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明細書 :ウラシルヌクレオシド誘導体、ウラシルヌクレオチド誘導体及びポリヌクレオチド誘導体ならびにそれらを含むプローブ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-221769 (P2015-221769A)
公開日 平成27年12月10日(2015.12.10)
発明の名称または考案の名称 ウラシルヌクレオシド誘導体、ウラシルヌクレオチド誘導体及びポリヌクレオチド誘導体ならびにそれらを含むプローブ
国際特許分類 C07H  19/073       (2006.01)
C07H  19/10        (2006.01)
FI C07H 19/073 CSP
C07H 19/10
請求項の数または発明の数 14
出願形態 OL
全頁数 22
出願番号 特願2014-107161 (P2014-107161)
出願日 平成26年5月23日(2014.5.23)
発明者または考案者 【氏名】齋藤 義雄
【氏名】横山 祥太
【氏名】鈴木 梓
出願人 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100120134、【弁理士】、【氏名又は名称】大森 規雄
【識別番号】100128761、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 恭子
【識別番号】100104282、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 康仁
審査請求 未請求
テーマコード 4C057
Fターム 4C057AA17
4C057BB01
4C057BB02
4C057BB05
4C057CC01
4C057DD01
4C057LL14
要約 【課題】局所的なpH環境を高感度で正確に検出することができるpHセンサー化合物の提供。
【解決手段】式で表わされる化合物を代表例とするウラシルヌクレオシド誘導体。
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【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式I:
【化12】
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[式中、R及びRは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子又はC~C10のアルキル基であり、Rは、水素原子、C~C10のアルキル基又はメトキシ基であり、Rは、水素原子又は水酸基である。]
で示されるウラシルヌクレオシド誘導体。
【請求項2】
前記R及びRが水素原子である、請求項1に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
【請求項3】
前記Rが水素原子であり、前記RがC~C10のアルキル基である、請求項1に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
【請求項4】
前記Rが水素原子である、請求項1~3のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
【請求項5】
前記Rが水素原子である、請求項1~4のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
【請求項6】
生体内におけるpH環境の変化を検出するためのものである、請求項1~5のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体を含むプローブ。
【請求項7】
下記式(II):
【化13】
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[式中、R及びRは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子又はC~C10のアルキル基であり、Rは、水素原子、C~C10のアルキル基又はメトキシ基であり、Rは、水素原子又は水酸基であり、sは、1、2又は3である。]
で示されるウラシルヌクレオチド誘導体。
【請求項8】
前記R及びRが水素原子である、請求項7に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
【請求項9】
前記Rが水素原子であり、前記RがC~C10のアルキル基である、請求項7に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
【請求項10】
前記Rが水素原子である、請求項7~9のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
【請求項11】
前記Rが水素原子である、請求項7~10のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
【請求項12】
ポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが請求項7~11のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオチド誘導体で置換されてなるポリヌクレオチド誘導体。
【請求項13】
請求項12に記載のポリヌクレオチド誘導体を含むプローブ。
【請求項14】
生体内におけるpH環境の変化を検出するためのものである、請求項13に記載のプローブ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、塩基部位の5位が、アントラセン及び2-アミノピリジン誘導体を含む置換基で置換されてなるウラシルヌクレオシド誘導体に関する。また本発明は、該ウラシルヌクレオシド誘導体を含むウラシルヌクレオチド誘導体、さらには少なくとも1つのヌクレオチドが該ウラシルヌクレオチド誘導体で置換されてなるポリヌクレオチド誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに極性やpHなどの周囲の環境変化に伴って発光強度を変化させる蛍光分子については多数の報告がされている。ヌクレオシドに関しても同様であり、環境感応型の蛍光ヌクレオシドに関して多くの報告例がある。本発明者らのグループも、周囲のpH環境の変化に応じて蛍光発光のon-offが切り替わる化合物の研究開発を進めてきた(下記式で示される化合物、非特許文献1:"Fluorescent nucleosides with 'on-off’ switching function, pH-responsive fluorescent uridine derivatives"(Bioorg. Med. Chem. Lett. 2012, 22, 2753)参照)。
【化1】
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[式中、R1及びR2は、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子、メチル基、n-ブチル基、t-ブチル基などである。]
この化合物は、特定のpHを境に蛍光発光のon-offが切り替わる化合物であり、酸性の条件下で強い蛍光発光を示し、塩基性から中性の条件下で消光するという性質を有している。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】"Fluorescent nucleosides with 'on-off’ switching function, pH-responsive fluorescent uridine derivatives"(Bioorg. Med. Chem. Lett. 2012, 22, 2753)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定のpHを境に蛍光発光のon-offが切り替わるという性質を利用すれば、生体内における局所的なpH環境の変化を検出することが可能である。しかし、実際の細胞等への応用を考えた場合、細胞内における蛍光分子の分布は一様ではないため、分布量が少ない場合には蛍光強度が弱くなってしまい、本来発光するpH領域に存在しているにも拘わらず、消光しているように見えてしまい、十分な検出感度が得られないということも考えられる。
このような状況の下、局所的なpH環境をより高感度で正確に検出することができるpHセンサー化合物の提供が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明者らは、周囲のpH環境の変化に応じて蛍光発光のon-offが切り替わる化合物についてさらに研究を進めたところ、アントラセンとピリジンとを炭素-炭素三重結合を介して連結した蛍光性分子をウラシルヌクレオシド誘導体に導入した化合物(下記式参照)が、先の化合物とは発光するpH領域が反転し、中性から塩基性の条件下で蛍光発光し、酸性の条件下で消光することを見出した。この化合物が上記のような性質を示すのは、酸性の条件下でピリジンがプロトン化されて消光し、中性から塩基性の条件下ではこのような消光が起こらないためであると考えられる。
【化2】
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【0006】
本発明者らは、さらに研究を進めるべく、上記の化合物において、ピリジンに替えて2-アミノピリジン又はその誘導体を用いてみたところ、中性から塩基性の条件下で緑色に発光し、酸性の条件下で上記の化合物で見られた消光が見られず、代わりに大きな発光波長変化を示し、長波長側で黄色く発光するといった現象が見られることを見出した。より高感度で正確にpH環境の検出を行いたい場合には、特定のpHを境に蛍光発光のon-offが切り替わる化合物よりも、蛍光発光波長が変化する化合物の方が、蛍光発光色の違いによってpH環境の変化を検出できるという点で、より好ましいといえる。本発明者らはこれらの知見をもとに本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、以下に示したウラシルヌクレオシド誘導体、ウラシルヌクレオチド誘導体及びポリヌクレオチド誘導体ならびにそれらを含むプローブに関するものである。
[1]下記式I:
【化3】
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[式中、R及びRは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子又はC~C10のアルキル基であり、Rは、水素原子、C~C10のアルキル基又はメトキシ基であり、Rは、水素原子又は水酸基である。]
で示されるウラシルヌクレオシド誘導体。
[2]前記R及びRが水素原子である、[1]に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
[3]前記Rが水素原子であり、前記RがC~C10のアルキル基である、[1]に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
[4]前記Rが水素原子である、[1]~[3]のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
[5]前記Rが水素原子である、[1]~[4]のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
[6]生体内におけるpH環境の変化を検出するためのものである、[1]~[5]のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体を含むプローブ。本発明はまた、[1]~[5]のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体を含むプローブを用いて、生体内におけるpH環境の変化を検出する方法にも関する。
[7]下記式(II):
【化4】
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[式中、R及びRは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子又はC~C10のアルキル基であり、Rは、水素原子、C~C10のアルキル基又はメトキシ基であり、Rは、水素原子又は水酸基であり、sは、1、2又は3である。]
で示されるウラシルヌクレオチド誘導体。
[8]前記R及びRが水素原子である、[7]に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
[9]前記Rが水素原子であり、前記RがC~C10のアルキル基である、[7]に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
[10]前記Rが水素原子である、[7]~[9]のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
[11]前記Rが水素原子である、[7]~[10]のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオシド誘導体。
[12]ポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが[7]~[11]のいずれか一項に記載のウラシルヌクレオチド誘導体で置換されてなるポリヌクレオチド誘導体。
[13][12]に記載のポリヌクレオチド誘導体を含むプローブ。
[14]生体内におけるpH環境の変化を検出するためのものである、[13]に記載のプローブ。本発明はまた、[13]に記載のプローブを用いて、生体内におけるpH環境の変化を検出する方法にも関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、塩基部位の5位が、アントラセン及び2-アミノピリジン誘導体を含む置換基で置換されてなるウラシルヌクレオシド誘導体、該ウラシルヌクレオシド誘導体にリン酸がエステル結合してなるウラシルヌクレオチド誘導体、さらには少なくとも1つのヌクレオチドが、該ウラシルヌクレオチド誘導体で置換されてなるポリヌクレオチド誘導体を提供する。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、周囲のpH環境の変化に伴って蛍光発光波長を変化させることができる。この性質を利用して、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体を、例えば生体内におけるpH環境の変化を検出するためのプローブとして用いることができる。本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、ヌクレオシド型の化合物であるため、蛍光物質のみの場合と比べて溶解性が良好であり、細胞膜透過性も向上すると考えられることから、生体内における局所的なpH環境の変化を検出するためのプローブとしての有用性は高いと考えられる。
また、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、ヌクレオシド型の化合物であるため、オリゴヌクレオチド鎖へ容易に導入することが可能である。本発明のウラシルヌクレオシド誘導体又はウラシルヌクレオチド誘導体を導入してなるポリヌクレオチド誘導体は、タンパク質又は細胞内における局所的なpH環境の調査用プローブとして利用可能である。また、本発明のポリヌクレオチド誘導体を標的DNAやRNAを検出する試薬として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例化合物であるウラシルヌクレオシド誘導体(化合物1a)を各種pH濃度の溶媒に溶解した溶液のUVスペクトル(a)、蛍光スペクトル(b)及び蛍光強度の変化(c)を示す図である。
【図2】本発明の実施例化合物であるウラシルヌクレオシド誘導体(化合物1b)を各種pH濃度の溶媒に溶解した溶液のUVスペクトル(a)、蛍光スペクトル(b)及び蛍光強度の変化(c)を示す図である。
【図3】比較例化合物であるウラシルヌクレオシド誘導体(化合物1’)を各種pH濃度の溶媒に溶解した溶液のUVスペクトル(a)、蛍光スペクトル(b)及び蛍光強度の変化(c)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体、ウラシルヌクレオチド誘導体、ポリヌクレオチド誘導体及びプローブ等について詳細に説明する。

【0011】
本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、下記式(I):
【化5】
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[式中、R及びRは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子又はC~C10のアルキル基であり、Rは、水素原子、C~C10のアルキル基又はメトキシ基であり、Rは、水素原子又は水酸基である。]
で示される化合物である。

【0012】
本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、塩基部位の5位に、炭素-炭素三重結合を介して、アントラセンと2-アミノピリジン誘導体とを炭素-炭素三重結合で連結してなる蛍光性分子を導入するように設計されている。本発明の好ましい態様によれば、上記のウラシルヌクレオシド誘導体は、周辺のpH環境の変化に応じて、酸性条件下で黄色く発光し、中性から塩基性条件下で緑色に発光し、蛍光発光波長を変化させることができる。

【0013】
式(I)中、R及びRは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子又はC~C10のアルキル基である。
本明細書において「C~C10のアルキル基」は、炭素数が1から10のアルキル基を意味する。C~C10のアルキル基は、線状でもよいし、枝分かれでもよく、C~Cのアルキル基が好ましく、C~Cのアルキル基がより好ましい。好ましいアルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等が挙げられる。
これらの中でも、Rとしては、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル基などが好ましい。

【0014】
式(I)中、Rは、水素原子、C~C10のアルキル基又はメトキシ基である。「C~C10のアルキル基」については、R及びRで説明したとおりであり、好ましいアルキル基の例についても同じものを挙げることができる。Rが、水素原子、C~C10のアルキル基又はメトキシ基であると、酸性条件下で、ピリジン骨格の反対側の位置に結合した2-アミノ基又はその誘導体がプロトン化されるため、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体が長波長側で黄色く発光することができる。これらの中でも、Rとしては、水素原子が好ましい。

【0015】
本発明のウラシルヌクレオシド誘導体において、ウラシル塩基と結合する五炭糖は、2-デオキシリボースでもリボースでもよく、式(I)中、Rは、水素原子又は水酸基である。本発明のウラシルヌクレオシド誘導体をヌクレオチドに導入してDNA型のプローブとして用いるときは、Rは水素原子が好ましく、RNA型のプローブとして用いるときは、Rとしては水酸基が好ましい。

【0016】
上記のとおり、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、塩基部位の5位に、炭素-炭素三重結合を介して、アントラセンと2-アミノピリジン誘導体とを炭素-炭素三重結合で連結してなる蛍光性分子を導入し、核酸塩基部位と蛍光性分子、アントラセンと2-アミノピリジン誘導体とがπ共役系を形成できるように設計されている。理論に束縛されるものではないが、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、酸性条件下では、2-アミノ基又はその誘導体がプロトン化されることによって、イミノ型に異性化し、共役系が伸びて、長波長側で黄色く発光し、中性から塩基性条件下では、そのようなプロトン化がされないために、緑色に発光し、pH環境の変化に応じて蛍光発光波長を変化させることができるものと考えられる。
【化6】
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【0017】
上記のとおり、本発明の好ましい態様によれば、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、周囲のpH環境によって二つの蛍光帯を示す特徴的な性質を有しており、周囲のpH環境の変化を蛍光発光色の違いによって識別することが可能である。この性質を利用して、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体を、生体内におけるpH環境の変化を検出するためのプローブとして好適に利用することができる。

【0018】
本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、ウラシルヌクレオシドの5位にエチニル基を介して蛍光分子を導入することにより、簡便な方法で合成することができる。
本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、例えば、下記のスキームに従って製造することができる。
【化7】
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[式中、XはI又はBrであり、R、R、R及びRは、式(I)中のR、R、R及びRと同義である。R及びR’は、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、C~C10のアルキル基である。]

【0019】
以下、各工程について説明する。
<工程a)>
工程a)では、化合物3、任意のアルキル基を有するアルキルアミン(NHRR’、式中、R及びR’は、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、C~C10のアルキル基である。)、及び、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基を溶媒に溶解させ、加熱還流させる。
アルキルアミンは、化合物3に対して等モルないしやや過剰に用いることが好ましく、その使用量は、化合物3に対して1.2~3(モル倍量)が好ましい。
また、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシドなどの塩基は、化合物3に対して等モルないしやや過剰に用いることが好ましく、その使用量は、化合物3に対して1.2~3(モル倍量)が好ましい。
溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、o-ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物などを用いることができる。
反応温度は、80~140℃が好ましく、100~120℃がより好ましい。また、反応時間は、8~24時間が好ましく、12~20時間がより好ましい。
反応終了後は、分液操作を行い、反応物を抽出した有機層を減圧濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物4を得ることができる。

【0020】
ピリジン骨格の2位にアミノ基を有する化合物2は、工程a)と同様にして合成することもできるし、市販品(例えば、2-アミノ-4-ブロモピリジンなど)を用いることもできる。

【0021】
<工程b)>
次に、工程b)において、化合物2又は4の4位にエチニル基を導入する。
化合物2又は4、トリメチルシリルアセチレン、炭酸セシウム、4,5—ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン、及び、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリドを溶媒に溶解させる。
これにさらにトリエチルアミンを加えて40~60℃の油浴中で1~3時間撹拌させる。
反応終了後、溶媒を減圧濃縮した後にテトラヒドロフラン及びテトラブチルアンモニウムフルオリドを加え、室温で30~60分間反応させる。
トリメチルシリルアセチレンは、化合物2又は4に対して等モルないしやや過剰に用いることが好ましく、その使用量は、化合物2又は4に対して1.2~1.5(モル倍量)が好ましい。
炭酸セシウム、4,5—ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン、及び、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリドは、それぞれ、触媒量で用いればよく、化合物2又は4に対して0.01~0.1(モル倍量)が好ましい。
トリエチルアミンは、化合物2又は4に対して5~10(モル倍量)の範囲で用いることが好ましい。
テトラヒドロフラン及びテトラブチルアンモニウムフルオリドは、それぞれ、等モルないしやや過剰の範囲で用いればよく、化合物2又は4に対して1.0~1.2(単位:モル倍量)が好ましい。
溶媒は、工程a)で例示したものと同じものを用いることができる。
反応終了後は、分液操作を行い、反応物を抽出した有機層を減圧濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物5を得ることができる。

【0022】
<工程c)>
次に、得られた化合物5にアントラセンを導入する。
まず、化合物6、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、ヨウ化銅、及び、化合物5を溶媒に溶解させる。これにさらにN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加えて、60~80℃の油浴中で8~16時間反応させる。
化合物5は、化合物6に対して、等モルないしやや過剰で用いることが好ましく、その使用量は、化合物6に対して1.0~1.2(モル倍量)が好ましい。
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)及びヨウ化銅は、それぞれ、触媒量で用いればよく、化合物6に対して0.01~0.1(モル倍量)が好ましい。
N,N-ジイソプロピルエチルアミンは、化合物6に対して5~10(モル倍量)の範囲で用いることが好ましい。
なお、化合物6は、既知の化合物であり、例えば、J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 10083に記載の方法に準拠して合成することができる。
溶媒は、工程a)で例示したものと同じものを用いることができる。
反応終了後は、分液操作を行い、反応物を抽出した有機層を減圧濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物7を得ることができる。

【0023】
<工程d)>
次に、得られた化合物7をウラシルヌクレオシドの塩基部位の5位に導入する。
化合物7、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、ヨウ化銅、及び、化合物8を溶媒に溶解させる。これにさらにトリエチルアミンを加えて、60~80℃の油浴中で8~16時間反応させる。
化合物7は、化合物8に対して、等モルないしやや過剰で用いることが好ましく、その使用量は、化合物7に対して1.0~1.2(モル倍量)が好ましい。
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)及びヨウ化銅は、それぞれ、触媒量で用いればよく、化合物8に対して0.01~0.1(モル倍量)が好ましい。
トリエチルアミンは、化合物8に対して5~10(モル倍量)の範囲で用いることが好ましい。
なお、化合物8は、既知の化合物であり、例えば、Org. Biomol. Chem. 2009, 7, 3826に記載の方法に準拠して合成することができる。また、市販品を用いてもよい。
溶媒は、工程a)で例示したものと同じものを用いることができる。
反応終了後は、分液操作を行い、反応物を抽出した有機層を減圧濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して式(I)で示される本発明のウラシルヌクレオシド誘導体を得ることができる。

【0024】
次に、本発明のウラシルヌクレオチド誘導体について述べる。
本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、上述した本発明のウラシルヌクレオシド誘導体にリン酸がエステル結合した化合物であり、
下記式(II):
【化8】
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[式中、R及びRは、それぞれ互いに独立し、同一又は異なって、水素原子又はC~C10のアルキル基であり、Rは、水素原子、C~C10のアルキル基又はメトキシ基であり、Rは、水素原子又は水酸基であり、sは、1、2又は3である。]
で示される化合物である。

【0025】
式(II)におけるR、R、R及びRは、式(I)におけるR、R、R及びRと同義であり、好ましい例も同じである。
sは1、2又は3であるが、1又は3が好ましく、ポリヌクレオチド誘導体に容易に導入できることから3が特に好ましい。

【0026】
本発明のウラシルヌクレオチド誘導体(II)の一リン酸体(s=1)は、通常、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体(I)をトリメチルホスファイトなどの溶媒に溶解し、0℃でオキシ塩化リンを加えて反応させた後に水を加えることで簡単に合成することができる。また、三リン酸体(s=3)は、水を加える前にトリブチルアンモニウムピロリン酸(二リン酸)を加えるステップを加えることを除いて一リン酸体と同様にして合成することができる。

【0027】
また、本発明のウラシルヌクレオチド誘導体(II)の三リン酸体は、PCR法を用いてDNAに容易に導入することができ、ポリヌクレオチドにおいて少なくとも1つのヌクレオチドが本発明のヌクレオチド誘導体で置換された本発明のポリヌクレオチド誘導体を得ることができる。あるいは、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体に触媒量の4,4’-ジメトキシトリチルクロリドを加えて反応させて得られる化合物を、トリエチルアミンの存在下、更に2-シアノエチルジイソプロピルクロロホスホロアミジトと反応させて、得られたアミジト体を直接DNA自動合成機にかけることで、本発明のポリヌクレオチド誘導体を得ることができる。

【0028】
本発明のポリヌクレオチド誘導体は、ポリヌクレオチドにおいて少なくとも一つのヌクレオチドが、本発明のウラシルヌクレオチド誘導体で置換されてなるものである。
本発明において、ポリヌクレオチド誘導体はオリゴヌクレオチド誘導体であってもよい。本発明のウラシルヌクレオチド誘導体の塩基数は特に制限されなく、例えば2から1000が好ましく、2から200がより好ましく、2から100が特に好ましい。

【0029】
以上のようにして、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体、ウラシルヌクレオチド誘導体及びポリヌクレオチド誘導体を製造することができる。
本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、周囲のpH環境の変化に応じて蛍光発光色を変化させることができる。このため、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、蛍光強度がon-offで切り替わる従来の化合物と比べて、検出感度(S(シグナル)/N(ノイズ)比)が向上すると考えられる。この性質を利用して、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体を、局所的なpH環境の変化を検出するためのプローブとして用いることができる。
本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、ヌクレオシド型の化合物であるため、蛍光物質のみの場合と比べて溶解性が良好であり、細胞膜透過性も向上すると考えられることから、それ自体、生体内等における局所的なpH環境の変化を検出するためのプローブとして利用可能である。
また、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、ヌクレオシド型の化合物であるため、ヌクレオチド誘導体を合成し、オリゴヌクレオチド鎖へ容易に導入することが可能である。本発明のウラシルヌクレオシド誘導体又はウラシルヌクレオチド誘導体をオリゴヌクレオチド鎖へ導入してなるポリヌクレオチド誘導体は、タンパク質又は細胞内における局所的なpH環境の調査用プローブとして利用することができる。
また、DNA又はRNAが二重鎖を形成すると、鎖中に含まれるリン酸基の影響により局所的なpH環境が変化することが知られているため、本発明のポリヌクレオチド誘導体を標的DNAやRNAを検出する試薬として利用することもできる。
上記のとおり、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体、ウラシルヌクレオチド誘導体またはポリヌクレオチド誘導体を用いることによって、生体内等における局所的なpH環境の変化を検出することができる。

【0030】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されない。なお、以下において、%は、質量基準に基づくものである。
【実施例1】
【0031】
下記スキーム1に従って本発明のウラシルヌクレオシド誘導体を合成した。
【化9】
JP2015221769A_000011t.gif

【実施例1】
【0032】
化合物4の合成
化合物3(380 mg, 1.70 mmol)、炭酸カリウム(470 mg, 3.40 mmol)、t-ブチルアミン(0.55 ml, 5.20 mmol)をDMSO(7 ml)に溶解させ、12時間、100℃で還流させた。反応溶液を室温に冷まし、酢酸エチルを加え、飽和食塩水で分液操作を行い、有機層を回収し硫酸ナトリウム(無水)で脱水させた。その後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、酢酸エチルーヘキサン(1:20)の混合溶液で溶出し、化合物4(174 mg, 37 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 1.35 (s, 9H), 6.35 (s, 1H), 6.74 (dd, J = 1.5, 5.4 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 5.4 Hz, 1H)
【実施例1】
【0033】
化合物5aの合成
化合物2(400 mg, 2.31 mmol)、トリメチルシリルアセチレン(0.38 ml, 2.77 mmol)、炭酸セシウム(39.1 mg, 0.12 mmol)、4,5—ビス(ジフェニルホスフィノ)—9,9—ジメチルキサンテン(69.4 mg, 0.12 mmol)および、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド(46.0 mg, 0.12 mmol)をDMF(5 ml)に溶解させた。これにさらにトリエチルアミン(2 ml)を加えて50℃の油浴中で2時間撹拌させた。反応終了後、溶媒を減圧濃縮した後にTHF(3 ml)およびテトラブチルアンモニウムフルオリド(2.77 ml)を加え、室温で30分間反応させた。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノール-クロロホルム(1:50)の混合溶媒で溶出し、化合物5a(90.1 mg, 33 %)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.49 (s, 1H), 4.49 (br, 2H), 6.58 (s, 1H), 6.71 (dd, J = 1.0, 5.2 Hz, 1H), 8.04 (d, J = 5.2 Hz, 1H)
【実施例1】
【0034】
化合物5bの合成
化合物4(213 mg, 0.77 mmol)、トリメチルシリルアセチレン(0.13 ml, 0.92 mmol)、炭酸セシウム(13.0 mg, 0.04 mmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(23.2 mg, 0.04 mmol)および、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド(15.3 mg, 0.04 mmol)をDMF(4 ml)に溶解させた。これにさらにトリエチルアミン(2 ml)を加えて50℃の油浴中で2時間撹拌させた。反応終了後、溶媒を減圧濃縮した後にTHF(3 ml)およびテトラブチルアンモニウムフルオリド(0.92 ml)を加え、室温で30分間反応させた。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノールークロロホルム(1:100)の混合溶媒で溶出し、化合物5b(87.3 mg, 65 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 1.36 (s, 9H), 4.29 (s, 1H), 6.35 (s, 1H), 6.41 (dd, J = 1.4, 5.2 Hz, 1H), 6.55 (m, 1H), 7.93 (dd, J = 0.6, 5.2 Hz, 1H)
【実施例1】
【0035】
化合物7aの合成
化合物6(510 mg, 1.33 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(23.1 mg, 0.02 mmol)、ヨウ化銅(13.3 mg, 0.07 mmol)および化合物5a(157 mg, 1.33 mmol)をDMF(7 ml)に溶解させた。これにさらにN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2 ml)を加えて、70℃の油浴中で14時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノール-クロロホルム(1:50)の混合溶液で溶出し、化合物7a(274 mg, 55 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 6.20 (br, 2H), 6.84 (d, J = 0.7 Hz, 1H), 6.88 (dd, J = 1.4, 5.2 Hz, 1H), 7.76-7.79 (complex, 4H), 8.04 (dd, J = 0.5, 5.2 Hz, 1H), 8.47 (m, 2H), 8.58 (m, 2H)
【実施例1】
【0036】
化合物7bの合成
化合物6(194 mg, 0.51 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(34.2 mg, 0.03 mmol)、ヨウ化銅(5.9 mg, 0.03 mmol)および化合物5b(89.3 mg, 0.51 mmol)をDMF(5 ml)に溶解させた。これにさらにN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2 ml)を加えて、70℃の油浴中で14時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、酢酸エチル-ヘキサン(1:5)の混合溶液で溶出し、化合物7b(189 mg, 37 %)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.50 (s, 9H), 4.62 (s, 1H), 6.75 (m, 1H), 6.86 (dd, J = 1.3, 5.2, 1H), 7.61-7.68 (complex, 4H), 8.15 (dd, J = 0.7, 5.2, 1H), 8.56-8.65 (complex, 4H)
【実施例1】
【0037】
化合物1aの合成
化合物7a(180 mg, 0.48 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(23.3 mg, 0.02 mmol)、ヨウ化銅(3.8 mg, 0.02 mmol)および化合物8(146 mg, 0.58 mmol)をDMF(5 ml)に溶解させた。これにさらにトリエチルアミン(5 ml)を加えて、80℃の油浴中で12時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノール-クロロホルム(1:10)の混合溶液で溶出し、化合物1a(81.2 mg, 31 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 2.29 (m, 1H), 2.32 (m, 1H), 3.72 (m, 1H), 3.79 (m, 1H), 3.87 (m, 1H), 4.38 (m, 1H), 5.34-5.39 (complex, 2H), 6.20 (m, 1H), 6.62 (br, 2H), 6.97-7.00 (complex, 2H), 7.79-7.82 (complex, 4H), 8.06 (d, J = 5.4 Hz, 1H), 8.61 (m, 2H), 8.72 (m, 2H), 8.78 (s, 1H), 11.9 (s, 1H).
【実施例1】
【0038】
化合物1bの合成
化合物7b(76.6 mg, 0.18 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(11.7 mg, 0.01 mmol)、ヨウ化銅(1.9 mg, 0.01 mmol)および化合物8(55.4 mg, 0.22 mmol)をDMF(3 ml)に溶解させた。これにさらにトリエチルアミン(3 ml)を加えて、80℃の油浴中で12時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノール-クロロホルム(1:10)の混合溶液で溶出し、化合物1b(84.0 mg, 76 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 1.43 (s, 9H), 2.26 (m, 1H), 2.32 (m, 1H), 3.71 (m, 1H), 3.76 (m, 1H), 3.87 (m, 1H), 4.36 (m, 1H), 5.32-5.36 (complex, 2H), 6.20 (m, 1H), 6.49 (s, 1H), 6.82 (m, 1 H), 6.95 (s, 1H), 7.79-7.80 (complex, 4H), 8.10 (d, J = 5.2 Hz, 1 H), 8.59 (m, 2H), 8.73 (m, 2H), 8.78 (s, 1H), 11.9 (s, 1H).
【実施例1】
【0039】
得られた化合物1a及び1bについてそれぞれ下記の手順に従い、光学特性を測定した。なお、測定試料のpH濃度は、下記の方法で調整した。
〔pH調整法〕
0.1N HCl水溶液と0.1N NaOH水溶液を用意し、それぞれ適量混ぜた水溶液を何種類か作製後、pH測定メーターで測定し、各水溶液のpHを決定した。それらを「HO」として使用した。
【実施例1】
【0040】
[1]UVスペクトルの測定
得られた化合物を、それぞれ、2.5μMの濃度で、各種pH濃度の溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)1%含有、HO:MeOH:DMF=50:49:1(質量比))に溶解し、紫外可視分光光度計UV-2550(株式会社島津製作所)を用いてUVスペクトルを測定した。
【実施例1】
【0041】
[2]蛍光スペクトルの測定
得られた各化合物を、それぞれ、2.5μMの濃度で、各種pH濃度の溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)1%含有、HO:MeOH:DMF=50:49:1(質量比))に溶解し、蛍光光度計RF-5300PC(株式会社島津製作所)を用いて蛍光スペクトルを測定した。化合物1aの蛍光スペクトルの測定において、励起波長は470nmであった。化合物1bの蛍光スペクトルの測定において、励起波長は480nmであった。
[3]蛍光強度変化の観察
蛍光スペクトルの測定で用いた各測定試料をpH濃度順に並べて蛍光強度の変化を観察した。その結果、中性から塩基性の条件下で緑色に発光し、酸性の条件下で黄色く発光し、広範囲のpH領域で蛍光発光が観察された。蛍光発光色の変化をデジタルカメラで撮影した。
【実施例1】
【0042】
化合物1aについての測定結果を図1(a)、(b)及び(c)に、化合物1bについての測定結果を図2(a)、(b)及び(c)に示す。なお、図1(c)及び図2(c)は、蛍光発光色の変化をデジタルカメラで撮影した写真のモノクロコピーであるため、白濁してみえる試料が蛍光発光が観察された試料である。
【実施例1】
【0043】
[比較例]
比較例として、下記式で示される化合物1’を下記スキーム2に従って合成し、実施例1と同じ条件にて、UVスペクトル及び蛍光スペクトルを測定し、蛍光強度の変化を観察した。なお、化合物1’の蛍光スペクトルの測定において、励起波長は473nmであった。化合物1’についての測定結果を図3(a)、(b)及び(c)に示す。
【化10】
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【化11】
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【実施例1】
【0044】
化合物(7c)の合成
化合物6(450 mg, 1.17 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(70.1 mg, 0.06 mmol)、ヨウ化銅(11.3 mg, 0.06 mmol)および4-エチニルピリジン(145 mg, 1.40 mmol)をDMF(7 ml)に溶解させた。これにさらにN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2 ml)を加えて、70℃の油浴中で14時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、酢酸エチル-ヘキサン(1:3)の混合溶液で溶出し、化合物7c(129 mg, 31 %)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ7.61-7.67 (complex, 6H), 8.58-8.72 (complex, 6H).
【実施例1】
【0045】
化合物(1')の合成
化合物7c(107 mg, 0.30 mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(23.6 mg, 0.02 mmol)、ヨウ化銅(3.7 mg, 0.02 mmol)および化合物8(90.1 mg, 0.36 mmol)をDMF(3 ml)に溶解させた。これにさらにトリエチルアミン(3 ml)を加えて、80℃の油浴中で12時間反応させた。反応後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムに吸着させ、メタノール-クロロホルム(1:10)の混合溶液で溶出し、化合物1'(57.8 mg, 36 %)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 2.29 (m, 1H), 2.33 (m, 1H), 3.72 (m, 1H), 3.78 (m, 1H), 3.88 (m, 1H), 4.36 (m, 1H), 5.35-5.38 (complex, 2H), 6.20 (m, 1H), 7.77-7.88 (complex, 6H), 8.67-8.74 (complex, 6H), 8.79 (s, 1H), 11.9 (s, 1H).
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のウラシルヌクレオシド誘導体は、生体内等におけるpH環境の変化を検出するためのプローブとして用いることができる。
また、本発明のウラシルヌクレオシド誘導体又はウラシルヌクレオチド誘導体を導入してなるポリヌクレオチド誘導体は、タンパク質又は細胞内における局所的なpH環境の調査用プローブとして利用することができる。また、本発明のポリヌクレオチド誘導体を標的DNAやRNAを検出する試薬として利用することもできる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2