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明細書 :酸化物層及び酸化物層の製造方法、並びにその酸化物層を備えるキャパシタ、半導体装置、及び微小電気機械システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-175453 (P2014-175453A)
公開日 平成26年9月22日(2014.9.22)
発明の名称または考案の名称 酸化物層及び酸化物層の製造方法、並びにその酸化物層を備えるキャパシタ、半導体装置、及び微小電気機械システム
国際特許分類 H01G   4/33        (2006.01)
H01L  29/786       (2006.01)
H01L  21/336       (2006.01)
H01G   4/12        (2006.01)
H01L  21/316       (2006.01)
FI H01G 4/06 102
H01L 29/78 618B
H01L 29/78 618A
H01G 4/12 397
H01G 4/12 400
H01L 21/316 B
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 31
出願番号 特願2013-046550 (P2013-046550)
出願日 平成25年3月8日(2013.3.8)
発明者または考案者 【氏名】下田 達也
【氏名】▲徳▼光 永輔
【氏名】尾上 允敏
【氏名】宮迫 毅明
出願人 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100125450、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 広明
審査請求 未請求
テーマコード 5E001
5E082
5F058
5F110
Fターム 5E001AB01
5E001AC10
5E001AE00
5E001AH00
5E001AH01
5E001AJ01
5E082AB01
5E082BC40
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE37
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG26
5E082FG46
5E082FG54
5E082MM40
5E082PP03
5E082PP06
5F058BA11
5F058BC03
5F058BF46
5F058BH03
5F110GG01
要約 【課題】高い誘電率を備えたビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層を提供する。
【解決手段】本発明の1つの酸化物層30は、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層(不可避不純物を含み得る)を備えている。加えて、酸化物層30が、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有している。その結果、従来法では得られなかった高い誘電率を備えたビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物を含む酸化物層30を得ることができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層(不可避不純物を含み得る)を備え、
前記酸化物層がパイロクロア型結晶構造の結晶相を有する、
酸化物層。
【請求項2】
前記酸化物層の平面視において、前記パイロクロア型結晶構造の結晶相が粒状又は島状に分布する、
請求項1に記載の酸化物層。
【請求項3】
前記パイロクロア型結晶構造が、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)Oと同一又は略同じ構造である、
請求項1又は請求項2に記載の酸化物層。
【請求項4】
前記酸化物層が、さらにアモルファス相を有する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の酸化物層。
【請求項5】
前記酸化物層の炭素含有率が、1.5atm%以下である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の酸化物層。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の酸化物層を備える、
キャパシタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の酸化物層を備える、
半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の酸化物層を備える、
微小電気機械システム。
【請求項9】
ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層を、酸素含有雰囲気中において520℃以上600℃未満で加熱することにより、前記ビスマス(Bi)と前記ニオブ(Nb)からなる、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する酸化物層(不可避不純物を含み得る)を形成する工程を含む、
酸化物層の製造方法。
【請求項10】
前記酸化物層を形成する工程において、前記酸化物層の平面視において、前記パイロクロア型結晶構造の結晶相を粒状又は島状に分布するように形成する、
請求項9に記載の酸化物層の製造方法。
【請求項11】
前記酸化物層を形成する前に、酸素含有雰囲気中において80℃以上300℃以下で前記前駆体層を加熱した状態で型押し加工を施すことによって、前記前駆体層の型押し構造が形成されている、
請求項9又は請求項10に記載の酸化物層の製造方法。
【請求項12】
1MPa以上20MPa以下の範囲内の圧力で前記型押し加工を施す、
請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の酸化物層の製造方法。
【請求項13】
予め、80℃以上300℃以下の範囲内の温度に加熱した型を用いて前記型押し加工を施す、
請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の酸化物層の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物層及び酸化物層の製造方法、並びにその酸化物層を備えるキャパシタ、半導体装置、及び微小電気機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機能性を備えた各種の組成からなる酸化物層が開発されている。また、その酸化物層を備える固体電子装置の一例として、高速動作の期待できる強誘電体薄膜を備えた装置が開発されている。また、固体電子装置に用いる誘電体材料として、Pbを含まず、比較的低温で焼成可能な酸化物層として、BiNbOが開発されている。このBiNbOについては、固相成長法によって形成されたBiNbOの誘電特性が報告されている(非特許文献1)。
【0003】
また、固体電子装置の一例である薄膜キャパシタとして、高速動作の期待できる強誘電体薄膜を備えた薄膜キャパシタが開発されている。これまで、キャパシタに用いる誘電体材料としての金属酸化物の形成方法として、主にスパッタリング法が広く採用されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平10-173140号公報
【0005】

【非特許文献1】Effect of phase transition on the microwave dielectric properties of BiNbO4, Eung Soo Kim, Woong Choi, Journal of the European Ceramic Society 26 (2006) 1761-1766
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、固相成長法によって形成されたBiNbOによる絶縁体の比誘電率が比較的小さいため、固体電子装置(例えば、キャパシタ、半導体装置、又は微小電気機械システム)の構成要素として広く活用するためには、酸化物層又は酸化物膜(以下、本願においては、総称して「酸化物層」という)の比誘電率の向上を含めた、さらなる誘電特性の向上を目指す必要がある。
【0007】
また、そのような酸化物を製造する際に、工業性又は量産性に優れた製造方法によって得ることも産業界において強く求められている。
【0008】
しかしながら、スパッタ法によって良好な酸化物層の特性(例えば、電気的特性や安定性)を得るためには、一般には製膜室内を高真空状態する必要がある。また、その他の真空プロセスやフォトリソグラフィー法においても、比較的長時間、及び/又は高価な設備を要するプロセスが一般的であるため、原材料や製造エネルギーの使用効率が非常に悪くなる。上述のような製造方法が採用された場合、酸化物層、及びその酸化物層を備える固体電子装置を製造するために多くの処理と長時間を要するため、工業性又は量産性の観点から好ましくない。また、従来技術には、大面積化が比較的困難であるという問題も存在する。
【0009】
従って、固体電子装置として適用可能な電気特性を含む各種特性を備えるとともに、工業性又は量産性に優れた製造方法によって各種の良好な特性を創出する酸化物を見出すことが、酸化物層及びその酸化物層を備える各固体電子装置の高性能化のための重要な技術課題の1つである。
【0010】
本発明は、上述の問題を解決することにより、高い誘電特性(例えば、高い比誘電率)を備えた酸化物膜、及びそのような酸化物膜の製造プロセスの簡素化と省エネルギー化の実現に大きく貢献するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者らは、キャパシタや薄膜キャパシタ等の固体電子装置に適用することができるとともに、安価で簡便な手法を用いても形成することができる高性能の酸化物の研究に鋭意取り組んだ。多くの試行錯誤を重ねた結果、発明者らは、従来から広く採用されてきた酸化物に代わる、ある特定の酸化物材料が、これまでに見られない結晶構造の結晶相を備えていることを見出した。また、その結晶相の存在によって、その特定の酸化物材料において、従来知られている値に比べて非常に高い比誘電率が生み出されていることを確度高く知見した。
【0012】
また、本願発明者らは、その酸化物層の製造方法において、高真空状態を要しない方法を採用することによって、廉価で、かつ簡便な製造工程を実現することを知見した。また、発明者らは、その酸化物層を、「ナノインプリント」とも呼ばれる「型押し」加工法を用いた安価で簡便な手法によってパターニングをすることが可能であることも併せて見出した。その結果、発明者らは、高性能の酸化物の実現とともに、従来と比較して大幅に簡素化又は省エネルギー化、並びに大面積化も容易なプロセスによって、その酸化物層の形成、ひいてはそれらの酸化物層を備えた固体電子装置の製造が可能であることを知見した。本発明は、上述の各視点に基づいて創出された。なお、本願において、「型押し」が「ナノインプリント」と表記される場合がある。
【0013】
本発明の1つの酸化物層は、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層(不可避不純物を含み得る)を備えている。加えて、この酸化物層は、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する。
【0014】
この酸化物層は、パイロクロア型結晶構造の結晶相を備えることにより、従来と比較して高い比誘電率を備えることができる。特に、本願発明者らの分析によれば、この酸化物層において、パイロクロア型結晶構造の結晶相以外の結晶相を有することによって酸化物層全体としての比誘電率がそれほど高い値ではない場合であっても、パイロクロア型結晶構造の結晶相に焦点を当てた場合には、その結晶相が生み出す比誘電率は、従来と比較して格段に高い値を示すことが明らかとなった。従って、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層を用いることにより、各種の固体電子装置の電気特性を向上させることが可能となる。なお、現時点においては、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物(以下、「BNO酸化物」ともいう)層が、なぜパイロクロア型結晶構造を実現することが出来るのかについてのメカニズム又は理由が明らかになっていない。しかしながら、この興味深い異質性によって、これまでに得られなかった誘電特性が得られたことは特筆に値する。
【0015】
また、本発明の1つの酸化物層の製造方法は、ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層を、酸素含有雰囲気中において520℃以上600℃未満で加熱することにより、そのビスマス(Bi)とそのニオブ(Nb)からなる、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する酸化物層(不可避不純物を含み得る)を形成する工程を含む。
【0016】
この酸化物層の製造方法は、ビスマス(Bi)とそのニオブ(Nb)からなる、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する酸化物層(不可避不純物を含み得る)を形成する工程を含む。その結果、この製造方法によって得られた酸化物層は、従来と比較して高い比誘電率を備えることができる。特に、本願発明者らの分析によれば、この酸化物層において、パイロクロア型結晶構造の結晶相以外の結晶相を有することによって酸化物層全体としての比誘電率がそれほど高い値ではない場合であっても、パイロクロア型結晶構造の結晶相に焦点を当てた場合には、その結晶相が生み出す比誘電率は、従来と比較して格段に高い値を示すことが明らかとなった。従って、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層を用いることにより、各種の固体電子装置の電気特性を向上させることが可能となる。なお、現時点においては、BNO酸化物層が、なぜパイロクロア型結晶構造を実現することが出来るのかについてのメカニズム又は理由が明らかになっていない。しかしながら、この興味深い異質性によって、これまでに得られなかった誘電特性が得られたことは特筆に値する。
【0017】
また、この酸化物層の製造方法は、フォトリソグラフィー法を用いない比較的簡素な処理(例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法、凹版/凸版印刷法、又はナノインプリント法)によって酸化物層が形成され得る。これにより、真空プロセスを用いたプロセスのような、比較的長時間及び/又は高価な設備を必要とするプロセスが不要になる。その結果、この酸化物層の製造方法は、工業性又は量産性に優れる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の1つの酸化物層によれば、従来と比較して高い比誘電率を備えることができるため、各種の固体電子装置の電気特性を向上させることが可能となる。
【0019】
また、本発明の1つの酸化物層の製造方法によれば、従来と比較して高い比誘電率を備える酸化物層を製造することができる。また、この酸化物層の製造方法は、工業性又は量産性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図9】本発明の第2の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図10】本発明の第2の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの全体構成を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの全体構成を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図13】本発明の第3の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図14】本発明の第3の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図15】本発明の第3の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図16】本発明の第3の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図17】本発明の第3の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図18】本発明の第3の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図19】本発明の第3の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図20】本発明の第3の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図21】本発明の第3の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図22】本発明の第4の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図23】本発明の第4の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図24】本発明の第4の実施形態における薄膜キャパシタの製造方法の一過程を示す断面模式図である。
【図25】本発明の第4の実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの全体構成を示す図である。
【図26】本発明の第1の実施形態における絶縁層となる酸化物層の結晶構造を示す断面TEM写真及び電子線回析像である。
【図27】比較例5(スパッタ法)における絶縁層となる酸化物層の結晶構造を示す断面TEM写真及び電子線回析像である。
【図28】実施例6における絶縁層となる酸化物層の平面視における各結晶相の、(a)TOPO像(走査型プローブ顕微鏡(高感度SNDMモード))及び(b)容量変化像である。
【図29】比較例5(スパッタ法)における絶縁層となる酸化物層の平面視における各結晶相の、(a)TOPO像(走査型プローブ顕微鏡(高感度SNDMモード))及び(b)容量変化像である。
【図30】比較例5(スパッタ法)における絶縁層となる酸化物層(a)と、実施例6における絶縁層となる酸化物層(b)の、平面視における各結晶相による、各容量変化像からの校正後の比誘電率の分布を示す比誘電率像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態である固体電子装置を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。なお、この説明に際し、全図にわたり、特に言及がない限り、共通する部分には共通する参照符号が付されている。また、図中、本実施形態の要素は必ずしも互いの縮尺を保って記載されるものではない。さらに、各図面を見やすくするために、一部の符号が省略され得る。

【0022】
<第1の実施形態>
1.本実施形態の薄膜キャパシタの全体構成
図1は、本実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタ100の全体構成を示す図である。図1に示すように、薄膜キャパシタ100は、基板10上に、基板10の側から下部電極層20、誘電体から構成される絶縁層である酸化物層30及び上部電極層40を備える。

【0023】
基板10は、例えば、高耐熱ガラス、SiO/Si基板、アルミナ(Al)基板、STO(SrTiO)基板、Si基板の表面にSiO層及びTi層を介してSTO(SrTiO)層を形成した絶縁性基板等)、半導体基板(例えば、Si基板、SiC基板、Ge基板等)を含む、種々の絶縁性基材を用いることができる。

【0024】
下部電極層20及び上部電極層40の材料としては、白金、金、銀、銅、アルミ、モリブデン、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、タングステン、などの高融点金属、あるいはその合金等の金属材料が用いられる。

【0025】
本実施形態においては、誘電体から構成される絶縁層が、ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより形成される(以下、本工程による製造方法を溶液法ともいう)。そして、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)からなる(不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)構成される酸化物層30が得られる。また、後述するように、本実施形態は、酸化物層を形成するための加熱温度(本焼成の温度)を、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)とすることを特徴とするものである。なお、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層は、BNO層とも呼ばれる。

【0026】
なお、本実施形態はこの構造に限定されない。また、図面を簡略化するため、各電極層からの引き出し電極層のパターニングについての記載は省略する。

【0027】
2.薄膜キャパシタ100の製造方法
次に薄膜キャパシタ100の製造方法を説明する。なお、本出願における温度の表示は、ヒーターの設定温度を表している。図2乃至図5は、それぞれ、薄膜キャパシタ100の製造方法の一過程を示す断面模式図である。図2に示すように、まず、基板10上に下部電極層20が形成される。次に、下部電極層20上に酸化物層30が形成されて、その後、酸化物層30上に上部電極層40が形成される。

【0028】
(1)下部電極層の形成
図2は、下部電極層20の形成工程を示す図である。本実施形態においては、薄膜キャパシタ100の下部電極層20が、白金(Pt)によって形成される例を説明する。下部電極層20は、公知のスパッタリング法により基板10上に白金(Pt)よりなる層が形成される。

【0029】
(2)絶縁層としての酸化物層の形成
次に、下部電極層20上に酸化物層30が形成される。酸化物層30は、(a)前駆体層の形成及び予備焼成の工程、(b)本焼成の工程の順で形成される。図3及び図4は、酸化物層30の形成工程を示す図である。本実施形態においては、薄膜キャパシタ100の製造工程の酸化物層30が、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物よって形成される例を説明する。

【0030】
(a)前駆体層の形成及び予備焼成
図3に示すように、下部電極層20上に、公知のスピンコーティング法により、ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液(前駆体溶液という。以下、前駆体の溶液に対して同じ。)を出発材とする前駆体層30aが形成される。ここで、酸化物層30のためのビスマス(Bi)を含む前駆体の例は、オクチル酸ビスマス、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、又は各種のビスマスアルコキシド(例えば、ビスマスイソプロポキシド、ビスマスブトキシド、ビスマスエトキシド、ビスマスメトキシエトキシド)が採用され得る。また、本実施形態における酸化物層30のためのニオブ(Nb)を含む前駆体の例は、オクチル酸ニオブ、塩化ニオブ、硝酸ニオブ、又は各種のニオブアルコキシド(例えば、ニオブイソプロポキシド、ニオブブトキシド、ニオブエトキシド、ニオブメトキシエトキシド)が採用され得る。また、前駆体溶液の溶媒は、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノールの群から選択される1種のアルコール溶媒、又は酢酸、プロピオン酸、オクチル酸の群から選択される1種のカルボン酸である溶媒であることが好ましい。

【0031】
その後、予備焼成として、酸素雰囲気中又は大気中(総称して、「酸素含有雰囲気中」ともいう。)で所定の時間、80℃以上250℃以下の温度範囲で予備焼成を行う。予備焼成では、前駆体層30a中の溶媒を十分に蒸発させるとともに、将来的な塑性変形を可能にする特性を発現させるために好ましいゲル状態(熱分解前であって有機鎖が残存している状態と考えられる)が形成される。前述の観点をより確度高く実現するために、予備焼成温度は、80℃以上250℃以下が好ましい。また、前述のスピンコーティング法による前駆体層30aの形成及び予備焼成を複数回繰り返すことによって、酸化物層30の所望の厚みを得ることができる。

【0032】
(b)本焼成
その後、本焼成として、前駆体層30aを、酸素雰囲気中(例えば100体積%であるが、これに限定されない)で、所定の時間、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)の範囲の温度で加熱する。その結果、図4に示すように、電極層上に、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層30が形成される。ここで、溶液法における本焼成として、酸化物層を形成するための加熱温度は、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)であるが、上限を限定するものではない。しかし、加熱温度が、600℃を超える場合は、酸化物層の結晶化が進み、リーク電流量が顕著に増大してしまう傾向にある。そのため、加熱温度を600℃未満(より好ましくは580℃以下)とすることがより好ましい。一方、加熱温度が、520℃未満の場合は、前駆体溶液の溶媒及び溶質中の炭素が残存し、リーク電流量が顕著に増大してしまう。上記を考慮した結果、加熱温度は、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)とすることが好ましい。

【0033】
また、酸化物層30の膜厚の範囲は30nm以上が好ましい。酸化物層30の膜厚が30nm未満になると、膜厚の減少に伴うリーク電流及び誘電損失の増大により、固体電子装置に適用するには、実用的ではなくなるため好ましくない。

【0034】
なお、酸化物層30におけるビスマス(Bi)及びニオブ(Nb)の原子組成比と、1KHzにおける比誘電率並びに0.5MV/cm印加時のリーク電流値の関係について測定した結果を表1に示す。

【0035】
【表1】
JP2014175453A_000003t.gif

【0036】
ここで、ビスマス(Bi)及びニオブ(Nb)の原子組成比は、ラザフォード後方散乱分光法(RBS法)を用いて、ビスマス(Bi)及びニオブ(Nb)の元素分析を行うことにより求めた。比誘電率及びリーク電流値の測定方法の詳細については後述するが、表1については、1KHzの交流電圧印加時の比誘電率と、0.5MV/cmの電圧印加時のリーク電流値の結果が示されている。表1に示すように、酸化物層30におけるビスマス(Bi)及びニオブ(Nb)の原子組成比については、(Bi)が1としたときにニオブ(Nb)が0.8以上3.3以下であれば、比誘電率並びにリーク電流値は、各種の固体電子装置(例えば、キャパシタ、半導体装置、又は微小電気機械システム)に適用することが特に好ましいことが確認された。

【0037】
(3)上部電極層の形成
次に、酸化物層30上に上部電極層40が形成される。図5は、上部電極層40の形成工程を示す図である。本実施形態においては、薄膜キャパシタ100の上部電極層40が、白金(Pt)によって形成される例を説明する。上部電極層40は、下部電極層20と同様、公知のスパッタリング法により酸化物層30上に白金(Pt)よりなる層が形成される。

【0038】
本実施形態では、ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより形成される、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)からなる酸化物層が形成される。また、その酸化物層を形成するための加熱温度が、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)であれば、特に良好な電気特性が得られる。加えて、本実施形態の酸化物層の製造方法を採用すれば、真空プロセスを用いることなく酸化物層の前駆体溶液を酸素含有雰囲気中で加熱すればよいため、従来のスパッタ法と比較して大面積化が容易になるとともに、工業性又は量産性を格段に高めることが可能となる。

【0039】
<第2の実施形態>
1.本実施形態の薄膜キャパシタの全体構成
本実施形態においては、固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの下部電極層及び上部電極層が、金属酸化物からなる導電性酸化物(不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)で構成されている。本実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタ200の全体構成は、図10に示されている。本実施形態は、下部電極層及び上部電極層が、金属酸化物からなる導電性酸化物で構成されている以外は第1の実施形態と同じである。従って、第1の実施形態と重複する説明は省略する。

【0040】
図10に示すように、本実施形態の薄膜キャパシタ200は、基板10を有している。また、薄膜キャパシタ200は、基板10上に、基板10の側から下部電極層220、誘電体から構成される絶縁層である酸化物層30、及び上部電極層240を備える。

【0041】
下部電極層220及び上部電極層240の例としては、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる酸化物層、アンチモン(Sb)と錫(Sn)とからなる酸化物層、インジウム(In)と錫(Sn)とからなる酸化物層(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)を採用することができる。

【0042】
2.薄膜キャパシタ200の製造工程
次に薄膜キャパシタ200の製造方法を説明する。図6乃至図9は、それぞれ、薄膜キャパシタ200の製造方法の一過程を示す断面模式図である。図6及び図7に示すように、まず、基板10上に下部電極層220が形成される。次に、下部電極層220上に酸化物層30が形成された後、上部電極層240が形成される。なお、薄膜キャパシタ200の製造工程についても、第1の実施形態と重複する説明は省略する。

【0043】
(1)下部電極層の形成
図6及び図7は、下部電極層220の形成工程を示す図である。本実施形態においては、薄膜キャパシタ200の下部電極層220が、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる導電用酸化物層によって形成される例を説明する。下部電極層220は、(a)前駆体層の形成及び予備焼成の工程、(b)本焼成の工程の順で形成される。

【0044】
(a)前駆体層の形成及び予備焼成
図6に示すように、基板10上に、公知のスピンコーティング法により、ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液(下部電極層用前駆体溶液という。以下、下部電極層用前駆体の溶液に対して同じ。)を出発材とする下部電極層用前駆体層220aが形成される。ここで、下部電極層220のためのランタン(La)を含む前駆体の例は、酢酸ランタンである。その他の例として、硝酸ランタン、塩化ランタン、又は各種のランタンアルコキシド(例えば、ランタンイソプロポキシド、ランタンブトキシド、ランタンエトキシド、ランタンメトキシエトキシド)が採用され得る。また、下部電極層用前駆体層220aのためのニッケル(Ni)を含む前駆体の例は、酢酸ニッケルである。その他の例として、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、又は各種のニッケルアルコキシド(例えば、ニッケルインジウムイソプロポキシド、ニッケルブトキシド、ニッケルエトキシド、ニッケルメトキシエトキシド)が採用され得る。

【0045】
なお、下部電極層としてアンチモン(Sb)と錫(Sn)とからなる導電用酸化物層を採用する場合、アンチモン(Sb)を含む下部電極層用前駆体の例として、酢酸アンチモン、硝酸アンチモン、塩化アンチモン、又は各種のアンチモンアルコキシド(例えば、アンチモンイソプロポキシド、アンチモンブトキシド、アンチモンエトキシド、アンチモンメトキシエトキシド)が採用され得る。また、錫(Sn)を含む前駆体の例として、酢酸錫、硝酸錫、塩化錫、又は各種の錫アルコキシド(例えば、アンチモンイソプロポキシド、アンチモンブトキシド、アンチモンエトキシド、アンチモンメトキシエトキシド)が採用され得る。さらに、下部電極層としてインジウム(In)と錫(Sn)とからなる導電用酸化物を採用する場合、インジウム(In)を含む前駆体の例は、酢酸インジウム、硝酸インジウム、塩化インジウム、又は各種のインジウムアルコキシド(例えば、インジウムイソプロポキシド、インジウムブトキシド、インジウムエトキシド、インジウムメトキシエトキシド)が採用され得る。また、錫(Sn)を含む下部電極層用前駆体の例は、前述の例と同じである。

【0046】
その後、酸素含有雰囲気中で所定の時間、前述の第1実形態施の酸化物層と同様の理由により、80℃以上250℃以下の温度範囲で予備焼成を行う。また、前述のスピンコーティング法による下部電極層用前駆体層220aの形成及び予備焼成を複数回繰り返すことによって、下部電極層220の所望の厚みを得ることができる。

【0047】
(b)本焼成
その後、本焼成として、下部電極層用前駆体層220aを、酸素雰囲気中、約20分間、550℃に加熱する。その結果、図7に示すように、基板10上に、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる下部電極層220(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)が形成される。ここで、溶液法における本焼成として、導電用酸化物層を形成するための加熱温度は、第1の実施形態の酸化物層と同様の理由により、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)が好ましい。なお、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなるとからなる導電用酸化物層は、LNO層とも呼ばれる。

【0048】
(2)絶縁層としての酸化物層の形成
次に、下部電極層220上に酸化物層30が形成される。本実施形態の酸化物層30は、第1の実施形態と同様、(a)前駆体層の形成及び予備焼成の工程、(b)本焼成の工程の順で形成される。図8は、下部電極層220上に酸化物層30が形成された状態を示す図である。第1の実施形態と同様、酸化物層30の膜厚の範囲は30nm以上が好ましい。

【0049】
(3)上部電極層の形成
次に、図9及び図10に示すように、上部電極層240が酸化物層30上に形成される。本実施形態においては、薄膜キャパシタ200の上部電極層240が、下部電極層220と同様に、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる導電用酸化物層によって形成される例を説明する。上部電極層240は、下部電極層220と同様、(a)前駆体層の形成及び予備焼成の工程、(b)本焼成の工程の順で形成される。酸化物層30上に形成された下部電極層用前駆体層240aが図9に示されている。また、酸化物層30上に形成された上部電極層240が、図10に示されている。

【0050】
本実施形態では、ビビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより形成される、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)からなる酸化物層が形成される。また、その酸化物層を形成するための加熱温度が、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)であれば、特に良好な電気特性が得られる。加えて、本実施形態の酸化物層の製造方法を採用すれば、真空プロセスを用いることなく酸化物層の前駆体溶液を酸素含有雰囲気中で加熱すればよいため、工業性又は量産性を高めることが可能となる。また、下部電極層、絶縁層となる酸化物層、及び上部電極層すべてが金属酸化物によって構成され、真空プロセスを用いることなく全ての工程を酸素含有雰囲気中で行うことができるため、従来のスパッタ法と比較して大面積化が容易になるとともに、工業性又は量産性を格段に高めることが可能となる。

【0051】
<第3の実施形態>
1.本実施形態の薄膜キャパシタの全体構成
本実施形態においては、固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの全ての層の形成過程において型押し加工が施される。本実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタ300の全体構成は、図11に示されている。本実施形態では、下部電極層及び酸化物層が、型押し加工を施されている以外は第2の実施形態と同じである。なお、第1の実施形態又は第2の実施形態と重複する説明は省略する。

【0052】
図11に示すように、本実施形態の薄膜キャパシタ300は、基板10を有している。また、薄膜キャパシタ300は、基板10上に、基板10の側から下部電極層320、誘電体から構成される絶縁層である酸化物層330、及び上部電極層340を備える。

【0053】
2.薄膜キャパシタ300の製造工程
次に、薄膜キャパシタ300の製造方法を説明する。図12乃至図21は、それぞれ、薄膜キャパシタ300の製造方法の一過程を示す断面模式図である。薄膜キャパシタ300の製造に際しては、まず、基板10上に型押し加工が施された下部電極層320が形成される。次に、下部電極層320上に型押し加工が施された酸化物層330が形成される。その後、酸化物層330上に上部電極層340が形成される。薄膜キャパシタ300の製造工程においても第1又は第2の実施形態と重複する説明は省略する。

【0054】
(1)下部電極層の形成
本実施形態においては、薄膜キャパシタ300の下部電極層320が、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる導電用酸化物層によって形成される例を説明する。下部電極層320は、(a)前駆体層の形成及び予備焼成の工程、(b)型押し加工の工程、(c)本焼成の工程の順で形成される。初めに、基板10上に、公知のスピンコーティング法により、ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする下部電極層用前駆体溶液を出発材とする下部電極層用前駆体層320aが形成される。

【0055】
その後、予備焼成として、酸素含有雰囲気中で所定の時間、下部電極層用前駆体層320aを80℃以上250℃以下の温度範囲で加熱する。また、前述のスピンコーティング法による下部電極層用前駆体層320aの形成及び予備焼成を複数回繰り返すことによって、下部電極層320の所望の厚みを得ることができる。

【0056】
(b)型押し加工
次に、下部電極層用前駆体層320aのパターニングを行うために、図12に示すように、80℃以上300℃以下の範囲内で加熱した状態で、下部電極層用型M1を用いて、1MPa以上20MPa以下の圧力で型押し加工が施される。型押し加工における加熱方法の例としては、チャンバー、オーブン等により、所定の温度雰囲気の状態にする方法、基板を搭載する基台を下部からヒーターにより加熱する方法、また、予め80℃以上300℃以下に加熱した型を用いて型押し加工が施される方法等がある。この場合、基台を下部からヒーターにより加熱する方法と予め80℃以上300℃以下に加熱した型を併用することが加工性の面でより好ましい。

【0057】
なお、上述の型の加熱温度を80℃以上300℃以下としたのは、以下の理由による。型押し加工時の加熱温度が80℃未満である場合には、下部電極層用前駆体層320aの温度が低下することに起因して下部電極層用前駆体層320aの塑性変形能力が低下することになるため、型押し構造の成型時の成型の実現性、又は成型後の信頼性又は安定性が乏しくなる。また、型押し加工時の加熱温度が300℃を超える場合には、塑性変形能の根源である有機鎖の分解(酸化熱分解)が進むため、塑性変形能力が低下するからである。さらに、前述の観点から言えば、下部電極層用前駆体層320aを、型押し加工の際、100℃以上250℃以下の範囲内で加熱することは、さらに好ましい一態様である。

【0058】
また、型押し加工における圧力は、1MPa以上20MPa以下の範囲内の圧力であれば、下部電極層用前駆体層320aが型の表面形状に追随して変形するようになり、所望の型押し構造を高い精度で形成することが可能となる。また、型押し加工が施される際に印加する圧力を1MPa以上20MPa以下という低い圧力範囲に設定する。その結果、型押し加工が施される際に型が損傷し難くなるとともに、大面積化にも有利となる。

【0059】
その後、下部電極層用前駆体層320aを全面エッチングする。その結果、図13に示すように、下部電極層に対応する領域以外の領域から下部電極層用前駆体層320aを完全に除去する(下部電極層用前駆体層320aの全面に対するエッチング工程)。

【0060】
また、上述の型押し加工において、予め、型押し面が接触することになる各前駆体層の表面に対する離型処理及び/又はその型の型押し面に対する離型処理を施しておき、その後、各前駆体層に対して型押し加工が施されることが好ましい。そのような処理を施す。その結果、各前駆体層と型との間の摩擦力を低減することができるため、各前駆体層に対してより一層精度良く型押し加工が施されることが可能となる。なお、離型処理に用いることができる離型剤としては、界面活性剤(例えば、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等)、フッ素含有ダイヤモンドライクカーボン等を例示することができる。

【0061】
(c)本焼成
次に、下部電極層用前駆体層320aに対して本焼成を行う。その結果、図14に示すように、基板10上に、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる下部電極層320(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)が形成される。

【0062】
(2)絶縁層となる酸化物層の形成
次に、下部電極層320上に絶縁層となる酸化物層330を形成する。酸化物層330は、(a)前駆体層の形成及び予備焼成の工程、(b)型押し加工の工程、(c)本焼成の工程の順で形成される。図15乃至図18は、酸化物層330の形成工程を示す図である。
(a)前駆体層の形成及び予備焼成
図15に示すように、基板10及びパターニングされた下部電極層320上に、第2の実施形態と同様に、ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層330aを形成する。その後、酸素含有雰囲気中で、80℃以上250℃以下に加熱した状態で予備焼成を行う。

【0063】
(b)型押し加工
本実施形態では、図16に示すように、予備焼成のみを行った前駆体層330aに対して、型押し加工が施される。具体的には、酸化物層のパターニングを行うため、80℃以上300℃以下に加熱した状態で、絶縁層用型M2を用いて、1MPa以上20MPa以下の圧力で型押し加工が施される。

【0064】
その後、前駆体層330aを全面エッチングする。その結果、図17に示すように、酸化物層330に対応する領域以外の領域から前駆体層330aを完全に除去する(前駆体層330aの全面に対するエッチング工程)。なお、本実施形態の前駆体層330aのエッチング工程は、真空プロセスを用いることないウェットエッチング技術を用いて行われたが、プラズマを用いた、いわゆるドライエッチング技術によってエッチングされることを妨げない。

【0065】
(c)本焼成
その後、第2の実施形態と同様に、前駆体層330aを本焼成する。その結果、図18に示すように、下部電極層320上に、絶縁層となる酸化物層330(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)が形成される。本焼成として、前駆体層330aを、酸素雰囲気中で、所定時間520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)の温度範囲で加熱する。

【0066】
なお、前駆体層330aの全面に対するエッチング工程を本焼成後に行うことも可能であるが、前述のように、型押し工程と本焼成の工程との間に、前駆体層を全体的にエッチングする工程が含まれることは、より好ましい一態様である。これは、各前駆体層を本焼成した後にエッチングするよりも容易に不要な領域を除去することが可能なためである。

【0067】
(3)上部電極層の形成
その後、酸化物層330上に、下部電極層320と同様に、公知のスピンコーティング法により、ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする上部電極層用前駆体層340aが形成される。その後、上部電極層用前駆体層340aに対して酸素含有雰囲気中において80℃以上250℃以下の温度範囲で加熱して予備焼成を行う。

【0068】
続いて、図19に示すように、予備焼成が行われた上部電極層用前駆体層340aのパターニングを行うため、上部電極層用前駆体層340aを80℃以上300℃以下に加熱した状態で、上部電極層用型M3を用いて、上部電極層用前駆体層340aに対して1MPa以上20MPa以下の圧力で型押し加工が施される。その後、図20に示すように、上部電極層用前駆体層340aを全面エッチングすることにより、上部電極層340に対応する領域以外の領域から上部電極層用前駆体層340aを完全に除去する。

【0069】
さらにその後、図21に示すように、本焼成として、酸素雰囲気中で、上部電極層用前駆体層340aを、所定の時間、530℃乃至600℃に加熱することにより、酸化物層330上に、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる上部電極層340(但し、不可避不純物を含み得る。以下、同じ。)が形成される。

【0070】
本実施形態においても、ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより形成される、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)からなる酸化物層が形成される。また、その酸化物層を形成するための加熱温度が、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)であれば、特に良好な電気特性が得られる。加えて、本実施形態の酸化物層の製造方法を採用すれば、真空プロセスを用いることなく酸化物層の前駆体溶液を酸素含有雰囲気中で加熱すればよいため、従来のスパッタ法と比較して大面積化が容易になるとともに、工業性又は量産性を格段に高めることが可能となる。

【0071】
また、本実施形態の薄膜キャパシタ300は、基板10上に、基板10の側から下部電極層320、絶縁層である酸化物層330、及び上部電極層340を備えている。また、前述の各層は、型押し加工を施すことによって型押し構造が形成される。その結果、真空プロセスやフォトリソグラフィー法を用いたプロセス、あるいは紫外線の照射プロセス等、比較的長時間、及び/又は高価な設備を必要とするプロセスが不要になる。その結果、電極層及び酸化物層が、いずれも簡便にパターニングされ得る。その結果、本実施形態の薄膜キャパシタ300は、工業性又は量産性に極めて優れるものである。

【0072】
<第4の実施形態>
1.本実施形態の薄膜キャパシタの全体構成
本実施形態においても、固体電子装置の一例である薄膜キャパシタの全ての層の形成過程において型押し加工が施されている。本実施形態における固体電子装置の一例である薄膜キャパシタ400の全体構成は、図25に示されている。本実施形態では、下部電極層、酸化物層、及び上部電極層は、各々の前駆体層を積層した後に予備焼成が行なわれる。

【0073】
また、予備焼成が行なわれた全ての前駆体層は、型押し加工を施された後に本焼成が行われる。なお、本実施の形態の構成については、第1乃至第3の実施形態と重複する説明は省略する。図25に示すように、薄膜キャパシタ400は、基板10を有している。また、薄膜キャパシタ400は、基板10上に、基板10の側から下部電極層420、誘電体から構成される絶縁層である酸化物層430、及び上部電極層440を備える。

【0074】
2.薄膜キャパシタ400の製造工程
次に薄膜キャパシタ400の製造方法を説明する。図22乃至図24は、それぞれ、薄膜キャパシタ400の製造方法の一過程を示す断面模式図である。薄膜キャパシタ400の製造に際しては、まず基板10上に、下部電極層420の前駆体層である下部電極層用前駆体層420a、酸化物層430の前駆体層である前駆体層430a、及び上部電極層440の前駆体層である上部電極層用前駆体層440aの積層体が形成される。次に、この積層体に型押し加工が施された後、本焼成が行われる。薄膜キャパシタ400の製造工程においても、第1乃至第3の実施形態と重複する説明は省略する。

【0075】
(1)前駆体層の積層体の形成
図22に示すように、まず基板10上に、下部電極層420の前駆体層である下部電極層用前駆体層420a、酸化物層430の前駆体層である前駆体層430a、及び上部電極層440の前駆体層である上部電極層用前駆体層440aの積層体が形成される。本実施形態においては、第3の実施形態と同様、薄膜キャパシタ400の下部電極層420及び上部電極層440が、ランタン(La)とニッケル(Ni)とからなる導電用酸化物層によって形成され、絶縁層となる酸化物層430がビスマス(Bi)及びニオブ(Nb)とからなる酸化物層によって形成される例を説明する。初めに、基板10上に、公知のスピンコーティング法により、ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする下部電極層用前駆体溶液を出発材とする下部電極層用前駆体層420aが形成される。その後、予備焼成として、酸素含有雰囲気中で所定の時間、下部電極層用前駆体層420aを80℃以上250℃以下の温度範囲で加熱する。また、前述のスピンコーティング法による下部電極層用前駆体層420aの形成及び予備焼成を複数回繰り返すことによって、下部電極層420の所望の厚みを得ることができる。

【0076】
次に、予備焼成が行われた下部電極層用前駆体層420a上に前駆体層430aを形成する。まず下部電極層用前駆体層420a上にビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層430aを形成する。その後、予備焼成として、酸素含有雰囲気中で所定の時間、前駆体層430aを80℃以上250℃以下の温度範囲で加熱する。

【0077】
次に、予備焼成が行われた前駆体層430a上に、下部電極層用前駆体層420aと同様に、公知のスピンコーティング法により、ランタン(La)を含む前駆体及びニッケル(Ni)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする上部電極層用前駆体層440aが形成される。その後、上部電極層用前駆体層440aに対して酸素含有雰囲気中で80℃以上250℃以下の温度範囲で加熱して予備焼成を行う。

【0078】
(2)型押し加工
次に、各前駆体層の積層体(420a,430a,440a)のパターニングを行うために、図23に示すように、80℃以上300℃以下の範囲内で加熱した状態で、積層体用型M4を用いて、1MPa以上20MPa以下の圧力で型押し加工が施される。

【0079】
その後、各前駆体層の積層体(420a,430a,440a)を全面エッチングする。その結果、図24に示すように、下部電極層、酸化物層、及び上部電極層に対応する領域以外の領域から各前駆体層の積層体(420a,430a,440a)を完全に除去する(各前駆体層の積層体(420a,430a,440a)の全面に対するエッチング工程)。

【0080】
(3)本焼成
次に、各前駆体層の積層体(420a,430a,440a)に対して本焼成を行う。その結果、図25に示すように、基板10上に、下部電極層420、酸化物層430、上部電極層440が形成される。

【0081】
本実施形態においても、ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を出発材とする前駆体層を、酸素含有雰囲気中において加熱することにより形成される、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)からなる酸化物層が形成される。また、その酸化物層を形成するための加熱温度が、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)であれば、特に良好な電気特性が得られる。加えて、本実施形態の酸化物層の製造方法を採用すれば、真空プロセスを用いることなく酸化物層の前駆体溶液を酸素含有雰囲気中で加熱すればよいため、従来のスパッタ法と比較して大面積化が容易になるとともに、工業性又は量産性を格段に高めることが可能となる。

【0082】
また、本実施形態では、予備焼成が行われた全ての酸化物層の前駆体層に対して型押し加工を行った後に、本焼成が行われる。したがって、型押し構造を形成する場合において、工程の短縮化を図ることが可能となる。

【0083】
<実施例>
以下、本発明をより詳細に説明するために、実施例及び比較例をあげて説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。

【0084】
実施例及び比較例については、以下の方法によって、固体電子装置の物性の測定及びBNO酸化物層の組成分析を実施した。
1.電気特性
(1)リーク電流
下部電極層と上部電極層の間に0.25MV/cmの電圧を印加して電流を測定した。この測定にはアジレントテクノロジー社製、4156C型を用いた。

【0085】
(2)誘電損失(tanδ)
実施例及び比較例の誘電損失は以下のようにして測定した。室温において、下部電極層と上部電極層の間に0.1Vの電圧、1KHzの交流電圧を印加して誘電損失を測定した。この測定には東陽テクニカ社製、1260-SYS型広帯域誘電率測定システムを用いた。

【0086】
(3)比誘電率
実施例及び比較例の比誘電率は以下のようにして測定した。下部電極層と上部電極層の間に0.1Vの電圧、1KHzの交流電圧を印加して比誘電率を測定した。この測定には東陽テクニカ社製、1260-SYS型広帯域誘電率測定システムを用いた。

【0087】
2.BNO酸化物層の炭素及び水素の含有率
National Electrostatics Corporation 製 Pelletron 3SDHを用いて、ラザフォード後方散乱分光法(Rutherford Backscattering Spectrometry:RBS分析法)、水素前方散乱分析法(Hydrogen Forward scattering Spectrometry:HFS分析法)、及び核反応解析法((Nuclear Reaction Analysis:NRA分析法)により元素分析を行い、実施例及び比較例におけるBNO酸化物層の炭素及び水素の含有率を求めた。

【0088】
3.BNO酸化物層の断面TEM写真及び電子線回析による結晶構造解析
実施例及び比較例におけるBNO酸化物層について断面TEM(Transmission Electron Microscopy)写真及び電子線回析像による観察を行った。また、実施例及び比較例におけるBNO酸化物層の電子線回析像を用いて、ミラー指数及び原子間距離を求め、既知の結晶構造モデルとフィッティングを行うことにより構造解析を行った。既知の結晶構造モデルとして、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O,β-BiNbO、及びBiNbOを用いた。

【0089】
(実施例1)
実施例1においては、本実施形態の実施形態の製造方法に基づき、薄膜キャパシタを作成した。まず、基板の上に下部電極層を形成し、次に、酸化物層を形成する。その後、酸化物層上に上部電極層を形成する。基板として、高耐熱ガラスを用いた。下部電極層は、公知のスパッタリング法により基板上に白金(Pt)よりなる層を形成した。このときの下部電極層の膜厚は200nmであった。絶縁層となる酸化物層のためのビスマス(Bi)を含む前駆体は、オクチル酸ビスマスを用い、ニオブ(Nb)を含む前駆体は、オクチル酸ニオブを用いた。予備焼成として、5分間、250℃に加熱し、スピンコーティング法による前駆体層の形成と予備焼成を5回繰り返した。本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、約20分間、520℃に加熱した。酸化物層30の厚みを約170nmとした。各層の膜厚は、各層と基板の段差を触針法により求めた。酸化物層におけるビスマス(Bi)とニオブ(Nb)との原子組成比は、ビスマス(Bi)が1としたときにニオブ(Nb)が1であった。上部電極層は、公知のスパッタリング法により酸化物層上に白金(Pt)よりなる層を形成した。このときの上部電極層のサイズを100μm×100μmとし、膜厚を150nmとした。また、電気特性は、リーク電流値が、3.0×10-4A/cm、誘電損失が、0.025、比誘電率が62であった。また、BNO酸化物層が、パイロクロア型結晶構造の微結晶相を有していることが確認できた。また、さらに具体的には、パイロクロア型結晶構造は、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造であるか、あるいは(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造と略同一又は近似していることが判明した。

【0090】
(実施例2)
実施例2においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、1時間、520℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。また、電気特性は、リーク電流値が、3.0×10-8A/cm、誘電損失が、0.01、比誘電率が70であった。また、BNO酸化物層が、パイロクロア型結晶構造の微結晶相を有していることが確認できた。また、さらに具体的には、パイロクロア型結晶構造は、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造であるか、あるいは(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造と略同一又は近似していることが判明した。また、炭素含有率が1.5atm%以下と検出限界以下の小さな値となり、水素含有率が1.6atm%であった。

【0091】
(実施例3)
実施例3においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、20分、530℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、3.0×10-6A/cm、誘電損失が、0.01、比誘電率が110であった。また、BNO酸化物層が、パイロクロア型結晶構造の微結晶相を有していることが確認できた。また、さらに具体的には、パイロクロア型結晶構造は、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造であるか、あるいは(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造と略同一又は近似していることが判明した。

【0092】
(実施例4)
実施例4においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、2時間、530℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、8.8×10-8A/cm、誘電損失が、0.018、比誘電率が170であった。また、BNO酸化物層が、パイロクロア型結晶構造の微結晶相を有していることが確認できた。また、さらに具体的には、パイロクロア型結晶構造は、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造であるか、あるいは(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造と略同一又は近似していることが判明した。また、炭素含有率が1.5atm%以下と検出限界以下の小さな値となり、水素含有率が1.4atm%であった。

【0093】
(実施例5)
実施例5においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、1分、550℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、5.0×10-7A/cm、誘電損失が、0.01、比誘電率が100であった。また、BNO酸化物層が、パイロクロア型結晶構造の微結晶相を有していることが確認できた。また、さらに具体的には、パイロクロア型結晶構造は、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造であるか、あるいは(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造と略同一又は近似していることが判明した。

【0094】
(実施例6)
実施例6においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、20分、550℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、1.0×10-6A/cm、誘電損失が、0.001、比誘電率が180であった。また、BNO酸化物層が、パイロクロア型結晶構造の微結晶相を有していることが確認できた。また、さらに具体的には、パイロクロア型結晶構造は、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造であるか、あるいは(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造と略同一又は近似していることが判明した。また、炭素含有率が1.5atm%以下、水素含有率が1.0atm%以下と双方検出限界以下の小さな値となった。

【0095】
(実施例7)
実施例7においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、12時間、550℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、2.0×10-5A/cm、誘電損失が、0.004、比誘電率が100であった。また、BNO酸化物層が、パイロクロア型結晶構造の微結晶相を有していることが確認できた。また、さらに具体的には、パイロクロア型結晶構造は、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造であるか、あるいは(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造と略同一又は近似していることが判明した。

【0096】
(実施例8)
実施例8においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、20分、580℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、1.0×10-6A/cm、誘電損失が、0.001、比誘電率が100であった。また、BNO酸化物層が、パイロクロア型結晶構造の微結晶相を有していることが確認できた。また、さらに具体的には、パイロクロア型結晶構造は、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造であるか、あるいは(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造と略同一又は近似していることが判明した。

【0097】
(比較例1)
比較例1においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、20分、500℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、1.0×10-2A/cmと大きく、誘電損失が、0.001、比誘電率が100であった。また、BNO酸化物層が、パイロクロア型結晶構造の微結晶相を有していることが確認できた。

【0098】
(比較例2)
比較例2においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、2時間、500℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、1.0×10-1A/cmと大きく、誘電損失が、0.007、比誘電率が180であった。また、BNO酸化物層が、パイロクロア型結晶構造の微結晶相を有していることが確認できた。炭素含有率が6.5atm%、水素含有率が7.8atm%と大きい値となった。

【0099】
(比較例3)
比較例3においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、20分、600℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、7.0×10-6A/cm、誘電損失が、0.001、比誘電率が80であった。BNO酸化物層の結晶相の組成は、β-BiNbO型結晶構造の結晶相を得ることができた。

【0100】
(比較例4)
比較例4においては、本焼成として、前駆体層を、酸素雰囲気中で、20分、650℃に加熱した以外は実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、5.0×10-3A/cm、誘電損失が、0.001、比誘電率が95であった。BNO酸化物層の結晶相の組成は、β-BiNbO型結晶構造の結晶相を得ることができた。

【0101】
(比較例5)
比較例5においては、下部電極層上に絶縁層となるBNO酸化物層を、公知のスパッタリング法により室温にて形成し、この後550℃で20分熱処理を行った。その他については、実施例1と同様の条件で薄膜キャパシタを作成した。電気特性は、リーク電流値が、1.0×10-7A/cm、誘電損失が、0.005となり、比誘電率が50であった。BNO酸化物層の結晶相の組成は、BiNbO型結晶構造の微結晶相を得ることができた。また、炭素含有率が1.5atm%以下、水素含有率が1.0atm%以下と双方検出限界以下の小さな値となった。

【0102】
実施例1乃至8、及び比較例1乃至5における薄層キャパシタの構成及び酸化物層の成膜条件、得られた電気特性及びBNO酸化物層の炭素及び水素の含有率、結晶構造の結果を表2及び表3に示す。なお、表2及び表3における「結晶相の組成」とは、結晶相及び微結晶相を含む。また、表2及び表3におけるBiNbOは、β-BiNbOを示す。
また、各表中の「-」印は、それ以外に開示しているデータを考慮した結果、調査する必要がないとして調査しなかったことを示している。

【0103】
【表2】
JP2014175453A_000004t.gif

【0104】
【表3】
JP2014175453A_000005t.gif

【0105】
1.電気特性
(1)比誘電率
比誘電率については、表2及び表3に示すように、実施例においては、1KHzにおける比誘電率が60以上となり、キャパシタとしての十分な特性を得ることができた。なお、表2における各実施例の比誘電率の数値は、酸化物層全体としての数値である。後述するように、本願発明者らの分析によれば、この酸化物層において、パイロクロア型結晶構造の結晶相以外の結晶相を有することによって酸化物層全体としての比誘電率がそれほど高い値ではない場合であっても、パイロクロア型結晶構造の結晶相に焦点を当てた場合には、その結晶相が生み出す比誘電率は、従来と比較して格段に高い値を示すことが明らかとなった。また、比較例3又は比較例4については、酸化物膜全体としては、各実施例と同等の比誘電率が得られた。しかしながら、比較例3又は比較例4はパイロクロア型結晶構造の結晶相を有しないため、局所的に高い比誘電率を有する箇所が見当たらなかった。また、比較例3又は比較例4の加熱温度の高さは、製造コストの増加を招くことになるため好ましくない。一方、比較例5のBiNbO型結晶構造のBNO層は、比誘電率が全体としても、また局所的な数値としても50と低い結果が得られた。
(2)リーク電流
表2及び表3に示すように、実施例においては、0.25MV/cm印加時のリーク電流値が、5.0×10-3A/cm以下となり、キャパシタとしての十分な特性を得ることができた。各実施例は、比較例1又は比較例2と比べてリーク電流が十分に低い値となった。他方、比較例3又は比較例4は、各実施例と同等のリーク電流を得られる場合が確認されたが、加熱温度が高いため、製造コストの増加を招くことになる。
従って、酸化物層を形成するための加熱温度が、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)とすることによって、良好な値が得られることが確認された。また、各実施例は、比較例5のスパッタリング法によるBNO層と同等の結果が得られた。

【0106】
(3)誘電損失(tanδ)
表2及び表3に示すように、各実施例においては、誘電損失が1KHzにおいて、0.03以下となり、キャパシタとしての十分な特性を得ることができた。これらの実施例における酸化物層は、ビスマス(Bi)を含む前駆体及びニオブ(Nb)を含む前駆体を溶質とする前駆体溶液を焼成することによって形成されている。従って、溶液法によって形成された酸化物層は、誘電損失が小さい点ても好ましい絶縁層である。溶液法によって形成された各実施例による酸化物層は、比較例5におけるスパッタリング法によるBNO層と同等の誘電損失を有するといえる。

【0107】
2.BNO酸化物層の炭素および水素の含有率
本焼成の温度が520℃以上600℃未満の範囲である実施例2,4,6については、炭素および水素の含有率が調査された。その結果、BNO酸化物層の炭素含有率が1.5atm%以下という、非常に良好な結果が得られた。ここで、本測定法による炭素含有率の測定下限値は、およそ1.5atm%であるため、実際の濃度は、この測定下限値以下であると考えられる。また、これらの実施例においては、炭素含有率が比較例5のスパッタ法によるBNO酸化物層と同様のレベルであることが判明した。一方、比較例2に示すように、本焼成の温度が500℃と低い場合には、前駆体溶液の溶媒及び溶質中の炭素が残存すると考えられ、炭素含有率が6.5atm%と大きな値を示した。その結果、リーク電流1.0×10-1A/cmと大きい値になったものと考えられる。

【0108】
また、水素含有率に関して、本焼成の温度が520℃以上600℃未満の範囲である実施例2,4,6のBNO酸化物層の水素含有率は、1.6atm%以下という良好な結果であった。ここで、本測定法による水素含有率の測定下限値は、およそ1.0atm%であるため、実施例6における実際の濃度は、この測定下限値以下であると考えられる。また、実施例6においては、水素含有率が比較例5のスパッタ法によるBNO酸化物層と同様のレベルであることが判明した。一方、比較例2に示すように、本焼成の温度が500℃と低い場合には、前駆体溶液の溶媒及び溶質中の水素が残存すると考えられ、水素含有率が7.8atm%と大きな値を示した。このように水素含有率が大きいことも、リーク電流が1.0×10-1A/cmと大きい値になった原因と考えられる。

【0109】
3.断面TEM写真及び電子線回析による結晶構造解析
図26は、実施例6におけるBNO酸化物層の結晶構造を示す断面TEM写真及び電子線回析像である。図26(a)は、実施例6におけるBNO酸化物層の断面TEM写真である。図26(b)は、図26(a)に示したBNO酸化物層の断面TEM写真の領域Xにおける電子線回析像である。また、図27は、比較例5(スパッタ法)における絶縁層となる酸化物層の結晶構造を示す断面TEM写真及び電子線回析像である。なお、図27(a)は、比較例5におけるBNO酸化物層の結晶構造を示す断面TEM写真である。また、図27(b)は、図27(a)に示したBNO酸化物層の断面TEM写真の領域Yにおける電子線回析像である。

【0110】
図26に示すように、断面TEM写真及び電子線回析像の結果から、本実施例のBNO酸化物層は、結晶相及びアモルファス相を含んでいることが確認された。より詳細に見れば、BNO酸化物層は、結晶相、微結晶相、及びアモルファス相を含んでいることが分かった。なお、本出願において、「微結晶相」とは、ある層状の材料が形成されている場合に、その層の膜厚方向の上端から下端に至るまで一様に成長した結晶相ではない結晶相を意味する。さらに、ミラー指数及び原子間距離から、既知の結晶構造モデルとフィッティングを行うことによって、BNO酸化物層は、A(但し、Aは金属元素、Bは遷移金属元素、以下、同じ)の一般式で示されるパイロクロア型結晶構造の微結晶相及び三斜晶(triclinic)のβ-BiNbO型結晶構造の結晶相のうちの少なくとも一方を有していることが示された。

【0111】
なお、パイロクロア型結晶構造の微結晶相については、絶縁層となる酸化物層の前駆体層の本焼成の温度によって、その出現性が異なることが分かる。比較例3及び比較例4に示すように、本焼成の温度が600℃及び650℃の場合に、β-BiNbO型結晶構造のみの結晶相が出現することが確認された。

【0112】
他方、興味深いことに、実施例1~8に示すように、本焼成の温度が520℃、530℃、550℃、及び580℃の場合に、パイロクロア型結晶構造の微結晶相が出現することが分かった。また、さらに具体的には、パイロクロア型結晶構造は、(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造であるか、あるいは(Bi1.5Zn0.5)(Zn0.5Nb1.5)O型構造と略同一又は近似していることが分かった。

【0113】
ここで、上述のとおり、これまでに知られているパイロクロア型結晶構造は、「亜鉛」が含まれた結果として取り得る構造であったが、上述の各実施例においては、既知の態様とは異なる結果が得られた。上述の各実施例のように、亜鉛を含まない組成において、なぜそのようなパイロクロア型結晶構造を出現させるのかについて、現時点では明らかではない。しかしながら、後述するように、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有することによって、薄層キャパシタの絶縁層としての良好な誘電特性(特に、高い比誘電率)につながることが判明した。

【0114】
また、実施例1~8に示すように、絶縁層となる酸化物層は、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有することによって、固体電子装置の絶縁層として、良好な電気特性を得ることが可能であることも判明した。

【0115】
一方、比較例5におけるスパッタ法による酸化物層は、パイロクロア型結晶構造の微結晶相やβ-BiNbO型結晶構造の結晶相は確認されなかった。他方、比較例5においては、BiNbO型結晶構造を有する微結晶相が確認された。

【0116】
4.誘電率の異なる結晶相の分布の解析
図28は、代表例としての実施例6におけるBNO酸化物層の平面視における各結晶相の、(a)TOPO像(走査型プローブ顕微鏡(高感度SNDMモード))及び(b)容量変化像である。また、図29は、代表例としての比較例5(スパッタ法)における絶縁層となる酸化物層の平面視における各結晶相の、(a)TOPO像及び(b)容量変化像である。さらに、図30は、比較例5(スパッタ法)における絶縁層となる酸化物層(a)と、実施例6における絶縁層となる酸化物層(b)の、平面視における各結晶相による、各容量変化像からの校正後の比誘電率の分布を示す比誘電率像である。

【0117】
なお、上述のTOPO像は及び容量変化像は、走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイナ・ノテクノロジー株式会社製)の高感度SNDMモードによって観察された。によって観察された。また、図30に示す比誘電率の分布を示す比誘電率像は、図28及び図29によって得られた容量変化像を、校正曲線を作成することによって比誘電率に変換したものである。

【0118】
図28乃至図30に示すように、上述の各酸化物層の表面粗さは大きな差が見られないが、実施例6のBNO酸化物層の比誘電率(ε)の値は、比較例5のBNO酸化物層の比誘電率の値に比べて非常に高いことが確認された。また、実施例6のBNO酸化物層のTOPO像及び容量変化像は、比較例5のそれらと比較して、明らかに濃淡の分布が大きいことが分かる。スパッタ法によるBNO酸化物層の一様な表面状態と比較して、実施例6のBNO酸化物層は、種々の結晶相によって構成されていることが確認された。

【0119】
さらに詳細に分析を進めた結果、実施例6のBNO酸化物層は、比誘電率が、他の結晶相の比誘電率と比べて突出して高い数値を示すパイロクロア型結晶構造の結晶相、図28(b)におけるZの領域(色が濃い領域)に示すβ-BiNbO型結晶構造の結晶相、及びアモルファス相によって構成されていることが確認できた。そして、図28及び図30に示すように、実施例6のBNO酸化物層の平面視において、パイロクロア型結晶構造の結晶相が粒状又は島状に分布することも確認された。なお、図30における比誘電率(ε)の値は、観察された一部の領域の代表値であるため、上述の表2又は表3に示す数値を若干異なっている。

【0120】
本願発明者らの分析及び検討の結果、これまでに知られている、「亜鉛」が含まれた上で取り得るパイロクロア型結晶構造の結晶相の比誘電率が比較的高い数値であることを踏まえると、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有することが、高い比誘電率を発現させる原因であるとの結論に至った。従って、パイロクロア型結晶構造の結晶相以外の結晶相を有することによって酸化物層全体としての比誘電率がそれほど高い値ではない場合であっても、パイロクロア型結晶構造の結晶相を有する、ビスマス(Bi)とニオブ(Nb)とからなる酸化物層を用いることにより、各種の固体電子装置の電気特性を向上させることが可能となる。この興味深い異質性によって、これまでに得られなかった誘電特性が得られたことは特筆に値する。なお、実施例6以外の各実施例においても、同様の現象が知見される。

【0121】
上述のとおり、上述の各実施形態における酸化物層は、パイロクロア型結晶構造の微結晶相が分布していることにより、BNO酸化物としては従来に無い高い比誘電率を有していることが確認された。また、上述の各実施形態における酸化物層は、溶液法により製造されることにより、製造プロセスの簡素化が図られている。加えて、溶液法による酸化物層の製造において、酸化物層を形成するための加熱温度(本焼成の温度)を、520℃以上600℃未満(より好ましくは580℃以下)とすることにより、比誘電率が高く、かつ誘電損失が少ないという良好な電気特性を備えたBNO酸化物層を得ることが可能となる。加えて、上述の各実施形態における酸化物層の製造方法は、真空装置等の複雑で高価な設備を要することなく比較的短時間で簡易な方法であるため、工業性又は量産性に優れた酸化物層及びそのような酸化物層を備えた各種の固体電子装置の提供に大きく貢献するものである。

【0122】
<その他の実施形態>
ところで、上述の各実施形態における酸化物層は、低い駆動電圧で大きな電流を制御する各種の固体電子装置に適したものである。上述の各実施形態における酸化物層を備えた固体電子装置として、上述した薄膜キャパシタ以外にも、数多くの装置に適用され得る。例えば、積層薄膜キャパシタ、容量可変薄膜キャパシタ等のキャパシタ、金属酸化物半導体接合電界効果トランジスタ(MOSFET)、不揮発性メモリ等の半導体装置、あるいは、マイクロTAS(Total Analysis System)、マイクロ化学チップ、DNAチップ等のMEMS(microelectromechanical system)又はNEMS(nanoelectromechanical
system)に代表される微少電気機械システムのデバイスに、上述の各実施形態における酸化物層を適用することもできる。

【0123】
以上述べたとおり、上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0124】
10 基板
20,220,320.420 下部電極層
220a,320a,420a 下部電極層用前駆体層
30,230,330.430 酸化物層
30a,230a,330a.430a 酸化物層用前駆体層
40,240,340.440 上部電極層
240a,340a,440a 上部電極層用前駆体層
100,200,300,400 固体電子装置の一例である薄層キャパシタ
M1 下部電極層用型
M2 絶縁層用型
M3 上部電極層用型
M4 積層体用型
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29