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明細書 :マイクロ流路装置及びこれに関する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-176316 (P2014-176316A)
公開日 平成26年9月25日(2014.9.25)
発明の名称または考案の名称 マイクロ流路装置及びこれに関する方法
国際特許分類 C12M   1/00        (2006.01)
C12M   3/00        (2006.01)
FI C12M 1/00 A
C12M 3/00 A
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 22
出願番号 特願2013-050756 (P2013-050756)
出願日 平成25年3月13日(2013.3.13)
発明者または考案者 【氏名】福田 淳二
【氏名】鈴木 博章
【氏名】山岸 安奈
【氏名】榎本 詢子
【氏名】横川 雅俊
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000154、【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4B029
Fターム 4B029AA08
4B029AA27
4B029BB11
4B029CC02
要約 【課題】微量液体の効果的な操作を実現するマイクロ流路装置及びこれに関する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るマイクロ流路装置1は、上流液体プラグ及び気体を流すための上流流路部(10)と、下流液体プラグ及び気体を流すための下流流路部(20)と、前記上流流路部の下流端部と前記下流流路部の上流端部との間に設けられ主液体プラグを保持するための液体保持部(30)と、前記上流流路部の前記下流端部から前記下流流路部の前記上流端部まで前記液体保持部を迂回するように設けられ、前記液体保持部が前記主液体プラグを保持した状態で気体を流すための気体バイパス流路部(40)と、を備えている。
【選択図】図2A
特許請求の範囲 【請求項1】
下記(a)~(g)を含むことを特徴とする方法:
(a)上流流路部と、下流流路部と、前記上流流路部の下流端部と前記下流流路部の上流端部との間に設けられた液体保持部と、前記上流流路部の前記下流端部から前記下流流路部の前記上流端部まで前記液体保持部を迂回するように設けられた気体バイパス流路部と、を備えたマイクロ流路装置を用意すること;、
(b)前記気体バイパス流路部に気体を満たすとともに、前記液体保持部に主液体プラグを保持すること;、
(c)前記上流流路部に第一の上流液体プラグ及び第二の上流液体プラグを前記液体保持部に向けて順次流すこと;、
(d)前記第一の上流液体プラグを前記液体保持部に流入させることにより、前記第一の上流液体プラグを前記主液体プラグと融合させるとともに、融合後の前記主液体プラグの一部を前記下流流路部に押し出すこと;、
(e)前記第一の上流流体プラグに続く気体を前記気体バイパス流路部に流入させて前記気体バイパス流路部内の気体の一部を前記下流流路部の前記上流端部に押し出すことにより、前記主液体プラグの前記(d)で押し出された前記一部を切断して第一の下流液体プラグを形成すること;、
(f)前記第二の上流液体プラグを前記液体保持部に流入させることにより、前記第二の上流液体プラグを前記主液体プラグと融合させるとともに、融合後の前記主液体プラグの一部を前記下流流路部に押し出すこと;、
(g)前記第二の上流液体プラグに続く気体を前記気体バイパス流路部に流入させて前記気体バイパス流路部内の気体の一部を前記下流流路部の前記上流端部に押し出すことにより、前記主液体プラグの前記(f)で押し出された前記一部を切断して第二の下流液体プラグを形成すること。
【請求項2】
下記(h)をさらに含むことを特徴とする方法:
(h)前記第一の下流液体プラグ及び前記第二の下流液体プラグを回収すること。
【請求項3】
前記(e)において前記第一の下流液体プラグを形成してから1秒未満の時間内に、前記(g)において前記第二の下流液体プラグを形成するように、前記(c)において前記第一の上流液体プラグ及び前記第二の上流液体プラグを流す
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記(d)において前記第一の上流液体プラグを前記主液体プラグと融合させてから1秒未満の時間内に、前記(f)において前記第二の上流液体プラグを前記主液体プラグと融合させるように、前記(c)において前記第一の上流液体プラグ及び前記第二の上流液体プラグを流す
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第一の上流液体プラグ、前記第二の上流液体プラグ、前記第一の下流液体プラグ及び前記第二の下流液体プラグのそれぞれの体積は、1μL未満である
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記(b)において前記液体保持部に保持される前記主液体プラグは、第一の因子を含み、
前記(c)において前記上流流路部に流す前記第一の上流液体プラグ及び前記第二の上流液体プラグの一方又は両方は、前記第一の因子に作用する第二の因子を含む
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第一の因子は、細胞体であり、
前記第二の因子は、前記細胞体に作用する物質である
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上流液体プラグ及び気体を流すための上流流路部と、
下流液体プラグ及び気体を流すための下流流路部と、
前記上流流路部の下流端部と前記下流流路部の上流端部との間に設けられ主液体プラグを保持するための液体保持部と、
前記上流流路部の前記下流端部から前記下流流路部の前記上流端部まで前記液体保持部を迂回するように設けられ、前記液体保持部が前記主液体プラグを保持した状態で気体を流すための気体バイパス流路部と、
を備えた
ことを特徴とするマイクロ流路装置。
【請求項9】
前記上流流路部、前記液体保持部及び前記気体バイパス流路部は、前記主液体プラグを保持する前記液体保持部に向けて前記上流流路部を流れる前記上流液体プラグが前記気体バイパス流路部に流入することなく前記液体保持部に流入し、前記主液体プラグを保持する前記液体保持部に向けて前記上流流路部を流れる前記気体が前記液体保持部に流入することなく前記気体バイパス流路部に流入するように設けられている
ことを特徴とする請求項8に記載のマイクロ流路装置。
【請求項10】
前記上流流路部、前記液体保持部及び前記気体バイパス流路部は、前記気体バイパス流路部に前記気体が満たされ、前記液体保持部に前記主液体プラグが保持された状態において、前記上流液体プラグが前記上流流路部から前記液体保持部に流入する場合の自由エネルギー変化よりも、前記上流液体プラグが前記上流流路部から前記気体バイパス流路部に流入する場合の自由エネルギー変化が大きくなるように設けられている
ことを特徴とする請求項8又は9に記載のマイクロ流路装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ流路装置及びこれに関する方法に関し、特に、マイクロ流路装置における微量液体の効果的な操作に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1には、内部に細胞が固着され且つ培養液が灌流される流路構造を有する細胞培養チャンバーが少なくとも2つ積層された細胞培養装置が記載されている。また、非特許文献1及び非特許文献2には、マイクロ流路装置の流路に液体プラグを流す技術が記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2004-147555号公報
【0004】

【非特許文献1】Fumihiro Sassa et al., Anal. Chem. 2008, 80,6206-6213
【非特許文献2】Fumihiro Sassa et al., Anal. Chem. 2010, 82,8725-8732
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、従来のマイクロ流路装置において、細胞培養チャンバーに保持される培養液の体積を一定に維持しつつ、細胞体(動物細胞、微生物等)に対する刺激物質を当該チャンバーに添加することにより、当該培養液中の細胞培養環境を経時的に変化させる(例えば、当該培養液中の当該刺激物質の濃度を段階的に増加させる)ことは困難であった。
【0006】
また、例えば、従来のマイクロ流路装置において、細胞培養チャンバー内の微量な培養液中で培養されている細胞体に刺激物質を接触させる場合、当該刺激物質に対する当該細胞体の応答を評価するために、微量な当該培養液の一部を短い時間間隔で複数回効率よくサンプリングすることは困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、微量液体の効果的な操作を実現するマイクロ流路装置及びこれに関する方法を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係る方法は、下記(a)~(g)を含むことを特徴とする:(a)上流流路部と、下流流路部と、前記上流流路部の下流端部と前記下流流路部の上流端部との間に設けられた液体保持部と、前記上流流路部の前記下流端部から前記下流流路部の前記上流端部まで前記液体保持部を迂回するように設けられた気体バイパス流路部と、を備えたマイクロ流路装置を用意すること;、(b)前記気体バイパス流路部に気体を満たすとともに、前記液体保持部に主液体プラグを保持すること;、(c)前記上流流路部に第一の上流液体プラグ及び第二の上流液体プラグを前記液体保持部に向けて順次流すこと;、(d)前記第一の上流液体プラグを前記液体保持部に流入させることにより、前記第一の上流液体プラグを前記主液体プラグと融合させるとともに、融合後の前記主液体プラグの一部を前記下流流路部に押し出すこと;、(e)前記第一の上流流体プラグに続く気体を前記気体バイパス流路部に流入させて前記気体バイパス流路部内の気体の一部を前記下流流路部の前記上流端部に押し出すことにより、前記主液体プラグの前記(d)で押し出された前記一部を切断して第一の下流液体プラグを形成すること;、(f)前記第二の上流液体プラグを前記液体保持部に流入させることにより、前記第二の上流液体プラグを前記主液体プラグと融合させるとともに、融合後の前記主液体プラグの一部を前記下流流路部に押し出すこと;、(g)前記第二の上流液体プラグに続く気体を前記気体バイパス流路部に流入させて前記気体バイパス流路部内の気体の一部を前記下流流路部の前記上流端部に押し出すことにより、前記主液体プラグの前記(f)で押し出された前記一部を切断して第二の下流液体プラグを形成すること。本発明によれば、マイクロ流路装置において微量液体の効果的な操作を実現する方法を提供することができる。
【0009】
また、前記方法は、下記(h)をさらに含むこととしてもよい:(h)前記第一の下流液体プラグ及び前記第二の下流液体プラグを回収すること。また、前記(e)において前記第一の下流液体プラグを形成してから1秒未満の時間内に、前記(g)において前記第二の下流液体プラグを形成するように、前記(c)において前記第一の上流液体プラグ及び前記第二の上流液体プラグを流すこととしてもよい。また、前記(d)において前記第一の上流液体プラグを前記主液体プラグと融合させてから1秒未満の時間内に、前記(f)において前記第二の上流液体プラグを前記主液体プラグと融合させるように、前記(c)において前記第一の上流液体プラグ及び前記第二の上流液体プラグを流すこととしてもよい。また、前記第一の上流液体プラグ、前記第二の上流液体プラグ、前記第一の下流液体プラグ及び前記第二の下流液体プラグのそれぞれの体積は、1μL未満であることとしてもよい。
【0010】
また、前記(b)において前記液体保持部に保持される前記主液体プラグは、第一の因子を含み、前記(c)において前記上流流路部に流す前記第一の上流液体プラグ及び前記第二の上流液体プラグの一方又は両方は、前記第一の因子に作用する第二の因子を含むこととしてもよい。この場合、前記第一の因子は、細胞体であり、前記第二の因子は、前記細胞体に作用する物質であることとしてもよい。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態に係るマイクロ流路装置は、上流液体プラグ及び気体を流すための上流流路部と、下流液体プラグ及び気体を流すための下流流路部と、前記上流流路部の下流端部と前記下流流路部の上流端部との間に設けられ主液体プラグを保持するための液体保持部と、前記上流流路部の前記下流端部から前記下流流路部の前記上流端部まで前記液体保持部を迂回するように設けられ、前記液体保持部が前記主液体プラグを保持した状態で気体を流すための気体バイパス流路部と、を備えたことを特徴とする。本発明によれば、微量液体の効果的な操作を実現するマイクロ流路装置を提供することができる。
【0012】
また、前記マイクロ流路装置において、前記上流流路部、前記液体保持部及び前記気体バイパス流路部は、前記主液体プラグを保持する前記液体保持部に向けて前記上流流路部を流れる前記上流液体プラグが前記気体バイパス流路部に流入することなく前記液体保持部に流入し、前記主液体プラグを保持する前記液体保持部に向けて前記上流流路部を流れる前記気体が前記液体保持部に流入することなく前記気体バイパス流路部に流入するように設けられていることとしてもよい。
【0013】
また、前記マイクロ流路装置において、前記上流流路部、前記液体保持部及び前記気体バイパス流路部は、前記気体バイパス流路部に前記気体が満たされ、前記液体保持部に前記主液体プラグが保持された状態において、前記上流液体プラグが前記上流流路部から前記液体保持部に流入する場合の自由エネルギー変化よりも、前記上流液体プラグが前記上流流路部から前記気体バイパス流路部に流入する場合の自由エネルギー変化が大きくなるように設けられていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、微量液体の効果的な操作を実現するマイクロ流路装置及びこれに関する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るマイクロ流路装置の一例を示す説明図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係る方法の一例に含まれる操作の一部を示す説明図である。
【図2B】本発明の一実施形態に係る方法の一例に含まれる操作の他の一部を示す説明図である。
【図3A】本発明の一実施形態に係る方法の他の例に含まれる操作の一部を示す説明図である。
【図3B】本発明の一実施形態に係る方法の他の例に含まれる操作の他の一部を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るマイクロ流路装置の他の例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るマイクロ流路装置のさらに他の例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る実施例において使用したマイクロ流路装置を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る実施例においてマイクロ流路装置内の液体プラグの流れを観察した結果の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は、本実施形態で示す例に限られるものではない。

【0017】
図1には、本実施形態に係るマイクロ流路装置1(以下、「本装置1」という。)の一例を示す。図2には、本実施形態に係る方法(以下、「本方法」という。)の一例に含まれる操作を示す。

【0018】
本装置1は、図1及び図2に示すように、上流液体プラグPLu1,PLu2及び気体Gu1,Gu2,Gu3を流すための上流流路部10と、下流液体プラグPLd1,PLd2及び気体Gd1,Gd2,Gd3を流すための下流流路部20と、当該上流流路部10の下流端部11と当該下流流路部20の上流端部21との間に設けられ主液体プラグPLmを保持するための液体保持部30と、当該上流流路部10の当該下流端部11から当該下流流路部20の当該上流端部21まで当該液体保持部30を迂回するように設けられ、当該液体保持部30が当該主液体プラグPLmを保持した状態で気体Gbを流すための気体バイパス流路部40と、を備えている。

【0019】
本方法は、図2に示すように、下記(a)~(g)を含む:(a)上流流路部10と、下流流路部20と、当該上流流路部10の下流端部11と当該下流流路部20の上流端部21との間に設けられた液体保持部30と、当該上流流路部10の当該下流端部11から当該下流流路部20の当該上流端部21まで当該液体保持部30を迂回するように設けられた気体バイパス流路部40と、を備えたマイクロ流路装置1(本装置1)を用意すること;、(b)当該気体バイパス流路部40に気体Gbを満たすとともに、当該液体保持部30に主液体プラグPLmを保持すること;、(c)当該上流流路部10に第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2を当該液体保持部30に向けて順次流すこと;、(d)当該第一の上流液体プラグPLu1を当該液体保持部30に流入させることにより、当該第一の上流液体プラグPLu1を当該主液体プラグPLmと融合させるとともに、融合後の当該主液体プラグPLmの一部を当該下流流路部20に押し出すこと;、(e)当該第一の上流流体プラグPLu1に続く気体Gu2を当該気体バイパス流路部40に流入させて当該気体バイパス流路部40内の気体Gbの一部を当該下流流路部20の当該上流端部21に押し出すことにより、当該主液体プラグPLmの当該(d)で押し出された当該一部を切断して第一の下流液体プラグPLd1を形成すること;、(f)当該第二の上流液体プラグPLu2を当該液体保持部30に流入させることにより、当該第二の上流液体プラグPLu2を当該主液体プラグPLmと融合させるとともに、融合後の当該主液体プラグPLmの一部を当該下流流路部20に押し出すこと;、(g)当該第二の上流液体プラグPLu2に続く気体Gu3を当該気体バイパス流路部40に流入させて当該気体バイパス流路部40内の気体Gbの一部を当該下流流路部20の当該上流端部21に押し出すことにより、当該主液体プラグPLmの当該(f)で押し出された当該一部を切断して第二の下流液体プラグPLd2を形成すること。

【0020】
なお、図1及び図2において、矢印Xの指す方向は、本装置1において液体及び気体が流れる方向を示す(他の図でも同様)。すなわち、矢印Xの指す方向は下流方向であり、当該矢印Xの指す方向と反対の方向は上流方向である。また、図2に示す矢印Yは、気体バイパス流路部40における気体の流れを示す(他の図でも同様)。

【0021】
本方法の上記(a)においては、本装置1を用意する。本装置1の上流流路部10は、液体保持部30に流入させる上流液体プラグPLu1,PLu2及び気体バイパス流路部40に流入させる気体Gu1,Gu2,Gu3が流れる流路である。

【0022】
上流流路部10は、液体保持部30の上流に設けられ、その下流端部11で当該液体保持部30と接続されている。上流流路部10の下流端部11には、気体バイパス流路部40の上流端部41が開口している。

【0023】
下流流路部20は、液体保持部30に保持された主液体プラグPLmから形成された下流液体プラグPLd1,PLd2及び気体バイパス流路部40から流出した気体Gd1,Gd2,Gd3が流れる流路である。

【0024】
下流流路部20は、液体保持部30の下流に設けられ、その上流端部21で当該液体保持部30と接続されている。下流流路部20の上流端部21には、気体バイパス流路部40の下流端部42が開口している。

【0025】
液体保持部30は、上流流路部10と下流流路部20との間に設けられている。すなわち、液体保持部30は、上流流路部10の下流端部11と、下流流路部20の上流端部21との間に設けられている。

【0026】
より具体的に、液体保持部30は、上流流路部10の下流端部11に接続している気体バイパス流路部40の上流端部41(さらに具体的には、上流流路部10の下流端部11における気体バイパス流路部40の上流端部41の開口部)より下流であって、下流流路部20の上流端部21に接続している気体バイパス流路部40の下流端部42(さらに具体的には、下流流路部20の上流端部21における気体バイパス流路部40の下流端部42の開口部)より上流に設けられている。液体保持部30は、上流流路部10及び下流流路部20を含む主流路において当該上流流路部10と当該下流流路部20とを接続する中間流路であるともいえる。

【0027】
液体保持部30の形状は、特に限られないが、図1及び図2に示すように、例えば、その少なくとも一部の断面積が、上流流路部10の下流端部11の断面積及び下流流路部20の上流端部21の断面積より大きいこととしてもよい。

【0028】
気体バイパス流路部40は、液体保持部30が主液体プラグPLmを保持した状態で、上流流路部10を流れる気体を当該液体保持部30に流入させることなく下流流路部30に流入させるための流路である。

【0029】
すなわち、気体バイパス流路部40は、液体保持部30が主液体プラグPLmを保持した状態で、上流流路部10を流れる気体を、当該液体保持部30を迂回させて、下流流路部20に導く流路である。したがって、上流流路部10及び下流流路部20とは異なり、気体バイパス流路部40に液体は流れない。

【0030】
また、気体バイパス流路部40は、上記(c)から上記(g)までの間、その上流端41が上流流路部10の下流端部11に開口し、その下流端部42が下流流路部20の上流端部21に開口している以外は密閉されていることとしてもよい。すなわち、この場合、上記(c)から上記(g)までの間、気体バイパス流路部40においては、その上流端41から下流端部42への気体Gbの流れ以外に、当該気体Gbの流れはない。

【0031】
なお、気体バイパス流路部40は、図1及び図2に示す例のように、その上流端部41及び下流端部42以外に開口部を有しないよう設けられることとしてもよいが、これに限られず、例えば、当該上流端部41及び下流端部42に加えて他の開口部を有するが、上記(c)から上記(g)までの間は当該他の開口部を閉じることとしてもよい。

【0032】
また、図1及び図2に示す例において、気体バイパス流路部40は、拡大流路である上流端部41を有している。すなわち、気体バイパス流路部40の上流端部41の断面積は、当該気体バイパス流路部40の下流に向けて増加している。また、この気体バイパス流路部40の上流端部41の上流流路部10の下流端部11における開口の断面積は、当該上流流路部10の下流端部11の断面積より小さくなっている。

【0033】
また、図1及び図2に示す例において、気体バイパス流路部40の上流端部41は、上流流路部10の下流端部11から、当該上流流路部10内における流れ方向に対して略直行する方向に延びている。

【0034】
本装置1を製造する方法は、上述のような上流流路部10、下流流路部20、液体保持部30及び気体バイパス流路部40を備えるマイクロ流路装置を製造する方法であれば特に限られないが、本装置1は、例えば、基板と、当該基板の表面に溝として形成された当該上流流路部10、下流流路部20、液体保持部30及び気体バイパス流路部40とを備えることとしてもよい。

【0035】
この場合、基板を構成する材料は、特に限られないが、例えば、樹脂(例えば、PDMS)製又はガラス製であることとしてもよい。そして、上流流路部10、下流流路部20、液体保持部30及び気体バイパス流路部40は、例えば、フォトリソグラフィ等のマイクロファブリケーション技術により、基板の表面に形成されることとしてもよい。

【0036】
本装置1は、特に、微量の液体及び気体を操作するために好ましく使用される。すなわち、液体保持部30の体積(すなわち、液体保持部30に保持される主液体プラグPLmの体積)は、例えば、0.1μL~1000μLであることとしてもよく、0.1μL~500μLであることとしてもよく、0.1μL~100μLであることとしてもよい。また、上流流路部10、下流流路部20及び気体バイパス流路部40の断面積は、例えば、0.01mm~1.0mmであることとしてもよく、0.01mm~0.1mmであることとしてもよい。

【0037】
本装置1において、上流流路部10、液体保持部30及び気体バイパス流路部40は、主液体プラグPLmを保持する当該液体保持部30に向けて当該上流流路部10を流れる上流液体プラグPLu1,PLu2が当該気体バイパス流路部40に流入することなく当該液体保持部30に流入し、当該主液体プラグPLmを保持する当該液体保持部30に向けて当該上流流路部10を流れる気体Gu1,Gu2,Gu3が当該液体保持部30に流入することなく当該気体バイパス流路部40に流入するように設けられていることとしてもよい。

【0038】
すなわち、本装置1においては、例えば、主液体プラグPLmを保持する液体保持部30に向けて上流流路部10を流れる上流液体プラグPLu1,PLu2は、気体バイパス流路部40の下流端部42が開放された状態で、当該気体バイパス流路部40に流入することなく当該液体保持部30に流入し、当該主液体プラグPLmを保持する当該液体保持部30に向けて当該上流流路部10を流れる気体Gu1,Gu2,Gu3は、当該液体保持部30の下流端部32が開放された状態で、当該液体保持部30に流入することなく当該気体バイパス流路部40に流入する。

【0039】
このような上流液体プラグPLu1,PLu2,PLu3の液体保持部30への選択的な流入、及び気体Gu1,Gu2,Gu3の気体バイパス流路部40への選択的な流入を実現する方法は特に限られないが、例えば、上流流路部10、液体保持部30及び気体バイパス流路部40は、当該気体バイパス流路部40に気体Gbが満たされ、当該液体保持部30に主液体プラグPLmが保持された状態において、上流液体プラグPLu1,PLu2が当該上流流路部10から当該液体保持部30に流入する場合の自由エネルギー変化よりも、当該上流液体プラグPLu1,PLu2が当該上流流路部10から当該気体バイパス流路部40に流入する場合の自由エネルギー変化が大きくなるように設けられていることとしてもよい。

【0040】
具体的に、例えば、図1及び図2に示すように、気体バイパス流路部40の上流端部41が拡大流路である場合(すなわち、当該上流端部41の断面積が下流に向けて増加する場合)、気体(具体的には、上流流路部10を流れる気体Gu1,Gu2,Gu3及び気体バイパス流路部40内の気体Gb)中における、当該上流端部41の内表面41aの上流液体プラグPLu1,PLu2を構成する液体に対する接触角が90°以上であり、且つ、当該上流液体プラグPLu1,PLu2が上流流路部10の下流端部11から液体保持部30に流入する場合の気液界面の面積の増加率よりも、当該上流液体プラグPLu1,PLu2が当該上流流路部10の当該下流端部11から当該気体バイパス流路部40に流入する場合の気液界面の面積の増加率の方が大きくなるように設けられていることとしてもよい。

【0041】
ここで、上流液体プラグPLu1,PLu2が上流流路部10の下流端部11から液体保持部30に流入する場合の気液界面の面積の増加率は、上流液体プラグPLu1,PLu2が当該下流端部11に保持されている状態での気液界面の面積に対する、当該上流液体プラグPLu1,PLu2が当該保持部30の上流端部31に保持されている状態での気液界面の面積の比率である。

【0042】
また、上流液体プラグPLu1,PLu2が当該上流流路部10の当該下流端部11から当該気体バイパス流路部40に流入する場合の気液界面の面積の増加率は、上流液体プラグPLu1,PLu2が当該下流端部11に保持されている状態での気液界面の面積に対する、当該上流液体プラグPLu1,PLu2が当該気体バイパス流路部40の上流端部41に保持されている状態での気液界面の面積の比率である。

【0043】
また、気体バイパス流路部40の上流端部41が拡大流路でない場合(例えば、当該上流端部41の断面積が下流に向けて一定である場合)、気体(具体的には、上流流路部10を流れる気体Gu1,Gu2,Gu3及び気体バイパス流路部40内の気体Gb)中における、当該上流端部41の内表面41aの上流液体プラグPLu1,PLu2を構成する液体に対する接触角が90°以上であり、且つ、当該上流液体プラグPLu1,PLu2が上流流路部10の下流端部11から液体保持部30に流入する場合の濡れ辺長が、当該上流液体プラグPLu1,PLu2が当該上流流路部10の当該下流端部11から気体バイパス流路部40に流入する場合の濡れ辺長より大きくなるように設けられていることとしてもよい。

【0044】
ここで、上流液体プラグPLu1,PLu2が上流流路部10の下流端部11から液体保持部30に流入する場合の濡れ辺長は、例えば、当該液体保持部30の上流端部31の最も上流側の部分の断面形状が幅W1(μm)及び高さH1(μm)の長方形である場合、2×W1×H1(μm)である。

【0045】
また、上流液体プラグPLu1,PLu2が上流流路部10の下流端部11から気体バイパス流路部40に流入する場合の濡れ辺長は、例えば、当該気体バイパス流路部40の上流端部41の最も上流側の部分の断面形状が幅W2(μm)及び高さH2(μm)の長方形である場合、2×W2×H2(μm)である。

【0046】
また、上述した気体バイパス流路部40の上流端部41の内表面41aの上流液体プラグPLu1,PLu2を構成する液体に対する接触角は、90°以上、180°未満であれば特に限られないが、例えば、100°以上であることとしてもよい。

【0047】
なお、気体バイパス流路部40の上流端部41の内表面41aの液体に対する接触角を調節する方法は、特に限られないが、例えば、上流液体プラグPLu1,PLu2を構成する液体、上流流路部10を流れる気体Gu1,Gu2,Gu3及び気体バイパス流路部40内の気体Gb、当該内表面41aを構成する材料の組み合わせによって調節することとしてもよい。

【0048】
具体的に、例えば、気体バイパス流路部40が基板の表面に溝を形成することにより設けられる場合には、当該基板を構成する材料の選択、及び/又は当該気体バイパス流路部40の上流端部41の内表面41aに対する疎水化処理によって、当該内表面41aの液体に対する接触角を上述した範囲に調節することとしてもよい。

【0049】
本方法の上記(b)においては、気体バイパス流路部40に気体Gbを満たすとともに、液体保持部30に主液体プラグPLmを保持する。具体的には、図2(i)に示すように、上流流路部10の下流端部11、気体バイパス流路部40及び下流流路部20の上流端部21に気体を保持するとともに、当該上流流路部10の下流端部11と当該下流流路部20の上流端部21との間の液体保持部30に液体を保持する。すなわち、主液体プラグPLmは、上流流路部10の下流端部11に保持された気体と、下流流路部20の上流端部21に保持された気体とに挟まれた液体プラグである。

【0050】
ここで、気体バイパス流路部40に気体Gbを満たすとともに、液体保持部30に主液体プラグPLmを保持する方法は、特に限られないが、例えば、図3に示すような操作を含む方法を使用することとしてもよい。

【0051】
すなわち、図3に示すように、上記(b)においては、下記(b1)~(b5)を順次行うことにより、気体バイパス流路部40に気体Gbを満たすとともに、液体保持部30に主液体プラグPLmを保持することとしてもよい:(b1)上流流路部10、下流流路部20、液体保持部30及び気体バイパス流路部40に気体を満たすこと(図3(i));、(b2)上流流路部10に液体保持部30に向けて、当該液体保持部30の体積より大きな体積の液体プラグPL0を流すこと(図3(ii));、(b3)当該液体プラグPL0を気体バイパス流路部40に流入させることなく当該液体保持部30に流入させて、上流流路部10の下流端部11、当該液体保持部30及び下流流路部20の上流端部21に保持すること(図3(iii));、(b4)当該液体プラグPL0に続く気体G1を当該液体保持部30に流入させることなく当該上流流路部10の下流端部11から当該気体バイパス流路部40に流入させて、当該気体バイパス流路部40内の気体Gbの一部を当該下流流路部20の当該上流端部21に押し出すことにより、当該液体プラグPL0当該下流流路部20の上流端部21に保持されている部分を切断して下流液体プラグPLd0を形成すること(図3(iv)、(v));、(b5)当該下流流路部20内の当該下流液体プラグPLd0をさらに下流に流すこと(図3(vi)、(vii))。

【0052】
本方法の上記(c)においては、上流流路部10に第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2を液体保持部30に向けて順次流す。すなわち、図2(ii)に示すように、その下流側の気体Gu1及び上流側の気体Gu2に挟まれた第一の上流液体プラグPLu1と、当該第一の上流液体プラグPLu1の下流において、その下流側の気体Gu2及び上流側の気体Gu3に挟まれた第二の上流液体プラグPLu2とを順次流す。

【0053】
第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2の体積は、上記(d)及び上記(f)で下流流路部20に押し出された主液体プラグPLmの一部が、当該下流流路部20の上流端部21を満たす(すなわち、当該一部が、当該上流端部21における気体バイパス流路部40の下流端部42の開口を塞ぐ)範囲であれば、特に限られないが、例えば、液体保持部30に保持される当該主液体プラグPLmの体積以下であることとしてもよく、当該主液体プラグPLmの体積より小さいこととしてもよい。

【0054】
また、第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2の体積は、例えば、1μL未満であることとしてもよく、500nL以下であることとしてもよく、200nL以下であることとしてもよい。また、第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2の体積は、例えば、1nL以上であることとしてもよい。

【0055】
また、上記(c)においては、上記(e)において第一の下流液体プラグPLd1を形成してから1秒未満の時間内に、上記(g)において第二の下流液体プラグPLd2を形成するように、第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2を流すこととしてもよい。

【0056】
この場合、1秒未満の時間間隔での複数回のサンプリングが実現される。上記時間間隔は、例えば、500ミリ秒以下であることとしてもよい。また、上記時間間隔は、例えば、1ミリ秒以上であることとしてもよい。

【0057】
この複数の下流液体プラグPLd1,PLd2を形成する時間間隔は、例えば、第一の上流液体プラグPLu1と第二の上流液体プラグPLu2との間の気体Gu2の体積、当該第二の上流液体プラグPLu2の体積及び当該第二の上流液体プラグPLu2の流速からなる群より選択される1つ以上により上述の範囲に調節することとしてもよい。

【0058】
また、上記(c)においては、上記(d)において第一の上流液体プラグPLu1を主液体プラグPLmと融合させてから1秒未満の時間内に、上記(f)において第二の上流液体プラグPLu2を当該主液体プラグPLmと融合させるように、当該第一の上流液体プラグPLu1及び当該第二の上流液体プラグPLu2を流すこととしてもよい。

【0059】
この場合、1秒未満の時間間隔での複数の上流液体プラグPLu1,PLu2と主液体プラグPLmとの融合が実現される。上記時間間隔は、例えば、500ミリ秒以下であることとしてもよい。また、上記時間間隔は、例えば、1ミリ秒以上であることとしてもよい。

【0060】
この複数の上流液体プラグPLu1,PLu2と主液体プラグPLmとを融合させる時間間隔は、例えば、第一の上流液体プラグPLu1の体積、当該第一の上流液体プラグPLu1と第二の上流液体プラグPLu2との間の気体Gu2の体積、及び当該上流液体プラグPLu1,PLu2の流速からなる群より選択される1つ以上により上述の範囲に調節することとしてもよい。

【0061】
上流流路部10において第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2を流す方法は、特に限られないが、例えば、当該第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2に対して上流から圧力をかけることにより流すこととしてもよいし、下流から減圧することにより流すこととしてもよい。

【0062】
上記(c)において上流流路部10に流す液体プラグの数は、2つ以上であれば特に限られず、3つ以上の液体プラグを流すこととしてもよい。すなわち、上記(c)においては、気体を介して互いに離れて配置された複数の上流液体プラグを流すこととすればよい。

【0063】
本方法の上記(d)においては、第一の上流液体プラグPLu1を液体保持部30に流入させることにより、当該第一の上流液体プラグPLu1を主液体プラグPLmと融合させるとともに、融合後の当該主液体プラグPLmの一部を下流流路部20に押し出す。

【0064】
すなわち、まず、図2(iii)に示すように、第一の上流液体プラグPLu1を気体バイパス流路部40に流入させることなく液体保持部30に流入させることにより、当該第一の上流液体プラグPLu1を主液体プラグPLmと融合させる。

【0065】
次に、図2(iv)に示すように、第一の上流液体プラグPLu1に続く気体Gu2を上流流路部10の下流端部11まで流すことにより、主液体プラグPLmの一部を、下流流路部20の上流端部21より下流まで押し出す。

【0066】
なお、このとき、液体保持部30から押し出される主液体プラグPLmの一部の体積は、第一の上流液体プラグPLu1の体積と同一である。また、融合後の主液体プラグPLmの体積は、融合前の主液体プラグPLmの体積と第一の上流液体プラグPLu1の体積との合計である。

【0067】
第一の上流液体プラグPLu1と主液体プラグPLmとの融合により、当該第一の上流液体プラグPLu1を構成する液体と、当該主液体プラグPLmを構成する液体とが混合される。

【0068】
本方法の上記(e)においては、第一の上流流体プラグPLu1に続く気体Gu2を気体バイパス流路部40に流入させて当該気体バイパス流路部40内の気体Gbの一部を下流流路部20の上流端部21に押し出すことにより、主液体プラグPLmの上記(d)で押し出された一部を切断して第一の下流液体プラグPLd1を形成する。

【0069】
すなわち、図3(v)に示すように、第一の上流流体プラグPLu1に続く気体Gu2を液体保持部30に流入させることなく気体バイパス流路部40に流入させることにより、当該気体バイパス流路部40に保持されていた気体Gbの一部を下流流路部20の上流端部21に押し出す。

【0070】
その結果、上記(d)において下流流路部20に押し出されていた主液体プラグPLmの一部(図3(iv)参照)は、液体保持部30に保持された残りの部分から切り離されて、第一の下流液体プラグPLd1となる。

【0071】
この第一の下流液体プラグPLd1の体積は、第一の上流液体プラグPLu1の体積と同一である。すなわち、例えば、上述のように、第一の上流液体プラグPLu1の体積が1μL未満である場合、第一の下流液体プラグPLd1の体積もまた、1μL未満であり、当該第一の上流液体プラグPLu1の体積と同一である。

【0072】
本方法の上記(f)においては、第二の上流液体プラグPLu2を液体保持部30に流入させることにより、当該第二の上流液体プラグPLu2を主液体プラグPLmと融合させるとともに、融合後の当該主液体プラグPLmの一部を下流流路部20に押し出す。

【0073】
すなわち、上述した第一の上流液体プラグPLu1の場合と同様、まず、図2(vi)に示すように、第二の上流液体プラグPLu2を気体バイパス流路部40に流入させることなく液体保持部30に流入させることにより、当該第二の上流液体プラグPLu2を主液体プラグPLmと融合させる。

【0074】
次に、図2(vii)に示すように、第二の上流液体プラグPLu2に続く気体Gu3を上流流路部10の下流端部11まで流すことにより、主液体プラグPLmの一部を、下流流路部20の上流端部21より下流まで押し出す。

【0075】
なお、このとき、液体保持部30から押し出される主液体プラグPLmの一部の体積は、第二の上流液体プラグPLu2の体積と同一である。また、融合後の主液体プラグPLmの体積は、融合前の主液体プラグPLmの体積と第二の上流液体プラグPLu2の体積との合計である。

【0076】
第二の上流液体プラグPLu2と主液体プラグPLmとの融合により、当該第二の上流液体プラグPLu2を構成する液体と、当該主液体プラグPLmを構成する液体とが混合される。

【0077】
すなわち、第二の上流液体プラグPLu2と主液体プラグPLmとの融合により、第一の上流液体プラグPLu1と融合する前の主液体プラグPLmを構成する液体と、当該第一の上流液体プラグPLu1を構成する液体と、当該第二の上流液体プラグPLu2を構成する液体とが混合される。

【0078】
また、上述のとおり、第二の上流液体プラグPLu2と主液体プラグPLmとの融合は、上記(d)において第一の上流液体プラグPLu1が主液体プラグPLmと融合してから1秒未満の時間内に行われることとしてもよい。

【0079】
本方法の上記(g)においては、第二の上流液体プラグPLu2に続く気体Gu3を気体バイパス流路部40に流入させて当該気体バイパス流路部40内の気体Gbの一部を下流流路部20の上流端部21に押し出すことにより、主液体プラグPLmの上記(f)で押し出された一部を切断して第二の下流液体プラグPLd2を形成する。

【0080】
すなわち、上述した第一の下流液体プラグPLd1の場合と同様、図3(viii)に示すように、第二の上流流体プラグPLu2に続く気体Gu3を液体保持部30に流入させることなく気体バイパス流路部40に流入させることにより、当該気体バイパス流路部40に保持されていた気体Gbの一部を下流流路部20の上流端部21に押し出す。

【0081】
その結果、上記(f)において下流流路部20に押し出されていた主液体プラグPLmの一部(図3(vii)参照)は、液体保持部30に保持された残りの部分から切り離されて、第二の下流液体プラグPLd2となる。

【0082】
この第二の下流液体プラグPLd2の体積は、第二の上流液体プラグPLu2の体積と同一である。すなわち、例えば、上述のように、第二の上流液体プラグPLu2の体積が1μL未満である場合、第二の下流液体プラグPLd2の体積もまた、1μL未満であり、当該第二の上流液体プラグPLu2の体積と同一である。

【0083】
また、上述のとおり、第二の下流液体プラグPLd2は、上記(e)において第一の下流液体プラグPLd1が形成されてから1秒未満の時間内に形成されることとしてもよい。この場合、上述のとおり、1秒未満の時間間隔での複数個の下流液体プラグPLd1,PLd2の形成が実現される。

【0084】
上述した本装置1及び本方法によれば、マイクロ流路装置における微量液体の効果的な操作が実現される。すなわち、特に、気体バイパス流路部40を備えた本装置1を使用して、複数の上流液体プラグPLu1,PLu2を間欠的に順次、主液体プラグPLmと融合させるとともに、当該複数の上流液体プラグPLu1,PLu2の各々に続く気体Gu2,Gu3を液体保持部30に流入させることなく上流流路部10から下流流路部20に迂回させることにより、当該複数の上流液体プラグPLu1,PLu2に対応する複数の下流液体プラグPLd1,PLd2を間欠的に順次形成して、当該主液体プラグPLmの体積を一定に維持することができる。

【0085】
また、例えば、上述のとおり、上流流路部10において複数の上流液体プラグPLu1,PLu2を流す条件を調節することにより、上記(d)において第一の上流液体プラグPLu1を主液体プラグPLmと融合させてから1秒未満の時間内に、上記(f)において第二の上流液体プラグPLu2を当該主液体プラグPLmと融合させることもできる。

【0086】
この場合、極めて高い時間分解能で複数回の上流液体プラグPLu1,PLu2と主液体プラグPLmとの融合(すなわち、当該上流液体プラグPLu1,PLu2を構成する液体と当該主液体プラグPLmを構成する液体との混合)を行うことができる。

【0087】
また、上述した本装置1及び本方法によれば、マイクロ流路装置における効果的なサンプリングが実現される。すなわち、特に、気体バイパス流路部40を備えた本装置1を使用して、複数の上流液体プラグPLu1,PLu2の各々に続く気体Gu2,Gu3を液体保持部30に流入させることなく上流流路部10から下流流路部20に迂回させることにより、複数回の間欠的なサンプリングとして、所望の時間間隔で複数の下流液体プラグPLd1,PLd2を形成することができる。

【0088】
具体的に、例えば、上述のとおり、第二の下流液体プラグPLd2は、上記(e)において第一の下流液体プラグPLd1が形成されてから1秒未満の時間内に形成されることとしてもよい。すなわち、上流流路部10において複数の上流液体プラグPLu1,PLu2を流す条件を調節することにより、上記(e)において第一の下流液体プラグPLd1を形成してから1秒未満の時間内に、上記(g)において第二の下流液体プラグPLd2を形成することができる。この場合、1秒未満の時間間隔での複数回のサンプリングが実現される。すなわち、極めて高い時間分解能で複数回のサンプリングを行うことができる。

【0089】
また、例えば、上述のとおり、第一の上流液体プラグPLu1、第二の上流液体プラグPLu2、第一の下流液体プラグPLd1及び第二の下流液体プラグPLd2のそれぞれの体積が、1μL未満である場合には、極微量の液体の効果的な操作を実現することができる。

【0090】
また、本方法は、下記(h)をさらに含むこととしてもよい:(h)当該第一の下流液体プラグPLd1及び当該第二の下流液体プラグPLd2を回収すること。この場合、本方法の上記(h)においては、第一の下流液体プラグPLd1及び第二の下流液体プラグPLd2を回収する。すなわち、図3(ix)、(x)に示すように、上述のようにして形成された第一の下流液体プラグPLd1及び第二の下流液体プラグPLd2を下流流路部20から回収する。また、上記(h)においては、回収された第一の下流液体プラグPLd1及び第二の下流液体プラグPLd2を分析することとしてもよい。

【0091】
また、本方法においては、上記(b)において液体保持部30に保持される主液体プラグPLmは、第一の因子を含み、上記(d)において前記上流流路部に流す第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2の一方又は両方は、当該第一の因子に作用する第二の因子を含むこととしてもよい。

【0092】
この場合、上記(d)及び/又は上記(f)において、上流液体プラグPLu1,PLu2を主液体プラグPLmと融合させることにより、第一の因子に第二の因子を作用させることができる。なお、第一の因子は、液体保持部30に固定されていることとしてもよい。

【0093】
また、第二の因子は、主液体プラグPLm中において、第一の因子に直接的に作用することとしてもよいし、第一の因子に対して間接的に作用することとしてもよい。第一の因子に対する第二の因子の間接的な作用は、例えば、主液体プラグPLm中において、まず当該第二の因子から第三の因子が生成され、次いで、当該第三の因子が第一の因子に作用することにより行われることとしてもよい。

【0094】
具体的に、例えば、第一の因子は、細胞体であり、第二の因子は、当該細胞体に作用する物質(例えば、刺激物質)であることとしてもよい。この場合、細胞体は、液体保持部30に固定されていることとしてもよい。

【0095】
細胞体は、特に限られないが、例えば、動物細胞であることとしてもよい。動物細胞は、例えば、哺乳類の細胞であることとしてもよい。すなわち、動物細胞は、例えば、ヒト又はヒト以外の動物(例えば、サル、ブタ、イヌ、ラット又はマウス)の細胞であることとしてもよい。また、動物細胞は、ヒト又はヒト以外の動物から採取された初代細胞であることとしてもよく、樹立された株化細胞であることとしてもよい。また、動物細胞は、分化した細胞であることとしてもよく、未分化の細胞であることとしてもよい。また、動物細胞は、胚性幹(Embryonic Stem)細胞又はこれに由来する細胞であることとしてもよく、iPS(induced Pluripotent Stem)細胞又はこれに由来する細胞であることとしてもよい。また、細胞体は、哺乳類以外の動物細胞であることとしてもよい。また、細胞体は、例えば、微生物であることとしてもよい。また、細胞体は、例えば、植物細胞であることとしてもよい。

【0096】
本装置1及び本方法は、上述のとおり、極めて微量の液体を操作することができるため、例えば、各々が希少な刺激物質を含む極微量の液体からなる複数の上流液体プラグPLu1,PLu2を間欠的に順次、少量の希少な細胞体を含む微量の主液体プラグPLmに融合させるとともに、当該複数の上流液体プラグPLu1,PLu2に対応する複数の下流液体プラグPLd1,PLd2を間欠的に順次形成することにより、当該主液体プラグPLmの体積を一定に維持しつつ、当該主液体プラグPLmに含まれる当該刺激物質の濃度を段階的に増加させて、当該細胞体の培養環境の変化を高精度に制御することができる。

【0097】
また、本装置1及び本方法は、上述のとおり、複数の上流液体プラグPLu1,PLu2に対応する複数の下流液体プラグPLd1,PLd2を間欠的に順次形成することによる効果的な複数回のサンプリングを実現するため、例えば、主液体プラグPLmに含まれる少量の希少な細胞体の刺激物質に対する応答を効果的に評価することができる。

【0098】
具体的に、例えば、上記(b)において液体保持部30に保持される主液体プラグPLmは、細胞体を含み、上記(c)において上流流路部10に流す第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2の一方又は両方は、当該細胞体の分泌量(細胞体が分泌する特定物質の量)及び/又は分泌速度(細胞体が特定物質を分泌する速度)を変化させる刺激物質を含むこととしてもよい。

【0099】
より具体的に、例えば、上記(b)において液体保持部30に保持される主液体プラグPLmに含まれる細胞体はランゲルハンス細胞であり、上記(c)において上流流路部10に流す第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2の一方又は両方はグルコースを含むこととしてもよい。

【0100】
この場合、ランゲルハンス細胞により分泌される特定物質はインスリンであり、グルコースはランゲルハンス細胞のインスリンの分泌量及び/又は分泌速度を変化させる刺激物質である。

【0101】
そして、上記(b)において液体保持部30に保持される主液体プラグPLmが細胞体を含み、上記(c)において上流流路部10に流す第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2の一方又は両方が当該細胞体の分泌量及び/又は分泌速度を変化させる刺激物質を含む場合、上記(d)及び/又は上記(f)において、上流液体プラグPLu1,PLu2を主液体プラグPLmと融合させることにより、当該液体保持部30において当該刺激物質を当該細胞体に作用させ、上記(e)及び/又は上記(g)において、当該刺激物質の作用により変化した量及び/又は速度で当該細胞体から分泌された特定物質を含む第一の下流液体プラグPLd1及び/又は第二の下流液体プラグPLd2を形成することができる。

【0102】
したがって、上記(h)において第一の下流液体プラグPLd1及び/又は第二の下流液体プラグPLd2を回収し、分析することにより、刺激物質に対する細胞体の応答を、上述したような高い時間分解能で評価することができる。

【0103】
なお、刺激物質に対する細胞体の応答は、サンプリングを行うことなく評価することとしてもよい。すなわち、例えば、顕微鏡の試料ステージに配置された本装置1において、細胞体を含む主液体プラグPLmに刺激物質を含む複数の上流液体プラグPLu1,PLu2を融合させるとともに、複数の下流液体プラグPLd1,PLd2を形成することにより、当該刺激物質に対する当該細胞体の応答を当該顕微鏡下で観察し、評価することができる。

【0104】
また、第一の因子は、細胞体に限られない。すなわち、例えば、第一の因子は、第一の物質であり、第二の因子は、当該第一の物質との相互作用により第三の物質を生成する第二の物質であることとしてもよい。

【0105】
具体的に、例えば、第一の因子は、液体保持部30に固定された酵素であり、第二の因子は、当該酵素の基質であることとしてもよい。この場合、上記(d)及び/又は上記(f)において、基質を含む上流液体プラグPLu1,PLu2を、酵素を含む主液体プラグPLmと融合させることにより、当該液体保持部30において当該基質を当該酵素と接触させて酵素反応を行い、上記(e)及び/又は上記(g)において、当該酵素反応による生成物質を含む第一の下流液体プラグPLd1及び/又は第二の下流液体プラグPLd2を形成することができる。

【0106】
したがって、上記(h)において第一の下流液体プラグPLd1及び/又は第二の下流液体プラグPLd2を回収し、分析することにより、酵素反応による生成物質の量や、酵素反応速度を、上述したような高い時間分解能で評価することができる。

【0107】
図4には、本装置1の他の例を示す。図4(i)に示す例において、本装置1の上流流路部10は、上流液体プラグPLu1,PLu2(図3参照)を構成する液体を供給する液体供給部12と、当該液体を切断して当該上流液体プラグPLu1,PLu2を形成するための気体を供給する気体供給部13と、形成された当該上流液体プラグPLu1,PLu2を液体保持部30に向けて流すための合流流路部14とを有している。上流流路部10が液体供給部12及び気体供給部13を有することにより、上流流路部10において複数の上流液体プラグPLu1,PLu2を効率よく形成することができる。

【0108】
図4(ii)に示す例において、本装置1の上流流路部10は、液体供給部12と、気体供給部13と、当該液体供給部12及び当該気体供給部13の下流に設けられ当該上流液体プラグPLu1,PLu2に因子を添加して当該上流液体プラグPLu1,PLu2の組成を調節するための組成調節部15と、組成が調節された当該上流液体プラグPLu1,PLu2を液体保持部30に向けて流すための合流流路部14と、を有している。上流流路部10が、さらに組成調節部15を有することにより、当該上流流路部10において組成が調節された複数の上流液体プラグPLu1,PLu2を効率よく形成することができる。

【0109】
具体的に、例えば、上述したように上記(b)において液体保持部30に保持される主液体プラグPLmが細胞体を含み、上記(c)において上流流路部10に流す第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2の一方又は両方が当該細胞体の分泌量及び/又は分泌速度を変化させる刺激物質を含む場合、当該上流流路部10が当該第一の上流液体プラグPLu1及び/又は当該第二の上流液体プラグPLu2に当該刺激物質を添加する組成調節部15を有することにより、当該刺激物質の濃度が互いに異なる当該第一の上流液体プラグPLu1及び第二の上流液体プラグPLu2を効率よく形成することができる。

【0110】
図5には、本装置1のさらに他の例を示す。図5(i)に示す例において、気体バイパス流路部40は、拡大流路ではない上流端部41を有している。すなわち、この例において、気体バイパス流路部40の上流端部41の断面積は、当該気体バイパス流路部40の下流に向けて一定となっている。また、この気体バイパス流路部40の上流端部41の上流流路部10の下流端部11における開口の断面積は、当該上流流路部10の下流端部11の断面積より小さくなっている。

【0111】
図5(ii)に示す例において、気体バイパス流路部40は、上述した図1~図4に示す例に比べて短い拡大流路を含む上流端部41を有している。すなわち、この上流端部41は、上流流路部10の下流端部11に開口して当該下流端部11から流れ方向に対して略直行する方向に延びる拡大流路部分と、当該略直行する方向において当該拡大流路部分の下流に延びる断面積が一定の部分とを含んでいる。

【0112】
図5(iii)に示す例において、本装置1は、2つの気体バイパス流路部40を有している。すなわち、この例において、本装置1は、上流流路部10の一方側において、当該上流流路部10の下流端部11から下流流路部20の上流端部21まで液体保持部30を迂回するように設けられた第一の気体バイパス流路部40と、当該上流流路部10の他方側において、当該上流流路部10の下流端部11から下流流路部20の上流端部21まで液体保持部30を迂回するように設けられた第二の気体バイパス流路部50とを備えている。

【0113】
次に、本実施形態に係る具体的な実施例について説明する。
【実施例】
【0114】
[マイクロ流路装置の製造]
マイクロファブリケーション技術により、図6に示すような本装置1を製造した。すなわち、図6(i)に示すように、フォトレジストを使用したレプリカ成形により、厚さ約4mmのPDMS(ポリジメチルシロキサン)製の基板100の表面に、液体供給部12及び気体供給部13を含む上流流路部10と、下流流路部20と、液体保持部30と、拡大流路である上流端部41を有する気体バイパス流路部40とを構成する溝を形成した。そして、このPDMS製の基板100に、厚さ約2mmのPDMS(ポリジメチルシロキサン)製の基板(不図示)を積層して接着することにより、本装置1を得た。
【実施例】
【0115】
図6(ii)には、製造された本装置1の各部の寸法を示す。すなわち、上流流路部10の合流流路部14の幅は600μmであり、上流流路部10の下流端部11における気体バイパス流路部40の上流端部41の開口(拡大流路の最も断面積が小さい先端部)の幅は120μmであり、当該気体バイパス流路部40の下流端部42の幅は600μmであり、当該気体バイパス流路部40の当該上流端部41と当該下流端部42との間の部分の幅は500μmであり、下流流路部20の幅は600μmであった。
【実施例】
【0116】
また、液体保持部30は、直径が2mmの円形であった。また、上流流路部10、下流流路部20、液体保持部30及び気体バイパス流路部40の全ての高さは150μmであった。また、上流流路部10、下流流路部20、液体保持部30及び気体バイパス流路部40の内表面にはフッ素系樹脂のコーティングによる疎水化処理を施した。その結果、空気中における。気体バイパス流路部40の上流端部41の内表面41aを含む、各流路の内表面の水に対する接触角は、120°であった。
【実施例】
【0117】
[マイクロ流路装置を使用する方法の実施]
上述のようにして製造した本装置1を使用して、本方法を実施した。液体プラグを構成する液体としては、視認性を高めるための色素が添加された水を使用した。気体としては、空気を使用した。また、流路内における液体及び気体の流れは、上流から圧力をかけることにより行った。
【実施例】
【0118】
図7には、本方法における本装置1内の液体プラグの流れを位相差顕微鏡下で観察した結果を示す。まず、図7(i)、(ii)に示すように、気体バイパス流路部40に気体Gbが満され、液体保持部30に主液体プラグPLmが保持された状態で、上流流路部10に3つの上流液体プラグPLu1,PLu2,PLu3を当該液体保持部30に向けて順次流した。なお、主液体プラグPLmの体積は、約1.5μLであった。また、3つの上流液体プラグPLu1,PLu2,PLu3の各々の体積は、約100nLであった。
【実施例】
【0119】
次に、図7(iii)に示すように、第一の上流液体プラグPLu1を液体保持部30に流入させることにより、当該第一の上流液体プラグPLu1を主液体プラグPLmと融合させるとともに、融合後の当該主液体プラグPLmの一部を下流流路部20に押し出した。
【実施例】
【0120】
さらに、図7(iv)に示すように、第一の上流流体プラグPLu1に続く気体Gu2を気体バイパス流路部40に流入させて当該気体バイパス流路部40内の気体Gbの一部を下流流路部20の上流端部21に押し出すことにより、上述のようにして下流流路部20に押し出された主液体プラグPLmの一部を切断して第一の下流液体プラグPLd1を形成した。
【実施例】
【0121】
続いて、図7(v)に示すように、第二の上流液体プラグPLu2を液体保持部30に流入させることにより、当該第二の上流液体プラグPLu2を主液体プラグPLmと融合させるとともに、融合後の当該主液体プラグPLmの一部を下流流路部20に押し出した。
【実施例】
【0122】
さらに、図7(vi)に示すように、第二の上流流体プラグPLu2に続く気体Gu3を気体バイパス流路部40に流入させて当該気体バイパス流路部40内の気体Gbの一部を下流流路部20の上流端部21に押し出すことにより、上述のようにして下流流路部20に押し出された主液体プラグPLmの一部を切断して第二の下流液体プラグPLd2を形成した。
【実施例】
【0123】
また、図7(vii)に示すように、第三の上流液体プラグPLu3を液体保持部30に流入させることにより、当該第三の上流液体プラグPLu3を主液体プラグPLmと融合させるとともに、融合後の当該主液体プラグPLmの一部を下流流路部20に押し出した。
【実施例】
【0124】
さらに、図7(viii)に示すように、第三の上流流体プラグPLu3に続く気体Gu4を気体バイパス流路部40に流入させて当該気体バイパス流路部40内の気体Gbの一部を下流流路部20の上流端部21に押し出すことにより、上述のようにして下流流路部20に押し出された主液体プラグPLmの一部を切断して第三の下流液体プラグPLd3を形成した。そして、3つの下流液体プラグPLd1,PLd2,PLd3を下流流路部20から回収した。
【実施例】
【0125】
このような本方法においては、3つの上流液体プラグPLu1,PLu2,PLu3が約640ミリ秒で主液体プラグPLmと融合し、3つの下流液体プラグPLd1,PLd2,PLd3が約640ミリ秒で形成された。
【実施例】
【0126】
すなわち、約200ミリ秒の時間分解能で、複数の上流液体プラグPLu1,PLu2,PLu3と主液体プラグPLmとの融合、及び複数の下流液体プラグPLd1,PLd2,PLd3の形成(複数回のサンプリング)を実現できた。
【符号の説明】
【0127】
1 マイクロ流路装置、10 上流流路部、11 上流流路部の下流端部、12 液体供給部、13 気体供給部、14 合流流路部、15 組成調節部、20 下流流路部、21 下流流路部の上流端部、22 液体供給部、23 気体供給部、24 プラグ組成調節部、30 液体保持部、31 液体保持部の上流端部、32 液体保持部の下流端部、40,50 気体バイパス流路部、41,51 気体バイパス流路部の上流端部、41a 気体バイパス流路部の上流端部の内表面、42 気体バイパス流路部の下流端部、100 基板。
図面
【図1】
0
【図2A】
1
【図2B】
2
【図3A】
3
【図3B】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図6】
7
【図7】
8