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明細書 :無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6031724号 (P6031724)
公開番号 特開2014-024767 (P2014-024767A)
登録日 平成28年11月4日(2016.11.4)
発行日 平成28年11月24日(2016.11.24)
公開日 平成26年2月6日(2014.2.6)
発明の名称または考案の名称 無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法
国際特許分類 G01N  21/88        (2006.01)
C07C  49/92        (2006.01)
C07F   5/00        (2006.01)
C07F   7/12        (2006.01)
C07F   7/04        (2006.01)
C07C 247/04        (2006.01)
C07C 323/12        (2006.01)
C07D 295/027       (2006.01)
FI G01N 21/88 K
C07C 49/92
C07F 5/00 D
C07F 7/12 D
C07F 7/04 M
C07C 247/04
C07C 323/12
C07D 295/027
請求項の数または発明の数 3
全頁数 22
出願番号 特願2012-164424 (P2012-164424)
出願日 平成24年7月25日(2012.7.25)
審査請求日 平成27年7月23日(2015.7.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
【識別番号】591258691
【氏名又は名称】板井築炉株式会社
発明者または考案者 【氏名】森口 哲次
【氏名】板井 一正
個別代理人の代理人 【識別番号】100132230、【弁理士】、【氏名又は名称】佐々木 一也
【識別番号】100082739、【弁理士】、【氏名又は名称】成瀬 勝夫
【識別番号】100087343、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 智廣
【識別番号】100088203、【弁理士】、【氏名又は名称】佐野 英一
【識別番号】100100192、【弁理士】、【氏名又は名称】原 克己
【識別番号】100198269、【弁理士】、【氏名又は名称】久本 秀治
【識別番号】100112771、【弁理士】、【氏名又は名称】内田 勝
審査官 【審査官】斉藤 貴子
参考文献・文献 特開昭64-006085(JP,A)
特開昭64-026583(JP,A)
特開平05-255661(JP,A)
中国特許出願公開第1062917(CN,A)
特許第3975278(JP,B2)
調査した分野 CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(2)で示されるユーロピウムジケトンキレート化合物を含む溶液を無機材又は金属材に塗布するか、又は前記ユーロピウムジケトンキレート化合物を含む溶液に無機材又は金属材を浸漬する第一の工程と、無機材又は金属材の表面を有機溶剤で洗浄する第二の工程と、無機材又は金属材の表面に紫外線を照射して表面欠陥箇所を発光させる第三の工程を有することを特徴とする無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法
【化1】
JP0006031724B2_000010t.gif
式(2)
(式中、Xはヘテロ環カチオン性モノマー、ヘテロ環カチオン性ポリマー又はヘテロ環カチオン性オリゴマーであり、Rは末端にトリアルキルシリル基、ハロゲン基、トリアルコキシシリル基、チオール基又はアジド基を有する芳香族化合物基であり、Zは水素原子又は脂肪族若しくは脂環式化合物の置換基である)
【請求項2】
前記無機材がシリコンウエハであることを特徴とする請求項記載の無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法。
【請求項3】
前記表面欠陥箇所が白透け箇所であることを特徴とする請求項記載の無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーロピウムジケトンキレート化合物及びこれを用いた無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な発光物質が、有機EL、エネルギー変換素子あるいは表示素子等に用いられている。これらの発光物質は、有価証券偽造防止手段、接着表面検査手段、微量物質検知手段、材料の表面傷検査手段等にも用いられている。
【0003】
発光物質を用いた表面傷検査手段である蛍光浸透探傷検査において、緑色や青色の蛍光材料を用いると、人間の目の感受性が高い点において好ましいが、自然界や無機材料に多く存在する、緑色や青色の夾雑蛍光成分によって適切な検査が行えないことが起こりえる。この不具合を避けるためには、赤色蛍光材料を用いることが好ましい。
【0004】
赤色蛍光材料としてユーロピウムジケトンキレート化合物が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、従来のユーロピウムジケトンキレート化合物は、結晶性が高いものがほとんどである。これら結晶性が高い化合物は、塗布、製膜、ポリマー基材への分散等の加工性が悪く、発光性能的にも均一性や劣化等の問題がある。又、これら結晶性が高い化合物は、粒子となり良好なポリマー分散性が得られないので、濃度消光を起こしやすい問題がある。
【0005】
この課題に鑑み、本発明者等のうちの一部は、先に、紫外線照射で安定に赤色発光を示し、又、高い分散性を有するユーロピウムジケトンキレート化合物及びそれを用いた蛍光材料を開示している(特許文献3)。このユーロピウムジケトンキレート化合物は、下記式(1)で示される。
【0006】
【化1】
JP0006031724B2_000002t.gif
式(1)
(式中、Xはヘテロ環カチオン性モノマー、カチオン性オリゴマーであり、Rは芳香族化合物基又は二重結合を複数含む複素環化合物基であり、Zは水素原子又は脂肪族若しくは脂環式化合物の置換基である)
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開平8-239609号公報
【特許文献2】特開2004-115559号公報
【特許文献3】特許第3975278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記特許文献3記載のユーロピウムジケトンキレート化合物をさらに改良するものであり、高い蛍光強度を有し、かつ濃度消光の問題がほぼないとともに、無機物表面や金属表面との親和性に優れる新規のユーロピウムジケトンキレート化合物及びこれを用いた無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るユーロピウムジケトンキレート化合物は、
下記式(2)で示される。
【0010】
【化2】
JP0006031724B2_000003t.gif
式(2)
(式中、Xはヘテロ環カチオン性モノマー、ヘテロ環カチオン性ポリマー又はヘテロ環カチオン性オリゴマーであり、Rは末端にトリアルキルシリル基、ハロゲン基、トリアルコキシシリル基、チオール基又はアジド基を有する芳香族化合物基であり、Zは水素原子、脂肪族若しくは脂環式化合物の置換基である)
【0011】
又、本発明に係る無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法は、上記のユーロピウムジケトンキレート化合物を含む溶液を無機材又は金属材に塗布し、又は上記のユーロピウムジケトンキレート化合物を含む溶液に無機材又は金属材を浸漬する第一の工程と、無機材又は金属材の表面を有機溶剤で洗浄する第二の工程と、無機材又は金属材の表面に紫外線を照射して表面欠陥箇所を発光させる第三の工程を有することを特徴とする。
【0012】
又、本発明に係る無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法は、好ましくは、前記無機材がシリコンウエハであることを特徴とする。
【0013】
又、本発明に係る無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法は、好ましくは、前記表面欠陥箇所が白透け箇所であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記式(2)で示される本発明に係るユーロピウムジケトンキレート化合物は、高い蛍光強度を有し、かつ濃度消光の問題がほぼないとともに、無機物表面や金属表面との親和性に優れる。
また、本発明に係る無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法は、蛍光材として本発明に係るユーロピウムジケトンキレート化合物を用いるので、無機材又は金属材の表面欠陥箇所を好適に発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1はスキーム1を示す図である。
【図2】図2はスキーム2を示す図である。
【図3】図3はスキーム3を示す図である。
【図4】図4はスキーム4を示す図である。
【図5】図5はスキーム5を示す図である。
【図6】図6はスキーム6を示す図である。
【図7】図7はスキーム7を示す図である。
【図8】図8はスキーム8を示す図である。
【図9】図9はスキーム9を示す図である。
【図10】図10はスキーム10を示す図である。
【図11】図11はスキーム11を示す図である。
【図12】図12はスキーム12を示す図である。
【図13】図13はスキーム13を示す図である。
【図14】図14はスキーム14を示す図である。
【図15】図15はスキーム15を示す図である。
【図16】図16はスキーム16を示す図である。
【図17】図17はスキーム17を示す図である。
【図18】図18はスキーム18を示す図である。
【図19】図19はスキーム19を示す図である。
【図20】図20はスキーム20を示す図である。
【図21】図21はスキーム21を示す図である。
【図22】図22はスキーム22を示す図である。
【図23】図23はスキーム23を示す図である。
【図24】図24はスキーム24を示す図である。
【図25】図25はスキーム25を示す図である。
【図26】図26はスキーム26を示す図である。
【図27】図27はスキーム27を示す図である。
【図28】図28はスキーム28を示す図である。
【図29】図29はスキーム29を示す図である。
【図30】図30はスキーム30を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。

【0017】
本実施の形態例に係るユーロピウムジケトンキレート化合物は、下記式(2)で示される。

【0018】
【化3】
JP0006031724B2_000004t.gif
式(2)
(式中、Xはヘテロ環カチオン性モノマー、ヘテロ環カチオン性ポリマー又はヘテロ環カチオン性オリゴマーであり、Rは末端にトリアルキルシリル基、ハロゲン基、トリアルコキシシリル基、チオール基又はアジド基を有する芳香族化合物基であり、Zは水素原子、脂肪族又は脂環式化合物の置換基である)

【0019】
はヘテロ環カチオン性モノマー、ヘテロ環カチオン性ポリマー、又はヘテロ環カチオン性オリゴマーである。
はヘテロ環カチオン性モノマーとして、ピペリジニウム、ビニルピリジニウム等を挙げることができる。又、Xはヘテロ環カチオン性ポリマーとして、ポリピペリジニウム、ポリビニルピリジニウム、ポリピリミジニウム等を挙げることができる。又、Xはヘテロ環カチオン性オリゴマーとして、ビピリジニウム、ターピリジニウム、フェニルビピリジニウム等を挙げることができる。

【0020】
Zは水素原子、脂肪族又は脂環式化合物の置換基である。
Zは脂肪族の置換基として、メチル、エチル等を挙げることができる。又、Zは脂環式化合物の置換基として、シクロへキシル等を挙げることができる。

【0021】
は末端にトリアルキルシリル基、ハロゲン基、トリアルコキシシリル基、チオール基又はアジド基を有する、芳香族化合物基である。Rは特許文献3の式(1)で示されるユーロピウムジケトンキレート化合物における芳香族化合物基又は二重結合を複数含む複素環化合物基に代えて上記の構成とするものである。
は末端にトリアルキルシリル基を有する芳香族化合物基として、トリメチルシリルメトキシフェニル等を挙げることができる。又、Rは末端にハロゲン基を有する芳香族化合物基として、クロロヘキシルオキシフェニル、クロロブトキシフェニル、ブロモブトキシフェニル、ブロモへキシルオキシフェニル等を挙げることができる。又、Rは末端にトリアルコキシシリル基を有する芳香族化合物基として、トリメトキシシリルメチルオキシフェニル等を挙げることができる。又、Rは末端にチオール基を有する芳香族化合物基として、チオールヘキシルオキシフェニル、メルカプトへキシルオキシフェニル等を挙げることができる。又、Rは末端にアジド基を有する芳香族化合物基として、アジドヘキシルオキシフェニル、アジドブチルオキシフェニル等を挙げることができる。

【0022】
本実施の形態例に係るユーロピウムジケトンキレート化合物は、高い蛍光強度を有し、かつ濃度消光の問題がほぼないとともに、無機物表面や金属表面との親和性に優れる。
ちなみに、Rとして、末端にトリアルキルシリル基、ハロゲン基、トリアルコキシシリル基、チオール基又はアジド基を有する、芳香族化合物に代えて芳香族化合物基又は二重結合を複数含む複素環化合物基を有する特許文献3の式(1)で示されるユーロピウムジケトンキレート化合物は、無機物表面や金属表面との親和性がほとんどない。これらのことから、Rとして有機化合物の末端に無機置換基を設けることにより、ユーロピウムジケトンキレート化合物と無機物表面や金属表面との親和性が向上したことが分かる。

【0023】
次に、本実施の形態例に係る無機材又は金属材の蛍光浸透探傷方法は、本実施の形態例に係るユーロピウムジケトンキレート化合物を含む溶液を無機材又は金属材に塗布し、又は本実施の形態例に係るユーロピウムジケトンキレート化合物を含む溶液に無機材又は金属材を浸漬する第一の工程と、無機材又は金属材の表面を有機溶剤で洗浄する第二の工程と、無機材又は金属材の表面に紫外線を照射して表面欠陥箇所を発光させる第三の工程を有する。

【0024】
ユーロピウムジケトンキレート化合物を含む溶液を調製する際の溶媒は、特に限定するものではないが、アセトンかアルコール系の有機溶媒が好ましい。ユーロピウムジケトンキレート化合物の10-3~10-4mol/L溶液を調製する。

【0025】
ユーロピウムジケトンキレート化合物を含む溶液を塗布し、又はこれに浸漬した無機材又は金属材は、その後、表面を例えば有機溶剤で洗浄する。
有機溶剤は、特に限定するものではないが、アセトン、ジクロロメタン、ハロメタン、トルエン等が好ましい。アルコールは作業安全・衛生の面で好ましいが、作業能率が低下するおそれがある。

【0026】
有機溶剤で洗浄することで表面に残存するユーロピウムジケトンキレート化合物を含む溶液を除去した後の無機材又は金属材は、さらに表面に紫外線を照射して表面欠陥箇所を発光させる。
紫外線照射は、例えばSTRONG LIGHT(嵯峨電気工業社製 型番SL-4RH)等の市販の紫外線探傷灯を用いて行うことができる。
これにより、無機材又は金属材の表面傷等の表面欠陥箇所を好適に発見することができる。

【0027】
探傷対象である無機材又は金属材は、特に限定するものではないが、無機材がシリコンウエハであると、好適に探傷することができる。このとき、シリコンウエハの表面傷箇所のみでなく、白透け箇所も好適に探傷することができる。
ここで、白透けとは、材料表面の層が部分的に剥離した欠け傷をいう。
【実施例】
【0028】
<ユーロピウムジケトンキレート化合物の調製実施例>
式(2)のユーロピウムジケトンキレート化合物において、Rが末端にトリアルキルシリルメトキシフェニル基、ハロゲンアルコキシフェニル基、トリアルコキシシリルアルコキシフェニル基、アジドアルコキシフェニル基又はチオールアルコキシフェニル基を有するものについて、それぞれ以下の合成方法で調製した。また、比較例として、Rに相当するものとしてデシルオキシフェニル基又はメトキシフェニル基を有し、他の構造は式(2)と同じユーロピウムジケトンキレート化合物をそれぞれ以下の合成方法で調製した。
測定はブルカー製型番AVABCE400Sの核磁気共鳴装置(NMR)、日本電子製型番JMX-MS102Aの質量分析装置(MS)、ヤナコ社製型番MT-5の元素分析装置(EA)を用いて行った。
【実施例】
【0029】
(トリメチルシリルメトキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の調製:調製実施例1)
三つ口フラスコに炭酸カリウム3.31g(24.0mmol)、クロロメチルトリメチルシラン2.34g (19.1mmol)、ヨウ化カリウム0.100g(0.603mmol)、及び、予めアセトンに溶解したp-ヒドロキシアセトフェノン
1.28g(9.54mmol)を加え、20時間加熱還流した。放冷後、アセトンを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去し赤色の固体としてエーテル体を得た。収量:0.303g 収率:15.2%
1H-NMR(CDCl3):δ=0.160(9H,s,-Si-CH3),2.56(3H,s,-CO-CH3),3.64(2H,s,-CH2-), 6.98(2H,d,J=8.84Hz,Ar-H),7.92(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム1)を図1に示す。
アルゴン気流下、ヘキサンで脱脂した水素化ナトリウム
2.08g(86.6mmol)にテトラヒドロフラン20mlとエタノール0.10mLを加えた後、エーテル体1.12g(5.38mmol)、トリフルオロ酢酸エチル2.05g(14.4mmol)を入れ、2時間撹拌した。水により水素化ナトリウムを失活させ、10%塩酸を用いて酸性にした。その後、ジクロロメタンで抽出、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去してβ-ジケトン体である赤色の固体を得た。収量:1.45g 収率:88.7%
1H-NMR(CDCl3):δ=0.170(9H,s,-Si-CH3),3.67(2H,s,-CH2-),6.51(1H,s,-CH-),
7.04(2H,d,J=8.96Hz,Ar-H),7.93(2H,d,J=8.96Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム2)を図2に示す。
β-ジケトン体0.846g(6.65mmol)をエタノールに溶解させ、この溶液に予めエタノールに溶解させた塩化ユウロピウム0.430g(1.66mmol)と約0.2ml(13.3mmol)のピペリジンを加え一晩撹拌した。その後エタノールを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去して赤色油状物得た。そこでヘキサン-クロロホルムにより再結晶化させることで、収量2.28g、収率91.0%で目的物を得た。
得られたトリメチルシリルメトキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の理論上の分子式、組成式並びに計算上及び実測の元素質量%を以下に示す。
また、併せて質量分析結果を示す。なお、ユウロピウム三価金属イオンを含む化合物は常磁性であり、H-NMR測定による化合物同定はできない。
分子量 : 1507.54 g/mol 組成式 : C61 H76F12 O12 N Eu Si4
元素分析質量パーセント
計算(Calcd)C:48.60 %、H:5.09 %、F:15.12 %、O:12.74 %、N:0.929 %、
Eu:10.08 %、Si:7.45 %、
実測(Found)C:48.40 %、H:5.00 %、N:0.87 %
Mass Spectrum(pos FAB):1104(M-piperidinium ion-1Ligand)
上記の反応スキーム(スキーム3)を図3に示す。
【実施例】
【0030】
(クロロヘキシルオキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の調製:調製実施例2-1)
p-ヒドロキシアセトフェノン 1.37g(10.0mmol)をアセトン 750mlに溶解させ、そこへ炭酸カリウム2.77g(20.0mmol)と1-ブロモ-6-クロロヘキサン 2.00g(10.0mmol)を加え、24時間加熱還流させた。放冷後、アセトンを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去し薄黄色のエーテル体を得た。収量2.14g 収率84.0%
1H-NMR(CDCl3:δ=1.51(4H,m,-CH2-),1.82(4H, m,-CH2-),2.55(3H,s,-CO-CH3), 3.55(2H,t,-CH2-Cl),4.02(2H,t,-CH-O-),6.91(2H,d,J=8.84Hz,Ar-H),7.92(2H,d,J=8.84Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム4)を図4に示す。
アルゴン気流下、60%水素化ナトリウム 1.00g(25.0mmol)をヘキサンで脱脂した。そこへテトラヒドロフランと触媒量のメタノールを加えた後、上記薄黄色のエーテル体8.00mmol、トリフルオロ酢酸エチル1.48g(10.4mmol)を入れ、2時間撹拌した。水により水素化ナトリウムを失活させ、10%塩酸を用いて酸性にした。その後、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去して赤色の液体を得た。
得られた液体をヘキサン-クロロホルムを用いて再沈させ精製し黄色のβ-ジケトン体の固体を得た。収量2.11g 収率75.3%
1H-NMR(CDCl3):δ=1.53(4H,m,-CH2-),1.84(4H,m,-CH2-),3.56(2H,t,-CH2-Cl),
4.06(2H,t,-CH-O-),6.51(1H,s,-CH=C-),6.97(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H),7.93(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム5)を図5に示す。
上記β-ジケトン体4.00mmolをエタノール50mlに溶解し、そこへエタノール10mlに溶解させた塩化ユウロピウム
0.28g(1.11mmol)と約0.31ml(4.28mmol)のピペリジンを加え一晩撹拌した。その後エタノールを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去したところ黄色の油状物を得た。そこで、ヘキサン-ジクロロメタンeにより再沈させ白色固体としてクロロヘキシルオキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物を得た。
収量:2.01g 収率:30.8%
分子量 : 1637.12 g/mol
組成式 : C69 H80 Cl4 F12
O12 N Eu
元素分析質量パーセント
計算(Calcd)C:50.62 % H:4.94 % Cl:8.66 % F:13.93 % O:11.73 % N:0.856 % Eu:9.28 %
実測(Found)C:50.69 % H:4.90 % N:0.88 %
Mass Spectrum(pos FAB):1201(M-piperidinium ion-1Ligand)
上記の反応スキーム(スキーム6)を図6に示す。
【実施例】
【0031】
(クロロブトキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の調製:調製実施例2-2)
p-ヒドロキシアセトフェノン 1.37g(10.0mmol)をアセトン 750mlに溶解させ、そこへ炭酸カリウム2.77g(20.0mmol)と1-ブロモ-6-クロロブタン 1.72g(10.0mmol)を加え、24時間加熱還流させた。放冷後、アセトンを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去し薄黄色のエーテル体を得た。収量2.08g 収率77.9%
1H-NMR(CDCl3):δ=2.01(4H,m,-CH2-),2.55(3H,s,-CO-CH3), 3.62(2H,t,-CH2-Cl),4.01(2H,t,-CH-O),6.98(2H,d,J=8.92Hz,Ar-H),7.94(2H,d,J=8.92Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム7)を図7に示す。
アルゴン気流下、60%水素化ナトリウム 1.00g(25.0mmol)をヘキサンで脱脂した。そこへテトラヒドロフランと触媒量のメタノールを加えた後、上記エーテル体8.00mmol、トリフルオロ酢酸エチル1.48g(10.4mmol)を入れ、2時間撹拌した。水により水素化ナトリウムを失活させ、10%塩酸を用いて酸性にした。その後、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去して赤色の液体を得た。
得られた液体をヘキサン-クロロホルムを用いて再沈させ精製し黄色のβ-ジケトン体の固体を得た。収量2.05g 収率79.4%
1H-NMR(CDCl3):δ=2.01(4H,m,-CH2-),3.64(2H,t,-CH2-Cl),4.01(2H,t,-CH-O),6.51(1H,s,-CH=C-)6.98(2H,d,J=9.00Hz,Ar-H),7.94(2H,d,J=9.00Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム8)を図8に示す。
β-ジケトン体4.00mmolをエタノール50mlに溶解し、そこへエタノール10mlに溶解させた塩化ユウロピウム
0.28g(1.11mmol)と約0.31ml(4.28mmol)のピペリジンを加え一晩撹拌した。その後エタノールを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去したところ黄色の油状物を得た。そこで、ヘキサン-ジクロロメタンにより再沈させ白色固体としてクロロブトキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物を得た。収量:1.49g 収率:24.5%
分子量 : 1524.92 g/mol
組成式 : C61H64
Cl4 F12 O12 N Eu
元素分析質量パーセント
計算(Calcd)C:48.04 % H:4.24 % Cl:9.30 % F:14.95 % O:12.59 % N:0.919 % Eu:9.97 %
実測(Found)C:47.98 % H:4.11% N:0.82 %
Mass Spectrum(pos FAB):1117(M-piperidinium ion-1Ligand)
上記の反応スキーム(スキーム9)を図9に示す。
【実施例】
【0032】
(ブロモヘキシルオキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の調製:調製実施例2-3)
p-ヒドロキシアセトフェノン 1.37g(10.0mmol)をアセトン 750mlに溶解させ、そこへ炭酸カリウム 2.77g(20.0mmol)、1,6-ジブロモヘキサン 2.44g(10.0mmol)と触媒量のヨウ化カリウムを加え、24時間加熱還流させた。放冷後、アセトンを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去し薄黄色の液体を得た。
得られた溶液をヘキサン-ジクロロメタンによって再結晶させ白色の針状結晶を得た。収量:1.99g 収率:63.5%
1H-NMR(CDCl3):δ=1.51 4H, m,-CH2-),1.82(4H,m,-CH2-),2.55(3H,s,-CO-CH3),
3.44(2H,t,-CH2-Br),4.06(2H,t,-CH-O-),6.91(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H),7.92(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム10)を図10に示す。
アルゴン気流下、60%水素化ナトリウム 1.00g(25.0mmol)をヘキサンで脱脂した。そこにテトラヒドロフランと触媒量のメタノールを加えた後、上記針状結晶のエーテル体8.00mmol、トリフルオロ酢酸エチル
1.48g(10.4mmol)を入れ、2時間撹拌した。水により水素化ナトリウムを失活させ、10%塩酸を用いて酸性にした。その後、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去して赤色の液体を得た。
得られた液体をヘキサン-ジクロロメタンによって再結晶させ白色の針状結晶を得た。収量:2.18g 収率:86.9%
1H-NMR(CDCl3):δ=1.53(4H,m,-CH2-),1.84(4H,m,-CH2-)3.44(2H,t,-CH2-Br),4.06(2H,t,-CH-O-),6.51(1H,s,-CH=C-)6.97(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H),7.93(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム11)を図11に示す。
β-ジケトン体4.00mmolをエタノール50mlに溶解し、エタノール10mlに溶解させた塩化ユウロピウム
0.28g(1.11mmol)と約0.31ml(4.28mmol)のピペリジンを加え一晩撹拌した。その後エタノールを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去したところ黄色の油状物を得た。そこで、ヘキサン-ジクロロメタンにより再沈させ白色固体として、ブロモヘキシルオキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物を得た。収量:1.30g 収率:13.0%
分子量 : 1814.93 g/mol
組成式 : C69 H80
Br4 F12 O12 N Eu
元素分析質量パーセント
計算(Calcd)C:45.66 % H:4.45 % Br:17.61 % F:12.56 % O:10.58 % N:0.772 %
Eu:8.37 %
実測(Found)C:45.83 % H:4.69% N:0.70 %
Mass Spectrum(pos FAB):1334,1335(M-piperidinium ion-1Ligand)
上記の反応スキーム(スキーム12)を図12に示す。
【実施例】
【0033】
(ブロモブトキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の調製:調製実施例2-4)
p-ヒドロキシアセトフェノン 1.37g(10.0mmol)をアセトン 750mlに溶解させ、そこへ炭酸カリウム 2.77g(20.0mmol)、1,6-ジブロモブタン 2.16g(10.0mmol)と触媒量のヨウ化カリウムを加え、24時間加熱還流させた。放冷後、アセトンを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去し薄黄色の液体を得た。
得られた溶液をヘキサン-ジクロロメタンによって再結晶させ白色の針状結晶を得た。収量:1.88g 収率:69.4%
1H-NMR(CDCl3):δ=2.01(4H,m,-CH2-),2.55(3H,s,-CO-CH3),3.52(2H,t,-CH2-Br),4.01(2H,t,-CH-O),6.98(2H,d,J=8.92Hz,Ar-H),7.94(2H,d,J=8.92Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム13)を図13に示す。
アルゴン気流下、60%水素化ナトリウム
1.00g(25.0mmol)をヘキサンで脱脂した。そこにテトラヒドロフランと触媒量のメタノールを加えた後、上記針状結晶のエーテル体8.00mmol、トリフルオロ酢酸エチル
1.48g(10.4mmol)を入れ、2時間撹拌した。水により水素化ナトリウムを失活させ、10%塩酸を用いて酸性にした。その後、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去して赤色の液体を得た。
得られた液体をヘキサン-ジクロロメタンによって再結晶させ白色の針状結晶を得た。収量:2.21g 収率:87.0%
1H-NMR(CDCl3):δ=2.01(4H,m,-CH2-),3.64(2H,t,-CH2-Br),4.01(2H,t,-CH-O),6.51(1H,s,-CH=C-),6.98(2H,d,J=9.00Hz,Ar-H),7.94(2H,d,J=9.00Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム14)を図14に示す。
β-ジケトン体4.00mmolをエタノール50mlに溶解し、エタノール10mlに溶解させた塩化ユウロピウム
0.28g(1.11mmol)と約0.31ml(4.28mmol)のピペリジンを加え一晩撹拌した。その後エタノールを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去したところ黄色の油状物を得た。そこで、ヘキサン-ジクロロメタンにより再沈させ白色固体として、ブロモブトキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物を得た。収量:1.59g 収率:15.1%
分子量 : 1702.72 g/mol
組成式 : C61 H64
Br4 F12 O12 N Eu
元素分析質量パーセント
計算(Calcd)C:43.03 % H:3.80 % Br:18.77 % F:13.39 % O:11.28 % N:0.823 % Eu:8.92 %
実測(Found)C:43.36 % H:3.97 % N:0.90 %
Mass Spectrum(pos FAB):1250,1251(M-piperidinium ion-1Ligand)
上記の反応スキーム(スキーム15)を図15に示す。
【実施例】
【0034】
(トリメトキシシリルブトキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の調製:調製実施例3)
p-ヒドロキシアセトフェノン 8.20g (60mmol)をDMSOに溶解させ、そこへ4-クロロ-1-ブタノール3.20g(30mmol)を加えて、触媒量のヨウ化カリウムを加えた。さらに、水に溶解させた水酸化ナトリウム2.40g (60mmol)を加えて100℃で24時間加熱撹拌した。その後、ジクロロメタンによって抽出し、10%水酸化ナトリウム水溶液、水及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムによって乾燥させ、溶媒を減圧下留去し無色の液体を得た。得られた液体をヘキサン-ジクロロメタンにより再沈させ白色固体を得た。収量:2.25g 収率:11.7%
1H-NMR(CDCl3):δ1.45(1H,s,CH2-OH)1.73-1.80(2H,m-CH2-)1.89-1.95(2H,m,-CH2-)2.56(3H,s,CO-CH3)3.74(2H,t,-CH2-OH),4.07(2H,t,-CH-O)6.97(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H),7.93(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム16)を図16に示す。
末端ヒドロキシブチルアセトフェノン0.210g(0.105mmol)をトルエン50mlに溶解し、過剰のトリメトキシシリルクロリド1.56g(1.00mmol)を加え一晩加熱撹拌した。その後水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去したところ黄色の油状物を得た。そこで、ヘキサン-ジクロロメタンにより再沈させ白色固体を得た。収量0.302g、収率87.7%
Mass Spectrum(EI):328(M+
上記の反応スキーム(スキーム17)を図17に示す。
アルゴン気流下、60%水素化ナトリウム 1.00g(25.0mmol)をヘキサンで脱脂した。そこにテトラヒドロフラン50mlと触媒量のメタノールを加えた後、2)で得られた末端トリメトキシシリルブトキシアセトフェノン体2.60g(8.00mmol)、トリフルオロ酢酸エチル 1.48g(10.4mmol)を入れ、2時間撹拌した。水により水素化ナトリウムを失活させ、10%塩酸を用いて酸性にした。その後、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去して赤色の液体を得た。
得られた液体をヘキサン-ジクロロメタンによって再結晶させ白色の針状結晶を得た。収量:2.41g 収率:71.0%
Mass Spectrum(EI):424(M+
上記の反応スキーム(スキーム18)を図18に示す。
上記白色の針状結晶の末端トリメトキシシリルブトキシβジケトン3.40g(8.00mmol)をエタノール100mlに溶解し、エタノール10mlに溶解させた塩化ユウロピウム 0.516g(2.00mmol)と約0.31ml(4.28mmol)のピペリジンを加え一晩撹拌した。その後エタノールを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去したところ黄色の油状物を得た。そこで、ヘキサン-ジクロロメタンにより再沈させ白色固体として、トリメトキシシリルブトキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物を得た。収量:1.84 g 収率:50.8%
分子量 : 1811.76 g/mol
組成式 : C69 H92F12
O24N Eu Si4
元素分析質量パーセント
計算(Calcd)C:45.74 % H:5.13 % F:12.58% O:21.19 % N:0.773 % Eu:8.39 % Si:6.20 %
実測(Found)C:45.70% H:5.31 % N:0.81 %
Mass Spectrum(pos FAB):1332(M-piperidinium ion-1Ligand)
上記の反応スキーム(スキーム19)を図19に示す。
【実施例】
【0035】
(アジドヘキシルオキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の調製:調製実施例4)
末端クロロヘキシルオキシアセトフェノン (2.55g 10.0mmol)をアセトン100mlに溶解させ、そこへ過剰量のアジ化ナトリウム3.90g(60mmol)及び触媒量のヨウ化カリウムを加えて、100℃で24時間加熱撹拌させた。その後、水を加え、ジクロロメタンによって抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去し、淡黄色液体の末端アジドヘキシルオキシアセトフェノンを収量2.48g収率95.0%で得た。
1H-NMR(CDCl3):δ=1.44-1.86(8H,m,-CH2-),2.56(3H,s,-CO-CH3),3.30(2H,t,-CH2-N3),4.03(2H,t,-CH-O)6.93(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H),7.94(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H)
Mass Spectrum(EI):261(M+
上記の反応スキーム(スキーム20)を図20に示す。
アルゴン気流下、60%水素化ナトリウム 1.00g(25.0mmol)をヘキサンで脱脂した。そこにテトラヒドロフランと触媒量のメタノールを加えた後、1)で得られたアジドヘキシルオキシアセトフェノン体2.09g(8.00mmol)、トリフルオロ酢酸エチル
1.48g(10.4mmol)を入れ、2時間撹拌した。水により水素化ナトリウムを失活させ、10%塩酸を用いて酸性にした。その後、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去し、得られた粘調液体をヘキサン-ジクロロメタンによって再結晶させ黄白色の針状結晶を得た。収量:1.13g 収率:39.6%
Mass Spectrum(EI):357(M+),329(M+-N2
上記の反応スキーム(スキーム21)を図21に示す。
上記針状結晶のアジドヘキシルオキシフェニルβ-ジケトン体2.86g(4.00mmol)をエタノール50mlに溶解し、エタノール10mlに溶解させた塩化ユウロピウム 0.258g(1.00mmol)と約0.31ml(4.28mmol)のピペリジンを加え一晩撹拌した。その後エタノールを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去したところ黄色の油状物を得た。そこで、ヘキサン-ジクロロメタンにより再沈させ白色固体として、アジドヘキシルオキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物を得た。収量:0.569g 収率:34.2%
分子量 : 1663.40 g/mol
組成式 : C69 H80
F12 O12 N13 Eu
元素分析質量パーセント
計算(Calcd)C:49.82 % H:4.85% F:13.71 % O:11.54 % N:10.95 % Eu:9.14 %
実測(Found)C:49.96 % H:4.91 % N:10.67 %
Mass Spectrum(pos FAB):1221(M-piperidinium ion-1Ligand), 1193(M-piperidinium ion-1Ligand-1N2
上記の反応スキーム(スキーム22)を図22に示す。
【実施例】
【0036】
(チオールヘキシルオキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の調製:調製実施例5)
遮光条件下、氷-食塩の寒剤によって冷やされた茄子型フラスコに3-(4’-クロロヘキシルオキシフェニル)-1-トリフルオロメチル-1,3-ペンタジオン0.726g (2.86mmol)のTHF約20ml溶液を加え、10分間撹拌した。そこへ、ビス(トリメチルシリル) スルフィド0.550g(3.10mmol)とテトラブチルアンモニウムフルオリド0.810g(3.10mmol)の 75% w/w水溶液を加え、塩化カルシウム管を付け4時間撹拌した。その後、ジクロロメタンによって抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄した。溶媒を減圧下留去し、1H-NMR測定を行ったところ、生成物と原料との積分比から1:1であった。
そこで、分取大型薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3:1)によって原点部分を分取した。その後、溶媒を減圧下留去しヘキサンによって洗浄し、白色個体を得た。収量0.201g 収率20.2%
1H-NMR(CDCl3):δ=1.50(4H,m.-CH2-),1.81(4H,m,-CH2-),3.55(2H,t,-CH2-SH),3.96(2H,t,-CH-O-),6.51(1H,s,-CH=C-),6.80(2H,d,J=8.60,Ar-H),7.85(2H,d,J=8.64,Ar-H)
Mass Spectrum(EI):348(M+
上記の反応スキーム(スキーム23)を図23に示す。
上記白色固体のチオールヘキシルオキシフェニルβ-ジケトン体0.350g(1.02mmol)をエタノール50mlに溶解し、エタノール10mlに溶解させた塩化ユウロピウム 0.260g(1.02mmol)と約0.31ml(4.28mmol)のピペリジンを加え一晩撹拌した。その後エタノールを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去したところ黄色の油状物を得た。そこで、ヘキサン-ジクロロメタンにより再沈させ白色固体として、チオールヘキシルオキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物を得た。収量:0.472g 収率:29.0%
分子量 : 1627.39 g/mol
組成式 : C69 H84
S4 F12 O12 N Eu
元素分析質量パーセント
計算(Calcd)C:50.92 % H:5.20 % S:7.88 % F:14.01 % O:11.80 % N:0.860 % Eu:9.34 %
実測(Found)C:51.10% H:5.09 % N:0.99 %
Mass Spectrum(pos FAB):1194(M-piperidinium ion-1Ligand)
上記の反応スキーム(スキーム24)を図24に示す。
【実施例】
【0037】
(デシルオキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の調製:調製比較例1)
p-ヒドロキシアセトフェノン 1.37g(10.0mmol)をアセトン 750mlに溶解させ、そこへ炭酸カリウム2.77g(20.0mmol)と1-ブロモデカン 2.21g(10.0mmol)を加え、24時間加熱還流させた。放冷後、アセトンを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去し薄黄色のエーテル体を得た。収量2.21g 収率80.1%
1H-NMR(CDCl3):δ=1.20(3H,m,-CH3),2.01(4H,m,-CH2-),2.50(3H,s,-CO-CH3),4.00(2H,t,-CH-O),6.99(2H,d,J=8.92Hz,Ar-H),7.95(2H,d,J=8.92Hz,Ar-H)
Mass Spectrum(EI):276(M+
上記の反応スキーム(スキーム25)を図25に示す。
アルゴン気流下、60%水素化ナトリウム 1.00g(25.0mmol)をヘキサンで脱脂した。そこへテトラヒドロフランと触媒量のメタノールを加えた後、上記エーテル体8.00mmol、トリフルオロ酢酸エチル1.48g(10.4mmol)を入れ、2時間撹拌した。水により水素化ナトリウムを失活させ、10%塩酸を用いて酸性にした。その後、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去して赤色の液体を得た。
得られた液体をヘキサン-クロロホルムを用いて再沈させ精製し黄色のβ-ジケトン体の固体を得た。収量2.69g 収率90.5%
Mass Spectrum(EI):372(M+
1H-NMR(CDCl3):δ=1.20(3H,m,-CH3),2.01(4H,m,-CH2-),4.00(2H,t,-CH-O),
6.50(1H,s,-CH=C-),6.98(2H,d,J=8.92Hz,Ar-H),7.94(2H,d,J=8.92Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム26)を図26に示す。
上記β-ジケトン体1.49g(4.00mmol)をエタノール50mlに溶解し、そこへエタノール10mlに溶解させた塩化ユウロピウム
0.28g(1.11mmol)と約0.31ml(4.28mmol)のピペリジンを加え一晩撹拌した。その後エタノールを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去したところ黄色の油状物を得た。そこで、ヘキサン-ジクロロメタンにより再沈させ白色固体としてデシルオキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物を得た。
収量:1.56g 収率:90.5%
分子量 : 1723.77 g/mol
組成式 : C85 H116
F12 O12 N Eu
元素分析質量パーセント
計算(Calcd)C:59.23 % H:6.78 % F:13.23 % O:11.14 % N:0.810 % Eu:8.82 %
実測(Found)C:59.11 % H:6.99% N:0.79 %
Mass Spectrum(pos FAB):1266(M-piperidinium ion-1Ligand)
上記の反応スキーム(スキーム27)を図27に示す。
【実施例】
【0038】
(メトキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物の調製:調製比較例2)
p-ヒドロキシアセトフェノン 1.37g(10.0mmol)をアセトン 750mlに溶解させ、そこへ炭酸カリウム2.77g(20.0mmol)とヨウ化メチル1.42g(10.0mmol)を加え、24時間加熱還流させた。放冷後、アセトンを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出し、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去し薄黄色のエーテル体を得た。収量1.43g 収率95.0%
1H-NMR(CDCl3):δ=2.52(3H,s,-CO-CH3),3.99(3H,s,-CH3O),6.99(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H),7.93(2H,d,J=8.88Hz,Ar-H)
Mass Spectrum(EI):150(M+
上記の反応スキーム(スキーム28)を図28に示す。
アルゴン気流下、60%水素化ナトリウム 1.00g(25.0mmol)をヘキサンで脱脂した。そこへテトラヒドロフランと触媒量のメタノールを加えた後、上記エーテル体1.20g(8.00mmol)、トリフルオロ酢酸エチル1.48g(10.4mmol)を入れ、2時間撹拌した。水により水素化ナトリウムを失活させ、10%塩酸を用いて酸性にした。その後、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥した。溶媒を減圧下留去して赤色の液体を得た。
得られた液体をヘキサン-クロロホルムを用いて再沈させ精製し黄色のβ-ジケトン体の固体を得た。収量1.73g 収率88.0%
Mass Spectrum(EI):246(M+
1H-NMR(CDCl3):δ=3.99(3H,s,-CH3O),
6.51(1H,s,-CH=C-),7.00(2H,d,J=8.90Hz,Ar-H),7.94(2H,d,J=8.90Hz,Ar-H)
上記の反応スキーム(スキーム29)を図29に示す。
上記β-ジケトン体0.984g(4.00mmol)をエタノール50mlに溶解し、そこへエタノール10mlに溶解させた塩化ユウロピウム
0.28g(1.11mmol)と約0.31ml(4.28mmol)のピペリジンを加え一晩撹拌した。その後エタノールを減圧下留去し、ジクロロメタンで抽出、水及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムによって乾燥させた。溶媒を減圧下留去したところ黄色の油状物を得た。そこで、ヘキサン-ジクロロメタンにより再沈させ白色固体としてメトキシフェニル基を有するユーロピウムジケトンキレート化合物を得た。
収量:1.12g 収率:92.0%
分子量 : 1218.82 g/mol
組成式 : C49 H44
F12 O12 N Eu
元素分析質量パーセント
計算(Calcd)C:48.29 % H:3.64 % F:18.71 % O:15.75 % N:1.15 % Eu:12.47 %
実測(Found)C:48.40 % H:3.69% N:1.01 %
Mass Spectrum(pos FAB):888(M-piperidinium ion-1Ligand)
上記の反応スキーム(スキーム30)を図30に示す。
【実施例】
【0039】
<ユーロピウムジケトンキレート化合物の濃度消光評価>
各調製例のユーロピウムジケトンキレート化合物それぞれについて、濃度変化における発光強度変化を蛍光光度計によって測定する方法により濃度消光の評価を行った。結果を表1に示す。測定について、濃度が大きい際には1mm角セルを使用し、測定蛍光強度飽和の影響を考慮し、605nmでの強度を比較した。溶液濃度10-2mol/Lの場合、いずれも飽和してしまい、測定不能な蛍光強度となった。
【実施例】
【0040】
【表1】
JP0006031724B2_000005t.gif

【実施例】
【0041】
<ユーロピウムジケトンキレート化合物の蛍光強度評価>
調製実施例1~6及び調製比較例1、2のユーロピウムジケトンキレート化合物それぞれ10-4mol/lのジクロロメタン溶液について、蛍光強度測定装置(HITACHI社製 型番F-2500)を用い、波長610nmにおける蛍光強度を測定して蛍光強度評価を行った。結果を表2に示す。
【実施例】
【0042】
【表2】
JP0006031724B2_000006t.gif
【実施例】
【0043】
<無機材表面傷に浸透・吸着するユーロピウムジケトンキレート化合物の蛍光強度測定(その1)>
調製実施例1~6及び調製比較例1、2のユーロピウムジケトンキレート化合物それぞれ10-3mol/lのアセトン‐エタノール1:1溶液に、予め一般的な方法で0.01mm以下程度の複数表面傷を付けた、厚み0.50mmの窒化アルミニウム材を、温度25℃、時間1分の条件でそれぞれ浸漬した後、窒化アルミニウム材を取り出し、ついで、アルコール-アセトン混合溶剤(比率50:50)で洗浄し、窒化アルミニウム材の表面に残留するユーロピウムジケトンキレート化合物溶液を除去した。これらの窒化アルミニウム材を、蛍光強度測定装置(HITACHI社製 型番F-2500)を用い、波長610nmにおける表面蛍光強度を測定した。結果を表3に示す。
【実施例】
【0044】
【表3】
JP0006031724B2_000007t.gif
【実施例】
【0045】
<無機材表面傷に浸透・吸着するユーロピウムジケトンキレート化合物の蛍光強度測定(その2)>
窒化アルミニウム材に代えて厚み0.50mmの窒化ホウ素材を用いた以外はその1と同様の方法により、波長610nmにおける蛍光強度を測定した。結果を表4に示す。
【実施例】
【0046】
【表4】
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【実施例】
【0047】
<無機材表面傷に浸透・吸着するユーロピウムジケトンキレート化合物の蛍光強度測定(その3)>
窒化アルミニウム材に代えて厚み0.50mmの酸化チタン材を用いた以外はその1と同様の方法により、波長610nmにおける蛍光強度を測定した。結果を表5に示す。
【実施例】
【0048】
【表5】
JP0006031724B2_000009t.gif
【実施例】
【0049】
なお、調製実施例1~5と類似の構造をもつ、式(2)のユーロピウムジケトンキレート化合物において、Rが末端トリメトキシシリルメトキシフェニル基、クロロブチルフェニル基、ブロモブチルフェニル基、アジドブチルフェニル基を有するものについて、上記と同様に探傷の性能を評価した結果、調製実施例1~5と同様の性能が得られた。
【実施例】
【0050】
<シリコンウエハ表面欠陥の探傷試験>
予め既定の目視及び顕微鏡探傷により、表面傷及び白透けを確認している10cmφ0.5mm厚のシリコンウエハ(日亜化学社製 型番任意)について、蛍光強度測定(その1)と同様の方法により、調製実施例1~6及び調製比較例1、2のユーロピウムジケトンキレート化合物について、波長610nmにおける蛍光強度を測定した。
結果は、表面傷全てに於いて、目視及び顕微鏡探傷を妨げることはなく、紫外線照射下での蛍光探傷によって傷の有無、その位置の特定も十分な性能であった。
また、白透け全てに於いても、目視及び顕微鏡探傷を妨げることはなく、紫外線照射下での蛍光探傷によって白透けの有無、その位置の特定も十分な性能であった。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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