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明細書 :太陽電池モジュールの評価方法及びその利用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-228517 (P2014-228517A)
公開日 平成26年12月8日(2014.12.8)
発明の名称または考案の名称 太陽電池モジュールの評価方法及びその利用
国際特許分類 G01N  21/88        (2006.01)
H01L  31/04        (2014.01)
H01L  31/06        (2012.01)
G01J   1/00        (2006.01)
G01M  11/00        (2006.01)
FI G01N 21/88 Z
H01L 31/04 K
H01L 31/04 A
G01J 1/00 H
G01M 11/00 T
請求項の数または発明の数 21
出願形態 OL
全頁数 34
出願番号 特願2013-110958 (P2013-110958)
出願日 平成25年5月27日(2013.5.27)
発明者または考案者 【氏名】冬木 隆
【氏名】谷 あゆみ
出願人 【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査請求 未請求
テーマコード 2G051
2G065
2G086
5F151
Fターム 2G051AA90
2G051AB02
2G051AB20
2G051AC21
2G051BA06
2G051CA03
2G051CA12
2G051CC07
2G051EA08
2G051EA12
2G051EA14
2G051EA21
2G051EB01
2G051GD01
2G051GD05
2G065AA04
2G065AB02
2G065AB27
2G065BA04
2G065BA10
2G065BB27
2G065BC13
2G065BC14
2G065BC28
2G065CA01
2G065CA05
2G086EE04
5F151AA02
5F151AA03
5F151KA08
5F151KA09
要約 【課題】光照射下における太陽電池モジュールの性能の評価方法及び評価装置を提供する。
【解決手段】太陽電池モジュールに対して電流を注入した際のエレクトロルミネッセンス(EL)画像と電流無注入での画像との差分を解析することにより、光照射下であっても微弱なELを検出して、太陽電池モジュールの性能について評価できる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
光照射下における太陽電池モジュールの評価方法であって、
上記太陽電池モジュールに対して順方向に電流を注入する第1の電流注入工程と、
上記第1の電流注入工程において電流を注入している状態の上記太陽電池モジュールの第1の画像を取得する第1の画像取得工程と、
上記太陽電池モジュールに対して順方向に上記第1の電流注入工程よりも小さな電流を注入する第2の電流注入工程と、
上記第2の電流注入工程において電流を注入している状態の上記太陽電池モジュールの第2の画像を取得する第2の画像取得工程と、
上記第1の画像と第2の画像との差分を解析して、上記太陽電池モジュールへの第1の電流注入工程での電流注入に起因する発光状態を表す第3の画像を取得する画像形成工程と、
上記第3の画像に基づいて、上記太陽電池モジュールにおける性能を判定する判定工程と、を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項2】
上記第1の電流注入工程において、上記太陽電池モジュールに対して光起電力を超える電圧を印加して電流が注入されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項3】
上記第2の電流注入工程において、上記太陽電池モジュールに対して光起電力と同一又はそれ以上の電圧を印加して電流が注入されることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項4】
上記第2の電流注入工程において、上記太陽電池モジュールに対して電流を注入しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項5】
上記画像形成工程は、上記第1の画像取得工程と第2の画像取得工程とを複数回行い、得られた複数の第1の画像と第2の画像とを平均化処理して、その差分から第3の画像を取得する工程を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項6】
上記画像形成工程は、上記第1の画像取得工程と第2の画像取得工程とを交互に複数回行い、各回の第1の画像取得工程から得られた画像と第2の画像取得工程から得られた画像との差の和を得る工程を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項7】
上記画像形成工程は、同期検波により上記太陽電池モジュールに照射される光に起因する光起電力による発光を除去して、第3の画像を取得する工程を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項8】
上記第3の画像に生じる発光のうち、波長800nm~1300nmの第1の領域の光と、波長1400nm~1800nmの第2の領域の光とを検出する発光検出工程をさらに含み、
上記判定工程において、上記発光検出工程で検出した第1の領域の光の発光強度と第2の領域の光の発光強度とを指標として、内因的欠陥と外因的欠陥とを分別することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項9】
上記発光検出工程において、1150nmの光を選択的に通過させるバンドパスフィルタを用いて検出することを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【請求項10】
光照射下における太陽電池モジュールの評価装置であって、
上記太陽電池モジュールに対して順方向に電流を注入する第1の電流注入手段と、
上記太陽電池モジュールに対して順方向に上記第1の電流注入手段にて注入した電流よりも小さな電流を注入する第2の電流注入手段と、
上記太陽電池モジュールの画像として、上記第1の電流注入手段によって電流を注入している状態の第1の画像と、上記第2の電流注入手段によって電流を注入している状態の第2の画像と、を取得する画像取得手段と、
上記第1の画像と第2の画像との差分を解析して、上記太陽電池モジュールへの第1の電流注入手段での電流注入に起因する発光状態を表す第3の画像を取得する画像形成手段と、
上記第3の画像に基づいて、上記太陽電池モジュールにおける性能を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする太陽電池モジュールの評価装置。
【請求項11】
上記第1の電流注入手段は、上記画像取得手段が第1の画像を取得する際に、上記太陽電池モジュールに対して光起電力を超える電圧を印加して電流が注入されるものであることを特徴とする請求項10に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【請求項12】
上記第2の電流注入手段は、上記画像取得手段が第2の画像を取得する際に、上記太陽電池モジュールに対して光起電力と同一又はそれ以上の電圧を印加して電流が注入されるものであることを特徴とする請求項10又は11に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【請求項13】
上記第2の電流注入手段は、上記画像取得手段が第2の画像を取得する際に、上記太陽電池モジュールに対して電流を注入しないものであることを特徴とする請求項10又は11に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【請求項14】
上記画像形成手段が、複数の第1の画像と第2の画像とを平均化処理して、その差分から上記第3の画像を取得するものであることを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【請求項15】
上記画像形成手段が、上記第1の画像の取得と第2の画像の取得とを交互に複数回行い、各回の第1の画像と第2の画像との差の和を得るものであることを特徴とする請求項10~14のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【請求項16】
上記画像形成手段が、同期検波により上記太陽電池モジュールに照射される光に起因する光起電力による発光を除去して、画像を取得するものであることを特徴とする請求項10~15のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【請求項17】
上記第3の画像に生じる発光のうち、波長800nm~1300nmの第1の領域の光と、波長1400nm~1800nmの第2の領域の光とを検出する発光検出手段をさらに含み、
上記判定手段において、上記発光検出手段で検出した第1の領域の光の発光強度と第2の領域の光の発光強度とを指標として、内因的欠陥と外因的欠陥とを分別することを特徴とする請求項10~16のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【請求項18】
上記発光検出手段において、1150nmの光を選択的に通過させるバンドパスフィルタを用いて検出することを特徴とする請求項17に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【請求項19】
請求項10~18のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価装置が、構造物に設置されている太陽電池モジュールの性能を評価する評価工程と、
交換指示装置が、上記評価工程における検査結果に基づき、太陽電池モジュールの不良部分の交換を、通信ネットワークを介して、太陽電池モジュールの交換事業者に対して指示する工程と、を含むことを特徴とする太陽電池モジュールのメンテナンス方法。
【請求項20】
請求項10~18のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価装置と、
上記評価装置の評価結果に基づき、太陽電池モジュールの交換を、通信ネットワークを介して、太陽電池モジュールの交換事業者に対して指示する交換指示装置と、を備えることを特徴とする太陽電池モジュールのメンテナンスシステム。
【請求項21】
請求項1~9のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの評価方法を一工程として含むことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの評価方法及びその利用に関し、より詳細には、光照射下(例えば、屋外での太陽光下)において実施可能な太陽電池モジュールの評価方法及びその利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球環境を保全するために太陽エネルギーの利用が進み、一般のビルや家庭の屋根や壁にも太陽電池素子を複数接続した太陽電池モジュールの敷設が進みつつある。しかしながら、Si(シリコン)等からなる太陽電池モジュールは、高コストのために思うように普及できていない。
【0003】
太陽電池モジュールが高コストである原因の一つに、太陽電池モジュールに対して太陽光を照射した際の出力特性の検査工程、すなわち太陽電池モジュールの品質を評価する工程の存在が挙げられる。この太陽電池モジュールの出力特性を評価する工程は、太陽電池モジュールの製造後の検査や太陽電池モジュールの研究開発において行われる重要な測定項目である。
【0004】
これまで、本発明者らは、暗室内に設置したシリコン型の太陽電池モジュールに対して順方向に電流を注入してエレクトロルミネッセンス(EL)を生じさせ、発光状態を解析することで太陽電池モジュールの性能を評価する方法を開発している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、上記技術と異なり、太陽電池モジュールに対して電流を注入させずに太陽電池モジュールの性能を評価する方法も開発されている。例えば、太陽電池モジュールに対して太陽光の下で、インバータ等の装置により動作条件を変調させ、太陽電池モジュールの発光状態を検出することにより、太陽電池モジュールの性能を評価する技術が報告されている。なお、本技術により得られる発光状態は、太陽光の照射量に依存して変化するという欠点を持つ(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】国際公開第2006/059615号公報
【0007】

【非特許文献1】L. Stoicescu, M. Reuter, and J. H. Werner, Daylight Luminescence for Photovoltaic System Testing, in Proc. 22nd International Photovoltaic Science and Engineering Conference (Hangzhou, China, 2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した技術はいずれも優れたものではあるが、これだけでは十全とはいえない。例えば、特許文献1に記載の技術では、評価精度の向上のために擾乱光の影響を排除することが必要である。また、非特許文献1に記載される技術は、太陽光の照射が前提となっているが、太陽光は天候により強度が変動することから定量的な評価を行うことが困難である。
【0009】
このため、太陽電池モジュールの性能を評価するための新たな技術の開発が強く求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、太陽光等の強力な光照射下であっても暗室等の特別な設備を必要とせず、かつ定量的に太陽電池モジュールの性能評価を行い得る新規技術の開発に成功した。具体的には、太陽電池モジュールに対して電流を注入した際のEL画像と電流無注入での画像との差分を解析することにより、光照射下であっても微弱なELを検出して、太陽電池モジュールの性能について評価できるという新規知見を見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
【0011】
(1)光照射下における太陽電池モジュールの評価方法であって、上記太陽電池モジュールに対して順方向に電流を注入する第1の電流注入工程と、上記第1の電流注入工程において電流を注入している状態の上記太陽電池モジュールの第1の画像を取得する第1の画像取得工程と、上記太陽電池モジュールに対して順方向に上記第1の電流注入工程よりも小さな電流を注入する第2の電流注入工程と、上記第2の電流注入工程において電流を注入している状態の上記太陽電池モジュールの第2の画像を取得する第2の画像取得工程と、上記第1の画像と第2の画像との差分を解析して、上記太陽電池モジュールへの第1の電流注入工程での電流注入に起因する発光状態を表す第3の画像を取得する画像形成工程と、上記第3の画像に基づいて、上記太陽電池モジュールにおける性能を判定する判定工程と、を含む太陽電池モジュールの評価方法。
【0012】
(2)上記第1の電流注入工程において、上記太陽電池モジュールに対して光起電力を超える電圧を印加して電流が注入される(2)に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【0013】
(3)上記第2の電流注入工程において、上記太陽電池モジュールに対して光起電力と同一又はそれ以上の電圧を印加して電流が注入される(1)又は(2)に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【0014】
(4)上記第2の電流注入工程において、上記太陽電池モジュールに対して電流を注入しない(1)又は(2)に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【0015】
(5)上記画像形成工程は、上記第1の画像取得工程と第2の画像取得工程とを複数回行い、得られた複数の第1の画像と第2の画像とを平均化処理して、その差分から第3の画像を取得する工程を含む(1)~(4)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【0016】
(6)上記画像形成工程は、上記第1の画像取得工程と第2の画像取得工程とを交互に複数回行い、各回の第1の画像取得工程から得られた画像と第2の画像取得工程から得られた画像との差の和を得る工程を含む(1)~(5)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【0017】
(7)上記画像形成工程は、同期検波により上記太陽電池モジュールに照射される光に起因する光起電力による発光を除去して、第3の画像を取得する工程を含む(1)~(4)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【0018】
(8)上記第3の画像に生じる発光のうち、波長800nm~1300nmの第1の領域の光と、波長1400nm~1800nmの第2の領域の光とを検出する発光検出工程をさらに含み、上記判定工程において、上記発光検出工程で検出した第1の領域の光の発光強度と第2の領域の光の発光強度とを指標として、内因的欠陥と外因的欠陥とを分別する(1)~(7)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【0019】
(9)上記発光検出工程において、1150nmの光を選択的に通過させるバンドパスフィルタを用いて検出する(8)に記載の太陽電池モジュールの評価方法。
【0020】
(10)光照射下における太陽電池モジュールの評価装置であって、上記太陽電池モジュールに対して順方向に電流を注入する第1の電流注入手段と、上記太陽電池モジュールに対して順方向に上記第1の電流注入手段にて注入した電流よりも小さな電流を注入する第2の電流注入手段と、上記太陽電池モジュールの画像として、上記第1の電流注入手段によって電流を注入している状態の第1の画像と、上記第2の電流注入手段によって電流を注入している状態の第2の画像と、を取得する画像取得手段と、上記第1の画像と第2の画像との差分を解析して、上記太陽電池モジュールへの第1の電流注入手段での電流注入に起因する発光状態を表す第3の画像を取得する画像形成手段と、上記第3の画像に基づいて、上記太陽電池モジュールにおける性能を判定する判定手段と、を備える太陽電池モジュールの評価装置。
【0021】
(11)上記第1の電流注入手段は、上記画像取得手段が第1の画像を取得する際に、上記太陽電池モジュールに対して光起電力を超える電圧を印加して電流が注入されるものである(10)に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【0022】
(12)上記第2の電流注入手段は、上記画像取得手段が第2の画像を取得する際に、上記太陽電池モジュールに対して光起電力と同一又はそれ以上の電圧を印加して電流が注入されるものである(10)又は(11)に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【0023】
(13)上記第2の電流注入手段は、上記画像取得手段が第2の画像を取得する際に、上記太陽電池モジュールに対して電流を注入しないものである(10)又は(11)に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【0024】
(14)上記画像形成手段が、複数の第1の画像と第2の画像とを平均化処理して、その差分から上記第3の画像を取得するものである(10)~(13)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【0025】
(15)上記画像形成手段が、上記第1の画像の取得と第2の画像の取得とを交互に複数回行い、各回の第1の画像と第2の画像との差の和を得るものである(10)~(14)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【0026】
(16)上記画像形成手段が、同期検波により上記太陽電池モジュールに照射される光に起因する光起電力による発光を除去して、画像を取得するものである(10)~(15)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【0027】
(17)上記第3の画像に生じる発光のうち、波長800nm~1300nmの第1の領域の光と、波長1400nm~1800nmの第2の領域の光とを検出する発光検出手段をさらに含み、上記判定手段において、上記発光検出手段で検出した第1の領域の光の発光強度と第2の領域の光の発光強度とを指標として、内因的欠陥と外因的欠陥とを分別する(10)~(16)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【0028】
(18)上記発光検出手段において、1150nmの光を選択的に通過させるバンドパスフィルタを用いて検出する(17)に記載の太陽電池モジュールの評価装置。
【0029】
(19)上記(10)~(18)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価装置が、構造物に設置されている太陽電池モジュールの性能を評価する評価工程と、交換指示装置が、上記評価工程における検査結果に基づき、太陽電池モジュールの不良部分の交換を、通信ネットワークを介して、太陽電池モジュールの交換事業者に対して指示する工程と、を含む太陽電池モジュールのメンテナンス方法。
【0030】
(20)上記(10)~(18)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価装置と、上記評価装置の評価結果に基づき、太陽電池モジュールの交換を、通信ネットワークを介して、太陽電池モジュールの交換事業者に対して指示する交換指示装置と、を備える太陽電池モジュールのメンテナンスシステム。
【0031】
(21)上記(1)~(9)のいずれかに記載の太陽電池モジュールの評価方法を一工程として含む太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る太陽電池モジュールの評価方法又は評価装置によれば、太陽光等の光照射下であっても暗室等の特別な設備を必要とせず、太陽電池モジュールの性能を評価できるという効果を奏する。また、本発明によれば、太陽電池モジュールの性能について定量的な評価も可能となる。このため、例えば、既に屋外に設置済の太陽電池モジュール又は多数の太陽電池モジュールより成るメガソーラーシステムについて、太陽光の下でも簡便にメンテナンスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの評価装置の一例を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールの評価装置の一例を模式的に示した機能ブロック図を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールのメンテナンスシステムの一例を模式的に示した機能ブロック図を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る太陽電池モジュールのメンテナンスシステムのフローの一例を示す図である。
【図5】実施例1における太陽電池モジュールの様子を撮影した画像を示す図である。
【図6】実施例2における高効率単結晶シリコン素子の様子を撮影した画像を示す図である。
【図7】実施例3における高効率単結晶シリコン素子の様子を撮影した画像を示す図である。
【図8】実施例4における高効率単結晶シリコン素子の様子を撮影した画像を示す図である。
【図9】実施例5における高効率単結晶シリコン素子の様子を撮影した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。

【0035】
<1.太陽電池モジュールの評価方法>
本発明の太陽電池モジュールの評価方法は、光照射下における太陽電池モジュールの評価方法であって、上記太陽電池モジュールに対して順方向に電流を注入する第1の電流注入工程と、上記第1の電流注入工程において電流を注入している状態の上記太陽電池モジュールの第1の画像を取得する第1の画像取得工程と、上記太陽電池モジュールに対して順方向に上記第1の電流注入工程よりも小さな電流を注入する第2の電流注入工程と、上記第2の電流注入工程において電流を注入している状態の上記太陽電池モジュールの第2の画像を取得する第2の画像取得工程と、上記第1の画像と第2の画像との差分を解析して、上記太陽電池モジュールへの第1の電流注入工程での電流注入に起因する発光状態を表す第3の画像を取得する画像形成工程と、上記第3の画像に基づいて、上記太陽電池モジュールにおける性能を判定する判定工程と、を含んでいればよい。

【0036】
本明細書中「光照射下における太陽電池モジュールを評価する」とは、光照射下、つまり光の存在下にて太陽電池モジュールを評価するものであればよく、その他の構成は限定されない。例えば、屋外等の太陽光下又は一定の擾乱光の影響下にて太陽電池モジュールを評価すること、又は屋内において白熱電球やソーラーシュミレーター等による光源の存在下にて太陽電池モジュールの性能を評価することを包含する意である。すなわち、本発明に係る評価方法は、太陽電池モジュールの評価を行う際に暗室等の遮光空間が必要ないという特徴がある。加えて、本発明に係る評価方法は、太陽光が微弱又は存在しない状況、例えば、曇天、薄暮、夜間においても太陽電池モジュールの評価を可能とする特徴も有する。

【0037】
本明細書中「太陽電池モジュールの性能」を評価又は判定するとは、太陽電池モジュールにおける光導電効果及び/又は光起電力効果についての性能を評価することを意味する。

【0038】
ここで、文言「太陽電池モジュール」とは、光導電効果及び/又は光起電力効果によって、光を受けて電流を発生させる最小構成単位である太陽電池素子が連結されて構成されるものをいう。例えば、10cm×10cm角~15cm×15cm角の太陽電池素子を10枚~50枚程度連結した、0.5m×0.5m角~1m×1m角程度のものを挙げることができる。なお、本明細書では「太陽電池モジュール」の中には、モジュールの集合体である「太陽電池パネル」、さらには、その「太陽電池パネル」の集合体である「メガソーラーシステム」の他、太陽電池素子を含むものとする。具体的な太陽電池モジュールの例としては、多結晶のシリコン半導体製の太陽電池モジュール、高効率単結晶シリコン、非晶質シリコン、化合物薄膜太陽電池等が挙げられる。

【0039】
また、本発明の太陽電池モジュールの評価方法は、上記第3の画像に生じる発光のうち、波長800nm~1300nmの第1の領域の光と、波長1400nm~1800nmの第2の領域の光とを検出する発光検出工程をさらに含み、上記判定工程において、上記発光検出工程で検出した第1の領域の光の発光強度と第2の領域の光の発光強度とを指標として、内因的欠陥と外因的欠陥とを分別し得る。

【0040】
本明細書中「内因的欠陥」とは、内部要因に起因する欠陥を意味する。「内因的欠陥」は、結晶欠陥、結晶転位、及び結晶粒界等の太陽電池モジュールの物性に起因する欠陥であり、太陽電池モジュールの機能に影響を及ぼすが、太陽電池モジュールを構成する材料の信頼性にはあまり影響を及ぼさない。

【0041】
本明細書中「外因的欠陥」とは、外部要因に起因する欠陥を意味する。「外因的欠陥」は、基板のクラック(マイクロクラック等)、電極の破断、電極の接触不良等の太陽電池モジュールの機械的な欠陥であり、太陽電池モジュールの信頼性及び太陽電池モジュールを生産する際の生産歩留まりに悪影響を及ぼすので、信頼性の高い太陽電池モジュールを効率よく大量生産するための決定的な要因となる。

【0042】
太陽電池モジュールの性能の低下は、一般的に、内部要因に起因する欠陥(内因的欠陥)と外部要因に起因する欠陥(外因的欠陥)とによるものである。上記太陽電池モジュールの評価方法では、これらの欠陥を、太陽電池モジュールの性能が低下していると判定するものである。

【0043】
以下、本発明に係る太陽電池モジュールの評価方法の各工程について詳細に説明する。なお、これらの工程以外の具体的な工程、材料、条件、使用する機器・装置等は特に限定されるものでなく、種々の方法等を好適に利用することが可能である。

【0044】
<1-1.第1の電流注入工程>
上記第1の電流注入工程は、太陽電池モジュールに対して、順方向に電流を注入する工程であればよい。注入する電流は、直流電流であってもよいし、パルス電流であってもよい。以下では直流電流を注入する場合の評価方法について説明する。

【0045】
第1の電流注入工程において、「順方向に電流を注入」するとは、いわゆる太陽電池モジュールに対して順方向に電流を注入するためにバイアスをかけることである。太陽電池モジュールのpn接合のp型領域側に正(+)、n型領域側に負(-)の極性の外部電圧を印加することによって、順方向に電流を注入することになる。これによって、太陽電池モジュールからエレクトロルミネッセンスによる光が放射される。

【0046】
本工程において注入する電流の大きさについては特に限定されないが、注入する電流の電流密度が、少なくとも後述の第2の電流注入工程より大きい電流密度、例えば、5~120mA/cmであることが好ましく、5~80mA/cmであることがより好ましく、5~40mA/cmであることがさらに好ましい。評価対象の太陽電池モジュールが単結晶シリコンである場合、実際に太陽電池素子の光電変換により発生する電流の電流密度(例えば、40mA/cm)の1/4倍から4倍程度の電流密度で電流を注入することが好ましい。かかる範囲であれば、太陽電池モジュールの性能評価に関係するエレクトロルミネッセンス画像を取得できる。

【0047】
太陽電池モジュールに対して電流を注入するための装置としては、種々の電源等を好適に利用することができ、特に限定されるものではない。本明細書中「電源」とは、太陽電池モジュールに対して電流を注入し、当該太陽電池モジュールを発光(エレクトロルミネッセンス)させることができるものであれば、特に限定されず、一般的な電流源を用いることができる。例えば、太陽電池モジュールに対して、直流電流を注入する電源、パルス電流を注入する電源を用いてもよいし、インバータを使用した正弦波を適宜用いてもよい。なお、本明細書中の「電源」としては、上述した以外の電流、例えば、インバータを使用した三角波や、正弦波をわずかに変形させた変形正弦波等、種々の電流を利用できる。なお、同期検波により後述する第3の画像を取得する場合、太陽電池モジュールに照射される光(いわゆる背景光や擾乱光)に起因する光起電力による発光を好適に除去するため、パルス電流を注入する電源、又はインバータを使用した正弦波を用いることが好ましい。

【0048】
また、光照射下における太陽電池モジュールでは、光電変換により光起電力が発生する。このため、上記太陽電池モジュールに対して順方向に電流を注入するためには、当該太陽電池モジュールが発生する光起電力を超える電圧を印加して電流が注入されることが好ましい。

【0049】
<1-2.第1の画像取得工程>
上記第1の画像取得工程は、上記第1の電流注入工程において電流を注入している状態の太陽電池モジュールの第1の画像を取得する工程であればよく、その具体的な方法等は特に限定されるものではなく、種々の技術を好適に用いることができる。

【0050】
「第1の画像」とは、第1の電流注入工程において電流を注入することにより発光する太陽電池モジュールの画像であり、太陽電池モジュールの光の発光特性の分布を示す画像と換言できる。「発光特性」とは、発光強度、分光特性(各スペクトラムの発光強度)を含むものである。

【0051】
本工程では、太陽電池モジュールからの光を検出できる種々の画像取得手段(装置)を用いることができ、その具体的な構成等は、特に限定されるものでない。

【0052】
画像取得装置としては、CCDカメラ及びイメージインテンシファイアー等の光検出器を用いることができる。画像取得装置としては、例えばInGaAsカメラ(Xenics社製、品番XEVA-1.7シリーズ)、CCDカメラ(浜松ホトニクス株式会社製、品番C8250-20)及びSi CCDカメラ(浜松ホトニクス株式会社製、品番C9299-02)等が挙げられる。イメージインテンシファイアーとしては、例えば、360nm~1100nmの波長領域の光を検出することができる浜松ホトニクス株式会社製のイメージインテンシファイアー(品番V8071U-76)が挙げられる。このようなCCDカメラ及びイメージインテンシファイアー等の光検出器を用いて光を検出した場合、太陽電池モジュールにおける発光状態を画像として観察することができる。つまり、太陽電池モジュールにおける発光の面内分布を二次元的に一括測定できる。太陽電池モジュールを簡便かつ迅速に評価することができる。

【0053】
<1-3.第2の電流注入工程>
上記第2の電流注入工程は、太陽電池モジュールに対して順方向に、上記第1の電流注入工程よりも小さな電流を注入する工程であればよい。注入する電流は、直流電流であってもよいし、パルス電流であってもよい。

【0054】
「第1の電流注入工程よりも小さな電流を注入する」とは、第1の電流注入工程において注入する電流に比して、小さい電流を注入する工程であればよく、具体的な電流の大きさについては特に限定されない。例えば、光照射下において太陽電池モジュールに発生する光起電力と同一又はそれ以上の電圧を印加して電流が注入されることに相当する電流を注入してもよいし、又は電流を注入しなくてもよい。

【0055】
本工程では、太陽電池モジュールに注入する電流が、上記第1の電流注入工程において注入する電流よりも小さいことから、第1の電流注入工程による太陽電池モジュールの発光状態と第2の電流注入工程による太陽電池モジュールの発光状態との間に差を生じさせることができる。つまり、第2の電流注入工程における太陽電池モジュールの発光強度は、第1の電流注入工程における太陽電池モジュールの発光強度よりも弱いものとなる。

【0056】
光照射下において、太陽電池モジュールに発生する光起電力と同一又はそれ以上の電圧を印加して電流が注入される場合、電流注入のために人為的にかける電圧と太陽電池モジュールから発生する光起電力とがそれぞれ相殺するため、太陽電池モジュール自体には実質的に電流が流れない状態となり、太陽電池モジュールは発光しない。同様に、太陽電池モジュールに電流を注入しない場合も、太陽電池モジュールは発光しない。同様に、太陽電池モジュールに電流を注入しない場合も、太陽電池モジュールは電流注入に起因する発光をしない。

【0057】
本工程において注入する電流の大きさについては、特に限定されないが、少なくとも上記第1の電流注入工程より小さい電流密度、例えば、5~120mA/cmより小さいことが好ましく、5~80mA/cmより小さいことがより好ましく、5~40mA/cmより小さいことがさらに好ましい。その際、第1の電流注入工程と第2の電流注入工程との電流密度の差が大きい方が、後述<1-7>欄において、太陽電池モジュールのエレクトロルミネッセンスの発光強度の強弱が検出しやすい。

【0058】
その他の構成については、上述した<1-1>欄の記載を援用する。

【0059】
<1-4.第2の画像取得工程>
上記第2の画像取得工程は、上記第2の電流注入工程において電流を注入している状態の上記太陽電池モジュールの第2の画像を取得する工程であればよく、その具体的な方法等は特に限定されるものではない。

【0060】
上記第2の電流注入工程において、太陽電池モジュールに対して注入する電流は、上述したように、上記第1の電流注入工程で注入する電流に比べて小さいものであることから、「第2の画像」は、上記第1の画像に比べて、発光強度が弱い画像である。また、光照射下において太陽電池モジュールに発生している光起電力と同一又はそれ以上の電圧を印加して電流が注入される場合、又は太陽電池モジュールに電流を注入しない場合は、発光のない太陽電池モジュールの画像である。

【0061】
なお、画像取得には、種々の画像取得装置を用いることができ、その具体的な構成等は、特に限定されるものでない。具体的な画像取得装置は、上述の<1-2>と同様のため、ここでは省略する。

【0062】
<1-5.画像形成工程>
上記画像形成工程は、上記第1の画像と上記第2の画像との差分を解析して、上記太陽電池モジュールへの第1の電流注入工程での電流注入に起因する発光状態を表す第3の画像を取得する工程であればよく、その具体的な方法等は特に限定されるものではない。

【0063】
本工程において、第1の画像と第2の画像との差分を解析することにより、太陽電池モジュールのエレクトロルミネッセンス以外の光、すなわち光照射下における背景光や擾乱光等(の影響)を除外することができ、実質的に第1の電流注入工程に起因する太陽電池モジュールのエレクトロルミネッセンスのみを解析することができる。

【0064】
「第1の画像と第2の画像との差分を解析する」とは、例えば、第1の画像により得られる太陽電池モジュールの発光強度から第2の画像より得られる太陽電池モジュールの発光強度を差し引くことを含む。この場合、「第3の画像」とは、第1の画像により得られる太陽電池モジュールの発光強度から第2の画像より得られる太陽電池モジュールの発光強度を差し引いて得られた発光強度を二次元的に表したものである。

【0065】
背景光や擾乱光等の存在により、第1の画像と第2の画像との差分を取得し難い場合に、又は、より精度の高い結果を得るために、本工程において、上記第1の画像取得工程と上記第2の画像取得工程とを複数回行い、得られた複数の第1の画像と第2の画像とを平均化処理して、その差分から第3の画像を取得してもよい。「平均化処理」するとは、複数の第1の画像及び第2の画像の発光強度の平均値をとることを意味する。本工程はまた、上記第1の画像取得工程と上記第2の画像取得工程とを交互に複数回行い、各回の第1の画像取得工程から得られた画像と第2の画像取得工程から得られた画像との差の和を得てもよい。これにより、SN比(信号雑音比)が高い高品質の第3の画像を取得することができる。

【0066】
また、本工程は、同期検波により上記太陽電池モジュールに照射される光(いわゆる背景光や擾乱光)に起因する光起電力による発光を除去して、第3の画像を取得してもよい。同期検波により、上記太陽電池モジュールに照射される光に起因する光起電力による発光を除去することによっても、高品質の第3の画像を取得することができる。

【0067】
なお、上記平均化処理、差の和を得る処理、又は同期検波処理については、本願出願当時において種々の技術が知られており、これらを好適に利用することができる。

【0068】
<1-6.発光検出工程>
上記発光検出工程は、上記第3の画像に生じる発光のうち、波長800nm~1300nmの第1の領域の光と、波長1400nm~1800nmの第2の領域の光とを検出する工程であればよく、その具体的な方法等は特に限定されるものではなく、従来公知の技術を好適に用いることができる。

【0069】
本工程においては、上記第3の画像に生じる光(例えば、波長800nm~1800nm近傍の光)を検出できる従来公知の光検出手段(装置)を用いることができ、その具体的な構成等は特に限定されるものではない。

【0070】
光検出装置としては、上記<1-2>欄に記載の画像取得装置と同様のCCDカメラ及びイメージインテンシファイアー等の光検出器を用いることができる。具体的な光検出装置は、上述の<1-2>と同様のため、ここでは省略する。

【0071】
本工程においては、第1の領域の光と第2の領域の光とを、1つの光検出装置を用いて検出することが好ましい。これによれば、光検出装置の交換やそれに伴う位置調節が不要になるので、本工程をより簡便に行うことができる。この場合には、例えばInGaAsカメラ、CCDカメラを使用することが可能である。なお、第1の領域の光と第2の領域の光とを、別々の光検出装置を用いて検出してもよい。この場合、例えば、Si CCDカメラとInGaAsカメラ、CCDカメラとを併用することができるし、イメージインテンシファイアー(浜松ホトニクス株式会社製、品番V8071U-76)とInGaAsカメラ、CCDカメラとを併用することもできる。さらにこれらの3種の光検出器を組み合わせることもできる。

【0072】
上述したようにInGaAsカメラ、CCDカメラ等の1つの光検出装置で800nm~1800nmの波長領域、すなわち、第1の領域の光と第2の領域の光とを同時に検出する場合は、これらの光をそれぞれ選択的に通過させるバンドパスフィルタを使用することが好ましい。これにより、第1の領域の光と第2の領域の光とを別々に効率的に検出し、観測することができる。つまり、本工程では、第1の領域の光及び第2の領域の光を同時に検出可能な光検出装置と、第1の領域の光又は第2の領域の光のどちらかをそれぞれ選択的に通過させるバンドパスフィルタとを用いて検出することが好ましいといえる。

【0073】
各バンドパスフィルタは、太陽電池モジュールから生じる光が光検出装置に到達するまでにバンドパスフィルタを通過するように、太陽電池モジュールと光検出装置との間に配置されていればよく、例えば光検出装置のレンズ部分に装備されていてもよい。第1の領域の光を選択的に通過させるバンドパスフィルタとしては、例えばBROAD BANDPASS FILTER(SPECTROGON社製、品番BBP-0910-1170C)が挙げられ、第2の領域の光を選択的に通過させるバンドパスフィルタとしては、例えばBROAD BANDPASS FILTER(SPECTROGON社製、品番BBP-1350-1600C)が挙げられる。

【0074】
このように、第3の画像から生じる光の波長領域及び発光強度が欠陥の種類により異なることから、波長の通過域が異なる異種バンドパスフィルタを用いて各波長の光の検出し、その発光強度に基づいて比較解析することによって、欠陥について簡便かつ迅速に評価することができる。

【0075】
なお、第3の画像から生じる発光のうち、第1の領域の光は、波長800nm~1300nm、好ましくは波長900nm~1250nm、より好ましくは波長1100nm~1200nmの光である。また、第3の画像から生じる発光のうち、第2の領域の光は、波長1400nm~1800nm、好ましくは波長1500nm~1700nm、より好ましくは波長1550nm~1650nmの光である。上記第1の領域の光のピークは波長1150nmであり、上記第2の領域の光のピークは波長1600nmである。

【0076】
上記第1の領域の光のピークが1150nmであることから、1150nmのバンドパスフィルタを用いることが好ましい。

【0077】
<1-7.判定工程>
上記判定工程は、上記第3の画像に基づいて、上記太陽電池モジュールにおける性能を判定する工程である。

【0078】
「第3の画像に基づいて」判定するとは、上記第3の画像により得られる、太陽電池モジュールのエレクトロルミネッセンスの発光強度の強弱を指標として、太陽電池モジュールの性能の良否を判定することを意味する。第3の画像における発光強度が所定の値より大きい場合には、太陽電池モジュールにおける性能を良好と判定し、発光強度が所定の値より小さい場合には、太陽電池モジュールにおける性能を不良と判定する。

【0079】
ここで「所定の値」とは、適宜設定可能であり、特に限定されるものではない。例えば、この値より低下した場合、十分な光電変換性能が得られないとするような、いわゆる閾値であってもよいし、また、製造工場で生産した良品の太陽電池モジュール又は不良品の太陽電池モジュールの発光特性の平均値を予め測定しておき、この値を所定の値としてもよい。すなわち、本工程では、得られた発光強度と予め設定しておいた基準値とを比較する工程であればよく、その具体的な方法としては種々の技術を好適に用いることができる。

【0080】
また、本工程は、上記発光検出工程で検出した第1の領域の光の発光強度と第2の領域の光の発光強度とを指標として、内因的欠陥と外因的欠陥とを分別し得る工程であることが好ましい。

【0081】
この場合、本工程では、例えば第1の領域の光の発光強度と第2の領域の光の発光強度とをそれぞれ第1の閾値及び第2の閾値と比較し、その結果を対比する等の処理を行う。対比の方法は、特に限定されない。

【0082】
第1の閾値及び第2の閾値と比較する方法としては、例えば、光検出装置により検出した、第3の画像における発光強度をデジタル化することにより数値化し、その結果を対比する方法が挙げられる。

【0083】
本工程では、例えば(i)第1の領域の発光強度が第1の閾値以下の場合に欠陥が存在すると判断し、(ii)上記(i)工程において欠陥が存在すると判断した部位について、第2の領域の発光強度が第2の閾値以上の場合には当該部位が内因的欠陥であると判断し、それ以外の部位を外因的欠陥と判断してもよい。これによれば、まず、第1の領域の発光強度に基づき欠陥が存在する部位を検出した後、第2の領域の発光強度に基づき検出された欠陥が内因的欠陥であるか、又は外因的欠陥であるかを分別することができる。

【0084】
また、本工程では、(iii)第1の領域の発光強度が第1の閾値以下であり、かつ第2の領域の発光強度が第2の閾値以上である部位が、内因的欠陥であると判断し、(iv)第1の領域の発光強度が第1の閾値以下であり、かつ第2の領域の発光強度が第2の閾値未満である部位が、外因的欠陥であると判断してもよい。(iii)工程及び(iv)工程の順番は特に限定されず、まず(iii)工程を実施した後に、(iv)工程を実施してもよいし、その反対であってもよい。また、(iii)工程及び(iv)工程を並列に実施してもよい。特に(iii)工程及び(iv)工程を並列に実施することによって、上記(i)工程及び(ii)工程を実施する場合と比べてより迅速に太陽電池モジュールの欠陥について評価を行うことができる。

【0085】
なお、上記(i)工程~(iv)工程における「第1の閾値」及び「第2の閾値」は、それぞれ異なっていてもよいし、同一であってもよい。例えば、(i)工程の「第1の閾値」と(iii)及び(iv)工程における第1の領域の発光強度の比較用の「第1の閾値」とが同じであり、(ii)工程の「第2の閾値」と(iii)及び(iv)工程における第2の領域の発光強度の比較用の「第2の閾値」とが同じである場合を挙げることができる。

【0086】
また、「第1の閾値」及び「第2の閾値」は、欠陥を判定するための値であるともいえ、適宜設定可能であり、所望の太陽電池素子の性能や、歩留まり等を考慮して使用者が任意に設定することができる。第1の閾値を低く設定した場合、歩留まりを向上させることができ、第1の閾値を高く設定した場合、品質のより優れた太陽電池素子を得ることができる。第2の閾値を高く設定した場合、歩留まりを向上させることができ、第2の閾値を低く設定した場合、品質のより優れた太陽電池素子を得ることができる。例えば、予め従来公知の方法を用いて太陽電池素子中の内因的欠陥及び/又は外因的欠陥が存在している部位を特定し、これらの部位からの第1の領域の光の発光強度又は第2の領域の光の発光強度を数値化することによって、閾値を設定してもよい。いわゆるコントロールとしての値である。このような閾値は、評価対象の太陽電池に基づいて設定してもよいし、又は他の別の太陽電池に基づいて予め設定しておいてもよい。

【0087】
例えば、「第1の閾値」は、太陽電池素子に対して上述の電流注入工程において電流を注入することによって太陽電池素子の正常な部位から生じた第1の領域の光の発光強度の値であってもよいし、この太陽電池素子の正常な部位から生じた第1の領域の光の発光強度の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、又は10%の値であってもよい。第1の閾値を太陽電池素子の正常な部位から生じた発光強度に近く設定すれば、軽度の欠陥も検出できる。一方、第1の閾値を太陽電池素子の正常な部位から生じた発光強度に比べて低く設定するほど、より重度の欠陥を検出できる。なお、「正常な部位」とは、内因的欠陥も外因的欠陥も存在しない太陽電池の部位が意図される。なお、閾値は予め測定して定めておくことが好ましい。

【0088】
同様に、「第2の閾値」は、太陽電池素子に対して上述の電流注入工程において電流を注入することによって太陽電池素子の内因的欠陥が存在する部位から生じた第2の領域の光の発光強度であってもよいし、この内因的欠陥が存在する部位から生じた第2の領域の光の発光強度より若干低い値、例えば90%、80%、70%、60%、50%程度の値であってもよい。
<1-8.実動作条件下での評価>
上述した太陽電池モジュールの評価方法は、全ての種類の太陽電池モジュールに応用することができる。すなわち、上記評価方法は、結晶性又は非結晶性の太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子、色素増感太陽電池素子、又は有機太陽電池素子等から構成される、任意の太陽電池モジュールに対して適用することができる。例えば、上記評価方法によって評価される対象の太陽電池モジュールを構成する太陽電池素子としては、種々の半導体材料を主要構成成分とする太陽電池素子であればよく、特に限定されるものではないが、好適にはシリコン半導体を主要構成部材として備えるものが好ましい。また、上記太陽電池素子に用いられるシリコン半導体は、単結晶、多結晶、又はアモルファスのシリコン半導体であることが好ましい。本明細書において「主要構成部材として備える」とは、シリコン半導体を主要な構成部材として備えていれば、その他にどのような部材、部品が設けられていてもよいという意である。

【0089】
なかでも特に、多結晶のシリコン半導体を主要構成部材として備える太陽電池素子であることが好ましい。多結晶のシリコン半導体を主要構成部材として用いて太陽電池素子を作製した場合、均一な面内分布を得ることが困難であるため、上記評価方法を用いた品質評価及び性能チェックが非常に重要なものとなる。

【0090】
また、単結晶及び/又は多結晶のシリコン半導体を主要構成部材とする太陽電池モジュールに対して順方向に電流を注入させると、1000nm~1300nmの波長領域の光を強く発する。従って、上記評価方法では、特に1000nm~1300nmの波長領域の発光強度を検出することにより、太陽電池モジュールの性能を一層正確に評価することができる。

【0091】
また、上記第1の電流注入工程及び第2の電流注入工程において、注入する電流密度は、上記太陽電池モジュールの作動電流とほぼ同じ電流密度であることが好ましい。ここで「太陽電池モジュールの作動電流」とは、評価対象の太陽電池素子に太陽光を照射した際に、実際に光電変換により発生する電流の意である。例えば、シリコン半導体製の太陽電池素子の場合、5~40mA/cmであるが、この値に限定されるものではなく、各種太陽電池素子及び各種太陽電池モジュールの材料及び組成に応じて、適宜変更可能であることはいうまでもない。なお、上記数値範囲外であっても本発明の作用効果を奏することができる合理的な数値範囲は本発明の技術的範囲に含まれる。

【0092】
多結晶のシリコン半導体を腫瘍構成部材として備える太陽電池素子の第3の画像に対して、ロングパスフィルタ(1Rパス900nm以上通過)を用いることが好ましい。第3の画像における波長900nm以上の発光を観察した場合に、第3の画像中に白色~黒色の部位が存在していることが確認できる。これより、第3の画像において、白色の部位(発光している部位)は内因的欠陥も外因的欠陥もない正常な部位であり、黒色の部位(発光していない部位)は、内因的欠陥又は外因的欠陥が存在している部位であることを分別することができる。すなわち、光照射下においても、内因的欠陥又は外因的欠陥が存在することを判定することができる。

【0093】
このように、実動作条件下での評価を行うことによって太陽電池モジュールの光電変換性能及び/又は信頼性を、より一層正確に評価することができる。ただし、本発明の太陽電池モジュールの評価方法を行う条件は、このような実動作条件に限定されず、カメラの性能、露光時間及び欠陥の量の関係に従って異なり、当業者は最適な条件を適宜設定することができる。

【0094】
以上のように、本発明の評価方法によれば、従来の太陽電池モジュールの評価方法に比べて、太陽光等の強力な光照射下であっても暗室等の特別な設備を必要とせず、太陽電池モジュールの性能を評価できる。また、上記評価方法によれば、太陽電池モジュールの性能について定量的な評価も可能である。さらに、上記評価方法によれば、評価対象となる太陽電池モジュールの大きさは、特に限定されず、種々の大きさのものを用いることができる。例えば、太陽電池モジュールの集合体である「太陽電池パネル」、さらには、その「太陽電池パネル」の集合体である「メガソーラーシステム」などに用いることができる。

【0095】
また、本発明の太陽電池モジュールの評価方法を太陽電池モジュールの製造工程に適用することができる。これによれば、太陽電池モジュールの製造工程において、太陽電池モジュールからの光の発光強度を常時モニタリングすることによって、不良品の太陽電池モジュールを検出することが可能となる。このため、不良品の修復又は交換が可能となる。

【0096】
このように、太陽電池モジュールの製造方法が、上記評価方法を一工程として含んでいることによって、自動的に全数検査を行うことができ、良品の太陽電池モジュールを提供することが可能となる。
<2.太陽電池モジュールの評価装置>
本発明の太陽電池モジュールの評価装置は、光照射下における太陽電池モジュールの評価装置であって、上記太陽電池モジュールに対して順方向に電流を注入する第1の電流注入部(第1の電流注入手段)と、上記太陽電池モジュールに対して順方向に上記第1の電流注入部にて注入した電流よりも小さな電流を注入する第2の電流注入部(第2の電流注入手段)と、上記太陽電池モジュールの画像として、上記第1の電流注入部によって電流を注入している状態の第1の画像と、上記第2の電流注入部によって電流を注入している状態の第2の画像と、を取得する画像取得部(画像取得手段)と、上記第1の画像と第2の画像との差分を解析して、上記太陽電池モジュールへの第1の電流注入部での電流注入に起因する発光状態を表す第3の画像を取得する画像形成部(画像形成手段)と、上記第3の画像に基づいて、上記太陽電池モジュールにおける性能を判定する判定部(判定手段)と、を備えていればよく、その他の具体的な構成、大きさ、形状等の条件は特に限定されるものではない。

【0097】
また、本発明の太陽電池モジュールの評価装置は、上記第3の画像に生じる発光のうち、波長800nm~1300nmの第1の領域の光と、波長1400nm~1800nmの第2の領域の光とを検出する発光検出部(発光検出手段)をさらに含み、上記判定部において、上記発光検出部で検出した第1の領域の光の発光強度と第2の領域の光の発光強度とを指標として、内因的欠陥と外因的欠陥とを分別し得る。

【0098】
以下、上記各部材(各手段)について詳細に説明する。なお、上記太陽電池モジュールの評価装置は、上記太陽電池モジュールの評価方法を実行するものであるとも換言できるため、各部材の説明については、上記評価方法における各工程の説明を援用することとし、重複する部分は省略する。

【0099】
<2-1.電流注入部>
上記第1の電流注入部及び第2の電流注入部は、太陽電池モジュールに対して、順方向に電流を注入するものであればよく、その具体的な構成等は特に限定されるものではない。第1の電流注入部と第2の電流注入部は、同一の部材であっても、異なる部材であってもよい。すなわち、上記電流注入部は、上記<1-1>、<1-3>欄にて説明した「電流注入工程」を実行するものであればよいといえる。例えば、種々の定電流源や定電圧源等を用いることができる。直流電流を注入する場合、電流注入部として種々の直流電源を用いればよい。

【0100】
光照射下における太陽電池モジュールには、光電変換により光起電力が発生する。このため、第1の電流注入部は、光照射下において太陽電池モジュールに発生する光起電力を超える電圧を印加することに相当する電流を注入する装置であることが好ましい。さらに、第2の電流注入部は、第1の電流注入部よりも小さな電流を注入する装置であればよく、例えば、光照射下において太陽電池モジュールが発生する光起電力と同一又はそれ以上の電圧を印加して電流が注入されることが好ましく、又は電流を注入しない装置であってもよい。

【0101】
また、上記第1の電流注入部及び第2の電流注入部は、太陽電池モジュールを構成する太陽電池素子の作動電流とほぼ同じ電流密度の電流を注入することが好ましい。例えば、上記第1の電流注入部及び第2の電流注入部は、より発光強度の大きい光を発生させるために、上記<1-8>欄にて説明した範囲の電流密度の電流を注入してもよい。

【0102】
その他の構成については、上記<1-1>、<1-3>欄の記載を援用する。

【0103】
<2-2.画像取得部>
上記画像取得部は、太陽電池モジュールの画像として、上記第1の電流注入部によって電流を注入している状態の第1の画像と、上記第2の電流注入部によって電流を注入している状態の第2の画像とを取得するものであればよく、その具体的な構成等は特に限定されるものではない。

【0104】
すなわち、本画像取得部は、上記<1-2>、<1-4>欄にて説明した「画像取得工程」を実行するものであればよい。例えば、上述したInGaAsカメラ、CCDカメラ又はイメージインテンシファイアー等の種々の光検出器を好適に用いることができる。その他の構成については、上記<1-2>、<1-4>欄の記載を援用する。

【0105】
<2-3.画像形成部>
上記画像形成部は、上記画像取得部にて得られた、第1の画像と第2の画像との差分を解析して、上記太陽電池モジュールへの第1の電流注入部での電流注入に起因する発光状態を表す第3の画像を取得するものであればよく、その具体的な構成等は特に限定されるものではない。

【0106】
すなわち、第1の画像と第2の画像との差分を解析することにより、太陽電池モジュールのエレクトロルミネッセンス以外の光、すなわち光照射下における背景光や擾乱光等を除外し、実質的に第1の電流注入工程に起因する太陽電池モジュールのエレクトロルミネッセンスのみを解析する画像を取得するものであればよい。例えば、本画像形成部は、上記<1-5>欄にて説明した「画像形成工程」を実行するものであればよい。その他の構成については、上記<1-5>欄の記載を援用する。

【0107】
<2-4.発光検出部>
上記発光検出部は、上記第3の画像に生じる発光のうち、波長800nm~1300nmの第1の領域の光と、波長1400nm~1800nmの第2の領域の光とを検出するものであればよく、その具体的な方法等は特に限定されるものではなく、従来公知の技術を好適に用いることができる。

【0108】
すなわち、本発光検出部は、上記<1-6>欄にて説明した「発光検出工程」を実行するものであればよい。例えば、上述したInGaAsカメラ、CCDカメラ又はイメージインテンシファイアー等の種々の光検出器を好適に用いることができる。その他の構成については、上記<1-6>欄の記載を援用する。

【0109】
<2-5.判定部>
上記判定部は、上記画像形成部にて得られた第3の画像に基づいて、上記太陽電池モジュールにおける性能を判定するものであり、その具体的な構成等は特に限定されるものではない。また、上記判定部は、上記発光検出部にて得られる第3の画像の発光に基づいて、上記太陽電池モジュールにおける欠陥を内因的欠陥によるもの、又は外因的欠陥によるものであるかを判定するものであることが好ましい。すなわち、本判定部は、上記<1-7>欄にて説明した「判定工程」を実行するものであればよく、例えば、種々のコンピュータ等の演算装置を好適に用いることができる。

【0110】
上記判定部は、上記第3の画像により得られる、太陽電池モジュールのエレクトロルミネッセンスの発光強度の強弱を指標とし、第3の画像における発光強度が所定の値より大きい場合には、太陽電池モジュールにおける性能を良好と判断し、第3の画像における発光強度が所定の値より小さい場合には、太陽電池モジュールにおける性能を不良と判断するものである。

【0111】
また、上記判定部は、上記発光検出部で検出した第1の領域の光の発光強度と第2の領域の光の発光強度とを指標として、内因的欠陥と外因的欠陥とを分別するものである。その他の構成については、上記<1-7>欄の記載を援用する。

【0112】
<2-6.太陽電池モジュールの評価装置の一実施形態>
図1に基づいて、本発明の太陽電池モジュールの評価装置10の一実施形態について説明する。同図に示すように、本実施形態に係る太陽電池モジュールの評価装置10は、画像取得部12、くし型プローブ3、銅板4、直流電源5及びイメージプロセッサー(Image Processor)7を備える。また、評価装置10は、太陽電池モジュール6を評価対象とする。太陽電池モジュール6は、太陽電池素子が複数個連結した構成である。

【0113】
画像取得部12は、CCDカメラを備える画像取得装置として機能するものである。画像取得部12は、InGaAs CCDカメラ1及びレンズ2を備える。画像取得部12は、90°回転可能に形成されている。これにより、平行方向及び鉛直方向に設けられた太陽電池モジュールを評価することができる。

【0114】
レンズ2としては、通常のレンズやズームレンズ(Zoom Lens)を用いることができる。

【0115】
また、画像取得部12としてInGaAs CCDカメラ1を用いて、サイズの違う太陽電池モジュール6を構成するセル(太陽電池素子)を評価する場合、下記表1に記載したような性能を有していてもよい。

【0116】
【表1】
JP2014228517A_000003t.gif

【0117】
具体的には、モジュール撮影モードでは、図1に示すようにCCDカメラを太陽電池モジュールの平行方向に設置して撮影を行うが、通常撮影モードの場合は、CCDカメラを90°回転させてCCDカメラを太陽電池モジュールの上部に設置して撮影及び測定する。

【0118】
なお、通常撮影モードの場合の評価対象となる太陽電池モジュール6のサイズ(セルサイズ)は、例えば、大きさ:約10mm×10mm,20mm×20mm,100mm×100mm,150mm×150mm,160mm×160mm,200mm×200mm、厚さ:0.3mm以下のものを用いることができる。

【0119】
また、本実施形態では、画像取得部12レンズ2と太陽電池モジュール6との間の距離は、150mm以上400mm以内に設定され、画像取得部12は太陽電池モジュール6との間を移動可能に設置されることが好ましい。

【0120】
くし型プローブ3は、太陽電池モジュール6に電流を注入するための表面コンタクトである。くし型プローブ3は、図示するようにくし型形状のプローブ1対から構成されており、太陽電池モジュール6を構成する太陽電池素子の電極1つにつき、くし1本が対応する。プローブの形状がくし型構造である場合、太陽電池モジュール6に均一に電流を注入することができるため、好ましい。

【0121】
特に、100mm×100mmセル,150mm×150mmセル,200mm×200mmセルに対して用いるくし型プローブ3は、各パスバー電極の長さ及び両電極間の幅が異なるものとしてもよい。例えば、アトシステム製のくし状プローブ1対を用いることができる。この場合、2本のくし状プローブの幅間隔は調整可能なように構成されることが好ましい。また、くし状プローブにおける“くし”同士の間隔は、特に限定されないが、例えば、9mmであればよい。また、プローブのくし1本の太さは1mmのものを使用できる。なお、くし型プローブ3は電極1本あたり1つ用いることが好ましい。

【0122】
なお、太陽電池モジュール6が10mm×10mm,20mm×20mmである場合、くし型プローブ3を用いることなく、ポジショーナーからのプローブ(1ヶ)を用いてもよい。

【0123】
また、銅板4は裏面コンタクトとして機能する。例えば、金メッキ銅板を用いることができる。この場合、太陽電池モジュール6を全面吸引することが好ましい。例えば、セルサイズが変化するので同中心状の正方形のみぞを掘り吸引することにより、安定性が向上する。上記みぞのサイズとしては、例えば、8mm×8mm,18mm×18mm,98mm×98mm,148mm×148mm,195mm×195mmのものを挙げることができる。また、温度センサー及び/又は冷却装置を設けることが好ましい。太陽電池モジュールの温度を一定に保つことができ、測定・評価精度が向上するためである。

【0124】
直流電源5としては、通常のDC power supply(太陽電池素子に電流密度1×10-3~5A/cmで注入が可能なもの)のものを用いることができる。なお、電圧は、太陽電池素子や太陽電池モジュールを評価する場合は5V程度でよいが、太陽電池モジュールの集合体である太陽電池パネルを評価する場合は、100V程度であることが好ましい。特に、電圧は、1つの太陽電池素子あたり1~2V程度であることがより好ましい。

【0125】
また、くし型プローブ3、銅板4、及び直流電源5は、電流注入部11として機能する。なお、くし型プローブ3は直流電源5のマイナス側と固定接続されており、銅板4は直流電源5のプラス側と固定接続される。また、本実施形態において、電流注入部11は、第1の電流注入部及び第2の電流注入部として機能する。

【0126】
本実施形態において、イメージプロセッサー7は、画像形成部13、判定部14及び制御部15として機能する。画像形成部13は、画像取得部12にて得られた第1の画像及び第2の画像との差分から、第1の画像を得るために注入した電流に起因する太陽電池モジュール6の発光状態を表す第3の画像を取得する装置として機能するものである。また、判定部14は、太陽電池モジュール6の性能を評価する判定装置として機能するものである。制御部15は、第1の画像を得た後に第2の画像を取得するように指示を与えるように機能する、又は第3の画像を取得するように指示を与えるように機能するものであり、いわゆる評価装置全体の動作を制御するものである。イメージプロセッサー7に用いるソフトウェアは、本発明の目的を達せられるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような構成のソフトウェアを用いることが好ましい。
・画像の8bit(2=256階調)又は16bit(216=65536階調)保存可能なもの。
・太陽電子素子から生じた光を検出/撮影後、画面上で範囲選択して、輝度プロファイルデータを取得・保存できるもの。
・分光可能なもの。
・高感度画像を取得できるもの(image intensifierカメラ)、例えば、逆方向電流注入時のエミッション測定ができるもの。

【0127】
また、以下の構成があれば、より好ましい。
・データを表計算ソフトで読み込み、画像とすると、撮影像の90度回転した状態になっている点を改善したもの。
・ビニングモードの簡易な切り替えが可能なもの。
・発光強度のヒストグラムの自動作成プログラム。
・発光強度の弱い部分(暗い部分)の長さや幅の自動測定。1センチ以上のものの自動検出。
・選択範囲の発光強度の平均値算出。グリッド部分の値を差し引いた平均値も測定できることが好ましい。

【0128】
本実施形態の場合、画像取得部12は、太陽電池モジュール6の平行方向に設けられる。

【0129】
次に図2に基づいて本太陽電池モジュールの評価装置10の評価動作の一実施形態について説明する。評価装置10は、電流注入部11、画像取得部12、画像形成部13、判定部14及び制御部15を備える。電流注入部11、画像取得部12及び画像形成部13は、制御部15を介して接続されており、画像形成部13は判定部14と接続されている。

【0130】
電流注入部11、画像取得部12、画像形成部13及び判定部14は、それぞれ上記画像取得工程、上記電流注入工程、上記画像形成工程及び上記判定工程を実行するものである。

【0131】
まず、電流注入部11が、太陽電池モジュール6に対して電流を注入する。太陽電池モジュール6は電流注入により発光する(エレクトロルミネッセンス)。ただし、光照射下であるため、微弱なエレクトロルミネッセンスは肉眼等では観察できない。次いで、画像取得部12は、太陽電池モジュール6の発光状態を表す第1の画像を取得する。取得した第1の画像情報は、制御部15に送られ、保存される。

【0132】
次に、電流注入部11は、太陽電池モジュール6に対して、第1の画像を取得したときよりも小さな電流を注入する。なお、このとき、制御部15が、第1の画像を取得したときよりも小さな電流を注入するよう、電流注入部11に伝達するものであってもよい。次いで、画像取得部12は、当該電流が注入されている太陽電池モジュール6の発光状態を表す第2の画像を取得する。取得した第2の画像情報は、制御部15に送られ、保存される。

【0133】
制御部15に保存された第1の画像情報及び第2の画像情報は、画像形成部13に伝達される。画像形成部13は、上記第1の画像情報と上記第2の画像情報との差分を解析し、第1の画像を取得したときに注入した電流に起因する太陽電池モジュール6の発光状態を表す第3の画像を形成する。上記第3の画像情報は、判定部14に送られる。判定部14は、上記第3の画像に基づいて、太陽電池モジュール6の発光強度と予め設定しておいた所定の値とを比較し、太陽電池モジュールに存在する欠陥等の性能を判定する。

【0134】
なお、上記第1の画像情報及び第2の画像情報は、制御部15から画像形成部13に順次別々に送られても、同時に送られてもよい。なお、上記第1の画像情報及び第2の画像情報は、制御部15を介することなく、画像取得部12から画像形成部13に直接的に送られる構成であってもよい。

【0135】
以上のように、本発明の太陽電池モジュールの評価装置によれば、上記<1>欄で説明した太陽電池モジュールの評価方法を簡便かつ確実に実施することができる。この場合、従来のように、太陽光等の強力な光照射下であっても暗室等の特別な設備を必要とせず、太陽電池モジュールの性能を定量的に評価できる。

【0136】
<3.太陽電池モジュールの評価方法等の利用>
上述したように、本発明に係る太陽電池モジュールの評価方法及び評価装置は、太陽光等の強力な光照射下であっても暗室等の特別な設備を必要としない。このため、本発明の太陽電池モジュールの評価方法又は評価装置によれば、製品状態(製造工場で完成した状態、又は構造物に設置された状態)で観察及び評価を行うことが可能であり、例えば、構造物に設置されている太陽電池モジュールの評価を定期的に行う、メンテナンス方法又はメンテナンスシステムといったビジネスモデルを構築することができる。

【0137】
すなわち、本発明には、上述した太陽電池モジュールの評価装置が、構造物に設置されている太陽電池モジュールの性能を評価する評価工程と、交換指示装置が、上記評価工程における検査結果に基づき、太陽電池モジュールの不良部分の交換を、通信ネットワークを介して、太陽電池モジュールの交換事業者に対して指示する工程と、を含む太陽電池モジュールのメンテナンス方法が含まれる。

【0138】
また、本発明には、上記メンテナンス方法を実行するためのメンテナンスシステムも含まれる。上記メンテナンスシステムは、本発明の太陽電池モジュールの評価装置と、上記評価装置の評価結果に基づき、太陽電池モジュールの交換を、通信ネットワークを介して、太陽電池モジュールの交換事業者に対して指示する交換指示装置と、を備えるものであればよい。

【0139】
本明細書において、文言「構造物に設置されている太陽電池モジュール」とは、家屋及びマンション等の居住施設、ショッピングモール及びオフィスビル等の商業施設等の構造物に、既に設置されている太陽電池モジュールを意図しており、例えば、太陽電池モジュールの製造工場において、製造中又は製造直後の太陽電池モジュールであって、構造物に設置されていないものは除く意である。

【0140】
図3に、本実施形態に係るメンテナンスシステム100の一例を模式的に示した機能ブロック図を示す。同図に示すように、メンテナンスシステム100は、評価装置10、交換指示装置20を備える。評価装置10は、電流注入部11、画像取得部12、画像形成部13、判定部14及び制御部15を備える。なお、図2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。

【0141】
交換指示装置20は、評価装置10に備えられている判定部14と接続される。また、交換指示装置20は、通信ネットワーク30を介して交換事業者の端末40と接続される。なお、通信ネットワーク30及び/又は交換事業者の端末40は、メンテナンスシステム100に含まれていてもよいし、外部の任意のネットワークや任意の端末を利用してもよい。

【0142】
交換指示装置20は、太陽電池モジュールの発光強度が所定の値より低下しており、性能が低下していると判断された太陽電池モジュールの交換を、通信ネットワークを介して太陽電池モジュールの交換事業者に対して指示するものである。例えば、交換指示装置20としては、特に限定されないが、インターネット等の通信回線に接続可能なコンピュータ等の演算装置を用いることができる。

【0143】
なお、本実施形態では判定部14と交換指示装置20とを別々の装置として記載しているが、1台のコンピュータを判定部14及び交換指示装置20として用いることができることは言うまでもない。

【0144】
また、通信ネットワーク30は、特に限定されないが、例えば、有線を用いた専用回線であってもよいし、インターネット等の回線を用いてもよい。また、通信ネットワーク30として、携帯電話回線や無線を用いたネットワークを利用することもできる。

【0145】
交換事業者の端末40は、交換指示装置20からの交換指示を認識できる端末であればよい。交換事業者の端末40は、特に限定されないが、好ましくは、表示部(例えば、CRTやLCD等のディスプレイ)又は出力部(例えば、プリンタ)を備えることが好適である。

【0146】
次いで、図4に、評価装置10を用いた実施形態に係るメンテナンスシステム100のフローの一例を示す。まず評価装置10により、第1の画像及び第2の画像が取得され、次いで、上記第1の画像と上記第2の画像との差分を解析して、第1の画像を得るために注入した電流に起因する太陽電池モジュール6の発光状態を表す第3の画像が形成される。そして、評価装置10において、上記第3の画像の発光強度が予め設定しておいた値よりも低いか否かが判定される。上記判定により、上記第3の画像の発光強度が予め設定しておいた値よりも低い場合、太陽電池モジュールの性能が低下していると判断される。太陽電池モジュールの性能が低下していると判定された場合、上記太陽電池モジュールの交換を行うか否かの検討を行うように、交換事業者に依頼する。

【0147】
より具体的には、まず、メンテナンスシステム100において、評価装置10の電流注入部11が、メンテナンス対象の太陽電池モジュールに対して電流注入工程を行う(ステップ1、以下ステップを“S”と記載する)。次に、評価装置10における画像取得部12が、S1の処理を行った太陽電池モジュールの画像(第1の画像)を取得する(S2)。

【0148】
次に、電流注入部11が、上記太陽電池モジュールに対して電流注入工程を行う(S3)。次に、画像取得部12が、S3の処理を行った太陽電池モジュールの画像(第2の画像)を取得する(S4)。なお、制御部15が、S2にて取得した画像が第2の画像であるかを判断し、取得した画像が第1の画像である場合、もう一度S1及びS2を繰り返し、第2の画像を取得するように電流注入部11に指示してもよい。

【0149】
取得した上記第1の画像の情報及び上記第2の画像の情報が、画像形成部13に送られる(S5)。画像形成部13は、取得した第1の画像及び第2の画像の差異を解析し、第1の画像を得るために注入した電流に起因する太陽電池モジュール6の発光状態を表す第3の画像を形成する(S6)。

【0150】
次いで、判定部14が、上記第3の画像に基づいて、第3の画像の発光強度が予め設定した値以下であるか否かを判定する(S7)。S7において、判定部14が第3の画像の発光強度が予め設定した値以下であると判定した場合(“Y”)、処理はS8に移行する。S8では、判定部14が、発光強度が低い太陽電池モジュールを性能が低下しているものと判断し、この結果を交換指示装置20に伝達する。処理は、S9に移行し、S9では、交換指示装置20が、通信ネットワーク30を介して、交換事業者の端末40に対して、性能が低下している太陽電池モジュールの存在を連絡し、交換するか否かの検討を交換事業者に依頼し、処理を終了する。

【0151】
一方、S7において、判定部14が第3の画像の発光強度が予め設定した値より大きいと判定した場合(“N”)、処理はそのまま終了する。

【0152】
従来、太陽電池モジュールの評価を行うためには、大型の装置を用いこと及び暗室で行うこと必要があり、家屋等の構造物に設置された太陽電池モジュールの性能を評価し、定期的にメンテナンスを行うことが困難であった。しかし、本発明の太陽電池モジュールのメンテナンス方法又はメンテナンスシステムによれば、太陽光等の強力な光照射下であっても暗室等の特別な設備を必要とせず、太陽電池モジュールの性能を評価できる。このため、構造物に設置済みの太陽電池モジュール(すなわち、作製済みの太陽電池モジュール)であっても定期的にメンテナンスを行うことが可能である。よって、太陽電池モジュールの品質を一定のレベルに維持することができる。

【0153】
なお、上記の説明では、太陽電池モジュールの評価装置の一部の例を用いたメンテナンス方法及びメンテナンスシステムについて説明したが、当然、このメンテナンス方法及びメンテナンスシステムには、本明細書において説明した様々な太陽電池モジュールの評価装置を好適に用いることができることを念のため付言しておく。

【0154】
最後に、上記評価装置、及び交換指示装置等のメンテナンスシステムの各ブロック(以下単に「評価装置等」と称する)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。

【0155】
後者の場合、評価装置等は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラム及び各種データがコンピュータ(又はCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)又は記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備える。そして、コンピュータ(又はCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。

【0156】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段(装置)を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0157】
[実施例1:白熱電球照明下における評価1]
市販の多結晶のシリコン半導体製の太陽電池モジュール(変換効率が約13%、Bp Solar社製、SX20M)の性能を白熱電球照射下において評価した。本実施例では、上記太陽電池モジュールを解析するために、Si CCDカメラ(浜松ホトニクス株式会社製、品番C9299-02)を用いた。使用した多結晶のシリコン半導体製の太陽電池モジュールの大きさは、40cm×50cmである。
【実施例】
【0158】
図5に、本実施例にて得られた、上記太陽電池モジュールの画像を示す。図5(a)は、白熱電球照射下において順方向に5Aの直流電流を注入した太陽電池モジュールの発光状態の画像(第1の画像)である。図5(b)は、白熱電球照射下において電流無注入の太陽電池モジュールの画像(第2の画像)である。図5(c)は、上記第1の画像と上記第2の画像との差分を解析して得られた、直流電流(5A)の注入に起因する太陽電池モジュールの発光状態を表す画像(第3の画像)である。図5(d)は、暗室内にて電流密度が40mA/cmの電流を注入した同一の太陽電池モジュールの発光状態を示した画像である。
【実施例】
【0159】
まず、図5(c)と図5(d)とを比較すると、発光の強弱の領域が一致している。この結果から、白熱球照射下においても、第1の画像と第2の画像の差分を取得することにより、暗室でのエレクトロルミネッセンスの観察と同様に、太陽電池モジュールの性能を評価できることがわかる。
【実施例】
【0160】
図5(c)に示すように、光照射下においても、上記太陽電池モジュールへの電流注入に起因するエレクトロルミネッセンスが観察できることがわかる。白っぽく見える部分が強く発光している領域であり、黒く見える部分が発光の弱い領域である。図5(c)の破線で囲んだ領域は、発光の弱い領域であり、太陽電池モジュールの不良領域であることがわかる。
【実施例】
【0161】
[実施例2:白熱電球照明下における評価2]
実施例1にて使用した太陽電池モジュールよりも発光強度の高い高効率単結晶シリコン素子A(変換効率18~19%、試作品)の性能を白熱電球照射下において評価した。使用した高効率単結晶シリコン素子Aの大きさは、10cm×10cmである。なお、上述した構成以外は、実施例1と同様に行った。
【実施例】
【0162】
図6に、本実施例にて得られた、上記高効率単結晶シリコン素子Aの画像を示す。図6(a)は、白熱電球照射下において順方向に4Aの直流電流を注入した高効率単結晶シリコン素子Aの発光状態の画像(第1の画像)である。図6(b)は、白熱電球照射下において電流無注入の高効率単結晶シリコン素子Aの画像(第2の画像)である。図6(c)は、上記第1の画像と上記第2の画像との差分を解析して得られた、直流電流(4A)の注入に起因する高効率単結晶シリコン素子Aの発光状態を表す画像(第3の画像)である。図6(d)は、暗所にて電流密度が40mA/cmの電流を注入した同一の高効率単結晶シリコン素子Aの発光状態を示した画像である。
【実施例】
【0163】
図6(c)と図6(d)とを比較すると、発光の強弱の領域が一致している。この結果から、白熱球照射下においても、第1の画像と第2の画像の差分を取得することにより、暗室でのエレクトロルミネッセンスの観察と同様に、高効率単結晶シリコン素子Aの性能を評価できることがわかる。
【実施例】
【0164】
図6(c)に示すように、光照射下においても、上記高効率単結晶シリコン素子Aへの電流注入に起因するエレクトロルミネッセンスを観察できることがわかる。白っぽく見える部分が強く発光している領域であり、黒く見える部分が発光の弱い領域である。図6(c)の破線で囲んだ領域は、発光の弱い領域であり、太陽電池モジュールの不良領域であることがわかる。
【実施例】
【0165】
[実施例3:ソーラーシュミレーター下における評価1]
高効率単結晶シリコン素子Aの太陽電池モジュール(変換効率が18~19%、試作品)の性能を、ソーラーシュミレーター(WACOM社製)による光(1sun)照射下において評価した。使用した太陽電池モジュールの大きさは、10cm×10cmである。なお、上述した構成以外は、実施例1と同様に行った。
【実施例】
【0166】
図7に、本実施例にて得られた、上記太陽電池モジュールの画像を示す。図7(a)は、光(1sun)照射下において、順方向に12Aの直流電流を注入した太陽電池モジュールの発光状態の画像(第1の画像)である。図7(b)は、光(1sun)照射下において、電流無注入の太陽電池モジュールの画像(第2の画像)である。図7(c)は、上記第1の画像と上記第2の画像との差分を解析して得られた、直流電流(12A)の注入に起因する太陽電池モジュールの発光状態を表す画像(第3の画像)である。図7(d)は、暗室内にて12Aの電流を注入した同一の太陽電池モジュールの発光状態を示した画像である。
【実施例】
【0167】
図7(c)と図7(d)とを比較すると、発光の強弱の領域が一致している。この結果から、ソーラーシュミレーターによる光照射下においても、第1の画像と第2の画像の差分を取得することにより、暗室でのエレクトロルミネッセンスの観察と同様に、太陽電池モジュールの性能を評価することができることがわかった。
【実施例】
【0168】
図7(c)に示すように、光照射下においても、上記太陽電池モジュールへの直流電流の注入に起因するエレクトロルミネッセンスを観察できることがわかる。白っぽく見える部分が強く発光している領域であり、黒く見える部分が発光の弱い領域である。図7(c)の破線で囲んだ領域は、発光の弱い領域であり、太陽電池モジュールの不良領域である。
【実施例】
【0169】
[実施例4:ソーラーシュミレーター下における評価2]
高効率単結晶シリコン素子Bの太陽電池モジュール(変換効率が18~19%、試作品)の性能を、ソーラーシュミレーター(WACOM社製)による光(1sun)照射下において評価した。使用した太陽電池モジュールの大きさは、10cm×10cmである。なお、上述した構成以外は、実施例1と同様に行った。
【実施例】
【0170】
図8に、本実施例にて得られた、上記太陽電池モジュールの画像を示す。図8(a)は、光(1sun)照射下において、順方向に5Aの直流電流を注入した太陽電池モジュールの発光状態の画像(第1の画像)である。図8(b)は、光(1sun)照射下において、電流無注入の太陽電池モジュールの画像(第2の画像)である。図8(c)は、上記第1の画像と上記第2の画像との差分を解析して得られた、直流電流(5A)の注入に起因する太陽電池モジュールの発光状態を表す画像(第3の画像)である。図8(d)は、暗室内にて5Aの電流を注入した同一の太陽電池モジュールの発光状態を示した画像である。図8(e)は、図8(d)のカラー画像であり、図8(f)は、図8(c)のカラー画像である。なお、カラー画像の場合、赤色になっている部分が強く発光している領域であり、黄色から青色の部分が発光の弱い領域である。
【実施例】
【0171】
図8(c)と図8(d)とを比較し、また図8(e)と図8(f)とを比較すると、発光の強弱の領域が一致していることがわかる。この結果から、注入する電流を弱めても、ソーラーシュミレーターによる光照射下において、第1の画像と第2の画像の差分を取得することにより、暗室でのエレクトロルミネッセンスの観察と同様に、太陽電池モジュールの性能を評価することができることがわかった。
【実施例】
【0172】
図8(c)に示すように、光照射下においても、上記太陽電池モジュールへの直流電流の注入に起因するエレクトロルミネッセンスを観察できることがわかる。白っぽく見える部分が強く発光している領域であり、黒く見える部分が発光の弱い領域であり、太陽電池モジュールの不良領域である。
【実施例】
【0173】
[実施例5:ソーラーシュミレーター下における評価3]
実施例2にて使用したのと同一の高効率単結晶シリコン素子Cの太陽電池モジュール(変換効率18~19%、試作品)の一部を破壊し、外因的欠陥を意図的に作製した。ソーラーシュミレーター(WACOM社製)による光(1sun)照射下において、上記高効率単結晶シリコン素子Cの性能を評価した。使用した高効率単結晶シリコン素子Cの大きさは、10cm×10cmである。なお、上述した構成以外は、実施例1と同様に行った。
【実施例】
【0174】
図9に、本実施例にて得られた上記高効率単結晶シリコン素子Cの画像を示す。図9(a)は、光(1sun)照射下において、順方向に12Aの直流電流を注入した高効率単結晶シリコン素子Cの発光状態の画像(第1の画像)である。図9(b)は、光(1sun)照射下において、電流無注入の高効率単結晶シリコン素子Cの画像(第2の画像)である。図9(c)は、上記第1の画像と上記第2の画像との差分を解析して得られた、直流電流(12A)の注入に起因する高効率単結晶シリコン素子Cの発光状態を表す画像(第3の画像)である。図9(d)は、暗所にて12Aの電流を注入した同一の高効率単結晶シリコン素子Cの発光の様子を示した画像である。
【実施例】
【0175】
図9(c)と図9(d)とを比較すると、発光の強弱の領域、特に弱い領域(外因的欠陥に起因する領域など)の形状が一致していることがわかる。この結果から、ソーラーシュミレーター(WACOM社製)による光照射下においても、第1の画像と第2の画像の差分を取得することにより、暗室でのエレクトロルミネッセンスの観察と同様に、外因的欠陥による性能の低下においても評価できることがわかった。図9(c)に示すように、光照射下においても、上記高効率単結晶シリコン素子Cへの12Aの直流電流の注入に起因するエレクトロルミネッセンスを観察できることがわかる。白っぽく見える部分が強く発光している領域であり、黒く見える部分が発光の弱い領域であり、太陽電池モジュールの不良領域である。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本発明によれば、太陽電池モジュールを製造する際に行われる性能についての評価、品質検査、及び素子材料評価はもちろんのこと、さらに、設置済みの太陽電池モジュール、又はメガソーラーシステムの定期的なメンテナンスにも利用可能である。このため、単なる検査機器等にとどまらず、広範な産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0177】
10 評価装置
11 電流注入部(電流注入手段)
12 画像取得部(画像取得手段)
13 画像形成部(画像形成手段)
14 判定部(判定装置、判定手段)
15 制御部
20 交換指示装置
30 通信ネットワーク
40 交換事業者の端末
100 メンテナンスシステム
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8