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明細書 :陰圧発生防止機構及びその陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-035258 (P2016-035258A)
公開日 平成28年3月17日(2016.3.17)
発明の名称または考案の名称 陰圧発生防止機構及びその陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプ
国際特許分類 F04B  43/10        (2006.01)
F04B  43/06        (2006.01)
FI F04B 43/10
F04B 43/06 A
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2014-159157 (P2014-159157)
出願日 平成26年8月5日(2014.8.5)
発明者または考案者 【氏名】増澤 徹
【氏名】黒崎 亘
出願人 【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001922、【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 3H077
Fターム 3H077AA01
3H077AA07
3H077CC02
3H077CC09
3H077CC12
3H077DD09
3H077DD14
3H077EE02
3H077EE04
3H077EE31
3H077FF03
3H077FF07
3H077FF12
3H077FF14
3H077FF15
3H077FF22
要約 【課題】本発明は、容積ポンプの充満期に、液層に陰圧が発生するのを防止することを目的とする。
【解決手段】本発明である容積ポンプは、圧力により変形又は復元する容積可変手段により気室と液室とに仕切られ、液室に液体を送り込む上流側の送液手段と液層から液体を送り出す下流側の送液手段とが設けられた容積ポンプにおいて、下流側から分岐して気室内に挿通された弾性部材を備え、上流側から液室に液体が送り込まれ容積可変手段が気室側に変形したときに弾性部材に液体を流入させることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
ポンプケース内に設けられて第1液室と気室を形成する容積可変手段と、
前記気室の駆動圧を変えるために前記気室内の気体を出し入れするための通気手段と、
弾性部材を構成手段として備え、前記気室内に第2液室を形成する液室形成手段と、を備え、
前記第2液室には前記第1液室の下流側又は上流側から液体が導入され、前記通気手段を介して気体が前記気室に導入されることにより、前記気室の圧力が上昇し、該圧力上昇により前記第1液室の容積可変手段の動作により前記第1液室の容積が減少して、前記第1液室内の液体が下流側に送出され、
一方、前記通気手段を介して気体が前記気室から排出されることにより、前記気室の圧力が下降し、該圧力下降により前記第2液室の容積が増加して、前記気室の圧力下降が緩和され、該緩和された前記気室の圧力下降に基づいて前記第1液室の容積が増大して上流側から液体が前記第1液室に導入される、
ことを特徴とする陰圧発生防止機構。
【請求項2】
前記液室形成手段は、前記第1液室の下流側から液体が導入される弾性管を弾性部材として備え、前記気室内に第2液室を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の陰圧発生防止機構。
【請求項3】
前記液室形成手段は、前記第1液室の上流側から液体が導入される弾性管を弾性部材として備え、前記気室内に第2液室を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の陰圧発生防止機構。
【請求項4】
前記液室形成手段は、前記第1液室の下流側及び上流側から液体が導入される弾性管を弾性部材として備え、前記気室内に第2液室を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の陰圧発生防止機構。
【請求項5】
前記液室形成手段は、二重にした弾性膜を弾性部材として備え、前記弾性膜間に第1液室の下流側及び上流側から液体が導入される第2液室を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の陰圧発生防止機構。
【請求項6】
前記弾性部材の弾性係数を異ならせる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の陰圧発生防止機構。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の陰圧発生防止機構を備えた、
ことを特徴とする容積ポンプ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動用気体の圧力を利用して液体を送る容積ポンプに設ける陰圧発生防止機構と、その陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
容積ポンプの一例である空気駆動式のダイアフラム(弾性膜)を用いた送液ポンプにおいては、拍出期にダイアフラムが圧縮空気に押され変形し、充満期にその形状が復元することにより、ポンプ内への液体の流入と流出が繰り返される。なお、特許文献1には、耐久性に富み、高温、高圧性能に優れた容積ポンプの発明が記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平10-54366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ダイアフラムが復元することによる容積(気層)の減少よりも先に排気される空気容積の方が多いことや、排気慣性効果とダイアフラムの復元力が重ね合わせられることなどにより、充満期初期に水層部(液層)で過大な陰圧が発生する。
【0005】
そこで、本発明は、容積ポンプの充満期に、液層に陰圧が発生するのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明である陰圧発生防止機構及びその陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプは、ポンプケース内に設けられて第1液室と気室を形成する容積可変手段と、前記気室の駆動圧を変えるために前記気室内の気体を出し入れするための通気手段と、弾性部材を構成手段として備え、前記気室内に第2液室を形成する液室形成手段と、を備え、前記第2液室には前記第1液室の下流側又は上流側から液体が導入され、前記通気手段を介して気体が前記気室に導入されることにより、前記気室の圧力が上昇し、該圧力上昇により前記第1液室の容積可変手段の動作により前記第1液室の容積が減少して、前記第1液室内の液体が下流側に送出され、一方、前記通気手段を介して気体が前記気室から排出されることにより、前記気室の圧力が下降し、該圧力下降により前記第2液室の容積が増加して、前記気室の圧力下降が緩和され、該緩和された前記気室の圧力下降に基づいて前記第1液室の容積が増大して上流側から液体が前記第1液室に導入される、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明である陰圧発生防止機構及びその陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプは、前記液室形成手段が、前記第1液室の下流側から液体が導入される弾性管を弾性部材として備え、前記気室内に第2液室を形成する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明である陰圧発生防止機構及びその陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプは、前記液室形成手段が、前記第1液室の上流側から液体が導入される弾性管を弾性部材として備え、前記気室内に第2液室を形成する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明である陰圧発生防止機構及びその陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプは、前記液室形成手段が、前記第1液室の下流側及び上流側から液体が導入される弾性管を弾性部材として備え、前記気室内に第2液室を形成する、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明である陰圧発生防止機構及びその陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプは、前記液室形成手段が、二重にした弾性膜を弾性部材として備え、前記弾性膜間に第1液室の下流側及び上流側から液体が導入される第2液室を形成する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明である陰圧発生防止機構及びその陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプは、前記弾性部材の弾性係数を異ならせる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明である容積ポンプに陰圧発生防止機構を設けることにより、充満期に陰圧が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明である陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの断面図である。
【図2】本発明である陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプのインタフェース構成を示す図である。
【図3】本発明である陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの周期変化を示す表である。
【図4】本発明である陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの拍出期の状態を示す図である。
【図5】本発明である陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの充満期の状態を示す図である。
【図6】本発明である陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプを駆動させたときのデータを示す図であり、(a)は圧縮器の駆動条件を示す表であり、(b)は時間ごとの液層内圧を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例2に係る陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの断面図である。
【図8】本発明の実施例3に係る陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの断面図である。
【図9】本発明の実施例4に係る陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの断面図である。
【図10】本発明の実施例5に係る陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの断面図であり、(a)は拍出期の状態を示す図であり、(b)は充満期を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0015】
まず、陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの構造について説明する。図1は、陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの断面図である。容積ポンプ100は、ポンプケース110内が圧力により変形又は復元する弾性膜120により気層130と液層140とに仕切られ、液層140に液体145を送り込む流入管160と液層140から液体145を送り出す流出管170とが設けられる。
【実施例1】
【0016】
ポンプケース110は、内部が中空で、水などの液体145や空気などの気体132が通過できない材質、例えば、鉄などの金属やプラスチックを箱状に成形したものである。ポンプケース110には、内部から外部に貫通する通気口131、流入口141及び流出口142を空け、これらを介して液体145や気体132などを通過させる。
【実施例1】
【0017】
弾性膜120は、ポンプケース110の内部に張られた隔膜(ダイアフラム)であり、ポンプケース110内を気層130と液層140とに仕切る弾性部材である。なお、通気口131は気層130側(気室)に、流入口141及び流出口142は液層140側(第1液室)に来るように仕切る。弾性膜120は、ゴム、樹脂(例えば、シリコン、熱可塑性樹脂、フッ素樹脂など)、金属等が素材として使用され、圧力を掛けることにより湾曲状に変形し、圧力を解放することにより復元する。なお、液層140で満たされる第1液室の体積を変えるために弾性膜120を用いることは、容積ポンプ100の小型化の点で大変優れている。しかし、容積ポンプ100の用途によっては、弾性膜120を使用する代わりに、以下に記載する気層130が満たされる気室の圧力で変化するピストンなどの容積可変手段を使用することができる。
【実施例1】
【0018】
気層130は、ポンプケース110内の空間のうち気体132が充填される領域である。外部から通気口131を介して圧縮空気などの気体132が気層130内に送り込まれ、気層130内の気圧が大きくなると、それに伴い弾性膜120に対して与える圧力も増加する。逆に、気層130内から通気口131を介して外部へ気体132が出て行き、気層130内の気圧が小さくなると、それに伴い弾性膜120に対して与える圧力も減少する。
【実施例1】
【0019】
液層140は、ポンプケース110内の空間のうち液体145が充填される領域である。外部から流入口141を介して水や血液などの液体145が液層140内に圧送される。また、弾性膜120の変形により液層140内が圧迫されると、液層140の内圧が高くなり、液層140内から流出口142を介して外部へ液体145が押し出される。
【実施例1】
【0020】
外部から気層130に気体132を送り込むために、通気口131には通気管150を取り付ける。また、外部から液層140に液体145を送り込むために、上流側の流入口141には流入管160を取り付け、液層140から外部に液体145を送り出すために、下流側の流出口142には流出管170を取り付ける。通気管150、流入管160及び流出管170は、ゴム、樹脂、金属等を中空の細長い筒状に形成したもので、高いシール性及び気密性を持つものである。接続される端付近のみ金属製とし、それ以外の部分は柔軟性のあるゴム製にしても良い。なお、気体132の出し入れのために通気管150を使用することは気密性の維持や生産の容易性で非常に優れている。しかし、気室の駆動圧を変えるために、通気管150は必ずしも管形状でなくても良く、管を含めた通気手段であれば良い。同様に、上流側の流入管160についても、管を含めた送液手段であれば良く、下流側の流出管170についても、管を含めた送液手段であれば良い。
【実施例1】
【0021】
流入口141及び流出口142には、液体145が一定方向にのみ流れるように、逆流防止用の逆止弁143及び逆止弁144を設ける。逆止弁143は、流入口141を塞ぐように設置され、液体145が外部から液層140内へ流れる圧力等を利用して流入口141を開き、それとは逆方向へ流れる圧力等を利用して流入口141を密閉する。また、逆止弁144は、流出口142を塞ぐように設置され、液体145が液層140内から外部へ流れる圧力等を利用して流出口142を開き、それとは逆方向へ流れる圧力等を利用して流出口142を密閉する。
【実施例1】
【0022】
容積ポンプ100は、さらに陰圧発生防止機構101として第2液室を設ける液室形成手段を備える。即ち、流出管170から分岐して気層130内に挿通された弾性管210を備え、流入管160から液層140に液体145が送り込まれ弾性膜120が気層130側に変形したときに液層140に発生する陰圧を弾性管210に液体145を流入させることで減少又は防止する。
【実施例1】
【0023】
弾性管210は、流出口142から外部に延びる流出管170に対し、液体145が分岐して流れる分岐管200を設け、その先を延ばしてポンプケース110を貫通させて気層130内に挿し込んだ弾性部材である。弾性管210のうち気層130内に通されている部分は、弾性膜120として使用できる素材を用いるが、弾性膜120と異なる素材を使用しても良いし、弾性膜120と弾性率(弾性係数)の異なるものを使用しても良い。なお、弾性管210を挿通するに際しポンプケース110に貫通させた孔からは気体132は漏れないようにする。分岐管200については、流出管170と同じ素材を用い、分岐管200が流出管170に接続する箇所のシール性は良くする。なお、弾性管210は第2液室の一例であり、重要なことは、気層130が満たされる気室内の圧力変化を緩和するために、第2液室体積が気室内の圧力変化に応じて変化する構成で、第2液室を形成することである。例えば、管形状の代わりに断面が四角形の形状であっても良いし、その他の形状であっても良い。
【実施例1】
【0024】
容積ポンプ100においては、気層130から気体132が排出されるとともに、液層140側へ湾曲していた弾性膜120が復元すると、気層130及び液層140の圧力が減少する。それに伴い流入口141から液体145が補充されるが、弾性膜120の復元よりも気体132が早く排出されたり、その排気慣性効果に加えて弾性膜120の復元力により気層130側に早く湾曲してしまうと、気層130及び液層140内に過大な陰圧が発生する場合がある。このとき、気層130に通されている弾性管210内に、流出管170から送り出された液体145の一部が導入されることにより、気層130内の容積が補填され、気層130内で陰圧が発生するのが防止されるに伴い、液層140内で陰圧が発生するのも防止される。
【実施例1】
【0025】
次に、陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプを動作させるための機器構成について説明する。図2は、陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプのインタフェース構成を示す図である。陰圧発生防止機構101を備えた容積ポンプ100の構成例としては、通気管150を介して圧縮機300と接続され、流入管160を介してタンク310と接続され、流出管170を介して圧力平滑器320と接続される。
【実施例1】
【0026】
圧縮機(コンプレッサー)300は、空気などの気体132を圧縮して容積ポンプ100など他の機器に供給する装置である。圧縮機300は、一定の周期で供給タイミングが来るごとに気体132を圧送する。即ち、パルス状に気体132の供給が行われ、供給タイミングで一気に容積ポンプ100に気体132が送気され、次の供給タイミングが来るまでの間に容積ポンプ100から気体132が排気される。例えば、液体145として血液を用い、容積ポンプ100で血液を送り出す場合、圧縮機300で気体132を供給する周期は心拍数に近い間隔となる。
【実施例1】
【0027】
タンク310は、容積ポンプ100の上流側で、送り出す前の液体145を貯留しておく容器であり、必要に応じて容積ポンプ100に供給する装置である。タンク310内に収容された液体145には空気等により圧力を掛けた状態にしておき、容積ポンプ100の液層140の内圧が低下したときにタンク310から液体145を圧送する。
【実施例1】
【0028】
タンク310に貯留される液体145としては、水、水溶液、血液などであるが、流動性があれば固体や気体など液体145以外の流体であっても構わない。例えば、ゼリーなどのゾル、牛乳などのコロイド溶液、マヨネーズなどのエマルション(乳濁液)、イクラなど魚卵を皮で被覆したようなもの、又は液体145に紛体や粒体などが混在していたり、微小な固体が集合したようなものでも良い。
【実施例1】
【0029】
圧力平滑器320は、容積ポンプ100の下流側で、容積ポンプ100が吐出した液体145に含まれる圧力を吸収するための装置である。即ち、圧力平滑器320を利用することにより、容積ポンプ100が液体145の流入と流出を周期的に繰り返すことにより生じる液体145の脈動を解消する。液体145を定常状態で流したい場合は圧力平滑器320を介して液体145を目的先に送り込むが、脈動を防止する必要がない場合は圧力平滑器320を介さずに液体145を目的先に送り込む。さらに、液体145を循環させる場合は、必要に応じて所定の処理を行った後、タンク300に投入される。
【実施例1】
【0030】
容積ポンプ100を使用して液体145を送り出す際に、液層140内に陰圧が発生した状態であると、液体145を押し出す圧力も弱くなり、ポンプ特性も悪化する。また、流出管170等のシール性が弱いと外部の空気などの気体132を吸入してしまう可能性もある。さらに、送るものが血液のような固液二相流の場合、固体部分に過度の陰圧が掛かると固体を破壊してしまう可能性がある。そのため、容積ポンプ100に陰圧発生防止機構101を設置し、液層140内の陰圧を除去しておく必要がある。
【実施例1】
【0031】
次に、陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの動作について説明する。図3は、陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの周期変化を示す表であり、図4は、図3の拍出期における陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの状態を示しており、図5は、図3の充満期における陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの状態を示している。容積ポンプ100は、拍出期と充満期を周期的に繰り返すことにより、液体145を流入及び流出させる。
【実施例1】
【0032】
図3に示すように、拍出期においては、気層130は送気、弾性膜120は変形、液層140は流出、弾性管210は収縮、気層130及び液層140の内圧は上昇の状態となる。即ち、図4に示すように、気層130においては、気体132が送気されることにより、気層130の内圧が増加する。それに伴い、弾性膜120は液層140側に押されて湾曲状に変形し、気層130の容積が大きくなる。
【実施例1】
【0033】
さらに、図4に示すように、液層140においては、弾性膜120に押されることにより、液層140の内圧が増加する。それに伴い、流入口141側の逆止弁143は閉じられ、流出口142側の逆止弁144が開かれて、液体145が流出口142から圧送され、液層140の容積は小さくなる。弾性管210については、気層130の内圧が増加することにより収縮し、液体145が流出管170の方に押し出される。
【実施例1】
【0034】
また、図3に示すように、充満期においては、気層130は排気、弾性膜120は復元、液層140は流入、弾性管210は復元、気層130及び液層140の内圧は下降の状態となる。即ち、図5に示すように、気層130においては、気体132が排気されることにより、気層130の内圧が減少する。それに伴い、弾性膜120は液層140側への押圧が弱まり、フラットな状態へ復元する。さらに、気体132の排気による減圧に加え、復元時の慣性により弾性膜120は気層130側に湾曲状に変形し、気層130の容積は小さくなる。
【実施例1】
【0035】
さらに、図5に示すように、液層140においては、弾性膜120が気層130側に引き寄せられることにより、液層140の内圧が減少する。それに伴い、流出口142側の逆止弁144は閉じられ、流入口141側の逆止弁143が開かれて、液体145が流入口141から圧入され、液層140の容積は大きくなる。弾性管210については、気層130の内圧が減少することにより復元又は拡張し、液体145が流出管170から流れ込みやすくなる。
【実施例1】
【0036】
図5に示すように、気層130の内圧の減少に伴う弾性膜120を引き上げる力は、弾性管210を復元又は拡張させる力に分散される。弾性膜120がフラット状に復元した後に復元力や慣性力の影響を弱めることができ、液層140において送液が遅れて陰圧が発生することも無くなる。即ち、気層130と液層140の動作のバランスが取れ、これにより過大な陰圧が発生するのを防止することができる。
【実施例1】
【0037】
次に、陰圧発生防止機構を機能させたときの効果を実験データにより説明する。図6は、陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプを駆動させたときのデータを示す図であり、(a)は圧縮器の駆動条件を示す表であり、(b)は時間ごとの液層内圧を示すグラフである。
【実施例1】
【0038】
容積ポンプ100に陰圧発生防止機構101が有る場合と無い場合とで、容積ポンプ100を駆動させたときの時間ごとの液層140の内圧の変化を示すにあたり、圧縮器310の駆動条件は、図6(a)に示すように、拍出期設定圧を120mmHg、充満期設定圧を0mmHg、拍動数を1分間あたり60回、1周期に対する収縮期の割合を40%とする。即ち、圧縮器310は、拍出期において気体132を120mmHgの圧力に収縮して出力し、充満期には大気解放して0mmHgにする。圧縮器310は、1分間に圧縮した気体132を60回出力するが、その周期において収縮している期間と解放している期間の割合は40:60である。
【実施例1】
【0039】
図6(b)に示すように、点線A1は駆動タイミングであり、立ち上がりの位置から拍出期になり、立ち下がりの位置から充満期になる。このとき、陰圧発生防止機構101が無い場合の液層140の内圧が一点鎖線A2で示されており、拍出期の内圧は約100mmHgとなるが、充満期には-40mmHgまで下がる場合があり、過大な陰圧が発生している。
【実施例1】
【0040】
しかしながら、陰圧発生防止機構101が有る場合は、実線A3で示す通り、拍出期の内圧は約120mmHgまで上がり、充満期にも0mmHg以上でマイナスとなることがなく、陰圧が除去されている。即ち、気層130内の圧力が急激に減少しても陰圧発生防止機構101である弾性管210によって圧力減少を緩和することで、液層140内の急激な圧力減少も緩和させる。
【実施例1】
【0041】
上記に示すように、陰圧発生防止機構101を容積ポンプ100に設けることにより、充満期に液層140で発生する陰圧を効果的に除去することができる。これにより、生体の循環系のように陰圧の存在が悪影響を及ぼすようなシステムにも容積ポンプ100を採用することができる。
【実施例2】
【0042】
別の実施形態の陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプについて説明する。図7は、分岐管を流出管ではなく流入管から分岐させて弾性管を延ばした場合の陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの断面図である。
【実施例2】
【0043】
容積ポンプ100aは、流入管160から分岐して気層130内に挿通された弾性管210を備え、流入管160から液層140に液体145が送り込まれ弾性膜120が気層130側に変形したときに液層140に発生する陰圧を弾性管210に液体145を流入させることで除去する。
【実施例2】
【0044】
弾性管210は、流入口141から外部に延びる流入管160に対し、液体145が分岐して流れる分岐管201を設け、その先を延ばしてポンプケース110を貫通させて気層130内に挿し込んだものである。なお、弾性管210を挿通するに際しポンプケース110に貫通させた孔からは気体は漏れないようにする。分岐管201については、流入管160と同じ素材を用い、分岐管201が流入管160に接続する箇所のシール性は良くする。
【実施例2】
【0045】
容積ポンプ100aにおいては、気層130から気体132が排出されるとともに、液層140側へ湾曲していた弾性膜120が復元すると、気層130及び液層140の圧力が減少する。それに伴い流入口141から液体145が補充されるが、弾性膜120の復元よりも気体132が早く排出されたり、その排気慣性効果に加えて弾性膜120の復元力により気層130側に早く湾曲してしまうと、気層130及び液層140内に過大な陰圧が発生する場合がある。このとき、気層130に通されている弾性管210内に、流入管160から送り出された液体145の一部が流れ込むことにより、気層130内の容積が補填され、気層130内で陰圧が発生するのが防止されるに伴い、液層140内で陰圧が発生するのも防止される。
【実施例3】
【0046】
図8は、分岐管を流出管だけでなく流入管からも分岐させて弾性管を延ばした場合の陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの断面図である。即ち、分岐管は、流入管から分岐して、それが延びた先である弾性管の部分が気層内を貫通し、さらにその先が流出管に合流する。
【実施例3】
【0047】
容積ポンプ100bは、流入管160から分岐して気層130内に挿通され、さらに気層130外に抜けて流出管170に合流する弾性管210を備え、流入管160から液層140に液体145が送り込まれ弾性膜120が気層130側に変形したときに液層140に発生する陰圧を弾性管210に液体145を流入させることで除去する。
【実施例3】
【0048】
弾性管210は、流入口141から外部に延びる流入管160に対し、液体145が分岐して流れる分岐管201を設け、その先を延ばしてポンプケース110を貫通させて気層130内に挿し込んだものである。そして、さらにその先を延ばしてポンプケース110を貫通させて気層130外に抜けて、流出口142から外部に延びる流出管170に対し、液体145が合流して流れる分岐管200を設けたものである。なお、弾性管210を挿通するに際しポンプケース110の両側に貫通させた孔からは気体132は漏れないようにする。
【実施例3】
【0049】
容積ポンプ100bにおいては、気層130から気体132が排出されるとともに、液層140側へ湾曲していた弾性膜120が復元すると、気層130及び液層140の圧力が減少する。それに伴って気層130及び液層140内に過大な陰圧が発生するような場合には、気層130に通されている弾性管210内に、流入管160及び流出管170を流れる液体145の一部が流れ込むことにより、気層130内の容積が補填され、気層130内で陰圧が発生するのが防止され、液層140内でも陰圧が発生するのが防止される。
【実施例4】
【0050】
図9は、弾性管を弾性膜で形成した場合の陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの断面図である。即ち、弾性管を設ける代わりに、弾性膜を二重にし、気層と液層の間に液体145を流入させる空間を設ける。
【実施例4】
【0051】
容積ポンプ100cは、流入管160から分岐して気層130内に弾性膜120と弾性膜211に挟まれた弾性層212を備え、流入管160から液層140に液体145が送り込まれ弾性膜120が気層130側に変形したときに液層140に発生する陰圧を弾性層212に液体145を流入させることで除去する。
【実施例4】
【0052】
弾性層212は、ポンプケース110の内部に張られた弾性膜120と、さらに弾性膜120を平行となるようにポンプケース110の内部に張られた弾性膜211との間に作られた空間である。なお、流入口141から外部に延びる流入管160に対し、又は流出口142から外部に延びる流出管170に対し、又はその両方に対し、液体145が分岐して流れる分岐管200又は分岐管201を設け、その先を延ばして弾性層212に貫通させる。このときポンプケース110に貫通させた孔からは気体132は漏れないようにする。
【実施例4】
【0053】
容積ポンプ100cにおいては、気層130から気体132が排出されるとともに、液層140側へ湾曲していた弾性膜120が復元すると、気層130及び液層140の圧力が減少する。それに伴って気層130及び液層140内に過大な陰圧が発生するような場合には、弾性層212内に、流入管160又は流出管170から送り出された液体145の一部が流れ込むことにより、気層130内の容積が補填され、気層130内で陰圧が発生するのが防止されるに伴い、液層140内で陰圧が発生するのも防止される。
【実施例5】
【0054】
弾性膜も弾性管も弾力性のある素材であることから、それぞれの弾性率(弾性係数)を変更することにより、陰圧の除去度合を調整する。図10は、陰圧発生防止機構を備えた容積ポンプの断面図であり、(a)は拍出期の状態を示す図であり、(b)は充満期を示す図である。
【実施例5】
【0055】
容積ポンプ100dは、弾性管210の弾性率を変えて収縮又は拡張しやすくしたものである。図10(a)に示すように、拍出期には弾性管210はより収縮する。また、図10(b)に示すように、充満期には弾性管210は拡張しやすくなり、陰圧の原因となる圧力を吸収しやすくなる。このように、陰圧を完全に除去したい場合には弾性変形しやすくさせれば良い。
【実施例5】
【0056】
また、容積ポンプ100dでは、分岐管200に液体145の流量を変える調整弁202を設置しても良い。弾性管210に液体145が流れ込みやすくすれば、陰圧の原因となる圧力を吸収しやすくなる。即ち、弾性率を変更するのと同等の効果が得られる。
(変形例)
【実施例5】
【0057】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、容積ポンプは、駆動側が気室で、駆動媒体が気体の場合だけでなく、駆動側が液室で、駆動媒体が液体の場合であっても良い。また、送る側が液室で、送る媒体が液体の場合だけでなく、送る側が気室で、送る媒体が気体であっても良い。すなわち、気体・液体に限定されず、その他の流体に置き換えても良い。
【実施例5】
【0058】
図9に示す容積ポンプ100cでは、流入管160から分岐して気層130内の弾性層212に接続されるが、流出管170から分岐して気層130内の弾性層212に接続されも良いし、流入管160と流出管170の両方から分岐して気層130内の弾性層212に接続されても良い。いずれにおいても、流入管160から液層140に液体145が送り込まれ弾性膜120が気層130側に変形したときに液層140に発生する陰圧を弾性層212に液体145を流入させることで除去する。
【実施例5】
【0059】
図10に示す容積ポンプ100dでは、流出管170側の分岐管200に液体145の流量を変える調整弁202を設置したが、流入管160側の分岐管201に液体145の流量を変える調整弁202を設置しても良いし、分岐管200と分岐管201の両方に調整弁202を設置しても良い。なお、弾性管210を使用する場合だけでなく、弾性層212を設けた場合も同様である。
【符号の説明】
【0060】
100,100a,100b,100c,100d:容積ポンプ
101:陰圧発生防止機構
110:ポンプケース
120:弾性膜
130:気層
131:通気口
132:気体
140:液層
141:流入口
142:流出口
143,144:逆止弁
145:液体
150:通気管
160:流入管
170:流出管
200,201:分岐管
202:調整弁
210:弾性管
211:弾性膜
212:弾性層
300:圧縮機
310:タンク
320:圧力平滑器
A1:点線
A2:一点鎖線
A3:実線
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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