TOP > 国内特許検索 > 化学・物理現象検出方法及びその装置 > 明細書

明細書 :化学・物理現象検出方法及びその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-232032 (P2014-232032A)
公開日 平成26年12月11日(2014.12.11)
発明の名称または考案の名称 化学・物理現象検出方法及びその装置
国際特許分類 G01N  27/414       (2006.01)
G01N  27/416       (2006.01)
FI G01N 27/30 301Y
G01N 27/46 386G
G01N 27/30 301V
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2013-112444 (P2013-112444)
出願日 平成25年5月29日(2013.5.29)
発明者または考案者 【氏名】滝川 修
【氏名】奥野 海良人
【氏名】吉見 立也
【氏名】澤田 和明
【氏名】奥村 弘一
出願人 【識別番号】510108858
【氏名又は名称】独立行政法人国立長寿医療研究センター
【識別番号】304027349
【氏名又は名称】国立大学法人豊橋技術科学大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095577、【弁理士】、【氏名又は名称】小西 富雅
【識別番号】100100424、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 知公
【識別番号】100179202、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 誠司
審査請求 未請求
要約 【課題】CCDタイプやISFETタイプのセンサに好適な検出方法を提供する。
【解決手段】検出対象をセンシング部に接触若しくは近接させて、センシング部の電位変化を測定する化学・物理現象検出方法であって、検出対象が捕捉された微小粒体をセンシング部に固定した状態で、センシング部の電位変化を測定する。検出対象を捕捉させた微小粒体をセンシング部に固定しても、微小粒体をセンシング部へ固定した後に検出対象を微小粒体へ捕捉させてもよい。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
検出対象をセンシング部に接触若しくは近接させて、前記センシング部の電位変化を測定する化学・物理現象検出方法であって、
前記検出対象が捕捉された微小粒体を前記センシング部に固定した状態で、前記センシング部の電位変化を測定する化学・物理現象検出方法。
【請求項2】
前記センシング部は凹所の底面に存在し、前記微小粒体を前記凹所へ充填する充填ステップが含まれる請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記充填ステップは、前記センシング部を前記微小粒体が分散した分散液に接触させるステップと、前記分散液中の微小粒体が前記センシング部側へ移動する方向に前記微小粒体を加速させる固定ステップと、を含む請求項2に記載の検出方法。
【請求項4】
前記微小粒体は磁性材料を含み、前記固定ステップにおいて、前記分散液中の該微小粒体が前記センシング部側へ移動するように磁場を印加する請求項3に記載の検出方法。
【請求項5】
前記充填ステップは、更に、前記センサ面において前記凹所に充填されない前記微小粒体を除去するステップを含む、請求項3に記載の検出方法。
【請求項6】
前記センシング部の電位変化測定後、前記凹所に充填された微小粒体を該凹所から脱離するステップが更に含まれる請求項2~5のいずれかに記載の検出方法。
【請求項7】
予め前記検出対象が捕捉された微小粒体を前記センシング部に固定するステップが含まれる、請求項1~5のいずれかに記載の検出方法。
【請求項8】
前記センシング部はイオン感応膜を含み、前記微小粒体には分子間相互作用を構成する分子対のうち一方の分子が捕捉され、前記検出対象は前記分子対の他方の分子である、請求項1~5のいずれかに記載の検出方法。
【請求項9】
検出対象をセンサ面の凹所に存在するセンシング部に接触若しくは近接させて、前記センシング部の電位変化を測定する化学・物理現象検出装置であって、
前記検出対象を捕捉可能な微小粒体が前記センサ面の凹所に充填されている、検出装置。
【請求項10】
前記微小粒体は磁性材料を含み、該微小粒体に対して、これを前記センシング部側へ移動させる磁場を印加する磁場発生装置が更に備えられる、請求項9に記載の検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、化学・物理現象検出方法及びその装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
センシング部にイオン感応膜を備えた検出装置の例として、特許文献1に記載の累積型化学・物理現象検出装置が知られている。
この検出装置では、試料をセンシング部に接触させたときのセンシング部の電位変化を電荷量の変化に変換し、この電荷量の変化をフローティングディフュージョン部に蓄積して高感度なイオン濃度の検出を達成している。
この検出装置のセンシング部は、シリコン基板上にシリコン酸化膜(絶縁膜)を介してシリコン窒化膜(イオン感応膜)を積層した構造である。このセンシング部に接触する試料のイオン濃度に応じてシリコン窒化膜の電位が変化し、その変化に応じてシリコン基板表面の電位が変化するので、この電位変化量を電荷量変化に変換するためセンシング部の周囲に電荷供給(ID)部、電荷注入調節(ICG)部、ゲート(TG)部及びフローティングディフュージョン(FD)部が付設される。これらの電極材料のためセンシング部の周囲は盛り上がっており、換言すれば、センシング部は凹所の底面に存在している。
【0003】
同様の構造は、イオン感応型電解効果半導体センサ(ISFET)のセンサ面にも見られる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第4171820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試料に含まれる検出対象自体の化学現象や物理現象若しくは検出対象が引き起こすそれらの現象をより感度よく測定するには、検出対象をセンシング部に接触させるか若しくは近接させなければならない。
しかしながら、検出対象によってはこれをセンシング部に安定して接触ないし近接させることが困難な場合がある。例えば、検出対象の材料とセンシング部の材料とが化学的に反発する場合や、検出対象が微細かつ軽量で周囲(分散媒等)の分子運動の影響を受ける場合などであり、これらの場合、センシング部に対する検出対象の作用が不安定になる。
また、センシング部が凹所の底面に存在する構造のセンサ面を有するタイプの検出装置を集積した場合、凹所の開口面積が微小になるので、その底面に存在するセンシング部へ検出対象を安定して接触ないし近接させることがより困難になる。
【0006】
他方、抗原抗体反応、蛋白-蛋白反応、蛋白-低分子反応、DNA-DNAハイブリダイゼーション、DNA-RNAハイブリダイゼーションなどの分子間相互作用を利用した測定では、センシング部に分子の一方(例えば抗体)を植立しなければならない。この抗体が長いと、検出対象である抗原がこの抗体に結合してもセンシング部がそれに感応しないおそれがある。例えば、センシング部のデバイ長より抗体が長いとこの抗体に抗原が結合してもイオン交換膜に電位変化が生じないおそれがある。
分子間相互作用を利用した測定に関して言えば、微小な開口面積の凹所の底面に存在するセンシング部へ選択的に分子(例えば抗体)を植立することは極めて困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面は上記課題の少なくとも1つを解決するものであり、次のように規定される。即ち、
検出対象をセンシング部に接触若しくは近接させて、前記センシング部の電位変化を測定する化学・物理現象検出方法であって、
前記検出対象が捕捉された微小粒体を前記センシング部に固定した状態で、前記センシング部の電位変化を測定する化学・物理現象検出方法。
【0008】
このように規定される第1の局面の化学・物理現象検出方法では、検出対象を微小粒体に捕捉させているので、それ単体では安定してセンシング部に接触及び近接させることができない検出対象でも、微小粒体を適宜選択することにより、これを安定してセンシング部に接触若しくは近接させられる。
例えば、センシング部を構成するイオン感応膜のデバイ長より長い分子の抗体であっても、これを微小粒体の表面に植立(捕捉)してこれに抗原(検出対象)を反応させておいて、微小粒体をセンシング部へ固定すれば、抗体の分子長に関係なく、抗原をセンシング部へ接触ないし近接させられる。
【0009】
特にセンシング部がセンサ面の凹所の底面に存在するタイプでは、センシング部に対する抗体の植立が何ら要求されないので、センシング部自体を何ら変更する必要がない。換言すれば、異なる検出対象に対してこれを捕捉可能な微小粒子を適宜選択すれば、センシング部自体の構造は何ら変更を要しない(勿論、イオン交換膜の材料の選択は必要である)。
そこでこの発明の第2の局面は次のように規定される。
第1の局面の検出方法において、前記センサ面において前記センシング部が凹所の底面に存在し、前記微小粒体を前記凹所へ充填する充填ステップが含まれる。
【0010】
第2の局面において微小粒体を凹所に充填するには、微小粒体が凹所の底面、即ちセンシング部に近づくように力、即ち加速度を印加することが好ましい(第3の局面)。
微小粒体に加速度を印加する方法は、重力の利用、遠心力の利用、磁力の利用等特に限定されるものではないが、微小粒体を磁性材料で構成して磁力を利用することが装置構成を簡素化する見地から好ましい(第4の局面)。
凹所の底面、即ちセンシング部方向への力を微小粒体に加えると、微小粒体は凹所の周壁表面にも積層するおそれがある。この周壁表面に積層した微小粒体は、凹所内に充填されるべき微小粒体に干渉し、微小粒体が凹所に充填されることに妨げになる。
また、微小粒体に長い時間力を加えると、凹所が微小粒体で満杯になりこれからあふれ出るおそれがある。
このような余分な微小粒体はセンサチップのセンサ面から除去することが好ましい(第5の局面)。除去の方法は特に限定されるものではないが、センサ面をブレード等でスクレイプすることにより行える。
【0011】
検出装置を繰り返し利用するため、凹所に充填された微小粒体を当該凹所から離脱させることが好ましい。
凹所から微小粒体を離脱させるためには、微小粒体に対してそのセンシング部から離れる方向に力(重力、遠心力、磁力等)を加える。
微小粒体が磁性材料からなるときは、凹所の開口部の上方に磁石を配置して、凹所から微小粒体を吸い出す。
なお、微小粒体若しくは微小粒体に捕捉された検出対象がセンシング部に化学的に結合しているときは、当該化学結合を分解した後に力を加える。化学結合の分解の方法は特に限定されないが、検出対象自体を分解する酸、アルカリ又は酵素を加えることによる。
【0012】
上記において、
(検出対象)
検出対象は微小粒体に捕捉され、それ自体がセンシング部に対して直接的に若しくは間接的に作用して、センシング部の電位を変化させるものであれば特に制限されない。
検出対象は、試料の化学的な特性や物理的な特性を反映するものとし、例えば検出対象としてイオン種を選択したとき、その量を測定することより、検出対象のイオン濃度が特定される。
分子間相互作用を構成する一対の分子対の一方の分子(例えば抗原)を検出対象とするとき、抗原はそれ自体がイオン種となるか、又はそれ自体が化学変化してイオン種を生成するか、若しくは他の薬剤と反応してイオン種を生成するものとする。
より具体的には、検出対象として、(1)ウィルス、細菌、寄生虫、原虫(マラリヤ等)の病原体、(2)がん細胞、iPS細胞、白血球、卵子、精子、幹細胞(骨髄、神経等)の細胞、(3)酵素、サイトカイン、ホルモン(インシュリン等)、ヘビ毒、Aβ40等の蛋白/ペプチド、(4)DNA,mRNA,miRNA等の核酸、(5)合成化合物、薬物、核酸代謝産物(8OHdG等)、アミノ酸代謝産物、脂質代謝産物、糖代謝産物、天然化合物、ビタミン、毒素(テトロドトキシン等)の化合物、(6)水銀、鉛、亜鉛、クロム、コバルト、金、カドミウム、スズ、パラジウム、アマルガム等の金属を挙げることができる。
【0013】
検出対象としてエクソソームを採用したときは、エクソソーム自体を捕捉する抗体を微小粒体に植立するとともに、分解エクソソームから放出されたmiRNAとハイブリダイズするDNAを微小粒体に植立しておくことが好ましい。このDNAがmiRNAと結合することにより、miRNAも検出対象となる。エクソソームが微小粒体によりDAN近傍に捕捉されるので、エクソソーム由来のmiRNAに対する高い検出感度を達成できる。
上記を敷衍すれば、検出対象(上記の例では、miRNA)を含んだカプセル(同、エクソソーム)を微小粒体に結合された第1の捕捉体(同、エクソソーム抗体)で捕捉し、該カプセルを分解してその中に含まれる検出対象を放出させ、同じく微小粒体に結合された第2の捕捉体(同、DNA)で捕捉する。これによれば、まず試料溶液中におけるカプセルが微小粒体の第1の捕捉体で捕捉されて、試料溶液中で濃縮される。このように濃縮されたカプセルから放出される検出対象は同じく微小粒体に結合された(即ち、カプセルの近傍に存在する)第2の捕捉体で捕捉されるので、検出対象の無駄な分散が防止され、もって、検出対象を高い感度で検出可能となる。
【0014】
(検出装置)
微小粒体を一次的に若しくは恒久的に固定できるセンシング部を備える検出装置であれば特に限定されない。
そのセンシング部が凹所の底部に存在するタイプにおいて分子間相互作用の測定をする際に、微小粒体の利用効果が顕著になる。分子間相互作用を構成する分子対の一方(例えば抗体)を凹所の底面へ選択的に植立することは困難だからである。
かかるタイプの検出装置として、特許文献1に示すCCDタイプやISFETタイプがある。
【0015】
(微小粒体)
微小粒体の材質、形状、大きさ、捕捉方法は検出対象やセンシング部に応じて適宜選択される。
微小粒体の材質は試料に対して安定なものであればよく、金属やセラミックス等の無機材料やプラスチック等の有機材料、またはこれらのハイブリッド材料を用いることができる。磁場を利用する場合には外部磁場に影響されて移動可能な鉄などの磁性材料を用いる。
微小粒子の形状は、表面積を確保しかつ微小粒子同士の干渉を低減する見地から球状、若しくは楕円球状のものが好ましい。微小粒子は一次粒子でもそれらが集合してなる二次粒子その他の多次粒子でもかまわない。
微小粒子の大きさ(径)は捕捉する検出対象より十分に大きいものとする。分子間相互作用を利用した測定に用いる場合は、微小粒体に分子対の一方(抗体)を植立するので、当該微小粒体は抗体より十分大きいものとする。また、凹所の底面にセンシング部が存在する場合は、凹所の開口部より十分小さくする。
微小粒子による検出対象の捕捉の方法は、検出対象の特性に応じて任意に選択できる。既述のように検出対象が抗原の場合、微小粒子の表面の抗体を介して、間接的にこれを捕捉することができる。微小粒体の表面を化学的に修飾して、包接やキレート化等の方法で微小粒子を捕捉することができる。更には微小粒子自体に細孔を設けて、この細孔へ検出対象を吸着させる等の物理的な捕捉方法も採用できる。
【0016】
かかる微小粒体に検出対象を捕捉させるタイミングも任意に選択できる。例えば、予め検出対象を微小粒体に捕捉させておいてこれをセンシング部へ固定することもできるし、予め微小粒体をセンシング部へ固定しておいて、これを試料に接触させて微小粒体へ検出対象を捕捉させてもよい。
ここにおいて固定とは、センシング部に対して微小粒体の位置が変動しない状態をいう。換言すれば、この明細書で固定とは、微小粒体自体の位置変化に起因してセンシング部に電位変化を生じさせない状態を指す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施例の化学・物理検出装置の構成を示す断面図である。
【図2】化学・物理検出装置を集積したセンサチップを示す図面である。
【図3】微小粒体の構造を示す図である。
【図4】センシング部と微小粒体との関係を示す模式図である。
【図5】試料における検出対象濃度と実施例のセンサの出力との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施形態)
この発明の実施例の化学・物理現象検出装置の原理的な構成を図1に示す。
この検出装置は特許文献1に記載の検出装置と同一の原理的な構造を備え、図1に示すように、シリコン基板10にはn型ドープ領域11、13とp型ドープ領域15が形成されている。p型ドープ領域15にはゲート絶縁膜としてシリコン酸化膜19が積層されている。このシリコン酸化膜19の上に2つのゲート電極22及び24が設けられている。図1において上側面がセンサ面であり、シリコン酸化膜19に接するイオン感応膜23の部分がセンシング部3となる。なお、図示しない参照電極により試料の電位が一定に保たれることはいうまでもない。
図中の符号23はイオン感応膜であり、イオン種としてのアミロイド蛋白Aβ40を検出対象としたときには、シリコン窒化膜を採用した。
基板のn領域11、第1のゲート電極22、第2のゲート電極24及びn領域13はそれぞれ、端子ID、ICG、TG及びFDに接続され、所定の電位が所定のタイミングで印加される。その結果、基板のn領域11が電荷供給部1となり、第1のゲート電極22に対応する部分が電荷注入調節部2となり、イオン感応膜23に対応する部分がセンシング部3となり、第2のゲート電極24に対応する部分が障壁部4となり、n型領域13がフローティングディフュージョン部5となる。

【0019】
図2には、図1に示した検出装置1(素子)を集積したセンサチップを示す。図2において最も広い面積を占める中央の矩形部分に素子のセンサ面が集積され、センサチップにおけるセンサ面となる。
検出装置1では、図1に示すようにゲート電極22、24が存在するため、素子の上面においてセンシング部3は凹所の底面に存在していることがわかる。素子を集積化した図2に示すセンサチップでは、ゲート電極に加えて制御用の配線が付設されるため、センシング部3の周りは壁に囲まれることとなる。より具体的には、32×32の素子が集積された図2のセンサチップにおいて、センシング部3は13.5μm×24.5μmの矩形であり、その周りの壁の高さは3.0μmである。
なお、センシング部3の周りの壁の表面は、センシング部3と同じイオン感応膜23が表出している。
図1の検出装置1をそのままの状態で使用してアミロイド蛋白Aβ40を検出するためには、ミクロンオーダの狭い底面のセンシング部3へ選択的に抗Aβ抗体を配置してそこに固定(植立)することが求められるが、そのような手法は知られていない。
更には、抗アミロイド蛋白Aβ40抗体として汎用的な6E10を採用した場合、その分子長は約10nmである。他方、装置構成上、センシング部3は10~20nmのデバイ長(感応域)を有するので、センシング部3の表面へ選択的に抗体を植立することができたとしても、その抗体に捕捉されたアミロイド蛋白Aβ40はデバイ長外に存在する。よって、アミロイド蛋白Aβ40に対して十分な感度が確保できない。

【0020】
そこで、この実施例では、図3に示すように、微小粒体100の表面へ抗体101を植立させた。そして、この微小粒体100を、図4に示すように、センサ面の凹所110に充填した。
微小粒体100として、多摩川精機社製のFG beads(鉄製:粒径:約0.2μm)を採用し、アミロイド蛋白Aβ40の抗体101にはCovance社製の(分子長:約10nm)を採用した。微小粒体100に抗体101を次のようにして植立させた。リンカーとしてカルボキシル基を表面に有する微小粒子体100(COOH量:100~200nmol/mg)に、カップリング試薬であるエチル(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドとカルボン酸の活性化試薬であるN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を混合し、不安定なエステル結合を有するNHS体を形成させる。そこに抗体101を加えることで抗体のアミノ基と反応させ、アミド結合によって微小粒子体の周囲に抗体を植立させる。

【0021】
図4において、検出装置1の1つの素子のセンシング部3と他の素子のセンシング部3とを区画する壁部の幅は10~20μmである。
実施例では、抗体を植立させた微小粒体100を水に分散させ、これにセンシング部3が上向きとなるようにセンサチップを浸漬する(図4A)。その後、チップの裏面に磁石120(残留磁束密度:1.17~1.38テスラ、サイズ:1cm)を近接させ、水中に浮遊する微小粒体100をセンシング部3側へ吸引する(図4B)。凹所110内のセンシング部3の表面へ微小粒体100をより稠密に充填するには、磁力線が変化するように磁石120を回転若しくは移動させることが好ましい。更には、凹所110の上面をスクレイプして、センシング部3上へ微小粒体100が過剰に積層することを防止することが好ましい。
尚、図4Bでは磁石が各素子に対して対向配置されるように描かれているが、これは磁場を与える手段として概念的に描いたものであり、一辺が10mmに満たない図2のセンサチップでは、一つの磁石をセンサチップの裏面に配置して微小粒体へ磁場をかけている。
このようにして一旦微小粒体100を凹所110内に充填すると、磁石を外しても微小粒体100は安定して凹所110内に存在した。

【0022】
その後、センサチップを試料に浸漬する(図4C)。この試料は検出対象130としてのアミロイド蛋白Aβ40を含み、この蛋白は微小粒体100に植立された抗体101に結合する。即ち、微小粒体100へ間接的に捕捉されたこととなる。ここに、微小粒体100に植立された抗体101の中には、センシング部3の表面に対向するものがあるので、これに結合したアミロイド蛋白Aβ40はセンシング部3へ接触ないしそのデバイ長内において近接している(図4D)。これにより、アミロイド蛋白Aβ40に対する感度が向上する。
図4Dの状態においてセンサチップを稼働させる。センサチップに集積された各素子からの出力を合算して、センサチップの出力とした。なお、各素子からの出力を統計処理することにより、試料中のアミロイド蛋白Aβ40の濃度をより正確に特定できる。
測定終了後は、試料中もしくはこれから取り出して純水中に浸漬して、センシング部3から微小粒体100が離れるように磁場を印加する(先に使用した磁石をセンサチップの上面から近づける)。これにより、凹所110から微小粒体100が除去される。

【0023】
アミロイド蛋白Aβ40結合量の異なる微小粒子体100を準備して、上記の方法を実行したときに得られるセンサチップの出力を図5に示す。図5において、縦軸がセンサチップの出力、横軸がアミロイド蛋白Aβ40結合量をそれぞれ示す。
正常尿におけるアミロイド蛋白Aβ40の濃度が6.5pM=6.5fmol/mlであることに鑑みれば、尿中におけるアミロイド蛋白濃度の測定にこのセンサチップが利用可能であることがわかる。このとき、センサチップの全表面はわずか1mlの尿で被覆でき、更には、センシング面であれば一滴(20μl)で被覆できる。即ち、微量の試料の測定が可能である。
図5の結果では、mV単位の出力が得られている。出力単位をμVとしても、その値は正確に特定できることは言うまでもないので、センサチップのセンサ面に配置する検出装置のユニット数を10~数十個までに削減可能である。そうであれば、測定に要する試料の量も更に削減可能である。

【0024】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求に範囲の記載の趣旨を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
3 センシング部、100 微小粒体 101 抗体110 凹所、130検出対象
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図5】
3
【図2】
4