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明細書 :新規鉄・亜鉛結合性制御因子と、その発現調節による植物の鉄欠乏耐性向上及び可食部への鉄・亜鉛蓄積の促進技術

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第5553324号 (P5553324)
登録日 平成26年6月6日(2014.6.6)
発行日 平成26年7月16日(2014.7.16)
発明の名称または考案の名称 新規鉄・亜鉛結合性制御因子と、その発現調節による植物の鉄欠乏耐性向上及び可食部への鉄・亜鉛蓄積の促進技術
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
A01H   5/00        (2006.01)
C12N  15/113       (2010.01)
C12N   5/10        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
A01H 5/00 A
C12N 15/00 G
C12N 5/00 103
請求項の数または発明の数 7
全頁数 27
出願番号 特願2013-554496 (P2013-554496)
出願日 平成25年7月19日(2013.7.19)
国際出願番号 PCT/JP2013/069628
優先権出願番号 2012166233
優先日 平成24年7月26日(2012.7.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年11月28日(2013.11.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 高範
【氏名】西澤 直子
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100094400、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 三義
【識別番号】100147267、【弁理士】、【氏名又は名称】大槻 真紀子
審査官 【審査官】渡邉 潤也
参考文献・文献 米国特許出願公開第2004/0123343(US,A1)
特開2005-185101(JP,A)
Yu,J.et al.,"Accession:CM000126 REGION: 31695449..31706033[gi:57015219],Definition:Oryza sativa (indica cultivar-group) chromosome 1, whole genome shotgun sequence",NCBI Entrez Nucleotide[online];17-DEC-2008 uploaded,NCBI,[retrieved on 24 January 2014],Retrieved from the Internet:<URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/CM000126>
小林 高範,他1名,植物の鉄欠乏応答メカニズム,血液フロンティア,2011年12月30日発行,2012,22(1),p.100-4
OZAWA K.et al.,Development of an Efficient Agrobacterium-Mediated Gene Targeting System for Rice and Analysis of Ri,Plant Cell Physiol.,2012 Feb 10,53(4),p.755-61
TERADA R.et al.,Gene Targeting by Homologous Recombination as a Biotechnological Tool for Rice Functional Genomics,Plant Physiology,2007 Jun,144(2),p.846-56
調査した分野 C12N 15/00-15/90
CAplus/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
PubMed
Thomson Innovation
要約 本発明により、石灰質土壌において通常の植物よりも優れた生育を示し、石灰質土壌及び優良土壌の双方において鉄及び亜鉛を多量に蓄積できる形質転換体及び遺伝子破壊株、並びに、これらを作出するために用いられる遺伝子、ベクター、タンパク質、抗体、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法・作出用組成物・作出用キット・育種方法が提供される。本発明のタンパク質は、以下の(a)~(c)のいずれか一つのアミノ酸配列からなり、かつ鉄・亜鉛結合性制御因子であることを特徴とする。(a)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列、(b)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列において、1~数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列、(c)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上であるアミノ酸配列。
特許請求の範囲 【請求項1】
植物からの抽出液に含まれる、以下の(a)~(c)のいずれか一つのアミノ酸配列からなり、かつ鉄・亜鉛結合性制御因子である、タンパク質を検出し、前記タンパク質の発現の有無に基づいて、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積を有する植物を選抜する工程を含むことを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法。
(a)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列において、1~数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列、或いは、
(c)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と同一性が0%以上であるアミノ酸配列
【請求項2】
植物からの抽出液に含まれる、以下の(a)~(c)のいずれか一つのアミノ酸配列からなり、かつ鉄・亜鉛結合性制御因子である、タンパク質をコードする遺伝子、或いは、以下の(d)~(g)のいずれか一つのDNAからなり、かつ鉄・亜鉛結合性制御因子であるタンパク質をコードする遺伝子を検出し、前記遺伝子の発現の有無に基づいて、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積を有する植物を選抜する工程を含むことを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法。
(a)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列において、1~数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列、或いは、
(c)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と同一性が0%以上であるアミノ酸配列、
(d)配列番号3又は4で表される塩基配列からなるDNA、
(e)配列番号3又は4で表される塩基配列において、1~数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなるDNA、
(f)配列番号3又は4で表される塩基配列と同一性が95%以上である塩基配列からなるDNA、或いは、
(g)配列番号3又は4で表される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなるDNA
【請求項3】
配列番号5で表されるRNAi誘導性核酸を発現可能であることを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物作出用ベクター。
【請求項4】
請求項3に記載の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物作出用ベクターを宿主に導入してなることを特徴とする形質転換体。
【請求項5】
請求項3に記載の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物作出用ベクターを植物に導入する工程を含むことを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法。
【請求項6】
請求項3に記載の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物作出用ベクターを備えていることを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物。
【請求項7】
請求項3に記載の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物作出用ベクターを備えていることを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用キット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の鉄欠乏耐性の向上及び可食部への鉄・亜鉛蓄積の促進に関するものである。詳細には、植物の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積を制御する働きを有するタンパク質、遺伝子、ベクター、形質転換体、遺伝子破壊株、抗体、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用キット、並びに、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法に関するものである。
本願は、2012年7月26日に、日本に出願された特願2012-166233号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
植物が成育し、炭素固定と物質生産を行うためには、鉄と亜鉛が必要である。植物は、土壌中の鉄及び亜鉛を吸収することにより、これらを利用する。
しかしながら、世界の土壌のおよそ30%を占めている石灰質アルカリ土壌では、可溶化した鉄及び亜鉛が少なく、中でも可溶化した鉄が極めて少ない。よって、石灰質アルカリ土壌での植物の生育において、鉄欠乏が主要な制限要因となっている。
そのため、石灰質アルカリ土壌をはじめとする不良土壌においても良好に生育する植物の取得が急務である。
【0003】
また、土壌から鉄及び亜鉛を吸収した植物は、ヒトの主要なミネラル供給源である。鉄欠乏症及び亜鉛欠乏症は、世界中の人々、特に子供や女性にとって深刻な問題となっているため、可食部に多くの鉄及び亜鉛を含む植物の取得が望まれている。
【0004】
近年、鉄及び亜鉛(特に鉄)の吸収と利用に関与する遺伝子の同定及び解析が進んでいる。その遺伝子を改変して植物に導入することにより、鉄及び亜鉛の欠乏耐性が向上した植物、又は、可食部に多くの鉄及び亜鉛を蓄積する植物が取得されている(例えば、非特許文献1~11参照)。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Takahashi, M., et. al., Nature Biotech., (2001) vol.19, pp.466-469.
【非特許文献2】Ishimaru, Y., et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (2007) vol.104, pp.7373-7378.
【非特許文献3】Suzuki, M., et. al., Soil Sci. Plant Nutr., (2008) vol.54, pp.77-85.
【非特許文献4】Ogo, Y., et. al., Plant Mol. Biol., (2011) vol.75, pp.593-605.
【非特許文献5】Goto, F., et .al., Nature Biotech., (1999) vol.17, pp.282-286.
【非特許文献6】Uauy, C., et. al., Science, (2006) vol.314, pp.1298-1301.
【非特許文献7】Masuda, H., et. al., Rice, (2008) vol.1, pp.100-108.
【非特許文献8】Masuda, H., et. al., Rice, (2009) vol.2, pp.155-166.
【非特許文献9】Lee, S., et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (2009) vol.106, pp.22014-22019.
【非特許文献10】Wirth, J., et .al., Plant Biotech. J., (2009) vol.7, pp.1-14.
【非特許文献11】Ishimaru, Y., et .al., Plant J., (2010) vol.62, pp.379-390.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、石灰質土壌において、優良土壌における生育と同程度かそれ以上の生育を示す植物は取得されていない。また、石灰質土壌及び優良土壌の双方において、鉄及び/又は亜鉛を多量に(例えば、従来の2倍量以上)蓄積できる植物は取得されていない。
従って、このような性質を有する植物を取得するという点では未だ改良の余地があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、石灰質土壌において、通常の植物よりも優れた生育を示し、石灰質土壌及び優良土壌の双方において、鉄及び亜鉛を可食部に多量に蓄積できる形質転換体及び遺伝子破壊株、並びに、これらを作出するために用いられる遺伝子、ベクター、タンパク質、抗体、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用キット、並びに、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法を提供する。可食部とは、例えば植物の種子、地上部、茎葉、根などが挙げられるが、食用、飼料用として可食である部分であれば、必ずしもこれらの部分に限定されない。なお前記植物が稲である場合、種子に相当する部分として玄米や、これを精米した胚芽米、分づき米、白米などが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、植物の鉄欠乏応答を抑制する働きを有するタンパク質を見出した。そのタンパク質をコードする遺伝子の発現を抑制した植物を作出することにより、植物の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積を向上できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の特徴を有するタンパク質、遺伝子、ベクター、形質転換体、遺伝子破壊株、抗体、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用キット、並びに、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法を提供するものである。
【0010】
(1)植物からの抽出液に含まれる、以下の(a)~(c)のいずれか一つのアミノ酸配列からなり、かつ鉄・亜鉛結合性制御因子である、タンパク質を検出し、前記タンパク質の発現の有無に基づいて、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積を有する植物を選抜する工程を含むことを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法。
(a)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列において、1~数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列、或いは、
(c)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と同一性が0%以上であるアミノ酸配列
(2)植物からの抽出液に含まれる、以下の(a)~(c)のいずれか一つのアミノ酸配列からなり、かつ鉄・亜鉛結合性制御因子である、タンパク質をコードする遺伝子、或いは、以下の(d)~(g)のいずれか一つのDNAからなり、かつ鉄・亜鉛結合性制御因子であるタンパク質をコードする遺伝子を検出し、前記遺伝子の発現の有無に基づいて、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積を有する植物を選抜する工程を含むことを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法。
(a)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列において、1~数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列、或いは、
(c)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と同一性が0%以上であるアミノ酸配列、
(d)配列番号3又は4で表される塩基配列からなるDNA、
(e)配列番号3又は4で表される塩基配列において、1~数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなるDNA、
(f)配列番号3又は4で表される塩基配列と同一性が95%以上である塩基配列からなるDNA、或いは、
(g)配列番号3又は4で表される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなるDNA
(3)配列番号5で表されるRNAi誘導性核酸を発現可能であることを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物作出用ベクター。
(4)前記(3)に記載の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物作出用ベクターを宿主に導入してなることを特徴とする形質転換体。
(5)前記(3)に記載の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物作出用ベクターを植物に導入する工程を含むことを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法。
(6)前記(3)に記載の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物作出用ベクターを備えていることを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物。
(7)前記(3)に記載の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物作出用ベクターを備えていることを特徴とする鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用キット。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、石灰質土壌において、通常の植物よりも優れた生育を示し、石灰質土壌及び優良土壌の双方において、鉄及び亜鉛を多量に蓄積できる形質転換体及び遺伝子破壊株を作出することができる。
更に、本発明によれば、不良土壌における炭酸固定・物質生産、及び、ヒトの鉄・亜鉛欠乏症の緩和に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明のOsHRZ1タンパク質及びOsHRZ2タンパク質の領域構造を示す。
【図2】図2は、本発明の遺伝子破壊株におけるゲノム構造を示す。
【図3】図3は、ヘムエリスリン領域を有するタンパク質の系統樹及び領域構造を示す。
【図4】図4は、定量的RT-PCRを用いたOsHRZ1及びOsHRZ2のmRNAの発現レベルの解析結果を示す。
【図5】図5は、作製した組換えタンパク質の領域構造を示す。
【図6】図6は、野生型及び変異型OsHRZタンパク質における金属との結合能の解析結果を示す。
【図7】図7は、各組換えタンパク質溶解液を含んだチューブの写真を示す。
【図8】図8は、OsHRZ2発現抑制株における定量的RT-PCRを用いたOsHRZ2のmRNAの発現レベルの解析結果を示す。
【図9】図9は、鉄欠乏栽培条件下でのOsHRZ2発現抑制株の最新葉におけるクロロフィル含量の定量結果を示す。
【図10】図10は、石灰質土壌長期栽培下でのOsHRZ2発現抑制株の最新葉におけるクロロフィル含量の定量結果を示す。
【図11】図11は、石灰質土壌28日間栽培下での未処理(NT)のイネ及びOsHRZ2発現抑制株の苗丈の写真を示す。
【図12】図12は、OsHRZ破壊株におけるゲノムPCRの結果を示す。
【図13】図13は、鉄欠乏栽培条件下でのOsHRZ破壊株の最新葉におけるクロロフィル含量の定量結果を示す。
【図14】図14は、鉄十分条件下及び鉄欠乏条件下で7日間水耕栽培をしたOsHRZ2発現抑制株の葉における蓄積鉄濃度を示す。
【図15】図15は、石灰質土壌中及び通常の土壌中でポット栽培をしたOsHRZ2発現抑制株の稲わらにおける蓄積鉄濃度を示す。
【図16】図16は、石灰質土壌中及び通常の土壌中でポット栽培をしたOsHRZ2発現抑制株の種子における蓄積鉄濃度を示す。
【図17】図17は、隔離圃場内の通常土壌で栽培したOsHRZ2発現抑制株の玄米及び白米における蓄積鉄濃度を示す。
【図18】図18は、石灰質土壌中及び通常の土壌中でポット栽培をしたOsHRZ2発現抑制株の種子における蓄積亜鉛濃度を示す。
【図19】図19は、隔離圃場内の通常土壌で栽培したOsHRZ2発現抑制株の玄米及び白米における蓄積亜鉛濃度を示す。
【図20】図20は、通常の土壌中でポット栽培をしたOsHRZ破壊株の種子における蓄積鉄濃度を示す。
【図21】図21は、通常の土壌中でポット栽培をしたOsHRZ破壊株の種子における蓄積亜鉛濃度を示す。
【図22】図22は、通常の土壌中でポット栽培をしたOsHRZ破壊株の稲わらにおける蓄積鉄濃度を示す。
【図23】図23は、通常の土壌中でポット栽培をしたOsHRZ破壊株の稲わらにおける蓄積亜鉛濃度を示す。
【図24】図24は、鉄十分条件下及び鉄欠乏条件下で水耕栽培されたOsHRZ2発現抑制株の根での、44Kマイクロアレイを用いた、遺伝子発現プロファイルの解析結果を示す。
【図25】図25は、マイクロアレイ解析により、鉄十分条件下のOsHRZ2発現抑制株の根において発現上昇が認められた遺伝子について、定量的RT-PCRを用いて検証した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<OsHRZタンパク質>
本発明のタンパク質は、以下の(a)~(c)いずれか一つのアミノ酸配列からなり、かつ鉄・亜鉛結合性制御因子である。
(a)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列、
(b)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列において、1~数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されているアミノ酸配列、又は
(c)配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と同一性が80%以上であるアミノ酸配列。

【0014】
前記(a)のアミノ酸配列は、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列である。
本発明者は、配列番号1及び2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質を、それぞれ、Oryza sativa Hemerythrin motif-containing Really Interesting New Gene (RING)- and Zinc-finger protein(以下、OsHRZという)1及びOsHRZ2と名付けた。
図1に示すように、OsHRZ1は、N末端側からC末端側にかけて、三つの推定上のヘムエリスリン(HHEとしても知られている)領域と、転写制御・転写後制御・タンパク質分解制御等に関与すると推定される二つのZnフィンガー領域(CHY様Znフィンガー領域及びCTCHY様Znフィンガー領域)と、E3リガーゼとして機能してタンパク質分解制御に関与するRING-Znフィンガー領域と、電子伝達の為に鉄硫黄クラスターを形成すると推定されるRubredoxin様モチーフと、を含んでいる。
また、図1に示すように、OsHRZ2は、N末端側からC末端側にかけて、一つのヘムエリスリン領域と、三つのZnフィンガー領域(CHY様Znフィンガー領域、CTCHY様Znフィンガー領域及びRING-Znフィンガー領域)と、Rubredoxin様モチーフと、を含んでいる。
鉄欠乏条件の栽培下、これらOsHRZタンパク質をコードする遺伝子は、発現誘導される。
植物中で合成されたOsHRZタンパク質は、ヘムエリスリン領域を介して鉄及び亜鉛と結合し、植物細胞内の鉄と他の金属との濃度比を検出する鉄センサーとして機能すると考えられる。
更に、OsHRZ1及びOsHRZ2タンパク質は、転写制御・転写後制御・タンパク質分解制御等に関与すると推定される上記三つのZnフィンガー領域を介して、鉄取り込み関連遺伝子及び鉄移行関連遺伝子の発現を主に鉄十分条件の栽培下で抑制している。

【0015】
前記(b)としては、例えば、ヘムエリスリン領域以外の部位に変異(欠失、挿入、置換、又は付加)を有するタンパク質、又はヘムエリスリン領域における変異であって鉄・亜鉛結合活性を保持している変異を有するタンパク質が挙げられる。
また、前記(b)としては、例えば、転写制御・転写後制御・タンパク質分解制御等に関与すると推定される上記三つのZnフィンガー領域以外の部位に変異を有するタンパク質、又は上記Znフィンガー領域における変異であって鉄取り込み関連遺伝子及び鉄移行関連遺伝子の発現抑制能を保持している変異を有するタンパク質が挙げられる。
ここで、欠失、置換、又は付加されてもよいアミノ酸の数としては、1 ~10個が好ましく、1~7個がより好ましく、1 ~ 5個がさらにより好ましく、1~3個が特に好ましく、1~2個が最も好ましい。
本発明のタンパク質を構成するアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸に変異を導入することは、周知技術を使用して容易に行われる。
例えば、公知の点変異導入法に従えば、タンパク質をコードする遺伝子中の任意の塩基を変異させることができる。また、タンパク質をコードする遺伝子中の任意の部位に対応するプライマーを設計して欠失変異体または付加変異体を作製することができる。

【0016】
前記(c)としては、例えば、ヘムエリスリン領域以外の部位に変異(欠失、挿入、置換、又は付加)を有するタンパク質、又はヘムエリスリン領域における変異であって鉄・亜鉛結合活性を保持している変異を有するタンパク質が挙げられる。
また、前記(c)としては、例えば、転写制御・転写後制御・タンパク質分解制御等に関与すると推定される上記三つのZnフィンガー領域以外の部位に変異を有するタンパク質、又は上記Znフィンガー領域における変異であって鉄取り込み関連遺伝子及び鉄移行関連遺伝子の発現抑制能を保持している変異を有するタンパク質が挙げられる。
ここで、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列との相同性(アミノ酸配列の同一性)としては、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましく、98%以上が最も好ましい。

【0017】
本発明のタンパク質を発現させる為に用いられる発現ベクターとしては、宿主細胞に本発明のタンパク質を発現させる細胞系ベクターと、適当な細胞から抽出されたタンパク質合成能を有する成分からなるタンパク質翻訳系において本発明のタンパク質を発現させる、無細胞系ベクターが挙げられる。
細胞系ベクターとしては、宿主細胞に適した公知の発現ベクターが用いられる。例えば、大腸菌においてはpBR322誘導体に代表されるColEI系プラスミド、p15Aオリジンを持つpACYC系プラスミド、pSC系プラスミド、Bac系等のF因子由来ミニFプラスミドが挙げられる。その他、trcやtac等のトリプトファンプロモーター、lacプロモーター、T7プロモーター、T5プロモーター、T3プロモーター、SP6プロモーター、アラビノース誘導プロモーター、コールドショックプロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター等を有する発現ベクターも挙げられる。
無細胞系ベクターとしては、細胞系ベクターにおいて挙げられたT7プロモーターを有する発現ベクターやT3プロモーターを有する発現ベクター;SP6プロモーター又はT7プロモーターを有するpEU系プラスミド等の小麦無細胞タンパク質合成用ベクター等が挙げられる。

【0018】
無細胞系ベクターを用いたタンパク質合成においては、先ず、転写系を用いてcDNAを転写して、mRNAを合成する。係る転写系としては、RNAポリメラーゼにより転写させる従来公知のものが挙げられる。RNAポリメラーゼとしては、例えばT7RNAポリメラーゼが挙げられる。
次いで、翻訳系である無細胞タンパク質合成系を用いてmRNAを翻訳し、タンパク質を合成する。この系にはリボゾーム、翻訳開始因子、翻訳伸長因子、解離因子、アミノアシルtRNA合成酵素等、翻訳に必要な要素が含まれている。このようなタンパク質翻訳系として、大腸菌抽出液、ウサギ網状赤血球抽出液、小麦胚芽抽出液等が挙げられる。
更に、上記翻訳に必要な要素が独立に精製された因子のみからなる再構成型無細胞タンパク質合成系が挙げられる。
細胞系ベクター又は無細胞系ベクターを用いて合成されたタンパク質を、細胞素抽出液中で用いることもできるが、精製して用いることもできる。精製方法としては、塩析法や各種クロマトグラフィーを用いた方法が挙げられる。発現ベクターが目的タンパク質のN末端又はC末端にヒスチジンタグ等のタグ配列を発現するように設計されている場合には、ニッケルやコバルト等、このタグに親和性を有する物質を用いたアフィニティーカラムによる精製方法が挙げられる。その他、イオン交換クロマトグラフィーやゲルろ過クロマトグラフィー等、適宜組み合わせて精製することにより、本発明のタンパク質の純度を高めることができる。

【0019】
<OsHRZ遺伝子>
本発明の遺伝子は、前記(a)~(c)のいずれかのアミノ酸配列からなり、かつ鉄・亜鉛結合性制御因子であるタンパク質をコードする。
また、本発明の遺伝子は、以下の(d)~(g)のいずれか一つのDNAからなり、かつ鉄・亜鉛結合性制御因子であるタンパク質をコードする。
(d)配列番号3又は4で表される塩基配列からなるDNA、
(e)配列番号3又は4で表される塩基配列において、1~数個の塩基が欠失、置換又は付加されている塩基配列からなるDNA、
(f)配列番号3又は4で表される塩基配列と相同性(塩基配列の同一性)が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上である塩基配列からなるDNA、又は、
(g)配列番号3又は4で表される塩基配列からなるDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる塩基配列からなるDNA。

【0020】
ここで、欠失、置換、又は付加されてもよい塩基の数としては、1 ~30個が好ましく、1~20個がより好ましく、1 ~15個がさらに好ましく、1 ~10個が特に好ましく、1 ~ 5個が最も好ましい。

【0021】
本発明及び本願明細書において、「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、Molecular Cloning-A LABORATORY MANUAL THIRD EDITION(Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載の方法が挙げられる。例えば、5×SSC(20×SSCの組成:3M 塩化ナトリウム,0.3M クエン酸溶液,pH7.0)、0.1重量% N-ラウロイルサルコシン、0.02重量%のSDS、2重量%の核酸ハイブルダイゼーション用ブロッキング試薬、及び50%フォルムアミドから成るハイブリダイゼーションバッファー中で、55~70℃で数時間から一晩インキュベーションを行うことによりハイブリダイズさせる条件を挙げることができる。インキュベーション後の洗浄の際に用いる洗浄バッファーとしては、好ましくは0.1重量%SDS含有1×SSC溶液、より好ましくは0.1重量%SDS含有0.1×SSC溶液である。

【0022】
<OsHRZ遺伝子発現抑制ベクター>
本発明のベクターは、上述した本発明の遺伝子の発現を抑制し得るものである。前記遺伝子の発現をmRNAレベルで抑制し得るRNAi誘導性核酸を発現可能であることが好ましい。
RNAi誘導性核酸とは、植物細胞内に導入されることによりRNA干渉を誘導し得る核酸を意味する。RNA干渉とは、mRNA(又はその部分配列)に相補する塩基配列を含むRNAが、そのmRNAの発現を抑制する効果をいう。
RNAi誘導性核酸が標的とするmRNAは、コーディング領域であっても、ノンコーディング領域であってもよい。前記RNAi誘導性核酸としては、配列番号5で表される塩基配列であることが好ましく、このRNAi誘導性核酸は、OsHRZの3’UTR(untranslated region)全長およびコーディング領域の一部を標的とする。
また、RNAi誘導性核酸としては、例えばsiRNAやmiRNAが挙げられる。植物細胞内に導入され、siRNA と同様にRNAiを引き起こすベクターとしては、shRNA(short hairpin RNA/small hairpin RNA)発現ベクターが挙げられる。
本発明のベクターによれば、植物の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積を向上させることができる。
ここで、「植物の鉄欠乏耐性」とは、可溶化した鉄分の少ない土壌でも生育できる特性を意味し、例えば、アルカリ土壌においてクロローシス(クロロフィルの欠陥による黄色化)と称される鉄欠乏症を起こしにくい等の特性を意味する。
また、「鉄・亜鉛蓄積」とは、イネの地上部、特に可食部である種子中に高濃度の鉄及び亜鉛を蓄積できる特性を意味する。例えば、前記ベクターを用いて作出された形質転換体を隔離圃場(所定の手続きに基づいて設けられた遺伝子組換え用の隔離圃場を意味する。)内の通常土壌で栽培して得られた種子は、未処理のイネの種子と比較して、約3.8倍量の鉄を含有し、約1.2倍量の亜鉛を含有する。
本発明のベクターは、周知の遺伝子組換え技術により作製してもよい。

【0023】
<形質転換体、並びに、鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法>
本発明の形質転換体(発現抑制株ということもある。)は、本発明のベクターを宿主に導入してなるものである。上述したように、本発明のベクターは、宿主である植物の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積を向上させることができるものである。よって、本発明の形質転換体は、鉄欠乏耐性に優れ、かつ、とりわけ可食部に高濃度の鉄・亜鉛を蓄積することができる。
また、本発明の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法とは、鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物体を作製するための方法を意味する。本発明の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法は、本発明のベクターを植物体内に導入する工程を含んでいれば特に限定されない。

【0024】
組換え発現ベクターを用いる場合、植物体の形質転換に用いられるべきベクターは、その植物内で本発明の遺伝子の発現を抑制させることが可能なベクターであれば特に限定されない。
このようなベクターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター等の植物細胞内で遺伝子を構成的に発現させるプロモーターを有するベクター;外的な刺激によって誘導性に活性化されるプロモーターを有するベクターが挙げられる。

【0025】
本発明において形質転換の対象となる植物は、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子など)、植物組織(例えば表皮、篩部、柔組織、木部、維管束、柵状組織、海綿状組織など)または植物培養細胞、もしくは種々の形態の植物細胞(例えば、懸濁培養細胞)、プロトプラスト、葉の切片、カルス等のいずれをも意味する。形質転換に用いられる植物としては、特に限定されないが、イネ科植物であることが好ましく、イネ、オオムギ、コムギまたはトウモロコシであることがさらに好ましい。

【0026】
植物への遺伝子の導入には、当業者に公知の形質転換方法(例えば、アグロバクテリウム法、遺伝子銃、PEG法、エレクトロポレーション法等)が用いられ、アグロバクテリウムを介する方法と直接植物細胞に導入する方法とに大別される。アグロバクテリウム法を用いる場合は、構築した植物用発現ベクターを適当なアグロバクテリウム(例えば、アグロバクテリウム・チュメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens))に導入し、この株をリーフディスク法(内宮博文著、植物遺伝子操作マニュアル(1990)27~31頁、講談社サイエンティフィック、東京)等に従って無菌培養葉片に感染させ、形質転換植物を得る方法が用いられ得る。
また、Nagelらの方法(Micribiol.Lett.,(1990)vol.67, pp325)が用いられ得る。この方法は、先ず、発現ベクターをアグロバクテリウムに導入し、次いで、形質転換されたアグロバクテリウムをPlant Molecular Biology Manual(S. B. Gelvinら、Academic Press Publishers)に記載の方法で植物細胞または植物組織に導入する方法である。ここで、「植物組織」とは、植物細胞の培養によって得られるカルスを含む。アグロバクテリウム法を用いて形質転換を行う場合には、pBI系のバイナリーベクター(例えば、pBIG、pBIN19、pBI101、pBI121、pBI221、およびpPZP202など)が使用され得る。

【0027】
また、遺伝子を直接植物細胞または植物組織に導入する方法としては、エレクトロポレーション法、遺伝子銃法等が挙げられる。遺伝子銃を用いる場合は、遺伝子を導入する対象として、植物体、植物器官、植物組織自体をそのまま使用してもよく、切片を調製した後に使用してもよく、プロトプラストを調製して使用してもよい。このように調製した試料を遺伝子導入装置(例えばPDS-1000(BIO-RAD社)など)を用いて処理することができる。処理条件は植物または試料によって異なるが、通常は450~2000psi程度の圧力、4~12cm程度の距離で行う。

【0028】
遺伝子が導入された細胞または植物組織は、まずハイグロマイシン耐性などの薬剤耐性で選択され、次いで定法によって植物体に再生される。形質転換細胞から植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である。選択マーカーとしては、ハイグロマイシン耐性に限定されず、例えば、ブレオマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、クロラムフェニコールなどに対する薬剤耐性が挙げられる。

【0029】
植物培養細胞を宿主として用いる場合は、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法(電気穿孔法)、ポリエチレングリコール法、遺伝子銃(パーティクルガン)法、プロトプラスト融合法、リン酸カルシウム法等が挙げられる。これらの方法によって組換えベクターが培養細胞に導入されて形質転換される。形質転換の結果として得られるカルスやシュート、毛状根などは、そのまま細胞培養、組織培養または器官培養に用いることが可能である。これらは従来知られている植物組織培養法を用い、適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライドなど)の投与などによって植物体に再生させることができる。

【0030】
遺伝子が植物に導入されたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等によって行うことができる。例えば、形質転換植物からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。PCRは、当業者に公知の条件で行うことができる。その後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液などによって染色する。そして増幅産物を1本のバンドとして検出することによって、形質転換されたことを確認することができる。また、予め蛍光色素などによって標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレートなどの固相に増幅産物を結合させ、蛍光または酵素反応などによって増幅産物を確認する方法も採用することができる。

【0031】
本発明のベクターがゲノム内に組み込まれた形質転換植物体が一旦取得されれば、その植物体の有性生殖または無性生殖によって子孫を得ることができる。また、前記植物体またはその子孫、もしくはこれらのクローンから、例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラストなどを得て、それらを基に前記植物体を量産することができる。
従って、本発明の形質転換体には、本発明のベクターが発現可能に導入された植物体、若しくは、その植物体と同一の性質を有する前記植物体の子孫、またはこれら由来の組織も含まれる。

【0032】
<遺伝子破壊株>
本発明の遺伝子破壊株は、挿入配列が組み込まれることにより、本発明の遺伝子が破壊されているゲノムDNAを有する。例えば、図2に示されるように、相同組換えによりゲノムDNAにT-DNA(hrz1-1)を挿入させることにより、またはトランスポゾン(hrz2-1)の転移により、ゲノムDNA上に存在する本発明の遺伝子が破壊され、その発現が抑制される。
本発明の遺伝子破壊株によれば、本発明の遺伝子及びタンパク質の発現が抑制されている。よって、鉄取り込み関連遺伝子や鉄移行関連遺伝子の恒常的な発現抑制が解除され、植物中の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積を向上させることができる。
本発明の遺伝子破壊株としては、Tos17挿入株ND6059 ( イネゲノムリソースセンター) が好ましい。この挿入株は、形質転換植物ではないため、一般圃場ですぐに生育可能である点で優れている。
本発明の形質転換体及び遺伝子破壊株は、上述した様に、可食部への顕著な鉄・亜鉛蓄積の向上に加えて、優れた鉄欠乏耐性を兼ね備えている。よって、半乾燥地帯や石灰質土壌等の潜在的に鉄欠乏に陥りやすい栽培条件において安定的に鉄富化食物を生産するのに特に有用である。

【0033】
<鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物、並びに、作出用キット>
本発明の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物は、本発明のベクターを含んでいる。また、本発明の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用キットは、本発明のベクターを備えている。ここで、「組成物」とは、各種成分が一物質中に含有されている形態を意味する。「キット」は各種成分の少なくとも1つが別物質中に含有されている形態を意味する。
また、「鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物」は、鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物体を作製するために用いる組成物である。「鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用キット」は、鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物を作製するために用いるキットである。

【0034】
本発明の形質転換体は、本発明のベクターが宿主(植物)に導入してなるものである。これにより本発明の遺伝子が発現抑制され、鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上され得る。そして、上述したように、本発明のベクターを用いれば植物体に本発明のベクターを導入し得る。従って、本発明のベクターを備えている組成物、またはベクターを備えているキットは、鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物を作出するために好適に用いられる。
即ち、本発明の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物、又は、鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用キットは、上述した本発明の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出方法におけるベクターの供給源として用い得る。

【0035】
本発明の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用組成物は、本発明のベクターの他、溶媒、分散媒、試薬等を備えていてもよい。
また、本発明の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の作出用キットは、本発明のベクターの他、溶媒、分散媒、試薬、それらを使用するための指示書などを備えていてもよい。ここで、本発明のキットにおいて、指示書を除く、溶媒等を「備えている」とは、キットを構成する個々の容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュなど)のいずれかの中に内包されている状態を意味する。
また、本発明のキットは、例えば、物質Aおよび物質Bを同一の容器に混合して備えても別々の容器に備えてもよい。「指示書」は、紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能ディスクまたはテープ、CD-ROMなどのような電子媒体に付されてもよい。また、本発明のキットは、希釈剤、溶媒、洗浄液、その他の試薬を内包した容器を備え得ていてもよい。

【0036】
<抗体>
本発明の抗体は、本発明のタンパク質と特異的に結合する抗体であれば限定されず、前記タンパク質に対するポリクローナル抗体等でもよいが、前記タンパク質に対するモノクローナル抗体であることが好ましい。モノクローナル抗体は、性質が均一で供給しやすく、その産生細胞をハイブリドーマとして半永久的に保存ができるなどの利点を有する点で優れている。

【0037】
本発明の抗体としては、免疫グロブリン(IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、及びこれらのFabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fcフラグメント)が挙げられ、具体的には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体および抗イディオタイプ抗体等が挙げられるがこれらに限定されない。

【0038】
尚、本発明の抗体は、種々の公知の方法に従い作製され得る。例えば、モノクローナル抗体は、この分野において公知の技術(例えば、ハイブリドーマ法(Kohler, G.およびMilstein, C., Nature 256, 495-497 (1975))、トリオーマ法、ヒトB-細胞ハイブリドーマ法(Kozbor, Immunology Today 4,72 (1983))およびEBV-ハイブリドーマ法(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R Liss, Inc., 77-96 (1985))等参照)を用いることにより、作製され得る。

【0039】
また、ペプチド抗体は、この分野に公知の方法(例えば、Chow, M.,et. al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA (1985) vol.82, pp.910-914; Bittle, F. J.et. al., J. Gen. Virol. (1985) vol.66, pp2347-2354)に従うことにより作製され得る。

【0040】
本発明の抗体は、上述したようにFabフラグメントやF(ab’)フラグメント等のフラグメントを含む。このようなフラグメントは、代表的には、パパイン(Fabフラグメントを生じる)またはペプシン(F(ab’)フラグメントを生じる)のような酵素を使用して、抗体をタンパク質分解することにより産生され得る。
または、このようなフラグメントは、組換えDNA技術の適用または化学合成によって産生され得る。

【0041】
<育種方法>
[第一実施形態]
本実施形態の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法は、植物からの抽出物に含まれる本発明のタンパク質を検出する工程を含む。
本実施形態の鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法は、植物体内で本発明のタンパク質の発現が抑制されているかどうかを判別するために、本発明のタンパク質を検出する工程を含んでいればよい。本発明のタンパク質の発現の有無に基づいて、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積を有する植物を選抜する。

【0042】
上述したように、本発明のタンパク質は、植物が土壌から鉄を獲得する際に重要な働きを有する遺伝子の発現を抑制する。従って、上記タンパク質の発現が抑制された植物は鉄を獲得する能力が高く、鉄欠乏耐性及び鉄・亜鉛蓄積が向上している。
なお、本実施形態の方法に従って育種された植物体は、天然の植物体であっても形質転換体であってもよい。

【0043】
植物からの抽出物は、液体窒素を用いた凍結破砕法や、市販の抽出キットを用いて取得することができるが、これらに限定されない。また、「抽出物」は、粗精製物であってもいくつかの精製工程を経た精製標品であってもよい。

【0044】
本実施形態の育種方法において、上記植物からの抽出物に含まれる本発明のタンパク質を検出する工程としては、その植物からの抽出物を本発明の抗体と反応させることにより本発明のタンパク質を検出する工程が挙げられる。上述したように上記抗体は、本発明のタンパク質と特異的に結合して免疫複合体を形成するので、その複合体の形成を検出することにより植物体内において発現されている上記タンパク質を容易に検出することができる。
上記複合体の形成は、例えば、上記抗体を予め同位体などで標識する方法、又は、上記抗体に対する2次抗体を用いる方法等を用いて検出される。具体的には、周知のウェスタンブロット法、プロテインチップ法等が用いられ得る。

【0045】
また、本発明の抗体は、本実施形態の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物の育種方法に好適に用いられる。従って、本発明の抗体を含んでいる組成物または前記抗体を備えているキットは、鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物を育種するために好適に用いられる。

【0046】
[第二実施形態]
本実施形態の植物の育種方法は、植物からの抽出物に含まれる本発明の遺伝子を検出する工程を含む。

【0047】
上記植物からの抽出物に含まれる本発明の遺伝子を検出する工程は、本発明の遺伝子のフラグメント、又はその相補配列からなるオリゴヌクレオチドを、前記植物からの抽出物とインキュベートする工程を含むことが好ましく、植物からの抽出物を目的の植物由来のゲノムDNA、mRNAまたはmRNAに対するcDNAとハイブリダイズさせる工程を含むことがより好ましい。

【0048】
本実施形態の育種方法を用いてハイブリダイズした標的遺伝子を検出することによって、本発明の遺伝子の発現が抑制された植物体を容易に検出することができる。
さらに、上述したように、本発明のタンパク質は、鉄欠乏に対する植物体の応答において重要な働きをする。そのため、上記タンパク質のアミノ酸配列の細かな変異が、植物の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積に影響を及ぼし得る。PCR法、ハイブリダイゼーション法、マイクロアレイ法等の周知慣用の技術を用いることにより遺伝子の1塩基単位の変異を検出し得るため、これらの技術により、前記遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列の細かな変異を検出し得ることができる。
したがって、本実施形態の植物の育種方法を用いることにより、植物の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積に影響を及ぼす上記タンパク質のアミノ酸配列の細かな変異に基づいて、植物の鉄欠乏耐性及び可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上した植物を育種することもできる。

【0049】
本実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドが数個ないし数十個または数百個結合したものを意味する。
本実施形態の育種方法において用いられるオリゴヌクレオチドは、本発明の遺伝子またはそのフラグメントを得るためのPCRプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。
本実施形態に用いられるオリゴヌクレオチドの長さとしては、7塩基以上が好ましく、15塩基以上がより好ましく、20塩基以上が更に好ましく、40塩基以上が最も好ましい。これらのオリゴヌクレオチドは、例えば、Applied Biosystems Incorporated(ABI,850 Lincoln Center Dr.,Foster City,CA 94404)392型シンセサイザー等によって合成される。

【0050】
このように、本実施形態の育種方法において用いられるオリゴヌクレオチドを、本発明のタンパク質をコードする遺伝子を検出するハイブリダイゼーションプローブ、または前記遺伝子を増幅するためのプライマーとして利用することによって、本発明の遺伝子の発現が抑制された植物体または組織を容易に検出することができる。
【実施例】
【0051】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0052】
[イネ由来新規鉄結合タンパク質の同定]
本発明者らは、鉄欠乏誘導性遺伝子群について、マイクロアレイを用いて解析した(Ogo, Y., et. al., J.Exp.Bot. (2006) vol.57, pp.2867-2878)。これら遺伝子群の中で、鉄センサーとして一つの候補遺伝子AK068028(NCBIのアクセッション番号:配列番号4)に着目した。上述したように、この遺伝子は、推定上のヘムエリスリン(HHEとしても知られている)領域をコードする遺伝子を含んでいる(図1参照)。ヘムエリスリン領域は、無脊椎動物、バクテリア、及び哺乳類まで保存されており、二価鉄及び分子状酸素と結合することが知られている。
無脊椎動物において、ヘムエリスリン領域を有するタンパク質は酸素を輸送するタンパク質として機能している。
一方、ヒトにおいては、ヘムエリスリン領域を有するタンパク質としてヒトFBXL5タンパク質が知られている(図3参照)。ヒトFBXL5タンパク質においてヘムエリスリン領域は鉄センサーとして働き、FBXL5はユビキチン-プロテアソーム系のE3リガーゼとして機能するF-ボックス領域を介して、鉄制御タンパク質2(Iron Regulatory Protein 2;以下、IRP2という。)を認識して分解することが知られている(Rouault, T. A., Science (2009) vol.326, pp.676-677; Vashisht, A.,et. al., Science (2009) vol.326, pp.718-721; Salahudeen, A. A., et. al., Science (2009) vol.326, pp.722-726)。
興味深いことに、配列番号4で表される遺伝子がコードするタンパク質は、F-ボックス領域を含んでいなかったが、F-ボックス領域と同様にE3リガーゼとして機能するRING-Znフィンガー領域を含んでいる(図1参照)。配列番号4で表される遺伝子がコードするタンパク質は転写制御・転写後制御・タンパク質分解制御等に関与すると推定される二つの他のZnフィンガー領域と、電子伝達の為に鉄硫黄クラスターを形成すると推定されるRubredoxin様モチーフと、を含んでいる(図1参照)。
データベースサーチにより、ヘムエリスリン領域をコードする遺伝子を含む遺伝子を、イネにおいて更に2つ見出し(図3参照;OsHORZ1及び後述するOsHRZ1)、シロイヌナズナにおいて4つ見出した(図3参照;BTS, At3g54290, At1g74770, At1g18910)。これらのうち、AK288394 (NCBIのアクセッション番号:配列番号3)がコードするタンパク質は、配列番号4で表される遺伝子がコードするタンパク質が有する全ての領域構造を含有しており、更に2つのヘムエリスリン領域を有している(図1参照)。
よって、本発明者は、配列番号3及び4で表される遺伝子がコードするタンパク質を、それぞれ、Oryza sativa Hemerythrin motif-containing Really Interesting New Gene (RING)- and Zinc-finger protein(以下、OsHRZという)1及びOsHRZ2と名付けた。
OsHRZ1及びOsHRZ2のcDNAをイネ栽培品種「月の光」のcDNAプールからPCRを用いて増幅し、この増幅産物をpCR(登録商標)-Blunt II-TOPO(登録商標)vectorに挿入し、塩基配列を確認した。
【実施例】
【0053】
[鉄欠乏栽培条件に応答したOsHRZ1及びOsHRZ2の発現レベルの変化]
イネ品種「日本晴」の葉及び根における、鉄十分条件下及び鉄欠乏条件下でのOsHRZ1及びOsHRZ2のmRNAの発現レベルの変化を、定量的RT-PCRを用いて解析した。
詳細には、水耕栽培したイネの根又は葉身から抽出したRNAサンプルを、NucleoSpin RNA Plant Mini Kit(マッハライ・ナーゲル社製)及びReverTra Ace reverse transcriptase(TOYOBO社製)、又は、RNeasy Plant Mini Kit(キアゲン社製) 及びReverTra Ace qRT-PCR RT Master Mix with gDNA Remover (TOYOBO社製)を用いて、DNaseIを用いて処理し、逆転写反応に供した。次いで、逆転写反応により合成したcDNAを用いて、StepOnePlus(商標) Real-Time PCR System (アプライドバイオシステムズ社製)により、リアルタイムPCRを行った。試薬として、SYBR Green I及びExTaq(商標)Real-Time-PCR version(TaKaRa社製) 、又は、 TaqMan Gene Expression Assays(アプライドバイオシステムズ社製)を用いた。標的とする転写産物の量を、イネα-2チューブリンの転写レベルで補正し、1μgの全RNA当たりのコピー数として表した。
結果を図4に示す。図4のグラフ横軸は、鉄十分条件下及び鉄欠乏条件下での栽培日数を示す。+7dは、鉄十分条件下、7日栽培後のイネ由来のサンプルを表し、-1dは、鉄欠乏条件下、1日栽培後のイネ由来のサンプルを表し、-7dは、鉄欠乏条件下、7日栽培後のイネ由来のサンプルを表す。図4のグラフ縦軸は、RNA1μg当たりのOsHRZ1又はOsHRZ2のコピー数を表す。図4(a)は、根における発現レベルを表したグラフであり、図4(b)は、葉における発現レベルを表したグラフである。図4左は、OsHRZ1における発現レベルを表したグラフであり、図4右は、OsHRZ2における発現レベルを表したグラフである。また、以降の実施例において、有意差については、t検定により検定を行った。以降の図中、*はP<0.05を示し、**はP<0.01を示す。
図4に示すように、葉及び根の両方において、鉄欠乏条件下でOsHRZ1及びOsHRZ2のmRNAの発現レベルの上昇が確認された。
【実施例】
【0054】
[組換えOsHRZ1タンパク質及びOsHRZ2タンパク質の鉄結合能の評価]
植物由来のヘムエリスリン領域が鉄との結合能を有するかどうかについては知られていない。発明者は、先ず、マルトース結合タンパク質(MBP)をコードする遺伝子の下流に、全長HRZ遺伝子又はHRZ欠失変異遺伝子を繋いだものをpMAL-c2(New England Biolabs社製)に挿入した発現ベクターを作製した。
次いで、これらマルトース結合タンパク質(MBP)融合OsHRZ組換えタンパク質の複数の欠失変異体を大腸菌BL21(DE3)pLysSに発現させて作製した。組換えタンパク質の発現精製については、MBPフュージョンシステム(New England Biolabs社製)を用いた。大腸菌を22℃~25℃で培養しカラムバッファーからEDTAを除いた以外は、マニュアルに従った。組換えタンパク質をSDS-PAGEに供して分離した後、クマシー・ブリリアント・ブルー染色により組換えタンパク質の純度を確認した。発現させた組換えタンパク質を、PD-10カラム(GEヘルスケア社製)を用いて脱塩した後、陰イオン交換カラム(Q-セファロース;GEヘルスケア社製)を用いて精製した。作製した組換えタンパク質の領域構造を図5に示す。
図5中、OsHRZ1 FLは、OsHRZ1タンパク質全長を表し、OsHRZ1
ΔRZは、OsHRZ1タンパク質全長から、C末端側にある3番目のヘムエリスリン領域と、転写制御・転写後制御・タンパク質分解制御等に関与すると推定される三つのZnフィンガー領域と、電子伝達の為に鉄硫黄クラスターを形成すると推定されるRubredoxin様モチーフと、を含むC末端領域を欠失させたものを表す。OsHRZ1 ΔHは、OsHRZ1タンパク質全長から、三つのヘムエリスリン領域全てを含むN末端領域を欠失させたものを表す。OsHRZ1 ΔHRZは、OsHRZ1タンパク質全長から、N末端側にある2つのヘムエリスリン領域全てを含むN末端領域と、C末端側にある3番目のヘムエリスリン領域と三つのZnフィンガー領域とRubredoxin様モチーフとを含むC末端領域を欠失させたものを表す。
図5中、OsHRZ2 FLは、OsHRZ2タンパク質全長を表し、OsHRZ1
ΔHは、OsHRZ2タンパク質全長から、ヘムエリスリン領域を含むN末端領域を欠失させたものを表す。BTS FLは、OsHRZ1及びOsHRZ2のシロイヌナズナホモログのタンパク質全長を表す(図3参照)。
これらのタンパク質に結合している金属濃度を、誘導結合発光分光により測定した。詳細には、精製したタンパク質をBio-Radプロテインアッセイキット(バイオラッド社製)を用いて定量し、MarsXpressオーブン(CEM社製)を用いて0.1~1mgの精製タンパク質溶解液を13.4M HNO2mLで220℃20分処理し、湿式灰化した。鉄及び亜鉛のモル濃度を、ICP発光分析装置(ICPS-8100;島津製作所製)を用いて測定した。結果を図6に示す。
図6中、グラフ横軸は、用いた組換えタンパク質の種類を示し、グラフ縦軸は、タンパク質1モルに結合している鉄又は亜鉛のモル数を示す。図6に示すように、OsHRZ1タンパク質全長及びOsHRZ2タンパク質全長は、約2倍モル前後の量の鉄及び亜鉛を含んでおり、この結合能はヘムエリスリン領域を欠失させることにより約0.5倍モル以下にまで減少した。一方、三つのZnフィンガー領域とRubredoxin様モチーフとを欠失させても、タンパク質1モル当たりの鉄及び亜鉛結合量は顕著に減少しなかった。
このことは、図7に示すように、ヘムエリスリン領域を含むOsHRZ1 FLタンパク質の濃縮溶解液が、ヘムエリスリン領域を含まないOsHRZ1 ΔHタンパク質の濃縮溶解液と比較して、鉄由来の赤茶色を呈していることからも明らかである。
これらのことから、OsHRZタンパク質において、鉄及び亜鉛は、Znフィンガー領域やRubredoxin様モチーフよりも、ヘムエリスリン領域に主に結合することが確認された。また、シロイヌナズナのBTSタンパク質も、OsHRZ1タンパク質及びOsHRZ2タンパク質と同様に、鉄及び亜鉛との結合を示したことから、ヘムエリスリン様の鉄・亜鉛結合性タンパク質が植物種間で保存されていることが見出された。
【実施例】
【0055】
[OsHRZ遺伝子の発現を抑制したイネにおける鉄欠乏耐性能の確認]
OsHRZの機能を調べるため、RNAi法によりOsHRZの発現を抑制した形質転換イネを作製した。具体的には、OsHRZ2の3’UTR全長およびコーディング領域の一部に相当する335bpの断片(配列番号5で表される塩基配列)を増幅し、この増幅産物をpENTR(登録商標)-Blunt II-TOPO(登録商標)vectorに挿入した。次いで、LRクロナーゼ反応により、この断片をデスティネーションベクターpIG121-RNAi-DEST(Ogo, Y., et. al., Plant J. (2007) vol.51, pp.366-377)に、正逆両方向に1コピーずつリンカー配列を介して挿入して、発現ベクターを作製した。
次いで、定法に従い、OsHRZ2の発現が抑制された3つの形質転換体(2i-1~2i-3)を作出した(Hiei, Y.,et. al., Plant J. (1994) vol.6, pp.271-282; Kobayashi,T., et. al., Planta (2001) vol.212, pp.864-871)。
作出した形質転換体を鉄欠乏条件下7日間栽培し、上述した定量RT-PCR法を用いて各形質転換体におけるOsHRZ2のmRNAの発現レベルを調べた。
図8に示すように、これらの形質転換体においては、OsHRZ2の発現抑制が確認された。更に、これらの形質転換体は、通常の栽培条件下で、顕著な表現型を示すことなく健全に生長することが確認された。
また、鉄欠乏栽培条件が、これらの形質転換体に与える影響を調べるために、鉄欠乏栽培条件下での最新葉におけるクロロフィル含量を定量した。結果を図9に示す。図9中、縦軸は、最新葉中のクロロフィル(SPAD値)を示し、横軸は、鉄欠乏栽培条件下での栽培日数を示す。図9に示すように、OsHRZ2発現抑制株の葉は、未処理(NT)のイネの葉と比較して、鉄欠乏条件下においても高いクロロフィル含量を示した。このことから、形質転換体は鉄欠乏栽培条件に対して耐性を示すことが確認された。
【実施例】
【0056】
更に、有効鉄含有量の少ない特殊土壌におけるこれらの形質転換体の生育状態を評価すべく、本発明者は石灰質土壌におけるこれらの形質転換体の長期試験を行った。結果を図10に示す。図10中、縦軸は最新葉中のクロロフィル量(SPAD値)を示し、横軸は移植後の栽培日数を示す。
図10に示すように、移植後20日以内に、葉中のクロロフィル量の減少は、すべてのイネにおいて観察された。しかしながら、この減少の度合いは、OsHRZ2発現抑制株の方が未処理のイネよりも少ないことが確認された。更に、OsHRZ2発現抑制株の葉中のクロロフィル量は、移植後22日以降徐々に回復した。図11に示すように、OsHRZ2発現抑制株の苗丈が鉄欠乏耐性を反映している。収穫期において、OsHRZ2発現抑制株は未処理(NT)のイネと比較して、高い稲わらの資源量及び穀物の収穫量を示すことが確認された。
【実施例】
【0057】
更に、発明者は、イネのゲノム遺伝子に、T-DNAを挿入させたOsHRZ1破壊株、及び、Tos17を挿入させたOsHRZ2破壊株を取得して解析した。OsHRZ1破壊株は、韓国POSTECH(Pohang University of Science and Technology)より取得した3A-06066株である。OsHRZ2破壊株は、イネゲノムリソースセンターより取得したND6059株である。図2は、OsHRZ1破壊株及びOsHRZ2破壊株における、挿入配列(hrz1-1,hrz2-1)のゲノムへの挿入状態を示す。
OsHRZ1破壊株及びOsHRZ2破壊株の約0.1cmの葉断片から、100μlの10mM Tris-HCl(pH8.0)・0.1mM EDTA溶液を用いて、ゲノムDNAを抽出した。抽出したゲノムDNAをKOD FX Neo(TOYOBO社製)を用いて、PCRに供した。結果を図12に示す。
図12中、矢印は、用いたプライマーを示し、図2において示されるゲノムDNA上にアニールするプライマーに対応する。
図12に示すように、hrz1-1及びhrz2-1は、それぞれOsHRZ1及びOsHRZ2に特異的に遺伝子断片の挿入が起こっていることが確認された。
これらの破壊株を鉄欠乏条件下で水耕栽培し、最新葉中のクロロフィル量を定量した。結果を図13に示す。図13中、縦軸は最新葉中のクロロフィル量(SPAD値)を示し、横軸は鉄欠乏条件下の栽培日数を示す。図13(a)は未処理(野生株:WT)のイネとOsHRZ1破壊株における最新葉中のクロロフィル量を示し、図13(b)は未処理(野生株:WT)のイネとOsHRZ2破壊株における最新葉中のクロロフィル量を示す。図13に示すように、OsHRZ1破壊株は、未処理のイネよりもわずかに高いクロロフィル量を保持していた。また、OsHRZ2破壊株は、未処理のイネよりも明確に高いクロロフィル量を保持しており、鉄欠乏栽培条件に対して耐性を示すことが確認された。
【実施例】
【0058】
[OsHRZ遺伝子の発現を抑制したイネの葉における鉄蓄積の確認]
OsHRZ発現抑制株の鉄欠乏栽培条件に対する耐性機構を調べるため、7日間水耕栽培をしたイネの葉における金属濃度を定量した。結果を図14に示す。図14中、横軸は用いたイネの種類を示し、縦軸は葉中の鉄含有量を示す。図14に示すように、OsHRZ2発現抑制株の葉は未処理株の葉と比較して、鉄十分条件下(図14(a))及び鉄欠乏条件下(図14(b))のどちらにおいても高濃度の鉄を蓄積していることが確認された。
【実施例】
【0059】
[OsHRZ遺伝子の発現を抑制したイネの稲わら及び種子における鉄と亜鉛の蓄積の確認]
OsHRZ遺伝子の発現を抑制したイネの可食部における鉄の蓄積を調べるため、ポット栽培をしたイネの稲わら及び種子における鉄濃度を定量した。
稲わらにおける鉄蓄積の結果を図15に示し、種子における鉄蓄積の結果を図16に示す。図15及び図16中、横軸は用いたイネの種類を示し、縦軸は稲わら又は種子中の鉄含有量を示す。図15(a)及び図16(a)は、石灰質土壌を用いた鉄欠乏条件下における結果を示し、図15(b)及び図16(b)は、通常の土壌を用いた鉄十分条件下における結果を示す。
図15及び図16に示すように、OsHRZ2発現抑制株の稲わら及び種子は、未処理株の稲わら及び種子と比較して、鉄十分条件下(図15(b)及び図16(b))及び鉄欠乏条件下(図15(a)及び図16(a))のどちらにおいても、高濃度の鉄を蓄積していることが確認された。この結果から、稲わらは可食部ではないが、本発明を葉菜類等の鉄富化に適応可能であると考えられる。
【実施例】
【0060】
同様に、隔離圃場内の通常土壌で栽培された玄米及び白米における鉄の蓄積を調べた。
結果を図17に示す。図17(a)は、玄米における結果を示し、図17(b)は、白米における結果を示す。図17(a)及び図17(b)のどちらにおいてもOsHRZ2発現抑制株の種子は、未処理株の種子と比較して高濃度の鉄を蓄積していたことから、OsHRZ遺伝子の発現を抑制したイネの可食部における高濃度の鉄の蓄積が確認された。
【実施例】
【0061】
また、OsHRZ遺伝子の発現を抑制したイネの可食部における亜鉛の蓄積を調べるため、ポット栽培をしたイネの種子における亜鉛濃度を定量した。図18(a)は、石灰質土壌を用いた鉄欠乏条件下における結果を示し、図18(b)は、通常の土壌を用いた鉄十分条件下における結果を示す。図18に示すように、OsHRZ2発現抑制株の種子は未処理株の種子と比較して、鉄十分条件下及び鉄欠乏条件下(図18(a)及び図18(b))のどちらにおいても、高濃度の亜鉛を蓄積していることが確認された。
同様のイネについて、隔離圃場内の通常土壌で栽培された玄米及び白米における亜鉛の蓄積を調べた。結果を図19に示す。図19(a)は、玄米における結果を示し、図19(b)は、白米における結果を示す。図19(a)及び図19(b)のどちらにおいても、OsHRZ2発現抑制株の種子は未処理株の種子と比較して、高濃度の亜鉛を蓄積していたことから、OsHRZ遺伝子の発現を抑制したイネの可食部における高濃度の亜鉛の蓄積が確認された。
【実施例】
【0062】
更に、上記と同様の通常の土壌を用いたポット試験を、OsHRZ1破壊株(hrz1-1)及びOsHRZ2破壊株(hrz2-1)を用いて行った。結果を図20に示す。
図20(a)は、OsHRZ1破壊株(hrz1-1)の種子における鉄蓄積の結果を示し、図20(b)は、OsHRZ2破壊株(hrz2-1)の種子における鉄蓄積の結果を示す。図20(a)及び図20(b)のどちらにおいても、未処理のイネ(野生株:WT)の種子と比較してOsHRZ破壊株の種子が高濃度の鉄を蓄積していた。このことから、OsHRZ破壊株の可食部における高濃度の鉄の蓄積が確認された。
また、同様の栽培条件でOsHRZ破壊株の種子における亜鉛の蓄積を調べた。結果を図21に示す。図21(a)は、OsHRZ1破壊株(hrz1-1)の種子における亜鉛蓄積の結果を示し、図21(b)は、OsHRZ2破壊株(hrz2-1)の種子における亜鉛蓄積の結果を示す。図21(a)及び図21(b)のどちらにおいても、未処理のイネ(野生株:WT)の種子と比較して、OsHRZ破壊株の種子が高濃度の亜鉛を蓄積していた。このことから、OsHRZ破壊株の可食部における高濃度の亜鉛の蓄積が確認された。
【実施例】
【0063】
また、同様の栽培条件でOsHRZ破壊株の稲わらにおける鉄及び亜鉛の蓄積を調べた。結果を図22及び図23に示す。図22は、OsHRZ破壊株(hrz1-1及びhrz2-1)の稲わらにおける鉄蓄積の結果を示し、図23は、OsHRZ破壊株(hrz1-1及びhrz2-1)の稲わらにおける亜鉛蓄積の結果を示す。図22及び図23のどちらにおいても、未処理のイネ(野生株:WT)の稲わらと比較してOsHRZ破壊株の稲わらが高濃度の鉄・亜鉛を蓄積していた。このことから、OsHRZ破壊株の稲わらにおける高濃度の鉄・亜鉛の蓄積が確認された。
【実施例】
【0064】
以上、OsHRZの発現を抑制した形質転換イネ及びOsHRZ破壊株の両方で同じ表現型を示したことから、OsHRZ遺伝子の発現を抑制することにより、イネの可食部への鉄・亜鉛蓄積が向上することが確認された。
【実施例】
【0065】
[OsHRZ遺伝子の発現を抑制したイネの根における鉄取り込み関連遺伝子や鉄移行関連遺伝子の発現増強の確認]
発明者は、44Kマイクロアレイ解析を行い、鉄十分条件下及び鉄欠乏条件下で水耕栽培されたOsHRZ2発現抑制株(2i-1~2i-3)の遺伝子発現プロファイルを調べた。イネ44Kマイクロアレイ(アジレントテクノロジーズ社製)は、イネ全長cDNAプロジェクトから得られた配列情報に基づいて、43144種類の60merのオリゴヌクレオチドを含んでいる。水耕栽培したOsHRZ2発現抑制株の根から、NucleoSpin RNA Plant Mini Kit(Macherey-Nagel社製)を用いて全RNAを調製した。マイクロアレイハイブリダイゼーション、データ取り込み、及びデータ解析を以前報告した内容に沿って行い(Ogo, Y., et. al., J.Exp.Bot. (2006) vol.57, pp.2867-2878)、発現比を(OsHRZ2発現抑制株の平均シグナル値)/(未処理(NT)のイネの平均シグナル値)として算出した。結果を図24に示す。
【実施例】
【0066】
図24は、各種遺伝子の発現プロファイルを示した図である。図24に示されるように、OsHRZ2発現抑制株の根において、特に鉄十分条件下で、多種の鉄取り込み関連遺伝子や鉄移行関連遺伝子の発現増強が示された。
さらに、定量的RT-PCRを用いて、鉄十分条件下におけるマイクロアレイ解析の結果を検証した。結果を図25に示す。図25中、横軸は用いたイネを示し、縦軸は各遺伝子(OsIRO2,OsNAS2,OsYSL2)のmRNAの発現強度を示す。図25に示すように、各遺伝子の発現変化は、マイクロアレイ解析の結果と一致していることが確認された。
これらのことから、OsHRZタンパク質は、鉄欠乏に応答する負の制御因子であり、OsHRZタンパク質の発現を抑制することにより、主に鉄十分条件下における鉄取り込み関連遺伝子や鉄移行関連遺伝子の発現抑制を解除できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、鉄欠乏耐性が向上した植物を取得することができるので、可溶化した鉄分が少ないアルカリ性の土壌等でも生育可能な作物を取得することができる。
さらに、本発明によれば、可食部に鉄と亜鉛、とりわけ鉄を顕著に蓄積する植物を取得することができるので、鉄欠乏症及び亜鉛欠乏症を軽減する作物を取得することができる。
特に、本発明によれば、上記の鉄欠乏耐性と可食部への鉄・亜鉛蓄積を同時に兼ね備えた形質が得られるので、半乾燥地帯や石灰質傾向土壌などの潜在的に鉄欠乏に陥りやすい栽培条件において安定的に鉄富化食物を生産するのにきわめて有利であると考えられる。
したがって、本発明は「新規鉄・亜鉛結合性制御因子と、その発現調節による植物の鉄欠乏耐性向上及び可食部への鉄・亜鉛蓄積の促進技術」に好適に利用でき、産業上極めて有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図8】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図13】
9
【図14】
10
【図15】
11
【図16】
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【図17】
13
【図18】
14
【図19】
15
【図20】
16
【図21】
17
【図22】
18
【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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