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明細書 :N-ヘテロ環状カルベンによる水をプロトン源とした還元方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-160221 (P2016-160221A)
公開日 平成28年9月5日(2016.9.5)
発明の名称または考案の名称 N-ヘテロ環状カルベンによる水をプロトン源とした還元方法
国際特許分類 C07C  67/303       (2006.01)
C07C  69/40        (2006.01)
C07C  69/716       (2006.01)
C07C 233/05        (2006.01)
C07C 231/12        (2006.01)
C07C  69/34        (2006.01)
C07C  69/604       (2006.01)
C07C 255/57        (2006.01)
C07C 253/30        (2006.01)
C07C  69/76        (2006.01)
C07C 255/58        (2006.01)
C07C 229/38        (2006.01)
C07C 227/18        (2006.01)
C07C 281/02        (2006.01)
C07C 257/12        (2006.01)
C07D 207/404       (2006.01)
C07D 207/408       (2006.01)
FI C07C 67/303
C07C 69/40
C07C 69/716 Z
C07C 233/05
C07C 231/12
C07C 69/34
C07C 69/604
C07C 255/57
C07C 253/30
C07C 69/76 Z
C07C 255/58
C07C 229/38
C07C 227/18
C07C 281/02
C07C 257/12
C07D 207/404
C07D 207/408
請求項の数または発明の数 1
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2015-040823 (P2015-040823)
出願日 平成27年3月3日(2015.3.3)
発明者または考案者 【氏名】松岡 真一
【氏名】加藤 輝将
【氏名】鈴木 将人
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4C069
4H006
Fターム 4C069AC31
4C069AC32
4C069BA01
4C069BA08
4C069CC07
4H006AA02
4H006AC11
4H006AC52
4H006AC59
4H006AD11
4H006BA91
4H006BA95
4H006BB15
4H006BC10
4H006BC19
4H006BE60
4H006BJ20
4H006BJ50
4H006BR10
4H006BT12
4H006BT32
4H006BU42
4H006BU46
4H006KA31
4H006QN30
要約 【課題】N-ヘテロ環状カルベンを反応促進剤として活用することで、水をプロトン源とした水素化反応を実現する方法の提供。
【解決手段】下記式の上段で示される反応基質と、下段で示されるトリアゾール系のN-ヘテロ環状カルベン(NHC)の前駆体と、水と、溶媒である1,2-ジメトキシエタンと、を混合した溶液を、マイクロウェーブ反応装置を介し、100℃以上で2時間以上反応させた後、減圧蒸留することにより、水素化された生成物を得る方法。
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(EWG1~EWG4はエステル基、シアノ基、ケトン基、アミド基又はイミド基;R1~R5はC1~20の脂肪族基、C3~12の脂環式基又はC6~30の芳香族基)
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)で示される反応基質と、一般式(2)で示されるN-ヘテロ環状カルベン(NHC)と、水と、溶媒である1,2-ジメトキシエタンと、を混合した溶液を、マイクロウェーブ反応装置を介し、100℃以上で2時間以上反応させた後、減圧蒸留することにより、水素化された生成物を得ることを特徴とするN-ヘテロ環状カルベンによる水をプロトン源とした還元方法。
【化1】
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【化2】
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(式中のEWG1、EWG2、EWG3、EWG4はエステル基、シアノ基、ケトン基、アミド基、イミド基を示している。式中のR1、R2、R3、R4、R5は炭素数1~20の脂肪族基または炭素数3~12の脂環式基または炭素数6~30の芳香族基を示す。)


発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、N-ヘテロ環状カルベンによる水をプロトン源とした還元反応の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素化反応は各種不飽和化合物を還元させる最も重要な有機反応の一つである。その代表的手法は水素分子(H2)を用いるものがある。
【0003】
しかし、水素は爆発性があるため、その利用には最大限注意を払わなくてはならない。
【0004】
また、水素を用いない試薬として、LiAlH4やNaHなどの金属ヒドリドを用いることもできるが、この種の試薬は、反応系に存在する少量の水と爆発的に反応するため、この場合においても、注意が必要である。
すなわち、水素化反応において、より安全な反応試薬を用いることは、工業合成化学的に非常に重要である。
【0005】
そこで、本発明者は最も安全な反応試薬である水をプロトン源として水素化反応を行うことを着想した。
【0006】
実際これまでに、水をプロトン源とした水素化反応については、フォスフィンを反応促進剤として用いた電子受容性の非常に高い化合物であるTCNQ(非特許文献1)、ジケトン化合物の水素化反応(非特許文献2)、ロジウム触媒を用いたオレフィン類やa,b-不飽和ケトンの水素化反応(非特許文献3)、サマリウム促進剤によるジケトン化合物の水素化反応(非特許文献4)、遷移金属触媒によるオレフィン類の水素化反応(非特許文献5)がある。
【0007】
以上のように、複数の反応系が報告されているが、反応基質の適用範囲は狭く、合成化学の方法論として全く普及していない。特に、電子不足な不飽和化合物であるマイケル受容体、イミン、アゾなどに対しての有効な方法論が確立していないのが現状である。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】R. L. Powell, C. D. Hall J. Am. Chem. Soc. 1969, 91, 5403
【非特許文献2】W. Zhang, M. Shi Chem Commun. 2006, 1218
【非特許文献3】T. Sato, S. Watanabe, H. Kiuchi, S. Oi, Y. Inoue Tetrahedron Lett. 2006, 47, 7703
【非特許文献4】S. Fukuzawa, M. Miura, H. Matsuzawa Tetrahedron Lett. 2001, 42, 4167
【非特許文献5】A. G. Campana, R. E. Estevez, N. Fuentes, R. Robles, J. M. Cuerva, E. Bunuel, D. Cardenas, J. E. Oltra Org. Lett. 2007, 9, 2195
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上の水素化反応の欠点を解決するため、反応促進剤として新たにN-ヘテロ環状カルベンを活用することで、非常に多種類の反応基質に対して、水をプロトン源とした水素化反応を進行させる方法を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明者はN-ヘテロ環状カルベン(NHC)に着目した。
【0011】
即ち、本発明は以下の通りである。
一般式(1)で示される反応基質と、一般式(2)で示されるN-ヘテロ環状カルベン(NHC)の前駆体と、水と、溶媒である1,2-ジメトキシエタンと、を混合した溶液を、マイクロウェーブ反応装置を介し、100℃以上で約2時間反応させた後、減圧蒸留することにより、水素化された生成物を得ることを特徴とする。
【化1】
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【化2】
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ただし、式中のEWG1、EWG2、EWG3、EWG4はエステル基、シアノ基、ケトン基、アミド基、イミド基を示している。式中のR1、R2、R3、R4、R5は炭素数1~20の脂肪族基または炭素数3~12の脂環式基または炭素数6~30の芳香族基を示す。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る水をプロトン源とした還元方法によれば、高反応性試薬であるN-ヘテロ環状カルベンを反応促進剤として活用することにより、水をプロトン源とした水素化反応を実現し、非常に多種類の基質へと適用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る方法に使用するN-ヘテロ環状カルベン(NHC)の前駆体の化学構造を示す図である。
【図2】図2は、同、反応基質であるフマル酸ブチルの化学構造を示す図。
【図3】図3は、同、方法により生成された水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図4】図4は、実施例8の反応基質の化学構造を示す図。
【図5】図5は、実施例8の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図6】図6は、実施例9の反応基質の化学構造を示す図。
【図7】図7は、実施例9の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図8】図8は、実施例10の反応基質の化学構造を示す図。
【図9】図9は、実施例10の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図10】図10は、実施例11の反応基質の化学構造を示す図。
【図11】図11は、実施例11の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図12】図12は、実施例12の反応基質の化学構造を示す図。
【図13】図13は、実施例12の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図14】図14は、実施例13の反応基質の化学構造を示す図。
【図15】図15は、実施例13の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図16】図16は、実施例14の反応基質の化学構造を示す図。
【図17】図17は、実施例14の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図18】図18は、実施例15の反応基質の化学構造を示す図。
【図19】図19は、実施例15の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図20】図20は、実施例16の反応基質の化学構造を示す図。
【図21】図21は、実施例16の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図22】図22は、実施例17の反応基質の化学構造を示す図。
【図23】図23は、実施例17の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図24】図24は、実施例18の反応基質の化学構造を示す図。
【図25】図25は、実施例18の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図26】図26は、実施例19の反応基質の化学構造を示す図。
【図27】図27は、実施例19の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【図28】図28は、実施例20の反応基質の化学構造を示す図。
【図29】図29は、実施例20の水素化された生成物の化学構造を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施例1)
十分に乾燥させたガラス製反応容器に、1気圧の窒素雰囲気下、スターラーバー、N-ヘテロ環状カルベンの前駆体1(図1参照)(100 mg, 0.30 mmol)、水(14 mg, 0.78 mmol)、1,2-ジメトキシエタン(0.80 mL)、および反応基質であるフマル酸ジブチル(図2参照)(57 mg, 0.25 mmol)を加え、ガラス容器を密閉した。

【0015】
この溶液を、マイクロウェーブ反応装置を介し、100℃以上、好ましくは約150℃で2時間以上反応させた。
反応混合物から5.0 mmHg以上の減圧下で蒸留することにより、水素化された生成物(図3参照)を54 mg, 94 %収率で得た。
生成物の構造解析は、1H, 13C NMR, IR, ESI-MSにより行った。反応条件の検討については(表1参照)にまとめた。溶媒または/および反応温度を変えた実施例2-7と比較した。

【0016】
【表1】
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【0017】
(実施例8)
本例は実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質4(図4参照)を用いて反応を行った。
反応混合物から5.0 mmHg以上の減圧下で蒸留することにより、水素化された生成物5(図5参照)を28 mg, 65%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0018】
(実施例9)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質6(図6参照)を用いて反応を行った。
反応混合物から5.0 mmHg以上の減圧下で蒸留することにより、水素化された生成物7(図7参照)を40 mg, 79%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0019】
(実施例10)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質8(図8参照)を用いて反応を行った。
反応混合物から5.0 mmHg以上の減圧下で蒸留することにより、水素化された生成物9(図9参照)を17 mg, 36%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0020】
(実施例11)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質10(図10参照)を用いて反応を行った。
反応混合物から5.0 mmHg以上の減圧下で蒸留することにより、水素化された生成物11(図11参照)を40 mg, 85 %収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0021】
(実施例12)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質12(図12参照)を用いて反応を行った。
反応混合物から5.0 mmHg以上の減圧下で蒸留することにより、水素化された生成物13(図13参照)を33 mg, 68%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0022】
(実施例13)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質14(図14参照)を用いて反応を行った。
反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=3:2、Rf = 0.4)により精製することにより、水素化された生成物15(図15参照)を24 mg, 55%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0023】
(実施例14)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質16(図16参照)を用いて反応を行った。
反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=3:2、Rf = 0.4)により精製することにより、水素化された生成物17(図17参照)を34 mg, 72%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0024】
(実施例15)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質18(図18参照)を用いて反応を行った。
反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=10:1、Rf = 0.3)により精製することにより、水素化された生成物19(図19参照)を46 mg, 80%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0025】
(実施例16)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質20(図20参照)を用いて反応を行った。
反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=10:1、Rf = 0.3)により精製することにより、水素化された生成物21(図21参照)を17 mg, 24%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0026】
(実施例17)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質22(図22参照)を用いて反応を行った。
反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=3:1、Rf = 0.4)により精製することにより、水素化された生成物23(図23参照)を42 mg, 80%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0027】
(実施例18)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質24(図24参照)を用いて反応を行った。
反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=3:1、Rf = 0.5)により精製することにより、水素化された生成物25(図25参照)を41 mg, 68%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0028】
(実施例19)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質26(図26参照)を用いて反応を行った。
反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=3:2、Rf = 0.6)により精製することにより、水素化された生成物27(図27参照)を45 mg, 88%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0029】
(実施例20)
本例も、実施例1と同じ方法で、フマル酸ジブチルの代わりに基質28(図28参照)を用いて反応を行った。
反応混合物から5.0 mmHg以上の減圧下で蒸留することにより、水素化された生成物29(図29参照)を39 mg, 75%収率で得た。
生成物の構造解析も実施例1と同様に行った。

【0030】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は前記実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることはもちろんである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28