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明細書 :非共有結合性エラストマー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-089099 (P2016-089099A)
公開日 平成28年5月23日(2016.5.23)
発明の名称または考案の名称 非共有結合性エラストマー
国際特許分類 C08F 293/00        (2006.01)
FI C08F 293/00
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2014-227272 (P2014-227272)
出願日 平成26年11月7日(2014.11.7)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り (1)集会名 第63回高分子学会年次大会 開催日 平成26年5月30日 (2)発行者名 公益社団法人高分子学会 刊行物名 第63回高分子学会年次大会 高分子学会予稿集 第63巻第1号 発行年月日 平成26年5月9日 (3)集会名 一般社団法人日本レオロジー学会2014年通年総会および第41年会 開催日 平成26年5月15日 (4)発行者名 一般社団法人日本レオロジー学会 刊行物名 日本レオロジー学会第41年会講演予稿集2014 発行年月日 平成26年5月15日 (5)http://main.spsj.or.jp/tohron.html 掲載年月日 平成26年9月3日 (6)集会名 第149回東海高分子研究会講演会(2014年夏期合宿) 開催日 平成26年9月5日 (7)集会名 第63回高分子討論会 開催日 平成26年9月25日 (8)集会名 関西レオロジー研究会2014年度学生ワークショップ 開催日 平成26年10月14日 (9)集会名 第62回レオロジー討論会 開催日 平成26年10月15日 (10)発行者名 日本レオロジー学会・日本バイオレオロジー学会 刊行物名 第62回レオロジー討論会講演要旨集 開催日 平成26年10月15日 (11)http://www.tetrapod.t.u-tokyo.ac.jp/network/PNGS/PN%26G2014-Home.html 掲載年月日 平成26年11月4日
発明者または考案者 【氏名】野呂 篤史
【氏名】林 幹大
【氏名】平松 竜輔
【氏名】松下 裕秀
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000017、【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4J026
Fターム 4J026HA02
4J026HA06
4J026HA10
4J026HA11
4J026HA13
4J026HA14
4J026HA15
4J026HA16
4J026HA19
4J026HA22
4J026HA29
4J026HA32
4J026HA38
4J026HA43
4J026HA48
4J026HB06
4J026HB08
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4J026HB29
4J026HB32
4J026HB38
4J026HB42
4J026HB45
4J026HB48
4J026HE02
要約 【課題】A鎖及びB鎖からなる2成分ブロック共重合体に非共有結合能を持たせたエラストマーを提供する。
【解決手段】本発明の非共有結合性エラストマーは、A鎖及びB鎖からなる2成分ブロック共重合体を主成分とするエラストマーであって、A鎖は、ガラス転位温度が35℃以上のポリマー鎖であり、B鎖は、平均重合度が前記A鎖より大きくガラス転位温度が35℃未満のポリマー鎖であり、非共有結合可能な官能基を有するモノマーが重合した部分を含むものである。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
A鎖及びB鎖からなる2成分ブロック共重合体を主成分とするエラストマーであって、
前記A鎖は、ガラス転位温度が35℃以上のポリマー鎖であり、
前記B鎖は、平均重合度が前記A鎖より大きくガラス転位温度が35℃未満のポリマー鎖であり、非共有結合可能な官能基を有するモノマーが重合した部分を含む、
非共有結合性エラストマー。
【請求項2】
前記ブロック共重合体は、AB及び/又はABAブロック共重合体である、
請求項1に記載の非共有結合性エラストマー。
【請求項3】
前記非共有結合可能な官能基は、水素結合可能な官能基である、
請求項1又は2に記載の非共有結合性エラストマー。
【請求項4】
前記水素結合可能な官能基は、アミド基、カルボン酸基及びヒドロキシ基からなる群より選ばれた1種以上である、
請求項3に記載の非共有結合性エラストマー。
【請求項5】
前記A鎖は、ポリスチレン類、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類及びポリビニルピリジン類からなる群より選ばれた1種であり、
前記B鎖は、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アルケン類、アルキルスチレン類及びビニルエーテル類からなる群より選ばれたモノマーからなる主ポリマー鎖に、前記非共有結合可能な官能基を有するモノマーを重合により含有させたものである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の非共有結合性エラストマー。
【請求項6】
前記A鎖同士が非共有結合している、
請求項1~5のいずれか1項に記載の非共有結合性エラストマー。
【請求項7】
前記A鎖は、ポリビニルピリジン類であり、隣合う前記ブロック共重合体中のA鎖のポリビニルピリジン類のN原子同士が金属イオンに配位している、
請求項6に記載の非共有結合性エラストマー。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、非共有結合性エラストマーに関する。
【背景技術】
【0002】
室温付近においてガラス状の硬いポリマー成分と室温付近において溶融状態の柔らかいポリマー成分とを繋いで得られるポリマーは、流動しないものの特有の柔らかさと弾性を同時に発現する材料になり、これはエラストマーと呼ばれる。こうしたエラストマーは、温度を上げるとガラス状のポリマー成分も溶融成分となって流動するため、成形加工が容易な材料として広く利用されている。典型的なエラストマーとしては、分子量が数万~20万程度のABAブロック共重合体(A鎖:ガラス状のポリマー鎖、B鎖:溶融状態のポリマー鎖)が挙げられ、その合成法としては、アニオン重合をベースとした方法が提案されている。この種のエラストマーは、近年でも、A鎖やB鎖の種類を変更したものが多数検討されている(例えば特許文献1参照)。エラストマーと同様の分子構築を用いるポリマーゲルの調製において、本発明者らは、最近、A鎖と水素結合や配位結合などの非共有結合が可能な架橋剤(C)をABAブロック共重合体と混合することによりA/C混合物理架橋ドメインを形成させ、そのドメイン内での水素結合を形成・解離させることにより巨視的な物性を制御できることを報告した(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】国際公開第2009/154251号パンフレット
【0004】

【非特許文献1】マクロモレキュールズ(Macromolecules),2009年,42巻,5802頁-5810頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ABAブロック共重合体のB鎖に着目して物性を制御した報告はこれまでほとんど知られていない。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、A鎖及びB鎖からなる2成分ブロック共重合体のB鎖に非共有結合能を持たせたエラストマーを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明者らは、A鎖及びB鎖からなる2成分ブロック共重合体のB鎖にアクリルアミドが重合した部分を含ませると分子間でそのアミド部位が水素結合して擬似架橋することにより優れた弾性特性を有する非共有結合性エラストマーが得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の非共有結合性エラストマーは、
A鎖及びB鎖からなる2成分ブロック共重合体を主成分とするエラストマーであって、
A鎖は、ガラス転位温度(Tg)が35℃以上のポリマー鎖であり、
B鎖は、平均重合度が前記A鎖より大きくガラス転位温度(Tg)が35℃未満のポリマー鎖であり、非共有結合可能な官能基を有するモノマーが重合した部分を含む、
ものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の非共有結合性エラストマーは、A鎖が室温付近でガラス状態の硬いポリマー鎖であり、B鎖が室温付近で溶融状態の柔らかいポリマー鎖であるため、全体として室温付近で弾性を示す。また、B鎖には非共有結合可能な官能基を有するモノマーが重合した部分が含まれているため、分子間でモノマー成分が非共有結合して擬似架橋(ソフト架橋)することにより、破断伸びや最大応力、靱性などの弾性特性を向上させることができる。更に、加熱してA鎖を溶融又はそれに近い状態にすれば可塑性が高まり、その後再び室温付近に戻せばA鎖がガラス状態になるため弾性を示すようになる。なお、図1は本発明の非共有結合性エラストマーの主成分であるABAブロック共重合体の模式図、図2はそのABAブロック共重合体のA鎖が凝集してガラス状ドメインを形成し、一方で分子間においてB鎖の官能基同士がソフト架橋した様子を表す模式図である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の非共有結合性エラストマーの主成分であるABAブロック共重合体の模式図。
【図2】ABAブロック共重合体のA鎖が凝集してガラス状ドメインを形成し、一方で分子間においてB鎖の官能基同士がソフト架橋した様子を表す模式図。
【図3】実施例1,5及び比較例1,2の伸び率と応力との関係を示すグラフ。
【図4】実施例10及び比較例3の伸び率と応力との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の非共有結合性エラストマーは、
A鎖及びB鎖からなる2成分ブロック共重合体を主成分とするエラストマーであって、
A鎖は、Tgが35℃以上のポリマー鎖であり、
B鎖は、平均重合度が前記A鎖より大きくTgが35℃未満のポリマー鎖であり、非共有結合可能な官能基を有するモノマーが重合した部分を含む、
ものである。

【0012】
A鎖は、Tgが35℃以上(好ましくは50℃以上、より好ましくは90℃以上)のポリマー鎖である。こうしたポリマー鎖は、特に限定するものではないが、例えば、ポリスチレン類、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリビニルピリジン類が好ましい。このうち、ポリスチレン類としては、ポリスチレン、ポリアセチルスチレン、ポリアニソイルスチレン、ポリベンゾイルスチレン、ポリビフェニルスチレン、ポリブロモエトキシスチレン、ポリブロモメトキシスチレン、ポリブロモスチレン、ポリブトキシメチルスチレン、ポリ-tert-ブチルスチレン、ポリブチリルスチレン、ポリクロロフルオロスチレン、ポルクロロメチルスチレン、ポリクロロスチレン、ポリシアノスチレン、ポリジクロロスチレン、ポリジフルオロスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリエトキシメチルスチレン、ポリエトキシスチレン、ポリフルオロメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリヨードスチレン、ポリメトキシカルボニルスチレン、ポリメトキシメチルスチレン、ポリメチルスチレン、ポリメトキシスチレン、ポリパーフルオロスチレン、ポリフェノキシスチレン、ポリフェニルアセチルスチレン、ポリフェニルスチレン、ポリプロポキシスチレン、ポリトルオイルスチレン、ポリトリメチルスチレンなどが挙げられる。ポリアクリル酸エステル類としては、例えばポリアクリル酸アダマンチル、ポリアクリル酸-tert-ブチル、ポリアクリル酸-tert-ブチルフェニル、ポリアクリル酸シアノヘプチル、ポリアクリル酸シアノヘキシル、ポリアクリル酸シアノメチル、ポリアクリル酸シアノフェニル、ポリアクリル酸フルオロメチル、ポリアクリル酸メトキシカルボニルフェニル、ポリアクリル酸メトキシフェニル、ポリアクリル酸ナフチル、ポリアクリル酸ペンタクロロフェニル、ポリアクリル酸フェニルなどが挙げられる。ポリメタクリル酸エステル類としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリロニトリル、ポリメタクリル酸アダマンチル、ポリメタクリル酸ベンジル、ポリメタクリル酸-tert-ブチル、ポリメタクリル酸-tert-ブチルフェニル、ポリメタクリル酸シクロエチル、ポリメタクリル酸シアノエチル、ポリメタクリル酸シアノメチルフェニル、ポリメタクリル酸シアノフェニル、ポリメタクリル酸シクロブチル、ポリメタクリル酸シクロデシル、ポリメタクリル酸シクロドデシル、ポリメタクリル酸シクロブチル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、ポリメタクリル酸シクロオクチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸フルオロアルキル、ポリメタクリル酸グリシジル、ポリメタクリル酸イソボルニル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリメタクリル酸フェニル、ポリメタクリル酸トリメチルシリル、ポリメタクリル酸キシレニル、などが挙げられる。ポリビニルピリジン類としては、例えば、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(3-ビニルピリジン)、ポリ(4-ビニルピリジン)などが挙げられる。

【0013】
B鎖は、平均重合度が前記A鎖より大きくTgが35℃未満(好ましくは0℃未満、より好ましくは-20℃未満)のポリマー鎖であり、非共有結合可能な官能基を有するモノマーが重合した部分を含むものである。非共有結合には、水素結合や配位結合、イオン結合などが含まれる。こうしたB鎖は、主ポリマー鎖に、非共有結合可能な官能基を有するモノマーを重合により含有させたものが好ましい。

【0014】
B鎖の主ポリマー鎖は、特に限定するものではないが、例えば、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアルケン類、ポリジエン類、ポリアルキルスチレン類、ポリビニルエーテル類が好ましい。このうち、ポリアクリル酸エステル類としては、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸シアノブチル、ポリアクリル酸ドデシル、ポリアクリル酸エトキシカルボニルフェニル、ポリアクリル酸エトキシエチル、ポリアクリル酸エチルブチル、ポリアクリル酸エチルヘキシル、ポリアクリル酸ヘプチル、ポリアクリル酸ヘキシル、ポリアクリル酸イソブチル、ポリアクリル酸メトキシブチル、ポリアクリル酸メトキシエチル、ポリアクリル酸メトキシプロピル、ポリアクリル酸メチルブチル、ポリアクリル酸メチルペンチル、ポリアクリル酸ノニル、ポリアクリル酸オクチル、ポリアクリル酸ペンチル、ポリアクリル酸プロピル、ポリアクリル酸チアブチル、ポリアクリル酸チアヘキシル、ポリアクリル酸チアヘキシル、ポリアクリル酸チアペンチルなどが挙げられる。ポリメタクリル酸エステル類としては、ポリメタクリル酸デシル、ポリメタクリル酸ドデシル、ポリメタクリル酸エチルヘキシル、ポリメタクリル酸オクタデシル、ポリメタクリル酸オクチルなどが挙げられる。ポリアルケン類としては、ポリブチルエチレン、ポリジメチルエチレン、ポリエチレン、ポリエチルエチレン、ポリヘプチルエチレン、ポリヘキセン、ポリヘキシルエチレン、ポリイソヘキシルエチレン、ポリペンテン、ポリプロピルエチレン、ポリテトラデシルエチレンなどが挙げられる。ポリジエン類としては、ポリブタジエン、ポリブテニレン、ポリブチルブテニレン、ポリエチルブテニレン、ポリヘプチルブテニレン、ポリイソプレン、ポリイソプロピルブテニレン、ポリペンテニレン、ポリフェニルブテニレン、ポリビニルエチレンなどが挙げられる。ポリアルキルスチレン類としては、ポリデシルスチレン、ポリヘキシルスチレン、ポリノニルスチレン、ポリオクチロキシメチルスチレン、ポリオクチルスチレンなどが挙げられる。ポリビニルエーテル類としては、ポリブトキシエチレン、ポリデシロキシエチレン、ポリエトキシエチレン、ポリヘキシロキシエチレン、ポリイソブトキシエチレン、ポリメトキシエチレン、ポリプロポキシエチレンなどが挙げられる。

【0015】
B鎖に含まれる非共有結合可能な官能基を有するモノマーは、分子間で互いにその官能基が非共有結合を形成してソフト架橋するが、非共有結合は解離したり再結合したりすることが可能である。このような非共有結合可能な官能基を有するモノマーが重合により主ポリマー鎖に含有されたB鎖を持つブロック共重合体のエラストマーは、従来のエラストマーとは異なる性質を有するものとなる。非共有結合可能な官能基としては、アミド又はカルボン酸のような水素結合可能な官能基が好ましい。水素結合可能な官能基を有するモノマーとして1種のモノマーを用いた場合には、分子間でその官能基同士が自己相補的に水素結合を形成する。水素結合可能な官能基を有するモノマーとして2種以上のモノマーを用いた場合には、同種のモノマー間で自己相補的に水素結合したり異種のモノマー同士でヘテロ相補的に水素結合したりする。

【0016】
水素結合可能な官能基としては、アミド基、カルボン酸基及びヒドロキシ基からなる群より選ばれた1種以上であることが好ましい。アミド基を有するモノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ブチルアクリルアミド、ジブチルアクリルミド、ドデシルアクリルアミド、イソデシルアクリルアミド、イソヘキシルアクリルアミド、イソノニルアクリルアミド、イソオクチルアクリルアミド、イソプロピリアクリルアミド、メチルブチルアクリルアミド、オクタデシルアクリルアミド、オクチルアクリルアミドなどが挙げられる。カルボン酸基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ウレタンアクリル酸、ウレタンメタクリル酸、ビニル安息香酸などが挙げられる。ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシブチルなどが挙げられる。

【0017】
本発明の非共有結合性エラストマーにおいて、2成分ブロック共重合体は、AB及び/又はABAブロック共重合体であることが好ましい。本発明の非共有結合性エラストマーの主成分である2成分ブロック共重合体の全体の平均重合度は、100~100000であることが好ましい。全体の平均重合度が下限値未満の場合には十分な材料強度が得られないため好ましくなく、上限値を超える場合には合成が難しくなるため好ましくない。全体の平均重合度は、1000~100000であることがより好ましく、5000~100000であることが特に好ましい。ABAトリブロック共重合体のA鎖の平均重合度は、20~20000(ABジブロック共重合体の場合は40~40000)であることが好ましい。A鎖の平均重合度が下限値未満の場合にはガラス状ドメインを形成しにくいため好ましくなく、上限値を超える場合にはエラストマーの特性が得られにくくなるため好ましくない。A鎖の平均重合度は、200~20000(ABジブロック共重合体の場合は400~40000)であることがより好ましく、1000~20000(ABジブロック共重合体の場合は2000~40000)であることが特に好ましい。B鎖の平均重合度は、60~60000であることが好ましい。B鎖の平均重合度が下限値未満の場合には十分な材料強度が得られないため好ましくなく、上限値を超える場合には合成が難しくなるため好ましくない。B鎖の平均重合度は、600~60000であることがより好ましく、3000~60000であることが特に好ましい。一端のA鎖の平均重合度と中央のB鎖の平均重合度と他端のA鎖の平均重合度との比は、10~30:80~40:10~30であることが好ましい。この範囲を外れると、全体がガラス化したりエラストマーとはならずに流動したりするおそれがあるため、好ましくない。

【0018】
本発明の非共有結合性エラストマーにおいて、A鎖同士が非共有結合を形成していてもよい。例えば、A鎖がポリビニルピリジン類の場合、隣合うブロック共重合体中のA鎖のポリビニルピリジン類のN原子同士が金属イオン(例えば2価の金属イオン)に配位していてもよい。こうすれば、より強固なネットワーク構造にすることができるため、そのような配位結合のない場合に比べて、ヤング率が向上したり靱性が向上したりする。

【0019】
本発明の非共有結合性エラストマーの合成法は、特に限定するものではないが、例えば、リビングラジカル重合の1種であるRAFT(Reversible Addition Fragmentation chain Transfer、可逆的付加開裂連鎖移動)重合を利用して合成することができる。まず、A鎖の原料となるモノマーをRAFT重合により重合させる。RAFT重合に用いるRAFT剤としては、公知のものを使用可能である。RAFT重合は、高圧(例えば100~500MPa、好ましくは200~400MPa)で行ってもよいし、常圧(例えば950~1100hPa)で行ってもよい。加圧する際には、静水圧で加圧することが好ましい。反応時間や反応温度は適宜設定すればよいが、例えば1~24時間、60~100℃の範囲で設定してもよい。必要に応じてAIBN,AAPH,ACVAなどのラジカル開始剤を添加してもよい。また、必要に応じてハロゲン化アルカンや芳香族系炭化水素、脂肪族系炭化水素、DMF、DMSO、THFなどの溶媒を用いてもよい。こうして得られたA鎖は、RAFT剤が導入されているため、これもRAFT剤として働く。次に、RAFT剤が導入されたA鎖とB鎖を構成するモノマー(主ポリマー鎖の原料となるモノマーや非共有結合可能な官能基を有するモノマー)とを混合してRAFT重合により重合させることにより、本発明の非共有結合性エラストマーを得ることができる。このときのRAFT重合の条件(圧力、反応時間、反応温度等)は、A鎖を合成するときと同様にして設定すればよい。また、必要に応じてラジカル開始剤を添加したり溶媒を使用したりしてもよい。

【0020】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に
属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例】
【0021】
[実施例1~4]
実施例1~4では、ABAトリブロック共重合体として、ポリ(4-ビニルピリジン)-b-{ポリ(アクリル酸ブチル)-co-ポリ(アクリルアミド)}-b-ポリ(4-ビニルピリジン)(P-Ba-Pトリブロック共重合体)を下記式にしたがって合成した。具体的な手順を実施例1を例に挙げて以下に示す。なお、ポリ(4-ビニルピリジン)がA鎖、アクリル酸ブチルとアクリルアミドの共重合体がB鎖に相当する。
【実施例】
【0022】
【化1】
JP2016089099A_000002t.gif
【実施例】
【0023】
[1-1]第1工程(A鎖の合成)
塩基性アルミナを充填したカラムに未精製4-ビニルピリジンモノマーを通すことにより、4-ビニルピリジンモノマーを精製した。この精製4-ビニルピリジンモノマーとRAFT剤とラジカル開始剤を、それぞれ8g(8mL)、14.5mg、3mgずつ秤り取り、コック付き丸底フラスコ内で混合することで溶液を作製した。RAFT剤としては、S,S’-ビス(α,α’-ジメチル-α”-酢酸)トリチオカーボネートを使用し、ラジカル開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を使用した。なお、4-ビニルピリジンモノマーとRAFT剤とのモル比は600:1とした。フラスコ内を10分間窒素置換した後、常圧でオイルバスを用いて80℃、500rpmにおいて攪拌させながら重合した。2時間後攪拌が停止したことを確認し、液体窒素に漬けることで重合を完全に停止した。
【実施例】
【0024】
上記溶液にクロロホルムを添加し約5wt%のポリマー溶液を調製した。この溶液を大容量のヘキサン中に滴下して、綿状のポリ(4-ビニルピリジン)を析出させた。得られたポリマーを吸引濾過して分離し、真空乾燥によって十分に乾燥させたのちに、再びクロロホルム中に溶解させ、ヘキサン中に滴下してポリマーを析出させた。ポリマーを析出させる作業を計3回行い、未反応のモノマーや低分子オリゴマーを除去した。
【実施例】
【0025】
精製したポリ(4-ビニルピリジン)を重クロロホルムに溶解し、2wt%溶液を調製し、核磁気共鳴分光(NMR)法により平均重合度を決定した。平均重合度は328であった。また、ポリマーをDMFに溶解して0.5wt%の溶液を調製し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分子量分布(Mw/Mn)を決定した。分子量較正用に標準ポリメタクリル酸メチルを用いた。その結果、Mw/Mn=1.16であった。なお、溶出液はDMF、流速は1mL/minとし、東ソー(株)製のTSK-GELカラム5000HHRを2本連結させた状態で測定を行った。
【実施例】
【0026】
[1-2]第2工程(ABAトリブロック共重合体の合成)
精製したポリ(4-ビニルピリジン)は、中央部にRAFT剤が導入されているため、これをRAFT剤(分子量の大きなRAFT剤であるのでマクロRAFT剤と呼ぶ)としてアクリル酸n-ブチルとアクリルアミドの混合モノマーの共重合を行った。両モノマーは、塩基性アルミナを通すことで精製した。精製したアクリル酸n-ブチル、アクリルアミド、マクロRAFT剤、AIBN及びDMFを、それぞれ3.5g(4mL),0.4g,48mg、0.2mg及び4mL秤り取って混合することで溶液を作製した。アクリル酸n-ブチルとマクロRAFT剤とのモル比は50000:1、アクリルアミドとマクロRAFT剤とのモル比は10000:1とした。その後、真空包装用アルミ袋にこの溶液を詰め、シリンジ針を用いて窒素ガスで10分間バブリングを行った。次いで、空気が混入しないように卓上シーラーで封をした。封をした真空包装用アルミ袋を高圧容器((株)シン・コーポレーション製のPV-400)内に入れ、この高圧容器内を水で満たしたのちに高圧容器の蓋を閉じた。循環恒温槽の温度を90℃、高圧ポンプ((株)シン・コーポレーション製のAP-400)の圧力を300MPa(静水圧)にセットし、重合を開始した。高圧ポンプの圧力が300MPaになってから15分後に圧力を常圧に戻し、高圧容器内からアルミ袋を取り出して液体窒素に漬けることで重合を停止した。これにより、トリブロック共重合体を得た。このトリブロック共重合体を、P-Ba-Pトリブロック共重合体と称することとする。両端のP(A鎖)はポリ(4-ビニルピリジン)の略号であり、中央のBa(B鎖)はアクリル酸n-ブチルとアクリルアミドの共重合体の略号である。
【実施例】
【0027】
真空包装用アルミ袋を切り出し、中身をクロロホルムに溶解させて約5wt%のポリマー溶液を調製した。この溶液を大容量のヘキサン中に滴下して、固体状のP-Ba-Pトリブロック共重合体を析出させた。上澄み溶液を除去することで得られたトリブロック共重合体を分離し、真空乾燥によって十分に乾燥させたのちに、再びクロロホルム中に溶解させ、ヘキサン中に滴下してトリブロック共重合体を析出させた。この作業を二回繰り返すことでまず未反応アクリル酸ブチルモノマーを除去した。続いてトリブロック共重合体をメタノールに溶解させた。この溶液を大容量の水に滴下し、固体状のトリブロック共重合体を析出させた。上澄み溶液を除去することで得られたトリブロック共重合体を分離し、真空乾燥によって十分に乾燥させたのちに、再びメタノール中に溶解させ、水中に滴下してトリブロック共重合体を析出させた。トリブロック共重合体を析出させる作業を計3回行い、未反応アクリルアミドモノマーや低分子オリゴマーを除去し、精製したトリブロック共重合体を得た。
【実施例】
【0028】
実施例1のトリブロック共重合体の合成手順は以上の通りであるが、実施例2~4では、アクリル酸エステルとマクロRAFT剤とのモル比(R1とする)とアクリルアミドとマクロRAFT剤とのモル比(R2とする)を変更した以外は、実施例1と同様にしてトリブロック共重合体を合成した。具体的には、実施例2ではR1を10000:1、R2を2000:1とし、実施例3ではR1を54000:1、R2を5000:1とし、実施例4ではR1を5000:1、R2を1000:1とした。
【実施例】
【0029】
精製した実施例1~4のトリブロック共重合体を重クロロホルムに溶解し、2wt%溶液を調製し、核磁気共鳴分光(NMR)法により平均重合度を決定した。その結果を表1に示す。また、実施例1のトリブロック共重合体をDMFに溶解して0.5wt%の溶液を調製し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分子量分布(Mw/Mn)を決定した。分子量較正用に標準ポリメタクリル酸メチルを用いた。その結果、Mw/Mn=1.58であった。なお、溶出液はDMF、流速は1mL/minとし、東ソー(株)製のTSK-GELカラム5000HHRを2本連結させた状態で測定を行った。
【実施例】
【0030】
【表1】
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【実施例】
【0031】
表1において、NP,NB,NE,Naは、トリブロック共重合体に含まれるモノマーの平均重合度を示し、添え字のアルファベットはモノマーの種類を示す。具体的には、添え字のPは4-ビニルピリジン、Bはアクリル酸n-ブチル、Eはアクリル酸エチル(後述の実施例6,7,9)、aはアクリルアミドを示す。これらの平均重合度は1H-NMRにより算出した。faはB鎖中のアクリルアミド含有率であり、B鎖の主ポリマー鎖がポリアクリル酸n-ブチル、非共有結合可能な官能基を有するモノマーがアクリルアミドの場合、faはNa/(NB+Na )であり、B鎖の主ポリマー鎖がポリアクリル酸エチル、非共有結合可能な官能基を有するモノマーがアクリルアミドの場合、faはNa/(NE+Na )である。MB+aはアクリル酸n-ブチルとアクリルアミドの共重合体の数平均分子量の和、ME+aはアクリル酸エチルとアクリルアミドの共重合体の数平均分子量の和、MwholeはP-Ba-Pトリブロック共重合体全体の数平均分子量である。これらは、平均重合度とモノマーの分子量から計算した。
【実施例】
【0032】
[1-3]引っ張り試験
実施例1のP-Ba-Pトリブロック共重合体350mgをピリジン3mLに溶解させた。この溶液をテフロン製容器(25mm×10mm×10mm、テフロンは登録商標)に注ぎ、40℃のヒーター上で48時間静置させることで溶媒を揮発させた。その後、真空乾燥機を用いて40℃、24時間乾燥させることで溶媒を完全に除去した。得られた試料の厚さは0.8mmであった。この試料を打抜き刃型を用いて打ち抜き、ダンベル型試験片を調製した。ダンベル型試験片は、シャフトの両側に円盤が付いた形状であり、シャフトは直径4mm、長さ12mm、円盤は直径6mm、厚さ2mmとした。測定装置はINSTRON 5582、1000kNロードセルを用い、引っ張り速度350mm/minにて行った。引っ張り試験の結果、得られたグラフを図3に示した。このグラフから、ヤング率(MPa)、最大応力(MPa)、破断伸び(%)、靱性(MJ/m3)を算出し、それらの値を表2に示した。ヤング率(MPa)は、ひずみ10%以内の領域で算出した。靱性(MJ/m3)は破断までのS-Sカーブ(図3参照)の内面積より算出した。図3及び表2には、アクリル酸n-ブチルとアクリルアミドとのランダム共重合体(比較例1)及び輪ゴム(比較例2)の結果も併せて示した。表2及び図3から明らかなように、実施例1は、比較例1,2と比べて伸び率や靱性が向上し、エラストマー特性として優れた特性を有することがわかった。
【実施例】
【0033】
【表2】
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【実施例】
【0034】
[実施例5]
実施例5では、ABジブロック重合体を合成した。具体的には、RAFT剤としてS-ドデシル-S’-(α,α’-ジメチル-α”-酢酸)トリチオカーボネートを使用し、4-ビニルピリジンモノマーとRAFT剤とのモル比を1500:1としたこと以外は、実施例1の第1工程と同様にしてポリ(4-ビニルピリジン)を合成した。その平均重合度は614,分子量分布Mw/Mnは1.2であった。また、R1を50000:1、R2を10000:1とした以外は、実施例1の第2工程と同様にしてジブロック共重合体を合成した。実施例5で得られたジブロック共重合体をP-Baジブロック共重合体と称することとする。P(A鎖),Ba(B鎖)の意味するところは、既に述べたとおりである。表1に実施例5のNP,NB,Na,fa,MB+a,Mwholeを示す。実施例5のP-Baジブロック重合体についても、実施例1と同様の引っ張り試験を実施した。その結果を表2及び図3に示す。表2及び図3から明らかなように、実施例5は、比較例1,2と比べて伸び率や靱性が向上し、エラストマー特性として優れた特性を有することがわかった。
【実施例】
【0035】
[実施例6,7]
実施例6では、実施例1の第2工程でアクリル酸n-ブチルの代わりにアクリル酸エチルを用い、アクリル酸エステルとマクロRAFT剤とのモル比(R1)を10000:1とし、アクリルアミドとマクロRAFT剤とのモル比(R2)を2000:1とした以外は、実施例1と同様にしてトリブロック共重合体を合成した。実施例7では、R1を5000:1、R2を1000:1とした以外は、実施例6と同様にしてトリブロック共重合体を合成した。実施例6,7で得られたトリブロック共重合体をP-Ea-Pトリブロック共重合体と称することとする。両端のP(A鎖)はポリ(4-ビニルピリジン)の略号であり、中央のEa(B鎖)はアクリル酸エチルとアクリルアミドの共重合体の略号である。表1に実施例6,7のNP,NE,Na,fa,ME+a,Mwholeを示す。
【実施例】
【0036】
[実施例8]
実施例8では、実施例1の第1工程で4-ビニルピリジンの代わりにスチレンを用い、アクリル酸エステルとマクロRAFT剤とのモル比(R1)を50000:1とし、アクリルアミドとマクロRAFT剤とのモル比(R2)を10000:1とした以外は、実施例1と同様にしてトリブロック共重合体を合成した。実施例8で得られたトリブロック共重合体をS-Ba-Sトリブロック共重合体と称することとする。両端のS(A鎖)はポリスチレンの略号であり、中央のBa(B鎖)は既に述べたとおりである。表1に実施例8のNS,NB,Na,fa,MB+a,Mwholeを示す。
【実施例】
【0037】
[実施例9]
実施例9では、実施例1の第1工程で4-ビニルピリジンの代わりにスチレンを用い、第2工程でアクリル酸n-ブチルの代わりにアクリル酸エチルを用い、アクリル酸エステルとマクロRAFT剤とのモル比(R1)を5000:1とし、アクリルアミドとマクロRAFT剤とのモル比(R2)を1000:1とした以外は、実施例1と同様にしてトリブロック共重合体を合成した。実施例9で得られたトリブロック共重合体をS-Ea-Sトリブロック共重合体と称することとする。S,Eaは既に述べたとおりである。表1に実施例9のNS,NE,Na,fa,ME+a,Mwholeを示す。
【実施例】
【0038】
[実施例10]
実施例10では、数平均分子量の小さいP-Ba-Pトリブロック重合体を合成した。具体的には、原料溶液として精製4-ビニルピリジンモノマーとRAFT剤とラジカル開始剤と1,1,2,2-テトラクロロエタンを、それぞれ8g(8mL),330mg,60mg,12mLずつ秤り取って混合して溶液を作製した以外は、実施例1の第1工程と同様にしてポリ(4-ビニルピリジン)(マクロRAFT剤)を合成した。その平均重合度は48,分子量分布Mw/Mnは1.1であった。また、R1を240:1、R2を50:1とし、常圧で80℃、500rpmで撹拌させながら45分重合した以外は、実施例1の第2工程と同様にしてトリブロック共重合体を合成した。表3に、実施例10のP-Ba-Pトリブロック共重合体のNP,NB,Na,fa,MB+a,Mwholeを示す。実施例10のP-Ba-Pトリブロック共重合体について、引っ張り速度を10mm/minとした以外は実施例1と同様にして引っ張り試験を実施した。その結果を表4及び図4に示す。
【実施例】
【0039】
【表3】
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【実施例】
【0040】
【表4】
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【実施例】
【0041】
[比較例3]
比較例3では、数平均分子量が実施例10と同等のP-B-Pトリブロック重合体(中央のBはポリアクリル酸n-ブチルの略号)を合成した。具体的には、第2工程において、アクリルアミドを使用せず、アクリル酸n-ブチルとマクロRAFT剤とのモル比を270:1とした以外は、実施例10と同様にしてトリブロック共重合体を合成した。表3に、比較例3のP-B-Pトリブロック共重合体のNP,NB,Na,fa,MB+a,Mwholeを示す。比較例3のP-B-Pトリブロック共重合体について、実施例1と同様にして引っ張り試験を実施した。その結果を表4及び図4に示す。表4及び図4から明らかなように、中央鎖(B鎖)にアクリルアミドを含有させた実施例10は、アクリルアミドを含有させなかった比較例3に比べて、エラストマーとして優れた特性を持つことが分かった。なお、実施例10と比較例3では、数平均分子量の小さいABAブロック共重合体について比較したが、数平均分子量の大きいABAブロック共重合体についても同様の傾向を示すことが図3と図4との比較から読み取ることができ、特に伸び率に関しては1000%を超えるものが得られている。
【実施例】
【0042】
[実施例11]
実施例10のP-Ba-Pトリブロック共重合体にZnCl2を、隣合うP-Ba-Pトリブロック共重合体のピリジン同士をZn2+が架橋するのに必要な化学量論量となるように加え、ピリジンと水とを体積比で9:1となるように混合した溶媒に溶解した溶液を得た。その後、溶媒キャスト、真空乾燥によりこの溶液から溶媒を除去し、ZnCl2でソフト架橋された構造のエラストマーを得た。このエラストマーは、ZnCl2で架橋する前のトリブロック共重合体と比べて、破断伸びは160~170%と若干低くなったが、最大応力は約7MPaに向上し、靱性も6.3MJ/m3に向上した。また、ヤング率も向上した。
【実施例】
【0043】
上記実施例のブロック共重合体のA鎖及びB鎖のガラス転移温度(Tg)は以下のとおりである。A鎖をなすポリ(4-ビニルピリジン)のTgは約150℃、同じくA鎖をなすポリスチレンのTgは約100℃、B鎖をなすアクリル酸n-ブチルとアクリルアミドとのランダム共重合体のTgは-30~-20℃、同じくB鎖をなすアクリル酸エチルとアクリルアミドとのランダム共重合体のTgは-5~10℃である。ちなみに、ポリアクリル酸n-ブチルのTgは約-50℃、ポリアクリル酸エチルのTgは約-20℃、ポリアクリルアミドのTgは約170℃である。これらは示査走査熱量計を用いた測定で得られた値である(昇温速度:10℃/min)。
【実施例】
【0044】
なお、本発明は、上述した実施例に何ら限定されることはない。
図面
【図3】
0
【図4】
1
【図1】
2
【図2】
3