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明細書 :金担持シリコン粒子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-056056 (P2016-056056A)
公開日 平成28年4月21日(2016.4.21)
発明の名称または考案の名称 金担持シリコン粒子の製造方法
国際特許分類 C01B  33/02        (2006.01)
H01M   4/38        (2006.01)
H01M   4/36        (2006.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
FI C01B 33/02 Z
H01M 4/38 Z
H01M 4/36 C
B82Y 40/00
B82Y 30/00
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2014-182991 (P2014-182991)
出願日 平成26年9月9日(2014.9.9)
発明者または考案者 【氏名】新井 進
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
審査請求 未請求
テーマコード 4G072
5H050
Fターム 4G072AA01
4G072BB05
4G072DD06
4G072GG03
4G072JJ09
4G072JJ21
4G072JJ28
4G072KK03
4G072LL06
4G072MM21
4G072QQ06
4G072UU15
4G072UU30
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA12
5H050AA19
5H050BA15
5H050CB11
5H050DA03
5H050DA09
5H050EA05
5H050FA17
5H050FA18
5H050GA10
5H050GA15
5H050GA24
5H050GA27
5H050HA10
5H050HA12
5H050HA14
要約 【課題】 表面に金が担持したシリコン粒子を容易に製造することができる金担持シリコン粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る金担持シリコン粒子の製造方法は、金溶液にアルカリを投入して金溶液のpHを調整する工程と、pHを調整した金溶液にシリコン粒子を投入し、前記シリコン粒子の表面に金を析出させる工程とを備えること、または、金溶液にシリコン粒子を分散させた分散液を調製する工程と、前記分散液にアルカリを投入し、前記シリコン粒子の表面に金を析出させる工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
金溶液にアルカリを投入して金溶液のpHを調整する工程と、
pHを調整した金溶液にシリコン粒子を投入し、シリコン粒子の表面に金を析出させる工程を備えることを特徴とする金担持シリコン粒子の製造方法。
【請求項2】
前記金溶液のpHを調整する工程において、前記金溶液のpHをアルカリ性とすることを特徴とする請求項1記載の金担持シリコン粒子の製造方法。
【請求項3】
前記金溶液のpHを調整する工程において、前記金溶液のpHを酸性とすることを特徴とする請求項1記載の金担持シリコン粒子の製造方法。
【請求項4】
金溶液にシリコン粒子を分散させた分散液を調製する工程と、
前記分散液にアルカリを投入し、前記シリコン粒子の表面に金を析出させる工程とを備えることを特徴とする金担持シリコン粒子の製造方法。
【請求項5】
前記分散液に添加するアルカリの添加量を、アルカリを添加して中和作用が完了した後の分散液のpHが酸性となる分量に設定することを特徴とする請求項4記載の金担持シリコン粒子の製造方法。
【請求項6】
前記分散液に添加するアルカリの添加量を、アルカリを添加して中和作用が完了した後の分散液のpHがアルカリ性となる分量に設定することを特徴とする請求項4記載の金担持シリコン粒子の製造方法。
【請求項7】
前記分散液の液温を、前記シリコン粒子が溶解しない温度に設定することを特徴とする請求項4~6のいずれか一項記載の金担持シリコン粒子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金担持シリコン粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッドカーや電気自動車用のリチウムイオン電池には現在実用されているリチウムイオン電池よりはるかに高いエネルギー密度が要求されている。このため、次世代リチウムイオン電池用の電極材料の研究が進んでいる。現在のリチウムイオン電池負極活物質材料にはグラファイト(理論容量 372 mA h / g)が用いられているが、グラファイトの約11倍(4200 mA h/ g)の理論容量を持つシリコンが次世代負極活物質材料として期待されている。しかし、シリコンはリチウムイオンと反応すると体積が約4倍に増大するため、充放電時に微粉化し電極から剥がれることにより活物質としての働きが失われる。また、シリコンは半導体であるため導電性が低い。
【0003】
本発明者は、シリコンに導電性を与えるために、還元剤を用いた無電解めっき法により金担持した導電性シリコンナノ粒子の創製について報告した(非特許文献1、2)。また、シリコンの表面に金を担持させる方法として、フッ酸を用いる置換めっきによる方法が報告されている(非特許文献3)
なお、活物質としてシリコンを使用する場合に、充放電時のシリコンの形状変化を安定させるため金属とシリコンとを合金化し、粉砕した粉体状のものを集電体にバインダーで固着する方法(特許文献1)、負極材料と固体電解質とを含む負極層を使用し、シリコン表面にニッケル、銅等の導電性物質をめっき法等により付着させたものを使用するもの(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2006-100244号公報
【特許文献2】特開2012-146479号公報
【0005】

【非特許文献1】Richie Kurnia Arief, 新井 進; 表面技術協会127回講演大会要旨集, p.31(2013)
【非特許文献2】Richie Kurnia Arief, 新井 進; 第3回CSJ化学フェスタ2013講演予稿集, p.547(2013)
【非特許文献3】S. Yae, K. Sakabe, N. Fukumuro, S. Sakamoto, H. Matsuda; Journal of The Electrochemical Society, 158(9), 573-577(2011).
【非特許文献4】A.H. Reshak, M.M. Shahimin, S. Sharri, N. Johan; Prog. Biophys. Mol. Biol., 113 (2013) 327.
【非特許文献5】Y. Fulong, G. Yongfeng, L. Yingchun, Y. Yongda, F. Honggang, C. Kai, L. Xichun; J. Materials Processing Technology, 149 (2004) 567.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコンの表面に金を担持させる方法として、還元剤を用いて無電解めっきする方法は、シリコンの表面で金が凝集し、均一な金担持が難しく、また、金が凝集するため、導電性を付与するには大量の金が必要になる。また、シリコン表面は酸化膜によって被覆されているため、シリコン表面に単に金を担持させたのではシリコンの導電性が改善されないという問題があった。
【0007】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、シリコン粒子の表面に確実にかつ容易に金を担持させることができる金担持シリコン粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る金担持シリコン粒子の製造方法は、金溶液にアルカリを投入して金溶液のpHを調整する工程と、pHを調整した金溶液にシリコン粒子を投入し、シリコン粒子の表面に金を析出させる工程を備えることを特徴とする。
金溶液とは、NaAuCl4・2H2O等の金塩の水溶液で、シリコン粒子に金を供給する作用を有するものである。
【0009】
本発明方法において、前記金溶液のpHをアルカリ性とすることにより、シリコン粒子に担持される金の量を多くすることができ、前記金溶液のpHを酸性にすることにより、アルカリ性とした場合と比較して、シリコン粒子に担持される金の分量を抑え、析出する金の大きさを抑制して、シリコン粒子の表面に均一に金を析出させることができる。
【0010】
また、本発明に係るシリコン粒子の製造方法は、金溶液にシリコン粒子を分散させた分散液を調製する工程と、前記分散液にアルカリを投入し、前記シリコン粒子の表面に金を析出させる工程とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記金溶液に添加するアルカリの添加量を、アルカリを添加して中和作用が完了した後の金溶液のpHが酸性となる分量に設定することにより、シリコン粒子の表面に析出する金の大きさを10nm程度の大きさに抑えることができ、シリコン粒子の表面に均一に金を担持させることができる。
また、前記金溶液に添加するアルカリの添加量を、アルカリを添加して中和作用が完了した後の金溶液のpHがアルカリ性となる分量に設定することにより、シリコン粒子の表面に担持させる金の分量を溶液を酸性の状態にした場合と比較してより多く金を析出させることができる。
【0012】
また、前記分散液の液温を、前記シリコン粒子が溶解しない温度に設定することにより、シリコン粒子の表面に確実に金を担持させることができる。シリコン粒子を溶解しない分散液の液温としては25℃~50℃が好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る金担持シリコン粒子の製造方法によれば、シリコン粒子の表面に容易に金を担持させることができる。シリコン粒子の表面に担持された金は酸化膜を介することなくシリコン粒子上に担持されることから、シリコン粒子の導電性を確実に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】NaAuCl4・2H2O水溶液のpHを共通とし、金の濃度を変えて得られた金担持シリコン粒子のSTEM写真である。
【図2】金担持シリコン粒子についてのXRD測定結果を示すグラフである。
【図3】金濃度を共通とし、NaAuCl4・2H2O水溶液のpHを変えて得られた金担持シリコン粒子のSTEM写真である。
【図4】金溶液とシリコン粒子の分散液にKOHを添加して反応させた後のSTEM写真である。
【図5】KOH濃度を変えたときの金担持シリコン粒子の金の含有率を測定した結果を示すグラフである。
【図6】分散液の液温を変えて処理して得られた金担持シリコン粒子のSTEM写真(低倍率)である。
【図7】分散液の液温を変えて処理して得られた金担持シリコン粒子のSTEM写真(高倍率)である。
【図8】分散液の液温に対する金の含有率を測定した結果を示すグラフである。
【図9】アルカリ処理によってシリコン粒子の表面に金が担持される作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(金担持シリコン粒子の作製方法:I)
所定のpH値及び金濃度に調整した金溶液を調製し、この金溶液にシリコン粒子を投入する方法によってシリコン粒子の表面に金を担持させる方法による実験例について説明する。

【0016】
実験で使用した液組成、pH、金濃度等を以下に示す。
浴組成
ナノシリコン粒子 :2g/L
NaAuCl4・2H2O :3.13、6.25、12.5、25.0 mM
pH(KOH) : 5、7、9、11、13
反応時間:2時間 浴温:25、30、50、70℃
金を担持させるシリコン粒子として、市販のナノシリコン粒子(粒径50nm)を使用した。
シリコン粒子に金を担持させる操作は、NaAuCl4・2H2Oの水溶液にKOHを加えてpH調整した後、シリコン粒子を金溶液に投入して反応させる方法である。反応時間は2時間である。

【0017】
(金濃度を変えた場合:pH一定)
図1は、NaAuCl4・2H2Oの水溶液のpHを共通(pH=13)とし、NaAuCl4・2H2Oの濃度を3.13、6.25、12.5、25.0mMとして金を担持させたシリコン粒子の走査型透過電子顕微鏡写真(STEM)である。溶液温度は25℃である。
図1で、黒く見えているものが金(金粒子)である。シリコン粒子は薄い色で球形に見えている(粒径50nm)。
NaAuCl4・2H2O水溶液の濃度が低いサンプルについては、シリコン粒子上に粒状に金が担持されている。NaAuCl4・2H2O水溶液の濃度が高くなると金は若干凝集する傾向にある。

【0018】
各々の図中に、シリコン粒子と析出された金を合わせた重量に対する金の重量比(金含有率)を示す。濃度3.13mMの場合の金含有率は23.4(mass%)、6.25mMでは29.6(mass%)、12.5mMでは28.3(mass%)、25.0mMでは35.5(mass%)である。
この実験結果から、金濃度を上げることにより、金担持が増える傾向にあることがわかる。

【0019】
図2は、NaAuCl4・2H2O水溶液のpH=13、金濃度12.5mMとした金溶液にシリコン粒子を投入し、2時間反応させて得られたシリコン粒子のXRD測定結果を示す。
図2で上段のグラフはシリコン単体についてのもの、中段のグラフはシリコン粒子と金の溶液に還元剤を滴下する方法で行った場合のもの、下段のグラフは本実験によるものである。
図2のXRD測定結果から、pH=13のNaAuCl4・2H2O水溶液を用いた置換めっきにより、シリコン粒子上に金が析出したことがわかる。

【0020】
(pHを変えた場合:金濃度一定)
図3は、金濃度を共通の12.5mMとし、NaAuCl4・2H2O水溶液のpHを7、9、11、13としてシリコン粒子と反応させた後の金担持シリコン粒子のSTEM写真である。液温度は25℃である。
図3のSTEM写真は図1と比べて倍率が高く、また、pH=7のSTEM写真は他のpHの写真よりも倍率が高くなっている。
図3で、まるく黒く見えているものが金である。これらの写真から、5nm~20nm程度の微小な金粒子がシリコン粒子上に析出していることがわかる。

【0021】
各々の図に、各金溶液を用いて得られた金担持シリコン粒子の金含有率(シリコン粒子と析出した金を合わせた重量に対する金の重量比)を示す。
pH=7の金溶液を使用した場合の金含有率が24.0(mass%)、pH=9では23.8(mass%)、pH=11では24.5(mass%)、pH=13では23.6(mass%)である。
この実験結果は、金溶液のpH値が相違しても析出する金の量はさほど変わらないことを示している。
金溶液のpH値が7(中性)の場合でもシリコン粒子に金が担持されている。また、金溶液のpHを5としてシリコン粒子と反応させる実験から、得られた金担持シリコン粒子の金含有率が4.2(mass%)となる結果が得られている。この実験結果は、金溶液が中性あるいは酸性域においてもシリコン粒子上に金が担持されることを示している。

【0022】
(金担持シリコン粒子の作製方法:II)
所定の金濃度の水溶液にシリコン粒子を加えた分散液を作製し、次にアルカリを投入してシリコン粒子の表面に金を担持させる実験例について説明する。
使用した液組成等を以下に示す。
ナノシリコン粒子 濃度:2g/L
金溶液 NaAuCl4・2H2O 濃度:12.5mM
液温度:25℃
アルカリ KOH 濃度:2g/L、4g/L、10g/L、20g/L
反応時間:2時間
NaAuCl4・2H2Oの水溶液にナノシリコン粒子を加えて分散液を調製した後、分散液にKOHを2g/L、4g/L、10g/L、20g/L加えて反応させた後、吸引濾過し、真空乾燥機を用いて乾燥させ、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて観察した。

【0023】
図4は、KOHを2g/L、4g/L、10g/L、20g/L添加して反応させた後のSTEM写真である。写真で黒く見えている部分が金である。KOHの添加量が2g/L、4g/Lのときには、10nm前後の小さな粒状にナノシリコン粒子上に金が析出している。KOHの添加量が増大するとともに、析出する金の分量が多くなり、金が塊状(凝集)となっていくことがわかる。

【0024】
図5は、上記処理を行って得られた金担持シリコン粒子の金含有率(シリコンと析出した金を合わせた重量に対する金の重量比)を測定した結果をグラフに示したものである。
KOH:2g/L-金含有率:13.6(mass%)、KOH:4g/L-金含有率:21.9(mass%)、KOH:10g/L-金含有率:28.8(mass%)、KOH:20g/L-金含有率:37.2(mass%)である。
この測定結果は、KOHの添加量を増大させるとともに、金の析出量が増えていることを示している。

【0025】
この実験において、分散液に添加するKOHの分量を増加させていくということは、強酸性である分散液がKOHの添加によってアルカリ性に移行することを意味する。ただし、添加するKOHの分量が2g/Lのときは、分散液のpHは6であり、実際にはアルカリ性に移行していない。この実験結果は、KOHを添加してアルカリ性に移行しない場合でもシリコン粒子の表面に金が析出することを示している。また、KOHを添加して分散液がアルカリ性に移行する場合には、シリコン粒子上にはより多くの金が析出することを示している。

【0026】
(液温度による影響)
金溶液にナノシリコン粒子を分散させた後、アルカリとしてKOHを加えてナノシリコン粒子の表面に金を担持させる実験で、液温度を変えて実験した結果について説明する。
使用した液組成等を以下に示す。
ナノシリコン粒子 濃度:2g/L
金溶液 NaAuCl4・2H2O 濃度:12.5mM
アルカリ KOH 濃度:10g/L
液温度:25、30、50、70℃
反応時間:2時間
NaAuCl4・2H2O水溶液にナノシリコン粒子を加えて攪拌し、液温度を25、30、50、70℃として、それぞれKOHを加え、2時間反応させた後、吸引濾過し、乾燥させた後、走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて観察した。

【0027】
図6は、液温度25、30、50、70℃でそれぞれ処理して得られた金担持シリコン粒子のSTEM写真である。写真で黒く見えている部分が金である。液の温度が高くなるにしたがって、金が凝集する様子がわかる。
図7は、高倍率としたときのSTEM写真である。液温が25℃、30℃のときのSTEM写真にはナノシリコン粒子(50nm)が見えており、シリコン粒子の表面に粒状に金粒子が担持されていることがわかる。液温50℃、70℃では、金が凝集し、液温70℃ではナノシリコン粒子が見えていない。

【0028】
図8は、上記処理によって得られた金担持シリコン粒子の金含有率(シリコンと析出した金を合わせた重量に対する金の重量比)を測定した結果をグラフに示したものである。
液の温度に対する金の含有率は次の通りである。
液温:25℃-金含有率28.8(mass%)、液温:30℃-金含有率36.9(mass%)、液温:50℃-金含有率60.7(mass%)、液温:70℃-金含有率98.7(mass%)。
この測定結果は、液温が高くなるにしたがって金含有率が高くなること、とくに液温70℃では、金含有率が98.7(mass%)となり、シリコン粒子がほとんど溶解してしまい金のみとなることがわかる。
したがって、上記方法によって金担持シリコン粒子を作製するには、シリコン粒子が溶解しない温度域に液温をコントロールする必要がある。液温としては、25℃~50℃程度にがコントロールすることが有効である。

【0029】
図9は、アルカリ処理によってシリコン粒子の表面に金が担持される作用を示す。
シリコン粒子の表面は酸化膜によって被覆されているが、アルカリ(KOH)の作用により、酸化膜が溶け、シリコンがエッチングされることで電子を放出し、陽イオンの金イオンが吸着することにより金が析出する。
金は酸化膜を介さずにシリコン粒子にじかに担持されることにより、シリコンの導電性が確実に向上する。

【0030】
金溶液がアルカリ域において、シリコン粒子の表面に担持される作用は図9に示す作用によって説明できるが、上述した分散液に添加するKOHの量が分散液をアルカリ性にする量に達しない場合でもシリコン粒子の表面に金が析出する理由は次のように考えられる。
すなわち、分散液にアルカリ(KOH)を投入すると、瞬間的にはシリコン粒子の表面がアルカリエッチングされ、シリコン粒子の表面に金粒子が担持される作用が生じ、これによってシリコン粒子に金が担持されると考えられる。前述した、分散液を中性あるいは酸性に調整してシリコン粒子を投入した場合もシリコン粒子の表面に金が析出する結果が得られていることは、シリコン粒子の表面に金を析出させる作用は、分散液がアルカリ性でなくても生じることを示している。

【0031】
本発明に係る金担持シリコン粒子の製造方法によれば、シリコン粒子の表面に簡単に金を担持させることができ、たとえばシリコン粒子に導電性を付与するといったことが容易に可能になる。また、本製造方法によって得られる金担持シリコン粒子は、シリコン粒子の表面に10nm程度のきわめて微小な金を担持したものとして得られるから、金の触媒性能を利用する触媒材として利用することも可能である。

【0032】
なお、上記例ではシリコン粒子の表面に金を担持させたが、シリコン粒子のかわりに、たとえば、ホウ素をドープして導電性を付与した導電性シリコン粒子の表面に金を担持させることも可能である。導電性シリコン粒子にさらに金を担持させることで、シリコン粒子の導電性をさらに向上させることが可能である。
また、上記例では球形のナノシリコン粒子上に金を担持させたが、シリコン粒子の形態や大きさはとくに限定されるものではない。


図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8