TOP > 国内特許検索 > 脂肪吸引管及び脂肪吸引装置 > 明細書

明細書 :脂肪吸引管及び脂肪吸引装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-019791 (P2015-019791A)
公開日 平成27年2月2日(2015.2.2)
発明の名称または考案の名称 脂肪吸引管及び脂肪吸引装置
国際特許分類 A61M   1/00        (2006.01)
FI A61M 1/00 510
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2013-149472 (P2013-149472)
出願日 平成25年7月18日(2013.7.18)
発明者または考案者 【氏名】植木 賢
【氏名】中山 敏
【氏名】陶山 淑子
【氏名】久留 一郎
【氏名】難波 栄二
出願人 【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000039、【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
審査請求 未請求
テーマコード 4C077
Fターム 4C077AA30
4C077CC02
4C077DD01
4C077EE04
4C077HH18
要約 【課題】脂肪吸引管の先端側に位置する組織の色を外部から識別することができるようにし、術者が吸引管の先端側に位置する組織が何であるかを確認できるようにした、脂肪吸引管を提供する。
【解決手段】本発明の一態様の脂肪吸引管10Aは、生体内の脂肪組織を吸引するための管部11と、管部11の先端に設けられた、管部11の先端側に位置する組織の色を検知するための検知手段及び検知手段からの出力を生体外に送出するための伝送部を形成する光ファイバー12とを有している。光ファイバー12によって検知された管部11の先端側に位置する組織のいろは、別途設けられた表示手段18により表示される。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
生体内の脂肪組織を吸引するための管部と、
前記管部の先端に設けられた、前記管部の先端側に位置する組織の色を検知するための検知手段と、
前記管部の外側面又は内部に配置された、前記検知手段からの出力を生体外に送出するための伝送部と、
を備える、脂肪吸引管。
【請求項2】
前記検知手段及び前記伝送部は前記管部に対して着脱可能とされている、請求項1に記載の脂肪吸引管。
【請求項3】
前記検知手段及び前記伝送部は光ファイバーである、請求項1又は2に記載の脂肪吸引管。
【請求項4】
前記光ファイバーに並置された照光用の光ファイバーを備えている、請求項3に記載の脂肪吸引管。
【請求項5】
前記検知手段はイメージセンサであり、前記伝送部は前イメージセンサに接続されたリード線である、請求項1又は2に記載の脂肪吸引管。
【請求項6】
前記管部の先端には発光手段が設けられ、前記発光手段の駆動用のリード線が前記管部の外側面又は内部に配置されている、請求項5に記載の脂肪吸引管。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の脂肪吸引管と、前記脂肪吸引管の前記伝送部に接続された前記検知手段によって検知された色を表示するための表示手段と、を備える脂肪吸引装置。
【請求項8】
前記検知手段は前記脂肪吸引管の後端側に前記脂肪吸引管と一体に設けられている、請求項6に記載の脂肪吸引装置。
【請求項9】
前記検知手段は前記脂肪吸引管とは別体に設けられている、請求項6に記載の脂肪吸引装置。
【請求項10】
前記脂肪吸引管の後端側には、前記脂肪吸引管の管部内を負圧に維持するための吸引・採取手段が着脱可能に接続されている、請求項7~9のいずれかに記載の脂肪吸引装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の脂肪組織を吸引するための脂肪吸引管及びこの脂肪吸引管を用いた脂肪吸引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
美容外科などにおいて、生体内から脂肪組織を吸引採取する脂肪吸引術が知られている(下記特許文献1参照)。脂肪組織は、体内で互いに結合しており、そのままの状態では吸引が困難である。そのため、生理食塩水や痲酔液等からなるチューメッセント液を脂肪組織の採取部位に注入し、吸引管(カニューレ)の先端を体外から動かして脂肪組織を分断しながらチューメッセント液内でほぐし、吸引する方法が用いられている。
【0003】
また、乳がんの手術に際しては、乳房を可能な限り残して部分的に切除する乳房温存術が採用されているが、その後、乳房を部分的に切除した部位に脂肪組織の注入を行うことにより乳房を再建する乳房再建術も行われている。この乳房再建術においては、注入用脂肪組織として、患者の太ももや腹部から吸引した一部の脂肪組織から脂肪幹細胞を分離し、分離した脂肪幹細胞と残りの脂肪組織とを混合したものが用いられている。このような患者の太ももや腹部からの脂肪組織の吸引も、上述したチューメッセント液を用いた吸引法が採用されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2010-042099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体から直接脂肪組織吸引するには、脂肪組織内に挿入した吸引管の角度や深さを適切に調整する必要がある。この調整操作は、実際には術者の経験と勘に頼っており、実質的に盲目的に操作されている。そのため、吸引管が腸間膜を貫通し、腸管を損傷して死亡事故が起きることがあるなど、その安全性が問われている。
【0006】
本発明は、生体から脂肪組織ないし脂肪幹細胞を含む脂肪細胞試料を採取する脂肪吸引管として、脂肪吸引管の先端側に位置する組織の色を外部から識別することができるようにし、術者が吸引管の先端側に位置する組織が何であるかを確認できるようにした、脂肪吸引管及びこの脂肪吸引管を用いた脂肪吸引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る脂肪吸引管は、
生体内の脂肪組織を吸引するための管部と、
前記管部の先端に設けられた、前記管部の先端側に位置する組織の色を検知するための検知手段と、
前記管部の外側面又は内部に配置された、前記検知手段からの出力を生体外に送出するための伝送部と、
を備えている。
【0008】
生体組織は、一般に、筋肉組織は赤色、脂肪組織は黄色、腸間膜は白色をしている。本発明の一態様に係る脂肪吸引管は、生体内の脂肪組織を吸引するための管部の先端に、この管部の先端側に位置する組織の色を検知するための検知手段が設けられている。そのため、本発明の一態様に係る脂肪吸引管によれば、生体外において、術者は、検知手段からの出力によって表示手段に表示された色を視認することによって脂肪吸引管の先端側に位置する組織の色を確認することができるので、術者が誤って筋肉組織や腸間膜を穿孔するおそれが抑制される。
【0009】
係る態様の脂肪吸引管においては、前記検知手段及び前記伝送部は前記管部に対して着脱可能とされていることが好ましい。
【0010】
脂肪吸引管を用いて施術する際には、部位によって長さや太さの違う吸引管を使い分けている。また、古典的な注射器を陰圧にしてその陰圧で脂肪組織を吸引する場合においては、注射器が吸引限度に達したところで看護師に渡し、既に用意してある陰圧にした注射器を接続した吸引管と交換して、脂肪吸引作業を継続する。そのため、全ての吸引管に検知手段及び伝送部が設けられていると、高価となるとともに、構成が複雑となるので再利用のための高圧ガス滅菌に時間が掛かるようになる。検知手段及び伝送部が管部に対して着脱可能とされていると、検知手段及び伝送部の必要数を減らすことができるとともに、再利用のための高圧ガス滅菌時には検知手段及び伝送部を取り外して滅菌操作を行うことができるため、短時間で滅菌操作を終えることができるようになる。
【0011】
また、本発明の別の態様の脂肪吸引管では、前記検知手段及び前記伝送部は光ファイバーとすることができる。
【0012】
光ファイバーは、色の検知手段及び検知手段からの出力の伝送手段として機能し、その先端側に位置する組織の色を後端側において確認できる。そのため、係る態様の脂肪吸引管によれば、生体外において、簡単な構成でありながら術者が容易に脂肪吸引管の先端側に位置する組織の色を確認することができる。なお、光ファイバーとしては、プラスチックファイバー、石英ファイバーないしガラスファイバーを使用することができ、極細のものが好ましく、単線であっても、複数本束ねたものであってもよい。
【0013】
なお、色の検知手段及び検知手段からの出力の伝送手段として機能する光ファイバーには、照光用の光ファイバーが並置されていることが好ましい。照光用の光ファイバーが設けられていると、容易に管部の先端側に位置する組織を照明できるため、術者が明確に管部の先端側に位置する組織の色を確認することができるようになる。この場合の光源としては、発光ダイオード(LED)やレーザーダイオードを使用することができる。
【0014】
本発明のさらに別の態様の脂肪吸引管では、前記検知手段はイメージセンサであり、前記伝送部は前イメージセンサに接続されたリード線とすることができる。
【0015】
係る態様の脂肪吸引管によれば、生体外において、術者が容易に脂肪吸引管の先端側に位置する組織の色を表示手段により確認することができるようになる。なお、イメージセンサとしては、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等、小型の半導体イメージセンサを使用することができる。このイメージセンサとしては、色がわかれば良いので、画素数は少なくてもよい。
【0016】
なお、係る態様の脂肪吸引管においては、前記管部の先端には発光手段が設けられ、前記発光手段の駆動用のリード線が前記管部の外側面又は内部に配置されているものとすることが好ましい。
【0017】
このような構成を備えていると、発光手段によって管部の先端側に位置する組織を照明できるため、術者が明確に管部の先端側に位置する組織の色を確認することができるようになる。なお、発光手段としては、小型のLEDやレーザーダイオードを使用することができる。
【0018】
さらに、本発明の一態様に係る脂肪吸引装置は、上述した各態様の脂肪吸引管に対して、前記脂肪吸引管の前記伝送部に接続された前記検知手段によって検知された色を表示するための表示手段が設けられている。
【0019】
本発明の一態様に係る脂肪吸引装置によれば、生体外において、術者は、検知手段からの出力によって表示手段に表示された色を視認することによって脂肪吸引管の先端側に位置する組織の色を確認することができるので、術者が誤って筋肉組織や腸間膜を穿孔するおそれが抑制される。
【0020】
なお、生体外において組織の色を確認するための表示手段としては、伝送手段の種類に応じて適宜好適なものを選択して使用し得る。例えば、伝送手段として光ファイバーを用いる場合においては、光ファイバーの端部を直接レンズを介して拡大表示するものや、光ファイバーの端部をイメージセンサによって撮像して表示するものなどを採用し得る。また、伝送手段がリード線を用いる場合においては、液晶表示パネル、有機EL表示パネルなどを採用し得る。
【0021】
係る態様の脂肪吸引装置においては、前記検知手段は前記脂肪吸引管の後端側に前記脂肪吸引管と一体に設けられているものとしてもよい。このような構成を備えていると、術者が操作している管部と表示手段とを同時に視認できるため、術者が誤って筋肉組織や腸間膜を穿孔するおそれがより抑制される。
【0022】
また、係る態様の脂肪吸引装置においては、前記検知手段は前記脂肪吸引管とは別体に設けられていてもよい。なお、検知手段としては、液晶表示パネル、有機ELパネル等を使用することができ、据え置き型のものであっても、術者の手背や手首に装着して使用する腕時計型のものであってもよい。さらに、伝送部と表示手段との間は、有線接続のものであっても、無線接続のものであってもよい。
【0023】
また、係る態様の脂肪吸引装置においては、前記脂肪吸引管の後端側には、前記脂肪吸引管の管部内を負圧に維持するための吸引・採取手段が着脱可能に接続されていることが好ましい。このような構成を備えていると、一組の吸引・採取手段しかない場合であっても、長さや太さの違う複数種の脂肪吸引管を部位によって使い分けて使用することができるようになる。なお、吸引・採取手段としては、周知の脂肪吸引術において普通に用いられている吸引ポンプ又はシリンジ式吸引装置をそのまま使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1Aは実施形態1の脂肪吸引管の側面図であり、図1Bは同じく拡大左側面図であり、図1Cは図1AのIC-IC線に沿った拡大断面図である。
【図2】図2Aは実施形態2の脂肪吸引管の側面図であり、図2Bは同じく拡大左側面図であり、図2Cは図2AのIIC-IIC線に沿った拡大断面図である。
【図3】実施形態3の脂肪吸引管の側面図である。
【図4】図4Aは実施形態4の脂肪吸引管の側面図であり、図4Bは同じく拡大左側面図であり、図4Cは図4AのIVC-IVC線に沿った拡大断面図である。
【図5】図5Aは実施形態5の脂肪吸引管の側面図であり、図5は同じく拡大左側面図であり、図5Cは図5AのVC-VC線に沿った拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る脂肪吸引管を図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す脂肪吸引管は、本発明の技術思想を理解するために脂肪吸引管を例示するものであって、本発明をこの脂肪吸引管に特定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行った脂肪吸引管に対しても均しく適用し得るものである。

【0026】
なお、この明細書における脂肪吸引管の「先端」ないし「先端側」とは脂肪組織の吸引の際に生体内に挿入される側を意味し、同じく「後端」ないし「後端側」とは脂肪組織の吸引の際に術者により把持される側ないし脂肪組織の吸引のための吸引手段が接続される側を意味するものとして使用されている。

【0027】
[実施形態1]
実施形態1の脂肪吸引管10Aを図1を用いて説明する。実施形態1の脂肪吸引管10Aは、生体内の脂肪組織を吸引するための管部11と、管部11の先端側から後端側に至るまで、管部11の外側壁に沿って延在及び固定された光ファイバー12とを有している。管部11は、先端側が閉塞された中空環状をしており、先端側の側壁に1ないし複数箇所、例えば3箇所にスリット13が形成されており、後端側には、脂肪吸引時に術者が把持し易いように、先端側に比して大径の把持部14が形成されている。この管部11としては、周知の吸引管(カニューレ)そのものを使用し得る。

【0028】
光ファイバー12は、シングルモード光ファイバーであっても、マルチモード光ファイバーであってもよく、さらにはプラスチック製のものであっても、ガラス製のものであってもよい。プラスチック製の光ファイバーであれば、フッ素化ポリマー、ポリメタクリル酸メチル系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、スチレン系ポリマー等により作製されたものを使用し得る。なお、光ファイバー12は、先端側に位置する組織の色を後端側に伝送することができるものであればよいので、1本のみ用いても、複数本を束ねて用いてもよい。

【0029】
光ファイバー12の先端側の周囲は、管部11の先端側に、光ファイバー12の先端12aが外部に露出するように、接着剤15によって固着されている。この接着剤15としては、生体に悪影響を与えないことが周知の接着剤を使用でき、熱可塑性樹脂そのものも使用し得る。この接着剤15の外周面は、生体内に挿入し易くするため、滑らかな表面となるようになされている。接着剤15の塗布形状は、光ファイバー12の先端12a側が頂面となる円錐台状ないし外周側面が外方に凸のなだらかな曲面の円錐台状となっていてもよい。光ファイバー12は、管部11に添っている箇所も接着剤(図示省略)によって固定されており、把持部14の近傍で管部11から離間し、外部に設けられた表示手段18に接続されている。この光ファイバー12は、本発明の検知手段及び伝送部に対応する。

【0030】
管部11の先端側からの光ファイバー12の延在距離は、管部11の外径によっても変化するが、一応任意である。ただし、光ファイバー12の先端12aが露出するように接着剤15によって管部11の先端側に固定した際、接着剤15によって形成される円錐台状の先端側が尖りすぎない程度に、例えば5~20mm程度とすればよい。円錐台状の先端側が尖りすぎると、術者の僅かな力の入れすぎによっても、脂肪吸引管10Aが過度に組織内に挿入されてしまうため、術者が誤って筋肉組織や腸間膜を穿孔するおそれが大きくなる。

【0031】
管部11の後端側には、脂肪吸引チューブ16を経て、脂肪吸引・採取手段17が接続されている。脂肪吸引・採取手段17としては,周知の吸引ポンプ式のものやシリンジ吸引式のものを適宜に選択して採用し得る。この脂肪吸引チューブ16は、管部11の後端側に着脱自在に取り付けられていることが好ましい。

【0032】
表示手段18としては、光ファイバー12の後端部をイメージセンサによって撮像して表示するものを採用することができる。好ましくは撮像装置としてイメージセンサを、表示手段としてカラー液晶表示パネルないしカラー有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示パネルを採用し得るが、光ファイバー12の先端12a側に位置する組織の色を表示できればよいので、必ずしも高解像度のパネルは必要ない。また、外部から脂肪組織の採取位置に向けて光照射される場合など、明るい視野が得られる場合には、表示手段18として光ファイバー12の後端部を直接レンズを介して拡大表示するものも使用し得る。

【0033】
このような構成の脂肪吸引管10Aによれば、術者が把持部14を把持しつつ先端側を生体内に挿入すると、光ファイバー12の先端12a側に位置する生体組織の色が光ファイバー12によって表示手段18に伝送されて表示される。そのため、術者は、表示手段18に表示された画像を視認することによって、光ファイバー12の先端12a側に位置する生体組織が何であるかを確認することができるため、正確に黄色の脂肪組織のみを吸引することができ、誤って赤色の筋肉組織や白色の腸間膜を穿孔するおそれが抑制される。

【0034】
なお、実施形態1の脂肪吸引管10Aでは、光ファイバー12を管部11の外側壁に沿って延在及び固定された例を示したが、光ファイバー12を管部11の内側面に沿って延在及び固定してもよい。この場合、光ファイバー12を管部11の先端側に形成した開口を通すことによって光ファイバー12の先端12a側を延在させても、管部11の先端側を透明部材で形成してこの透明部材に光ファイバー12の先端12a側を固定した構成としてもよい。

【0035】
また、実施形態1の脂肪吸引管10Aでは、管部11の後端側に先端側に比して大径の把持部14が形成されているものを使用した例を示したが、この把持部14は必ずしも必要な構成ではない。例えば、脂肪幹細胞を採取する目的の場合は、注射器を陰圧にして管部11に接続して吸引した方が幹細胞の採取効率が高まるので、把持部が形成されていない管部11を用いて陰圧にした注射器を接続し、この注射器自体を把持して操作しすることも可能である。

【0036】
[実施形態2]
実施形態1の脂肪吸引管10Aを使用して特に深部組織から脂肪を吸引する際には、照度不足のために、光ファイバー12の先端12a側に位置する生体組織の色を視認し難くなるおそれがある。この場合、生体外から照明光を照射することにより、術者が明確に脂肪吸引管10Aの先端側に位置する組織の色を確認することができるようになるが、深部組織の場合には高い光強度の光源が必要となり、表皮側が高温となりすぎるおそれがある。

【0037】
実施形態2の脂肪吸引管10Bは、生体組織の色を伝送するための光ファイバー12に並列に照光用の光ファイバーを設けたものである。実施形態2の脂肪吸引管10Bを図2を用いて説明する。ただし、実施形態2の脂肪吸引管10Bにおいては、実施形態1の脂肪吸引管10Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。

【0038】
実施形態2の脂肪吸引管10Bでは、生体組織の色を伝送するための光ファイバー12に並列に照光用の光ファイバー19が設けられている。照光用の光ファイバー19の先端19aは、光ファイバー12の先端12aと並置されており、光ファイバー12と同様の接着剤15によって管部11の先端側に固着されている。照光用の光ファイバー19の後端側は、例えばLEDからなる光源20と接続されている。これにより、光源20からの光は照光用の光ファイバー19を経て先端19aから生体組織に照射されるようになる。そのため、術者は、光ファイバー12の先端12a側に位置する生体組織の色を表示手段18を介して明確に視認できるようになる。

【0039】
なお、光源20としては、LED以外に、レーザーダイオードや白熱ランプなども使用し得るが、小型で低消費電力であることから、LEDを使用することが好ましく、また、LEDとしては白色LEDを使用することが好ましい。実施形態2の脂肪吸引管10Bを用いれば、深部組織の生体組織であってもその色も容易に視認できるようになるため、正確に黄色の脂肪組織のみを吸引することができ、誤って赤色の筋肉組織や白色の腸間膜を穿孔するおそれが抑制される。

【0040】
[実施形態3]
実施形態1及び2の脂肪吸引管10A、10Bは、表示手段18が脂肪吸引管10A、10Bとは別に設けられているため、術者の視線が脂肪吸引管10A、10Bからずれてしまうおそれがあり、生体内に挿入された脂肪吸引管10A、10Bの先端部が所望の位置からずれる可能性がある。実施形態3の脂肪吸引管10Cは、実施形態1の脂肪吸引管10Aにおいて、小型の表示手段を一体に組み合わせたものである。実施形態3の脂肪吸引管10Bを図3を用いて説明する。なお、図3においては、図1に示した実施形態1の脂肪吸引管10Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。

【0041】
実施形態3の脂肪吸引管10Cには、生体内の脂肪組織を吸引するための管部11の把持部に、把持部14に小型の表示手段18が一体に取り付けられている。この表示手段18は、例えば両面テープやスライドシューなどで管部11ないし把持部14に着脱自在に取り付けることができる。図3における表示手段は、把持部14よりも大きく誇張して描かれているが、単に実際には縦横それぞれ1~5cm程度の超小型の表示手段を使用し得る。

【0042】
実施形態3の脂肪吸引管10Cと組み合わせて使用し得る表示手段18としては、光ファイバー12の先端12a側に位置する生体組織の色を表示できればよいので、光ファイバー12の後端部をイメージセンサによって撮像して表示する超小型のカラー液晶表示パネルや、光ファイバー12の後端部を直接レンズを介して拡大表示するものなどを採用し得る。なお、実施形態3の脂肪吸引管10Cと表示手段18とを組み合わせて使用する場合においても、実施形態2の脂肪吸引管10Bの場合と同様に、照光用の光ファイバー及び光源を使用することもできる。施形態3の脂肪吸引管10Cと表示手段18とを組み合わせて使用すると、術者が常に表示手段18及び管部11を視認しながら脂肪吸引管10Cを操作することができるので、正確に組織の黄色の脂肪組織のみを吸引することができ、誤って赤色の筋肉組織や白色の腸間膜を穿孔するおそれが抑制される。

【0043】
[実施形態4]
実施形態4の脂肪吸引管10Dでは、生体組織の色を検知する手段として、実施形態1~3で使用されている光ファイバー12に換えて、イメージセンサを用いたものである。実施形態4の脂肪吸引管10Dの具体的構成を図4を用いて説明する。なお、図4においては、図1に示した実施形態1の脂肪吸引管10Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。

【0044】
実施形態4の脂肪吸引管10Dは、管部11の先端側に位置する組織の色を検知するための検知手段として、イメージセンサ21を用いている。このイメージセンサ21は、実施形態1の脂肪吸引管10Aの場合と同様に、接着剤15によって管部の先端側に露出するように固着されている。イメージセンサ21から伸びる一対の信号線22及び23は、イメージセンサ21の駆動電源供給線及び出力の伝送線を兼ねており、管部11に添っている箇所も接着剤(図示省略)によって固定されており、把持部14の近傍で管部11から離間し、表示手段18に接続されている。

【0045】
イメージセンサとしては、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等、小型の半導体イメージセンサを使用することができる。このイメージセンサとしては、色がわかれば良いので、画素数は少なくてもよい。また、表示手段18としては、カラー液晶表示パネルやカラー有機EL表示パネルを使用し得る。また、この表示手段18としては、

【0046】
実施形態4の脂肪吸引管10Dによっても、術者が把持部14を把持しつつ先端側を生体内に挿入すると、イメージセンサ21の先端側に位置する生体組織の色が一対の信号線22、23によって表示手段18に伝送されて表示される。そのため、術者は、表示手段18に表示された画像を視認することによって、イメージセンサ21の先端側に位置する生体組織が何であるかを確認することができるため、正確に黄色の脂肪組織のみを吸引することができ、誤って赤色の筋肉組織や白色の腸間膜を穿孔するおそれが抑制される。

【0047】
なお、実施形態4の脂肪吸引管10Dでは、イメージセンサ21から伸びる一対の信号線22及び23を管部11の外側壁に沿って延在及び固定された例を示したが、管部11の内側面に沿って延在及び固定してもよい。この場合、一対の信号線22及び23を管部11の先端側に形成した開口を通すことによってイメージセンサ21に固定した構成としてもよい。

【0048】
また、実施形態4の脂肪吸引管10Dでは、管部11の後端側に先端側に比して大径の把持部14が形成されているものを使用した例を示したが、この把持部14は必ずしも必要な構成ではない。さらに、実施形態4の脂肪吸引管10Dでは、表示手段18としては、据え置き型のものであっても、術者の手背や手首に装着して使用する腕時計型のものであってもよい。また、伝送部を構成する一対の信号線22及び23と表示手段18との間は、有線接続のものであっても、無線接続のものであってもよい。

【0049】
[実施形態5]
実施形態4の脂肪吸引管10Dを使用して特に深部組織から脂肪を吸引する際には、照度不足のために、イメージセンサ21の先端側に位置する生体組織の色を視認し難くなるおそれがある。この場合、生体外から照明光を照射することにより、術者が容易に脂肪吸引管の先端側に位置する組織の色を確認することができるが、深部組織の場合には高い光強度の光源が必要となり、表皮側が高温となりすぎるおそれがある。

【0050】
実施形態5の脂肪吸引管10Dは、生体組織の色を検知するためのイメージセンサ21に照光手段としてのLEDを並置したものである。実施形態5の脂肪吸引管10Eを図5を用いて説明する。ただし、実施形態5の脂肪吸引管10Eにおいては、実施形態4の脂肪吸引管10Dと同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。

【0051】
実施形態5の脂肪吸引管10Eでは、体組織の色を検知するためのイメージセンサ21に照光手段としてのLED25が並置されている。照光手段としてのLED25からの一対の駆動配線26、27のうちの一方(ここでは駆動配線26)はイメージセンサ21の一対の信号線22、23のうちの一方(ここでは信号線23)と兼用されている。すなわち、イメージセンサ21及び照光手段としてのLED25からは、信号線22、23及び駆動配線27が延在されており、これらの信号線22、23及び駆動配線27は、管部11の先端側から後端側に至るまで、管部11の外側壁に沿って延在されている。これらの信号線22、23及び駆動配線27は、管部11に添っている箇所も接着剤(図示省略)によって固定されており、把持部14の近傍で管部11から離間し、信号線22、23は表示手段18に接続されているとともに、LEDの駆動配線27及び信号線23から分岐されたLEDの駆動配線26はLED用電源28に接続されている。

【0052】
これにより、LED25からの光は生体組織に直接照射されるようになるので、たとえ深部組織であっても、イメージセンサ21の先端側に位置する生体組織の色がイメージセンサ21によって正確に検知され、表示手段18に伝送されて表示される。そのため、術者は、表示手段18に表示された画像を視認することによって、イメージセンサ21の先端側に位置する生体組織が何であるかを確認することができるため、正確に黄色の脂肪組織のみを吸引することができ、誤って赤色の筋肉組織や白色の腸間膜を穿孔するおそれが抑制される。

【0053】
また、上述した実験例4及び5の脂肪吸引管10D、10Eにおいても、実験例3の脂肪吸引管10Cの場合と同様に、管部11の後端側にイメージセンサ21で検知された色を表示するための表示手段18が設けられているものとしてもよい。

【0054】
上述した実験例1~5の脂肪吸引管10A~10Eにおける光ファイバー12、照光用の光ファイバー19、イメージセンサ21、LED21、信号線22、23、LEDの駆動配線26、27としては、管部11の外側面ないし内部に固定した例を示したが、これらの構成要素は管部11に対して脱着自在に取り付けることもできる。検知手段及び伝送部材として光ファイバーを用い、この光ファイバーを管部11の内部を通す場合、管部11の先端部をプラスチックなどの可視光を透過する透明部材で形成し、光ファイバーの先端を容易に挿入し得る溝構造またはチューブ構造を管部11の内壁に沿って形成しておくことにより、光ファイバーを管部11の後端側から挿入して容易に管部11の内面側に固定することができる。検知手段及び伝送部材として光ファイバーを用い、この光ファイバーを管部11の外面側に配置する場合、管部11の外側面に光ファイバーを容易に挿入し得る溝構造またはチューブ構造を形成しておくことにより、光ファイバーを管部11の外側面に容易に固定することができる。

【0055】
また、検知手段としてイメージセンサを用い、伝送部材として信号線などを用いる場合、管部11の先端部をプラスチックなどの可視光を透過する透明部材で形成し、イメージセンサを容易に挿入し得る溝構造またはチューブ構造を管部11の内壁に沿って形成しておくことにより、イメージセンサを管部11の後端側から挿入して容易に管部11の内面側に固定することができる。同じく検知手段としてイメージセンサを用い、伝送部材として信号線などを用いる場合、管部11の先端に嵌合し得るキャップを設け、このキャップにイメージセンサを固定するとともに、管部11の外側面に信号線などを容易に挿入し得る溝構造またはチューブ構造を形成しておくことにより、信号線などを管部11の外側面に容易に固定することができる。

【0056】
このように、実験例1~5の脂肪吸引管10A~10Eにおける光ファイバー12、照光用の光ファイバー19、イメージセンサ21、LED21、信号線22、23、LEDの駆動配線26、27としては、管部11の外側面ないし内部に脱着自在に取り付けると、径の太い脂肪吸引管を使用したいときや、逆に径の細い脂肪吸引管、長い脂肪吸引管や短い脂肪吸引管を使用する場合にも、1組か2組の検知手段(光ファイバー、イメージセンサなど)と伝送手段(光ファイバー、信号線など)とを用意するのみで、複数の脂肪吸引管に接続して使用することができる。
【符号の説明】
【0057】
10A~10D…脂肪吸引管 11…管部 12…光ファイバー
12a…先端 13…スリット 14…把持部
15…接着剤 16…脂肪吸引チューブ 17…脂肪吸引・採取手段
18…表示手段 19…照光用の光ファイバー 19a…先端
20…光源 21…イメージセンサ 22、23…信号線
25…LED 26、27…LEDの駆動配線
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4