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明細書 :果物類の容器及びその容器の使用方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5733863号 (P5733863)
公開番号 特開2014-097807 (P2014-097807A)
登録日 平成27年4月24日(2015.4.24)
発行日 平成27年6月10日(2015.6.10)
公開日 平成26年5月29日(2014.5.29)
発明の名称または考案の名称 果物類の容器及びその容器の使用方法
国際特許分類 B65D  85/34        (2006.01)
FI B65D 85/34 H
請求項の数または発明の数 11
全頁数 12
出願番号 特願2012-249416 (P2012-249416)
出願日 平成24年11月13日(2012.11.13)
審査請求日 平成26年11月21日(2014.11.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】柏嵜 勝
【氏名】青山 リエ
【氏名】尾崎 功一
【氏名】井上 一道
【氏名】原 紳
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100100077、【弁理士】、【氏名又は名称】大場 充
【識別番号】100136010、【弁理士】、【氏名又は名称】堀川 美夕紀
審査官 【審査官】白川 敬寛
参考文献・文献 特開2008-285228(JP,A)
特開2010-047307(JP,A)
特開2009-190763(JP,A)
特開2009-007014(JP,A)
米国特許第05989606(US,A)
韓国登録特許第10-0850876(KR,B1)
米国特許第01532298(US,A)
紺屋朋子,ほか1名,“イチゴの品質保持技術に関する研究(第2報)-果実の包装形態が品質に及ぼす影響-”,農業機械学会誌,農業食料工学会,2008年,第70巻,第4号,p.76-82
北澤裕明,ほか3名,“イチゴ輸送中の損傷を防止する新たな包装形態”,日本食品保蔵科学会誌,日本食品保蔵科学会,2008年,第34巻,第1号,p.19-23
調査した分野 B65D 85/34
特許請求の範囲 【請求項1】
茎を保持しながら前記茎が繋がる果実を収容する収容室を有する容器であって、
各々が弾性体から構成され、前記茎を境に隣接して配置され、それぞれの間に入口及び終点を有する切り込み又はスリットが設けられる一対の挟持片と、
一方の面が前記収容室に対向するとともに、他方の面が前記一対の挟持片に対向する受け座と、
前記受け座の前記一方の面側に配置されるクッションと、を備え、かつ、
前記受け座は、前記一対の挟持片よりも剛性が高く、
前記一対の挟持片は、前記受け座に接することで、前記受け座に向けた第1の向きへの撓みは規制されるが、前記受け座から離れる第2の向きへの撓みは許容され、
前記クッションは、可撓性のある材料から形成されており、前記収容室に収容される前記果実が前記クッションに接触すると、前記果実に対して第1の向きに反力を与え
前記茎をつかんで前記一対の挟持片の間の前記切り込み又は前記スリットに前記入口から前記終点に向けて押し込んだ時に前記第2の向きに撓んだ前記一対の挟持片が、前記茎をつかむのを止めると前記反力により前記第1の向きに前記撓みが戻り、前記茎を挟持する、
ことを特徴とする容器。
【請求項2】
前記第1の向きが上向きであり、前記第2の向きが下向きである、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記クッションは、発泡性樹脂から形成される、請求項1又は請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記クッションは、お椀型の形態をなしている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の容器。
【請求項5】
前記受け座には、その縁部から中心にかけて径方向に連なる第1のスリットが形成されている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の容器。
【請求項6】
前記クッションには、前記受け座の前記第1のスリットに対応する第2のスリットが形成されている、請求項に記載の容器。
【請求項7】
前記一対の挟持片は、一体的に形成された円板状の部材に前記切り込み又は前記スリットを設けることで形成されており、
前記切り込み又は前記スリットは、前記第1のスリットおよび前記第2のスリットに対応して形成されている、請求項に記載の容器。
【請求項8】
前記収容室は、
前記受け座と、前記受け座の周囲を取り囲む筒状の側壁と、によって形成される、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
前記側壁は、前記果実の水平方向に動きを規制する、請求項に記載の容器。
【請求項10】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の容器の使用方法であって、
前記収容室の開口が上向きになるように前記容器を配置し、
前記茎を下向きにして前記果実を前記収容室に収容する、
ことを特徴とする容器の使用方法。
【請求項11】
請求項に記載の容器の使用方法であって、
前記収容室の開口が上向きになるように前記容器を配置し、
前記茎を下向きにして前記果実を前記収容室に収容する際に、
前記茎は、前記第1のスリットと、前記第2のスリットと、前記切り込み又は前記スリットとを位置合わせした状態で、前記容器の側方から挿入される、
ことを特徴とする容器の使用方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、イチゴ、トマト等の茎を有する野菜・果物を、茎を保持しながら収容する容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
果物、例えばイチゴやさくらんぼ等の果実はわずかな衝撃にも弱く傷み易い。したがって、イチゴを積み重ねて容器に収容すると、イチゴが容器と接触し、あるいはイチゴ同士が接触することにより、イチゴの傷みが早くなる。そこで、イチゴを搬送し、あるいは保管する際の保形力及び保護力を高めてイチゴの傷みを防止するとともに、鮮度を維持するのに好適で、さらに店頭に陳列した際にも見栄え良くしイチゴの商品価値を高めることができる容器が種々提案されている(特許文献1~特許文献4)。しかしながら、特許文献1~特許文献4を含め、これまでに提案された容器は、イチゴ同士が接触する。したがって、傷みは軽減されているものの、接触による傷みの発生を避けることはできないという課題があった。
【0003】
この課題に対して本出願人は、先に特許文献5にて、以下の植物の保持部材を提案している。この保持部材100は、図7に示されるように、例えばイチゴSの茎stを保持して吊り下げるものであり、隣接して配置され、各々が弾性体から構成される一対の挟持片101,101で茎stを挟持する。また、保持部材100は、イチゴSが吊り下げられる側を下側とすると、一対の挟持片101,101の下側に支持板103を設置することで、一対の挟持片101が、上側への撓みは許容されるが、下側への撓みが支持板103により規制される。
この保持部材100は、茎stを保持してイチゴSを吊り下げて挟持するので、間隔をあけて保持部材100を設ければ、イチゴS同士が接触するのを回避できる。また、支持板103を設けることで、茎stの径にばらつきがあっても、確実に茎stを保持できる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平8-282757号公報
【特許文献2】特開平11-222282号公報
【特許文献3】特開2004-314982号公報
【特許文献4】特開2005-153934号公報
【特許文献5】特開2010-47307号公報
【特許文献6】特開2008-285228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献5で提案した保持部材で保持されたイチゴは産地から消費地まで搬送されるが、その際、保持部材及びイチゴともに振動を受けるので、挟持が緩くなり、極端な場合には茎が挟持部分から外れるおそれもある。
特許文献6には、2つの基材を重ねて二重構造にした苺用包装容器が開示されているが、2つの基材はともにPET又はプラスチックからなる同じ素材で構成されているため、振動に対して有効な解決策に到っていない。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、振動を受けても一対の挟持片による挟持が緩くなるのを防止できる果実類の容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもとなされた本発明は、茎を保持しながら茎が繋がる果実を収容する収容室を有する容器であって、各々が弾性体から構成され、茎を境に隣接して配置され、それぞれの間に入口及び終点を有する切り込み又はスリットが設けられる一対の挟持片と、一方の面が収容室に対向するとともに、他方の面が一対の挟持片に対向する受け座と、受け座の一方の面側に配置されるクッションと、を備え、以下の特徴を有している。
本発明における一対の挟持片は、一対の挟持片よりも剛性が高い受け座に接することで、受け座に向けた第1の向きへの撓みは規制されるが、受け座から離れる第2の向きへの撓みは許容される。
また本発明におけるクッションは、可撓性のある材料から形成されており、収容室に収容される果実がクッションに接触すると、果実に対して第1の向きに反力を与える。
そして、茎をつかんで一対の挟持片の間の切り込み又はスリットに入口から終点に向けて押し込んだ時に第2の向きに撓んだ一対の挟持片が、茎をつかむのを止めると反力により第1の向きに撓みが戻り、茎を挟持することができる。


【0007】
本発明におけるクッションは、果実に対して第1の向きに反力を与えるが、この反力の向きは、挟持片に撓みが許容される第2の向きと、逆の向きになる。
ここで、本発明による容器が振動を受けると、挟持片は撓みが許容されている第2の向きへの撓みが振動に伴って生じる。この際、茎も振動するが、特に茎が第2の向きに変位すると、茎を挟持する力が緩くなってしまう。ところが、本発明は、第2の向きと逆の向き(第1の向き)に果実に対して反力を与え、この反力は茎にも伝わり、茎を第1の向きに引っ張る。したがって、本発明によると、振動を受けても、挟持片の第2の向きへの撓みが抑制されるとともに、茎が第2の向きに変位するのが抑制されることにより、茎の挟持が緩くなるのを防止、または、軽減できる。
【0008】
本発明の容器において、収容室は、受け座と受け座から立ち上がる筒状の側壁とによって取り囲まれる領域に形成することが好ましい。
果実の振動による変位が側壁によって規制できるので、振動を受けたときに果実が暴れるのを防止できる。
【0009】
本発明の容器を使用して果実を収容するのに、果実の向きは問わない。クッションが、果実に対して反力を与える第1の向きと、挟持片に撓みが許容される第2の向きと、が逆の向きという関係は、果実の向きに関わらず成立するからである。
したがって、本発明による容器の使用方法としては、収容室の開口が上向きになるように容器を配置し、茎を下向きにして果実を収容室に収容することもできるし、収容室の開口が下向きになるように容器を配置し、茎を上向きにして果実を収容室に収容することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の容器によれば、クッションが果実に対して第1の向きに反力を与えることで、振動を受けても、挟持片の第2の向きへの撓みが抑制されるとともに、茎が第2の向きに変位するのが抑制されることにより、茎の挟持が緩くなるのを防止、または、軽減できる。
したがって、本発明の容器に収容された果実は、安定して保持しながら、搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の容器にイチゴが収容され、保持された様子を示す図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】図1の容器のスリットに茎が挿入される過程を示す図である。
【図4】図1の容器(容器本体)を上下反転させた状態を示す図である。
【図5】図1の容器を複数配置して使用する例を示す図である。
【図6】図1の容器に用いられる保持具の変形例を示す図である。
【図7】特許文献に開示される保持部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に示す実施形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
本実施形態はイチゴSを保持した状態で搬送に供することのできる容器1に関するものであり、図1及び図2に示されるように、本実施形態にかかる容器1は、カップ状の容器本体10と、容器本体10の受け座17の裏側に配置されてイチゴSの茎stを挟持する保持具20と、受け座17とイチゴSの間に配置されるクッション30と、から構成される。

【0013】
[容器の構成]
容器本体10は、矩形状の台座11と、台座11から立ち上る外形がテーパ状をなす外筒13と、外筒13の先端縁からその内側に向けて垂れ下がる円筒面状の内筒15と、内筒15の先端縁からその内側に向けて延びる円形状の受け座17と、外筒13から受け座17の中心にかけて径方向に連なるスリット(第1のスリット)19と、を備えている。容器本体10は、種々の方法で作製できるが、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート等の比較的剛性の高い樹脂を射出成形して一体の成形品として作製することができる。なお、容器本体10は、少なくても受け座17の部分が保持具20よりも十分に剛性が高く作製されていればよい。また、容器本体10は、樹脂に限らず、金属材料、例えばステンレス鋼、さらに金属と樹脂との複合材料等から構成することもできる。なお、図1の上下方向が鉛直方向に沿っているものとする。

【0014】
台座11は、必要な場所に容器本体10を安定して置くことができるように、外筒13の下端縁よりも周囲に張り出して形成されており、容器本体10は、通常、台座11を下にして置かれ、収容室Rの開口が上向きになる。
外筒13は、内筒15及び受け座17を形成する基礎となるのに加えて、内筒15とともに径方向に二重構造をなすことで、容器本体10の剛性向上に寄与する。ただし、外筒13と内筒15を一体にして一重の円筒状の側壁にすることもできる。
内筒15は、受け座17とともに、イチゴSを収容する収容室Rを形成する。収容室Rに収容されたイチゴSは、内筒15によってイチゴSは水平方向への動きが規制される。イチゴSは、収容室Rに茎stを下向きにして収容される。収容室Rは、ここではイチゴSの一部のみを収容する例を示しているが、イチゴSの全体を収容するように外筒13、内筒15などを構成することもできる。
受け座17は、台座11から外筒13の先端までの高さの半分程度の位置に形成され、イチゴSを下方から支える。受け座17は、ここでは平坦な例を示しているが、イチゴSの形状に合わせて窪んだ形状にすることもできる。内筒15も同様である。なお、受け座17のイチゴSが収容される側を「表(おもて)」と定義する。
スリット19は、イチゴSを収容する際に、茎stの部分を通すために形成される。茎stは、外筒13の側面に開口する入口19aの側から挿入され、受け座17の中心に位置する終点19bに向けて移動する。スリット19の幅は、茎stの移動が無理なく行なえるように設定される。

【0015】
次に、保持具20は、シリコンゴムからなる円板状の部材であり、外周の入口21aから中心の終点21bにかけて径方向に切り込み21が設けられている。切り込み21は、保持具20の表裏を貫通して形成されている。切り込み21には、終点21bに応力集中を避けるための貫通孔22が形成されている。保持具20は、切り込み21を挟む周方向の両側の部分を、各々が独立して撓む(変形)ことができる一対の挟持片23として用いる。つまり、茎stを切り込み21の入口21aから終点21bに向けて押込むことにより、一対の挟持片23により茎stを保持することができる。茎stを押込むと、一対の挟持片23は撓むことができる。
保持具20は、容器本体10の受け座17の裏面に配置される。このとき、保持具20は受け座17に対して、容器本体10のスリット19と保持具20の切り込み21の位置が一致するように配置される。
保持具20は、接着剤、両面粘着テープなどにより、当該裏面に予め固定しておくことができるが、イチゴSを収容すると茎stが挟持片23を保持するので、格別な固定手段を用いることなく当該裏面に配置させることもできる。

【0016】
保持具20は、シリコンゴムに限らず、例えば発泡ウレタン、ネオプレーンゴム、発泡スチレンなどの材質から形成することができる。このような柔軟な材料で保持具20を形成すれば、一対の挟持片23で茎stを挟持しても茎stに傷をつけることがないので、イチゴSの商品価値を下げずに済む。
切り込み21は、この例では自由状態において一対の挟持片23の間が隙間なく形成されているが、両者の間に隙間があるスリットの形態にすることもできる。切り込み21の種々の形態については、後述する。

【0017】
次に、クッション30は、収容室Rにおいて、受け座17とイチゴSの間に配置され、イチゴSが収容室Rの所定位置に収容されると、受け座17の表側から離れる向き(第1の向き)の力をイチゴSに加えることで、保持具20により茎stを保持する力を補償する。
クッション30は、以上の作用を発揮するために、可撓性のある材料で作製されることが必要である。つまり、クッション30の上にイチゴSが載せられると、イチゴSにクッション30から反力を与えることで、一対の挟持片23が茎stを保持する力を補償するが、この反力を発生させるために、クッション30を可撓性のある材料で作製する。可撓性のある材料でクッション30を作製することで、クッション30との接触に基づくイチゴSの傷みを最小限に抑えることができる。
クッション30を構成する材料としては、例えばスポンジ、ポリウレタン系その他の樹脂、発泡性樹脂から選択できる。これらの材料であっても、極端に薄い場合には、イチゴSに反力を与えることができないので、クッション30は、必要な反力が得られるように各種材質を考慮してその厚さが設定される。

【0018】
クッション30には、容器本体10のスリット19及び保持具20の切り込み21に対応してスリット(第2のスリット)31が形成されている。イチゴSを容器本体10に収容する際に、イチゴSの茎stはスリット19及び切り込み21と位置あわせされたスリット31に挿入される。

【0019】
クッション30は、イチゴSの形状に合わせてお椀型の形態をなしているが、十分な可撓性を備えていれば、偏平なクッション30を用いることもできる。また、クッション30は一体に形成されているが、クッション30を複数に分割してもよい。また、中央部分が空隙となるリング状のクッションにすることもできる。つまり、傷みを最小限に抑えながら、イチゴSに反力を与えることができる限り、クッション30の形態は限定されない。ただし、イチゴSに与える反力がイチゴSの周方向において均等になることが、茎stを保持する力を補償する上で好ましいので、例えばクッション30を分割する場合でも、周方向に均等に配置することが望まれる。

【0020】
[イチゴの収容手順]
さて、容器1にイチゴSを収容するには、まず、容器本体10の受け座17の表側であって収容室Rの内部にクッション30を配置し、また、受け座17の裏側に保持具20を配置する。このとき、容器本体10のスリット19に、保持具20の切り込み21及びクッション30のスリット31の位置が合うように配慮する。
次に、イチゴSを図1,図2に示すように、茎stの方を下にして、容器本体10のスリット19の入口19aから奥に向けて押し込む。この作業は人手で茎st及び必要に応じてイチゴSをつかみながら行なうことができるが、茎stを保持するロボットで行なうこともできる。ここで、保持具20の挟持片23は、上側に剛性の高い受け座17が存在しているため、下向き(第2の向き)の撓みは許容されるが、受け座17に向けた撓みは規制される。したがって、茎stを僅かに斜め下方に向けてスリット19(切り込み21及びスリット31)に押し込んでいくと、図3(a)に示されるように、挟持片23は切り込み21に臨む端部を頂点として下向き(第2の向き)に撓む。したがって、茎stの太さにバラツキがあったとしても、切り込み21の間隔が茎stに適合して切り込み21の終点である貫通孔22まで茎stをスムーズに押し込むことができる。

【0021】
茎stの押込みは、イチゴSがクッション30の上に載ることを考慮して行なわれる。つまり、切り込み21の終点21bにある貫通孔22に達するまで茎stを押し込んだときに、イチゴSがクッション30から必要な反力を受けるように押込む。
茎stを終点まで押込んだなら、茎stをつかむのを止める。そうすると、図3(b)に示されるように、イチゴSがクッション30から反力Fを受けて茎stがわずかに持ち上げられるので、切り込み21が左右方向に押し広げられる結果、一対の挟持片23には水平方向に圧縮応力が生じ茎stを挟持することができる。
本実施形態の容器1は、容器本体10(保持具20,クッション30)の側方からスリット19(切り込み21,スリット31)に茎stだけを掴んで押込むことができるので、イチゴSの実に触れずに済む利点がある。ただし、本発明がイチゴSの実に触れることを排除するものではない。

【0022】
なお、本発明は、茎stを水平方向に押し込むことを許容する。その場合、茎stが奥に行くに従い一対の挟持片23から受ける負荷が増大し、つかんだ位置より茎stが斜め後方に遅れる。そうすると、茎stには軸方向への引っ張りが発生し、その結果、挟持片23には下側への撓みが誘発され、自動的に押し込み負荷が軽減される。
また、図3(b)において、挟持片23が水平な位置まで復帰した例を示しているが、茎stの径によっては、挟持片23が上側にわずかに撓んだ状態で茎stを挟持することもある。
なお、以上説明した通りであり、受け座17は、裏面において、挟持片23の一方に向けた(第の向き)撓みを規制する機能に加えて、表面において、クッション30を支持することでイチゴSに反力Fを与える機能を有している。

【0023】
以上のようにしてイチゴSは、容器1に収容されると消費地に向けて出荷される。消費地までの搬送の過程で、イチゴSは容器1とともに振動を受けると、挟持片23が下向きに撓んで茎stの挟持が緩くなるおそれがある。挟持片23は弾性力を有しているので、下向きに撓んだとしても元に復元することができるが、搬送時間が長くなり振動を繰り返し受けていると、完全に復元することは期待できない。こうして挟持が緩くなると、振動に伴ってイチゴSは収容室Rの内部を暴れるようになり、内筒15及び受け座17に衝突しあるいは擦れることがイチゴSの傷みの原因となる。

【0024】
ところが、容器1によると、イチゴSがクッション30から反力Fを常に受けており、この反力Fは挟持片23が振動により撓む下向き(第2の向き)と逆の上向き(第1の向き)である。したがって、振動を繰り返し受けても、挟持片23の下向きの撓みが軽減されるので、挟持片23に生じる圧縮応力が担保される。このようにして、容器1は、保持具20により茎stを保持する力を補償し、内筒15がイチゴSの水平方向の動きを規制できるので、イチゴSが暴れるのを抑制できる。しかも、クッション30は可撓性を備えているので、イチゴSが反力Fを受けても、イチゴSの傷みを最小限に抑えることができる。

【0025】
イチゴSを容器1から外す際には、切り込み21に押し込むときと同様に、茎stを下側に押し下げながら手前に引くとよい。茎stを押し下げると、挟持片23が下側に撓み、挟持片23で茎stを挟持する力が弱くなり、容器1からイチゴSを外し易くなる。

【0026】
[変形例]
本実施形態の容器1は、図4に示すように、容器本体10を上下反転させても使用することができる。この場合、外筒13と受け座17で取り囲まれる空間が収容室Rとなるが、外筒13の方が内筒15に比べて外径が大きいので、台座11を下に配置する上述した例よりも、収容室Rが大きくなる。
このように容器1によれば、1つの容器本体10を上下反転させることで、サイズが異なるイチゴSを無理なく収容することができる。

【0027】
以上の説明では、1つのイチゴSを収容する最小単位の容器1について説明したが、図5(a)に示すように、複数の容器1を繋げた形態の容器2として使用することもできる。そうすれば、複数のイチゴSを同時にハンドリングすることができる。また、図5(a)は複数の容器1を一列に配列した例を示しているが、配列は任意であり、複数の容器1を格子状又は千鳥格子状に配列することもできる。なお、複数の容器1を配列する場合、隣接するイチゴSと接触しない程度に隣接する容器1の間隔を狭くすれば、より多くのイチゴSを搬送できることは言うまでもない。

【0028】
また、以上では、イチゴSを容器本体10に載せる例について説明したが、図5(b)に示すように、収容室Rの開口を下向きにし、茎stを上向きにしてイチゴSを容器本体10に吊下げることもできる。このようにイチゴSを吊下げても、図3に基づいて説明したクッション30の作用・効果が得られることは明らかである。イチゴSがクッション30から受ける反力Fと挟持片23が振動により撓む向きとが逆向きであることには変わりがないからである。また、イチゴSを吊下げると、イチゴSの自重が下向き(第1の向き)に加わり、振動を受けたときに挟持片23が上向き(第2の向き)に撓むのを抑制できるので、茎stの挟持が緩みにくい。

【0029】
保持具20は、切り込み21の終点に円形の貫通孔22を形成したが、切り込みの形態はこれに限らない。その例を図6に示すが、(a)のように貫通孔22を設けることなく直線状の切り込み21だけを形成する例、(b)のように切り込み21の終点に十字状の切り込み25を形成する例、(c)のように円形の貫通孔22と十字状の切り込み25の両方を形成する例、(d)のように三角形の貫通孔22と十字状の切り込み25の両方を形成する例、など種々の形態にすることができる。また、切り込みの形態のほかに、保持具20の外形を(e)のように矩形にすることもできる。
本発明者らは、以上の形態の保持具20を備える容器1にイチゴSを実際に収容して、振動試験(周波数:30Hz,加速度:4.5G)を行った。その結果、何れの保持具20を用いても5分間経過後に挟持が外れることはなかった。図6(a)~(d)の中では、特に、切り込み21の終点に十字状の切り込み25を形成する(b)及びに三角形の貫通孔22と十字状の切り込み25の両方を形成する(d)の形態は挟持が外れ難く、特に(d)の実施形態は、上記振動試験を30分継続しても挟持が外れることはなかった。
また、図6では、十字状の切り込み25、貫通孔22を設ける位置を保持具20の中心に設ける例を示しているが、切り込み21の入口を基準として、中心よりも奥に設けることによって、一対の挟持片23による挟持力を増加させることができる。
さらに、以上で説明した実施形態では、保持具20の切り込み21とクッション30のスリット31の向きを一致させた例を示したが、例えば、イチゴSを挟持させた後に、保持具20またはクッション30を回転させることにより、切り込み21とスリット31の向きを90~120度程度の範囲で交差させること、茎stが挟持部分から移動し、あるいは脱落したりするのを防ぐのに有効である。

【0030】
また、本実施形態ではイチゴを例にして説明したが、本発明の容器はイチゴ以外であっても茎と茎が繋がる実の部分を有する果物、野菜を保持できることは言うまでもない。
以上以外にも、挟持片が振動により撓む向きと逆向きの反力をクッションが与えるという、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1,2 容器
10 容器本体
11 台座
13 外筒
15 内筒
17 受け座
19,31 スリット
19a,21a 入口
19b,21b 終点
20 保持具
21 切り込み
22 貫通孔
23 挟持片
30 クッション
F 反力
R 収容室
S イチゴ
st 茎
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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