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明細書 :ヘキサチオペンタセン化合物及びその製造方法、並びにそれを含むゲル

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-020998 (P2015-020998A)
公開日 平成27年2月2日(2015.2.2)
発明の名称または考案の名称 ヘキサチオペンタセン化合物及びその製造方法、並びにそれを含むゲル
国際特許分類 C07D 495/22        (2006.01)
H01L  51/05        (2006.01)
H01L  51/30        (2006.01)
H01L  51/40        (2006.01)
H01L  51/42        (2006.01)
FI C07D 495/22 CSP
H01L 29/28 100A
H01L 29/28 250H
H01L 29/28 310J
H01L 31/04 D
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 22
出願番号 特願2013-153089 (P2013-153089)
出願日 平成25年7月23日(2013.7.23)
発明者または考案者 【氏名】高口 豊
【氏名】田嶋 智之
【氏名】西濱 拓也
【氏名】林 勇樹
出願人 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100113181、【弁理士】、【氏名又は名称】中務 茂樹
【識別番号】100180600、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 俊一郎
審査請求 未請求
テーマコード 4C071
5F151
Fターム 4C071AA02
4C071AA08
4C071BB03
4C071CC25
4C071EE12
4C071FF22
4C071GG03
4C071JJ01
4C071LL05
5F151AA11
要約 【課題】太陽電池デバイスに使用するための高沸点有機溶媒によりゲル化することが可能となる可視~近赤外領域に強い吸収を有する有機半導体材料であるヘキサチオペンタセン化合物の提供。
【解決手段】式で示されるヘキサチオペンタセン化合物。
JP2015020998A_000017t.gif
[式中、R、R、R及びRは特定の基。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物。
【化1】
JP2015020998A_000014t.gif
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子及び下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である。ただし、R、R、R及びRの少なくとも一つは、下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である。]
【化2】
JP2015020998A_000015t.gif
[式中、Rは炭素数1~20のアルキル基であり、nは1~20の整数である。]
【請求項2】
、R、R及びRが、それぞれ独立して式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である請求項1記載のヘキサチオペンタセン化合物。
【請求項3】
請求項1又は2記載のヘキサチオペンタセン化合物と沸点140℃以上の高沸点有機溶媒を含むゲル。
【請求項4】
さらにポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)、フェニルC61酪酸メチルエステル、フェニルC71酪酸メチルエステル及びポリ(3-アルキルチオフェン)からなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物を含む請求項3記載のゲル。
【請求項5】
請求項3又は4記載のゲルが基材に塗布されてなる積層体。
【請求項6】
請求項1又は2記載のヘキサチオペンタセン化合物を含む有機半導体デバイス。
【請求項7】
請求項3又は4記載のゲルが基材に塗布され該ゲルが乾燥されてなる有機半導体デバイス。
【請求項8】
請求項6又は7記載の有機半導体デバイスからなる太陽電池。
【請求項9】
下記式(3)で示される化合物に硫黄を反応させることを特徴とする請求項1記載のヘキサチオペンタセン化合物の製造方法。
【化3】
JP2015020998A_000016t.gif
[式中、R、R、R及びRは、前記式(1)と同義である。]
【請求項10】
式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物、沸点140℃以上の高沸点有機溶媒、並びにポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)、フェニルC61酪酸メチルエステル、フェニルC71酪酸メチルエステル及びポリ(3-アルキルチオフェン)からなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物を加熱混合して冷却してゲルを得てから、該ゲルを基材に塗布して乾燥させることを特徴とする請求項6又は7記載の有機半導体デバイスの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体デバイスとして有用なヘキサチオペンタセン化合物及びそれを含むゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の太陽電池デバイス開発に必須の材料といわれる可視~近赤外領域に強い吸収を持つ有機半導体材料の開発が大変注目されている。このような有機半導体材料として、例えば、ペンタセン化合物が知られている。ペンタセン化合物は高いキャリア移動度を示すことが知られているが、芳香族化合物に特有の高い凝集作用により溶解性が低く、例えば、ウェットプロセスによる薄膜形成等が困難であり、溶解性の向上が望まれていた。
【0003】
ペンタセン化合物の溶解性を向上させる方法として、ペンタセン化合物の2,9位にエステル基が導入された化合物が記載されている(特許文献1)。これによれば、キャリア移動度が高く、有機溶媒に対する溶解性に優れるペンタセン化合物が提供できるとされている。しかしながら、このペンタセン化合物は安定性に課題があることが知られており、更なる安定性の向上が望まれていた。
【0004】
また、700~800nmの波長領域に吸収を持つ有機半導体材料として、下記式(a)で示されるヘキサチオペンタセンが知られている(非特許文献1及び2)。
【0005】
【化1】
JP2015020998A_000002t.gif

【0006】
上記式(a)で示されるヘキサチオペンタセンは、硫黄原子と芳香族環との相互作用により特異的な二次元積層構造を取り、μ=0.27cm/Vsという高い電荷移動度を示すことが報告されている。しかしながら、溶解性が低いため、例えば、ウェットプロセスによる薄膜形成等が困難であり、溶解性の向上が望まれていた。
【0007】
一方、上記式(a)で示されるヘキサチオペンタセンとペンタセン骨格が異なる化合物として、下記式(b)で示されるヘキサチオペンタセン化合物が知られている(特許文献2)。
【0008】
【化2】
JP2015020998A_000003t.gif
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数1~100の有機基及びハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種である。]
【0009】
上記式(b)で示されるヘキサチオペンタセン化合物は、ペンタセン骨格の4、5、6、11、12及び13位に硫黄原子が導入されてなるため、安定性に優れるとともに、2、3、9及び10位に置換基を有してもよい炭素数1~100の有機基及びハロゲン原子からなる群から選択される少なくとも1種の置換基が導入されているため、高い溶解性を示すことが確認されている。しかしながら、上記式(b)で示されるヘキサチオペンタセン化合物をゲル化してデバイスを作製することが困難であった。
【0010】
ゲル化能を有する化合物として、ペリレンビスイミド誘導体やチエニレンビニレン誘導体が知られている(非特許文献3及び4)。これら文献によれば、0.05cm/Vs程度の移動度が観測されており、チエニレンビニレン誘導体にヨウ素ドープすることにより、4.8cm/Vsの高い移動度を示すとされているが、熱安定性が低く、デバイスを作製することが困難であり、改善が求められていた。
【先行技術文献】
【0011】

【特許文献1】特開2008-94838号公報
【特許文献2】特開2012-1463号公報
【0012】

【非特許文献1】Alejandro L. Briseno et al., J.Am. Chem. Soc., 2006, Vol.128, No.49, p.15576-15577
【非特許文献2】Alejandro L. Briseno et al., NanoLett., 2007, Vol.7, No.3, p.668-675
【非特許文献3】Xue-Qing Li et al., Chem.Commun., 2006, p.3871-3873
【非特許文献4】Seelam Prasanthkumar et al., J.Am. Chem. Soc., 2010, Vol.132, No.38, p.13206-13207
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、高沸点有機溶媒によりゲル化することが可能となるヘキサチオペンタセン化合物を提供することを目的とするものである。また、熱安定性に優れるとともに、有機半導体材料、特に太陽電池材料に好適なヘキサチオペンタセン化合物を含むゲルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、下記式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を提供することによって解決される。
【化3】
JP2015020998A_000004t.gif
[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子及び下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である。ただし、R、R、R及びRの少なくとも一つは、下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である。]
【化4】
JP2015020998A_000005t.gif
[式中、Rは炭素数1~20のアルキル基であり、nは1~20の整数である。]
【0015】
このとき、上記式(1)におけるR、R、R及びRが、それぞれ独立して式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種であることが好適である。上記式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物と沸点140℃以上の高沸点有機溶媒を含むゲルが本発明の好適な実施態様であり、さらにポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)、フェニルC61酪酸メチルエステル、フェニルC71酪酸メチルエステル及びポリ(3-アルキルチオフェン)からなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物を含むゲルであることが好適である。上記式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含む有機半導体デバイスが本発明の好適な実施態様である。前記ゲルが基材に塗布されてなる積層体が本発明の好適な実施態様であり、前記ゲルが基材に塗布され該ゲルが乾燥されてなる有機半導体デバイスが本発明の好適な実施態様である。また、前記有機半導体デバイスからなる太陽電池が本発明の好適な実施態様である。
【0016】
また、このとき、下記式(3)で示される化合物に硫黄を反応させることを特徴とする上記式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物の製造方法が好適に提供される。
【化5】
JP2015020998A_000006t.gif
[式中、R、R、R及びRは、前記式(1)と同義である。]
【0017】
また、このとき、式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物、沸点140℃以上の高沸点有機溶媒、並びにポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)、フェニルC61酪酸メチルエステル、フェニルC71酪酸メチルエステル及びポリ(3-アルキルチオフェン)からなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物を加熱混合して冷却してゲルを得てから、該ゲルを基材に塗布して乾燥させることを特徴とする有機半導体デバイスの製造方法が好適に提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を提供することができる。こうして得られたヘキサチオペンタセン化合物は、高沸点有機溶媒によりゲル化することが可能である。式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含むゲルは、熱安定性に優れるものであり、有機半導体材料、特に太陽電池材料として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1で得られた式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物のH NMRのスペクトル図である。
【図2】実施例1で得られた式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物の13C NMRのスペクトル図である。
【図3】実施例1で得られた式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物のMALDI-TOF MSスペクトル図である。
【図4】実施例1で得られた式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物の赤外吸収スペクトル図である。
【図5】実施例1で得られた式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物の紫外可視近赤外吸収スペクトル図である。
【図6】実施例2で得られた式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含むゲルの走査型電子顕微鏡写真((a)~(c))とゲルの写真(d)である。
【図7】実施例2で得られた式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含むゲルの示差走査熱量測定結果である。
【図8】実施例2で得られた式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含むゲルの粉末X線回折結果である。
【図9】実施例3において、作製法[1]で得られた活性層及び作製法[2]で得られた活性層をそれぞれ用いて作製された有機薄膜太陽電池の光電流特性を示した図である。
【図10】実施例3において、作製法[1]で得られた活性層及び作製法[2]で得られた活性層の顕微鏡写真を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のヘキサチオペンタセン化合物は、下記式(1)で示されるものであり、ペンタセン骨格の5、6、7、12、13及び14位に硫黄原子が導入され、かつ2、3、9及び10位に、水素原子及び下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種の置換基が導入された化合物である(ただし、R、R、R及びRの少なくとも一つは、下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である。)。そして、本発明のヘキサチオペンタセン化合物は、高沸点有機溶媒によりゲル化することが可能であり、こうして得られたヘキサチオペンタセン化合物を含むゲルは、熱安定性に優れるものであることが本発明者らにより確認された。

【0021】
【化6】
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[式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子及び下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である。ただし、R、R、R及びRの少なくとも一つは、下記式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である。]
【化7】
JP2015020998A_000008t.gif
[式中、Rは炭素数1~20のアルキル基であり、nは1~20の整数である。]

【0022】
上記式(1)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子及び式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である(ただし、R、R、R及びRの少なくとも一つは、式(2)で示される置換基からなる群から選択される1種である。)。すなわち、式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物は、R、R、R及びRの少なくとも一つが式(2)で示される置換基で置換された化合物であり、1置換体、2置換体、3置換体、又は4置換体のいずれかである。効率良く合成できる観点からは、2置換体又は4置換体であること、すなわち、R、R、R及びRの中の2つ又は全てがそれぞれ独立して式(2)で示される置換基で置換された化合物であることが好ましく、4置換体であること、すなわち、R、R、R及びRがそれぞれ独立して式(2)で示される置換基で置換された化合物であることがより好ましい。

【0023】
上記式(2)において、Rは炭素数1~20のアルキル基である。Rに用いられるアルキル基は、直鎖や分岐鎖のアルキル基であってもよいし、環状のシクロアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等の直鎖や分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデカニル基、シクロドデカニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。

【0024】
また、上記式(2)におけるRに用いられるアルキル基は置換基を有してもよく、かかる置換基としては、例えば、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラジニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基等の複素芳香環基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基;tert-ブチルジメチルシリルオキシ基、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ基等の三置換シリルオキシ基;アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;フェニルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基;メチルスルフォニルオキシ基、エチルスルフォニルオキシ基、フェニルスルフォニルオキシ基、メトキシスルフォニル基、エトキシスルフォニル基、フェニルオキシスルフォニル基等のスルフォン酸エステル基;アミノ基;水酸基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;などが挙げられる。

【0025】
また、本発明は、下記式(3)で示される化合物に硫黄を反応させることにより、上記式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物の製造方法を提供することができる。

【0026】
【化8】
JP2015020998A_000009t.gif
[式中、R、R、R及びRは、前記式(1)と同義である。]

【0027】
上記式(3)で示される化合物において、R、R、R及びRは、前述の式(1)におけるR、R、R及びRと同様のものを用いることができる。

【0028】
本発明のヘキサチオペンタセン化合物の製造方法としては、上記式(3)で示される化合物を有機溶媒中で単体硫黄と反応させることにより好適に得ることができる。前記有機溶媒としては特に限定されず、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼンなどの含ハロゲン芳香族炭化水素;ベンゾニトリル、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素等に代表される有機溶媒が挙げられる。中でも、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼンなどの含ハロゲン芳香族炭化水素が好ましく用いられ、1,2,4-トリクロロベンゼンがより好ましく用いられる。有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。

【0029】
上記式(3)で示される化合物に硫黄を反応させる際の単体硫黄の使用量については特に限定されず、式(3)で示される化合物1質量部に対して、0.1~100質量部であることが好ましい。単体硫黄の使用量が0.1質量部未満の場合、式(3)で示される化合物に硫黄原子を導入することが困難となるおそれがあり、2質量部以上であることがより好ましい。一方、単体硫黄の使用量が100質量部を超える場合、式(3)で示される化合物における置換基と単体硫黄とが反応するおそれがあるとともに、未反応の単体硫黄の除去作業が煩雑になるおそれがあり、50質量部以下であることがより好ましい。

【0030】
上記式(3)で示される化合物に硫黄を反応させる際の反応温度としては特に限定されず、120~300℃であることが好ましい。反応温度が120℃未満の場合、低収率となるおそれがあり、170℃以上であることがより好ましい。一方、反応温度が300℃を超える場合、目的物が分解するおそれがあり、280℃以下であることがより好ましい。

【0031】
上記式(3)で示される化合物に硫黄を反応させる際の反応時間としては、特に限定されず、3~48時間であることが好ましい。反応時間が3時間未満の場合、反応が完結しないため低収率となるおそれがあり、5時間以上であることがより好ましい。一方、反応時間が48時間を超える場合、副生成物が得られたり、目的物が分解するおそれがあり、40時間以下であることがより好ましい。また、本発明のヘキサチオペンタセン化合物の製造方法は、遮光条件下で上記式(3)で示される化合物と硫黄とを反応させることが好ましい。このことにより、単体硫黄とジヒドロペンタセンの反応で発生するペンタセンと酸素との光付加環化反応を防ぎ、収率向上の利点を有する。

【0032】
本発明のヘキサチオペンタセン化合物は、高沸点有機溶媒によりゲル化することが可能である。すなわち、上記式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物と沸点140℃以上の高沸点有機溶媒を含むゲルが本発明の好適な実施態様である。本発明で用いられる沸点140℃以上の高沸点有機溶媒としては特に限定されず、o-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、ベンゾニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ、これらの中の少なくとも1種が好適に用いられる。中でも、o-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種の高沸点有機溶媒がより好適に用いられる。

【0033】
本発明において、上記式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物と沸点140℃以上の高沸点有機溶媒を含むゲルに、さらに有機化合物が含まれていることが好ましい。このような有機化合物としては特に限定されず、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)、フェニルC61酪酸メチルエステル、フェニルC71酪酸メチルエステル、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリ[ビス(4-フェニル)2,4,6-トリメチルフェニルアミン]、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等が挙げられ、これらの中の少なくとも1種が好適に用いられる。中でも、ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)、フェニルC61酪酸メチルエステル、フェニルC71酪酸メチルエステル及びポリ(3-アルキルチオフェン)からなる群から選択される少なくとも1種の有機化合物がより好適に用いられる。

【0034】
本発明のヘキサチオペンタセン化合物と沸点140℃以上の高沸点有機溶媒を含むゲルは、基材等に容易に塗布することができる。したがって、上記式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物と沸点140℃以上の高沸点有機溶媒を含むゲルが基材に塗布された積層体であることが本発明の好適な実施態様である。

【0035】
上記説明したように、本発明のヘキサチオペンタセン化合物は、高沸点有機溶媒によりゲル化することが可能である。ここで、本発明者らは、ゲル化することで生じた繊維状会合体は、高い電荷移動度を持つこと、及び太陽電池に用いられるバルクヘテロ接合型界面形成に有利であることから、従来の有機半導体デバイスと比べて性能の向上が期待できると推察している。また、本発明者らは、本発明により得られるゲルは、高い熱安定性を有するため、有機半導体デバイスを作製する方法の自由度が高く、多成分系に応用する際にミクロ相分離構造の形成が可能になると推察している。さらに、本発明者らは、ゲル化により表面積を大きくすることができ、有機半導体デバイスの性能の向上が期待できると推察している。

【0036】
本発明のヘキサチオペンタセン化合物と沸点140℃以上の高沸点有機溶媒を含むゲルは、後述する実施例における示差走査熱量測定結果から明らかなように、熱安定性に優れている。したがって、本発明により得られるゲルが基材に塗布され該ゲルが乾燥されてなる有機半導体デバイスが本発明の好適な実施態様であり、中でも、太陽電池として好適に用いることができる。

【0037】
本発明により得られるゲルが基材に塗布され該ゲルが乾燥されてなる有機半導体デバイスの製造方法としては特に限定されない。式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物、沸点140℃以上の高沸点有機溶媒、及び有機化合物を加熱混合して冷却してゲルを得てから、該ゲルを基材に塗布して乾燥させることにより有機半導体デバイスを好適に製造することができる。また、式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物、及び沸点140℃以上の高沸点有機溶媒を加熱混合して冷却してゲルを得てから、該ゲルを基材に塗布して乾燥し、更に有機化合物を含む液体を塗布することにより有機半導体デバイスを好適に製造することもできる。また、有機化合物を含む液体を基材に塗布した後に、式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物、及び沸点140℃以上の高沸点有機溶媒を加熱混合して冷却して得られたゲルを該基材に塗布して乾燥することにより有機半導体デバイスを好適に製造することもできる。

【0038】
本発明のヘキサチオペンタセン化合物は、後述する実施例における紫外可視近赤外吸収スペクトルから明らかなように、近赤外領域にまで幅広い吸収を持つ化合物である。したがって、上記式(1)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含む有機半導体デバイスが本発明の好適な実施態様であり、中でも、太陽電池として好適に用いることができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。実施例中、核磁気共鳴スペクトル(NMR)は(JEOL AL300)により測定し、TMSを内部標準物質として用いた。MALDI-TOF-MSは(Bruker autoflex)を用いた。赤外線吸収スペクトル(IR)は(Thermo Nicolet IR Affinity-1)を用いた。紫外可視近赤外吸収スペクトル(UV-VIS)は(SHIMADZU UV-3150 UV-VIS-NIR SPECTROPHOTOMETER)を使用した。また、6,13-ジヒドロペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-ジメトキシベンジル)は、特開2012-1463号公報に記載された方法に従い合成した。
【実施例】
【0040】
実施例1
[式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-ジメトキシベンジル)の合成]
25mlナス型フラスコに6,13-ジヒドロペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-ジメトキシベンジル) (40mg,0.0378mmol)と再結晶したS8 (121mg,3.78mmol)を加えた後、Arバブリングした1,2,4-トリクロロベンゼン (6.24ml)を入れ、230℃、12時間、遮光条件下で加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷やした後、反応溶液に大過剰のメタノール(100ml)を加え再沈殿した。緑色の不溶物をろ過で集め、濾紙上の固体をメタノール、二硫化炭素、クロロホルムで順次洗い、式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-ジメトキシベンジル)を緑色固体(29.1mg,0.0234mmol,収率62%)として得た。化学反応式を以下に示す。式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物のH NMRスペクトルを図1に、13C NMRスペクトルを図2に、MALDI-TOF MSスペクトルを図3に、赤外吸収スペクトルを図4に、紫外可視近赤外吸収スペクトルを図5に示す。
【実施例】
【0041】
【化9】
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【実施例】
【0042】
式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-ジメトキシベンジル)の物性データを以下に示す。
mp > 300℃;1H NMR(300MHz,CDCl3 2.69 x 10-3M) δ3.83(s,24H),5.29(s,8H),6.46(t,4JHH=2.2Hz,4H),6.63(d,4JHH=2.0Hz,8H),8.71(s,4H);13C NMR(75MHz,o-DCB-d4) δ55.2(q),67.8(t),101.4(d),106.7(d),131.4(s),131.8(d),132.2(s),133.2(s),137.9(s),158.7(s),161.6(s),165.7(s);MALDI-TOF-MS for C62H48O16S6:m/z calcd,1240.13,[M-];found,1239.20 [M-];IR (KBr) 2954,1728,1598,1460,1282cm-1;UV-vis(o -dichlorobenzene) λmax=303(ε=60000),403(ε=18000),751(ε=31000).
【実施例】
【0043】
[溶解性の検討]
式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物(1mg,0.8mmol)を各ミクロチューブにはかりとり、トルエン、ベンゼン、o-ジクロロベンゼン、DMSO、ベンゾニトリルをそれぞれ200mL加え、溶解性を検討した。トルエン、DMSO、及びベンゼンは湯せんすると分散した。o-ジクロロベンゼン、ベンゾニトリルについては湯せんをすると溶解した。溶解性はDMSO=トルエン<ベンゼン<ベンゾニトリル<<o-ジクロロベンゼンの順番で良好であった。
【実施例】
【0044】
[式(1b)で示されるヘキサチオペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-[ビス(3,5-ジメトキシベンジロキシ)ベンジル])の合成]
10mlナス型フラスコに6,13-ジヒドロペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-[ビス(3,5-ジメトキシベンジロキシ)ベンジル]) (20.0mg,9.30μmol)と再結晶したS8 (29.9mg,0.93mmol)を加えた後、Arバブリングした1,2,4-トリクロロベンゼン (1.29ml)を入れ、230℃、6時間、遮光条件Ar雰囲気下で加熱撹拌した。反応溶液を室温まで冷やした後、反応溶液に大過剰のメタノール(100ml)を加えた。析出した緑色の不溶物をろ過で集め、濾紙上の固体をメタノール、二硫化炭素、クロロホルムで順次洗った。さらにクロロホルム:メタノール=100:1溶液を展開溶媒とした薄相クロマトグラフ(PTCL)により精製を行い、式(1b)で示されるヘキサチオペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-[ビス(3,5-ジメトキシベンジロキシ)ベンジル])を緑色固体(2.2mg,0.945μmol,収率10%)として得た。化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0045】
【化10】
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【実施例】
【0046】
式(1b)で示されるヘキサチオペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-[ビス(3,5-ジメトキシベンジロキシ)ベンジル])の物性データを以下に示す。
mp > 300℃;1H NMR(300MHz,CDCl3) δ3.72 (s,48H),4.94(s,16H),5.30(s,8H),6.35(t,4JHH=2.2Hz,8H),6.60(d,4JHH=2.2Hz,20H),6.71(d,4JHH=2.2Hz,8H),8.73(s,4H);13C NMR(75MHz,CDCl3) δ55.5(q),67.9(t),70.2(s),100.0(d),102.3(d),105.5(d),107.1(d),130.5(s),130.7(d),131.0(s),132.7(s),137.9(s),139.3(s),158.8(s),160.3(s),161.1(s),175.8(s);MALDI-TOF-MS for C126H112O32S6:m/z calcd,2328.55,[M-];found,2329.20 [M-];IR (KBr) 2923,1725,1597,1457,1154,1053cm-1;UV-vis (CHCl3) λmax=388(ε=7600),403(ε=7700),584(ε=2700),620(ε=3800),666(ε=3000),735(ε=8200).
【実施例】
【0047】
[式(1c)で示されるヘキサチオペンタセン-2-カルボン酸メチルの合成]
Ar雰囲気下、25mlナス型フラスコに6,13-ジヒドロペンタセン-2-カルボン酸メチル (40mg,0.118mmol)と再結晶した単体硫黄(379mg,3.78mmol)を加えた後、Arバブリングした1,2,4-トリクロロペンゼン(5ml)を入れ、230℃、12時間、遮光条件下で加熱攪拌した。反応溶液を熱時ろ過し、濾紙上の固体をヘキサン、二硫化炭素、クロロホルム、アセトンで順次洗い、式(1c)で示されるヘキサチオペンタセン-2-カルボン酸メチルを緑色固体(30mg,0.0575mmol,収率48%)として得た。化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0048】
【化11】
JP2015020998A_000012t.gif
【実施例】
【0049】
式(1c)で示されるヘキサチオペンタセン-2-カルボン酸メチルの物性データを以下に示す。
mp > 300℃;Anal. Calcd for C24H10O2S6: C,55.15; H,1.93. Found: C,55.21; H,1.85; MALDI-TOF-MS for C24H10O2S6:m/z calcd,521.90,[M-];found,521.30 [M-]; IR (KBr) 2947,1721,1601,1545,1404,1321,1292,1257,1223,1107,1078,1005,754cm-1;UV-vis(o -dichlorobenzene) λmax=287(ε=22000),395(ε=14000),727(ε=13000).
【実施例】
【0050】
[式(1d)で示されるヘキサチオペンタセン-2,9-カルボン酸ビス-(3,5-ジメトキシベンジル)の合成]
Ar雰囲気下、100mlナス型フラスコに6,13-ジヒドロペンタセン-2,9-カルボン酸ビス-(3,5-ジメトキシベンジル) (30.0mg,0.0449mmol)と再結晶した単体硫黄(71.9mg,2.24mmol)を加えた後、Arバブリングした1,2,4-トリクロロベンゼン(5.0ml)を入れ、230℃、8時間、遮光条件で加熱撹拌した。生成した緑色の不溶固体をろ過で集め、濾紙上の固体を二硫化炭素、ヘキサンで順次洗い、式(1d)で示されるヘキサチオペンタセン-2,9-カルボン酸ビス-(3,5-ジメトキシベンジル)を緑色固体(20.0mg,0.0234mmol,収率52%)として得た。化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0051】
【化12】
JP2015020998A_000013t.gif
【実施例】
【0052】
式(1d)で示されるヘキサチオペンタセン-2,9-カルボン酸ビス-(3,5-ジメトキシベンジル)の物性データを以下に示す。
mp > 300℃; 1H NMR(300 MHz,o-DCB-d4) δ3.50(s,12H),5.23(s,4H),6.23(t,4JHH=2.2Hz,2H),6.47(d,4JHH=2.2Hz,4H),8.19(s,2H),8.51(s,2H),9.33(s,2H);MALDI-TOF-MS for C42H28O8S6:m/z calcd,852.01,[M-];found,851.61 [M-];IR (KBr) 2952,1721,1601,1472,1297,1112cm-1;UV-vis(o-DCB) λmax=380(ε=15400),399(ε=19600),425(ε=8800),614(ε=4200),669(ε=7900),738(ε=26900);Anal. Calcd for C42H28O8S6: C,59.13; H,3.31. Found: C,58.76; H,3.12.
【実施例】
【0053】
実施例2
[式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含むゲル]
実施例1で得られた式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-ジメトキシベンジル) (3.6mg,0.0029mmol)とo-ジクロロベンゼン(0.110ml)をマイクロチューブに入れ、オイルバスにて150℃に加熱し溶解させた。その後オイルバスから出して0.5℃/minの降温速度で室温まで冷やすことによりゲルを得た。ゲルの物性評価については、走査型電子顕微鏡写真、示差走査熱量測定、粉末X線回折により行った。走査型電子顕微鏡写真((a)~(c):ゲルを乾燥したもの)とゲルの写真(d)を図6に、示差走査熱量測定結果(測定条件:温度範囲25-300℃、変温速度10℃/min)を図7に、粉末X線回折結果を図8に示す。図6の走査型電子顕微鏡写真により、ゲルが繊維構造を有していることが分かった。また、図7の示差走査熱量測定結果から相転移温度は234.8℃であり、図8の粉末X線回折結果からそれぞれのピークに由来するミラー指数を決定し、結晶であることを確認した。
【実施例】
【0054】
[ベンゼンを用いたゲル化の検討]
式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物(1.0mg,0.8mmol)をマイクロチューブに入れ、ベンゼン(0.5mL)を加えた。オイルバスで溶液を80℃に加熱した後、オイルバスから出して、0.5℃/minの降温速度で室温まで冷やしたがゲルは得られなかった。
【実施例】
【0055】
[トルエンを用いたゲル化の検討]
式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物(1.0mg,0.8mmol)をマイクロチューブに入れ、トルエン(0.5mL)を加えた。オイルバスで溶液を110℃に加熱した後、オイルバスから出して、0.5℃/minの降温速度で室温まで冷やしたがゲルは得られなかった。
【実施例】
【0056】
[式(1b)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を用いたゲル化の検討]
実施例1で得られた式(1b)で示されるヘキサチオペンタセン-2,3,9,10-カルボン酸テトラキス-(3,5-[ビス(3,5-ジメトキシベンジロキシ)ベンジル])(5.6mg,2.4mmol)をマイクロチューブに入れ、o-ジクロロベンゼン(0.17mL)を加えた。オイルバスで溶液を150℃に加熱した後、オイルバスから出して、0.5℃/minの降温速度で室温まで冷やしたがゲルは得られなかった。
【実施例】
【0057】
実施例3
[式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含むゲルを用いた有機薄膜太陽電池の作製]
式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含むゲルを用いて、有機薄膜太陽電池の活性層を作製した。活性層は2種類作製し、それぞれの作製法を作製法[1]及び作製法[2]とした。作製法[1]では、n型半導体として式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含むゲルを用い、p型半導体としてポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル) (Mw=30000~60000、以下「P3HT」と略気することがある。)を用いた。作製法[2]では、n型半導体としてフェニルC61酪酸メチルエステル(以下「PCBM」と略気することがある。)を用い、p型半導体として式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物を含むゲルを用いた。それぞれの活性層の作製方法を下記に示す。
【実施例】
【0058】
(1)作製法[1]
式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物(3.4mg,0.00274mmol)とP3HT(3.4mg,分子量=30,000~60,000)とをo-ジクロロベンゼン(0.25ml)中で150℃で加熱撹拌し、活性層溶液を調製した。O2 plasma処理を行ったITO基盤の上にPEDOT/PSS(200μl)を5000rpm,45秒スピンコートし、その後140℃にて10分間アニールを行った。更に活性層溶液(200μl)を1000rpm,45秒スピンコートし、その後サーマルアニールを20分間行った。最後にアルミを蒸着し150℃にて10分間アニールを行った。
【実施例】
【0059】
(2)作製法[2]
式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物(3.4mg,0.00274mmol)とPCBM(3.4mg,0.00373mmol)とをo-ジクロロベンゼン(0.25ml)中で150℃で加熱撹拌し、活性層溶液を調製した。O2 plasma処理を行ったITO基盤の上にPEDOT/PSS(200μl)を5000rpm,45秒スピンコートし、その後140℃にて10分間アニールを行った。更に活性層溶液(200μl)を1000rpm,45秒スピンコートし、その後サーマルアニールを20分間行った。最後にアルミを蒸着し150℃にて10分間アニールを行った。
【実施例】
【0060】
作製法[1]で得られた活性層及び作製法[2]で得られた活性層をそれぞれ用いて作製された有機薄膜太陽電池の光電流特性を図9に示す。図9により、光照射していない(dark)時は、OVで電流が流れていないが、光照射している(light)時は、OVで電流が流れており、太陽電池として機能していることが分かる。このように、作製された有機薄膜太陽電池が光電流特性を示すことが分かった。また、作製法[1]で得られた活性層及び作製法[2]で得られた活性層の顕微鏡写真をそれぞれ図10に示す。図10により、繊維状のモルフォロジーが確認された。これらの結果から、活性層中で式(1a)で示されるヘキサチオペンタセン化合物がゲル化していることが分かるとともに、有機薄膜太陽電池の活性層として用いることができることが分かった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
9