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明細書 :ポルフィリン系触媒、ポルフィリン化合物、及びポルフィリン化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-195800 (P2014-195800A)
公開日 平成26年10月16日(2014.10.16)
発明の名称または考案の名称 ポルフィリン系触媒、ポルフィリン化合物、及びポルフィリン化合物の製造方法
国際特許分類 B01J  31/22        (2006.01)
C07D 487/22        (2006.01)
C07F  15/00        (2006.01)
FI B01J 31/22 Z
C07D 487/22 CSP
C07F 15/00 A
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 24
出願番号 特願2014-040944 (P2014-040944)
出願日 平成26年3月3日(2014.3.3)
優先権出願番号 2013042272
優先日 平成25年3月4日(2013.3.4)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】樋口 恒彦
【氏名】加藤 信樹
【氏名】梅澤 直樹
【氏名】稲垣 秀樹
出願人 【識別番号】506218664
【氏名又は名称】公立大学法人名古屋市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100118706、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 陽
審査請求 未請求
テーマコード 4C050
4G169
4H050
Fターム 4C050PA01
4G169AA06
4G169AA08
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC16A
4G169BC17A
4G169BC31A
4G169BC32A
4G169BC33A
4G169BC35A
4G169BC35B
4G169BC50A
4G169BC54A
4G169BC58A
4G169BC59A
4G169BC60A
4G169BC62A
4G169BC64A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BC71A
4G169BC73A
4G169BC74A
4G169BC75A
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE02A
4G169BE02B
4G169BE09A
4G169BE33A
4G169BE33B
4G169BE34A
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169BE38A
4G169BE38B
4G169BE42A
4G169BE42B
4G169CB07
4G169CB70
4G169CB72
4G169DA02
4G169FA01
4G169FB78
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB40
4H050WB11
4H050WB14
要約 【課題】ポルフィリン環のメソ位に嵩高い置換基を有する触媒、及びそれを収率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】下記式で示されるポルフィリン化合物からなるポルフィリン系触媒。
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(Rは分枝を有してもよいアルキル基又は-COOR基(Rは分枝を有してもよいアルキル基);Rは置換基を有してもよいフェニル基)この触媒を、ハロゲン置換基が結合しているフェニル基をポルフィリンのメソ位に導入し、その後、鈴木-宮浦反応を用いてハロゲン置換基を嵩高いフェニル置換基に代えるという方法により、収率良く製造する方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式で示されるポルフィリン金属錯体(式中、Mはポルフィリン環以外の配位子を有してもよい金属イオンを示し、Rは水素又は水素よりも脂溶性を高めることができる置換基を示し、Rは置換基を有してもよいアリール基を示す。ただし、R=R=フェニル基の場合を除く。)からなることを特徴とするポルフィリン系触媒。
【化1】
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【請求項2】
前記金属イオンはAlイオン、Tiイオン、Vイオン、Crイオン、Mnイオン、Feイオン、Coイオン、Niイオン、Cuイオン、Znイオン、Gaイオン、Moイオン、Ruイオン、Rhイオン、Agイオン、Wイオン、Reイオン、Osイオン、Irイオン、Ptイオン及びAuイオンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のポルフィリン系触媒。
【請求項3】
前記金属イオンには、COが配位していることを特徴とする請求項1又は2に記載のポルフィリン系触媒。
【請求項4】
はフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、3,5-ジクロロフェニル基、3,4,5-トリフルオロフェニル基又は4-トリフルオロメチルフェニル基であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポルフィリン系触媒。
【請求項5】
は水素、tert-ブチル基又は-COO(CHCH基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポルフィリン系触媒。
【請求項6】
下記一般式で示されるポルフィリン化合物(ただし、式中、R及びRは以下のいずれかの組み合わせ)。
がtert-ブチル基であってRが3,5-ジクロロフェニル基の組合せ。
が-COO(CHCH基であってRがフェニル基の組合せ。
が-COO(CHCH基であってRが3,5-ジクロロフェニル基の組合せ。
が-COO(CHCH基であってRが3,4,5-トリフルオロフェニル基の組合せ。
が-COO(CHCH基であってRが4-トリフルオロメチルフェニル基の組合せ。
【化2】
JP2014195800A_000021t.gif

【請求項7】
下記一般式で示されるポルフィリン化合物からなる請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポルフィリン系触媒を製造するための中間体(式中、Rは水素又は水素よりも脂溶性を高めることができる置換基を示し、Rは置換基を有してもよいアリール基を示す。ただし、R=R=フェニル基の場合を除く)。
【化3】
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【請求項8】
2,6ジハロゲン化ベンズアルデヒド(ただし、ハロゲン元素はBr又はI)又は2,6ジハロゲン化ベンズアルデヒドの4位に置換基を有する誘導体(ただし、ハロゲン元素はBr又はI)と、ピロールと、を酸の存在下で縮合させてポルフィリン化合物中間体とするポルフィリン環形成工程と、
該ポルフィリン化合物中間体とアリールボロン酸又はアリールボロン酸エステルとを、パラジウム錯体及び塩基の存在下でカップリングさせるカップリング工程と、を備える請求項7に記載の中間体の製造方法。
【請求項9】
前記カップリング工程後、金属イオンをポルフィリン環中心に配位させる金属配位工程を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポルフィリン金属錯体の製造方法。
【請求項10】
2,6ジハロゲン化ベンズアルデヒド(ただし、ハロゲン元素はBr又はI)又は2,6ジハロゲン化ベンズアルデヒドの4位に置換基を有する誘導体(ただし、ハロゲン元素はBr又はI)と、ピロールと、を酸の存在下で縮合させてポルフィリン化合物中間体とするポルフィリン環形成工程と、
前記ポルフィリン環形成工程後、金属イオンをポルフィリン化合物中間体のポルフィリン環中心に配位させて金属配位ポルフィリン化合物中間体とする金属配位工程と、
該金属配位ポルフィリン化合物中間体とアリールボロン酸又はアリールボロン酸エステルとを、パラジウム錯体及び塩基の存在下でカップリングさせるカップリング工程と、を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のポルフィリン金属錯体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ポルフィリン系触媒、ポルフィリン化合物、及びポルフィリン化合物の製造方法に関し、アルカンの酸化用の触媒及びその触媒の製造に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
天然物中にはポルフィリン環を有す様々な化合物が見出されており、生体内における様々な機能発現の重要な構成要素となっている。ポルフィリンやその金属錯体は安定な酸化還元特性を示すものも多い。例えば呼吸の電子伝達系で機能するシトクロムでは、中心の鉄イオンが可逆的に酸化還元を行うことで電子を運んでいる。また、バイオミメティックな見地から、人工的に合成されたポルフィリン化合物についても様々な研究がなされており、その触媒活性を利用し、触媒として実用化されたものもある(特許文献1,2,3)。
一方、ポルフィリン環のメソ位に嵩高い置換基を有するポルフィリン金属錯体の触媒機能に関する文献として、非特許文献1~3や特許文献4~7がある。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平9-249678号公報
【特許文献2】特開平9-87216号公報
【特許文献3】特開2003-300983号公報
【特許文献4】特表平10-512237
【特許文献5】特開2003-300983
【特許文献6】特表2008-505983
【特許文献7】特開2010-166336
【0004】

【非特許文献1】Suslick et al.J. Am.Chem.Soc.1986,106,7281-7286
【非特許文献2】Qing-Hai Deng et al.Chem.Eur.J.2009,15,10707-10712
【非特許文献3】Hung-Yat et al.Angew.Chem.Int.Ed.2008,47,9747-9751
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、ポルフィリン化合物を製造する方法としては、アルデヒドとピロールを酸存在下で縮合環化させるという、いわゆるローゼムント合成が多く用いられている(下記化学式参照)。
【化1】
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【0006】
しかしながら、ポルフィリン環のメソ位(上記化学式における置換基Rが結合している位置)に嵩高い置換基が存在する場合、立体障害の大きいアルデヒドとピロールとの縮合環化となるため、収率が極めて低くなるという問題があった。例えば、上記非特許文献1では、アルデヒドとして2,4,6-トリフェニルベンズアルデヒドを用い、ポルフィリン金属錯体のメソ位に、2位,4位及び6位にフェニル基を有するフェニル基が結合した化合物を合成しているが、収率は僅か1%である。このため、副生成物の中に僅かに含まれている目的化合物を分離するのに多くの労力を要することとなる。また、封管中220℃という過酷な反応条件を採用しているため、2位,4位及び6位の置換基が全てフェニル基であるような、高温で安定な化合物であれば合成が可能ではあるが、フェニル基に多様な置換基が結合している化合物を製造することには成功していなかった。こうしたことから、ポルフィリン環のメソ位に嵩高い置換基を有するポルフィリン金属錯体の触媒としての研究は困難な状況にあった。
【0007】
本発明は上記従来の問題に鑑みなされたものであり、ポルフィリン環のメソ位に嵩高い置換基を有するポルフィリン化合物からなる触媒、及びそれを収率よく製造するための方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決する方策として、ローゼムント合成によって一段階でポルフィリン化合物を合成するのではなく、ローゼムント合成によって製造したポルフィリン化合物を中間体としてとらえ、さらにこのポルフィリン化合物中間体に嵩高い置換基を導入するという新たな発想のもとに、鋭意研究を重ねた。その結果、ハロゲン置換基が結合しているフェニル基をポルフィリンのメソ位に導入し、その後、鈴木-宮浦反応を用いてハロゲン置換基を嵩高いフェニル置換基に代えるという2段階方法を採用すれば、ポルフィリン環のメソ位に嵩高い置換基を有するポルフィリン化合物を収率よく製造できることを見出した。そして、さらには、その方法によって得られたポルフィリン化合物に金属イオンを配位させたポルフィリン金属錯体の触媒活性を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明のポルフィリン系触媒は、下記一般式で示されるポルフィリン金属錯体(式中、Mはポルフィリン環以外の配位子を有してもよい金属イオンを示し、Rは水素よりも脂溶性を高めることができる置換基を示し、Rは置換基を有してもよいアリール基を示す。ただし、R=R=フェニル基の場合は除かれる。)からなることを特徴とする。
【化2】
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【0010】
本発明のポルフィリン系触媒では、ポルフィリン環のメソ位にベンゼン環が結合しており、さらにはそのベンゼン環の2,6位にRとして置換基を有してもよいアリール基を有していることから、極めて嵩高い置換基がメソ位に結合していることになる。その結果、ポルフィリン環の両面に狭隘な開口を有する空間を有することとなり、基質の接近を制約する。このため、嵩高い置換基がメソ位に結合していないポルフィリン系触媒にはない、優れた反応選択性を奏することとなる。さらには、ポルフィリン環の中心に金属イオンが配位しているため、これを中間体として、さらに高い反応性を有する金属オキセノイド種、金属ナイトレニド種、金属カルベノイド種の調製が可能である。これらの活性種は、不活性なアルカンやアルケン等と迅速に反応するが、嵩高い置換基が導入されていることにより、通常の金属ポルフィリン触媒では発現できない選択性が発現できる。
【0011】
本発明のポルフィリン系触媒における置換基Rとしては、水素又は水素よりも脂溶性を高めることができる置換基であれば特に限定はない。このような置換基としては、例えば炭素数が1以上20以下の分枝を有してもよいアルキル基が好ましく、さらに好ましいのは炭素数が2以上10以下であり、最も好ましいのは炭素数が3以上5以下の分枝を有してもよいアルキル基である。また、Rは置換基を有してもよいフェニル基や置換基を有してもよいアラルキル基であってもよい。さらに、Rはエステル基であってもよい。
また、本発明のポルフィリン系触媒における置換基Rとしては、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいピリジル基、置換基を有してもよいピロール基等が挙げられる。
ただし、R=R=フェニル基の場合は除かれる。
【0012】
また、ポルフィリン環の中央に配位する金属イオンとしてはAlイオン、Tiイオン、Vイオン、Crイオン、Mnイオン、Feイオン、Coイオン、Niイオン、Cuイオン、Znイオン、Gaイオン、Moイオン、Ruイオン、Rhイオン、Agイオン、Wイオン、Reイオン、Osイオン、Irイオン、Ptイオン、Auイオン等を挙げることができる。また、金属イオンには、さらにCO等の配位子が配位していてもよい。
【0013】
本発明のポルフィリン系触媒として、下記一般式で示されるポルフィリン化合物(ただし、式中、R及びRは以下のいずれかの組み合わせ)を挙げることができる。
がtert-ブチル基であってRが3,5-ジクロロフェニル基の組合せ。
が-COO(CHCH基であってRがフェニル基の組合せ。
が-COO(CHCH基であってRが3,5-ジクロロフェニル基の組合せ。
が-COO(CHCH基であってRが3,4,5-トリフルオロフェニル基の組合せ。
が-COO(CHCH基であってRが4-トリフルオロメチルフェニル基の組合せ。

【化3】
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【0014】
本発明のポルフィリン系触媒を製造するための中間体は、下記一般式で示されるポルフィリン化合物からなる(式中、Rは水素又は水素よりも脂溶性を高めることができる置換基を示し、Rは置換基を有してもよいアリール基を示す。ただし、R=R=フェニル基の場合を除く)。
【化4】
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この中間体は、次の方法により、収率よく製造することができる。
すなわち、本発明のポルフィリン系触媒を製造するための中間体の製造方法は、2,6-ジハロゲン化ベンズアルデヒド(ただし、ハロゲン元素はBr又はI)又は2,6-ジハロゲン化ベンズアルデヒドの4位に置換基を有する誘導体(ただし、ハロゲン元素はBr又はI)と、ピロールと、を酸の存在下で縮合させてポルフィリン化合物中間体とするポルフィリン環形成工程と、
該ポルフィリン化合物中間体とアリールボロン酸又はアリールボロン酸エステルとを、パラジウム錯体及び塩基の存在下でカップリングさせるカップリング工程と、を備えることを特徴とする。
この中間体の製造方法では、ローゼムント合成によって一段階でポルフィリン化合物を合成するのではなく、ローゼムント合成によって製造したポルフィリン化合物を中間体とし、さらにこのポルフィリン化合物中間体に嵩高い置換基を導入する方法を用いている。すなわち、ポルフィリン環形成工程において、ハロゲン置換基が結合しているベンゼン環をポルフィリンのメソ位に結合させ、その後、カップリング工程として鈴木-宮浦反応を用いてハロゲン置換基を嵩高いアリール置換基に代えるという2段階方法を採用している。このため、ローゼムント合成によって一段階で目的とするポルフィリン化合物を合成する方法に比べ、数十倍という極めて高い収率で製造することができる。また、反応条件も温和な条件とすることができるため、操作性も簡便となる。さらには、フェニル基より嵩高く、且つ電子吸引性の高い、2位及び6位にベンゼン環を有するアリール置換基をポルフィリン環のメソ位に導入できるため、高い反応性と高い選択性とを兼ね備えたポルフィリン系触媒を製造するための中間体の製造が可能となる。
【0015】
カップリング工程において用いられるアリールボロン酸、アリールボロン酸エステル、パラジウム錯体及び塩基としては、鈴木-宮浦反応において用いられている試薬を用いることができる。アリールボロン酸エステルとしては、ピナコール型ボロン酸エステル等の環状構造を有するボロン酸エステルが好ましい。また、パラジウム錯体としては、パラジウムにホスフィン系リガンドが配位した錯体などが挙げられる。また、塩基としては、炭酸塩、リン酸塩、水酸化アルカリ、アルカリ金属のフッ化物等が挙げられる。
【0016】
また、本発明のポルフィリン系触媒は、前記カップリング工程後、金属イオンをポルフィリン環中心に配位させる金属配位工程を行うことによって、収率良く製造することができる。
【0017】
さらに、本発明のポルフィリン系触媒は、次の方法によっても収率よく製造することができる。
すなわち、2,6-ジハロゲン化ベンズアルデヒド(ただし、ハロゲン元素はBr又はI)又は2,6-ジハロゲン化ベンズアルデヒドの4位に置換基を有する誘導体(ただし、ハロゲン元素はBr又はI)と、ピロールと、を酸の存在下で縮合させてポルフィリン化合物中間体とするポルフィリン環形成工程と、
前記ポルフィリン環形成工程後、金属イオンをポルフィリン化合物中間体のポルフィリン環中心に配位させて金属配位ポルフィリン化合物中間体とする金属配位工程と、
該金属配位ポルフィリン化合物中間体とアリールボロン酸又はアリールボロン酸エステルとを、パラジウム錯体及び塩基の存在下でカップリングさせるカップリング工程と、を備えることを特徴とするポルフィリン金属錯体の製造方法である。
【0018】
カップリング工程において用いられるアリールボロン酸、アリールボロン酸エステル、パラジウム錯体及び塩基としては、鈴木-宮浦反応において用いられている試薬を用いることができる。アリールボロン酸エステルとしては、ピナコール型ボロン酸エステル等の環状構造を有するものが好ましい。また、パラジウム錯体としては、パラジウムにホスフィン系リガンドが配位した錯体などが挙げられる。また、塩基としては、炭酸塩、リン酸塩、水酸化アルカリ、アルカリ金属のフッ化物等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】各種ポルフィリン金属錯体の立体模型及び開口部位の径を化学計算ソフトウェアSPARTANを用いて導き出した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態について述べる。
<ポルフィリン化合物の製造方法>
メソ位に芳香環を有するポルフィリン環の合成は、従来、置換ベンズアルデヒドとピロールを酸触媒存在下、縮合環化させることによって製造されている。しかしながら、ベンズアルデヒドの2,6位に置換基が存在すると、立体障害の影響を大きく受け、収率は大きく低下することが知られている。本発明者らは、発想を変え、新たな合成経路として、2位及び6位にハロゲン置換基が結合しているベンズアルデヒドとピロールとを反応させてポルフィリン化合物を製造し、その後、鈴木-宮浦反応を用いてハロゲン置換基を嵩高いフェニル置換基に代えるという合成ルートを考案した。具体的には、例えば下記反応式に記載する反応経路を挙げることができる。


【0021】
【化5】
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【0022】
上記反応式では、ポルフィリン環を形成後、中心に金属を配位させてから鈴木-宮浦カップリングを行っているが、その工程を逆(すなわち、鈴木-宮浦カップリングを行ってから、中心に金属を配位させる方法)を行ってもよい。
こうした3段階の工程によって、メソ位フェニル基のオルト位にフェニル基及び置換フェニル基が導入されたポルフィリン化合物を製造することができる。この方法は、Suslickらの方法(非特許文献1参照)よりも工程数が1つ増えるものの、トータル収率を比較した場合、Suslickらの経路では1%を下回るのに対し、発明者らの方法では、総収率14%となる。しかも、目的物の分離精製も格段に容易であるという利点も有する。さらには、Suslickらが行い得なかった、無置換フェニル基よりさらに嵩高い、置換基を導入したフェニル基がメソ位に結合したポルフィリン化合物の製造も可能である。これらのポルフィリン化合物は、他の多くのポルフィリン化合物において触媒反応部位として立証されているポルフィリン環中心の両面部分が、メソ位の嵩高い置換基によって高度に立体規制を受けている。このため、基質が触媒反応部位へ接近するための開口部が極めて狭いという特異性を有することから、触媒反応における選択性が高められる。
本発明のポルフィリン化合物の製造方法をSuslickらの方法と比較した場合、以下の利点を有する。
1)より穏やかな条件でポルフィリン環生成反応を行うことができる。
2)トータル収率が10倍以上となる。
3)分離精製操作が格段に簡便となる。
4)無置換フェニル基だけでなく、置換基を有するフェニル基も導入できるようになり、さらに高度に立体的に遮蔽されたポルフィリン化合物を合成することができる。
5)電子吸引性や電子供与性の置換フェニル基も導入できるため、ポルフィリン環の電子的調整も行えるようになる。

【0023】
<ポルフィリン系触媒>
上記実施形態において製造されたポルフィリン金属錯体は、アルカンの酸化及びエポキシ化、アルカンへの窒素置換基導入、アルケンからアジリジンの生成、アルカンへの炭素置換基導入、アルケンのシクロプロパン化、芳香環への酸素置換基や窒素置換基や炭素置換基の導入等の反応触媒として好適に用いることができる。例えば、直鎖アルカンの酸化では、ルテニウムポルフィリン-芳香族ヘテロ環N-オキシド系を用いて検討したところ、高度な選択性をもってアルカンの酸化が実現できることを明らかにした。このことより、高度に立体的に遮蔽されたポルフィリン金属錯体の触媒としての有用性も確認している。

【0024】
<実施例>
(実施例1)
以下に示す合成ルートにより、実施例1のポルフィリン亜鉛錯体8を合成した。以下詳細に述べる。
【化6】
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【0025】
4-tert-ブチル-2,6-ジブロモトルエン2a及び4-tert-ブチル-2,5-ジブロモトルエン2bの合成
4-tert-ブチル-2,6-ジブロモトルエン(100 mL、0.57 mol)と鉄粉(500 mg)とCCl4(60 mL)の混合物中へ、臭素Br2(200 g、12.4 mol)を室温下で滴下した。その後、反応混合物を40℃で5時間穏やかに加熱した。加熱終了後、反応液に水(100 mL)を注ぎ、有機層を分離し、さらに水層をCH2Cl2で抽出した。抽出液を有機層と合わせ、無水Na2SO4で乾燥して、エバポレータによって溶媒を留去した。残留物をさらに減圧蒸留(4.5mmHgのb.p. 120-124°)して、4-tert-ブチル-2,6-ジブロモトルエン2a及び4-tert-ブチル-2,5-ジブロモトルエン2bの混合物(153 g)を得た(無色の油、77 g、0.25 mol、44%)。
プロトンNMRから、これらは等モル混合物であることが分かった。以下にそのデータを示す。
1HNMR(CDCl3)δ1.28(9H、s)、1.40(9H、s)、2.21 (3H、s)2.56(3H、s)7.37(1H、s)、7.47(1H、s)、7.53(2H、s)

【0026】
4-tert-ブチル-2,6-ジブロモベンジルアルコール4a及び4-tert-ブチル-2,5-ジブロモベンジルアルコール4bの合成
上記のようにして得られた4-tert-ブチル-2,6-ジブロモトルエン2aと4-tert-ブチル-2,5-ジブロモトルエン2bの混合物(50g、合計0.16mol)をN-bromosuccinimide(30 g、0.17 mol)が添加されたCCl4(600 mL)中に加え、ハロゲン灯(500W)照射下で6時間加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し、沈殿物をろ過によって除き、ろ液を減圧下でエバポレートして溶媒を留去し、残留物をアセトニトリル(600 mL)に溶かし、CH3COOK(38g、0.39mol)と塩化トリオクチルメチルアンモニウム(1.5 g)を添加した後、6時間の還流を行った。その後、反応混合物を室温まで冷却し、減圧下でエバポレートして溶媒を留去した。残留物をエタノール(300 mL,2.7M)に溶かし、2KOH水溶液(150 mL)を加え、2.5時間の還流を行った。そして、70 mLまで蒸発して、水(100 mL)を加え、水層をCH2Cl2で抽出した。有機層を無水Na2SO4で乾燥して、溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:n-ヘキサン)を行い、4-tert-ブチル-2,6-ジブロモベンジルアルコール4a(22g、69 mmol、85%)と4-tert-ブチル-2,5-ジブロモベンジルアルコール4b(22g、69 mmol、85%)の等モル混合物(無色の油、44 g)を得た。
1HNMR(CDCl3)1.27(9H、s)、1.49(9H、s)、2.05(2H、bs)4.64(2H、s)、4.94(2H、s)、7.56(2H、s)、7.63(1H、s)、7.68(1H、s)

【0027】
4-tert-ブチル-2,6-ジブロモベンズアルデヒド5aの合成
上記のようにして得られた4-tert-ブチル-2,6-ジブロモベンジルアルコール3aと4-tert-ブチル-2,5-ジブロモベンジルアルコール3bの等モル混合物(126 g,total 0.39 mol)を、N-オキシル4-メトキシ-2,2,6,6-四メチルピペリジン(1.43 g、7.7 mmol)及びKBr(4.5 g、38 mmol)と共にCH2Cl2(1.2 L)に加え、アルゴン下、0℃で1.4MのNaOCl水溶液(278 mL)と飽和NaHCO3水溶液(644 mL)の混合物を加えた。そして反応混合物を室温までゆっくりと暖め、3時間の撹拌を行った。そして、有機層を分離した後、水層をCH2Cl2で抽出した。こうして得た抽出液を有機層と合わせた後、水及び飽和NaHCO3水溶液で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥した後、溶媒を留去した。そして、アルデヒドをシリカゲル・カラムクロマトグラフィーによって除去し(CH2Cl2:n-ヘキサン)、未反応の4-tert-ブチル-2,6-ジブロモベンジルアルコール4a(54 g 0.17 mol、85%)を分離回収した。さらに、この4-tert-ブチル-2,6-ジブロモベンジルアルコール4a(54 g 0.17 mol、85%)をアセトニトリル(217 mL)で溶かし、モレキュラーシーブ4A(40g)と過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(1.2 mg、3.4 mmol)が加えられた。そして、アルゴン下で室温で撹拌した。さらに、N-メチルモルホリンN-オキシド(22 g、0.19 mol)のアセトニトリル(200 mL)溶液を15分間かけて混合物に加えられ、さらに、室温で3時間の撹拌を行った。それから、溶離剤としてCH2Cl2を用い短いシリカゲルカラムに通し、減圧の下で溶媒を蒸発させた。こうして4-tert-ブチル-2,6-ジブロモベンズアルデヒド5a(35 g、0.11 mol、65%)を得、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した(CH2Cl2:n-ヘキサン)。さらに、エチルエーテルから無色針状結晶として再結晶させた。mp 65-66℃
1HNMR(CDCl3)δ1.26(9H、s)、7.56(2H、s)、10.18(1H、s)
13CNMR(CDCl3)δ30.7、35.3、125.1、129.7、131.1、158.6、190.9
MS(EI+)m/z(相対強度)303(52)、305(100)、307(50)、318(18)、320(36)、322(18)
C11H12OBr2 とした場合の計算値C 41.28%,H 3.78%,分析値C 41.07%,H 3.77%

【0028】
5,10,15,20-tetrakis(4-tert-ブチル-2,6-ジブロモフェニル)ポルフィリン6の合成
4-tert-ブチル-2,6-ジブロモベンズアルデヒド5a(6.9 g、22 mmol)をCHCl3(1.5 L)に溶かし、モレキュラーシーブ4A(7 g)を加え、反応混合液はアルゴン雰囲気下、室温で1時間パージされ、さらにピロール(1.5 mL、22 mmol)を添加した。そして、ボロントリフルオリド-エチルエーテル コンプレックス(1.9 mL)が5分間かけてシリンジより滴下し、遮光下で一晩撹拌した。その後、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(3.9 g、17 mmol)を添加した。そして、室温で2時間撹拌を行った。撹拌終了後、トリエチルアミン(3.2 ml)を添加した後、溶離剤としてCH2Cl2でシリカゲルの短いカラムに通した。さらに、分取液をエバポレータで溶媒を留去させ、残渣をメタノールで洗い、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2:n-hexane)によって精製し5,10,15,20-tetrakis(4-tert-ブチル-2,6-ジブロモフェニル)ポルフィリン6(1.7 g、1.2 mmol(22%))を得た。
1HNMR(CDCl3)δ-2.52(2H、s)、1.24(36H、s)、7.49(8H、s)、8.57(8H、s)
13CNMR(CDCl3)δ31.3、35.3、118.5、126.0、128.1、128.7、140.4、149.0、155.0
MS(FAB、3-ニトロベンジルアルコール) m/z(相対的強度)1468(59)、1469(64)、1470(76)、1471(75)、1472(73)、1473(62)
UV(ベンゼン)λmax 424nm(ε=223000 cm-1M-1)、517(12500)、594(3600)

【0029】
ポルフィリン亜鉛錯体7の合成
5,10,15,20-tetrakis(4-tert-ブチル-2,6-ジブロモフェニル)ポルフィリン6(1.7 g、1.2 mmol)と酢酸亜鉛2水和物(2.6 g、12 mmol)と2,4,6-トリメチルピリジン(4.3 mL)をジメチルホルムアミド(300 mL)に加え、2.5時間アルゴン下で還流を行った。その後、反応液を水(1.5 L)に注ぎ、沈殿物をろ別し、水とメタノールで洗浄し、赤紫色粉末のポルフィリン亜鉛錯体7(1.4 g、0.94 mmol、80%)を得た。
1HNMR(CDCl3)δ1.58(36H、s)、7.99(8H、s)、8.72(8H、s)
13CNMR(CDCl3)δ31.3、35.3、119.3、128.1、128.7、131.2、140.5、149.6、154.7
MS(FAB、3-ニトロベンジルアルコール)m/z(相対的強度)1534(100)、1535(63)、1536(35)
UV(ベンゼン)λmax428nm(ε=280000 cm1M-1)、555(21900)

【0030】
ポルフィリン亜鉛錯体8の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン(60 mL)にポルフィリン亜鉛錯体7 (150 mg, 9.78 × 10-5 mol)、フェニルボロン酸 (286 mg 2.35×10-3 mol)、K2CO3 (422 mg 3.06 × 10-3 mol)、およびPd(PPh3)4(136 mg, 1.18 × 10-4 mol)を加え、加熱還流下17時間撹拌した。その後、減圧濃縮することで紫色粉末を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム(4:1))で分離することにより紫色固体2 (93 mg, 63%)を得た。
1HNMR(500 MHz CDCl3): 8.45 (s, 8H), 7.63 (s, 8H), 6.62 (d,16H),6.35(t,8H),6.19(t, 16H), 1.60(s, 36H).
13CNMR(500 MHz CDCl3) : 150.86, 149.96, 144.95, 143.22, 137.01,131.37, 129.44, 126.39, 125.44, 124.98,116.57, 35.14, 31.88.
FAB-MS (m/z): 1511 [M +1]

【0031】
(実施例2及び実施例3)
下記反応式に従って、実施例2ではポルフィリン亜鉛錯体9を、実施例3ではポルフィリン亜鉛錯体10をそれぞれ合成した。以下、詳細に説明する。

【化7】
JP2014195800A_000009t.gif

【0032】
実施例2のポルフィリン亜鉛錯体9の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン(10mL)にポルフィリン亜鉛錯体7 (25 mg, 1.63 × 10-5 mol)、3,5-ジクロロフェニルボロン酸 (74 mg, 3.89 × 10-4mol)、K2CO3(77 mg, 5.58 ×10-4mol)、およびPd(PPh3)4(7 mg, 1.10 × 10-5mol)を加え、加熱還流下17時間撹拌した。その後、減圧濃縮することで紫色粉末を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム(4:1)) で分離することにより実施例2のポルフィリン亜鉛錯体9 (19 mg, 55%)を紫色固体として得た。
1HNMR(500 MHz CDCl3): 8.51 (s, 8H), 7.64 (s, 8H), 6.48 (s, 16H), 6.35 (t,8H), 1.63 (s, 36H).
13CNMR (500 MHz CDCl3) : 152.00,150.35, 145.33, 143.16, 136.03, 133.17, 131.77, 127.64, 127.24, 126.14, 125.92, 125.88, 125.77, 115.84, 35.25, 31.76, 31.74, 22.80, 14.27. FAB-MS (m/z): 2062 [M +1]

【0033】
実施例3のポルフィリン亜鉛錯体10の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン(4 mL)にポルフィリン亜鉛錯体7 (10 mg, 6.5 μmol)、3,5-ジメチルフェニルボロン酸 (23 mg, 153 μmol)、K2CO3 (30 mg, 214μmol)、およびPd(PPh3)4(3 mg, 4.7 μmol)を加え、加熱還流下17時間撹拌した。その後、減圧濃縮することで紫色粉末を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム(4:1)) で分離することにより実施例3のポルフィリン亜鉛錯体10(5.5 mg, 48%)を紫色固体として得た。
1HNMR (500 MHz CDCl3): 8.61 (s, 8H), 7.57 (s, 8H), 7.19 (s, 16H) 6.97(s,8H) , 2.37. (s, 48H), 1.59. (s, 36H).
13CNMR(500 MHz CDCl3): 150.73, 150.53, 145.40, 143.29, 141.60, 138.24, 136.02, 135.54, 131.62, 128.86, 127.36, 127.26, 126.63, 125.24, 117.48, 35.04, 31.86, 21.54, 20.78.
FAB-MS(m/z): 1735 [M+1]

【0034】
(実施例4~6)
上記実施例1~3のポルフィリン亜鉛錯体8,9,10を酸処理することによって亜鉛イオンを脱離させ、実施例4~6のポルフィリン化合物11,12,13を合成した(下記反応式参照)。以下、詳細に説明する。
【化8】
JP2014195800A_000010t.gif

【0035】
実施例4のポルフィリン化合物11の合成
実施例1のポルフィリン亜鉛錯体8をクロロホルムとメタノールの混合溶媒に溶解し、濃塩酸を加えて室温下7.5時間撹拌した。反応液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した。有機相を分液し、無水硫酸ナトリウムで乾燥したのちに、溶媒を留去して、実施例4のポルフィリン化合物11を紫色固体として得た(66 mg, 98%)。
1HNMR(500MHz CDCl3): 8.36 (s, 8H), 7.65 (s, 8H), 6.55 (d, 16H), 6.38 (t,8H), 6.21 (t, 16H), 1.60 (s, 36H),-3.40 (s, 2H).
13CNMR(500MHz CDCl3): 152.37, 144.61, 143.10, 133.52, 129.44, 127.52, 127.16, 126.25, 115.50, 35.29, 31.74. FAB-MS (m/z): 1448 [M +1]

【0036】
実施例5のポルフィリン化合物12の合成
実施例2のポルフィリン亜鉛錯体9(40 mg, 4.63 × 10-5 mol)を硫酸 (0.2 mL)中に懸濁させ、7.5時間100℃に加熱した。反応混合物に応液に炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した。ジクロロメタン (20 mL)を加え有機相を分液し、無水硫酸ナトリウムで乾燥したのちに、溶媒を留去して、実施例5のポルフィリン化合物12 (27 mg, 70%)を紫色固体として得た。
1HNMR(500MHz CDCl3): 8.45 (s, 8H), 7.65 (s, 8H), 6.46 (s, 16H), 6.38 (t, 8H), 1.62 (s, 36H), -2.90 (s, 2H).
13CNMR(500MHz CDCl3): 152.37, 144.61, 143.10, 133.52, 129.44, 127.52, 127.16, 126.25, 115.50, 35.29, 31.74. FAB-MS (m/z): 1998 [M +1]

【0037】
実施例6のポルフィリン化合物13の合成
実施例3のポルフィリン亜鉛錯体10(30 mg, 20.7 μmol)の1,2,4-トリクロロベンゼン (13 mL) 溶液にRu3(CO)12 (86 mg, 134 μmol) を加え、アルゴン気流中撹拌下24 時間加熱還流を行った.反応液をアルミナカラム (n-hexane/ CHCl3, 10/1) で分離精製し、実施例6のポルフィリン化合物13(20 mg, 61%)を赤色固体として得た。
1H NMR(500MHz CDCl3): 8.16 (s, 8H), 7.73 (s, 4H) 7.64 (s, 4H), 6.61-6.58(m,16H), 6.37-6.29 (m, 8H), 6.21-6.07 (m, 16H), 1.61 (s, 36H). FAB-MS (m/z): 1575 [M+1]

【0038】
(実施例7)
実施例7では、上記実施例4のポルフィリン化合物11にRuを配位させたポルフィリンRu錯体14を合成した(下記反応式参照)。
【化9】
JP2014195800A_000011t.gif

【0039】
実施例4のポルフィリン化合物11 (30 mg, 20.7 μmol)の1,2,4-トリクロロベンゼン (13 mL) 溶液にRu3(CO)12 (86 mg, 134 μmol) を加え、アルゴン気流中撹拌下24 時間加熱還流を行った.反応液をアルミナカラム (n-hexane/ CHCl3, 10/1) で分離精製し、実施例7のポルフィリンRu錯体14(20 mg, 61%)を赤色固体として得た。
1HNMR (500MHz CDCl3): 8.16(s, 8H), 7.73 (s, 4H) 7.64 (s, 4H), 6.61-6.58 (m, 16H), 6.37-6.29 (m, 8H), 6.21-6.07(m, 16H), 1.61 (s, 36H). FAB-MS (m/z): 1575 [M +1], FT-IR (KBr): ν 1949cm-1(CO)

【0040】
(実施例8)
実施例8では、5,10,15,20-tetrakis(4-tert-ブチル-2,6-ジブロモフェニル)ポルフィリン6にRuを挿入し、ポルフィリンRu錯体15とし、さらに鈴木-宮浦カップリングを行い実施例8のポルフィリンRu錯体16とした(下記反応式参照)。
【化10】
JP2014195800A_000012t.gif

【0041】
すなわち、5,10,15,20-tetrakis(4-tert-ブチル-2,6-ジブロモフェニル)ポルフィリン6 (200 mg, 136 μmol)の1,2,4-トリクロロベンゼン (13 mL) 溶液にRu3(CO)12 (100 mg, 156μmol) を加え、アルゴン気流中攪拌下24 時間加熱還流を行った.反応液をアルミナカラム (n-hexane/CHCl3,10/1) で分離精製し、実施例8のポルフィリンRu錯体16 (150 mg, 69%)を赤色固体として得た。
1HNMR(500MHz CDCl3):δ8.47 (s, 8H), 7.97 (s, 8H),1.53(s,36H).
FT-IR (KBr):ν 1971 cm-1 (CO)

【0042】
(実施例9)
実施例9では下記に示す合成ルートにより、ポルフィリンRu錯体24を合成した。以下詳細に述べる。

【化11】
JP2014195800A_000013t.gif

【0043】
化合物18の合成
アルゴン雰囲気下、n-BuOH (20 mL)に化合物17 (10 g 32.4 mmol)およびtert-BuOK (364 mg 3.24 mmol)を加え、4時間撹拌した。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を減圧留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)により分離させて白色粉末化合物18 (9.4 g, 84 %)を得た。
1HNMR(500MHz CDCl3): 8.13 (s, 2H), 4.31 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.61(s 3H), 1.77-1.71 (m, 2H), 1.48-1.43 (m, 2H), 0.98 (t, J = 7.4 Hz, 3H).

【0044】
化合物19の合成
四塩化炭素130 mLに化合物18 (9.4 g, 26.9 mmol)、N-bromosuccinimide (4.79 g, 26.9 mmol)、およびdibenzoyl peroxide (653 mg, 2.69 mmol)を加えてハロゲンランプを照射しながら2時間撹拌した。その後、反応溶液をろ過し、ろ液を減圧留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)により分離させて黄色油状物20 (11.2 g, 97 %)を得た。
1HNMR(500 MHz CDCl3): 8.17 (s, 2H), 4.82 (s, 3H), 4.33 (t, J =7Hz 2H), 1.78-1.72 (m, 2H), 1.48-1.43 (m, 2H), 0.98 (t, J =7.4 Hz, 3H).

【0045】
化合物20の合成
n-BuOH (140 mL)にt-BuOK (2.93 g, 26.1 mmol)、および2-nitropropane (2.8 mL, 31.0 mmol)を加え、これにn-BuOH (40 mL)に化合物19 (11.2 g, 26.1 mmol)を溶かした溶液を滴下し、一晩撹拌した。その後、溶媒を減圧留去し、ジクロロメタンに溶かし、ろ過して、ろ液を減圧留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン1:1)により分離させて白色粉末の化合物20 (11.2 g,97 %)を得た。
1HNMR(500 MHz CDCl3): 10.2 (s, 1H), 8.23 (s, 2H), 4.35 (t, J =6.7Hz, 2H), 1.76 (q, J = 7.4 Hz, 2H), 1.46 (se, J = 7.6 Hz, 2H), 0.98 (t J =7.9 Hz, 3H).

【0046】
化合物21の合成
脱水クロロホルム(1.0 L)にモリキュラーシーブスAW-300 (10 g)加え、アルゴンバブリングしながら30分撹拌した後、化合物20 (3.64 g, 10.0 mmol)、 およびピロール (0.7 mL 10.0mmol)を加え、アルゴンバブリングしながら30分撹拌した。その後、BF3・OEt2 complex (1.2mL, 10.0 mmol)を加え、アルゴン雰囲気下、遮光しながら20時間撹拌した。その後、DDQ (1.51 g, 6.65 mmol)を加え、1.5時間撹拌した後、反応溶液を、シリカゲルを充填したろ過カラムに通し、先端に流出する紫色部分を集め、減圧留去した。析出した紫色結晶をメタノールで洗浄し、化合物21 (730 mg 18%)を得た。
1HNMR (500 MHz CDCl3): 8.67 (s, 8H), 8.62 (s, 8H), 4.53 (t, J=6.7Hz, 2H), 1.92 (q, J = 7.4 Hz, 2H), 1.61 (se, J = 7.6 Hz, 2H), 1.08 (t, J =7.9 Hz, 3H).
FAB-MS (m/z): 1646 [M +1]

【0047】
化合物22の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン(5 mL)に化合物21 (45 mg, 28.1 μmol)、フェニルボロン酸 (80 mg, 670 μmol)、K2CO3(120 mg, 865 μmol)、およびPd(PPh3)4(30 mg, 44.5 μmol)を加え、攪拌下20時間加熱還流した。その後、減圧濃縮することで赤色粉末を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン(1:2))で分離することにより化合物22 (35 mg, 78%)を得た。
1HNMR(500MHz CDCl3): 8.34 (s, 8H), 8.32 (s, 8H), 6.54 (t, J =7.5Hz, 16H), 6.39 (d, J =7.5Hz, 8H) , 6.21 (t, J =7.6Hz,16H) 4.89(t, J =6.7 Hz, 8H), 1.85 (q, J =7.4 Hz, 8H), 1.54(se, J=7.6Hz, 8H), 1.02 (t, J =7.9 Hz, 12H).
13CNMR(500MHz CDCl3): 166.86, 166.58, 166.11, 145.94, 141.13, 130.88, 129.29, 127.87, 126.81, 125.75, 65.43, 31.06, 19.50, 16.32, 13.98.
FAB-MS (m/z): 1624 [M+1]

【0048】
化合物23の合成
化合物 21 (130 mg, 78.9 μmol)の1,2,4-トリクロロベンゼン (1.5 mL) 溶液にRu3(CO)12 (60 mg, 93.8 μmol)を加え、アルゴン気流中攪拌下24 時間加熱還流を行った.反応液を冷却後アルミナカラム (n-hexane/ CHCl3, 1 :1) で分離精製し、実施例9のポルフィリンRu錯体23 (81 mg 57%)を赤色固体として得た。
1HNMR(500MHz CDCl3): 8.63 (s, 4H), 8.62 (s, 4H), 8.42 (s, 8H), 4.50(t, J =6.7 Hz, 8H), 1.89 (q, J =7.4 Hz, 8H), 1.59 (se, J =7.6 Hz, 8H), 1.07 (t, J =7.9 Hz, 12H).
13CNMR (500 MHz CDCl3): 181.88, 164.45, 161.79, 160.94, 143.00, 132.58, 132.53,132.51, 132.24, 131.31, 66.13, 30.95, 19.46, 13.96. FAB-MS (m/z): 1774 [M +1]. FT-IR (KBr): ν 1949 cm-1 (CO), 1745 cm-1 (C=O)

【0049】
実施例9のポルフィリンRu錯体24の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン(3 mL)、H2O (0.3 mL)に化合物23 (20 mg, 11.2 μmol)、フェニルボロン酸 (32mg 268μmol)、K3PO4 (78 mg, 346 μmol)、およびPd(PPh3)4 (12 mg, 17.6 μmol)を加え、110 °Cで20時間撹拌した。その後、減圧濃縮することで赤色粉末を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン(1:2) で分離することにより、実施例9のポルフィリンRu錯体24 (35 mg, 78%)を赤色固体として得た。
1HNMR(500 MHz CDCl3): 8.41 (s, 4H), 8.33 (s, 4H), 8.13 (s, 8H), 6.61-6.56 (m, 16H), 6.40-6.32 (m, 16H), 6.22-6.08 (m, 8H), 4.50 (t, J =6.7 Hz, 8H), 1.87 (q, J =7.4 Hz, 8H), 1.56 (se, J =7.6 Hz, 8H), 1.04 (t, J =7.9 Hz, 12H). 13CNMR (500 MHz CDCl3): 187.12, 166.94, 149.17,145.32, 143.93, 143.29, 131.55, 130.86, 129.38, 129.17, 127.02, 126.09, 117.57, 117.37, 65.41, 31.07, 19.51,13.99. FAB-MS (m/z): 1751 [M +1]. FT-IR (KBr): ν 1955 cm-1 (CO), 1720 cm-1 (C=O)

【0050】
(実施例10,11)
ポルフィリンRu錯体23を原料として、実施例10ではポルフィリンRu錯体25、実施例11ではポルフィリンRu錯体26を合成した(下記化学反応式参照)。以下に詳細を述べる。
【化12】
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【0051】
実施例11のポルフィリンRu錯体26の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン(6 mL)、H2O (0.6 mL)にポルフィリンRu錯体23 (30 mg, 16.8 μmol)、3,5-ジクロロフェニルボロン酸 (75 mg, 402 μmol)、K3PO4 (117 mg, 519μmol)、およびPd(PPh3)4 (18 mg, 26.4 μmol)を加え、攪拌下20時間加熱還流した。反応液を冷却後、減圧濃縮することで赤色残渣を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン(1:2)) で分離することにより、ポルフィリンRu錯体26 (20 mg, 56%)を得た。
1HNMR(500 MHz CDCl3): 8.34 (s, 8H), 8.30-8.28 (m, 8H), 6.56-6.51 (m, 16H), 6.45-6.43 (m, 8H), 4.52 (t, J =6.7 Hz, 8H), 1.88 (q, J =7.4 Hz, 8H), 1.55 (se, J =7.6 Hz, 8H), 1.05 (t, J =7.9 Hz, 12H).
13CNMR (500 MHz CDCl3): 143.77, 142.41, 141.57, 141.25, 135.82, 135.79, 134.00, 133.35, 132.21, 128.53, 128.33, 125.88, 125.77, 65.85, 31.03, 19.45, 13.97. FT-IR (KBr): ν 1975 cm-1 (CO), 1720 cm-1 (C=O)

【0052】
実施例11のポルフィリンRu錯体27の合成した
アルゴン雰囲気下、トルエン(3 mL)、H2O (0.3 mL)にポルフィリンRu錯体23 (20 mg, 11.2 μmol)、3,5-ジメチルフェニルボロン酸 (40 mg, 268 μmol)、K3PO4 (78 mg, 346μmol)、およびPd(PPh3)4(12 mg, 17.6 μmol)を加え、攪拌下20時間加熱還流した。その後、減圧濃縮することで赤色粉末を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン(1:2) )で分離することにより、ポルフィリンRu錯体26 (12 mg, 60%)を赤色固体27として得た。
1HNMR(500 MHz CDCl3): 8.43 (s, 8H), 8.21-8.15 (m, 8H), 6.28-6.25 (m, 16H),5.97-5.96 (m, 8H), 4.47 (t, J =6.7 Hz, 8H), 1.83 (q, J =7.4 Hz, 8H), 1.54 (se, J =7.6 Hz, 8H), 1.25-1.24 (m,48H) 1.02 (t, J =7.9 Hz, 12H). 13CNMR (500 MHz CDCl3): 180.67,163.56, 136.37,132.28, 132.17, 131.31,130.72, 128.69, 128.13, 127.39, 126.20, 122.44, 66.26, 31.01, 19.49, 13.98. FT-IR (KBr): ν 1951 cm-1 (CO), 1723 cm-1(C=O)

【0053】
(実施例12)
実施例12では、前述の方法により合成したポルフィリン化合物21を原料として、3,4,5-トリフルオロフェニル基が導入されたポルフィリン化合物28を合成した(下記化学反応式参照)。以下に詳細を述べる。
【化13】
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【0054】
実施例12のポルフィリン化合物28の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン(8 mL)にポルフィリン化合物21(72 mg; 0.044 mmol)、3,4,5-トリフルオロフェニルボロン酸 (185.8 mg; 1.06 mmol)、リン酸カリウム (292 mg; 1.38 mmol)、Pd(PPh3)4 (30 mg, 44.5 mmol)、水 (0.8 mL)を加え攪拌下20時間加熱還流した。その後、減圧濃縮することで赤色粉末を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン (2:1) → ジクロロメタン 100%)で分離することによりポルフィリン化合物28 (24.8 mg, 27.4%)を得た。
1HNMR(500MHz CDCl3): 8.40 (s, 8H), 8.34 (s, 8H), 6.20 (s, 16H), 6.21 (t, J =7.6Hz, 16H) 4.54 (t, J =6.9 Hz, 8H), 1.90 (q, J =6.9 Hz, 8H), 1.58 (se, J=7.5 Hz, 8H), 1.06 (t, J =7.5 Hz, 12H), -2.60 (s, 2H).
FAB-MS (m/z): 2055 [M+H] +

【0055】
(実施例13)
実施例12では、前述の方法により合成したポルフィリン化合物21を原料として、4-トリフルオロメチルフェニル基が導入されたポルフィリン化合物29を合成した(下記化学反応式参照)。以下に詳細を述べる。
【化14】
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【0056】
実施例13のポルフィリン化合物29の合成
アルゴン雰囲気下、トルエン(11 mL)にポルフィリン化合物21(50 mg; 0.030 mmol)、4-トリフルオロメチルフェニルボロン酸 (144 mg; 0.76 mmol)、リン酸カリウム (193 mg; 1.38 mmol)、Pd(PPh3)4 (53 mg, 46 mmol)、水 (1.1 mL)を加え攪拌下110時間100℃で加熱した。その後、減圧濃縮することで紫色粉末を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム (1:4))で粗精製し、その後GPCで精製することにより、ポルフィリン化合物29 (22.1 mg, 50%)を得た。
1H NMR (500MHz CDCl3): 8.38 (s, 8H), 6.59 (d, J = 8.2 Hz, 16H), 6.49 (d, J = 8.2 Hz, 16H), 4.52 (t, J = 6.7 Hz, 8H), 1.88 (m, 8H), 1.56 (m, 8H), 1.05 (t, J = 7.3 Hz, 12H), -3.37 (s, 2H). FAB-MS (m/z): 2168 [M+H] +

【0057】
(比較例1)
触媒の比較例1としてRu(TMP)(CO)(ルテニウム テトラキス(2,4,6-トリメチルフェニル)ポルフィリン カルボニル錯体)を選んだ。

【0058】
<触媒機能の評価(その1)>
以上のようにして合成した実施例7、9及び11のポルフィリンRu錯体を触媒とし、n-ヘプタンのジクロロピリジンN-オキシドによる酸化を行った。
すなわち、アルゴン雰囲気下、蒸留ベンゼンにヘプタン(0.7 mL)、モレキュラーシーブ4A (33 mg)、および実施例のポルフィリンRu錯体(1.5 mol)を加え、これに35%塩酸(30 L)を添加した。その後、ベンゼン(1 mL)にジクロロピリジンN-オキシド(164 mg, 1 mmol)を溶かした溶液を、シリンジポンプを用いて滴下(100μL/h)しながら60℃で17時間撹拌した。反応終了後、室温に戻し、反応溶液にジアゾメタンエーテル溶液を加え、20分撹拌した。その後ガスクロマトグラフィーで生成物の定量を行った。なお、内部標準物質として、クロロベンゼン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、1-ヘプタノール及びヘプタン酸ブチルを用いた。結果を表1に示す。

【0059】
【表1】
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【0060】
上記結果から明らかなように、実施例7、9及び11のポルフィリンRu錯体はジクロロピリジンN-オキシドを酸化剤とするケトンへの酸化の良い触媒となることが分かった。さらに、その酸化は、2位の炭素において高い選択性をもって起こることが分かった。
なお、上記酸化触媒としての試験では、基質をヘプタンとしたが、他のヘキサンやオクタンなどの他の鎖状炭化水素においても、ケトンへの酸化触媒となる。さらには、シクロヘキサンやシクロペンタン等の環状飽和炭化水素であっても同様に環状ケトンへの酸化触媒となる。Ru以外の金属が配位するポルフィリン金属錯体や金属が配位していないポルフィリン化合物であっても同様に鎖状炭化水素に環状飽和炭化水素の酸化触媒となる。

【0061】
<触媒機能の評価(その2)>
前述のようにして合成した実施例10のポルフィリンRu錯体25を触媒とし、p-メンタンのジクロロピリジンN-オキシドによる酸化を行った(下記化学反応式参照)。また、比較のために比較例1の触媒であるRu(TMP)(CO)を用い、同様の酸化反応を行った。
【化15】
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【0062】
(実施例10のポルフィリンRu錯体25を触媒とした場合)
10 mLの二頸フラスコにモレキュラーシーブス4Aを87 mg加え,アルゴン置換した後、ポルフィリンRu錯体25 (18.5 mg ; 8.50 μmol, 2 mol%)、2,6-ジクロロピリジンN-オキシド (81.0 mg; 0.490 mmol),ベンゼン 2 mL,p-メンタン (66 μL ; 54.0 mg; 0.380 mmol), 濃塩酸30 mL添加し、アルゴン下60 ℃で15時間攪拌した. 溶媒を留去し, 残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン:塩化メチレン = 1:1)により分離精製を行い、水酸化体A 31.7 mg (収率 53.0%)、水酸化体B 10.6 mg (収率 17.7%)を得た.

【0063】
(比較例1の触媒であるRu(TMP)(CO)を用いた場合の酸化実験)
10 mLの二頸フラスコにモレキュラーシーブス4Aを87 mg加え,アルゴン置換した後Ru(TMP)(CO) (7.7 mg ; 8.5 mmol, 2 mol%)、2,6-ジクロロピリジンN-オキシド (81 mg; 0.49 mmol),ベンゼン 2 mL,p-メンタン (66 mL ; 54 mg; 0.38 mmol), 35%塩酸30 μL添加し、アルゴン下60 ℃で15時間攪拌した. 溶媒を留去し, 残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン:塩化メチレン = 1:1)により分離精製を行い、水酸化体A 11.8 mg (収率 20%)、水酸化体B 7.4 mg (収率 13%)を得た.

【0064】
実施例10及び比較例1の触媒を用いた場合の結果を表2に示す。この表から明らかなように、ポルフィリンRu錯体25を触媒とした実施例10の場合には、Ru(TMP)(CO)を触媒とした比較例1と比べて、アルキル側鎖の3級炭素がアルコールに酸化された水酸化体Aが選択的に多く生成することが分かった。
【表2】
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【0065】
本発明のポルフィリン化合物の製造方法や本発明のポルフィリン金属錯体の製造方法を用いれば、メソ位フェニル基のオルト位に嵩高い置換フェニル基を導入されたポルフィリン化合物を製造することができる。このため、Suslickらが合成したメソ位フェニル基のオルト位にフェニル基が結合したポルフィリン化合物よりもさらに開口部位が狭いポルフィリン化合物を合成することができる。この特異な反応場を提供できるため、触媒反応において、より選択性が向上することが考えられる。導入する置換フェニル基として3,5ジクロロフェニル基や3,5ジメチルフェニル基を用いた場合、どの程度基質への開口部位が狭くなるのかを化学計算ソフトウェアSPARTANを用いて導き出した結果を図1に示す。この図から、3,5ジクロロフェニル基を導入したポルフィリン開口部が2.7 オングストローム、3,5ジメチルフェニル基を導入したポルフィリン開口部が2.6 オングストロームとなり、Suslickらの合成した中で最も嵩高いポルフィリンの開口部4.1 オングストロームよりもはるかに開口部位が狭くなっていることがわかる。

【0066】
この発明は、上記発明の実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
図面
【図1】
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