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明細書 :電力伝送装置および電気装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-025677 (P2016-025677A)
公開日 平成28年2月8日(2016.2.8)
発明の名称または考案の名称 電力伝送装置および電気装置
国際特許分類 H02J  50/00        (2016.01)
H02M   3/28        (2006.01)
H01F  38/14        (2006.01)
FI H02J 17/00 B
H02M 3/28 Q
H02M 3/28 Y
H01F 23/00 B
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2014-146119 (P2014-146119)
出願日 平成26年7月16日(2014.7.16)
発明者または考案者 【氏名】柴 建次
出願人 【識別番号】000125370
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査請求 未請求
テーマコード 5H730
Fターム 5H730AA04
5H730BB21
5H730BB66
5H730EE01
5H730FG30
5H730ZZ16
要約 【課題】負荷変動に伴う出力電圧の変動を安定的に抑制する。
【解決手段】電力伝送装置は、環状のコアと、コアに巻回された第1のコイルと、巻回部分の内側をコアが貫通し且つコアとの間に間隙を有して環状に巻回された第2のコイルと、第1のコイルまたは第2のコイルに接続されたキャパシタと、を含む。第2のコイルは、第1のコイルとの間の電磁誘導に寄与する第1のインダクタンスと、第1のコイルとの間の電磁誘導に寄与しない第2のインダクタンスと、巻線抵抗と、の直列結合の等価として表される。キャパシタのキャパシタンスは、第2のインダクタンスを打ち消す値に設定されている。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
環状のコアと、
前記コアに巻回された第1のコイルと、
巻回部分の内側を前記コアが貫通し且つ前記コアとの間に間隙を有して環状に巻回された第2のコイルと、
前記第1のコイルまたは前記第2のコイルに接続されたキャパシタと、を含み、
前記第2のコイルは、前記第1のコイルとの間の電磁誘導に寄与する第1のインダクタンス、前記第1のコイルとの間の電磁誘導に寄与しない第2のインダクタンスおよび前記第2のコイルの巻線抵抗を直列接続した等価回路で表したとき、前記キャパシタのキャパシタンスは、前記第2のインダクタンスを打ち消す値に設定されている
電力伝送装置。
【請求項2】
前記キャパシタは、前記第2のコイルに接続され、前記第2のインダクタンスとともに共振回路を形成する
請求項1に記載の電力伝送装置。
【請求項3】
前記第2のインダクタンスをl、電磁誘導により前記第1のコイルから前記第2のコイルに伝送される交流電力の周波数をfとした場合において、前記キャパシタのキャパシタンスCは、
C=1/4πに相当する値に設定されている
請求項2に記載の電力伝送装置。
【請求項4】
前記キャパシタは、前記第1のコイルに接続され、前記第2のインダクタンスとともに共振回路を形成する
請求項1に記載の電力伝送装置。
【請求項5】
前記第2のインダクタンスをl、電磁誘導により前記第1のコイルから前記第2のコイルに伝送される交流電力の周波数をf、前記第1のコイルの巻数nと前記第2のコイルの巻数nとの比n/nをaとした場合において、前記キャパシタのキャパシタンスCは、
C=1/4πに相当する値に設定されている
請求項4に記載の電力伝送装置。
【請求項6】
前記第2のコイルの巻回部分の内側に前記コアを貫通させない空心状態で測定した前記第2のコイルのインダクタンスを前記第2のインダクタンスlとして適用して前記キャパシタのキャパシタンスCの値が設定された
請求項3または請求項5に記載の電力伝送装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電力伝送装置と、
前記第2のコイルから出力される電力が供給される負荷と、
を含む電気装置。
【請求項8】
入力された直流電力を交流電力に変換し、前記第1のコイルに供給する第1の電力変換部と、
前記第2のコイルから出力される交流電力を直流電力に変換し、前記負荷に供給する第2の電力変換部と、
を更に含む請求項7に記載の電気装置。
【請求項9】
前記第2のコイルおよび前記負荷が生体の内部に配置され、
前記第1のコイルが前記生体の外部に配置された
請求項7または請求項8に記載の電気装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導によって2つのコイル間で電力伝送を行う電力伝送装置および電力伝送装置を備えた電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
完全埋込型人工心臓へ駆動用エネルギーを供給する方法の一つに経皮伝送がある。経皮伝送は、体外および体内に配置した一組のコイル(経皮トランス)を用いて、非侵襲でエネルギー伝送を行うものである。経皮伝送によれば、電線が皮膚を貫くことで起きる感染症のリスクを回避することができ、QOL(Quality of life)などの点において優れている。
【0003】
特許文献1には、2次側における電圧および電流に関する信号を非接触の電磁結合コイルを用いて1次側に送信し、1次側ユニットでは2次側から送られてきた信号を受信して、1次側のインバータの駆動周波数を可変させる非接触電力伝送装置が記載されている。特許文献1には、この非接触電力伝送装置において、軽負荷時や無負荷時において駆動周波数を高い方に移動させ、結合トランスの1次側コイルの電流を減少させて二次側の出力電圧及び電流を安定化制御する手段を設けることにより、一次側の無効な消費電力を減少させることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、体内埋込み可能な駆動部と、電源部と、電源部に接続される1次コイル、および、駆動部に接続される2次コイルを有し、電磁誘導により電力を伝送する電力伝送部と、を備える医療装置が記載されている。この医療装置において、電源部は、1次コイルに流れる電流を検知する電流検知部と、電流検知部の検知結果を、予め求められた、1次コイルに流れる電流および2次コイルに発生する電圧との関係データに適用した結果に基づいて、電源が出力する電圧を制御する電圧制御部と、を備える。
【0005】
特許文献3には、負荷に電力を供給するために供給側電流および供給側電圧を発生する電力供給部と、電力供給部からの電力を入力する1次コイルと、1次コイルと磁気的に結合されるとともに1次コイルに対する位置が移動可能である、負荷に電力を供給する2次コイルと、1次コイルに接続された第一の共振用コンデンサと2次コイルに接続された第二の共振用コンデンサと、を備えた非接触電力供給システムが記載されている。この非接触電力供給システムにおいて、電力供給部は、供給側電流を検知する電流検知部と、負荷に供給される負荷側電圧を所定の目標値とするための供給側電流の値を、電流検知部の検知結果に基づいて演算する演算部と、演算部の演算結果に応じて供給側電圧を制御する電圧制御部と、を備える。
【0006】
特許文献4には、1次側から電力を無接点で2次側の負荷に伝送するためのトランスを有する無接点電力伝送装置が記載されている。この無接点電力伝送装置は、直流電源からの直流電力を交流電力に変換してトランスの1次側コイルに供給する給電手段と、外部から設定される駆動周波数で信号を発振し、給電手段に供給する発振手段と、1次側コイルからGNDに流れる1次電流を検出する電流検出手段と、電流検出手段により検出された1次電流を基に、2次側の負荷の値を推定し、該負荷の値に適応した駆動周波数を決定し、該駆動周波数を発振手段に設定する制御手段と、を有する。制御手段は、発振手段に設定し得る駆動周波数毎に予め求めた1次電流と負荷の値との間の特性、および予め求めた負荷の値と該負荷の値に適応する駆動周波数との間の特性を保持し、これらの特性を参照して、発振手段に設定する駆動周波数を決定する。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】2006-74848号公報
【特許文献2】2005-329226号公報
【特許文献3】2006-217731号公報
【特許文献4】2004-248365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の非接触電力伝送装置によれば、2次側における電圧および電流に関する信号は、電磁結合コイルを用いて1次側に送信される。すなわち、特許文献1に記載の非接触電力伝送装置によれば、2次側から1次側へのフィードバック通信が必要となり、この通信が一瞬でも途絶えると制御不能となるおそれがある。
【0009】
特許文献2-4に記載の装置は、1次側の電流の大きさに応じて電源電圧または周波数を制御するので、2次側から1次側へのフィードバック通信は不要となる。しかしながら、1次側の電流のみに基づく制御では、例えば、負荷の変動に加えて1次コイルと2次コイルとの結合状態の変動等が生じた場合には制御不能となり、負荷に供給される電圧(出力電圧)が大きく変動してしまうおそれがある。すなわち、特許文献2-4に記載の装置では、想定された状況とは異なる状況において、負荷変動が生じると、出力電圧が大きく変動してしまうおそれがある。例えば負荷が人工心臓である場合において、人工心臓に供給される電圧が大きく変動すると、人工心臓は正常に動作できなくなるおそれがある。また、1次側の電流のみに基づく制御では、一次側の電流の変化が小さい場合には、制御が困難になるおそれがある。更に、一次側の電流に高周波ノイズ等が混入した場合には、このノイズが誤動作を引き起こし、制御が困難となるおそれがある。
【0010】
本発明は、1つの側面として、負荷変動に伴う出力電圧の変動を安定的に抑制することができる電力伝送装置および電気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電力伝送装置は、環状のコアと、前記コアに巻回された第1のコイルと、巻回部分の内側を前記コアが貫通し且つ前記コアとの間に間隙を有して環状に巻回された第2のコイルと、前記第1のコイルまたは前記第2のコイルに接続されたキャパシタと、を含み、前記第2のコイルは、前記第1のコイルとの間の電磁誘導に寄与する第1のインダクタンス、前記第1のコイルとの間の電磁誘導に寄与しない第2のインダクタンスおよび前記第2のコイルの巻線抵抗を直列接続した等価回路で表したとき、前記キャパシタのキャパシタンスは、前記第2のインダクタンスを打ち消す値に設定されている。
【0012】
本発明に係る電力伝送装置において、前記キャパシタが、前記第2のコイルに接続され、前記第2のインダクタンスとともに共振回路を形成してもよい。
【0013】
本発明に係る電力伝送装置において、前記第2のインダクタンスをl、電磁誘導により前記第1のコイルから前記第2のコイルに伝送される交流電力の周波数をfとした場合において、前記キャパシタのキャパシタンスCは、C=1/4πに相当する値に設定されていてもよい。
【0014】
本発明に係る電力伝送装置において、前記キャパシタは、前記第1のコイルに接続され、前記第2のインダクタンスとともに共振回路を形成してもよい。
【0015】
本発明に係る電力伝送装置において、前記第2のインダクタンスをl、電磁誘導により前記第1のコイルから前記第2のコイルに伝送される交流電力の周波数をf、前記第1のコイルの巻数nと前記第2のコイルの巻数nとの比n/nをaとした場合において、前記キャパシタのキャパシタンスCは、C=1/4πに相当する値に設定されていてもよい。
【0016】
本発明に係る電力伝送装置において、前記第2のコイルの内側に前記コアを貫通させない空心状態で測定した前記第2のコイルのインダクタンスを前記第2のインダクタンスlとして適用して前記キャパシタのキャパシタンスCの値が設定されてもよい。
【0017】
本発明に係る電気装置は、上記の電力伝送装置と、前記第2のコイルから出力される電力が供給される負荷と、を含む。
【0018】
本発明に係る電気装置は、入力された直流電力を交流電力に変換し、前記第1のコイルに供給する第1の電力変換部と、前記第2のコイルから出力される交流電力を直流電力に変換し、前記負荷に供給する第2の電力変換部と、を更に含んでいてもよい。
【0019】
本発明に係る電気装置において、前記第2のコイルおよび前記負荷が生体の内部に配置され、前記第1のコイルが前記生体の外部に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、一つの側面として、負荷変動に伴う出力電圧の変動を安定的に抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る電力伝送装置の外観図である。
【図2】本実施形態に係る電力伝送装置を用いて生体内に埋め込まれた負荷に電力を供給する場合の使用方法の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電力伝送装置の等価回路図である
【図4】本発明の実施形態に係る電気装置の構成を示すブロック図である。
【図5】比較例に係る電気装置の構成を示すブロック図である。
【図6】実験1の結果を示すグラフである。
【図7】実験2における負荷の構成を示す図である。
【図8】実験2における負荷の状態設定を示す表である。
【図9】実験2の結果を示すグラフである。
【図10】実験3の結果を示すグラフである。
【図11】実験3の結果を示すグラフである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る電力伝送装置の等価回路図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る電気装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。

【0023】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力伝送装置10の外観図である。電力伝送装置10は、コア50、一次コイル20、二次コイル30およびキャパシタ40を含んで構成されている。電力伝送装置10は、一次コイル20に入力される交流電力を、電磁誘導によって二次コイル30に伝送する装置である。

【0024】
コア50は、円環状の磁性体によって構成されている。一次コイル20は、巻回部分がコア50の表面に密着するように略均等な間隔でコア50に巻回されている。二次コイル30は、円環状に巻回され、巻回部分の内側にコア50が貫通するように配置されている。二次コイル30は、コア50との間に間隙を有して巻回されている。キャパシタ40は、二次コイル30に直列に接続されている。コア50、一次コイル20および二次コイル30によりトランスが構成され、一次コイル20に入力された交流電力は、電磁誘導によって二次コイル30に伝送される。

【0025】
なお、コア50は、予め半分に切断されており、使用時において切断部分はタイバンドで結合される。このようにコア50を分割可能としておくことにより、二次コイル30へのコア50の取り付けが容易となる。ゴミなどの異物がコア50の切断面に付着しなければ、コア50の磁路は完全に閉じており、且つコア50の比透磁率が高いことから、高い相互インダクタンス(磁気結合)を得ることができる。

【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る電力伝送装置10を経皮トランスとして用いて、生体内に埋め込まれた人工心臓等の負荷に電力を供給する場合の使用方法の一例を示す図である。この場合、二次コイル30は、円弧の半分が皮下に埋め込まれ、残りの半分が皮膚Sに覆われた状態でアーチ状に外側に向けて突き出すように生体内に配置される。一次コイル20が巻回されたコア50が、皮膚Sのアーチ状に突き出した二次コイル30の内側部分の穴を貫通するように配置され、二次コイル30をクランプする。なお、キャパシタ40は、二次コイル30とともに生体内に埋め込まれる。図2に示すように、生体内に埋め込まれた二次コイル30のリングの内側部分に、生体外に配置された一次コイル20が巻回されたコア50を貫通させるタイプの経皮トランスを体外結合型経皮トランスと称する。これに対して、生体の外部および内部に空心型コイルを配置するタイプの経皮トランスを、空心型経皮トランスと称する。体外結合型経皮トランスによれば、空心型経皮トランスと比較して、エネルギー伝送効率が高い、体動等による装着ずれに対するエネルギーの伝送量および伝送効率の変動が小さいという利点がある。

【0027】
図3は、電力伝送装置10の等価回路図である。なお、図3には、電力伝送装置10によって電力が供給される負荷140も併せて示されている。二次コイル30は、一次コイル20との間の電磁誘導に寄与するインダクタンスL、一次コイル20との間の電磁誘導に寄与しない漏洩インダクタンスlおよび二次コイル30の巻線抵抗rを直列接続した等価回路として表すことができる。すなわち、インダクタンスLは、一次コイル20と磁気的に結合される部分に対応するインダクタンスであり、一次コイル20および二次コイル30の双方と鎖交する磁束によって生じるインダクタンスである。一方、漏洩インダクタンスlは、一次コイル20と磁気的に結合されない部分に対応するインダクタンスである。換言すれば、二次コイル30の漏洩インダクタンスlは、コア50を通過せずに空気中に漏れた磁束分のインダクタンスであり、二次コイル30に鎖交し、一次コイル20には鎖交しない磁束によって生じるインダクタンスである。

【0028】
同様に、一次コイル20は、二次コイル30との間の電磁誘導に寄与するインダクタンスLと、二次コイル30との間の電磁誘導に寄与しない漏洩インダクタンスlと、巻線抵抗rと、の直列結合の等価として表すことができる。

【0029】
端子23および端子24は、外部から一次コイル20に交流電力を入力するための端子であり、端子33および端子34は一次コイル20から二次コイル30へ伝送された交流電力を外部に取り出すための端子である。負荷140は、端子33および端子34に接続され、電力伝送装置10から電力の供給を受ける。電力伝送装置10の出力インピーダンスが大きい場合には、負荷140の変動に伴って電力伝送装置10の出力電圧は変動する。すなわち、負荷140の変動に伴って出力電流が増加する程、インピーダンス電圧降下が大きくなり、電力伝送装置10の出力電圧が低下する。これにより、負荷140を正常に駆動できなくなるおそれがある。負荷140が例えば人工心臓である場合には、インピーダンス電圧降下を極力小さくして、負荷140の消費電力が変動しても負荷140に印加される電圧を略一定に保つことが望ましい。

【0030】
電力伝送装置10において、インピーダンス電圧降下を生じさせる要因は、電磁誘導に寄与しない、一次コイル20の漏洩インダクタンスl、一次コイル20の巻線抵抗r、二次コイル30の漏洩インダクタンスlおよび二次コイル30の巻線抵抗rである。これらの要因のうち、伝送される交流電力の周波数が高くなる程、漏洩インダクタンスが支配的となる。一次コイル20は、コア50に密着して略均等な間隔で巻き付けられているため、二次コイル30の漏洩インダクタンスlと比較して無視可能な程小さい。すなわち、電力伝送装置10において、インピーダンス電圧降下を生じさせる主な要因は、二次コイル30の漏洩インダクタンスlであると考えられる。

【0031】
そこで、本実施形態に係る電力伝送装置10において、二次コイル30の漏洩インダクタンスlを打ち消すために補償用のキャパシタ40が用いられている。本実施形態に係る電力伝送装置10において、キャパシタ40は、二次コイル30に直列に接続されている。

【0032】
二次コイル30の漏洩インダクタンスlを、二次コイル30に直列接続されたキャパシタ40によって打ち消すためには、漏洩インダクタンスlに対応するインダクタ35とキャパシタ40とで共振回路を形成すればよい。すなわち、キャパシタ40のキャパシタンスCを、下記の(1)式に基づいて設定することで、上記の共振回路を形成することが可能である。
C=1/4π ・・・ (1)
ただし、fは一次コイル20から二次コイル30に伝送される交流電力の周波数である。

【0033】
キャパシタ40は、漏洩インダクタンスlに対応するインダクタ35とともに共振回路を形成することにより、漏洩インダクタンスlを打ち消し、漏洩インダクタンスlによるインピーダンス電圧降下を抑制する。なお、漏洩インダクタンスlを打ち消す効果が最大となるように、(1)式によって得られたキャパシタンスCの値を、実測等に基づいて調整してもよい。

【0034】
二次コイル30の漏洩インダクタンスlは、コア50を通過せずに空気中に漏れた磁束分のインダクタとして考えることができる。二次コイル30の内側部分のうち、コア50が貫通する部分の面積は、全体の1/10程度である。従って、コア50が貫通する部分の面積を空気に置き換えて計算した二次コイル30のインダクタンスを、二次コイルの漏洩インダクタンスlとして近似しても大きな誤差はないものと考えられる。従って、二次コイル30の内側部分にコア50を貫通させない空心状態でLCRメータ等によって測定した二次コイル30のインダクタンスの値を、二次コイル30の漏洩インダクタンスlの値として適用することが可能である。

【0035】
また、二次コイル30の漏洩インダクタンスlを実測によらず下記の(2)式から導出することも可能である。
=Kμπ/t [H] ・・・ (2)
ただし、Kは長岡係数、μは真空の透磁率、nは二次コイル30の巻数、rは二次コイルの半径、tは二次コイル30の厚さである。

【0036】
図4は、電力伝送装置10を含んで構成された、本発明の実施形態に係る電気装置100のブロック図である。図4において、電力伝送装置10を、生体内に配置された負荷に生体外から電力を供給する体外結合型経皮トランスとして用いる場合が例示されている。電気装置100は、電力伝送装置10以外の構成要素として、生体外に配置される直流電源110およびインバータ120と、生体内に配置される整流平滑回路130および負荷140を含む。

【0037】
直流電源110は、直流電力を生成する電源であり、例えば、バッテリや直流安定化電源等によって構成される。インバータ120は、直流電源110から供給される直流電力を交流電力に変換する。電力伝送装置10の一次コイル20は、インバータ120に接続され、インバータ120から供給される交流電力を電磁誘導によって二次コイル30に伝送する。

【0038】
電力伝送装置10の二次コイル30は、一次コイル20から伝送された電力を、後段の整流平滑回路130に供給する。キャパシタ40は、二次コイル30に直列接続され、二次コイル30の漏洩インダクタンスlとともに共振回路を形成する。キャパシタ40は、漏洩インダクタンスlを打ち消すように作用し、漏洩インダクタンスlによるインピーダンス電圧降下を抑制する。本実施形態において、キャパシタ40は、二次コイル30と整流平滑回路130との間に設けられている。整流平滑回路130は、二次コイル30から供給された交流電力を直流電力に変換し、後段の負荷140に供給する。負荷140は、整流平滑回路130から供給された直流電力によって駆動される。負荷140は、例えば人工心臓であってもよい。

【0039】
なお、一次コイル20は、本発明における第1のコイルに対応し、二次コイル30は、本発明における第2のコイルに対応する。コア50は、本発明におけるコアに対応する。負荷140は、本発明における負荷に対応する。インバータ120は、本発明における第1の電力変換部に対応し、整流平滑回路130は、本発明における第2の電力変換部に対応する。

【0040】
本発明の実施形態に係る電気装置100において、負荷140の状態を変化させた場合における、整流平滑回路130の出力電圧(すなわち、負荷140に供給される電圧)の変化を観測する実験(下記の実験1、実験2および実験3)を行った。

【0041】
(キャパシタンスCの設定)
キャパシタ40のキャパシタンスCの値を導出するために、二次コイル30をコア50から分離して空心状態とし、空心状態の二次コイル30のインダクタンスを、LCRメータ(アジレントテクノロジー社製、4285A)によって測定した。測定によって得られたインダクタンスの値を、二次コイル30の漏洩インダクタンスlの値として適用し、(1)式に基づいて、キャパシタ40のキャパシタンスCの値を導出した。なお、一次コイル20から二次コイル30に伝送される交流電力の周波数fは、一例として309kHzとした。LCRメータによって測定された空心状態の二次コイル30のインダクタンスは、7.5μHであった。従って、(1)式より導出されるキャパシタ40のキャパシタンスCの値は、35.3nFである。

【0042】
(実験の準備)
本発明の実施形態に係る電気装置100に加え、図5に示す構成の電気装置200を比較例として準備した。なお、図5において、本発明の実施形態に係る電気装置100と同一の構成要素については同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。また、本発明の実施形態に係る電気装置100に関し、図4では、二次コイル30、キャパシタ40、整流平滑回路130および負荷140を、生体内に配置する場合を例示しているが、以下に説明する各実験は、電気装置100の各構成要素を全て生体外に配置して行った。比較例に係る電気装置200についても同様である。

【0043】
比較例に係る電気装置200は、二次コイル30の漏洩インダクタンスlを打ち消すためのキャパシタを有しない点において、本発明の実施形態に係る電気装置100と異なる。本発明の実施形態に係る電気装置100においては、補償用のキャパシタ40として、一例として、メタライズドポリプロピレンフィルムコンデンサを用いた。ここでは、市販品の中から、(1)式に基づいて導出された35.3nFに最も近い36nFのものを用いた。

【0044】
本発明の実施形態に係る電気装置100と、比較例に係る電気装置200とのそれぞれにおいて、負荷140として用いた抵抗素子の抵抗値を38.4Ωとし、整流平滑回路130の出力電圧が24Vとなるように直流電源110の出力電圧を調節した。次に、本発明の実施形態に係る電気装置100については、キャパシタ40のキャパシタンスCの値を最適化するために、負荷140として用いた抵抗素子の抵抗値を28.8Ωおよび115.2Ωとした場合のそれぞれについて、キャパシタンスCの値を1nFずつ増加させ、整流平滑回路130の出力電圧の変化を調べた。すなわち、負荷抵抗を28.8Ωおよび115.2Ωとした場合のそれぞれについて、整流平滑回路130の出力電圧が24Vに近くなるキャパシタンスCの値を探索した。その結果、キャパシタンスCの値を41.1nFとしたときに、整流平滑回路130の出力電圧が24Vに最も近くなり、インピーダンス電圧降下を最小化(すなわち、キャパシタ40による補償効果を最大化)できた。以下に示す実験1~実験3においては、いずれも本発明の実施形態に係る電気装置100におけるキャパシタ40のキャパシタンスCの値を41.1nFとした。

【0045】
(実験1)
本発明の実施形態に係る電気装置100と比較例に係る電気装置200とのそれぞれにおいて、負荷140として用いた抵抗素子(金属皮膜抵抗)の抵抗値を19.2Ω(消費電力30Wを想定)から115.2Ω(消費電力5Wを想定)まで変化させたときの、整流平滑回路130の出力電圧の変動を観測した。より具体的には、負荷抵抗の抵抗値を38.4Ω(消費電力15Wを想定)としたときの整流平滑回路130の出力電圧が24Vとなるように直流電源110の出力電圧を調節し、この状態を基準状態とし、基準状態から負荷抵抗の抵抗値を増減したときの整流平滑回路130の出力電圧の変動の様子を観測した。

【0046】
図6は、実験1の結果を示すグラフである。図6において、横軸は負荷140として用いた抵抗素子の抵抗値を示し、縦軸は整流平滑回路130の出力電圧を示す。また、図6において、実線は、本発明の実施形態に係る電気装置100に対応し、破線は比較例に係る電気装置200に対応する。図6に示すように、補償用のキャパシタを有しない比較例に係る電気装置200においては、負荷140の抵抗値を115.2Ωとすると、整流平滑回路130の出力電圧は、基準状態である24Vから27.28Vにまで上昇した。負荷140の抵抗値を28.8Ωとすると、整流平滑回路130の出力電圧は、基準状態である24Vから約22Vにまで低下した。負荷140の抵抗値を19.2Ωおよび23.04Ωとしたとき、インバータ120の動作が停止し、出力が得られなかった。このように、比較例に係る電気装置200においては、負荷抵抗の変動に伴って整流平滑回路130の出力電圧が大きく変動した。これは、比較例に係る電気装置200の出力インピーダンスが大きいためであると考えられる。

【0047】
一方、補償用のキャパシタ40を有する本発明の実施形態に係る電気装置100においては、負荷140の抵抗値を19.2Ωから115.2Ωまで変化させても、整流平滑回路130の出力電圧は、22.6V~24.9Vの範囲であり、安定した出力が得られた。このように、本発明の実施形態に係る電気装置100によれば、負荷抵抗の変動に伴う出力電圧の変動を、比較例に係る電気装置200よりも小さくすることができた。これは、本発明の実施形態に係る電気装置100においては、漏洩インダクタンスlとともに共振回路を形成するキャパシタ40を付加したことにより、二次コイル30の漏洩インダクタンスlが打ち消され、出力インピーダンスが小さくなったためであると考えられる。

【0048】
(実験2)
本発明の実施形態に係る電気装置100と比較例に係る電気装置200とのそれぞれにおいて、負荷140としてモータを用い、このモータの負荷(消費電力)を変化させたときの整流平滑回路130の出力電圧の変動を観測した。

【0049】
図7に、実験2における負荷140の構成を示す。負荷140としてブラシレスDCモータ141(日本電産サーボ社製 FH6S20-D3)を用いた。また、ブラシレスDCモータ141に負荷をかけるために、ブラシレスDCモータ141の出力軸にブラシ付きの負荷用のDCモータ142(日本電産サーボ社製、DEM60)を接続した。

【0050】
ブラシレスDCモータ141は、回転数を500rpmから2500rpmまで変化させることができ、回転数の上昇に伴って消費電力も増加する。本実験では、負荷140(ブラシレスDCモータ141)の消費電力を更に増加させるために、負荷用のDCモータ142の出力端子を開放状態とした場合に加え、負荷用のDCモータ142の出力端子に抵抗素子(41.6Ω、22.6Ω、15.0Ω)を接続した場合の出力電圧の変動も観測した。負荷用のDCモータ142の出力端子に抵抗素子を接続することで、ブラシレスDCモータ141の負荷トルクを増加させた状態を模擬することでき、ブラシレスDCモータ141の消費電力を更に増加させることができる。

【0051】
図8は、本実験における負荷140の状態設定を示す表である。状態設定1~7において、負荷用のDCモータ142の出力端子を開放状態とし、ブラシレスDCモータ141の回転数を変化させた。状態設定8~10において、ブラシレスDCモータ141の回転数を最大値である2500rpmとし、負荷用のDCモータ142の出力端子に接続する抵抗素子の抵抗値を変化させた。状態設定の番号が大きくなるに従って、負荷140(ブラシレスDCモータ141)の消費電力が大きくなるように状態設定を行った。状態設定4において、整流平滑回路130の出力電圧が24Vとなるように直流電源110の出力電圧を調節し、この状態を基準状態とし、基準状態から負荷140(ブラシレスDCモータ141)の消費電力を増減させたときの整流平滑回路130の出力電圧の変動の様子を観測した。

【0052】
図9は、実験2の結果を示すグラフである。図9において、横軸は負荷140(ブラシレスDCモータ141)の消費電力を示し、縦軸は整流平滑回路130の出力電圧を示す。また、図9において、実線は、本発明の実施形態に係る電気装置100に対応し、破線は比較例に係る電気装置200に対応する。図9に示すように、補償用のキャパシタを有しない比較例に係る電気装置200においては、ブラシレスDCモータ141の消費電力の変動に伴って整流平滑回路130の出力電圧が19.7Vから24.7Vまで変動した。一方、補償用のキャパシタ40を有する本発明の実施形態に係る電気装置100においては、ブラシレスDCモータ141の消費電力の変動に伴う整流平滑回路130の出力電圧の変動範囲は、23.0V~24.4Vであった。本発明の実施形態に係る電気装置100においては、軽負荷時(状態設定1~3)および高負荷時(状態設定7~10)のいずれにおいても、整流平滑回路130の出力電圧の変動幅が、比較例に係る電気装置200よりも小さいことが確認された。これは、本発明の実施形態に係る電気装置100においては、漏洩インダクタンスlとともに共振回路を形成するキャパシタ40を付加したことにより、二次コイル30の漏洩インダクタンスlが打ち消され、出力インピーダンスが小さくなったためであると考えられる。

【0053】
(実験3)
本発明の実施形態に係る電気装置100と比較例に係る電気装置200とのそれぞれにおいて、上記の実験2と同様、負荷140としてブラシレスDCモータ141および負荷用のDCモータ142を用いた。実験3では、ブラシレスDCモータ141の回転数および負荷トルクを周期的に変化させたときの整流平滑回路130の出力電圧の変動を観測した。

【0054】
本実験では、設定1として、ブラシレスDCモータ141の回転数を、1秒間で1190rpmから2380rpmまで三角波状(直線的)に変化させたときの整流平滑回路130の出力電圧の変動を観測した。また、本実験では、設定2として、抵抗値が0.3Ωおよび1.2MΩである2つの抵抗素子を、負荷用のDCモータ142の出力端子に1秒周期で交互に接続したときの整流平滑回路130の出力電圧の変動を観測した。負荷用のDCモータ142の出力端子に接続する抵抗素子の抵抗値を変化させることで、ブラシレスDCモータ141の負荷トルクを変化させた状態を模擬することができる。

【0055】
図10は、実験3の設定1(ブラシレスDCモータ141の回転数を周期的に変化させた場合)における結果を示すグラフである。図10において、横軸は時間を示し、縦軸は整流平滑回路130の出力電圧を示す。図10に示すように、補償用のキャパシタを有しない比較例に係る電気装置200においては、ブラシレスDCモータ141の回転数の変動に伴って、整流平滑回路130の出力電圧が21.3Vから25.0Vまで変化した。一方、補償用のキャパシタ40を有する本発明の実施形態に係る電気装置100においては、ブラシレスDCモータ141の回転数の変動に伴う整流平滑回路130の出力電圧の変動範囲は、23.0V~24.2Vであった。このように、本実施形態に係る電気装置100においては、ブラシレスDCモータ141の回転数の変動に伴う整流平滑回路130の出力電圧の変動幅が、比較例に係る電気装置200よりも小さいことが確認された。これは、本実施形態に係る電気装置100においては、漏洩インダクタンスlとともに共振回路を形成するキャパシタ40を付加したことにより、二次コイル30の漏洩インダクタンスlが打ち消され、出力インピーダンスが小さくなったためであると考えられる。

【0056】
図11は、実験3の設定2(ブラシレスDCモータ141の負荷トルクを周期的に変化させた場合)における結果を示すグラフである。図11において、横軸は時間を示し、縦軸は整流平滑回路130の出力電圧を示す。図11に示すように、補償用のキャパシタを有しない比較例に係る電気装置200においては、ブラシレスDCモータ141の負荷トルクの変動に伴って整流平滑回路130の出力電圧が20.5Vから24.5Vまで変化した。一方、補償用のキャパシタ40を有する本発明の実施形態に係る電気装置100においては、ブラシレスDCモータ141の負荷トルクの変動に伴う整流平滑回路130の出力電圧の変動範囲は22.3V~24.1Vであった。このように、本発明の実施形態に係る電気装置100においては、ブラシレスDCモータ141の負荷トルクの変動に伴う整流平滑回路130の出力電圧の変動幅が、比較例に係る電気装置200よりも小さいことが確認された。これは、本実施形態に係る電気装置100においては、漏洩インダクタンスlとともに共振回路を形成するキャパシタ40を付加したことにより、二次コイル30の漏洩インダクタンスlが打ち消され、出力インピーダンスが小さくなったためであると考えられる。

【0057】
(考察)
実際の人工心臓は、拍動に伴いモータの負荷トルクが変化するため、上記の実験3における設定2の状況に近いといえる。図11に示すように、本発明の実施形態に係る電気装置100においては、負荷トルクの変動に伴う整流平滑回路130の出力電圧の変動範囲が、人工心臓が正常に動作することが可能な電圧範囲である20V~26Vの範囲に入っている。なお、人工心臓に印加される電圧が、20V未満となると人工心臓は停止し、26Vよりも大きくなると過電圧により人工心臓が故障するおそれがある。

【0058】
以上のように、本発明の実施形態に係る電力伝送装置10および電気装置100において、一次コイル20の環状のコア50が二次コイル30の内側を貫通しているので、一次コイル20と二次コイル30との磁気的な結合状態は殆ど変動しない。すなわち、二次コイル30の漏洩インダクタンスlの値も殆ど変動しない。電力伝送装置10は、二次コイル30の漏洩インダクタンスlとともに共振回路を形成するキャパシタ40を有する。これにより、インピーダンス電圧降下を生じさせる主な要因である二次コイル30の漏洩インダクタンスlが打ち消される。上記したように、二次コイル30の漏洩インダクタンスlは殆ど変動しないので、一定のキャパシタンスの有するキャパシタ40を付加するだけで漏洩インダクタンスlを打ち消す効果を安定的に得ることができる。このように、本発明の実施形態に係る電力伝送装置10および電気装置100によれば、インピーダンス電圧降下を生じさせる主な要因が排除されるので、負荷変動に伴う出力電圧の変動を安定的に抑制することができる。

【0059】
また、本発明の実施形態に係る電力伝送装置10および電気装置100によれば、上記の先行技術文献に記載されているような一次電流の検出や二次側から一次側へのフィードバック通信が不要であり、非常に簡単な構成でありながら出力電圧の安定化を図ることが可能となる。

【0060】
[第2の実施形態]
図12は、本発明の第2の実施形態に係る電力伝送装置10Aの等価回路図である。図13は、電力伝送装置10Aを含んで構成された、本発明の第2の実施形態に係る電気装置100Aの構成を示すブロック図である。なお、図12および図13において、上記した本発明の第1の実施形態に係る電力伝送装置10(図3参照)および電気装置100(図4参照)と同一または対応する構成要素には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。また、図13において、電力伝送装置10Aを体外結合型経皮トランスとして用いる場合が例示されている。

【0061】
第2の実施形態に係る電力伝送装置10Aは、二次コイル30の漏洩インダクタンスlを打ち消すための補償用のキャパシタ40Aが二次コイル30ではなく、一次コイル20に接続されている点が第1の実施形態に係る電力伝送装置10と異なる。すなわち、図13に示すように、第2の実施形態に係る電気装置100Aにおいて、補償用のキャパシタ40Aは、インバータ120と一次コイル20との間に接続されている。

【0062】
二次コイル30の漏洩インダクタンスlを一次コイル20に直列接続されたキャパシタ40Aによって打ち消すためには、二次コイル30の漏洩インダクタンスlを、一般的に知られているトランスの一次側換算手法を用いて、一次側のインダクタンスの値に換算し、換算によって得られたインダクタンスに対応するインダクタとキャパシタ40Aとで共振回路を形成すればよい。すなわち、キャパシタ40AのキャパシタンスCを、下記の(3)式に基づいて設定すればよい。
C=1/4π ・・・ (3)
ただし、aは、一次コイル20の巻数nと二次コイル30の巻数nとの比(n/n)である。一次コイル20に接続されるキャパシタ40AのキャパシタンスCを(3)式に基づいて設定することで、第1の実施形態の場合と同様に、二次コイル30の漏洩インダクタンスlを打ち消すことができ、負荷変動に伴う出力電圧の変動を安定的に抑制することができる。なお、漏洩インダクタンスlを打ち消す効果が最大となるように、実測等に基づいて(3)式によって得られたキャパシタンスCの値を調整してもよい。

【0063】
以上のように、第2の実施形態に係る電力伝送装置10Aおよび電気装置100Aによれば、二次コイル30の漏洩インダクタンスlを打ち消すためのキャパシタ40Aは、一次コイル20に接続される。従って、電力伝送装置10Aを体外結合型経皮トランスとして使用する場合には、キャパシタ40Aを生体外に配置することができるので、生体内に埋め込む部品点数を削減することができる。

【0064】
第1および第2の実施形態では、本発明の実施形態に係る電力伝送装置10を、体外結合型経皮トランスとして使用する場合を例示したが、これに限定されるものではない。本発明の実施形態に係る電力伝送装置10は、電力供給を必要とするあらゆる装置、システム、充電式バッテリ等に電力供給を行う用途に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
10、10A 電力伝送装置
20 一次コイル
30 二次コイル
40、40A キャパシタ
50 コア
100、100A 電気装置
110 直流電源
120 インバータ
130 整流平滑回路
140 負荷
インダクタンス
漏洩インダクタンス
C キャパシタンス
巻線抵抗
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図7】
5
【図8】
6
【図12】
7
【図13】
8
【図6】
9
【図9】
10
【図10】
11
【図11】
12