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明細書 :光学活性トリクロロメチル基含有化合物及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-132640 (P2016-132640A)
公開日 平成28年7月25日(2016.7.25)
発明の名称または考案の名称 光学活性トリクロロメチル基含有化合物及びその製造方法
国際特許分類 C07C  67/343       (2006.01)
C07C  69/65        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
B01J  31/02        (2006.01)
FI C07C 67/343 CSP
C07C 69/65
C07B 53/00 B
B01J 31/02 102Z
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2015-008256 (P2015-008256)
出願日 平成27年1月20日(2015.1.20)
発明者または考案者 【氏名】柴田 哲男
【氏名】西峯 貴之
【氏名】平等 尋巳
【氏名】徳永 恵津子
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
4H006
Fターム 4G169AA06
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE06A
4G169BE07A
4G169BE07B
4G169BE13B
4G169BE16A
4G169BE16B
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169BE38A
4G169BE38B
4G169CB57
4G169CB68
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC24
4H006AC81
4H006BA51
4H006BB12
4H006BJ50
4H006BM10
4H006BM30
4H006BM71
4H006BM72
4H006BM73
4H006KA31
4H006KC14
要約 【課題】不斉有機触媒を用いた直接的エナンチオ選択的トリクロロメチル基導入法を鍵反応とした光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物合成法の提供。
【解決手段】鍵反応として,クロロホルム中,トリフルオロメチルトリメチルシランとシンコナアルカロイド触媒を用い,アリルフルオリドに対し直接的エナンチオ選択的トリクロロメチル基を導入し,目的物である光学活性なアリル位トリクロロメチル基含有化合物を得る方法。
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【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で示されるアリルフルオリドと,トリフルオロメチルトリメチルシランをクロロホルム中,触媒量のシンコナアルカロイド触媒存在下で反応させることにより,下記一般式(2)で示される光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物を高エナンチオ選択的に製造する方法。
【化1】
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(式中,R,R及びRは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基,アリールオキシ基,アルコキシ基,アミノ基,アルキルチオ基,カルボキシ基,カルバモイル基,ヒドロキシル基,シアノ基,又はニトロ基を示す。式中,Rは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,又はアリール基を示す。なおRおよびRが一体となって,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。)
【化2】
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(式中,R,R,R及びRは上記一般式(1)に記載のR,R,R及びRと同じものを示す。)
【請求項2】
下記一般式(2)で示される,光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物。
【化3】
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(式中,R,R,R及びRは上記一般式(1)に記載のR,R,R及びRと同じものを示す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】

本発明は,光学活性トリクロロメチル基含有化合物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年見出されている海洋天然物には,不斉中心にトリクロロメチル基を持つ化合物が多く存在する(非特許文献1)。それらの天然物には多様な生理活性を持つものが多いことから,特に創薬研究において光学活性トリクロロメチル基含有化合物が大きな注目を集めている。そのため,その簡便な合成手法の開発は重要な研究課題となっている。光学活性トリクロロメチル基含有化合物の立体選択的合成法にはビルディングブロック法と直接法の2種類が考えられる。プロキラルなトリクロロメチル基含有ビルディングブロックに対する不斉求核付加反応がいくつか報告されているが,予めトリクロロメチル基を持った基質を合成する必要があるため,基質適応範囲は非常に限られる(非特許文献2)。一方,直接法は全合成の最終段階においてもトリクロロメチル基を目的分子に導入可能であるため,その基質一般性は極めて広い。そこで近年の研究では直接的トリクロロメチル基導入法の開発が精力的に進められてきた。数多くの合成例が報告されているが,いずれも予め目的分子に不斉補助基を持った基質に対するジアステレオ選択的手法のみであり,不斉触媒を用いたエナンチオ選択的手法の開発は未だ達成されていない(非特許文献3,4,5)。一般的に高価である不斉源の触媒化はプロセスケミストリーの観点からも非常に重要であり,直接的エナンチオ選択的なトリクロロメチル基導入法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Balunas, M.J.; Linington, R.G.; Tidgewell, K.; Fenner, A.M.; Urena, L.-D.; Togna, G.D.; Kyle, D.E.; Gerwick, W.H. J. Nat. Prod. 2010, 73, 60.
【非特許文献2】Wang, W.; Lian, X.; Chen, D.; Liu, X.; Lin, L.; Feng, X. Chem. Commun. 2011, 47, 7821.
【非特許文献3】Gu, Z.; Herrmann, A.T.; Zakarian, A. Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 7136.
【非特許文献4】Lee, C.-W.; Lira, R.; Dutra, J.; Ogilvie, K.; O’Neill,B.T.; Brodney, M.; Helal, C.; Young, J.; Lachapelle, E.; Sakya, S.; Murray, J.C. J. Org. Chem.2013, 78, 2661.
【非特許文献5】Fustero, S.; Herrera, L.; Lazaro, R.; Rodriguez, E.; Maestro, M.A.; Mateu, N.; Barrio, P. Chem. Eur. J. 2013, 19, 11776.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記点に鑑みて,不斉有機触媒を用いた直接的エナンチオ選択的トリクロロメチル基導入法を鍵反応とした光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物の合成法開発を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,以前発明者らが開発し非特許文献6に開示した森田-ベイリス-ヒルマンアリルフルオリドに対する不斉トリフルオロメチル化反応を参考に,鍵反応として,クロロホルム中,トリフルオロメチルトリメチルシランとシンコナアルカロイド触媒を用い,下記一般式(1)で示される森田-ベイリス-ヒルマン付加体より誘導したアリルフルオリドに対する直接的エナンチオ選択的トリクロロメチル基導入法の開発に成功し,目的物である下記一般式(2)で示す光学活性なアリル位トリクロロメチル基含有化合物が合成できることを見出した。当該合成の反応は系内で発生するトリフルオロメチルアニオンが強塩基として作用し,溶媒であるクロロホルムのプロトンを引き抜くことでトリクロロメチルアニオンを発生させる特徴を持つ(非特許文献7)。
(非特許文献6)Nishimine, T.; Fukushi, K.; Shibata, N.; Taira, H.; Tokunaga, E.; Yamano, A.; Shiro, M.; Shibata, N. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 517.
(非特許文献7)Behr, J.-B.; Chavaria, D.; Plantier-Royon, R. J. Org. Chem. 2013, 78, 11477.
【0006】
すなわち,請求項1に記載の発明は,下記一般式(1)で示されるアリルフルオリドと,トリフルオロメチルトリメチルシランをクロロホルム中,触媒量のシンコナアルカロイド触媒存在下で反応させることにより,高エナンチオ選択的に下記一般式(2)で示される光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物を製造する方法にある。


【0007】
【化1】
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【0008】
(式中,R,R及びRは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基,アリールオキシ基,アルコキシ基,アミノ基,アルキルチオ基,カルボキシ基,カルバモイル基,ヒドロキシル基,シアノ基,又はニトロ基を示す。式中,Rは水素原子,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,又はアリール基を示す。なおRおよびRが一体となって,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。)
【0009】
【化2】
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【0010】
(式中,R,R,R及びRは上記一般式(1)に記載のR,R,R及びRと同じものを示す。)
請求項2に記載の発明は,前記請求項1記載の方法により製造される,前記一般式(2)で示される光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において,R,R,R及びRが示すアルキル基としては,例えば,炭素数1乃至20程度のアルキル基を用いることができる。具体的には,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,プロピル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,トリデシル基,テトラデシル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基,イコシル基,又はこれらの環状アルキル基,分鎖アルキル基などを用いることができる。アルキル基はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよい。
,R,R及びRが示すアルケニル基又はアルキニル基に含まれる不飽和結合の数は特に限定されないが,好ましくは1乃至2個程度である。該アルケニル基又はアルキニル基は,直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。
,R,R及びRが示すアラルキル基は,例としてベンジル基,ペンタフルオロベンジル基,o-メチルベンジル基,m-メチルベンジル基,p-メチルベンジル基,p-ニトロベンジル基,ナフチルメチル基,フルフリル基,α-フェネチル基等が挙げられる。
,R,R及びRが示すアリール基としては,ヘテロアリール基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2~30のアリール基,具体的にはフェニル基,ナフチル基,アンスラニル基,ピレニル基,ビフェニル基,インデニル基,テトラヒドロナフチル基,ピリジル基,ピリミジニル基,ピラジニル基,ピリダニジル基,ピペラジニル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,キニリル基,ピロリル基,インドリル基,フリル基,トリアゾール基などが挙げることができる。
,R及びRが示すアリールオキシ基としては,ヘテロアリールオキシ基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2~30のアリール基,具体的にはフェニルオキシ基,ナフチルオキシ基,アンスラニルオキシ基,ピレニルオキシ基,ビフェニルオキシ基,インデニルオキシ基,テトラヒドロナフチルオキシ基,ピリジルオキシ基,ピリミジニルオキシ基,ピラジニルオキシ基,ピリダニジルオキシ基,ピペラジニルオキシ基,ピラゾリルオキシ基,イミダゾリルオキシ基,キニリルオキシ基,ピロリルオキシ基,インドリルオキシ基,フリルオキシ基などが挙げることができる。
,R及びRが示すアルコキシ基としては,例えば,炭素数1~6程度のアルコキシ基を用いることができる。より具体的には,メトキシ基,エトキシ基,n-プロポキシ基,イソプロポキシ基,n-ブトキシ基,sec-ブトキシ基,tert-ブトキシ基,シクロプロピルメチルオキシ基,n-ペントキシ基,n-ヘキソキシ基,トリエチレングリコシル基などを挙げることができる。
,R及びRが示すアミノ基が置換基を有する場合,置換基として,例えば,上記に説明した炭素数1~10程度のアルキル基又はハロゲン化アルキル基等を有していてもよい。より具体的には,炭素数1~6程度のアルキル基で置換されたモノアルキルアミノ基,又は炭素数1~6程度の2個のアルキル基で置換されたジアルキルアミノ基(2個のアルキル基は同一でも異なっていてもよい)などを挙げることができる。
,R及びRが示すアルキルチオ基としては,上記に説明した炭素数1~10程度のアルキルチオ基を用いることができる。例えば,メチルチオ基,エチルチオ基などを挙げることができる。
,R及びRが示すカルボキシ基としては,例えば,アルキル基,アルコキシ基,アルケニル基,アルキニル基,又はアリール基を有するカルボキシ基を用いることができる。具体的には,アセトキシ基,プロピオノキシ基,ブタノキシ基,ペンタノキシ基,ヘキサノキシ基,メトキシカルボニル基,エトキシカルボニル基などが挙げられる。
,R及びRが示すカルバモイル基が置換基を有する場合,置換基として,例えば,上記に説明した炭素数1~6程度のアルキル基又はハロゲン化アルキル基等を有していてもよい。カルバモイル基が2個の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
及びRで形成されうる前記環状構造の例としては,4員環から20員環でなる単環,双環,又はそれ以上の多環の構造を示すことができる。これらの環状構造はヘテロ原子を有してもよい。
アルキル基又はアルキル部分を含む置換基(例えば,アルコキシ基,アルキルチオ基など)のアルキル部分,アリール基又はアリール部分を含む置換基(例えば,アリールオキシ基など)のアリール部分は,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,及びヨウ素原子からなる群から選ばれる1又は2個以上のハロゲン原子有していてもよく,2個以上のハロゲン原子が置換している場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
シンコナアルカロイド触媒は特に限定されないが,下記の一般式(3),(4),(5)及び(6)で表される。

【0012】
【化3】
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【0013】
(式中,R5は,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基,アルコキシ基またはアミノ基を示す。R6は置換もしくは未置換のアルコキシ基またはアミノ基,ウレア基,チオウレア基を示す。式中,R7は,エチル基もしくはビニル基を示す。)
本明細書において,R5のアルキル基としては,例えば,炭素数1乃至20程度のアルキル基を用いることができる。具体的には,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,ノニル基,デシル基,ウンデシル基,ドデシル基,トリデシル基,テトラデシル基,ペンタデシル基,ヘキサデシル基,ヘプタデシル基,オクタデシル基,ノナデシル基,イコシル基,又はこれらの環状アルキル基,分鎖アルキル基などを用いることができる。
5のアルケニル基又はアルキニル基に含まれる不飽和結合の数は特に限定されないが,好ましくは1乃至2個程度である。該アルケニル基又はアルキニル基は,直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。
5が示すアリール基としては,ヘテロアリール基も含有し,具体例としては,例えば炭素数2~30のアリール基,具体的にはフェニル基,ナフチル基,アンスラニル基,ピレニル基,ビフェニル基,インデニル基,テトラヒドロナフチル基,ピリジル基,ピリミジニル基,ピラジニル基,ピリダニジル基,ピペラジニル基,ピラゾリル基,イミダゾリル基,キニリル基,ピロリル基,インドリル基,フリル基などが挙げることができる。
アルキル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アルケニル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アルキニル基はフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
アラルキル基は,例としてベンジル基,ペンタフルオロベンジル基,o-メチルベンジル基,m-メチルベンジル基,p-メチルベンジル基,p-ニトロベンジル基,ナフチルメチル基,フルフリル基,α-フェネチル基等が挙げられる。
アリール基はアルキル基,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,シアノ基,ニトロ基,アリール基,アシル基,アルコキシ基,アリールオキシ基,アシルオキシ基などの置換基で置換されていてもよく,2個以上の置換基を有する場合には,それらは同一でも異なっていてもよい。
5およびR6が示すアミノ基は,N上に水素,置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アラルキル基,アルキニル基,アリール基の置換基が1つか2つ置換しているものが挙げられる。置換基はそれぞれ独立しており,同一である必要はない。アミノ基は,置換基を組み合わせて形成されうる環状構造を形成することができる。特に3員環から20員環でなる単環,双環,またはそれ以上の多環の構造を示すことができる。また,ヘテロ原子の介在もしくは非介在で環状構造の一部を形成してもよい。
5およびR6が示すアルコキシ基は炭素数が1~20のアルコキシ基が好ましく,炭素数が1~10のアルコキシ基がさらに好ましい。アルコキシ基の場合も上記のアルキル基の場合と同様の置換基により置換されていてもよい。
6が示すウレア基は置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基を有する。
6が示すチオウレア基は置換もしくは未置換のアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,アラルキル基,アリール基を有する。
市販されているシンコナアルカロイド触媒としては,キニン,キニジン,シンコニン,シンコニジン以外に(DHQD)2PYR,(DHQD)2PHAL,(DHQD)2AQN,(DHQ)2PYR,(DHQ)2PHAL,(DHQ)2AQNなども用いることができる。以上のシンコナアルカロイド触媒が挙げられるが,光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物の合成には(DHQD)2PHALが最も好ましい。
光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物の合成に用いることが可能な溶媒は,クロロホルムのみである。
本発明の光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物の絶対配置は(S)又は(R)配置のいずれであってもよく,光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体はいずれも本発明の範囲に包含される。光学的に純粋な形態の異性体は本発明の好ましい態様である。また,立体異性体の任意の混合物,ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。
前記一般式(2)の製造は加圧下に行うこともできるが,通常は常圧で行う。反応温度は-80℃から溶媒の沸点までの間で行うことができるが,好ましくは-80℃乃至25℃付近である。反応時間は特に限定されるものではないが,通常1日~5日で反応は完結する。
反応後,前記一般式(2)で示される光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物は一般的な手法によって反応液から単離および精製することができ,例えば反応液を濃縮した後,シリカゲル,アルミナ等の吸着剤を用いたカラムクロマトグラフ法での精製,塩析,再結晶,昇華等が挙げられる。
本発明の光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物の製造方法は特に限定されないが,前記式(1)で示される,非特許文献6を参考に合成されるアリルフルオリドに対して,公知又は市販のトリフルオロメチルトリメチルシランを,公知又は市販のシンコナアルカロイド触媒存在下,公知又は市販のクロロホルム中において反応させることによって前記式(2)の光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物を製造することができる。
以下,実施形態により本発明をさらに具体的に説明するが,本発明の範囲は下記の実施形態に限定されることはない。

【0014】

(第1実施形態) 前記一般式(2)の一般的な製造方法:
トリフルオロメチルトリメチルシラン(0.4 mmol),下記の構造式3aで示す市販のシンコナアルカロイド触媒である(DHQD)2PHAL(0.02 mmol)をクロロホルム0.2 mLに溶かし,-60℃においてアリルフルオリド1(0.2 mmol)を加えた。120時間撹拌した後,ジエチルエーテルを溶出液としてショートカラムを行い,反応を停止した。集めた有機相を減圧下で留去し,得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することで光学活性アリル位トリクロロメチル基含有化合物2を得た。

【0015】
【化4】
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【0016】
【化5】
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【0017】
Compound 2a: メチル4,4,4-トリクロロ-2-メチレン-3-フェニルブタノレート
1H NMR (CDCl3,300 MHz): δ 3.72 (s, 3H), 5.31 (s, 1H), 6.56 (s, 1H), 6.69 (s, 1H), 7.33-7.34 (m, 3H), 7.54-7.56 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 150.9 MHz): δ 52.5 (d, J = 2.1 Hz), 63.3, 100.8, 128.1, 128.3, 128.4, 130.9, 135.4, 137.8, 166.5 ; IR (neat): 2951, 2846, 1718, 1630, 1439, 1270, 1147, 960, 852, 612 cm-1; Mp = 38.9-39.9 oC (n-Hexane); HRMS (ESI) calcd. for C12H11Cl3NaO2: (M+Na+) 314.9722, found: 314.9729; The ee of the product was determined by HPLC using an IB column (n-Hexane/CHCl3 = 90/10, flow late 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 5.4 min, τmin= 8.9 min); [α]D25= +76.0 (c = 0.70, CHCl3), 94% ee.

【0018】
【化6】
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【0019】
Compound 2b: メチル4,4,4-トリクロロ-2-メチレン-3-p-トリルブタノレート
1H NMR (CDCl3,300 MHz): δ 2.34 (s, 3H), 3.71 (s, 3H), 5.27 (s,1H), 6.55 (s, 1H), 6.67 (s, 1H), 7.15 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.43 (d, J = 7.8 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 150.9 MHz): δ 21.1, 52.5 (d, J = 1.7 Hz), 63.0, 101.0, 128.1, 128.8, 130.8, 132.4, 137.9, 138.3, 166.5; IR (neat): 3416, 2958, 2926, 2862, 1718, 1630, 1437, 1266, 1144, 787, 608 cm-1; Mp = 61.7-62.3 oC (n-Hexane); HRMS (ESI) calcd. for C13H13Cl3NaO2: (M+Na+) 328.9879, found: 328.9880; The ee of the product was determined by HPLC using an IB column (n-Hexane/CHCl3 = 90/10, flow late 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 4.8 min, τmin= 6.8 min); [α]D25= +82.8 (c = 0.64, CHCl3), 88% ee.

【0020】
【化7】
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【0021】
Compound 2c: メチル4,4,4-トリクロロ-2-メチレン-3-m-トリルブタノレート
1H NMR (CDCl3,300 MHz): δ 2.36 (s, 3H), 3.73 (s, 3H), δ 5.28 (s, 1H), δ 6.55 (s, 1H), δ 6.68 (s, 1H), 7.14-7.38 (m, 4H); 13C NMR (CDCl3, 150.9 MHz): δ 21.5, 52.5 (d, J = 2.0 Hz), 63.2, 100.8, 127.8, 127.9, 128.4, 129.2, 131.6, 135.4, 137.7, 137.8, 166.6; IR (neat): 2952, 2925, 2848, 1718, 1630, 1440, 1269, 1147, 787, 622 cm-1; HRMS (ESI) calcd. for C13H13Cl3NaO2: (M+Na+) 328.9879, found: 328.9888; The ee of the product was determined by HPLC using an IB column (n-Hexane/CHCl3 = 90/10, flow late 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 4.8 min, τmin= 6.7 min); [α]D25= +77.0 (c = 0.92, CHCl3), 95% ee.

【0022】
【化8】
JP2016132640A_000009t.gif

【0023】
Compound 2d: メチル4,4,4-トリクロロ-2-メチレン-3-o-トリルブタノレート
1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 2.59 (s, 3H), 3.72 (s, 3H),5.62 (s, 1H), 6.53 (s, 1H), 6.65 (s, 1H), 7.21 (s, 3H), 7.69 (d, J = 6.6 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 150.9 MHz): δ 20.5, 52.5 (d, J = 2.4 Hz), 58.0, 101.4, 125.5, 128.2, 128.6, 129.0, 130.9, 134.5, 138.2, 138.8, 166.8; IR (neat): 2953, 2847, 1718, 1629, 1440, 1269, 1147, 743, 617 cm-1; HRMS (ESI) calcd. for C13H13Cl3NaO2: (M+Na+) 328.9879, found: 328.9877; The ee of the product was determined by HPLC using an IB column (n-Hexane/CHCl3 = 90/10, flow late 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 4.8 min, τmin= 6.5 min); [α]D25= +59.4 (c = 1.20, CHCl3), 88% ee.

【0024】
【化9】
JP2016132640A_000010t.gif

【0025】
Compound 2e:メチル3-(4-ブロモフェニル)-4,4,4-トリクロロ-2-メチレンブタノレート
1H NMR (CDCl3,300 MHz): δ 3.72 (s, 3H), 5.25 (s, 1H), 6.55 (s, 1H), 6.70 (s, 1H), 7.40-7.50 (m, 4H); 13C NMR (CDCl3, 150.9 MHz): δ 52.6 (d, J = 1.7 Hz), 62.8, 100.1, 122.9, 128.4, 131.3, 132.5, 134.4, 137.3, 166.3; IR (neat): 3405, 2960, 2927, 2850, 1713, 1631, 1486, 1275, 1152, 773, 600 cm-1; Mp = 73.0-73.8 oC (n-Hexane); HRMS (ESI) calcd. for C12H10BrCl3NaO2: (M+Na+) 392.8827, found: 392.8806; The ee of the product was determined by HPLC using an IB column (n-Hexane/CHCl3 = 98/2, flow late 0.5 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 19.2 min, τmin= 23.4 min); [α]D25= +78.7 (c = 1.24, CHCl3), 88% ee.

【0026】
【化10】
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【0027】
Compound 2f:メチル4,4,4-トリクロロ-3-{4-(トリフルオロメチル)フェニル}-2-メチレンブタノレート
1H NMR (CDCl3,300 MHz): δ 3.73 (s, 3H), 5.37 (s, 1H), 6.58 (s, 1H), 6.74 (s, 1H), 7.60-7.70 (m, 4H);13C NMR (CDCl3, 150.9 MHz): δ 52.6 (d, J = 1.7 Hz), 63.0, 99.9, 123.9 (q, J = 272.2 Hz), 128.9, 130.6 (q, J = 32.7 Hz), 131.3, 137.2, 139.4 (d, J = 1.1 Hz), 166.2; 19F NMR (CDCl3, 282 MHz): δ -63.2 (s, 3F); IR (neat): 3410, 2959, 2932, 2849, 1714, 1632, 1446, 1323, 1275, 972, 790, 628 cm-1; Mp = 49.7-50.2 oC (n-Hexane); HRMS (ESI) calcd. for C13H10Cl3F3NaO2: (M+Na+) 382.9596, found: 382.9608; The ee of the product was determined by HPLC using an IB column (n-Hexane/CHCl3 = 98/2, flow late 0.5 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 16.7 min, τmin= 19.5 min); [α]D25= +70.2 (c = 1.31, CHCl3), 87% ee.

【0028】
【化11】
JP2016132640A_000012t.gif

【0029】
Compound 2g:メチル4,4,4-トリクロロ-2-メチレン-3-(4-ニトロフェニル)ブタノレート
1H NMR (CDCl3,300 MHz): δ 3.74 (s, 3H), 5.41 (s, 1H), 6.61 (s, 1H), 6.78 (s, 1H), 7.74 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.21 (d, J = 8.4 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 150.9 MHz): δ 52.7 (d, J = 1.1 Hz), 62.9, 99.3, 123.2, 129.3, 131.9, 136.8, 142.5, 147.8, 166.0; IR (neat): 2956, 2930, 2853, 1948, 1712, 1525, 1349, 1271, 1147, 784, 600 cm-1; Mp = 68.8-69.6 oC (n-Hexane); HRMS (ESI) calcd. for C12H10Cl3NNaO4: (M+Na+) 359.9573, found: 359.9562; The ee of the product was determined by HPLC using an IB column (n-Hexane/CHCl3 = 90/10, flow late 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 10.4 min, τmin= 12.9 min); [α]D25= +77.4 (c = 0.70, CHCl3), 81% ee.

【0030】
【化12】
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【0031】
Compound 2h:メチル4,4,4-トリクロロ-2-メチレン-3-(ナフタレン-3-イル)ブタノレート
1H NMR (CDCl3,300 MHz): δ 3.69 (s, 3H), 5.48 (s, 1H), 6.63 (s, 1H), 6.74 (s, 1H), 7.47-7.50 (m, 2H), 7.64-7.67 (m, 1H), 7.80-7.83 (m, 2H), 8.01 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 150.9 MHz): δ 52.5 (d, J = 2.1 Hz), 63.4, 100.8, 126.2, 126.6, 127.5, 127.6, 128.2, 128.2, 128.4, 130.5, 132.8, 132.9, 133.0, 137.7, 166.5; IR (neat): 2956, 2938, 2847, 1709, 1623, 1440, 1259, 1141, 978, 788, 595 cm-1; Mp = 63.2-63.6 oC (n-Hexane); HRMS (ESI) calcd. for C16H13Cl3NaO2: (M+Na+) 364.9879, found: 364.9880; The ee of the product was determined by HPLC using an IB column (n-Hexane/CHCl3 = 98/2, flow late 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 13.6 min, τmin= 16.8 min); [α]D25= +83.7 (c = 0.50, CHCl3), 90% ee.

【0032】
【化13】
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【0033】
Compound 2i:エチル4,4,4-トリクロロ-2-メチレン-3-フェニルブタノレート
1H NMR (CDCl3,300 MHz): δ 1.23 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 4.09-4.22 (m, 2H), 5.30 (s,1H), 6.53 (s, 1H), 6.69 (s, 1H), 7.34 (s, 3H), 7.54-7.55 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 150.9 MHz): δ 14.0, 61.5, 63.3, 100.8, 128.0, 128.1, 128.4, 130.9, 135.6, 138.0, 166.0; IR (neat): 2982, 2937, 2872, 1715, 1631, 1454, 1264, 1146, 699, 609 cm-1; HRMS (ESI) calcd. for C13H13Cl3NaO2: (M+Na+) 328.9879, found: 328.9875; The ee of the product was determined by HPLC using an IB column (n-Hexane/CHCl3 = 90/10, flow late 1.0 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 4.6 min, τmin= 6.7 min); [α]D25= +79.1 (c = 1.06, CHCl3), 94% ee.

【0034】
【化14】
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【0035】
Compound 2j:tert-ブチル4,4,4-トリクロロ-2-メチレン-3-フェニルブタノレート
1H NMR (CDCl3,300 MHz): δ 1.37 (s, 9H), 5.21 (s, 1H), 6.41 (s,1H), 6.60 (s, 1H), 7.34 (s, 3H), 7.52-7.53 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 150.9 MHz): δ 27.8, 63.5, 81.7, 100.8, 127.3, 128.0, 128.3, 131.0, 135.9, 139.2, 165.2 ; IR (neat): 3388, 2976, 2933, 2872, 1699, 1628, 1368, 1282, 1147, 701, 607 cm-1; Mp = 78.0-78.7 oC (n-Hexane); HRMS (ESI) calcd. for C15H17Cl3NaO2: (M+Na+) 357.0192, found: 357.0183; The ee of the product was determined by HPLC using an IA-3 column (n-Hexane/CHCl3 = 98/2, flow late 0.5 mL/min, λ = 254 nm, τmaj = 12.2 min, τmin= 11.3 min); [α]D25= +68.5 (c = 0.51, CHCl3), 97% ee.