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明細書 :鋼構造物の解体方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6160859号 (P6160859)
公開番号 特開2014-214456 (P2014-214456A)
登録日 平成29年6月23日(2017.6.23)
発行日 平成29年7月12日(2017.7.12)
公開日 平成26年11月17日(2014.11.17)
発明の名称または考案の名称 鋼構造物の解体方法
国際特許分類 E04G  23/08        (2006.01)
FI E04G 23/08 D
E04G 23/08 F
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2013-091122 (P2013-091122)
出願日 平成25年4月24日(2013.4.24)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 平成25年1月30日に「システム情報工学研究科 構造エネルギー工学専攻 修士論文発表会」にて発表
審査請求日 平成28年4月21日(2016.4.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】594071239
【氏名又は名称】株式会社カコー
【識別番号】513102903
【氏名又は名称】株式会社コスモテック
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
発明者または考案者 【氏名】新藤 孝志
【氏名】大倉 廣高
【氏名】磯部 大吾郎
【氏名】根岸 亮介
個別代理人の代理人 【識別番号】100082418、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 朔生
審査官 【審査官】星野 聡志
参考文献・文献 特開2007-085049(JP,A)
特開平06-229130(JP,A)
調査した分野 E04G23/08
E04H12/00-12/34
特許請求の範囲 【請求項1】
鋼構造物を発破により転倒させて解体する方法であって、
転倒時には鋼構造物は、奥行き方向と直交する方向の切断線で発破により切断してあるように解体することを特徴とする、
鋼構造物の解体方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
まず鋼構造物を奥行き方向と直交する方向の切断線で発破により切断して奥行き方向に複数の縦層が並ぶように分割し、
次に最前列の縦層の前面支柱の下部と、それとつながる斜材を切断して軸力を負担している下層部の柱を発破により切断、除去することで最前列の縦層を水平方向に大きく変形を生じさせて転倒させ、
最前列の縦層の転倒後に、次の層を同様に転倒させてゆくことを特徴とする、
鋼構造物の解体方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
鋼構造物の最前列の縦層の前面支柱の下部と、それとつながる斜材を切断し、軸力を負担している下層部の柱を発破により切断、除去することで水平方向に大きく変形を生じさせ、構造物全体の水平転倒を倒壊を行い、
水平転倒の転倒中に、鋼構造物を奥行き方向と直交する方向の切断線で、発破により切断することを特徴とする、
鋼構造物の解体方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は鋼構造物を解体する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物を発破によって効率よく解体する方法は特許文献に示すようにすでに公知である。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平6-264627号公報
【特許文献2】特開2003-307038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記したような従来の構造物の解体方法は、コンクリート構造物を対象にしたものであり、鋼構造物を対象とするものではなく、かつ解体後の高さを低く抑えるような配慮がなされた技術は存在しなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決する本発明の鋼構造物の解体方法は、鋼構造物を発破により転倒させて解体する方法であって、転倒時には鋼構造物は、奥行き方向と直交する方向の切断線で発破により切断してあるように解体することを特徴とすることを特徴とするものである。
また本発明の鋼構造物の解体方法は、上記の方法において、まず鋼構造物を奥行き方向と直交する方向の切断線で発破により切断して奥行き方向に複数の縦層が並ぶように分割し、次に最前列の縦層の前面支柱の下部と、それとつながる斜材を切断して軸力を負担している下層部の柱を発破により切断、除去することで最前列の縦層を水平方向に大きく変形を生じさせて転倒させ、最前列の縦層の転倒後に、次の層を同様に転倒させてゆくことを特徴とする、ものである。
また本発明の鋼構造物の解体方法は、上記の方法において、鋼構造物の最前列の縦層の前面支柱の下部と、それとつながる斜材を切断し、軸力を負担している下層部の柱を発破により切断、除去することで水平方向に大きく変形を生じさせ、構造物全体の水平転倒を倒壊を行い、水平転倒の転倒中に、鋼構造物を奥行き方向と直交する方向の切断線で、発破により切断することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の鋼構造物の解体方法は以上説明したようになるから次のような効果の少なくともひとつを得ることができる。
<1>鋼構造物を一体で解体するのではなく、あえて二段階に分けて解体し、すでに転倒している前列の縦層の上に、次の縦層が転倒する解体工法である。
<2>そのために先に転倒した縦層は、その上に転倒する縦層によって押しつぶされて順次圧縮されて積み重ね高さは小さくなる。
<3>その結果、解体後の全体の高さを、解体前の奥行きより大幅に小さくすることができる。
<4>そのように解体後の残存物の高さを低く抑える結果、その後の処理を安全、かつ低コストで実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の鋼構造物の解体方法の概念図。
【図2】鋼構造物を前後の層に縦に分割する工程の説明図。
【図3】分割した前の縦層の下部の支柱などを切断する工程の説明図。
【図4】前の縦層が転倒する工程の説明図。
【図5】後の縦層の下部の支柱などを切断する工程の説明図。
【図6】後の縦層が転倒して前の縦層と重なった状態の説明図。
【図7】鋼構造物の分割前に下部の支柱などを切断する工程の説明図。
【図8】転倒中に鋼構造物を前後の縦層に分割する工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照にしながら本発明の鋼構造物の解体方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
<1>本発明の解体の概念
本発明の解体方法の対象は、トラスで構成した鋼構造物Aである。
その場合に特に、図1に示すように正面から見て、奥行きの大きい構造物Aを解体する場合に有効である。
すると切断線を奥行き方向とほぼ直交する方向に形成して複数の縦層A1、A2・・・に分割し、各縦層A1、A2・・・ごとに順次倒壊させると本発明の特徴を生かすことができて有効であるが、用途を図1に示すタイプの構造物Aだけに限定するものではない。
そして本発明の解体方法は、少なくとも鋼構造物Aが転倒し終わった時には鋼構造物Aは、奥行き方向と直交する方向の切断線で切断してあるように解体することを特徴とするものである。
なお本発明において「直交する方向」とする表現は、数学的に精密な90°を意味するものではなく、転倒方向と交わる方法、奥行き方向に交わる方向という程度の意味で使用するものである。
【実施例】
【0010】
<2>先行して分割する方法
本発明の基本概念は、上記したように鋼構造物Aの転倒の終了時には鋼構造物Aは、奥行き方向と直交する方向の切断線で切断してあるように解体することを特徴とするものであるが、具体的には二種類の方法を採用することができる。
そのひとつが、鋼構造物Aの転倒に先行して、鋼構造物Aを分割してしまう方法である。
【実施例】
【0011】
<2-1>縦層の形成(図2)
この方法では、まず鋼構造物Aを奥行き方向と直交する方向の切断線で切断して複数の縦層A1、A2・・・を構成する。
この切断は、構造物Aにおいて、切断する予定線を横断するような水平材、およびそれと連結している斜材に爆薬を取り付けて発破により行う。
発破による鋼材の切断技術は公知である。
このように切断すると、鋼構造物Aを奥行き方向と直交する複数の縦層A1、A2・・・に分割して形成することができる。
上記のように、まず奥行き方向に複数の縦層A1、A2・・・が並ぶように分割することが本実施例の特徴である。
【実施例】
【0012】
<2-2>最前列の転倒(図3,4)
鋼構造物Aを、奥行き方向の直交する方向に複数の縦層A1に分割した後に、まず最前列の縦層A1の前面支柱aの下部と、それとつながる斜材bを切断する。
この切断も、各部材に爆薬を取り付けて発破により切断する。
この工程で最前列の縦層A1の軸力を負担している下層部の前面の支柱aを発破により切断、除去することで水平方向に大きく変形を生じさせ水平倒壊を行うことができる。
【実施例】
【0013】
<2-3>次層の転倒(図5)
最前列の縦層A1が転倒した後に、次の縦層A2を同様に転倒させる。
この場合も次の縦層A2の軸力を負担している下層部の支柱や斜材を爆薬の発破により切断、除去することで水平方向に大きく変形を生じさせ水平倒壊を行う。
以上の作業を、分割した縦層A1、A2・・・ごとに、手前の層の転倒後に次の層、という順序で行ってゆく。
【実施例】
【0014】
<2-4>次層の転倒の効果(図6)
このようにすでに転倒している最前列の縦層A1の上に、次の縦層A2が転倒する。
そのために、先に転倒した最前列の縦層A1は、その上に転倒する次の縦層A2によって押しつぶされる。
こうして順次、後から転倒する次の層はその転倒の衝撃で、先行して転倒した層を圧縮して積み重ね高さは小さくなってゆく。
【実施例】
【0015】
<3>転倒中に分割する方法
上記の方法は事前に鋼構造物Aを奥行き方向と直交する方向に分割し、その後に各縦層A1、A2・・・を転倒させる方法であった。
それに対して以下の実施例では、鋼構造物A全体の転倒中、すなわち転倒の開始時から転倒の完了時の間に、奥行き方向と直交する方向に分割する方法である。
【実施例】
【0016】
<3-1>構造物全体の転倒(図)
鋼構造物Aのトラスの前面支柱aの下部と、それとつながる斜材bを発破によって切断する。
その際に一方向への転倒を予定して、支持力の不均衡が生じるよう、側面視でクサビ型に破壊する。
このように、鋼構造物Aの軸力の負担が均衡な配置になるように下層部の支柱a、斜材bを爆薬の発破により切断、除去することで水平方向に大きく変形を生じさせ、構造物A全体の水平倒壊を行う。
【実施例】
【0017】
<3-2>転倒中の分割(図8)
鋼構造物Aの水平倒壊の最中、すなわち転倒開始から転倒終了の間に、鋼構造物Aを奥行き方向と直交する方向の切断線で、発破により切断する。
すなわちこの方法では、転倒開始時には構造物Aは前後の層に分割されておらず、転倒中に、前の縦層A1と、後の縦層A2として分割され、前後の層がわずかの時間差を介して転倒するものである。
このように構造物A全体を一時に解体できるから、解体中の応力再分配による予測不能な崩壊があっても作業員に危険はない。
【実施例】
【0018】
<3-3>転倒時期の設定
上記したように本実施例では、鋼構造物Aの転倒開始から転倒終了の間のわずかの時間内に、鋼構造物Aを奥行き方向と直交する方向の切断線によって発破により切断する方法である。
したがって発破により切断する位置、全体の解体のための発破と分割のための発破の時間差、タイミングに関する精緻な検討が必要である。
その手段としてたとえばASI—Gauss法による発破解体シュミレーション技術を採用することができるが、本発明の方法はASI—Gauss法に限定するものではない。
【実施例】
【0019】
<4>他の切断方法
以上の説明は、切断を爆薬の発破により行う方法であった。しかし溶接切断、カッター、丸ノコによる切断など、公知の切断方法を採用することもできる。
【符号の説明】
【0020】
A:構造物
A1:前の縦層
A2:次の縦層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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