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明細書 :多値変調・復調方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-159386 (P2015-159386A)
公開日 平成27年9月3日(2015.9.3)
発明の名称または考案の名称 多値変調・復調方法
国際特許分類 H04L  27/20        (2006.01)
H04L  27/36        (2006.01)
FI H04L 27/20 Z
H04L 27/00 F
請求項の数または発明の数 14
出願形態 OL
全頁数 28
出願番号 特願2014-032407 (P2014-032407)
出願日 平成26年2月24日(2014.2.24)
新規性喪失の例外の表示 申請有り
発明者または考案者 【氏名】田中 將義
出願人 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】230100022、【弁護士】、【氏名又は名称】山田 勝重
【識別番号】100084319、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 智重
審査請求 未請求
テーマコード 5K004
Fターム 5K004AA05
5K004AA08
5K004FA11
要約 【課題】複数の電力増幅器を高効率が可能な飽和領域で動作可能とし、電力消費量を低減でき、電源の低容量化、熱制御の簡単化により通信システムの送信系構築を経済的に達成できる多値変調・復調方法を提供する。
【解決手段】1つの8PSK波あるいは8APSK波と1つのQPSK波、あるいは複数の8PSK波あるいは8APSKを重畳合成して形成される信号空間配置であり、電力を正規化したとき、信号点間の最小の幾何距離が最大になるように8PSK波あるいは8APSK波とQPSK、8PSK波同士あるいは8APSK同士の相対振幅、相対位相関係を決定する。これらの2つの信号波を空間で重畳合成する。重畳合成の際には、重畳誤差を小さく保つために同心円上に配置した複数のアンテナ素子から構成されるフェーヅドアレイアンテナを使用する。
【選択図】図11
特許請求の範囲 【請求項1】
一つの8PSK波と一つのQPSK波を重畳合成して形成される信号空間配置であり、送信電力を正規化したとき、信号点間の最小の幾何距離が最大になるように前記8PSK波と前記QPSKの信号振幅比と前記8PSK波と前記QPSKの相対位相関係を決定し、
前記重畳合成の際に、前記8PSK波と前記QPSK波を変調波ごとに2系統のアンテナからそれぞれ送信して空間でベクトル的に重畳合成し、
前記2系統のアンテナは、送信中心点が互いに同一なフェーズドアレイアンテナであって、複数のアンテナ素子をそれぞれ有し、
A及びBを整数としたとき、前記フェーズドアレイアンテナは、半径の異なるA重の同心円状に前記2系統のアンテナの前記アンテナ素子を配置したものであり、前記同心円にはそれぞれB個の整数倍の前記アンテナ素子が、前記2系統のアンテナの系統ごとに交互に、等間隔で配置されていることを特徴とする多値変調・復調方法。
【請求項2】
一つの8APSK波と一つのQPSK波を重畳合成して形成される信号空間配置であり、送信電力を正規化したとき、信号点間の最小の幾何距離が最大になるように前記8APSK波と前記QPSKの信号振幅比と前記8APSK波と前記QPSKの相対位相関係を決定し、
前記重畳合成の際に、前記8APSK波と前記QPSK波を変調波ごとに2系統のアンテナからそれぞれ送信して空間でベクトル的に重畳合成し、
前記2系統のアンテナは、送信中心点が互いに同一なフェーズドアレイアンテナであって、複数のアンテナ素子をそれぞれ有し、
A及びBを整数としたとき、前記フェーズドアレイアンテナは、半径の異なるA重の同心円状に前記2系統のアンテナの前記アンテナ素子を配置したものであり、前記同心円にはそれぞれB個の整数倍の前記アンテナ素子が、前記2系統のアンテナの系統ごとに交互に、等間隔で配置されていることを特徴とする多値変調・復調方法。
【請求項3】
二つの8PSK波を重畳合成して形成される信号空間配置であり、送信電力を正規化したとき、信号点間の最小の幾何距離が最大になるように前記の二つの8PSK波の信号振幅比と前記二つの8PSK波の相対位相関係を決定し、
前記重畳合成の際に、前記二つの8PSK波を変調波ごとに2系統のアンテナから送信して空間でベクトル的に重畳合成し、
前記2系統のアンテナは、送信中心点が互いに同一なフェーズドアレイアンテナであって、複数のアンテナ素子をそれぞれ有し、
A及びBを整数としたとき、前記フェーズドアレイアンテナは、半径の異なるA重の同心円状に前記2系統のアンテナの前記アンテナ素子を配置したものであり、各同心円にはB個の整数倍の前記アンテナ素子が、前記2系統のアンテナの系統ごとに交互に、等間隔で配置されていることを特徴とする多値変調・復調方法。
【請求項4】
前記8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が均一ではなく、異なる値Th1とTh2であり、それらが交互に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の多値変調・復調方法。
【請求項5】
前記8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1とTh2であり、22.0度≦Th1≦28.0度、62.0度≦Th2≦68.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、さらに8PSK波とQPSKの信号振幅比(r2/r1)が0.38≦r2/r1≦0.5の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の多値変調・復調方法。
【請求項6】
前記8APSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1とTh2であり、24.0度≦Th1≦29.0度、61.0度≦Th2≦66.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、さらに8つの信号の振幅が二つの異なる値rr1、rr2をとり、0.85≦(rr2/rr1)≦0.93の範囲にあって、それぞれ交互に配置され、さらに8APSK波の大きい方の振幅rr1とQPSKの信号振幅r2の比(r2/rr1)が0.17≦(r2/rr1)≦0.27の範囲にあり、かつ8APSK波とQPSK波の相対角度Th12は、9.0度≦Th12≦16.5度であることを特徴とする請求項2に記載の多値変調・復調方法。
【請求項7】
前記二つの8PSK波の一方の8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1-1とTh2-1であり、28.0度≦Th1-1≦32.0度、58.0度≦Th2-1≦62.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、
前記二つの8PSK波の他方の8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1-2とTh2—2であり、32.0度≦Th1-2≦42.0度、48.0度≦Th2-2≦58.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、さらに前記の一方の8PSK波の振幅r1と前記の他方の8PSKの信号振幅r2の比(r2/r1)が0.38≦r2/r1≦0.42の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の多値変調・復調方法。
【請求項8】
前記二つの8PSK波の一方の8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1-2とTh2-2であり、42.0度≦Th1-2≦48.0度、42.0度≦Th2-2≦48.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、
前記二つの8PSK波の一方の8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1-3とTh2—3であり、38.0度≦Th1-3≦52.0度、38.0度≦Th2-3≦52.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、
前記二つの8PSK波の両方において、振幅r1-2とr2-2の信号振幅比(r2-2/r1-2)が0.52≦(r2-2/r1-2)≦0.6の範囲にあることを特徴とする請求項3に記載の多値変調・復調方法。
【請求項9】
8PSK変調、8APSK変調、またはQPSK変調する前に、情報ビットストリームに誤り訂正符号とインターリーバを設置し、符号を撹拌する機能を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多値変調・復調方法。
【請求項10】
2種以上の誤り訂正符号を使用し、1つの誤り訂正符号器ともう1つの誤り訂正符号器の間に、インターリーバを設置し、符号を撹拌する機能を備えたことを特徴とする請求項9に記載の多値変調・復調方法。
【請求項11】
隣接する信号点間の符号間距離が最少となるように符号変換を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多値変調・復調方法。
【請求項12】
変調後の電力増幅器の非線形特性を考慮して前置歪補償を施した信号配置とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多値変調・復調方法。
【請求項13】
電力増幅器非線形特性の歪を受けた後に最小の幾何距離が最大になるように、信号配置の半径と相対位相関係を伝送特性が最適となるように調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多値変調・復調方法。
【請求項14】
受信側において、既知信号を送信したときの空間重畳に伴う振幅あるいは位相誤差を推定して、この推定誤差をもとに修正した信号空間配置を用いて復調することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多値変調・復調方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、通信に使用する変調・復調に関して、特に帯域が制限された伝送路において高速通信を実現する場合に有効な多値変調波を、高効率に電力増幅を実現する多値変調・復調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の多値変調方式の1つである32値振幅位相変調32APSK(4+12+16APSK)の32種の信号の振幅と位相を示す信号点配置を示している。図1に示す例では、多重リング状に32の信号点が配置されている。図2は、従来の32値直交振幅変調(32QAM)波の信号点配置図であり、信号点が格子状に配置されている。図3は、3ビームを用いて空間重畳技術を用いて32値振幅位相変調32APSK(4x4x2APSK)を実現する例を示している。これらの32値振幅位相変調及び32値直交振幅変調のいずれも変調の単位である1シンボルで5ビットの伝送が可能であり、2=32種の情報データが伝送可能である多値変調信号波である。
【0003】
図4は、ワイヤレス通信のシステム構成例を示している。図4(a)に示す送信側では、伝送すべき情報をencoderにて符号化し、さらに誤り訂正符号によりチャネル符号化される。その後、情報ビットをModulatorで変調し、その後、帯域制限・整形フィルタ(SRRC filter)でスペクトラム整形し、U/Cで周波数を高い周波数に変換した後、電力増幅器(HPA)で電力を高めてアンテナから送信する。図4(b)に示す受信側では、低雑音増幅器(LNA)で増幅後、D/Cで周波数を低い値に変換した後、SRRC filterでスペクトラム整形し、その後、復調器(Demodulator)でベースバンド信号を取り出し、Decoderで符号化された情報の復号を行い、伝送された情報を取り出す。
【0004】
図5は、従来技術の4+12+16APSKのシステム構成例を示している。この例では、送信部において、送信データである5ビットの情報をS/Pで並列分割し、誤り訂正符号化を行った後、MAPPER、CONSTELLATION GENERATORで図1に示す3重の同心円上に信号点を配置し、Iチャネル信号とQチャネル信号用の2チャネルの信号を出力する。その後、帯域制限・整形フィルタ(SRRC filter)を通過後に、直交する2つの搬送波(cos(wt),-sin(wt))でIチャネル信号とQチャネル信号の積を取り、周波数を変換した後、電力増幅器(HPA)で増幅し、アンテナから送信する構成である。また、受信部では、低雑音増幅器(LNA)で増幅後、搬送波を掛けて、baseband信号を取り出し、SRRC filterで帯域制限・整形を施し、Demodulatorにて復調する。その後、Decoderで復号し、P/Sで並列・直列変換を行い、伝送情報を取り出す。
【0005】
図6は、従来技術の3ビームの空間重畳型4x4x2APSKのシステム構成例を示している。この例では、送信部(図6(a))のEncoderにおいて、送信データに誤り訂正符号化を行った後、1シンボルの5ビットを、2ビットと、2ビットと、1ビットとに3分割し、それぞれ別々にQPSK1変調、QPSK2変調とBPSK1、2変調を行い、変調信号を出力する。その後、それぞれ帯域制限・整形フィルタ(SRRC filter)を通過後に、DIVで分配、V-ATTでレベル制御、V-Phasedで位相制御を行い、U/Cで周波数を変換した後、別々に電力増幅器(HPA)で増幅し、アンテナから3ビームを用いて送信する構成である。また、受信部では、3ビームを一括受信し、低雑音増幅器(LNA)で増幅後、D/Cで低い周波数に変換し、baseband信号を取り出し、SRRC filterで帯域制限・整形を施し、Demodulatorにて復調する。その後、Decoderで復号し、伝送情報を取り出す。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2013-48354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図7は電力増幅器(HPA)の特性例を示しており、入力信号電力(Pin(単位dB))に対する、出力信号電力(Pout(単位dB))(実線)と電力効率(Efficiency(単位%))(◆を結んだ実線)を示している。図7に示すように、入力電力が大きくなるにつれて出力電力が大きくなり、電力効率も増加する。出力が飽和を呈する領域の直前近傍で効率は最大となる。
【0008】
図8(a)、(b)は電力増幅器(HPA)の特性例を示しており、入力信号電力(Pin)に対する、出力信号電力(Pout、AM/AM変換)(図8(a))と位相(Phase)の変化(AM/PM変換)(図8(b))を示している。図8に示すように、効率を高めるために入力信号電力を高めると、出力信号電力が圧縮され(AM/AM変換)、同時に、通過位相が変化(AM/PM変換)する。ここで、32APSK信号波や32QAM信号は、振幅の値が一定ではなく、時間的に変動するために、図8に示す、HPAのAM/AM変換およびAM/PM変換を受けて、信号点配置が変形する。
【0009】
図9にHPAの高効率動作が期待できる出力バックオフ点OBO=1.5dBにおける受信側での4+12+16APSK(32APSK)信号点配置を示す。図9では、熱雑音はなく、HPAの非線形特性の影響のみを示している。図9から分かるように、受信側では、正しく元の信号を復調することができずに誤り率が増加する問題点がある。
【0010】
多値変調信号を電力増幅する際、増幅器の非線形特性による伝送性能劣化を抑えるために、図7に示す飽和点から十分出力を下げ(出力バックオフ)、線形性が良好となる動作点で運用することが行われている。しかし、図7に示したように、この場合には電力増幅器の効率が低下する欠点がある。さらに所望の出力を得るためには、より高出力の電力増幅器が必要となり、また消費電力が増加すること、電源が大容量となること、熱対策のハードウエアが必要となる等、システムが高価になる欠点がある。
【0011】
図6のシステム構成例では、振幅変動の大きな32APSK信号波を振幅変動の少ない二つのQPSK波(4相位相変調波)と一つのBPSKに3分割して、それぞれを別々に電力増幅器の効率が高い飽和点近傍で動作させている。その後、アンテナから3ビームを放射し、空間でベクトル合成して32APSK信号波を形成している。
【0012】
図10はHPAの高効率動作が期待できる出力バックオフ点OBO=1.5dBにおける受信側での4x4x2APSK(32APSK)信号点配置を示す。QPSK波とBPSK波は、振幅変動が小さいため、HPAの非線形特性の影響を受けにくく、個別にHPAの高効率動作が期待できる出力バックオフ点OBO=1.5dBにおいて動作している。しかし、二つのQPSKと一つのBPSK波を作成するために、変調器、電力増幅器の台数が増加すること、さらに3ビームで送信する構成であるため、アンテナ系が複雑になる欠点がある。
【0013】
以上の問題点・欠点を鑑みて、本発明は、空間重畳合成技術を用いて、複数の電力増幅器を高効率が可能な飽和領域で動作可能とし、電力消費量を低減でき、電源の低容量化、熱制御の簡単化により通信システムの送信系構築を経済化するとともに、さらに構成要素数を削減して従来技術よりも一層簡単な構成で高効率に多値変調波電力増幅・送信を実現でき、経済的にシステム構築を達成できる多値変調・復調方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の多値変調・復調方法は、従来技術の上記課題を解決するために考案したものであって、第一あるいは第二の態様において、1つの8PSK波(第一の態様)あるいは1つの8APSK波(第二の態様)と、1つのQPSK波(第一及び第二の態様)とを重畳合成して形成される信号空間配置であり、電力を正規化したとき、信号点間の最小の幾何距離が最大になるように、8PSK波あるいは8APSK波とQPSKの信号振幅比、及び、8PSK波あるいは8APSK波とQPSK波の相対位相関係を決定することを特徴としている。
また、本発明の第三の態様に係る多値変調・復調方法は、二つの8PSK波同士を重畳合成して形成される信号空間配置であり、電力を正規化したとき、信号点間の最小の幾何距離が最大になるように、複数の8PSK波の間の信号振幅比、複数の8PSK波の間の相対位相関係を決定することを特徴としている。
【0015】
さらに、本発明の多値変調・復調方法は、重畳合成の際に、第一及び第二の態様では8PSK波とQPSK波を、第三の態様では複数の8PSK波を、変調波ごとに2系統のアンテナからそれぞれ送信して空間でベクトル的に重畳合成し、上記2系統のアンテナは、送信中心点が互いに同一なフェーズドアレイアンテナであって、複数のアンテナ素子をそれぞれ有し、A及びBを整数としたとき、上記フェーズドアレイアンテナは、半径の異なるA重の同心円状に前記2系統のアンテナの前記アンテナ素子を配置したものであり、この同心円にはそれぞれB個の整数倍のアンテナ素子が、上記2系統のアンテナの系統ごとに交互に、等間隔で配置されていることを特徴としている。
【0016】
本発明の第一の態様に係る多値変調・復調方法においては、8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が均一ではなく、異なる値Th1とThであり、それらが交互に配置されたことを特徴とする。
【0017】
本発明の第一の態様に係る多値変調・復調方法においては、8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1とTh2であり、22.0度≦Th1≦28.0度、62.0度≦Th2≦68.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、さらに8PSK波とQPSKの信号振幅比(r2/r1)が0.4≦r2/r1≦0.5の範囲にあることを特徴とする。
【0018】
本発明の第二の態様に係る多値変調・復調方法においては、8APSK波の8つの信号空間配置点に関して、8つの信号の振幅が二つの異なる値rr1、rr2をとり、0.85≦(rr2/rr1)≦0.93の範囲にあって、それぞれ交互に配置され、さらに8APSK波の大きい方の振幅rr1とQPSKの信号振幅r2の比(r2/rr1)が0.17≦(r2/rr1)≦0.27の範囲にあり、かつ8APSK波とQPSK波の相対角度Th2は、9.0度≦Th12≦16.5度であることを特徴とする。
【0019】
本発明の第三の態様に係る多値変調・復調方法においては、二つの8PSK波の一方の8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1-1とTh2-1であり、28.0度≦Th1-1≦32.0度、58.0度≦Th2-1≦62.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、二つの8PSK波の他方の8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1-2とTh2—2であり、32.0度≦Th1-2≦42.0度、48.0度≦Th2-2≦58.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、さらに前記の一方の8PSK波の振幅r1と前記の他方の8PSKの信号振幅r2の比(r2/r1)が0.38≦r2/r1≦0.42の範囲にあることを特徴とする。
【0020】
本発明の第三の態様に係る多値変調・復調方法においては、二つの8PSK波の一方の8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1-2とTh2-2であり、42.0度≦Th1-2≦48.0度、42.0度≦Th2-2≦48.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、二つの8PSK波の他方の8PSK波の8つの信号空間配置点に関して、隣接の信号点間の角度が異なる値Th1-3とTh2—3であり、40.0度≦Th1-3≦50.0度、40.0度≦Th2-3≦50.0度の範囲にあり、それぞれ交互に配置され、二つの8PSK波の両方の振幅r1-2とr2-2の信号振幅比(r2-2/r1-2)が0.52≦(r2-2/r1-2)≦0.6の範囲にあることを特徴とする。
【0021】
本発明の多値変調・復調方法においては、8PSK変調又はQPSK変調する前に、情報ビットストリームに誤り訂正符号とインターリーバを設置し、符号を撹拌する機能を備えたことを特徴とする。
本発明の多値変調・復調方法においては、図12に示すように、2種以上の誤り訂正符号を使用し、1つの誤り訂正符号器Encoder-1ともう1つの誤り訂正符号器Encoder-2の間に、インターリーバ(Interleaver)を設置し、符号を撹拌する機能を備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明の多値変調・復調方法においては、隣接する信号点間の符号間距離が最少となるように符号変換を行うことを特徴とする。
本発明の多値変調・復調方法においては、変調後の電力増幅器の非線形特性を考慮して前置歪補償を施した信号配置とすることを特徴とする。
【0023】
本発明の多値変調・復調方法においては、電力増幅器非線形特性の歪を受けた後に最小の幾何距離が最大になるように、信号配置の半径と相対位相関係を伝送特性が最適となるように調整することを特徴とする。
【0024】
本発明の多値変調・復調方法においては、受信側において、既知信号を送信して空間重畳に伴う振幅あるいは位相誤差を推定して、この推定誤差をもとに修正した信号空間配置を用いて復調することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、従来構成より少ない変調器、電力増幅器、アンテナ素子数で多値変調波の高効率電力増幅・送信が構成できる。8PSK(8相位相変調波)あるいは8APSK波(8相振幅位相変調波)、QPSK変調波(4相位相変調波)の電力増幅器を高効率が可能な飽和領域で動作可能とし、電力消費量を低減でき、電源の低容量化、熱制御の簡単化により通信システムの送信系構築を経済的に達成できる。また、変形した信号配置、重畳誤差を推測する機能を追加することにより、重畳誤差の影響が小さくなり、誤り率が低下し、送信電力の低減、低消費電力化に一層効果がある。さらに、図1に示すように従来の多重円上に信号点を配置した信号空間配置に比べて、電力増幅器の非線形特性に起因する伝送特性劣化が減少し、電力増幅器を高効率動作が可能となり、低消費電力化を大幅に実現できる。
【0026】
また、従来の3ビームを用いた空間重畳技術を用いた4x4x2-APSK変調に比べて、少ない変調器、電力増幅器、アンテナ素子で構成可能であり、一層の経済化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】多重リング状に配置した従来の32APSKの信号空間配置の例を示す図である。
【図2】格子状に配置した従来の32QAMの信号空間配置の例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態における空間重畳技術を用いて実現する32APSK(4x4x2APSK)の信号空間配置の例を示す図である。
【図4】ワイヤレス通信システムの構成図であって、(a)は送信側、(b)は受信側を示す図である。
【図5】従来技術の4+12+16APSKシステム構成図である。
【図6】従来の3ビームの空間重畳合成を用いた4x4x2APSKの構成例を示す図であって、(a)は送信側、(b)は受信側を示す図である。
【図7】典型的な電力増幅器の入出力特性と電力効率特性を示すグラフである。
【図8】電力の非線形特性例を示すグラフであって、(a)はAM-AM変換、(b)はAM-PM変換の場合を示す。
【図9】32APSK信号波がHPAの非線形特性によって変形した信号点配置を示す図である。
【図10】HPAの非線形特性により32APSK信号波が変形した信号点配置を示す図である。
【図11】本発明の実施形態において1つの8PSK信号と1つのQPSK信号の合成による信号空間配置を実現する形成方法を示す図である。
【図12】インターリーバを介した連接誤訂正符号の構成例を示す図である。
【図13】本発明の実施形態において、1つの8PSK信号と一つのQPSK信号の合成によって信号空間配置を実現する形成方法を示す図であって、(a)はmodified 8PSK信号を示し、(b)はQPSK信号を示し、(c)は合成した信号空間配置(8x4=32APSK)を示す。
【図14】変調信号のレベル分布を示すグラフであって、(a)はmodified 8PSK信号、(b)はQPSK信号、(c)は4+12+16APSK信号、(d)は32QAM信号を示す。
【図15】(a)はフェーズドアレイアンテナを用いた空間重畳合成技術による8x4APSK変調の構成例を示す図であって、(a)は送信側、(b)は受信側を示す図である。
【図16】アンテナ間の距離による受信点における位相誤差の発生を説明する図である。
【図17】空間重畳誤差を小さく抑えることが可能なフェーズドアレイアンテナシステムの構成例を示す図である。
【図18】2波の空間重畳誤差を小さく抑えることが可能なフェーズドアレイアンテナシステムの構成例を示す図であって、(a)はアンテナ素子が2+2の例、(b)はアンテナが3+3の例を示す。
【図19】2ビーム空間重畳用アレイアンテナ前方からの角度に対する2波空間重畳合成の利得誤差と位相誤差(2+2システム)を示す図である。
【図20】2ビーム空間重畳用アレイアンテナ前方からの角度に対する2波空間重畳合成の利得誤差と位相誤差(3+3システム)を示す図である。
【図21】2ビーム空間重畳合成時において重畳誤差があるときの信号空間配置を示す図である。
【図22】本発明の実施例における32APSKと従来方法の線形動作時(OBO=6dB)と非線形動作時(OBO=1.6dB)の伝送特性を示すグラフである。
【図23】空間重畳誤差が存在するときの信号空間配置の変形を示す図である。
【図24】本発明の実施例における32APSKの空間重畳誤差があるときの伝送特性を比較して示すグラフである。
【図25】HPAの消費電力算出に使用した固定電力増幅器(SSPA)の特性を示すグラフである。
【図26】(a)は、従来方式の3ビームの空間重畳合成を用いた32APSKシステムに用いるアンテナの構成例を示し、(b)は32APSKシステムの構成例を示す図である。
【図27】(a)は、本発明の実施形態における2ビームの空間重畳合成を用いた32APSKシステムに用いるアンテナの構成例を示し、(b)は32APSKシステムの構成例を示す図である。
【図28】本発明の衛星システムへの適用例を示す図であって、(a)はベントパイプ型を示し、(b)は再生機能を有するタイプを示す。
【図29】modified 8PSKとQPSKの2ビームの空間重畳合成により実現する32APSKの原理を示す図であって、(a)は不均一配置8PSKを示し、(b)はQPSKを示し、(c)は32APSKを示す。
【図30】modified 8PSKの角度(位相)配置を示す図である。
【図31】8PSKxQPSK=32APSKの8PSKの空間信号配置のth0(点間角度/2)と空間信号配置の(点間幾何距離dの二乗/送信平均電力Pav)の関係を示す図である。
【図32】8PSKxQPSK=32APSKの振幅比と空間信号配置の(点間幾何距離dの二乗/送信平均電力Pav)の関係を示す図である。
【図33】(a)は、8APSK波とQPSK波の2ビーム空間重畳合成による32APSK変調における8APSK波を示す図、(b)はQPSK波を示す図、(c)は変調された32APSKを示す図である。
【図34】2ビーム空間重畳合成による32APSK変調実現時の8APSKの空間信号配置のTh0(点間角度/2)ならびに振幅比と空間信号配置の(点間幾何距離dの二乗/送信平均電力Pav)の関係を示す図である。
【図35】2ビーム空間重畳合成による32APSK変調実現時の8APSKとQPSKの相対角度(φ)と空間信号配置の「点間幾何距離dの二乗/送信平均電力Pav」の関係を示す図である。
【図36】2ビーム空間重畳合成による32APSK変調実現時の8APSKのとQPSKの振幅比(r2/r11)と空間信号配置の(点間幾何距離dの二乗/送信平均電力Pav)の関係を示す図である。
【図37】従来の64QAMの信号空間配置を示す図である。
【図38】64APSKの信号空間配置を示す図である。
【図39】3ビーム空間重畳型64QAMの動作原理を示す図である。
【図40】本発明の実施例である2ビーム空間重畳型64APSKの構成例を示す図であって、(a)、(b)は重畳合成する、2波の8PSKの空間信号配置をそれぞれ示す図であり、(c)は重畳合成された64APSKを示す図である。
【図41】64APSKの8PSK-1の信号空間配置におけるTh01「点間角度(位相)/2」と信号空間配置点間の(点間幾何距離dの二乗/送信平均電力Pav)の関係を示す図である。
【図42】64APSKの8PSK-2の信号空間配置におけるTh02「点間角度(位相)/2」と(点間幾何距離dの二乗/送信平均電力Pav)の関係を示す図である。
【図43】64APSKの8PSK-1と8PSK-2の振幅比と信号空間配置における点間幾何距離dの二乗/送信平均電力Pav)の関係を示す図である。
【図44】本発明の実施例である2ビーム空間重畳型64APSKの構成例を示す図であって、(a)、(b)は重畳合成する、2波の8PSKの信号空間配置をそれぞれ示す図であり、(c)は重畳合成された64APSKを示す図である。
【図45】64APSKの8PSK-1と8PSK-2の信号空間配置における振幅比(r2/r1)と点間幾何距離の関係を示す図である。
【図46】64APSKの8PSK-1の信号空間配置における「点間角度(位相)/2」と点間幾何距離の関係を示す図である。
【図47】64APSKの8PSK-2の信号空間配置における「点間角度(位相)/2」と点間幾何距離の関係を示す図である。
【図48】重畳誤差eを推定するパイロット信号S1、S2と受信信号Sr1、Sr2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の多値変調・復調方法は、電力増幅器の非線形特性の影響を抑えるために、図1の32APSK又は図2に示す32QAM等の信号空間配置に代えて、図3の信号空間配置として、1つの8PSK波あるいは8APSK波と、1つのQPSK波とを重畳合成してこの空間配置を形成する構成としている。さらに、多値変調波を図4、5に示すようにHPAで一括に電力増幅する代わりに、振幅変動の小さい8PSK変調波あるいは8APSK波とQPSK変調波に分割し、各々を個別に高効率電力増幅する構成をなし、8x4APSKの重畳合成している。このため、増幅器の非線形特性により信号空間配置の変形を受けにくく、高効率電力増幅が可能となる。さらに、図6に示す4x4x2APSKに比べて少ない装置でシステム構成を実現できる。

【0029】
図11に8PSK波とQPSK波を空間重畳合成して8x4APSKを実現する構成を示している。
空間で電力合成する場合には、受信側が一点ではなく、広い地域をカバーする場合には、利得と位相に重畳誤差を伴う。これらの影響を小さくするために、変調側では、重畳する8PSK波とQPSK波の信号レベルを調整し、復調側では、利得と位相誤差を推測する機能を備え、利得誤差と位相誤差を算出し、変調時の信号空間配置に対して、推測した利得誤差、位相誤差をもとに変形した信号空間配置を求め、この配置に基づいて復調を行うようにした。

【0030】
以下、本発明の実施形態に係る多値変調・復調方法について図面を参照しつつ詳しく説明する。
<構成>
図3は、本実施形態に係る32値の信号空間配置を示している。図11は、本実施形態において1つの8APSK(8相振幅位相変調)信号と1つのQPSK(4相位相変調)信号の合成による信号空間配置を実現する形成方法を示している。

【0031】
図11に示すように、図3に示した信号空間配置は、1つの8PSK変調器(8PSK)の出力と、1つのQPSK変調器の出力(QPSK)を重畳合成することで実現できる。2つの信号波の複素数表示を次式に示す。

【0032】
【数1】
JP2015159386A_000003t.gif

【0033】
この式において、r、φi,j、φi、kは各8PSK信号とQPSK信号の振幅と位相を示す。ここで、i=1、2,j=1,2,..8,k=1,2,..4である。各々の8PSKとQPSKの出力信号S、Sはほぼ一定の振幅を有しており、AM変動が小さくなるために、この信号を別々に電力増幅器に入力すると図8に示す電力増幅器の非線形特性であるAM/AM変換、AM/PM変換の影響を受け難くなる。

【0034】
<信号配置の最適化>
図3に示すような信号点配置による伝送誤りは、伝送上の干渉波、熱雑音等により、伝送した信号点が隣接の信号点に変位するために、受信側で正しい信号点が識別できずに信号誤りが発生する。信号誤りを小さくするためには、同じ送信電力において、信号点配置における幾何学上の最小距離dを大きくすることが重要である。図13に示す信号点配置における送信電力Poutは次式で与えられる。
Pout=1/2(r+r
/rとthを調整することにより、(d)/Poutを最大にすることが可能である。

【0035】
この結果、送信電力Poutは、r/r=0.442、th=12.76度において最大となる。このときの8PSKの信号配置は、図12(a)に示すように、従来の8PSKのように円周上に等間隔には並ばずに、不均一となり、「modified 8PSK」と呼ぶこととする。
このように、振幅比と相対位相関係を調整することにより、(d)/Poutを高めることができる。このときの信号空間配置図を図13(c)に示す。

【0036】
図14に各変調波のレベル分布を示す。図14から分かるように、modified 8PSK(図14(a))とQPSK(図14(b))は、他の変調波((図14(c)、(d)))に比べて、レベルの分布が集中しており、振幅変動が小さいことが分かる。

【0037】
【表1】
JP2015159386A_000004t.gif

【0038】
表1は、各変調信号を帯域制限フィルタ(Squared Root Raised Cosine roll-off filter:SRRC)を用いて帯域制限・整形した信号の振幅x(t)の変動を次式に示す各信号波の最大電力値と平均電力値との比であるPAPR値を用いて評価したものである。ただし、roll-off率=0.35としたときの値を示している。

【0039】
【数2】
JP2015159386A_000005t.gif





【0040】
表1から、従来の32APSKが4.4dBであるのに対して、QPSK信号は3.9dB、8PSK信号は3.6dB、であることが分かる。したがって、従来の32APSKのPAPRに比べて、8QPSK、QPSK信号はPAPR値が小さい。このことは、本実施形態の変調方法が、従来技術に比べて、HPAをより効率の良好な飽和点に領域で動作させることを可能としていることを示している。

【0041】
<2波の信号波の重畳合成方法>
各8PSK波(8相位相変調波)あるいはQPSK変調出力を合成する際に、マイクロ波回路による重畳では回路損失を伴うが、別々のアンテナを用いて空間で重畳合成することにより回路損失を伴わないで、重畳可能となる。

【0042】
図15は、2波を個別に送信して空間重畳合成して32APSKを実現する本実施形態のシステムの構成例である。図15(a)に示す送信側は、8PSK波とQPSK波の2個の変調器と2個の個別の電力増幅器とアンテナを有し、個別に変調後、にFILでスペクトラムの整形を行い、フェーズドアレイアンテナ素子に給電するために、DIVで分配し、信号レベルと位相を制御する。その後、U/Cで搬送波と掛け合わされ、周波数を高め、その後、HPAで電力増幅した後に、別々のアンテナから送信し、2ビームを空間で重畳合成して、実現できる。伝送すべき入力情報ビット列をS/Pで直並列変換し、Encoderにおいて誤り訂正符号によりチャネル符号化される。その後、情報ビット列をModulatorにおいて、図11に示すように重畳して信号点空間配置を形成するように変換する。
このとき、変調器において、隣接する信号点間の符号間距離(“0”と“1”の異なる数)が最小となるように符号変換する。

【0043】
HPAのAM/PM変換による位相回転は、変調器ごとに設けた可変位相器V-Phase)およびAM/AM変換による利得変化を可変利得器で調整することにより、理想状態の信号空間配置を実現できる。
図15(b)に示す受信側は従来技術と同様な構成であり、重畳合成された波を一括受信して復調し、伝送情報を取り出す。

【0044】
理想的な送信側の信号Cは、8PSKの信号波S、QPSKの信号波をS用いると、次式のように表すことができる。
C=S+S
現実には、合成する際に誤差が伴うために、送信信号Tは以下の式で表される。

【0045】
【数3】
JP2015159386A_000006t.gif

【0046】
ここで、α2t、β2tは、SとSを合成する際の送信機内の相対利得誤差、相対位相誤差を示す。
これらの誤差のうち、利得誤差および位相誤差を調整するために、図15に示す可変利得器(V-ATT)、可変位相器(V-Phase)を使用することが可能である。可変利得器と可変位相器は、また図8に示したHPAのAM/AM変換、AM/PM変換による利得変化、位相変化を調整する目的でも使用可能である。

【0047】
<空間重畳誤差>
空間重畳では、図16に示すように、上記の2個のアンテナが距離daを置いて設置される場合には、それらの距離に応じて、受信側では経路長の差に基づく重畳誤差が発生する、特に位相に誤差が発生する。
送信点と受信点の伝搬距離の差による位相誤差、放射パターンによる利得と位相誤差が発生すると、次式で示すように、受信信号が変化する。

【0048】
【数4】
JP2015159386A_000007t.gif



【0049】
ここで、α2r、β2rが受信時の空間重畳に伴う利得誤差、位相誤差を示し、nは雑音を示す。このため、アンテナの形式として、広い受信エリアにおいて、位相誤算が少ないものが望まれる。

【0050】
このようなアンテナを実現するモデルとして、図17に示す3ビームの空間重畳合成を実現するフェーズドアレイアンテナが考案されている(特許文献1)。このフェーズドアレイアンテナでは、同心円状にアンテナ素子を配列している。図18は、2ビームの空間重畳合成誤差を小さく抑えることが可能なフェーズドアレイアンテナシステムの構成例である。ビームごとに2個のアレイ素子を使用した2+2の構成(図18(a))と、3個のアレイ素子を使用した3+3のアレイ構成(図18(b))を示す。2ビームを送信するアレイアンテナが同心円状に配置され、等価的に円の中心がアンテナの基準点となることから、2ビームのアンテナと受信点の距離がほぼ等しくなるために、重畳誤差が小さくなる。

【0051】
図19は、2+2構成のアレイアンテナにおいて、アンテナ前方からの角度(Theta)を変化させたときの2ビーム間の利得誤差(図19(a))と位相誤差(図19(b))を示し、図20は3+3構成のアレイアンテナにおいて、アンテナ前方からの角度(Theta)を変化させたときの2ビーム間の利得誤差(図20(a))と位相誤差(図20(b))を示している。アンテナ前方からの角度が±5度の範囲で、2+2構成では、利得誤差0.4dB、位相誤差0度を、3+3構成では、利得誤差0dB、位相誤差0.6度を実現できることを示している。
2ビーム空間重畳合成時において、重畳誤差があるときの信号点配置は図21に示すように変形する。

【0052】
<伝送特性の評価>
図22は、本発明の実施例であり、電力増幅器の非線形領域(出力バックオフOBO=1.6dB)で動作しているときのビット誤り率特性(BER)、及び、従来方法におけるビット誤り率特性を示している。図22において、8x4 APSKは本実施例であり、4x4x2 APSKと4+12+16APSK(OBO=1.6dB又は6dB)は従来方法である。またNS8x4 APSKは、8x4 APSKと同一の信号空間配置であるが、空間合成を行わずに一括で電力増幅して、1ビームで送信した時の特性である。
図22より、従来法に比べて、格段に良好であり、非線形増幅に対して耐性を有していることが分かる。また、空間重畳合成時の重畳合成誤差による信号空間配置の変形は図23に示すとおりである。

【0053】
図24はこのように重畳合成誤差が存在するときの伝送特性を示している。BCHとLDPC誤り訂正符号(FEC)とインタリーバ(Interleaver)を使用した際のビット誤り特性(BER)を示しており、FECの機能により、利得誤差(G_err)は0.5dB、位相誤差(Ph_err)は5度まで許容されることが分かる。この誤差は、図19、図20に示したように、図18に示すアレイアンテナで十分実現可能である。

【0054】
【表2】
JP2015159386A_000008t.gif

【0055】
<低消費電力の具体的な効果>
表2は、図25に示す電力増幅器の実測データをもとに消費電力を算出した値の比較である。同一のビット誤り率時の特性である。表2において、8x4 APSKは本実施例であり、4x4x2 APSKおよび4+12+16APSKは従来方法である。表2より、本実施形態の方式は、従来方式の4+12+16APSKに比べてSSPA Pdcを1/2に減少可能であることが分かる。また、2ビームの空間重畳合成による32APSK(8x4 APSK)は、以下の示すシステム規模の縮小化を実現すると同時に、3ビームによる場合(4x4x2 APSK)とほぼ同等の低消費電力化を実現できることが分かる。

【0056】
<システム規模の縮小化の効果>
図26は、従来の3ビームを空間重畳合成して実現する32APSKのシステム構成図を示す。図27は、本実施形態の2ビームの空間重畳合成で実現する32APSKのシステム構成図を示す。図26と図27から、本実施形態のシステムでは、変調器と電力増幅器(HPA)とアンテナ素子数が削減でき、よりシステム規模を縮小でき、安価に製造が可能となる。

【0057】
<その他の実施例>
図28は、本発明を、静止衛星を用いた衛星通信システムに適用したときのシステムを示している。衛星搭載中継器が再生機能のないベントパイプ型(図28(a))では、上り回線に適用することにより、地球局の消費電力を削減できる。また、再生機能を有する衛星搭載中継器を利用する衛星通信システム(図28(b))では、上りと下り回線の両方で適用可能であり、衛星搭載中継器の消費電力を削減でき、経済的なシステム構築に貢献できる。

【0058】
<具体的な信号空間配置の効果>
図29は本発明の実施例である不均一(modified)8PSKとQPSKの2ビームの空間重畳合成により実現する32APSKの原理を示している。図30は本発明の実施例である不均一(modified)8PSKの空間信号配置における点間の角度(位相)を示している。2xth0は2点間の角度を表している。

【0059】
図31はこのth0と空間信号配置の信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)との関係を示している。th0=12.76度で最大となる。
図32はmodified8PSKとQPSKの振幅比と信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)との関係を示している。0.442でdが最大となる。
図31、図32から、均一の配置よりは性能の良好となる信号空間配置が存在することが分かる。

【0060】
図33は8値振幅位相変調(8APSK)波とQPSK波の2ビーム空間重畳合成による32APSK変調の実施例である。この場合、8APSKの振幅は、交互に異なる値である。
図34は、2ビーム空間重畳合成による32APSK変調実現時の8APSKの振幅比(rr1/rr2の振幅比)と信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)との関係を(a)に示している。0.9近辺に最適値が存在する。また,8PSKの空間信号配置における(点間角度(位相)/2)と信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)との関係を(b)に示している。13.3度付近に最適値が存在する.
図35は、2ビーム空間重畳合成による32APSK変調実現時の8APSKとQPSKの相対角度(φ)と空間信号配置の信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)の関係を示している。14度近辺に最適値が存在する。

【0061】
図36は、2ビーム空間重畳合成による32APSK変調実現時の8APSKのとQPSKの振幅比(r2/r11)と空間信号配置の信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)の関係を示している。r2/r11=0.2近辺に最適値が存在する。
以上のように、8APSKの振幅ならびに8APSKとQPSKの相対角度をある範囲に限定することにより、性能が向上する。

【0062】
以上、32値(=2)多値変調について説明したが、以下は、64値(=2)多値変調について説明する。
図37は従来の64QAMの信号空間配置である。図38は、64APSKの信号空間配置である。図39は3ビーム空間重畳型64QAMの動作原理を示す図である。図40は、64APSKの実施例であって、64=2値多値変調波に適用した構成例を示す。図40(a)、(b)に示す2波の8PSKの出力を重畳合成して、図40(c)に示す64APSKが得られる。これにより、従来技術の64APSKに比べてHPAの低消費電力化の効果が期待できる。

【0063】
図41は、64APSKの8PSK-1の信号空間配置におけるTh01(点間角度(位相)/2)と信号空間配置における信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)の関係を示す。図41から、Th01が15度近辺のときに最適値が存在することが分かる。

【0064】
図42は、64APSKの 8PSK-2の信号空間配置におけるTh02(点間角度(位相)/2)と信号空間配置における信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)の関係を示す。図42から、Th02が18.4度近辺のときに最適値が存在することが分かる。

【0065】
図43は、64APSKの 8PSK-1と8PSK-2の振幅比と信号空間配置における信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)の関係を示す。図43から、r2/r1が0.41近辺のときに最適値が存在することが分かる。

【0066】
図44は、2ビーム空間重畳型64APSKの実施例である。この場合、図44(a)、(b)に示す二つの8PSKを重畳合成して図44(c)に示す64APSKが得られる。

【0067】
図45は、64APSKの8PSK-1と8PSK-2の信号空間配置における振幅比(r2/r1)と信号空間配置における信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)の関係を示す。図45から、r2/r1が0.566近辺のときに最適値が存在することが分かる。

【0068】
図46は、64APSKの8PSK-1の信号空間配置におけるTh01(点間角度(位相)/2)と信号空間配置における信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)の関係を示す。図46から、Th01が22.5度近辺のときに最適値が存在することが分かる。

【0069】
図47は、64APSKの8PSK-2の信号空間配置におけるTh02(点間角度(位相)/2)と信号空間配置における信号点間幾何距離dの二乗(平均送信電力Pavで正規化)の関係を示す。図47から、Th0が20から24度近辺のときに最適値が存在することが分かる。
以上のように、上記実施形態のシステムにおいて、振幅比と角度をある特定の値に調整することにより、性能が向上する。

【0070】
<空間重畳誤差推定アルゴリズムの例> 通信中の一定期間ごとに、短期間にパイロット信号として受信側に既知の信号を送信側から送信し、受信信号から重畳誤差を推定することが可能である。
送信側から2つの変調波S1とS2を伝送すると空間重畳合成により下記の式で示すSt1が作成される。この時の受信信号Sr1は、図48(a)に示すようにSt1に重畳誤差と雑音が付加された信号となる。
さらに、送信側から図48(b)に示すように先のパイロット信号とは空間信号配置が180度異なる-S1と-S2の2波を伝送すると、空間重畳合成により下記の式で示すSt2が作成される。

【0071】
【数5】
JP2015159386A_000009t.gif

【0072】
この時の受信信号Sr2は、St2に重畳誤差と雑音が付加された以下の信号を受信する。ここで重畳合成誤差は二つのパイロット信号間では変化がなく、同じであると考えることができる。

【0073】
【数6】
JP2015159386A_000010t.gif

【0074】
Sr1とSr2の平均値は、雑音平均が0であると考えることができるので、n1とn2の平均は0となり、以下の式で与えられる。
【数7】
JP2015159386A_000011t.gif

【0075】
したがって、重畳誤差eの推定値は以下の式で推定可能である。
【数8】
JP2015159386A_000012t.gif

【0076】
この重畳誤差の推定値をもとに、受信信号Srからこの重畳誤差を引いた受信信号をもとに復調するか、あるいは送信信号の信号空間配置Stにこの重畳誤差を加算した重畳誤差を加味した信号空間配置で復調することにより、空間重畳合成時の誤差の影響を提言することが可能となる。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明に係る多値変調・復調方法は、HPAの非線形特性の影響を受けにくく、信号空間配置の変形が小さく、高効率電力増幅が可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
36
【図38】
37
【図39】
38
【図40】
39
【図41】
40
【図42】
41
【図43】
42
【図44】
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【図45】
44
【図46】
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【図47】
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【図48】
47