より具体的に例示すると、Ca2+イオンやMg2+イオンが多量に存在する土壌における保水材や、Ca2+イオンやMg2+イオンなどを多く含む肥料を溶かした水溶液を吸収させた保肥材(土壌改良材)として有効である。また、海洋土木工事、トンネルのセグメント間止水利用、酸性廃液固化剤などにも用いることができる。さらにまた、タンパク質含有液も吸収できることから、母乳パッド、医療現場用液状廃棄物凝固処理剤などにも用いることができる。
【実施例】
【0021】
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の吸水性および吸液性高分子は以下の実施例により特定される形態のみに限られるものではない。なお、下記実施例1~8に係るカルボキシメチルセルロース塩とエポキシ化合物との割合をまとめて表1~2に示した。
【実施例】
【0022】
【表1】
JP0005937066B2_000002t.gif
【実施例】
【0023】
【表2】
JP0005937066B2_000003t.gif
【実施例】
【0024】
(実施例1)
置換度0.75、重量平均分子量106,000(平均重合度477)のカルボキシメチルセルロースナトリウム3.0g(グルコース残基モノマー換算で13.5 mmol)を1.5mol/L 水酸化ナトリウム水溶液100mLに溶解した。カルボキシメチルセルロースナトリウムのグルコース残基換算物質量に対して5倍量のエピクロロヒドリン6.24 g (67.5 mmol)を滴下し、撹拌しながら60℃の湯浴中で6時間反応させた。反応後、生成したゲル状物が中性になるまで流水洗浄した。アセトンに浸漬して脱水した後、風乾により白色状の固形物を得た。当該固形物をブレンダーミルにより粉砕した。
実施例1において、カルボキシメチルセルロースナトリウムのグルコース残基換算物質量とエピクロロヒドリンの物質量の比率は1:5である。なお、以下においては、カルボキシメチルセルロースナトリウムのグルコース残基換算物質量とエピクロロヒドリンまたはエチレングリコールジグリシジルエーテルの物質量の比率を、単に物質量比とも称す。
【実施例】
【0025】
なお、カルボキシメチルセルロースナトリウムの置換度は1H NMR(スペクトルの信号強度比から決定した)により測定した。また、カルボキシメチルセルロースナトリウムの重量平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した。さらに、カルボキシメチルセルロースナトリウムの平均重合度は重量平均分子量と置換度から式(1)によって求めた。
【実施例】
【0026】

DP = Mw/(162+80DS)・・・(1)
式(1)中、DPは平均重合度を表し、Mwは平均分子量を表し、DSは置換度を表す。

【実施例】
【0027】
図2は実施例1の高分子の外観を示す写真である。図2(a)に示したように実施例1の高分子は乾燥時には白色粉末であるが、水が存在することで瞬時に吸水し、図2(b)に示すような透明なハイドロゲルに変化する。
【実施例】
【0028】
(実施例2~4)
カルボキシメチルセルロースナトリウムに対するエピクロロヒドリンの仕込物質量を変化させることにより、得られる高分子の吸水量の変化を調べた。エピクロロヒドリンの添加量をそれぞれ〔実施例2〕7.49 g(81mmol)、〔実施例3〕8.74g(94.5mmol)、〔実施例4〕9.99g (108 mmol)に変更した以外は実施例1と同一条件で、実施例2~4の高分子を得た。各実施例における物質量比は〔実施例2〕1:6、〔実施例3〕1:7、〔実施例4〕1:8である。
【実施例】
【0029】
(実施例1~4の高分子の、純水に対する吸水性評価)
図3は架橋剤としてエピクロロヒドリンを用いた実施例1~4の高分子と、比較対照として用いたポリアクリル架橋共重合体の既存市販品であるサンダイヤポリマー株式会社製サンウェット(登録商標、以下同じ)IM930の、吸水時間と吸水量との関係を示すグラフである。なお、当該サンウェットIM930を以下、比較例1またはPANaとも称す。図3中の各実施例の吸水時間-吸水量曲線付近に示した数値は各実施例における物質量比を示す。吸水曲線は日本工業規格JIS K7223(ティーバック法)により決定した(吸水曲線および吸液曲線の決定について、以下、同じ)。
この結果、実施例1~4の高分子は比較例1よりもいずれも高い吸水量を示した。特に物質量比が1:5である実施例1の高分子において、試験開始3日後の吸水量が乾燥時における自重の6473倍という最も高い値を示し、その吸水量を試験開始6日後もほぼ維持していた。すなわち、物質量比が1:5で合成された実施例1の高分子が最も高い吸水率を有していた。
【実施例】
【0030】
(実施例5)
架橋剤をエピクロロヒドリンからエチレングリコールジグリシジルエーテルに替え、得られる高分子の吸水性を調べた。エチレングリコールジグリシジルエーテルは反応性が高いため、下記手順で溶媒中の水酸化ナトリウム濃度を低下させて行った。
【実施例】
【0031】
水酸化ナトリウム水溶液の濃度を1.5 mol/Lから0.5mol/Lに替え、エピクロロヒドリン6.24 g(67.5 mmol)の代わりにエチレングリコールジグリシジルエーテル11.75 g(67.5 mmol)に替えた以外は実施例1と同じ合成条件で実施例5の高分子を得た。実施例5における物質量比は1:5である。
【実施例】
【0032】
(実施例6~8)
エチレングリコールジグリシジルエーテルの添加量をそれぞれ〔実施例6〕14.1 g(81.0 mmol)、〔実施例7〕16.5 g(94.5mmol)、〔実施例8〕18.8 g (108 mmol)に変更した以外は実施例5と同一条件で、実施例6~8の高分子を得た。各実施例における物質量比は
〔実施例6〕1:6、〔実施例7〕1:7、〔実施例8〕1:8である。
【実施例】
【0033】
(実施例5~8の高分子の、純水に対する吸水性評価)
図4は、実施例5~8の高分子の、吸水時間と吸水量との関係を示すグラフである。図4中の各実施例の吸水時間-吸水量曲線付近に示した数値は、各実施例における物質量比を示す。
この結果、実施例5~8の高分子は、比較例よりもいずれも高い吸水量を示した。特に物質量比が1:5である実施例5の高分子において、試験開始6日後の吸水量が乾燥時における自重の2306倍という最も高い値を示した。よってエチレングリコールジグリシジルエーテルを架橋剤に用いた場合も物質量比が1:5で合成された高分子が特に高い吸水量を示すことが明らかになった。また、次いで物質量比1:6である実施例6の高分子を用いた場合に2170倍と、実施例5とほぼ同等の吸水量を示した。但し、物質量比におけるエチレングリコールジグリシジルエーテルの比率をさらに低く設定することで、さらに吸水量の向上が期待できる。よってエチレングリコールジグリシジルエーテルを架橋剤に用いる場合にあっては、カルボキシメチルセルロース塩のグルコース残基換算物質量に対して3~8倍、より好ましくは3~6倍のエチレングリコールジグリシジルエーテルを添加することが好ましい。
【実施例】
【0034】
異なる置換度、および平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムに対してエピクロロヒドリンを作用させて高分子を得た。カルボキシメチルセルロースナトリウムの置換度または平均分子量が異なるほかは実施例1と同一の条件で高分子を合成した(実施例9~12、比較例2~3)。実施例9~12、比較例2~3に係るカルボキシメチルセルロースナトリウムの置換度および重量平均分子量を表3に示す。なお、漂白パルプから合成したカルボキシメチルセルロースナトリウムについては、Thermochimica Acta 494 (2009) 115-122に記載の方法に基づき、温度と反応時間を調整して重量平均分子量および置換度の異なるカルボキシメチルセルロースナトリウムを合成した。
【実施例】
【0035】
【表3】
JP0005937066B2_000004t.gif
【実施例】
【0036】
実施例1の高分子に加え、実施例9~12および比較例2~3の高分子についても吸水量を調べた。結果を図5に示す。図5から理解できるように、実施例の高分子の試験開始6日後の吸水量は比較例と比べて高い吸水量を示した。
カルボキシメチルセルロースナトリウムの重量平均分子量が83,000以上であると、83,000未満である場合と比較して、吸水量の増加が確認できる。特に、重量平均分子量が83,000以上であり、且つ置換度が0.72~0.82の範囲内であるカルボキシメチルセルロースナトリウムを用いることで、吸水量は著しく増加する。
【実施例】
【0037】
(塩化ナトリウム水溶液に対する吸液量評価)
図6は、実施例4と実施例6の高分子について、10mM 塩化ナトリウム水溶液に対する吸液量を示したグラフである。エピクロロヒドリン架橋によって得られる高分子(実施例4)およびエチレングリコールジグリシジルエーテル架橋によって得られる高分子(実施例6)は、比較例1(PANa)と比較して高い吸液量を示す優位性を示した。
また、図7においては、実施例4と実施例8の高分子の、濃度の異なる塩化ナトリウム水溶液(0.3%、0.9%、および3.8%)に対する吸液性を示す。図7から、いずれの濃度においても実施例4と実施例8の高分子は、比較例1(PANa)と比較して高い吸液量を示した。
【実施例】
【0038】
さらに、異なる置換度、および重量平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムを用いて実施例および比較例の高分子を製造し、これらの10mM 塩化ナトリウム水溶液に対する吸液性の確認を行った。
具体的には、表4に示す置換度および重量平均分子量を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムに対してエピクロロヒドリンまたはエチレングリコールジグリシジルエーテルを作用させることにより、実施例および比較例の高分子を得た。エピクロロヒドリンを用いる場合、カルボキシメチルセルロースナトリウムの置換度または重量平均分子量が異なるほかは実施例4と同一の条件で高分子を合成した。同様に、エチレングリコールジグリシジルエーテルを用いる場合、カルボキシメチルセルロースナトリウムの置換度または重量平均分子量が異なるほかは実施例6と同一の条件で高分子を合成した。なお、漂白パルプから合成したカルボキシメチルセルロースナトリウムについては、Thermochimica Acta 494 (2009) 115-122に記載の方法に基づき、反応時間を調整して重量平均分子量および置換度の異なるカルボキシメチルセルロースナトリウムを合成した。
各高分子の吸液開始から4日間経過後における吸液量を表4、図8および図9に示す。なお、図9においては、横軸を、重量平均分子量に対応するカルボキシメチルセルロース塩の平均重合度)によって表している(当該重合度を、CMC重合度とも称す)。
【実施例】
【0039】
【表4】
JP0005937066B2_000005t.gif
【実施例】
【0040】
表4、図8、図9から、カルボキシメチルセルロースナトリウムが置換度0.65~1.4、重量平均分子量84,600~125,000である場合に、10mM 塩化ナトリウム水溶液に対する吸液性が大きく向上することが理解できる。
【実施例】
【0041】
(他の金属カチオンが含まれる溶液に対する吸液量評価)
また、他の金属カチオン水溶液に対する吸液性についても確認を行った。具体的には、実施例4の高分子と実施例6の高分子とを用いて、各種アルカリ金属イオン(11Na+, 19K+,
55Cs+)水溶液、各種アルカリ土類金属イオン(12Mg2+, 20Ca2+, 28Sr2+, 56Ba2+)水溶液、および各種二価金属イオン(27Co2+, 25Mn2+, 26Fe2+, 28Ni2+, 30Zn2+, 48Cd2+)水溶液に対する吸液性を確認した。
なお、各種水溶液は、各金属イオンの塩化物を純水に金属イオン濃度10 mMとなるように溶解することにより調製した。
【実施例】
【0042】
結果を図10~図14に示す。図10~図14から理解できるように、実施例4、および実施例6の高分子は、各種アルカリ金属イオン、各種アルカリ土類金属イオンおよび各種二価金属イオンの水溶液に対しても高い吸液性を示した。
【実施例】
【0043】
(酸性度が異なる水溶液に対する吸水性評価)
図15は、実施例4の高分子の、0.1 mol/L クエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝溶液(pH3.0)、0.1 mol/L 酢酸-酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH 5.0)、および0.1 mol/L グリシン-水酸化ナトリウム緩衝溶液(pH 9.0)の吸水に供したときの、吸水時間と吸水量との関係を示すグラフである。溶液酸性度の吸水量に対する評価を行うため、すべての塩濃度は同一(0.1mol/L)とした。
【実施例】
【0044】
高分子の吸水力は下記化学式(2)で示される構造中のカルボン酸ナトリウム塩の解離に起因し、遊離のナトリウムカチオンが浸透圧を発生させ、吸水力を生じさせる。また結合性カルボン酸アニオンは電子的反発によって材料の体積を膨張させて保水する働きをする。
【実施例】
【0045】
JP0005937066B2_000006t.gif
【実施例】
【0046】
一般的な有機分子ではカルボン酸の解離定数はpKa = 4.0~4.6程度であり、ポリアクリル酸共重合体のような吸水性高分子の場合、酸性水溶液に対する吸水量は急激に低下する。一方、実施例4の高分子は、いずれのpHにおいても比較例より高い吸水量を示した。すなわち、従来の吸水性高分子では困難であった酸性水溶液下での使用が可能となることが明らかになった。
【実施例】
【0047】
図16は、エチレングリコールジグリシジルエーテル架橋によって得られた実施例8の高分子の、0.1 mol/L クエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝溶液(pH3.0)、0.1 mol/L 酢酸-酢酸ナトリウム緩衝溶液(pH 5.0)、および0.1 mol/L グリシン-水酸化ナトリウム緩衝溶液(pH 9.0)の吸水に供したときの、吸水時間と吸水量との関係を示すグラフである。エピクロロヒドリン架橋によって得られた実施例4の高分子と同様に、酸性水溶液に対する高い吸水量を示し、酸性水溶液下での利用が可能であることが明らかとなった。
【実施例】
【0048】
図17は実施例4と実施例8の高分子について、吸水3日後の酸性水溶液に対する吸水量をまとめて示したものである。エピクロロヒドリン架橋によって得られる実施例4の高分子は、いずれの酸性度の水溶液に対しても比較例より極めて高い吸水量を示した。また、エチレングリコールジグリシジルエーテル架橋によって得られる実施例8の高分子についても酸性溶液に対して比較例よりも高い吸水量を示した。
【実施例】
【0049】
(土壌保水効果の評価)
実施例の高分子の土壌保水効果を明らかにするために、実施例の高分子を培養土へ添加、混合し、その保水効果を試験した。培養土1080 g(90wt %)、パーミキュライト60 g(有限会社 北松製、5wt%)、およびピートモス60 g(有限会社 北松製、5wt %)の混合物に実施例4の高分子を1.2 g(0.1 wt%)を添加し、よく混合の後、純水600 mLを加え、吸水させた。常温下で放置し、一定期間ごとに土壌を採取し、ハロゲン型水分計を用いてその水分量を計測した。
【実施例】
【0050】
また、同様に、高分子の添加量を3.0 g(0.25 wt%)、6.0 g(0.5 wt%)に替えた以外は同じ方法で土壌の水分量を計測した。
【実施例】
【0051】
図18は計測された実施例4の高分子の土壌保水効果を示すグラフである。図18においては、試験開始時の保水量を100としたときの時間経過後の各水分量をプロットした。
高分子が存在しない場合、11日後には71.3%しか水が保持されていなかったのに対して、実施例の高分子を僅か0.1%添加することによって、78.4%の水が保持され、7.1%の保水効果が確認された。また実施例4の高分子の添加量の増加に伴い、土壌保水効果は顕著になり、11日後において0.25%添加では82.7%、0.5%添加では85.6%の水が保持されていた。
【実施例】
【0052】
(タンパク質含有液に対する吸液性の検討)
1 mg/mL、2 mg/mL、5 mg/mL、10 mg/mLおよび25 mg/mLに設定した牛血清アルブミン(BSA:和光純薬製)水溶液に対する、実施例1および実施例5の高分子の吸液量をJISK7223によって求めた。比較例として、アクリル酸系吸水性高分子(サンダイヤポリマー株式会社製サンウェットIM930、比較例1)を用いた。
【実施例】
【0053】
結果を図19~21に示す。図19は、BSA水溶液に対する実施例1の高分子の吸液量を示している。図20は、BSA水溶液に対する実施例5の高分子の吸液量を示している。図21は、アクリル酸系水性高分子の吸液量を示している。
図19~21から理解できるように、実施例1および実施例5の高分子は、タンパク質含有液(BSA水溶液)に対して高い吸収特性を示した。
【実施例】
【0054】
牛乳(雪印メグミルク牛乳,タンパク質33.0mg/mL)、粉乳(和光堂株式会社、調製粉乳“はいはい”、タンパク質15.2mg/mL)溶液についても、実施例1および実施例5の高分子を用いて吸液性を評価した。評価は、JIS K7223に基づき行った。
結果を図22および図23に示す。高タンパク質水溶液である牛乳や粉乳溶液についても、実施例1および実施例5の高分子は、比較例に比べて高い吸液性を示した。
比較例のアクリル酸系吸水性高分子は吸液開始後に吸液するが、数時間後にはタンパク質等と凝集し、吸液量が急激に低下した。一方、実施例1および実施例5の高分子は、吸液開始後から安定した吸液を示し、凝集することはない。よって、牛乳などタンパク質を含む溶液に対して実施例の高分子は高い吸液性を有していることが明らかになった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22