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明細書 :形状測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5930984号 (P5930984)
公開番号 特開2014-153343 (P2014-153343A)
登録日 平成28年5月13日(2016.5.13)
発行日 平成28年6月8日(2016.6.8)
公開日 平成26年8月25日(2014.8.25)
発明の名称または考案の名称 形状測定装置
国際特許分類 G01B  11/24        (2006.01)
FI G01B 11/24 K
G01B 11/24 B
請求項の数または発明の数 6
全頁数 12
出願番号 特願2013-026271 (P2013-026271)
出願日 平成25年2月14日(2013.2.14)
審査請求日 平成27年7月30日(2015.7.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504013775
【氏名又は名称】学校法人 埼玉医科大学
発明者または考案者 【氏名】若山 俊隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100105784、【弁理士】、【氏名又は名称】橘 和之
審査官 【審査官】神谷 健一
参考文献・文献 特開2002-90117(JP,A)
特開2008-51576(JP,A)
特開2008-268122(JP,A)
国際公開第2008/072369(WO,A1)
特開2009-139176(JP,A)
米国特許出願公開第2010/0060904(US,A1)
特開2010-14656(JP,A)
特開2010-230565(JP,A)
Toshitaka WAKAYAMA, Toru YOSHIZAWA,Uni-axial inner profile measurement,Proceedings of SPIE, Dimensional Optical Metrology and Inspection for Practical Applications II,米国,SPIE,2013年 9月 6日,Vol. 8839,pp. 88390L-1 - 88390L-6,doi:10.1117/12.2023473
調査した分野 G01B 11/00-11/30
G01C 3/00- 3/32
特許請求の範囲 【請求項1】
光を放射する光源と、
上記光源からの光をリング状に反射させて被検物に照射させる円錐ミラーと、
上記被検物からの反射光を受光素子アレイからなる受光面において受光して光電変換する光検出器と、
所定の可変パラメータの値を変えることにより、上記被検物に照射させる光の焦点位置を可変制御する焦点可変手段と、
上記光検出器による光電変換により生成された画像を解析することによって上記被検物の形状を測定する画像解析手段とを備え、
上記画像解析手段は、上記光検出器にて撮像された画像の中心位置から放射状に伸びる複数の直線状領域毎に、上記焦点可変手段により変更した上記可変パラメータの各値に対して所定値以上の光強度が得られた画素の分布を示す光強度分布を求め、当該光強度分布に基づいて、上記所定値以上の光強度が得られた光検出領域について上記画像の中心位置から上記光検出領域の端部までの画素数が最も大きくなるときの上記可変パラメータの値をピーク時パラメータとして取得するパラメータ取得部と、
上記可変パラメータに対する焦点距離の関係を示した関数と、上記パラメータ取得部により取得された上記ピーク時パラメータの値とに基づいて、上記円錐ミラーの中心から上記被検物上の合焦点までの距離を上記複数の直線状領域毎に取得する距離取得部とを備えたことを特徴とする形状測定装置。
【請求項2】
上記画像解析手段は、上記複数の直線状領域のうち、上記光強度分布において上記画素数のピークを検出することができない直線状領域について、光強度が最も大きくなるときの上記可変パラメータの値をピーク時パラメータとして取得する第2のパラメータ取得部を更に備え、
上記距離取得部は、上記光強度分布において上記画素数のピークを検出することができない直線状領域については、上記パラメータ取得部に代えて上記第2のパラメータ取得部により取得された上記ピーク時パラメータの値を用いて、上記円錐ミラーの中心から上記被検物上の合焦点までの距離を取得することを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
上記可変パラメータは電流であり、上記焦点可変手段は、上記電流の値を変えることにより、上記被検物に照射させる光の焦点位置を可変制御する可変焦点レンズを備えて構成されることを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項4】
上記可変パラメータは上記光の波長であり、上記焦点可変手段は、上記波長の値を変えることにより、上記被検物に照射させる光の焦点位置を可変制御することを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項5】
上記可変パラメータは上記光の位相であり、上記焦点可変手段は、上記位相の値を変えることにより、上記被検物に照射させる光の焦点位置を可変制御することを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項6】
上記光源は、超短パルスレーザであることを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は形状測定装置に関し、特に、プローブ式の形状測定装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車、航空宇宙、重工業、エネルギー、土木建築などの各産業分野から医療分野に至るまで、製品や人体(例えば、骨)の寸法測定から傷検査、位置決めなどに関して、3次元形状測定装置は幅広い応用が期待されている。このように、3次元形状測定装置の必要性は幅広い分野に浸透する一方で、測定に対する要求はさらに高まっている。近年では、測定精度や価格といった点にも議論が及んでいる。
【0003】
従来、円筒状物体の3次元形状を測定することが可能なプローブ式の3次元形状測定装置が提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。特許文献1,2はプローブ式の3次元形状測定装置について開示したものである。具体的には、下向き(Z軸方向)に照射されたレーザ光をプリズムにより横向き(X軸方向)へ反射させて物体に照射し、物体での反射光をフォトセンサに結像させることにより、コリメータレンズのフォーカス位置から円筒部材の中心孔の内面形状を測定できるようにしている。
【0004】
また、特許文献1,2では、円筒部材を所定の回転中心を中心に水平方向でθ方向へ相対的に回転させることにより、円筒部材の内面形状を円周方向に沿って測定することが可能となる。さらに、Z軸方向での位置を変化させて円周方向の測定を繰り返すことにより、内面の3次元形状の測定も可能となる。なお、特許文献1では、Z軸で移動するコリメータレンズによりオートフォーカスするため、プローブを細い径のまま長く形成することが可能である。
【0005】
また、特許文献3に記載の形状測定装置は、対物レンズの合焦位置にある円筒状被検物から反射して戻ってくる光量を測定する2次元検出器と、円筒状被検物を軸周りに駆動回転させる回転駆動機構と、円筒状被検物の回転と共に2次元検出器で逐次得られる共焦点画像の画素と画素ごとの信号が得られた時刻とを選択し、円筒状被検物の形状を測定する形状演算手段とを備えている。ここで、形状演算手段は、各時刻において2次元検出器上に結像される円筒状被検物の領域について、連続する3点の画素のうちどの画素で受光強度がピークとなるかを検出することにより、円筒状被検物の形状を測定している。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2010-14656号公報
【特許文献2】特開2008-268122号公報
【特許文献3】特開2008-51576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1~3に記載の技術は何れも、1回の測定で円筒状物体上の1点の位置しか測定できない。そのため、円筒状物体の形状を円周方向に沿って測定するためには、円筒状物体を回転させて測定を繰り返し行わなければならなかった。そのため、測定に時間がかかるという問題があった。また、円筒状物体を回転させるための回転機構を設ける必要があるため、装置の小型化が困難であるばかりでなく、製造コストもかかるという問題もあった。
【0008】
また、特許文献1,2では、フォトセンサの結像点における出力バランスのずれを是正するようにコリメータレンズのオートフォーカス動作を行い、そのフォーカス位置から物体の形状を測定している。また、特許文献3では、2次元検出器上の結像領域において連続する3画素の中から受光強度のピークを示す位置を検出することによって物体の形状を測定している。何れの場合も受光強度のピークを検出する方式のため、形状の測定分解能(測定精度)を高めるためには、光検出器の受光感度(階調数)を上げる必要がある。例えばナノメータオーダの高精度な測定分解能を得ようとする場合、それに必要となる大きな階調数を持った光検出器として極めて高価なものが必要となり、製造コストが増大するという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、製造コストの低減、装置の小型化および高精度な測定分解能を実現可能な形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明では、所定の可変パラメータの値を変えることによって被検物に照射させるレーザ光の焦点位置を可変制御しながら、光源からのレーザ光を円錐ミラーによってリング状に反射させて被検物に照射させる。そして、被検物での反射光を光検出器の受光面に結像させ、それによって得られる画像を解析して被検物の形状を測定する。画像解析処理は、具体的には以下のようにして行う。
【0011】
すなわち、光検出器にて撮像された画像の中心位置から放射状に伸びる複数の直線状領域毎に、可変パラメータの各値に対して所定値以上の光強度が得られた画素の分布を示す光強度分布を求め、当該光強度分布に基づいて、所定値以上の光強度が得られた光検出領域について画像の中心位置から当該光検出領域の端部までの画素数が最も大きくなるときの可変パラメータの値をピーク時パラメータとして取得する。そして、当該取得したピーク時パラメータの値と、可変パラメータに対する焦点距離の関係を示した関数とに基づいて、円錐ミラーの中心から被検物上の合焦点までの距離を複数の直線状領域毎に取得する。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明によれば、円錐ミラーによってリング状に反射されたレーザ光が円錐ミラーの周囲にある被検物に照射され、被検物での反射光が光検出器に結像して画像が生成される。そして、当該画像の中心位置から放射状に伸びる複数の直線状領域毎に画像解析が行われ、円錐ミラーの中心から複数の直線状領域方向に対する合焦点までの距離が一度に取得される。これにより、1回の測定でリング状に照らされた被検物上の複数点の位置を測定することができるので、測定時間を大幅に短縮することができる。また、被検物を回転させなくても被検物上の複数点の位置を測定することができるので、被検物を回転させるための回転機構が不要となり、装置の小型化および製造コストの削減を実現することができる。
【0013】
また、本発明によれば、光検出器にて受光するレーザ光の受光強度がピークとなる画素位置を検出する方式ではなく、光検出器の結像面の画素空間における光強度分布に基づいて、所定値以上の光強度が得られた光検出領域における画像中心位置からの画素数が最も大きくなるときの可変パラメータが検出されて、円錐ミラーから被検物までの距離に換算される。そのため、測定分解能は、光検出器の受光感度(階調数)ではなく画素密度に依存することになる。これにより、大きな階調数を持った高価な光検出器を用いることなく、ナノメータオーダの高精度な測定分解能を得ることができる。
【0014】
以上により、本発明によれば、製造コストの低減、装置の小型化および高精度な測定分解能を実現可能な形状測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態による形状測定装置の構成例を示す図である。
【図2】本実施形態の画像解析装置が備える機能構成例を示すブロック図である。
【図3】焦点可変レンズに供給する電流値を変えることによりレーザ光の焦点位置が変わる様子を示す図である。
【図4】円筒状被検物の中に本実施形態の形状測定装置を挿入して内面形状を測定する状態を示す図である。
【図5】本実施形態による第1のパラメータ取得部の処理内容を説明するための図である。
【図6】画素数のピークを取ることができない場合の光強度分布を示す図である。
【図7】本実施形態による第2のパラメータ取得部の処理内容を説明するための図である。
【図8】焦点可変レンズの電流値と焦点距離との相関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による形状測定装置の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の形状測定装置は、光源1、コリメータレンズ2、ビームスプリッタ3、焦点可変レンズ4、円錐ミラー5、結像レンズ6、ピンホール7、光検出器8、鏡筒9および画像解析装置10を備えて構成されている。

【0017】
図2は、画像解析装置10が備える機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、画像解析装置10は、その機能構成として、第1のパラメータ取得部11、第2のパラメータ取得部12および距離取得部13を備えている。

【0018】
まず、図1を用いて形状測定装置の全体構成を説明する。光源1は、本実施形態ではレーザ光を放射するレーザ光源であり、例えば、He-Neレーザを用いる。コリメータレンズ2は、光源1から放射状に照射されたレーザ光を平行光にコリメートする。ビームスプリッタ3は、コリメータレンズ2により平行光に変換されたレーザ光を90度の角度をもって反射させるとともに、被検物からの反射光を通過させる。

【0019】
焦点可変レンズ4は、本発明の焦点可変手段に相当するものであり、供給する可変パラメータ(電流)の値を変えることにより、被検物に照射させるレーザ光の焦点位置を可変制御する。供給する電流の制御は、例えば、CPU、RAM、ROMなどを備えて構成されたマイクロコンピュータ(図示せず)により行う。図3は、焦点可変レンズ4に供給する電流値を変えることにより、レーザ光の焦点位置(円錐ミラー5の中心位置からの距離R)が変わる様子を示している。

【0020】
円錐ミラー5は、光源1から照射されコリメータレンズ2、ビームスプリッタ3および焦点可変レンズ4を介して入射されるレーザ光をリング状に反射させ、円錐ミラー5の周囲にある被検物に照射させる。例えば、図4に示すように、被検物として円筒状被検物100を用い、その円筒状被検物100の中に本実施形態の形状測定装置を挿入して円筒状被検物100の内面形状を測定する場合、円錐ミラー5で反射したレーザ光により、円筒状被検物100の内面がリング状に照らされる。

【0021】
結像レンズ6は、被検物で反射され円錐ミラー5、焦点可変レンズ4、ビームスプリッタ3を介して入射される反射光を光検出器8に結像させるためのレンズである。ピンホール7は、被検物からの反射光が結像レンズ6を通過して結像する位置に配置された微小孔である。光検出器8は、ピンホール7を通過した被検物からの反射光を受光素子アレイからなる受光面において受光して電気信号に光電変換するものであり、例えばCCDセンサにより構成される。この光検出器8により、被検物での反射光が共焦点画像として撮像される。

【0022】
鏡筒9は、上述したコリメータレンズ2、ビームスプリッタ3、焦点可変レンズ4、円錐ミラー5、結像レンズ6、ピンホール7および光検出器8を収容する円筒状の筒である。この鏡筒9は、被検物で反射した散乱光が鏡筒9内に入射してこないように、透光性を有しない材質のもので構成するのが好ましい。ただし、円錐ミラー5でリング状に反射したレーザ光を被検物に向けて鏡筒9外へ出射し、被検物での反射光を鏡筒9内に入射できるように、円錐ミラー5の周囲の部分9aだけは、透光性を有するガラス等の材質で構成する。

【0023】
画像解析装置10は、本発明の画像解析手段に相当するものであり、光検出器8による光電変換により生成された画像(被検物の撮像画像)を解析することにより、被検物の形状を測定する。なお、画像解析装置10は、例えばマイクロコンピュータ(図示せず)により構成される。このマイクロコンピュータは、焦点可変レンズ4に供給する電流の制御を行うマイクロコンピュータと同じものであってもよい。

【0024】
本実施形態では、画像解析装置10は、円錐ミラー5の中心位置から被検物までの距離を測定する。被検物が円筒状被検物100の場合、画像解析装置10は、円錐ミラー5から放射状に伸びる複数の方向毎に、円錐ミラー5の中心位置から被検物までの距離を測定する。これにより、円筒状被検物100の内面形状を円周方向に沿って測定することが可能となる。さらに、円筒状被検物100の深さ方向に対する形状測定装置の位置を変化させて円周方向の測定を繰り返すことにより、内面の3次元形状の測定も可能となる。

【0025】
以上のような構成において、光源1からの照射光は、コリメータレンズ2により平行光となって射出される。ビームスプリッタ3で反射した照射光は、焦点可変レンズ4を介して円錐ミラー5に入射し、リング状に反射して被検物に照射される。被検物からの反射光は、再び円錐ミラー5で反射した後、焦点可変レンズ4およびビームスプリッタ3を介して結像レンズ6に入射し、さらにピンホール7を通過して光検出器8に到達する。この構成により、光検出器8上には被検物の撮像画像が得られ、この撮像画像が画像解析装置10に出力される。

【0026】
被検物の形状を測定するときは、焦点可変レンズ4に供給する電流を可変制御することによって、円錐ミラー5でリング状に反射されるレーザ光の焦点位置を可変させる。そして、各電流値に設定したときの被検物での反射光をそれぞれ光検出器8により撮像する。これにより、光検出器8から複数枚(可変制御した電流値の数)の撮像画像が画像解析装置10に出力される。画像解析装置10は、この複数枚の撮像画像を解析することにより、被検物の形状を測定する。

【0027】
次に、図2を用いて画像解析装置10の機能構成を説明する。第1のパラメータ取得部11は、本発明のパラメータ取得部に相当するものであり、光検出器8にて撮像された画像の中心位置から放射状に伸びる複数の直線状領域毎に、焦点可変レンズ4に可変制御しながら供給した電流の各値に対して所定値以上の光強度が得られた画素の分布を示す光強度分布を求める。そして、当該光強度分布に基づいて、所定値以上の光強度が得られた領域について画像の中心位置から領域端部までの画素数が最も大きくなるときの電流値をピーク時電流(本発明のピーク時パラメータに相当)として取得する。

【0028】
図5は、第1のパラメータ取得部11の処理内容を説明するための図である。図5(a)~(c)は、焦点可変レンズ4に供給する電流を可変とし、光検出器8により撮像した30枚の画像のうち代表的な3枚の画像を示す図である。なお、この画像は、円錐ミラー5の真横に紙面を配置したときの撮像画像である。図5(a)~(c)において、点線で描いた円51は、円錐ミラー5の領域を示している。また、網掛けをした領域52~54は、所定値以上の光強度が得られた画素の領域(以下、光検出領域という)を示している。

【0029】
図5(a)~(c)に示すように、光検出領域52~54は、焦点可変レンズ4に供給する電流の値によって変化する。すなわち、焦点可変レンズ4に供給する電流の値を可変制御して焦点位置を変えたときに、被検物の表面の位置にレーザ光が焦点を結んでいれば、光検出器8により検出される光強度は大きくなる。一方、レーザ光の焦点位置が被検物の表面の位置以外にあれば、光検出器8により検出される光強度は小さくなる。そのため、焦点可変レンズ4に供給する電流の値を変えると、所定値以上の光強度が得られる光検出領域52~54の大きさが図5(a)~(c)のように変化する。

【0030】
図5(d)は、撮像画像の中心位置から放射状に伸びる複数の直線状領域のうち、矢印Aで示す方向の直線状領域における光強度分布を示している。図5(d)において、横軸は、焦点可変レンズ4に供給する可変電流値である。また、縦軸は、所定値以上の光強度が得られた光検出領域52~54において、画像の中心位置から矢印Aの方向を見た場合の光検出領域52~54の端部までの画素の数を示している。なお、縦軸の最大値は、図5(a)~(c)に示した円51の半径に相当する画素数となっている。

【0031】
図5(d)に示すように、光強度分布はガウス分布に近い形状となる。上述のように、焦点可変レンズ4の電流値を変えて可変制御したレーザ光の焦点位置が被検物の表面位置と合致している場合に、被検物での反射光の光強度が最も強くなる。そのため、被検物の表面に焦点が合っているときの電流値において、ガウス分布は山の頂点部分を有することになる。第1のパラメータ取得部11は、ガウス分布において山の頂点部分となる(すなわち、画素数がピークとなる)ときの電流値をピーク時電流として取得する。

【0032】
なお、図5(a)~(c)に示すように、電流値の大きさによらず、円51の中心付近に光検出領域52~54が常に存在している。これは、被検物ではなく円錐ミラー5の頂部で反射した光が光検出器8に結像するからである。これはいわゆるノイズに相当する。ただし、このノイズがあっても、ガウス分布の山の頂点部分は検出可能であるから、ノイズの存在は問題とならない。

【0033】
図5では、矢印Aの方向に対する直線状領域における光強度分布からピーク時電流を取得する状態を説明したが、実際には、撮像画像の中心位置から放射状に伸びる複数の直線状領域毎に、光強度分布からピーク時電流を取得する。すなわち、所定の中心角θの間隔毎に設定した複数の直線状領域毎にピーク時電流を取得する。例えば、θ=1度とすれば、第1のパラメータ取得部11は、360個の光強度分布を生成して、それぞれの光強度分布から360個のピーク時電流を取得することになる。

【0034】
第2のパラメータ取得部12は、上述した複数の直線状領域のうち、光強度分布において画素数のピークを検出することができない直線状領域について、光強度が最も大きくなるときの電流値をピーク時電流として取得する。画素数のピークを検出することができない場合とは、図6に示すように、ガウス分布の山の頂点部分を光強度分布から取ることができない場合をいう。

【0035】
この場合、光源1から照射するレーザ光の強度を下げることによってガウス分布の軌跡を図6の下側にシフトさせ、山の頂点部分が光強度分布に現れるようにすることも可能ではある。しかしながら、本実施形態では、レーザ光の強度を下げるのではなく、第2のパラメータ取得部12を動作させる。すなわち、第2のパラメータ取得部12は、図7に示すように、可変制御した電流の各値ごとに、光検出器8が受光した被検物での反射光について光強度を求める。そして、その光強度が最も大きくなるときの電流値をピーク時電流として取得する。

【0036】
距離取得部13は、電流に対する焦点距離の関係を示した関数と、第1のパラメータ取得部11または第2のパラメータ取得部12により取得されたピーク時電流の値とに基づいて、円錐ミラー5の中心から被検物上の合焦点(共焦点)までの距離を複数の直線状領域毎に取得する。

【0037】
上述したように、焦点可変レンズ4に供給する電流の値を変えることによってレーザ光の焦点位置は変わり、電流値と焦点距離との間には一定の相関がある。図8は、電流値と焦点距離との相関を示す図である。この図8に示す相関は、次の式1により表すことができる。
R=-α*ln(I)+β・・・(式1)
ここで、Rは焦点距離、Iは電流値、α,βは係数である。係数α,βは焦点可変レンズ4や円錐ミラー5の仕様等により一意に定まる値であり、例えば事前の測定により求めることができる。

【0038】
距離取得部13は、第1のパラメータ取得部11によりピーク時電流が取得できている直線状領域については、当該第1のパラメータ取得部11により取得されたピーク時電流の値を(式1)の関数に代入することにより、円錐ミラー5の中心から被検物上の合焦点までの距離Rを取得する。一方、光強度分布において画素数のピークを検出することができない直線状領域については、距離取得部13は、第2のパラメータ取得部12により取得されたピーク時電流の値を(式1)の関数に代入することにより、円錐ミラー5の中心から被検物上の合焦点までの距離Rを取得する。

【0039】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、焦点可変レンズ4に供給する電流の値を変えることによって被検物に照射させるレーザ光の焦点位置を可変制御しながら、光源1からのレーザ光を円錐ミラー5によってリング状に反射させて被検物に照射させる。そして、被検物での反射光を光検出器7の受光面に結像させ、それによって得られる画像を解析して被検物の形状を測定するようにしている。

【0040】
具体的には、光検出器7にて撮像された画像の中心位置から放射状に伸びる複数の直線状領域毎に光強度分布を求め、所定値以上の光強度が得られた光検出領域における画像中心から領域端部までの画素数が最も大きくなるときの電流値をピーク時電流として取得する。そして、当該取得したピーク時電流の値と、電流に対する焦点距離の関係を示した関数の(式1)とに基づいて、円錐ミラー5の中心から被検物上の合焦点までの距離を複数の直線状領域毎に取得するようにしている。

【0041】
このように構成した本実施形態によれば、円錐ミラー5の中心から複数の直線状領域方向に対する合焦点までの距離を1回の測定で一度に取得することができる。すなわち、1回の測定でリング状に照らされた被検物上の複数点の位置を測定することができる。これにより、測定時間を大幅に短縮することができる。また、被検物を回転させなくても被検物上の複数点の位置を測定することができるので、被検物を回転させるための回転機構が不要となり、装置の小型化および製造コストの削減を実現することができる。

【0042】
また、本実施形態によれば、光検出器7の結像面の画素空間において所定値以上の光強度が得られた画素領域を示す光強度分布に基づいて、円錐ミラー5から被検物までの距離が求められる。そのため、測定分解能は、光検出器7の受光感度(階調数)ではなく画素密度に依存することになる。これにより、大きな階調数を持った高価な光検出器を用いることなく、ナノメータオーダの高精度な測定分解能を得ることができる。

【0043】
以上により、本実施形態によれば、製造コストの低減、装置の小型化および高精度な測定分解能を実現可能な形状測定装置を提供することができる。

【0044】
なお、上記実施形態では、焦点可変手段の一例として焦点可変レンズ4を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、焦点可変手段は、可変パラメータとして波長の値を変えることにより、被検物に照射させる光の焦点位置を可変制御する波長可変レーザを備えて構成するようにしてもよい。この場合、距離取得部13は、上述した(式1)の代わりに、以下に示す(式2)を用いて焦点距離Rを算出する。
R=-α’*ln(λ)+β’・・・(式2)
ここで、Rは焦点距離、λはレーザ光の波長、α’,β’は係数である。

【0045】
あるいは、焦点可変手段は、可変パラメータとして位相の値を変えることにより、被検物に照射させる光の焦点位置を可変制御する位相可変レーザを備えて構成するようにしてもよい。この場合、距離取得部13は、上述した(式1)の代わりに、以下に示す(式3)を用いて焦点距離Rを算出する。
R=-α”*ln(φ)+β”・・・(式3)
ここで、Rは焦点距離、φはレーザ光の波長、α”,β”は係数である。

【0046】
また、上記実施形態では、光源1としてHe-Neレーザを用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、超短パルスレーザを光源1として用いるようにしてもよい。超短パルスレーザを用いると、2光子吸収という現象が起きやすくなり、被検物に照射するレーザ光の光強度を強くすることができる。また、ハロゲンランプ、LEDなどレーザ以外の光源を用いてもよい。

【0047】
また、上記実施形態では、第1のパラメータ取得部11により求めた光強度分布において画素数のピークを検出することができない直線状領域については、第2のパラメータ取得部12により、光強度が最も大きくなるときの電流値をピーク時電流として取得する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図6のように部分的に取得できているガウス分布の形状から、当該ガウス分布の山の頂点部分を演算により推定するようにしてもよい。

【0048】
また、上記実施形態において、光源1およびコリメータレンズ2の位置と、結像レンズ6、ピンホール7および光検出器8の位置とを逆に構成してもよい。

【0049】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 光源
4 焦点可変レンズ(焦点可変手段)
5 円錐ミラー
8 光検出器
10 画像解析装置(画像解析手段)
11 第1のパラメータ取得部
12 第2のパラメータ取得部
13 距離取得部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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