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明細書 :オーキシン生合成阻害剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6037277号 (P6037277)
公開番号 特開2014-118404 (P2014-118404A)
登録日 平成28年11月11日(2016.11.11)
発行日 平成28年12月7日(2016.12.7)
公開日 平成26年6月30日(2014.6.30)
発明の名称または考案の名称 オーキシン生合成阻害剤
国際特許分類 C07C  59/48        (2006.01)
C07C  59/64        (2006.01)
C07C  69/732       (2006.01)
C07C  69/736       (2006.01)
C07C 233/47        (2006.01)
C07D 409/04        (2006.01)
C07D 333/24        (2006.01)
C07D 303/48        (2006.01)
C07D 209/48        (2006.01)
C07D 209/08        (2006.01)
C07F   9/38        (2006.01)
A01N  37/38        (2006.01)
A01N  37/36        (2006.01)
A01N  43/20        (2006.01)
A01N  43/10        (2006.01)
A01N  57/22        (2006.01)
A01N  43/38        (2006.01)
A01N  37/46        (2006.01)
A01P  21/00        (2006.01)
A01P  13/02        (2006.01)
FI C07C 59/48
C07C 59/64 CSP
C07C 69/732 Z
C07C 69/736
C07C 233/47
C07D 409/04
C07D 333/24
C07D 303/48
C07D 209/48
C07D 209/08
C07F 9/38 Z
A01N 37/38
A01N 37/36
A01N 43/20
A01N 43/10 B
A01N 57/22 E
A01N 43/38
A01N 37/46
A01P 21/00
A01P 13/02
請求項の数または発明の数 8
全頁数 38
出願番号 特願2012-277116 (P2012-277116)
出願日 平成24年12月19日(2012.12.19)
審査請求日 平成27年8月11日(2015.8.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
発明者または考案者 【氏名】嶋田 幸久
【氏名】山崎 千秋
【氏名】奈良 恵
【氏名】添野 和雄
【氏名】喜久里 貢
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100101904、【弁理士】、【氏名又は名称】島村 直己
【識別番号】100180862、【弁理士】、【氏名又は名称】花井 秀俊
審査官 【審査官】早乙女 智美
参考文献・文献 国際公開第2009/007013(WO,A1)
特表2012-522830(JP,A)
国際公開第2010/116342(WO,A1)
中国特許出願公開第1651411(CN,A)
国際公開第2012/076435(WO,A1)
特開2008-149213(JP,A)
国際公開第2011/079102(WO,A1)
特開平04-217954(JP,A)
特開2004-331650(JP,A)
国際公開第2008/150031(WO,A1)
国際公開第2012/118216(WO,A1)
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調査した分野 C07C
C07D
A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の化合物:
【化1】
JP0006037277B2_000024t.gif
からなる群より選択される化合物又はその塩。
【請求項2】
【化2】
JP0006037277B2_000025t.gif
である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
下記の化合物:
【化3】
JP0006037277B2_000026t.gif
JP0006037277B2_000027t.gifからなる群より選択される化合物又はその塩を有効成分として含むオーキシン生合成阻害剤。
【請求項4】
【化4】
JP0006037277B2_000028t.gif
である化合物又はその塩を有効成分として含む、請求項3に記載のオーキシン生合成阻害剤。
【請求項5】
望ましくない植物を防除するために使用される、請求項3又は4に記載のオーキシン生合成阻害剤。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるオーキシンの生合成を阻害する方法。
【請求項7】
請求項3又は4に記載のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物の成長を調節する方法。
【請求項8】
請求項3又は4に記載のオーキシン生合成阻害剤で望ましくない植物を処理することを含む、該望ましくない植物の除草方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規オーキシン生合成阻害剤に関する。本発明はまた、前記阻害剤の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オーキシンは、植物の発生、成長、分化及び様々な環境応答に関与することが知られている植物ホルモンである。天然オーキシンとしては、インドール-3-酢酸(IAA)が最も普遍的に分布していることが知られている。また、インドール-3-酪酸(IBA)及び4-クロロインドール-3-酢酸(4-Cl-IAA)等の他の天然オーキシンも知られている。
【0003】
主要な天然オーキシンであるIAAは、化学的に非常に不安定である。また、植物体内においては、IAAを分解するIAAの代謝経路が存在する。このため、農業及び植物化学の分野では、農薬又は植物化学調節剤として合成オーキシンが広く用いられている。合成オーキシンとしては、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、1-ナフタレン酢酸(NAA)及び2-メチル-4-クロロフェノキシ酪酸(MCPB)等が知られている。例えば、2,4-Dは、除草剤及び植物の組織培養試薬として使用されている。MCPBは、水田広葉雑草に対する選択的除草剤として使用されている。
【0004】
オーキシンは、複数の経路によって生合成されることが知られている。しかしながら、オーキシンすなわちIAAの生合成経路の全体像は、いまだに確定されていない。現在までに、大別すると、L-トリプトファンを経由する経路と経由しない経路(非トリプトファン経路)との2つの経路が存在することが確認されている。L-トリプトファンを経由する経路は、さらに4つ以上の経路に分岐し、それぞれの経路が異なる生合成酵素によって触媒されている。
【0005】
前記のように、オーキシンの生合成経路は非常に複雑である。また、主要な生合成前駆体として、芳香族アミノ酸であるL-トリプトファンが利用されている。例えば、公知の除草剤であるグリホサートは、芳香族アミノ酸の生合成に関与する酵素である5-エノールピルビル-3-ホスホシキミ酸シンターゼ(EPSPS)を阻害する。このため、グリホサートは、EPSPSの下流に位置する芳香族アミノ酸及び/又は他の二次代謝産物の生合成に広く影響を与えることにより、除草活性を発現する。しかしながら、前記のように幅広い代謝産物の生合成に影響を与える酵素の阻害剤の場合、標的とする化合物以外の代謝産物の生合成にも悪影響を与える可能性がある。このため、オーキシンの生合成経路のうち、特定の経路を特異的に阻害する化合物の開発が行われた。例えば、特許文献1は、L-α-(2-アミノエトキシビニル)グリシン(AVG)、L-アミノオキシフェニルプロピオン酸(L-AOPP)、アミノオキシ酢酸(AOA)及び2-アミノオキシイソ酪酸(AOIBA)のようなオーキシン生合成阻害剤を記載する。特許文献2は、L-AOPPのフェニル基、カルボキシル基及びアミノオキシ基を修飾した新規オーキシン生合成阻害剤を記載する。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】国際公開2008/150031号パンフレット
【特許文献2】国際公開2012/118216号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のようなオーキシン生合成阻害剤には、いくつかの問題が存在した。例えば、L-AOPPは、安定性が低く、植物培地に添加した場合に植物の成長阻害効果を持続的に発現することが困難である。また、L-AOPPは、フェニルプロパノイドの主要な生合成酵素として知られるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の阻害剤として使用される化合物である。このため、L-AOPPは、オーキシン生合成だけでなく、アントシアニン、フラボノイド及びリグニンのようなフェニルプロパノイド系の二次代謝産物、並びに植物ホルモンであるサリチル酸の生合成も阻害する可能性がある。
【0008】
前記の問題に鑑み、本発明者らは、公知のオーキシン生合成阻害剤と比較して基質特異性、浸透性及び安定性が向上し、且つ副作用が軽減した新規オーキシン生合成阻害剤を開発した(特許文献2)。しかしながら、これらの新規オーキシン生合成阻害剤は、さらなる改良の余地が存在した。
【0009】
それ故、本発明は、公知のオーキシン生合成阻害剤と比較して優れた特性を備える新規オーキシン生合成阻害剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、L-AOPPの骨格に含まれるアミノオキシ基を、窒素原子を含まない基に置換することにより、オーキシン生合成阻害活性をさらに向上できることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 式(I):
【化1】
JP0006037277B2_000002t.gif
[式中、n、Ar、A、B、R1、R2、R3、R4及びR5は、以下の[a]~[f]のいずれかを満たす:
[a]
nは、1であり、
Arは、非置換若しくは2個以上のハロゲンで置換されたビフェニル、フェニルで置換されたチエニル、又は非置換若しくはC1~C5アルコキシで置換されたナフチルであり、
A及びBは、単結合であり、
R1及びR2は、水素であり、
Arが、非置換若しくは2個以上のハロゲンで置換されたビフェニル又はフェニルで置換されたチエニルのとき、
R3は、ヒドロキシルであり、
R4は、水素又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルであり、
R5は、カルボン酸又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルであり、
Arが、非置換のナフチルのとき、
R3は、ヒドロキシルであり、
R4は、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルであり、
R5は、カルボン酸であり、
Arが、C1~C5アルコキシで置換されたナフチルのとき、
R3は、ヒドロキシルであり、
R4は、水素であり、
R5は、カルボン酸である。
[b]
nは、1であり、
Arは、ナフタレン-1-イルであり、
Aは、-O-CH2-又は-O-であり、
R1及びR3は、水素であり、
R2及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニレンを形成し、
R5は、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルであり、
Aが、-O-CH2-のとき、
Bは、単結合又は-CH2-であり、
Aが、-O-のとき、
Bは、-CH2-である。
[c]
nは、1であり、
Arは、5-フェニルチエン-2-イル、又は非置換若しくはC1~C5アルコキシで置換されたナフチルであり、
Arが、5-フェニルチエン-2-イルのとき、
A及びBは、単結合であり、
R1及びR3は、水素であり、
R2及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってエポキシを形成し、
R5は、カルボン酸又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルであり、
Arが、非置換若しくはC1~C5アルコキシで置換されたナフチルのとき、
Aは、ビニレンであり、
Bは、単結合であり、
R1及びR3は、水素であり、
R2及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってエポキシを形成し、
R5は、カルボン酸又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルである。
[d]
nは、1であり、
Arは、非置換のナフチル又は非置換のインドリルであり、
A及びBは、単結合であり、
R3及びR4は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になってビニリデンを形成し、
Arが、非置換のナフチルのとき、
R1及びR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し、
R5は、ホスホン酸であり、
Arが、非置換のインドリルのとき、
R1及びR2は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し、
R5は、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルである。
[e]
nは、1であり、
Arは、非置換のナフチルであり、
Aは、-O-CH2-であり、
Bは、単結合であり、
R1は、水素であり、
R2及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニレンを形成し、
R3は、置換若しくは非置換のC1~C5アシルアミノであり、
R5は、カルボン酸又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのエステルである。
[f]
nは、0であり、
Arは、非置換のナフチルであり、
A及びBは、単結合であり、
R1及びR2は、水素であり、
R5は、N-ヒドロキシフタル酸イミドとのカルボン酸エステルである。]
で表される化合物又はその塩。
【0012】
(2) 式(I’):
【化2】
JP0006037277B2_000003t.gif
[式中、n’、Ar’、A’、B’、R1’、R2’、R3’、R4’及びR5’は、以下の[a’]~[g’]のいずれかを満たす:
[a’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’及びB’は、単結合であり、
R1’及びR2’は、水素であり、
R3’は、ヒドロキシルであり、
R4’は、水素又は置換若しくは非置換アルキルであり、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルである。
[b’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、-O-CH2-又は-O-であり、
B’は、単結合又は-CH2-であり、
R1’及びR3’は、水素であり、
R2’及びR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニレンを形成し、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルである。
[c’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合、ビニレン又はカルボニルであり、
B’は、単結合であり、
R1’及びR3’は、水素であり、
R2’及びR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってエポキシ又はビニレンを形成し、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルである。
[d’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合又は-O-CH2-であり、
B’は、単結合であり、
R1’及びR2’は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し、
R3’及びR4’は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になってビニリデンを形成し、
R5’は、カルボン酸若しくはホスホン酸、又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸若しくはホスホン酸エステルである。
[e’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合又は-O-CH2-であり、
B’は、単結合であり、
R1’は、水素であり、
R2’及びR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニレンを形成し、
R3’は、アシルアミノであり、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルであるか、或いは
R3’及びR5’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってオキサゾール-5(4H)-オン環を形成する。
[f’]
n’は、0であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合又は-O-であり、
B’は、単結合であり、
R1’及びR2’は、水素であり、
R5’は、カルボン酸、N-ヒドロキシフタル酸イミドとのカルボン酸エステル又はカルボン酸ヒドラジドである。
[g’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合であり、
B’は、単結合又はメチレンであり、
R1’及びR2’は、水素であり、
R3’は、水素又はヒドロキシルであり、
R4’は、水素であり、
R5’は、ヒドロキシルである。]
で表される化合物又はその塩を有効成分として含むオーキシン生合成阻害剤。
【0013】
(3) 望ましくない植物を防除するために使用される、前記(2)に記載のオーキシン生合成阻害剤。
(4) 前記(2)に記載のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるオーキシンの生合成を阻害する方法。
【0014】
(5) 前記(2)に記載のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物の成長を調節する方法。
(6) 前記(2)に記載のオーキシン生合成阻害剤で望ましくない植物を処理することを含む、該望ましくない植物の除草方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、公知のオーキシン生合成阻害剤と比較して優れた特性を備える新規オーキシン生合成阻害剤を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、シロイヌナズナの内性IAA量の定量結果を示す図である。縦軸は、対照区の幼植物体の内性IAA量に基づく相対値を示す。
【図2-1】図2-1は、シロイヌナズナの生育試験における対照区及び各試験区の形態を示す図である。
【図2-2】図2-2は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図2-3】図2-3は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図2-4】図2-4は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図2-5】図2-5は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図2-6】図2-6は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図2-7】図2-7は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図2-8】図2-8は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図2-9】図2-9は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-1】図3-1は、イネの生育試験における対照区及び各試験区の形態を示す図である。
【図3-2】図3-2は、イネの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-3】図3-3は、イネの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-4】図3-4は、イネの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-5】図3-5は、イネの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-6】図3-6は、イネの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-7】図3-7は、イネの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-8】図3-8は、イネの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図4】図4は、実施例化合物及び参考例1の化合物の、シロイヌナズナの生育試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<1. 新規化合物>
本発明は、式(I):
【化3】
JP0006037277B2_000004t.gif
で表される化合物又はその塩若しくは溶媒和物に関する。

【0018】
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1~C5アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても5個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。好適なアルキルは、限定するものではないが、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル及びn-ペンチル等を挙げることができる。

【0019】
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なアルケニルは、限定するものではないが、例えばビニル、1-プロペニル、アリル、1-メチルエテニル(イソプロペニル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル及び1-ペンテニル等を挙げることができる。

【0020】
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルは、限定するものではないが、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル及び1-ペンチニル等を挙げることができる。

【0021】
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3~C6シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても6個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等を挙げることができる。

【0022】
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等を挙げることができる。

【0023】
本明細書において、「シクロアルキニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルキニルは、限定するものではないが、例えばシクロブチニル、シクロペンチニル及びシクロヘキシニル等を挙げることができる。

【0024】
本明細書において、「ヘテロシクリル」は、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択されるヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクリルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等を挙げることができる。

【0025】
本明細書において、「アリール」は、6~15の炭素原子数を有する芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル及びアントリル(アントラセニル)等を挙げることができる。

【0026】
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル等を挙げることができる。

【0027】
本明細書において、「アリールアルケニル」は、前記アルケニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルケニルは、限定するものではないが、例えばスチリル等を挙げることができる。

【0028】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択されるヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等を挙げることができる。

【0029】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。

【0030】
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される1価基とカルボニルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばアセチル、プロピオニル及びベンゾイル等を挙げることができる。

【0031】
前記で説明した基は、それぞれ独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数のハロゲン、OH、NH2、NO2、C(O)Z(Zは水素、ヒドロキシル、NH2若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)、又は前記で説明した基から選択される1価基によってさらに置換することもできる。

【0032】
なお、本明細書において、「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。

【0033】
本発明者らは、オーキシン生合成阻害活性を有する化合物を探索した。その結果、高いオーキシン生合成阻害活性を有する化合物として、式(I)又は式(I’)で表される化合物を見出した。このうち、式(I)で表される化合物は、本発明者らが見出した新規化合物である。

【0034】
式(I)で表される化合物において、n、Ar、A、B、R1、R2、R3、R4及びR5は、以下の[a]~[f]のいずれかを満たすことが必要である。
[a]
nは、1であり、
Arは、非置換若しくは2個以上のハロゲンで置換されたビフェニル、フェニルで置換されたチエニル、又は非置換若しくはC1~C5アルコキシで置換されたナフチルであり、
A及びBは、単結合であり、
R1及びR2は、水素であり、
Arが、非置換若しくは2個以上のハロゲンで置換されたビフェニル又はフェニルで置換されたチエニルのとき、
R3は、ヒドロキシルであり、
R4は、水素又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルであり、
R5は、カルボン酸又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルであり、
Arが、非置換のナフチルのとき、
R3は、ヒドロキシルであり、
R4は、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルであり、
R5は、カルボン酸であり、
Arが、C1~C5アルコキシで置換されたナフチルのとき、
R3は、ヒドロキシルであり、
R4は、水素であり、
R5は、カルボン酸である。
[b]
nは、1であり、
Arは、ナフタレン-1-イルであり、
Aは、-O-CH2-又は-O-であり、
R1及びR3は、水素であり、
R2及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニレンを形成し、
R5は、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルであり、
Aが、-O-CH2-のとき、
Bは、単結合又は-CH2-であり、
Aが、-O-のとき、
Bは、-CH2-である。
[c]
nは、1であり、
Arは、5-フェニルチエン-2-イル、又は非置換若しくはC1~C5アルコキシで置換されたナフチルであり、
Arが、5-フェニルチエン-2-イルのとき、
A及びBは、単結合であり、
R1及びR3は、水素であり、
R2及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってエポキシを形成し、
R5は、カルボン酸又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルであり、
Arが、非置換若しくはC1~C5アルコキシで置換されたナフチルのとき、
Aは、ビニレンであり、
Bは、単結合であり、
R1及びR3は、水素であり、
R2及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってエポキシを形成し、
R5は、カルボン酸又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルである。
[d]
nは、1であり、
Arは、非置換のナフチル又は非置換のインドリルであり、
A及びBは、単結合であり、
R3及びR4は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になってビニリデンを形成し、
Arが、非置換のナフチルのとき、
R1及びR2は、それらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し、
R5は、ホスホン酸であり、
Arが、非置換のインドリルのとき、
R1及びR2は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し、
R5は、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルである。
[e]
nは、1であり、
Arは、非置換のナフチルであり、
Aは、-O-CH2-であり、
Bは、単結合であり、
R1は、水素であり、
R2及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニレンを形成し、
R3は、置換若しくは非置換のC1~C5アシルアミノであり、
R5は、カルボン酸又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのエステルである。
[f]
nは、0であり、
Arは、非置換のナフチルであり、
A及びBは、単結合であり、
R1及びR2は、水素であり、
R5は、N-ヒドロキシフタル酸イミドとのカルボン酸エステルである。

【0035】
式(I)において、Aが-O-CH2-の場合、AはOを介してArと結合していることが好ましい。
式(I)で表される化合物が前記[a]を満たす場合、Arは、2個のハロゲンで置換されたビフェニル、フェニルで置換されたチエニル、又は非置換若しくはメトキシで置換されたナフチルであることが好ましい。

【0036】
前記の場合において、Arが、2個のハロゲンで置換されたビフェニル又はフェニルで置換されたチエニルのとき、R4は、水素であることが好ましい。R5は、カルボン酸又はカルボン酸のメチルエステルであることがより好ましい。

【0037】
前記の場合において、Arが、非置換のナフチルのとき、R4は、メチルであることが好ましい。R5は、カルボン酸であることが好ましい。

【0038】
前記の場合において、Arが、メトキシで置換されたナフチルのとき、R4は、水素であることが好ましい。R5は、カルボン酸であることが好ましい。

【0039】
式(I)で表される化合物が前記[b]を満たす場合、R5は、カルボン酸のメチルエステルであることが好ましい。

【0040】
式(I)で表される化合物が前記[c]を満たす場合、Arは、5-フェニルチエン-2-イル、又は非置換若しくはメトキシで置換されたナフチルであることが好ましい。R5は、カルボン酸又はカルボン酸のメチルエステルであることが好ましい。

【0041】
式(I)で表される化合物が前記[d]を満たす場合、Arが、非置換のナフチルのとき、R3及びR4は、水素であることが好ましい。

【0042】
前記の場合において、Arが、非置換のインドリルのとき、R1及びR2は、水素であることが好ましい。R3及びR4は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニリデンを形成することが好ましい。R5は、カルボン酸のメチルエステルであることが好ましい。

【0043】
式(I)で表される化合物が前記[e]を満たす場合、R3は、アセチルアミノであることが好ましい。R5は、カルボン酸又はカルボン酸のメチルエステルであることが好ましい。

【0044】
特に好ましい式(I)で表される化合物は、下記の化合物からなる群より選択される。

【0045】
【化4】
JP0006037277B2_000005t.gif

【0046】
なお、本明細書において、式(I)又は以下で説明する(I’)で表される化合物のうち、前記[a]又は下記[a’]を満たす化合物群を「乳酸型化合物」、前記[b]又は下記[b’]を満たす化合物群を「ビニルエーテル型化合物」、前記[c]又は下記[c’]を満たす化合物群を「アクリル酸型化合物」、前記[d]~[f]又は下記[d’]~[g’]を満たす化合物群を「その他の型の化合物」とそれぞれ総称する場合がある。

【0047】
本発明の式(I)で表される化合物、及び以下で説明する式(I’)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。本発明の化合物の塩の対イオンとしては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン若しくはマグネシウムイオンのようなカチオン、又は塩化物イオン、臭化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、安息香酸イオン、アスコルビン酸イオン、パモ酸イオン、コハク酸イオン、ビスメチレンサリチル酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンジスルホン酸イオン、プロピオン酸イオン、酒石酸イオン、サリチル酸イオン、クエン酸イオン、グルコン酸イオン、アスパラギン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、イタコン酸イオン、グリコール酸イオン、p-アミノ安息香酸イオン、グルタミン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、シクロヘキシルスルファミン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、イセチオン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン又は過塩素酸イオンのようなアニオンが好ましい。本発明の化合物が前記の対イオンとの塩の形態である場合、オーキシン生合成阻害活性を実質的に低下させることなく該化合物を使用することができる。

【0048】
本発明の式(I)で表される化合物、及び以下で説明する式(I’)で表される化合物は、前記又は下記の化合物自体だけでなく、その溶媒和物も包含する。本発明の化合物と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン若しくは酢酸エチルのような有機溶媒、又は水が好ましい。本発明の化合物が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合、オーキシン生合成阻害活性を実質的に低下させることなく該化合物を使用することができる。

【0049】
また、本発明の化合物が1又は複数の立体中心(キラル中心)を有する場合、本発明の式(I)で表される化合物、及び以下で説明する式(I’)で表される化合物は、該化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のようなそれらの混合物も包含する。

【0050】
前記特徴を有することにより、式(I)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を発現することができる。

【0051】
<2. オーキシン生合成阻害剤>
本発明はまた、(I’):
【化5】
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で表される化合物又はその塩を有効成分として含むオーキシン生合成阻害剤に関する。

【0052】
式(I’)で表される化合物において、n’、Ar’、A’、B’、R1’、R2’、R3’、R4’及びR5’は、以下の[a’]~[g’]のいずれかを満たすことが必要である。
[a’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’及びB’は、単結合であり、
R1’及びR2’は、水素であり、
R3’は、ヒドロキシルであり、
R4’は、水素又は置換若しくは非置換アルキルであり、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルである。
[b’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、-O-CH2-又は-O-であり、
B’は、単結合又は-CH2-であり、
R1’及びR3’は、水素であり、
R2’及びR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニレンを形成し、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルである。
[c’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合、ビニレン又はカルボニルであり、
B’は、単結合であり、
R1’及びR3’は、水素であり、
R2’及びR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってエポキシ又はビニレンを形成し、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルである。
[d’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合又は-O-CH2-であり、
B’は、単結合であり、
R1’及びR2’は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し、
R3’及びR4’は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になってビニリデンを形成し、
R5’は、カルボン酸若しくはホスホン酸、又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸若しくはホスホン酸エステルである。
[e’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合又は-O-CH2-であり、
B’は、単結合であり、
R1’は、水素であり、
R2’及びR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニレンを形成し、
R3’は、アシルアミノであり、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルであるか、或いは
R3’及びR5’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってオキサゾール-5(4H)-オン環を形成する。
[f’]
n’は、0であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合又は-O-であり、
B’は、単結合であり、
R1’及びR2’は、水素であり、
R5’は、カルボン酸、N-ヒドロキシフタル酸イミドとのカルボン酸エステル又はカルボン酸ヒドラジドである。
[g’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合であり、
B’は、単結合又はメチレンであり、
R1’及びR2’は、水素であり、
R3’は、水素又はヒドロキシルであり、
R4’は、水素であり、
R5’は、ヒドロキシルである。

【0053】
式(I’)において、A’が-O-CH2-の場合、A’はOを介してAr’と結合していることが好ましい。

【0054】
式(I’)において、Ar’は、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換アルキル、アルコキシ若しくはアリールで置換されたアリール或いはヘテロアリールであることが好ましく、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C1~C5アルコキシ若しくはアリールで置換されたアリール或いはヘテロアリールであることがより好ましく、1若しくは複数のハロゲン、メトキシ若しくはフェニルで置換されたフェニル、ビフェニル、チエニル又はナフチルであることが特に好ましい。

【0055】
式(I’)で表される化合物が前記[a’]を満たす場合、Ar’は、前記の基から選択されることが好ましい。R4’は、水素又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルであることが好ましく、水素又はメチルであることがより好ましい。R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルであることが好ましく、カルボン酸又はカルボン酸のメチルエステルであることがより好ましい。

【0056】
式(I’)で表される化合物が前記[b’]又は[c’]を満たす場合、Ar’は、前記の基から選択されることが好ましい。R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルであることが好ましく、カルボン酸又はカルボン酸のメチルエステルであることがより好ましい。

【0057】
式(I’)で表される化合物が前記[d’]を満たす場合、Ar’は、前記の基から選択されることが好ましい。R5’は、カルボン酸若しくはホスホン酸、又は置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸若しくはホスホン酸エステルであることが好ましく、カルボン酸若しくはホスホン酸、又はカルボン酸若しくはホスホン酸のメチル若しくはエチルエステルであることがより好ましい。

【0058】
式(I’)で表される化合物が前記[e’]を満たす場合、Ar’は、前記の基から選択されることが好ましい。R3’は、置換若しくは非置換のC1~C5アシルアミノであることが好ましく、アセチルアミノであることがより好ましい。R5’が、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルである場合、該カルボン酸エステルは、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルとのカルボン酸エステルであることが好ましく、カルボン酸のメチルエステルであることがより好ましい。

【0059】
式(I’)で表される化合物が前記[f’]を満たす場合、Ar’は、前記の基から選択されることが好ましい。A’が、単結合である場合、R5’は、N-ヒドロキシフタル酸イミドとのカルボン酸エステル又はカルボン酸ヒドラジドであることが好ましい。A’が、-O-である場合、R5’は、カルボン酸であることが好ましい。

【0060】
特に好ましい式(I’)で表される化合物は、下記の化合物からなる群より選択される。
【化6】
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【0061】
本発明の式(I)又は式(I’)で表される化合物は、植物体の内性IAA量を低下させ、且つ/又は植物体の生育(例えば幼植物体の主根若しくは種子根伸長)を阻害することができる。特に、式(I)又は式(I’)で表される化合物が乳酸型化合物、ビニルエーテル型及びアクリル酸型化合物のいずれかである場合、従来技術のオーキシン生合成阻害剤と比較して、植物体の内性IAA量を顕著に低下させることができるだけでなく、植物体の生育を顕著に阻害することができる。

【0062】
前記特徴を有することにより、式(I’)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を発現することができる。

【0063】
本発明のオーキシン生合成阻害剤は、有効成分である式(I’)で表される化合物に加えて、農業上許容される担体及び場合により1種以上の農業上許容される補助剤を含んでもよい。この場合、本発明のオーキシン生合成阻害剤は、有効成分である式(I’)で表される化合物、並びに農業上許容される担体及び1種以上の農業上許容される補助剤を含む農業化学組成物として提供される。

【0064】
農業上許容される担体としては、水、ケロセン若しくはディーゼル油のような鉱油画分、植物若しくは動物由来の油、環状若しくは芳香族炭化水素(例えばパラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン類若しくはそれらの誘導体、又はアルキル化ベンゼン類若しくはそれらの誘導体)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又はシクロヘキサノール)、ケトン(例えばシクロヘキサノン)、アミン(例えばN-メチルピロリドン)、又はこれらの混合物のような農業上許容される液体担体が好ましい。

【0065】
農業上許容される補助剤としては、例えば、固体担体、不活性補助剤、界面活性剤(例えば、分散剤、保護コロイド、乳化剤及び湿展剤)、有機若しくは無機の増粘剤、殺菌剤、不凍剤、消泡剤又は着色剤が好ましい。

【0066】
オーキシンは、植物に普遍的に存在することが知られている。それ故、本発明のオーキシン生合成阻害剤は、被子植物及び裸子植物を含む様々な植物に対して適用することができる。本発明のオーキシン生合成阻害剤を適用し得る植物としては、限定するものではないが、例えば、シロイヌナズナ及びアブラナのようなアブラナ科植物、イネ、トウモロコシ、コムギ及びオオムギのようなイネ科植物、ダイズのようなマメ科植物、ブドウのようなブドウ科植物、トマトのようなナス科植物、並びにモモ及びリンゴのようなバラ科植物等の望ましい植物(例えば作物植物)を挙げることができる。或いは、以下で説明するように、本発明のオーキシン生合成阻害剤を望ましくない植物の防除に使用する場合、オーキシン生合成阻害剤を適用し得る植物としては、限定するものではないが、例えば、イヌビエ及びタイヌビエのようなイネ科雑草、コナギ及びヤナギタデのような広葉雑草、タマガヤツリ及びミズガヤツリのようなカヤツリグサ科雑草等の望ましくない植物(例えば雑草)を挙げることができる。前記のような植物に本発明のオーキシン生合成阻害剤を適用することにより、植物体におけるオーキシン生合成を阻害することが可能となる。

【0067】
本発明の式(I)又は式(I’)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有する。それ故、本発明はまた、本発明のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるオーキシンの生合成を阻害する方法に関する。本発明の方法において、オーキシン生合成阻害剤で処理する植物は、前記で挙げた望ましい植物及び/又は望ましくない植物であることが好ましい。

【0068】
本明細書において、「オーキシンの生合成阻害」及び「オーキシン生合成阻害活性」は、植物体においてオーキシンの生合成に関与する酵素反応の少なくとも1個を阻害すること、又はそのような活性を意味する。すでに説明したように、植物の内性オーキシンとして最も主要な化合物であるインドール3-酢酸(IAA)の生合成経路には、L-トリプトファンを経由する経路と経由しない経路(非トリプトファン経路)との2つの経路が存在する。公知のオーキシン生合成阻害剤であるL-AOPPは、フェニルプロパノイドの主要な生合成酵素として知られるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を阻害する。このため、L-AOPPは、PALの下流に位置するフェニルプロパノイド系の二次代謝産物の生合成も阻害し得る。これに対し、本発明の化合物は、L-トリプトファンを経由するIAA生合成経路のいずれかを触媒する酵素反応を阻害すると考えられる。それ故、本発明の化合物により、他の二次代謝産物の産生量に実質的な影響を与えることなく、植物体における内性IAA量を特異的に低下させることができる。

【0069】
なお、植物体における内性IAA量は、添野らの文献(Plant Cell Physiol., 2010年, 第51巻, p. 524-536)を参照することにより、測定することができる。

【0070】
オーキシンは、植物の発生、成長、分化及び様々な環境応答に関与することが知られている。また、オーキシンは、植物体において、エチレン、ジベレリン、アブシジン酸及びサイトカイニン等の他の植物ホルモンと相互に関連(クロストーク)して様々な生理作用を調節していることが知られている。それ故、本発明はまた、本発明のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物の成長を調節する方法に関する。本明細書において、「植物の成長を調節する」は、植物の成長に何らかの影響を与えることを意味する。ここで、植物の成長に与えられる影響とは、植物の成長に対する促進的効果及び抑制的効果のいずれも包含する。前記植物の成長を調節する作用は、例えば、望ましい植物の生育促進作用(例えば、根長の成長促進)であることが好ましい。或いは、前記植物の成長を調節する作用は、オーキシン及びエチレンのクロストークに基づく作用(例えば、落葉若しくは落果の抑制、花卉の老化抑制又は果実の成熟抑制)であることが好ましい。前記植物の成長を調節する作用は、花卉の老化抑制又は果実の成熟抑制のような、植物の鮮度保持であることがより好ましい。前記の場合において、本発明のオーキシン生合成阻害剤で処理される植物は、前記で説明した植物であることが好ましく、前記で説明した望ましい植物であることがより好ましい。本発明のオーキシン生合成阻害剤で前記の望ましい植物を処理することにより、該植物の生育を促進するか、且つ/又は該植物の鮮度を保持することができる。

【0071】
本発明のオーキシン生合成阻害剤は、望ましくない植物のオーキシン生合成を阻害することにより、該植物の生育を阻害(例えば、根伸長阻害、殺草、枯死又は発芽阻害)することができる。それ故、本発明はまた、本発明のオーキシン生合成阻害剤で望ましくない植物を処理することを含む、該望ましくない植物の除草方法に関する。この場合、本発明のオーキシン生合成阻害剤は、望ましくない植物を防除するために使用される。前記の場合において、本発明のオーキシン生合成阻害剤で処理される植物は、前記で説明した望ましくない植物であることが好ましい。本発明のオーキシン生合成阻害剤で前記の望ましくない植物を処理することにより、該植物の生育を阻害して、該植物を防除することができる。

【0072】
本発明のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理する場合、当該技術分野で通常使用される農薬の剤形及び施用方法を用いることができる。好適な剤形としては、例えば、乳剤、水和剤、液剤、水溶剤、粉剤、粉末剤、ペースト剤及び粒剤等を挙げることができる。好適な施用方法としては、例えば、散布、散粉、噴霧、浸漬及び塗布等を挙げることができる。

【0073】
以上のように、本発明のオーキシン生合成阻害剤は、植物体におけるオーキシンの生合成を特異的に阻害することができる。それ故、本発明のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することにより、植物の成長を調節することが可能となる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0075】
<I:化合物の合成>
[I-1:KOK3017の合成]
【化7】
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【実施例】
【0076】
2-ヒドロキシ-3-(6-メトキシナフタレン-2-イル)プロパン酸メチル(100 mg, 0.384 mmol)をメタノール(2 ml)に溶解させた。得られた溶液に2 N水酸化ナトリウム水溶液(1 ml)を加え、該混合物を室温で4時間撹拌した。前記反応液に2 N塩酸を加えてpH 1にし、該反応液を減圧下で濃縮した。得られた固体を水に懸濁させ、濾取した。濾取された残渣を減圧下で乾燥し、表題化合物(白色結晶87 mg,92%)を得た。
1H-NMR (DMSO, 270 MHz) δppm: 2.89 (1H, dd, J = 13.8, 8.2 Hz), 3.10 (1H, dd, J = 13.8, 4.5 Hz), 3.85 (3H, s), 4.19 (1H, dd, J = 8.2, 4.5 Hz), 7.09-7.38 (3H, m), 7.64 (1H, s), 7.72 (1H, d, J = 7.7 Hz), 7.74 (1H, d, J = 8.6 Hz).
【実施例】
【0077】
[I-2:KOK3016の合成]
【化8】
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【実施例】
【0078】
2-ヒドロキシ-2-メチル-3-(ナフタレン-2-イル)プロピオン酸メチル(100 mg,0.409 mmol)をメタノールに溶解させた。得られた溶液に2 N水酸化ナトリウム水溶液(1 ml)を加え、該混合物を室温で4時間撹拌した。反応液を、減圧下で濃縮し、2 N塩酸を用いてpH 1に調整した。析出した固体を濾取した。濾取された残渣を減圧下で乾燥し、表題化合物(白色結晶68 mg,72%)を得た。
1H-NMR (DMSO, 270 MHz) δppm: 1.28 (3H, s), 3.00 (1H, d, J = 13.4 Hz), 3.10 (1H, d, J = 13.4 Hz) 7.40-7.50 (3H, m), 7.70 (1H, s), 7.77-7.87 (3H, m).
【実施例】
【0079】
[I-3:KOK3096の合成]
【化9】
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【実施例】
【0080】
3-(4-ブロモフェニル)-2-ヒドロキシプロピオン酸メチル(500 mg,1.93 mmol)、3,5-ジクロロフェニルボロン酸(442 mg,2.32 mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II), ジクロロメタン付加体 (79 mg)、炭酸カリウム(400 mg,2.90 mmol)及びジオキサン(10 ml)を、窒素雰囲気下、150℃で3時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、そのままシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製した。これにより、表題化合物(黄色油状物441 mg,70%)を得た。
【実施例】
【0081】
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm: 2.76 (1H, d, J = 5.8 Hz), 3.01 (1H, dd, J = 14.0, 6.9 Hz), 3.19 (1H, dd, J = 14.0, 4.3 Hz), 3.80 (3H, s), 4.45-4.53 (1H, m), 7.27-7.34 (3H, m), 7.43-7.50 (4H, m).
【実施例】
【0082】
[I-4:KOK3098の合成]
【化10】
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【実施例】
【0083】
水素化ナトリウム(60%)(255 mg,6.38 mmol)に、テトラヒドロフラン(5 ml)を加え撹拌した。得られた混合物に、5-フェニルチオフェン-2-カルボアルデヒド(1.00 g,5.31 mmol)、クロロ酢酸メチル(692 mg,6.38 mmol)及びテトラヒドロフラン(10 ml)の混合液を滴下し、室温で一晩撹拌した。反応液を氷冷し、1 M硫酸で中和後、ジクロロメタンで3回抽出した。得られた抽出物のジクロロメタン溶液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。前記溶液を濾過して、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、表題化合物(茶色結晶462 mg,33%)を得た。
【実施例】
【0084】
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm: 3.91 (3H, s), 6.38 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.81 (1H, d, J = 1.7 Hz), 7.22-7.31 (3H, m), 7.33-7.42 (2H, m), 7.60-7.66 (2H, m).
【実施例】
【0085】
[I-5:KOK3099の合成]
【化11】
JP0006037277B2_000013t.gif
【実施例】
【0086】
文献(Organic Letters, 2003年, 第5巻, 第24号, p. 4665-4668)に記載の方法にしたがって、表題化合物を合成した。
【実施例】
【0087】
前記反応で得られたKOK3098(434 mg,1.67 mmol)及びPd0-EnCat(登録商標)(0.4 mmol/g)(208 mg)を、酢酸エチル(10 ml)に溶解させた。得られた溶液に、トリエチルアミン(0.92 ml,6.67 mmol)、蟻酸(0.25 ml,6.67 mmol)を加えた。得られた反応液を、アルゴン雰囲気下、室温で一晩撹拌後、該反応液を濾過した。得られた濾液を、減圧下で濃縮した。その後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、表題化合物(黄色結晶178 mg,41%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm: 3.05-3.35 (3H, m), 3.76 (3H, s), 4.45 (1H, dd, J = 5.8, 4.3 Hz), 6.81 (1H, dt, J = 3.5, 0.8 Hz), 7.11 (1H, d, J = 3.5 Hz), 7.18-7.26 (1H, m), 7.28-7.37 (2H, m), 7.50-7.56 (2H, m).
【実施例】
【0088】
[I-6:KOK3083の合成]
【化12】
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【実施例】
【0089】
水素化ナトリウム(60%)(105 mg,2.63 mmol)及びTHF(6 ml)の溶液に、3-(ナフタレン-2-イル)アクリルアルデヒド(400 mg, 2.120 mmol)、クロロ酢酸メチル(286 mg, 2.63 mmol)及びTHF(4 ml)の溶液を滴下した。得られた溶液を、室温で1日間撹拌した。得られた溶液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。得られた有機相を、水で3回洗浄後、飽和食塩水で1回洗浄して、該有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた混合物を濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。その後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、表題化合物(黄色結晶190 mg,46%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm: 3.54 (1H, d, J = 1.8 Hz), 3.82 (4H, m), 5.98 (1H, dd, J = 16.0, 8.0 Hz), 6.99 (1H, d, J = 16.0 Hz), 7.42-7.55 (4H, m), 7.72-7.84 (3H, m).
【実施例】
【0090】
[I-7:KOK2174の合成]
【化13】
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【実施例】
【0091】
炭酸カリウム(959 mg,6.94 mmol)及び1-ナフトール(1.00 g, 6.94 mmol)を、アセトン(20 ml)に懸濁させた。得られた懸濁液を、0℃で15分間撹拌した。前記懸濁液を0℃で撹拌したまま、該懸濁液に、アセトン(20 ml)に溶解した4-ブロモクロトン酸メチル(85%)(1.46 g,6.94 mmol)を滴下し、2時間撹拌した。その後、前記懸濁液を、室温に戻して4時間撹拌した。得られた反応液を濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。その後、残渣にジエチルエーテルを加え、2 N水酸化ナトリウム水溶液及び水で洗浄して、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた混合物を濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。その後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、表題化合物(黄色油状物 1.257 g,75%)を得た。
【実施例】
【0092】
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm: 3.76 (3H, s), 4.83 (2H, dd, J = 4.0, 2.1 Hz), 6.33 (1H, dt, J = 15.7, 2.1 Hz), 6.74 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.18 (1H, dt, J = 15.8, 4.0 Hz), 7.33 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.47-7.50 (3H, m), 7.77-7.81 (1H, m), 8.28-8.31 (1H, m).
【実施例】
【0093】
[I-8:KOK3024の合成]
【化14】
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【実施例】
【0094】
KOK2174(900 mg,3.72 mmol)及び炭酸カリウム(1.027 g,7.43 mmol)にアセトン(20 ml)を加えた。得られた混合物を、8時間還流した。反応液を、減圧下で濃縮した。その後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、表題化合物(cis:無色油状物274 mg,30%,trans:黄色油状物27 mg,3%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm(cis): 3.43 (2H, dd, J = 7.1, 1.7 Hz), 3.73 (3H, s), 5.16 (1H, dt, J = 7.1, 6.1 Hz), 6.69 (1H, dt, J = 6.1, 1.7 Hz), 6.97 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.37 (1H, t, J = 7.6 Hz), 7.48-7.56 (3H, m), 7.79-7.85 (1H, m), 8.21-8.25 (1H, m).
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm(trans): 3.11 (2H, dd, J = 7.8, 1.2 Hz), 3.72 (3H, s), 5.58 (1H, dt, J = 12.2, 7.8 Hz), 6.69 (1H, dt, J = 12.2, 1.2 Hz), 6.97 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.37 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.45-7.58 (3H, m), 7.76-7.85 (1H, m), 8.18-8.26 (1H, m).
【実施例】
【0095】
[I-9:KOK2098の合成]
【化15】
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【実施例】
【0096】
窒素雰囲気下、(2-(ナフタレン-2-イル)-2-オキソエチル)ホスホン酸ジメチル(163 mg,0.586 mmol)をジクロロメタン(6 ml)に加えた。得られた混合物に、ブロモトリメチルシラン(0.61 ml,4.69 mmol)を滴下した。その後、前記混合物を、室温で21時間撹拌した。得られた反応液に窒素ガスを吹き付けることにより、該反応液を濃縮した。前記濃縮物に、水及びジクロロメタンを加えた。前記処理によって析出した結晶を濾取した。濾取された結晶を、エタノールに溶解させた。得られた溶液に含まれる不溶物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。これにより、表題化合物(白色結晶97 mg,66%)を得た。
1H-NMR (DMSO, 270 MHz) δppm: 3.62 (1H, s), 3.70 (1H, s), 7.59-7.71 (2H, m), 7.98-8.12 (4H, m), 8.71 (1H, s).
【実施例】
【0097】
[I-10:KOK2068の合成]
【化16】
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【実施例】
【0098】
2-ナフタレン酢酸(300 mg,1.61 mmol)及びN-ヒドロキシフタルイミド(263 mg,1.61 mmol)を、ジオキサン(10 ml)中で撹拌した。得られた混合物に、ジオキサン(10 ml)に懸濁させたWSCI(309 mg,1.61 mmol)を滴下した。その後、前記混合物を、2時間撹拌した。反応液を、減圧下で濃縮した。得られた残渣に、酢酸エチルを加え、水及び飽和食塩水で洗浄した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた混合物を濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、表題化合物(白色結晶173 mg,32%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm: 4.14 (2H, s), 7.43-7.50 (3H, m), 7.68-7.80 (2H, m), 7.82-7.87 (6H, m).
【実施例】
【0099】
[I-11:KOK3007の合成]
【化17】
JP0006037277B2_000019t.gif
【実施例】
【0100】
インドール(400 mg,3.41 mmol)及び水酸化カリウム(211 mg,3.76 mmol)を、ジメチルスルホキシド(5 ml)中で氷冷下撹拌した。得られた混合物に、2-(ブロモメチル)アクリル酸メチル(672 mg,3.76 mmol)を滴下した。滴下後、前記混合物を、室温に戻して4日間撹拌した。得られた反応液に、酢酸エチルを加え、水及び飽和食塩水で洗浄した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた混合物を濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。その後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、表題化合物(無色油状,20%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm: 3.80 (3H, s), 4.98 (2H, s), 5.15 (1H, s), 6.23 (1H, s), 6.54 (1H, d, J = 3.1 Hz), 7.08-7.27 (4H, m), 7.63 (1H, d, J =7.5 Hz).
【実施例】
【0101】
[I-12:KOK1128の合成]
【化18】
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【実施例】
【0102】
窒素雰囲気下、カリウムtert-ブトキシド(345 mg,3.07 mmol)にジクロロメタン(10 ml)を加えた。得られた混合物を-70℃で撹拌しながら、該混合物に、2-(アセチルアミノ)-ジメチルホスホノ酢酸メチル(735 mg,3.07 mmol)のジクロロメタン(10 ml)溶液を滴下した。その後、前記混合物を、-70℃のまま45分間撹拌した。得られた混合物に、2-(ナフタレン-1-イルオキシ)アセトアルデヒド(345 mg,3.07 mmol)のジクロロメタン(10 ml)溶液を滴下した。その後、前記混合物を、-70℃で2時間撹拌し、室温に戻した後、さらに5日間撹拌した。得られた反応液に水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。前記抽出物の酢酸エチル溶液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた混合物を濾過して、濾液を減圧下で濃縮した。得られた結晶を、ジクロロメタンで懸濁させながら洗浄した。その後、洗浄された結晶を濾取し、表題化合物(白色結晶673 mg,73%)を得た。
【実施例】
【0103】
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm: 2.19 (3H, s), 4.83 (3H, s), 4.87 (2H, d, J = 5.6 Hz), 6.80 (1H, d, J = 7.6 Hz), 6.92 (1H, t, J = 5.6 Hz), 7.20-7.53 (4H, m), 7.75-7.83 (1H, m), 8.22-8.31 (1H, m).
【実施例】
【0104】
<II:使用例>
[II-1:試験化合物]
以下の使用例では、下記の試験化合物を使用した。
(1)乳酸型化合物:化合物KOK3017、KOK3016、KOK3096、KOK3099、KOK2052BP、KOK2099、KOK2166、KOK3026、KOK3035、KOK3045及びKOK3033;
(2)ビニルエーテル型化合物:化合物KOK2174、KOK3024cis及びKOK3024trans;
(3)アクリル酸型化合物:化合物KOK3083、KOK3098、KOK2052BP2、KOK2103、KOK2169BP、KOK2073、KOK3009、KOK3012、KOK3019及びKOK3025;
(4)その他の型の化合物:化合物KOK2098、KOK3007、KOK1128、KOK2068、KOK2071、KOK2074、KOK2194、KOK2195、KOK3041、KOK2202、KOK2097、KOK3028及びKOK2140。
【実施例】
【0105】
[II-2:内性IAA量の定量試験]
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana L., Col-0)の種子を、培養プレートに調製した固体培地(0.8%寒天で固化させた1/2 MS培地、1.0%スクロースを含む)上に播種した。前記培養プレートを平置きで静置し、シロイヌナズナを連続白色光下、22℃で6日間栽培した。得られた幼植物体を、遠心チューブに調製した液体培地(1/2 MS培地、1.0%スクロースを含む)中で、連続白色光下、22℃で24時間振盪培養した。次いで、試験化合物(各30μM)を前記液体培地に添加し、連続白色光下、22℃で3時間振盪培養した。その後、幼植物体を回収し、該幼植物体中の内性IAA量を定量した。内性IAA量の定量は、添野らの文献(Plant Cell Physiol., 2010年, 第51巻, p. 524-536)に記載の方法に従い、LC-MS/MSを用いて行った。結果を図1に示す。
【実施例】
【0106】
図1に示すように、本発明の化合物のうち、乳酸型の化合物は、いずれもシロイヌナズナの内性IAA量を低下させた。同様の傾向は、ビニルエーテル型の化合物でも確認された。一方、アクリル酸型及びその他の型の化合物のうち、一部の化合物は、シロイヌナズナの内性IAA量に影響を与えなかった。
【実施例】
【0107】
[II-3:シロイヌナズナの生育試験]
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana L., Col-0)の種子を、培養プレートに調製した固体培地(0.8%寒天で固化させた1/2 MS培地、1.5%スクロース及び30μM各試験化合物を含む)上に播種した。前記培養プレートを縦置きで静置し、シロイヌナズナを連続白色光下、22℃で8日間栽培した。その後、シロイヌナズナの形態を目視で観察した。対照区は、試験化合物に代えてジメチルスルホキシド(DMSO)を同量添加した。対照区のシロイヌナズナ幼植物体の形態と比較して、生育阻害が観察された化合物を表1に示す。表中、「◎」は、対照区のシロイヌナズナ幼植物体と比較して、主根の伸長が80%以上阻害された試験区を、「○」は主根の伸長が50%~80%阻害された試験区を、「△」は主根伸長の阻害が50%以下であった試験区を、「※」は、オーキシン過剰様の形態が観察された試験区を、それぞれ示す。また、対照区及び各試験区の形態を図2-1~2-9に示す。
【実施例】
【0108】
【表1】
JP0006037277B2_000021t.gif
【実施例】
【0109】
表1に示すように、本発明の化合物は、シロイヌナズナ幼植物体に対して、主根の伸長抑制及び/又は子葉の生育抑制のような顕著な生育阻害効果を示した。また、化合物KOK3033、KOK3009、KOK3012、KOK3019、KOK3025、KOK2068、KOK2071、KOK2074、KOK2202及びKOK2140は、主根の顕著な伸長抑制及び側根の形成促進のようなオーキシン過剰様の生育阻害効果を示した。
【実施例】
【0110】
[II-4:イネの生育試験]
イネ(Oryza sativa L., 品種:日本晴)の籾摺りした種子を、培養プレートに調製した固体培地(0.3%Gelriteで固化させた1/2 MS培地、1.5%スクロース及び100μM各試験化合物を含む)上に播種した。前記培養プレートを縦置きで静置し、イネを連続白色光下、30℃で6日間栽培した。その後、イネの形態を目視で観察した。対照区は、試験化合物に代えてジメチルスルホキシド(DMSO)を同量添加した。対照区のイネ幼植物体の形態と比較して、生育阻害が観察された化合物を表2に示す。表中、「◎」は、対照区のイネ幼植物体と比較して、種子根の伸長が80%以上阻害された試験区を、「○」は種子根の伸長が50%~80%阻害された試験区を、「△」は種子根伸長の阻害が50%以下であった試験区を示す。また、対照区及び各試験区の形態を図3-1~3-8に示す。
【実施例】
【0111】
【表2】
JP0006037277B2_000022t.gif
【実施例】
【0112】
表2に示すように、本発明の化合物は、イネ幼植物体に対して、種子根及び/又は子葉鞘の伸長抑制のような顕著な生育阻害効果を示した。
【実施例】
【0113】
[II-5:本発明の化合物と従来技術の化合物とのオーキシン生合成阻害活性の比較]
前記II-3の使用例に記載のシロイヌナズナの生育試験を用いて、本発明の実施例化合物と従来技術の化合物(参考例1)とのオーキシン生合成阻害活性を比較した。なお、実施例化合物は、乳酸型化合物KOK3099及びアクリル酸型化合物KOK3098を、参考例1の化合物は、特許文献2に記載のアミノオキシ基を有する化合物KOK1169を、それぞれ用いた。化合物KOK1169の構造を以下に示す。
【実施例】
【0114】
【化19】
JP0006037277B2_000023t.gif
【実施例】
【0115】
実施例化合物及び参考例1の化合物の、シロイヌナズナの生育試験結果を図4に示す。
図4に示すように、参考例1の化合物の場合、100μM処理区においても、対照区(化合物濃度:0μM)のシロイヌナズナ幼植物体と比較した主根伸長の阻害は、約42%であった。これに対し、乳酸型の実施例化合物である化合物KOK3099の場合、主根伸長の阻害は、10μM処理区で約87%に達した。また、アクリル酸型の実施例化合物である化合物KOK3098の場合、主根伸長の阻害は、30μM処理区で約64%に達した。前記の結果から、本発明の化合物は、特許文献2に記載のアミノオキシ基を有する化合物のような従来技術のオーキシン生合成阻害剤と比較して、より高いオーキシン生合成阻害活性を有することが示唆される。
図面
【図1】
0
【図2-1】
1
【図2-2】
2
【図2-3】
3
【図2-4】
4
【図2-5】
5
【図2-6】
6
【図2-7】
7
【図2-8】
8
【図2-9】
9
【図3-1】
10
【図3-2】
11
【図3-3】
12
【図3-4】
13
【図3-5】
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【図3-6】
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【図3-7】
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【図3-8】
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【図4】
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