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明細書 :音響測定装置及び音響測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5747340号 (P5747340)
公開番号 特開2014-095723 (P2014-095723A)
登録日 平成27年5月22日(2015.5.22)
発行日 平成27年7月15日(2015.7.15)
公開日 平成26年5月22日(2014.5.22)
発明の名称または考案の名称 音響測定装置及び音響測定方法
国際特許分類 G01S   3/802       (2006.01)
FI G01S 3/802
請求項の数または発明の数 11
全頁数 37
出願番号 特願2014-008351 (P2014-008351)
分割の表示 特願2008-055628 (P2008-055628)の分割、【原出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
出願日 平成26年1月21日(2014.1.21)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 特許法第30条第1項適用、平成18年9月6日に日本音響学会2006年秋季研究発表大会講演論文集にて発表
優先権出願番号 2007054909
優先日 平成19年3月5日(2007.3.5)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年1月31日(2014.1.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】羽入 敏樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100067736、【弁理士】、【氏名又は名称】小池 晃
【識別番号】100096677、【弁理士】、【氏名又は名称】伊賀 誠司
【識別番号】100106781、【弁理士】、【氏名又は名称】藤井 稔也
審査官 【審査官】堀 圭史
参考文献・文献 国際公開第2006/054599(WO,A1)
特開2005-069774(JP,A)
特開平02-036318(JP,A)
特開昭59-061721(JP,A)
調査した分野 G01S 1/72-82
3/80-86
5/18-30
7/52-64
15/00-96
特許請求の範囲 【請求項1】
所定軸上において、カーディオイドマイクにより指向性を180度反対向きに配置された状態で受音して応答出力P(t),P(t)を得る受音手段と、
上記受音手段においてカーディオイドマイクにより得られる応答出力P(t),P(t)から、
【数1】
JP0005747340B2_000039t.gif
にて示される粒子速度u(t)に基づいて、音響インテンシティとして上記所定軸の方向成分を算出する軸方向成分算出手段と
を備える音響測定装置。
【請求項2】
上記軸方向成分算出手段は、上記応答出力P(t),P(t)から、
【数2】
JP0005747340B2_000040t.gif
にて示される粒子速度u(t)と、
【数3】
JP0005747340B2_000041t.gif
にて示される無指向応答P(t)と、
【数4】
JP0005747340B2_000042t.gif
にて示される瞬時インテンシティI(t)と
を算出することを特徴とする請求項1記載の音響測定装置。
【請求項3】
上記軸方向成分算出手段は、
【数5】
JP0005747340B2_000043t.gif
にて示される瞬時インテンシティI(t) を算出することを特徴とする請求項1記載の音響測定装置。
【請求項4】
上記軸方向成分算出手段は、
【数6】
JP0005747340B2_000044t.gif
にて示される平均インテンシティI を算出することを特徴とする請求項1記載の音響測定装置。
【請求項5】
上記軸方向成分算出手段は、上記応答出力P(t),P(t)から、
【数7】
JP0005747340B2_000045t.gif
にて示される平均インテンシティI を算出することを特徴とする請求項1記載の音響測定装置。
【請求項6】
上記軸方向成分算出手段は、上記応答出力P(t),P(t)から、
【数8】
JP0005747340B2_000046t.gif
にて示される平均インテンシティI を算出することを特徴とする請求項1記載の音響測定装置。
【請求項7】
上記受音手段は、所定軸上において、指向性を180度反対向きに配置されたカーディオイドマイク対により受音して応答出力P(t),P(t)を得ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の音響測定装置。
【請求項8】
上記受音手段は、1個のカーディオイドマイクを回転させて、所定軸上において、指向性を180度反対向きに配置させた状態で、受音して応答出力P(t),P(t)を得ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の音響測定装置。
【請求項9】
さらに、上記軸方向成分算出手段により算出される直交座標の各軸の方向成分に基づいて音の到来方向を含む音の方向情報を算出する音方向情報算出手段
徴とする請求項7又は8のいずれか1項記載の音響測定装置。
【請求項10】
上記直交座標は2次元又は3次元であることを特徴とする請求項記載の音響測定装置。
【請求項11】
所定軸上において、指向性を180度反対向きに配置された状態でカーディオイドマイクにより受音して応答出力P(t),P(t)を得る受音工程と、
上記受音工程においてカーディオイドマイクにより得られる応答出力P(t),P(t)から、
【数9】
JP0005747340B2_000047t.gif
にて示される粒子速度u(t)に基づいて、音響インテンシティとして上記所定軸の方向成分を算出する軸方向成分算出工程と
を有する音響測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、音響インテンシティに代表される音の方向情報を測定する音響測定装置及び音響測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音響インテンシティとは、単位時間あたりの音のエネルギの流れを表す量であり、大きさと向きを持つベクトル量である。この音響インテンシティは、例えば、騒音の音源を探査する騒音特定、監視カメラシステム等に応用される。
【0003】
従来、音響インテンシティの測定には、2つのマイクロホンを非常に近い間隔で組み合わせた、インテンシティマイクロホンと呼ばれる特殊なマイクロホンが使用されていた。そして、このインテンシティマイクロホンと、2チャンネルタイプのFFTアナライザ又は1/Nオクターブ分析器とを用いることで、音響インテンシティを測定していた。
【0004】
また、本件発明者は、反対向きに配されたマイクロホンのレベル差のデータベースを用いて音源方向及び音源レベルを求めることを提案した(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】

【特許文献1】国際公開第06/054599号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のインテンシティの測定方法は、主に無指向性の音圧型マイクを2本組み合わせて行っていたため、マイクの感度差、位相差に敏感であり、これらを厳密に管理しなければならず、また、周波数によってマイク間隔も変えなければならなかった。また、予め記憶されたデータベースを用いて音響インテンシティを求めた場合、音響インテンシティの精度に満足できないことがあった。
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、高精度かつ簡単に音響インテンシティに代表される音の方向情報を測定することができる音響測定装置及び音響測定方法を提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明に係る音響測定装置は、所定軸上において、カーディオイドマイクにより指向性を180度反対向きに配置された状態で受音して応答出力P(t),P(t)を得る受音手段と、上記受音手段においてカーディオイドマイクにより得られる応答出力P(t),P(t)から、
【0009】
【数1】
JP0005747340B2_000002t.gif
にて示される粒子速度u(t)に基づいて、音響インテンシティとして上記所定軸の方向成分を算出する軸方向成分算出手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る音響測定方法は、所定軸上において、指向性を180度反対向きに配置された状態でカーディオイドマイクにより受音して応答出力P(t),P(t)を得る受音工程と、上記受音工程において単一指向性マイクにより得られる応答出力P(t),P(t)から、
【0011】
【数2】
JP0005747340B2_000003t.gif
にて示される粒子速度u(t)に基づいて、音響インテンシティとして上記所定軸の方向成分を算出する軸方向成分算出工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、直交座標の各軸上に反対向きに配置されたカーディオイドマイク対から得られた出力差分を用いて音の到来方向を含む音の方向情報を測定するため、高精度かつ簡単に音響インテンシティを測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】音の方向情報を説明するための概念図である。
【図2】第1の実施の形態に係る音響測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る受音部の構成の一例を示す模式図である。
【図4】0度と180度に向けたマイクペアの感度差を説明するための模式図である。
【図5】90度と270度に向けたマイクペアの感度差を説明するための模式図である。
【図6】0度と180度に向けたカーディオイドマイクペアにおける二乗音圧の感度差を示すグラフである。
【図7】音源方向の推定実験を示す模式図である。
【図8】周波数125Hzにおける推定結果を示すグラフである。
【図9】周波数1kHzにおける推定結果を示すグラフである。
【図10】周波数8kHzにおける推定結果を示すグラフである。
【図11】周波数に対する推定誤差の最大値及び平均値を示すグラフである。
【図12】第2の実施の形態に係る音響測定装置の構成を示すブロック図である。
【図13】第2の実施の形態に係る受音部の構成の一例を示す模式図である。
【図14】ターンテーブル上にマイクロホンを配置する構成例を示す図である。
【図15】ターンテーブルにおける音響中心の位置の一例を示す図である。
【図16】ターンテーブルにおける音響中心の位置の他の例を示す図である。
【図17】インテンシティを説明するための概念図である。
【図18】第2の実施の形態に係る音響測定装置における時系列データを示すグラフである。
【図19】第2の実施の形態に係る音響測定装置における二乗波形を示すグラフである。
【図20】単一平面波音場例を示す図である。
【図21】干渉音場例を示す図である。
【図22】2次元音場に配置した4chプローブを説明するための図である。
【図23】1chの位相を+π/2ずらした場合の到来方向を示すグラフである。
【図24】1chの位相を+π/2ずらした場合のインテンシティの絶対値を示すグラフである。
【図25】マイク間隔を解析対象音の半波長λ/2にした場合の到来方向を示すグラフである。
【図26】マイク間隔を解析対象音の半波長λ/2にした場合のインテンシティの絶対値を示すグラフである。
【図27】第1のインテンシティ測定装置の構成を示すブロック図である。
【図28】第2のインテンシティ測定装置の構成を示すブロック図である。
【図29】第3のインテンシティ測定装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明に係る音の方向情報のフーリエ級数展開に基づく音響インテンシティの測定原理について説明する。なお、本明細書において、音の方向情報とは、スピーカやマイクの指向特性、音場の方向別反射音エネルギなど、方向をパラメータとした音に関する物理量を指すものである。

【0015】
図1は、音の方向情報を説明するための概念図である。方向情報は、方向別の時間波形x(θ,t)、あるいは方向別の複素振幅X(θ,ω)などで表現できる。ここでは簡単のため、時間、角周波数のパラメータを省略した関数f(θ)を方向情報として考え、2次元を例に挙げて説明する。

【0016】
2次元方向情報f(θ)は、基本周期Tが2πなので、方向(角度)θをパラメータとした(1)式のフーリエ級数展開で表される。また、フーリエ係数は、それぞれ(2)式~(4)式のように表される。

【0017】
【数3】
JP0005747340B2_000004t.gif

【0018】
ここで、nは1周あたりの振動数を表すので、方向情報の周波数と考えることができる。従って、方向情報の周波数特性により、従来と異なる視点の評価が可能である。例えば、マイクやスピーカが鋭指向性なら高い方向周波数成分を多く含むので、指向性の鋭さの指標として応用できる。逆に無指向性は方向情報の直流成分なので、全エネルギに対する直流成分の比率によって、スピーカやマイクの無指向性の程度や、音場の等方性を評価することができる。

【0019】
また、図1に示すように、ある受音点において、音場の方向情報f(θ)を指向特性m(θ)のマイクでφ方向に向けて受音すると、得られるマイク出力rφは、(5)式のように表される。

【0020】
【数4】
JP0005747340B2_000005t.gif

【0021】
そして、マイクを順次回転させてφをパラメータとして全方向の方向情報r(φ)を受音した場合は(6)式のようになる。

【0022】
【数5】
JP0005747340B2_000006t.gif

【0023】
これは、音場の方向情報f(φ)とマイクの指向特性を逆回転させたものm(-φ)との方向軸上での巡回畳み込みとなる。

【0024】
【数6】
JP0005747340B2_000007t.gif

【0025】
本件発明者は、これらの原理を用いた音響インテンシティの測定方法を提案する。

【0026】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

【0027】
(第1の実施の形態)
図2は、第1の実施の形態に係る音響測定装置の構成を示すブロック図である。この音響測定装置10は、直交座標の各軸上に指向性を180度反対向きに配置された単一指向性マイクペアを用いて受音する受音部11と、単一指向性マイクペアの出力差分を用いて音の到来方向を含む音の方向情報の演算処理を行う演算処理部12と、音の方向情報を出力する出力部13とを備えている。

【0028】
受音部11は、所定の指向特性Dを有し、音源から到来してくる信号を受音するマイクロホンを複数備えている。これらのマイクロホンは、基準となる直交座標の軸上、例えばx軸、y軸、z軸上に指向性を180度反対向きのペアで配置されている。

【0029】
図3は、受音部11の構成の一例を示す模式図である。この受音部11は、指向特性Dが0度方向((基準)前方方向)に向けて配置されるマイクロホン21Aと、マイクロホン21Aに対して指向特性Dが90度方向(右方向)に向けて配置されるマイクロホン21Bと、マイクロホン21Aに対して指向特性Dが180度方向(後方方向)に向けて配置されるマイクロホン21Cと、マイクロホン21Aに対して指向特性Dが270度方向(左方向)に向けて配置されるマイクロホン21Dと、マイクロホン21A乃至マイクロホン21Dに対して指向特性Dが垂直方向に向けて配置されるマイクロホン21E(上方垂直方向)と、マイクロホン21Eに対して指向特性Dが180度方向(下方垂直方向)に向けて配置されるマイクロホン21Fとからなる。なお、受音部11は、マイクロホン21A乃至マイクロホン21Dの4つで構成されていても良い。また、マイクロホンの配置において、音響中心が問題となるが、全てのマイクロホンをほぼ同一点に設置し、音響中心を揃えても良いし、任意の一点から全てのマイクロホンの音響中心までの距離が等しくなるように配置されていても良い。

【0030】
また、マイクロホン21A乃至マイクロホン21Fが有する指向特性Dは、単一指向性であれば良く、カーディオイド、スーパーカーディオイド、ハイパーカーディオイド、ウルトラカーディオイドのいずれであっても良い。

【0031】
演算処理部12は、後述するように、受音部11における反対向きの単一指向性マイクペアの出力差分を用いて方向情報の直交基底成分を算出し、方向情報の一次のフーリエ係数を求めることにより、音の到来方向を含む音の方向情報を算出する。

【0032】
出力部13は、演算処理部12で演算処理された位相角、振幅、二乗音圧の差分等の音の方向情報を、例えば表示モニタ等に出力する。

【0033】
このような音響測定装置10によれば、高精度かつ簡単に音響インテンシティに代表される音の方向情報を測定することができる。

【0034】
続いて、演算処理部12における具体的な演算処理について詳細に説明する。ここでは、単一指向性マイクを用いて直交基底を構成することにより、音場の方向情報を直交成分に分解し、音源方向を推定する。

【0035】
インテンシティは、(7)式に示すように音圧pと粒子速度uの積で定義される。現在主流のインテンシティ測定手法は、ほぼすべてこの定義式に基づいているが、本実施形態では、粒子速度を用いない(8)式の定義を基にする。

【0036】
【数7】
JP0005747340B2_000008t.gif

【0037】
(8)式において、左辺のインテンシティがベクトルであるにもかかわらず、右辺はスカラー量である。そこで、右辺をベクトル化するために次のように考える。まずは一次元(x軸)音場で考える。x軸のプラスとマイナス向きに音波が伝搬しているとする。干渉音場における瞬時音圧と粒子速度の関係は、次式のように表せる。

【0038】
【数8】
JP0005747340B2_000009t.gif

【0039】
ただし、肩付きの記号はx方向についてプラス方向又はマイナス方向に伝搬する成分を表す。これらを(7)式に代入すると(12)式が得られる。

【0040】
【数9】
JP0005747340B2_000010t.gif

【0041】
音圧そのものはスカラー量であるが、この(12)式は、伝搬方向別の瞬時二乗音圧がわかれば、粒子速度を測定しなくてもベクトル量のインテンシティ測定が可能であることを表している。平均(アクティブ)音響インテンシティは、(12)式の瞬時二乗音圧を平均二乗音圧に置き換えればよい。また、(12)式は、1次元のインテンシティであるが、これを3次元に拡張するには、x,y,z軸に関してインテンシティの直交基底成分を(12)式で求めればよい。

【0042】
次に、音響インテンシティの算出方法について説明する。

【0043】
カーディオイドやハイパーカーディオイドは、無指向性と双指向性の合成なので、指向特性m(θ)は、音圧振幅の次元で(13)式のように表せる。

【0044】
【数10】
JP0005747340B2_000011t.gif

【0045】
ただし、A+B=1で、カーディオイドはA=0.5、スーパーカーディオイドはA=0.37、ハイパーカーディオイドはA=0.25である。

【0046】
図4に示すように、例えば、基準直交座標軸上の0度と180度に向けた2本のマイクの感度差は、音圧の次元で(14)式となり、cos関数となる。

【0047】
【数11】
JP0005747340B2_000012t.gif

【0048】
また、図5に示すように、90度と270度に向けたマイクペアの感度差は、(15)式となり、sin関数となる。

【0049】
【数12】
JP0005747340B2_000013t.gif

【0050】
なお、図4及び図5に示すようなカーディオイドの場合、(14)式、(15)式は、それぞれcosθ、sinθとなる。

【0051】
また、二乗音圧の次元において0度と180度に向けたマイクペアの感度差は、(16)式となり、やはりcos関数となる。

【0052】
【数13】
JP0005747340B2_000014t.gif

【0053】
同様に90度と270度に向けたマイクペアの感度差は、(17)式のようにsin関数となる。

【0054】
【数14】
JP0005747340B2_000015t.gif

【0055】
図6は、0度と180度に向けたカーディオイドマイクペアにおける二乗音圧の感度差を示すグラフである。すなわち、カーディオイドの場合の(16)式をグラフ化したものである。

【0056】
図6からも分かるように、cosとsinとは直交関係にあるので、2組の反対向きのマイク感度差を算出することは、方向情報を直交成分に分解することに相当する。以上の関係を利用すると、反対向きの単一指向性マイクの出力差分を用いて、以下のように上記(3)、(4)式の方向情報f(θ)の一次のフーリエ係数を直接算出することができる。

【0057】
上記(14)式を(18)式のように変形し、上記(3)式にn=1を代入すると、(19)式が得られる。

【0058】
【数15】
JP0005747340B2_000016t.gif

【0059】
また、これに(5)式を適用すると、(20)式となる。

【0060】
【数16】
JP0005747340B2_000017t.gif

【0061】
また、bに関しても同様にして求めることができる。

【0062】
【数17】
JP0005747340B2_000018t.gif

【0063】
さらに(16)式、(17)式から、反対向きマイクの二乗音圧の差分は、上記と同様の考え方を用いて、(22)式、(23)式のように直交成分に分解できる。

【0064】
【数18】
JP0005747340B2_000019t.gif

【0065】
この反対向きの2本の単一指向性マイクによる二乗音圧の差分a、bは、それぞれx軸、y軸の方向情報直交基底成分であるから、位相角φは、(24)式で算出される。

【0066】
【数19】
JP0005747340B2_000020t.gif

【0067】
この位相角φは、自由空間において音源が1つの場合、音の到来方向と一致する。すなわち、この位相角φを音の到来角θとする。

【0068】
また、二乗音圧の振幅Dは、(25)式で算出される。

【0069】
【数20】
JP0005747340B2_000021t.gif

【0070】
また、2次元音響インテンシティの大きさIxyは(26)式で算出される。

【0071】
【数21】
JP0005747340B2_000022t.gif

【0072】
また、3次元に拡張する場合は、上下方向にもう一対のマイク対を加え、その感度差を算出すればよい。

【0073】
このように方向情報を直交基底に分解することは、ベクトルの各成分を求めることに相当する。すなわち、上記(22)式によれば、x軸±向きの2本の単一指向性マイクによる二乗音圧の差分は、そのままx軸の方向情報直交基底成分となる。そして、この二乗音圧差分を(12)式に代入すれば、3次元インテンシティのx成分が求められる。また、y軸,z軸の方向情報直交基底成分についても同様の手順で求めることができる。

【0074】
次に、第1実施の形態の音響測定において音源方向の検出精度について検証した。

【0075】
図7は、音源方向の推定実験を模式的に示す図である。マイクロホンシステムには、図3に示すような合計6本の単一指向性マイクロホンを3次元直交座標の±方向に向けて設置したものを用いた。水平角0度方向、マイクロホンから2mの距離にスピーカを設置した。そして、マイクロホンを水平方向に11.25度ずつ回転させ、合計32方向において6ch分のマイクロホンのインパルス応答を測定した。各chのインパルス応答から周波数ごとのエネルギを求め、上述した二乗音圧の差分を用いて音源方向を解析した。

【0076】
図8~10は、それぞれ周波数125Hz、1kHz、8kHzにおける推定結果を示すグラフである。また、図11は、周波数に対する推定誤差の最大値及び平均値を示すグラフである。

【0077】
これらの結果より、高音域8kHzまで平均誤差5度以内で推定できることが分かった。特に4kHz以下の帯域においては、平均誤差1.5度以内の精度で検出できることが分かった。なお、8kHzにおいて平均誤差が大きくなるのは、スピーカとマイクとの間に存在するマイクジグの影響と考えられる。

【0078】
以上、第1の実施の形態に係る音響測定装置によれば、方向情報を直交基底に分解して音響インテンシティを測定するので、マイクの間隔を変えずに広帯域の測定をすることができる。また、マイクの位相を揃える必要がない。また、マイクの間隔を厳密に揃えなくても良い。すなわち、高精度かつ簡単に音響インテンシティを測定することができる。

【0079】
(第2の実施の形態)
次に、本発明を適用させた第2の実施の形態について説明する。

【0080】
上記第1の実施の形態では、直交座標の各軸上で反対向きに設置させた指向性マイク対を用いることとしたが、第2の実施の形態の具体例として示す音響測定装置は、1つのマイクロホンを回転させて音場を測定し、得られた方向情報をフーリエ級数展開して1次成分を解析するものである。

【0081】
図12は、第2の実施の形態に係る音響測定装置の構成を示すブロック図である。この音響測定装置30は、指向性マイクを回転させて受音する受音部31と、受音部31で得られた方向情報をフーリエ変換し、音響インテンシティの演算処理を行う演算処理部32と、音響インテンシティを出力する出力部33とを備えている。

【0082】
受音部31は、所定の指向特性Dを有し、音源から到来してくる信号を受音するマイクロホンを回転し、方向情報を測定する。この実施形態では、方向情報の1Hzが含まれるマイクロホンであれば何でも良い。ここで方向情報の1Hzとは、角度2πを一周期とした変動を意味する。

【0083】
図13は、受音部31の構成の一例を示す模式図である。この受音部31は、マイクロホン41を水平方向に回転駆動する水平方向回転駆動部42と、マイクロホン41を垂直方向に回転駆動する垂直方向回転駆動部43と、水平方向回転駆動部42及び垂直方向回転駆動部43を制御する制御部44とを備えて構成される。

【0084】
水平方向回転駆動部42は、制御部44の制御に応じてマイクロホン41を水平方向に任意の角度で回転駆動する。

【0085】
垂直方向回転駆動部43は、制御部44の制御に応じてマイクロホン41を垂直方向に任意の角度で回転駆動する。

【0086】
このような構成によれば、マイクロホン41を3次元的に駆動することが可能となり、図3に示す構成例のように、6つのマイクロホンで構成した場合と同様の効果を得ることもできる。

【0087】
また、受音部31は、図14に示すように、マイクロホン41がターンテーブル51上に配置されている構成であっても良い。ターンテーブル51は、駆動部52により制御され、回転駆動する。

【0088】
また、ターンテーブル51によりマイクロホン41を回転させる際に、音響中心が問題となるが、図15に示すようにマイクロホン41の音響中心をターンテーブル51の回転軸Aと一致させて、回転駆動しても良く、図16に示すようにマイクロホン41の音響中心をターンテーブル51の回転軸Aから一定距離保ちながら、回転駆動しても良い。

【0089】
演算処理部32は、後述するように、受音部31で受音した二乗音圧波形の一次のフーリエ係数を求めることにより、音の到来方向を示す位相角を算出する。また、方向情報のスペクトルを解析し、マイク指向特性の評価指数を演算処理することができる。例えば、0次成分と1次以上の成分との比により、無指向性の程度を解析することができる。

【0090】
出力部33は、演算処理部32で演算処理された位相角、振幅、二乗音圧、マイク指向特性の評価指数等を、例えば表示モニタ等に出力する。

【0091】
このような音響測定装置30によれば、高精度かつ簡単に音響インテンシティを測定することができる。

【0092】
続いて、演算処理部32における具体的な演算処理について詳細に説明する。ここでは、回転させて得られた二乗音圧波形の一次のフーリエ係数を求めることにより、音源方向を推定する。

【0093】
インテンシティは、音波の進行方向に垂直な単位面を単位時間に通過するエネルギである。図17に示すように、角度θで単位面に音波が入射するとき、単位面を通過する音響エネルギSは、面の単位法線ベクトルnと音響インテンシティIとの内積となる。

【0094】
【数22】
JP0005747340B2_000023t.gif

【0095】
これは、単位面を回転した場合、単位面を通過する音響エネルギが周期1で振動することを示している。したがって、インテンシティとは、音場の方向情報の1次成分(方向周波数:1Hz)に他ならない。つまり、任意の指向性マイク(ただし、方向周波数1Hzを含む必要があるので双指向性マイクは不可)を回転させて音場を測定し、得られた方向情報(二乗音圧波形)のフーリエ級数展開の一次のフーリエ係数を調べれば、音響インテンシティを知ることができる。なお、この回転マイクによる方法も上記(12)式を基にしているので、マイクを回転しながら二乗音圧を測定する必要がある。

【0096】
すなわち、演算処理部32は、指向性マイクから得られた音圧を二乗する二乗手段と、二乗音圧波形をフーリエ級数展開し、一次のフーリエ係数を算出する演算手段と、一次のフーリエ係数に基づいて音の到来方向を含む音響インテンシティを算出する音響インテンシティ算出手段とを備えている。ここで、一次のフーリエ係数とは、(3)式の係数aと(4)式の係数bの組のことである。このaとbを(24)式に代入すれば到来角度が算出でき、(26)式に代入すれば二乗音圧が算出でき、(27)式に代入すれば音響インテンシティの大きさが算出できる。

【0097】
また、二乗音圧波形のフーリエ級数展開の代わりに、高速フーリエ変換(FFT)を用いることができる。FFTを用いた場合、一次のフーリエ係数の実部は、(3)式の係数aに相当し、一次のフーリエ係数の虚部は、(4)式の係数bに相当する。

【0098】
このように1本のマイクロホンを回転させ、得られた二乗音圧波形をフーリエ級数展開することにより、容易に音響インテンシティを解析することができる。

【0099】
次に、第2の実施の形態に係る回転マイクによる測定手法をコンピュータシミュレーションにより検証した。ホワイトノイズを240度方向から提示し、さらに全方向から無相関の暗騒音が到来してSNが-3dBになるよう条件を設定した。そして、これを一本のハイパーカーディオイドマイクを一回転させながら収音した。

【0100】
図18及び図19は、それぞれ収音した時系列データ及びその二乗波形を示す。二乗波形の一次のフーリエ係数の位相角は247度となり、ほぼ音源方向と一致した。暗騒音は直流成分として分離されるので、このようにSNが悪い条件でも方向性のある音を抽出できた。

【0101】
以上、第2の実施の形態に係る音響測定装置によれば、1本のマイクロホンを用い、フーリエ級数展開に基づいて音響インテンシティを算出するので、マイクロホンの指向特性を問わず、方向情報の1Hzが含まれるマイクロホンであれば何でも使用することができる。また、1つのマイクを回転するので複数のマイク間の感度差や位相差などの不一致は起こらない。さらに、鋭指向性マイクを用いれば、1次以上の周波数の情報を得ることもできる。

【0102】
(第3の実施の形態)
上述した180度反対向きの単一指向性マイク対による音響インテンシティ計測法(C-C方式)によれば、従来主流であった無指向性の音圧型マイクを2本組み合わせる方式(P-P方式)のようにマイクの感度差、位相差、マイク間隔等を厳密に管理する必要がない。これは、前者が指向性情報を用いるのに対し、マイク位置の違いを情報として用いることに起因する。ここでは、単一指向性マイク対としてカーディオイドマイク対を用い、単一指向性マイク対の有効性をさらに詳細に説明する。

【0103】
[インテンシティ測定原理]
まず、図20に示すように単一平面波P(t)がr方向に対して角度θで到来する音場を想定する。その時、音波進行方向の粒子速度u(t)は、(28)式となる。

【0104】
【数23】
JP0005747340B2_000024t.gif

【0105】
そして、r方向の粒子速度u(t)は、(29)式となる。

【0106】
【数24】
JP0005747340B2_000025t.gif

【0107】
したがって、インテンシティのr方向成分は、次式で表わされる。

【0108】
【数25】
JP0005747340B2_000026t.gif

【0109】
次に、この音場をカーディオイドマイク対で測定する。一対のカーディオイドマイク(Mic.1,Mic.2)で測定されるそれぞれの応答P(t),P(t)は次のようになる。

【0110】
【数26】
JP0005747340B2_000027t.gif

【0111】
両者を加算すると、次式のように無指向性応答となる。

【0112】
【数27】
JP0005747340B2_000028t.gif

【0113】
また、両者の差分は、(34)式となる。

【0114】
【数28】
JP0005747340B2_000029t.gif

【0115】
ここで、(34)式と(29)式とを比べると、粒子速度u(t)は次式のように一対のカーディオイドマイク(Mic.1,Mic.2)の応答の差分から求められることがわかる。

【0116】
【数29】
JP0005747340B2_000030t.gif

【0117】
よって、瞬時インテンシティは以下のようになる。

【0118】
【数30】
JP0005747340B2_000031t.gif

【0119】
(36)式は、次のように書くこともできる。

【0120】
【数31】
JP0005747340B2_000032t.gif

【0121】
すなわち、上記(12)式と同様になる。

【0122】
次に、図21に示すような干渉音場で成り立つか否かを確認する。観測点での音圧P(t)、粒子速度u(t)は次式となる。

【0123】
【数32】
JP0005747340B2_000033t.gif

【0124】
よって、瞬時インテンシティは以下の様になる。

【0125】
【数33】
JP0005747340B2_000034t.gif

【0126】
次に、この音場のインテンシティをカーディオイドマイク対(Mic.1,Mic.2)で測定する。各マイクで測定される応答P(t),P(t)はそれぞれ次のようになる。

【0127】
【数34】
JP0005747340B2_000035t.gif

【0128】
ここでP(t),P(t)の加算と差分は次の様になる。

【0129】
【数35】
JP0005747340B2_000036t.gif

【0130】
これら(43)式、(44)式を(35)式及び(36)式に代入して粒子速度及び瞬時インテンシティを求めると、(39)式、(40)式の理論式と一致する。また、(37)式に(41)式、(42)式を代入しても(40)式の理論式と一致する。すなわち、C-C方式は干渉音場でも成立することが分かる。

【0131】
また、C-C方式の平均インテンシティは、P-P方式と同様、瞬時インテンシティを平均することで得られる。

【0132】
【数36】
JP0005747340B2_000037t.gif

【0133】
このようにC-C方式によれば、様々な平均化方法を考えることができるため、P-P方式よりも高い自由度を得ることができる。

【0134】
[マイク間隔及び位相不一致]
次に、マイク間隔及び位相特性の不一致の影響について説明する。まず図1の音場を、位相特性が一致していないカーディオイドマイク対(Mic.1,Mic.2)を用い、(45)式、(46)式に基づいて解析する場合を考える。

【0135】
到来音のr方向の成分による{P(t)-P(t)}及び{P(t)+P(t)}は、Mic.1とMic.2の位相差によって振幅に影響せず、必ず同じだけ位相がずれるため相対的な位相関係も保たれる。一方、r方向と直交する成分による{P(t)-P(t)}及び{P(t)+P(t)}は、Mic.1とMic.2の位相特性がどれだけ異なっても必ず直交関係となる。したがって、{P(t)-P(t)}×{P(t)+P(t)}の中のr方向と直交する成分の平均値は常にゼロになる。よって、(45)式、(46)式を計算するとき、マイクの位相不一致の影響は自動的にキャンセルされる。

【0136】
続いて、(47)式に基づいて解析する場合を考える。この式は平均インテンシティを得るのにP(t)とP(t)を二乗平均した後に差を計算すればよいことを示している。二乗平均値はマイクの位相特性には無関係である。また、(47)式は、測定音場が定常的であるならば、一つのマイクの向きを変えて順次測定して後処理でインテンシティを計算することができるということも意味している。この場合、P(t)とP(t)を完全に同位置で測定することも可能である。

【0137】
以上のように、C-C方式では、平均インテンシティを求めるときにマイクの位相特性の不一致を自動的にキャンセルするような作用が働くため、平均インテンシティを求める場合には位相特性の不一致の影響を一切受けない。したがって、マイクロホンの位相特性の校正は必要ない。なお、瞬時インテンシティを求める場合には、C-C方式もP-P方式と同様に2本のマイクロホンの位相特性を一致させる必要がある。

【0138】
また、C-C方式は原理的には音の波長の影響を受けず、周波数依存がない。したがって、P-P方式のように計測対象の周波数帯域によってマイクプローブの間隔を変える必要なく広帯域の方向情報を得ることができる。しかし、実際には複数のマイクを同位置に設置することはできないので、マイク間隔は誤差要因となる。

【0139】
[シミュレート結果]
第1の実施の形態で説明したように、C-C方式のマイク対を直交座標軸上に設置すれば、各座標軸方向の独立成分が求められる。2次元の4chプローブ及び3次元の6chプローブを用いる場合、複数のカーディオイドマイクの応答を加算して無指向性応答P(t)を求める際に、(33)式のように同軸上の2マイクの合成ではなく、全マイクの応答を加算することも考えられる。その場合、例えば2次元4chプローブの場合のインテンシティは以下のようになる。

【0140】
【数37】
JP0005747340B2_000038t.gif

【0141】
(45)式と(48)式は本質的には同じであるが、マイクの位相不一致やマイク間隔による影響の出方が異なる可能性がある。そこで、上述したアルゴリズムによるマイク間隔、位相不一致が及ぼす影響の違いをシミュレーションによって検討した。ここでは、単一の平面波(100Hzの正弦波)が到来するシンプルな2次元音場を想定した。図22に示すように、音波の到来角を0度~350度の10度ステップに変化させ、音の到来方向及びインテンシティの絶対値をC-C方式のマイク対を直交させた4chプローブで解析した。

【0142】
まず、各カーディオイドマイクで受音した波形をシミュレートし、その4ch分の波形を基に解析した。その際、マイクの位相、マイク間隔△dを変化させて影響を調べた。検討した平均インテンシティの計算アルゴリズムは、(45)式、(46)式、(47)式及び(48)式である。

【0143】
図23及び図24はそれぞれ1chの位相を+π/2ずらした場合の到来方向及びインテンシティの絶対値を示すグラフである。また、図25及び図26は、それぞれマイク間隔を解析対象音の半波長λ/2にした場合の到来方向及びインテンシティの絶対値を示すグラフである。なお、図中のインテンシティの絶対値は音圧の振幅を1で正規化し、ρcで割る前の値である。

【0144】
これらの結果を見ると、(45)式、(46)式、(47)式によるシミュレート結果は、到来方向、インテンシティ絶対値ともに、位相不一致及びマイク間隔に影響されないことが確認された。しかし、(48)式に基づく解析はそれらに影響を受け、到来方向、インテンシティ絶対値ともに誤差を生じていることがわかる。つまり、多チャンネルプローブで無指向性応答を求める時は、粒子速度を求めたマイク対と同じマイク対だけを用いて計算した方が良いことが分かった。

【0145】
すなわち、所定軸上に180度反対向きに位置する単一指向性マイクの出力差分を用いれば、所定軸の方向成分を精度良く測定することができる。

【0146】
次に、r方向の軸上に単一指向性マイク対を設置し、r方向成分のインテンシティ測定装置について説明する。ここで、インテンシティとは、瞬時インテンシティ及び平均インテンシティを指す。

【0147】
図27は、第1のインテンシティ測定装置の構成を示すブロック図である。この第1のインテンシティ測定装置は、カーディオイドマイク1とカーディオイドマイク2とがr方向の軸上に180度反対向きに配置されたマイク対61と、カーディオイドマイク1の出力p(t)から所定周波数帯域の信号を取り出すバンドパスフィルタ62と、カーディオイドマイク2の出力p(t)から所定周波数帯域の信号を取り出すバンドパスフィルタ63と、バンドパスフィルタ62,63からの所定周波数の信号を加算する加算器64と、バンドパスフィルタ62,63からの所定周波数の信号の差分を得る差分器65と、加算器64と差分器65との出力を乗算する乗算器66と、乗算器66の出力を平均する平均化回路67とを備えている。

【0148】
この第1のインテンシティ測定装置によれば、(45)式のように音圧差分に基づくr方向の平均インテンシティを得ることができる。ここで、加算器64からの出力により、スカラー量である無指向性応答p(t)を得ることができる。また、減算器65からの出力により、r方向の粒子速度u(t)を得ることができる。また、乗算器66からの出力により、r方向の瞬時インテンシティI(t)を得ることができる。

【0149】
また、図28は、第2のインテンシティ測定装置の構成を示すブロック図である。この第2のインテンシティ測定装置は、カーディオイドマイク1とカーディオイドマイク2とがr方向の軸上に180度反対向きに配置されたマイク対61と、カーディオイドマイク1の出力p(t)から所定周波数帯域の信号を取り出すバンドパスフィルタ62と、カーディオイドマイク2の出力p(t)から所定周波数帯域の信号を取り出すバンドパスフィルタ63と、バンドパスフィルタ62からの所定周波数の信号を二乗する二乗回路71と、バンドパスフィルタ63からの所定周波数の信号を二乗する二乗回路72と、二乗回路71,72からの二乗応答P2(t),P2(t)のの差分を得る差分器73と、差分器73からの出力を平均する平均化回路74とを備えている。

【0150】
この第2のインテンシティ測定装置によれば、(46)式のように二乗音圧差分に基づくr方向の平均インテンシティを得ることができる。ここで、差分器73からの出力により、r方向の瞬時インテンシティIr(t)を得ることができる。

【0151】
また、図29は、第3のインテンシティ測定装置の構成を示すブロック図である。この第3のインテンシティ測定装置は、カーディオイドマイク1とカーディオイドマイク2とがr方向の軸上に180度反対向きに配置されたマイク対61と、カーディオイドマイク1の出力p(t)から所定周波数帯域の信号を取り出すバンドパスフィルタ62と、カーディオイドマイク2の出力p(t)から所定周波数帯域の信号を取り出すバンドパスフィルタ63と、バンドパスフィルタ62からの所定周波数の信号を二乗する二乗回路71と、バンドパスフィルタ63からの所定周波数の信号を二乗する二乗回路72と、二乗回路71からの二乗応答P2(t)を平均する平均化回路81と、二乗回路72からの二乗応答P2(t)を平均する平均化回路82と、平均化回路81,82の出力の差分を得る差分器83とを備えている。

【0152】
この第3のインテンシティ測定装置によれば、(47)式のように平均二乗音圧差分に基づくr方向の平均インテンシティを得ることができる。

【0153】
以上説明したように、所定軸上に180度反対向きに位置する単一指向性マイクの出力差分を用いれば、所定軸の方向情報を精度良く得ることができる。

【0154】
例えば、単一指向性マイク対を用いた場合、単一指向性マイク対の出力差分に基づいてインテンシティを算出することができる。この場合、平均インテンシティは(45)式のように音圧差分により算出しても良く、(46)式のように二乗音圧差分により算出しても良い。特に、音圧差分を用いれば、粒子速度、無指向性応答を求めることができる。

【0155】
また、単一指向性マイクを回転させた場合、所定軸上に位置するマイクの出力差分に基づいて平均インテンシティを算出することができる。この場合、平均インテンシティは(47)式のように平均二乗音圧差分により算出すれば良い。この単一指向性マイクを回転させた場合、同位置で測定、すなわちマイク間隔をゼロにして測定することができる。

【0156】
また、直交座標の各軸の方向成分を算出すれば、音の到来方向を含む音の方向情報を算出することができる。例えば、2組の単一指向性マイク対を直交させ、各単一指向性マイク対の出力差分に基づいて各軸の方向成分を算出すれば、2次元の音の方向情報を算出することができる。また、単一指向性マイクを回転させ、直交座標軸上の0°位置及び180°位置の出力差分と、90°位置及び270°位置の出力差分とに基づいて各軸の方向成分を算出すれば、2次元の音の方向情報を算出することができる。

【0157】
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0158】
10 音響測定装置、11 受音部、12 演算処理部、13 出力部、30 音響測定装置、31 受音部、32 演算処理部、33 出力部、41 マイクロホン、42 水平方向回転駆動部、43 垂直方向回転駆動部、44 制御部、51 ターンテーブル、52 駆動部、61 マイク対、62 バンドパスフィルタ、63 バンドパスフィルタ、64 加算器、65 差分器、66 乗算器、67 平均化回路、71 二乗回路、72 二乗回路、73 差分器、74 平均化回路、81 平均化回路、82 平均化回路、83 差分器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28