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明細書 :らせん構造を有する化合物及びそれを用いた有機ナノチューブ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-056247 (P2016-056247A)
公開日 平成28年4月21日(2016.4.21)
発明の名称または考案の名称 らせん構造を有する化合物及びそれを用いた有機ナノチューブ
国際特許分類 C08G  61/10        (2006.01)
C07C 233/69        (2006.01)
C07F   7/10        (2006.01)
FI C08G 61/10
C07C 233/69 CSP
C07F 7/10 D
請求項の数または発明の数 18
出願形態 OL
全頁数 31
出願番号 特願2014-181724 (P2014-181724)
出願日 平成26年9月5日(2014.9.5)
発明者または考案者 【氏名】伊藤 英人
【氏名】伊丹 健一郎
【氏名】前田 果歩
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4H049
4J032
Fターム 4H006AA01
4H006AB46
4H006AB84
4H006BJ50
4H006BM30
4H006BM73
4H006BN10
4H006BP10
4H006BV72
4H049VN01
4H049VP02
4H049VQ37
4H049VR24
4H049VU20
4H049VU36
4H049VW02
4J032CA03
4J032CB01
4J032CC01
4J032CD01
4J032CE03
4J032CF01
4J032CG01
4J032CG09
要約 【課題】合成が容易な新規共有結合性有機ナノチューブを合成することを主な目的とする。
【解決手段】式:-C≡C-Ar(-R)-C≡C-[式中、Arは3価の芳香族基;Rはアルキル基、-CONHR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基、又は-COOR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基である。]で示される繰り返し単位からなり、数平均分子量が50000~500000である、化合物。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1):
【化1】
JP2016056247A_000034t.gif
[式中、Arは3価の芳香族基;Rはアルキル基、-CONHR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基、又は-COOR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基である。]
で示される繰り返し単位からなり、数平均分子量が50000~500000である、化合物。
【請求項2】
一般式(1A):
【化2】
JP2016056247A_000035t.gif
[式中、Ar及びRは前記に同じ;nは100~1500の整数である。]
で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
一方向巻きのらせん構造を形成している、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
一般式(1B):
【化3】
JP2016056247A_000036t.gif
[式中、Ar~Arは前記Arに同じ;R~Rは前記Rに同じ;mは0~5の整数;太線からなる結合は細線からなる結合よりも上側に位置していることを意味する;点線は同じ構造が繰り返されることを意味する。]
で示される、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
一般式(1B-1):
【化4】
JP2016056247A_000037t.gif
[式中、Rは前記に同じ;点線は同じ構造が繰り返されることを意味する。]
で示される、請求項1~4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
請求項3~5のいずれかに記載の化合物のトポケミカル重合物
【請求項7】
請求項6に記載のトポケミカル重合物からなる、有機ナノチューブ。
【請求項8】
一般式(2):
【化5】
JP2016056247A_000038t.gif
[式中、Rは前記に同じ;薄線は実線より奥に位置していることを意味する;点線は同じ構造が繰り返されることを意味する。]
で示される構造を有する、請求項7に記載の有機ナノチューブ。
【請求項9】
内径が10~20Åである、請求項7又は8に記載の有機ナノチューブ。
【請求項10】
外径が20~50Åである、請求項7~9のいずれかに記載の有機ナノチューブ。
【請求項11】
長さが100~500Åである、請求項7~10のいずれかに記載の有機ナノチューブ。
【請求項12】
請求項1~5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、
(I)一般式(3):
【化6】
JP2016056247A_000039t.gif
[式中、Ar及びRは前記に同じである。]
を銅化合物、パラジウム化合物若しくはニッケル化合物の存在下、酸素を用いてホモカップリングを施す工程
を備える、製造方法。
【請求項13】
前記工程(I)が、塩基性溶媒中で行われる、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
さらに、
(II)前記工程(I)の後又は工程(I)と同時に、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、酸アミド類、及びジメチルスルホキシドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒中に溶解させ、一方向巻きのらせん構造を形成させる工程
を備える、請求項12又は13に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項6に記載のトポケミカル重合物、又は請求項7~11のいずれかに記載の有機ナノチューブの製造方法であって、
(III)請求項3~5のいずれかに記載の化合物に光照射する工程
を備える、製造方法。
【請求項16】
一般式(3):
【化7】
JP2016056247A_000040t.gif
[式中、Arは3価の芳香族基;Rはアルキル基、-CONHR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基、又は-COOR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基である。]
で示される化合物。
【請求項17】
一般式(5):
【化8】
JP2016056247A_000041t.gif
[式中、Arは3価の芳香族基;Rはアルキル基、-CONHR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基、又は-COOR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基;Rは同じか又は異なり、それぞれアルキル基である。]
で示される化合物。
【請求項18】
一般式(4):
【化9】
JP2016056247A_000042t.gif
[式中、Arは3価の芳香族基;Rはアルキル基、-CONHR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基、又は-COOR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基;Xは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子である。]
で示される化合物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、らせん構造を有する化合物及びそれを用いた有機ナノチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、優れた機械的強度及び電荷輸送特性を有していることから、炭素繊維、半導体、燃料電池等への応用が期待されている次世代炭素材料である。カーボンナノチューブは側面構造のわずかな違いによって導体・半導体等の性質が異なるため、有機エレクトロニクス等への応用には構造の定まったカーボンナノチューブが必要不可欠とされているが、様々なサイズや長さ、側面構造を有する構造体を混合物としてしか得ることができない問題を有している。現状では、この混合物の完全な分離・精製には未だ至っておらず、このことがカーボンナノチューブの応用研究を妨げている。
【0003】
一方近年、カーボンナノチューブ様の筒状構造を有する有機構造体「有機ナノチューブ」に大きな注目が集まっている。有機ナノチューブは比較的低分子量の最小構成単位を用いて疎水性・親水性相互作用や水素結合、金属との配位結合等を利用することによって構築することができる。また、低分子構成単位の設計によって、有機ナノチューブの構造やサイズを自由自在に設計・制御することができ、カーボンナノチューブにはない新しい機能開発への大きな足掛りになる可能性を秘めている。現在ではそのチューブ構造を活用し、ドラッグデリバリーに利用できるナノカプセル・メソポーラスな化学反応場・バイオセンサー・半導体等といった応用が展開されており、さまざまな分野での研究が活発に行われている。
【0004】
有機ナノチューブの合成方法としては、水素結合、親水性・疎水性相互作用、π-πスタッキングを利用した自己組織化や、金属配位結合を用いた金属有機構造体形成の例が多
くみられる。自己組織化によるチューブ構造の形成方法としては、様々な合成法が知られているが、例えば、親水基を持つポリマーが水のような極性溶媒中でらせん構造を形成することによるチューブ骨格の構築が報告されている(例えば、非特許文献1等)。例えば、非特許文献1では、メタフェニレンエチニレンオリゴマーがらせん形成によってチューブ構造を構築することが報告されている。
【0005】
以上に示したように、チューブ構造の構築法として分子間相互作用や配位結合が用いられてきた。しかしながら、得られるチューブ構造は弱い結合からなるため、チューブの形成は溶媒や温度等の条件に依存する。また、カーボンナノチューブのような拡張されたπ共役を形成することは困難である。一方、共有結合からなる有機ナノチューブを合成することができれば、チューブ伸長方向を架橋した強い共有結合によってチューブ構造を条件によらず維持することができると考えられる。この共有結合からなる有機ナノチューブは元来の非共有結合性有機ナノチューブにない機能を発現する可能性を秘めているが、チューブのような構造体は大きな異方性をもつため共有結合による構築は難しく、その報告例はほとんどない。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】Nelson, J. C.; Saven, J. G.; Moore, J. S.; Wolynes, P. G. Science 1997, 277, 1793-1796.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上から、本発明は、合成が容易な新規共有結合性有機ナノチューブを合成することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、特定の構造の繰り返し単位からなる化合物を用いて、特定の溶媒下にらせん構造を形成した後に、光照射を施すことにより、らせん構造が共有結合によって剛直な構造となり、容易に共有結合性有機ナノチューブが得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、完成されたものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
【0009】
項1.一般式(1):
【0010】
【化1】
JP2016056247A_000002t.gif

【0011】
[式中、Arは3価の芳香族基;Rはアルキル基、-CONHR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基、又は-COOR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基である。]
で示される繰り返し単位からなり、数平均分子量が50000~500000である、化合物。
【0012】
項2.一般式(1A):
【0013】
【化2】
JP2016056247A_000003t.gif

【0014】
[式中、Ar及びRは前記に同じ;nは100~1500の整数である。]
で示される、項1に記載の化合物。
【0015】
項3.一方向巻きのらせん構造を形成している、項1又は2に記載の化合物。
【0016】
項4.一般式(1B):
【0017】
【化3】
JP2016056247A_000004t.gif

【0018】
[式中、Ar~Arは前記Arに同じ;R~Rは前記Rに同じ;mは0~5の整数;太線からなる結合は細線からなる結合よりも上側に位置していることを意味する;点線は同じ構造が繰り返されることを意味する。]
で示される、項1~3のいずれかに記載の化合物。
【0019】
項5.一般式(1B-1):
【0020】
【化4】
JP2016056247A_000005t.gif

【0021】
[式中、Rは前記に同じ;点線は同じ構造が繰り返されることを意味する。]
で示される、項1~4のいずれかに記載の化合物。
【0022】
項6.項3~5のいずれかに記載の化合物のトポケミカル重合物
項7.項6に記載のトポケミカル重合物からなる、有機ナノチューブ。
【0023】
項8.一般式(2):
【0024】
【化5】
JP2016056247A_000006t.gif

【0025】
[式中、Rは前記に同じ;薄線は実線より奥に位置していることを意味する;点線は同じ構造が繰り返されることを意味する。]
で示される構造を有する、項7に記載の有機ナノチューブ。
【0026】
項9.内径が10~20Åである、項7又は8に記載の有機ナノチューブ。
【0027】
項10.外径が20~50Åである、項7~9のいずれかに記載の有機ナノチューブ。
【0028】
項11.長さが100~500Åである、項7~10のいずれかに記載の有機ナノチューブ。
【0029】
項12.項1~5のいずれかに記載の化合物の製造方法であって、
(I)一般式(3):
【0030】
【化6】
JP2016056247A_000007t.gif

【0031】
[式中、Ar及びRは前記に同じである。]
を銅化合物、パラジウム化合物若しくはニッケル化合物の存在下、酸素を用いてホモカップリングを施す工程
を備える、製造方法。
【0032】
項13.前記工程(I)が、塩基性溶媒中で行われる、項12に記載の製造方法。
【0033】
項14.さらに、
(II)前記工程(I)の後又は工程(I)と同時に、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、酸アミド類、及びジメチルスルホキシドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒中に溶解させ、一方向巻きのらせん構造を形成させる工程
を備える、項12又は13に記載の製造方法。
【0034】
項15.項6に記載のトポケミカル重合物、又は請求項7~11のいずれかに記載の有機ナノチューブの製造方法であって、
(III)項3~5のいずれかに記載の化合物に光照射する工程
を備える、製造方法。
【0035】
項16.一般式(3):
【0036】
【化7】
JP2016056247A_000008t.gif

【0037】
[式中、Arは3価の芳香族基;Rはアルキル基、-CONHR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基、又は-COOR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基である。]
で示される化合物。
【0038】
項17.一般式(5):
【0039】
【化8】
JP2016056247A_000009t.gif

【0040】
[式中、Arは3価の芳香族基;Rはアルキル基、-CONHR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基、又は-COOR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基;Rは同じか又は異なり、それぞれアルキル基である。]
で示される化合物。
【0041】
項18.一般式(4):
【0042】
【化9】
JP2016056247A_000010t.gif

【0043】
[式中、Arは3価の芳香族基;Rはアルキル基、-CONHR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基、又は-COOR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基;Xは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子である。]
で示される化合物。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、非常に簡便な方法で、しかも最短で2工程で、剛直な構造を有し、且つ、伸長方向に拡張π共役系を有する共有結合性有機ナノチューブを得ることができる。
【0045】
この共有結合性有機ナノチューブを構成する化合物、共有結合性ナノチューブを合成する際の中間体として得られるらせん構造の化合物等は文献未記載の新規化合物である。
【0046】
この新規有機ナノチューブは機械的・電子的性質、安定性、合成の容易さ、構造多様性等様々な性質においてカーボンナノチューブと非共有結合性有機ナノチューブの間を補完しうる存在であり、その合成法の確立はマテリアルサイエンスの分野において大きな波及効果をもたらす可能性がある。
【0047】
また鎖状高分子の緻密な設計によってチューブの直径及び構造の制御ができ、且つ分子量分画した鎖状高分子を用いることで、チューブの長さまでも精密に設計することができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[1]化合物(鎖状化合物及びらせん状化合物)
本発明の化合物は、一般式(1):

【0049】
【化10】
JP2016056247A_000011t.gif

【0050】
[式中、Arは3価の芳香族基;Rはアルキル基、-CONHR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基、又は-COOR(Rはアルキル基又はポリエーテル基)で示される基である。]
で示される繰り返し単位からなり、数平均分子量が50000~500000である。

【0051】
一般式(1)において、Arは3価の芳香族基である。この芳香族基を構成する芳香環としては、ベンゼン環だけでなく、複数のベンゼン環を縮合した環(ベンゼン縮合環)、ベンゼン環と他の環を縮合させた環(以下、複数のベンゼン環を縮合した環及びベンゼン環と他の環を縮合させた環をまとめて、単に「縮合環」と言うことがある)、複素芳香環等も挙げられる。上記縮合環としては、例えば、ペンタレン環、インデン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、ペリレン環、トリフェニレン環、アズレン環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環等が挙げられる。また、上記複素芳香環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、シロール環、ボロール環、ホスホール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環等が挙げられる。また、これら同士又はこれらとベンゼン環、上記縮合環等との複素縮合環等(カルバゾール環、チエノチオフェン環、キノリン環等)も使用できる。これらの芳香環のなかでも、らせん状化合物が得やすく、共有結合性有機ナノチューブを合成しやすい観点から、ベンゼン環、カルバゾール環等が好ましく、らせん状化合物及び共有結合性有機ナノチューブとしての安定性の観点からベンゼン環が好ましい。

【0052】
Arは、これらの芳香環からなる3価の基であるが、アルキル基(特に、メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基)、アリール基(特に、フェニル基、ナフチル基等の単環又は二環のアリール基)、アルコキシ基(特に、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基)、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、アシル基(特に、アセチル基、プロピオニル基等のアルカノイル基)、ハロゲン基(特に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等の1~3個の置換基で置換されていてもよい。

【0053】
なお、後述するが、本発明の化合物がらせん状化合物である場合、Arで示される芳香族基は、略垂直方向に整列していることが好ましい(後述する一般式(1B)において、ArとArとが略垂直方向に整列していることが好ましい)。このような観点から、芳香族基Arから出ている結合手のうち、主鎖を構成する結合手同士の角度(Arとアルキン部位との結合手と、Arと別のアルキン部位との結合手との角度)は、約90°(85~95°)、約108°(103~113°)、約120°(115~125°)等であることが好ましい。

【0054】
このような観点から、3価の芳香族基としては、例えば、

【0055】
【化11】
JP2016056247A_000012t.gif

【0056】
等が特に好ましい。

【0057】
このため、本発明の化合物が有する繰り返し単位としては、

【0058】
【化12】
JP2016056247A_000013t.gif

【0059】
[式中、Rは前記に同じである。]
等が特に好ましい。

【0060】
一般式(1)において、Rで示されるアルキル基としては、炭素数1~20、特に炭素数5~15のアルキル基が好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。これらのアルキル基は、アリール基(特に、フェニル基、ナフチル基等の単環又は二環のアリール基)、アルコキシ基(特に、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基)、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、アシル基(特に、アセチル基、プロピオニル基等のアルカノイル基)、ハロゲン基(特に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等の1~3個の置換基で置換されていてもよい。

【0061】
一般式(1)において、Rで示される-CONHRで示される基において、Rはアルキル基又はポリエーテル基である。

【0062】
このうち、アルキル基としては、上記したものが挙げられ、置換基を有する場合の種類及び個数も上記したものが挙げられる。

【0063】
また、ポリエーテル基としては、例えば、-C(Ra1)-(ORa2k1-ORa3(Ra1~Ra3は同じか又は異なり、それぞれアルキル基;k1は1~20の整数)で示される基、-(Ra4O)k2-Ra5(Ra4~Ra5は同じか又は異なり、それぞれアルキル基;k2は1~20の整数)で示される基等が挙げられる。これらの繰り返し単位には、同一の繰り返し単位だけではなく、二種以上の異なる繰り返し単位が含まれていてもよい。 Ra1~Ra5はいずれもアルキル基であり、上記したものが挙げられ、置換基を有する場合の種類及び個数も上記したものが挙げられる。

【0064】
k1は1~20の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましい。

【0065】
このようなポリエーテル基としては、例えば、-C(CH)-(OCOCH、-C(CH)-(OCOCH、-C(CH)-(OCOCH、-(CO)CH、-(CO)CH、-(CO)CH等が挙げられる。

【0066】
これらのポリエーテル基は、アルキル基(特に、メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基)、アリール基(特に、フェニル基、ナフチル基等の単環又は二環のアリール基)、アルコキシ基(特に、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基)、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、アシル基(特に、アセチル基、プロピオニル基等のアルカノイル基)、ハロゲン基(特に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)等の1~3個の置換基で置換されていてもよい。

【0067】
これらのポリエーテル基は、-C(Ra1)-(ORa2k1-ORa3で示される基のように、アミド基と結合する箇所に光学活性な炭素中心を含ませることにより、本発明の化合物がらせん状化合物である場合には、らせん状化合物の右巻き及び左巻きを制御できるため好ましい。この観点から、-C(Ra1)-(ORa2k1-ORa3で示される基が好ましく、-C(CH)-(OCOCH、-C(CH)-(OCOCH、-C(CH)-(OCOCH等がより好ましい。

【0068】
このような-CONHRで示される基としては、-CONH-C17、-CONH-C1021、-CONH-C(CH)-(OCOCH、-CONH-C(CH)-(OCOCH、-CONH-C(CH)-(OCOCH、-CONH-(CO)CH、-CONH-(CO)CH、-CONH-(CO)CH等が挙げられる。これらのなかでも、-CONH-C(Ra1)-(ORa2k1-ORa3で示される基が好ましく、-CONH-C(CH)-(OCOCH、-CONH-C(CH)-(OCOCH、-CONH-C(CH)-(OCOCH等がより好ましい。

【0069】
一般式(1)において、Rで示される-COORで示される基において、Rはアルキル基又はポリエーテル基である。このアルキル基及びポリエーテル基としては、上記したものが挙げられ、置換基を有する場合の種類及び個数も上記したものが挙げられる。

【0070】
このような-COORで示される基としては、-COO-C17、-COO-C1021、-COO-C(CH)-(OCOCH、-COO-C(CH)-(OCOCH、-COO-C(CH)-(OCOCH、-COO-(CO)CH、-COO-(CO)CH、-COO-(CO)CH等が挙げられる。本発明の化合物がらせん状化合物である場合には、エステル基と結合する箇所に光学活性な炭素中心を含ませることにより、らせん状化合物の右巻き及び左巻きを制御できるため好ましい。この観点から、-COO-C(Ra1)-(ORa2k1-ORa3で示される基が好ましく、-COO-C(CH)-(OCOCH、-COO-C(CH)-(OCOCH、-COO-C(CH)-(OCOCH等がより好ましい。

【0071】
一般式(1)において、上記説明したRで示される基としては、本発明の化合物がらせん状化合物である場合には、Arと結合する箇所にアミド基を含ませることで、R中のアミド基を構成する酸素原子と、別のR中のアミド基を構成する水素原子とが水素結合することにより構造をより強固に保持することができるとともに、後にトポケミカル重合により共有結合性有機ナノチューブを得やすい。このため、一般式(1)におけるRとしては、-CONHRで示される基が好ましく、-CONH-C(Ra1)-(ORa2k1-ORa3で示される基がより好ましく、-CONH-C(CH)-(OCOCH、-CONH-C(CH)-(OCOCH、-CONH-C(CH)-(OCOCH等がさらに好ましい。

【0072】
本発明の化合物(鎖状化合物及びらせん状化合物を含む)は、上記の繰り返し単位を有する化合物であるが、上記の繰り返し単位のみからなる化合物であることが好ましい。また、末端は合成条件にもよるが、水素原子、フッ素原子等が好ましく、特に好ましくは水素原子である。

【0073】
このような観点から、本発明の化合物は、一般式(1A):

【0074】
【化13】
JP2016056247A_000014t.gif

【0075】
[式中、Ar及びRは前記に同じ;nは100~1500の整数である。]
で示される化合物が好ましい。

【0076】
一般式(1A)において、Ar及びRは前記に同じである。

【0077】
一般式(1A)において、nは繰り返し数であり、結果的に得られる有機ナノチューブの形状を十分に大きくする観点から、100~1500の整数が好ましく、150~1000の整数がより好ましい。n(繰り返し数)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量から判断するものとする。

【0078】
上記説明した本発明の化合物(鎖状化合物及びらせん状化合物を含む)の分子量は、特に制限されないが、結果的に得られる有機ナノチューブの形状を十分に大きくする観点から、数平均分子量を50000~500000程度とすることが好ましく、60000~400000程度とすることがより好ましい。本発明の化合物の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定するものとする。

【0079】
上記のような条件を満たす本発明の化合物は、鎖状化合物であってもよいし、らせん状化合物であってもよく、いずれも文献未記載の新規化合物である。ただし、らせん状化合物は、トポケミカル重合により、共有結合性の有機ナノチューブが容易に得られる観点から、らせん状化合物であることが好ましく、一方向巻きのらせん構造を形成している化合物がより好ましい。なお、本発明のらせん状化合物(特に、一方向巻きのらせん構造を形成している本発明の化合物)は、本発明の鎖状化合物を適切な溶媒に溶解させることで、自発的にらせん構造を形成させて合成することが可能である。

【0080】
このような本発明のらせん状化合物(特に、一方向巻きのらせん構造を形成している本発明の化合物)は、例えば、一般式(1B):

【0081】
【化14】
JP2016056247A_000015t.gif

【0082】
[式中、Ar~Arは前記Arに同じ;R~Rは前記Rに同じ;mは0~5の整数;太線からなる結合は細線からなる結合よりも上側に位置していることを意味する;点線は同じ構造が繰り返されることを意味する。]
で示される構造を有する化合物である。

【0083】
一般式(1B)において、Ar~Arは前記Arと同じであり、3価の芳香族基である。この芳香族基としては、上記したものが挙げられ、置換基を有する場合の種類及び個数も上記したものが挙げられる。これらAr~Arは同じでも異なっていてもよいが、本発明のらせん状化合物及び後に得られる本発明の共有結合性有機ナノチューブの安定性の観点から、いずれも同じものであることが好ましい。

【0084】
一般式(1B)において、R~Rは前記Rと同じであり、アルキル基、-CONHRで示される基、又は-COORで示される基である。これらの基としては、上記したものが挙げられ、置換基を有する場合の種類及び個数も上記したものが挙げられる。これらR~Rは同じでも異なっていてもよいが、本発明のらせん状化合物及び後に得られる本発明の共有結合性有機ナノチューブの安定性の観点から、いずれも同じものであることが好ましい。

【0085】
一般式(1B)において、mは、主鎖を構成する結合手同士の角度(例えば、Arとアルキン部位との結合手と、Arと別のアルキン部位との結合手との角度)によっても異なるが、0~5の整数が好ましく、0~3の整数がより好ましく、特に好ましくは1~3の整数である。

【0086】
なお、Ar~Arにおいて、3価の芳香族基のうち一部が略垂直方向に整列していることが、らせん状化合物及び後に得られる共有結合性有機ナノチューブの安定性の観点から好ましい。具体的には、一般式(1B)では、ArとArとが略垂直方向に整列していることが好ましい。なお、一般式(1B)では、一部の構造のみを示しているが、略垂直方向に整列しているのはArとArのみではなく、Ar~Arの位置についても同様に、略垂直方向に3価の芳香族基が整列していることが好ましい。このような観点から、例えば、Ar~Ar

【0087】
【化15】
JP2016056247A_000016t.gif

【0088】
である場合にはmは3であることが好ましく、Ar~Ar

【0089】
【化16】
JP2016056247A_000017t.gif

【0090】
である場合にはmは1であることが好ましい。

【0091】
上記のような条件を満たす本発明のらせん状化合物(特に、一方向巻きのらせん構造を形成している本発明の化合物)としては、Ar~Arがいずれもベンゼン環又はカルバゾール環由来の3価の芳香族基であると、らせん状化合物及び後に得られる共有結合性有機ナノチューブの安定性の観点から好ましく、具体的には、一般式(1B-1):

【0092】
【化17】
JP2016056247A_000018t.gif

【0093】
[式中、Rは前記に同じ;点線は同じ構造が繰り返されることを意味する。]
で示される構造、又は一般式(1B-2):

【0094】
【化18】
JP2016056247A_000019t.gif

【0095】
[式中、Rは前記に同じ;薄線は実線より奥に位置していることを意味する;上記構造が繰り返される。]
を有するらせん状化合物が好ましい。

【0096】
一般式(1B-1)において、Rは前記に同じであり、いずれの箇所においても、ベンゼン環が略垂直方向に整列しており、全体として略六角柱状の化合物が形成されている。

【0097】
[2]化合物(鎖状化合物及びらせん状化合物)の製造方法
2-1.鎖状化合物の製造方法
本発明の化合物(鎖状化合物及びらせん状化合物)は、特に制限されないが、
(I)一般式(3):

【0098】
【化19】
JP2016056247A_000020t.gif

【0099】
[式中、Ar及びRは前記に同じである。]
を銅化合物、パラジウム化合物若しくはニッケル化合物の存在下、酸素を用いてホモカップリングを施す工程
を備える製造方法により製造することができる。

【0100】
この工程(I)は、グレーサーカップリングにより、一般式(3)で示される化合物のホモカップリングを行うことが好ましい。グレーサーカップリングは、例えば塩基性溶媒中で、末端アセチレンと銅化合物(塩化銅(I)等)から銅アセチリドを経て、酸素を通してホモカップリングを行う反応である。

【0101】
[一般式(3)で示される化合物]
一般式(3)において、Ar及びRは、上記したものが挙げられ、置換基を有する場合の種類及び個数も上記したものが挙げられる。この一般式(3)で示される化合物は、公知又は市販の化合物から合成することができる。

【0102】
一般式(3)で示される化合物を合成する場合、反応式1:

【0103】
【化20】
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【0104】
[式中、Ar及びRは前記に同じ;Xは同じか又は異なり、それぞれハロゲン原子;Rは同じか又は異なり、それぞれアルキル基である。]
にしたがって合成することができる。

【0105】
反応式1において、Xはハロゲン原子であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。なお、Xは同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。また、本反応では、臭素原子が好ましい。

【0106】
反応式1において、Rはアルキル基であり、上記したものが挙げられ、置換基を有する場合の種類及び個数も上記したものが挙げられる。なお、Rは同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。また、本反応では、メチル基が好ましい。

【0107】
このため、この合成に使用する一般式(4)で示される化合物としては、例えば、

【0108】
【化21】
JP2016056247A_000022t.gif

【0109】
[式中、Rは前記に同じである。]
等が好ましい。

【0110】
<化合物(5)の合成>
一般式(4)で示される化合物から一般式(5)で示される化合物を得る場合、薗頭カップリングを採用することが好ましい。薗頭カップリングは、パラジウム化合物、銅化合物及び塩基性溶媒の作用により、末端アルキンと芳香族ハロゲン化物とをクロスカップリングさせてアルキニル化芳香族化合物を得る反応である。

【0111】
この際、カップリングパートナーとしては、末端にアルキンを有する化合物として、CH≡CSiR(Rは前記に同じである)を採用することが好ましい。本反応では、CH≡CSi(CH等が特に好ましい。

【0112】
パラジウム化合物としては、金属パラジウムをはじめ、有機化合物(高分子化合物を含む)等の合成用触媒として公知のパラジウム化合物等が挙げられる。本発明においては、薗頭カップリングに使用されるパラジウム系触媒(パラジウム化合物)を用いることができる。具体的には、Pd(PPh(Phはフェニル基;以下同様である)、PdCl(PPh、Pd(OAc)(Acはアセチル基;以下同様である)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd(dba))、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリt-ブチルホスフィノ)パラジウム(0)、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン)ジクロロパラジウム(II)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)ジクロロパラジウム(II)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ジクロロパラジウム(II)、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)等が挙げられる。本工程では、PdCl(PPh等が好ましい。これらパラジウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、これらパラジウム化合物は、試薬として投入するもの及び系中で生成されるもののいずれも包含し得る。

【0113】
パラジウム化合物の使用量は、収率の観点から、原料の一般式(4)で示される化合物1モルに対して、通常、0.01~0.20モルが好ましく、0.02~0.10モルがより好ましい。なお、パラジウム化合物を複数使用する場合は、総量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。

【0114】
また、必要に応じて、上記パラジウム化合物の中心元素であるパラジウム原子に配位し得る、配位子化合物をパラジウム化合物とともに用いることもできる。この配位子化合物は、従来から公知の配位子化合物を使用すればよい。

【0115】
銅化合物としては、金属銅をはじめ、有機化合物(高分子化合物を含む)等の合成用触媒として公知の銅化合物等が挙げられる。本発明においては、薗頭カップリングに使用される銅系触媒(銅化合物、特に銅(I)化合物)を用いることができる。具体的には、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)のハロゲン化銅(I)等が挙げられる。本工程では、ヨウ化銅(I)等が好ましい。これら銅化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、これら銅化合物は、試薬として投入するもの及び系中で生成されるもののいずれも包含し得る。

【0116】
銅化合物の使用量は、収率の観点から、原料の一般式(4)で示される化合物1モルに対して、通常、0.01~0.20モルが好ましく、0.02~0.10モルがより好ましい。なお、銅化合物を複数使用する場合は、総量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。

【0117】
塩基性溶媒としては、特に制限されないが、アミン類が好ましく、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n-ブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、ピロリジン等が挙げられる。本工程では、トリエチルアミン等が好ましい。これら塩基性溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。

【0118】
上記反応における反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記塩基性溶媒の沸点以下である範囲から選択される。反応時間は、反応が十分進行する時間とすればよい。

【0119】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。空気雰囲気とすることもできる。

【0120】
反応後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程において、溶媒(溶剤)除去、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。

【0121】
このようにして得られる一般式(5)で示される化合物は、文献未記載の新規化合物である。

【0122】
<化合物(3)の合成>
一般式(5)で示される化合物から一般式(3)で示される化合物を得る場合、従来公知の方法にしたがって、脱シリル化することが好ましい。

【0123】
脱シリル化する際に使用する脱シリル化剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウムフルオライド(フッ化テトラブチルアンモニウム等)、金属フルオライド(フッ化セシウム、フッ化カリウム等)、酸(硫酸、塩酸、酢酸等)、塩基(炭酸カリウム、炭酸セシウム等)、フッ化水素ピリジン等が挙げられる。

【0124】
シリル化剤の使用量は、収率の観点から、原料の一般式(5)で示される化合物1モルに対して、通常、1.00~10.0モルが好ましく、1.00~2.00モルがより好ましい。なお、シリル化剤を複数使用する場合は、総量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。

【0125】
上記反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等)、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、プロピオン酸エチル等)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N-メチルピロリドン(1-メチル-2-ピロリジノン)(NMP)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル等)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酸(硫酸、塩酸、酢酸)等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。本反応では、エーテル類(特にTHF等)が好ましい。

【0126】
上記反応における反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点以下である範囲から選択される。反応時間は、反応が十分進行する時間とすればよい。

【0127】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。空気雰囲気とすることもできる。

【0128】
反応後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程において、溶媒(溶剤)除去、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。

【0129】
このようにして得られる一般式(3)で示される化合物は、文献未記載の新規化合物である。

【0130】
[工程(I)]
本工程で使用する銅化合物、パラジウム化合物及びニッケル化合物としては、金属銅、金属パラジウム及び金属ニッケルをはじめ、有機化合物(高分子化合物を含む)等の合成用触媒として公知の銅化合物、パラジウム化合物、ニッケル化合物等が挙げられる。本発明においては、グレーサーカップリングに使用される銅系触媒(銅化合物、特に一価銅化合物)やパラジウム系触媒(パラジウム化合物、特に二価パラジウム化合物)、ニッケル系触媒(ニッケル化合物、特に二価ニッケル化合物)等を用いることができる。具体的には、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)等のハロゲン化銅(I);塩化銅(II)等のハロゲン化銅(II);PdCl(PPh、Pd(OAc)、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン)ジクロロパラジウム(II)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)ジクロロパラジウム(II)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ジクロロパラジウム(II)、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)等の二価パラジウム錯体;塩化ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)等の二価ニッケル錯体等が挙げられる。これらの銅化合物、パラジウム化合物及びニッケル化合物は水和物を用いてもよい。本工程では、銅化合物が好ましく、一価銅化合物がより好ましく、塩化銅(I)等がさらに好ましい。これら銅化合物、パラジウム化合物及びニッケル化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、これら銅化合物、パラジウム化合物及びニッケル化合物は、試薬として投入するもの及び系中で生成されるもののいずれも包含し得る。

【0131】
銅化合物、パラジウム化合物及びニッケル化合物の使用量は、収率の観点から、原料の一般式(3)で示される化合物1モルに対して、通常、0.01~2.00モルが好ましく、0.10~1.00モルがより好ましい。なお、銅化合物、パラジウム化合物及びニッケル化合物を複数使用する場合は、総量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。

【0132】
上記反応は、通常、塩基性溶媒の存在下で行われる。この塩基性溶媒としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n-ブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、ピロリジン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また本反応に脂肪族ハロゲン化炭化水素類(クロロオルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン)、芳香族ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、ジクロロベンゼン)を溶媒として添加してもよい。

【0133】
上記反応における反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点以下である範囲から選択される。反応時間は、反応が十分進行する時間とすればよい。

【0134】
また、反応雰囲気は、酸素を含む雰囲気が好ましく、空気雰囲気、酸素雰囲気、酸素加圧雰囲気等が挙げられる。酸素加圧雰囲気は1気圧以上20気圧以下が望ましく、特に5気圧以上10気圧以下が望ましい。

【0135】
反応後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程において、溶媒(溶剤)除去、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。

【0136】
この方法により、一般式(1)又は一般式(1A)で示される本発明の化合物(本発明の鎖状化合物)が得られる。なお、工程(I)において使用する溶媒によっては、得られる本発明化合物が、この時点で若干らせん構造を有していることもある。

【0137】
2-2.らせん状化合物の製造方法
本発明のらせん状化合物を製造する際には、
(II)前記工程(I)の後又は工程(I)と同時に、脂肪族ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、酸アミド類、及びジメチルスルホキシドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒中に溶解させ、一方向巻きのらせん構造を形成させる工程
を行うことが好ましい。

【0138】
この際使用する溶媒としては、水素結合を有さず、原料及び生成物ともに溶解することができる溶媒が好ましく、例えば、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、エステル類(酢酸エチル、プロピオン酸エチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル等)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N-メチルピロリドン(1-メチル-2-ピロリジノン)(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。本反応では、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(特にクロロホルム等)が好ましい。

【0139】
なお、この工程は、同時に後述のトポケミカル重合が部分的に起こってしまわないように、暗室で行うことが好ましい。

【0140】
反応後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程において、溶媒(溶剤)除去、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。

【0141】
この方法により、一般式(1B)又は一般式(1B-1)で示される本発明の化合物(本発明の鎖状化合物)が得られる。

【0142】
[3]トポケミカル重合物及び有機ナノチューブ
本発明のらせん状化合物に対してトポケミカル重合を施すことにより、本発明のらせん状化合物のトポケミカル重合物を得ることができる。トポケミカル重合は、不飽和結合を有するモノマー分子同士が結晶中において適切な位置及び角度で存在する際に、紫外線、X線、γ線、電子線等の電磁波の照射を行うことで結晶状態を保ったまま重合する反応であり、不飽和結合が三重結合である場合(ポリイン構造を有する場合)には、ポリエンイン構造を有する重合体を得ることができる。立体規則性高分子の合成等に適している反応である。

【0143】
本発明のらせん状化合物においては、Ar(3価の芳香族基)が好ましくは略垂直方向に整列しているため、不飽和結合(三重結合)も好ましくは略垂直方向に整列しており、所定の距離及び角度を保っている。このため、トポケミカル重合を施すことにより、らせん構造の各周期同士が共有結合で強固に結合され、剛直な構造を有することができる。

【0144】
このようにして得られるトポケミカル重合物は、Ar(3価の芳香族基)がいずれもベンゼン環又はカルバゾール環由来の3価の芳香族基であると、安定性の観点から好ましく、具体的には、一般式(2A):

【0145】
【化22】
JP2016056247A_000023t.gif

【0146】
[式中、Rは前記に同じ;薄線は実線より奥に位置していることを意味する;点線は同じ構造が繰り返されることを意味する。]
で示される構造、又は一般式(2B):

【0147】
【化23】
JP2016056247A_000024t.gif

【0148】
[式中、Rは前記に同じ;薄線は実線より奥に位置していることを意味する;上記構造が繰り返される。]
を有するトポケミカル重合物が得られる。

【0149】
このようなトポケミカル重合物は、ナノチューブ状の形状をしていることから、有機ナノチューブとして使用することができる。

【0150】
このような本発明のトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)の内径は、原料や重合条件によっても異なるが、10~20Åが好ましく、12~18Åがより好ましい。本発明のトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)の内径は、gaussian等を用いた量子化学計算、粉末X線回折、AFM(原子間力顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定するものとする。

【0151】
このような本発明のトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)の外径は、原料や重合条件によっても異なるが、20~50Åが好ましく、24~46Åがより好ましい。本発明のトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)の内径は、gaussian等を用いた量子化学計算、粉末X線回折、AFM(原子間力顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定するものとする。

【0152】
このような本発明のトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)の長さは、原料や重合条件によっても異なるが、100~500Åが好ましく、150~400Åがより好ましい。本発明のトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)の長さは、gaussian等を用いた量子化学計算、粉末X線回折、AFM(原子間力顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定するものとする。

【0153】
なお、本発明のトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)は、上記一般式(2)においても例示されているように、網目構造のように共有結合により結合されて剛直な構造を形成している。この網目1個当たりの幅(網目1個を正方形とみなした場合の1辺)は、2~10Åが好ましく、3~8Åがより好ましい。本発明のトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)における網目1個あたりの幅は、gaussian等を用いた量子化学計算、粉末X線回折、AFM(原子間力顕微鏡)、TEM(透過型電子顕微鏡)、走査型電子顕微鏡(SEM)等により測定するものとする。

【0154】
[4]トポケミカル重合物及び有機ナノチューブの製造方法
本発明のトポケミカル重合物及び有機ナノチューブは、上記説明したように、本発明のらせん状化合物に対して、トポケミカル重合を施すことにより得ることができる。

【0155】
具体的には、
(III)本発明のらせん状化合物に光照射する工程
を備える製造方法により得ることができる。

【0156】
光照射は、反応溶媒中で行うことが好ましい。この反応溶媒は、本発明のらせん状化合物及び本発明のトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)ともに溶解させることが好ましい観点から、例えば、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン(DME)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、プロピオン酸エチル等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル等)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセタミド(DMA)、N-メチルピロリドン(1-メチル-2-ピロリジノン)(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が使用し得る。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。本反応では、脂肪族ハロゲン化炭化水素類(特にクロロホルム等)が好ましい。なお、工程(II)に引き続いて工程(III)を行う場合は、工程(II)で使用した反応溶媒をそのまま使用することも可能である。

【0157】
光照射する光としては、特に制限されず、どのようなものでも採用し得る。例えば、可視光、紫外線、赤外線、X線、γ線、電子ビーム、イオンビーム、レーザービーム等のいずれもが挙げられる。

【0158】
なお、ここで、可視光とは波長が400~800nm程度、紫外線とは波長が10~400nm程度、赤外線とは波長が800nm~25μm程度、X線とは波長が0.01~70nm程度、γ線とは波長が0.01nm未満程度、電子ビームとは加速電圧が0.1kV~200kV程度、イオンビームとは加速電圧が1kV~200kV程度である。また、レーザービームは、光の照射範囲を正確かつ容易にコントロールできる点で優れており、パルス巾、出力、波長、発振方式及び媒体にこだわらず使用可能である。

【0159】
光照射強度は、特に制限されないが、1~1000Wが好ましく、10~800Wがより好ましく、100~600Wがさらに好ましい。また、光照射時間は、光照射強度によっても異なるが、1~24時間が好ましく、2~12時間がより好ましい。

【0160】
反応後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程において、溶媒(溶剤)除去、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。

【0161】
[5]トポケミカル重合物及び有機ナノチューブの用途
このようにして得られる本発明のトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)は、非常に簡便な方法で、高収率に合成できつつ、共有結合により剛直な構造を構成することができる。しかも、トポケミカル重合によりポリエンイン構造を有しているため、優れた導電性も有することが期待される。しかも、本発明では、合成条件によっては、得られるトポケミカル重合物(有機ナノチューブ)の大きさを制御することも可能である。このため、ドラッグデリバリーに利用できるナノカプセル、メソポーラスな化学反応場、不斉反応場としての利用、バイオセンサー、半導体、吸着剤、炭素繊維材料、カーボンナノチューブ分散剤、カーボンナノチューブのキラリティー分割剤等の用途に使用し得る。
【実施例】
【0162】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0163】
合成例1:(S)-2-(ベンジリデンアミノ)-1-プロパノール (1)の合成
【実施例】
【0164】
【化24】
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【実施例】
【0165】
撹拌子を入れた300mLの二径ナスフラスコを窒素置換し、そこへ(L)-2-アミノ-1-プロパノール(4.79 g, 63.8 mmol)、ベンズアルデヒド(6.93 g, 65.3 mmol)、オルトギ酸トリメチル(70 mL)を加え、室温で4時間半撹拌した。その後、反応混液にジクロロメタンを加えた後、分液漏斗に移した。有機層を飽和食塩水を用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥、濾過し、有機溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去した。得られた粗生成物をトルエンから再結晶することで、目的の化合物1を8.10 g、78%収率、無色結晶として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.23 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.96 (br s, 1H), 3.50--3.54 (m, 1H), 3.70 (br s, 2H), 7.35-7.50 (m, 3H), 7.72-7.75 (m, 2H), 8.35 (s, 1H)。
【実施例】
【0166】
合成例2:2,5,8,11-テトラオキサテトラデカン-13-イル メタンスルホナート (2)の合成
【実施例】
【0167】
【化25】
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【実施例】
【0168】
撹拌子を入れた500 mLの三径ナスフラスコを窒素置換し、そこへトリエチレングリコール モノメチルエーテル(6.40 mL, 40.0 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(7.64 mL, 44.0 mmol)、ジクロロメタン(100 mL)を加え、次いで氷浴中でメタンスルホン酸クロリド(5.15 g, 45.0 mmol)を加えて、氷浴を取り除いた後室温で3時間半撹拌した。その後、反応混液に飽和食塩水を加えて分液漏斗に移した。有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥、濾過し、有機溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去した。得られた粗生成物にさらに水、ヘキサンを加え分液漏斗に移した。水層にジクロロメタンと飽和食塩水を加え有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥、濾過し、有機溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去したところ、目的の化合物2を9.76 g、98%収率、黄色液体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 3.08 (s, 3H), 3.38 (s, 3H), 3.53-3.55 (m, 2H), 3.62-3.69 (m, 6H), 3.76-3.78 (m, 2H), 4.37-4.40 (m, 2H)。
【実施例】
【0169】
合成例3:(S)-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)フェニルメタンイミン(3)の合成
【実施例】
【0170】
【化26】
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【実施例】
【0171】
撹拌子を入れた100 mLの二径ナスフラスコを窒素置換し、そこへ水素化ナトリウム(60%ディスパージョン, 0.48 g, 12.0 mmol)を加え、ヘキサンを用いてオイルを数回洗浄・除去した。次いでテトラヒドロフラン(20 mL)を加え、氷浴中(S)-2-(ベンジリデンアミノ)-1-プロパノール (1)(1.63 g, 10.0 mmol)を加えた。氷浴中で2時間撹拌し、2,5,8,11-テトラオキサテトラデカン-13-イル メタンスルホナート (2)(2.91 g, 12.0 mmol)を加え、室温に戻して11時間撹拌した。その後、反応混液に水、飽和食塩水、ジエチルエーテルを加えて分液漏斗に移した。集めた水層から酢酸エチルで抽出し、先ほどの有機層と混ぜ、飽和食塩水を用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。濾過した有機溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去することで、目的化合物3の粗生成物を得た。さらなる精製を行わずに次の反応にそのまま用いた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.24 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 3.36--3.39 (m, 3H), 3.46-3.63 (m, 15H), 7.39-7.41 (m, 3H), 7.72-7.74 (m, 2H), 8.31 (s, 1H)。
【実施例】
【0172】
合成例4:(S)-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)フェニルメタンアミン(4)の合成
【実施例】
【0173】
【化27】
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【実施例】
【0174】
撹拌子、 (S)-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)フェニルメタンイミン (3)の粗成生物(4.00 g,12.9 mmol)が入った200 mLの三径ナスフラスコへ、2 M塩酸(40 mL)と酢酸エチル(10 mL)を加え、室温で7時間半撹拌した。その後、反応混液に水を加えて分液漏斗に移した。水層をロータリーエバポレーターを用いて留去した後、飽和重曹水、酢酸エチルを加えて15分撹拌した。その後、分液漏斗に移し有機層を水で洗浄し、水層をロータリーエバポレーターを用いて留去した。得られた粗生成物をクロロホルムで洗浄し、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を留去することで目的の化合物4の粗生成物を黄色液体として得た。さらなる精製を行わずに次の反応にそのまま用いた。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.03 (d, J= 6.4 Hz, 3H), 1.72 (br s, 2H), 3.15-3.19 (m, 2H), 3.38-3.42 (m, 4H), 3.54-3.56 (m, 2H), 3.59-3.71 (m, 10H)。
【実施例】
【0175】
合成例5:(S)-3,5-ジブロモ-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)ベンズアミド(5)の合成
【実施例】
【0176】
【化28】
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【実施例】
【0177】
撹拌子を入れた200 mLの三径ナスフラスコを窒素置換し、そこへ3,5-ジブロモ安息香酸(2.76 g, 9.9 mmol)、1-エチル3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)(1.91 g, 9.9 mmol)、ジクロロメタン(110 mL)を加え、次いで氷浴中で(S)-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)フェニルメタンアミン (4)の粗成生物(1.78 g, 8.0 mmol)を加えて、氷浴を取り除いた後室温で4時間撹拌した。その後、反応混液に2M塩酸、飽和塩化アンモニウムを加えて反応を停止し、分液漏斗に移した。有機層をジクロロメタンを用いて抽出、飽和食塩水を用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥した後、濾過した。有機溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1:1→1:0)で精製することで、目的の化合物5を1.63 g、無色液体として、またイミン1からの三段階収率34%収率として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.28 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 3.31-3.33 (m, 3H), 3.49-3.51 (m, 2H), 3.56-3.69 (m, 12H), 4.29-4.34 (m, 1H), 6.96 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.76 (t, J = 1.2 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 1.6 Hz, 2H)。
【実施例】
【0178】
実施例1:(S)-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)-3,5-ビス{(トリメチルシリル)エチニル}ベンズアミド(6)の合成
【実施例】
【0179】
【化29】
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【実施例】
【0180】
撹拌子を入れたシュレンク管を窒素置換し、そこへ(S)-3,5-ジブロモ-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)ベンズアミド(5)(1.38 g, 2.85 mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム ジクロリド(0.16 g, 0.23 mmol)、塩化銅(I)(26.8 mg, 0.15 mmol)、トリエチルアミン(1.70 mL)、テトラヒドロフラン(5 mL)を加え、室温で30分撹拌したのち、その後トリメチルシリルアセチレン(1.23 mL, 8.70 mmol)を加えた。50 °Cで19時間加熱撹拌し、反応混液を室温に冷ました後、セライトで濾過した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=3:1→1:2)で精製することで、目的の化合物6を1.51 g、96%、褐色液体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.24 (s, 18H), 1.23-1.29 (m, 3H), 3.32-3.35 (m, 3H), 3.49-3.51 (m, 2H), 3.55-3.66 (m, 12H), 4.34 (m, 1H), 6.66 (br d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.66 (m, 1H), 7.81 (m, 2H)。
【実施例】
【0181】
実施例2:(S)-3,5-ジエチニル-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)ベンズアミド(7)の合成
【実施例】
【0182】
【化30】
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【実施例】
【0183】
撹拌子を入れた100 mLの三角フラスコへ(S)-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)-3,5-ビス{(トリメチルシリル)エチニル}ベンズアミド(6)(1.36 g, 2.63 mmol)、炭酸カリウム(1.08 g, 7.81 mmol)、テトラヒドロフラン(11 mL)、メタノール(11 mL)を加え、室温で10時間加熱撹拌した。セライト濾過し、有機溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去し粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール=96:4)で精製することで、目的の化合物7を0.824 g、84%、無色液体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.30 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 3.13 (s, 2H), 3.33 (s, 3H), 3.49-3.51 (m, 2H), 3.55-3.70 (m, 12H), 4.30-4.39 (m, 1H), 6.95 (br d, J = 4.0 Hz, 1H), 7.69 (t, J = 1.6 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 1.2 Hz, 2H)。
【実施例】
【0184】
実施例3:(S)-3,5-ジエチニル-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)ベンズアミド ポリマー(8)の合成
【実施例】
【0185】
【化31】
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【実施例】
【0186】
平底試験管に撹拌子、(S)-3,5-ジエチニル-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)ベンズアミド(7)(0.111 g, 0.30 mmol)、塩化銅(I)(8.8 mg, 0.09 mmol)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)(0.10 g, 0.89 mmol)、クロロホルム(3 mL)を入れ、オートクレーブ中0.8 MPaの酸素加圧条件下、60 °Cで72時間加熱撹拌した。得られた粗生成物を有機溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去しジクロロメタンに溶解させ、ジエチルエーテルを用いて再沈殿させ遠心分離したのち、サイズ排除クロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム)で精製することで目的ポリマー8を56.9 mg得た。ポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は300 000、分散率(Mw/Mn)は2.51であった。
【実施例】
【0187】
実施例4:有機ナノチューブ(9)の合成
【実施例】
【0188】
【化32】
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【実施例】
【0189】
窒素雰囲気下、ねじ口試験管に(S)-3,5-ジエチニル-N-(4,7,10,13-テトラオキサ-2-テトラデシル)ベンズアミド ポリマー(8)(1.7 mg)クロロホルム(0.17 mL)を加え、400 Wの低圧水銀灯の照射下室温で6時間撹拌した。その後クロロホルムを減圧留去することで、有機ナノチューブ(9)を得た。