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明細書 :気泡噴出部材及びその製造方法、気液噴出部材及びその製造方法、局所アブレーション装置及び局所アブレーション方法、インジェクション装置及びインジェクション方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5526345号 (P5526345)
登録日 平成26年4月25日(2014.4.25)
発行日 平成26年6月18日(2014.6.18)
発明の名称または考案の名称 気泡噴出部材及びその製造方法、気液噴出部材及びその製造方法、局所アブレーション装置及び局所アブレーション方法、インジェクション装置及びインジェクション方法
国際特許分類 A61B  18/12        (2006.01)
A61N   1/44        (2006.01)
C12M   1/00        (2006.01)
FI A61B 17/39
A61N 1/44
C12M 1/00
請求項の数または発明の数 16
全頁数 29
出願番号 特願2013-539039 (P2013-539039)
出願日 平成25年3月1日(2013.3.1)
国際出願番号 PCT/JP2013/055703
国際公開番号 WO2013/129657
国際公開日 平成25年9月6日(2013.9.6)
優先権出願番号 2012047053
2013003748
優先日 平成24年3月2日(2012.3.2)
平成25年1月11日(2013.1.11)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成25年8月23日(2013.8.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】山西 陽子
【氏名】佐久間 臣耶
【氏名】栗木 宏樹
【氏名】新井 史人
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100098729、【弁理士】、【氏名又は名称】重信 和男
【識別番号】100173048、【弁理士】、【氏名又は名称】小椋 正幸
審査官 【審査官】井上 哲男
参考文献・文献 国際公開第2009/063776(WO,A1)
特開2006-263419(JP,A)
特表2009-500799(JP,A)
国際公開第2011/148996(WO,A1)
特開2011-000224(JP,A)
特表2009-527321(JP,A)
特表2002-537938(JP,A)
特開平10-286316(JP,A)
調査した分野 A61B 18/12
A61N 1/44
C12M 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
導電材料で形成された中実な芯材と、
絶縁材料で形成され、前記中実な芯材を覆い、かつ前記中実な芯材の先端から延伸した部分を含む外郭部、及び、
前記外郭部の延伸した部分及び前記中実な芯材の先端との間に形成された空隙、
を含むことを特徴とする気泡噴出部材。
【請求項2】
前記外郭部の延伸した部分がテーパー状であることを特徴とする請求項1に記載の気泡噴出部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の気泡噴出部材の外郭部の外側に、前記外郭部の中心軸と同心軸を有し、前記外郭部との間に空間を有するように前記外郭部から離間した位置に形成した外側外郭部、
を更に設けることを特徴とする気液噴出部材。
【請求項4】
前記外郭部の延伸した部分の外側に形成された前記外側外郭部の部分が、テーパー状であることを特徴とする請求項3に記載の気液噴出部材。
【請求項5】
前記外郭部と前記外側外郭部との間の空間に、インジェクション物質を含む溶液を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の気液噴出部材。
【請求項6】
前記気泡噴出部材の中実な芯材とで一対の電極を構成する電極部を更に含み、
前記電極部が、前記気泡噴出部材とは別体として又は前記外郭部の外面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の気泡噴出部材。
【請求項7】
前記気液噴出部材の中実な芯材とで一対の電極を構成する電極部を更に含み、
前記電極部が、前記気液噴出部材とは別体として、前記外郭部の外面、又は前記外側外郭部の内面に設けられていることを特徴とする請求項3~5の何れか一項に記載の気液噴出部材。
【請求項8】
前記気泡噴出部材に振動子を設けることを特徴とする請求項1~2、6の何れか一項に記載の気泡噴出部材。
【請求項9】
前記気液噴出部材に振動子を設けることを特徴とする請求項3~5、7の何れか一項に記載の気液噴出部材。
【請求項10】
請求項1~2、6、8の何れか一項に記載された気泡噴出部材、又は請求項3~5、7、9の何れか一項に記載された気液噴出部材を用いた局所アブレーション装置。
【請求項11】
請求項3~5、7、9の何れか一項に記載された気液噴出部材を用いたインジェクション装置。
【請求項12】
絶縁材料で形成された中空管の内部に導電材料で形成された中実な芯材を通した状態で一部を加熱して両端から引き切ることで、前記絶縁材料と前記導電材料との粘弾性の差により、前記絶縁材料が前記中実な芯材を覆い、かつ前記中実な芯材の先端から延伸した部分を有する外郭部を形成し、前記外郭部の延伸した部分及び前記中実な芯材の先端との間に空隙を形成することを特徴とする気泡噴出部材の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の気泡噴出部材の外郭部との間に空間を有する大きさの外側外郭部を、前記外郭部の中心軸と同心軸となるように外側に重ねて設けることを特徴とする気液噴出部材の製造方法。
【請求項14】
請求項10に記載した局所アブレーション装置を溶液に浸漬させ、
前記局所アブレーション装置の中実な芯材と電極部とで構成される一対の電極の中実な芯材に高周波電気パルスを印加することで、気泡噴出部材の先端から気泡を放出させ、
該気泡で加工対象物(但し、人体を除く)を加工することを特徴とする局所アブレーション方法。
【請求項15】
請求項11に記載したインジェクション装置の外郭部と外側外郭部の間にインジェクション物質を含む溶液を導入し、
前記インジェクション装置を溶液に浸漬させ、
前記インジェクション装置の中実な芯材と電極部とで構成される一対の電極の中実な芯材に高周波電気パルスを印加することで、気液噴出部材の先端から前記インジェクション物質を含む溶液が吸着した気泡を放出させ、
該気泡で加工対象物(但し、人体を除く)を局所アブレーションしながら、加工対象物(但し、人体を除く)にインジェクション物質を導入することを特徴とするインジェクション方法。
【請求項16】
前記インジェクション物質を含む溶液が、送液ポンプにより外側外郭部と外郭部との間に導入される、又は、インジェクション物質を含む溶液に気液噴出部材の先端部を浸漬させ毛細管現象により導入される、ことを特徴とする請求項15に記載のインジェクション方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡噴出部材及びその製造方法、気液噴出部材及びその製造方法、局所アブレーション装置及び局所アブレーション方法、インジェクション装置及びインジェクション方法、プラズマ気泡噴出部材、並びに治癒装置及び治癒方法に関するもので、特に、局所アブレーション装置及びインジェクション装置を溶液に浸漬し、前記局所アブレーション装置及びインジェクション装置に高周波電圧を印加することで発生するマイクロナノバブル(以下、「気泡」と記載することもある)を気泡噴出部材又は気液噴出部材の先端から放出し、放出した気泡で生体細胞等の加工対象物を加工する局所アブレーション方法、並びに局所アブレーション方法で生体細胞等の加工対象物を加工すると同時に、気泡の界面に吸着した溶液に含まれるインジェクション物質を加工対象物に導入するインジェクション方法に関するものである。また、本発明は、治癒装置に高周波電圧を印加することで発生するプラズマを含む気泡を用いて細胞等の生体組織を治癒する治癒方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のバイオテクノロジーの発展に伴い、細胞の膜や壁に孔をあけ、細胞から核を除去又はDNA等の核酸物質の細胞への導入等、細胞等の局所加工の要求が高まっている。局所加工技術(以下、「局所アブレーション法」と記載することもある。)としては、電気メス等のプローブを用いた接触加工技術や、レーザー等を用いた非接触アブレーション技術などを用いた方法が広く知られている。特に、電気メスの接触加工技術は最近数マイクロメートルオーダーの焼結面に抑えることによって、熱侵襲領域を抑えて分解能を向上させた技術が考案されている(非特許文献1参照)。
【0003】
また、レーザー加工においてはフェムト秒レーザーの躍進が目覚ましく、最近では細胞加工を行う技術(非特許文献2参照)や液相中で気泡発生を抑えたレーザー加工技術が考案されている。
【0004】
しかしながら、従来の電気メス等のプローブを用いた接触加工技術においては、連続高周波によって発生させたジュール熱により対象物を焼き切る性質があるため、切断面の粗さと熱による周辺組織への熱侵襲の影響が大きく、特に液相中の生体材料加工においては熱による切断面のダメージが大きく(問題点1)、タンパク質の変性やアミド結合の寸断により、再結合や再生が困難であった(問題点2)。また持続的な加工においてはプローブへの切開されたタンパク質の吸着や熱により発生する気泡の吸着によって、切開面の観察環境は著しく悪化し、高分解性加工は困難であるという問題があった(問題点3)。
【0005】
また、フェムト秒レーザー等のレーザーによる非接触加工技術においても、高密度エネルギーが局所的に当たることで切断面周囲組織の熱の影響が存在し、特に液相中の対象物の加工においては加工時に発生する熱による気泡等の発生により持続的加工が困難であった(問題点4)。またフェムト秒レーザー等のレーザーを用いて液相中の対象物を加工する際には加工対象物へのアクセスがしにくいという問題があった(問題点5)。
【0006】
一方、細胞等への核酸物質等を導入するための局所的な物理的インジェクション技術(インジェクション方法)としては、電気穿孔法、超音波を用いたソノポレーション技術及びパーティクルガン法等が広く知られている。電気穿孔法は細胞等に電気パルスを与え細胞膜透過性を上げることでインジェクションを行う技術であり、脂質2重膜などの柔軟な薄い細胞膜へのインジェクション技術として考案されている(非特許文献3参照)。また、超音波を用いたソノポレーション技術は、気泡に超音波を当て広い範囲の気泡にキャビテーションを発生させインジェクションを行うものとして考案されている(非特許文献4参照)。その他パーティクルガン法は、粒子に導入したい物質を付着させて対象物に物理的に打ち込む技術である。
【0007】
しかしながら、従来の電気穿孔法技術においては、電界強度により細胞膜の透過性を向上させるのに限界があり、柔軟な脂質2重膜ではなくて硬い細胞膜や細胞壁を有する対象物へインジェクションが困難であり(問題点6)、電極の配置などの制限により局所的な狙った場所へのインジェクションが困難であった。また、超音波を利用したソノポレーション技術においては超音波の集束が困難であり、局所的な気泡のキャビテーションを発生させ解像度を上げることが困難であった(問題点7)。
【0008】
一方、パーティクルガン法によるインジェクション方法においても、粒子表面に付着させた物質が粒子を打ち込む際に表面から離脱してしまい導入効率が低いという問題があった(問題点8)。また、電気穿孔法、ソノポレーション法及びパーティクルガン法においては、インジェクションする物質の消費量が多く、貴重な物質をインジェクションすることが困難であるという問題もあった(問題点9)。
【0009】
また、プラズマは、悪性細胞の死滅や生体組織の治療に貢献できることが知られている。しかしながら、従来のプラズマ技術においては、プラズマが発生している状態を溶液中に存在させることが難しく、一度電極付近の気体にプラズマを発生させ、発生したプラズマを用いて溶液中にプラズマを含む気泡を発生させる手法が取られてきたが、長い時間プラズマ状態を保持できず、またその気泡をプラズマ状態を維持しながら移動することも困難であった(問題点10、非特許文献5,6参照)。
【先行技術文献】
【0010】

【非特許文献1】D. Palanker et al.、J. Cataract. Surgery、 38、 127-132、 (2010)
【非特許文献2】T. Kaji et al.、 Applied Physics Letters、 91、 023904、 (2007)
【非特許文献3】杉村厚 et al.、 化学と生物、 29(1)、 54-60、 (1991)
【非特許文献4】工藤信樹 et al.、 生体医工学会誌、 43(2)、 231-237、 (2005)
【非特許文献5】M. Kanemaru et al.、 Plasma Sources Sci. Technol. 20、034007 (2011)
【非特許文献6】O. Sakai et al.、 Applied Physics Letters、 93、 231501、 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記した問題点1~10を解決するためになされた発明であり、鋭意研究を行ったところ、導電材料で形成された芯材と、絶縁材料で形成され、前記芯材を覆い、かつ前記芯材の先端から延伸した部分を含む外郭部、及び前記外郭部の延伸した部分及び前記芯材の先端との間に形成された空隙を含む気泡噴出部材を作製し、該気泡噴出部材を溶液に浸漬させ、溶液中で高周波電圧を印加することで気泡を発生し、該気泡を加工対象物に連続的に放出することで加工対象物を切削(局所アブレーション)できることを新たに見出した。
【0012】
また、前記気泡噴出部材の外郭部の外側に、外郭部と空間を有するように外側外郭部を設け、前記空間にインジェクション物質を溶解及び/又は分散した溶液を導入することで、インジェクション物質が溶解及び/又は分散した溶液が界面に吸着した気泡を発生することができ、該気泡を加工対象物に連続的に放出することで加工対象物を切削するとともに、気泡を覆う溶液に含まれるインジェクション物質を加工対象物にインジェクションできることを新たに見出した。
【0013】
更に、導電材料で形成され、不活性ガスにプラズマを発生させるための一対の電極、液体を流すための液体流路、不活性ガス、プラズマを含む不活性ガス、及びプラズマを含む不活性ガスの気泡を含む液体を流すための微細流路を含み、前記液体流路及び前記微細流路は、前記微細流路のプラズマが発生する部分より下流側で接続し、前記微細流路に不活性ガスを流入し、前記一対の電極に高周波電気パルスを印加することで前記流入した不活性ガスにプラズマが発生し、プラズマを含む不活性ガスを前記微細流路に接続する液体流路の液体に流し込むと、液体の流体力により、プラズマを含む気泡を形成することができ、液体中でも気泡のプラズマ状態を維持できることができることを新たに見出した。
【0014】
すなわち、本発明の目的は、気泡噴出部材及びその製造方法、気液噴出部材及びその製造方法、局所アブレーション装置及び局所アブレーション方法、インジェクション装置及びインジェクション方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以下に示す、気泡噴出部材及びその製造方法、気液噴出部材及びその製造方法、局所アブレーション装置及び局所アブレーション方法、インジェクション装置及びインジェクション方法に関する。
【0016】
(1)導電材料で形成された中実な芯材と、
絶縁材料で形成され、前記中実な芯材を覆い、かつ前記中実な芯材の先端から延伸した部分を含む外郭部、及び、
前記外郭部の延伸した部分及び前記中実な芯材の先端との間に形成された空隙、
を含むことを特徴とする気泡噴出部材。
(2)前記外郭部の延伸した部分がテーパー状であることを特徴とする上記(1)に記載の気泡噴出部材。
(3)上記(1)又は(2)に記載の気泡噴出部材の外郭部の外側に、前記外郭部の中心軸と同心軸を有し、前記外郭部との間に空間を有するように前記外郭部から離間した位置に形成した外側外郭部、
を更に設けることを特徴とする気液噴出部材。
(4)前記外郭部の延伸した部分の外側に形成された前記外側外郭部の部分が、テーパー状であることを特徴とする上記(3)に記載の気液噴出部材。
(5)前記外郭部と前記外側外郭部との間の空間に、インジェクション物質を含む溶液を含むことを特徴とする上記(3)又は(4)に記載の気液噴出部材。
(6)前記気泡噴出部材の中実な芯材とで一対の電極を構成する電極部を更に含み、
前記電極部が、前記気泡噴出部材とは別体として又は前記外郭部の外面に設けられていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の気泡噴出部材。
(7)前記気液噴出部材の中実な芯材とで一対の電極を構成する電極部を更に含み、
前記電極部が、前記気液噴出部材とは別体として、前記外郭部の外面、又は前記外側外郭部の内面に設けられていることを特徴とする上記(3)~(5)の何れか一に記載の気液噴出部材。
(8)前記気泡噴出部材に振動子を設けることを特徴とする上記(1)~(2)、(6)の何れか一に記載の気泡噴出部材。
(9)前記気液噴出部材に振動子を設けることを特徴とする上記(3)~(5)、(7)の何れか一に記載の気液噴出部材。
(10)上記(1)~(2)、(6)、(8)の何れか一に記載された気泡噴出部材、又は上記(3)~(5)、(7)、(9)の何れか一に記載された気液噴出部材を用いた局所アブレーション装置。
(11)上記(3)~(5)、(7)、(9)の何れか一に記載された気液噴出部材を用いたインジェクション装置。
(12)絶縁材料で形成された中空管の内部に導電材料で形成された中実な芯材を通した状態で一部を加熱して両端から引き切ることで、前記絶縁材料と前記導電材料との粘弾性の差により、前記絶縁材料が前記中実な芯材を覆い、かつ前記中実な芯材の先端から延伸した部分を有する外郭部を形成し、前記外郭部の延伸した部分及び前記中実な芯材の先端との間に空隙を形成することを特徴とする気泡噴出部材の製造方法。
(13)上記(12)に記載の気泡噴出部材の外郭部との間に空間を有する大きさの外側外郭部を、前記外郭部の中心軸と同心軸となるように外側に重ねて設けることを特徴とする気液噴出部材の製造方法。
(14)上記(10)に記載した局所アブレーション装置を溶液に浸漬させ、
前記局所アブレーション装置の中実な芯材と電極部とで構成される一対の電極の中実な芯材に高周波電気パルスを印加することで、気泡噴出部材の先端から気泡を放出させ、
該気泡で加工対象物を加工することを特徴とする局所アブレーション方法。
(15)上記(11)に記載したインジェクション装置の外郭部と外側外郭部の間にインジェクション物質を含む溶液を導入し、
前記インジェクション装置を溶液に浸漬させ、
前記インジェクション装置の中実な芯材と電極部とで構成される一対の電極の中実な芯材に高周波電気パルスを印加することで、気液噴出部材の先端から前記インジェクション物質を含む溶液が吸着した気泡を放出させ、
該気泡で加工対象物を局所アブレーションしながら、加工対象物にインジェクション物質を導入することを特徴とするインジェクション方法。
(16)前記インジェクション物質を含む溶液が、送液ポンプにより外側外郭部と外郭部との間に導入される、又は、インジェクション物質を含む溶液に気液噴出部材の先端部を浸漬させ毛細管現象により導入される、ことを特徴とする上記(15)に記載のインジェクション方法。
【発明の効果】
【0017】
芯材の先端と外郭部の延伸した部分とで設けた空隙は気泡貯めとして作用し、溶液中で連続的な気泡列を発生することができ、この気泡が加工対象物に衝突するとき気泡が圧壊する力により、加工対象部を切削することができる。そして、気泡サイズが微細なため加工対象部のダメージを極力抑えることができるので前記問題点1を解決することができる。
【0018】
気泡による加工対象物の加工を行うことから熱の侵襲によるダメージがないため、生体材料を加工対象物とした場合にタンパク質等の変性等が発生せず、再結合や再生が容易となり、前記問題点2を解決することができる。
【0019】
気泡による加工を行うために熱の侵襲によるダメージがないため電極プローブへの切削されたタンパク質の吸着などの問題がなく、切開面の観察環境は良好となる効果を生むことにより前記問題点3を解決することができる。
【0020】
前記空隙より発生して放出される気泡列はマイクロナノスケールの大きさであることから圧壊等により短期間で消滅するため、加工時に発生する熱や気泡等の発生による持続的な加工を妨げることがなくなる効果があり、長時間の加工を可能にする効果を生むため、前記問題点4を解決することができる。
【0021】
本発明の気泡噴出部材及び気液噴出部材は汎用のマニピュレータに簡易に取り付け、取り外しが可能であることより、加工対象物へのアクセスがしやすい効果を生み出すため、前記問題点5を解決することができる。
【0022】
前記気泡噴出部材の外郭部の外側に、外郭部と空間を有するように外側外郭部を設け、前記空間にインジェクション物質を含む溶液を導入することで、気泡が放出されると同時に、流体力により外郭部と外側外郭部との間の溶液が引き出され、インジェクション物質を含む溶液が吸着した気泡を発生させ、高出力・高効率かつ高速な加工・インジェクション技術が可能となり前記問題点6を解決することができる。
【0023】
気泡が加工対象物に衝突するとき気泡が圧壊し、加工対象物の加工(=アブレーション)とインジェクションを同時に行うが、気泡サイズが微細なため局所的で高解像(微細なアブレーションが可能であること)なインジェクションが可能であることから、前記問題点7を解決することができる。
【0024】
気泡による加工・インジェクションを同時に行うため、気液界面に様々なインジェクション物質を封じ込めることが可能であり、更に、インジェクション物質が回りの溶液へ拡散するスピードを上回る速度で気泡を高速に打ち込むことができることより、インジェクション前後の輸送経路においてインジェクション物質が回りの溶液へ拡散することによる損失が少なく高効率であり、前記問題点8及び9を解決することができる。
【0025】
気液噴出部材の外郭部と外側外郭部の間に電極部を設けることで、コンパクトに一体化され、溶液中に関わらず幅広い環境下における対象物において加工・インジェクションが可能である。
【0026】
気泡噴出部材及び気液噴出部材に振動子を設置し疎密波を発生させることにより、発生させた疎密波の重なる箇所において気泡列の特定の位置の単一気泡のみを圧壊するようにすると、局所的な狙った場所へのインジェクションが可能となり、より解像度を上げることができる。
【0027】
本発明の気泡噴出部材及び気液噴出部材は先端がテーパー状になっていることから、気泡が放出すると周囲の溶液はテーパー面に沿って前方に流れることから、気泡を連続的に放出しても同じ軌跡で放出することができるので、対象物の決まった位置を加工できる。
【0028】
また、本発明のプラズマ気泡噴出部材を含む局所アブレーション装置及び治癒装置を用いることで、流体力によりプラズマを含む気泡が形成された後も、該気泡が液体中でプラズマ状態を維持しているので、前記問題点10を解決することができる。更に、プラズマ気泡噴出部材の微細流路が、プラズマが発生する部分を他の微細流路より大きくしたプラズマリザーバーを含むことで、不活性ガス中のプラズマ濃度を高くすることができ、液体中でもプラズマ状態を長時間保持可能なプラズマを含む気泡を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1(a)は、本発明の実施形態1の気泡噴出部材の製造方法であり、図1(b)は図面代用写真で、図1(a)に示す手順で作製した気泡噴出部材の拡大写真、図1(c)は図面代用写真で、図1(b)を更に拡大した写真である。
【図2】図2(a)は本発明の気泡噴出部材を用いた局所アブレーション方法を説明するための図で、図2(b)は図2(a)の点線部分を更に拡大した説明図である。
【図3】図3(a)は、本発明の気泡噴出部材を用いた局所アブレーション装置の生体材料周辺の等価電気回路図を示し、図3(b)は従来の電気メス回路に無誘導抵抗を導入した微小加工ターゲットに適合した出力を発生させる電気回路図を示す。
【図4】図4(a)は、図面代用写真で、本発明の気泡噴出部材を用いた局所アブレーション装置の先端から指向性のある微細気泡列が発生している様子を示しており、図4(b)は図面代用写真で、図4(a)の点線部分を瞬間ごとに更に拡大した写真である。
【図5】図5(a)は、図面代用写真で、本発明の気泡噴出部材を用いた局所アブレーション装置を用いて卵子の除核実験を行い成功した様子を示している。図5(b)は図面代用写真で、従来のガラス毛細管による顕微鏡作業により除核した領域を示しており、図5(c)は、図面代用写真で、本発明の局所アブレーション装置を用いて除核した領域を示し、図5(b)と比較した図である。
【図6】図6(a)は、本発明の気液噴出部材を用いた局所アブレーション方法及びインジェクション方法の概略を示す模式図である。図6(b)は放出した気泡による細胞膜の破壊及びインジェクションを示す模式図で、図6(c)は気泡のキャビテーションをステップ毎(時間毎)に表した模式図である。
【図7】図7(a)は、実施形態2の気液噴出部材の製造方法の概略を示す図である。図7(e)は、図面代用写真で、実施形態2の気液噴出部材の先端部分の写真である。
【図8】図8(a)は、発生した微細気泡が圧壊する際の加工幅と、加工対象物と気泡噴出部材の先端との距離との関係を示す図及び加工精度を示す共焦点顕微鏡写真である。図8(b)は、図面代用写真で、高周波電気パルスを印加した際に発生した指向性単分散の微細気泡列を示す。図8(c)は、発生した微細気泡列の気泡のサイズ分布を示す。
【図9】図9(a)は、図面代用写真で、実施形態2の気液噴出部材を用い、気泡の周囲にメチレンブルー溶液が吸着した状態で放出することを示す写真である。図9(b)は、図面代用写真で、インジェクション物質として蛍光ビーズを用いて、細胞に局所アブレーション及びインジェクションを行った際の様子を時系列に示した写真である。
【図10】図10(a)は、気泡噴出部材に振動子を装着し、粗密波を発生させる様子を示す模式図で、図10(b)は粗密波の重なりにおいて気泡列のうち1個のみ能動的に圧壊させる様子を示す模式図である。
【図11】図11は、本発明の実施形態3のプラズマ気泡噴出部材の概略を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施形態3のプラズマ気泡噴出部材の作製方法を示す図である。
【図13】図13(1)は、図12の手順に従って作製したプラズマ気泡噴出部材の光学顕微鏡写真で、図13(2)は、(1)の点線部分を拡大した模式図である。
【図14】図14は、プラズマ気泡噴出部材の他の実施形態4の概略を示す模式図である。
【図15】図15(a)は上記図14に示すプラズマ気泡噴出部材の作製手順を示した図である。図15(b)は、図15(a)の手順により作製したプラズマ気泡噴出部材を示す。
【図16】図16は、本発明のプラズマ気泡噴出部材を用いた局所アブレーション装置、治癒装置の一例を示す概略構成図である。
【図17】図17は、図面代用写真で、プラズマリザーバー211内で、プラズマが安定的に発生している様子を示す光学顕微鏡写真である。
【図18】図18は、図面代用写真で、流体力によりプラズマを含む気泡が形成された後も、該気泡が液体中でプラズマ状態を維持していることを示すCCDカメラで撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の気泡噴出部材及びその製造方法、気液噴出部材及びその製造方法、局所アブレーション装置及び局所アブレーション方法、インジェクション装置及びインジェクション方法、プラズマ気泡噴出部材、並びに治癒装置及び治癒方法について詳しく説明する。各図の説明において、同一の符号は同じ物を示す。以下、本発明を実施するための実施形態に基づき、本発明の製造方法及び利用例を具体的に説明するが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。

【0031】
先ず、本発明において、「気液」とは、界面に溶液が吸着した気泡を意味する。また、「プラズマ気泡」とは、プラズマを含む気泡を意味する。

【0032】
[実施形態1]
図1(a)は本発明の第1の実施形態である、先端に空隙を有する構造を持つ気泡噴出部材の作製方法10を表す。本発明の気泡噴出部材は、図1(a)に示すように、(1)中空の絶縁材料15を準備し、(2)前記中空の絶縁材料15に導電材料で形成された芯材20を挿入し、(3)熱25をかけて引き切ると、(4)絶縁材料15と芯材20の粘弾性の差により、図1(b)に示すように、芯材20の先端から絶縁材料15が更に延伸した部分を含む外郭部16を形成し、前記芯材20と外郭部16の延伸した部分で空隙30を形成する。

【0033】
絶縁材料15としては、電気を絶縁するものであれば特に限定はなく、例えば、ガラス、マイカ、石英、窒化ケイ素、酸化ケイ素、セラミック、アルミナ、等の無機系絶縁材料、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム等ゴム材料、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、シラン変性オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン系樹脂、弗素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリサルファイド系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース系樹脂、UV硬化樹脂等の絶縁性樹脂が挙げられる。

【0034】
芯材20を形成する導電材料としては、電気を通すものであれば特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、アルミニウム等、これらにスズ、マグネシウム、クロム、ニッケル、ジルコニウム、鉄、ケイ素などを少量加えた合金等が挙げられる。上記のとおり、空隙30は、芯材20の先端及び該先端から絶縁材料15が更に延伸した部分とで形成されることから、絶縁材料15の粘弾性が芯材20の粘弾性より大きくなるように適宜材料を組み合わせればよく、例えば、絶縁材料15としてガラス、芯材20として銅の組み合わせが挙げられる。

【0035】
図1(b)は、ガラス中空管(Drummond社製、外径1.37mm、内径0.93mm)に直径30μmの銅線を挿入し、ガラスプラー(サッター社製、P-1000IVF)によって、加熱しながら引き切って作製した気泡噴出部材の写真である。

【0036】
図1(c)は、図1(b)を更に拡大した写真である。後述するように、本発明の気泡噴出部材に高周波電圧を印加すると、気泡噴出部材の先端から気泡が連続的に放出するが、その際、空隙30に先ず直径(D)に近い大きさの気泡が生成し、気泡噴出部材の先端から前記気泡が引きちぎられるように放出する。したがって、前記空隙30の深さ(L)は、少なくとも空隙30内で気泡が生成できる大きさである必要があり、L/Dは少なくとも1以上であることが好ましい。一方、L/Dの上限は、気泡が連続的に噴出できる大きさであれば特に制限はないが、気泡噴出部材の先端は非常に細く破損しやすいため、取扱いの利便性等を考えると、L/Dは、1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましく、1~1.5が特に好ましい。L/Dは、製造に用いる材料の温度と粘度の関係を考慮し、加熱する際の温度及び引き切るスピードを変化させることで調整することができる。また、気泡噴出部材の先端の開口部の直径を調整することで、放出する気泡の大きさを調整することもできる。開口部の直径は、前記したように、加熱する際の温度及び引き切るスピードを変化させることで調整することができる。

【0037】
なお、気泡噴出部材の製造方法は、上記の例に限定されず、例えば、芯材20の先端にフォトレジスト、熱硬化性樹脂等の部材を設け、窒化ケイ素、酸化ケイ素等の絶縁材料をスパッタリングにより芯材20の周囲に設けた後、フォトレジスト、熱硬化樹脂等を除去することで製造してもよい。また、芯材20の先端にテーパー状のフォトレジスト、熱硬化性樹脂等を設けることで、スパッタリング後の外郭部をテーパー状にすることができる。また、スパッタリングで気泡噴出部材を製造する場合、上記のL/Dを調整するには、芯材20の先端に設ける気泡噴出部材の長さを適宜調整すればよい。

【0038】
図2は、本発明の気泡噴出部材を用いた局所アブレーション方法を説明するための図である。図2(a)に示す例では、気泡噴出部材とは別体である対向電極35とアクティブ電極65(気泡噴出部材の芯材20)の間に加工ターゲットであるウシ卵子40を置いている。図2(b)は図2(a)の点線部分を更に拡大した説明図であり、気泡噴出部材の先端の空隙30には気泡がたまっており、そして、気泡噴出部材の先端から放出した気泡60をウシ卵子40の透明帯50に衝突させて孔をあけ、ウシ卵子の核45を除去することができる。

【0039】
図3(a)は、本発明の気泡噴出部材を用いた局所アブレーション装置のための電気回路図を示している。気泡噴出部材を溶液中に浸漬することで、アクティブ電極65(芯材20)と対向電極35とで回路を形成し、一般商用交流電源装置70を用いて電圧を印加することで、気泡噴出部材を局所アブレーション装置として用いることができる。なお、図3(a)に示す回路は、図3(b)に示す従来の電気メス用電気回路に無誘導抵抗75を組み込み、微小対象用の出力構成にセッティングすることで簡単に作成することができる。溶液としては、電気を通すことができれば特に制限はなく、加工対象物が細胞等の場合、培養液に含まれている電解質は導電作用があることから、そのまま用いることができる。本発明の加工対象となる細胞は所望の細胞であってよく、細胞の種類は限定されない。具体的には、例えば、ヒトまたは非ヒト動物の組織から単離した幹細胞、皮膚細胞、粘膜細胞、肝細胞、膵島細胞、神経細胞、軟骨細胞、内皮細胞、上皮細胞、骨細胞、筋細胞、卵細胞等などや、植物細胞、昆虫細胞、大腸菌、酵母、カビなどの微生物細胞などの細胞を挙げることができる。なお、本発明における「加工」とは、細胞等に気泡を噴出することで、細胞に孔をあけたり、細胞の一部を切削することを意味する。

【0040】
図4(a)は、本発明の局所アブレーション装置の気泡噴出部材の先端から指向性のある微細気泡列が発生している様子を示している写真である。本発明の局所アブレーション装置は、図1に示した気泡噴出部材を、図3に示す医療用電気メス(ConMed社製、Hyfrecator2000)に組み込んで作製した。アウトプット周波数は450kHz、インピーダンスマッチングのためのサンプリング周波数は450kHz、3.5kHzでフィードバックを行った。図4(b)は、図4(a)の点線部分を更に拡大した写真で、気泡噴出部材の先端の気泡がたまっている空隙30から、指向性のある微細気泡列60が列となり発生している様子を示している。放出した気泡は指向性があるため、細胞加工領域を限定することが可能となる。図4(a)及び(b)に示すように、気泡は規則正しい間隔で放出されたが、これは、医療用電気メスは一般的に、高周波電気パルスを印加しており、パルスを印加する間隔に対応していると考えられる。

【0041】
図5の(a)は、本発明の気泡噴出部材を用いた局所アブレーション装置を用いてウシ卵子40の除核実験を行い成功した様子を示している。局所アブレーション装置に印加した電圧条件は、上記と同様である。図5(a)から明らかなように、気泡を放出することで、ウシ卵子40内の核45を細胞外に除去することができた。図5の(b)は、従来のガラス毛細管90による顕微作業によりウシ卵子40から核45を除去した際の除去領域95を示しており、図5(c)は、本発明の気泡噴出部材を用いた局所アブレーション装置を用いて、ウシ卵子40から核を除去した際の除去領域95を示している。図5(b)及び(c)から明らかなように、従来のガラス毛細管を用いて除核する場合と比較して、本発明の気泡噴出部材を用いた局所アブレーション装置を用いて除核すると、ウシ卵子40等の加工対象物へのダメージを小さくすることができる。

【0042】
[実施形態2]
以下、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中の符号番号が同じ番号のものは実施形態1と同じものを示す。

【0043】
図6(a)は、本発明の気液噴出部材を用いた局所アブレーション方法及びインジェクション方法の概略を示す模式図である。実施形態2の気液噴出部材は、実施形態1の気泡噴出部材の外郭部16の外側に、前記外郭部16から離間した位置に外側外郭部21が形成されており、前記外郭部16と外側外郭部21が形成する空間22に、予めインジェクション物質を含む溶液61を導入しておくことで、インジェクション物質を含む溶液61を吸着した気泡60を気液噴出部材の先端から放出することができる。図6(b)は放出した気泡60による細胞膜の破壊及びインジェクションを示す図であり、放出した気泡60の圧壊(キャビテーション)の衝撃によりが細胞膜51に孔をあけ、インジェクション物質を細胞内に到達することができることを示している。図6(c)は気泡60のキャビテーションをステップ毎に表した図で、気泡が高速で進む時に圧力不均衡が生じて球形状が変形62し、気泡が圧壊する際に高解像度で高出力なマイクロジェット63が発生し、このマイクロジェット63の放出界面52の進行方向前面が突出し、高圧気体であることより、マイクロジェット63の力で加工対象物に孔64をあける。

【0044】
外側外郭部21を形成する材料は、外郭部16と同じ材料であればよい。また、インジェクション物質は、気体、固体、液体を問わず、溶液に溶解及び/又は分散できるものであれば特に制限は無く、気体としては空気、窒素、ヘリウム、二酸化炭素、一酸化炭素、アルゴン、酸素等が挙げられ、固体としてはDNA、RNA、タンパク質、アミノ酸、無機物等が挙げられ、液体としては薬剤溶液、アミノ酸溶液等が挙げられる。インジェクション物質を溶解及び/又は分散させる溶液としては、生理食塩水、培地等が挙げられる。

【0045】
図7(a)は実施形態2の気液噴出部材の製造方法の概略を示す図である。実施形態1の(1)~(4)と同様の手順で気泡噴出部材を製造した後(図7の(a)~(b)に相当)、(c)ポリマーフィルムやゴムワッシャ、PDMS(ポリジメチルシロキサン)を使用したソフトリソグラフィー・3次元光造形法等の方法により作製した同心軸位置決めワッシャ23を実施形態1の気泡噴出部材に嵌め、ガラス管、プラスチック管等を熱により引き切って作製した外側外郭部21をワッシャ23に外挿することで、(d)実施形態2の気液噴出部材を製造することができる。前記ワッシャ23は、後述するように図示しないポンプにより、インジェクション物質を含む溶液61を送液できるようにするため、孔24を含むことが望ましい。また、外側外郭部21は、前記のようにガラス管やプラスチック管を引き切って作製したものを直接ワッシャ23に嵌めてもよいし、(c)に示すように、引き切ったガラス26等の周りにプラスチック等(例えば、エッペンドルフチューブ(アイビス(R)ピペットチップ、IN122-503Y)から作製したガイド27を接着剤等で接着して外側外郭部21を作製し、ガイド27部分をワッシャ23に嵌合してもよい。また、外側外郭部21は、多層となるように設けて、各層間に異なる種類のインジェクション物質を含む溶液を導入できるようにしてもよい。また、図示はしていないが、上記(c)において、銅等の導電性の対向電極を外郭部16の外面又は外側外郭部21の内面に配置してもよい。対向電極を気液噴出部材に設ける場合、対向電極は芯材20と回路が形成できればよいので、空間22に充填されるインジェクション物質を含む溶液61と接触する場所であれば特に制限は無い。また、対向電極を気液噴出部材とは別体として設けることもできる。図7(e)は、上記手順で作製した気液噴出部材の先端部分の写真である。具体的には、外側外郭部21は、ガラスプラー(サッター社製、P-1000IVF)によって、上記気泡噴出部材の作製に用いたガラス中空管より一回り大きいガラス中空管(Drummond社製、外径2.03mm、内径1.63mm)を加熱しながら引き切って作製した。そして、図示しないポリマーフィルムを積層して作製したワッシャを気泡噴出部材に嵌め、作製した外側外郭部21をワッシャの外側に挿入した。なお、図示しない直方体形状の銅製電極を外側外郭部21の内側に設けた。外郭部16と外側外郭部21の間に形成される空間22には、図示しないポンプにより、インジェクション物質を含む溶液61を送液することができる。

【0046】
図8の(a)は、実施形態1の気泡噴出部材(先端の直径は約10μm)を用いた局所アブレーション装置により発生した微細気泡が圧壊する際の加工幅と、加工対象物と気泡噴出部材の先端との距離の関係及び加工精度を示す共焦点顕微鏡写真である。図8(b)は、高周波電気パルスを印加した際に発生した指向性単分散の微細気泡列5を示す。図8(c)は、発生した微細気泡列の気泡サイズ分布を示す。図8(a)に示すように、微細気泡の圧壊時には加工対象物(ウシ卵子40)と気泡噴出部材の先端距離が大きい程、加工幅53は小さくなり、解像度は加工幅数μm程度であった。また、気泡噴出部材の外郭部16の開口径が10μmの場合に発生する気泡の大きさは、(c)に示すように半径約3.25μmの分布が最も多かった。

【0047】
図9は、本発明の実施形態2の気液噴出部材を用いた際に、気泡60の周囲にインジェクション物質を含む溶液61が吸着した状態で放出することを示す写真である。インジェクション物質を含む溶液61として、粉末状のメチレンブルーをTCM199培地に濃度が10mg/mLとなるように溶解したメチレンブルー溶液を用い、実施形態2で製造した気液噴出部材の先端の空間22に毛管現象で導入した。次に、メチレンブルー溶液を導入した気液噴出部材を、実施形態1と同様に医療用電気メス(ConMed社製、Hyfrecator2000)に組み込み、アウトプット周波数は450kHz、インピーダンスマッチングのためのサンプリング周波数は450kHz、3.5kHzでフィードバックを行った。図9(a)が示すように、気液噴出部材の先端から放出した気泡列は全て青色であった。このことから、気泡60の周りはメチレンブルー溶液61で覆われていることが確認できた。また、放出した気泡60は、青色のまま溶液中を移動したことから、気泡界面に吸着したメチレンブルー溶液61は、周囲の溶液に拡散せずに、気泡60に吸着した状態で移動することが確認できた。したがって、気泡界面に吸着する溶液に、核酸やタンパク質等のインジェクション物質を溶解及び/又は分散することで、細胞等の加工対象物に局所アブレーションを行いながら、インジェクション物質を導入することができる。図9(b)は、インジェクション物質として蛍光ビーズ91を用いて、細胞に局所アブレーション及びインジェクションを行った際の様子を時系列に示した写真である。加工対象物である細胞としてはウシの卵子を用い、蛍光ビーズ91(Thermo scientific社製、Fluoro-Max、直径2.1μm)10mgをTCM199培地1mlに分散してインジェクション物質とした。ウシの卵子を吸引ピペット92で固定し、上記(a)と同様の手順で局所アブレーション及びインジェクションを行ったところ、ウシの卵子細胞壁93を貫通して細胞内に蛍光ビーズ91が導入される現象を確認できた。

【0048】
図10の(a)は気泡噴出部材に振動子を装着し、粗密波105を発生させる様子を示す模式図で、図10(b)は粗密波105の重なりにおいて気泡列のうち1個のみ能動的に圧壊させる様子を示す模式図である。気泡噴出部材の外側に装着した振動子100は、疎密波105を発生させ、疎密波の重ね合わせ部110において、気泡列内の1個のみを圧壊し、高精度加工を行うことが可能である。振動子100としては、一般的に入手できるピエゾ、水晶等の振動子を用いることができ、気泡噴出部材の外側に振動子を少なくとも2つ配置し、それぞれの振動子を外部電源に繋ぎ、パルス状の電圧を同期しながら印加すればよい。勿論、気液噴出部材に振動子を装着してもよい。

【0049】
[実施形態3]
以下、本発明の第3の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図11は本発明のプラズマ気泡噴出部材の概略を示している。

【0050】
図11に示すように、プラズマ気泡噴出部材は、基板上に、導電材料で形成された一対の電極200、不活性ガス205及びプラズマを含む気泡230が含まれている液体を流すための微細流路(マイクロ流路)210、前記微細流路210のプラズマが発生する部分より下流側で、前記微細流路210と接続する液体流路220を少なくとも含んでいる。電極200に高周波電気パルスを印加することで、図示しないポンプにより微細流路に流入した不活性ガス205にプラズマが発生し、前記プラズマを含む不活性ガスは下流側に流され、そして、液体流路220に流れている液体221と交差する際の流体力により切断され、プラズマを含む不活性ガスの気泡230を放出することができる。微細流路210と液体流路220が接続する部分の角度は、前記のとおり、不活性ガス205が液体221と交差する際に流体力により切断される角度であれば特に制限はない。不活性ガス205が流れる方向及び液体221が流れる方向が形成する角度が平行の場合は気泡が発生せず、また、90度を超えると、液体221が不活性ガスを押し戻すことになる。したがって、微細流路210と液体流路220が接続する部分の角度は、少なくとも0度より大きく90度以下である必要があり、20~90度が好ましく、45~90度がより好ましい。また、液体流路220の本数は、少なくとも1本あれば流体力により気泡を形成することができるが、気泡サイズを揃えるためには、2本以上の液体流路220を形成し、流入した不活性ガスへの流体力が均等になるように配置することが望ましい。流体流路220を3本以上形成する場合は、立体的に配置すればよい。

【0051】
プラズマ気泡噴出部材の基板としては、前記絶縁材料15で挙げた材料を用いることができる。電極200を形成する導電材料としては、上記の導電材料20と同様の材料を用いることができる。不活性ガス205としては、ヘリウム、窒素、ネオン、アルゴン等が挙げられる。液体221は、気泡が形成できるものであれば特に制限は無く、例えば、水、培養液等が挙げられる。なお、液体には、プラズマの発生状況を確認するための試薬等を混合してもよい。

【0052】
図12は、図11に示すプラズマ気泡噴出部材の作製手順を示した図である。(1)厚さ500μmのパリレンガラスにクロムと金の薄膜金属を成膜し、(2)その上にポジティブレジストであるOFPR(東京応化株式会社)をスピンコーティングした。(3)その後、g線(436nm)にてフォトマスクを通して露光を行ない、NMD-3(東京応化株式会社:2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)にて現像した。(4)次いで、クロムと金のエッチャント(日本化学産業株式会社)でウェットエッチングを行い、クロムと金の薄膜金属からなる電極を有する底面基板を作成した。(5)一方、液体流路220を含む基板については、厚さ150μmのシリコン基板の上にOFPR(東京応化株式会社)をスピンコーティングした。(6)その後g線(436nm)にてフォトマスクを通して露光を行ない上記記載のNMD-3にて現像した後に、(7)DRIE(ドライエッチング)法によりSFガスとCガスによりシリコンエッチングを行った。(8)その後、作製した液体流路220を含む基板と上記(1)~(4)の手順で作製した底面基板を陽極接合にてボンディングした後、(9)鍍金プロセスを行ない上記の底面基板のクロムと金の薄膜金属からなる電極の上にニッケル電極を150μm積層した。(10)更に、その基板上に厚さ500μmのパリレンガラスを天井基板として陽極接合した。

【0053】
図13(1)は、図12の手順に従って作製したプラズマ気泡噴出部材の光学顕微鏡写真で、図13(2)は、図13(1)の点線部分を拡大した模式図である。

【0054】
[実施形態4]
プラズマ気泡噴出部材の形状は、一対の電極を用いて不活性ガスに高周波電気パルスを印加し、プラズマを含む不活性ガスを液体に押し出すことができれば形状に制限はない。図14は、プラズマ気泡噴出部材の他の形態の概略を示す模式図である。実施形態4のプラズマ気泡噴出部材は、図12に示すプラズマ気泡噴出部材の微細流路210の内、プラズマが発生する部分を他の部分より大きく形成し、高周波電気パルスを印加することで発生するプラズマを含む不活性ガスを貯蔵するプラズマリザーバー211としている。また、一対の電極は平板状にして、電極201及び図示していない他方の平板状電極を電線202で接続し、上下から前記プラズマリザーバー211を挟むように形成している。電極201の大きさは、プラズマ濃度を高めるために、少なくともプラズマリザーバー211をカバーする大きさが好ましい。電極201に高周波電気パルスを印加することで、微細流路に流入した不活性ガス205にプラズマが発生するが、実施形態4のプラズマ気泡噴出部材は、微細流路にプラズマリザーバー211が形成され、液体流路220に押し出されるプラズマを含む不活性ガスの体積より前記プラズマリザーバー211の体積の方が大きいため、貯蔵されたプラズマを含む不活性ガスに何度も高周波電気パルスを印加することができるので、不活性ガス中のプラズマ濃度をより高めることができる。そして、前記プラズマリザーバー211から押し出されたプラズマを含む不活性ガスは、液体流路220に流れている液体221と交差する際の流体力により切断され、プラズマを含む気泡230を含む液体として微細流路210に流れていく。なお、気泡230は、液体221の流体力のみで形成することができるが、微細流路210にオリフィス212を設けると、気泡がより形成されやすくなる。また、オリフィス212の間隔を制御することで、気泡230の大きさを調整することもできる。

【0055】
図15(a)は上記図14に示すプラズマ気泡噴出部材の作製手順を示した図である。(1)厚さ500μmのシリコン基板213に、厚膜ネガティブフォトレジスト214(SU-8 3050(日本化薬株式会社を厚さ100μm)となるようにスピンコートした。(2)微細流路210、プラズマリザーバー211、及び液体流路220を形成できる形状のフォトマスクを被せ、紫外線を照射して、SU-8をパターニングしてPMシンナー(組成:PGMEA、水溶解度1g/100g水(25℃))を用いて現像を行い、モールドを作製した。(3)次いで、PDMS(Polydimethylsiloxane)に上記モールドを転写し、微細流路210、プラズマリザーバー211、及び液体流路220を有するPDMS流路部215を作製した。(4)ITO基板(ガラス部203:100μm、ITO部204:300nm)を、1枚は底面基板207として30×30mmに、もう1枚は上面基板208として15×15mmに加工し、底面基板207のガラス部203と上記PDMS流路部215をプラズマボンディング(株式会社フェムトサイエンス)で接合し、プラズマリザーバー211の上面においても上面基板208のガラス部203を下部として上面基板208を接合した。ここで、ITO基板のガラス部分203は誘電体となっている。その後、テフロンチューブ209をPDMS流路部215の微細流路210、プラズマリザーバー211、及び液体流路220に挿入し、図示しない不活性ガス導入口222、液体導入口223、液体排出口224を形成した。更に、底面基板と上面基板にあるITO部に銀ペースト等の導電性ペーストを用いて配線を行ない、下部電極配線225及び上部電極配線226を行なった。(5)液体の漏れを防ぎ、プラズマ安定生成のための気密性を有する堅固なプラズマ気泡噴出部材を作製するため、チップ全体をPDMS流路部215の作製に用いたPDMSでパッケージした。図15(b)は、上記手順により作製したプラズマ気泡噴出部材を示す。作製したプラズマ気泡噴出部材の微細流路の幅は200μm、深さは100μm、長さは2cm、楕円形のプラズマリザーバー部分の長軸は7mm、短軸は3mm、液体流路の幅は200μm、深さは100μmであった。

【0056】
図16は、本発明のプラズマ気泡噴出部材を用いた局所アブレーション装置、治癒装置の一例を示す概略構成図である。なお、本発明において、「治癒」とは、プラズマを含む気泡を当てることで、癌等の悪性細胞を死滅させる、細胞を活性化させる、殺菌や滅菌を行う等、生体組織を治療することを意味する。図16に示す装置により、プラズマを含む気泡が、液体中でプラズマ状態を維持していることを確認する実験を行った。プラズマ気泡噴出部材としては、図15(b)に示すものを用いた。ガスボンベ240から、流量計付ニードルバルブ241を用いて流量がQ=0.20ml/hとなるように調整しながらヘリウムガスを送気した。液体には水を用い、シリンジポンプ250で流量がQ=200ml/hとなるように調整しながら送液した。電源には高速高電圧電源260(MPP-HV30((株)栗田製作所)を使用した。出力電圧は±1~4kV、出力電流5A、くり返し周波数30kHz,出力パルス幅1~4μsとした。

【0057】
図17は、プラズマリザーバー211内で、プラズマが安定的に発生している様子を示す光学顕微鏡写真である。印加電圧1.2kVでプラズマの発生が確認できた。更に印加電圧を増加すると、2.8kVでプラズマの明るさは安定、4.0kVで最も明るくなった。

【0058】
一方、プラズマを含む不活性ガスが、交差する液体流路の液体の流体力により切断されて発生する気泡については、最小径40μmから最大径110μmの気泡が安定的に形成されることが確認できた。交差する流体流路に押し出す不活性ガスと液体の流量比Q/Qは、0.001~0.01の範囲が上記粒径の気泡を形成するために好ましい。

【0059】
図18は、流体力によりプラズマを含む気泡が形成された後も、該気泡が液体中でプラズマ状態を維持していることを示すCCDカメラで撮影した写真である。実験は、周波数30kHz、印加電圧3.5kV、パルス幅3μs、ヘリウム導入流量(Q=0.20ml/h)、液体導入流量(Q=200ml/h)で、発生した気泡の発光状況を暗視野条件下でカラーCCDカメラを用いて観察することで行った。写真から明らかなように、プラズマを含むヘリウムガスが貯蔵しているプラズマリザーバー211は明るくなっており、前記プラズマリザーバー211から液体に放出し、流体力により形成された気泡230も明るかったことから、プラズマを含む気泡が、液体中でもプラズマを含んだ状態を維持することが確認できた。したがって、気泡の進行方向に、例えば、細胞等の生体組織を置くことで、気泡で局所アブレーションを行うことができ、また、気泡に含まれるプラズマで生体組織の治癒をすることができる。

【0060】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、
(1)高周波放電パルスより放出された微細気泡60は、キャビテーションの衝撃により細胞膜51や細胞の核45にインジェクション物質を到達させるが、遺伝子等の導入効率が低かった硬い細胞壁を持つ植物細胞などへの導入効率の向上や、外側外郭部21の先端部周囲において外部からの電場制御による放出微細気泡60のパターニング・加工技術への応用が可能である。
(2)局所アブレーション装置は汎用顕微鏡マニピュレータや内視鏡などの汎用医用機器に取り付けることが可能であり、医薬品導入による治療が可能である。一方、界面の要素技術分野においては、指向性気泡列の気液界面の局所界面反応や気泡圧潰時の結晶化技術等への応用が可能である。

【0061】
また、本発明は、以下の切削用具、局所アブレーション方法、局所アブレーション装置、インジェクション方法の態様を採ることもできる。
(1)導電材料で形成された芯材と、絶縁材料を、前記芯材を覆い、かつ前記芯材の先端から所定の長さ延伸し、該延伸した
部分の内部と、前記芯材の先端の間に空隙を有するように形成した外郭部と、前記外郭部の外部に設置され、前記芯材とで一対の電極と構成する電極部と、を備えることを特徴とする切削用具。
(2)上記(1)に記載の切削用具において、前記芯材及び前記外郭部は、ガラスもしくはその他の絶縁材料で形成された中空管の内部に導電ワイヤもしくはその
他の導電材料を通した状態で一部を加熱して、両端から引き切ることにより、前記ガラス又はその他の絶縁材料と前記導電ワイヤもしくは前記導電材料との粘弾性の差により、前記外郭部の内側で、かつ、前記芯材の先端の間の前記空隙を形成することを特徴とする切削用具。
(3)上記(1)又は(2)に記載の切削用具を液相に浸漬させ、前記液相に浸漬させた前記切削用具の前記芯材と前記前記電極との間に高周波電源により高周波電圧を印加し、前記高周波電流を印加することによって、前記切削用具の前記空隙部に貯められる気泡を気泡列として前記芯材の先端から前記電極に向かって指向性を持って放出させることを特徴とする局所アブレーション方法。
(4)上記(3)に記載の局所アブレーション方法であって、前記芯材と前記電極との間に加工対象を設置し、前記芯材から前記電極に向かって放出される気泡列により前記加工対象を加工することを特徴とする局所アブレーション方法。
(5)上記(1)又は(2)に記載の切削用具の電極と前記芯材とを微細流路内壁面に配置し、前記電極と前記芯材との間に不活性ガスを流し、前記電極間に高周波電圧を印加することにより前記微細流路内に電離した気相又はプラズマを発生させ、前記微細流路に隣接する液体の流れる微細流路と交わることで、液体中に電離気相,活性気相もしくはプラズマ状態を内包もしくは一部内包する気液界面を発生させることを特徴とする局所アブレーション方法。
(6)導電材料で形成された芯材と、絶縁材料を、前記芯材を覆い、かつ前記芯材の先端から所定の長さ延伸し、該延伸した
部分の内部と、前記芯材の先端の間に空隙を有するように形成した外郭部と、前記外郭部の中心軸と同心軸を有し、前記外郭部の外側に多層に形成され、インジェクションのための物質を導入するように形成した外側多層外郭部と、前記外郭部の外部もしくは、前記外側多層外郭部内の液相に浸漬している位置に設置され、前記芯材とで一対の電極と構成する電極部と、を備えることを特徴とする局所アブレーション装置。
(7)上記(7)に記載の局所アブレーション装置において、前記外郭部及び前記外側多層外郭部は、絶縁材料で形成された中空管の一部を加熱して、両端から引き切り、前記芯材を有する前記外郭部を中心軸とし、該中心軸と同心軸となるように外側に重ねて前記外側多層外郭部を設置し、前記外側多層外郭部内へインジェクション物質を封入する機構を形成することを特徴とする局所アブレーション装置。
(8)上記(6)又は(7)に記載の局所アブレーション装置の外側多層外郭部内部にインジェクション物質を導入させ、液相に浸漬させた前記インジェクション装置の前記芯材と前記電極部との間に高周波電源により高周波電圧を印加し、前記高周波電源により高周波電流を印加することによって、前記外郭部の空隙に貯められる前記外側多層外郭部より導入されたインジェクション物質を界面に持つ気泡を気泡列として前記芯材の先端から指向性を持って放出させ、前記対象物表面において気泡のキャビテーションを発生させて前記対象物表面を加工し、その加工面より界面に含有する物質のインジェクションを同時に発生させることを特徴とするインジェクション方法。
(9)上記(8)に記載のインジェクション方法において、前記外側多層外郭部より導入されるインジェクション物質は、液相・気相・固相にわたる物質であり、前記インジェクション物質の導入方法は、前記外側多層外郭部後部よりポンプを用いて送る方法又は、前記外側多層外郭部後部先端部のみにインジェクション物質を浸漬させ毛細管現象により吸引する方法であり、前記芯材への電気パルス印加による放電により、外側多層外郭部と軸心の間にある空隙に溜まった気泡が放出されると同時に、流体力により外側外層外郭部と軸心の間にある液相が界面に吸着できる量において引き出されることによりインジェクションすることを特徴とするインジェクション方法。
(10)上記(8)又は(9)に記載の局所アブレーション及びインジェクション方法において、前記インジェクション後に、前記外側多層外郭部後部先端周囲に付着する加工後のタンパク質もしくは不純物を、前記対象物から前記電極部を離し放電を行うことにより不純物を吹き飛ばすことにより断続的にインジェクションを複数個の対象物に行うことを特徴とするインジェクション方法。
(11)上記(8)~(10)のいずれか1に記載のインジェクション方法において、前記外側多層外郭部に振動子を設置し疎密波を発生させることにより、該発生させた疎密波の重なる箇所において前記芯材の放電により発生する気泡列の特定の位置の単一気泡のみを圧壊することを特徴とするインジェクション方法。
【符号の説明】
【0062】
5…微細気泡列、10…先端に空隙を持つ気泡噴出部材の製作方法、15…絶縁材料、16…外郭部、20…芯材(導電材料)、21…外側外郭部、22…空間、23…同心軸位置決めワッシャ、24…孔、25…熱、26…引き切ったガラス管、27…ガイド、30…空隙、35…対向電極、40…生体材料(ウシ卵子)、45…核、50…透明帯、51…細胞膜、52…放出界面、53…加工幅、55…気液界面、60…気泡、61…インジェクション物質を含む溶液、62…圧力不均衡時気泡形状、63…マイクロジェット、64…孔、65…アクティブ電極(芯材20)、70…一般商用交流電源装置、71…対向電極、75…無誘導抵抗、80…電圧増幅回路、85…コンデンサ、85…導電性液体(培養液等)、90…ガラス毛細管、91…蛍光ビーズ、92…吸引ピペット、93…細胞壁、95…除去領域、100…振動子、105…疎密波、110…疎密波の重ね合わせ部、200…対向電極(ニッケル電極)、201…一対の電極(平板状)、202…電線、203…ガラス基板(誘電体)、204…ITO基板(導電体)、205…不活性ガス(窒素もしくはヘリウムガス)、207…底面基板、208…上面基板、209…テフロンチューブ、210…微細流路、211…プラズマリザーバー、212…オリフィス、213…シリコン基板、214…フォトレジスト、215…PDMS流路部、220…液体流路、221…液体、222…不活性ガス導入口、223…液体導入口、224…液体排出口、225…下部電極配線、226…上部電極配線、230…プラズマを含む気泡、240…ガスボンベ、241…流量計付きニードルバルブ、250…シリンジポンプ、260…高速高電圧電源
図面
【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図16】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図15】
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【図17】
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【図18】
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