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明細書 :環境修復装置及び環境修復方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6031705号 (P6031705)
登録日 平成28年11月4日(2016.11.4)
発行日 平成28年11月30日(2016.11.30)
発明の名称または考案の名称 環境修復装置及び環境修復方法
国際特許分類 B09C   1/02        (2006.01)
B09C   1/08        (2006.01)
C02F   1/78        (2006.01)
C02F   1/72        (2006.01)
A62D   3/34        (2007.01)
A62D   3/38        (2007.01)
A62D 101/22        (2007.01)
FI B09B 3/00 304K
C02F 1/78 ZAB
C02F 1/72 Z
A62D 3/34
A62D 3/38
A62D 101:22
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2013-515035 (P2013-515035)
出願日 平成24年3月27日(2012.3.27)
国際出願番号 PCT/JP2012/057938
国際公開番号 WO2012/157340
国際公開日 平成24年11月22日(2012.11.22)
優先権出願番号 2011109779
優先日 平成23年5月16日(2011.5.16)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年10月29日(2014.10.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
【識別番号】511118883
【氏名又は名称】内田 正信
【識別番号】511118894
【氏名又は名称】有限会社ジェーハック
発明者または考案者 【氏名】樋口 壯太郎
【氏名】内田 正信
【氏名】為田 一雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100093285、【弁理士】、【氏名又は名称】久保山 隆
【識別番号】100182567、【弁理士】、【氏名又は名称】遠坂 啓太
審査官 【審査官】金 公彦
参考文献・文献 特開2001-129529(JP,A)
特開2000-210599(JP,A)
特開2007-061663(JP,A)
特開2006-233712(JP,A)
特開2001-129530(JP,A)
特開2007-296409(JP,A)
特開2008-237973(JP,A)
特開2010-000454(JP,A)
特開2002-205048(JP,A)
特開2005-169279(JP,A)
特開2007-023577(JP,A)
米国特許出願公開第2010/0209194(US,A1)
米国特許出願公開第2003/0155309(US,A1)
調査した分野 B09C 1/00- 1/10
B09B 1/00- 5/00
A62D 3/34、 3/38
C02F 1/70- 1/78
DWPI(Thomson Innovation)
特許請求の範囲 【請求項1】
地盤中に形成された縦坑内に配置可能若しくは水中に浸漬可能なミスト生成器と、酸化剤を含む液体を前記ミスト生成器に供給する酸化剤供給手段と、前記ミスト生成器からミスト状酸化剤を噴出させるため前記ミスト生成器へ加圧気体を供給する気体圧送手段と、を備え、前記縦坑内に挿入された湾曲可多孔管内に前記ミスト生成器を配置し、前記酸化剤を含む液体を前記ミスト生成器に供給する液体経路及び前記加圧気体を前記ミスト生成器に供給する気体経路の少なくとも一部を、前記多孔管の湾曲に沿うように湾曲可能な可撓性管体で形成したことを特徴とする環境修復装置。
【請求項3】
前記ミスト生成器の配置深度が変更可能である請求項1記載の環境修復装置。
【請求項5】
前記液体経路及び前記気体経路に逆止弁を設けた請求項1又は3記載の環境修復装置。
【請求項6】
地盤中に形成された縦坑内に配置されたミスト生成器若しくは水域中に浸漬されたミスト生成器に酸化剤を含む液体及び加圧気体を供給し、前記ミスト生成器からミスト状酸化剤を噴出させ、前記ミスト状酸化剤を前記地盤中若しくは前記水域中に拡散させる環境修復方法であって、前記縦坑内に挿入された湾曲可多孔管内に前記ミスト生成器を配置し、前記酸化剤を含む液体を前記ミスト生成器に供給する液体経路及び前記加圧気体を前記ミスト生成器に供給する気体経路の少なくとも一部を、前記多孔管の湾曲に沿うように湾曲可能な可撓性管体で形成したことを特徴とする環境修復方法。
【請求項7】
前記酸化剤を含む液体として、過酸化水素水若しくはオゾン水の少なくとも一方を用いた請求項6記載の環境修復方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、最終処分場あるいは不法投棄現場などに集積された廃棄物中、汚染土壌中あるいは汚染水域中の汚染物質を分解して安定化する環境修復技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最終処分場や不法投棄現場などに集積された廃棄物中や汚染土壌中で発生する硫化水素やメタンガスなどの汚染物質を分解して廃棄物や土壌を安定化する技術としては、従来、汚染土壌中に空気を吹き込むバイオブースタ工法やスメルウエル工法あるいは汚染土壌中へ直接酸化剤を注入する方法などが知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
バイオブースタ工法やスメルウエル工法は、汚染土壌中に空気を吹き込むことによって土壌内部を好気化させ悪臭を一時的に防止する方法として利用されている。また、特許文献1記載の「土壌の修復方法」は難分解性有機物で汚染された土壌に過酸化水素水を散布したり、土壌中に差し込んだパイプを通じて過酸化水素水を圧入したりするという方法であり、特許文献2記載の「汚染地盤の浄化方法」は汚染地盤に形成された井戸内に設けた配管を通じて汚染地盤内に過酸化水素水を注入するという方法である。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平7-75772号公報
【特許文献2】特開2010-115604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のバイオブースタ工法やスメルウエル工法は、土壌中に空気を吹き込むので最終処分場の地盤内部が乾燥するという問題がある。一方、特許文献1,2記載の方法においては、汚染地盤中に注入された過酸化水素水が地盤中を拡散する際に、所謂「みずみち」が形成され易く、その後、注入される過酸化水素水は「みずみち」に沿って流れるようになる。このため、過酸化水素水が汚染地盤全体に均等に拡散し難く、汚染地盤全体を早期に安定化処理することが困難である。
【0006】
また、特許文献1,2記載の方法は、地盤中に存在する汚染気体(硫化水素、メタンガスなど)と過酸化水素水とが接触して当該汚染気体が酸化分解される反応(気液反応)を利用しているが、気液反応は効率が悪いので、汚染地盤を安定化処理するのに長時間を要している。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、最終処分場や不法投棄現場などの汚染地盤全体あるいは汚染水域全体を早期に安定化処理することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る環境修復装置は、地盤中に形成された縦坑内に配置可能若しくは水中に浸漬可能なミスト生成器と、酸化剤を含む液体を前記ミスト生成器に供給する酸化剤供給手段と、前記ミスト生成器からミスト状酸化剤を噴出させるため前記ミスト生成器へ加圧気体を供給する気体圧送手段と、を備え、前記縦坑内に挿入された湾曲の可能性がある多孔管内に前記ミスト生成器を配置し、前記酸化剤を含む液体を前記ミスト生成器に供給する液体経路及び前記加圧気体を前記ミスト生成器に供給する気体経路の少なくとも一部を可撓性管体で形成したことを特徴とする。
【0009】
このような構成とすれば、汚染地盤中に形成された縦坑内に配置された(若しくは汚染水域中に浸漬された)ミスト生成器に向かって、酸化剤供給手段及び気体圧送手段からそれぞれ酸化剤を含む液体及び加圧気体を供給することより、ミスト生成器から縦坑内(若しくは水域中)にミスト状酸化剤を噴出させることができ、噴出したミスト状酸化剤は縦坑の内周面から汚染地盤中に拡散して(若しくは水域中に拡散して)地盤中の汚染物質(若しくは水域中の汚染物質)と反応し、これらを酸化分解することができる。ミスト状酸化剤は乾燥ミストであるため、地盤中に「みずみち」を形成することもなく、汚染地盤中の空隙内(若しくは汚染水域中)を隈無く拡散しながら、汚染物質と速やかに反応する結果、汚染地盤全体(汚染水域全体)を早期に安定化処理することができる。また、汚染水域中でミスト生成器を使用した場合、ミスト状酸化剤が微細粒子となって汚染水域中に拡散するため、汚染水に溶解し易く、速やかな酸化により早期に安定化処理を行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る環境修復装置では、前記縦坑内に挿入された湾曲の可能性がある多孔管内に前記ミスト生成器を配置している。ここで、前記多孔管とは、管を構成する周壁に管内と管外とを連通する複数の貫通孔が開設された管状の部材をいう。
【0011】
このような構成としたことにより、地盤に開設された縦坑内にミスト発生器を配置する場合、地盤土圧や地下水圧などによる縦坑の崩壊や閉塞などを防ぐことができる。また、ミスト生成器から噴出されたミスト状酸化剤は、多孔管に開設されている複数の貫通孔を通過して地盤中へ拡散するので、処理作業が阻害されることもない。
【0012】
一方、前記ミスト生成器の配置深度が変更可能であることが望ましい。ここで、ミスト生成器の配置深度とは、縦坑の上端開口部(若しくは縦坑に挿入された多孔管の上端開口部)または汚染水域中に立設された多孔管の上端開口部から、縦坑内(若しくは水域中)に配置(若しくは浸漬)されたミスト生成器までの距離をいう。
【0013】
このような構成とすれば、縦坑内におけるミスト生成器の位置を昇降調整することが可能となり、汚染の度合いが高い領域や汚染物質が集中している領域にミスト生成器を配置(若しくは浸漬)してミスト状酸化剤の供給を行うことができるため、処理作業の効率化を図ることができる。
【0014】
また、本発明に係る環境修復装置では、前記酸化剤を含む液体を前記ミスト生成器に供給する液体経路及び前記加圧気体を前記ミスト生成器に供給する気体経路の少なくとも一部を可撓性管体で形成している。
【0015】
このような構成としたことにより、縦坑内に挿入された多孔管が地盤の横方向の変位などによって湾曲した場合でも、当該多孔管内に差し込まれている液体経路及び気体経路も湾曲可能となり、湾曲後においても、液体経路及び気体経路を経由して当該多孔管内に配置されたミスト生成器に酸化剤を含む液体及び加圧気体を供給して稼働させることが可能となるため、地盤の変動に対する適応性が向上する。
【0016】
さらに、前記液体経路及び前記気体経路に逆止弁を設けることもできる。
【0017】
このような構成とすれば、地盤中に存在する内部水面にミスト生成器が浸漬された状態で、当該ミスト生成器に対する液体及び気体の供給が停止されたときに、内部水面下の水が逆流してミスト生成器あるいは液体経路や気体経路の内部へ浸入するのを防止することができる。
【0018】
次に、本発明の環境修復方法は、地盤中に形成された縦坑内に配置されたミスト生成器若しくは水域中に浸漬されたミスト生成器に酸化剤を含む液体及び加圧気体を供給し、前記ミスト生成器からミスト状酸化剤を噴出させ、前記ミスト状酸化剤を前記地盤中若しくは前記水域中に拡散させる環境修復方法であって、前記縦坑内に挿入された湾曲の可能性がある多孔管内に前記ミスト生成器を配置し、前記酸化剤を含む液体を前記ミスト生成器に供給する液体経路及び前記加圧気体を前記ミスト生成器に供給する気体経路の少なくとも一部を可撓性管体で形成したことを特徴とする。
【0019】
このような構成とすれば、最終処分場や不法投棄現場などの汚染地盤全体あるいは汚染水域全体を早期に安定化処理することができる。
【0020】
この場合、前記酸化剤を含む液体として、過酸化水素水若しくはオゾン水の少なくとも一方を用いることが望ましい。
【0021】
前記酸化剤を含む液体として過酸化水素水を用いた場合は、最終処分場や不法投棄現場などの汚染地盤中に存在する触媒物質、例えば、鉄イオンの存在下でOHラジカルを発生し、強い酸化力を発現する。このため、過酸化水素水を含むミスト状酸化剤の酸化作用により汚染水中の溶存有機物や固体中表面、空隙中の付着有機物ならびに気中悪臭物質を効率的に低分子化したり、無害化したりすることが可能である。また、脱塩素化することにより、例えば、テトラクロロエタン分子を構成する4個の塩素原子のうちの1個を脱塩素化することによりトリクロロエタンへと変化する。トリクロロエタンは分解微生物が存在するので、トリクロロエタン分子中の3個の塩素原子を2個、3個と、順次脱塩素化していくことにより、分解性を向上させることができる。また、汚染地盤中や汚染水域中の有機物濃度に追従して、過酸化水素水の送液量、濃度及び空気の押込み圧を変化させることにより、殆どすべての最終処分場や不法投棄現場に十分に対応可能である。
【0022】
一方、前記酸化剤を含む液体としてオゾン水を用いた場合、オゾンの自己分解もあり、水への溶解度が過酸化水素に比して低いが、オゾン水は過酸化水素による難分解性有機物を低分子化あるいは脱塩素化した後の易分解性物質、例えば、トリクロロエタンやクロロエタンなどの生物分解過程において必要とされる溶存酸素としての作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、最終処分場や不法投棄現場などの汚染地盤全体あるいは汚染水域全体を早期に安定化処理する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態である環境修復装置の概略構成を示す垂直断面図である。
【図2】図1におけるミスト生成器付近の一部拡大図である。
【図3】本発明のその他の実施形態を示す垂直断面図である。
【図4】本発明のその他の実施形態を示す垂直断面図である。
【図5】本発明のその他の実施形態を示す一部省略垂直断面図である。
【図6】図5に示すミスト生成器近傍の拡大図である。
【図7】図6に示すミスト生成器に対する酸化剤及び加圧気体の供給を停止した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
10 環境修復装置
11,31 地盤
11a 表面
12,32 縦坑
12a 内周面
13 ミスト生成器
13a 本体部
13b ミスト生成エリア
13c 噴出孔
14 酸化剤供給手段
15 気体圧送手段
16 タンク
17,20,33,34 ホース
18 コンプレッサ
19 圧力タンク
21 多孔管
21a 上端開口部
21b 周壁
21c 貫通孔
21d 下端開口部
30 内部水面
35,36 逆止弁
35a,36a 弁体
35b,36b 弁座
D 配置深度
DF ミスト状酸化剤
L 過酸化水素水
P ポンプ
X 最終処分場
Y 不法投棄現場
Z 汚染水域
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の環境修復装置10は、最終処分場Xの地盤11中に形成された縦坑12内に配置されたミスト生成器13と、ミスト生成器13に酸化剤を含む液体を供給する酸化剤供給手段14と、ミスト生成器13からミスト状酸化剤DFを噴出させるためミスト生成器13へ加圧気体を供給する気体圧送手段15と、を備えている。

【0027】
酸化剤供給手段14は、酸化剤を含む液体である過酸化水素水Lを貯留するタンク16と、タンク16内の過酸化水素水Lを、ホース17を介してミスト生成器13へ供給するポンプPと、で構成されている。タンク16及びポンプPは地上側に配置されている。

【0028】
気体圧送手段15は、大気中から取り込んだ空気を圧縮するコンプレッサ18と、コンプレッサ18で形成された圧縮空気を所定の圧力状態で貯留する圧力タンク19と、圧力タンク19内の圧縮空気をミスト生成器13へ送り込むホース20と、によって構成されている。コンプレッサ18及び圧力タンク19は地上側に配置されている。

【0029】
図1に示すように、縦坑12内には多孔管21が挿入され、地盤11の表面11aより高く突出した位置にある上端開口部21から多孔管21内へホース17,20が垂下状に差し込まれ、ホース17,20の先端がそれぞれミスト生成器13に接続されている。図2に示すように、多孔管21を構成する円筒状の周壁21bには、管内と管外とを連通する複数の貫通孔21cが開設されている。

【0030】
ミスト生成器13は、図2に示すように、外形が概略砲弾形状をなす本体部13a内に空洞状のミスト生成エリア13bを有し、ミスト生成エリア13bの先端側から大気中に向かって噴出孔13cが開設されている。本体部13aと同軸上をなす位置にてホース20の先端部がミスト生成エリア13bの基端側に接続され、本体部13aの外周に対し傾斜した姿勢でホース17の先端部がミスト生成エリア13bに接続されている。ミスト生成エリア13b内において、ホース20の仮想軸心の延長線(図示せず)に対しホース17の仮想軸心の延長線(図示せず)が斜めに交差するように構成されている。なお、ミスト生成器13はミスト生成手段の一例を示すものであり、これに限定するものではないので、その他の構造を有するミスト生成器を使用することもできる。

【0031】
図1,図2に示すように、地盤11中に形成された縦坑12内にミスト生成器13を配置した後、ポンプP及びコンプレッサ18を作動させ、ホース17を経由してタンク16内の過酸化水素水Lをミスト生成器13へ供給するとともに、ホース20を経由して加圧気体(圧縮空気)をミスト生成器13へ供給すると、ミスト生成器13の噴出孔13cから多孔管21内にミスト状酸化剤DFが噴出する。

【0032】
図2に示すように、ミスト生成器13から噴出したミスト状酸化剤DFは多孔管21内を拡散しながら、多孔管21に開設された多数の貫通孔21cを通過し、縦坑12の内周面12aから地盤11中に拡散していく。この拡散過程において、ミスト状酸化剤DFは、地盤11中に存在する汚染物質(例えば、硫化水素、メタンガス、VOCなど)と反応し、これらを酸化分解する。

【0033】
ミスト生成器13によって生成されたミスト状酸化剤DFは乾燥ミストであるため、地盤11中に「みずみち」を形成することもなく、汚染地盤11中に存在する空隙内を隈無く速やかに拡散しながら、汚染物質と速やかに反応する結果、汚染地盤12全体を早期に安定化処理することができる。

【0034】
本実施形態においては、縦坑12内に挿入された多孔管21内にミスト生成器13を配置しているので、縦坑12の内周面12aが多孔管21で補強された状態となり、地盤土圧や地下水圧などによって縦坑12が崩壊したり、閉塞されたりするのを防止することができる。一方、ミスト生成器13から噴出されたミスト状酸化剤DFは、多孔管21に開設されている多数の貫通孔21cを通過して地盤11中へ拡散するので、処理作業が阻害されることもない。

【0035】
また、図1に示すように、多孔管21の上端開口部21aから差し込んだホース17,20の垂下部分の長さを増減することにより、ミスト生成器13の配置深度D(多孔管21の上端開口部21aからミスト生成器13までの距離)を変更することができる。即ち、縦坑12内におけるミスト生成器13の位置を昇降調整することができるため、地盤11中において汚染の度合いが高い領域や汚染物質が集中している領域に相当する深さにミスト生成器13を配置してミスト状酸化剤DFの供給を行うことが可能であり、処理作業の効率化を図ることができる。

【0036】
本実施形態においては、酸化剤を含む液体として過酸化水素水Lを使用しているが、これに限定するものではないので、オゾン水あるいは過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウムおよび触媒としてのクエン酸やリン酸なども使用することができる。

【0037】
次に、図3,図4に基づいて、その他の実施形態について説明する。なお、図3,図4中において図1,図2中の符号と同符号を付している部分は環境修復装置10の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。

【0038】
図3に示す実施形態は、地盤31中に内部水面30が存在する不法投棄現場Yにおいて環境修復装置10を使用している。図3に示すように、不法投棄現場Yの地盤31中に形成された縦坑32内に多孔管21が挿入され、この多孔管21内にミスト生成器13が配置されている。ミスト生成器13の配置深度Dは、地盤31中の内部水面30より下方にミスト生成器13が位置するように設定されているため、ミスト生成器13は多孔管21内において水中に浸漬された状態となっている。

【0039】
図3に示すように、ポンプP及びコンプレッサ18を作動させ、ホース17を経由してタンク16内の過酸化水素水Lをミスト生成器13へ供給するとともに、ホース20を経由して加圧気体(圧縮空気)をミスト生成器13へ供給すると、ミスト生成器13から多孔管21内の水中にミスト状酸化剤DFが噴出する。水中に噴出したミスト状酸化剤DFは水中に拡散するとともに、多孔管21の貫通孔21c(図2参照)を通過して、内部水面30が存在する地盤31中に拡散していく。

【0040】
このように、地盤31中を拡散していくミスト状酸化剤DFによって地盤31中及び水中に存在する汚染物質が酸化分解されるので、不法投棄現場Yの汚染地盤31及びそこに存在する水域全体を早期に安定化処理することができる。また、コンプレッサ18により高圧に加圧された空気とともに過酸化水素水Lをミスト生成器13へ圧送するので、ミスト生成器13が内部水面30より下方に位置していても、ミスト状酸化剤DFを安定的に噴出することができる。その他の作用効果については図1,図2に示す実施形態と同様である。

【0041】
次に、図4に示す実施形態においては、汚染水域Zの汚染水41の水質改善手段として環境修復装置10を使用している。図4に示すように、汚染水域Zの汚染水41中に多孔管21が立設され、この多孔管21内に通されたホース17,20の先端にミスト生成器13接続されている。ミスト生成器13の配置深度Dは、汚染水41中において多孔管21の下端開口部21dより下方にミスト生成器13が位置するように設定されているため、ミスト生成器13は多孔管21外で汚染水41中に浸漬された状態となっている。

【0042】
図4に示すように、ポンプP及びコンプレッサ18を作動させ、ホース17を経由してタンク16内の過酸化水素水Lをミスト生成器13へ供給するとともに、ホース20を経由して加圧気体(圧縮空気)をミスト生成器13へ供給すると、ミスト生成器13から汚染水41中にミスト状酸化剤DFが噴出する。汚染水41中に噴出したミスト状酸化剤DFは汚染水41中に拡散しながら上昇していくが、その過程において汚染水41中に存在する汚染物質が酸化分解されるので、汚染水域Z全体を早期に安定化処理することができる。

【0043】
また、コンプレッサ18により高圧に加圧された空気とともに過酸化水素水Lをミスト生成器13へ圧送するので、ミスト生成器13が汚染水41中に浸漬された状態にあっても、ミスト状酸化剤DFを安定的に噴出することができる。その他の作用効果については図1~図3に示す実施形態と同様である。

【0044】
次に、図5~図7に基づいて、その他の実施形態について説明する。なお、図5~図7中において図1~図4中の符号と同符号を付している部分は環境修復装置10の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。

【0045】
図5に示す実施形態においては、地盤31中に内部水面30が存在する不法投棄現場Yの当該地盤31中に形成された縦坑32内に多孔管21が挿入され、この多孔管21内にミスト生成器13が配置されている。また、酸化剤を含む液体をミスト生成器13に供給する液体経路であるホース33及び加圧気体(圧縮空気)をミスト生成器13に供給する気体経路であるホース34はいずれも可撓性管体で形成されている。

【0046】
さらに、図6に示すように、ホース33,34のミスト生成器13寄りの部分にそれぞれ逆止弁35,36が配置されている。逆止弁35,36にはそれぞれ弁体35a,36a及び弁座35b,36bが内蔵されている。逆止弁35,36の弁体35a,36aに対してミスト生成器13に向かう方向の圧力が加わると逆止弁35,36は開放し、逆方向の圧力が加わると閉止する。

【0047】
図5に示すように、縦坑32内に挿入された多孔管21が地盤31の横方向の変位などによって湾曲した場合、多孔管21内に差し込まれているホース33,34はそれに沿うように湾曲可能であるため、多孔管21の湾曲後においても、図6に示すように、ホース33,34及び逆止弁33,34を経由して、多孔管21内に配置されたミスト生成器13に酸化剤を含む液体及び加圧気体(圧縮空気)を供給して処理作業を行うことができ、地盤31の変動に対する適応性に優れている。

【0048】
一方、図7に示すように、地盤中に存在する内部水面30にミスト生成器13が浸漬された状態で、処理作業の中止などにより、当該ミスト生成器13に対する液体及び気体の供給が停止された場合は、内部水面30の水圧により、逆止弁35,36が直ちに閉止するので、内部水面30下の水が逆流してミスト生成器13あるいはホース33,34の内部へ浸入するのを防止することができる。なお、ミスト生成器13に対する液体及び気体の供給が再開されると逆止弁35,36は直ちに開放されるので、処理作業の再開も容易である。

【0049】
なお、図1~図7に示す実施形態は本発明を例示したものであり、本発明の技術的範囲が図1~図4に示す実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係る環境修復装置及び環境修復方法は、安定型最終処分場あるいは不法投棄現場などの汚染土壌あるいは汚染水域の安定処理技術として広く利用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6