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明細書 :精密研磨方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第5442892号 (P5442892)
登録日 平成25年12月27日(2013.12.27)
発行日 平成26年3月12日(2014.3.12)
発明の名称または考案の名称 精密研磨方法
国際特許分類 H01L  21/304       (2006.01)
B24B  37/11        (2012.01)
FI H01L 21/304 622F
B24B 37/00 C
請求項の数または発明の数 10
全頁数 23
出願番号 特願2013-139863 (P2013-139863)
出願日 平成25年7月3日(2013.7.3)
審査請求日 平成25年7月24日(2013.7.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000176626
【氏名又は名称】三島光産株式会社
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
発明者または考案者 【氏名】中 利明
【氏名】田代 康典
【氏名】鬼木 喬玄
【氏名】高田 正人
【氏名】鈴木 恵友
【氏名】伊藤 高廣
【氏名】カチョーンルンルアン パナート
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100090697、【弁理士】、【氏名又は名称】中前 富士男
【識別番号】100176142、【弁理士】、【氏名又は名称】清井 洋平
【識別番号】100127155、【弁理士】、【氏名又は名称】来田 義弘
【識別番号】100159581、【弁理士】、【氏名又は名称】藤本 勝誠
審査官 【審査官】橋本 卓行
参考文献・文献 特許第5154705(JP,B1)
特開2005-146036(JP,A)
国際公開第2007/020939(WO,A1)
特開2013-049112(JP,A)
特開2005-223278(JP,A)
調査した分野 B24B37/00-37/24
H01L21/304
要約 【課題】半導体基板等の平坦性が高度に要求される部材の平坦加工を安定して、かつ高効率に行うことが可能な精密研磨方法及び研磨機を提供する。
【解決手段】研磨パッド10を上面に取付けた研磨定盤11を回転させ、研磨パッド10の表面に水酸化フラーレン又は水酸化フラーレン会合体が分散した研磨スラリー12を滴下しながら、被加工物14の被研磨面を研磨パッド10の表面に押圧して被研磨面の研磨を行う精密研磨方法において、研磨パッド10の表面に、高さHが0.1~20μmの微細突起15が、隣り合う微細突起15の頂部の間隔Dを1.1~60μm、隣り合う微細突起15の底部間の間隔Gを1~50μmとして分散配置されたマイクロパターンを形成する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
研磨パッドを上面に取付けた研磨定盤を回転させ、該研磨パッドの表面に水酸化フラーレン又は水酸化フラーレン会合体が分散した研磨スラリーを滴下しながら、被加工物の被研磨面を前記研磨パッドの表面に押圧して該被研磨面の研磨を行う精密研磨方法において、
前記研磨パッドの表面に、高さが0.1~20μmの微細突起が、隣り合う該微細突起の頂部の間隔を1.1~60μm、隣り合う該微細突起の底部間の間隔を1~50μmとして分散配置されたマイクロパターンを形成し、前記研磨パッドは、前記微細突起と同一寸法の擬微細突起が該微細突起の配置に合わせて分散配置されたポジ型を形成し、該ポジ型を用いて作製したネガ型を、該ネガ型の、前記擬微細突起と同一寸法で凹凸関係が反転した微細凹部が分散配置された側を表側にして、該ネガ型の側部同士を当接させながら基盤上に並べて形成した研磨パッド成形金型を用いて製造され、前記ポジ型は、基板の一方の表面側に、反応促進用エネルギー線の照射により化学反応を起こす材料を用いて前記微細突起の高さに相当する厚さの被加工層を形成し、該被加工層内の位置に応じて照射する前記反応促進用エネルギー線の照射エネルギー量を変化させて、該被加工層内に化学反応により前記微細突起と同一寸法の微細反応凸部を該微細突起の配置に合わせて生成させた後、該被加工層から非化学反応領域を除去することにより形成することを特徴とする精密研磨方法。
【請求項2】
請求項記載の精密研磨方法において、前記基板は平板であり、前記ネガ型は、前記ポジ型の前記擬微細突起が分散配置された面を下地面にしてめっきにより形成された平板状金属部材を有し、前記ネガ型が固定される前記基盤は平板であることを特徴とする精密研磨方法。
【請求項3】
請求項記載の精密研磨方法において、前記基板は、可撓性を有する平板であり、前記ネガ型は、前記ポジ型の前記擬微細突起が分散配置された面を半径方向内側にして円弧状に湾曲させ、該擬微細突起が分散配置された面を下地面にしてめっきにより形成された円弧状金属部材を有し、前記ネガ型が固定される前記基盤は、前記円弧状金属部材の半径方向内側の曲率と同一の曲率を有するロールであることを特徴とする精密研磨方法。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の精密研磨方法において、前記研磨スラリーは、アルカリ水溶液に、前記水酸化フラーレンが0.001~10質量%、コロイダルシリカが1~40質量%分散したものであることを特徴とする精密研磨方法。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の精密研磨方法において、前記研磨スラリーは、アルカリ水溶液中に、粒径が1~1000nmの水酸化フラーレン会合体が0.001~10質量%、コロイダルシリカが1~40質量%分散したものであることを特徴とする精密研磨方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の精密研磨方法において、前記研磨スラリーは、水中に、前記水酸化フラーレンが0.001~10質量%分散したものであることを特徴とする精密研磨方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の精密研磨方法において、前記研磨スラリーは、水中に、粒径が1~1000nmの前記水酸化フラーレン会合体が0.001~10質量%分散したものであることを特徴とする精密研磨方法。
【請求項8】
請求項又は記載の精密研磨方法において、前記研磨スラリーは、前記被研磨面からの材料の化学的溶去作用を生じさせる研磨補助剤を含有していることを特徴とする精密研磨方法。
【請求項9】
請求項記載の精密研磨方法において、前記研磨補助剤は、前記被研磨面を酸化させる酸化剤と、該酸化剤による該被研磨面の酸化進行を調節する酸化抑制剤と、該被研磨面に形成された酸化物を錯イオンとして前記研磨スラリー中へ溶解させるキレート剤とを有していることを特徴とする精密研磨方法。
【請求項10】
請求項のいずれか1項に記載の精密研磨方法において、前記被加工物はサファイア及びSiC、金属、Si、SiO、GaN、ダイヤモンド、サファイア、又はSiCのいずれか1であることを特徴とする精密研磨方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板等の平坦性が高度に要求される部材の平坦加工を高効率に行う精密研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの高集積化(多層化)に伴い、半導体基板や配線表面の研磨加工を行う際、高い研磨性能(表面平坦度の向上及び研磨レート(研磨速度)の向上)が要求されている。ここで、半導体基板や配線の表面平坦度の向上を図るには、微小かつ均一粒径を有する研磨剤(砥粒)を使用することが有効であるとされている。このため、硬度が高く、微小かつ均一粒径の粒子が得られ易く、しかも水中での分散性が高い水酸化フラーレンを研磨剤に使用することが提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
一方、半導体基板や配線表面の研磨加工時における研磨レートの向上を図るには、研磨パッド表面上で適正量の研磨スラリーを保持すると共に、半導体基板表面や配線表面に水酸化フラーレンを含んだ研磨スラリーを効率的に接触させ、更に、研磨パッド上で研磨スラリーの流れを形成して研磨時に発生した「削りかす」を研磨スラリーの流れに混入させて効率的に除去することが必要になる。このため、研磨パッドの表面状態の管理、半導体基板表面や配線表面を研磨パッドに押付ける際の圧力(加工圧力)、研磨定盤(研磨パッド)の回転数、研磨スラリーの供給速度等を管理することが行われている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2005-146036号公報
【特許文献2】特開2005-223278号公報
【特許文献3】WO2007/020939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3では、従来の研磨装置と研磨パッドを用いて研磨加工を行っている。このため、加工圧力、研磨定盤の回転数及び研磨スラリーの供給速度に関しては一定レベルで管理することが可能であるが、研磨パッドの表面状態の管理を行うことは困難となっている。即ち、従来の研磨パッドは、例えば、発泡ウレタン樹脂を型枠に流し込み硬化させて発泡ウレタンのブロックを形成し、得られたブロックから所定厚さ(例えば、1mm)の平板を切り出すことにより製造している。このため、製造された研磨パッドは高い平坦性を有しておらず、研磨を開始する前に、ダイヤモンド砥石等を用いたドレッシング(コンディショニングともいう)を行って、研磨パッドに高い平坦性を具備させている。
【0005】
ドレッシングにより研磨パッドに平坦性を具備させる場合、研磨パッドの表面状態(微細凹凸パターン)がドレッシング毎に大きく変動するという問題がある。これにより、研磨パッドの表面の研磨スラリーの保持性能と、半導体基板表面や配線表面への新鮮な研磨スラリーの供給性能が変動し、半導体基板表面や配線表面の研磨加工時における研磨レートの向上を図ることが困難になると共に、表面平坦度の向上を図ることも困難になるという問題がある。
【0006】
更に、発泡ウレタンであることに起因して研磨パッドの表層部に現れる穴には、研磨中に研磨材や削りかす等が溜まってくるため、半導体基板から生じた削りかすの除去性能が徐々に低下し、これに伴って半導体基板表面や配線表面への新鮮なスラリーの供給性能が低下するため、研磨レートが低下するという問題が生じる。このため、研磨パッドの表面を定期的に研削して新しい表面を形成することが行われているが、発泡ウレタン内の空洞はサイズにばらつきが存在すると共に、均一に分散していないため、研磨パッドの表面を研削して新たな表面を形成する度に、表面に現れる穴のサイズ分布や分散状態が変化し、研磨パッドの研磨性能を常に一定に保つことができないという問題もある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、半導体基板等の平坦性が高度に要求される部材の平坦加工を安定して、かつ高効率に行うことが可能な精密研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う本発明に係る精密研磨方法は、研磨パッドを上面に取付けた研磨定盤を回転させ、該研磨パッドの表面に水酸化フラーレン又は水酸化フラーレン会合体が分散した研磨スラリーを滴下しながら、被加工物の被研磨面を前記研磨パッドの表面に押圧して該被研磨面の研磨を行う精密研磨方法において、
前記研磨パッドの表面に、高さが0.1~20μmの微細突起が、隣り合う該微細突起の頂部の間隔を1.1~60μm、隣り合う該微細突起の底部間の間隔を1~50μmとして分散配置されたマイクロパターンを形成し、前記研磨パッドは、前記微細突起と同一寸法の擬微細突起が該微細突起の配置に合わせて分散配置されたポジ型を形成し、該ポジ型を用いて作製したネガ型を、該ネガ型の、前記擬微細突起と同一寸法で凹凸関係が反転した微細凹部が分散配置された側を表側にして、該ネガ型の側部同士を当接させながら基盤上に並べて形成した研磨パッド成形金型を用いて製造され、前記ポジ型は、基板の一方の表面側に、反応促進用エネルギー線の照射により化学反応を起こす材料を用いて前記微細突起の高さに相当する厚さの被加工層を形成し、該被加工層内の位置に応じて照射する前記反応促進用エネルギー線の照射エネルギー量を変化させて、該被加工層内に化学反応により前記微細突起と同一寸法の微細反応凸部を該微細突起の配置に合わせて生成させた後、該被加工層から非化学反応領域を除去することにより形成する
【0009】
ここで、微細突起の高さが0.1μm未満では研磨レートが低下し、微細突起の高さが20μmを超えると研磨レートが低下し、スクラッチが発生する。このため、微細突起の高さを0.1~20μm、好ましくは2~7μmとする。また、隣り合う微細突起の頂部の間隔が1.1μm未満では研磨レートが低下し、スクラッチが発生し、隣り合う微細突起の頂部の間隔が60μmを超えると研磨レートが低下する。このため、隣り合う微細突起の頂部の間隔を1.1~60μm、好ましくは3~7μmとする。更に、隣り合う微細突起の底部間の間隔が1μm未満では研磨レートが低下し、隣り合う微細突起の底部間の間隔が50μmを超えると研磨レートが低下し、スクラッチが発生する。このため、微細突起の底部間の間隔を1~50μm、好ましくは3~7μmとする。
【0012】
本発明に係る精密研磨方法において、前記基板は平板であり、前記ネガ型は、前記ポジ型の前記擬微細突起が分散配置された面を下地面にしてめっきにより形成された平板状金属部材を有し、前記ネガ型が固定される前記基盤は平板とすることができる。
【0013】
本発明に係る精密研磨方法において、前記基板は、可撓性を有する平板であり、前記ネガ型は、前記ポジ型の前記擬微細突起が分散配置された面を半径方向内側にして円弧状に湾曲させ、該擬微細突起が分散配置された面を下地面にしてめっきにより形成された円弧状金属部材を有し、前記ネガ型が固定される前記基盤は、前記円弧状金属部材の半径方向内側の曲率と同一の曲率を有するロールとすることもできる。
【0014】
ここで、参考例に係る精密研磨方法研磨パッドを上面に取付けた研磨定盤を回転させ、該研磨パッドの表面に水酸化フラーレン又は水酸化フラーレン会合体が分散した研磨スラリーを滴下しながら、被加工物の被研磨面を前記研磨パッドの表面に押圧して該被研磨面の研磨を行う精密研磨方法において、
前記研磨パッドの表面に、高さが0.1~20μmの微細突起が、隣り合う該微細突起の頂部の間隔を1.1~60μm、隣り合う該微細突起の底部間の間隔を1~50μmとして分散配置されたマイクロパターンを形成し、
前記研磨パッドは、前記微細突起と凹凸関係が反転した第1の微細凹部が前記マイクロパターンの該微細突起の配置に合わせて分散配置された親型を用いて、前記第1の微細凹部に対応する位置に該第1の微細凹部と同一寸法で凹凸関係が反転した擬微細突起が分散配置されたポジ子型を作製し、該ポジ子型を用いて前記擬微細突起に対応する位置に該擬微細突起と同一寸法で凹凸関係が反転した第2の微細凹部が分散配置されたネガ子型を形成して、該ネガ子型を、前記第2の微細凹部が分散配置された側を表側にして、該ネガ子型の側部同士を当接させながら基盤上に並べて形成した研磨パッド成形金型を用いて製造する。
【0015】
参考例に係る精密研磨方法において、前記親型は、単結晶の基板の一方の表面側に、前記マイクロパターンの前記微細突起の配置に合わせて、該微細突起の底部と同一寸法の孔が形成されたレジストマスクを設け、該レジストマスクを介して前記基板の一方の表面側をエッチングすることにより作製することが好ましい。
【0016】
参考例に係る精密研磨方法において、前記ネガ子型は、前記ポジ子型の前記擬微細突起が分散配置された面を下地面にしてめっきにより形成された平板状金属部材を有し、前記ネガ子型が固定される前記基盤は平板とすることができる。
【0017】
参考例に係る精密研磨方法において、前記ネガ子型は、前記ポジ子型の前記擬微細突起が分散配置された面を半径方向内側にして円弧状に湾曲させ、該擬微細突起が分散配置された面を下地面にしてめっきにより形成された円弧状金属部材を有し、前記ネガ子型が固定される前記基盤は、前記円弧状金属部材の半径方向内側の曲率と同一の曲率を有するロールとすることもできる。
【0018】
本発明に係る精密研磨方法において、前記研磨スラリーは、アルカリ水溶液に、前記水酸化フラーレンが0.001~10質量%、コロイダルシリカが1~40質量%分散したものとすることができる。
【0019】
ここで、分散させる水酸化フラーレンが0.001質量%未満では研磨レートを確認することができない(研磨が進行しない)。また、分散させる水酸化フラーレンが10質量%を超えると水酸化フラーレンが析出し研磨効率が向上しない。このため、分散させる水酸化フラーレンを0.001~10質量%、好ましくは0.01~0.1質量%とした。また、分散させるコロイダルシリカが1質量%未満では、水酸化フラーレンと組み合せた際における研磨レートの向上を確認することができず、分散させるコロイダルシリカの下限を1質量%とした。そして、コロイダルシリカの分散量を増加させることに伴って研磨レートの向上を図ることができるが、アルカリ水溶液中におけるコロイダルシリカの飽和濃度は40質量%であるため、分散させるコロイダルシリカの上限を40質量%とした。なお、コロイダルシリカの分散量が増加すると研磨スラリーコストは上昇するので、研磨レートの向上(研磨作業性の向上)と研磨スラリーコストの上昇を比較考量すると、好ましいコロイダルシリカの分散量は5~15質量%となる。
【0020】
本発明に係る精密研磨方法において、前記研磨スラリーは、アルカリ水溶液中に、粒径が1~1000nmの水酸化フラーレン会合体が0.001~10質量%、コロイダルシリカが1~40質量%分散したものとすることもできる。
【0021】
ここで、水酸化フラーレン会合体の粒径が1nm未満では水酸化フラーレン会合体を用いたことによる研磨レートの向上を確認することができず、水酸化フラーレン会合体の粒径が1000nmを超えると、スクラッチが発生し易くなる。このため、水酸化フラーレン会合体の粒径を1~1000nm、好ましくは15~75nmとする。また、分散させる水酸化フラーレン会合体が0.001質量%未満では研磨レートを確認することができず、分散させる水酸化フラーレン10質量%を超えると水酸化フラーレンが析出し研磨効率が向上しない。このため、分散させる水酸化フラーレン会合体を0.001~10質量%、好ましくは0.01~0.1質量%とした。
【0022】
本発明に係る精密研磨方法において、前記研磨スラリーは、水中に、前記水酸化フラーレンが0.001~10質量%分散したものとすることができる。
【0023】
本発明に係る精密研磨方法において、前記研磨スラリーは、水中に、粒径が1~1000nmの前記水酸化フラーレン会合体が0.001~10質量%分散したものとすることもできる。
【0024】
本発明に係る精密研磨方法において、前記研磨スラリーは、前記被研磨面からの材料の化学的溶去作用を生じさせる研磨補助剤を含有していることが好ましい。
【0025】
本発明に係る精密研磨方法において、前記研磨補助剤は、前記被研磨面を酸化させる酸化剤と、該酸化剤による該被研磨面の酸化進行を調節する酸化抑制剤と、該被研磨面に形成された酸化物を錯イオンとして前記研磨スラリー中へ溶解させるキレート剤とを有する構成とすることができる。
【0026】
本発明に係る精密研磨方法において、前記被加工物はサファイア及びSiC、金属、Si、SiO、GaN、ダイヤモンド、サファイア、又はSiCのいずれか1とすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る精密研磨方法においては、研磨パッドの表面に、高さが0.1~20μmの微細突起が、隣り合う微細突起の頂部の間隔を1.1~60μm、隣り合う微細突起の底部間の間隔を1~50μmとして分散配置されたマイクロパターンが形成されているので、回転している研磨パッド上に滴下した研磨スラリーは、隣り合う微細突起で囲まれた隙間に順次進入して溜まり、研磨パッドの表面全体に亘って研磨スラリーを均一に存在させることができる。そして、研磨パッドは、被加工物の被研磨面に微細突起の頂部を介して接触しているので、隙間内に存在する研磨スラリー中に微細突起の側部に沿って移動して被研磨面に到達する多数の微小流れを形成することができ、被研磨面に効率的に新鮮な研磨スラリーを接触させることができる。更に、研磨スラリーを研磨中に連続的に供給すると、供給された研磨スラリーは微細突起の隙間を通過していくため、微細突起で囲まれた隙間に常に新鮮なスラリーを供給することができると共に、研磨時に発生した削りかすを研磨スラリーの流れに混入させて除去することができる。その結果、被加工物の平坦加工を高精密かつ高効率に行うことができる。
【0029】
本発明に係る精密研磨方法において、研磨パッドが、微細突起と同一寸法の擬微細突起が微細突起の配置に合わせて分散配置されたポジ型を用いて作製したネガ型を、ネガ型の、擬微細突起と同一寸法で凹凸関係が反転した微細凹部が分散配置された側を表側にして、ネガ型の側部同士を当接させながら基盤上に並べて形成した研磨パッド成形金型を用いて製造されるので、基盤の寸法を選択することにより、所望の面積を有する研磨パッドを成形するための研磨パッド成形金型を容易かつ安価に作製することができる。
【0030】
本発明に係る精密研磨方法において、ポジ型が、基板の一方の表面側に、反応促進用エネルギー線の照射により化学反応を起こす材料を用いて微細突起の高さに相当する厚さの被加工層を形成し、被加工層内の位置に応じて照射する反応促進用エネルギー線の照射エネルギー量を変化させて、被加工層内に化学反応により微細突起と同一寸法の微細反応凸部を微細突起の配置に合わせて生成させた後、被加工層から非化学反応領域を除去することにより形成されるので、微細突起と同一寸法の擬微細突起が微細突起の配置に合わせて分散配置されたポジ型を精度よく、かつ効率的に作製することができる。
【0031】
本発明に係る精密研磨方法において、基板が平板であり、ネガ型が、ポジ型の擬微細突起が分散配置された面を下地面にしてめっきにより形成された平板状金属部材を有する場合、耐久性を有するネガ型を容易かつ安価に作製することができる。そして、ネガ型が固定される基盤が平板である場合、大型の研磨パッドの製造が可能な研磨パッド成形金型を容易かつ安価に製造することができる。
【0032】
本発明に係る精密研磨方法において、基板が、可撓性を有する平板であり、ネガ型が、ポジ型の擬微細突起が分散配置された面を半径方向内側にして円弧状に湾曲させ、擬微細突起が分散配置された面を下地面にしてめっきにより形成された円弧状金属部材を有する場合、耐久性を有するネガ型を容易かつ安価に作製することができる。そして、ネガ型が固定される基盤が、円弧状金属部材の半径方向内側の曲率と同一の曲率を有するロールである場合、所望の幅を有する長尺(帯状)の研磨パッドの製造が可能な研磨パッド成形金型を容易かつ安価に製造することができる。
【0033】
参考例に係る精密研磨方法において、研磨パッドが、微細突起と凹凸関係が反転した第1の微細凹部がマイクロパターンの微細突起の配置に合わせて分散配置された親型を用いて、第1の微細凹部に対応する位置に第1の微細凹部と同一寸法で凹凸関係が反転した擬微細突起が分散配置されたポジ子型を作製し、ポジ子型を用いて擬微細突起に対応する位置に擬微細突起と同一寸法で凹凸関係が反転した第2の微細凹部が分散配置されたネガ子型を形成して、ネガ子型を、第2の微細凹部が分散配置された側を表側にして、ネガ子型の側部同士を当接させながら基盤上に並べて形成した研磨パッド成形金型を用いて製造するので、親型からポジ子型を介して作製した複数のネガ子型を所望の面積を有する基盤上に並べて固定することにより、所望の面積を有する研磨パッドを成形するための研磨パッド成形金型を容易かつ安価に作製することができる。
【0034】
参考例に係る精密研磨方法において、親型が、単結晶の基板の一方の表面側に、マイクロパターンの微細突起の配置に合わせて、微細突起の底部と同一寸法の孔が形成されたレジストマスクを設け、レジストマスクを介して基板の一方の表面側をエッチングすることにより作製される場合、微細突起と凹凸関係が反転した第1の微細凹部が微細突起の配置に合わせて分散配置された親型を精度よく、かつ効率的に作製することができる。
【0035】
参考例に係る精密研磨方法において、ネガ子型が、ポジ子型の擬微細突起が分散配置された面を下地面にしてめっきにより形成された平板状金属部材を有する場合、正確で耐久性のあるネガ子型を効率的かつ安価に作製することができる。そして、ネガ子型が固定される基盤が平板である場合、大型の研磨パッドの製造が可能な研磨パッド成形金型を容易かつ安価に製造することができる。
【0036】
参考例に係る精密研磨方法において、ネガ子型が、ポジ子型の擬微細突起が分散配置された面を半径方向内側にして円弧状に湾曲させ、擬微細突起が分散配置された面を下地面にしてめっきにより形成された円弧状金属部材を有する場合、正確で耐久性のあるネガ子型を効率的かつ安価に作製することができる。そして、ネガ子型が固定される基盤が、円弧状金属部材の半径方向内側の曲率と同一の曲率を有するロールである場合、所望の幅を有する長尺(帯状)の研磨パッドの製造が可能な研磨パッド成形金型を容易かつ安価に製造することができる
【0037】
本発明に係る精密研磨方法において、研磨スラリーが、アルカリ水溶液に、水酸化フラーレンが0.001~10質量%、コロイダルシリカが1~40質量%分散したものである場合、被研磨面がアルカリ水溶液と反応して形成される水酸化物表層とコロイダルシリカとの反応が水酸化フラーレンにより促進される効果と、水酸化物表層とコロイダルシリカとの反応で形成される反応層が水酸化フラーレンにより機械的に除去される効果が重なり合って、被研磨面の研磨レートを向上させることができる。
【0038】
本発明に係る精密研磨方法において、研磨スラリーが、アルカリ水溶液中に、粒径が1~1000nmの水酸化フラーレン会合体が0.001~10質量%、コロイダルシリカが1~40質量%分散したものである場合、被研磨面がアルカリ水溶液と反応して形成される水酸化物表層とコロイダルシリカとの反応で形成される反応層の機械的除去が、水酸化フラーレン会合体により効率的に行われるため、被研磨面の研磨レートを向上させることができる。
【0039】
本発明に係る精密研磨方法において、研磨スラリーが、水中に、水酸化フラーレンが0.001~10質量%分散したものである場合、水酸化フラーレンの粒径は1nm前後であるため、研磨加工により表面平坦度の優れた表面を得ることができる。
【0040】
本発明に係る精密研磨方法において、研磨スラリーが、水中に、粒径が1~1000nmの水酸化フラーレン会合体が0.001~10質量%分散したものである場合、被研磨面の表層の機械的除去を、スクラッチの発生を防止しながら効率的に行うことができる。
【0041】
本発明に係る精密研磨方法において、研磨スラリーが、被研磨面からの材料の化学的溶去作用を生じさせる研磨補助剤を含有している場合、研磨レートを更に向上させることができる。
【0042】
本発明に係る精密研磨方法において、研磨補助剤が、被研磨面を酸化させる酸化剤と、酸化剤による被研磨面の酸化進行を調節する酸化抑制剤と、被研磨面に形成された酸化物を錯イオンとして研磨スラリー中へ溶解させるキレート剤とを有している場合、被加工物の表面における酸化物の生成量と酸化物の機械的除去量をバランスさせることにより、表面清浄に優れた研磨面を得ることができる。そして、被加工物の表面から除去された酸化物は、錯イオンとして研磨スラリー中へ溶解するので、使用済みの研磨スラリーから、水酸化フラーレン及び水酸化フラーレン会合体の回収が容易にでき、水酸化フラーレン及び水酸化フラーレン会合体を再利用することが容易にできる。
【0043】
本発明に係る精密研磨方法において、被加工物がサファイア及びSiC、金属、Si、SiO、GaN、ダイヤモンド、サファイア、又はSiCのいずれか1である場合、半導体基板、絶縁基板、配線等の平坦性が高度に要求される部材の平坦加工を安定して、かつ、効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態に係る精密研磨方法の説明図である。
【図2】(A)は同精密研磨方法で使用する研磨パッドの平面図、(B)は研磨パッドに形成された微細突起の斜視図である。
【図3】同精密研磨方法で使用する研磨パッド成形金型及び第参考例に係る研磨パッド成形金型で製造する研磨パッドの説明図である。
【図4】(A)~(C)は研磨パッド成形金型の製造方法におけるネガ型作製工程の説明図である。
【図5】(A)~(C)は同研磨パッド成形金型の製造方法におけるポジ型作製工程の説明図である。
【図6】研磨パッドを用いた研磨時の状況を示す説明図である。
【図7】第1の変形例、第2の参考例に係る研磨パッド成形金型で製造した研磨パッドの説明図である。
【図8】(A)~(C)は第1の変形例に係る研磨パッド成形金型の製造方法におけるネガ型作製工程の説明図である。
【図9】(A)、(B)は第、第参考例に係る研磨パッド成形金型の製造方法における親型作製工程の説明図である。
【図10】(A)~(C)は第参考例に係る研磨パッド成形金型の製造方法におけるポジ子型作製工程、ネガ子型作製工程、組立て工程の説明図である。
【図11】(A)~(C)は第参考例に係る研磨パッド成形金型の製造方法におけるポジ子型作製工程、ネガ子型作製工程、組立て工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
本発明の一実施の形態に係る精密研磨方法は、図1に示すように、研磨パッド10を上面に取付けた研磨定盤11を研磨パッド10の中心を回転中心として回転させ、研磨パッド10の表面に、例えば、pHを12に調節した水酸化カリウム水溶液(アルカリ水溶液の一例)に、水酸化フラーレンが0.001~10質量%、コロイダルシリカが1~40質量%分散した研磨スラリー12を滴下しながら、ホルダー13に固定したサファイア14(被加工物の一例)の被研磨面を研磨パッド10の表面に押圧して被研磨面の研磨を行う方法である。なお、符号12aは、研磨スラリー12の供給ノズルである。ここで、研磨パッド10の表面(研磨加工時にサファイア14の被研磨面に接触する側)には図2(A)、(B)に示すように、高さHが0.1~20μmの微細突起の一例である正四角錐状微細突起15(底面の一辺の長さLが0.1~30μm、斜面角度θ30~80度)が、隣り合う正四角錐状微細突起15の頂部の間隔Dを1.1~60μm、隣り合う正四角錐状微細突起15の底部間の間隔Gを1~50μmとして分散配置されたマイクロパターンを形成している。なお、研磨パッド10、研磨定盤11、ホルダー13及び供給ノズル12aを有して研磨機が構成される。以下、詳細に説明する。

【0046】
図3、図4(A)~(C)に示すように、研磨パッド10は、正四角錐状微細突起15と同一寸法である正四角錐状の擬微細突起16が正四角錐状微細突起15の配置に合わせて分散配置されたポジ型17を用いて作製したネガ型18を、ネガ型18の、擬微細突起16と同一寸法で凹凸関係が反転した微細凹部の一例である正四角錐状微細凹部19が分散配置された側を表側にして、ネガ型18の側部同士を当接させながら基盤の一例である平板からなる上型本体20上に並べて形成したパターン成形部21を備えた上型22を有する研磨パッド成形金型23を用いて製造する。

【0047】
即ち、研磨パッド10は、研磨パッド10の素材となる塑性加工可能な平板(例えば、熱可塑性樹脂の一例であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)板を加熱して軟化状態にしたもの)を下型24に載置して支持した状態で、上型22を上方から下降させて加圧することにより、平板の上面側にマイクロパターンを形成することにより製造する。従って、ネガ型18には、底部の深さKが0.1~20μmの正四角錐状微細凹部19が、隣り合う正四角錐状微細凹部19の底部の間隔Eを1.1~60μmとして並べて配置して構成される反転マイクロパターン(マイクロパターンに対して凹凸関係が反転したパターン)が形成されている。また、ネガ型18(パターン成形部21)の表面側(上型22の下面側)に並んで存在している正四角錐状微細凹部19の開口25の1辺の長さMは0.1~30μm、開口25の間隔Jは1~50μmである。

【0048】
以上の構成とすることにより、下型24上に載置された軟化状態の平板に、上方から上型22を押し当てると、平板を構成している素材の一部が、反転マイクロパターンを構成する各正四角錐状微細凹部19の開口25から正四角錐状微細凹部19内に進入するので、正四角錐状微細凹部19内を平板を構成している素材の一部で満たした後、上型22を上方に移動させて平板から離すと、平板の上表面側には正四角錐状微細凹部19内に進入した素材から形成された正四角錐状微細突起15が並べて配置されることになり、マイクロパターンが形成される。そして、マイクロパターンが形成された平板を冷却して硬化状態にすることで研磨パッド10が得られる。なお、平板に上型22を押し当てた際に、下型24の上面と上型22の下面との距離を一定にすることで、各正四角錐状微細突起15の頂部と研磨パッド10の下面との間の距離を一定値(研磨パッド10の厚みを均一)にすることができると共に、各正四角錐状微細突起15の頂部に接する平面を研磨パッド10の下面に対して平行にすることができる。

【0049】
次に、研磨パッド成形金型23の製造方法について説明する。
研磨パッド成形金型23の製造方法は、図5(A)に示すように、基板の一例であるシリコン平板26の一方の表面側に、反応促進用エネルギー線の一例である紫外線の照射により化学反応を起こす材料、例えば紫外線硬化型樹脂を用いて正四角錐状微細突起15の高さに相当する厚さの被加工層27を形成し、図5(B)に示すように、被加工層27内の位置に応じて照射する紫外線の照射エネルギー量を変化させて、被加工層27内に化学反応により正四角錐状微細突起15と同一寸法の微細反応凸部28を、正四角錐状微細突起15の配置に合わせて生成させた後、図5(C)に示すように、被加工層27から非化学反応領域29を除去して、シリコン平板26の一方の表面側に、微細反応凸部28からなる擬微細突起16が分散配置されたポジ型17を作製するポジ型作製工程を有している。

【0050】
更に、研磨パッド成形金型23の製造方法は、図4(A)~(C)に示すように、ポジ型17に分散配置された正四角錐状の擬微細突起16を転写して、擬微細突起16に対応する位置に、擬微細突起16と同一寸法で凹凸関係が反転した正四角錐状微細凹部19が分散配置されたネガ型18を作製するネガ型作製工程と、ネガ型18を、正四角錐状微細凹部19が分散配置された側を表側にして、ネガ型18の側部同士を当接させながら上型本体20(例えば、ステンレス鋼板、普通鋼板、鋳鉄板等)上に並べて固定して研磨パッド成形金型23の上型22を構成する組立て工程とを有している。

【0051】
図5(A)に示すシリコン平板26上に形成した被加工層27内の位置に応じて照射する紫外線の照射エネルギー量を変化させて、被加工層27内に微細反応凸部28を生成させる場合、図示しない紫外線源(例えば、紫外線領域の光を発生するレーザ光発生装置)から発生させた紫外線ビーム30を、図5(B)に示すDMD(デジタルミラーデバイス)31で反射して被加工層27内の目的とする位置に照射することにより行う。即ち、DMD31には、任意方向に反射面を傾斜させることが可能なマイクロミラー32が平面上に並べて配置されているので、各マイクロミラー32毎に反射面の傾斜角度を調節することで、紫外線ビーム30を構成している一部の紫外線を、複数のマイクロミラー32で反射させて被加工層27内の複数の所定位置をそれぞれ焦点として同時に入射させることができると共に、紫外線ビーム30を構成している残部の紫外線を、他のマイクロミラー32を用いて被加工層27の外部に向けて反射することができる。そして、紫外線の照射時間を調節することで(レーザ光発生装置でのレーザショット数を変えることで)、被加工層27内の所定位置に応じて照射する紫外線の照射エネルギー量を変化させることができる。

【0052】
これにより、被加工層27内に微細反応凸部28を、マイクロパターンにおける正四角錐状微細突起15の配置に合わせて、短時間、かつ高い加工精度(例えば、位置決めと寸法の各精度が0.01~1μm)で形成することができる。その結果、図5(B)に示すように、被加工層27は、シリコン平板26上に固着された複数の微細反応凸部28と、微細反応凸部28間に存在する非化学反応領域29とで構成されることになる。そして、非化学反応領域29を、薬品(例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシ溶液)、KOH(水酸化カリウム溶液)、EDP(エチレンジアミン・ピロカテコール溶液)等)に溶解させて除去することにより、図5(C)に示すように、シリコン平板26の一方の表面側に正四角錐状の擬微細突起16が分散配置されたポジ型17が得られる(以上、ポジ型作製工程)。

【0053】
ポジ型17を用いたネガ型18の作製は、先ず、図4(A)に示すように、ポジ型17の擬微細突起16が形成された表層上に金属からなる電極層33を、PVD(例えば、蒸着)により、例えば、厚さが0.01~1μmとなるように形成し、次いで、図4(B)に示すように、ポジ型17に形成された電極層33の表面を下地面にして、電気めっきにより平板状金属部材34を所定厚み(例えば、0.1~5mm)に形成する。ここで、電極層33を構成する金属は、ネガ型18を構成する平板状金属部材34との接着性が良好であることが必要である。例えば、紫外線硬化型樹脂としてアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を使用した場合、電極層33は、例えば、ニッケル、金、銀、銅等で形成することが好ましく、平板状金属部材34は、例えば、ニッケル、コバルト、コバルト-ニッケル合金、ニッケル-リン合金等を使用して形成する。

【0054】
そして、ネガ型18をポジ型17から分離した後、平板状金属部材34の表面(電極層33の反対側の面)側を研磨してネガ型18の厚みを調節する。ここで、ポジ型17上に形成する電極層33には、ポジ型17の擬微細突起16が転写されるので、ネガ型18には、擬微細突起16(正四角錐状微細突起15)と凹凸関係が反転した形状となって、底部の深さKが0.1~20μm、開口25の1辺の長さMが0.1~30μm、開口25の間隔Jが1~50μmの正四角錐状微細凹部19が、隣り合う正四角錐状微細凹部19の底部の間隔Eを1.1~60μmとして並べて配置されている(以上、ネガ型作製工程)。

【0055】
図4(C)に示すように、ネガ型18から上型22を構成する場合、ネガ型18を、正四角錐状微細凹部19が形成された面を表側にして、ネガ型18の側部同士を当接させながら上型本体20の下面上に並べて固定する。ここで、上型本体20にネガ型18を密接させて配置する場合、隣り合うネガ型18の境界を挟んで、隣り合う正四角錐状微細凹部19の底部の間隔E´が、ネガ型18内の隣り合う正四角錐状微細凹部19の底部の間隔Eと同値となるように調整する。これによって、隣り合うネガ型18間で、正四角錐状微細凹部19の分散配置の連続性を確保できる(以上、組立て工程)。

【0056】
続いて、研磨パッド成形金型23を用いて作製した研磨パッド10の作用について説明する。
研磨パッド10は、塑性加工可能な平板を、上型22及び下型24を用いて上下方向から挟んで加圧成形により製造されるので、高い平坦性を備えている。また、研磨パッド10の一面側には、頂部の高さHが0.1~20μm、底面の1辺の長さLが0.1~30μmの正四角錐状微細突起15(斜面角度θ30~80度)が、隣り合う正四角錐状微細突起15の頂部の間隔Dを1.1~60μm、隣り合う正四角錐状微細突起15の底面間の間隔Gを1~50μmとして並べて配置されている。このため、従来のように、研磨パッド用の素材から研磨パッドの母材となる平板を切り出し、熟練を要するドレッシング(研磨パッドの平坦性の確保と微細凹凸パターンの形成)を行うという一連の作業が不要になる。その結果、サファイア14の平坦加工を迅速に行うことができると共に、研磨パッド10の研磨性能を常に一定に保つことができる。

【0057】
そして、研磨パッド10を用いてサファイア14の平坦加工を行う場合、図6に示すように、研磨パッド10は、サファイア14の被研磨面に研磨パッド10に形成された正四角錐状微細突起15の頂部を介して接触することになって、正四角錐状微細突起15の間の隙間に存在する研磨スラリー12を、サファイア14の被研磨面に効率的に接触させることができる。更に、研磨スラリー12を研磨中に連続的に供給すると、供給された研磨スラリー12は正四角錐状微細突起15の隙間を通過していくため、サファイア14の被研磨面に常に新鮮な研磨スラリー12を接触させることができると共に、研磨時に発生した削りかすを研磨スラリー12の流れに混入させて除去することができる。なお、研磨パッド10を形成している素材には気孔は存在しないので、削りかすが研磨パッド10内に入り込むことが防止できる。その結果、研磨レートを高位に維持しながら、サファイア14に高精密な平坦加工を安定して効率的に行うことが可能になる。

【0058】
以上、研磨パッド10の表面に、pH12の水酸化カリウム水溶液中に水酸化フラーレンを0.001~10質量%、コロイダルシリカを1~40質量%それぞれ分散させて調製した研磨スラリー12を滴下しながら、サファイア14の被研磨面を研磨パッド10の表面に押圧して被研磨面の研磨を行う場合を説明したが、研磨スラリーとして、pH12の水酸化カリウム水溶液中に、粒径が1~1000nmの水酸化フラーレン会合体を0.001~10質量%、コロイダルシリカを1~40質量%それぞれ分散させたものを使用することもできる。水酸化フラーレン会合体を使用することにより、サファイア14の被研磨面の表層の機械的除去速度を、水酸化フラーレンを使用する場合と比較して向上させることができる。

【0059】
また、シリコンウエハ等の基板や基板上の配線等の被加工物の研磨を、研磨パッド10の表面に、純水中に水酸化フラーレンを0.001~10質量%分散させて作製した研磨スラリー、又は純水中に、粒径が1~1000nmの水酸化フラーレン会合体を0.001~10質量%分散させて作製した研磨スラリーを滴下しながら、被加工物の被研磨面を研磨パッド10の表面に押圧することにより行うことができる。研磨剤として水酸化フラーレンを使用すると、水酸化フラーレンの粒径は1nm前後であるため、研磨加工により表面平坦度の優れた表面を得ることができる。一方、研磨剤として水酸化フラーレン会合体を使用すると、スクラッチの発生を防止しながら被研磨面の表層の機械的除去を、研磨剤に水酸化フラーレンを使用する場合と比較して、効率的に行うことができる。

【0060】
そして、研磨スラリー中に、被研磨面表層に対して化学的溶去作用を生じさせる研磨補助剤を加えてもよい。これによって、研磨レートを更に向上させることができる。
ここで、被加工物が基板上の配線等の金属である場合、研磨補助剤は、被研磨面(金属表面)を酸化させる酸化剤(例えば、過酸化水素水又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ剤)と、酸化剤による被研磨面の酸化進行を調節する酸化抑制剤(例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールアンモニウム塩又はキナルジン酸)と、被研磨面に形成された酸化物を錯イオンとして研磨スラリー中へ溶解させるキレート剤(例えば、マロン酸、クエン酸、リン酸、硝酸、リンゴ酸、又はこれらのアンモニウム塩)で構成することができる。これによって、金属表面における酸化物の生成量と酸化物の機械的除去量をバランスさせることができ、表面清浄に優れた研磨面を得ることができる。そして、金属表面から除去された酸化物は、錯イオンとして研磨スラリー中へ溶解するので、使用済みの研磨スラリーから、水酸化フラーレン及び水酸化フラーレン会合体の回収が容易にできる。その結果、水酸化フラーレン及び水酸化フラーレン会合体を再利用することが容易にできる。

【0061】
続いて、本発明の精密研磨方法で用いる研磨パッドを成形する研磨パッド成形金型の製造方法の変形例について説明する。
第1の変形例に係る研磨パッド成形金型35の製造方法は、図7に示すように、複数の研磨パッド36が縦横に連接した帯状研磨パッド37を成形する金型の製造方法であって、帯状研磨パッド37の素材となる塑性加工可能な帯板38(例えば、熱可塑性樹脂の一例であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)帯板を加熱して軟化状態にしたもの)を上、下ロール39、40を介して上下方向から挟んで加圧し、例えば、帯板38の上面側に正四角錐状微細突起15が分散配置されたマイクロパターンを塑性加工により形成する金型の製造方法である。

【0062】
研磨パッド成形金型35の製造方法は、図8(A)に示すように、基板の一例である可撓性を有する平板41(例えば、シリコーン樹脂製平板、アクリル樹脂製平板、ガラス製平板等)の一方の表面側に、紫外線硬化型樹脂で形成され、正四角錐状微細突起15と同一寸法の擬微細突起42を、マイクロパターンを形成している正四角錐状微細突起15の配置に合わせて形成した後、擬微細突起42が形成された面を半径方向内側にして円弧状に湾曲させてポジ型43を作製するポジ型作製工程を有している。ここで、擬微細突起42の形成方法は、擬微細突起16の形成方法と同一である。

【0063】
更に、研磨パッド成形金型35の製造方法は、図8(B)、(C)に示すように、ポジ型43の擬微細突起42を転写して、擬微細突起42に対応する位置に、擬微細突起42と同一寸法で凹凸関係が反転した微細凹部の一例である正四角錐状微細凹部44が分散配置されたネガ型45を作製するネガ型作製工程と、ネガ型45を、正四角錐状微細凹部44が形成された面を表側にして、ネガ型45の側部同士を当接させながら基盤の一例であるロール本体46(例えば、ステンレス鋼製ロール、普通鋼製ロール、鋳鉄製ロール等のロール)上に並べて固定して研磨パッド成形金型35の上ロール39を構成する組立て工程とを有している。

【0064】
ポジ型43を用いたネガ型45の作製は、先ず、図8(A)に示すように、ポジ型43の擬微細突起42が形成された表層上に金属からなる電極層47を、PVD(例えば、蒸着)により形成し、次いで、図8(B)に示すように、ポジ型43に形成された電極層47の表面を下地面にして、電気めっきにより円弧状金属部材48を所定厚み(例えば、0.1~5mm)に形成する。ここで、電極層47を構成する金属は、擬微細突起42を形成している紫外線硬化型樹脂との接着強度が低く、円弧状金属部材48との接着性が良好で、高硬度かつ耐摩耗性に優れた金属であることが必要である。例えば、紫外線硬化型樹脂としてアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等を使用した場合、電極層47は、例えば、ニッケル、金、銀、銅等で形成することが好ましく、円弧状金属部材48は、例えば、ニッケル、コバルト、コバルト-ニッケル合金、ニッケル-リン合金等を使用して形成する。なお、ロール本体46の曲率は、円弧状金属部材48の半径方向内側の曲率と同一である。

【0065】
そして、ネガ型45をポジ型43から分離した後、円弧状金属部材48の表面(電極層47の反対側の面)側を研磨してネガ型45の厚みを調節する。ここで、ポジ型43上に形成する電極層47には、ポジ型43の擬微細突起42が転写されるので、ネガ型45には、擬微細突起42(正四角錐状微細突起15)と凹凸関係が反転した形状となって、底部の深さKが0.1~20μm、開口49の1辺の長さMが0.1~30μm、開口49の間隔Jが1~50μmの正四角錐状微細凹部44が、隣り合う正四角錐状微細凹部44の底部の間隔Eを1.1~60μmとして並べて配置されている。

【0066】
そして、図8(C)に示すように、ネガ型45から上ロール39を構成する場合、ネガ型45を、正四角錐状微細凹部44が形成された表層を上にして、ネガ型45の側部同士を当接させながらロール本体46の外周部に並べて固定する。ここで、ロール本体46にネガ型45を密接させて配置する場合、隣り合うネガ型45の境界を挟んで、隣り合う正四角錐状微細凹部44の底部の間隔E´が、ネガ型45内の隣り合う正四角錐状微細凹部44の底部の間隔Eと同値となるように調整する。これによって、隣り合うネガ型45間で、正四角錐状微細凹部44の分散配置の連続性を確保できる(以上、組立て工程)。
ここで、ロール本体46にネガ型45を密接させて配置する場合、隣り合うネガ型45の境界を挟んで、隣り合う正四角錐状微細凹部44の底部の間隔E´が、ネガ型45内の隣り合う正四角錐状微細凹部44の底部の間隔Eと同値となるように調整する。これによって、隣り合うネガ型45間で、正四角錐状微細凹部44の分散配置の連続性を確保できる。

【0067】
参考例に係る研磨パッド成形金型50(図3参照)の製造方法は、図9(A)、(B)に示すように、単結晶の基板、例えば、[100]方向に成長した単結晶シリコンのロッドから(100)面を切り出し面として切り出したシリコン平板51の一方側に分散配置された各正四角錐状微細突起15の底面に対応する領域に、底面と同一サイズの正方形状の孔52が形成されたレジストマスク53を設け、レジストマスク53を介して、シリコン平板51の結晶面毎に決まる除去加工速度の差を利用したエッチングを行って、正四角錐状微細突起15と凹凸関係が反転し、底部の深さが0.1~20μmのエッチピットからなる正四角錐状の第1の微細凹部54(斜面角度φが30~80度)が、隣り合う第1の微細凹部54の底部の間隔Eを1.1~60μm、第1の微細凹部54の開口55の1辺の長さMを0.1~30μm、開口55の間隔Jを1~50μmとして並んで、第1の微細凹部54が形成された親型56を作製する親型作製工程を有している。

【0068】
また、研磨パッド成形金型50の製造方法は、図10(A)~(C)に示すように、親型56を用いて成形され、第1の微細凹部54が転写された擬微細突起57が一方の表層に形成された平板状の樹脂部材からなるポジ子型58を作製するポジ子型作製工程を有している。更に、研磨パッド成形金型50の製造方法は、ポジ子型58の擬微細突起57が形成された表層上にめっきにより形成され、擬微細突起57と凹凸関係が反転した正四角錐状の第2の微細凹部59が分散配置された平板状金属部材の一例であるめっき金属部60(例えば、ニッケル、コバルト、コバルト-ニッケル合金、コバルト-リン合金等)を有するネガ子型61を作製するネガ子型作製工程と、ネガ子型61を、第2の微細凹部59が形成された表層を上にしてネガ子型61の側部同士を当接させながら基盤の一例である平板からなる上型本体62上に並べて固定して研磨パッド成形金型50の上型63を構成する組立て工程とを有している。以下、詳細に説明する。

【0069】
(1)親型作製工程
図9(A)に示すように、切り出したシリコン平板51の一方の(100)面上に、レジスト層(例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等)を形成し、リソグラフィ技術を用いて孔52を形成することによりレジストマスク53を形成する。なお、シリコン平板51の他方の(100)面上及び側部にもレジスト層を形成する。次いで、シリコン平板51の一方の(100)面に、レジストマスク53を介してエッチング液を接触させる。なお、エッチング液には、例えば、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等を使用する。エッチング液は、レジストマスク53の孔52から露出するシリコン平板51の露出部に接触し、露出部ではエッチング液との反応により形成された水酸化シリコンがエッチング液に溶解することによりエッチングが進行し、エッチピットが形成される。

【0070】
ここで、シリコン平板51の(100)面のエッチングを行う場合、シリコン原子が細密充填している(111)のエッチング速度が一番遅いため、エッチングは(111)のエッチング速度に律速されながら進行する。このため、形成されるエッチピットの形状は、底部の1辺の長さが正方形状の孔52の1辺の長さと同値で、斜面が(111)面からなる正四角錐状となる。そして、所定時間エッチングを行った後、シリコン平板51からエッチング液を除去し、シリコン平板51を洗浄することにより、シリコン平板51の一方の(100)面上に正四角錐状微細突起15と凹凸関係が反転した第1の微細凹部54を分散配置することができる。次いで、レジストマスク53を薬品(例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシ溶液)、KOH(水酸化カリウム溶液)、EDP(エチレンジアミン・ピロカテコール溶液)等)に溶解させて除去することにより、図9(B)に示すように、親型56が得られる。

【0071】
(2)ポジ子型作製工程
図10(A)に示すように、親型56を用いて平板状の樹脂部材からポジ子型58を作製する際、樹脂部材として熱可塑性樹脂(例えば、シリコーン、フッ素樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等)を使用する場合は、軟化状態となる温度まで加熱した平板状の樹脂部材を図示しない成形台に上に載置し、親型56を上方から押し当てる。これにより、平板状の樹脂部材の一部が、第1の微細凹部54の開口55から第1の微細凹部54内に進入するので、第1の微細凹部54内を樹脂部材の一部で満たした後、親型56を上方に移動させて樹脂部材から離すと、樹脂部材の上表面側には第1の微細凹部54内に進入した樹脂部材から形成され、第1の微細凹部54と凹凸関係が反転した擬微細突起57(従って、正四角錐状微細突起15と同一形状)が並べて配置されたポジ子型58が形成される。

【0072】
また、樹脂部材として硬化型樹脂(例えば、シリコーン、フッ素系樹脂)、光硬化型樹脂(例えば、紫外線の照射で硬化するアクリル系樹脂)を使用する場合は、親型56を用いて鋳型(図示せず)を構成し、鋳型内に樹脂部材を注入して、樹脂部材の一部を第1の微細凹部54の開口55から第1の微細凹部54内に進入させ、樹脂部材を硬化させた後、鋳型から樹脂部材を取り出すと、樹脂部材の上表面側には第1の微細凹部54内に進入した樹脂部材から形成された擬微細突起57が並べて配置されることになりポジ子型58が形成される。

【0073】
(3)ネガ子型作製工程
図10(B)に示すように、ポジ子型58からネガ子型61を作製する場合、先ず、ポジ子型58の擬微細突起57が形成された表層上に金属からなる電極層64を、PVD(例えば、蒸着)により形成する。ここで、電極層64を構成する金属は、ネガ子型61を構成するめっき金属部60との接着性が良好であることが必要で、例えば、ニッケル、金、銀、銅等を使用することができる。次いで、電極層64の表面を下地面として電極層64の上に、電気めっきにより厚さが、例えば、0.1~5mmのめっき金属部60を形成することにより、ネガ子型61が得られる。

【0074】
そして、ネガ子型61をポジ子型58から分離した後、めっき金属部60の表面(電極層64の反対側の面)側を研磨してネガ子型61の厚みを調節する。ここで、ポジ子型58上に形成する電極層64には、ポジ子型58の擬微細突起57が転写されるので、ネガ子型61には、擬微細突起57(正四角錐状微細突起15)と凹凸関係が反転した形状となって、底部の深さKが0.1~20μm、開口55の1辺の長さMが0.1~30μm、開口55の間隔Jが1~50μmの第2の微細凹部59が、隣り合う第2の微細凹部59の底部の間隔Eを1.1~60μmとして並べて配置される。

【0075】
(4)組立て工程
図10(C)に示すように、ネガ子型61から上型63(図3参照)を構成する場合、ネガ子型61を、第2の微細凹部59が形成された表層を上にして、ネガ子型61の側部同士を当接させながら上型本体62の下面上に並べて固定する。ここで、上型本体62にネガ子型61を密接させて配置する場合、隣り合うネガ子型61の境界を挟んで、隣り合う第2の微細凹部59の底部の間隔E´が、ネガ子型61内の隣り合う第2の微細凹部59の底部の間隔Eと同値となるように調整する。これによって、隣り合うネガ子型61間で、第2の微細凹部59の分散配置の連続性を確保できる。

【0076】
参考例に係る研磨パッド成形金型65(図7参照)の製造方法は、図9(A)、(B)に示すように、単結晶の基板、例えば、[100]方向に成長した単結晶シリコンのロッドから(100)面を切り出し面として切り出したシリコン平板66の一方側に分散配置された各正四角錐状微細突起15の底面に対応する領域に、底面と同一サイズの正方形状の孔67が形成されたレジストマスク68を設け、レジストマスク68を介して、シリコン平板66の結晶面毎に決まる除去加工速度の差を利用したエッチングを行って、正四角錐状微細突起15と凹凸関係が反転し、底部の深さが0.1~20μmのエッチピットからなる正四角錐状の第1の微細凹部69(斜面角度φが30~80度)が、隣り合う第1の微細凹部69の底部の間隔Eを1.1~60μm、第1の微細凹部69の開口70の1辺の長さMを0.1~30μm、開口70の間隔Jを1~50μmとして並んで、第1の微細凹部69が形成された親型71を作製する親型作製工程を有している。

【0077】
更に、研磨パッド成形金型65の製造方法は、図11(A)~(C)に示すように、親型71を用いて成形された第1の微細凹部69が転写された擬微細突起72が一方の表層に形成された平板状の樹脂部材からなるポジ子型73を作製するポジ子型作製工程と、得られたポジ子型73を、擬微細突起72が形成された表層側を半径方向内側にして湾曲させて半径方向内側の表層上にめっきにより形成され、擬微細突起72と凹凸関係が反転した第2の微細凹部74が表層に形成された円弧状金属部材75(例えば、ニッケル、コバルト、コバルト-ニッケル合金、ニッケル-リン合金等)を有するネガ子型76を作製するネガ子型作製工程と、ネガ子型76を、第2の微細凹部74が形成された表層を上にしてネガ子型76の側部同士を当接させながら基盤の一例であるロール本体77(例えば、ステンレス鋼製ロール、普通鋼製ロール等のロール)上に並べて固定して研磨パッド成形金型65の上ロール78を構成する組立て工程とを有している。以下、詳細に説明する。

【0078】
(1)親型作製工程
図9(A)に示すように、切り出したシリコン平板66の一方の(100)面上に、レジスト層(例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等)を形成し、リソグラフィ技術を用いて孔67を形成することによりレジストマスク68を形成する。なお、シリコン平板66の他方の(100)面上及びシリコン平板66の側部にもレジスト層を形成する。次いで、シリコン平板66の一方の(100)面に、レジストマスク68を介してエッチング液を接触させる。なお、エッチング液には、例えば、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等を使用する。エッチング液は、レジストマスク68の孔67から露出するシリコン平板66の露出部に接触し、露出部ではエッチング液との反応により形成された水酸化シリコンがエッチング液に溶解することによりエッチングが進行し、エッチピットが形成される。

【0079】
ここで、シリコン平板66の(100)面のエッチングを行う場合、(111)のエッチング速度が一番遅いため、エッチングは(111)のエッチング速度に律速されながら進行する。このため、形成されるエッチピットの形状は、底部の1辺の長さが正方形状の孔67の1辺の長さと同値で、斜面が(111)面からなる正四角錐状となる。そして、所定時間エッチングを行った後、シリコン平板66からエッチング液を除去し、シリコン平板66を洗浄することにより、シリコン平板66の一方の(100)面上に正四角錐状微細突起15と凹凸関係が反転した第1の微細凹部69を分散させて形成することができる。次いで、レジストマスク68を有機溶剤(例えば、アセトン等)に溶解させて除去することにより、図9(B)に示すように、親型71が得られる。

【0080】
(2)ポジ子型作製工程
図11(A)に示すように、親型71を用いて平板状の樹脂部材からポジ子型73を作製する際、樹脂部材として熱可塑性樹脂(例えば、シリコーン、フッ素系樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等)を使用する場合は、軟化状態となる温度まで加熱した平板状の樹脂部材を図示しない成形台に上に載置し、親型71を上方から押し当てる。これにより、平板状の樹脂部材の一部が、第1の微細凹部69の開口70から第1の微細凹部69内に進入するので、第1の微細凹部69内を樹脂部材の一部で満たした後、親型71を上方に移動させて樹脂部材から離すと、樹脂部材の上表面側には第1の微細凹部69内に進入した樹脂部材から形成され、第1の微細凹部69と凹凸関係が反転した擬微細突起72(従って、正四角錐状微細突起15と同一形状)が並べて配置されるポジ子型73が形成される。

【0081】
また、樹脂部材として硬化型樹脂(有機溶剤中に溶解し有機溶剤の乾燥により硬化する樹脂(例えば、シリコーン、フッ素系樹脂)、光硬化型樹脂(例えば、紫外線の照射で硬化するアクリル系樹脂)を使用する場合は、親型71を用いて鋳型(図示せず)を構成し、鋳型内に樹脂部材を注入して、樹脂部材の一部を第1の微細凹部69の開口70から第1の微細凹部69内に進入させ、樹脂部材を硬化させた後、鋳型から樹脂部材を取り出すと、樹脂部材の上表面側には、第1の微細凹部69内に進入した樹脂部材から形成された擬微細突起72が並べて配置されることになり、ポジ子型73が形成される。

【0082】
(3)ネガ子型作製工程
図11(B)に示すように、ポジ子型73からネガ子型76を作製する場合、先ず、ポジ子型73の擬微細突起72が形成された表層側を半径方向内側にして円弧状に湾曲させ、表層上に金属からなる電極層79を、PVD(例えば、蒸着)により形成する。ここで、電極層79を構成する金属は、ネガ子型76を構成する円弧状金属部材75との接着性が良好であることが必要で、例えば、ニッケル、金、銀、銅等を使用することができる。次いで、電極層79を下地層として、電気めっきにより厚さが、例えば、0.1~5mmの円弧状金属部材75を形成することにより、ネガ子型76が得られる。

【0083】
そして、ネガ子型76をポジ子型73から分離した後、円弧状金属部材75の表面(電極層79の反対側の面)側を研磨してネガ子型76の厚みを調節する。ここで、ポジ子型73上に形成する電極層79には、ポジ子型73のマイクロパターンが転写されるので、ネガ子型76には、擬微細突起72(正四角錐状微細突起15)と凹凸関係が反転した形状となって、底部の深さKが0.1~20μm、開口70の1辺の長さMが0.1~30μm、開口70の間隔Jが1~50μmの第2の微細凹部74が、隣り合う第2の微細凹部74の底部の間隔Eを1.1~60μmとして並べて配置される。

【0084】
(4)組立て工程
図11(C)に示すように、ネガ子型76から上ロール78を構成する場合、ネガ子型76を、第2の微細凹部74が形成された表層を上にして、ネガ子型76の側部同士を当接させながらロール本体77の下面上に並べて固定する。ここで、ロール本体77の半径は、ネガ子型76(円弧状金属部材75)の半径方向内側の曲率と同一の曲率となるように調節されており、ロール本体77にネガ子型76を密接させて配置する場合、隣り合うネガ子型76の境界を挟んで、隣り合う第2の微細凹部74の底部の間隔E´が、ネガ子型76内の隣り合う第2の微細凹部74の底部の間隔Eと同値となるように調整する。これによって、隣り合うネガ子型76間で第2の微細凹部74の分散配置の連続性を確保できる。
【実施例】
【0085】
(実施例1)
pH12の水酸化カリウム水溶液に、水酸化フラーレンを0.1質量%、コロイダルシリカを15質量%を分散させた研磨スラリーを作製した。また、ポリエーテルエーテルケトン製で、高さ7μmの微細突起が、隣り合う微細突起の頂部の間隔を10μm、隣り合う微細突起の底部間の間隔を5μmとして分散配置されたマイクロパターンを有する研磨パッドを作製した。そして、作製した研磨パッドを研磨定盤に取付け(本発明の研磨機となる)、作製した研磨スラリーを用いて、サファイアの研磨を室温で行い、所定時間研磨後のサファイアの表面粗さRaを測定した。なお、サファイアを研磨パッドに押圧する圧力は13psi、研磨パッドの回転速度は60rpm、研磨パッドに滴下する研磨スラリーの供給速度は30ミリリットル/分である。
【実施例】
【0086】
(比較例1)
市販の研磨パッドを研磨定盤に取付け(市販の研磨機を使用)、実施例1で使用した研磨スラリーを用いて、サファイア(実施例1で使用したサファイアと同様の初期表面状態のもの)の研磨を実施例1と同一の研磨条件で行った。
その結果、本発明の研磨パッドを使用した場合、市販の研磨パッドと比較して、研磨レートの改善率が250%となった。なお、研磨後のサファイアの表面粗さRaは、いずれも0.8nmであった。従って、本発明の研磨パッドを使用した場合、研磨品質を同程度として、研磨レートを2.5倍にできることが確認できた。
【実施例】
【0087】
(実施例2)
pH12の水酸化カリウム水溶液に、粒径が10nmの水酸化フラーレン会合体を0.1質量%、コロイダルシリカを5質量%を分散させた研磨スラリーを作製した。また、ポリエーテルエーテルケトン製で、高さ7μmの微細突起が、隣り合う微細突起の頂部の間隔を10μm、隣り合う微細突起の底部間の間隔を5μmとして分散配置されたマイクロパターンを有する研磨パッドを作製した。そして、作製した研磨パッドを実施例1で使用した研磨定盤に取付け、作製した研磨スラリーを用いて、サファイア(実施例1で使用したサファイアと同様の初期表面状態のもの)の研磨を室温で行い、所定時間研磨後のサファイアの表面粗さRaを測定した。なお、サファイアを研磨パッドに押圧する圧力は13psi、研磨パッドの回転速度は60rpm、研磨パッドに滴下する研磨スラリーの供給速度は30ミリリットル/分である。
【実施例】
【0088】
(比較例2)
市販の研磨パッドを比較例1で使用した研磨定盤に取付け、実施例2で使用した研磨スラリーを用いて、サファイア(実施例2で使用したサファイアと同様の初期表面状態のもの)の研磨を実施例2と同一の研磨条件で行った。
その結果、本発明の研磨パッドを使用した場合、市販の研磨パッドと比較して、研磨レートの改善率が200%となった。なお、研磨後のサファイアの表面粗さRaは、いずれも0.8nmであった。従って、本発明の研磨パッドを使用した場合、研磨品質を同程度として、研磨レートを2倍にできることが確認できた。
【実施例】
【0089】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、被加工物としてサファイアを使用したが、サファイア及びSiC、金属、Si、SiO、GaN、ダイヤモンド、又はSiCを使用することもできる。
更に、本実施の形態とその他の実施の形態や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10:研磨パッド、11:研磨定盤、12:研磨スラリー、12a:供給ノズル、13:ホルダー、14:サファイア、15:正四角錐状微細突起、16:擬微細突起、17:ポジ型、18:ネガ型、19:正四角錐状微細凹部、20:上型本体、21:パターン成形部、22:上型、23:研磨パッド成形金型、24:下型、25:開口、26:シリコン平板、27:被加工層、28:微細反応凸部、29:非化学反応領域、30:紫外線ビーム、31:DMD、32:マイクロミラー、33:電極層、34:平板状金属部材、35:研磨パッド成形金型、36:研磨パッド、37:帯状研磨パッド、38:帯板、39:上ロール、40:下ロール、41:平板、42:擬微細突起、43:ポジ型、44:正四角錐状微細凹部、45:ネガ型、46:ロール本体、47:電極層、48:円弧状金属部材、49:開口、50:研磨パッド成形金型、51:シリコン平板、52:孔、53:レジストマスク、54:第1の微細凹部、55:開口、56:親型、57:擬微細突起、58:ポジ子型、59:第2の微細凹部、60:めっき金属部、61:ネガ子型、62:上型本体、63:上型、64:電極層、65:研磨パッド成形金型、66:シリコン平板、67:孔、68:レジストマスク、69:第1の微細凹部、70:開口、71:親型、72:擬微細突起、73:ポジ子型、74:第2の微細凹部、75:円弧状金属部材、76:ネガ子型、77:ロール本体、78:上ロール、79:電極層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10