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明細書 :ボロン酸基を有するオーキシン生合成阻害剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6120272号 (P6120272)
公開番号 特開2014-169246 (P2014-169246A)
登録日 平成29年4月7日(2017.4.7)
発行日 平成29年4月26日(2017.4.26)
公開日 平成26年9月18日(2014.9.18)
発明の名称または考案の名称 ボロン酸基を有するオーキシン生合成阻害剤
国際特許分類 A01N  55/08        (2006.01)
A01P  21/00        (2006.01)
FI A01N 55/08
A01P 21/00
請求項の数または発明の数 12
全頁数 36
出願番号 特願2013-042031 (P2013-042031)
出願日 平成25年3月4日(2013.3.4)
審査請求日 平成28年2月18日(2016.2.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
発明者または考案者 【氏名】嶋田 幸久
【氏名】山崎 千秋
【氏名】添野 和雄
【氏名】石井 貴広
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100101904、【弁理士】、【氏名又は名称】島村 直己
【識別番号】100180862、【弁理士】、【氏名又は名称】花井 秀俊
審査官 【審査官】水島 英一郎
参考文献・文献 国際公開第2012/118216(WO,A1)
Swedish J. agric. Res.,1983年,13(2),101-106
Arkiv foer Kemi,1956年,10,171-177
調査した分野 A01N,A01P
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I)又は式(II):
【化1】
JP0006120272B2_000014t.gif

[式中、
R1、R2及びR3は、非置換、又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C1~C5アルコキシ、C6~C15アリール、C7~C16アリールアルキル、C8~C17アリールアルケニル、C6~C15アリールオキシ或いはC7~C16アリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール又はC6~C15ヘテロアリールであり、但し、R1、R2及びR3は同一の基であり、
L1、L2及びL3は、単結合であるか、或いはメチレン又はエチレンであり、但し、L1、L2及びL3は同一の基であり、
RB1及びRB2は、水素であるか、或いは非置換C1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C6~C15アリール、C6~C15ヘテロアリール又はC5~C15ヘテロシクロアルキルであるか、或いは
RB1及びRB2は、それらが結合するボロン酸基と一緒になって、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル或いはC2~C5アルキニルで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルを形成する。]
で表される化合物、又はその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含むオーキシン生合成阻害剤。
【請求項2】
R1、R2及びR3が、非置換、又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C6~C15アリール、C6~C15アリールオキシ或いはC7~C16アリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール又はC6~C15ヘテロアリールであり、
L1、L2及びL3が、単結合であるか、或いはエチレンであり、
RB1及びRB2が、水素であるか、或いはRB1及びRB2が、それらが結合するボロン酸基と一緒になって、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルを形成する、
請求項1に記載のオーキシン生合成阻害剤。
【請求項3】
R1、R2及びR3が、非置換、又は1若しくは複数のハロゲン、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ若しくはフェニルで置換されたフェニル、ビフェニル、ピリジル、ナフチル又はアントラセニルであり、
RB1及びRB2が、水素であるか、或いはRB1及びRB2が、それらが結合するボロン酸基と一緒になってメチルで置換された1,3,2-ジオキサボロラン-2-イルを形成する、
請求項2に記載のオーキシン生合成阻害剤。
【請求項4】
式(I)又は式(II)で表される化合物が、以下:
フェニルボロン酸;
3,5-ジクロロフェニルボロン酸;
2,6-ジクロロフェニルボロン酸;
2-クロロフェニルボロン酸;
3-クロロフェニルボロン酸;
4-クロロフェニルボロン酸;
3-ピリジンボロン酸;
4-ブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジフルオロフェニルボロン酸;
4-メチルフェニルボロン酸;
3-メチルフェニルボロン酸;
4-メトキシフェニルボロン酸;
4-エチルフェニルボロン酸;
3-エチルフェニルボロン酸;
フェネチルボロン酸(2-フェニルエチルボロン酸);
4-tert-ブチルフェニルボロン酸;
2-ナフチルボロン酸;
2-アントラセニルボロン酸;
3-ビフェニリルボロン酸;
4-ビフェニリルボロン酸;
(2-フルオロビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-メチルビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-ブロモビフェニル-4-イル)ボロン酸;
4-フェノキシフェニルボロン酸;
3-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシ-3-フルオロフェニルボロン酸;
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ビフェニル;及び
2,4,6-トリス(4-クロロフェニル)ボロキシン(トリス[4-クロロフェニルボロン酸]無水物);
からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載のオーキシン生合成阻害剤。
【請求項5】
式(I’)又は式(II’):
【化2】
JP0006120272B2_000015t.gif

[式中、
R1’、R2’及びR3’は、非置換、又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C1~C5アルコキシ、C6~C15アリール、C7~C16アリールアルキル、C8~C17アリールアルケニル、C6~C15アリールオキシ或いはC7~C16アリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール又はC6~C15ヘテロアリールであり、但し、R1’、R2’及びR3’は同一の基であり、
L1’、L2’及びL3’は、単結合であるか、或いはメチレン又はエチレンであり、但し、L1’、L2’及びL3’は同一の基であり、
RB1’及びRB2’は、水素であるか、或いは非置換C1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C6~C15アリール、C6~C15ヘテロアリール又はC5~C15ヘテロシクロアルキルであるか、或いは
RB1’及びRB2’は、それらが結合するボロン酸基と一緒になって、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル或いはC2~C5アルキニルで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルを形成する。]
で表される化合物、又はその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含む、フラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤。
【請求項6】
R1’、R2’及びR3’が、非置換、又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C6~C15アリール、C6~C15アリールオキシ或いはC7~C16アリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール又はC6~C15ヘテロアリールであり、
L1’、L2’及びL3’が、単結合であるか、或いはエチレンであり、
RB1’及びRB2’が、水素であるか、或いはRB1’及びRB2’が、それらが結合するボロン酸基と一緒になって、置換若しくは非置換のC1~C5アルキルで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルを形成する、
請求項5に記載のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤。
【請求項7】
R1’、R2’及びR3’が、非置換、又は1若しくは複数のハロゲン、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ若しくはフェニルで置換されたフェニル、ビフェニル、ピリジル、ナフチル又はアントラセニルであり、
RB1’及びRB2’が、水素であるか、或いはRB1’及びRB2’が、それらが結合するボロン酸基と一緒になってメチルで置換された1,3,2-ジオキサボロラン-2-イルを形成する、
請求項6に記載のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤。
【請求項8】
式(I’)又は式(II’)で表される化合物が、以下:
フェニルボロン酸;
3,5-ジクロロフェニルボロン酸;
2,6-ジクロロフェニルボロン酸;
2-クロロフェニルボロン酸;
3-クロロフェニルボロン酸;
4-クロロフェニルボロン酸;
3-ピリジンボロン酸;
4-ブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジフルオロフェニルボロン酸;
4-メチルフェニルボロン酸;
3-メチルフェニルボロン酸;
4-メトキシフェニルボロン酸;
4-エチルフェニルボロン酸;
3-エチルフェニルボロン酸;
フェネチルボロン酸(2-フェニルエチルボロン酸);
4-tert-ブチルフェニルボロン酸;
2-ナフチルボロン酸;
2-アントラセニルボロン酸;
3-ビフェニリルボロン酸;
4-ビフェニリルボロン酸;
(2-フルオロビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-メチルビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-ブロモビフェニル-4-イル)ボロン酸;
4-フェノキシフェニルボロン酸;
3-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシ-3-フルオロフェニルボロン酸;
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ビフェニル;及び
2,4,6-トリス(4-クロロフェニル)ボロキシン(トリス[4-クロロフェニルボロン酸]無水物);
からなる群より選択される、請求項5~7のいずれか1項に記載のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤。
【請求項9】
望ましくない植物を防除するために使用される、請求項1~4のいずれか1項に記載のオーキシン生合成阻害剤。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるオーキシンの生合成を阻害する方法。
【請求項11】
請求項5~8のいずれか1項に記載のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤とYUCCAとをin vitroで接触させることを含む、in vitroにおけるYUCCA活性を阻害する方法。
【請求項12】
請求項5~8のいずれか1項に記載のフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるYUCCA活性を阻害する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ボロン酸基を有するオーキシン生合成阻害剤に関する。本発明はまた、前記阻害剤の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オーキシンは、植物の発生、成長、分化及び様々な環境応答に関与することが知られている植物ホルモンである。天然オーキシンとしては、インドール-3-酢酸(IAA)が最も普遍的に分布していることが知られている。また、インドール-3-酪酸(IBA)及び4-クロロインドール-3-酢酸(4-Cl-IAA)等の他の天然オーキシンも知られている。
【0003】
主要な天然オーキシンであるIAAは、化学的に非常に不安定である。また、植物体内においては、IAAを分解するIAAの代謝経路が存在する。このため、農業及び植物化学の分野では、農薬又は植物化学調節剤として合成オーキシンが広く用いられている。合成オーキシンとしては、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、1-ナフタレン酢酸(NAA)及び2-メチル-4-クロロフェノキシ酪酸(MCPB)等が知られている。例えば、2,4-Dは、除草剤及び植物の組織培養試薬として使用されている。MCPBは、水田広葉雑草に対する選択的除草剤として使用されている。
【0004】
オーキシンすなわちIAAは、複数の経路によって生合成されることが知られている。現在までに、大別すると、L-トリプトファン(L-Trp)を経由する経路と経由しない経路(非トリプトファン経路)との2つの経路が存在することが確認されている。L-Trpを経由する経路は、さらに4つ以上の経路に分岐し、それぞれの経路が異なる生合成酵素によって制御されている。シロイヌナズナでは、インドール-3-ピルビン酸(IPyA)を生合成中間体としてIAAが生合成される経路が、IAA生合成の主要な経路である(図1)。前記経路において、L-TrpからIPyAが形成される反応はトリプトファンアミノ基転移酵素(TAA)により、IPyAからIAAが形成される反応はフラビンモノオキシゲナーゼの一種であるYUCCAにより、それぞれ制御される。TAAをコードするTAA1遺伝子及びYUCCAをコードするYUCCA1遺伝子の過剰発現体の解析から、このIAA生合成経路においては、YUCCAが主要な律速酵素であると考えられている(非特許文献1)。
【0005】
前記のように、オーキシンの生合成においては、共通且つ主要な生合成前駆体として、芳香族アミノ酸であるL-Trpが利用されている。例えば、公知の除草剤であるグリホサートは、芳香族アミノ酸の生合成前駆体である5-エノールピルビル-3-ホスホシキミ酸(EPSP)の生合成酵素(5-エノールピルビル-3-ホスホシキミ酸シンターゼ(EPSPS))を阻害する。このため、グリホサートは、EPSPの下流に位置する芳香族アミノ酸及び/又は他の二次代謝産物の生合成に広く影響を与えることにより、除草活性を発現する。しかしながら、前記のように幅広い代謝産物の生合成に影響を与える酵素の阻害剤の場合、標的とする化合物以外の代謝産物の生合成にも悪影響を与える可能性がある。
【0006】
近年、オーキシンの生合成経路のうち、特定の経路を特異的に阻害する化合物が開発された。例えば、特許文献1は、L-α-(2-アミノエトキシビニル)グリシン(AVG)、L-アミノオキシフェニルプロピオン酸(L-AOPP)、アミノオキシ酢酸(AOA)及び2-アミノオキシイソ酪酸(AOIBA)のようなオーキシン生合成阻害剤を記載する。前記化合物のうち、AVG及びL-AOPPは、TAAの阻害を介してオーキシン生合成を阻害する(非特許文献2)。特許文献2は、L-AOPPのフェニル基、カルボキシル基及びアミノオキシ基を修飾した新規オーキシン生合成阻害剤を記載する。当該文献に記載の化合物もまた、TAAの阻害を介してオーキシン生合成を阻害する。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】国際公開2008/150031号パンフレット
【特許文献2】国際公開2012/118216号パンフレット
【0008】

【非特許文献1】Mashiguchi, K.ら, 2011年, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108巻, p. 18512-18517
【非特許文献2】Soeno, K.ら, 2010年, Plant Cell Physiol., 第51巻, p. 524-536
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のようなオーキシン生合成阻害剤には、いくつかの問題が存在した。例えば、L-AOPPは、安定性が低く、植物培地又は土壌に添加した場合に植物の成長阻害効果を持続的に発現することが困難である。また、L-AOPPは、フェニルプロパノイドの主要な生合成酵素として知られるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の阻害剤としても使用される化合物である。このため、L-AOPPは、TAAの阻害を介してオーキシン生合成を阻害するだけでなく、アントシアニン、フラボノイド及びリグニンのようなフェニルプロパノイド系の二次代謝産物、並びに植物ホルモンであるサリチル酸の生合成も阻害する可能性がある。
【0010】
前記の問題に鑑み、本発明者らは、公知のオーキシン生合成阻害剤と比較して、特異性、浸透性及び安定性が向上し、且つ副作用が軽減した新規オーキシン生合成阻害剤を開発した(特許文献2及び特願2012-277116)。しかしながら、これらの新規オーキシン生合成阻害剤は、さらなる改良の余地が存在した。
【0011】
それ故、本発明は、公知のオーキシン生合成阻害剤と比較して優れた特性を備える新規オーキシン生合成阻害剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
オーキシンの主要な生合成経路は、L-TrpからIPyAを経由してIAAが形成される経路である。それ故、前記経路を制御するTAA及び/又はYUCCAの活性を特異的に阻害する化合物は、特異性の高いオーキシン生合成阻害剤となり得る。
【0013】
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、L-AOPPの骨格に含まれるカルボン酸基を、ボロン酸基に置換したボロン酸基を有する化合物は、L-AOPPを含む従来のオーキシン生合成阻害剤と比較してオーキシン生合成阻害活性が向上することを見出した。また、本発明者らは、前記化合物が、オーキシン生合成の主要な律速酵素と考えられているYUCCAの活性を特異的に阻害することを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 式(I)又は式(II):
【0015】
【化1】
JP0006120272B2_000002t.gif
[式中、
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであり、
L1、L2及びL3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換のアルキレン、置換若しくは非置換のアルケニレン、置換若しくは非置換のアルキニレン(前記2価基は、=N-、-O-及び-S-から選択される1個以上のヘテロ原子、又はエポキシ、-N(RN1)-、-CO-、-COO-、-SO-及び-SO2-から選択される1個以上のヘテロ原子基をその鎖中に含んでいてもよい)であり、
RN1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであり、
RB1及びRB2は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであるか、或いは
RB1及びRB2は、それらが結合するボロン酸基と一緒になって置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルを形成する。]
で表される化合物、又はその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含むオーキシン生合成阻害剤。
【0016】
(2) 式(I’)又は式(II’):
【化2】
JP0006120272B2_000003t.gif
[式中、
R1’、R2’及びR3’は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであり、
L1’、L2’及びL3’は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換のアルキレン、置換若しくは非置換のアルケニレン、置換若しくは非置換のアルキニレン(前記2価基は、=N-、-O-及び-S-から選択される1個以上のヘテロ原子、又はエポキシ、-N(RN1’)-、-CO-、-COO-、-SO-及び-SO2-から選択される1個以上のヘテロ原子基をその鎖中に含んでいてもよい)であり、
RN1’は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであり、
RB1’及びRB2’は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであるか、或いは
RB1’及びRB2’は、それらが結合するボロン酸基と一緒になって置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルを形成する。]
で表される化合物、又はその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含むYUCCA阻害剤。
【0017】
(3) 望ましくない植物を防除するために使用される、前記(1)に記載のオーキシン生合成阻害剤。
【0018】
(4) 前記(1)に記載のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるオーキシンの生合成を阻害する方法。
【0019】
(5) 前記(1)に記載のオーキシン生合成阻害剤又は前記(2)に記載のYUCCA阻害剤で植物を処理することを含む、該植物の成長を調節する方法。
【0020】
(6) 前記(1)に記載のオーキシン生合成阻害剤又は前記(2)に記載のYUCCA阻害剤で望ましくない植物を処理することを含む、該望ましくない植物の除草方法。
【0021】
(7) 前記(2)に記載のYUCCA阻害剤とYUCCAとをin vitroで接触させることを含む、in vitroにおけるYUCCA活性を阻害する方法。
【0022】
(8) 前記(2)に記載のYUCCA阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるYUCCA活性を阻害する方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、公知のオーキシン生合成阻害剤と比較して優れた特性を備える新規オーキシン生合成阻害剤を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、オーキシン生合成経路の概要を示す図である。
【図2】図2は、シロイヌナズナの内性IAA量の定量結果を示す図である。
【図3-1】図3-1は、シロイヌナズナの生育試験における対照区及び各試験区の形態を示す図である。
【図3-2】図3-2は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-3】図3-3は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-4】図3-4は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-5】図3-5は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-6】図3-6は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-7】図3-7は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図3-8】図3-8は、シロイヌナズナの生育試験における各試験区の形態を示す図である。
【図4】図4は、YUCCA活性試験の結果を示す図である。
【図5】図5は、実施例化合物及び参考例1~3の化合物の、シロイヌナズナの生育試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<1. オーキシン生合成阻害剤>
本発明は、式(I)又は式(II):
【化3】
JP0006120272B2_000004t.gif
で表される化合物、又はその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含むオーキシン生合成阻害剤に関する。

【0026】
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1~C5アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても5個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。好適なアルキルは、限定するものではないが、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル及びn-ペンチル等の直鎖又は分枝鎖のC1~C5アルキルを挙げることができる。また、本明細書において、「アルキレン」は、前記アルキルの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。好適なアルキレンとしては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、t-ブチレン及びペンチレン等の直鎖又は分枝鎖のC1~C5アルキレンを挙げることができる。

【0027】
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なアルケニルは、限定するものではないが、例えばビニル、1-プロペニル、アリル、1-メチルエテニル(イソプロペニル)、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル及び1-ペンテニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C5アルケニルを挙げることができる。また、本明細書において、「アルケニレン」は、前記アルケニルの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。好適なアルケニレンとしては、例えば、ビニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、2-メチル-1-プロペニレン、3-ブテニレン及び4-ペンテニレン等の直鎖又は分枝鎖のC2~C5アルケニレンを挙げることができる。

【0028】
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルは、限定するものではないが、例えばエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル及び1-ペンチニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C5アルキニルを挙げることができる。また、本明細書において、「アルキニレン」は、前記アルキニルの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。

【0029】
本明細書において、「アルキリデン」は、前記アルキルの結合末端に位置するC-C単結合が二重結合に置換された二価の基を意味する。好適なアルキリデンは、限定するものではないが、例えばビニリデン及びプロパン-2-イリデン等の直鎖又は分枝鎖のC2~C5アルキリデンを挙げることができる。

【0030】
本明細書において、「アルキリデンアミノ」は、アミノ基の2個の水素原子が前記アルキリデンに置換された基を意味する。好適なアルキリデンアミノは、限定するものではないが、例えばビニリデンアミノ及びプロパン-2-イリデンアミノ等の直鎖又は分枝鎖のC2~C5アルキリデンアミノを挙げることができる。

【0031】
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3~C6シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても6個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等のC3~C6シクロアルキルを挙げることができる。

【0032】
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等のC3~C6シクロアルケニルを挙げることができる。

【0033】
本明細書において、「シクロアルキニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルキニルは、限定するものではないが、例えばシクロブチニル、シクロペンチニル及びシクロヘキシニル等のC3~C6シクロアルキニルを挙げることができる。

【0034】
本明細書において、「ヘテロシクロアルキル」は、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択されるヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等を挙げることができる。

【0035】
本明細書において、「アルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルに置換された基を意味する。好適なアルコキシは、限定するものではないが、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びペントキシ等のC1~C5アルコキシを挙げることができる。

【0036】
本明細書において、「シクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記シクロアルキル、シクロアルケニル又はシクロアルキニルに置換された基を意味する。好適なアルコキシは、限定するものではないが、例えばシクロプロポキシ、シクロブトキシ及びシクロペントキシ等のC3~C6シクロアルコキシを挙げることができる。

【0037】
本明細書において、「ヘテロシクロアルコキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロシクロアルキルに置換された基を意味する。

【0038】
本明細書において、「アリール」は、6~15の炭素原子数を有する芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル及びアントラセニル等のC6~C15アリールを挙げることができる。

【0039】
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル、2-フェネチル等のC7~C16アリールアルキルを挙げることができる。

【0040】
本明細書において、「アリールアルケニル」は、前記アルケニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルケニルは、限定するものではないが、例えばスチリル等のC8~C17アリールアルケニルを挙げることができる。

【0041】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素(N)、硫黄(S)及び酸素(O)から選択されるヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等を挙げることができる。

【0042】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。

【0043】
本明細書において、「アリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフェノキシ、ビフェニルオキシ、ナフチルオキシ及びアントリルオキシ(アントラセニルオキシ)等のC6~C15アリールオキシを挙げることができる。

【0044】
本明細書において、「アリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールアルキルに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルオキシは、限定するものではないが、例えばベンジルオキシ、1-フェネチルオキシ及び2-フェネチルオキシ等のC7~C16アリールアルキルオキシを挙げることができる。

【0045】
本明細書において、「アリールアルケニルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記アリールアルケニルに置換された基を意味する。好適なアリールアルケニルオキシは、限定するものではないが、例えばスチリルオキシ等のC8~C17アリールアルケニルオキシを挙げることができる。

【0046】
本明細書において、「ヘテロアリールオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。好適なヘテロアリールオキシは、限定するものではないが、例えばフラニルオキシ、チエニルオキシ(チオフェンイルオキシ)、ピロリルオキシ、イミダゾリルオキシ、ピラゾリルオキシ、トリアゾリルオキシ、テトラゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、オキサゾリルオキシ、イソオキサゾリルオキシ、オキサジアゾリルオキシ、チアジアゾリルオキシ、イソチアゾリルオキシ、ピリジルオキシ、ピリダジニルオキシ、ピラジニルオキシ、ピリミジニルオキシ、キノリニルオキシ、イソキノリニルオキシ及びインドリルオキシ等を挙げることができる。

【0047】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、ヒドロキシルの水素原子が、前記ヘテロアリールアルキルに置換された基を意味する。

【0048】
本明細書において、「アリール縮合シクロアルキル」は、前記アリールとシクロアルキルとが縮合することによって形成される縮合環基を意味する。好適なアリール縮合シクロアルキルは、限定するものではないが、例えばベンゾシクロブテニル、インダニル及びテトラヒドロナフチル等を挙げることができる。

【0049】
本明細書において、「アリール縮合ヘテロシクロアルキル」は、前記アリールとヘテロシクロアルキルとが縮合することによって形成される縮合環基を意味する。好適なアリール縮合シクロアルキルは、限定するものではないが、例えば2,3-ジヒドロインドリル及び1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル等を挙げることができる。

【0050】
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される1価基とカルボニルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばホルミル、アセチル及びプロピオニル等のC1~C5脂肪族アシル、並びにベンゾイル等のC7~C16芳香族アシルを挙げることができる。

【0051】
前記で説明した基は、それぞれ独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数のハロゲン、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ、NO2、C(O)Z若しくはC(O)Z’(Z及びZ’は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)、又は前記で説明した基から選択される1価基又は2価基によってさらに置換することもできる。

【0052】
なお、本明細書において、「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。

【0053】
本発明者らは、オーキシン生合成阻害活性を有する化合物を探索した。その結果、高いオーキシン生合成阻害活性を有する化合物として、式(I)又は式(II)で表される化合物を見出した。

【0054】
式(I)又は式(II)で表される化合物において、R1、R2、R3、L1、L2、L3、RN1、RB1及びRB2は、以下の定義を満たすことが必要である。

【0055】
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであり、
L1、L2及びL3は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換のアルキレン、置換若しくは非置換のアルケニレン、置換若しくは非置換のアルキニレン(前記2価基は、=N-、-O-及び-S-から選択される1個以上のヘテロ原子、又はエポキシ、-N(RN1)-、-CO-、-COO-、-SO-及び-SO2-から選択される1個以上のヘテロ原子基をその鎖中に含んでいてもよい)であり、
RN1は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであり、
RB1及びRB2は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであるか、或いは
RB1及びRB2は、それらが結合するボロン酸基と一緒になって置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルを形成する。

【0056】
式(I)又は式(II)において、前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ、NO2、C(O)Z(Zは水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)、並びに置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルケニルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ、アリール縮合シクロアルキル、アリール縮合ヘテロシクロアルキル及びアシルからなる群より選択される1価基であることが好ましい。

【0057】
R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ或いはヘテロアリールアルキルオキシで置換されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリール縮合シクロアルキル或いはアリール縮合ヘテロシクロアルキルであることが好ましく、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C1~C5アルコキシ、C6~C15アリール、C7~C16アリールアルキル、C8~C17アリールアルケニル、C6~C15ヘテロアリール、C7~C16ヘテロアリールアルキル、C6~C15アリールオキシ、C7~C16アリールアルキルオキシ、C6~C15ヘテロアリールオキシ或いはC7~C16ヘテロアリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール、C6~C15ヘテロアリール、C5~C15ヘテロシクロアルキル、C8~C18アリール縮合シクロアルキル或いはC8~C18アリール縮合ヘテロシクロアルキルであることがより好ましく、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C1~C5アルコキシ、C6~C15アリール、C7~C16アリールアルキル、C8~C17アリールアルケニル、C6~C15アリールオキシ或いはC7~C16アリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール又はC6~C15ヘテロアリールであることがさらに好ましく、1若しくは複数のハロゲン、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えばtert-ブチル)、メトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ若しくはフェニルで置換されたフェニル、ビフェニル、ピリジル、ナフチル又はアントラセニルであることが特に好ましい。

【0058】
L1、L2及びL3は、それぞれ独立して、単結合であるか、或いは非置換又はハロゲン、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ、NO2、C(O)Z(Zは水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニルで置換されたアルキレン、アルケニレン或いはアルキニレン(前記2価基は、=N-、-O-及び-S-から選択される1個以上のヘテロ原子、又はエポキシ、-N(RN1)-、-CO-、-COO-、-SO-及び-SO2-から選択される1個以上のヘテロ原子基をその鎖中に含んでいてもよい)であることが好ましく、単結合であるか、或いは非置換又はハロゲン、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ、NO2、C(O)Z(Zは水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)或いは置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル若しくはC2~C5アルキニルで置換されたC1~C5アルキレン、C2~C5アルケニレン或いはC2~C5アルキニレン(前記2価基は、=N-、-O-及び-S-から選択される1個以上のヘテロ原子、又はエポキシ、-N(RN1)-、-CO-、-COO-、-SO-及び-SO2-から選択される1個以上のヘテロ原子基をその鎖中に含んでいてもよい)であることがより好ましく、単結合であるか、或いは非置換又はハロゲン、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ、NO2、C(O)Z(Zは水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)或いは置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル若しくはC2~C5アルキニルで置換されたC1~C5アルキレン或いはC2~C5アルケニレン(前記2価基は、=N-、-O-及び-S-から選択される1個以上のヘテロ原子、又はエポキシ、-N(RN1)-、-CO-、-COO-、-SO-及び-SO2-から選択される1個以上のヘテロ原子基をその鎖中に含んでいてもよい)であることがさらに好ましく、単結合であるか、或いはメチレン又はエチレンであることが特に好ましい。

【0059】
RN1は、水素であるか、或いは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルであることが好ましく、水素であるか、或いは非置換C1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C6~C15アリール、C6~C15ヘテロアリール又はC5~C15ヘテロシクロアルキルであることがより好ましく、水素であることが特に好ましい。

【0060】
RB1及びRB2は、それぞれ独立して、水素であるか、或いは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルであることが好ましく、水素であるか、或いは非置換C1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C6~C15アリール、C6~C15ヘテロアリール又はC5~C15ヘテロシクロアルキルであることがより好ましく、水素であることが特に好ましい。

【0061】
RB1及びRB2が、それらが結合するボロン酸基と一緒になって置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルを形成する場合、該基は、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ或いはヘテロアリールアルキルオキシで置換されたヘテロシクロアルキルであることが好ましく、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C1~C5アルコキシ、C6~C15アリール、C7~C16アリールアルキル、C8~C17アリールアルケニル、C6~C15ヘテロアリール、C7~C16ヘテロアリールアルキル、C6~C15アリールオキシ、C7~C16アリールアルキルオキシ、C6~C15ヘテロアリールオキシ或いはC7~C16ヘテロアリールアルキルオキシで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルであることがより好ましく、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル或いはC2~C5アルキニルで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルであることがより好ましく、非置換又はメチルで置換された1,3,2-ジオキサボロラン-2-イルであることが特に好ましい。

【0062】
式(II)において、R1、R2及びR3が同一の基であり、且つL1、L2及びL3が同一の基であることが好ましい。この場合、式(II)で表される化合物は、式(I)で表される化合物のボロン酸無水物の形態となる。

【0063】
特に好ましい式(I)又は式(II)で表される化合物は、以下:
フェニルボロン酸;
3,5-ジクロロフェニルボロン酸;
2,6-ジクロロフェニルボロン酸;
2-クロロフェニルボロン酸;
3-クロロフェニルボロン酸;
4-クロロフェニルボロン酸;
3-ピリジンボロン酸;
4-ブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジフルオロフェニルボロン酸;
4-メチルフェニルボロン酸;
3-メチルフェニルボロン酸;
4-メトキシフェニルボロン酸;
4-エチルフェニルボロン酸;
3-エチルフェニルボロン酸;
フェネチルボロン酸(2-フェニルエチルボロン酸);
4-tert-ブチルフェニルボロン酸;
2-ナフチルボロン酸;
2-アントラセニルボロン酸;
3-ビフェニリルボロン酸;
4-ビフェニリルボロン酸;
(2-フルオロビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-メチルビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-ブロモビフェニル-4-イル)ボロン酸;
4-フェノキシフェニルボロン酸;
3-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシ-3-フルオロフェニルボロン酸;
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ビフェニル;及び
2,4,6-トリス(4-クロロフェニル)ボロキシン(トリス[4-クロロフェニルボロン酸]無水物);
からなる群より選択される。

【0064】
とりわけ好ましい式(I)で表される化合物は、4-ビフェニリルボロン酸又は4-フェノキシフェニルボロン酸である。

【0065】
なお、本明細書において、式(I)又は以下で説明する(I’)で表される化合物を「ボロン酸型化合物」、式(II)又は以下で説明する(II’)で表される化合物を「ボロン酸無水物型化合物」と、それぞれ総称する場合がある。

【0066】
本発明において、式(I)又は式(II)で表される化合物、及び以下で説明する式(I’)又は式(II’)で表される化合物は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。本発明の化合物の塩の対イオンとしては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、若しくは置換若しくは非置換のアンモニウムイオンのようなカチオン、又は塩化物イオン、臭化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、安息香酸イオン、アスコルビン酸イオン、パモ酸イオン、コハク酸イオン、ビスメチレンサリチル酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンジスルホン酸イオン、プロピオン酸イオン、酒石酸イオン、サリチル酸イオン、クエン酸イオン、グルコン酸イオン、アスパラギン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、イタコン酸イオン、グリコール酸イオン、p-アミノ安息香酸イオン、グルタミン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、シクロヘキシルスルファミン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、イセチオン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン又は過塩素酸イオンのようなアニオンが好ましい。式(I)若しくは式(II)、又は式(I’)若しくは式(II’)で表される化合物が前記の対イオンとの塩の形態である場合、オーキシン生合成阻害活性及び以下で説明するYUCCA阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。

【0067】
式(I)又は式(II)で表される化合物、及び以下で説明する式(I’)又は式(II’)で表される化合物は、前記又は下記の化合物自体だけでなく、該化合物又はその塩の溶媒和物も包含する。前記化合物又はその塩と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン若しくは酢酸エチルのような有機溶媒、又は水が好ましい。式(I)若しくは式(II)、又は式(I’)若しくは式(II’)で表される化合物又はその塩が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合、オーキシン生合成阻害活性及び以下で説明するYUCCA阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。

【0068】
式(I)又は式(II)で表される化合物、及び以下で説明する式(I’)又は式(II’)で表される化合物は、前記又は下記の化合物自体だけでなく、その保護形態も包含する。本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数の官能基(例えばボロン酸基)に保護基が導入された形態を意味する。また、本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。前記化合物の保護形態を形成し得る保護基としては、限定するものではないが、例えば、ボロン酸基の保護基の場合、アセタール、アセトニド、環状トリオールボレート(Yamamoto, Y.ら, 2008年, Angew. Chem. Int. Ed., 第47巻, pp. 928-931)又はN-メチルイミノ二酢酸(MIDA)ボロネート(Knapp, D.M.ら, 2009年, J. Am. Chem. Soc., 第131(20)巻, pp. 6961-6963)、或いはトリフルオロボレート(Darses, S.及びGenet, J.-P., 2008年, Chem. Rev., 第108巻, pp. 288-315)又は1,8-ジアミノナフタレン(Noguchi, H.ら, 2007年, J. Am. Chem. Soc., 第129(4)巻, pp. 758-759)が好ましい。式(I)若しくは式(II)、又は式(I’)若しくは式(II’)で表される化合物が前記の保護基による保護形態である場合、オーキシン生合成阻害活性及び以下で説明するYUCCA阻害活性を実質的に低下させることなく、該化合物を使用することができる。

【0069】
また、式(I)又は式(II)で表される化合物、及び以下で説明する式(I’)又は式(II’)で表される化合物が1又は複数の立体中心(キラル中心)を有する場合、前記化合物は、該化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマー、並びにラセミ体のようなそれらの混合物も包含する。

【0070】
前記特徴を有することにより、式(I)若しくは式(II)、又は式(I’)若しくは式(II’)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性及び以下で説明するYUCCA阻害活性を発現することができる。

【0071】
本発明の式(I)又は式(II)で表される化合物は、従来技術のオーキシン生合成阻害剤と比較して、植物体の内性IAA量を顕著に低下させ、且つ/又は植物の生育(例えば幼植物体の主根若しくは種子根伸長)を顕著に阻害することができる。

【0072】
前記特徴を有することにより、式(I)又は式(II)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を発現することが可能となる。

【0073】
<2. YUCCA阻害剤>
本発明はまた、式(I’)又は式(II’):
【化4】
JP0006120272B2_000005t.gif
で表される化合物、又はその塩若しくは溶媒和物を有効成分として含むYUCCA阻害剤に関する。

【0074】
オーキシンの主要な生合成経路である、L-トリプトファン(L-Trp)からインドール-3-ピルビン酸(IPyA)を経由してインドール-3-酢酸(IAA)が形成される経路において、IPyAからIAAが形成される反応は、フラビンモノオキシゲナーゼの一種であるYUCCAによって制御される。本発明者らは、YUCCAの活性を特異的に阻害する化合物として、式(I’)又は式(II’)で表される化合物を見出した。それ故、式(I’)又は式(II’)で表される化合物を用いることにより、植物(in vivo及び/又はex vivo)において、並びに/或いはin vitroにおいて、YUCCA活性を特異的に阻害することが可能となる。また、YUCCAは、前記オーキシン生合成経路において、主要な律速酵素と考えられている(非特許文献1)。それ故、式(I’)又は式(II’)で表される化合物を用いることにより、従来のオーキシン生合成阻害剤と比較して、より特異的にオーキシンの生合成を阻害することが可能となる。

【0075】
式(I’)又は式(II’)で表される化合物において、R1’、R2’、R3’、L1’、L2’、L3’、RN1’、RB1’及びRB2’は、以下の定義を満たすことが必要である。

【0076】
R1’、R2’及びR3’は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであり、
L1’、L2’及びL3’は、それぞれ独立して、単結合、置換若しくは非置換のアルキレン、置換若しくは非置換のアルケニレン、置換若しくは非置換のアルキニレン(前記2価基は、=N-、-O-及び-S-から選択される1個以上のヘテロ原子、又はエポキシ、-N(RN1)-、-CO-、-COO-、-SO-及び-SO2-から選択される1個以上のヘテロ原子基をその鎖中に含んでいてもよい)であり、
RN1’は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであり、
RB1’及びRB2’は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール縮合シクロアルキル又は置換若しくは非置換のアリール縮合ヘテロシクロアルキルであるか、或いは
RB1’及びRB2’は、それらが結合するボロン酸基と一緒になって置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルを形成する。

【0077】
式(I’)又は式(II’)において、前記基が置換されている場合、該置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ、NO2、C(O)Z’(Z’は水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)、並びに置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールアルケニルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ、アリール縮合シクロアルキル、アリール縮合ヘテロシクロアルキル及びアシルからなる群より選択される1価基であることが好ましい。

【0078】
R1’、R2’及びR3’は、それぞれ独立して、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ或いはヘテロアリールアルキルオキシで置換されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリール縮合シクロアルキル或いはアリール縮合ヘテロシクロアルキルであることが好ましく、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C1~C5アルコキシ、C6~C15アリール、C7~C16アリールアルキル、C8~C17アリールアルケニル、C6~C15ヘテロアリール、C7~C16ヘテロアリールアルキル、C6~C15アリールオキシ、C7~C16アリールアルキルオキシ、C6~C15ヘテロアリールオキシ或いはC7~C16ヘテロアリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール、C6~C15ヘテロアリール、C5~C15ヘテロシクロアルキル、C8~C18アリール縮合シクロアルキル或いはC8~C18アリール縮合ヘテロシクロアルキルであることがより好ましく、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C1~C5アルコキシ、C6~C15アリール、C7~C16アリールアルキル、C8~C17アリールアルケニル、C6~C15アリールオキシ或いはC7~C16アリールアルキルオキシで置換されたC6~C15アリール又はC6~C15ヘテロアリールであることがさらに好ましく、1若しくは複数のハロゲン、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えばtert-ブチル)、メトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ若しくはフェニルで置換されたフェニル、ビフェニル、ピリジル、ナフチル又はアントラセニルであることが特に好ましい。

【0079】
L1’、L2’及びL3’は、それぞれ独立して、単結合であるか、或いは非置換又はハロゲン、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ、NO2、C(O)Z’(Z’は水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル若しくはアルキニルで置換されたアルキレン、アルケニレン或いはアルキニレン(前記2価基は、=N-、-O-及び-S-から選択される1個以上のヘテロ原子、又はエポキシ、-N(RN1')-、-CO-、-COO-、-SO-及び-SO2-から選択される1個以上のヘテロ原子基をその鎖中に含んでいてもよい)であることが好ましく、単結合であるか、或いは非置換又はハロゲン、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ、NO2、C(O)Z’(Z’は水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)或いは置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル若しくはC2~C5アルキニルで置換されたC1~C5アルキレン、C2~C5アルケニレン或いはC2~C5アルキニレン(前記2価基は、=N-、-O-及び-S-から選択される1個以上のヘテロ原子、又はエポキシ、-N(RN1')-、-CO-、-COO-、-SO-及び-SO2-から選択される1個以上のヘテロ原子基をその鎖中に含んでいてもよい)であることがより好ましく、単結合であるか、或いは非置換又はハロゲン、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ、NO2、C(O)Z’(Z’は水素、ヒドロキシル、置換若しくは非置換のアミノ若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)或いは置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル若しくはC2~C5アルキニルで置換されたC1~C5アルキレン或いはC2~C5アルケニレン(前記2価基は、=N-、-O-及び-S-から選択される1個以上のヘテロ原子、又はエポキシ、-N(RN1')-、-CO-、-COO-、-SO-及び-SO2-から選択される1個以上のヘテロ原子基をその鎖中に含んでいてもよい)であることがさらに好ましく、単結合であるか、或いはメチレン又はエチレンであることが特に好ましい。

【0080】
RN1’は、水素であるか、或いは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルであることが好ましく、水素であるか、或いは非置換C1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C6~C15アリール、C6~C15ヘテロアリール又はC5~C15ヘテロシクロアルキルであることがより好ましく、水素であることが特に好ましい。

【0081】
RB1’及びRB2’は、それぞれ独立して、水素であるか、或いは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルであることが好ましく、水素であるか、或いは非置換C1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C6~C15アリール、C6~C15ヘテロアリール又はC5~C15ヘテロシクロアルキルであることがより好ましく、水素であることが特に好ましい。

【0082】
RB1’及びRB2’が、それらが結合するボロン酸基と一緒になって置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルを形成する場合、該基は、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ或いはヘテロアリールアルキルオキシで置換されたヘテロシクロアルキルであることが好ましく、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル、C2~C5アルキニル、C1~C5アルコキシ、C6~C15アリール、C7~C16アリールアルキル、C8~C17アリールアルケニル、C6~C15ヘテロアリール、C7~C16ヘテロアリールアルキル、C6~C15アリールオキシ、C7~C16アリールアルキルオキシ、C6~C15ヘテロアリールオキシ或いはC7~C16ヘテロアリールアルキルオキシで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルであることがより好ましく、非置換又はハロゲン、置換若しくは非置換のC1~C5アルキル、C2~C5アルケニル或いはC2~C5アルキニルで置換されたC5~C15ヘテロシクロアルキルであることがより好ましく、非置換又はメチルで置換された1,3,2-ジオキサボロラン-2-イルであることが特に好ましい。

【0083】
式(II’)において、R1’、R2’及びR3’が同一の基であり、且つL1’、L2’及びL3’が同一の基であることが好ましい。この場合、式(II’)で表される化合物は、式(I’)で表される化合物のボロン酸無水物の形態となる。

【0084】
特に好ましい式(I’)又は式(II’)で表される化合物は、以下:
フェニルボロン酸;
3,5-ジクロロフェニルボロン酸;
2,6-ジクロロフェニルボロン酸;
2-クロロフェニルボロン酸;
3-クロロフェニルボロン酸;
4-クロロフェニルボロン酸;
3-ピリジンボロン酸;
4-ブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジブロモフェニルボロン酸;
3,5-ジフルオロフェニルボロン酸;
4-メチルフェニルボロン酸;
3-メチルフェニルボロン酸;
4-メトキシフェニルボロン酸;
4-エチルフェニルボロン酸;
3-エチルフェニルボロン酸;
フェネチルボロン酸(2-フェニルエチルボロン酸);
4-tert-ブチルフェニルボロン酸;
2-ナフチルボロン酸;
2-アントラセニルボロン酸;
3-ビフェニリルボロン酸;
4-ビフェニリルボロン酸;
(2-フルオロビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-メチルビフェニル-4-イル)ボロン酸;
(4’-ブロモビフェニル-4-イル)ボロン酸;
4-フェノキシフェニルボロン酸;
3-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシフェニルボロン酸;
4-ベンジルオキシ-3-フルオロフェニルボロン酸;
4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ビフェニル;及び
2,4,6-トリス(4-クロロフェニル)ボロキシン(トリス[4-クロロフェニルボロン酸]無水物);
からなる群より選択される。

【0085】
とりわけ好ましい式(I)で表される化合物は、4-ビフェニリルボロン酸又は4-フェノキシフェニルボロン酸である。

【0086】
<3. 使用方法>
本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤は、有効成分である式(I)若しくは式(II)又は式(I’)若しくは式(II’)で表される化合物に加えて、場合により1種以上のさらなる活性成分、1種以上の農業上許容される担体及び1種以上の農業上許容される補助剤を含んでもよい。この場合、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤は、有効成分である式(I)若しくは式(II)又は式(I’)若しくは式(II’)で表される化合物、並びに場合により1種以上のさらなる活性成分、1種以上の農業上許容される担体及び1種以上の農業上許容される補助剤の少なくともいずれかを含む農業化学組成物として提供される。

【0087】
さらなる活性成分としては、パラクロロフェノキシイソ酪酸(PCIB)及びα-(フェニルエチル-2-オン)-インドール-3-酢酸(PEO-IAA)のようなオーキシン受容阻害剤、1-N-ナフチルフタラミン酸(NPA)及び2,3,5-トリヨード安息香酸(TIBA)のようなオーキシン極性輸送阻害剤等を挙げることができる。

【0088】
或いは、さらなる活性成分は、特許文献2に記載の式(I’)で表される化合物を有効成分として含むオーキシン生合成阻害剤であってもよく、又は特願2012-277116の明細書において開示される式(I’):
【化5】
JP0006120272B2_000006t.gif
[式中、n’、Ar’、A’、B’、R1’、R2’、R3’、R4’及びR5’は、以下の[a’]~[g’]のいずれかを満たす:
[a’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’及びB’は、単結合であり、
R1’及びR2’は、水素であり、
R3’は、ヒドロキシルであり、
R4’は、水素又は置換若しくは非置換アルキルであり、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルである。
[b’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、-O-CH2-又は-O-であり、
B’は、単結合又は-CH2-であり、
R1’及びR3’は、水素であり、
R2’及びR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニレンを形成し、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルである。
[c’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合、ビニレン又はカルボニルであり、
B’は、単結合であり、
R1’及びR3’は、水素であり、
R2’及びR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってエポキシ又はビニレンを形成し、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルである。
[d’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合又は-O-CH2-であり、
B’は、単結合であり、
R1’及びR2’は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になってカルボニルを形成し、
R3’及びR4’は、水素であるか、又はそれらが結合する炭素原子と一緒になってビニリデンを形成し、
R5’は、カルボン酸若しくはホスホン酸、又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸若しくはホスホン酸エステルである。
[e’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合又は-O-CH2-であり、
B’は、単結合であり、
R1’は、水素であり、
R2’及びR4’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってビニレンを形成し、
R3’は、アシルアミノであり、
R5’は、カルボン酸又は置換若しくは非置換アルキルとのカルボン酸エステルであるか、或いは
R3’及びR5’は、それらが結合する炭素原子と一緒になってオキサゾール-5(4H)-オン環を形成する。
[f’]
n’は、0であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合又は-O-であり、
B’は、単結合であり、
R1’及びR2’は、水素であり、
R5’は、カルボン酸、N-ヒドロキシフタル酸イミドとのカルボン酸エステル又はカルボン酸ヒドラジドである。
[g’]
n’は、1であり、
Ar’は、置換若しくは非置換のアリール、又は置換若しくは非置換のヘテロアリールであり、
A’は、単結合であり、
B’は、単結合又はメチレンであり、
R1’及びR2’は、水素であり、
R3’は、水素又はヒドロキシルであり、
R4’は、水素であり、
R5’は、ヒドロキシルである。]
で表される化合物を有効成分として含むオーキシン生合成阻害剤であってもよい。

【0089】
農業上許容される担体としては、水、ケロセン若しくはディーゼル油のような鉱油画分、植物若しくは動物由来の油、環状若しくは芳香族炭化水素(例えばパラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン類若しくはそれらの誘導体、又はアルキル化ベンゼン類若しくはそれらの誘導体)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又はシクロヘキサノール)、ケトン(例えばシクロヘキサノン)、アミン(例えばN-メチルピロリドン)、又はこれらの混合物のような農業上許容される液体担体が好ましい。

【0090】
農業上許容される補助剤としては、例えば、固体担体、不活性補助剤、界面活性剤(例えば、分散剤、保護コロイド、乳化剤及び湿展剤)、有機若しくは無機の増粘剤、殺菌剤、不凍剤、消泡剤又は着色剤が好ましい。

【0091】
オーキシンは、植物に普遍的に存在することが知られている。また、フラビンモノオキシゲナーゼの一種であるYUCCAは、シロイヌナズナ、イネ及びペチュニアのような様々な植物に広く存在することが知られている。それ故、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤は、被子植物及び裸子植物を含む様々な植物に対して適用することができる。本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤を適用し得る植物としては、限定するものではないが、例えば、シロイヌナズナ及びアブラナのようなアブラナ科植物、イネ、トウモロコシ、コムギ及びオオムギのようなイネ科植物、ダイズのようなマメ科植物、ブドウのようなブドウ科植物、ペチュニア及びトマトのようなナス科植物、並びにモモ及びリンゴのようなバラ科植物等の望ましい植物(例えば作物植物)を挙げることができる。或いは、以下で説明するように、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤を望ましくない植物の防除に使用する場合、オーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤を適用し得る植物としては、限定するものではないが、例えば、イヌビエ及びタイヌビエのようなイネ科雑草、コナギ及びヤナギタデのような広葉雑草、タマガヤツリ及びミズガヤツリのようなカヤツリグサ科雑草等の望ましくない植物(例えば雑草)を挙げることができる。前記のような植物に本発明のオーキシン生合成阻害剤を適用することにより、植物(in vivo及び/又はex vivo)におけるオーキシン生合成を阻害することが可能となる。また、前記のような植物に本発明のYUCCA阻害剤を適用することにより、植物(in vivo及び/又はex vivo)において、該植物におけるYUCCA活性を阻害することが可能となる。さらに、前記のような植物に由来するYUCCAに本発明のYUCCA阻害剤を適用することにより、in vitroにおいて、YUCCA活性を阻害することが可能となる。

【0092】
本明細書において、「in vivo」又は「in vivoにおける処理」は、前記で挙げた植物の体内における本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤による処理を意味する。また、「ex vivo」又は「ex vivoにおける処理」は、前記で挙げた植物の部分、例えば前記植物に由来する培養細胞、カルス、組織及び/又は器官における本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤による処理を意味する。前記植物の部分は、該植物から分離することによって得てもよく、当該技術分野で通常使用される培養技術を用いて該植物又はその部分を脱分化及び/若しくは再分化させることによって得てもよい。本発明において、「本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤を植物に適用する」は、in vivoにおいて該植物に適用することだけでなく、ex vivoにおいて該植物に適用することも包含する。また、本発明において、「本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤によって植物を処理する」は、in vivoにおいて該植物を処理することだけでなく、ex vivoにおいて該植物を処理することも包含する。

【0093】
式(I)又は式(II)で表される化合物は、高いオーキシン生合成阻害活性を有する。それ故、本発明はまた、本発明のオーキシン生合成阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるオーキシンの生合成を阻害する方法に関する。本発明の方法において、オーキシン生合成阻害剤で処理する植物は、前記で挙げた望ましい植物及び/又は望ましくない植物であることが好ましい。

【0094】
本発明の方法は、所望により、本発明のオーキシン生合成阻害剤に加えて、さらなる薬剤で植物を処理することをさらに含んでもよい。さらなる薬剤としては、前記で説明した農業化学組成物のさらなる活性成分であることが好ましい。この場合、本発明のオーキシン生合成阻害剤及びさらなる薬剤で植物を処理する順序は特に限定されない。例えば、本発明のオーキシン生合成阻害剤とさらなる薬剤とを同時に(単一の若しくは別々の製剤として)用いて植物を処理してもよく、又は逐次的に用いて処理してもよい。本発明のオーキシン生合成阻害剤に加えて、さらなる薬剤で植物を処理することにより、該植物におけるオーキシンの生合成をより顕著に阻害することができる。

【0095】
本明細書において、「オーキシンの生合成阻害」及び「オーキシン生合成阻害活性」は、植物体においてオーキシンの生合成に関与する酵素反応の少なくとも1個を阻害すること、又はそのような活性を意味する。すでに説明したように、植物の内性オーキシンとして最も主要な化合物であるIAAの主要な生合成経路は、L-TrpからIPyAを経由してIAAが形成される経路である。公知のオーキシン生合成阻害剤であるL-AOPPは、L-TrpからIPyAが形成される反応を制御するトリプトファンアミノ基転移酵素(TAA)だけでなく、フェニルプロパノイドの主要な生合成酵素として知られるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)も阻害する。このため、L-AOPPは、PALの下流に位置するフェニルプロパノイド系の二次代謝産物の生合成も阻害し得る(図1)。これに対し、式(I)若しくは式(II)又は式(I’)若しくは式(II’)で表される化合物は、L-TrpからIPyAを経由してIAAが形成される主要なオーキシン生合成経路のいずれかを制御する酵素を阻害すると考えられる。例えば、式(I’)又は式(II’)で表される化合物は、前記生合成経路の主要な律速酵素と考えられているフラビンモノオキシゲナーゼの一種であるYUCCAの活性を特異的に阻害することができる。それ故、本発明の化合物により、他の二次代謝産物の産生量に実質的な影響を与えることなく、植物における内性IAA量を特異的に低下させることができる。

【0096】
なお、植物における内性IAA量は、非特許文献2を参照することにより、測定することができる。

【0097】
オーキシンは、植物の発生、成長、分化及び様々な環境応答に関与することが知られている。また、オーキシンは、植物体において、エチレン、ジベレリン、アブシジン酸、サイトカイニン及びブラシノステロイド等の他の植物ホルモンと相互に関連(クロストーク)して様々な生理作用を調節していることが知られている。それ故、本発明はまた、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤で植物を処理することを含む、該植物の成長を調節する方法に関する。本明細書において、「植物の成長を調節する」は、植物の成長に何らかの影響を与えることを意味する。ここで、植物の成長に与えられる影響とは、植物の成長に対する促進的効果及び抑制的効果のいずれも包含する。前記植物の成長を調節する作用は、例えば、望ましい植物の生育促進作用(例えば、根長の成長促進)であることが好ましい。或いは、前記植物の成長を調節する作用は、オーキシン及びエチレンのクロストークに基づく作用(例えば、落葉若しくは落果の抑制、花卉の老化抑制又は果実の成熟抑制)であることが好ましい。前記植物の成長を調節する作用は、花卉の老化抑制又は果実の成熟抑制のような、植物の鮮度保持であることがより好ましい。前記の場合において、本発明のオーキシン生合成阻害剤で処理される植物は、前記で説明した植物であることが好ましく、前記で説明した望ましい植物であることがより好ましい。本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤で前記の望ましい植物を処理することにより、該植物の生育を促進し、且つ/又は該植物の鮮度を保持することができる。

【0098】
本発明の方法は、所望により、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤に加えて、さらなる薬剤で植物を処理することをさらに含んでもよい。さらなる薬剤としては、前記で説明した農業化学組成物のさらなる活性成分であることが好ましい。この場合、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤及びさらなる薬剤で植物を処理する順序は特に限定されない。例えば、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤とさらなる薬剤とを同時に(単一の若しくは別々の製剤として)用いて植物を処理してもよく、又は逐次的に用いて処理してもよい。本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤に加えて、さらなる薬剤で植物を処理することにより、該植物の成長をより顕著に調節することができる。

【0099】
本発明のオーキシン生合成阻害剤は、望ましくない植物のオーキシン生合成を阻害することにより、該植物の生育を阻害(例えば、根伸長阻害、殺草、枯死又は発芽阻害)することができる。また、本発明のYUCCA阻害剤は、望ましくない植物のYUCCA活性を阻害することを介してオーキシン内性量を変動させることにより、該植物の生育を阻害(例えば、根伸長阻害、殺草、枯死又は発芽阻害)することができる。それ故、本発明はまた、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤で望ましくない植物を処理することを含む、該望ましくない植物の除草方法に関する。この場合、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤は、望ましくない植物を防除するために使用される。前記の場合において、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤で処理される植物は、前記で説明した望ましくない植物であることが好ましい。本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤で前記の望ましくない植物を処理することにより、該植物の生育を阻害して、該植物を防除することができる。

【0100】
本発明の方法は、所望により、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤に加えて、さらなる薬剤で望ましくない植物を処理することをさらに含んでもよい。さらなる薬剤としては、前記で説明した農業化学組成物のさらなる活性成分であることが好ましい。この場合、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤及びさらなる薬剤で望ましくない植物を処理する順序は特に限定されない。例えば、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤とさらなる薬剤とを同時に(単一の若しくは別々の製剤として)用いて望ましくない植物を処理してもよく、又は逐次的に用いて処理してもよい。本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤に加えて、さらなる薬剤で望ましくない植物を処理することにより、該植物の生育をより顕著に阻害することができる。

【0101】
本発明のYUCCA阻害剤は、植物のフラビンモノオキシゲナーゼの一種であるYUCCA活性を阻害することができる。本明細書において、「YUCCAの阻害」及び「YUCCA阻害活性」は、植物(in vivo及び/又はex vivo)において、並びに/或いはin vitroにおいて、YUCCAの活性を阻害すること、又はそのような活性を意味する。それ故、本発明は、本発明のYUCCA阻害剤で植物を処理することを含む、該植物におけるYUCCA活性を阻害する方法に関する。本発明の方法において、本発明のYUCCA阻害剤で処理される植物は、前記で説明した植物であることが好ましく、前記で説明した望ましい植物であることがより好ましい。本発明のYUCCA阻害剤で前記の望ましい植物を処理することにより、該植物において、YUCCA活性を阻害することができる。

【0102】
本発明の方法は、所望により、本発明のYUCCA阻害剤に加えて、さらなる薬剤で植物を処理することをさらに含んでもよい。さらなる薬剤としては、前記で説明した農業化学組成物のさらなる活性成分であることが好ましい。この場合、本発明のYUCCA阻害剤及びさらなる薬剤で植物を処理する順序は特に限定されない。例えば、本発明のYUCCA阻害剤とさらなる薬剤とを同時に(単一の若しくは別々の製剤として)用いて植物を処理してもよく、又は逐次的に用いて処理してもよい。本発明のYUCCA阻害剤に加えて、さらなる薬剤で植物を処理することにより、該植物において、YUCCA活性をより顕著に阻害することができる。

【0103】
なお、植物におけるYUCCA阻害活性は、非特許文献1を参照することにより、決定することができる。例えば、液体クロマトグラフィー・エレクトロスプレーイオン化・タンデム型質量分析装置(LC-ESI-MS/MS)を用いて、対象化合物の存在下で栽培又は培養した植物内における、YUCCAの基質であるIPyAの内性量を測定することにより、対象化合物の植物内におけるYUCCA阻害活性を決定することができる。

【0104】
本発明はまた、本発明のYUCCA阻害剤と植物のYUCCAとをin vitroで接触させることを含む、in vitroにおけるYUCCA活性を阻害する方法に関する。

【0105】
本発明の方法に使用されるYUCCAは、前記で挙げた望ましい植物及び/又は望ましくない植物に由来するYUCCAであることが好ましい。前記YUCCAは、前記植物から精製された天然タンパク質であってもよく、大腸菌又は酵母等を利用した組換えタンパク質発現系のような、当該技術分野で通常使用される手段によって人工的に調製された人工タンパク質であってもよい。いずれの場合も本発明の方法に包含される。

【0106】
本発明の方法において、本発明のYUCCA阻害剤と植物のYUCCAとをin vitroで接触させる工程は、例えば、YUCCAと、YUCCAの基質であるインドール-3-ピルビン酸(IPyA)と、本発明のYUCCA阻害剤とを含む酵素反応溶液を調製することにより、実施することが好ましい。前記酵素反応溶液は、所望により、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)及び還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADPH)のような1個以上の補酵素を含むことができる。前記酵素反応溶液は、pH7~pH8の範囲のpHであることが好ましい。前記酵素反応溶液は、前記pH範囲を維持するために、例えばPBSのような緩衝液成分を含むことが好ましい。前記pH範囲を維持することにより、YUCCAの酵素反応を実質的に安定して進行させることができる。

【0107】
前記酵素反応溶液を調製する方法は特に限定されない。前記酵素反応溶液は、例えば、YUCCAとIPyAとを少なくとも含む酵素水溶液に、本発明のYUCCA阻害剤を含むストック溶液を加えることにより、調製することが好ましい。前記YUCCA阻害剤を含むストック溶液の溶媒は、水若しくはジメチルスルホキシド(DMSO)又はそれらの混合物であることが好ましい。ここで、YUCCA阻害剤を含むストック溶液は、1000体積部の酵素水溶液に対して、0.01体積部~10体積部の範囲の量で加えられることが好ましい。前記の条件で酵素反応溶液を調製することにより、本発明のYUCCA阻害剤によるYUCCA阻害活性を正確に評価することができる。

【0108】
前記の条件で本発明の方法を実施することにより、in vitroにおいてYUCCA活性を阻害することができる。

【0109】
なお、in vitroにおけるYUCCA阻害活性は、例えば非特許文献1を参照し、YUCCAの酵素反応で生成したIAAの量を測定することによって、決定することができる。

【0110】
本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤で植物を処理する場合、当該技術分野で通常使用される農薬の剤形及び施用方法を用いることができる。好適な剤形としては、例えば、乳剤、水和剤、液剤、水溶剤、粉剤、粉末剤、ペースト剤及び粒剤等を挙げることができる。好適な施用方法としては、例えば、散布、散粉、噴霧、浸漬及び塗布等を挙げることができる。

【0111】
以上のように、本発明のオーキシン生合成阻害剤は、植物におけるオーキシンの生合成を特異的に阻害することができる。また、本発明のYUCCA阻害剤は、植物体におけるYUCCA活性を阻害することを介してオーキシン内性量を変動させることができる。それ故、本発明のオーキシン生合成阻害剤又はYUCCA阻害剤で植物を処理することにより、植物の成長を調節することが可能となる。
【実施例】
【0112】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0113】
<I:化合物の調製>
表1に示す実施例化合物を、以下の試験に使用した。
【表1】
JP0006120272B2_000007t.gif
JP0006120272B2_000008t.gifJP0006120272B2_000009t.gif 実施例1~30の化合物は、特級グレード又はより高純度の市販品を使用した。
【実施例】
【0114】
<II:使用例>
[II-1:内性IAA量の定量試験]
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana L., Col-0)の種子を、培養プレートに調製した固体培地(0.8%寒天で固化させた1/2 MS培地及び1.0%スクロースを含む)上に播種した。前記培養プレートを平置きで静置し、シロイヌナズナを連続白色光下、22℃で6日間栽培した。得られた幼植物体を、遠心チューブに調製した液体培地(1/2 MS培地、1.0%スクロースを含む)中で、連続白色光下、22℃で24時間振盪培養した。次いで、試験化合物(各30 μM)を前記液体培地に添加し、連続白色光下、22℃で3時間振盪培養した。その後、幼植物体を回収し、該幼植物体中の内性IAA量を定量した。内性IAA量の定量は、非特許文献2に記載の方法に従い、LC-MS/MSを用いて行った。前記試験を、2回反復して平均値を算出した。結果を図2に示す。
【実施例】
【0115】
図2に示すように、本発明の化合物は、いずれもシロイヌナズナの内性IAA量を低下させた。
【実施例】
【0116】
[II-2:シロイヌナズナの生育試験]
野生型シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana L., Col-0)の種子を、培養プレートに調製した固体培地(0.8%寒天で固化させた1/2 MS培地、1.5%スクロース及び3又は10 μM各試験化合物を含む)上に播種した。前記培養プレートを縦置きで静置し、シロイヌナズナを連続白色光下、22℃で8日間栽培した。その後、シロイヌナズナの形態を目視で観察した。対照区は、試験化合物に代えてジメチルスルホキシド(DMSO)を同量添加した。対照区のシロイヌナズナ幼植物体の形態と比較して、生育阻害が観察された化合物を表2に示す。表中、「◎」は、対照区のシロイヌナズナ幼植物体と比較して、主根の伸長が80%以上阻害された試験区を、「○」は主根の伸長が40%~80%阻害された試験区を、「△」は主根伸長の阻害が40%以下であった試験区を、それぞれ示す。また、対照区及び各試験区の形態を図3-1~3-8に示す。
【実施例】
【0117】
【表2】
JP0006120272B2_000010t.gif
【実施例】
【0118】
表2及び図3-1~3-8に示すように、本発明の化合物は、シロイヌナズナ幼植物体に対して、主根の伸長抑制のような顕著な生育阻害効果を示した。
【実施例】
【0119】
[II-3:YUCCA活性試験]
100 μM PBS緩衝液(pH7.0)中に、10 μMインドール-3-ピルビン酸(IPyA)、40 μMフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、1 mM還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADPH)、5 μg/L YUCCA(ProS2-YUC2)及び30 μM各試験化合物を含む酵素反応溶液を調製した。前記酵素反応溶液は、試験化合物以外の成分を含む酵素水溶液と、所定の濃度に調製した各試験化合物のDMSO溶液(ストック溶液)とを予めそれぞれ調製しておき、1000体積部の該酵素水溶液に、1体積部の試験化合物のストック溶液を加えることによって調製した。YUCCAは、シロイヌナズナのYUCCAをコードする遺伝子であるYUC2遺伝子を大腸菌の組換えタンパク質発現系で過剰発現させ、得られたタンパク質を精製することによって調製した。前記酵素反応溶液を、30℃で20分間インキュベートして、酵素反応を行った。その後、前記酵素反応溶液に、メタノールを終濃度100 μMとなるように加えて酵素反応を停止させた。得られた酵素反応溶液中に含まれるインドール-3-酢酸(IAA)を、蛍光検出器を接続したHPLC分析によって定量した。HPLC分析の条件は以下の通りである。結果を図4に示す。
【実施例】
【0120】
HPLC分析
装置 :HPLC ELITE LaChrom (HITACHI社製)
カラム :COSMOSIL 5C18-MS-II
(内径:4.6 mm×カラム長:150 mm;ナラライテスク社製)
移動相 :メタノール:水のグラジエント溶媒(0.1%酢酸を含む)
流速 :1.0 ml/分
温度 :22℃ (室温)
検出 :蛍光検出器(励起波長:280 nm;蛍光(放出)波長:355 nm)
【実施例】
【0121】
図4に示すように、本試験に用いた本発明の化合物は、in vitroにおいてYUCCA活性を顕著に阻害した。
【実施例】
【0122】
[II-4:本発明の化合物と従来技術の化合物とのオーキシン生合成阻害活性の比較]
前記II-2の使用例に記載のシロイヌナズナの生育試験を用いて、本発明の実施例化合物21及び25と従来技術の化合物(参考例1~3)とのオーキシン生合成阻害活性を比較した。参考例1の化合物は、特許文献2に記載のアミノオキシ基を有する化合物KOK1169を用いた。化合物KOK1169の構造を以下に示す。
【実施例】
【0123】
【化6】
JP0006120272B2_000011t.gif
【実施例】
【0124】
参考例2及び3は、以下に示す方法により調製した。
(参考例2:KOK3098の合成)
【化7】
JP0006120272B2_000012t.gif
【実施例】
【0125】
水素化ナトリウム(60%)(255 mg,6.38 mmol)に、テトラヒドロフラン(5 ml)を加え撹拌した。得られた混合物に、5-フェニルチオフェン-2-カルボアルデヒド(1.00 g,5.31 mmol)、クロロ酢酸メチル(692 mg,6.38 mmol)及びテトラヒドロフラン(10 ml)の混合液を滴下し、室温で一晩撹拌した。反応液を氷冷し、1 M硫酸で中和後、ジクロロメタンで3回抽出した。得られた抽出物のジクロロメタン溶液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。前記溶液を濾過して、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、表題化合物(茶色結晶462 mg,33%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm: 3.91 (3H, s), 6.38 (1H, d, J = 1.7 Hz), 6.81 (1H, d, J = 1.7 Hz), 7.22-7.31 (3H, m), 7.33-7.42 (2H, m), 7.60-7.66 (2H, m).
【実施例】
【0126】
(参考例3:KOK3099の合成)
【化8】
JP0006120272B2_000013t.gif
【実施例】
【0127】
文献(Organic Letters, 2003年, 第5巻, 第24号, p. 4665-4668)に記載の方法にしたがって、表題化合物を合成した。
【実施例】
【0128】
前記反応で得られたKOK3098(434 mg,1.67 mmol)及びPd0-EnCat(登録商標)(0.4 mmol/g)(208 mg)を、酢酸エチル(10 ml)に溶解させた。得られた溶液に、トリエチルアミン(0.92 ml,6.67 mmol)、蟻酸(0.25 ml,6.67 mmol)を加えた。得られた反応液を、アルゴン雰囲気下、室温で一晩撹拌後、該反応液を濾過した。得られた濾液を、減圧下で濃縮した。その後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、表題化合物(黄色結晶178 mg,41%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 270 MHz) δppm: 3.05-3.35 (3H, m), 3.76 (3H, s), 4.45 (1H, dd, J = 5.8, 4.3 Hz), 6.81 (1H, dt, J = 3.5, 0.8 Hz), 7.11 (1H, d, J = 3.5 Hz), 7.18-7.26 (1H, m), 7.28-7.37 (2H, m), 7.50-7.56 (2H, m).
【実施例】
【0129】
実施例化合物21及び25、並びに参考例1~3の化合物の、シロイヌナズナの生育試験結果を図5に示す。
【実施例】
【0130】
図5に示すように、参考例2の化合物は、30 μMで、参考例3の化合物は、10 μMで、主根伸長を阻害した。これに対し、実施例25の化合物は、3 μMで、実施例21の化合物は、1 μMで、主根伸長を顕著に阻害した。前記の結果から、本発明の化合物は、従来技術のオーキシン生合成阻害剤と比較して、より高いオーキシン生合成阻害活性を有することが示唆される。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3-1】
2
【図3-2】
3
【図3-3】
4
【図3-4】
5
【図3-5】
6
【図3-6】
7
【図3-7】
8
【図3-8】
9
【図4】
10
【図5】
11