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明細書 :小眼球症関連転写因子抑制剤、メラニン産生抑制剤、化粧品組成物及び抗ガン剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-198683 (P2014-198683A)
公開日 平成26年10月23日(2014.10.23)
発明の名称または考案の名称 小眼球症関連転写因子抑制剤、メラニン産生抑制剤、化粧品組成物及び抗ガン剤
国際特許分類 A61K  31/22        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61K   8/37        (2006.01)
A61K   8/46        (2006.01)
A61Q  19/02        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
FI A61K 31/22
A61P 35/00
A61K 8/37
A61K 8/46
A61Q 19/02
C12N 15/00 ZNAA
C12Q 1/68 A
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 38
出願番号 特願2013-074373 (P2013-074373)
出願日 平成25年3月29日(2013.3.29)
発明者または考案者 【氏名】池本 敦
【氏名】上松 仁
出願人 【識別番号】504409543
【氏名又は名称】国立大学法人秋田大学
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100129838、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 典輝
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4B063
4C083
4C206
Fターム 4B024AA11
4B024CA01
4B024CA09
4B024CA11
4B024CA20
4B024HA11
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ21
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS32
4B063QX02
4C083AC34
4C083AC341
4C083AC35
4C083AC351
4C083CC02
4C083EE16
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB03
4C206DB56
4C206JA23
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZB26
要約 【課題】食用植物由来の成分を含むとともに、小眼球症関連転写因子抑制作用を示し、従来よりもメラニン産生抑制作用に優れた小眼球症関連転写因子抑制剤、メラニン産生抑制剤、化粧品組成物及び抗ガン剤を提供する。
【解決手段】各薬剤において、下記式(1A)又は(1B)で示される脂環式化合物を含有するものとする。下記式(1A)又は(1B)において、R、Rは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。
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【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1A)又は(1B)で示される脂環式化合物を含有する、小眼球症関連転写因子抑制剤。
【化1】
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(上記式(1A)又は(1B)において、R、Rは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【請求項2】
前記脂環式化合物が、下記式(2A)又は(2B)で示される化合物である、請求項1に記載の小眼球症関連転写因子抑制剤。
【化2】
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(上記式(2A)又は(2B)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【請求項3】
前記脂環式化合物が、下記式(3A)で示される化合物である、請求項1に記載の小眼球症関連転写因子抑制剤。
【化3】
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(上記式(3A)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【請求項4】
前記脂環式化合物が、下記式(4A)~(6A)から選ばれるいずれかの化合物である、請求項1に記載の小眼球症関連転写因子抑制剤。
【化4】
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【請求項5】
下記式(1A)又は(1B)で示される脂環式化合物を含有する、メラニン産生抑制剤。
【化5】
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(上記式(1A)又は(1B)において、R、Rは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【請求項6】
前記脂環式化合物が、下記式(2A)又は(2B)で示される化合物である、請求項5に記載のメラニン産生抑制剤。
【化6】
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(上記式(2A)又は(2B)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【請求項7】
前記脂環式化合物が、下記式(3A)で示される化合物である、請求項5に記載のメラニン産生抑制剤。
【化7】
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(上記式(3A)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【請求項8】
前記脂環式化合物が、下記式(4A)~(6A)から選ばれるいずれかの化合物である、請求項5に記載のメラニン産生抑制剤。
【化8】
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【請求項9】
請求項5~8のいずれかに記載のメラニン産生抑制剤を含む、化粧品組成物。
【請求項10】
下記式(1A)又は(1B)で示される脂環式化合物を含有する、抗ガン剤。
【化9】
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(上記式(1A)又は(1B)において、R、Rは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【請求項11】
前記脂環式化合物が、下記式(2A)又は(2B)で示される化合物である、請求項10に記載の抗ガン剤。
【化10】
JP2014198683A_000033t.gif
(上記式(2A)又は(2B)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【請求項12】
前記脂環式化合物が、下記式(3A)で示される化合物である、請求項10に記載の抗ガン剤。
【化11】
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(上記式(3A)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【請求項13】
前記脂環式化合物が、下記式(4A)~(6A)から選ばれるいずれかの化合物である、請求項10に記載の抗ガン剤。
【化12】
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発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、エレモフィラン骨格を有するセスキテルペン類の一種であるペタシン又は類似構造を有する脂環式化合物を含有することを特徴とする新規小眼球症関連転写因子(MITF)抑制剤、メラニン産生抑制剤、化粧品組成物及び抗ガン剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康・美容への関心が高まっており、例えば、肌の美白に関する研究が数多くなされている。肌の黒ずみの原因はメラニンの生成によるものである。通常、皮膚におけるメラニンの生成メカニズムは下記の通り説明される。すなわち、図1に示されるように、紫外線や体内のメラニン産生刺激ホルモンによる刺激を受けると、メラニン産生酵素であるチロシナーゼが発現され、皮膚のメラノサイトの中にあるチロシンをドーパクロムやインドール-5,6-キノンに変換し、次いで化学的な酸化重合反応により黒いメラニン色素が作り出される。
【0003】
メラニン産生抑制剤として、上記のうちチロシナーゼの活性を阻害するものがある。例えば、ハイドロキノンにグルコースがひとつ結合した配糖体である「アルブチン」は、メラニン色素を生成するメラノサイト(色素生成細胞)の中にあるチロシナーゼの活性を阻害する作用を持っており、これによりメラニンの生成を抑制する。また、ヒト皮膚に紫外線を照射して誘導される色素沈着に対する抑制効果が二重盲検法により調べられ、アルブチン配合乳液の塗布が有効であることが示されている。このように、チロシナーゼの活性を阻害する物質は数多く見つかっているが、いくら阻害作用を有していようとも、ヒトに有害となる物質である場合は適用することができない。このような観点から、ヒトへの安全性の高い食用植物等にメラニン産生抑制成分を見出し、これを抽出して化粧品に用いる技術が数多くなされている(例えば、特許文献1~5や非特許文献1等)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2011-88856号公報
【特許文献2】特開2011-37851号公報
【特許文献3】特開2010-173964号公報
【特許文献4】特開2010-111645号公報
【特許文献5】特開2010-43041号公報
【0005】

【非特許文献1】Miyazawa et al. “Character Impact Odorants of Wild Edible Plant-Cacalia hastate L. var. orientalis-Used in Japanese Traditional Food”, Journal of Oleo Science 59, (10) 527-533 (2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、メラニン産生抑制剤としては、チロシナーゼ等のメラニン色素産生酵素そのものに対する阻害作用を有するものが数多く知られている。或いは、抗酸化物質によって、メラニン産生時の酸化重合を抑えることもなされている。しかしながら、メラニン産生抑制はチロシナーゼの酵素反応を阻害することや、酸化重合を抑えることのみでは十分でない場合がある。
【0007】
例えば、小眼球症関連転写因子(MITF)は、メラニン色素産生酵素の遺伝子発現を促進することが知られており、MITFを抑制することができれば、メラニン産生を根元から抑えることができるものと考えられる。
【0008】
そこで本発明は、ヒトへの安全性の高い食用植物由来の成分を含む、MITF抑制剤、メラニン産生抑制剤、化粧品組成物、及び抗ガン剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、特願2012-025967において、食用植物由来の成分を含むとともに、MITF抑制作用を示し、従来よりもメラニン産生抑制作用に優れた生理活性組成物及びその製造方法、MITF抑制剤、並びにメラニン産生抑制剤、化粧品組成物、抗ガン剤を開示した。
【0010】
より具体的には、先願において、本発明者は、天然に自生する山菜の一種であるヨブスマソウやイヌドウナのアルコール抽出物に、チロシナーゼ阻害成分、及び抗酸化成分とともに、MITF抑制成分が含まれていることを開示した。ヨブスマソウやイヌドウナは、冷涼な地域に広く自生する山菜であり、食経験もありヒトへの安全性が高い。そして、上記各成分を含む抽出物によれば、MITFによるチロシナーゼ遺伝子発現を抑制し、チロシナーゼによる酵素反応を阻害し、且つ、酵素反応後の酸化重合反応を抑制することも可能であるため、メラニン産生に関して、根元から最終生成に至るまでの各段階において効果的に作用させることができる。
【0011】
しかしながら、上記の先願においては、MITF抑制物質の同定にまでは至っていなかった。このことに鑑み、本発明者らが共同でさらに鋭意研究を進めたところ、ヨブスマソウやイヌドウナに含まれるMITF抑制物質が、エレモフィラン骨格を有するセスキテルペン類の一種であるペタシン又は類似構造を有する脂環式化合物であることを突き止めた。これら脂環式化合物がMITF抑制作用を有することは従来において全く知られておらず、本発明は従来にない新規薬剤として極めて有用である。
【0012】
すなわち、第1の本発明は、下記式(1A)又は(1B)で示される脂環式化合物を含有する、小眼球症関連転写因子抑制剤である。
【0013】
【化1】
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(上記式(1A)又は(1B)において、R、Rは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【0014】
尚、本発明において「式(1A)又は(1B)で示される脂環式化合物を含有する」とは、式(1A)で示される化合物を含有する形態、式(1B)で示される化合物を含有する形態、さらには、式(1A)で示される化合物と式(1B)で示される化合物とを共に含有する形態のいずれをも含んだ概念である。また、「置換基を有していてもよい炭化水素基」とは、炭化水素が、ヘテロ原子(酸素原子や窒素原子等)を介してシクロヘキシル骨格に結合している形態を含む概念である。例えば以下に示すエーテルやエステルがこれに該当する。
【0015】
すなわち、第1の本発明において、脂環式化合物が、下記式(2A)又は(2B)で示される化合物であることが好ましい。
【0016】
【化2】
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(上記式(2A)又は(2B)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【0017】
また、第1の本発明において、脂環式化合物が、下記式(3A)で示される化合物であることが好ましい。
【0018】
【化3】
JP2014198683A_000005t.gif
(上記式(3A)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【0019】
さらに、第1の本発明において、脂環式化合物が、下記式(4A)~(6A)から選ばれるいずれかの化合物であることが好ましい。尚、下記式(4A)~(6A)において、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。
【0020】
【化4】
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【0021】
第2の本発明は、下記式(1A)又は(1B)で示される脂環式化合物を含有する、メラニン産生抑制剤である。
【0022】
【化5】
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(上記式(1A)又は(1B)において、R、Rは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【0023】
第2の本発明において、脂環式化合物が、下記式(2A)又は(2B)で示される化合物であることが好ましい。
【0024】
【化6】
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(上記式(2A)又は(2B)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【0025】
第2の本発明において、脂環式化合物が、下記式(3A)で示される化合物であることが好ましい。
【0026】
【化7】
JP2014198683A_000009t.gif
(上記式(3A)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【0027】
第2の本発明において、脂環式化合物が、下記式(4A)~(6A)から選ばれるいずれかの化合物であることが好ましい。尚、下記式(4A)~(6A)において、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。
【0028】
【化8】
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【0029】
第3の本発明は、第2の本発明に係るメラニン産生抑制剤を含む、化粧品組成物である。
【0030】
第4の本発明は、下記式(1A)又は(1B)で示される脂環式化合物を含有する、抗ガン剤である。
【0031】
【化9】
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(上記式(1A)又は(1B)において、R、Rは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【0032】
第4の本発明において、脂環式化合物が、下記式(2A)又は(2B)で示される化合物であることが好ましい。
【0033】
【化10】
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(上記式(2A)又は(2B)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【0034】
第4の本発明において、脂環式化合物が、下記式(3A)で示される化合物であることが好ましい。
【0035】
【化11】
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(上記式(3A)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)
【0036】
第4の本発明において、脂環式化合物が、下記式(4A)~(6A)から選ばれるいずれかの化合物であることが好ましい。尚、下記式(4A)~(6A)において、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。
【0037】
【化12】
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【発明の効果】
【0038】
本発明は、ヒトへの安全性が高い食用山菜の抽出成分であるエレモフィラン骨格を有するセスキテルペン類の一種であるペタシン又は類似構造の脂環式化合物を含んでなるもので、MITF抑制作用によって、例えばチロシナーゼ遺伝子発現を抑制してメラニン産生を根元から効果的に抑えることが可能である。すなわち、本発明によれば、ヒトへの安全性の高い食用植物由来の成分を含む、MITF抑制剤、メラニン産生抑制剤、化粧品組成物及び抗ガン剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】皮膚のメラニン生成メカニズムを説明するための図である。
【図2】本発明の効果を説明するための図である。
【図3】本発明の効果を説明するための図である。
【図4】ヨブスマソウ抽出物(分画1、2、3、4)のマッシュルームチロシナーゼ活性に及ぼす影響を示すデータである。
【図5】ヨブスマソウ抽出物(分画1、2、3、4)のメラニン産生に及ぼす影響を示すデータである。
【図6】ヨブスマソウ抽出物(分画1、2、3、4)の抗酸化能を示すデータである。
【図7】ヨブスマソウ抽出物(分画3)による細胞のmRNA発現の定量に係るデータである。
【図8】ヨブスマソウ抽出物(分画3)のメラニン産生抑制作用に係るデータである。
【図9】ヨブスマソウ抽出物(分画3、4)と既存のメラニン抑制剤とについて、遺伝子発現に及ぼす影響を比較したデータである。
【図10】ヨブスマソウ抽出物(分画3、4)と既存のメラニン抑制剤とについて、メラニン産生に及ぼす影響を比較したデータである。
【図11】各種刺激剤の違いによる、ヨブスマソウ抽出物(分画3)の遺伝子発現に及ぼす影響を比較したデータである。
【図12】各種刺激剤の違いによる、ヨブスマソウ抽出物(分画3)のメラニン産生に及ぼす影響を比較したデータである。
【図13】ヨブスマソウ抽出物(分画3)の抗ガン作用を示すデータである。
【図14】本発明の抗ガン作用について説明するための図である。
【図15】ヨブスマソウ抽出物(分画3)について、細胞密度による抗ガン活性の相違を比較したデータである。
【図16】ヨブスマソウ粗精製物(MI)に含まれる物質((A)MI-A、(B)MI-B)についてさらにHPLCによって分析した結果を示す図である。
【図17】ヨブスマソウ精製物(MI-A)のUVスペクトルを示す図である。
【図18】ヨブスマソウ精製物(MI-A)のH-NMRスペクトルを示す図である。
【図19】ヨブスマソウ精製物(MI-A)の13C-NMRスペクトルを示す図である。
【図20】ヨブスマソウ精製物(MI-B)のUVスペクトルを示す図である。
【図21】ヨブスマソウ精製物(MI-B)のH-NMRスペクトルを示す図である。
【図22】ヨブスマソウ粗精製物(MI)がメラニン産生に及ぼす影響を示すデータである。
【図23】ヨブスマソウ粗精製物(MI)のMITF抑制作用、マッシュルームチロシナーゼ阻害作用に係る評価結果を示すデータである。
【図24】ヨブスマソウ粗精製物(MI)に含まれていた2つの物質(MI-A、MI-B)について、メラニン産生に及ぼす影響を評価したデータである。
【図25】ヨブスマソウ粗精製物(MI)に含まれていた2つの物質(MI-A、MI-B)について、MITF抑制作用、マッシュルームチロシナーゼ阻害作用の評価結果を示すデータである。
【図26】ヨブスマソウ粗精製物(MI)にMITF抑制成分として含まれていたペタシン(MI-A)と類似構造を有するS-ペタシンとについて、メラニン産生に及ぼす影響を比較したデータである。
【図27】ヨブスマソウ粗精製物(MI)にMITF抑制成分として含まれていたペタシン(MI-A)と類似構造を有するS-ペタシンとについて、細胞のmRNA発現に及ぼす影響を比較したデータである。
【図28】cAMP産生に及ぼすヨブスマソウ抽出物(分画3)の影響を示すデータである。
【図29】CREBのリン酸化に及ぼすヨブスマソウ精製物MI-A、MI-B及びS-ペタシンの影響を説明するための図である。
【図30】ヨブスマソウ抽出物及びモミジガサ抽出物のマッシュルームチロシナーゼ活性に及ぼす影響を示すデータである。
【図31】ヨブスマソウ抽出物及びモミジガサ抽出物の抗酸化能を示すデータである。
【図32】ヨブスマソウ抽出物及びモミジガサ抽出物のメラニン産生に及ぼす影響を示すデータである。
【図33】ヨブスマソウ抽出物及びモミジガサ抽出物のMITF mRNA発現に及ぼす影響を示すデータである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明に係る各種薬剤は、有効成分として、下記式(1A)又は(1B)で示される脂環式化合物を含有することを特徴とする。

【0041】
【化13】
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(上記式(1A)又は(1B)において、R、Rは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)

【0042】
本発明において「置換基を有していてもよい炭化水素基」とは、炭化水素が、ヘテロ原子(酸素原子や窒素原子等)を介してシクロヘキシル骨格に結合している形態を含む概念である。例えば、上記の脂環式化合物は、下記式(2A)又は(2B)で示される化合物であることが好ましく、下記式(3A)で示される化合物であることがより好ましく、下記式(4A)~(6A)から選ばれるいずれかの化合物であることがさらに好ましい。

【0043】
【化14】
JP2014198683A_000016t.gif
(上記式(2A)又は(2B)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)

【0044】
【化15】
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(上記式(3A)において、Rは、水素又は置換基を有していてもよい炭化水素基である。また、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)

【0045】
【化16】
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(上記式(4A)~(6A)において、点線で示されている隣接する2つの化学結合のうち、一方が二重結合である。)

【0046】
上記のうち、式(1B)、(2B)に係る化合物としては、フキノン、2β-ヒドロキシフキノン、フキノサイドA等のフキノン類が挙げられる。

【0047】
上記のうちペタシン(式(4A)で示される化合物)は、セイヨウフキ(バターバー)の成分として知られている。バターバー抽出物は、「鼻づまり」「花粉症」「偏頭痛」「尿管の炎症」に効くとされ、ヒトでの有効性については、ドイツのコミッションEモノグラフ(薬用植物評価委員会)が尿路の急性の痙攣痛に対する使用を承認している。また、特定の製剤では偏頭痛に対する有効性が示唆されている。或いは、国際公開WO2008/049197号によれば、セイヨウフキに含まれるペタシンを用いることで、炎症を緩和することができる、とされている。しかしながら、上記した脂環式化合物がMITF抑制作用を有することについては、従来において全く知られていなかった。

【0048】
本発明に係る各種薬剤において、上記した脂環式化合物の含有量(濃度)は特に限定されるものではない。ペタシンはこれまでアレルギー予防への有効性から、ケミカルメディエータであるロイコトリエン産生酵素阻害作用やカルシウムチャンネル阻害作用等が知られているが、いずれも本発明で知見したMITF抑制作用・メラニン産生抑制作用よりも、数十~数百倍高い濃度が必要である。すなわち、本発明で知見したMITF抑制に係る生理作用のほうが従来公知の作用よりも優位性が高く、利用性も高いといえる。

【0049】
本発明においては、薬剤中に上記した脂環式化合物を含ませることで、当該薬剤をMITF抑制剤として用いることもできるし、メラニン産生抑制剤(さらには当該メラニン産生抑制剤を含む化粧品組成物)或いは抗ガン剤として用いることも可能である。

【0050】
例えば、上記した脂環式化合物を含むメラニン産生抑制剤は、図2に示すように、メラニン色素生成に必要な酵素・タンパク質のマスター転写因子であるMITFを抑制するので、メラニン産生を根元から効果的に抑制することができる。

【0051】
また、抗ガン剤の開発においては、ガン細胞に対する選択性が鍵となる。そのため特定の分子を標的とした物質が望ましく、近年承認された新薬としては肺ガン治療薬のイレッサをはじめ、グリベック、ハーセプチン、リツキサンなどがあり、細胞増殖因子受容体やその下流のシグナル分子の抑制を標的としている。一方、本発明による抗ガン剤は、ヒトへの安全性の高い食用植物由来の成分を含んでなるとともにMITFを特異的に抑制するものであり、従来の細胞増殖シグナルを標的とした分子標的薬とは異なる作用点であることから、併用により悪性黒色腫の悪性化を防ぎ、高転位性や抗ガン耐性を抑制する独創性の高い薬剤を提供することができる(図14参照)。

【0052】
上記した脂環式化合物は公知の方法によって人工的に合成することもできるし(例えば、Matthias Christian Witshel et al. “Synthese der Pestwurzinhaltsstoffe (+)-Petasin und (+)-Isopetasin”, Tetrahedron Letters, Vol. 36, No. 19, pp.3325-3328, 1995, Pergamon 0040-4039(95)00475-0)、或いは、天然又は人工栽培された食用山菜であるヨブスマソウやイヌドウナをアルコール抽出することにより得ることもできる。

【0053】
ここで、ヨブスマソウ及び/又はイヌドウナをアルコールと水の混液(以下、アルコール水と呼ぶ)で抽出して上記した脂環式化合物を得る場合、ヨブスマソウ及び/又はイヌドウナ由来のチロシナーゼ阻害成分、及び、抗酸化成分も併せて抽出することが可能なため、特にメラニン産生抑制剤や化粧品組成物として用いる場合に好ましい形態となる。すなわち、図3に示すように、上記した脂環式化合物によるMITF抑制作用によって、チロシナーゼの遺伝子発現を抑制してメラニン産生を根元から抑え(第1の効果)、発現を抑制しきれなかったチロシナーゼについては、チロシナーゼ阻害成分によって酵素反応を阻害してドーパクロムやインドール-5,6-キノンの生成を抑え(第2の効果)、さらに、これらが生成したとしても抗酸化成分によって酸化重合を抑えることができ(第3の効果)、複数の作用点でメラニン産生を相乗的に抑えることが可能となる。尚、チロシナーゼ阻害成分は、上記脂環式化合物よりも極性が高い成分であり、抗酸化成分は、チロシナーゼ阻害成分と同等又はチロシナーゼ阻害成分よりも極性が高い成分である。上記の各種有効成分の割合は、抽出操作によって変化し得る。

【0054】
抽出操作については、極性の違いによって、ヨブスマソウ及び/又はイヌドウナに含まれる成分の一部をアルコール溶媒中に抽出可能な工程であればよく、公知の方法により実施可能である。尚、抽出の際は、刃物等を用いてヨブスマソウ及び/又はイヌドウナを細かく切断しておくと良い。これにより、含有成分を効率的に抽出することができる。

【0055】
この際、抽出溶媒におけるアルコール水濃度を25%(v/v)以上80%(v/v)以下とすることが好ましい。より好ましくは、50%以上80%以下、特に好ましくは60%以上80%以下である。抽出溶媒として、水(熱水)や純粋なアルコールを用いるよりも、25%以上80%以下の濃度のアルコール水を用いるほうが、上記の各種有効成分を効率的に抽出することができる。アルコール水の温度は特に限定されるものではなく、例えば常温にて抽出可能である。アルコールの種類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等、特に限定されるものではないが、特にエタノールが好ましい。

【0056】
アルコール水抽出により得られた抽出物については、保存性や取り扱い性を向上させる観点から、減圧乾固、或いは、凍結乾燥してもよい。

【0057】
本発明に係る各種薬剤を製造する場合は、上記の脂環式化合物の他、公知のゲル化剤や防腐剤等を含ませることができる。例えば、化粧品組成物とする場合において、化粧液や化粧用クリームとすることも可能である。このような場合において、化粧液や化粧用クリームに含まれる、上記脂環式化合物の含有量(濃度)については特に限定されるものではない。例えば、上述したような食用山菜の抽出物を用いる場合は、化粧液や化粧用クリーム1mlに対し、乾燥後の抽出物が0.1~5mg、好ましくは1~5mg含まれるようにすると、充分なMITF抑制効果、メラニン産生抑制効果を得ることができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により、本発明についてさらに詳述するが、本発明は以下の実施例に記載された具体的な形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0059】
1.ヨブスマソウ70%(v/v)エタノール水抽出物からの有効成分の分画
ヨブスマソウ1362gを細断し、70%(v/v)エタノール水を5.5L加えてワーリングブレンダーで粉砕した。これを2000rmpで5分間遠心分離し、上層を濾紙で濾過して濾液を回収した。残渣に70%(v/v)エタノール水を2.2L加え、同様に遠心分離し、上層を濾紙で濾過して回収した後、最初に回収したものに加えた。その後、ロータリーエバポレータによる減圧乾固を行い、エタノールを留去した後、凍結乾燥を行って溶媒を完全に除去した。固形抽出物の重量は44.5gであった。
【実施例】
【0060】
合成吸着樹脂のDiaion HP-20(三菱化学社製)を用いて、ヨブスマソウ70%(v/v)エタノール水抽出物を極性の違いにより分画した。45gのHP-20をメタノールでカラムに充填した。これを30%(v/v)メタノール水で平衡化後、21gのヨブスマソウ70%(v/v)エタノール水抽出物を245mlの30%(v/v)メタノール水に溶解したものをカラムに通塔した。ここで素通りしたものを「分画1」(30%メタノール溶出物)とした。次に75%(v/v)メタノール水300mlで溶出したものを「分画2」とした。さらにメタノール300mlで溶出したものを「分画3」(メタノール溶出物)とした。最後に、酢酸エチル300mlで溶出したものを「分画4」(酢酸エチル溶出物)とした。同様の操作を2回行い、合計42gのヨブスマソウ70%(v/v)エタノール水抽出物を分画した。それぞれの分画はロータリーエバポレータによる減圧乾固と凍結乾燥で溶媒を除去した。収率は下記表1に記載の通りである。
【実施例】
【0061】
【表1】
JP2014198683A_000019t.gif
【実施例】
【0062】
2.ヨブスマソウ分画の性状解析
各分画について、マッシュルームチロシナーゼ阻害作用及びメラニン色素抑制作用を評価した。
【実施例】
【0063】
図4に、ヨブスマソウ70%(v/v)エタノール水抽出物からのHP-20で処理した各分画のチロシナーゼ阻害作用を示す。分画2がチロシナーゼを50%阻害する濃度は、IC50=50μg/mlであった。一方で、分画3、4は測定した濃度ではほとんどチロシナーゼ阻害作用を示さなかった。
【実施例】
【0064】
図5(A)、(B)に、1.5μg/mlの濃度の各分画がB16 melanoma 4A5細胞のIBMX刺激(3日間)によるによるメラニン産生に及ぼす影響を示す。チロシナーゼ阻害作用の高い分画2のメラニン色素抑制効果は弱いものであった。一方で、ほとんどチロシナーゼ阻害作用を示さなかった分画3と4に強いメラニン色素抑制効果が観察された。
【実施例】
【0065】
3.抗酸化能の測定
メラニン色素産生を抑制するには、図3に示したようにチロシナーゼを抑制する作用以外に、酸化重合反応を阻害する場合が考えられるため、各分画の抗酸化能を測定した。抗酸化能は、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)を用いてラジカル捕捉活性を測定することで評価した。100μM DPPH(エタノール溶液)を1ml試験管にとり、分画を各濃度に調整したものを20μl加え、30秒撹拌して室温、暗所で30分間おいた。その後、分光光度計で517nmの吸光度を測定することで、ラジカルの消失を測定した。結果を図6に示す。
【実施例】
【0066】
図6のように、チロシナーゼ阻害作用の強かった分画2が最も抗酸化能が強く、次いで分画1が強い活性を示した。一方で、細胞のメラニン産生を抑制する効果の最も強かった分画3と4の抗酸化能は弱いものであった。以上より、分画3と4がメラニン産生を抑制するメカニズムは、チロシナーゼの阻害及び酸化重合反応の阻害とは別にあると考えられる。
【実施例】
【0067】
4.ヨブスマソウ抽出物(分画3)によるMITF及びチロシナーゼ遺伝子発現の抑制
強いメラニン産生抑制効果を示したヨブスマソウ抽出物(分画3)は、チロシナーゼ阻害作用や抗酸化能以外の作用を持つと考えられたため、色素細胞特異的転写因子である小眼球症関連転写因子(MITF)遺伝子のmRNA発現に及ぼす影響を検討した。MITFとは、色素細胞(メラニン産生細胞)の分化・増殖を制御するマスター転写因子であり、標的遺伝子はメラニン合成酵素のチロシナーゼと、チロシナーゼのアミノ酸配列と40%の類似性を持つチロシナーゼ関連タンパク-1(TRP-1)やチロシナーゼ関連タンパク-2(TRP-2)/ドーパクロムトートメラーゼ(DCT)であり、これらに対して特異的に発現を促進する。近年では、MITFをコードする遺伝子が黒色腫細胞で大きく増幅されていることが発見され、黒色腫癌遺伝子として機能している可能性も示唆されるなど、癌治療の新たな戦略として注目されている。
【実施例】
【0068】
φ60mmのディッシュで12時間培養した細胞を、5mlのPBSで1回洗浄した後、1mlのTRIzol(Gibco)を加えて常法にしたがってRNAを抽出した。これよりPrimeScript RT Master Mix(タカラバイオ社製)を用いてcDNAを合成し、SYBR Premix Ex Taq II(タカラバイオ社製)を用いて、Real-time PCR法によりmRNAを定量した。実験に用いたPrimerの塩基配列は下記表2の通りである。
【実施例】
【0069】
【表2】
JP2014198683A_000020t.gif
【実施例】
【0070】
図7(A)~(D)に、細胞をIBMXで12時間処理したときのMITF及びその下流のmRNA発現に及ぼすヨブスマソウ抽出物(分画3)の影響を示す。図8(A)のように、ヨブスマソウ抽出物(分画3)は1.5μg/mlの濃度で、IBMXによるMITF mRNA発現の誘導を強く抑制した。また、図7(B)~(D)に示すように、その下流のチロシナーゼ、TRP-1及びDCTの発現も抑制した。
【実施例】
【0071】
図8に、分画3による細胞のメラニン産生抑制効果の検証結果を示す。図8に示すように、分画3は、1.5μg/mlより低濃度の0.75μg/mlの濃度にて、十分なメラニン抑制効果が観察された。
【実施例】
【0072】
5.ヨブスマソウ抽出物と既存のメラニン抑制剤との比較
24時間培養して培地交換をして、IBMXで処理した細胞に、分画3、4(Fr.3、4)を1.5μg/ml、アルブチン、コウジ酸を15、30μg/mlの濃度で添加した後、12時間培養して、RNAを抽出した。そして、リアルタイムPCR法を用いてMITF、チロシナーゼ、TRP-1、DCT遺伝子の発現を抑えるか調べた。結果を図9(A)~(D)に示す。
【実施例】
【0073】
図9に示すように、分画3、4で全ての遺伝子の発現が抑えられていた。アルブチンは、30μg/mlでは15μg/mlの場合よりも発現が抑えられていたが、コウジ酸では発現が活性化されていた。このように分画3、4は既存のメラニン抑制剤にはないMITF抑制効果があり、同時にその下流の遺伝子発現も抑制していることが示された。
【実施例】
【0074】
B16 melanoma 4A5細胞のIBMX刺激によるメラニン産生に及ぼす影響を比較した。結果を図10(A)、(B)に示す。図11に示すように、分画3、4は、既存のメラニン抑制剤であるアルブチンやコウジ酸と比較して、10分の1以下の濃度でメラニン産生を抑制した。
【実施例】
【0075】
6.各種刺激剤の違いによるヨブスマソウ抽出物の効果の比較
B16 melanoma 4A5細胞を24時間培養して培地交換をして、IBMX、α-MSH、Forskolinで処理した細胞に、分画3を1.5μg/mlの濃度で添加した後、12時間培養して、RNAを抽出した。そして、リアルタイムPCR法を用いてMITF、チロシナーゼ、TRP-1、DCT遺伝子の発現を抑えるか否かを調べた。結果を図11(A)~(D)に示す。
【実施例】
【0076】
図11に示すように、いずれの刺激剤においても、分画3はMITFの発現を最も強く抑制した。これらの結果より、分画3には強いMITF抑制効果があり、それに引き続いて、その下流の遺伝子であるチロシナーゼやTRP-1、DCTの発現を抑制していると考えられる。
【実施例】
【0077】
さらに、B16-melanoma 4A5細胞の各種刺激剤によるメラニン産生に及ぼす影響を比較した。結果を図12(A)、(B)に示す。図12に示すように、IBMX、α-MSH、Forskolinのいずれの刺激で産生されるメラニンであっても、分画3は強く抑制した。
【実施例】
【0078】
以上のように、ヨブスマソウのアルコール抽出物には、抗酸化成分(分画1~3)、チロシナーゼ阻害成分(分画1、2)及びMITF抑制成分(分画3、4)が含まれており、従来の美白剤に含まれるコウジ酸やアルブチンよりも、低濃度にてメラニン産生を抑制可能なことが分かった。これら分画1~4は、極性の違いによって各種溶媒で抽出可能であり、例えば、抽出して分画3、4を得ることで、MITF抑制剤としても用いることができる。
【実施例】
【0079】
7.ヨブスマソウ抽出物(分画3)の細胞増殖抑制作用(抗ガン作用)
分画3を添加し培養した細胞を用いて各種癌細胞株の増殖を測定した。結果を図13に示す。図13に示すように、分画3は悪性黒色腫であるB16 melanoma 4A5及びヒト肺癌細胞株A549に対して、強い細胞増殖抑制が確認された。一方で、マウス由来間葉系幹細胞C3H/10T1/2、ヒト肝臓癌細胞株HepG2、ヒト白血病細胞株U937、マウス由来脂肪前駆細胞3T3-L1の細胞増殖には、同じ濃度の範囲ではほとんど影響を及ぼさなかった。以上のように、分画3は悪性黒色腫や肺癌に選択的に抗ガン作用を示すことが分かった。
【実施例】
【0080】
例えば、Nature. 480(7375), 94-98 (2011)、A SUMOylation-defective MITF germline mutation predisposes to melanoma and renal carcinomaや、Nature. 480(7375), 99-103 (2011)、A novel recurrent mutation in MITF predisposes to familial and sporadic melanomaに開示されている通り、最近になってMITFは悪性黒色種の原因遺伝子であることを示す知見が得られており、分画3は、このMITFを抑制することによって、抗ガン作用を示したものと考えられる(図14参照)。MITFをターゲットとした抗ガン剤は従来において得られておらず、本発明は新規抗がん剤としても極めて有効と考えられる。
【実施例】
【0081】
細胞密度による抗ガン活性の相違を比較した結果を図15に示す。図15から明らかなように、分画3は、高密度で細胞を培養した場合に、より強い抗ガン作用があることが分かった。
【実施例】
【0082】
8.薄層クロマトグラフィー(TLC)による分画3の分析・活性評価
薄層クロマトグラフィー(TLCガラスプレート シリカゲル60 F254、メルク社製)により、ヨブスマソウ抽出物の分画3を極性によりさらに分画し、メラニン産生抑制効果を検討した。分画3のメタノール溶液(0.2mg/ml)10μlを5cm×10cmの大きさのTLCプレート3枚にそれぞれ線状にスポットして、クロロホルム、クロロホルム:メタノール混液(20:1)、クロロホルム:メタノール混液(10:1)でそれぞれ展開した。充分に乾かしてから3枚のTLCプレートを29の画分に分け、シリカゲルを掻きとってシリカゲルに吸着している物質をメタノールで溶出させ回収した。メタノールを除いてからそれぞれの画分のメラニン産生に及ぼす影響を調べた。予備実験により、TLC分画15~29には抑制効果がみられなかったため、TLC分画1~14について効果を調べることとした。
【実施例】
【0083】
各TLC分画について、上記と同様の方法にて、メラニン産生に及ぼす影響を調べた。その結果、細胞、培地ともにTLC分画1、3、7が抑制することがわかった。また、各TLC分画について、上記と同様の方法にて、B16melanoma4A5細胞のMITF抑制作用、マッシュルームチロシナーゼ抑制作用について評価した。その結果、MITF mRNA発現、チロシナーゼmRNA発現は、IBMX刺激で最も増加し、MITF mRNAの発現は、TLC分画3による処理で約64%、チロシナーゼmRNAの発現は、TLC分画3による処理で約51%抑制された。なお、TLC分画1、3、7には、HPLC分析の結果、共通する2つの物質が含まれていたことから、各種抑制効果を有するのはこの2つの物質であると判断した。この2つの物質を量が多い順にMI-A、MI-Bと名付けた。カラム:Shim-pack VP-ODS(4.6mmφ×150mm、島津社製)、カラム温度:40℃、流速:1.0ml/min、移動相:メタノール:水(70:30)、検出:230nm、試料量:5.0μlの条件のHPLC分析で、MI-AとMI-Bの保持時間は、図16(A)、(B)に示すようにそれぞれ18.40分、17.24分であった。
【実施例】
【0084】
9.ヨブスマソウ抽出物(分画3)からのMITF抑制物質MI-A、MI-Bの単離精製
ヨブスマソウ抽出物(分画3)0.635gを少量のクロロホルムに溶かして、あらかじめクロロホルムで充填したシリカゲルカラム(ワコーゲルC-300、和光純薬(株)製、2cmφ×20cm)に吸着させ、クロロホルムで溶出して5mlずつ溶出液を分取した。分取したフラクションを、カラム:Shim-pack VP-ODS(4.6mmφ×150mm、島津社製)、カラム温度:40℃、流速:1.0ml/min、移動相:メタノール:水(70:30)、検出:230nm、試料量:5.0μlのHPLC分析してMI-AとMI-Bを含むフラクションを合わせた。合わせた画分をエバポレーターで減圧下に濃縮乾固して固形物53mgを得た。この乾固物を70%(v/v)メタノール水20mlに溶かし、カラムInertsil ODS-3(20mmφ×250mm、ジーエル・サイエンス社製)、流速5.0ml/min、移動相メタノール:水(70:30)、検出UV230nm、試料量:5.0mlの条件で分取HPLCを数回行いMI-AとMI-Bの分取を行った。分取した画分を先の条件のHPLCで分析して純度が95%以上の画分を合わせ、エバポレーターで減圧下に移動相を留去して純品としてMI-AとMI-Bをそれぞれ5mg、2mg得た。
【実施例】
【0085】
10.MI-AとMI-Bの構造決定
MI-Aの各種スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
【実施例】
【0086】
MI-Aのマススペクトル(m/z):317.214(M+H)(実測値)
【実施例】
【0087】
MI-Aの紫外線吸収スペクトルは図17に示す通りである(メタノール中で測定)。
【実施例】
【0088】
MI-AのH-NMRスペクトルは図18に示す通りである(重クロロホルム中で測定)。
δTMS (ppm):0.98(3H, d, J=6.72 Hz), 1.25(3H, s), 1.51(1H, m), 1.67(1H, m), 1.75(3H, s), 1.89(3H, m), 1.94(1H, m), 1.99(3H, m), 2.05(1H, dd, J=4.70, 13.1Hz), 2.25(1H, m), 2.37(1H, m), 2.53(1H, m), 3.13(1H, dd, J=4.64, 14.4Hz), 4.83(1H, m), 4.95(1H, dd, J=4.38, 11,1Hz), 4.99(1H, m), 5.80(1H, d, J=1.72Hz), 6.08(1H, m)
【実施例】
【0089】
MI-Aの13C-NMRスペクトルは図19に示す通りである(重クロロホルム中で測定)。
δTMS (ppm):10.5, 15.8, 17.2, 20.0, 20.6, 30.6, 31.6, 40.0, 41.7, 47.3, 50.3, 73.0, 114.4, 124.6, 127.9, 138.1, 143.3, 166.8, 167.6, 198.5
【実施例】
【0090】
MI-Bの各種スペクトル測定を行った。結果は以下の通りである。
【実施例】
【0091】
MI-Bのマススペクトル(m/z):317.210(M+H)(実測値)
【実施例】
【0092】
MI-Bの紫外線吸収スペクトルは図20に示す通りである(メタノール中で測定)。
【実施例】
【0093】
MI-BのH-NMRスペクトルは図21に示す通りである(重クロロホルム中で測定)。
δTMS (ppm):0.95(3H, d, J=6.76Hz), 1.24(3H, s), 1.47(1H, m), 1.59(1H, m), 1.75(3H, s), 1.90(1H, m), 1.91(3H, d, J=1.16Hz), 2.03(1H, dd, J=4.68, 13.1Hz), 2.18(3H, d, J=1.12Hz), 2.20(1H, m), 2.35(1H, m), 2.52(1H, m), 3.12(1H, dd, J=4.58, 14.3Hz), 4.83(1H, s), 4.91(1H, m), 4.99(1H, m), 5.68(1H, m), 5.79(1H, d, J=1.68Hz)
【実施例】
【0094】
以上のように、MI-AとMI-Bの各種スペクトルデータを詳細に検討した結果、MI-AとMI-Bはそれぞれ下記式(4A)および下記式(5A)で表される化学構造であることが決定された。すなわち、MI-Aはペタシンであり、MI-Bはその異性体である。
【実施例】
【0095】
【化17】
JP2014198683A_000021t.gif
【実施例】
【0096】
【化18】
JP2014198683A_000022t.gif
【実施例】
【0097】
11.MIがメラニン産生に及ぼす影響
得られたMIが、メラニン産生に及ぼす影響を調べるために、IBMXで処理した細胞にMIを0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.2μg/ml添加した後、3日間培養し、メラニン産生に及ぼす影響を評価した。結果を図22に示す。
【実施例】
【0098】
図22(A)に示すように、細胞でのメラニン産生は、コントロール、IBMX処理と比べてMIで処理することによって0.2μg/mlで約55%抑制され、濃度に依存してメラニン産生を抑制した。また、図22(B)に示すように、培地に放出されたメラニンは、IBMX刺激で発現が増加し、MIで処理することによって0.1μg/mlで約67%、0.2μg/mlで約97%抑制され、細胞と同様に濃度に依存してメラニン産生を抑制した。
【実施例】
【0099】
12.MIによるMITF及びチロシナーゼ遺伝子発現の抑制
得られたMIが、MITF mRNA発現、チロシナーゼmRNA発現に及ぼす影響を調べた。評価法は上記と同様とした。結果を図23に示す。
【実施例】
【0100】
図23(A)に示すように、MITF mRNA発現は、コントロール、IBMX処理と比べて、MIで処理することによって0.4μg/mlで約39%抑制された。また、図23(B)に示すように、チロシナーゼmRNA発現は、MIで処理することによって、0.4μg/mlで約42%抑制された。これらの結果から、MIの中にMITF抑制物質が含まれていることがわかった。
【実施例】
【0101】
13.MI-A、MI-Bのメラニン産生に及ぼす影響
得られたMI-A、MI-Bのメラニン産生に及ぼす影響を調べた。評価法は上記と同様とした。結果を図24に示す。
【実施例】
【0102】
図24(A)、(B)に示すように、MI-A、MI-Bともに、メラニン産生抑制効果が確認され、MI-Aのほうが若干効果が高いこともわかった。
【実施例】
【0103】
14.MI-A、MI-BによるMITF及びチロシナーゼ遺伝子発現の抑制
得られたMI-A、MI-Bが、MITF mRNA発現、チロシナーゼmRNA発現に及ぼす影響を調べた。評価法は上記と同様とした。結果を図25に示す。
【実施例】
【0104】
図25(A)、(B)に示すように、MI-A、MI-Bともに抑制効果があり、ヨブスマソウに含まれるMITF抑制成分が、これら2つの物質であることが示された。そこで、MI-A、MI-Bについて構造解析を行った。
【実施例】
【0105】
構造解析結果から、少なくとも、エステル結合が異なっていても、MITF抑制効果がある可能性が示唆されたため、ペタシンと類似構造を有するS-ペタシン(下記一般式(6A))を入手し、MITF抑制効果があるか調べた。
【実施例】
【0106】
【化19】
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【実施例】
【0107】
15.ペタシン、S-ペタシンのメラニン産生に及ぼす影響
ペタシンとS-ペタシンとをそれぞれ用いて、エステル結合の違いがメラニン産生に影響を及ぼすかどうか調べた。評価法は上記と同様とした。結果を図26に示す。
【実施例】
【0108】
図26(A)に示すように、細胞でのメラニン産生は、コントロール、IBMX処理と比較して、ペタシンで処理することによって0.2μg/mlで約65%、S-ペタシンで処理することによって0.2μg/mlで約66%抑制され、いずれも濃度に依存してメラニン産生を抑制した。また、図26(B)に示すように、培地に放出されたメラニンは、IBMX刺激で発現が増加し、ペタシンで処理することによって0.2μg/mlで約89%、S-ペタシンで処理することによって0.2μg/mlで約88%抑制され、細胞と同様に濃度に依存して抑制した。
【実施例】
【0109】
16.ペタシン、S-ペタシンによるMITF及びチロシナーゼ遺伝子発現の抑制
ペタシン、S-ペタシンが、MITF mRNA発現、チロシナーゼmRNA発現に及ぼす影響を調べた。評価法は上記と同様とした。結果を図27に示す。
【実施例】
【0110】
図27(A)に示すように、MITF mRNA発現は、コントロール、IBMX処理と比べて、ペタシンで処理することによって0.4μg/mlで約48%、S-ペタシンで処理することによって0.4μg/mlで約55%抑制された。また、図27(B)に示すように、チロシナーゼmRNA発現は、ペタシンで処理することによって0.4μg/mlで約66%、S-ペタシンで処理することによって0.4μg/mlで約71%抑制された。
【実施例】
【0111】
以上の結果から、ペタシンと類似構造を有するS-ペタシンもMITF抑制効果を有することが示された。すなわち、少なくとも、エステル結合が異なっていても、MITF抑制効果を有することがわかった。
【実施例】
【0112】
17.補足実験1:cAMP産生に及ぼすヨブスマソウ抽出物(分画3)の影響
競合EIA法によって測定し、cAMPの定量をした。結果を図28に示す。図28に示すように、それぞれα-MSH、IBMX,Forskolinのみで刺激した細胞では10~30分後にピークを迎え、その後減少した。一方、刺激剤とヨブスマソウ抽出物(分画3)1.5μg/mlとによる処理では、cAMP産生が増加した。ヨブスマソウ抽出物(分画3)で処理したとしても、cAMPは減少しなかった。
【実施例】
【0113】
18.補足実験2:CREBのリン酸化に及ぼすMI-A、MI-B、S-ペタシンの影響
ウェスタンブロット法によって、ペタシン(MI-A)、ペタシン異性体(MI-B)、S-ペタシンがCREBのリン酸化に与える影響を調べた。結果を図29に示す。図29に示すように、これら物質は、CREBのリン酸化レベルには影響しなかった。
【実施例】
【0114】
19.補足実験3:他のCacalia植物との比較
ヨブスマソウから得られる抽出物が、同じCacalia植物の一種であるモミジガサから得られる組成物よりも極めて優れたMITF抑制効果、メラニン産生抑制効果を有することについて示す。
【実施例】
【0115】
19.1.マッシュルームチロシナーゼ阻害作用
抽出物として、ヨブスマソウ88gに溶媒((1)熱水、(2)70% エタノール、(3)100%メタノール)を加え、ミキサーで細かく粉砕した。(1)の場合はその後100℃、10分加熱した。3000rpmで10分間遠心分離し、上層を濾紙で濾過し回収した。その後、(1)は凍結乾燥機、(2)と(3)はロータリーエバポレータによる減圧乾固を行って溶媒を除去した。固形抽出物の重量を測定後、それぞれ0.1g/mlに調製した。一方、モミジガサについても同様にして、それぞれ0.1g/mlに調製した。
【実施例】
【0116】
96well plateにL-チロシン含有溶液(2mM L-チロシン、溶媒:50mM燐酸緩衝液pH6.8)を100μl採り、50mM燐酸緩衝液pH6.8を60μl入れ、1mg/mlに調製した抽出物を20μl入れた。そして、マッシュルームチロシナーゼ(300U)を20μl加え攪拌し、25℃に設定したハイブリオーブンに入れて、60分インキュベート後、490nmの吸光度を測定した。結果を図30に示す。
【実施例】
【0117】
図30から、ヨブスマソウ抽出物は、70%エタノール水抽出物で最も強くチロシナーゼを阻害したが、モミジガサ抽出物は、どの溶媒で抽出したとしても、全く阻害作用を示さなかった。
【実施例】
【0118】
19.2.抗酸化能の測定
上記と同様に、抗酸化能は、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル(DPPH)を用いてラジカル捕捉活性を測定することで評価した。100μM DPPH(エタノール溶液)を1ml試験管にとり、上記の抽出物を10mg/ml濃度に調整したものを20μl加え、30秒撹拌して室温、暗所で30分間おいた。その後、分光光度計で517nmの吸光度を測定することで、ラジカルの消失を測定した。結果を図31に示す。
【実施例】
【0119】
図31のように、どの溶媒で作成した抽出物でもヨブスマソウ抽出物はモミジガサ抽出物よりも強い抗酸化能を示した。特に、ヨブスマソウ70%エタノール抽出物は強い抗酸化能を示した。
【実施例】
【0120】
19.3.メラニン産生抑制作用
B16 melanoma 4A5細胞を用いて、DMEMを基礎培地として、10%ウシ胎児血清、100μg/mlストレプトマイシン、100μg/mlペニシリンを添加し、37℃、5%CO雰囲気下で3~4日間培養した。メラニン産生を測定するにあたって、細胞を24時間培養し、培地交換をして100μM IBMXと抽出物及び精製物を添加した後、37℃、5%CO雰囲気下で3日間培養した後、メラニン産生量を測定した。
【実施例】
【0121】
メラニン測定では、細胞を培養した後、PBSを加え、細胞を2回かきとり、3000rpmで5分間遠心し、上清をとり、1N NaOHを加えて60℃で60分間処理した。処理した後、合成メラミンを標準物質として、マイクロプレートリーダーで細胞は450/655nm、培地は450nmで測定した。結果を図32(A)、(B)に示す。
【実施例】
【0122】
図32から、B16 melanoma 4A5細胞におけるIBMX刺激によるメラニン産生に対して、ヨブスマソウ抽出物はモミジガサ抽出物よりも強い抑制作用を示した。特に、ヨブスマソウ70%エタノール抽出物は強いメラニン産生抑制作用を示した。
【実施例】
【0123】
19.4.MITF mRNA発現に及ぼす影響
φ60mmのディッシュで12時間培養した細胞を、5mlのPBSで1回洗浄した後、1mlのTRIzol(Gibco)を加えて常法にしたがってRNAを抽出した。これよりPrimeScript RT Master Mix(タカラバイオ社製)を用いてcDNAを合成し、SYBR Premix Ex Taq II(タカラバイオ社製)を用いて、Real-time PCR法によりmRNAを定量した。
【実施例】
【0124】
図33に、細胞をIBMXで12時間処理したときのMITF及びその下流のmRNA発現に及ぼす抽出物の影響を示す。図33に示すように、B16メラノーマ細胞におけるIBMX刺激によるMITF mRNAの発現上昇に対して、ヨブスマソウ70%エタノール抽出物は強い抑制作用を示したが、モミジガサ70%エタノール抽出物には抑制作用はなかった。この差が、メラニン産生抑制の差になっていると考えられる。
【実施例】
【0125】
以上、現時点において、最も実践的であり、且つ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う小眼球症関連転写因子抑制剤、メラニン産生抑制剤、化粧品組成物及び抗ガン剤もまた本発明の技術範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、エレモフィラン骨格を有するセスキテルペン類の一種であるペタシン又は類似構造を有する脂環式化合物を、MITF抑制成分として含むことを特徴とする。これら脂環式化合物がMITF抑制作用を有することは従来において全く知られておらず、本発明は従来にない新規薬剤として極めて有用であり、MITF抑制剤、メラニン産生抑制剤や美白用の化粧品、或いは、抗ガン剤として利用することができる。
【配列表フリ-テキスト】
【0127】
実験に用いたPrimerの塩基配列である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図29】
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