TOP > 国内特許検索 > ブルーベリーの生産方法、及び該方法により得られる連続開花性ブルーベリー > 明細書

明細書 :ブルーベリーの生産方法、及び該方法により得られる連続開花性ブルーベリー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5717111号 (P5717111)
登録日 平成27年3月27日(2015.3.27)
発行日 平成27年5月13日(2015.5.13)
発明の名称または考案の名称 ブルーベリーの生産方法、及び該方法により得られる連続開花性ブルーベリー
国際特許分類 A01G  17/00        (2006.01)
A01G   7/00        (2006.01)
FI A01G 17/00
A01G 7/00 601Z
請求項の数または発明の数 12
全頁数 20
出願番号 特願2013-516478 (P2013-516478)
出願日 平成24年5月25日(2012.5.25)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 園芸学研究第10巻別冊1号(平成23年3月20日発行)第333頁に発表
国際出願番号 PCT/JP2012/064249
国際公開番号 WO2012/161351
国際公開日 平成24年11月29日(2012.11.29)
優先権出願番号 2011116908
優先日 平成23年5月25日(2011.5.25)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年11月13日(2013.11.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
発明者または考案者 【氏名】荻原 勲
【氏名】車 敬愛
【氏名】堀内 尚美
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
審査官 【審査官】木村 隆一
参考文献・文献 特開2009-65942(JP,A)
特開2008-220242(JP,A)
特開2003-70357(JP,A)
叶玉紅,“ブルーベリーの促成栽培に関する研究(第1報)温室搬入時期,品種,GA処理,人工受粉が果粒の収穫時期,収量並びに形質に及ぼす影響”,農業生産技術管理学会誌,2003年,第10巻,第2号,p.81-87
調査した分野 A01G 17/00
A01G 7/00
A01G 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
低温要求時間が100~500時間であるブルーベリーの花芽形成後、明期の温度を休眠導入温度よりも高温の条件下とする第1工程と、
開花後、休眠導入温度以下の温度条件、上記第1工程における明期よりも長い明期とする長日条件且つ加湿条件とする第2工程と、
を含むことを特徴とするブルーベリーの生産方法。
【請求項2】
上記第1工程は、明期の温度を30~35℃とすることを特徴とする請求項1記載の生産方法。
【請求項3】
上記第1工程は、明期を12~14時間とし、暗期を10~12時間とする日長条件とすることを特徴とする請求項1記載の生産方法。
【請求項4】
上記第1工程の明期における光強度を100~1000μmol・m-2・s-1PPFDとすることを特徴とする請求項1記載の生産方法。
【請求項5】
上記第2工程は、明期を15~16時間とし、暗期を8~9時間とする長日条件とすることを特徴とする請求項1記載の生産方法。
【請求項6】
上記第2工程は、明期及び暗期における温度を10~30℃とすることを特徴とする請求項1記載の生産方法。
【請求項7】
上記第2工程では、相対湿度を30~90%とする加湿条件とすることを特徴とする請求項1記載の生産方法。
【請求項8】
上記第2工程における明期の光強度を、上記第1工程における明期の光強度よりも弱くすることを特徴とする請求項1記載の生産方法。
【請求項9】
上記第2工程の明期における光強度を20~1000μmol・m-2・s-1PPFDとすることを特徴とする請求項1記載の生産方法。
【請求項10】
上記第2工程の期間中に実施され、第2工程の長日条件において明期をより短くし、暗期を長くする日長条件とする中間工程を更に含むことを特徴とする請求項1記載の生産方法。
【請求項11】
上記中間工程では、日長条件以外の条件を上記第2工程の条件と同じに設定することを特徴とする請求項10記載の生産方法。
【請求項12】
請求項1乃至11記載の生産方法により生産され、花芽、花及び果実が同時に存在することを特徴とする連続開花性ブルーベリー。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、オフシーズンに収穫が可能で、しかもその収穫期間が長く、果実の品質も良好なブルーベリーの生産方法に関する。
また、本発明は、このような生産方法により得られ、花芽の形成や、開花、結実とが同時に見られる連続開花性ブルーベリーに関する。
【背景技術】
【0002】
ブルーベリーは、7月から短日に反応して、9月頃までに新梢(新しく伸びた茎)の先端や葉の付け根(葉腋)に花芽を分化(形成)し、休眠を経て翌年開花するので、通常、1年に1回しか収穫できない落葉果樹である。
例えば、東京では、夏至が過ぎた7月頃から花芽の形成が始まり、日中の気温が10~15℃程度となる11月には落葉が完了し、休眠を経て、春(4月頃)花が咲き散ったあと、およそ60日ほどで種子のまわりに果肉が形成・成熟し、初夏(6月)以降に収穫、というライフサイクルが一般的である。
このように、ブルーベリーは落葉樹であるため、休眠期(植物の成長≪葉の光合成≫が停止する期間)が存在し、休眠打破には一定期間低温にあたることが必要とされる。このことを低温要求時間と言い、この低温要求時間が満たされないと、萌芽の不良が起きる。
低温要求時間は、7.2℃以下の積算時間で表され、ブルーベリーにおいては、品種によって様々で、100時間程度の品種もあれば、1500時間をも要する品種もあり、バラエティーに富んでいる。
また、ブルーベリーは、品種の違いを利用して、6月中旬から9月上旬まで出荷されているが、1品種でみると、その収穫期間は、1年のうちたった3週間程度である。
収穫期間が限られているゆえに、オフシーズン(10月から翌年の5月まで)が長く、サクランボやイチゴよりも単価が高い、天候面などにおいてリスクが大きい、などの問題がある。収穫期間が長くなれば(すなわち、周年生産が可能となれば)、このようなリスク回避はもとより、労働力の平準化、増産、消費者へのより一層の普及、自給率の向上なども期待できる。加えて、通常、摘花(摘果)も行われているので、収穫量が減少するという問題もあった。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特願2009-283306
【特許文献2】特願2009-283372
【発明の概要】
【0004】
本発明は、このような現状に鑑み、オフシーズンに収穫が可能で、しかもその収穫期間が長く、果実の品質も良好なブルーベリーの生産方法と、この生産方法により得られ、果実を収穫しながら開花の発生はもとより花芽の形成をも見られる連続開花性ブルーベリーとを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、まず、植物は休眠期に入ると、(例えば、高温にする、長日にする等)どんなに生育条件を良くしても、低温要求時間を満たすまでは、休眠は打破されず、花が咲いたり芽吹いたりしてこないことに着目した。そして、本発明者らは、休眠に入らせることなく、開花や結実を行わせる手法を追求した。その結果、本発明者らは、休眠の浅い(すなわち、低温要求時間が短い)品種のブルーベリーが、特定の環境条件下によっては花芽を形成した後に休眠に入らず、花芽を発育させ開花させることができるとの知見を得た。次に、本発明者らは、このような知見の下でさらに検討を重ねた結果、休眠することなく開花したものを、また別の特定の環境条件下に保持することで、長期に亘って開花と結実と花芽の形成とが連続して発生するようになり、オフシーズンであっても収穫や出荷が可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)低温要求時間が100~500時間であるブルーベリーの花芽形成後、明期の温度を休眠導入温度よりも高温の条件下とする第1工程と、開花後、休眠導入温度以下の温度条件、上記第1工程における明期よりも長い明期とする長日条件且つ加湿条件とする第2工程と、を含むことを特徴とするブルーベリーの生産方法。
(2)上記第1工程は、明期の温度を30~35℃とすることを特徴とする(1)記載の生産方法。
(3)上記第1工程は、明期を12~14時間とし、暗期を10~12時間とする日長条件とすることを特徴とする(1)記載の生産方法。
(4)上記第1工程の明期における光強度を100~1000μmol・m-2・s-1PPFDとすることを特徴とする(1)記載の生産方法。
(5)上記第2工程は、明期を15~16時間とし、暗期を8~9時間とする長日条件とすることを特徴とする(1)記載の生産方法。
(6)上記第2工程は、明期及び暗期における温度を10~30℃とすることを特徴とする(1)記載の生産方法。
(7)上記第2工程では、相対湿度を30~90%とする加湿条件とすることを特徴とする(1)記載の生産方法。
(8)上記第2工程における明期の光強度を、上記第1工程における明期の光強度よりも弱くすることを特徴とする(1)記載の生産方法。
(9)上記第2工程の明期における光強度を20~1000μmol・m-2・s-1PPFDとすることを特徴とする(1)記載の生産方法。
(10)上記第2工程の期間中に実施され、第2工程の長日条件において明期をより短くし、暗期を長くする日長条件とする中間工程を更に含むことを特徴とする(1)記載の生産方法。
(11)上記中間工程では、日長条件以外の条件を上記第2工程の条件と同じに設定することを特徴とする(10)記載の生産方法。
(12)上記(1)乃至(11)記載の生産方法により生産され、花芽、花及び果実が同時に存在することを特徴とする連続開花性ブルーベリー。
上述したような本発明に係る生産方法によれば、高品質なブルーベリー果実をこれまでオフシーズンであった冬期(12月)から早出しすることが可能となる。本発明に係る生産方法によれば、その後も、果実の着果量や環境を好適な条件下に制御することで、果実を収穫しながら、連続的に花芽形成・開花・結実を発生させ続けることが可能となる。よって、本発明に係る生産方法を適用することで、ブルーベリー果実の収穫(出荷)期間を1品種で飛躍的に延長することができる。また、本発明に係る生産方法においては、摘花(摘果)を不要とすることもできるので、収量を2~3倍増加することも可能となる。さらに、本発明に係る生産方法では、ブルーベリー果実が長期に亘って徐々に実るので、収穫等に要する労働力を分散でき、計画的な生産(出荷)を実現することができる。
このように、本発明に係る生産方法は、ブルーベリー果実の周年生産を可能とするものなので、オフシーズン(10月~翌年5月)における市場への供給、単位面積当たりの収量増加、自給率の向上などが実現できるものである。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2011-116908号の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1は、本発明の生産方法の第1工程により花が着生している状況を示す写真である。
図2は、本発明の生産方法で得られた連続開花性ブルーベリーの写真であり、第2工程により、成熟果(先端部)、未熟果(中央部)、花と蕾(基部)が着生している状況を示す。
図3は、図2に示したブルーベリーを、3月に、中間工程に処し、新梢先端部に花芽分化を誘導し、開花させた状況を示す。
図4は、図3に示したブルーベリーを第2工程に戻し、誘導された花芽から果実を成育させている状況を示す。
図5は、実施例1および比較例1,2のブルーベリーの第2工程を始めて約3日目の株状況を示す写真である。
図6は、図5に示したブルーベリーの第2工程を始めて約120日目の株状況を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明のブルーベリーの生産方法は、低温要求時間が100~500時間であるブルーベリーを、後述の第1工程および第2工程に処することを特徴とする。
本発明において、低温要求時間が100~500時間(hrs)であるブルーベリーとは、低温要求時間がこの範囲内であるブルーベリーであれば、いかなる品種を使用することができる。ここで、低温要求時間とは、休眠期を打破するために必要とされる低温状態を維持する時間であり、具体的には7.2℃以下の低温条件下に曝される時間の積算値として定義される。ブルーベリーに関する低温要求時間は、Method to determine chilling requirement in blueberry.J.M.Spiers,D.A.Marshall,B.J.Smith and J.H.Braswell.Acta Horticulturae. 715:VIII International Symposium on Vaccinium Culture.に記載された方法により決定することができる。公知のブルーベリー品種について、品種毎の低温要求時間は、例えば、同上に記載されている。すなわち、これら従来の知見に基づいて、低温要求時間が100~500時間であるブルーベリー品種を特定することができる。
より具体的に、低温要求時間が100~500時間であるブルーベリー品種としては、例えば、ビロキシー(Biloxi:400hrs)、シャープブルー(Sharpblue:200~300hrs)、エメラルド(Emerald:200~300hrs)、サンシャインブルー(Sunshineblue:150~300hrs)、マグノリア(Magnoria:500hrs)、クーパー(Cooper:400~500hrs)などのサザンハイブッシュ系品種、アリスブルー(Aliceblue:300hrs)、ベッキーブルー(beckyblue:300~400hrs)、ボニータブルー(Bonitablue:350~400hrs)、バルドウィン(Baldwin:450~500hrs)などのラビットアイ系品種が挙げられる。なお、各品種の英文表記の後ろに、それぞれの低温要求時間を付記した。
特に、本発明のブルーベリーの生産方法においては、より休眠の浅いブルーベリーを対象とすることが好ましく、低温要求時間が100~400時間であるブルーベリーを対象とすることがより好ましく、低温要求時間が100~300時間のブルーベリーを対象とすることが更に好ましい。低温要求時間が当該範囲にあるブルーベリーについては、本発明を適用することで休眠に入ることを防止し、長期に亘って開花と結実と花芽の形成とが連続して発生するといった特徴をより確実に実現することができる。
また、特に、本発明のブルーベリーの生産方法においては、低温要求時間が上記範囲にあるブルーベリーであって、3年生以上のブルーベリーを対象とすることが好ましい。低温要求時間が上記範囲にある3年生以上のブルーベリーを対象とすることによって、より確実な周年生産を実現することができる。
以下、本発明に係るブルーベリーの生産方法における各工程を説明するが、最初の工程である第1工程は、対象のブルーベリーが花芽を形成した後に実施される。言い換えると、本発明に係るブルーベリーの生産方法は、対象のブルーベリーに花芽を形成させる前工程を含むということもできる。ここで、ブルーベリーの花芽は、通常、新梢の先端部の発育が停止した後の数週間後に、該新梢の先端や葉の付け根(葉腋)に分化し始め、開花直前には長さ(縦径)が4~6mm程度、直径(横径)2~3mm程度にふっくらと膨れ球体状になる。
本発明に係るブルーベリーの生産方法において、「花芽形成後」、「花芽を形成した後」とは、花芽形成(花芽分化)の如何なる段階であっても良く特に限定されないが、長さ(縦径)が4~6mm程度の花芽になった時点とすることが好ましい。すなわち、花芽の形成が認められれば花芽形成(花芽分化)の如何なる段階であっても後述する第1工程を実施して良いが、特に、長さ(縦径)が4~6mm程度の花芽になった時点で第1工程を実施することが好ましい。ここで、花芽の長さ(縦径)は、複数の花芽について縦径を測定し、その平均値を意味する。
<第1工程>
本発明の第1工程では、上記のようにブルーベリーが花芽を形成した後、明期の温度を休眠導入温度よりも高温の条件下に保持する。これにより、第1工程において、花芽を発育させ開花を誘導することができる。ここで、休眠導入温度とは、ブルーベリーを休眠状態へ導入できる最高の温度を意味する。すなわち、ブルーベリーを休眠導入温度以下の条件に保持することで、当該ブルーベリーを休眠状態に導入できる。通常、ブルーベリーにおいては、品種による違いもあるが、休眠導入温度は10~20℃の範囲にある。
また、本発明の第1工程における明期の温度条件は、ブルーベリーが枯死せず生育する温度であれば温度条件の上限値は特に限定されない。しかし、温度が高すぎると、植物にとってストレスになることがあり高温障害が生じる場合がある。よって、本発明の第1工程における明期では、高温障害が生じる温度未満とすることが好ましい。
以上をまとめると、第1工程においては明期を、花芽を形成したブルーベリーを休眠導入温度よりも高温の条件とする。そして、第1工程においては明期を、ブルーベリーの光合成速度が飽和する温度未満とすることが好ましい。より具体的に第1工程においては、明期を30~35℃の温度とすることが好ましく、30~32℃とすることがより好ましい。
第1工程における明期の温度条件がこの範囲を下回ると、花芽を形成した後のブルーベリーの周囲の温度が低すぎ、落葉が生じ、休眠導入される虞がある。また、第1工程における明期の温度条件がこの範囲を上回ると、光合成速度が飽和し、植物にとってむしろストレスになる虞がある。第1工程における明期の温度条件は、後述の光の強度や照明時間との関係にもよるものの、一般的には上記の範囲内において高い方が、開花開始時期が早くなる傾向があるため好ましい。
第1工程では、花芽を形成したブルーベリーに対して明期における温度条件を上述のように設定することによって、葉の光合成機能の低下を抑制し、新梢の先端部に形成した花芽を発育させ開花させることができる。
なお、第1工程における暗期の温度については、特に限定されないが、好ましくは15~25℃程度、より好ましくは18~23℃程度である。
第1工程における、上述した温度条件は、暖房機、冷房設備、送風、除(加)湿器、換気扇、ドライミスト及び遮光カーテンといった各種の温度制御装置を単独で或いは組み合わせて使用することで実現することができる。これら温度制御装置を組み込んだ閉鎖系室内や、これら温度制御装置を備える通常のハウスを使用することで、花芽を形成したブルーベリーを上述した温度条件に保持することができる。
一方、第1工程では、明期を暗期と同時間又は暗期より長時間とするように設定する。より具体的に、第1工程は、明期を12~14時間とし且つ暗期を10~12時間とする条件とすることが好ましい。花芽形成後の光の照明時間、すなわち明期が短すぎると、落葉が生じて休眠導入される虞があり、逆に明期が長すぎると、花芽の発育が停止する虞がある。よって、第1工程の日長条件を、明期を暗期と同時間又は暗期より長時間とする条件、具体的には上述した範囲の明期及び暗期とすることによって、花芽を形成したブルーベリーの休眠導入を防止し、且つ、花芽の発育を促進することができる。
なお、明期とは、光合成が可能な程度の光強度条件であることを意味する。より具体的には、明期とは、光の強度(光合成光量子束密度:Photosynthetic Photon Flux Density)については、100~1000μmol・m-2・s-1PPFD、好ましくは700~800μmol・m-2・s-1PPFDの範囲にあること期間を意味する。光の強度がこの範囲を下回ると、光合成が十分に促進されず、花芽の発育を促進できない虞がある。なお、第1工程における主要な波長(大部分を占める分光エネルギー)としては、特に限定されないが400~730nmの範囲が好適である。
明期において照射される光は、太陽光(自然光)及び人工光の一方でも良いし両方でも良い。すなわち、明期において照射される光の光源は、特に限定されず、太陽はもとより、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、LED(発光ダイオード)、レーザー光源などを挙げることができる。なお、これら光源を単独で使用しても良いし、複数の光源を適宜組み合わせて用いても良い。例えば、曇り空や雨天時など自然光の強度が上記範囲を下回る場合、人工光にて補光することが好ましい。なお、例えば真夏の猛暑日など自然光の強度が上記範囲を上回る場合、遮光カーテンなどを用いて光強度を調整することが好ましい。
また、第1工程において、明期の導入(すなわち、暗期の終了)時などには、自然光のサイクルに近似させるように、人工光にて補光するシステムを利用して徐々に光の強度を上げて感応させていく方が、気孔の開閉システムなどにとって好ましい。また、暗期の導入に際しても、人工光にて補光するシステムを利用して徐々に光の強度を下げるように調整することが好ましい。
ところで、第1工程では、上記条件(周囲温度、光の強度・照明時間)の他に、相対湿度、CO濃度、土壌pH、土壌EC(Electric Conductivity(電気伝導度):肥料濃度を推定できる)等の各種パラメーターを適宜調節した状態でブルーベリーを保持しても良い。これら各種パラメーターを所望の範囲に調節することで、ブルーベリーの花芽の発育及び開花にとって望ましい環境とすることができ、成育を促進することができる。例えば、相対湿度は30~80%の範囲とすることが好ましく、CO濃度は400~600μmol・mol-1の範囲とすることが好ましく、土壌pHは5.0~6.0の範囲とすることが好ましく、土壌ECは0.7~1.2程度とすることが好ましい。
第1工程における、上述した光照射条件、相対湿度条件、CO濃度条件は、送風、除(加)湿器、換気扇、ドライミスト、遮光カーテン、CO供給装置といった各種装置を単独で或いは組み合わせて使用することで実現することができる。これら装置を組み込んだ閉鎖系室内や、これら装置を備える通常のハウスを使用することで、花芽を形成したブルーベリーを上述した条件に保持することができる。
第1工程は、開花が見られるまで行われる。すなわち、第1工程の終了は、対象となるブルーベリーにおける開花に基づいて判定することができる。但し、ここで開花とは、それほど厳密ではない。例えば、一番花が咲いた段階を開花とし、この直後に第1工程を終了しても良いし、3~5輪程度咲き、それらが散った段階を開花として第1工程を終了しても良い。また、例えば、対象となるブルーベリーに1以上の開花が確認できた時点で第1工程を終了しても良いし、対象となるブルーベリーに形成された花芽うち1割以上の花芽が開花した時点としても良いし、2割以上の花芽が開花した時点としても良いし、5割以上の花芽が開花した時点としても良い。
第1工程は、1回の明期と1回の暗期とからなる1日を24時間と設定した場合、通常、第1工程の処理開始日から20~40日程度続けられる。一例として、図1に、第1工程に処してから約40日目のブルーベリー(品種名:エメラルド)を示す。図1に示すように、第1工程により休眠導入が阻害され、葉の光合成機能の低下を抑制し、新梢の先端部に形成した花芽の発育と開花を誘導することができる。
なお、第1工程と、後述する第2工程との間には、別の環境条件を経ることなく、連続して処することが好ましい。すなわち、第1工程を実施した室内やハウス内の各種条件を、後述するように変更することによって第2工程を実施することが好ましい。
例えば、7月に花芽を形成したブルーベリーに対して上述した第1工程を8~9月頃にかけて実施する。これにより品種によっては10月頃から開花がみられ、この段階で後述する第2工程を実施する。このように、収穫開始期を早めることができる。
<第2工程>
本発明の第2工程は、上記第1工程が終了した後のブルーベリーを、休眠導入温度以下の温度条件、長日条件且つ加湿条件に保持する。これにより、第2工程において、シュート(新梢)の先端部から基部に向かって開花と結実とを生じさせることができ、続いて、別のシュートの花芽においても先端から基部に向かって連続的な開花と結実を生じ得る。
第2工程における長日条件とは、上述した第1工程における日長条件と比較して明期の時間がより長く設定されている。第2工程の長日条件としては、例えば、明期を15~16時間とし且つ暗期を8~9時間とする。
第2工程における明期、すなわち開花後の光の照明時間(明期)が短すぎると、落葉が生じる場合や、一部のシュートでは結実がみられても別のシュートで開花や結実が生じない場合など生育不良が生じる虞がある。一方、第2工程における明期が長すぎても、新たな花芽の分化や発育が停止してしまう虞がある。よって、第2工程における明期を上記範囲とすることで、生育不良を回避してブルーベリーの果実を効率良く実らせることができる。
ここで、例えば、明期を15時間に設定した場合であって、太陽光(自然光)による日照時間が13時間であれば、日の出前の1時間程度、日の入り後の1時間程度、人工光にて補光する。このように、太陽光と人工光とを適宜組み合わせることで、上述したような長日条件を実現することができる。
なお、第2工程における明期は、特に限定されないが、上述した第1工程における明期と比較してやや弱い光強度でもよい。第2工程における明期の光強度としては、例えば20~1000μmol・m-2・s-1PPFDとすることができ、700~800μmol・m-2・s-1PPFDとすることが好ましい。
光強度をこの範囲とすることによって、十分に光合成が促進される結果、実(果肉)を太らせることができ、植物に対するストレスを防ぐことができる。換言すれば、光強度が上記範囲を下回ると光合成が促進されず、実(果肉)が太りにくくなる虞がある。また、光強度が上記範囲を上回る、水利用効率などが低下する虞や、植物にとってストレスになる虞がある。
また、第2工程においても第1工程と同様に、明期と暗期の切り替え時においては、自然光のサイクルに近似させることが好ましい。すなわち、明期の導入(暗期の終了)時などには、徐々に光の強度を上げて感応させることが好ましい。暗期の導入(明期の終了)時などには、徐々に光の強度を下げて感応させることが好ましい。この場合、具体的には、上述した光強度の自然光に加えて、20~130μmol・m-2・s-1PPFDの人工光を、日の出前1~2時間と日の入り後1~2時間の計2~4時間照射して、15~16時間明期、8~9時間暗期の長日条件下とすることが好ましい。光強度や照射時間を上記範囲内に制御するには、第1工程と同様の手法を採用することができる。なお、第2工程における主要な波長(大部分を占める分光エネルギー)としては、特に限定されないが400~730nmの範囲が好適である。
また、第2工程における温度条件は、上述のように定義される休眠導入温度以下の温度とする。上述したように、通常、ブルーベリーにおいては、品種による違いもあるが、休眠導入温度は10~20℃の範囲にある。第2工程における温度を休眠導入温度以下とすることで、光合成速度が飽和してストレスになることを防止し、且つ休眠要求量を徐々に満たすことができる。ただし、本発明の第2工程における温度が低すぎると、落葉が始まったり、別のシュートでは花芽が開花しない虞がある。よって、第2工程における温度条件は、10~30℃とすることが好ましく、15~25℃とすることがより好ましい。第2工程では、明期及び暗期ともに上記範囲の温度条件とする。なお、温度を上記範囲内に制御するには、第1工程と同様の手法を取ればよい。
また、第2工程における加湿条件とは、例えば相対湿度を30~90%とする条件が挙げられ、相対湿度を40~70%とする条件が好ましい。なお、第2工程においては、明期及び暗期ともに上記範囲の相対湿度とすることが好ましい。相対湿度を上記範囲とすることにより、光合成を疎開することなく且つ受粉による結実率を高く維持できる。言い換えると、相対湿度が上記範囲を上回るが下回る場合、ブルーベリーの光合成が阻害され、或いは受粉による結実率が低下する虞がある。このように、第2工程における相対湿度は、開花後のブルーベリーの受粉にとって非常に重要な要素であると言える。
第2工程において、上述したような温度条件、長日条件及び加湿条件とすることで、新梢(あるシュート)の先端にある花芽が開花した後、その下(基部)に存在する花芽をはじめとして、別のシュートに存在する花芽までも、次々に開花させ、結実させていくことができる。
このような第2工程では、上記条件(周囲温度、相対湿度、光の強度・照射時間)の他に、CO濃度、土壌pH、土壌EC等の各種パラメーターを適宜調節した状態でブルーベリーを保持しても良い。これら各種パラメーターを所望の範囲に調節することで、ブルーベリーの花芽の連続的な開花及び果実収量の増大を図ることできる。例えば、CO濃度は400~600μmol・mol-1の範囲とすることが好ましく、土壌pHは5.0~6.0の範囲とすることが好ましく、土壌ECは0.7~1.2の範囲とすることが好ましい。また、第2工程では、少量多灌水とすることが好ましい。
第2工程では、特に、明期の光強度を700~800μmol・m-2・s-1PPFDとし、CO濃度を600μmol・mol-1程度とし、蒸散量を補完する水分供給と肥料とを同時施与する養液管理を行うことにより、果実の肥大と花芽の発育・開花、並びに新梢の成長を同時に行わせることがより促進され、開花から収穫までを更に短縮することができる。例えば、上述した光強度、CO濃度及び養液管理によれば、開花から収穫まで通常60日ほどかかっていたものを、45日程度まで短縮することも可能である。
このように、第2工程では、昼間(明期において)、光合成速度が極力高くなるように温度管理し、光合成速度が低いときにはCO濃度を高めに設定することが好ましい。このような設定によれば、落果の防止、果実肥大の促進、花芽形成の促進、摘花(摘果)の省略を実現することができる。
第2工程は、理論上、樹体が疲弊(枯死)するまで続けられるが、1回の明期と1回の暗期とかなる1日を24時間と設定した場合、通常、第2工程の処理開始日から150~250日程度続けることが好ましい。また、第2工程の途中の段階で、樹体(枝や根)に同化産物を蓄積させ、その後一度休ませる(休眠を導入する)こともできる。
特に、本発明に係るブルーベリーの生産方法では、第2工程において果実を発育させながら、新たに伸びた新梢の先端に花芽を形成させるために、第2工程中において、後述の中間工程を挿入することもできる。
<中間工程>
本発明に係るブルーベリーの生産方法において中間工程は、上述した第2工程の途中の段階で実施できる工程である。中間工程は、第2工程における長日条件を緩和する工程である。長日条件を緩和するとは、明期をより短くし、暗期を長くすることを意味する。上述のように、第2工程における長日条件とは、第1工程における日長条件と比較して明期の時間がより長く設定する条件であり、例えば、明期を15~16時間とし且つ暗期を8~9時間とする条件である。よって、中間工程としては、例えば、暗期を11~13時間とし、暗期を13~11時間とする日長条件を挙げることができる。なお、中間工程は、第2工程における長日条件を緩和する以外は、温度条件及び相対湿度条件を第2工程と同じに設定することが好ましい。すなわち、中間工程は、温度を10~30℃、相対湿度を30~90%としたまま、光強度が100~1000μmol・m-2・s-1PPFDの11~13時間明期、13~11時間暗期の日長条件下に保持する条件を挙げることができる。なお、中間工程における温度条件として、周囲温度が30℃を超えると、花芽分化開始から開花までの(花器の発育)期間が短くなる傾向が現れ、花数が少なくなる虞がある。
第2工程を処理中のブルーベリーに、このような日長条件の中間工程を処することで、第2工程で新たに伸びた新梢の成長がとまり、葉の葉色が濃くなり、先端に花芽の形成が誘導される。このような中間工程は、第2工程中、例えば新たに伸びた新梢が所定の長さ(例えば15cm)以上になった時に施すことが好ましい。
中間工程の光の照明時間(明期)は、短すぎると、落葉が生じ、一部のシュートでは結実がみられても別のシュートで開花や結実が生じないことがある。一方、長すぎると、新たな花芽の分化や発育が停止してしまうので、11~13時間明期、13~11時間暗期の日長条件下とし、好ましくは、約12時間明期、約12時間暗期である。
なお、中間工程において、周囲温度、相対湿度、光の強度・照射時間、CO濃度、土壌pH、土壌ECなどを上記範囲内に制御するには、第1工程や第2工程と同様の手法を取ればよい。
中間工程は、1回の明期と1回の暗期とかなる1日を24時間と設定した場合、通常、中間工程の処理開始日から25~35日程度続ければよく、その後は、上記したような第2工程に戻せばよい。第2工程と中間工程との間には、別の環境条件を経ることなく、連続して処することが好ましい。
また、中間工程は、第2工程の期間において1回実施しても良いし、複数回実施しても良い。特に、中間工程は、第2工程の期間において1回実施すれば十分な効果を期待することができるが、複数回実施しても特段の問題はない。
<その他>
本発明の生産方法においては、必要に応じて、ブルーベリー栽培の一般的な土壌消毒剤、土壌改良剤、農薬、化学肥料、有機質肥料、堆肥などを適宜添加してもよいし、適宜な剪定や間引きを行うこともできる。
本発明では、以上のような第1工程、第2工程及び中間工程における、周囲温度、光の強度・照射時間、相対湿度、CO濃度、土壌pH、土壌EC、灌水量、施肥、葉の蒸散量などについて、季節に応じた自然環境と適宜組み合わせながら、人工的に管理・制御することで、上記した第1工程、第2工程及び中間工程の所望の範囲内に保持することもできる。
人工的な管理・制御の方法としては、本発明者らによる先願に記載の植物栽培システムを用いてもよい(特許文献1,2参照)。
図1~4に、本発明の生産方法により得られる連続開花性ブルーベリー(品種名:エメラルド)を示す。
図1は、前述したとおり、第1工程に処してから約40日目の写真である。
図2は、第2工程に処してから約120日目の写真であり、先端部に成熟果、中央部に未熟果、基部に花と蕾が着生している。
図3は、第2工程に処してから約150日目に中間工程を挿入し、該中間工程に処してから30日目の写真である。図3では、第2工程で新たに伸びた新梢の先端部に花芽が誘導され、該花芽が開花した状況を示す。
図4は、第2工程に処してから約150日目に中間工程を30日間挿入し、その後、第2工程に戻して約40日目の写真である。第2工程で新たに伸びた新梢の先端部に形成された花芽から果実が生育している状況を示す。
したがって、図2~4に示すように、本発明の連続開花性ブルーベリーは、花芽、花および果実が同時に存在することを特徴とする。例えば、あるシュートで果実を発育させながら、別のシュートでは開花や花芽の形成が生じるものなので、この連続開花現象ゆえに、オフシーズンであっても長期に亘って常に収穫できるブルーベリーを実現することができる。
なお、サクランボやモモなど、一般的に、花が全て散ってから果実が形成する果樹においても、休眠が浅い品種では、本発明の周年生産方法を適宜応用することで、このような現象が見られると考えられ、早生品種の出現によりオフシーズンの出荷が可能になる。
【実施例】
【0007】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔供試材料〕
実施例1:5年生サザンハイブッシュ種の“エメラルド(低温要求時間:200~300hrs)”
実施例2:3年生サザンハイブッシュ種の“ビロキシー(低温要求時間:400hrs)”
実施例3:5年生サザンハイブッシュ種の“シャープブルー(低温要求時間:200~300hrs)”
実施例4:3年生サザンハイブッシュ種の“クーパー(低温要求時間:400~500hrs)”
比較例1:3年生ノーザンハイブッシュ種の“スパルタン(低温要求時間:1000hrs)”
比較例2:5年生ノーザンハイブッシュ種の“ウェイマウス(低温要求時間:950hrs)”
比較例3:5年生ラビットアイ種の“ティフブルー(低温要求時間:600~850hrs)”
比較例4:5年生ラビットアイ種の“ホームベル(低温要求時間:550~650hrs)”
実施例1~4、比較例1~4の各品種1樹を、花芽が形成した後、2010年8月に、下記の条件の第1工程に処したところ、実施例1および比較例1,2については、10月であるにも拘らず、開花が見られた。
次いで、開花した実施例1および比較例1,2、並びに、開花していない実施例2~4および比較例3,4を、2010年11月~2011年3月まで(約150日間)、下記の条件の第2工程に処した。
さらに、開花および着果が続いた実施例1~4および比較例3,4を2011年3月から約1ヶ月間、下記条件の中間工程に処し、その後第2工程に戻した。
なお、第1工程、第2工程および中間工程は、いずれも、東京農工大学農学部(府中市)の圃場で行った。
<第1工程>
昼間の温度が30~35℃になるように設定。
光強度および日長は自然条件とした(本実験中、光強度が100~1000μmol・m-2・s-1PPFDの約13時間(9月)~約14時間(8月)明期の日長条件であった)。
<第2工程>
夜間の最低温度が10℃以下にならないように設定。相対湿度30~90%。
光強度が100~1000μmol・m-2・s-1PPFD程度の自然光に加えて20~130μmol・m-2・s-1PPFDの人工光を日の出前1~2時間と日の入り後1~2時間の計2~4時間照射して、約15~16時間明期、約8~9時間暗期の長日条件とした。
上記人工光については、高圧ナトリウムランプおよびメタハライドランプ(400nm以下750nm以上の波長域も含む)を用いた。
<中間工程>
温度を10~30℃、相対湿度を30~90%に設定。
光強度および日長は自然条件とした(本実験中、光強度が100~1000μmol・m-2・s-1PPFDの約12時間明期、約12時間暗期の日長条件であった。)
実施例1~4、比較例1~4の開花時期、収穫時期(成熟期間)、得られた果実の外観と着色の状況などについて、それぞれ肉眼で観察し、結果を表1に示す。
表1中の“春季に開花した果実”とは、通常のライフサイクル下で春季(2010年4月)に開花し、同年6月に収穫したブルーベリー果実(第1工程も第2工程も処していない果実)を指す。
【表1】
JP0005717111B2_000002t.gif
JP0005717111B2_000003t.gif〔樹性および新梢の生長〕
実施例1および比較例1,2のブルーベリーについて、2010年11月(第2工程を始めて約3日目)と2011年3月(第2工程を始めて約120日目)の樹体の様子を、図5,6に示す。
図5(11月)、図6(3月)に示すように、第2工程に移ったばかりの11月の樹性は、いずれのブルーベリーも、通常のライフサイクル下で開花時期に相当する春季と同様であったが、比較例1,2については、3月になると部分的に落葉が生じてしまった。一方、実施例1は、3月になっても、新梢の生長はもとより、連続した開花も見られ、結実量も多かった。
〔果実品質〕
実施例1および比較例1,2のブルーベリーについて、2010年12月(第2工程を始めて約40~50日目)と2011年3月(第2工程を始めて約120日目)に収穫した果実に関し、それぞれ、(A)1果重(1果当たりの重さ)、(B)硬度(果実硬度、果皮硬度、果肉硬度)、(C)全アントシアニン含量、(D)糖度(%)、(E)酸度(%)を測定した。結果を表2,3に示す。なお、表2,3中の数値は、果実9ヶの測定値の平均値である。
また、通常のライフサイクル下で収穫される果実(第1工程も第2工程も処していない果実)と比較するために、2010年6月に収穫したブルーベリー果実の測定結果を併せて、表2,3に示す。
(B)硬度については、物性測定器(レオアナライザー)にて、(C)全アントシアニン含量(ABS値)は分光光度計にて測定した。
【表2】
JP0005717111B2_000004t.gif
【表3】
JP0005717111B2_000005t.gif
(A)1果重:実施例1のブルーベリーは、6月、12月、3月に大きな差は無かったが、比較例1,2は、3月の果実が6月より小さかった(表2)。
(B)硬度:実施例1および比較例1,2のいずれも、6月のものと比べると、12月や3月に収穫されたものの方が、果実、果皮、果肉において高い傾向にあった(表2)。
(C)全アントシアニン含量:実施例1および比較例1,2のいずれも、大きな差は無かった(表3)。
(D)糖度:実施例1のブルーベリーでは、12月のものが若干低かったが、3月になると糖の増加がみられた。比較例1,2では、12月のものが一番高く、3月になると低下してしまった(表3)。
(E)酸度:比較例1は全期間で差が無かった。実施例1および比較例2では、12月のものが若干高くなったが、3月になると減少した(表3)。
以上のように、実施例1のブルーベリーでは、翌春(第2工程を始めて約120日目)になっても、樹性および新梢の生長が続き、連続的な開花と結実とが見られ、12月に収穫した果実も、3月に収穫した果実も、正常に結実しており、その果実品質も著しく劣ってはいなかった。
これに対し、比較例1,2のブルーベリーでは、翌春になると、シュートの一部で落葉が生じてしまった。その頃の果実品質は、著しく劣るほどではなかったが、果重や糖度の低下が見られるものであった。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明のブルーベリーの生産方法によって、収穫開始期が早まるばかりか、1品種で長期収穫が可能となる(最大7ヶ月)。
したがって、高値取引市場がありながら、需要に対する供給不足のブルーベリー栽培にとって、オフシーズンの出荷、すなわち周年出荷が実現され、ブルーベリーの自給率の向上も期待できるものである。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5