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明細書 :貝類の着卵材並びにそれを用いた貝類の採苗方法および養殖方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第5370876号 (P5370876)
登録日 平成25年9月27日(2013.9.27)
発行日 平成25年12月18日(2013.12.18)
発明の名称または考案の名称 貝類の着卵材並びにそれを用いた貝類の採苗方法および養殖方法
国際特許分類 A01K  61/00        (2006.01)
FI A01K 61/00 E
請求項の数または発明の数 9
全頁数 9
出願番号 特願2012-168849 (P2012-168849)
出願日 平成24年7月30日(2012.7.30)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 平成24年5月18日 ホテル アミューズにおいて開催された法人会 富岡甘楽地区総会にて発表
特許法第30条第2項適用 平成24年6月22日 JST東京別館ホールにおいて開催された群馬県・群馬県内大学 新技術説明会にて発表
特許法第30条第2項適用 平成24年6月28日 三陸やまだ漁業共同組合会議室において開催された三陸やまだ漁業共同組合の集会にて発表
特許法第30条第2項適用 平成24年7月12日 エテルナ高崎において開催された日本環境測定分析協議会関東支部 環境セミナーにて発表
特許法第30条第2項適用 平成24年7月17日 JST東京別館ホールにおいて開催された国立高等専門学校機構 新技術説明会で発表
特許法第30条第2項適用 平成24年7月30日 群馬県庁記者クラブにおいて記者会見で発表
審査請求日 平成24年7月31日(2012.7.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】508174687
【氏名又は名称】石井商事株式会社
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者または考案者 【氏名】小島 昭
【氏名】藤重 昌生
【氏名】石井 敏明
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
【識別番号】100165951、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 憲悟
審査官 【審査官】松本 隆彦
参考文献・文献 特開2003-189754(JP,A)
特開2011-255249(JP,A)
特公昭55-040209(JP,B2)
特開平10-155386(JP,A)
特開2005-000099(JP,A)
特開2007-037496(JP,A)
特開2008-237035(JP,A)
特許第4556038(JP,B2)
産学官連携ジャーナル,2012年 1月15日,Vol.8 No.1,50-52
調査した分野 A01K61/00-63/06
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
要約 【課題】採苗効率が極めて高く安定し、その上、着卵材の設置時期も産卵時期に左右されない貝類の着卵材を提供する。
【解決手段】金属鉄と、着卵部となる炭素材とを含み、該炭素材と該金属鉄との少なくとも一部が接触している構成とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
貝類の着卵材であって、金属鉄と、着卵部となる炭素材とを含み、該金属鉄の外周に該炭素材を設けることによって、該炭素材と該金属鉄との少なくとも一部が接触していることを特徴とする貝類の着卵材。
【請求項2】
前記炭素材が、炭素繊維強化プラスチック、膨張黒鉛シートおよび炭素繊維布帛、黒鉛材のうちから選んだ1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の貝類の着卵材。
【請求項3】
前記炭素材の表面粗度が算術平均粗さで0.5μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の貝類の着卵材。
【請求項4】
前記金属鉄を含む鉄材が、Fe含有量:5質量%以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の貝類の着卵材。
【請求項5】
前記鉄材が円筒形状であって溶出体の中心とし、その外周に、短冊状、メッシュ状、線状および棒状のうちから選んだ1種以上の形状をなす炭素材を配置することを特徴とする請求項4に記載の貝類の着卵材。
【請求項6】
前記鉄材および前記炭素材がともに棒状であることを特徴とする請求項4または5に記載の貝類の着卵材。
【請求項7】
前記鉄材と炭素材との外側から、自己収縮性を持つ固縛材で包んだことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の貝類の着卵材。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の貝類の着卵材を、汽水域および海中の少なくとも1箇所に吊り下げて貝類の採苗を行うことを特徴とする貝類の採苗方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法により採苗された貝類を、請求項1~7のいずれかに記載の貝類の着卵材の鉄イオン溶出範囲内に設置して養殖を行うことを特徴とする貝類の養殖方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、貝類の採苗場として最適な貝類の着卵材およびそれを用いた貝類の採苗方法および養殖方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水産資源の限られた我が国では、牡蠣などの貝類の養殖が全国的に広く行われている。
例えば、牡蠣だけでも20種類以上の種類が知られおり、全国各地で養殖されていて、生産地によって種々の養殖方法が採られている。そのなかでも一般的には、海に浮遊している自然牡蠣卵を着卵材に付着(採苗)させて牡蠣の稚貝とし、その牡蠣の稚貝をイカダからつり下げ、2~3年かけてさらに成長させるという方法が採られている。なお、その際の採苗方法は、牡蠣が卵を産卵する時期に着卵材としてホタテガイをタイミングよくつり下げておき、そこに卵を着卵させるというものである。
【0003】
また、放出された卵を付着させるホタテガイは、経験と伝統で使用されているものである。その他の着卵材の材料としては、竹や、貝殻、かわら、コンクリート、プラスチックなどがあるが、我が国では、やはりホタテガイの貝殻が一番多く用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、真牡蠣などは、雌雄異体の卵生種であり、8月ころに産卵するのであるが、放卵する時期、時間などは正確に分かるものではなく、経験に頼らざるを得ないという問題がある。また、着卵材の設置場所としては、自然牡蠣卵や、牡蠣の付着期幼生が多数集まる場所が選ばれるが、その水温や流速など、一定の要件を満足しないと効率的な採苗は望めないという問題がある。
【0005】
着卵材の投入時期の決定は、前述したように極めて難しい。
現在の着卵材の投入時期の決定方法としては、まず、牡蠣の産卵日を確認して、日々の水温の変化から付着日を推定する。そして、付着推定日の前後数日間は、プランクトンネットなどを用いて浮遊幼生を採取し、発育状況とその数を測定する。そして、浮遊幼生が多数出現した時を見計らって、着卵材を投入するのである。
【0006】
しかしながら、前記した着卵材に使用するホタテガイは、天然物であることから、形状や大きさを揃えるのが大変であり、採苗率もそれほど高いとはいえない。また、着卵材として海中に設置するためには、清浄な表面でなければならないし、上述したように牡蠣の産卵直前に設置しなければならない。というのは、産卵前から設置しておくと、別の生物が付着し、牡蠣卵が付着できなくなるからである。
【0007】
さらに、牡蠣の産卵および浮遊幼生の発生は、天候、水温、月の満ち引きなどの諸条件が複雑に絡み合って、正確に予測することはできないのが現状である。従って、従来方法によるホタテガイの設置(投入)時期は、経験と勘に頼る点が極めて大きいのである。
【0008】
加えて、採苗が不調に終わると、漁業関係者の損害は、十数億円にもなると言われている。すなわち、牡蠣の着卵が、簡便で効率よく実施できれば、漁業者にとっては福音そのものと言っても良い。さらには、産卵時期にかかわらず、前もって設置した着卵材であっても採苗することができれば、牡蠣養殖に係る手間が大幅に削減できるので、生産が極めて安定し、円滑になる。
【0009】
本発明は、上記した現状に鑑み開発されたもので、採苗効率が極めて高く安定し、その上、着卵材の設置時期も産卵時期に左右されない貝類の着卵材を、それを用いた貝類の採苗方法や養殖方法と共に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、これらの問題を解決するべく鋭意研究を重ね、極めて高い採苗効果と採苗時期の裕度を持った貝類の着卵材を、それを用いた貝類の採苗方法や養殖方法と共に見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものである。
【0011】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.貝類の着卵材であって、金属鉄と、着卵部となる炭素材とを含み、該金属鉄の外周に該炭素材を設けることによって、該炭素材と該金属鉄との少なくとも一部が接触していることを特徴とする貝類の着卵材。
【0012】
2.前記炭素材が、炭素繊維強化プラスチック、膨張黒鉛シートおよび炭素繊維布帛、黒鉛材のうちから選んだ1種以上であることを特徴とする前記1に記載の貝類の着卵材。
【0013】
3.前記炭素材の表面粗度が算術平均粗さで0.5μm以上であることを特徴とする前記1または2に記載の貝類の着卵材。
【0014】
4.前記金属鉄を含む鉄材が、Fe含有量:5質量%以上であることを特徴とする前記1~3のいずれかに記載の貝類の着卵材。
【0015】
5.前記鉄材が円筒形状であって溶出体の中心とし、その外周に、短冊状、メッシュ状、線状および棒状のうちから選んだ1種以上の形状をなす炭素材を配置することを特徴とする前記4に記載の貝類の着卵材。
【0016】
6.前記鉄材および前記炭素材がともに棒状であることを特徴とする前記4または5に記載の貝類の着卵材。
【0017】
7.前記鉄材と炭素材との外側から、自己収縮性を持つ固縛材で包んだことを特徴とする前記1~6のいずれかに記載の貝類の着卵材。
【0018】
8.前記1~7のいずれかに記載の貝類の着卵材を、海中に吊り下げて貝類の採苗を行うことを特徴とする貝類の採苗方法。
【0019】
9.前記8に記載の方法により採苗された貝類を、前記1~7のいずれかに記載の貝類の着卵材の鉄イオン溶出範囲内に設置して養殖を行うことを特徴とする貝類の養殖方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、採苗効率が極めて高いために、従来自然採苗ができなかった地域であっても、着卵材の設置場所とすることができると共に、着卵材の設置時期も産卵時期に左右されないため、その投入管理等が極めて簡便になる。
また、本発明によれば、極めて安定して円滑な貝類の養殖を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の着卵材の概念図である。
【図2】着卵材をつり下げたイカダの様子を示した図である。
【図3】牡蠣が付着している着卵材の全体を示した図である。
【図4】着卵材に付着した牡蠣を拡大して示した図である。
【図5】着卵材に付着成長した牡蠣(生育期間1年)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の貝類の着卵材は、図1に示すように、金属鉄と、着卵部となる炭素材とをその主な構成材とし、この炭素材と金属鉄との少なくとも一部が接触していることが最大の特徴である。

【0023】
本発明に用いられる炭素材は、電気伝導性を有するC元素含有物質であれば特に制限はない。例えば、炭素繊維、木炭、竹炭、黒鉛、カーボンブラック、電極用炭素材、或いはこれらの複合物などを用いることもできる。なお、上記電気伝導性は、特に限定はないが、体積抵抗率で103Ω・cm以下程度であることが好ましい。

【0024】
また、炭素材の形状としては、フィラメント状、板状、塊状、フィルム状、棒状、筒状、メッシュ状、角錐状、円錐状または織物状にすることができる。また、素材としては、炭素繊維強化プラスチック、膨張黒鉛シート、炭素繊維布帛および黒鉛材のうちから選んだ1種以上であることが好ましい。なお、本発明においては、炭素繊維から作られた成形物であれば、使用可能であり、炭素繊維織物、炭素繊維編み物、不織布などでもよい。

【0025】
特に上記した炭素材のうち、表面粗度が算術平均粗さ(Ra:JIS B0651/,01)で0.5μm以上であることが好ましい。採苗の効率が上がるからである。また、粗さの調整は、研磨や研削等で行えるが、炭素材の表面を、凹凸面、または細孔を有する面としても良い。
なお、表面粗度は、より好ましくは、1μm以上である。また、設置場所によっては、海流等を考慮して、部分的に粗さを変えることもできる。

【0026】
一方、本発明に用いられる金属鉄は、純鉄でも良いが、鉄材に含まれる形としても良い、すなわち、鉄釘、鉄製金網、鉄鋼スラグ、軟鉄、鋼鉄、銑鉄および鋳鉄など、炭素含有量が10mass%以下の鉄材(鋼材含む)であれば、いずれも本発明に問題なく使用可能である。また、炭素含有量が10mass%以下の金属鉄を50mass%以上含む鉄基合金であってもよい。

【0027】
さらに、本発明に用いられる金属鉄を含む鉄材は、Fe含有量が5質量%以上であることがより好ましい。

【0028】
そして、本発明では、前記炭素材と金属鉄とが少なくとも一部で接触していることで、本発明に従う着卵材を構成するのであるが、ここで、金属鉄を含む鉄材が板状であって着卵材の中心とし、その外周に、メッシュ状の形状をなす炭素材を配置するという構成とすることが、海中に設置する形態としては好ましい。

【0029】
また、本発明では、金属鉄を含む鉄材が円筒形状であって溶出体の中心とし、その外周に、短冊状、メッシュ状、線状および棒状のうちから選んだ1種以上の形状をなす炭素材を配置するという構成として、海中に設置する形態とすることもできる。

【0030】
さらに、鉄材が剣山型であったり、鉄材と炭素材がともに棒状であったりしてもよく、鉄材と炭素材との外側から、自己収縮性を持つ固縛材で包んだりすることもできる。

【0031】
本発明に従う着卵材の形状としては、板状、角錐状、円錐状、板状、棒状およびゆりかご状などの内から選ぶことが好ましいが、これらは単に例示であり、着卵材の設置場所の潮の流れなどの条件に合せて種々設定することができる。

【0032】
本発明では、図1に示したような構成(炭素材と金属鉄とが少なくとも一部で接触)とすることで、採苗効率が極めて高くなる。そのために、従来、自然採苗ができなかった地域でも、着卵材の設置場所とすることができると共に、着卵材の設置時期も産卵時期に左右されないため、その投入管理が極めて簡便になる。
ここで、これらの理由は、完全に明らかとはなっていない、しかしながら、発明者らは、以下のように考えている。

【0033】
すなわち、本発明に従う着卵材は、鉄イオンを持続的に放出することが出来るため、牡蠣の生育環境が整備される。加えて、牡蠣の餌となるプランクトンの生産が活発化されることから、牡蠣卵の放出量も多くなるのである。また、卵の成長にとっても鉄分は必須であり、それによって卵の生育も良好となる。
すなわち、鉄分の存在によってプラスのスパイラルが形成され、大量で、良質な卵が生産されるだけでなく、炭素材料の生物親和性の働きによって、卵と炭素材との濡れ性が良好となるため、貝類の卵(例えば牡蠣)は、例え他の付着物があったとしても、さらに付着(採苗)することができる環境が構築される。また、バイオフィルムが形成されることから、付着した卵の剥落は防止されるのである。

【0034】
本発明では、本発明に従う貝類の着卵材を、図1に示したように、海中に、生簀棚等を利用して吊り下げることで貝類の採苗から養殖までを一貫して同じ地域で行うことができる。なお、採苗場所と養殖場所を同じにする必要はなく、適宜移動させても良い。
また、かかる養殖方法は、以下の利点を有している。
(1) 現状の着卵材であるホタテガイよりも、着卵機能を高かめることができるだけでなく、形状の自由度もあり、繰返して用いることができる。
(2) 現状使用している着卵材(ホタテガイ等)は、牡蠣の放卵直前に設置しなければ着卵しないが、本発明の着卵材は、牡蠣の放卵の数か月前に設置したものであっても十分に着卵する。
(3) 牡蠣の成長用の栄養(鉄分)補給能力がある。
(4) 牡蠣の餌となる植物プランクトンを成長させることができる。
(5) 特別に、エネルギーを使用しないで上記効果を得ることができる。
(6) 今まで牡蠣などの貝類が採苗されたことがない地域でも、放卵、着卵、成育ができる。

【0035】
特に、上記(6)の効果は、後述する実施例にも記載されるように、本発明の着卵材の採苗率が極めて高いので、今まで、牡蠣などが着卵したことのない地域でも、牡蠣が採苗される結果を示している。従って、新たな貝類の養殖場が次々と生まれる可能性がある。これは、日本の養殖業にとって画期的なことである。

【0036】
また、本発明の着卵材の設置は、その設置水深や、海流、着卵材間の最適設置密度などを適宜設定することができる。

【0037】
本発明に従う着卵材の使用に際しては、海中への吊り下げ方法や、養殖手順、海中からの貝の吊り上げ方法等、上記説明以外の条件は、それぞれの常法に依ることができる。

【0038】
また、本発明に従う着卵材によって、一旦、採苗された牡蠣などの幼生は、着卵材から取外して、または、着卵部である炭素材ごと取外して、着卵材の側(着卵材からの鉄イオン溶出範囲を意味する)に設置しておくこともできる。そうすることで、着卵材(炭素材のみを新規に取り付ける場合を含む)では、新たな採苗が行われ、鉄イオンの溶出範囲では、鉄分補給と共に、プランクトンが効果的に発生するため養殖効率が上がるからである。

【0039】
勿論、他の場所で採苗した貝類であっても、上記鉄イオンの溶出範囲で養殖すれば、高い養殖効率で養殖を行うことができる。
【実施例】
【0040】
発明者らは、水質が富栄養の汽水湖で、本発明に従う着卵材を、牡蠣養殖用イカダにつり下げた(図2)。5ヶ月後、着卵材には牡蠣が一部付着していることが確認できた。その後も観察を続け、設置してから1年後、設置した全ての着卵材(80枚)に、牡蠣が成長していた(図3)。
ここで、本発明に従う着卵材に成長した牡蠣は、これまでの養殖方法(他所から稚貝を購入して養殖する方法)で成長させたものよりも、2~3倍程度大きいと評価された(図4)。
【実施例】
【0041】
また、牡蠣の付着数は、使用した大きさ(50cm×50cm)ならば、通常、50個程度がせいぜいであるところ、本発明の着卵材に成長した牡蠣は、大小あわせると約200個の付着、すなわち4倍程度の付着密度向上が認められた。さらに、上記牡蠣の中には、長さ:約7cm、質量:25gにも達するものもあった。代表的な大きな牡蠣の様子を図5に示す。
【実施例】
【0042】
ここで、本実施例を行った上記汽水湖は、これまで、牡蠣卵が自然に付着して成長する現象は見られなかった。すなわち、今までは、他所から稚貝を購入し、それを成長させていたのである。従って、上記実施例の結果によれば、今まで考えることも出来なかった、卵からの一連の牡蠣養殖が可能となって、牡蠣の新たな生産地が誕生する可能性が確認できた。
【実施例】
【0043】
上記実施例では、牡蠣を例にとって述べたが、他の貝であっても、採苗して養殖する貝類であれば、本発明に従う貝類の着卵材を用いることで、上記の実施例と同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0044】
また、上述していないその他の実施形態、例えば、鉄材を剣山形状としても、炭素材の形状を短冊状、線状および棒状としても、また着卵材の形状を板状や、棒状、ゆりかご状にしたとしても、鉄材中の金属鉄と炭素材の一部が接していることで上記の実施例同様の優れた効果を発言することを確認している。さらに、稚貝のその後の成長には、着卵材の鉄イオン溶出範囲にあることが重要で、他の養殖方法よりも成長速度が早く、この現象は、他所で採苗されたであっても同様の効果が得られる。
【実施例】
【0045】
なお、本発明は、上述したとおり、炭素材と金属鉄との少なくとも一部が接触していることが重要であり、その形状や接触態様は、着卵材の実際の設置条件により、適宜変更できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に従う貝類の着卵材を利用することにより、安定的に貝類の採苗を促すことができるので、今まで以上に、簡便かつ容易で、安定して貝類の養殖ができる。また、養殖場の適用地の拡大に、大きく貢献することができ、養殖産業の発展に大きく貢献できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4