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明細書 :分光特性測定装置及びその調整方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-142523 (P2016-142523A)
公開日 平成28年8月8日(2016.8.8)
発明の名称または考案の名称 分光特性測定装置及びその調整方法
国際特許分類 G01J   3/45        (2006.01)
FI G01J 3/45
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2015-015735 (P2015-015735)
出願日 平成27年1月29日(2015.1.29)
発明者または考案者 【氏名】石丸 伊知郎
出願人 【識別番号】304028346
【氏名又は名称】国立大学法人 香川大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001069、【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2G020
Fターム 2G020AA03
2G020CA01
2G020CB05
2G020CB42
2G020CC22
2G020CC42
2G020CC63
2G020CD03
2G020CD24
2G020CD35
要約 【課題】鮮明なインターフェログラムを取得可能な分光特性測定装置を提供する。
【解決手段】並んで配置された固定反射面201及び可動反射面301と、被測定物の測定点から発せられた測定光を固定反射面201と可動反射面301に導く対物レンズ10と、固定反射面201及び可動反射面301によって反射された測定光をそれぞれ結像面上に集光させる結像レンズ12と、結像面上に2次元配置された複数の検出画素を有するCCDカメラ13と、可動反射面301を移動させることによりCCDカメラ13で検出される光強度変化に基づき、測定光のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部141とを備えた分光特性測定装置において、
CCDカメラ13の検出結果に基づき固定反射面201に対して可動反射面301が相対的に傾いているか否かを判別する判別部142とを備えることを特徴とする。
【選択図】図5
特許請求の範囲 【請求項1】
a) 並んで配置された固定反射面及び可動反射面と、
b) 被測定物の測定点から発せられた測定光を前記固定反射面と前記可動反射面に導く導入光学系と、
c) 前記固定反射面に導入され該固定反射面によって反射された測定光と、前記可動反射面に導入され該可動反射面によって反射された測定光をそれぞれ結像面上に集光させる結像光学系と、
d) 前記結像面上に2次元配置された複数の検出画素を有する、前記結像面上に集光した光の強度を検出するための光検出部と、
e) 前記可動反射面を移動させることにより前記光検出部で検出される光強度変化に基づき、前記測定光のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部とを備えた分光特性測定装置において、
前記光検出部の検出結果に基づき前記固定反射面に対して前記可動反射面が相対的に傾いているか否かを判別する判別手段と
を備えることを特徴とする分光特性測定装置。
【請求項2】
さらに、
前記可動反射面に平行な第1軸周りの該可動反射面の傾き量を調整するための第1治具と、前記第1軸に垂直で且つ前記固定反射面に平行な第2軸周りの該固定反射面の傾き量を調整するための第2治具とを備えることを特徴とする請求項1に記載の分光特性測定装置。
【請求項3】
前記被測定物の表面に設置される、ピンホールを有する調整部材を備え、
前記導入光学系が、前記ピンホールを通して発せられた測定光を前記固定反射面と前記可動反射面に導くことにより、前記結像面上に形成される輝点像の位置に基づき、前記判別手段は前記固定反射面に対して前記可動反射面が相対的に傾いているか否かを判別することを特徴とする請求項1又は2に記載の分光特性測定装置。
【請求項4】
a) 並んで配置された固定反射面及び可動反射面と、
b) 被測定物の測定点から発せられた測定光を前記固定反射面と前記可動反射面に導く導入光学系と、
c) 前記固定反射面に導入され該固定反射面によって反射された測定光と、前記可動反射面に導入され該可動反射面によって反射された測定光をそれぞれ結像面上に集光させる結像光学系と、
d) 前記結像面上に2次元配置された複数の検出画素を有する、前記結像面上に集光した光の強度を検出するための光検出部と、
e) 前記可動反射面を移動させることにより前記光検出部で検出される光強度変化に基づき、前記測定光のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部とを備えた分光特性測定装置において、
前記光検出部の検出結果に基づき前記固定反射面に対する前記可動反射面の相対的な傾きを調整することを特徴とする分光特性測定装置の調整方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物から発せられる透過光や反射光、蛍光等の測定光の分光特性を測定するための分光特性測定装置及びその調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分光特性の測定技術の一つに結像型2次元フーリエ分光法と呼ばれる手法がある(特許文献1参照)。この手法では、図1に示すように、試料面(物体面)から発せられる無指向の光(測定光)を対物レンズにより平行光束にした上で、固定ミラー部と可動ミラー部から成る位相シフタに照射し、両ミラー部で反射された測定光(反射光)をそれぞれ結像レンズにより結像面上の同一点に集光させる。可動ミラー部を移動させて固定ミラー部で反射された測定光と可動ミラー部で反射された測定光の間に光路長差を付与することにより、結像面上に集光した測定光が干渉し、該測定光の干渉光を形成する。この干渉光の強度を、結像面上に配置されたCCDカメラなどの2次元アレイデバイスの各画素において検出することにより、干渉光強度変化であるインターフェログラムが取得され、このインターフェログラムを数学的にフーリエ変換することにより測定光の分光特性(スペクトル)が取得される。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2008-309706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
正確で再現性の良い分光特性を取得するためには、固定ミラー部で反射された測定光と可動ミラー部で反射された測定光を結像レンズによって結像面上で確実に交差させる必要がある。そのため、固定ミラー部及び可動ミラー部の相対的な位置関係を調整し、両ミラー部の反射面の向きを揃えるようにしている。このような固定ミラー部及び可動ミラー部の調整は通常、装置の製造時に行われている。
【0005】
しかしながら、可動ミラー部の繰り返しの移動に伴い、あるいは振動等の外的要因により、可動ミラー部の反射面と固定ミラー部の反射面の向きにずれが生じる場合がある。このような2つの反射面の向きのずれは、本来、結像レンズによって結像面の同一位置に集光するはずの固定ミラー部による反射光及び可動ミラー部による反射光の間に集光位置のずれを生じさせる。そこで、ピエゾ素子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)技術による静電駆動アクチュエータ等によって高精度に可動ミラー部を移動させることにより、可動ミラー部の移動時に反射面の向きが変化することを極力抑えるようにしているが、固定ミラー部及び可動ミラー部の反射面の向きのずれが視覚的に認識できない程度でも、干渉光が形成されないほど集光位置が大きくずれる場合がある。
【0006】
具体的には、図2に示すように、固定反射面と可動反射面の角度のずれ量をφ[deg.]、結像レンズの焦点距離をf[mm]、結像面上の集光位置のずれ量をd[mm]とするとd、φ、fの関係は次の式(1)で表される。
d=2×f×tanφ (1)
式(1)から分かるように、角度のずれ量φが小さくても、結像レンズの焦点距離fの大きさによっては、集光位置のずれ量dが大きくなる。
このように固定ミラー部の反射光と可動ミラー部の反射光の集光位置が大きくずれると、両反射光が結像面上で干渉せず、インターフェログラムを取得することができない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、固定反射面と可動反射面の傾きの僅かなずれを認識して、正確で再現性の良い分光特性を取得することができる分光特性測定装置及び分光特性測定装置の調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係る分光特性測定装置は、
a) 並んで配置された固定反射面及び可動反射面と、
b) 被測定物の測定点から発せられた測定光を前記固定反射面と前記可動反射面に導く導入光学系と、
c) 前記固定反射面に導入され該固定反射面によって反射された測定光と、前記可動反射面に導入され該可動反射面によって反射された測定光をそれぞれ結像面上に集光させる結像光学系と、
d) 前記結像面上に2次元配置された複数の検出画素を有する、前記結像面上に集光した光の強度を検出するための光検出部と、
e) 前記可動反射面を移動させることにより前記光検出部で検出される光強度変化に基づき、前記測定光のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部とを備えた分光特性測定装置において、
前記光検出部の検出結果に基づき前記固定反射面に対して前記可動反射面が相対的に傾いているか否かを判別する判別手段と
を備えることを特徴とする。
【0009】
上記分光特性測定装置においては、
さらに、前記可動反射面に平行な第1軸周りの該可動反射面の傾き量を調整するための第1治具と、前記第1軸に垂直で且つ前記固定反射面に平行な第2軸周りの該固定反射面の傾き量を調整するための第2治具を備えることが好ましい。
このような構成によれば、判別手段により固定反射面に対して可動反射面が相対的に傾いていると判別されたときに、前記第1治具又は前記第2治具、あるいは第1及び第2治具の両方を用いて可動反射面及び/又は固定反射面の傾きを簡単に調整することができる。
【0010】
また、本発明に係る分光特性測定装置の調整方法は、
a) 並んで配置された固定反射面及び可動反射面と、
b) 被測定物の測定点から発せられた測定光を前記固定反射面と前記可動反射面に導く導入光学系と、
c) 前記固定反射面に導入され該固定反射面によって反射された測定光と、前記可動反射面に導入され該可動反射面によって反射された測定光をそれぞれ結像面上に集光させる結像光学系と、
d) 前記結像面上に2次元配置された複数の検出画素を有する、前記結像面上に集光した光の強度を検出するための光検出部と、
e) 前記可動反射面を移動させることにより前記光検出部で検出される光強度変化に基づき、前記測定光のインターフェログラムを求め、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを取得する処理部とを備えた分光特性測定装置において、
前記光検出部の検出結果に基づき前記固定反射面に対する前記可動反射面の相対的な傾きを調整することを特徴とする。
【0011】
物体面上の理想的な輝点から発せられた光線群は、分割光学系や結像光学系を構成するレンズの円形開口によるフラウンホーファー回折を生じ、エアリーパターンと呼ばれる同心円状の明暗パターンである干渉縞を結像面上に形成する。エアリーパターン(明暗パターン)は、その中心が「エアリーディスク」とよばれる明るい領域であり、その周りを複数の同心円環がとりまく。一般的に、エアリーディスクは、レンズの円形開口による多光線干渉現象として理解される。
【0012】
従って、固定反射面によって反射された測定光と可動反射面によって反射された測定光についても、フラウンホーファー回折によって結像面上にエアリーパターンを形成する。固定反射面と可動反射面の傾きが同じであるとき、固定反射面によって反射された測定光と可動反射面によって反射された測定光は結像面上の同一点に集光するため、各測定光に対応するエアリーパターンが1つに重なった状態で観察される(図3参照)。
【0013】
一方、固定反射面と可動反射面の間に相対的な角度ずれφが生じた場合、結像面上において固定反射面と可動反射面のそれぞれで反射された測定光は幾何光学的に結像面上で1点に交わることができない。このため、図4に示すように、結像面上には、固定反射面及び可動反射面からの測定光によるエアリーパターンがずれた状態で観察される。
従って、結像面上に観察されるエアリーパターンの状態から固定反射面に対して可動反射面が相対的に傾いていると判別することができる。
【0014】
ところで、レイリーの判断基準による2つの像の分解の限界は、ある焦点像のエアリーディスクの中心と、隣り合う輝点の焦点像のエアリーディスクの第1暗環(エアリーディスクを取り巻く暗い同心環)が重なる条件(エアリーディスク半径r=0.61λ/N.A.。ここで、λ:波長、N.A.:数値開口数 Numerical Aperture=n×sinθ)として定義されている。固定反射面により反射された測定光と可動反射面により反射された測定光がこの条件を満たすときは、これら2つの測定光の位相がπ[rad.]異なることから、互いの干渉縞を打ち消しあってしまい、高い鮮明度の干渉像(インターフェログラム)を得ることができない。言い換えると、固定反射面により反射された測定光と可動反射面により反射された測定光が上記条件を満たさなければ、鮮明度は落ちるものの両測定光の干渉像を得ることができる。
【0015】
本発明に係る分光特性測定装置では、物体光束を2分割していることから、可動反射面、固定反射面それぞれで反射した物体光束の実効的なN.A.は、レンズのN.A.の半分になる。つまり、物体光束の実効的なN.A.は、レンズのN.A.の1/2倍となり、許容値は1.22×λ/N.A.により求めることができる。つまり、固定反射面により反射された測定光と可動反射面により反射された測定光の結像面上の集光位置の間隔がレイリーの判断基準による2つの像の分解の限界である1.22×λ/N.A.よりも狭いことが必要となる。従って、1.22×λ/N.A.、あるいはこれよりも小さい値(例えばλ/N.A.)を、結像面上に測定光の干渉光を形成するための許容値とし、2つのエアリーディスクの中心間の距離が該許容値よりも大きいか否かによって、固定反射面と可動反射面が相対的に傾いているか否かを判別する指標にしても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、固定反射面及び可動反射面によって反射され、結像面上に集光した測定光の強度を検出する光検出部の検出結果に基づき前記固定反射面に対して前記可動反射面が相対的に傾いているか否かを判別することができる。そして、前記固定反射面に対して前記可動反射面が相対的に傾いていると判断された場合には、第1治具及び/又は第2治具を用いて固定反射面と可動反射面の傾きを調節して両反射面の向きを揃えることができるため、正確で再現性の良いインターフェログラムを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】分光特性測定装置によって試料面から出射された測定光が固定反射面及び可動反射面によって反射された後、結像レンズによって結像面上に集光する様子を説明する図。
【図2】固定反射面と可動反射面の間の角度ずれ量、結像レンズの焦点距離、結像面上の集光位置のずれ量の関係を示す図。
【図3】固定反射面と可動反射面の間の角度ずれ量がゼロのときに結像面上に形成されるエアリーディスクの説明図。
【図4】固定反射面と可動反射面の間の角度ずれ量がθのときに結像面上に形成されるエアリーディスクの説明図。
【図5】本発明の一実施形態に係る分光特性測定装置の概略構成図。
【図6】位相シフタの全体構成を示す斜視図。
【図7】第1治具の構成を示す図。
【図8】第1実施例の判別方法を説明するための図であり、被測定物(人物)の撮影画像(a)及び中赤外画像(b)並びに固定反射面と可動反射面の傾きがほぼ同じであるときの測定光のインターフェログラム(c)及びこのインターフェログラムをフーリエ変換して得られるスペクトル(d)の例を示す。
【図9】固定反射面と可動反射面の間の相対的な角度ずれ量を徐々に変化させたときのインターフェログラムの変化を示す図。
【図10】第2実施例の判別方法を説明するための図であり、物体面にピンホールを有する調整部材を設置した状態の分光特性測定装置の概略図(a)、及び結像面上に形成される輝点像(b)。
【図11】第1治具のねじのねじ込み量を変化させたときの輝点像の移動の様子を示す図。
【図12】第2治具のねじのねじ込み量を変化させたときの輝点像の移動の様子を示す図。固定反射面と可動反射面の角度ずれ量と集光位置のずれ量との関係の説明図。
【図13】調整目標値の求め方の説明図。
【図14】調整目標値から輝点像までの位置ずれ量の求め方の説明図。
【図15】第1治具の変形例。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施形態について図5~図7を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る分光特性測定装置の概略的な全体構成を示しており、分光特性測定装置は、対物レンズ10、位相シフタ11、結像レンズ12、該結像レンズ12の結像面上に位置する受光面を有するCCDカメラ13、CCDカメラ13の検出信号の処理や位相シフタ11の駆動を制御する制御装置14を備えている。本実施形態においては対物レンズ10が導入光学系、結像レンズ12が結像光学系、CCDカメラ13が光検出部として機能する。

【0019】
CCDカメラ13は、受光面が受光した光の強度を検出する、2次元配置された複数の検出画素を備えている。制御装置14は、CCDカメラ13の検出信号からインターフェログラムを求め、このインターフェログラムを数学的にフーリエ変換て測定光の波長毎の相対強度である分光特性(スペクトル)を求める処理部141、CCDカメラ13の検出信号から、位相シフタ11を構成する固定ミラー部111及び可動ミラー部112の位置関係を判別する判別部142、処理部141の処理結果や判別部142の判別結果等を出力するディスプレイ、プリンタ等の出力装置143を備える。

【0020】
図6に示すように、位相シフタ11は固定ミラー部20と可動ミラー部30及び可動ミラー部30を駆動する駆動機構40から構成されている。固定ミラー部20は、分光特性測定装置の筐体(図示せず)に固定された支持板50に固定されており、固定反射面201と、該固定反射面201を保持するL字状の保持具202と、保持具202を支持板50に取り付けるための第1治具203とから構成されている。可動ミラー部30は、可動反射面301と、該可動反射面301を保持するL字状の保持具302と、該保持具302を駆動機構40に取り付けるための第2治具303とから構成されている。

【0021】
固定反射面201及び可動反射面301はいずれも対物レンズ10から位相シフタ11に向かう測定光の光軸に対して約45度傾けて設置されている。可動ミラー部30は、駆動機構40により矢印Hで示す方向に移動される。なお、固定ミラー部20と可動ミラー部30を上下のどちらに配置しても良いが、ここでは上側に固定ミラー部20を、下側に可動ミラー部30を配置している。

【0022】
次に、図6及び図7を参照しながら第1治具203の構成を説明する。第1治具203は、3本のねじS1~S3と3組の座金W1~W3から構成されている。3本のねじS1~S3は保持具202及び支持板50にそれぞれ形成された3個のねじ穴に挿通され、3組の座金W1~W3は、保持具202と支持板50の間に位置するねじS1~S3の軸部に介挿されている。3個のねじ穴のうちの1個は、固定反射面201に平行で且つ測定光の光軸に垂直な第1軸(z軸)の一方側に形成され、このねじ穴にねじS1が挿通されている。また、残り2個のねじ穴は第1軸の他方側に形成され、これらねじ穴にねじS2、S3が挿通されている。第1軸から一方側のねじ穴までの距離と他方側のねじ穴までの距離は等しくなっており、このため、ねじS1のねじ穴へのねじ込み量を調整することにより保持具202は第1軸を中心に回動し、これに伴い固定反射面201の傾きが変化する。
尚、第2治具303は、基本的には第1治具203と同じ構成であるが、可動反射面301に平行で且つ第1軸と直交する第2軸周りに保持具302を回転させることにより該可動反射面301の傾きを調整する。

【0023】
例えば、ねじS1のねじ穴へのねじ込み量をM[mm]変化させたときの固定反射面201の傾き(角度)の変化量をθ[rad.]とすると、ねじS2とねじS3を結ぶ線分とねじS1との間隔がPのとき、θは次の式(2)で表される。
Δθ=tan-1(M/P) (2)

【0024】
従って、式(2)から、固定反射面201の傾きを角度θだけ変化させるために必要なねじ込み量Mを求めることができる。また、ねじS1を1回転させたときのねじ込み量はねじ山のピッチによって決まるため、ねじ込みMとねじ山のピッチとから、ねじS1の回転量を求めることができる。

【0025】
次に、上記分光特性測定装置における、固定反射面201に対して可動反射面301が相対的に傾いているか否かの判別方法について説明する。
[実施例1]
図8(b)は、図8(a)に示す被検者に中赤外を照射したときに該被検者から発せられる測定光(中赤外光)を上記分光特性測定装置に導入したとき、CCDカメラ13の複数の検出画素の検出信号を処理することにより得られる中赤外画像を示している。このとき、固定反射面201と可動反射面301の傾きが略同じであれば、全ての検出画素から測定光のインターフェログラムを取得することができ、このインターフェログラムをフーリエ変換することによりスペクトルを求めることができる。例えば図8(c)は図8(b)に示す中赤外画像中の2点に対応する検出画素から取得されるインターフェログラムを、図8(d)はこれらインターフェログラムをフーリエ変換して得られるスペクトルを示す。

【0026】
これに対して、固定反射面201と可動反射面301の一方が傾き、両反射面の角度ずれ量が大きくなると、図9に示すように、インターフェログラムの鮮明度が劣化していく。そこで、本実施例では、判別部142は、処理部141によって得られたインターフェログラムの形状に基づき固定反射面201と可動反射面301が相対的に傾いているか否かを判別し、判別結果を出力装置142に出力する。例えば、固定反射面201及び可動反射面301によって反射された測定光の集光位置の間隔が段落[0015]で説明した許容値であるときのインターフェログラムを実験的に、あるいは計算上、予め求めておき、このインターフェログラムの形状と上記の得られたインターフェログラムの形状を比較することにより固定反射面201と可動反射面301が相対的に傾いているか否かを判別する。

【0027】
出力装置143に出力された判別結果を見たユーザは、第1治具203あるいは第2治具303のねじS1を回転させることにより、固定反射面201と可動反射面301の相対的な傾きを調整することができる。なお、ユーザによる調整作業の際にインターフェログラムを出力装置143に表示するようにすれば、該インターフェログラムの形状の変化を見ながら最適な調整を行うことができる。

【0028】
[第2実施例]
本実施例では、図10に示すように、物体面に空間解像度(=1.22λ/N.A.)程度の直径のピンホールを有する調整部材を設置し、このとき、CCDカメラ13からの検出信号を処理することにより得られる画像(図10(b))から、固定反射面201と可動反射面301が相対的に傾いているか否かを判別する。

【0029】
すなわち、本実施例においては、ピンホールから出射した測定光は、固定反射面201及び可動反射面301によって反射された後、結像レンズによってそれぞれ輝点像P1、P2を形成する。固定反射面201に対して可動反射面301が相対的に傾いている場合は、図10(b)に示すように異なる位置に輝点像P1、P2が形成され、傾いていなければ、輝点像P1と輝点像P2は重なった状態となる。従って、輝点像P1、P2の形成位置に基づき判別部142は固定反射面201と可動反射面301が相対的に傾いているか否かを判別する。

【0030】
また、図10(b)に示す状態から第1治具203のねじS1を回転して保持具202を第1軸周りに回転させると、輝点像の一方が移動する。例えば輝点像P1が図11に矢印で示す方向に移動すれば、この方向に延びる軸が第1治具203によって調整可能な結像面上での座標軸(以下「A座標軸」とする)となる。同様に、第2治具303のねじS1を回転して保持具302を第2軸周りに回転させることにより他方の輝点像P2が図12に矢印で示す方向に移動すれば、この方向に延びる軸が第2治具303によって調整可能な結像面上での座標軸(以下「B座標軸」とする)となる。

【0031】
図13に示すように、A座標軸とB座標軸の交点が固定反射面201と可動反射面301の傾きがずれていない状態を示す調整目標値となる。調整目標値が求まれば、図14に示すように、結像面上における調整目標量値との位置ずれ量ΔP1、ΔP2を輝点像P1、P2のそれぞれについて求めることができるため、位置ずれ量ΔP1、ΔP2と上述の式(1)及び(2)等から、第1治具203のねじS1及び第2治具303のねじS1の高さ移動量を求めることができ、容易に固定反射面201と可動反射面301の傾きを調整することができる。

【0032】
尚、上記した実施形態では、第1治具203(又は第2治具303)を、3本のねじS1~S3と3組の座金W1~W3から構成したが、図15に示すように、ねじS2、S3の軸部に介挿する座金に代えて支持板50(あるいは駆動機構40)に保持具202に点接触する突起60を形成しても良い。この場合、ねじS1~S3の頭部の下面を面取りすると、ねじS1のねじ込み量を変化させたときに、第1軸(あるいは第2軸)を中心に保持具202(あるいは保持具302)を滑らかに回転させることができる。
【符号の説明】
【0033】
10…対物レンズ
11…位相シフタ
12…結像レンズ
13…CCDカメラ
14…制御装置
141…処理部
142…判別部
143…出力装置
20…固定ミラー部
201…固定反射面
202…保持具
203…第1治具
30…可動ミラー部
301…可動反射面
302…保持具
303…第2治具
40…駆動機構
50…支持板
S1~S3…ねじ
W1~W3…座金
図面
【図1】
0
【図5】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14