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明細書 :分析用試薬組成物及び分析方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-052295 (P2014-052295A)
公開日 平成26年3月20日(2014.3.20)
発明の名称または考案の名称 分析用試薬組成物及び分析方法
国際特許分類 G01N  27/62        (2006.01)
FI G01N 27/62 F
G01N 27/62 V
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2012-197182 (P2012-197182)
出願日 平成24年9月7日(2012.9.7)
発明者または考案者 【氏名】藤野 竜也
出願人 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
個別代理人の代理人 【識別番号】100150876、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 裕一郎
審査請求 未請求
テーマコード 2G041
Fターム 2G041CA01
2G041DA04
2G041FA07
2G041GA06
2G041MA02
要約 【課題】 従来は測定不可能であった微量成分であっても測定することができる分析用試薬組成物及び分析方法を提供すること。
【解決手段】 微量成分の分析測定に用いられる、有機酸化合物と酸化物固体とを含有してなる分析用試薬組成物であって、上記有機酸化合物は、分子内水素結合構造を形成する水酸基を有し、上記酸化物固体は、ゼオライトなどの固体酸化物とアルカリ金属塩などのアルカリ金属化合物とを反応させて得られるアルカリ金属置換物であることを特徴とする微量成分の分析用試薬組成物。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
微量成分の分析測定に用いられる、有機酸化合物と酸化物固体とを含有してなる分析用試薬組成物であって、
上記有機酸化合物は、分子内水素結合構造を形成する水酸基を有し、
上記酸化物固体は、固体酸化物とアルカリ金属化合物とを反応させて得られるアルカリ金属置換物である
ことを特徴とする微量成分の分析用試薬組成物。
【請求項2】
上記固体酸化物がゼオライトであり、上記酸化物固体が、該ゼオライトにアルカリ金属塩を反応させて得られるゼオライトのアルカリ金属置換物である
ことを特徴とする請求項1記載の分析用試薬組成物。
【請求項3】
上記有機酸化合物と上記酸化物固体との配合比が、重量比で、1:0.1~5である
ことを特徴とする請求項1記載の分析用試薬組成物。
【請求項4】
請求項1記載の分析用試薬組成物を未知試料に混合し、得られた混合物を質量分析法により分析することを特徴とする、
微量成分の分析方法
【請求項5】
上記分析用試薬組成物の使用量をモル比で、未知試料1に対して20以上150以下とする
ことを特徴とする請求項4記載の分析方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、分析用試薬組成物及び分析方法に関し、さらに詳しくは、質量分析の際のマトリックスの開裂を抑制し、かつ、効率的に試料のイオン化を行うことで、従来方法で検出できなかった微量試料の質量分析、マトリックス開裂産物の由来のシグナル夾雑物により測定が困難であった低分子の試料の質量分析、及び、イオン化が困難な試料の質量分析を可能にする分析用試薬組成物及び分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
質量分析は物質の質量を測定する手法で、化学分野をはじめとするさまざまな分野で重要な技術である。その質量分析の中でも、MALDI—MS法(マトリックス支援レーザー脱離-質量分析)は、試料をマトリックス(芳香族有機化合物など)中に混ぜて結晶を作り、これにレーザーを照射することでイオン化する方法で、タンパク質などの高分子化合物であっても安定にイオン化することができる重要な技術であり、さまざまな手法が提案されている。
このような質量分析法においては、マトリックスを工夫することにより各種微量成分の分析を可能にすべく種々検討が施されている。
たとえば、特許文献1には、ゼオライトをマトリックスとして用いることが提案されている。具体的には、ゼオライトからなるミクロ構造体がミクロ構造体のアドレス指定を可能にする分子特異的認識部位を有するナノ粒子からなる質量分析用のマトリックスが提案されている。
また、特許文献2には、有機酸化物をマトリックスとして用いることが提案されている。具体的には、有機酸のアンモニウム塩と、脂肪族炭化水素基含有化合物とポリヌクレオチド、オリゴ糖、蛋白質などとを含有する組成物をマトリックスとして用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特表2005-524829号公報
【0004】

【特許文献2】特開平06-322274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の提案にかかる質量分析方法は、検出感度が悪いという問題や、ノイズが多く測定結果に悪影響を及ぼし、所望の検出対象物を特定しにくい、という問題があった。
このため、検出感度が高く、ノイズが少なく、所望の検出対象物を特定しやすい質量分析手法の開発が要望されている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、従来は測定不可能であった微量成分であっても測定することができる分析用試薬組成物及び分析方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、単にゼオライトなどの固体酸化物を用いるのではなく固体酸化物のプロトンをアルカリ金属で置換してなるアルカリ金属置換物をマトリックスとして使用することにより上記目的を達成し得ることを知見し、さらに研究を進めた結果本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の各発明を提供するものである。
1.微量成分の分析測定に用いられる、有機酸化合物と酸化物固体とを含有してなる分析用試薬組成物であって、上記有機酸化合物は、分子内水素結合構造を形成する水酸基を有し、上記酸化物固体は、固体酸化物とアルカリ金属化合物とを反応させて得られるアルカリ金属置換物であることを特徴とする微量成分の分析用試薬組成物。
2.上記固体酸化物がゼオライトであり、上記酸化物固体が、該ゼオライトにアルカリ金属塩を反応させて得られるゼオライトのアルカリ金属置換物であることを特徴とする1記載の分析用試薬組成物。
3.上記有機酸化合物と上記酸化物固体との配合比が、重量比で、1:0.1~5であることを特徴とする1記載の分析用試薬組成物。
4.1記載の分析用試薬組成物を未知試料に混合し、得られた混合物を質量分析法により分析することを特徴とする、微量成分の分析方法
5.上記分析用試薬組成物の使用量をモル比でで、未知試料1に対して20~150とすることを特徴とする4記載の分析方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の分析用試薬組成物は、従来は測定不可能であった微量成分であっても測定することができるものである。
また、本発明の分析用試薬組成物を用いた分析方法によれば、従来方法で検出できなかった微量成分を含有する試料の質量分析が可能となり、従来は測定が困難であった成分を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の分析方法(質量分析)のマススペクトルデータである(実施例1及び2)。
【図2】図2は、本発明の分析方法(質量分析)のマススペクトルデータである(実施例3~5)。
【図3】図3は、本発明の分析方法(質量分析)のマススペクトルデータである(実施例6及び7並びに比較例1及び2)。
【図4】図4は、本発明の分析方法(質量分析)のマススペクトルデータである(実施例8及び9)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
まず、本発明の分析用試薬組成物について説明する。
本発明の分析用試薬組成物は、微量成分の分析測定に用いられる、有機酸化合物と酸化物固体とを含有してなる分析用試薬組成物である。

【0011】
以下、詳述する。
<分析>
本発明の分析とは質量分析をいう。上記質量分析としては、試料のイオン化にマトリックスを利用するマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)などがあげられる。

【0012】
<有機酸化合物>
本発明において用いられる上記有機酸化合物は、分子内水素結合構造を形成する水酸基を有する有機酸化合物である。
上記有機酸化合物は、分子内に1つ以上の酸性官能基と1つ以上の水酸基とを具備し、該酸性官能基の一つにおける水素原子と該水酸基の一つとで上記分子内水素結合を形成している化合物が好ましく用いられる。また、上記有機酸化合物は、さらにベンゼン環を有する化合物であるのが好ましい。この理由は定かではないが、二重結合の共役系のエネルギーが、ベンゼン環になると低下して、分子内プロトン移動先のカルボキシルの軌道エネルギーと同程度になって、相互作用が可能になり、分子内プロトン移動が起きて、消耗の効果を得るうえで有利に働くためであると考えられる。
上記酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。
上記有機酸化合物としては、具体的には2',4',6'-トリヒドロキシアセトフェノン(THAP)、α-シアノ-4-ヒドロキシけい皮酸(CHCA)、2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHBA)、トランス-3-インドールアクリル酸、シナピン酸(SA)等が挙げられ、使用に際しては単独又は2種以上混合して用いることができる。

【0013】
<酸化物固体>
本発明において用いられる酸化物固体は、固体酸化物にアルカリ金属化合物を反応させて得られるアルカリ金属置換物である。
(固体酸化物)
上記固体酸化物は固体の酸化物であれば特に制限されず、無機酸化物、有機酸化物のいずれも用いることができるが、好ましくは無機酸化物の固体である。
上記無機酸化物としては、ゼオライト、モンモリロナイト、シリカ、アルミナ、マグネシア、ジルコニアなどを挙げることができ、中でもプロトン型ゼオライトを特に好ましく用いることができ、市販品を用いることもできる。
なお、ゼオライトは結晶性の多孔質アルミノケイ酸塩の総称であり、組成式(Mn+2/nO・Al・xSiO・yHOn〔陽イオンMの価数Xは2以上の数を示し、Yは0以上の数を示す〕で表すことができる。ゼオライトは通常、骨格由来の均一な細孔を有しており、アルミニウムの部分の不足した正電荷を補う形でカチオン(Mn+)が保持されており、上記プロトン型ゼオライトはこのMn+としてHを有するゼオライトである。
このようなプロトン型ゼオライトは、たとえばモルデナイト型ゼオライトを空気中にて300℃以上の高温で4~10時間焼成することにより得ることができる。
(アルカリ金属化合物)
上記アルカリ金属化合物における上記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、及びセシウムなどを挙げることができ、上記アルカリ金属化合物としては、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等を挙げることができ、使用に際してはそれぞれ単独で又は2種以上混合して用いることができる。また、使用に際しては水等の溶剤に溶解させた溶液として使用するのが好ましい。
(酸化物固体)
上記酸化物固体は、上記固体酸化物に上記アルカリ金属化合物を反応させることにより得ることができる。具体的には、上記アルカリ金属化合物溶液と、上記固体酸化物とを反応させることで上記固体酸化物表面のMn+、好ましくはプロトンを上記アルカリ金属原子に置換する置換反応を行うことにより得ることができる。
そして、得られる、本発明において用いられる上記酸化物固体は、上記固体酸化物の表面のプロトン等のMn+がアルカリ金属で置換されてなる固体状の酸化物である。上記酸化物固体における上記アルカリ金属の置換率は、固体酸化物上のMn+全部の80%以上であるのが好ましく、90%以上であるのがさらに好ましい。
上記酸化物固体の粒径は、0.01~100μmであるのが好ましく、0.1~10μmであるのがさらに好ましい。また、その形状は特に制限されない。

【0014】
<配合比>
上記有機酸化合物と上記酸化物固体の配合比は、本発明の所望の効果をより効果的に発現させるために、重量比で上記有機酸化合物:上記酸化物固体=1:0.1~5であることが好ましく、ゼオライトのユニットセル中には通常酸点数が4つあるが、この酸点数が用いる上記有機酸化合物分子数よりも多くなるように配合するのが特に好ましい。

【0015】
<その他の成分>
上記以外の成分として、本発明の所望の効果を損なわない範囲で他の成分を混合してもよい。
本発明の分析用試薬組成物は、上記有機酸化合物及び上記酸化物固体、並びに必要に応じて用いられる上記の他の成分を適宜混合して使用に供することができる。

【0016】
次に本発明の分析方法(本発明の分析用試薬組成物の使用方法)について説明する。
本発明の分析方法は、上記分析用試薬組成物を未知試料に混合し、得られた混合物を質量分析法により分析することにより実施することができる。

【0017】
<質量分析法>
本発明で用いる質量分析法としては、試料のイオン化にマトリックスを利用するマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI-MS)などがあげられ、公知のマトリックス支援レーザー脱離-飛行時間型-質量分析(MALDI-TOF-MS)装置などを用いて行うことができる。

【0018】
<未知試料>
本発明の分析方法で測定対象である未知試料は、分析対象である微量成分を含有する混合物試料である。

【0019】
(微量成分)
本発明の分析方法で測定可能な微量成分としては、MALDI-MS法で測定可能な一般的試料が挙げられる他、従来このような質量分析法では測定不可能であるとされてきた、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、アセチルサリチル酸、フェノバルビタール等各種成分が挙げられる。
ここで、微量とは、通常の質量分析法における装置検出限界又は方法検出限界程度以下の量を意味する。

【0020】
<分析用試薬組成物の使用量>
分析用試薬組成物の使用量は、未知試料の検出ができる量であれば特に制限されるものではないが、モル比で、未知試料1に対する下限を10以上とするのが好ましく、20以上とするのがより好ましく、80以上とするのが更に好ましく、90以上とするのが最も好ましい。また、上限を300以下とするのが好ましく、200以下とするのがより好ましく、150以下とするのが更に好ましく、120以下とするのが最も好ましい。この範囲内とすることにより上記の微量成分を効果的に検出することができる。換言すると、分析に際して推測により上記の範囲内となるように分析用試薬組成物の量を調整しながら分析を行うのが好ましい。

【0021】
<分析方法>
以下、分析方法の概要を説明する。
まず、溶媒で未知試料を溶解した未知試料溶液と、該溶媒で本発明の分析用試薬組成物を懸濁させた分析用試薬組成物懸濁液とを作成する。
上記溶媒としては、水,アセトニトリルと水の混合溶液,クロロホルム,テトラヒドロフラン等を用いることができる。
次に、得られた未知試料溶液と分析用試薬組成物懸濁液とを質量分析装置用の試料台上で混合した後に通常の結晶化処理を行うことで質量分析用試料を調整し、最終に通常の操作方法に準じて質量分析装置により分析を行うことにより分析方法を実施できる。質量分析装置としては、MALDI-TOF-MS型装置などの公知の質量分析装置を特に制限なく用いることができる。

【0022】
<効果>
本発明の分析用試薬組成物及びこれを用いた本発明の分析方法は、
従来方法で検出できなかった微量成分を含有する未知試料の分析が可能である。
【実施例】
【0023】
以下、本発明について実施例及び比較例を示してさらに具体的に説明するが本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
〔実施例1〕分析用試薬組成物(リチウム置換ゼオライトマトリクス)の調製とマルトヘキサオースの質量分析
(酸化物固体の調整)
ゼオライト(モルデナイト型)を空気中にて773K(500℃)で6時間焼成し、プロトン型ゼオライト(固体酸化物)を得た。得られたプロトン型ゼオライト300mgと濃度2.0mol/Lの酢酸リチウム水溶液50mLとを混合し、70℃で1時間の条件で撹拌することにより、ゼオライト表面プロトンのアルカリ金属置換反応を行った。なお、酢酸リチウム水溶液は、アルカリ金属化合物として酢酸リチウムを用い、これを水に溶解して、2.0mol/L濃度とすることにより調製した。引き続き、同じカチオン置換反応をさらに2回(合計3回)行った後の生成物をろ過により分離し、450℃、3時間加熱処理を行うことにより、酸化物固体としてのリチウム置換ゼオライト(置換率90%以上)を得た。
(分析用試薬組成物の調整)
リチウム置換ゼオライト8mgと有機酸化合物としての2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン(以下、「THAP」と呼ぶ)4mgとを乳鉢にて混合し混合物として分析用試薬組成物(この混合物を「リチウム置換ゼオライトマトリクス」と呼ぶ)を得た。
(分析用試薬組成物溶液の調整)
次に、得られたリチウム置換ゼオライトマトリクスに、アセトニトリルと水の混合溶液(7:3、体積比)1mLを添加し、懸濁させることにより、目的のリチウム置換ゼオライトマトリクス懸濁液を得た。
(試料の分析)
微量成分(分析対象成分)として糖であるマルトヘキサオースを、アセトニトリルと水とを混合してなる溶媒(7:3、体積比)に溶解させ、0.50mg/mLの濃度に調整した試料溶液を調製した。
次に、上記試料溶液1μリットルを(質量分析の試料台としての)ステンレス基板上に展開し、その溶液の上にリチウム置換ゼオライトマトリクス懸濁液1μリットルを滴下し、混合させた後、室温で乾燥させることにより、結晶化処理を行い、結晶化された分析用試料を得た。
得られた分析用試料が載置されたステンレス基板を質量分析装置(waters社製、装置名MALDI micro MX)に導入し、レーザーを照射し、イオン化させて測定を行った。測定条件は以下の通りとした。
測定条件
レーザー:ナノ秒YAGレーザー
波長:266nm
パルスエネルギー:5J
分析で得られた結果のマススペクトルを図1に示す。
【実施例】
【0024】
〔実施例2〕
実施例1の試料をマルトヘキサオースからマルトヘプタオースに変えた以外は実施例1と同様にして、分析を行った。
分析で得られた結果のマススペクトルを図1に示す。
【実施例】
【0025】
〔実施例3〕
アルカリ金属化合物を酢酸リチウムから酢酸ナトリウムに変えた以外は実施例1と同様にして酸化物固体を得、実施例1と同様にして分析用試薬組成物を得、分析を行った。
分析で得られた結果のマススペクトルを図2に示す。
【実施例】
【0026】
〔実施例4〕
アルカリ金属化合物を酢酸リチウムから酢酸カリウムに変えた以外は実施例1と同様にして酸化物固体を得、実施例1と同様にして分析用試薬組成物を得、分析を行った。
分析で得られた結果のマススペクトルを図2に示す。
【実施例】
【0027】
〔実施例5〕
アルカリ金属化合物を酢酸リチウムから酢酸セシウムに変えた以外は実施例1と同様にして酸化物固体を得、実施例1と同様にして分析用試薬組成物を得、分析を行った。
分析で得られた結果のマススペクトルを図2に示す。
【実施例】
【0028】
〔実施例6〕
微量成分をマルトヘキサオースからアセチルサリチル酸に変えた以外は実施例1と同様にして、分析を行った。
分析で得られた結果のマススペクトルを図3に示す。
【実施例】
【0029】
〔比較例1〕
リチウム置換ゼオライトマトリクス懸濁液を用いない以外は実施例6と同様にして、分析を行った。
分析で得られた結果のマススペクトルを図3に示す。
【実施例】
【0030】
〔比較例2〕
分析用試薬組成物を用いない以外は実施例6と同様にして、分析を行った。
分析で得られた結果のマススペクトルを図3に示す。
【実施例】
【0031】
〔実施例7〕
微量成分をアセチルサリチル酸からフェノバルビタールに変えた以外は実施例6と同様にして、分析を行った。
分析で得られた結果のマススペクトルを図3に示す。
【実施例】
【0032】
〔実施例8〕
アルカリ金属化合物を酢酸リチウムから酢酸ナトリウムに変えた以外は実施例7と同様にして酸化物固体を得、実施例7と同様にして分析用試薬組成物を得、分析を行った。
分析で得られた結果のマススペクトルを図4に示す。
【実施例】
【0033】
〔実施例9〕
アルカリ金属化合物を酢酸リチウムから酢酸カリウムに変えた以外は実施例7と同様にして酸化物固体を得、実施例7と同様にして分析用試薬組成物を得、分析を行った。
分析で得られた結果のマススペクトルを図4に示す。
【実施例】
【0034】
以下、分析結果について説明する。
図1は本発明の分析用試薬組成物と分析方法を用いて行った分析の結果を示すチャートである。
従来法では検出が困難であったマルトヘキサオース(実施例1、図1のチャート(a))m/z=998[m+Li])及びマルトヘプタオース(実施例2、図1のチャート(b))の両方で明瞭なシグナルが検出されている。このことから本発明の分析用試薬組成物及び分析方法が従来検出困難であった微量成分の検出に有用であることがわかる。
【実施例】
【0035】
図2は本発明の分析用試薬組成物において用いられる酸化物固体のアルカリ金属原子を比較した結果を示すチャートである。
アルカリ金属としてナトリウム(実施例3、図2のチャート(a))m/z=1013[m+Na])、カリウム(実施例4、図2のチャート(b))m/z=1030[m+K])、セシウム(実施例5、図2のチャート(c))m/z=1124[m+Cs])のすべてで明瞭なシグナルが検出されている。このことから本発明の分析用試薬組成物及び分析方法が有用であることがわかる。
【実施例】
【0036】
図3は本発明の分析用試薬組成物を用い、従来MALDI法では測定が困難なアセチルサリチル酸(ASA)を微量成分として分析した結果を示すチャートである。
比較対象としてアセチルサリチル酸(ASA)を一般的に用いられるマトリクスTHAPのみを用いて、従来法MALDIにより測定した。その結果、ASAに関連したピークは観測できなかった(比較例1、図3のチャート(a))。
また、試薬を用いずにASA単体の結晶を測定した場合でも、僅かにm/z=203, 219にASAに不純物として混入したNa,Kが付着したピークが観測されるもののASAのピークは観測することが難しく、(比較例2、図3のチャート(b))良好な分析が可能であるとは言えないことがわかる。
これに対して、Li置換ゼオライトを用いた本発明の分析用試薬組成物を用いた場合にはASAが観測できている(実施例6、図3のチャート(c))のがわかる。
また、フェノバルビタール(睡眠薬)も従来MALDI法では全く検出できない試料だが、m/z=239にLi付加体として極めて強く観測できている(実施例7、図3のチャート(c))。
【実施例】
【0037】
図4は本発明の分析用試薬組成物において用いられる酸化物固体のアルカリ金属原子を比較した結果を示すチャートである。
試料として従来MALDI法では測定が困難なASAを用いた。比較例1のチャート(図4のチャート(a))に比して、Na置換ゼオライを酸化物固体として用いた場合(実施例8、図4のチャート(b)、m/z=203,225)及びK置換ゼオライトを酸化物固体として用いた場合にASAが観測できている(実施例9、図4のチャート(c)、m/z=219,257)のがわかる。
【実施例】
【0038】
図1から図4に示す結果から明らかなように、 本発明の分析用試薬組成物及びこれを用いた分析方法は、従来の分析方法では分析不可能であった物質に対しても有効なものであり、高感度な質量分析方法であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の分析用試薬組成物及びこれを用いた分析方法は、
従来方法で検出できなかった微量試料の分析を行うことができるため、各種の分析を要する農業分野、輸出入管理、安全防犯分野等種々分野において活用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3