TOP > 国内特許検索 > ブリ類の性識別方法 > 明細書

明細書 :ブリ類の性識別方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-180233 (P2014-180233A)
公開日 平成26年9月29日(2014.9.29)
発明の名称または考案の名称 ブリ類の性識別方法
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12Q 1/68 A
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2013-055979 (P2013-055979)
出願日 平成25年3月19日(2013.3.19)
発明者または考案者 【氏名】坂本 崇
【氏名】小山 喬
【氏名】尾崎 照遵
【氏名】荒木 和男
【氏名】吉田 一範
【氏名】津崎 龍雄
出願人 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
【識別番号】501168814
【氏名又は名称】独立行政法人水産総合研究センター
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
【識別番号】100116090、【弁理士】、【氏名又は名称】栗原 和彦
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4B063
Fターム 4B024AA11
4B024CA03
4B024CA09
4B024HA12
4B063QA12
4B063QA20
4B063QQ43
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS12
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
要約 【課題】ブリ類の性を識別するための方法を提供する。
【解決手段】ブリ類から採取したDNAの、連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間に存在する、二ヶ所の特定位置の塩基(SNPマーカー座269k02t7SNPの塩基配列の302番目及びSNPマーカー座163a23t7SNPの塩基配列の366番目)の少なくとも一方の一塩基多型の遺伝型を調べる段階及び該遺伝型に基づいてブリ類の遺伝的性を判定する段階からなる、ブリ類の遺伝的性を識別する方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
ブリ類から採取したDNAの、連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間に存在する配列番号1で示される塩基配列の302番目の塩基及び配列番号2で示される塩基配列の366番目の塩基の少なくとも一方の一塩基多型の遺伝型を調べる段階、及び該遺伝型に基づいてブリ類の遺伝的性を判定する段階から成る、ブリ類の遺伝的性を識別する方法。
【請求項2】
検査の対象であるブリ類の個体からゲノムDNAを抽出し、連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間に存在する配列番号1で示される塩基配列の302番目の塩基及び配列番号2で示される塩基配列の366番目の塩基の少なくとも一方に存在する一塩基多型を含む塩基配列の外側に結合する特異的な配列を有する一対のプライマーを用いてPCR反応を行い、得られた増幅産物中の該一塩基多型の遺伝型を調べる段階、及び該遺伝型に基づいてブリ類の遺伝的性を判定する段階から成る、ブリ類の遺伝的性を識別する方法。
【請求項3】
前記配列番号1で示される塩基配列の302番目の塩基の遺伝型がA/Cの場合には雌と判定し、又は該遺伝型がA/Aの場合には雄と判定する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記配列番号2で示される塩基配列の366番目の塩基の遺伝型がA/Gの場合には雌と判定し、又は該遺伝型がA/Aの場合には雄と判定する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のブリ類の遺伝的性を識別する方法に使用するためのプライマーセットであって、連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間に存在する配列番号1で示される塩基配列の302番目の塩基又は配列番号2で示される塩基配列の366番目の塩基を含む領域を検出するためのプライマーであって、該塩基を含む該塩基配列中の50~100塩基の長さの領域の両端に設定された長さが15塩基以上のフォワードプライマー及びリバースプライマー又はこれらと90%以上相同のフォワードプライマー及びリバースプライマーから成るプライマーセット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、天然のブリ類の性識別方法に関し、より詳細には、一塩基多型を利用してブリ類の性を識別する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国の養殖重要種であるブリでは、天然種苗が多く用いられているが、より安定した養殖生産のために、人工種苗による種苗の早期導入と、人工種苗への優良形質付与に関する技術開発が行われている。ブリ人工種苗生産における問題点として、雄は成熟期に常に排精することが多く、精子の採取が比較的容易であり、また凍結保存技術も確立されている。一方で、雌は1個体から良質な卵を採取できる期間が短いため、また抱卵確認の際のハンドリングにより排卵しなくなることが多く、採卵のタイミングが難しいなど、目的の交配を行うために、ある特定の雌親魚から良質な卵を採取することは難しい。また養殖ブリの出荷においては、雌は春先の産卵期になると体重が目減りするため商品として向かないとされている。そのため、雌雄が識別できれば、養成する親魚の雌雄の尾数の調整や出荷時期を雌雄で使い分けることができる等の利点がある。
ブリ類のゲノムは未だ公開されていないが、発明者らは、既に、ブリとヒラマサについて、連鎖群LG12を含むブリ連鎖地図を開示している(非特許文献1)。更に、発明者らは、ブリの性決定遺伝子座が、連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間にあると特定し、このマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ21が性判別マーカーとして使える可能性を示唆した(非特許文献2)。更に、発明者らは、マイクロサテライトDNAマーカー座Sequ21の特定の配列の増幅産物のサイズの差により性別を判定できる方法を開発した(特許文献1)。
(特許文献1)
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2010-226974
【0004】

【非特許文献1】Aquaculture Vol. 244, 2005, Page. 41-48
【非特許文献2】Aquaculture Vol. 308, Supplement 1, 2010, Page.S51-S55
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ブリ類の、特に天然のブリ類の性を識別するための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、ブリ類の性決定遺伝子座が存在すると考えられる連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間にある塩基配列を検査した結果、複数の一塩基多型(SNP)を見出した(後述の実施例1)。そして、天然のブリのこの一塩基多型と、別途調べた性別とを比較した結果、特定の一塩基多型がブリ類の性別と極めてよく相関していることを見出し(後述の実施例2)、ブリ類の性を識別するための方法を見出した。
即ち、本発明は、ブリ類から採取したDNAの、連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間に存在する配列番号1で示される塩基配列の302番目の塩基及び配列番号2で示される塩基配列の366番目の塩基の少なくとも一方の一塩基多型の遺伝型を調べる段階、及び該遺伝型に基づいてブリ類の遺伝的性を判定する段階から成る、ブリ類の遺伝的性を識別する方法である。
【0007】
また、本発明は、検査の対象であるブリ類の個体からゲノムDNAを抽出し、連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間に存在する配列番号1で示される塩基配列の302番目の塩基及び配列番号2で示される塩基配列の366番目の塩基の少なくとも一方に存在する一塩基多型を含む塩基配列の外側に結合する特異的な配列を有する一対のプライマーを用いてPCR反応を行い、得られた増幅産物中の該一塩基多型の遺伝型を調べる段階、及び該遺伝型に基づいてブリ類の遺伝的性を判定する段階から成る、ブリ類の遺伝的性を識別する方法である。
更に本発明は、上記のブリ類の遺伝的性を識別する方法に使用するためのプライマーセットであって、連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間に存在する配列番号1で示される塩基配列の302番目の塩基又は配列番号2で示される塩基配列の366番目の塩基を含む領域を検出するためのプライマーであって、該塩基を含む該塩基配列中の50~100塩基の長さの領域の両端に設定された長さが15塩基以上のフォワードプライマー及びリバースプライマー又はこれらと90%以上相同のフォワードプライマー及びリバースプライマーから成るプライマーセットである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ブリの連鎖群LG12の性別関連を示す地図である。各地図の上に記した「2008-A female」等は、調べたブリの個体を示す。Sequ17やSequ21等はマイクロサテライトDNAマーカー座(又は「DNAマーカー座」ともいう。)を示す。左側の数字は、一番上のDNAマーカー座を起点(ゼロ)としたときの同一連鎖群上のDNAマーカーの相対的距離(cM)を示す。
【図2】性決定遺伝子座周辺のBACクローンと遺伝マーカーを示す図である。図中、性決定遺伝子座は「Sex」で示す。また、ZとWは性染色体を示し、雄はZZ型、雌はZW型である。
【図3】表1に示す4つの遺伝マーカー(SNP)を含むSNPマーカー座の塩基配列を示す図である。下線は実施例で用いたプライマー、[ ]は一塩基多型を示す。

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間に存在するSNPマーカー座269k02t7の塩基配列(配列番号1)の302番目の塩基(即ち、遺伝マーカー269k02t7SNP)及びSNPマーカー座163a23t7の塩基配列(配列番号2)の366番目の塩基(即ち、遺伝マーカー163a23t7SNP)の少なくとも一方の一塩基多型を用いて、ブリ類の遺伝的性を識別する方法である。
本発明の方法により性別を調べることのできる魚類は、Seriola 属の魚類であり、和名では、ブリ(学名:Seriola quinqueradiata)、ヒラマサ(学名:Seriola lalandi)、カンパチ(学名:Seriola dumerili)、ヒレナガカンパチ(学名:Seriola rivoliana)、アオブリ、ガンド、ガンドブリ、モジャコ、モジャッコ、イナダ、イナラ、ワラサ、コゾクラ、コズクラ、ツバイソ、フクラギ、フクラゲ、ワカナ、ショウジンゴ、ツバス、ヤズ、ハマチ、メジ、メジロ、ハナジロ、マルゴ、ワカナゴ、オオイナ、スズイナ、オオイオ、ワカシ、マサギ、ヒラサ、ヒラス、ヒラソ、テンコツ、セントク、アガユ、マヤ、外国名では、(Japanese) Amberjack、(Five-ray) Yellowtailと称される魚を含む。本明細書では、これらを総称してブリ類という。
本発明の方法は、特に天然のブリ類の性を識別することに優れる。
【0010】
本発明の一塩基多型は、SNPマーカー座269k02t7(配列番号1)及びSNPマーカー座163a23t7(配列番号2)に存在する。ブリ類の連鎖群LG12を図1に示す(非特許文献2)。
図1に示す連鎖地図は、相同染色体間の組換えを利用して作成した、染色体上のDNA配列の並び順を表す地図である。組換えはランダムに起こるため、用いる家系が異なれば特定のDNAマーカー座間で組換えを起こした個体数も異なる。したがって、各DNAマーカー座間の遺伝的距離は可変である。ただし、1.DNAマーカー座の並び順は同じである、ことと、2.DNAマーカー座間の物理的距離(bp)が非常に近ければそれら二つのDNAマーカー座は一つのマーカー座であるかのように振る舞う、ことは種、性別を問わず全ての連鎖地図で不変である。図1に示されているマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21の遺伝的距離を見て分かるように、性決定遺伝子座(図1に「Sex」で示す。)とマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間では複数の組換えが起こっている。SNPマーカー座269k02t7と163a23t7は、性決定遺伝子座と物理的に非常に近く、連鎖地図上では性決定遺伝子座(「Sex」)とほぼ同じ位置に存在する。
【0011】
このような、ブリ類の性の表現型(雄、雌)と強い相関を示す遺伝マーカーを単離するには、まずマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21との間に存在する遺伝マーカーを複数単離し、それらのうち性決定遺伝子座との間でほとんど組換えが観察されないような遺伝マーカーを見付ける。その次に、組換えがほとんど観察されない遺伝マーカー座を起点として、性決定遺伝子座方向に向かって染色体上に新たな遺伝マーカーを複数配置し、各マーカーの遺伝型が性別と一致するかどうかを調べることによって行う。
【0012】
また、本願の性決定遺伝子座周辺のBACクローンと遺伝マーカーを図2に示す。
図2は、上記で説明したうち、性決定遺伝子座との間でほとんど組換えが観察されない遺伝マーカー(Sequ0485BAC、Sequ776TUF)と、性決定遺伝子座方向に向かって染色体上に新たに配置した遺伝マーカー(237o03sp6SNP、198o21sp6SNP、269k02t7SNP、163a23t7SNP、151d03t7SNP、190h02sp6SNP)を示す。枠内に存在する遺伝マーカーは、調査した家系の個体全てでその遺伝型と性別が完全に一致していたため、性判別遺伝マーカーの有力候補としてまず挙げられた。
後述の実施例に示すように、これらの遺伝マーカーのうち、269k02t7SNPと163a23t7SNPの遺伝型は性決定形質と相関する。
【0013】
上記一塩基多型の検出は、検査対象のブリ類の個体の一部、例えば、尾鰭、血液、腎臓筋肉などの核が存在する組織からDNAを採取し、このDNAに含まれる一塩基多型の遺伝型を検査する。一塩基多型の検出は、一塩基多型部分の塩基配列を決定することによって行うことができる。一塩基多型部分の塩基配列の決定には、例えば、TaqMan法、ダイレクトシークエンス法、ARMS-PCR法、飽和型DNA結合色素によるHRM解析、PCR-制限酵素切断断片長多型による方法(PCR-RFLP解析)、MALDI-TOF/MSによるSNPタイピング法、DNAチップを用いた方法などを挙げることができる。
一塩基多型の検出には、例えば、PCR-RFLP解析を用いることができる。具体的には、上記遺伝子における一塩基多型の検出は、例えば、ブリ類からゲノムDNAを抽出し、前記一塩基多型を含む塩基配列の外側に結合する特異的な配列を有する一対のPCRプライマーを用いてPCR反応を行い、得られたPCR産物を制限酵素処理し、制限酵素処理により得られたDNAの遺伝型を識別することで行うことができる。
【0014】
各方法に用いるPCRプライマーは、塩基配列(配列番号1)の302番目の塩基(269k02t7SNP)及び塩基配列(配列番号2)の366番目の塩基(163a23t7SNP)を含む領域を検出するためのプライマーであって、該塩基を含む該塩基配列中の50~100塩基の長さの領域の両端に設定された長さが15塩基以上、好ましくは19~24塩基のフォワードプライマー及びリバースプライマーから成るプライマーセットである。これらの塩基配列に90%以上相同であるプライマーを使用してもよい。
遺伝マーカー269k02t7SNPの遺伝型がA/Cの場合には雌と判定し、又は該遺伝型がA/Aの場合には雄と判定することができる。
また、遺伝マーカー163a23t7SNPの遺伝型がA/Gの場合には雌と判定し、又は該遺伝型がA/Aの場合には雄と判定することができる。
ブリ類の性を識別するためには、これらいずれか一方を行ってもよいし、両方行ってもよい。
【実施例】
【0015】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1
本実施例ではまず、BACベクターにブリゲノムDNAを組み込んだブリBACライブラリーを構築し、性決定遺伝子座周辺のゲノムDNA配列を保持するBACクローンを特定した。
連鎖群LG12上のマイクロサテライトDNAマーカー座Sequ17とSequ21の間にブリ性決定に関与している遺伝子が存在することが既知であるので(非特許文献2)、上記BACライブラリーから、性決定遺伝子座に近いと推定される遺伝マーカーSequ0485BAC(配列番号5)を有するBACクローン056j15を選んだ。この遺伝マーカーSequ0485BACを検出するための下記プライマー対を選んだ。
F: GATTGCATCTGTAAGACCACCA(配列番号6)
R: GGATTTTCCATACTAAGCGTGC(配列番号7)
このプライマーを用いて、上記BACライブラリーについて、フォワードプライマー 2pmolとリバースプライマー 2pmol、0.2mM each dNTPs、2.0mM MgCl2、0.25U Ex taq DNA polymerase(Takara)、50ng BAC DNA poolを含む10μLの反応溶液を調整し、TProfessional 96 Thermocycler(Biometra)にて、PCRを行った。
PCR反応条件は、(95℃、3分)×1サイクル-(95℃、30秒-55℃、30秒、72℃、1分)×30サイクル-(72℃、5分)×1サイクルとした。
得られたPCR産物はアガロースゲル電気泳動によりサイズ分画、可視化し、PCR陽性を示すBACクローンを特定した。以上の実験で陽性BACクローンとして045p01と051i16が特定された。
【0016】
次に、これらのBACクローンについてDNA抽出し、得られたBACクローンDNAと3.2pmol プライマー(下記のSP6プライマーとT7プライマー)を混合し、BigDye(R) Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit (Applied Biosystems)と3130xl ジェネティックアナライザ(Applied Biosystems)を用いて塩基配列を決定した。
SP6 5'-ATCTGCCGTTTCGATCCTCC-3'(配列番号8)
T7 5'-TGACATTGTAGGACTATATTGC-3'(配列番号9)
得られた塩基配列(BES)をもとにプライマー対を設計した。設計したプライマー配列と塩基配列(BES)の一部を表1に示す。得られたBACクローン間の位置関係はPCRによるバンドの有無によって決定した。BACクローン間の位置関係を図2に示す。
以上と同様の操作を他のBACクローンについて繰り返し行うことによって、図2に示すように、性決定遺伝子が存在する領域を含む連続したBACクローンの集団とその塩基配列(BES)を取得した。
【0017】
【表1】
JP2014180233A_000002t.gif

【0018】
これらの塩基配列から、下記を含む複数の一塩基多型(SNP)が見つかった(図3)。
269k02t7SNP : 配列番号1の302番目(A/C)
163a23t7SNP : 配列番号2の366番目(A/G)
151d03t7SNP : 配列番号3の641番目(T/C)
190h02sp6SNP : 配列番号4の206番目(A/G)
【0019】
実施例2
長崎県五島にて採捕した雄47尾、雌47尾の計94尾のブリ野生個体について、開腹して生殖腺を確認することによりその性別を判定した。
これらのブリの尾鰭を1cm角の大きさで採取し、100mM NaCl、20mM Tris-HCl(pH8.0)、100mM EDTA、1.0%SDS、100μg/ml Proteinase Kを含む消化溶液を600μL加え、37℃で一晩静置した。さらに、フェノール/クロロホルム(1:1)抽出を1回行った後、エタノール沈殿にて染色体DNAを析出させた。
次に、表1の各プライマー2pmol、0.2mM each dNTPs、2.0mM MgCl2、0.25U Ex taq DNA polymerase(Takara)、得られたDNA(テンプレート)50ngを含む10μLの反応溶液を調整し、TProfessional 96 Thermocycler(Biometra)を用いてPCR法を行った。
PCR反応条件は、(95℃、3分)×1サイクル-(95℃、30秒-プライマー対固有のアニーリング温度50~55℃、30秒、72℃、1分)×30サイクル-(72℃、5分)×1サイクルとした。
PCR反応後、PCR反応液7μLとillustra ExoStarキット(GE Healthcare)に含まれるAlkaline Phosphatase 0.1μLとExonuclease1 0.1μLを含む9μLの反応溶液を調整し、TProfessional 96 Thermocycler(Biometra)にて(37℃、1時間)-(80℃、15分)の酵素反応を行った。その後、酵素反応液3.5μLとプライマー6.4pmolを含む14μLのシーケンシング反応液を調整し、サンガー法による塩基配列決定を行った。なお、ここでプライマーとしてPCR反応に用いたフォワードプライマーを用いた。
【0020】
その結果得られた各遺伝マーカー(SNP)について遺伝型とその性別を下表に示す。
【表2】
JP2014180233A_000003t.gif

【0021】
表中のスラッシュ(/)を挟む塩基は、各アレルの塩基を表す。
表中、カイ二乗値(χ)は、観測度数と帰無仮説を「塩基配列パターンの頻度に雌雄間で偏りが無い」として算出した期待度数とを用いて、「(((観測度数-期待度数)の2乗)÷期待度数)の総和」として算出したもので、その数値が高いほど遺伝型と性決定形質(雌性)との相関が確からしいことを示す。
表から、163a23t7SNP及び/又は269k02t7SNPの遺伝型を調べることで、ブリ野生個体の性別を高確率で判別することができるといえる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2